JP2020105121A - 重合性歯科用分離剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベタツキが少なく、かつ容易に除去可能な重合性歯科用分離剤の提供。【解決手段】ラジカル重合性化合物(A)、及び重合開始剤(B)を含有し、硬化後の未重合層厚みが100μm以下であり、曲げ弾性率が1.50GPa以下であり、かつ全破壊仕事が5.0kJ/m2以上である、重合性歯科用分離剤。【選択図】なし

Description

本発明は、重合性歯科用分離剤に関する。
齲蝕等により損傷した歯質(エナメル質、象牙質及びセメント質)の修復治療において、欠損した歯冠部にクラウン、インレー、ブリッジ等の歯冠用修復材料を合着するための材料として、一般的に歯科用セメントが用いられている。歯質と歯冠用修復材料とを歯科用セメントを用いて合着する際には、通常、若干過剰な量の歯科用セメントを被着面となる歯冠用修復材料の内壁面に塗布し、歯質に圧接させる。この圧接操作の際、歯科用セメントの過剰分が歯質と歯冠用修復材料との接合部(以下、マージン部ともいう)からはみ出すが、そのはみ出したセメント(以下、余剰セメントともいう)は、通常、未硬化のまま、もしくは半硬化させた後に、歯科用探針や歯科用フロスなどによって除去される。
この場合、マージン部よりはみ出した余剰セメントが接着を必要としない歯質表面、歯冠用修復材料表面、口腔粘膜表面、または歯肉縁下などに付着したまま硬化することがしばしばある。余剰セメントが完全に硬化して、歯質表面や歯冠修復材料表面などに強固に接着してしまうと、その除去に多大な労力を要する。また、口腔粘膜表面や歯肉縁下などに余剰セメントもしくはその硬化物が残存した場合には歯肉炎を引き起こす可能性もある。
接着を必要としない部分に付着した余剰セメントの除去を容易にすることを目的に、歯科用分離剤が使用されることがある。一般的な分離剤としては、水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)を含むものが知られている(例えば、特許文献1、2などを参照)。その操作方法としては、通常、まず歯冠用修復材料表面などに塗布してポリマー被膜を形成させることにより余剰セメントと歯冠用修復材料表面などとの接触を遮断させる。その後、歯科用分離剤は、余剰セメントが除去された後に水洗などにより除去される。
例えば、特許文献1には分子内に少なくとも2個の水酸基を有し、凝固点が15℃以下であって、水溶性または水分散性である水酸基含有化合物、及び分子内に少なくとも2個の水酸基を有し、凝固点が30℃以上であって、水溶性または水分散性である水酸基含有化合物を含有する歯科用分離剤が優れた塗布性、分離性、水洗性を示すことが記載されている。
また、特許文献2に記載の歯科用分離剤は、重合禁止剤、及び水溶性ポリマーからなる歯科用分離剤が優れた分離性と水洗性を示すことが記載されている。
特開平11−302122号公報 特開2000−26224号公報
上述のとおり、従来の歯科用分離剤は、接着を必要としない部分に付着した余剰セメントを容易に除去できる点では優れている。一方で、臨床においては、治療の流れの中で手などで歯冠修復材料を持つ際に、従来の歯科用分離剤が塗布された箇所はベタツキが非常に大きいことから作業しにくいといった課題があった。さらには、余剰セメントを除去した後に、別途、水洗等で歯科用分離剤を除去する必要があるため、より簡便な操作で歯科用分離剤を除去できる方法が求められていた。
そこで、本発明は、ベタツキが少なく、かつ容易に除去可能な重合性歯科用分離剤を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1]ラジカル重合性化合物(A)、及び重合開始剤(B)を含有し、
硬化後の未重合層厚みが100μm以下であり、曲げ弾性率が1.50GPa以下であり、かつ全破壊仕事が5.0kJ/m2以上である、重合性歯科用分離剤。
[2]前記ラジカル重合性化合物(A)が(メタ)アクリルアミド化合物(a1)を含有する、前記[1]に記載の重合性歯科用分離剤。
[3]前記(メタ)アクリルアミド化合物(a1)が、下記の一般式(I)
Figure 2020105121
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜8のアルキル基であり、R2及びR3は直接結合してもよい。)
で表される(メタ)アクリルアミド化合物(a1−I)、及び
下記の一般式(II)
Figure 2020105121
(式中、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は非置換又は置換された炭素数1〜8のアルキレン基であり、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜8のアルキル基であり、R5はR6、R7及びR8と直接結合しておらず、R6はR7及びR8と直接結合しておらず、R7はR8と直接結合していない。)
で表される(メタ)アクリルアミド化合物(a1−II)、からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[2]に記載の重合性歯科用分離剤。
[4]前記(メタ)アクリルアミド化合物(a1)が環状構造を有する(メタ)アクリルアミド化合物である、前記[2]又は[3]に記載の重合性歯科用分離剤。
[5]前記ラジカル重合性化合物(A)がウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)を含有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の重合性歯科用分離剤。
[6]前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)が、1分子内に、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有する、前記[5]に記載の重合性歯科用分離剤。
[7]前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)のガラス転移温度が60℃以下である前記[5]又は[6]に記載の重合性歯科用分離剤。
[8]前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)の重量平均分子量が800〜15000であり、25℃における粘度が10,000〜250,000mPa・sである前記[5]〜[7]のいずれかに記載の重合性歯科用分離剤。
