JP2020105235A - フッ素系塗料、フッ素系塗料の製造方法、塗装物品およびその製造方法 - Google Patents

フッ素系塗料、フッ素系塗料の製造方法、塗装物品およびその製造方法 Download PDF

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【課題】撥水性および基材密着性に優れた塗膜を形成できるフッ素系塗料を提供することを課題とする。また、塗料の製造方法、塗装物品およびその製造方法を提供することも課題とする。【解決手段】 CF3−CH=CHFおよびCF3−CF=CH2からなる群から選択される少なくとも一種の単量体に基づく単位と、カルボキシ基を有する単量体に基づく単位と、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種である単量体に基づく単位と、を含む含フッ素重合体を含むことを特徴とする、フッ素系塗料。【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素系塗料、フッ素系塗料の製造方法、塗装物品およびその製造方法に関する。
耐候性に優れた塗膜を形成できる塗料として、含フッ素重合体を含む塗料が知られている。特許文献1には、CF−CF=CHに基づく単位、ビニルエステルおよびビニルエーテルからなる群より選択される単量体に基づく単位、およびヒドロキシ基を有するビニルエーテルに基づく単位のみからなる含フッ素重合体と、有機溶媒とを含む塗料が記載されている。
特表2016−539214号公報
本発明者らは、特許文献1に記載された含フッ素重合体を用いて形成された塗膜について検討した結果、基材に対する密着性(基材密着性)が充分でないことを明らかとした。
そこで、本発明は、撥水性および基材密着性に優れた塗膜を形成できるフッ素系塗料の提供を課題とする。また、本発明は、フッ素系塗料の製造方法、塗装物品およびその製造方法の提供も課題とする。
本発明者らは、課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により課題を解決できることを見出した。
[1] CF−CH=CHFおよびCF−CF=CHからなる群から選択される少なくとも一種の単量体に基づく単位と、カルボキシ基を有する単量体に基づく単位と、
ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種である単量体2に基づく単位と、を含む含フッ素重合体を含むことを特徴とする、フッ素系塗料。
[2] カルボキシ基を有する単量体が、後述する式CHR11=CHR12−Q−COOHで表される単量体である、[1]に記載のフッ素系塗料。
[3] さらに硬化剤を含み、硬化剤が、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、またはβ−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する化合物である、[1]または[2]に記載のフッ素系塗料。
[4] さらに、有機溶媒を含み、含フッ素重合体が有機溶媒に溶解しており、溶剤塗料として用いられる、[1]〜[3]のいずれかに記載のフッ素系塗料。
[5] 含フッ素重合体が粉末状であり、粉体塗料として用いられる、[1]〜[3]のいずれかに記載のフッ素系塗料。
[6] 単量体2が、式−C(Z21で表される炭素数4〜8のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基を有し、3個のZ21はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である、[5]に記載のフッ素系塗料。
[7] さらに、水を含み、含フッ素重合体が水に分散しており、水性塗料として用いられる、[1]〜[3]のいずれかに記載のフッ素系塗料。
[8] 単量体2が、式−Y−(OMn2OHで表される基を有する、[7]に記載のフッ素系塗料。
[9] CF−CH=CHFおよびCF−CF=CHからなる群から選択される少なくとも一種の単量体と、ヒドロキシ基を有する単量体と、ヒドロキシ基を有さない単量体2と、を有機溶媒中で重合して、次いで酸無水物を加えて反応させて含フッ素重合体を得て、次いで有機溶媒を水で置換し、含フッ素重合体を水に分散させる、[7]または[8]に記載のフッ素系塗料の製造方法。
[10] [1]〜[8]のいずれかに記載のフッ素系塗料を基材上に付与して塗装層を形成し、塗装層を硬化させて基材上に塗膜を形成する、塗装物品の製造方法。
[11] 基材と、[1]〜[8]のいずれかに記載のフッ素系塗料により基材上に形成されてなる塗膜とを有する、塗装物品。
本発明によれば、撥水性(特に、塗膜に付着した水が滑落する目安となる動的撥水性。以下同様。)および基材密着性に優れた塗膜を形成できるフッ素系塗料を提供できる。また、本発明によれば、フッ素系塗料の製造方法、塗装物品およびその製造方法を提供できる。
本明細書における用語の意味は以下の通りである。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」の総称である。
「単位」とは、単量体の重合により直接形成される原子団と、単量体の重合によって形成される原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。重合体が含む全単位に対する、それぞれの単位の含有量(モル%)は、重合体を核磁気共鳴スペクトル法により分析して求められ、また、重合体の製造におけるそれぞれの単量体の仕込量からも決定できる。
