JP2021181525A - プロピレンターポリマーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温ヒートシール性を有しながら低温溶出成分が抑制され、かつ透明性、スリップ性に優れたバランスの良いフィルム性能を示すプロピレンターポリマーの製造方法を提供する。【解決手段】プロピレンターポリマーの製造方法は、マグネシウム、ハロゲン、チタンを必須とする固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、電子供与体を含む触媒を用いてプロピレン、エチレン及び1−ブテンを共重合する工程、エチレン含量が1.9質量%を超え、1−ブテン含量が7.8質量%以上を超え、融点(Tm)が120〜131℃の範囲にあって、キシレン可溶成分量CXS(質量%)が条件式:CXS(質量%)≦0.18×Tm(℃)−9.8(1)を満たすプロピレンターポリマーを共重合する工程、を含む。【選択図】図1

Description

本発明はプロピレンターポリマーの製造方法に関し、さらに詳しくは、フィルム特性に優れるプロピレンターポリマーの製造方法に関するものである。
プロピレン系共重合体は、プロピレン単独の重合体であるポリプロピレンよりも耐衝撃性や透明性、ヒートシール性に優れるという特徴を有しているため、フィルム、シート材料などをはじめとする産業上の広い分野に適用されている。たとえば特許文献1では、低温ヒートシール性を有するフィルム向けの樹脂材料としてプロピレン‐エチレン共重合体が提案されている。また特許文献2ではレトルト包装向けの樹脂材料として、プロピレン‐エチレン共重合体が提案されている。さらに特許文献3ではフィルム、シート、ブロー成形体向けに耐ブロッキング性の高いプロピレン-1−ブテン共重合体が提案されており、特許文献4ではエチレン単位を0.5〜10モル%含み立体規則性の高いフィルム、シート、容器向けのプロピレン‐エチレン共重合体が提案されている。
これらプロピレン系共重合体のうち、プロピレン、エチレン、炭素数4〜8のα−オレフィンを原料モノマーとする三元共重合体のプロピレンターポリマーは、プロピレン−エチレンコポリマーに比べ低温溶出成分が少ないという特徴を有する(例えば非特許文献1参照)ことから、低温ヒートシール性能を必要とする食品向けシーラントフィルム材料などへ適用されている。
例えば特許文献5では、包装フィルム向け材料として優れた低温ヒートシール性を有するプロピレンターポリマーが提案されている。また、特許文献6では、フィルム向け材料として、優れた低温ヒートシール性と低い曇り度を発現するプロピレンターポリマーが提案されている。さらに特許文献7では樹脂組成物の一部にプロピレンターポリマーを使用することによりフィルム及びシート向け材料として、低温ヒートシール性に加え、良インキ接着性を有する樹脂材料が提案されている。
しかしながら融点(Tm)が130℃以下のような低温ヒートシール性を求められる領域においては、十分な低温溶出成分の抑制を達成することが難しい。例えば特許文献5〜7では、フィルム材料向けとしてプロピレンターポリマーが提案されているものの、融点(Tm)130℃以下のプロピレンターポリマーによるフィルムのヘキサン抽出量は、いずれも4.0質量%を超える高い値を示しており低温溶出成分の多い材料となっている。
このようなプロピレンターポリマーでは、食品包装用途への利用が制限されたり、米国におけるアメリカ食品医薬品局(FDA)の安全性基準を満たしにくくなるといった問題が生ずる。加えて、低温溶出成分による付着性上昇によって、製造樹脂パウダーが取り扱いづらくなるといった工業生産上の問題も発生する。これに対し、例えばシングルサイト触媒であるメタロセン触媒を利用することによって、プロピレン系共重合体の低温溶出成分を低減させることが可能である。例えば特許文献8などがその例であるが、一方で分子量分布が狭くなることによって成形性が悪化しフィルム表面荒れの原因となるため性能バランスに難があるという課題が新たに生ずる。
当該技術分野においてはさらに、上記の低温シートシール性と低温溶出成分の抑制の両立に加えて、フィルム性能についても優れたバランスが求められる。具体的には透明性、スリップ性について良好な性能を示すプロピレンターポリマーが求められている。透明性については、プロピレンターポリマーの融点低下によって改良が可能であるが、やはり低温可溶分量の抑制との両立が困難である。特許文献6の実施例2などがその例であり、低い曇り度を示す高透明な材料が提案されている一方で、ヘキサン抽出分は5.3質量%と高い数値を示している。スリップ性については、一般に低温溶出分の増加と共に悪化の傾向を示し、例えば特許文献9などがその例である。プロピレン系共重合体のクロス分別による低温溶出成分が増加するにつれて滑り性の数値は上昇し悪化の傾向を示している。したがってスリップ性に関しては、低温ヒートシール性との両立が困難である。
上述した既存技術による方法では、低温ヒートシール性、低温溶出成分の抑制、透明性、スリップ性を全て満たす性能バランスの優れたプロピレン系共重合体の製造方法はいまだ見出されていない。
特開2000−063419号公報 特開平10−087744号公報 特開2001−172334号公報 特開2003−73426号公報 特開昭63−95210号公報 特表2010−535863号公報 特開平8−48837号公報 特開2002−20431号公報 特開2007−224280号公報