[9]前記重合開始剤(B)が、光重合開始剤(B−1)を含む、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の重合性歯科用分離剤。
本発明によれば、ベタツキが少なく、かつ容易に除去可能な重合性歯科用分離剤が提供される。また、本発明によれば、余剰セメントと歯科用分離剤とを一括して除去することも可能であるため、操作をさらに簡便化できる。さらに、本発明の重合性歯科用分離剤は、重合硬化性を有することから、意図せず被着面に歯科用分離剤が塗布された場合においても、良好な封鎖性を有する。
まず、以下に本発明の重合性歯科用分離剤について具体的に説明する。
本発明の重合性歯科用分離剤は、ラジカル重合性化合物(A)と重合開始剤(B)を含有し、硬化後の未重合層厚みが100μm以下であり、曲げ弾性率が1.50GPa以下であり、かつ全破壊仕事が5kJ/m2以上であることが重要である。
前記未重合層厚み、曲げ弾性率、及び全破壊仕事は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
前記重合性歯科用分離剤の硬化後の未重合層厚みは、硬化後のベタツキが少なく、かつ重合性歯科用分離剤が意図せず被着面に塗布された場合においても、マージン部の硬化性が高く、封鎖性に優れる点から、100μm以下であり、75μm以下が好ましく、硬化後のベタツキがより少ない点から、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。また、下限値については特に限定されないが、例えば、0.1μm以上、0.2μm以上、もしくは0.5μm以上とすることができる。
前記重合性歯科用分離剤の硬化後の曲げ弾性率は、重合性歯科用分離剤の硬化物が適度な柔軟性を示し、除去性に優れる点から、1.50GPa以下であり、1.48GPa以下が好ましく、1.45GPa以下がより好ましく、1.43GPa以下がさらに好ましい。また、硬化性の点から、0.01GPa以上が好ましく、0.02GPa以上がより好ましく、0.05GPa以上がさらに好ましい。
前記重合性歯科用分離剤の硬化後の全破壊仕事は、重合性歯科用分離剤の硬化物が優れたる靭性を示し、歯科用探針等で除去する場合、硬化物が簡単に破壊せず、容易に除去できる点から、5.0kJ/m2以上であり、5.5kJ/m2以上が好ましく、6.0kJ/m2以上がより好ましく、6.5kJ/m2以上がさらに好ましい。また、除去性の点から、30kJ/m2以下が好ましく、28kJ/m2以下がより好ましく、25kJ/m2以下がさらに好ましい。
本発明の重合性歯科用分離剤が、上記物性全てを満たすには、例えば特定の(メタ)アクリルアミド化合物(a1)と特定のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)とを特定の割合で組み合わせればよい。これによって、本発明の重合性歯科用分離剤は、未重合厚みが薄いためベタツキが小さいことに加え、弾性率が低くかつ靭性が高いことから、硬化物が適度な柔軟性をもちつつ簡単に破壊されないことから、探針等で簡単に除去することができる。この理由は定かではないが、以下のように推測される。
(メタ)アクリルアミド化合物(a1)は硬化性に優れるため、硬化後の未重合層厚みは小さくなるものの、通常、弾性率が高く、かつ靭性が低い硬化物となる。ここで、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)の中でもガラス転移温度(Tg)が60℃以下のものを併用することにより、弾性率が低い硬化物を得ることができる。さらに、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)を併用することによって、硬化物における架橋密度が低下することから、内部応力が低減されることに加え、ウレタン骨格の相互作用により、高い全破壊仕事が得られる。すなわち高靭性の硬化物を得ることができる。一方で、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)を併用することで、重合性歯科用分離剤の硬化性が低下する、すなわち未重合層厚みが大きくなる傾向にあるが、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)の重量平均分子量Mwを15000以下とすることで、硬化性の低下が抑制され、硬化後の未重合層厚みを小さくすることが可能となる。すなわち、硬化後の未重合層厚みが小さく、弾性率が低く、かつ全破壊仕事が大きい硬化物を得ることが可能となり、硬化後のベタツキが少なく、かつ探針等で容易に除去可能な重合性歯科用分離剤を提供することができる。
続いて、本発明の重合性歯科用分離剤を構成する各成分について詳述する。本発明の重合性歯科用分離剤は、ラジカル重合性化合物(A)、重合開始剤(B)を含有する。
本発明のラジカル重合性化合物(A)は(メタ)アクリルアミド化合物(a1)が含まれることが好ましい。前記(メタ)アクリルアミド化合物(a1)は、本発明の重合性歯科用分離剤において、重合性歯科用分離剤の硬化性を向上させるとともに、粘度を調整するために用いられる。また、(メタ)アクリルアミド化合物(a1)は後記のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)と組み合わされた場合に、硬化物の硬化性、靭性にも寄与する。前記(メタ)アクリルアミド化合物(a1)は、単官能性(メタ)アクリルアミド化合物が好ましい。
本発明の歯科用光重合型分離剤組成物で用いる(メタ)アクリルアミド化合物(a1)として、上記一般式(I)で表される(メタ)アクリルアミド化合物(a1−I)(以下、これを「(メタ)アクリルアミド化合物(a1−I)」という。)、及び上記一般式(II)で表される(メタ)アクリルアミド化合物(a1−II)(以下、これを、「(メタ)アクリルアミド化合物(a1−II)」という。)について説明する。
[(メタ)アクリルアミド化合物(a1−I)]