「粒子の平均粒子径」は、レーザー回折法を測定原理とした公知の粒度分布測定装置(Sympatec社製、商品名「Helos−Rodos」等。)を用いて測定される粒度分布より体積平均を算出して求められる50%径の値である。
「ガラス転移温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定される中間点ガラス転移温度である。「ガラス転移温度」は、「Tg」ともいう。
「溶融粘度」とは、回転式レオメータを用いて、10℃/分の昇温条件にて130℃から200℃まで重合体を昇温した際の、所定温度における重合体の溶融粘度の値である。
「チクソトロピーインデックス」とは、25℃における、E型粘度計による回転数が5rpmのときの粘度(η5rpm)と、回転数が50rpmのときの粘度(η50rpm)の粘度比(η5rpm/η50rpm)である。
「数平均分子量」は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値である。「数平均分子量」は、「Mn」ともいう。
「水酸基価」は、JIS K 1557−1(2007)の方法に準じて測定される値である。
「酸価」は、JIS K 0070−3(1992)の方法に準じて測定される値である。
本発明のフッ素系塗料は、CF−CH=CHFおよびCF−CF=CHからなる群から選択される少なくとも一種の単量体(以下、「単量体F」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位F」ともいう。)と、カルボキシ基を有する単量体(以下、「単量体1」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位1」ともいう。)と、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種である単量体(以下、「単量体2」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位2」ともいう。)と、を含む含フッ素重合体を含む。
本発明者らは、単位Fを含む含フッ素重合体は、単位Fが有する−CF基により、表面自由エネルギーが小さく、撥水性に優れる塗膜を形成できることを知見している。その一方で、該含フッ素重合体は、基材に対してぬれにくく、その塗膜の基材密着性には改良の余地があった。また、該含フッ素重合体は、単位Fが有する−CF基により帯電しやすく、その塗膜は静電気を帯びやすい。
この問題に対して、本発明者らは、カルボキシ基を有する単量体を含フッ素重合体に含ませれば、優れた撥水性を保持したまま、基材密着性にも優れた塗膜が形成できることを見出した。これは、該塗膜の、表面と基材側に、疎水性部分(−CF基)と親水性部分(カルボキシ基)とがバランス良く配列するためと考えられる。また、含フッ素重合体に含まれるカルボキシ基により、含フッ素重合体の帯電性が抑制されることも見出した。
なお、この効果は、本発明のフッ素系塗料が、溶剤塗料であっても、水性塗料であっても、粉体塗料であっても、同様に発現することを、本発明者らは知見している。
以下、本発明のフッ素系塗料により形成されてなる塗膜を「本塗膜」という。
単量体Fは、CF−CH=CHFまたはCF−CF=CHの一方のみを用いてもよいし、CF−CH=CHFおよびCF−CF=CHの両方を用いてもよい。
含フッ素重合体における単位Fの含有量は、本塗膜の撥水性の観点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、20〜80モル%が好ましく、30〜70モル%がより好ましい。
単量体1は、本塗膜の柔軟性がより優れる観点から、式CHR11=CHR12−Q−COOHで表される化合物が好ましい。
式中の記号は、以下の意味を示す。
11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
は、単結合、炭素数1〜12のアルキレン基または炭素数4〜12の−C(=O)O−を有するアルキレン基であり、本塗膜の柔軟性が向上する観点から、炭素数6〜10のアルキレン基または炭素数6〜10の−C(=O)O−を有するアルキレン基が好ましい。
単量体1の具体例としては、CH=CHCOOH、CH(CH)=CHCOOH、CH=C(CH)COOHおよび式CH=CH(CHn1COOHで表される化合物(ただし、n1は1〜10の整数を示す。)が挙げられ、CH(CH)=CHCOOHおよびCH=CH(CHCOOHが好ましい。
なお、単位1は、ヒドロキシ基を有する単量体(以下、「単量体2H」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位2H」ともいう。)のヒドロキシ基を、カルボキシ基を有する基に変換して得られた単位でもよい。具体的には、単位2Hを含む重合体と酸無水物(無水コハク酸、無水フタル酸等)とを反応させて、ヒドロキシ基を、カルボキシ基を有する基に変換して単位1を形成してもよい。
単量体2Hの具体例としては、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルカルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルが挙げられる。
含フッ素重合体における単位1の含有量は、本塗膜の撥水性の観点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、1〜25モル%が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