新版ポリプロピレンハンドブック、p376−379、ネロ・パスクイーニ(著)横山裕ら(訳)、日刊工業新聞社、2012 押出成形 第7版改訂、村上健吉、(株)プラスチックス・エージ、1989
本発明の課題は、低温ヒートシール性を有しながら低温溶出成分が少なく、かつ透明性、スリップ性にも優れたバランスの良いフィルム性能を示すプロピレンターポリマーの製造方法を提供することである。
本発明のプロピレンターポリマーの製造方法によれば、マグネシウム、ハロゲン、チタンを必須とする固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、電子供与体を含む触媒を用いてプロピレン、エチレン及び1−ブテンを共重合する工程、エチレン含量が1.9質量%を超え、1−ブテン含量が7.8質量%以上を超え、融点(Tm)が120〜131℃の範囲にあって、キシレン可溶成分量CXS(質量%)が下記条件式(1):
CXS(質量%)≦0.18×Tm(℃)−9.8 (1)
を満たすプロピレンターポリマーを得る工程、を含むことを特徴とする。
プロピレンターポリマーは230℃、21.18Nで測定されるMFRが1.0g/10分以上10.0g/10分以下であることが望ましい。さらに、プロピレンターポリマーは重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.5〜6.0の範囲にあることが望ましい。
本発明のプロピレンターポリマーの製造方法によれば、低温ヒートシール性を有しながら低温溶出成分が少なく、かつ、透明性、スリップ性に優れたバランスの良いフィルム性能を示すプロピレンターポリマーの製造方法を提供できる。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、エチレン及び1−ブテンをコモノマーとして選び、かつ特定のコモマー含量設計とし、高立体規則性を発現する高性能チーグラー・ナッタ触媒を使用して重合体を特定のキシレン可溶成分量CXS−融点Tmバランスに制御することによって、上記課題を解決するフィルム性能バランスの良いプロピレンターポリマーの製造方法を発明するに至った。
これはプロピレンターポリマーがプロピレン‐エチレンコポリマーに比べ比較的低温溶出成分が少ないという既存技術を活かしつつ、新たな技術思想を取り入れることによって得られた結果である。
すなわち、低温溶出分を抑制するために1−ブテン含量を比較的多く設計し、高立体規則性を発現するチーグラー・ナッタ触媒によってCXS−Tmバランスを制御することによって、低温ヒートシール性と低温溶出成分の抑制を両立した。さらに当該条件下においては、驚くべきことに融点(Tm)の低下に伴ってスリップ性に良化傾向が見られることが見出された。これは融点(Tm)低下に伴う結晶性低下がスリップ剤の分散を促進したと考えられる。これにより添加剤処方量の低減にも応用が期待される。加えて一定量以上のエチレン含量がフィルム透明性の良化に効果的であることも見出された。
本発明の製造方法において、横型重合器を用いたプロセスフローの一例を表す概略図である。
<プロピレンターポリマー>
本発明の製造方法により製造するプロピレンターポリマーは、エチレン含量が1.9質量%を超え、1−ブテン含量が7.8質量%以上を超え、融点(Tm)が120〜131℃の範囲にあって、キシレン可溶分量CXSが下記条件式(1):
CXS(質量%)≦0.18×Tm(℃)−9.8 (1)
を満たすことを特徴とする。
以下にこのプロピレンターポリマーについて詳細に説明する。
プロピレンターポリマーは、エチレンから誘導されるコモノマー単位、及び1−ブテンから誘導されるコモノマー単位を含む、プロピレン・エチレン・α−オレフィン三元重合体である。
このうち、エチレンから誘導されるコモノマー単位の含有量(以下、「エチレン含量(質量%)」ということがある。)は1.9質量%を超え、好ましくは1.9質量%を超え10.0質量%未満、より好ましくは1.9質量%を超え5.0質量%未満であり、さらに好ましくは1.9質量%を超え3.5質量%未満であるとよい。エチレン単位は、プロピレンターポリマーの融点(Tm)を低下させることによるヒートシール性付与と、フィルム透明性の向上のために導入され、特にフィルム透明性の向上を目的としてある一定量を超える含有量が必要である。一方でエチレン含量(質量%)が多すぎると、結晶性低下に伴う低温溶出成分の増加によって、FDA安全性基準からの逸脱や、べたつきの発生によって材料用途が制限されてしまう虞がある。
他方、1−ブテンから誘導されるコモノマー単位の含有量(以下、「1−ブテン含量(質量%)」ということがある。)は7.8質量%を超え、好ましくは7.8質量%を超え20.0質量%未満、より好ましくは7.8質量%を超え15.0質量%未満であり、さらに好ましくは7.8質量%を超え10.0質量%未満であるとよい。1−ブテン単位は、エチレン単位と同様に、プロピレンターポリマーの融点(Tm)を低下させることによるヒートシール性付与と、フィルム透明性の向上のために導入されるが、エチレン単位よりも共重合による低温溶出量の増加幅が比較的少ないという理由から、一定量を超える含有量が必要である。一方で1−ブテン含量(質量%)が多すぎると、やはりエチレン含量(質量%)と同様に、結晶性低下に伴う低温溶出成分の増加によって、FDA安全性基準からの逸脱や、べたつきの発生によって材料用途が制限されてしまう虞がある。
エチレン含量(質量%)および1−ブテン含量(質量%)の合計は、特に制限されるものではないが、好ましくは10質量%から15質量%であるとよく、より好ましくは