式(I)の各記号について説明する。得られる本発明の重合性歯科用分離剤が硬化性に優れる点から、式(I)において、R1は水素原子又はメチル基であり、重合性歯科用分離剤の硬化性及び硬化物の靭性が優れる点から、水素原子が好ましい。R2及びR3はそれぞれ独立の場合、水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜8のアルキル基である。前記アルキル基としては、炭素数1〜5が好ましく、炭素数1〜4がより好ましく、炭素数1〜3がさらに好ましい。R2及びR3としては、いずれか一方の基が水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜5のアルキル基であり、かつ他方の基が非置換又は置換された炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、いずれか一方の基が水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜4のアルキル基であり、かつ他方の基が非置換又は置換された炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、いずれか一方の基が水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、かつ他方の基が非置換又は置換された炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましい。R2及びR3のアルキル基の炭素数が9以上である場合、重合基の密度が小さくなるため硬化性が低下する。R2及びR3のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。
2及びR3のアルキル基が有する置換基の数は、通常1〜10個であり、1〜8個が好ましく、1〜6個がより好ましく、1〜4個がさらに好ましい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノ又はジ置換されたアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数3〜20のシクロアルキル基等が挙げられる。これらの置換基は、1種単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。アルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基等が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、テトラメチルフェニル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロイコシル基等が挙げられる。なお、これらの置換基は、異性体がある場合、本発明の効果を有する限り、その異性体を含む。
2及びR3が直接結合して環を形成する場合、R2とR3が形成する環の炭素数は2〜16である。前記環は、窒素原子に加えて、酸素原子、及び/又は硫黄原子、を含む複素環であってもよく、窒素原子と酸素原子とを含む複素環が好ましい。前記環の炭素数としては、2〜9が好ましく、3〜8がより好ましく、4〜7がさらに好ましい。
(メタ)アクリルアミド化合物(a1−I)としては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、重合性歯科用分離剤の硬化性及びウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)と組み合わされた場合に、硬化物の硬化性、靭性が優れる点で、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンがより好ましく、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンがさらに好ましく、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンが特に好ましく、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンが最も好ましい。
[(メタ)アクリルアミド化合物(a1−II)]
式(II)の各記号について説明する。得られる本発明の重合性歯科用分離剤の硬化性、靭性に優れる点から、式(II)において、R4は水素原子又はメチル基であり、歯科用光重合型分離剤組成物の硬化性及び硬化物の靭性が優れる点から、水素原子が好ましい。R5は非置換又は置換された炭素数1〜8のアルキレン基である。前記アルキレン基としては、炭素数1〜6が好ましく、炭素数2〜5がより好ましく、炭素数2〜4がさらに好ましい。R6、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜8のアルキル基である。前記アルキル基としては、炭素数1〜5が好ましく、炭素数1〜4がより好ましく、炭素数1〜3がさらに好ましい。R6、R7及びR8としては、いずれか1つ又は2つの基が水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜5のアルキル基であり、かつ残りの基が非置換又は置換された炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、いずれか1つ又は2つの基が水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜4のアルキル基であり、かつ残りの基が非置換又は置換された炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、いずれか1つ又は2つの基が水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、かつ残りの基が非置換又は置換された炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましい。R5は、R6、R7及びR8と直接結合していない。R6は、R7及びR8と直接結合していない。R7は、R8と直接結合していない。R5、R6、R7及びR8のアルキル基の炭素数が9以上である場合、重合基の密度が小さくなるため硬化性が低下する。また、R5、R6、R7及びR8が直接結合する場合、剛直で嵩高い環状構造が形成されるため、柔軟性が低下する。R5のアルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、n−プロピレン基、イソプロピリデン基、テトラメチレン基、イソブチリデン基、sec‐ブチリデン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基などが挙げられる。前記アルキレン基が有する置換基の数は、通常1〜10個であり、1〜8個が好ましく、1〜6個がより好ましく、1〜4個がさらに好ましい。前記アルキレン基の置換基としては、上述の(メタ)アクリルアミド化合物(a1−I)のR2及びR3の炭化水素基の置換基と同様のものが挙げられる。