含フッ素重合体の酸価は、本塗膜の基材密着性の観点から、1〜150mgKOH/gが好ましく、1〜100mgKOH/gがより好ましく、1〜80mgKOH/gが特に好ましい。
単量体2は、カルボキシ基を有さない、式X−Zで表される単量体(以下、「単量体21」ともいう。)が好ましい。
は、単量体Fとの交互重合性と本塗膜の耐候性の観点から、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、またはCH=CHO−であり、CH=CHOC(O)−またはCH=CHO−が好ましい。
は、炭素数1〜48の、カルボキシ基を有しない1価の有機基である。
本発明のフッ素系塗料が、有機溶媒を含み、含フッ素重合体が有機溶媒に溶解しており、溶剤塗料として用いられる場合、単量体2は、Zが炭素数1〜24の1価の炭化水素基である単量体21(以下、「単量体2S」ともいう。)が好ましい。
1価の炭化水素基は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよい。また、1価の炭化水素基は、環構造からなっていてもよく、環構造を含んでいてもよい。また、1価の炭化水素基は、1価の飽和炭化水素基であってもよく1価の不飽和炭化水素基であってもよい。
1価の炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基が好ましく、炭素数2〜12のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基がより好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基が挙げられる。
シクロアルキル基の具体例としては、シクロヘキシル基が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
単量体2Sの具体例としては、エチルビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ノニルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、ネオデカン酸ビニルエステル(HEXION社製、商品名「ベオバ10」等)が挙げられる。
単量体2Sは、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明のフッ素系塗料が溶剤塗料として用いられる場合において、単量体2S以外の単量体2を併用してもよい。
本発明のフッ素系塗料が、溶剤塗料として用いられる場合、含フッ素重合体は、単量体2Sに基づく単位を、含フッ素重合体が含む全単位に対して、10〜70モル%含むのが好ましい。
また、この場合の含フッ素重合体は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、単位F、単位1、単量体2Sに基づく単位を、この順に、20〜80モル%、1〜25モル%、10〜70モル%含むのが好ましい。
また、この場合の含フッ素重合体のMnは、本塗膜の耐衝撃性の観点から、1000〜50000が好ましく、5000〜30000がより好ましい。
本発明のフッ素系塗料が、溶剤塗料として用いられる場合、フッ素系塗料に含まれる有機溶媒は、含フッ素重合体の溶解性の高い溶媒が好ましい。有機溶媒の具体例としては、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、アルコール、エーテルエステルが挙げられ、キシレン、エチルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、tert−ブチルアルコールまたは3−エトキシプロピオン酸エチルが好ましい。
有機溶媒は、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
この場合、本発明のフッ素系塗料における含フッ素重合体の含有量は、含フッ素重合体の溶媒への溶解性と、溶剤塗料のチクソトロピーインデックスの観点から、溶剤塗料の全質量に対して、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
また、この場合、含フッ素重合体のチクソトロピーインデックスは、溶剤塗料の塗装効率の観点から、1.5〜10が好ましく、2.0〜8.0がより好ましい。
含フッ素重合体が粉末状であり、本発明のフッ素系塗料が粉体塗料として用いられる場合、含フッ素重合体のTgを高く保持し、粉体塗料の耐ブロッキング性を向上させる観点から、単量体2は、Zが式−C(Z21で表される炭素数4〜8のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基である単量体21(以下、「単量体2P」ともいう。)が好ましい。なお、3個のZ21はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を表す。
式−C(Z21で表される基は、この式で明示された「C(炭素原子)」に3個の式Z21で表される基が結合した3級炭素原子を有する。3個のZ21は、3個ともにメチル基であるか、1個がメチル基であり、残りの2個がそれぞれ独立に炭素数2〜5のアルキル基であるのが好ましい。後者の基である場合、3個のZ21のうちの残りの2個の炭素原子の総数は、6が好ましい。
炭素数6〜10のシクロアルキル基は、シクロヘキシル基が好ましい。
炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基は、シクロヘキシルメチル基が好ましい。
炭素数7〜12のアラルキル基は、ベンジル基が好ましい。
炭素数6〜10のアリール基は、フェニル基またはナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
