JP2020105356A - コンデンサフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が1〜10g/10分である;
(2)13C−NMRを用いて測定したペンタッドアイソタクティック分率が99.0%以上である;
(3)クロス分別クロマトグラフ分析(CFC)により124℃を超える温度で溶出する成分の割合が5〜30質量%である;
(4)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4〜20である;
(5)塩素含量が2質量ppm以下である。
[2] 前記プロピレン単独重合体が、さらに下記要件(6)を満たす[1]に記載のコンデンサフィルム:
(6)23℃におけるn−デカン可溶成分量が1.0質量%以下である。
[3] フィルムの厚みが1〜50μmである[1]または[2]に記載のコンデンサフィルム。
[4] フィルムの厚みが1.5〜30μmである[1]または[2]に記載のコンデンサフィルム。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のコンデンサフィルムの製造方法であって、原反シートを、延伸面倍率(縦×横の面倍率)30〜80倍で延伸する工程を含むコンデンサフィルムの製造方法。
本発明に係るコンデンサフィルムは、後述するプロピレン単独重合体を含む樹脂層を少なくとも1層有することを特徴とする。
本発明で用いられるプロピレン単独重合体は下記要件(1)〜(5)を満たす。
<要件(1)>
前記プロピレン単独重合体のMFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が1〜10g/10分、好ましくは2〜6g/10分、より好ましくは2.5〜5g/10分である。
前記プロピレン単独重合体の13C−NMRにより求められるメソペンタッド分率(mmmm)が99.0%以上、好ましくは99.1〜100%、より好ましくは99.2〜100%である。
mmmmが99.0%以上の場合、高温耐電圧性が優れる。ここで、メソペンタッド分率は、分子鎖中の五連子アイソタクティック構造の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ構造を有する連鎖の中心にあるプロピレン構造単位の分率である。メソペンタッド分率は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
前記プロピレン単独重合体のクロス分別クロマトグラフ分析(CFC)により124℃を超える温度で溶出する成分の割合が5〜30質量%であり、好ましくは7〜20質量%であり、より好ましくは8〜15質量%である。
124℃を超える温度で溶出する成分の割合が5質量%未満の場合、高温耐電圧性の改良効果が得られないし、30質量%を超えると耐電圧性は向上するが、延伸性が低下する。所定の範囲内であれば、延伸性を損なうことなく、耐電圧を向上させることができ、特に高温下での耐電圧の影響が小さい点に特徴がある。
124℃を超える温度で溶出する成分の割合は、mmmmとともに増加する傾向にあるが、mmmmだけで一義的に決定されるものではない。この理由として、mmmmはプロピレン5連鎖の規則性の指標であり、分子鎖の局所的な規則性を平均した値であるのに対し、124℃を超える温度で溶出する成分の割合は、個々の分子鎖のmmmm、連鎖分布、分子量、末端構造、分岐構造などで影響される結晶性の指標であり、起因する構造が異なるからである。従って、mmmmが同一であっても、個々の分子鎖のmmmm、連鎖分布、分子量、末端構造、分岐構造などが異なれば、124℃を超える温度で溶出する成分の割合も異なる。
前記プロピレン単独重合体のGPCにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4〜20、好ましくは5〜15、より好ましくは6〜10である。
Mw/Mnが4以上の場合、二軸延伸フィルムを成形する際の延伸性に優れ、均一なフィルムが得られやすい。また、Mw/Mnが20以下において低分子量成分が少なく、成形時にベトツキ等が抑制され、成形性において好ましい。すなわち、Mw/Mnが前記範囲内であると、プロピレン系重合体の成形性及び延伸性および得られるコンデンサフィルムの厚みの均一性の観点から好ましい。Mw/Mnは、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
前記プロピレン単独重合体の塩素含有量が2質量ppm以下であり、好ましくは1.5質量ppm以下であり、より好ましくは1.2質量ppm以下である。塩素含有量が2質量ppmを超えると、得られる延伸フィルムの耐電圧性が低下するだけでなく、長期的なコンデンサ特性も低下する。コンデンサ使用時においてフィルム内部の塩素イオン近傍の電界が局所的に増大し、そこから絶縁破壊が生じやすくなるために耐電圧が低下すると解される。塩素含有量は、ポリプロピレン樹脂を後処理することにより、上記範囲内に制御することができる。
