JP2022063054A - 粉体塗料、塗装物品の製造方法、塗装物品 - Google Patents

粉体塗料、塗装物品の製造方法、塗装物品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れ、表面平滑性にも優れる塗膜を形成できる粉体塗料、粉体塗料を用いた塗装物品の製造方法、及び、塗装物品の提供。【解決手段】架橋性基を有する含フッ素重合体と、非フッ素重合体と、架橋性基と反応する硬化剤とを含む粉体塗料であって、含フッ素重合体の160℃における溶融粘度V1が、非フッ素重合体の160℃における溶融粘度V2よりも低く、含フッ素重合体の重量平均分子量が、30,000以下であることを特徴とする粉体塗料。【選択図】なし

Description

本発明は、粉体塗料、塗装物品の製造方法、及び、塗装物品に関する。
近年、塗料分野において、環境保全の点から、揮発性有機化合物(VOC)を含まない粉体塗料が注目されている。中でも、耐候性等を向上させる塗料として、含フッ素重合体を含む粉体塗料の開発がなされている。
更に、コストダウン等を目的として、含フッ素重合体と非フッ素重合体とを含むハイブリッド粉体塗料も提案されている。特許文献1には、フッ素樹脂とポリエステル樹脂とを含む粉体塗料組成物が記載されている。
特開2014-218671号公報
粉体塗料において、形成される塗膜の耐衝撃性及び表面平滑性のより一層の向上が求められている。本発明者が、特許文献1に記載の粉体塗料組成物について検討したところ、上記粉体塗料組成物を用いて形成された塗膜の耐衝撃性及び表面平滑性は、要求される水準に達していなかった。
本発明は、上記課題に鑑みて、耐衝撃性に優れ、表面平滑性にも優れる塗膜を形成できる粉体塗料、上記粉体塗料を用いた塗装物品の製造方法、及び、塗装物品の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題が解決できるのを見出した。
[1] 架橋性基を有する含フッ素重合体と、非フッ素重合体と、前記架橋性基と反応する硬化剤とを含む粉体塗料であって、上記含フッ素重合体の160℃における溶融粘度V1が、上記非フッ素重合体の160℃における溶融粘度V2よりも低く、上記含フッ素重合体の重量平均分子量が、30,000以下であることを特徴とする粉体塗料。
[2] 上記溶融粘度V1と上記溶融粘度V2との差が、20Pa・s以下である、[1]の粉体塗料。
[3] 上記溶融粘度V1及び上記溶融粘度V2がいずれも100Pa・s以下である、[1]又は[2]の粉体塗料。
[4] 上記含フッ素重合体が、フルオロオレフィンに基づく単位を含む、[1]~[3]のいずれかの粉体塗料。
[5] 上記非フッ素重合体の含有量に対する、上記含フッ素重合体の含有量の質量比が、0.1~10.0である、[1]~[4]のいずれかの粉体塗料。
[6] 更に、酸化チタン顔料を含む、[1]~[5]のいずれかの粉体塗料。
[7] 上記酸化チタン顔料の含有量が、上記含フッ素重合体及び上記非フッ素重合体の合計100質量部に対して、10質量部以上である、[6]の粉体塗料。
[8] 上記含フッ素重合体が水酸基価を有し、上記水酸基価が150mgKOH/g未満である、[1]~[7]のいずれかの粉体塗料。
[9] [1]~[8]のいずれかの粉体塗料を基材の表面に塗装して塗装層を形成し、上記塗装層を溶融硬化させて塗膜を形成する、塗装物品の製造方法。
[10] 基材と、前記基材の表面上に配置された[1]~[8]のいずれかの粉体塗料から形成されてなる塗膜とを有する、塗装物品。
本発明によれば、耐衝撃性に優れ、表面平滑性にも優れる塗膜を形成できる粉体塗料、上記粉体塗料を用いた塗装物品の製造方法、及び、塗装物品の提供をできる。
本発明における用語の意味は以下の通りである。
(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの総称であり、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの総称である。
単位とは、単量体の重合により直接形成された、上記単量体1分子に由来する原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。重合体が含む全単位に対する、それぞれの単位の含有量(モル%)は、重合体を核磁気共鳴スペクトル法により分析して求められる。
粒子の平均粒子径は、レーザー回折法を測定原理とした公知の粒度分布測定装置(Sympatec社商品名Helos-Rodos等)を用いて測定される粒度分布より体積平均を算出して求められる50%径の値である。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定される中間点ガラス転移温度である。ガラス転移温度は、Tgともいう。
溶融粘度は、回転式レオメータを用いて、周波数1Hzで、10℃/分の昇温条件にて130℃から200℃まで重合体を昇温した際の、所定温度における溶融粘度の値である。
重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値である。重量平均分子量はMwともいう。
酸価及び水酸基価は、それぞれ、JIS K 0070-3(1992)の方法に準じて測定される値である。
