以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1(a)および図1(b)は、基板の周縁部を示す拡大断面図である。より詳しくは、図1(a)はいわゆるストレート型の基板の断面図であり、図1(b)はいわゆるラウンド型の基板の断面図である。基板の例としては、ウェーハが挙げられる。基板の周縁部は、ベベルおよびエッジを含む領域として定義される。図1(a)のウェーハWにおいて、ベベルは、上側傾斜部(上側ベベル)P、下側傾斜部(下側ベベル)Q、および側部(アペックス)Rから構成されるウェーハWの最外周面(符号Sで示す)である。図1(b)のウェーハWにおいては、ベベルは、ウェーハWの最外周面を構成する、湾曲した断面を有する部分(符号Sで示す)である。エッジは、ベベルSよりも半径方向内側に位置する環状の平坦部T1であり、かつデバイス面Vの最も外側の領域である。エッジT1は、ベベルSに接続されている。エッジT1は、トップエッジとも呼ばれる。
図2は、研磨装置の一実施形態を示す模式図であり、図3は、図2に示す研磨装置の平面図である。研磨装置は、基板の一例であるウェーハWを保持し、回転軸心CLを中心にウェーハWを回転させるウェーハ回転装置(基板回転装置)3と、ウェーハWのエッジを粗研磨する第1研磨ユニット10と、ウェーハWのエッジを仕上げ研磨する第2研磨ユニット20を備えている。本実施形態では1つの第1研磨ユニット10が設けられているが、複数の第1研磨ユニット10が設けられてもよい。同様に、本実施形態では1つの第2研磨ユニット20が設けられているが、複数の第2研磨ユニット20が設けられてもよい。
研磨装置は、ウェーハ回転装置3、第1研磨ユニット10、および第2研磨ユニット20の動作を制御する動作制御部1をさらに備えている。動作制御部1は、ウェーハ回転装置3、第1研磨ユニット10、および第2研磨ユニット20に電気的に接続されている。動作制御部1は、プログラムが格納された記憶装置1aと、プログラムに従って演算を実行する処理装置1bを備えている。処理装置1bは、記憶装置1a格納されているプログラムに従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などを含む。記憶装置1aは、処理装置1bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。動作制御部1は、専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータから構成されている。
ウェーハ回転装置3は、ウェーハWの下面を保持するためのウェーハ保持面(基板保持面)4aを有する保持ステージ4と、ウェーハ保持面4aを回転軸心CLを中心に回転させるモータ8を有している。ウェーハ保持面4aには、溝4bが形成されており、溝4bは真空ライン9に連通している。ウェーハWがウェーハ保持面4aに置かれた状態で溝4bに真空が形成されると、ウェーハWは真空吸引によりウェーハ保持面4aに保持される。ウェーハ保持面4aは、ウェーハWの直径と同じか、またはウェーハWの直径よりも大きい直径を持つ円形である。したがって、ウェーハ保持面4aは、ウェーハWの下面の全体を支持することができる。
第1研磨ユニット10は、ウェーハWのエッジを第1研磨テープ12で研磨する第1研磨ヘッド14と、第1研磨テープ12を第1研磨ヘッド14に供給し、第1研磨ヘッド14から回収する第1研磨テープ供給機構16を備えている。第1研磨ヘッド14は、ウェーハ保持面4aの上方に位置している。すなわち、第1研磨ヘッド14は、ウェーハ保持面4aに保持されたウェーハWのエッジの上方に位置している。第1研磨ヘッド14は、ウェーハ保持面4aの外周部を向いた状態で配置されている。
第1研磨テープ供給機構16は、第1研磨テープ12を巻き出す第1巻き出しリール17と、第1研磨テープ12を巻き取る第1巻き取りリール18とを備えている。第1巻き出しリール17および第1巻き取りリール18にはテンションモータ21,22がそれぞれ連結されている。それぞれのテンションモータ21,22は、第1巻き出しリール17および第1巻き取りリール18に所定のトルクを与え、第1研磨テープ12に所定のテンションを掛けることができるようになっている。