なお、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基またはアラルキル基の水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、置換基としてのアルキル基の炭素数は、シクロアルキル基またはアリール基の炭素数には含めない。
単量体2Pの具体例としては、シクロヘキシルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ネオノナン酸ビニルエステル(HEXION社製、商品名「ベオバ9」)、ピバル酸ビニルが挙げられる。
単量体2Pは、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明のフッ素系塗料が粉体塗料として用いられる場合において、単量体2P以外の単量体2を併用してもよい。
本発明のフッ素系塗料が粉体塗料として用いられる場合、含フッ素重合体は、単量体2Pに基づく単位を、含フッ素重合体が含む全単位に対して、15〜60モル%含むのが好ましく、20〜50モル%含むのがより好ましい。
また、この場合の含フッ素重合体は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、単位F、単位1、単量体2Pに基づく単位を、この順に、20〜80モル%、1〜25モル%、15〜60モル%含むのが好ましい。
本発明のフッ素系塗料が粉体塗料として用いられる場合、含フッ素重合体のMnは、本塗膜の耐衝撃性、および粉体塗料の溶融粘度の観点から、1000〜30000が好ましく、5000〜30000がより好ましい。
この場合、含フッ素重合体の170℃における溶融粘度は、本塗膜の耐衝撃性および表面平滑性の観点から、20〜200Pa・sが好ましく、20〜100Pa・sがより好ましい。
この場合、粉体塗料の平均粒子径は、粉体塗料の塗装効率、および本塗膜の表面平滑性の観点から、1〜100μmが好ましく、25〜50μmがより好ましい。
本発明のフッ素系塗料が、さらに水を含み、含フッ素重合体が水に分散しており、水性塗料として用いられる場合、含フッ素重合体の水中分散性の観点から、単量体2は、式−Y−(OMn2OHで表される基を有するのが好ましく、Zが式−Y−(OMn2OHで表される基である単量体21(以下、「単量体2W」ともいう。)がより好ましい。
は、炭素数2〜12の2価の飽和炭化水素基であり、炭素数4〜12のアルキレン基または炭素数6〜8のシクロアルキレン基を含むアルキレン基が好ましい。2価の飽和炭化水素基は、直鎖状であってもよく分岐状であってもよい。また、2価の飽和炭化水素基は、環構造からなっていてもよく、環構造を含んでいてもよい。
は炭素数2〜4のアルキレン基であり、エチレン基が好ましい。なお、Mが3または4である場合、Mは、直鎖状であってもよく分岐状であってもよい。
n2は12〜22であり、10〜20が好ましい。
単量体2Wの具体例としては、CH=CHO−CH−cycloC10−CH−(OCHCHn2OH、CH=CHCHO−CH−cycloC10−CH−(OCHCHn2OH、CH=CHOCHCH(OCHCHn2OH、CH=CHCHOCHCH(OCHCHn2OH、CH=CHCHOCHCH(C)(OCHCHn2OHが挙げられる。
なお、「−cycloC10−」はシクロへキシレン基を表し、(−cycloC10−)の結合部位は、特に限定されず、通常1,4−である。
単量体2Wは、1種を単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明のフッ素系塗料が水性塗料として用いられる場合において、単量体2W以外の単量体2を併用してもよい。
本発明のフッ素系塗料が、水性塗料として用いられる場合、含フッ素重合体は、単量体2Wに基づく単位を、含フッ素重合体が有する全単位に対して、含フッ素重合体の水中分散性の観点から、0.1〜10モル%含むのが好ましく、1〜5モル%含むのがより好ましい。
また、この場合の含フッ素重合体は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、単位F、単位1、単量体2Wに基づく単位を、この順に、20〜80モル%、1〜25モル%、0.1〜10モル%含むのが好ましい。
なお、この場合の含フッ素重合体のMnは、粒子状の含フッ素重合体の安定性の観点から、30000〜200000が好ましく、50000〜180000がより好ましい。
本発明のフッ素系塗料が、水性塗料として用いられる場合、上記含フッ素重合体は、水中に粒子状に分散している。なお、粒子状の含フッ素重合体が水中に分散している溶液を、含フッ素重合体の水性分散液ともいう。
水は、含フッ素重合体を分散させる分散媒である。分散媒は、水のみからなるか、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒からなる。後者の場合、水溶性有機溶媒の含有量は、水性分散液が含む水の全質量に対して、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。水溶性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトンが挙げられる。
含フッ素重合体の水性分散液における、含フッ素重合体の含有量は、粒子状の含フッ素重合体の安定性の観点から、該水性分散液の全質量に対して、10〜90質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。