膜厚は、渦電流式膜厚計(サンコウ電子社商品名EDY-5000等)を用いて測定される値である。
本発明の粉体塗料(以下、本塗料ともいう。)は、架橋性基を有する含フッ素重合体と、非フッ素重合体と、架橋性基と反応する硬化剤とを含む粉体塗料であって、含フッ素重合体の160℃における溶融粘度V1が、非フッ素重合体の160℃における溶融粘度V2よりも低く、含フッ素重合体のMwが、30,000以下である。
このような本塗料を用いて本発明の課題を解決できる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測できる。
本塗料を用いた塗膜(以下、本塗膜ともいう。)を基材上に形成する際、上記溶融粘度V1が上記溶融粘度V2よりも低い場合、含フッ素重合体と非フッ素重合体とが相分離しやすく、含フッ素重合体が塗膜の表面側(基材側とは反対側)に、非フッ素重合体が塗膜の基材側に配置されやすい。本塗膜において、含フッ素重合体と非フッ素重合体とが上述のように配置された状態で硬化され、固定される結果、本塗膜の優れた耐衝撃性が得られたと推測される。また、所定の重量平均分子量を有する含フッ素重合体を用いた場合、硬化剤との架橋反応がより進行する結果、本塗膜の優れた耐衝撃性が得られたと推測される。また、溶融粘度が低い(重量平均分子量が低い)含フッ素重合体を用いることで、本塗膜が表面平滑性にも優れたと推測される。
なお、本塗料は、塗膜を形成する際の加熱温度が120~200℃と比較的低温である場合においても、上記特性を示す本塗膜を形成できる。
本塗料は、Mwが30,000以下であり、架橋性基を有する含フッ素重合体を含む。
含フッ素重合体の160℃における溶融粘度V1は、後述する非フッ素重合体の160℃における溶融粘度V2よりも低い。
溶融粘度V1と溶融粘度V2との差は、20Pa・s以下が好ましく、15Pa・s以下がより好ましく、13Pa・s以下が特に好ましい。
溶融粘度V1と溶融粘度V2との差は、0Pa・s超が好ましく、3Pa・s超がより好ましく、5Pa・s超が特に好ましい。
含フッ素重合体の160℃における溶融粘度V1は、100Pa・s以下が好ましく、50Pa・s以下がより好ましく、20Pa・s以下が更に好ましく、10Pa・s以下が特に好ましい。上記溶融粘度V1の下限は、例えば、0Pa・s超である。
含フッ素重合体の170℃における溶融粘度V1’は、後述する非フッ素重合体の170℃における溶融粘度V2’よりも低いことが好ましい。
溶融粘度V1’と溶融粘度V2’との差は、10Pa・s以下が好ましく、5Pa・s以下が特に好ましい。
溶融粘度V1’と溶融粘度V2’との差は、0Pa・s超が好ましく、1Pa・s超がより好ましく、2Pa・s超が特に好ましい。
含フッ素重合体の170℃における溶融粘度V1’は、40Pa・s以下が好ましく、20Pa・s以下がより好ましく、10Pa・s以下が更に好ましく、5Pa・s以下が特に好ましい。上記溶融粘度V1’の下限は、例えば、0Pa・s超である。
上記溶融粘度V1及びV1’を調整する方法の具体例としては、含フッ素重合体のMwを調整する方法、含フッ素重合体の有する単位の含有量を調整する方法が挙げられる。
含フッ素重合体のMwは、本塗膜の耐衝撃性及び表面平滑性の点から、29,000以下が好ましく、28,000以下が特に好ましい。上記Mwの下限は、例えば、25,000である。
含フッ素重合体は、フッ素原子を有する単位を含む。
フッ素原子を有する単位として、フルオロオレフィンに基づく単位(以下、単位A1ともいう。)を含むのが好ましい。
フルオロオレフィンは、水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されたオレフィンである。フルオロオレフィンは、フッ素原子で置換されていない水素原子の1個以上が塩素原子で置換されていてもよい。フルオロオレフィンの炭素数としては、2~8が好ましく、2~6がより好ましく、2~4が特に好ましい。
フルオロオレフィンの具体例としては、CF=CF、CF=CFCl、CF=CHF、CH=CF、CF=CFCF、CF=CHCF、CFCH=CHF、CFCF=CH、式CH=CXf1(CFn1f1(式中、Xf1及びYf1は、独立に水素原子又はフッ素原子であり、n1は2~10の整数である。)で表される単量体が挙げられる。
フルオロオレフィンとしては、本塗膜の耐候性の点から、CF=CF、CH=CF、CF=CFCl、CFCH=CHF、及び、CFCF=CHが好ましく、CF=CF、CH=CF及びCF=CFClがより好ましく、CF=CFClが特に好ましい。
フルオロオレフィンは、2種以上を併用してもよい。
含フッ素重合体は、フッ素原子を有する単位として、単位A1のみを含んでいてもよく、フルオロオレフィン以外のフッ素原子を含む単量体に基づく単位を含んでいてもよく、フルオロオレフィン以外のフッ素原子を含む単量体に基づく単位と単位A1との両方を含んでいてもよい。
単位A1の含有量は、本塗膜の耐候性の点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、20~80モル%が好ましく、30~70モル%がより好ましく、40~60モル%が特に好ましい。
含フッ素重合体が有する架橋性基の具体例としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、エポキシ基が挙げられ、ヒドロキシ基が好ましい。