10質量%から12質量%であるとよい。エチレン含量(質量%)および1−ブテン含量(質量%)の合計を上記範囲にすることにより、低温溶出成分を抑制しながら、130℃以下の低温ヒートシール性を発現できるため好ましい。またエチレン含量(質量%)に対する1−ブテン含量(質量%)の比[(1−ブテン)/(エチレン)]は、特に制限されるものではないが、好ましくは3.0〜6.0であるとよく、より好ましくは3.0〜5.0であるとよい。質量比[(1−ブテン)/(エチレン)]を上記範囲にすることにより、低温溶出成分を抑制しながら、優れた透明性を発現できるため好ましい。
プロピレンターポリマーは、効果を損なわない範囲で、炭素数5〜8のα−オレフィン群から選択される少なくとも1つのα−オレフィンがさらに共重合されていてもよい。炭素数5〜8のα−オレフィン群から選択される1種類のα−オレフィンとしては、例えば1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を例示できる。さらに、効果を損なわない限り、プロピレン、エチレン、1−ブテン、炭素数5〜8のα−オレフィン以外の他のモノマーが若干量、共重合されてもよい。
プロピレンターポリマーの融点(Tm)は、120〜131℃の範囲であり、好ましくは125〜130℃の範囲にあるとよい。
プロピレンターポリマーの融点(Tm)はフィルムのヒートシール特性に関係し、容易なフィルム加工性を実現するために一定値以下であることが必要である。またTmが低いほど、プロピレンターポリマー中におけるスリップ剤の分散が容易になり、フィルムスリップ性が向上する。一方でTmが低すぎるとフィルムの低温溶出分が増加するために材料用途が制限されることに加え、耐熱性が低下する。
プロピレンターポリマーのキシレン可溶成分量(CXS)は、フィルムの低温溶出分量と関係し、CXSが少ないほどフィルムの低温溶出分量も少なくなる。加えて透明性、スリップ性、ヒートシール温度のバランスが良く優れた性能を発揮できるのは、以下に示すTmとの関係が下記条件式(1):
CXS(質量%)≦0.18×Tm(℃)−9.8 (1)
を満たす範囲においてであり、好ましくは下記条件式(2):
CXS(質量%)≦0.18×Tm(℃)−11.0 (2)
を満たす範囲においてである。CXS−Tmバランスが、条件式(1)、好ましくは条件式(2)を満たすことにより、低温ヒートシール性に優れ、かつ低温溶出成分が少なく、スリップ剤の分散性が良好で、透明性の良好なフィルム材料になり得るプロピレンターポリマーとなる。また、CXS(質量%)の下限量は特に限定しなくても良いが、好ましくは4.0≦CXS(質量%)、さらに好ましくは8.0≦CXS(質量%)である。
プロピレンターポリマーの230℃、21.18Nで測定されるMFRは、成形方法や用途により適切な値が設定されるべきである。主にフィルム用途を想定した本発明においては、1.0〜10.0g/10分の範囲が好ましく、より好ましくは3.0〜9.0g/10分の範囲にあるとよい。
プロピレンターポリマーの分子量分布(Mw/Mn)はフィルム成形性に関係する。分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.5〜6.0、より好ましくは4.0〜5.5の範囲にあるとよい。分子量分布(Mw/Mn)を3.5以上にすることにより、押出成形においてダイから吐出したフィルムの表面にシャークスキンやメルトフラクチャと呼ばれる表面荒れが発生するのを抑制し、外観を良好にすることができる。また、分子量分布(Mw/Mn)を、6.0以下にすることにより、低分子量成分の生成が抑制され、低温溶出成分や揮発性成分を低減することができる。
なお、上記の表面荒れの改良には、成形条件として、ダイの温度を上げる、ダイ出口の幅を広げる、といった対応がなされるが、温度の上昇は固化時間の増加となるため押出ダイ直近のロールでの巻き付きが生じたり、ダイからロールに巻き取られる際のネックインが大きくなったり、厚み変動を生じやすくなるという問題が生じる。ダイ出口の幅を広げる場合には、フィルム幅方向の厚薄精度が低下する(非特許文献2参照)。したがって、プロピレンターポリマーの分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲にすることは、低温溶出成分を抑制することに加え、フィルム外観を良化し、厚み変動を低減し、幅方向の厚薄精度を改良することができる。
<重合反応器>
プロピレンターポリマーは、一段又は二段以上(各段の反応条件は同一又は異なる)の重合工程で製造される。重合は、回分式、半回分式、連続式のいずれによってもよいが、工業的には連続式が好ましい。
重合形式としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン等の不活性炭化水素を重合溶媒として用いるスラリー重合、プロピレン自体を重合溶媒とするバルク重合、また原料のプロピレンを気相状態下で重合する気相重合が可能である。また、これらの重合形式を組み合わせて行うことも可能である。
例えば、前段重合をバルク重合で行い、後段重合を気相重合で行う方法、前段重合を気相重合で行い、後段重合を気相重合で行う方法や、前段重合をバルク重合及びそれに続く気相重合で行い、後段重合を気相重合で行う方法などが挙げられる。
本発明においては、溶媒を使用するスラリー重合などと比べ工業的なランニングコストが低く経済的な観点より気相重合が好ましい。