また、該粒子状の含フッ素重合体の平均粒子径は、本塗膜の耐水性と、粒子状の含フッ素重合体の貯蔵安定性の観点から、30〜300nmが好ましく、50〜200nmがより好ましい。
本発明のフッ素系塗料が、水性塗料として用いられる場合、本発明のフッ素系塗料における含フッ素重合体の含有量は、本硬化塗膜の耐候性の観点から、水性塗料の全質量に対して、10〜70質量%が好ましく、20〜65質量%がより好ましい。
本発明における含フッ素重合体は、溶媒とラジカル重合開始剤の存在下、単量体(単量体F、単量体1および単量体2)を共重合させる方法により得られる。なお、単量体F、単量体1および単量体2以外の単量体を、適宜用いてもよい。含フッ素重合体の製造方法の具体例としては、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法が挙げられる。
また、含フッ素重合体は、単量体F、単量体2Hおよびヒドロキシ基を有さない単量体2を有機溶媒中で重合して、単位F、単位2Hおよび該単量体2に基づく単位を含む重合体を得て、さらに該重合体と酸無水物を反応させて、単位2Hのヒドロキシ基を、カルボキシ基を有する基に変換して得てもよい。
重合における反応温度は通常0〜130℃であり、反応圧力は通常0〜1.0MPaであり、反応時間は通常1〜50時間である。
本発明のフッ素系塗料は、硬化剤を含むのが好ましい。硬化剤は、カルボキシ基と反応し得る基を2以上有する化合物である。硬化剤が、含フッ素重合体が含む活性水素を有する基と反応すれば、含フッ素重合体が架橋し、本塗膜の強度が向上する。硬化剤は、該反応し得る基を、通常、1分子中に2〜30有する。
本発明における硬化剤は、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、またはβ−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する化合物が好ましい。
エポキシ基を1分子中に2以上有する化合物の具体例としては、ビスフェノール型エポキシ化合物(A型、F型、S型)、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物、ハイドロキノン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ化合物、ポリプロピレングリコール型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、グリオキザール型エポキシ化合物、脂環型エポキシ化合物、脂環式多官能エポキシ化合物、複素環型エポキシ化合物(トリグリシジルイソシアネート等)が挙げられる。
カルボジイミド基を1分子中に2以上有する化合物の具体例としては、脂環族カルボジイミド、脂肪族カルボジイミド、芳香族カルボジイミド、ならびにこれらの多量体および変性体が挙げられる。
オキサゾリン基を1分子中に2以上有する化合物の具体例としては、2−オキサゾリン基を有する付加重合性オキサゾリン、該付加重合性オキサゾリンの重合体が挙げられる。
β−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する化合物の具体例としては、PrimidXL−552(EMS社製)が挙げられる。
なお、本発明のフッ素系塗料が単位2Hを含む場合、硬化剤として、水酸基と反応し得る基を1分子中に2以上有する化合物をさらに含んでもよい。該化合物としては、イソシアネート基またはブロック化イソシアネート基を1分子中に2以上有する化合物が挙げられる。
本発明のフッ素系塗料が硬化剤を含む場合、硬化剤の含有量は、含フッ素重合体の全質量に対して、1〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
本発明のフッ素系塗料は、含フッ素重合体以外の樹脂(以下、「他の樹脂」ともいう。)を含んでもよい。この場合、本発明のフッ素系塗料中の含フッ素重合体に対する、他の樹脂の質量比は、0.30〜3.5が好ましく、0.35〜3.0がより好ましい。
他の樹脂は、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂またはエポキシ樹脂が好ましく、本塗膜の基材密着性の観点と、本塗膜の二層分離性の観点とから、ポリエステル樹脂または(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ダイセル・オルネクス社製の「CRYLCOAT(登録商標) 4642−3」、「CRYLCOAT(登録商標) 4890−0」、「CRYLCOAT(登録商標) 4842−3」、日本ユピカ社製の「ユピカコート(登録商標) GV−250」、「ユピカコート(登録商標) GV−740」、「ユピカコート(登録商標) GV−175」、「ユピカコート(登録商標) GV−110」、DSM社製の「Uralac(登録商標) 1680」が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂の具体例としては、DIC社製の「ファインディック(登録商標) A−249」、「ファインディック(登録商標) A−251」、「ファインディック(登録商標) A−266」、三井化学社製の「アルマテックス(登録商標) PD6200」、「アルマテックス(登録商標) PD7310」、三洋化成工業社製の「サンペックス PA−55」が挙げられる。