前記プロピレン単独重合体の23℃におけるn−デカン可溶成分量が1.0質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。デカン可溶成分量が前記範囲内であると、得られるコンデンサフィルムにおいて高結晶性成分が充分に確保され、高温耐電圧性が向上するだけでなく、長期の耐電圧性が維持されることが期待される。
前記プロピレン単独重合体を製造するために用いるオレフィン重合用触媒は、前記プロピレン系重合体を得ることができれば特に限定されないが、例えば、
(i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含み、かつ、下記要件(k1)〜(k4)を満たす固体状チタン触媒成分と、
(ii)下記式(II)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
を含む触媒〔A〕、または、
前記触媒〔A〕にプロピレンが予備重合された予備重合触媒(p)と、前記有機ケイ素化合物成分(ii)と、前記有機金属化合物成分(iii)とを含む触媒〔B〕
が挙げられる。
(k1)チタン含有量が2.5質量%以下である。
(k2)電子供与体の含有量が8〜30質量%である。
(k3)電子供与体/チタン(質量比)が7以上である。
(k4)室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。
R1Si(OR2)2(NR3R4) ・・・(II)
式(II)中、R1は2級または3級の炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜4の炭化水素基を示し、R3は炭素数1〜12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1〜12の炭化水素基を示す。
以下、前記オレフィン重合用触媒を構成する各成分について説明する。
前記固体状チタン触媒成分(i)は、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含み、かつ室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない固体状チタン、
(b)芳香族炭化水素、
(c)液状チタン、および
(d)電子供与体
を接触させる工程を含む方法により調製することができる。
前記固体状チタン(a)は、マグネシウム化合物、チタン化合物および電子供与体(内部ドナー)などを種々の方法により接触させることにより、公知の固体状チタン触媒成分の調製法(例えば特開平4−096911号公報、特開昭58−83006号公報、特開平8−143580号公報等参照)により製造することができる。
Ti(OR5)gX4-g ・・・(III)
式(III)中、R5は炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0≦g≦4である。
前記電子供与体(内部ドナー)としては、例えば、下記式(IV)で表わされる化合物(以下「化合物(IV)」ともいう。)が挙げられる。
前記固体状チタン(a)は、前記マグネシウム化合物と、前記チタン化合物と、前記電子供与体との接触により調製することができる。この際、固体状態のマグネシウム化合物を炭化水素溶媒に懸濁して用いることが好ましい。また、これら各成分を接触させる際に、液状形態のチタン化合物を1回用いて固形物(1)を生成させてもよく、得られた固形物(1)にさらに液状形態のチタン化合物を接触させて固形物(2)を生成させてもよい。さらに、この固形物(1)または(2)を必要に応じて炭化水素溶媒で洗浄してから固体状チタン(a)を調製することが好ましい。
このようにして得られた固体状チタン(a)は、室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない。
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる芳香族炭化水素(b)としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、これらのハロゲン含有炭化水素などが挙げられる。これらの中では、キシレン(特にパラキシレン)が好ましい。前記固体状チタン(a)を、このような芳香族炭化水素(b)と接触させることにより、低立体規則性成分を副生する、いわゆる「剰余チタン化合物」を低減することができる。
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる液状チタン(c)としては、該固体状チタン(a)を調製する際に用いたチタン化合物と同様のものを挙げることができる。それらの中でも、テトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる電子供与体(d)の例としては、上述した電子供与体(内部ドナー)で例示したものと同じものを挙げることができる。それらの中でも、前記固体状チタン(a)の調製に使用した電子供与体と同じものを用いることが好ましい。