R6、R7及びR8のアルキル基としては、R2及びR3のアルキル基と同様のものが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド化合物(a1−II)としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、重合性歯科用分離剤の硬化性及びウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)と組み合わされた場合に、硬化物の硬化性、靭性が優れる点で、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミドがより好ましく、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドがさらに好ましく、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミドが特に好ましく、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドが最も好ましい。
硬化性、組成物の粘度の観点から、(メタ)アクリルアミド化合物(a1)の含有量は、ラジカル重合性化合物(A)の総量の100質量部に対して、10〜70質量部が好ましく、15〜65質量部がより好ましく、20〜60質量部がさらに好ましい。
本発明のラジカル重合性化合物(A)はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)を含むことが好ましい。前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)は、本発明の重合性歯科用分離剤の硬化物に、柔軟性、靭性を付与するために用いられる。また、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)は前記(メタ)アクリルアミド化合物(a1)と組み合わされた場合に、硬化物の硬化性、靭性にも寄与する。
本発明の重合性歯科用分離剤で用いるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)は、1分子内に、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有し、かつウレタン官能基−NHC(O)O−を有するオリゴマーであることが好ましい。
硬化物に柔軟性を付与する観点から、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)のガラス転移温度(Tg)は、60℃以下が好ましく、55℃以下がより好ましく、50℃以下がさらに好ましい。
組成物の硬化性の観点から、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)の重量平均分子量Mwは、800〜15000が好ましく、900〜14500がより好ましく、1000〜14000がさらに好ましい。
組成物の硬化性、粘性及び塗布性の観点から、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)の25℃における粘度は、10,000〜250,000mPa・sが好ましく、11,000〜248,000mPa・sがより好ましく、12,000〜246,000mPa・sがさらに好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)としては、Tgが60℃以下であり、Mwが800〜15000であり、25℃における粘度が10,000〜250,000mPa・sであるものが好ましく、Tgが55℃以下であり、Mwが900〜14500であり、25℃における粘度が11,000〜248,000mPa・sであるものがより好ましく、Tgが50℃以下であり、Mwが1000〜14000であり、25℃における粘度が12,000〜246,000mPa・sであるものがさらに好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)は、前記(メタ)アクリルアミド化合物(a1)と組み合わされた場合に、好ましい靭性を得られる点から、市販品を含み、例えば、該ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)は下記を含みうる:根上工業株式会社から市販されている、ポリエーテル骨格を有するウレタンアクリレートオリゴマーUN−2600、UN−6202、UN−6304;ダイセル・オルネクス株式会社から市販されている、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーEBECRYL8807、EBECRYL8465、EBECRYL8800、EBECRYL4101、EBECRYL4201、KRM7735など。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化性、組成物、粘度及び塗布性の観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)の含有量は、ラジカル重合性化合物(A)の総量100質量部に対して、30〜90質量部が好ましく、35〜85質量部がより好ましく、40〜80質量部がさらに好ましい。
特に、本発明に使用されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)として、例えば、根上工業株式会社製のUN−2600、UN−6202、UN−6304、ダイセル・オルネクス株式会社製のEBECRYL8807、EBECRYL8465が好ましい。
本発明の重合開始剤(B)としては、短時間で硬化可能となることから、光重合開始剤(B−1)が好ましく用いられる。光重合開始剤(B−1)としては、例えば、(ビス)アシルホスフィンオキシド類、α−ジケトン類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物等が挙げられる。重合開始剤(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。光重合開始剤(B−1)の具体例としては、国際公開第2008/087977号に記載のものが挙げられる。(ビス)アシルホスフィンオキシド類のうち、アシルホスフィンオキシド類としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、及びこれらの塩(例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキシドナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドのアンモニウム塩)等が挙げられる。ビスアシルホスフィンオキシド類としては、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、及びこれらの塩等が挙げられる。α−ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ベンジル、dl−カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナントレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。この中でも、可視光域に極大吸収波長を有している観点から、dl−カンファーキノンが特に好ましい。
