JP2021113391A - 多条ねじ継手、継手付き鋼管、構造体、構造体の施工方法、多条ねじ継手の設計方法及び製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、位置合わせマークを設けても、ヒューマンエラーによる嵌合開始位置の間違いを完全には排除できず、仮に、間違った嵌合開始位置から嵌合が開始されると、嵌合完了時点で上下の連結継手位置が不一致となり、嵌合開始位置が誤りであったことが分かる。
この場合、嵌合完了したものを、再度逆回転して嵌合を外して、嵌合位置合わせを行って再度嵌合することになり、工事の進行を遅らす原因やねじ部の傷つきによる嵌合不良の原因となる。
(1−1)形状の異なる2以上、ねじ条数以下の種類のねじを備えること。
(1−2)全てのねじ山及びねじ底は、ピッチが同じであること。
(1−3)各種類のねじが複数条ある場合において、同一種類同士のねじであって隣り合うもの同士の位置を直線で結んで形成される直線又は多角形が、直線は管の中心を通ること、多角形はその重心が管の中心と一致すること、という条件を全ての直線及び多角形が満たすものを除くこと。
(7−1)形状の異なる2以上、ねじ条数以下の種類のねじによって構成すること。
(7−2)全てのねじ山及びねじ底は、ピッチを同じに設定すること。
(7−3)各種類のねじが複数条ある場合において、同一種類同士のねじであって隣り合うもの同士の位置を直線で結んで形成される直線又は多角形が、直線は管の中心を通ること、多角形はその重心が管の中心と一致すること、という条件を全ての直線及び多角形が満たすものを除くこと。
前記多条ねじを構成するねじが、以下に規定する要件を満たすことを特徴とするものである。
(8−1)形状の異なる2以上、ねじ条数以下の種類のねじを形成すること。
(8−2)全てのねじ山及びねじ底は、ピッチを同じに形成すること。
(8−3)各種類のねじが複数条ある場合において、同一種類同士のねじであって隣り合うもの同士の位置を直線で結んで形成される直線又は多角形が、直線は管の中心を通ること、多角形はその重心が管の中心と一致すること、という条件を全ての直線及び多角形が満たすものを除くこと。
形状の異なる2以上、ねじ条数以下の種類のねじを備えること(要件1)。
全てのねじ山及びねじ底は、ピッチが同じであること(要件2)。
各種類のねじが複数条ある場合において、同一種類同士のねじであって隣り合うもの同士の位置を直線で結んで形成される直線又は多角形が、直線は管の中心を通ること、多角形はその重心が管の中心と一致すること、という条件を全ての直線及び多角形が満たすものを除くこと(要件3)。
以下に、多条ねじ継手1の各構成を詳細に説明する。
鋼管3、9は、杭を構成するものであり、図中上側の鋼管3が上杭を、下側の鋼管9が下杭を構成する。
本実施の形態では、上側の鋼管3に雄ねじ5を有する内側継手管7が溶接により固定され、下側の鋼管9に雌ねじ11を有する外側継手管13が溶接により固定されている。
もっとも、内側継手管7を下側の鋼管9に固定し、外側継手管13を上側の鋼管3に固定するようにしてもよい。
内側継手管7は、3条以上の多条ねじからなる雄ねじ5が形成されている。また、外側継手管13は、内側継手管7と同じ条数の3条以上の多条ねじからなる雌ねじ11が形成されている。
そして、内側継手管7及び外側継手管13が備えた多条ねじは、ねじ山5a、11a及びこれに対応するねじ底11b、5b(種類A)と、ねじ山5as、11as及びこれに対応するねじ底11bs、5bs(種類B)(右上がりの斜線で示した部分)と、ねじ山5ass、11ass及びこれに対応するねじ底11bss、5bss(種類C)(右下がりの斜線で示した部分)の、それぞれ形状の異なる3種類のねじを有しており(要件1)、全てのねじ山及びねじ底はピッチが同じに設定されている(要件2)。
要件3は各種類のねじが複数条ある場合に課される要件であり、本例の場合、3種類のねじのうち、種類B及び種類Cのねじは1条のみであるので要件3は課されない。よって、図1及び図2に示した例は本発明の要件を満たすものである。なお、要件3が課される例については後述する。
この点を、図3に示す8条ねじを例にあげて、具体的に説明する。
図3は、8条のねじ継手を上部から見た場合の雄ねじ5及び雌ねじ11のねじ開始位置の概念図である。図中、黒丸印は種類Aのねじの嵌合開始位置、星印は種類Bのねじの嵌合開始位置、白丸印は種類Cのねじの嵌合開始位置を示している。