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)の接触は、通常110〜160℃、好ましくは115℃〜150℃の温度で、1分間〜10時間、好ましくは10分間〜5時間行われる。
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)は、不活性ガス雰囲気下、攪拌下に接触させることが好ましい。例えば、充分に窒素置換された攪拌機付きガラス製フラスコ中で、固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)のスラリーを、上記温度で、攪拌機を100〜1000rpm、好ましくは200〜800rpmの回転数で、上記の時間、攪拌して、固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)を接触させることが望ましい。
このような固体状チタン(a)と芳香族炭化水素(b)との接触により、固体状チタン(a)よりもチタン含有量が減少された固体状チタン触媒成分(i)が得られる。具体的には、チタン含有量が固体状チタン(a)よりも25質量%以上、好ましくは30〜95質量%より好ましくは40〜90質量%少ない固体状チタン触媒成分(i)が得られる。
(k2)電子供与体の含有量は8〜30質量%、好ましくは9〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%である。
(k3)電子供与体/チタン(質量比)は7以上、好ましくは7.5〜35、より好ましくは8〜30、特に好ましくは8.5〜25である。
(k4)固体状チタン触媒成分(i)は、室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。なお、固体状チタン触媒成分(i)のヘキサン洗浄とは、固体状チタン触媒成分(i)1gに対して、通常10〜500ml、好ましくは20〜100mlの量のヘキサンで5分間洗浄することをいう。室温とは15〜25℃である。また、チタンが実質的に脱離されることがないとは、ヘキサン洗浄液中のチタン濃度が0.1g/リットル以下であることを意味する。
(k5)固体状チタン触媒成分(i)は、平均粒径が5〜70μmであり、好ましくは7〜65μmであり、より好ましくは8〜60μmであり、特に好ましくは10〜55μmである。
本発明のオレフィン重合用触媒を構成する有機ケイ素化合物成分(ii)は、下記式(II)で表わされる。
R1Si(OR2)2(NR3R4) ・・・(II)
式(II)中、R1は2級または3級の炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜4の炭化水素基を示し、R3は炭素数1〜12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1〜12の炭化水素基を示す。
R2としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これらの中ではメチル基およびエチル基が特に好ましい。
前記固体状チタン触媒成分(i)と前記有機ケイ素化合物成分(ii)とを組み合わせて用いることにより、これまでにないレベルの高立体規則性を有するプロピレン系重合体を得ることができる。
本発明のオレフィン重合用触媒を構成する有機金属化合物成分(iii)は、周期律表の1族、2族または13族に属する金属を含む有機金属化合物であり、例えば、有機アルミニウム化合物、第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化合物、第2族金属の有機金属化合物などが挙げられる。なお、有機金属化合物成分(iii)は、2種以上を併用してもよい。
前記有機アルミニウム化合物は、例えば下記式で示される。
Ra nAlX3-n
式中、Raは炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲンまたは水素であり、nは1〜3である。
Ra nAlY3-n
式中、Raは上記と同様であり、Yは−ORb基、−OSiRc 3基、−OAlRd 2基、−NRe 2基、−SiRf 3基または−N(Rg)AlRh 2基であり、nは1〜2であり、Rb、Rc、RdおよびRhはメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、Reは水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、RfおよびRgはメチル基、エチル基などである。
・ Ra nAl(ORb)3-n で表される化合物、例えばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど。