これらの重合開始剤(B)の中でも、(ビス)アシルホスフィンオキシド類及びその塩、並びにα−ジケトン類からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す組成物が得られる。
なお、これらの(ビス)アシルホスフィンオキシド類、α−ジケトン類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物は単独でも光重合活性を示すが、アミン化合物を併用するとより高い活性を得られる点から、光重合開始剤用の重合促進剤としてアミン化合物を併用することが好ましい。特にα−ジケトン類の場合は、光重合開始剤用の重合促進剤としてアミン化合物を併用することが好ましい。当該アミン化合物としては、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸メチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸ブチル、4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸n−ブトキシエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ラウリル、ジメチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
重合性歯科用分離剤における重合開始剤(B)(好適には、光重合開始剤(B−1))の含有量は特に限定されないが、光硬化性の観点から、重合性歯科用分離剤に含まれるラジカル重合性化合物(A)の総量の100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.10〜3.0質量部がより好ましい。
本発明の重合性歯科用分離剤は、上記の(メタ)アクリルアミド化合物(a1)、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)、及び重合開始剤(B)を含有していれば特に限定はなく、例えば、これ以外の成分を含んでいてもよい。
本発明の重合性歯科用分離剤は、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、硬化性調整を目的として、多官能性(メタ)アクリレート系重合性化合物(a3)を含有してもよい。多官能性(メタ)アクリレート系重合性化合物(a3)として、芳香族化合物系の二官能性(メタ)アクリレート系重合性化合物、脂肪族化合物系の二官能性(メタ)アクリレート系重合性化合物、三官能性以上の(メタ)アクリレート系重合性化合物が挙げられる。また、ある好適な実施形態では、本発明の重合性歯科用分離剤は、多官能性(メタ)アクリレート系重合性化合物(a3)を含有しない。
芳香族化合物系の二官能性(メタ)アクリレート系重合性化合物としては、例えば、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン(通称「Bis−GMA」)、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、及び1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ピロメリテートなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、硬化物の硬化性が優れる点で、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンが好ましい。
脂肪族化合物系の二官能性(メタ)アクリレート系重合性化合物としては、例えば、グリセロールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、硬化物の硬化性が優れる点で、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及び2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレートが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
三官能性以上の(メタ)アクリレート系重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、これらの中でも、硬化物の硬化性が優れる点で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明の重合性歯科用分離剤には、性状を調整するために、又は、重合性歯科用分離剤の硬化物の機械的強度を高めるために、フィラーがさらに配合されていてもよい。フィラーとして、例えば、有機フィラー、無機フィラー、有機−無機複合フィラー等が挙げられる。フィラーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機フィラーの材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用できる。前記有機フィラーの平均粒子径は、0.001〜50μmが好ましく、0.001〜10μmがより好ましい。
無機フィラーの材料としては、例えば、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラスが挙げられる。これらもまた、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機フィラーの形状は特に限定されず、不定形フィラー又は球状フィラー等を適宜選択して使用できる。前記無機フィラーの平均粒子径は0.001〜50μmが好ましく、0.001〜10μmがより好ましい。前記無機フィラーは、歯科用接着性組成物の流動性を調整するため、必要に応じて、シランカップリング剤などの公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。