重合用の反応器としては、特に形状、構造を問わないが、スラリー重合及びバルク重合で一般に用いられる攪拌機付き反応器、チューブ型反応器、気相重合で一般に用いられる流動床反応器、攪拌羽根を有する横型反応器などが挙げられる。本発明において好ましい態様は、重合反応器として撹拌羽根を有する横型反応器を用いることである。なぜなら、例えば特表2018−188636号公報に示されるような反応熱の一部を液体モノマーの気化熱により除去する連続気相重合法との併用によって、気相重合でありながら高い触媒活性を発現し触媒残渣の低減に効果的だからである。
<固体触媒成分>
本発明のプロピレンターポリマーの製造に用いられる固体触媒成分は、マグネシウム、ハロゲン、チタンを含むものであれば、その種類としては、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。また、任意に電子供与体を含んでもよい。例えば、塩化マグネシウム等の担体に四塩化チタンを担持させ、エーテル類やエステル類の電子供与体を反応させた塩化マグネシウム担持型チーグラー・ナッタ触媒(例えば、特開昭58−157808号公報、特開昭58−83006号公報、特開昭58−5310号公報、特開昭61−218606号公報参照)等が含まれる。
本発明においては、立体規則性に優れたポリプロピレンを製造可能な高性能触媒を適用することが特に好ましい。
立体規則性向上の一つの手段としては、触媒中に存在する遊離のチタン種を十分に除去するということが挙げられる。例えば特開2013−28705号公報(実施例8)、特開2014−37521号公報、特開2014−162905号公報などに記載の通り、塩化マグネシウム担持型触媒の製造工程において、溶媒による洗浄作業を繰り返すことで低立体規則性ポリプロピレン成分の原因となる遊離のチタン種を除去し、高立体規則性を発現できる。
本発明のポリプロピレンターポリマーの製造に使用できる市販の触媒として、例えば、東邦チタニウム社製THC触媒JC型(「ポリプロピレンの構造制御と複合化、成形加工技術」、p23、技術情報協会、2016に記載)などが挙げられる。
また、固体触媒成分は、予備重合処理して用いるのが好ましい。予備重合処理とは、少量のポリマーを触媒成分上に予め生成させる処理をいう。
予備重合処理においては、有機アルミニウム化合物を用いることが好ましい。有機アルミニウム化合物としては、後述の助触媒として使用する有機アルミニウム化合物と同様の有機アルミニウム化合物の存在下で行うことができる。有機アルミニウム化合物は単独のみならず、2種以上の混合物であってもよい。有機アルミニウム化合物の使用量は、通常、チタン原子1モルに対して有機アルミニウム化合物を0.1〜40モル、好ましくは0.3〜20モルの範囲である。
予備重合処理においては、有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。有機ケイ素化合物としては、n−プロピルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−ブチルジメトキシシラン、i−プロピルi−ブチルジメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、ビスジエチルアミノジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどが好ましい。これらは単独のみならず、2種以上の混合物であってもよい。なお、上記の化学式中、Meはメチルを表す。有機ケイ素化合物は、有機アルミニウム化合物1モルに対して0.01〜10モルの範囲で用いてもよい。
予備重合処理に用いられるモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、スチレン、α−メチルスチレン、アリルベンゼン、クロロスチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、2,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,9−デカジエン、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独のみならず、2種以上の混合物であってもよい。
予備重合処理の条件としては、重合温度は0〜80℃、重合時間は10分〜48時間とし、固体触媒成分1gあたりの予備重合量を0.1〜100g、好ましくは0.5〜50gとすることが好ましい。予備重合処理は、一般的に撹拌下に行うことが好ましく、そのとき不活性溶媒を存在させることもできる。予備重合処理に用いられる不活性溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、流動パラフィン、シリコンオイル等である。予備重合処理に際して生成するポリマーの分子量を調節するために水素等の分子量調節剤を使用することができる。
<有機アルミニウム化合物>
固体触媒成分を活性化させるための助触媒として有機アルミニウム化合物を使用する。有機アルミニウム化合物として、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド、メチルアルモキサン、テトラブチルアルモキサンなどのアルモキサン、メチルボロン酸ジブチル、リチウムアルミニウムテトラエチルなどの複合有機アルミニウム化合物などが挙げられる。また、これらを2種類以上混合して使用することも可能である。
触媒として塩化マグネシウム担持型チーグラー・ナッタ触媒を使用する場合、有機アルミニウム化合物は、触媒を構成するマグネシウム成分に対するモル比(有機アルミニウム化合物のモル数/マグネシウム原子のモル数)で、1〜200の範囲内で使用して重合することが好ましい。