・Ra nAl(OSiRc)3-n で表される化合物、例えばEt2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu) 2Al(OSiEt3)など。
・Ra nAl(OAlRd 2)3-nEt2AlOAlEt2、(iso-Bu) 2AlOAl(iso-Bu) 2 など。
上記のような有機アルミニウム化合物のうちでも、Ra 3Alで表される有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。
前記オレフィン重合用触媒は、前記固体状チタン触媒成分(i)と、前記有機ケイ素化合物成分(ii)と、前記有機金属化合物成分(iii)とを接触させる工程を含む方法により製造することができる。
本発明では、上記のような各成分から予備重合触媒(p)が形成されていてもよい。予備重合触媒(p)は、上述した各成分(i)、(ii)、(iii)および必要に応じて用いられる他の成分の存在下に、プロピレンを予備重合させることにより形成される。このような予備重合触媒(p)は、通常、有機ケイ素化合物(ii)および有機金属化合物(iii)とともにオレフィン重合用触媒を形成するが、予備重合触媒(p)のみをオレフィン重合用触媒として用いることができる場合もある。
前記プロピレン単独重合体の製造方法では、上述したオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合させる。
なお、プロピレンの重合を行う際に、本発明に係るコンデンサフィルムの品質を損なわない範囲で、プロピレンに加えて、少量のプロピレン以外の他のオレフィンまたは少量のジエン化合物を重合系内に共存させてランダム共重合体を製造してもよい。このようなプロピレン以外の他のオレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、3-メチル-1-ブテンなどの炭素数2〜8のオレフィンが挙げられる。これらの中ではエチレンが好ましい。ランダム共重合体の場合、プロピレン以外の他のコモノマーの含有量は、好ましくは6モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。
有機金属化合物(iii)は、該化合物(iii)中の金属原子が重合系中のチタン原子1モルに対し、通常約1〜2000モル、好ましくは約2〜500モルとなるような量で用いられる。
本発明では、重合は、通常、約20〜150℃、好ましくは約50〜100℃の温度で、また常圧〜100kg/cm2、好ましくは約2〜50kg/cm2の圧力下で行われる。
本発明では、重合を、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。
本発明のコンデンサフィルム用プロピレン単独重合体には、発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を添加してもよい。好ましくは、各種酸化防止剤(イルガノックス1010、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、イルガフォス168など)、ステアリン酸カルシウムなどの各種添加剤を添加しながら、180〜280℃の範囲で溶融押出しにて配合することが例として挙げられる。
本発明に係るコンデンサフィルムは、上記のプロピレン単独重合体から得た原反シートを延伸して得られる。本発明に係るコンデンサフィルムの厚さは、好ましくは1〜50μmであり、より好ましくは1.5〜30μmであり、更に好ましくは1.5〜20μmであり、特に好ましくは2〜15μmである。厚さが1μm以上であることにより、フィルム破断が起きにくく、フィルムの生産性が向上する。一方、厚さが50μm以下であることにより、軽量かつ柔軟性にも優れたフィルムとすることができる。
本発明に係るコンデンサフィルムは、例えば原反シートを製造した後、これを延伸することによって得られる。本発明のコンデンサフィルムの製造方法は、好ましくは、原反シートを、延伸面倍率(縦×横の面倍率)30〜80倍で延伸する工程を含む。本発明のコンデンサフィルムの製造方法においては、延伸温度幅が広く、炉内の温度ムラがあっても本発明に係るコンデンサフィルムが製造することができる。本発明のコンデンサフィルムのより具体的な製造方法は以下のとおりである。
1.測定条件
装置:ブルカー・バイオスピン製AVANCE III cryo−500型核磁気共鳴装置
測定核:13C(125MHz)
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:45°(5.00マイクロ秒)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:256回
測定溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20体積%)混合溶媒
