JP5749228B2 - 小規模建物用の鋼管杭及びその施工方法 - Google Patents
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Description
しかし、新潟地震や東日本大震災の影響により、液状化などによる地盤の不同沈下(不同隆起も含む。以下同じ)を防ぐため、小規模建物(木造戸建住宅などの杭の構造計算が不要な規模の建築物を指すものとする。以下同じ)であっても、摩擦支持の鋼管杭などを設置することが行われるようになってきた。
例えば、特許文献1には、戸建住宅などの小規模建築物の基礎杭として、外径が100mm〜200mmで、管厚3.2mm〜6.0mmの鋼管杭の外面に、1〜3mの間隔をおいて、鋼管の外径の1.5倍〜2.5倍の外径を有する1〜2巻のスパイラルウィングを複数、不連続的に溶着したことを特徴とし、スパイラルウィングにより軟弱な地盤でも所要の杭耐力が期待でき、施工機械も小型で施工できるため、狭隘な土地でも施工可能な小口径鋼管杭が開示されている。
また、子杭と子杭の接続は、水平断面において管円周を均等に分割する接続片が互いに係合するように差し込まれているので、杭を回転して圧入する際にも杭の接続部分だけに応力が集中することがなく、施工途中に鋼管杭が破損するおそれが少ない。
また、杭頭の高さが設計と違うことによる建物基礎の杭頭補強等の作業が不要となり、全体の施工時間を短縮して、設置コストを低減することができる。
実施例に係る親杭Aは、図2〜図4に示すように、上下が開放された円筒状の親杭本体A10と、親杭本体A10の上部に矩形枠である上面が開放された縦長の直方体の箱状の杭頭A20と、からなる鋼管杭であり、この親杭本体A10の管外周面には、螺旋状の鍔A11が形成され、親杭本体A10の下端にあたる杭先端には、地盤を砕くための鋭利な鋭角状の複数(実施例では4本)の刃A12が管の円周に沿って鮫の歯状に連設されている。
次に、図5〜図12を用いて実施例に係る子杭について説明する。
図5〜図7に示すように、子杭Bは、子杭B1と、子杭B2とから主に構成され、これらの接続手段である後述の円筒体Cと、螺旋状のバネ体Dなどで子杭B1,B2が互いに接続されている。
なお、子杭B1の平面視で矩形の杭頭B11の対角線は、親杭本体A10の内周壁に丁度内接する大きさとなっており、親杭Aを定規として子杭Bを回転摺動しながら圧入できるように設定されている(図15参照)。
次に、図8〜図12を用いて子杭B1と子杭B2の接続手段について詳細に説明する。
図8及び図9に示すように、子杭B1の接続片B13の外周面には、螺旋状の突起B15が形成され、子杭B2の接続片B22の外周面には螺旋状の突起B25が形成されており、これらの螺旋状の突起B15と螺旋状の突起B25は、接続片B13と接続片B22とが、互いに差し込まれて係合しているときに、連続する一続きの螺旋状の突起となる(図14参照)。そして、この連続する一続きの螺旋状の突起B15,B25に、図10に示す螺旋状のバネ体Dが螺合されることで、子杭B1と子杭B2とが接続される(図13、図14も参照)。
なお、分り難くなるため図12中、バネ体Dだけ断面を示す斜線を入れていない。また、接続片B13,B22を水平断面において管円周を4等分するものとして例示したが、6等分や8等分などの水平断面において管円周を均等に分割して互い違いに係合するものであっても構わない。
次に、図13〜図17を用いて、実施例に係る鋼管杭の施工方法について説明する。
先ず、事前準備として、標準貫入試験等を行って、N値などの地盤各層の特性を調査し、支持地盤となり得る地層(例えば、暦層や砂礫層など)の深さを特定しておく。そして、杭の施工範囲をバックホー等で整地したうえ、測量して杭の正確な施工位置(中心位置)を出し、マーキングなどを施す。
先ず、本工程により、図2〜4で示した親杭Aを、ピン穴A21を利用して杭打ち機(図示せず)で吊り上げて、前記マーキングを施した杭の施工位置の上空まで運搬する。そして、杭打ち機のアースドリルの回転軸に杭頭A20を装着し、杭打ち機のアースドリルで地下方向へ圧力を加えながら、親杭Aの杭頭A20を回転させる。すると、親杭Aは、先端の鋭角状の刃A12で軟弱地盤を砕きながら、管外周の螺旋状の鍔A11で地下深くに案内されて行き、地中に圧入されることとなる(図2〜4参照)。
このとき、親杭Aの長さは、その先端が支持地盤には達することなく軟弱地盤内に止まるように設定されているため、親杭Aが高止まりするおそれも少なく、所定の深さまで圧入することが比較的容易であり、高止まりによる基礎の杭頭補強などの作業が不要で、作業効率が良好である。
本工程では、図8に示した最上の子杭B1を、ピン穴B14を利用して杭打ち機で吊り上げ、図10に示したバネ体Dを回転させながら、子杭B1の螺旋状の突起B15に螺合させる。
このとき、図13に示すように、一旦、接続片B13を超える辺りまで、バネ体Dを回し上げておき、その状態で、円筒体Cを接続片B13の内周壁に嵌合させる。ただし、この円筒体Cは、杭の施工現場で接続片B13の内周壁に嵌め入れるのではなく、工場等で予め嵌め入れ溶接等して固着しておいても構わない。