図3(b)及び図3(c)は、図1、図2と同様に、ねじ形状がA、B、Cの3種類で、種類Aが6条、種類B、種類Cが1条ずつ形成されたものである。この場合、図3(b)に示すように、同形状のねじの嵌合開始位置が全ての条で一致したときにのみ、嵌合を開始することができる。一方、図3(c)に示すように、いずれかの条で異なる形状のねじの嵌合開始位置が相対するときには、嵌合を開始することができない。
図4は、形状の異なる2種類のねじの一例として、ねじ山5a、11a及びこれに対応するねじ底11b、5b(種類A)と、ねじ山5as、11as及びこれに対応するねじ底11bs、5bs(種類B)の高さが異なるものを示している。
図4(a)は、種類Aのねじ山5a、11a及びねじ底11b、5bが適切に嵌合している状態であり、一例として、この適切に嵌合する雌ねじ11のねじ山11aの高さhは4.0mmで、雄ねじ5のねじ底5bとの間の径方向のクリアランスc1は0.5mmとする。
また、図4(b)は、種類Bのねじ山5as、11as、ねじ底11b、5bsが適切に嵌合している状態であり、一例として、雌ねじ11のねじ山11asの高さHは2.0mmで、雄ねじ5のねじ底5bsとの間のクリアランスC1は0.5mmとする。
1条ねじの場合には、ねじピッチは、1回転したときにねじが進む距離を意味するが、多条ねじにおいては、ねじの条数によって1回転したときの進む距離が異なることから、一定の距離としてのねじピッチを定義できないので、上記のように定義している。
まず、図1〜図3と同様に、「各種類のねじが複数条ある場合」に該当せず、要件3が課されない例を図6〜図8に示す。
さらに、同一種類(同じマーク)のねじが複数条ある場合においては、同一種類の中で隣り合うもの同士を直線で結び、該直線によって多角形が形成される場合にはその重心を示す(多角形の重心17)。後述する図7〜図13においても同様である。
図6(b)に示した例は、黒丸印のねじ形状は2条あるが、星印のねじ形状が1条しかないので、要件3は課されない。
よって、図6に示した例はいずれも、3条全てのねじ形状が一致できるのは回転方向のうち1か所のみであるので、その1か所でのみ嵌合開始することができる。
よって、図7に示した例はいずれも、4条全てのねじ形状が一致できるのは回転方向のうち1か所のみであるので、その1か所でのみ嵌合開始することができる。
よって、図8に示した例はいずれも、5条全てでねじ形状が対応するのは回転方向のうち1か所のみであるので、その1か所でのみ嵌合開始することができる。
したがって、図9(a)に示す例は、要件1〜3を全て満たし、4条全てのねじ形状が一致できるのは回転方向のうち1か所のみであるので、その1か所でのみ嵌合開始することができる。
このように、要件3を満たしていない場合には、回転方向のうち複数の箇所で嵌合が可能となり、正しい位置以外からの嵌合を排除することができない。
したがって、図12及び図13の例は、図10で説明したように、雄ねじ5と雌ねじ11のねじ形状が一致する嵌合可能な位置が、回転方向のうち複数か所存在するので、正しい位置以外からの嵌合を排除することができない。
すなわち、同一種類の対応する条の嵌合開始位置のいずれかに、位置合わせマークを付けておけば、正しい嵌合位置であれば回転嵌合することができ、仮に、ヒューマンエラーによって位置合わせが誤った場合には、嵌合開始ができない。このため、嵌合開始位置が誤りであることが直ぐに分かり、誤嵌合によって、回転嵌合をやり直す場合に比較すると施工効率を向上させることができる。
他の態様1は、種類Cのねじ山5ass、11ass及びこれに対応するねじ底11bss、5bssが、種類Aのねじ山5a、11a及びねじ底11b、5bと、ねじピッチは同じであり、ねじ幅が異なるものである。これについて図14、図15に基づいて説明する。
図14(a)は、種類Aのねじ山5a、11a、ねじ底11b、5bを示しており、適切に嵌合している状態である。一例として、この適切に嵌合する雌ねじ11のねじ幅wは3.4mmで、雄ねじ5のねじ底5bとの間の軸方向のクリアランスc2は0.5mmとする。
また、図14(b)は、種類Cのねじ山5ass、11ass、ねじ底11bss、5bssを示しており、適切に嵌合している状態である。一例として、この種類Cの雌ねじ11のねじ幅Wは2.4mmで、雄ねじ5のねじ底5bsとの間の軸方向のクリアランスC2は0.7mmとする。
なお、ねじピッチPは種類A、C共に10mmである。