エポキシ樹脂の具体例としては、三菱化学社製の「エピコート(登録商標) 1001」、「エピコート(登録商標) 1002」、「エピコート(登録商標) 4004P」、DIC社製の「エピクロン(登録商標) 1050」、「エピクロン(登録商標) 3050」、新日鉄住金化学社製の「エポトート(登録商標) YD−012」、「エポトート(登録商標) YD−014」、「エポトート(登録商標) YDCN704」、ナガセケムテックス社製の「デナコール(登録商標) EX−711」、ダイセル社製の「EHPE3150」が挙げられる。
本発明のフッ素系塗料は、必要に応じて上記以外の成分(以下、「添加剤」ともいう。)を含んでもよい。添加剤の具体例としては、顔料、硬化触媒、紫外線吸収剤(各種の有機系紫外線吸収剤、無機系紫外線吸収剤等)、光安定剤(ヒンダードアミン光安定剤等)、つや消し剤(超微粉合成シリカ等)、レベリング剤、表面調整剤、脱ガス剤、可塑剤、充填剤、熱安定剤、増粘剤、分散剤、帯電防止剤、防錆剤、シランカップリング剤、防汚剤、低汚染化処理剤が挙げられる。
本発明のフッ素系塗料は、各成分を混合して製造できる。たとえば、本発明のフッ素系塗料が粉体塗料である場合には、以下の方法で製造するのが好ましい。
まず、溶液重合法で得られた含フッ素重合体を含む溶液から有機溶媒を留去して含フッ素重合体の粉末を得る。次いで、該粉末と、必要に応じて、硬化剤、他の樹脂、添加剤をドライブレンドして混合物を得て、得られた混合物を80〜130℃で溶融混練して溶融混練物を得る。次いで、得られた溶融混練物を冷却して、固化した溶融混練物を得る。次いで、固化した溶融混練物を粉砕して分級すれば、所望の粒子径の粉体塗料が得られる。
本発明のフッ素系塗料が水性塗料である場合には、乳化重合法で含フッ素重合体の水性分散液を得て、次いで、該水性分散液と、必要に応じて、硬化剤、他の樹脂、添加剤等を混合して水性塗料を得るのが好ましい。なお、溶液重合法で得られた含フッ素重合体を含む溶液の有機溶媒を水で置換し、含フッ素重合体を水中に分散させて水性塗料を得てもよい。含フッ素重合体を含む溶液の有機溶媒を水で置換する方法の具体例としては、含フッ素重合体が有するカルボキシ基を中和して、含フッ素重合体を水相に移行させ、その後、有機溶媒を除去する方法が挙げられる。
本発明のフッ素系塗料が溶剤塗料である場合には、溶液重合法で含フッ素重合体を含む溶液を得て、必要に応じて、硬化剤、他の樹脂、添加剤等を混合して溶剤塗料を得るのが好ましい。
塗装物品は、基材と、塗料により基材上に形成された塗膜と、を有する。
基材の材質の具体例としては、無機物、有機物、有機無機複合材が挙げられる。
無機物の具体例としては、コンクリート、自然石、ガラス、金属(鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮、チタン等)が挙げられる。
有機物の具体例としては、プラスチック、ゴム、接着剤、木材が挙げられる。
有機無機複合材の具体例としては、繊維強化プラスチック、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリートが挙げられる。
また、基材は、公知の表面処理(化成処理等)が施されていてもよい。また、基材の表面には、樹脂層(ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等)が形成されていてもよい。
なかでも、基材の材質は、金属が好ましく、アルミニウムがより好ましい。アルミニウム製の基材は、防食性に優れ、軽量で、外装部材等の建築材料用途に適している。
基材の形状、サイズ等は、特に限定されない。
基材の具体例としては、コンポジットパネル、カーテンウォール用パネル、カーテンウォール用フレーム、ウィンドウフレーム等の建築用の外装部材、タイヤホイール、ワイパーブレード、自動車外装等の自動車部材、建機、自動2輪のフレームが挙げられる。
本塗膜の厚さは、20〜1000μmが好ましく、20〜500μmがより好ましい。アルミニウムカーテンウォール等の高層ビル用の部材等の用途では、20〜90μmが好ましい。海岸沿いに設置されたエアコンの室外機、信号機のポール、標識等の耐候性の要求が高い用途では、100〜200μmが好ましい。
塗装物品の製造方法としては、本発明のフッ素系塗料を基材上に付与して塗装層を形成し、塗装層を硬化させて基材上に本塗膜を形成する方法が好ましい。
塗装層の形成方法の具体例としては、静電塗装法、静電吹付法、静電浸漬法、噴霧法、流動浸漬法、吹付法、スプレー法、溶射法、プラズマ溶射法が挙げられる。特に、本発明のフッ素系塗料が粉体塗料である場合、粉体塗装ガンを用いた静電塗装法が好ましい。
粉体塗装ガンの具体例としては、コロナ帯電型塗装ガン、摩擦帯電型塗装ガンが挙げられる。コロナ帯電型塗装ガンは、粉体塗料をコロナ放電処理して吹き付ける塗装ガンである。摩擦帯電型塗装ガンは、粉体塗料を摩擦帯電処理して吹き付ける塗装ガンである。
塗装層を硬化させる方法の具体例としては、乾燥処理、加熱処理が挙げられる。加熱温度と加熱維持時間は、フッ素系塗料が含む成分の種類や組成、所望する塗膜の厚さ等により適宜設定される。加熱温度は、通常26〜200℃であり、加熱維持時間は、通常2〜60分間である。加熱後は、20〜25℃まで冷却して、本塗膜を形成するのが好ましい。冷却は、急冷してもよく徐冷してもよく、本塗膜の基材密着性の観点から、徐冷が好ましい。
なお、含フッ素重合体はカルボキシ基を有するため、カルボキシ基が硬化剤(エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、またはβ−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する化合物等)と反応して、塗装層がより低温で硬化する。カルボキシ基と硬化剤との反応は、イソシアネート基を有する硬化剤を使用する場合のような高温(200℃程度)を必要としない利点がある。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、後述する表中における各成分の配合量は、質量基準を示す。また、例1〜例3は実施例、例4および例5は比較例である。