上記架橋性基の数は、1又は2以上であってもよい。
上記架橋性基は、2種以上を併用してもよい。
含フッ素重合体は、架橋性基を有する単位を含むことが好ましく、ヒドロキシ基を有する単位(以下、単位A2ともいう。)を含むことが特に好ましい。
単位A2の具体例としては、ヒドロキシ基を有する単量体に基づく単位、及び、含フッ素重合体が側鎖に有する反応性基の少なくとも一部が、ヒドロキシ基に変換されてなる単位(例えば、アルコキシ基等の保護基を脱保護して得られるヒドロキシ基を有する単位)が挙げられる。単位A2は、含フッ素重合体の重合性の点から、フッ素原子を有さないのが好ましい。
ヒドロキシ基を有する単量体の具体例としては、アリルアルコール、又は、ヒドロキシ基を有する、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
ヒドロキシ基を有する単量体の具体例としては、CH=CHO-CH-cycloC10-CHOH、CH=CHCHO-CH-cycloC10-CHOH、CH=CHOCHCHOH、CH=CHCHOCHCHOH、CH=CHOCHCHCHCHOH、CH=CHCHOCHCHCHCHOHが挙げられる。ヒドロキシ基を有する単量体としては、フルオロオレフィンとの共重合性の点から、CH=CHCHOCHCHOH、及び、CH=CHOCHCHCHCHOHが好ましい。
なお、「-cycloC10-」はシクロへキシレン基を表し、「-cycloC10-」の結合部位は、通常1,4-である。
ヒドロキシ基を有する単量体は、2種以上を併用してもよい。
架橋性基を有する単位(好ましくは、単位A2)の含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、1~40モル%が好ましく、3~25モル%がより好ましく、5~15モル%が特に好ましい。
含フッ素重合体は、本塗膜の塗膜物性を調節するために、架橋性基を有さず、かつフッ素原子を有さない単位(以下、単位A3ともいう。)を更に含むのが好ましい。
単位A3は、架橋性基を有さず、かつフッ素原子を有さない単量体(以下、単量体A3ともいう。)に基づく単位が好ましい。
単量体A3の具体例としては、アルケン、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
単量体A3としては、フッ素原子を有する単量体との重合性の点から、ビニルエーテル及びビニルエステルが好ましい。
単量体A3の具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、エチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ネオデカン酸ビニルが挙げられる。
単量体A3は、2種以上を併用してもよい。
単量体A3は、含フッ素重合体のTgが向上し、本塗料の耐ブロッキング性が向上する点から、少なくとも一部は式X-Zで表される単量体A31が好ましい。
は、CH=CHC(O)O-、CH=C(CH)C(O)O-、CH=CHOC(O)-、CH=CHCHOC(O)-、CH=CHO-、又は、CH=CHCHO-である。
は、フッ素原子を有する単量体との重合性の点から、CH=CHOC(O)-、CH=CHCHOC(O)-、CH=CHO-、及び、CH=CHCHO-が好ましく、CH=CHOC(O)-、CH=CHO-、及び、CH=CHCHOC(O)-が特に好ましい。
は、式-C(ZR1で表される炭素数4~8のアルキル基(ただし、3個のZR1はそれぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基である。)、炭素数6~10のシクロアルキル基、炭素数6~10のシクロアルキルアルキル基、炭素数6~10のアリール基、又は、炭素数7~12のアラルキル基である。中でも、本塗膜の耐候性の点から、式-C(ZR1で表される炭素数4~8のアルキル基及び炭素数6~10のシクロアルキル基が好ましい。
式-C(ZR1で表される基は、この式で明示された「C(炭素原子)」に3個の式ZR1で表される基が結合した3級炭素原子を有する構造を有しており、上記基が式Xで表される基に直接結合している。3個のZR1は、3個ともにメチル基であるか、1個がメチル基であり、残りの2個がそれぞれ独立に炭素数2~5のアルキル基であるか、2個がメチル基であり、1個が炭素数3~5のアルキル基であるのが好ましい。1個がメチル基であり、残りの2個がそれぞれ独立に炭素数2~5のアルキル基である場合、3個のZのうちの残りの2個の炭素原子の総数は、4~6が好ましい。式-C(ZR1で表される基は、tert-ブチル基、及び、ZR1で表される基の2個がメチル基でありかつ1個が炭素数3~5のアルキル基である3級アルキル基が特に好ましい。
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましい。
シクロアルキルアルキル基としては、シクロヘキシルメチル基が好ましい。
アラルキル基としては、ベンジル基が好ましい。
アリール基としては、フェニル基及びナフチル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