試料濃度:50mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフト基準:21.59ppm(メソpentad methyl peak shifts)
重合体の立体規則性の指標の1つであり、そのミクロタクティシティーを調べたメソペンタッド分率(mmmm, %)は、上記1の測定条件により得られた13C−NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。
mmmm(ノイズ除去法)(%)= S1/S2 * 100 ・・・(式1)
S1 = (mmmm, mmmrを含むピーク)-(n−プロピル末端)-(n−ブチル末端)- mrrm * 2
S2 = S1 + mmmr + mmrr + mrrm + rrrr
= S1 + 5 * mrrm + rrrr
mmmm, mmmrを含むピーク:21.2〜22.0ppmのピーク面積
mmmr = mrrm * 2
mmrr = mrrm * 2
mrrm:19.5〜19.7ppmのピーク面積
rrrr:20.0〜20.2ppmのピーク面積
n−プロピル末端:(A1 + A3)/2
A1:14.2ppmのピーク面積
A3:39.4ppmのピーク面積
n−ブチル末端:36.7ppmのピーク面積
クロス分別クロマトグラフ分析(CFC)にて、124℃を超える温度で溶出する成分の割合は、100%から下記条件における昇温分別測定によって得られる124℃以下の温度で溶出した成分の割合を差し引いて計算した。
装置:Polymer Char製CFC2型クロス分別クロマトグラフ
検出器:Polymer Char製IR4型赤外分光光度計(内蔵)
移動相:o−ジクロロベンゼン、BHT添加
流速:1.0mL/min
試料濃度:90mg/30mL
注入量:0.5mL
溶解条件:145℃、30min
安定化条件:135℃、30min
降温速度:1.0mL/min
溶出区分:−20℃〜0℃ 10℃刻み、0℃〜80℃ 5℃刻み、
80℃〜104℃ 3℃刻み、104〜126℃ 2℃刻み
溶出時間:3min
分子量分布の指標であるMw/Mn値は、下記条件で測定したクロマトグラムを公知の方法によって解析することによって得た。
装置:Waters製ゲル浸透クロマトグラフAllianceGPC2000型
カラム:東ソー製TSKgel GMH6−HT x2 + TSKgel GMH6−HTL x2
移動相:o−ジクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
流速:1.0ml/min
温度:140℃
カラム校正:東ソー製単分散ポリスチレン
試料濃度:0.15%(w/v)
注入量:0.4ミリリットル
ASTM D1238Eに準拠し、測定温度は230℃、荷重は2.16kgとした。
ガラス製の測定容器にプロピレン系重合体約6グラム(この質量を、下式においてb(グラム)と表した)、デカン500ml、およびデカンに可溶な耐熱安定剤を少量装入し、窒素雰囲気下、スターラーで攪拌しながら2時間で150℃に昇温してプロピレン重合体を溶解させ、150℃で2時間保持した後、8時間掛けて23℃まで徐冷した。得られたプロピレン重合体の析出物を含む液を、磐田ガラス社製25G−4規格のグラスフィルターにて減圧濾過した。濾液の100mlを採取し、これを減圧乾燥してデカン可溶成分の一部を得た。この質量を、下式においてa(グラム)と表した。この操作の後、デカン可溶成分量を下記式によって決定した。
デカン可溶成分含有率(質量%)=100×(500×a)/(100×b)
試料0.8gを、三菱化成社製燃焼装置を用いてアルゴン/酸素気流下で、400〜900℃で燃焼した。その後、燃焼ガスを超純水で捕捉し、濃縮後の試料液を、DIONEX−DX300型イオンクロマト装置(商品名、日本ダイオネック(株)製)および陰イオンカラムAS4A−SC(商品名、ダイオネック社製)を用いて測定して塩素含有量を求めた。
得られた延伸フィルムのBDVをJIS−C2330に準拠して測定した。二軸延伸フィルムの絶縁破壊電圧を120℃および140℃で測定した。耐電圧(BDV、V/μm)は、絶縁破壊電圧をフィルム厚みで除して算出した。
延伸温度幅は、フィルムの二軸延伸において、予熱温度を変えて、延伸が可能な温度幅を測定した。延伸フィルムの厚みの均一性は干渉縞の発生の有無で判断した。延伸フィルムに干渉縞が発生したときは、フィルム厚みの均一性が低く、×と記し、干渉縞が認められないときは、フィルム厚みの均一性がよく、〇と記した。
<固体状チタン(a−1)の調製>
内容積2リットルの高速撹拌装置(特殊機化工業製)を充分窒素置換した後、該装置に精製灯油700ml、塩化マグネシウム10g、エタノール24.2gおよびソルビタンジステアレート(花王アトラス(株)製「エマゾール320」)3gを装入した。この系を撹拌下で昇温し、120℃および800rpmの条件で30分間撹拌した。高速撹拌下、内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブを用いて、予め−10℃に冷却された精製灯油1リットルを張り込んである2リットルのガラスフラスコ(攪拌機付)に移液した。得られた固体を濾過し、精製n−ヘキサンで充分洗浄することにより、塩化マグネシウム1モルに対してエタノールが2.8モル配位した固体状付加物を得た。