<電子供与体>
また、触媒には、立体規則性の改良や粒子性状の制御、分子量分布の制御等を目的とする重合添加剤として、電子供与体を使用することができる。例えば、n−プロピルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−ブチルジメトキシシラン、i−プロピルi−ブチルジメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、ビスジエチルアミノジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、酢酸エチル、安息香酸ブチル、p−トルイル酸メチル、ジブチルフタレートなどのエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、安息香酸、プロピオン酸などの有機酸類、エタノール、ブタノールなどのアルコール類等の電子供与性化合物を挙げることができる。なお、上記の化学式中、Meはメチルを表す。
<重合反応>
プロピレンターポリマーの重合反応においては、プロピレン、エチレン、および1−ブテンを反応器に供給して、重合触媒の存在下に、プロピレンの共重合を行い、プロピレンターポリマーを製造することができる。また、水素等の連鎖移動剤を反応器に供給して、MFRを調整することができる。重合条件は、例えば、温度50〜150℃、好ましくは50〜80℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.0MPa、反応器内に存在する保有パウダーの平均滞留時間0.5〜5.0時間の条件にするとよい。
また、上記反応条件の反応器を二つ以上組み合わせた連続重合プロセスを形成してプロピレンターポリマーを製造することも可能である(各反応器の反応条件は同一又は異なる)。
ここで、平均滞留時間とは、回分式重合の場合は重合時間であり、連続重合の場合は反応器中の保有パウダーの重量(kg)と単位時間当たり反応器から抜き出すプロピレンターポリマーの重量(kg/時間)とから、[反応器中の保有パウダーの重量(kg)/単位時間当たり反応器から抜き出す重合体パウダーの重量(kg/時間)]の計算式で算出する値である。
<造粒工程>
重合反応によって得られたプロピレンターポリマーは、必要に応じて添加剤をヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサー等の混練機により混練しペレタイズした造粒体としても良い。
造粒体には、酸化防止剤、中和剤、帯電防止剤、耐候剤のようなポリオレフィン分野において通常使用されている添加剤、スリップ剤やアンチブロッキング剤などフィルム分野にて通常使用されている添加剤が処方されていても良い。これらの添加剤成分は、ポリプロピレンターポリマーの一部になりうる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(各種ポリマー測定)
a.エチレン含量及び1−ブテン含量の測定(単位:質量%)
プロピレンターポリマーのエチレン含量及び1−ブテン含量は13C−NMR測定で得られる積分強度から求めることが出来る。試料の調製とNMR測定条件は以下の通りである。
試料であるプロピレンターポリマー200mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(CBr)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解した。
NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)製のAV400型NMR装置を用いて行った。13C−NMR測定条件は、試料の温度120℃、パルス角を90°、パルス間隔を15秒、積算回数を512回として実施した。
エチレン含量及び1−ブテン含量は、13C−NMR測定で得られた積分強度を用いてそれぞれ下記(式−1)、(式−2)で求めることができる。
エチレン含量(mol%)=IE×100/(IE+IP+IB) ・・・(式−1)
エチレン含量(質量%)=[エチレン含量(mol%)×エチレンの分子量]/[エチレン含量(mol%)×エチレンの分子量+プロピレン含量(mol%)×プロピレンの分子量+1−ブテン含量(mol%)×1−ブテンの分子量]
1−ブテン含量(mol%)=IB×100/(IE+IP+IB) ・・・(式−2)
1−ブテン含量(質量%)=[1−ブテン含量(mol%)×1−ブテンの分子量]/[エチレン含量(mol%)×エチレンの分子量+プロピレン含量(mol%)×プロピレンの分子量+1−ブテン含量(mol%)×1−ブテンの分子量]
ここで、IE、IP、IBはそれぞれ、エチレン、プロピレン、1−ブテンについての積分強度であり、特開2018−94909号公報に示す方法によって算出した。
b.MFRの測定(単位:g/10分)
JIS−K6921の方法に従い、230℃、21.18Nの条件で測定した。
c.融点(Tm)の測定(単位:℃)
融点(Tm)は、示差走査熱量測定(DSC)にて得られる融解ピーク温度のことを言う。ISO−11357法に従い、以下の手順で測定した。
メトラートレド社製示差走査熱量計(機器名:MettlerToledo DSC3)を用い、試料5.0mgを採り、190℃で5分間保持した後、50℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ5分間保持し、10℃/分の速度で昇温させた時の融解ピーク温度を観測した。