本発明で用いられる有機−無機複合フィラーとは、上述の無機フィラーにモノマー成分を予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕することにより得られるものである。前記有機−無機複合フィラーとしては、例えば、TMPTフィラー(トリメチロールプロパントリメタクリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)などを用いることができる。前記有機−無機複合フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。得られる重合性歯科用分離剤のハンドリング性および機械的強度などの観点から、前記有機−無機複合フィラーの平均粒子径は、0.001〜50μmが好ましく、0.001〜10μmがより好ましい。
なお、本明細書において、フィラーの平均粒子径とは平均一次粒子径であり、レーザー回折散乱法や粒子の電子顕微鏡観察により求めることができる。具体的には、0.1μm以上の粒子の粒子径測定にはレーザー回折散乱法が、0.1μm未満の超微粒子の粒子径測定には電子顕微鏡観察が簡便である。0.1μmはレーザー回折散乱法により測定した値である。
レーザー回折散乱法は、具体的に例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2300:株式会社島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて測定することができる。
電子顕微鏡観察は、具体的に例えば、粒子の電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−4000型)写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される粒子(200個以上)の粒子径を、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(Mac−View(株式会社マウンテック製))を用いて測定することにより求めることができる。このとき、粒子径は、粒子の最長の長さと最短の長さの算術平均値として求められ、粒子の数とその粒子径より、平均一次粒子径が算出される。
本発明の重合性歯科用分離剤には、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、柔軟性、流動性等の改質を目的として重合体を添加することができる。例えば、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴム及びその水素添加物、ポリブタジエンゴム、液状ポリブタジエンゴム及びその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、イソプレン−イソブチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、又はスチレン系エラストマーを添加することができる。添加可能な他の重合体の具体例としては、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)ブロック共重合体、ポリ(p−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(p−メチルスチレン)ブロック共重合体、又はこれらの水素添加物等が挙げられる。
また、本発明の重合性歯科用分離剤は、劣化の抑制、又は光硬化性の調整を目的として、公知の安定剤を配合することができる。前記安定剤としては、例えば、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤が挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジブチルヒドロキノン、ジブチルヒドロキノンモノメチルエーテル、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンが挙げられる。重合禁止剤の含有量は、重合性歯科用分離剤に含まれるラジカル重合性化合物(A)の総量の100質量部に対して、0.001〜1.0質量部が好ましい。
また、本発明の重合性歯科用分離剤には、色調の調整又は性状の調整を目的として、公知の添加剤を配合することができる。前記添加剤としては、例えば、顔料、染料、有機溶媒、増粘剤が挙げられる。また、本発明のある実施形態では、重合性歯科用分離剤は、水溶性ポリマーを実質的に含まないことが好ましい。前記水溶性ポリマーとしては、多糖類、セルロース類、合成高分子が挙げられる。多糖類としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアゴム、トラガント、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストリン、サクシノグルカン、カードラン、デンプン(可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等)等が挙げられる。セルロース類としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース等が挙げられる。合成高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。実質的にある成分を含有しないとは、当該成分の重合性歯科用分離剤における含有量が、1質量%未満であり、0.5質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましく、0.01質量%未満がさらに好ましい。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的思想の範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた実施形態を含む。
以下、本発明を実施例、及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。なお、以下で用いる略記号は次のとおりである。
[(メタ)アクリルアミド化合物(a1)]
DEAA:N,N−ジエチルアクリルアミド(KJケミカルズ株式会社製)
NIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド(KJケミカルズ株式会社製)
ACMO:N−アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ株式会社製)
DMAPAA:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(KJケミカルズ株式会社製)
[ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)]
各実施例及び比較例において、表1に示すウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いた。
Figure 2020105121
[重合開始剤(B)]
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド
CQ:カンファーキノン
[重合促進剤]
JJA:4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチル
[多官能性(メタ)アクリレート系重合性化合物(a3)]
UDMA:2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
[重合禁止剤]
BHT:3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン
[増粘剤]
マクロゴール4000:三洋化成工業株式会社製のポリエチレングリコール「マクロゴール(登録商標)4000」
[水溶性ポリエチレングリコール]
PEG400:ポリエチレングリコール(重量平均分子量Mw:400)
<粘度>
各ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーについて、25℃でコーンプレート型粘度計RE550型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定した。
<重量平均分子量Mw>
各ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーについて、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)、「LC−10A」に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm、溶離液テトラヒドロフラン)により測定し、標準ポリスチレン分子量換算により重量平均分子量Mwを算出した。
<Tg>
各ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーについて、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー1質量部、メチルエチルケトン(MEK)1質量部と光重合開始剤としてDarocur 1173 0.03質量部を均一に混合し、紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。得られた紫外線硬化性樹脂組成物をフッ素樹脂シート上に塗布し、乾燥(80℃、2分間)後、紫外線照射(積算光量2000mJ/cm2)により硬化させた。得られた硬化膜からウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのホモポリマー10mgを取り出し、アルミニウムパンに入れて密封し、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、EXSTAR 6000)を用いて、10℃/minの昇温速度で測定した。
(実施例1〜9、比較例1〜6)
表2に示す各成分を常温(20℃±15℃、JIS(日本工業規格)Z 8703:1983)下で混合して、実施例1〜9及び比較例1〜6に係る重合性歯科用分離剤としての組成物を調製した。
<塗布性>
各実施例及び各比較例に係る重合性歯科用分離剤について、地面と垂直に設置したガラス板全面(14×14mm)に塗布し、塗布性を評価した。
(塗布性の評価基準)
○:ムラなく均一に塗布できる。
×:ムラがあり、均一に塗布できない。
<未重合層厚み>
各実施例及び各比較例に係る重合性歯科用分離剤について、スライドガラスの上に直径10.0mm×厚み1.0mmの円柱状型に充填し、充填物表面から1cmの距離から、歯科重合用LED光照射器「ペンキュアー2000」(出力:2000mW/cm2、出力ピーク波長:460nm、株式会社モリタ製)を用いて標準モードで5秒間光照射を行った。得られた硬化物の全体(円柱状型及びスライドガラスを含む)の質量(X)を測定した。全体の質量から、スライドガラス及び円柱状型の質量を差し引き、硬化物の質量(Z)とした。JKワイパー(日本製紙クレシア株式会社製)で硬化物表面の未重合層を拭き取り、未重合層除去後の質量(Y)を測定した。未重合層厚みを以下の式で算出した。
未重合層厚み(μm)=[(X−Y)/Z]×1000
<硬化物の曲げ強度及び、曲げ弾性率>
各実施例及び各比較例に係る重合性歯科用分離剤について、スライドガラスの上に厚さ3.3mm×幅10.0mm×長さ64mmのステンレス製の型枠に充填し、型枠内の該組成物の表面をポリエステルフィルムを介してスライドガラスで圧接し、2枚のスライドガラスを幅25mmのダブルクリップを用いて固定した。αライトV(株式会社モリタ製)を用いて片面3分間で両面照射し、試験片を得た。得られた硬化直後の試験片について、JIS T 6501:2012「義歯床用アクリル系レジン」に準拠して曲げ強さ試験及び曲げ弾性率試験を行って評価した。すなわち、万能試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAG−I 100kN)を用いて、クロスヘッドスピード5mm/minで曲げ試験を実施した。5個の試験片についての曲げ強度及び曲げ弾性率の平均値を、曲げ強度及び曲げ弾性率とした。
<全破壊仕事>
各実施例及び各比較例に係る重合性歯科用分離剤について、スライドガラスの上に厚さ8.0mm×幅3.0mm×長さ39mm、ノッチ深さ3.0mmのステンレス製の型枠に充填し、型枠内の該組成物の表面をポリエステルフィルムを介してスライドガラスで圧接し、2枚のスライドガラスを幅25mmのダブルクリップを用いて固定した。αライトV(株式会社モリタ製)を用いて片面3分間ずつ両面照射し、試験片を得た。得られた硬化直後の試験片について、JIS T 6501:2012「義歯床用アクリル系レジン」に準拠して破壊靭性試験を行い、オートグラフAG−I 100kN(株式会社島津製作所製)で測定し、全破壊仕事を評価した。5個の試験片についての全破壊仕事の平均値を、全破壊仕事とした。