なお、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アラルキル基の水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、置換基としてのアルキル基の炭素数は、シクロアルキル基、アリール基の炭素数には含めない。
単量体A31の具体例としては、シクロヘキシルビニルエーテル、ピバル酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、安息香酸ビニル、tert-ブチルビニルエーテル、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
単量体A31は、2種以上を併用してもよい。
含フッ素重合体が単位A3を含む場合の単位A3の含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、5~60モル%が好ましく、20~50モル%がより好ましく、30~45モル%が特に好ましい。含フッ素重合体が単量体A31に基づく単位を含む場合、単量体A31に基づく単位の含有量は、含フッ素重合体のTgが向上する点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、5~60モル%が好ましく、20~50モル%がより好ましく、30~45モル%が特に好ましい。
含フッ素重合体は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、単位A1と単位A2と単位A3とを、この順に20~80モル%、1~40モル%、5~60モル%含むのが好ましく、40~60モル%、5~15モル%、30~45モル%含むのが特に好ましい。
含フッ素重合体のTgは、本塗料の耐ブロッキング性及び本塗膜の表面平滑性が向上する点から、20~120℃が好ましく、20~80℃がより好ましく、30~60℃が更に好ましく、35~50℃が特に好ましい。
含フッ素重合体の水酸基価は、架橋密度の点から、0mgKOH/g超150mgKOH/g未満が好ましく、5~100mgKOH/gがより好ましく、15~70mgKOH/gが更に好ましく、30~60mgKOH/gが特に好ましい。
含フッ素重合体は酸価を有してもよく、この場合の含フッ素重合体の酸価は、50mgKOH/g以下が好ましく、1mgKOH/g以下がより好ましく、0.1mgKOH/g以下が特に好ましい。上記の酸価の下限は、例えば、0mgKOH/gである。
含フッ素重合体は、公知の方法で製造できる。
含フッ素重合体の製造方法としては、溶媒とラジカル重合開始剤の存在下、各単量体を共重合させる方法が挙げられ、具体例としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合が挙げられる。製造における反応温度、反応圧力及び反応時間は、適宜調整されればよい。
本塗料は、非フッ素重合体を含む。
非フッ素重合体の160℃における溶融粘度V2は、含フッ素重合体の160℃における溶融粘度V1よりも高い。
非フッ素重合体の160℃における溶融粘度V2は、100Pa・s以下が好ましく、50Pa・s以下がより好ましく、20Pa・s以下が特に好ましい。上記溶融粘度V2の下限は、例えば、0Pa・s超である。
非フッ素重合体の170℃における溶融粘度V2’は、50Pa・s以下が好ましく、10Pa・s以下がより好ましく、10Pa・s以下が特に好ましい。上記溶融粘度V2’の下限は、例えば、0Pa・s超である。
溶融粘度を調整する方法の具体例としては、非フッ素重合体のMwを調整する方法、非フッ素重合体の有する単位の含有量を調整する方法が挙げられる。
非フッ素重合体としては、フッ素原子を有さず、上記含フッ素重合体と非相溶の、常温で固体の重合体が好ましい。
非フッ素重合体は、架橋性基を有してもよい。
非フッ素重合体が有する架橋性基の具体例としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基、エポキシ基が挙げられ、ヒドロキシ基が好ましい。
上記架橋性基の数は、1又は2以上であってもよい。
上記架橋性基は、2種以上を併用してもよい。
非フッ素重合体の具体例としては、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリウレタンが挙げられる。非フッ素重合体としては、ポリエステルが好ましく、直鎖状のポリエステルが特に好ましい。
ポリエステルは、例えば、多価カルボン酸に基づく単位と多価アルコールに基づく単位とがエステル結合で連結した構造を含む重合体である。ポリエステルは、多価カルボン酸に基づく単位及び多価アルコールに基づく単位以外の単位として、ヒドロキシカルボン酸に基づく単位等を含んでもよい。
多価カルボン酸としては、炭素数8~15の芳香族カルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、フタル酸無水物が挙げられる。
多価カルボン酸としては、耐候性の点から、イソフタル酸が好ましい。
多価カルボン酸は、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、炭素数2~10の多価アルコールが好ましい。