d.分子量分布(Mw/Mn)の測定(単位:−)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比を以ってMw/Mnとした。GPCの具体的な測定手法は、以下の通りである。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm

・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本直列)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/m
Lの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリス
チレン(PS)による検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー
(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5
000、A2500、A1000各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5
mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
e.キシレン可溶成分量CXSの測定(単位:質量%)
キシレン可溶成分量CXSは25℃におけるp−キシレンへの可溶成分量のことを言い、以下の手順にて測定した。
2gの試料を300mlのp−キシレン(0.5mg/mlのBHTを含む)に130℃で溶解させ溶液とした後、25℃で12時間放置する。その後、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させ、さらに100℃で12時間減圧乾燥し室温キシレン可溶成分を回収する。この回収成分の重量の仕込み試料重量に対する割合をCXS(質量%)とした。
(フィルム測定)
f.ヒートシール温度の測定(単位:℃)
10mm×200mmのヒートシールバーを用い、試料フィルム同士を100℃から150℃の範囲において、圧力2kg/cm、時間1秒のヒートシール条件下で溶融押出しした方向(MD)に垂直になるようにシールした試料から15mm幅のサンプルを切り取り、引張試験機を用いて引張速度500mm/分にて引き離し、3Nの強度となる温度をヒートシール温度とした。
g.ヘイズの測定(単位:%)
日本電色社製濁度計(NDH2000)を用い、ASTM D−1003に準拠して測定した。ヘイズの値が小さいほど透明性に優れるものと評価した。
h.静摩擦係数(μ)の測定(単位:−)
成形後のフィルムを23℃の恒温室内に1日静置後、ASTM D1894に定められた方法で測定したフィルムの冷却面同士の静摩擦係数を求めた。この値が小さいほどスリップ性がよいことを示す。
i.ヘキサン可溶分の測定(単位:質量%)
FDA21−CFR177.1520に記載の評価方法に従い、フィルム試料を過剰量のヘキサン中に、50℃条件において2時間懸濁し、次いでヘキサンを蒸発によって除去し、乾燥させた残渣をヘキサン可溶分(質量%)として秤量した。
j.FDA適合性
FDA21−CFR177.1520に定められるオレフィン共重合体の基準への適合性を判定した。基準3.2a)へ適合する場合を◎、基準3.1a)へ適合する場合を〇、どちらにも適合しない場合を×とした。それぞれの適合判断基準は以下の通りである。
3.1a)ヘキサン溶出分が5.5質量%以下、かつCXSが30質量%以下であること。
3.2a)ヘキサン溶出分が2.6質量%以下であること。
(実施例1)
1)重合触媒
重合触媒として、塩化マグネシウム担持型のチーグラー・ナッタ触媒である東邦チタニウム(株)より購入したTHC−C−125(JC型)を使用した。
分析の結果、重合触媒中のTi含量は1.9質量%、Mg含量は20質量%、Cl含量は64質量%であった。
2)予備重合
撹拌装置を備えた容量3Lのオートクレーブを充分に窒素で置換した。
上記の重合触媒90gに、精製したn−ヘプタン1.5Lを加えて、重合触媒の濃度が60g/Lとなったスラリーを、オートクレーブへ導入した。
さらに、トリエチルアルミニウムを8.1g含むトリエチルアルミニウムのn−ヘプタン希釈液及び、ジイソプロピルジメトキシシラン1.9gを追加した後、180gのプロピレンを3時間かけて供給した。
プロピレンの供給が終わった後、更に10分、反応を継続した。
得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。次いで真空乾燥を行って、予備重合後の重合触媒を得た。
この予備重合によって、重合触媒1.0gあたり2.0gのポリプロピレンが重合された。
3)重合工程
図1は、本発明の製造方法において、横型重合器(横型反応器)を用いた場合のプロセスフローの一例を表す概略図である。以下、図1に示したプロセスフローによって説明する。
攪拌羽根を有する横型重合反応器5(L/D=4.3、内容積100リットル)へ、予備重合を実施した重合触媒を触媒成分供給配管1よりヘキサンで希釈して、助触媒としてのトリエチルアルミニウムと有機ケイ素化合物としてのジイソプロピルジメトキシシランを助触媒成分供給配管2よりヘキサンで希釈して、連続的に供給した。この時、トリエチルアルミニウムは重合触媒中のMgに対してAl/Mgモル比が10となるように、ジイソプロピルジメトキシシランはトリエチルアルミニウムに対してSi/Alモル比で0.40になるように調整した。