〔含フッ素塗料の製造に使用した成分〕
(含フッ素重合体)
以下の単量体を用い、後述する例により得られる含フッ素重合体を使用した。
単量体F:CFCH=CHF(HFO−1234ze)、CFCF=CH(HFO−1234yf)
単量体X:CF=CF(TFE)
単量体1:10−ウンデシレン酸(UDA)
単量体2:ネオノナン酸ビニルエステル(V9)(HEXION社製。商品名「ベオバ9」)、エチルビニルエーテル(EVE)、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE。単量体2Hにも相当する。)
〔例1〕
真空脱気したオートクレーブ(内容積2.7L)内に、酢酸ブチル(376g)、HFO−1234ze(410g)、HFO−1234yf(103g)、UDA(149g)、V9(331g)、およびEVE(136g)を導入し、撹拌下で昇温し、65℃に保持した。
次いで、オートクレーブ内に、tert−ブチルペルオキシピバレートの50質量%キシレン溶液(以下、「重合開始剤溶液」ともいう。)(2g)を添加し、重合を開始させた。なお、重合中は重合開始剤溶液(13.8g)を連続的に加えた。撹拌下で重合を続け、15時間後にオートクレーブを水冷して重合を停止した。
次いで、オートクレーブ内溶液をろ過して、得られたろ液に含まれる未反応の単量体をエバポレーターで除去し、含フッ素重合体1を含む溶液(含フッ素重合体濃度75質量%)を得た。
含フッ素重合体1は、HFO−1234zeに基づく単位、HFO−1234yfに基づく単位、UDAに基づく単位、V9に基づく単位、およびEVEに基づく単位を、この順に40モル%、10モル%、9モル%、20モル%、21モル%含む重合体であった。含フッ素重合体1のMnは8000であり、酸価は39mgKOH/gであった。
含フッ素重合体1を含む溶液(80g)を、エポキシ基を1分子中に2以上有する化合物(HUNTSMAN社製、PT−910(商品名)。以下、エポキシ硬化剤という。)(11g)、硬化触媒(ジブチルスズジラウレートのキシレン溶液(100倍希釈品)。以下同様。)(3g)およびキシレン(100g)と混合し、溶剤塗料を得た。得られた溶剤塗料を、フィルムアプリケータを用いて、クロメート処理されたアルミニウム板の表面に乾燥膜厚40μmになるよう塗装し、170℃で20分間保持し、溶剤塗料で形成された塗膜を有する塗膜付きアルミニウム板を得た。得られた塗膜付きアルミニウム板を試験片1として、後述の通り評価した。
〔例2〕
例1で得られた含フッ素重合体1を含む溶液を、65℃にて24時間真空乾燥して溶媒を除去し、さらに130℃にて20分加真空乾燥して得られるブロック状の含フッ素重合体1を粉砕して、粉末状の含フッ素重合体1を得た。
得られた粉末状の含フッ素重合体1(100g)、エポキシ硬化剤(8.6g)、硬化触媒(0.4g)、表面調整剤(ビックケミー社製、BYK−360P(商品名))(1.7g)、脱ガス剤(ベンゾイン)(0.7g)、および顔料(デュポン社製、Ti−Pure R960(商品名))(58.4g)を、高速ミキサを用いて混合して粉末状の混合物を得た。混合物を、2軸押出機を用いて、120℃のバレル設定温度にて溶融混練し、ペレットを得た。得られたペレットを25℃にて粉砕し、さらに分級して、平均粒子径が約40μmである粉体塗料を得た。
得られた粉体塗料を、クロメート処理されたアルミニウム板の表面に、乾燥膜厚40μmになるように静電塗装し、170℃で20分間保持し、粉体塗料で形成された塗膜を有する塗膜付きアルミニウム板を得た。得られた塗膜付きアルミニウム板を試験片2として、後述の通り評価した。
〔例3〕
使用する単量体の種類と量を表1に示すように変更した以外は、例1および例2と同様にして、粉末状の含フッ素重合体を得た。
得られた粉末状の含フッ素重合体を、メチルエチルケトンに溶解させ、含フッ素重合体2を含む溶液(含フッ素重合体濃度40質量%)を得た。該溶液の300gをフラスコに入れ、無水コハク酸の20質量%アセトン溶液(16.1g)およびトリエチルアミン(0.072g)を加え、70℃で6時間反応させた。次いで、フラスコ内溶液にトリエチルアミン(3.26g)を加え25℃にて20分撹拌した後、イオン交換水の180gを徐々に加え減圧留去し、さらにイオン交換水(90g)を加えて、メチルエチルケトンとアセトンを含まない、含フッ素重合体2を含む水性分散液(含フッ素重合体濃度40質量%)を得た。
含フッ素重合体2は、HFO−1234zeに基づく単位、HFO−1234yfに基づく単位、HBVEに基づく単位、HBVEに基づく単位のヒドロキシ基に無水コハク酸が付加して形成された単位(側鎖に−O(CHOC(O)CHCHCOOHを有する単位。以下、「HBVE−SA」ともいう。)、V9に基づく単位、およびEVEに基づく単位を、この順に40モル%、10モル%、6モル%、3モル%、20モル%、21モル%含む重合体であった。水性分散液の、酸価は17mgKOH/gであり、Mnは9000であった。
次に、顔料(堺化学工業社製、D918(商品名))(72g)、分散剤(BYK−Chemie社製、BYK−190(商品名))(5g)、消泡剤(BASF社製、デヒドラン1620(商品名))(0.5g)、イオン交換水(22.5g)を混合し、ミルベースを得た。