充分に窒素置換された200mlのガラス製反応器に、得られた固体状チタン(a−1)6.8g、パラキシレン113ml、デカン11ml、四塩化チタン2.5ml(23ミリモル)及びジイソブチルフタレ−ト0.34ml(1.2ミリモル)を入れた。反応器内の温度を130℃に昇温し、その温度で1時間攪拌して接触処理した後、熱ろ過により固体部を採取した。この固体部を101mlのパラキシレンに再懸濁させ、さらに四塩化チタン1.7ml(15ミリモル)及びジイソブチルフタレート0.22ml(0.8ミリモル)を添加した。
窒素置換された200mlのガラス製反応器に、ヘキサン50ml、トリエチルアルミニウム2.5ミリモル、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシラン0.5ミリモル、および上記で得られた固体状チタン触媒成分(i-1)をチタン原子換算で0.25ミリモル装入した後、系内の温度を20℃に保ちながら、1.47リットル/時間の量でプロピレンを1時間供給した。この操作により、固体状チタン触媒成分(i-1)1g当り3gのプロピレンが予備重合された予備重合触媒(p−1)を得た。
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素3.5リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを1.4ミリモル、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシランを0.7ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p-1)をチタン原子換算で0.0028ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージしてポリプロピレン248gを得た。
次に、得られたプロピレン単独重合体100質量部に対して、酸化防止剤として3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.2質量部、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.2質量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.01質量部配合してドライブレンドした。その後、造粒機として株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル単軸押出機D2025型(L/D=25)を用いて、樹脂温度230℃で溶融混練してペレット化を行った。
得られたプロピレン単独重合体組成物のペレットを25mmφのTダイシート成形機(株式会社プラスチック工学研究所製)で230℃に溶融後、押し出し、60℃に保持された1個の冷却ロールにより、引張り速度1.0m/分で冷却し、厚み150μmの原反シートを得た。
得られた原反シートを85mm×85mmにカットし、下記の条件で二軸延伸し、厚さ4μmの二軸延伸フィルム(コンデンサフィルム)を得た。厚みは予熱温度を変えて調整した。得られたフィルムについて前記の方法に従い耐電圧(BDV)、延伸性を評価した。結果を表1に示す。
延伸装置:KAROIV(商品名、ブルックナー社製)
予熱温度:145〜160℃
予熱時間:60秒
延伸倍率:縦方向(機械方向)5倍×横方向9倍の逐次二軸延伸(延伸面倍率:45倍)
延伸速度:6m/分
実施例1の本重合において、装入した水素を3.5リットルから3リットル、添加したトリエチルアルミニウムを1.4ミリモルから0.7ミリモル、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシランを0.7ミリモルから0.14ミリモルに変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレンの製造を行った。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
実施例1の本重合において、装入した水素を3.5リットルから3リットル、添加したトリエチルアルミニウムを1.4ミリモルから0.5ミリモル、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシランを0.7ミリモルから0.1ミリモル、および予備重合触媒(p-1)をチタン原子換算で0.0028ミリモルから0.002ミリモルに変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリプロピレンの製造を行った。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