重合温度は重合反応器内の上流ゾーン(重合触媒成分の供給口付近)で58℃、下流ゾーン(重合体抜き出し配管付近)で64℃、重合圧力は1900kPa、攪拌速度は28rpmの条件を維持しながら運転した。このプロセスでは反応熱を液体モノマー供給配管3より供給する液体モノマーの気化熱によって除去しており、重合反応器から排出される未反応ガスを、未反応ガス抜出し配管4を通して除熱凝縮させ、循環ドラム9へ送り液体成分を液体モノマー供給配管3にて、気体成分を気体モノマー供給配管10にて重合反応器へ戻す循環サイクルを形成して運転を行なっている。
反応系への原料供給としては、重合反応器内の混合ガスの水素濃度を表1に示した水素/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比に、エチレン濃度を表1に示したエチレン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比に、1−ブテン濃度を表1に示した1−ブテン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比に維持するように、水素ガスとエチレンについては接続配管8より、プロピレンと1−ブテンについては接続配管7より連続的に供給して行なった。
生成した重合体は、重合反応器内の重合体保有量が常に25kgとなる様に重合体抜出し配管6を通して横型重合器5から連続的に抜き出した。
4)造粒工程
重合工程によって得られた重合体と各種添加剤を、プロピレンターポリマー中の濃度として下記に記載される濃度となるように混合した後、スクリュー径50mmΦの押出機にて220℃の温度で溶融押出して、ペレット形状としてプロピレンターポリマーを得た。
添加剤)
・酸化防止剤:
テトラキス{メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン(BASFジャパン社製、商品名「イルガノックス1010」) 0.05質量%
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、商品名「イルガフォス168」) 0.08質量%
・中和剤:
ステアリン酸カルシウム 0.05質量%
・スリップ剤:
脂肪酸モノアミド(日本精化(株)製、商品名「ニュートロン」) 0.08質量%
・アンチブロッキング剤:
二酸化ケイ素(富士シリシア化学(株)製、商品名「サイリシア430」) 0.1質量%
得られたプロピレンターポリマーを分析したところ、エチレン含量、1−ブテン含量、MFR、融点(Tm)、分子量分布(Mw/Mn)、キシレン可溶成分量CXSについて、表1に記載する通りの値を示した。
3.フィルム成形
得られたプロピレンターポリマーを、35mmφTダイ成形機を使用して、樹脂温度230℃で押出後、30℃に設定した冷却ロールにて固化させ、厚み30μmの単層フィルムを得た。この単層フィルムを用いてフィルム性能を評価した結果、表1に記載のヘキサン可溶分、ヒートシール温度、ヘイズ、スリップ性(静摩擦係数)、FDA適合性の結果を得た。
(実施例2)
重合工程において、重合反応器内の混合ガスの水素濃度を表1に示した水素/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、1−ブテン濃度を表1に示した1−ブテン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比に維持するように反応系へ原料供給を制御すること以外は実施例1と同条件にてプロピレンターポリマーを得て、さらにフィルム評価を実施した。
得られたプロピレンターポリマーの重合体分析値、フィルム評価結果は表1に記載の通りである。
(実施例3)
重合工程において、重合温度を反応器上流で63℃、反応器下流で70℃、重合圧力は2000kPaGとなるように重合環境を制御し、重合反応器内の混合ガスの水素濃度を表1に示した水素/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、エチレン濃度をエチレン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、1−ブテン濃度を表1に示した1−ブテン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比に維持するように反応系へ原料供給を制御すること以外は実施例1と同条件にてプロピレンターポリマーを得て、さらにフィルム評価を実施した。
得られたプロピレンターポリマーの重合体分析値、フィルム評価結果は表1に記載の通りである。
Figure 2021181525
(比較例1)
重合工程において、重合反応器内の混合ガスの水素濃度を表1に示した水素/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、エチレン濃度をエチレン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、1−ブテン濃度を表1に示した1−ブテン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比に維持するように反応系へ原料供給を制御すること以外は実施例1と同条件にてプロピレンターポリマーを得て、さらにフィルム評価を実施した。
得られたプロピレンターポリマーの重合体分析値、フィルム評価結果は表2に記載の通りである。