次いで、水性分散液(70g)、エポキシ硬化剤(2.1g)、イソシアネート基を1分子中に2以上有する化合物(Bayer社製、Bayhydur3100(商品名))(8g)、造膜助剤(Aldrich社製、CS−12)(5g)、およびミルベース(25g)を混合し、水性塗料を得た。得られた水性塗料を、フィルムアプリケータを用いて、クロメート処理されたアルミニウム板に乾燥膜厚40μmになるよう塗装し、170℃で20分間保持し、水性塗料で形成された塗膜を有する塗膜付きアルミニウム板を得た。得られた塗膜付きアルミニウム板を試験片3として、後述の通り評価した。
〔例4および5〕
使用する単量体の種類と量を表1に示すように変更し、かつエポキシ硬化剤をイソシアネート基を1分子中に2以上有する化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートHX(商品名))に変更した以外は、例1と同様にして、含フッ素重合体3および含フッ素重合体4、ならびに試験片4および試験片5を得た。
〔評価方法〕
(塗膜の基材密着性)
クロスカット法(JIS K 5600−5−6)によって判定した。試験片の塗膜を1mm間隔100マスの碁盤目状にカットし、その上に粘着テープを貼付し、続けてその粘着テープを剥離したときに、100マスのうち、粘着テープによって剥離しなかったマス目の数(マス数/100)から、以下の基準で基材密着性を評価した。
○:マス数が90超である。
×:マス数が90未満である。
(塗膜の撥水性)
試験片1〜5について、試験片に対する水の静的接触角を測定した。
試験片の表面に直径1〜2mmの純水を滴下し、着滴30秒後の液滴をビデオカメラで撮影して画像解析した。液滴の端点と頂点を結ぶ直線の、試験片に対する角度の2倍を静的接触角の値とした。
○:試験片に対する水の静的接触角が100度以上である。
×:試験片に対する水の静的接触角が100度未満である。
例1〜5で得られた含フッ素重合体の物性および塗膜についての評価結果をまとめて、表1に示す。
表1に示すように、カルボキシ基を有する含フッ素重合体を用いると、撥水性に優れ、かつ基材密着性に優れた塗膜を形成できることが示された(例1〜3参照。)。

Claims (11)

  1. CF−CH=CHFおよびCF−CF=CHからなる群から選択される少なくとも一種の単量体に基づく単位と、
    カルボキシ基を有する単量体に基づく単位と、
    ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、および(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種である単量体2に基づく単位と、
    を含む含フッ素重合体を含むことを特徴とする、フッ素系塗料。
  2. 前記カルボキシ基を有する単量体が、式CHR11=CHR12−Q−COOHで表される単量体である、請求項1に記載のフッ素系塗料。
    式中、R11およびR12は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、Qは、単結合、炭素数1〜12のアルキレン基または炭素数4〜12の−C(=O)O−を有するアルキレン基である。
  3. さらに硬化剤を含み、前記硬化剤が、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、またはβ−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する化合物である、請求項1または2に記載のフッ素系塗料。
  4. さらに有機溶媒を含み、前記含フッ素重合体が前記有機溶媒に溶解しており、溶剤塗料として用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ素系塗料。
  5. 前記含フッ素重合体が粉末状であり、粉体塗料として用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ素系塗料。
  6. 前記単量体2が、式−C(Z21で表される炭素数4〜8のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基を有し、3個のZ21はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基である、請求項5に記載のフッ素系塗料。
  7. さらに水を含み、前記含フッ素重合体が前記水に分散しており、水性塗料として用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ素系塗料。
  8. 前記単量体2が、式−Y−(OMn2OHで表される基を有する、請求項7に記載のフッ素系塗料。
    式中、Yは、炭素数2〜12の2価の飽和炭化水素基であり、Mは炭素数2〜4のアルキレン基であり、n2は12〜22である。
  9. CF−CH=CHFおよびCF−CF=CHからなる群から選択される少なくとも一種の単量体と、ヒドロキシ基を有する単量体と、ヒドロキシ基を有さない前記単量体2と、を有機溶媒中で重合して、次いで酸無水物を加えて反応させて前記含フッ素重合体を得て、次いで前記有機溶媒を水で置換し、前記含フッ素重合体を前記水に分散させる、請求項7または8に記載のフッ素系塗料の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のフッ素系塗料を基材上に付与して塗装層を形成し、前記塗装層を硬化させて前記基材上に塗膜を形成する、塗装物品の製造方法。
  11. 基材と、請求項1〜8のいずれか一項に記載のフッ素系塗料により前記基材上に形成されてなる塗膜とを有する、塗装物品。
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