多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、1,10-デカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールとしては、ネオペンチルグリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール及びトリメチロールプロパンが好ましく、ネオペンチルグリコール及びトリメチロールプロパンが特に好ましい。
多価アルコールは、2種以上を併用してもよい。
非フッ素重合体の軟化温度は、本塗料を塗料化する際の分散性の点から、100~150℃が好ましく、105~130℃が特に好ましい。
非フッ素重合体のTgは、本塗料の耐ブロッキング性の点から、35~150℃が好ましく、50~100℃が特に好ましい。
非フッ素重合体のMwは、本塗膜の耐衝撃性の点から、2,000~20,000が好ましく、4,000~10,000が特に好ましい。
非フッ素重合体は、ヒドロキシ基を有するのが好ましい。
なお、非フッ素重合体が水酸基価を有していない場合、含フッ素重合体の水酸基価は0mgKOH/gである。
非フッ素重合体がヒドロキシ基を有する場合、非フッ素重合体の水酸基価は、1~500mgKOH/gが好ましく、5~400mgKOH/gがより好ましく、20~350mgKOH/gが特に好ましい。
非フッ素重合体がヒドロキシ基を有する場合、非フッ素重合体の酸価は、5mgKOH/g以下であることが好ましい。
非フッ素重合体の水酸基価と含フッ素重合体の水酸基価とでは、非フッ素重合体の水酸基価の方が含フッ素重合体の水酸基価よりも高くてもよく、含フッ素重合体の水酸基価の方が非フッ素重合体の水酸基価よりも高くてもよい。
塗膜の耐薬品性の点から、非フッ素重合体の水酸基価と、含フッ素重合体の水酸基価との差は、1mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましく、15mgKOH/g以上が特に好ましい。上記差の上限は、例えば、300mgKOH/g以下である。
非フッ素重合体は、カルボキシ基を有してもよい。
非フッ素重合体がカルボキシ基を有する場合、非フッ素重合体の酸価は、0.1~80mgKOH/gが好ましく、0.2~50mgKOH/gがより好ましく、0.3~40mgKOH/gが特に好ましい。
非フッ素重合体は、酸価と水酸基価との両方を有していてもよい。
非フッ素重合体の具体例としては、ダイセル・オルネクス社商品の「CRYLCOAT 4890-0」(水酸基価:30mgKOH/g)、「CRYLCOAT 2828」(水酸基価:100mgKOH/g)、「CRYLCOAT 2814」(水酸基価:300mgKOH/g)、日本ユピカ社商品の「ユピカコート GV-740」(水酸基価:50mgKOH/g)、「ユピカコート GV-150」(水酸基価:34.0mgKOH/g)、「ユピカコート GV-110」(水酸基価:49mgKOH/g)、「BIOMUP」(水酸基価:32mgKOH/g)、DSM社商品の「Uralac 1680」(水酸基価:30mgKOH/g)、DIC社商品の「ファインディック M-8010」(水酸基価:24mgKOH/g)、「ファインディック M-8021」(水酸基価:30mgKOH/g)、「ファインディック M-8023」(水酸基価:40mgKOH/g)が挙げられる。
また、非フッ素重合体の具体例としては、国際公開第2016/068255の段落[0064]~[0082]も挙げられる。
非フッ素重合体は、2種以上を併用してもよい。
本塗料中、含フッ素重合体の含有量は、本塗料の全質量に対して、5~50質量%が好ましく、8~40質量%がより好ましく、10~35質量%が特に好ましい。
本塗料中、非フッ素重合体の含有量は、本塗料の全質量に対して、5~65質量%が好ましく、6~60質量%がより好ましく、10~50質量%が特に好ましい。
本塗料中、含フッ素重合体及び非フッ素重合体(以下、含フッ素重合体及び非フッ素重合体を総じて、重合体成分ともいう。)の合計含有量は、本塗料の全質量に対して、20~90質量%が好ましく、25~80質量%がより好ましく、40~70質量%が特に好ましい。
含フッ素重合体の含有量は、重合体成分の合計含有量に対して、1~60質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、20~50質量%が特に好ましい。
非フッ素重合体の含有量は、重合体成分の合計含有量に対して、10~90質量%が好ましく、15~85質量%がより好ましく、20~80質量%が特に好ましい。
非フッ素重合体の含有量に対する、含フッ素重合体の含有量の質量比(含フッ素重合体の含有量/非フッ素重合体の含有量)は、0.1~10.0が好ましく、0.5~5.0がより好ましく、0.7~4.0が更に好ましく、0.7~1.5が特に好ましい。
本塗料は、含フッ素重合体が有する架橋性基と反応する硬化剤を含む。
硬化剤は、フッ素重合体が有する架橋性基以外に、非フッ素重合体が有する架橋性基と反応してもよい。
硬化剤は、含フッ素重合体が有する架橋性基と反応し得る基を1分子中に2以上有し、含フッ素重合体を架橋させることができる。硬化剤は、上記架橋性基と反応し得る基を通常、2~30個有する。
一般的には、イソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を1分子中に2以上有する硬化剤と、ヒドロキシ基を有する含フッ素重合体とが架橋する。