(比較例2)
重合工程において、重合温度を反応器上流で63℃、反応器下流で70℃、重合圧力は2000kPaGとなるように重合環境を制御し、重合反応器内の混合ガスの水素濃度を表1に示した水素/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、エチレン濃度をエチレン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、1−ブテン濃度を表1に示した1−ブテン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比に維持するように反応系へ原料供給を制御すること以外は実施例1と同条件にてプロピレンターポリマーを得て、さらにフィルム評価を実施した。
得られたプロピレンターポリマーの重合体分析値、フィルム評価結果は表2に記載の通りである。
(比較例3)
重合工程において、重合反応器内の混合ガスの水素濃度を表1に示した水素/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、エチレン濃度をエチレン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、1−ブテン濃度を表1に示した1−ブテン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比に維持するように反応系へ原料供給を制御すること以外は実施例1と同条件にてプロピレンターポリマーを得て、さらにフィルム評価を実施した。
得られたプロピレンターポリマーの重合体分析値、フィルム評価結果は表2に記載の通りである。
(比較例4)
重合工程において、重合反応器内の混合ガスの水素濃度を表1に示した水素/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、エチレン濃度をエチレン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、1−ブテン濃度を表1に示した1−ブテン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比に維持するように反応系へ原料供給を制御すること以外は実施例1と同条件にてプロピレンターポリマーを得て、さらにフィルム評価を実施した。
得られたプロピレンターポリマーの重合体分析値、フィルム評価結果は表2に記載の通りである。比較例4のプロピレンターポリマーは、著しく可溶分量が多いためにスリップ性は極端に悪化し静摩擦係数を測定することができなかった。
(比較例5)
重合工程において、重合反応器内の混合ガスの水素濃度を表1に示した水素/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、エチレン濃度をエチレン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比、1−ブテン濃度を表1に示した1−ブテン/(エチレン+プロピレン+1−ブテン)モル比に維持するように反応系へ原料供給を制御すること以外は実施例1と同条件にてプロピレンターポリマーを得て、さらにフィルム評価を実施した。
得られたプロピレンターポリマーの重合体分析値、フィルム評価結果は表2に記載の通りである。比較例5のプロピレンターポリマーは、著しく可溶分量が多いためにスリップ性は極端に悪化し静摩擦係数を測定することができなかった。
Figure 2021181525
本発明のプロピレンターポリマーの製造方法によれば、低温ヒートシール性に優れ、かつ低温溶出成分が少なく、スリップ剤の分散性、透明性の良好なフィルム材料を提供でき、産業上、利用可能性が高いものである。
1 触媒成分供給配管
2 助触媒成分供給配管
3 液体モノマー供給配管
4 未反応ガス抜出し配管
5 横型重合反応器
6 重合体抜出し配管
7 接続配管
8 接続配管
9 循環ドラム
10 気体モノマー供給配管

Claims (3)

  1. マグネシウム、ハロゲン、チタンを必須とする固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、電子供与体を含む触媒を用いてプロピレン、エチレン及び1−ブテンを共重合する工程、エチレン含量が1.9質量%を超え、1−ブテン含量が7.8質量%以上を超え、融点(Tm)が120〜131℃の範囲にあって、キシレン可溶成分量CXS(質量%)が下記条件式(1):
    CXS(質量%)≦0.18×Tm(℃)−9.8 (1)
    を満たすプロピレンターポリマーを得る工程、を含むことを特徴とするプロピレンターポリマーの製造方法。
  2. 230℃、21.18Nで測定されるMFRが1.0g/10分以上10.0g/10分以下であるプロピレンターポリマーを得ることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか一項に記載のプロピレンターポリマーの製造方法。
  3. 重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が3.5〜6.0の範囲にあるプロピレンターポリマーを得ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロピレンターポリマーの製造方法。
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