<剥離性>
各実施例及び各比較例に係る重合性歯科用分離剤について、#1000のシリコンカーバイド紙(日本研紙株式会社製)で研磨したCAD/CAMシステム用のジルコニアディスク(商品名:「ノリタケ カタナ(登録商標)ジルコニア」HT、クラレノリタケデンタル株式会社製)から作製した円柱状(内径12mm×高さ5mm)のジルコニア焼結体(1500℃で2時間焼成したもの)表面に塗布した。塗布面から1cmを離れて、「ペンキュアー2000」(株式会社モリタ製)を用いて標準モードで5秒照射を行った。歯科用探針を用い、重合性歯科用分離剤の硬化物を除去した。以下の評価基準に従って、剥離性を評価した。
(剥離性の評価基準)
◎:若干抵抗があるが、スムーズに除去できる。
○:抵抗があるが、除去できる。
×:除去できない、もしくは剥がれても表面に硬化部が残存する。
(実用レベルは○以上である)
<封鎖性>
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて(#80)シリコンカーバイド紙(日本研紙株式会社製)で研磨して、象牙質の平坦面を露出させた。その象牙質に直径3.0mm、深さ1.5mmの円筒形窩洞を形成した。自己接着性歯科用レジンセメント「SAルーティング(登録商標) プラス」(クラレノリタケデンタル株式会社製)を質量比1:1で分離剤と混練し、上記窩洞の象牙質面に塗布した。このレジンセメント層の上に、コンポジットレジン組成物「クリアフィル(登録商標) AP-X」を充填して、αライトV(株式会社モリタ製)を用いて3分光照射して硬化させた。 上記したサンプルを0.2%塩基性フクシン水溶液に浸漬し25℃で24時間保存後、ダイヤモンドカッターアイソメット1000(ITWジャパン株式会社製)にて、窩洞の正中線の両側に対して縦に2箇所以上切断する。マイクロスコープVHX−1000(株式会社キーエンス製)にて窩洞壁への色素の侵入を観察した。
(封鎖性の評価基準)
◎:色素が全く侵入していない。
○:エナメル質に一部色素の侵入が確認されたが、象牙質まで侵入していない。
×:象牙質まで侵入し、もしくは剥がれた。
(実用レベルは〇以上である)
Figure 2020105121
表2の結果より、本発明の重合性歯科用分離剤の実施例1〜9は、未重合層厚みが小さく、硬化後のベタツキが少なく、優れた塗布性、靭性、剥離性、封鎖性及び適切な柔軟性を示した。一方で、実施例1〜9と比較して、曲げ弾性率が測定できず、全破壊仕事が5.0kJ/m2未満の比較例1では、塗布性、靭性、剥離性が劣っていた。全破壊仕事が5.0kJ/m2未満の比較例2では、塗布性と剥離性が劣っていた。曲げ弾性率が1.50GPaを超え、全破壊仕事が5.0kJ/m2未満の比較例3では、剥離性が劣っていた。硬化後の未重合層厚み、曲げ弾性率及び破壊仕事が測定できない比較例4では、著しく硬化性が悪く、剥離性が劣っていた。曲げ弾性率が1.50GPaを超え、全破壊仕事が5.0kJ/m2未満の比較例5では、剥離性が劣っていた。水溶性ポリエチレングリコールを含有する比較例6では、重合性がないため、硬化後の未重合層厚み、曲げ弾性率及び破壊仕事が測定できず、剥離性も測定できず、封鎖性が悪かった。
本発明の重合性歯科用分離剤は、ベタツキが少なく、かつ容易に除去可能である。

Claims (9)

  1. ラジカル重合性化合物(A)、及び重合開始剤(B)を含有し、
    硬化後の未重合層厚みが100μm以下であり、曲げ弾性率が1.50GPa以下であり、かつ全破壊仕事が5.0kJ/m2以上である、重合性歯科用分離剤。
  2. 前記ラジカル重合性化合物(A)が(メタ)アクリルアミド化合物(a1)を含有する、請求項1に記載の重合性歯科用分離剤。
  3. 前記(メタ)アクリルアミド化合物(a1)が、下記の一般式(I)
    Figure 2020105121
    (式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜8のアルキル基であり、R2及びR3は直接結合してもよい。)
    で表される(メタ)アクリルアミド化合物(a1−I)、及び
    下記の一般式(II)
    Figure 2020105121
    (式中、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は非置換又は置換された炭素数1〜8のアルキレン基であり、R6、R7及びR8はそれぞれ独立に、水素原子又は非置換又は置換された炭素数1〜8のアルキル基であり、R5はR6、R7及びR8と直接結合しておらず、R6はR7及びR8と直接結合しておらず、R7はR8と直接結合していない。)
    で表される(メタ)アクリルアミド化合物(a1−II)、からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の重合性歯科用分離剤。
  4. 前記(メタ)アクリルアミド化合物(a1)が環状構造を有する(メタ)アクリルアミド化合物である、請求項2又は3に記載の重合性歯科用分離剤。
  5. 前記ラジカル重合性化合物(A)がウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性歯科用分離剤。
  6. 前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)が、1分子内に、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有する、請求項5に記載の重合性歯科用分離剤。
  7. 前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)のガラス転移温度が60℃以下である、請求項5又は6に記載の重合性歯科用分離剤。
  8. 前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(a2)の重量平均分子量が800〜15000であり、25℃における粘度が10,000〜250,000mPa・sである、請求項5〜7のいずれか1項に記載の重合性歯科用分離剤。
  9. 前記重合開始剤(B)が、光重合開始剤(B−1)を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の重合性歯科用分離剤。
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