ヘプタン7mlを入れた30mlガラス容器に、トリエチルアルミニウムを0.35ミリモル、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシランを0.07ミリモル、および実施例1で得られた固体状チタン触媒成分(i-1)をチタン原子換算で0.0028ミリモル装入し、20℃で10分間接触させてオレフィン重合用触媒を調製した。次いで、プロピレン500gを装入した内容積2リットルのオートクレーブ内に、前記オレフィン重合用触媒を装入して20℃で10分間重合を行った後、さらに水素3リットルを装入し、系内の温度を70℃に昇温して1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージしてポリプロピレン312gを得た。
実施例4において、添加したトリエチルアルミニウムを0.35ミリモルから0.25ミリモル、添加したシラン化合物をシクロペンチルジエチルアミノジメトキシシラン0.7ミリモルからジシクロペンチルジメトキシシランを0.05ミリモル、実施例1で得られた固体状チタン触媒成分(i-1)をチタン原子換算で0.0028ミリモルから0.002ミリモル、および装入した水素を3リットルから2.5リットルに変更したこと以外は実施例4と同様にしてポリプロピレンの製造を行った。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
<固体状チタン(a−2)の調製>
内容積2リットルの高速撹拌装置(特殊機化工業製(TKホモミクサーM型))を充分窒素置換した後、この装置に精製デカン700ml、市販塩化マグネシウム10g、エタノール24.2gおよび商品名レオドールSP−S20(花王(株)製ソルビタンジステアレート)3gを入れ、この懸濁液を撹拌しながら反応系を昇温し、懸濁液を120℃にて800rpmで30分撹拌した。次いで、この懸濁液を、沈殿物が生じないように高速撹拌しながら、内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブを用いて、予め−10℃に冷却された精製デカン1リットルを張り込んである2リットルのガラスフラスコ(攪拌機付)に移した。移液により生成した固体を濾過し、精製n−ヘプタンで充分洗浄することにより、塩化マグネシウム1モルに対してエタノールが2.8モル配位した固体状付加物を得た。
ヘプタン7mlを入れた30mlガラス容器に、トリエチルアルミニウムを0.5ミリモル、シクロペンチルジエチルアミノジメトキシシランを0.1ミリモル、および上記で得られた固体状チタン(a−2)をチタン原子換算で0.004ミリモル装入し、20℃で10分間接触させてオレフィン重合用触媒を調製した。
特開2011−256278号の実施例2で用いたPP−2に準じてポリプロピレンを調製した。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
国際公開WO2016/017752号の製造例5(PP5)に準じてポリプロピレンを調製した。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
Claims (5)
- 下記要件(1)〜(5)を満たすプロピレン単独重合体を含む樹脂層を少なくとも1層有するコンデンサフィルム:
(1)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が1〜10g/10分である;
(2)13C−NMRを用いて測定したペンタッドアイソタクティック分率が99.0%以上である;
(3)クロス分別クロマトグラフ分析(CFC)により124℃を超える温度で溶出する成分の割合が5〜30質量%である;
(4)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4〜20である;
(5)塩素含量が2質量ppm以下である。 - 前記プロピレン単独重合体が、さらに下記要件(6)を満たす請求項1に記載のコンデンサフィルム:
(6)23℃におけるn−デカン可溶成分量が1.0質量%以下である。 - フィルムの厚みが1〜50μmである請求項1または2に記載のコンデンサフィルム。
- フィルムの厚みが1.5〜30μmである請求項1または2に記載のコンデンサフィルム。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンデンサフィルムの製造方法であって、原反シートを、延伸面倍率(縦×横の面倍率)30〜80倍で延伸する工程を含むコンデンサフィルムの製造方法。
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2018
- 2018-12-27 JP JP2018245341A patent/JP7241532B2/ja active Active
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