イソシアネート基を1分子中に2以上有する硬化剤の具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、及び、これらの変性体が挙げられる。
ブロック化イソシアネート基を1分子中に2以上有する硬化剤の具体例としては、ジイソシアネート(キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等)とブロック化剤とを反応させて得られる化合物が挙げられる。
ブロック剤の具体例としては、アルコール、フェノール、活性メチレン、アミン、イミン、酸アミド、ラクタム、オキシム、ピラゾール、イミダゾール、イミダゾリン、ピリミジン、グアニジンが挙げられる。
重合体成分のいずれか1種以上が酸価を有する場合等に、カルボキシ基と反応し得る基(エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、β-ヒドロキシアルキルアミド基等)を1分子中に2以上有する硬化剤を使用してもよい。
硬化剤は、2種以上を併用してもよい。
硬化剤の含有量は、重合体成分の合計含有量に対して、1~80質量%が好ましく、10~75質量%がより好ましく、10~20質量%が特に好ましい。
本塗料は、更に添加剤を含んでもよい。
添加剤の具体例としては、顔料、触媒(硬化触媒等)、フィラー(樹脂ビーズ等)、光安定剤、紫外線吸収剤、つや消し剤、表面調整剤、脱ガス剤、流動剤、熱安定剤、帯電防止剤、防錆剤、シランカップリング剤、低汚染化処理剤、可塑剤、接着剤等が挙げられる。
顔料の具体例としては、有機顔料、無機顔料が挙げられる。
顔料としては、無機顔料が好ましく、酸化チタン顔料が特に好ましい。酸化チタン顔料としては、光触媒反応が進行しにくくなるような表面処理がなされたものが好ましく、具体的には、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セレン、ポリオール等の有機成分等で表面処理された酸化チタンが好ましい。酸化チタン顔料が表面処理されている場合、表面処理によって酸化チタン含有量が70~95質量%に調整されていることが好ましく、83~90質量%に調整されていることが特に好ましい。
顔料(好ましくは酸化チタン顔料)の含有量は、重合体成分の合計含有量の合計100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、15~80質量部がより好ましく、20~70質量部が特に好ましい。
本塗料が顔料を含む場合、顔料(好ましくは酸化チタン顔料)の含有量は、本塗料の全質量に対して、5~50質量%が好ましく、10~40質量%が特に好ましい。
紫外線吸収剤の具体例としては、有機系紫外線吸収剤、無機系紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤は本塗膜の表面側に偏在して本塗膜中の非フッ素重合体を保護しやすい点から、紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤が好ましい。
有機系紫外線吸収剤としては、サリチル酸エステル系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、及びトリアジン系(特に、ヒドロキシフェニルトリアジン系)が好ましい。
紫外線吸収剤の具体例としては、BASF社商品名「Tinuvin 326」、「Tinuvin 405」、「Tinuvin 460」、「Tinuvin 900」、「Tinuvin 928」、Clariant社商品名「Sanduvor VSU powder」、「Hastavin PR-25 Gran」が挙げられる。
本塗料が紫外線吸収剤を含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、本塗料の全質量に対して、0.01~30質量%が好ましく、1~10質量%が特に好ましい。
重合体成分の合計含有量に対する紫外線吸収剤の含有量の質量比(紫外線吸収剤の含有量/含フッ素重合体と非フッ素重合体との合計含有量)は、0.01~1が好ましく、0.05~0.5が特に好ましい。紫外線吸収剤を上記範囲内で含む塗料を用いれば、紫外線吸収剤が塗膜表面側に偏在しやすいと考えられ、塗膜の耐候性に優れる。
光安定剤は、本塗膜中の非フッ素重合体が偏在する領域に偏在しやすく、非フッ素重合体の劣化を抑制する点から、ヒンダードアミン系が好ましい。
光安定剤の具体例としては、BASF社商品名「Tinuvin 111FDL」、「Tinuvin 144」、「Tinuvin 152」、Clariant製の「Sanduvor 3051 powder」、Clariant社商品名「Sanduvor 3070 powder」、「VP Sanduvor PR-31」が挙げられる。
本塗料が光安定剤を含む場合、光安定剤の含有量は、本塗料の全質量に対して、0.01~30質量%が好ましく、0.05~20質量%がより好ましく、1~5質量%が特に好ましい。
本塗料は、溶媒(水、有機溶媒等)を含んでも含まなくてもよく、溶媒を含まないのが好ましい。溶媒の含有量は、本塗料の全質量に対して、1質量%未満が好ましく、1質量ppm以下がより好ましく、0質量%が特に好ましい。
本塗料における、ASTM D 4242-02に従って測定されるペレットフローは、30~150mmが好ましく、31~45mmがより好ましく、32~45mmが特に好ましい。