しかし、種類Aのねじと種類Cのねじが嵌合しようとすると、図15に示すように、種類Cである雄ねじ5のクリアランスC2を含めて3.1mm(W+C2)のねじ底5bssのところに、種類Aの雌ねじ11であるねじ幅wが3.4mmのねじ山11aが位置することになり、干渉して内側継手管7と外側継手管13の嵌合を開始することができない。
他の態様2は、種類Dのねじ山5asss、11asss及びこれに対応するねじ底11bsss、5bsssは、種類Aのねじ山5a、11a及びねじ底11b、5bと、ピッチは同じであり、ねじ角度が異なるものである。これについて図16、図17に基づいて説明する。なお、ねじ角度が異なるとは、ねじ山における両側のフランク角が異なる場合、片側のフランク角が異なる場合の両方を含む意味である。
なお、ねじピッチPは種類A、D共に10mmである。
しかし、種類Aのねじと種類Dのねじが嵌合しようとすると、図17に示すように、種類Dの雄ねじ5のねじ底5bsssのところに、種類Aの雌ねじ11のねじ山11aが位置すると、フランク角の違いから、両者が干渉して嵌合することができず、内側継手管7と外側継手管13を嵌合させることができない。
また、本発明におけるねじ形状の変更は、切削刃や切削プログラムの変更により、従来の切削工程を大幅に増やすことなく製作することができるので、本発明は低コストでねじの誤嵌合を防止できるものであると言える。
なお、大径で上部から手前側を覗かなければ外側継手管13側の嵌合位置を確認できないような場合には、外側継手管13のねじ山を他と異なるようにすることで上部から目視的な嵌合位置の判別がしやすくなる。
しかしながら、本発明の多条ねじ継手は構造体を構成する鋼管の端部に取り付けられるものであり、荷重が作用した際に、軸方向で全てのねじ山が均等に当接して荷重伝達できるのがより好ましい。
そのため、種類C及び種類Dのねじ山とこれに対応するねじ底の軸方向クリアランス(隙間)C2と、種類Aのねじ山とこれに対応するねじ底の継手軸方向隙間c2が同じであることがより好ましい。これは、ひとつの多条ねじに異なるねじ形状が3種類以上ある場合にも同様に、全てのねじ山とねじ底の継手軸方向隙間が同じに設定されているのが好ましい。
なお、上記の実施の形態では、鋼管は、管軸方向と直交する断面形状が円である円筒形のもので説明をしたが、これに限定されない。例えば、管軸方向と直交する断面形状が矩形である角形鋼管も本発明の鋼管に含まれる。
これら構造体を形成するに際して、連結対象となる一方の継手付き鋼管の回転を拘束した状態で、他方の継手付き鋼管の多条ねじ継手を前記一方の継手付き鋼管の多条ねじ継手に位置合わせして回転嵌合するようにすればよい。
例えば、構造体が鋼管杭又は鋼管矢板の場合には、一方の継手付き鋼管を先に地中に打設して、他方の継手付き鋼管を接合し、さらに打設することを繰り返せばよい。
また例えば、構造体が鋼管矢板壁の場合には、一方の連結継手を備える継手付き鋼管を、既に地中にある別の継手付き鋼管の隣に連結継手で接続しながら、先ず地中に打設して、他方の継手付き鋼管を接合し、連結継手の位置を合わせてから、さらに打設することを繰り返せばよい。
このとき、継手付き鋼管を地中に打設する方法については特に限定されず、中堀り杭工法、鋼管ソイルセメント杭工法、回転杭工法、振動工法、打撃工法等のいずれの工法も適用できる。
鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、3条以上の多条ねじである多条ねじ継手の設計方法であって、
前記多条ねじを構成するねじが、以下に規定する要件を満たすように設計する。
形状の異なる2以上、ねじ条数以下の種類のねじによって構成すること(要件4、先の要件1に相当する)。
全てのねじ山及びねじ底は、ピッチを同じに設定すること(要件5、先の要件2に相当する)。
各種類のねじが複数条ある場合において、同一種類同士のねじであって隣り合うもの同士の位置を直線で結んで形成される直線又は多角形が、直線は管の中心を通ること、多角形はその重心が管の中心と一致すること、という条件を全ての直線及び多角形が満たすものを除くこと(要件6、先の要件3に相当する)。
鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、3条以上の多条ねじである多条ねじ継手の製造方法であって、
前記多条ねじを構成するねじが、以下に規定する要件を満たす。
形状の異なる2以上、ねじ条数以下の種類のねじを形成すること(要件7、先の要件1に相当する)。
全てのねじ山及びねじ底は、ピッチを同じに形成すること(要件8、先の要件2に相当する)。