このとき、溶接作業が不要なため、有資格者の作業を減らし、施工コストを下げることができるとともに、円筒体Cを嵌め入れたり、バネ体Dを螺合させたりするだけで接続できるため、簡単に短時間で作業を行うことができ、更に、鋼管杭の設置コストを低減することができる。
本工程では、子杭Bの先端を親杭Aの内周壁の中心位置にセットし、図15に示すように、親杭Aを定規として子杭Bをアースドリルで回転しながら、親杭Aの親杭本体A10の内周面に子杭Bの杭頭B11を摺接しながら、子杭Bの先端が支持地盤となる地層に所定深さまで埋入するまで回転・圧入する(図1も参照)。
このとき、親杭Aを定規として子杭Bを圧入できるため、子杭Bの先端が支持地盤となる地層に到達して礫などの地中障害物に当たった場合であっても中心位置が設計位置とズレてしまうおそれが少なくなる。
図16に示すように、親杭A及び子杭Bの長さは、その先端が所定深さまで到達した際にも、杭頭B11が親杭Aの先端から露出しないよう、親杭Aと子杭Bが多少オーバーラップするように設定されている(図1も参照)。
本工程では、子杭Bの杭頭B11部分より上方、かつ親杭Aの親杭本体A10内の土、すなわち、親杭A及び子杭Bを地中に圧入した際に、親杭Aの内周壁内に入り込んだ軟弱地盤の土を、地下水とともにバキューム装置(図示せず)等を使って排土する。次工程で、コンクリートを打設するスペースを空けるためである。
本工程では、図17に示すように、前工程で排土した親杭Aの内周壁内のスペースにコンクリートを打設して、親杭Aと子杭Bを一体化し、建物の荷重を支持地盤に伝達できるようにする。
このように、親杭Aと子杭Bとをオーバーラップさせて子杭Bの上方のスペースにコンクリートを打設して親杭Aと子杭Bとを一体化することにより、子杭Bが万が一高止まりした場合であっても、このオーバーラップ部分でその高さのズレを吸収することができ、建物の基礎の補強等の作業をする必要がなくなる。
また、子杭Bを最上の子杭B1と、最下の子杭B2とから構成する場合を説明したが、3本、4本と継ぎ足す場合は、最上の子杭B1と最下の子杭B2との間に、上下に接続片を有した中間の子杭を継ぎ足せばよい。
A10 親杭本体
A11 螺旋状の鍔
A12 鋭角状の刃
A20 杭頭(矩形枠)
A21 ピン穴
B 子杭
B1 (最上の)子杭
B10 子杭本体
B11 杭頭(矩形枠)
B12 螺旋状の鍔
B13 接続片
B14 ピン穴
B15 螺旋状の突起
B2 (最下の)子杭
B20 子杭本体
B21 螺旋状の鍔
B22 接続片
B23 鋭角状の刃
B24 螺旋状のビット
B25 螺旋状の突起
C 円筒体
D バネ体
Claims (7)
- 管状の親杭と、この親杭の内周壁内で回転可能な管状の子杭と、からなる小規模建物用の鋼管杭であって、
前記親杭の管外周には、回転により地下に圧入するための螺旋状の鍔が設けられており、
子杭は、複数の鋼管からなり、その外周には、回転により地下に圧入するための螺旋状の鍔がそれぞれ設けられているとともに、
子杭と子杭の接続は、水平断面において管円周を均等に分割する接続片が互いに係合するように差し込まれ、その接続片の内部に管内周と接する円筒体が嵌め込まれ、更に、係合した際に連続する前記接続片の外周に形成された螺旋状の突起に、螺旋状のバネ体が螺合されることで行われていることを特徴とする小規模建物用の鋼管杭。 - 前記親杭及び最下の子杭の下端には、地盤を砕くための複数の刃が管の円周に沿って突設されている請求項1に記載の小規模建物用の鋼管杭。
- 前記子杭のうち最下の子杭の下端には、地盤を砕くための螺旋状のビットが管内部に先端から飛び出るよう取り付けられている請求項1又は2に記載の小規模建物用の鋼管杭。
- 前記接続片は、水平断面において管円周を4等分して互い違いに係合するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の小規模建物用の鋼管杭。
- 前記親杭及び最上の子杭の上端には、杭打ち機の回転する先端と嵌合する矩形枠が形成され、この矩形枠には、杭を吊り上げるためのピン穴が形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の小規模建物用の鋼管杭。
- 前記請求項1ないし5のいずれかに記載の小規模建物用の鋼管杭の施工方法であって、
前記親杭を回転しながら圧入する工程と、
前記円筒体を子杭の接続部分に嵌め込むとともに、前記螺旋状の突起に前記螺旋状のバネ体を螺合することにより、前記子杭同士を接続する工程と、
圧入した前記親杭内に、前記子杭を回転しながら圧入する工程と、を備えることを特徴とする小規模建物用の鋼管杭の施工方法。 - 前記子杭の圧入後に前記親杭内であって前記子杭上方のスペースにある土を排出する工程と、前記スペース内にコンクリートを打設する工程と、を有する請求項6に記載の小規模建物用の鋼管杭の施工方法。
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