本塗料は、含フッ素重合体、非フッ素重合体、硬化剤、及び、必要に応じて添加剤を混合して製造できる。混合する含フッ素重合体、非フッ素重合体、硬化剤、添加剤等は、それぞれ独立した粉体状又はペレット状であってよい。
本塗料の製造方法の一態様としては、含フッ素重合体を含む粉体Aと、非フッ素重合体を含む粉体Bとを混合して粉体塗料を得る方法が挙げられる。この方法はドライブレンドとも称され、混合に際して溶融混練を行わない方法である。この場合、粉体A及び粉体Bの少なくともいずれかは硬化剤を含む。
また、本塗料の製造方法の一態様としては、含フッ素重合体、非フッ素重合体、硬化剤、及び、必要に応じて添加剤を、溶融混練し、冷却し、次いで粉砕して粉体塗料を得る方法が挙げられる。この場合、含フッ素重合体、及び、非フッ素重合体が同一粒子内に含まれる。本塗料は、溶融混練により製造されるのが好ましい。溶融混練の温度としては、80~130℃が好ましい。
粉砕は、ピンミル、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて行えばよい。粉砕を行った後は、粉砕物を分級して、得られる粉体塗料の粒子径を揃えるのが好ましい。粉体塗料の平均粒子径は、1~100μmが好ましく、10~80μmがより好ましく、25~50μmが特に好ましい。
本塗膜は、本塗料を基材上に付与して形成される。
また、本発明の塗装物品は、基材と、基材上に配置された本塗料から形成されてなる塗膜と有する。
基材の材質の具体例としては、無機物、有機物、有機無機複合材が挙げられる。
無機物の具体例としては、コンクリート、自然石、ガラス、金属(鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮、チタン等)が挙げられる。
有機物の具体例としては、プラスチック、ゴム、接着剤、木材が挙げられる。
有機無機複合材の具体例としては、繊維強化プラスチック、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリートが挙げられる。
また、基材は、公知の表面処理(化成処理等)が施されていてもよい。また、基材の表面には、プライマー等を塗布して形成される樹脂層(ポリエステル樹脂層、アクリル樹脂層、シリコーン樹脂層等)等を予め有してもよい。
基材の材質としては、金属が好ましく、アルミニウムが特に好ましい。アルミニウム製の基材は、防食性に優れ、軽量で、外装部材等の建築材料用途に適する。
基材の形状、サイズ等は、特に限定されない。
基材の具体例としては、コンポジットパネル、カーテンウォール用パネル、カーテンウォール用フレーム、ウィンドウフレーム等の建築用の外装部材、タイヤホイール、ワイパーブレード、自動車外装等の自動車部材、建機、自動2輪のフレームが挙げられる。
本塗膜の膜厚としては、20~1,000μmが好ましく、20~500μmが特に好ましい。アルミニウムカーテンウォール等の高層ビル用の部材等の用途では、20~90μmが好ましい。海岸沿いに設置されたエアコンの室外機、信号機のポール、標識等の耐候性の要求が高い用途では、100~200μmが好ましい。
本塗料が酸化チタン顔料を含む場合、本塗膜をSEM/EDXを用いて分析して求められる、本塗膜の表面におけるTiの原子数に対するFの原子数の比(Fの原子数/Tiの原子数)は、5.0以上が好ましく、10.0以上がより好ましく、15.0以上が特に好ましい。上記比の上限は、40.0以下が好ましく、20.0以下が特に好ましい。
上記比が上記範囲である場合、塗膜表面における酸化チタンの光触媒作用による、塗膜へのダメージが少なく、特に本塗膜を屋外で使用する場合において、本塗膜の耐候性が優れると考えられる。
本発明の塗装物品は、本塗料を基材の表面に付与(塗装)して塗装層を形成し、得られた塗装層を加熱処理、次いで冷却して得るのが好ましい。
塗装層の形成方法としては、静電塗装法、静電吹付法、静電浸漬法、流動浸漬法、吹付法等の塗装法等が挙げられ、粉体塗装ガンを用いた静電塗装が好ましい。
粉体塗装ガンの具体例としては、コロナ帯電型塗装ガン、摩擦帯電型塗装ガンが挙げられる。コロナ帯電型塗装ガンは、粉体塗料をコロナ放電処理して吹き付ける塗装ガンである。摩擦帯電型塗装ガンは、粉体塗料を摩擦帯電処理して吹き付ける塗装ガンである。
加熱処理時の加熱温度は、120~200℃が好ましい。加熱維持時間は、通常2~60分間である。加熱処理後は、20~25℃まで冷却するのが好ましい。加熱処理及び冷却によって塗装層が溶融及び硬化(溶融硬化)し、本塗膜が形成される。
以下、例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし本発明はこれらの例に限定されない。なお、例1~2は実施例であり、例3は比較例である。
(使用した成分の名称及び略称)
CTFE:クロロトリフルオロエチレン
CHVE:シクロヘキシルビニルエーテル
HBVE:4-ヒドロキシブチルビニルエーテル
PF1:CTFEに基づく単位、CHVEに基づく単位、HBVEに基づく単位を、この順にそれぞれ、50モル%、39モル%、11モル%含む含フッ素重合体(Tg:45℃、Mw:27,050、水酸基価:45mgKOH/g、160℃における溶融粘度V1:6Pa・s、170℃における溶融粘度V1’:2Pa・s)