各種類のねじが複数条ある場合において、同一種類同士のねじであって隣り合うもの同士の位置を直線で結んで形成される直線又は多角形が、直線は管の中心を通ること、多角形はその重心が管の中心と一致すること、という条件を全ての直線及び多角形が満たすものを除くこと(要件9、先の要件3に相当する)。
3 上側の鋼管
5 雄ねじ
5a ねじ山(種類A)
5b ねじ底(種類A)
5as ねじ山(種類B)
5bs ねじ底(種類B)
5ass ねじ山(種類C)
5bss ねじ底(種類C)
5asss ねじ山(種類D)
5bsss ねじ底(種類D)
7 内側継手管
9 下側の鋼管
11 雌ねじ
11a ねじ山(種類A)
11b ねじ底(種類A)
11as ねじ山(種類B)
11bs ねじ底(種類B)
11ass ねじ山(種類C)
11bss ねじ底(種類C)
11asss ねじ山(種類D)
11bsss ねじ底(種類D)
13 外側継手管
15 管の中心
17 多角形の重心
Claims (8)
- 鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、3条以上の多条ねじである多条ねじ継手であって、
前記多条ねじを構成するねじが、以下に規定する要件を満たすことを特徴とする多条ねじ継手。
(1)形状の異なる2以上、ねじ条数以下の種類のねじを備えること。
(2)全てのねじ山及びねじ底は、ピッチが同じであること。
(3)各種類のねじが複数条ある場合において、同一種類同士のねじであって隣り合うもの同士の位置を直線で結んで形成される直線又は多角形が、直線は管の中心を通ること、多角形はその重心が管の中心と一致すること、という条件を全ての直線及び多角形が満たすものを除くこと。 - 全てのねじ山とねじ底の継手軸方向隙間が同じに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の多条ねじ継手。
- 形状の違いは、ねじ山及びこれに対応するねじ底の高さ、幅、角度のいずれか又は複数が異なることであることを特徴とする請求項1又は2に記載の多条ねじ継手。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の多条ねじ継手における内側継手管と外側継手管を、一端と他端に取り付けてなることを特徴とする継手付き鋼管。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の多条ねじ継手と、前記多条ねじ継手で連結された複数の鋼管とを備えることを特徴とする構造体。
- 請求項5に記載の構造体の施工方法であって、連結対象となる継手付き鋼管の一方の回転を拘束した状態で、他方の継手付き鋼管の多条ねじ継手を前記一方の継手付き鋼管の多条ねじ継手に位置合わせして回転嵌合することを特徴とする構造体の施工方法。
- 鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、3条以上の多条ねじである多条ねじ継手の設計方法であって、
前記多条ねじを構成するねじが、以下に規定する要件を満たすように設計することを特徴とする多条ねじ継手の設計方法。
(4)形状の異なる2以上、ねじ条数以下の種類のねじによって構成すること。
(5)全てのねじ山及びねじ底は、ピッチを同じに設定すること。
(6)各種類のねじが複数条ある場合において、同一種類同士のねじであって隣り合うもの同士の位置を直線で結んで形成される直線又は多角形が、直線は管の中心を通ること、多角形はその重心が管の中心と一致すること、という条件を全ての直線及び多角形が満たすものを除くこと。 - 鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、3条以上の多条ねじである多条ねじ継手の製造方法であって、
前記多条ねじを構成するねじが、以下に規定する要件を満たすことを特徴とする多条ねじ継手の製造方法。
(7)形状の異なる2以上、ねじ条数以下の種類のねじを形成すること。
(8)全てのねじ山及びねじ底は、ピッチを同じに形成すること。
(9)各種類のねじが複数条ある場合において、同一種類同士のねじであって隣り合うもの同士の位置を直線で結んで形成される直線又は多角形が、直線は管の中心を通ること、多角形はその重心が管の中心と一致すること、という条件を全ての直線及び多角形が満たすものを除くこと。
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