PF2:CTFEに基づく単位、CHVEに基づく単位、HBVEに基づく単位を、この順にそれぞれ、50モル%、39モル%、11モル%含む含フッ素重合体(Tg:53℃、Mw:48,600、水酸基価:44mgKOH/g、160℃における溶融粘度V1:121Pa・s、170℃における溶融粘度V1’:48Pa・s)
PE1:ポリエステル、ダイセル・オルネクス社商品名 CRYLCOAT 4890-0(Tg:58℃、水酸基価:30mgKOH/g、160℃における溶融粘度V2:16Pa・s、170℃における溶融粘度V2’:5Pa・s)
なお、溶融粘度は、回転式レオメータを用いて、測定温度:130℃から200℃まで昇温し、昇温速度:10℃/分、周波数:1Hzの条件で測定際の、160℃又は170℃の際の値である。
硬化剤1:エボニック社商品名 ベスタゴン B1530
硬化剤2:エボニック社商品名 ベスタゴン BF1540
表面調整剤1:ビックケミー社商品名 BYK-360P
表面調整剤2:モンサント社商品名 モダフローパウダーIII
脱ガス剤:ベンゾイン
顔料:酸化チタン顔料(Chemours社商品名 Ti-Pure R960、酸化チタン含有量:89質量%)
(粉体塗料の製造)
各成分を表1に示す各配合で高速ミキサ(佑崎有限公司社製)を用いて混合し、粉体状の混合物を得た。得られた混合物を、2軸押出機(サーモプリズム社製、16mm押出機)を用いて、120℃のバレル設定温度で溶融混練して、ペレットを得た。得られたペレットを粉砕機(FRITSCH社製、製品名:ロータースピードミルP14)を用いて25℃で粉砕した。得られた粉体を、150メッシュの網を用いて分級して、平均粒子径が約40μmである各例の粉体塗料を得た。
(試験片の作製と評価)
各粉体塗料を用いて、クロメート処理を行ったアルミニウム基材の一面に、静電塗装機(小野田セメント社商品名、GX3600C)を用いて静電塗装を行い、アルミニウム基材上に粉体塗料層を形成した。得られた粉体塗料層付きアルミニウム基材を、加熱処理として200℃の雰囲気中で20分間保持して溶融硬化させた後、25℃まで冷却し、厚さ55~65μmの各塗膜付きアルミニウム板を得た。得られた塗膜付きアルミニウム板を試験片として、それぞれ評価した。
(評価方法)
<耐衝撃性>
デュポン式衝撃試験器を用いて、例1~3の試験片の塗膜側に所定の高さから、おもり(重さ500g)を落下させ、落下地点のひび及び割れの有無を観察した。
A:79cm超100cm以下の高さから落下させた場合に、割れ及びひびが生じない。
B:79cm超100cm以下の高さから落下させた場合に、割れ及びひびが生じる。
<表面平滑性>
PCI(パウダーコーティングインスティチュート)により平滑性目視判定用標準板を用いて、例1~3の試験片の塗膜表面の平滑性を以下の基準に従って評価した。標準板は1~10の10枚あり、数字が大きくなるに従い表面平滑性に優れる。
S:PCIが7以上である。
A:PCIが5以上7未満である。
B:PCIが5未満である。
結果を下記表に示す。
Figure 2022063054000001
表1に示す通り、本塗料を用いた場合、耐衝撃性に優れ、かつ、表面平滑性にも優れた塗膜を得られた。例2では、溶融粘度の低いPF1の含有割合が大きいため、更に表面平滑性に優れた塗膜を得られた。

Claims (10)

  1. 架橋性基を有する含フッ素重合体と、非フッ素重合体と、前記架橋性基と反応する硬化剤とを含む粉体塗料であって、
    前記含フッ素重合体の160℃における溶融粘度V1が、前記非フッ素重合体の160℃における溶融粘度V2よりも低く、
    前記含フッ素重合体の重量平均分子量が、30,000以下であることを特徴とする粉体塗料。
  2. 前記溶融粘度V1と前記溶融粘度V2との差が、20Pa・s以下である、請求項1に記載の粉体塗料。
  3. 前記溶融粘度V1及び前記溶融粘度V2がいずれも100Pa・s以下である、請求項1又は2に記載の粉体塗料。
  4. 前記含フッ素重合体が、フルオロオレフィンに基づく単位を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の粉体塗料。
  5. 前記非フッ素重合体の含有量に対する、前記含フッ素重合体の含有量の質量比が、0.1~10.0である、請求項1~4のいずれか一項に記載の粉体塗料。
  6. 更に、酸化チタン顔料を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の粉体塗料。
  7. 前記酸化チタン顔料の含有量が、前記含フッ素重合体及び前記非フッ素重合体の合計100質量部に対して、10質量部以上である、請求項6に記載の粉体塗料。
  8. 前記含フッ素重合体が水酸基価を有し、前記水酸基価が150mgKOH/g未満である、請求項1~7のいずれか一項に記載の粉体塗料。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の粉体塗料を基材の表面に塗装して塗装層を形成し、前記塗装層を溶融硬化させて塗膜を形成する、塗装物品の製造方法。
  10. 基材と、前記基材の表面上に配置された請求項1~8のいずれか一項に記載の粉体塗料から形成されてなる塗膜とを有する、塗装物品。
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