第1研磨テープ12は、第1研磨テープ12の研磨面がウェーハWを向くように第1研磨ヘッド14に供給される。すなわち、第1研磨テープ12は、第1巻き出しリール17から第1研磨ヘッド14に供給され、研磨に使用された第1研磨テープ12は第1巻き取りリール18に回収される。第1研磨テープ12の片面は、砥粒が固定された研磨面を構成している。第1研磨テープ12は、その上方から見たときに、ウェーハW上の研磨点(すなわち、第1研磨テープ12とウェーハWとの接触点)において、ウェーハ保持面4aの半径方向、すなわちウェーハWの半径方向に延びている。図3に示すように、第1研磨テープ12は、その上方から見たときに、ウェーハ保持面4aの回転軸心CLから半径方向外側に延びる直線(想像線)L1に沿って延びている。
図2に示すように、第1研磨ヘッド14は、ヘッド支持部材25に固定されている。ヘッド支持部材25は、第1研磨ヘッド移動機構26に連結されている。この第1研磨ヘッド移動機構26は、第1研磨ヘッド14および第1研磨テープ12を、ウェーハ保持面4aの半径方向、すなわちウェーハWの半径方向に移動させるように構成されている。より具体的には、第1研磨ヘッド移動機構26は、ヘッド支持部材25に連結されたボールねじ機構28と、ボールねじ機構28を作動させるモータ29を備えている。ボールねじ機構28は、ヘッド支持部材25に固定されたナット機構28aと、ナット機構28aに螺合するねじ軸28bを備えている。ねじ軸28bは軸受30によって回転可能に支持されており、かつモータ29に連結されている。モータ29には、サーボモータまたはステッピングモータが使用される。
第1研磨ヘッド移動機構26は、動作制御部1に電気的に接続されており、第1研磨ヘッド移動機構26の動作は動作制御部1によって制御される。動作制御部1が第1研磨ヘッド移動機構26に指令を発して、モータ29およびねじ軸28bを一方向に回転させると、ナット機構28aおよびヘッド支持部材25が外側に移動し、第1研磨ヘッド14および第1研磨テープ12は、ウェーハWの半径方向(ウェーハ保持面4aの半径方向)において外側に移動する。動作制御部1が第1研磨ヘッド移動機構26に指令を発して、モータ29およびねじ軸28bを逆方向に回転させると、ナット機構28aおよびヘッド支持部材25が内側に移動し、第1研磨ヘッド14および第1研磨テープ12は、ウェーハWの半径方向(ウェーハ保持面4aの半径方向)において内側に移動する。
第1研磨ヘッド移動機構26は、第1研磨ヘッド14と、研磨具である第1研磨テープ12を、ウェーハ保持面4aの半径方向(すなわちウェーハWの半径方向)に移動させる研磨具移動機構を構成する。
図4は第1研磨ヘッド14の拡大図である。図4に示すように、第1研磨ヘッド14は、第1研磨テープ12をウェーハWのエッジに押し付ける第1押圧部材35と、第1押圧部材35をウェーハ保持面4aに対して垂直な方向(すなわちデバイス面VであるウェーハWの上面に対して垂直な方向)に移動させるエアシリンダ37とを備えている。第1研磨ヘッド14は、ウェーハ保持面4aに対して垂直に配置されている。第1押圧部材35の前面は、ウェーハ保持面4aと平行(すなわちウェーハWの平坦なデバイス面Vと平行)である。第1押圧部材35は、ウェーハ保持面4aの外周部の上方に位置している。すなわち、第1押圧部材35は、ウェーハ保持面4aに保持されたウェーハWのエッジに対向している。
エアシリンダ37は、第1気体導入ライン40および第2気体導入ライン41に接続されている。第1気体導入ライン40および第2気体導入ライン41は、気体切換弁42に接続されており、この気体切換弁42は気体供給ライン44を通じて気体供給源46に接続されている。第1気体導入ライン40および第2気体導入ライン41は、エアシリンダ37内に設けられた第1室および第2室(図示せず)にそれぞれ連通している。第1室および第2室は、エアシリンダ37内のピストン(図示せず)によって仕切られている。
気体切換弁42は、第1気体導入ライン40および第2気体導入ライン41のうちの一方を気体供給ライン44に接続し、かつ第1気体導入ライン40および第2気体導入ライン41のうちの他方を大気に連通させるように構成されている。気体切換弁42は、動作制御部1に接続されており、気体切換弁42の動作は、動作制御部1によって制御される。
動作制御部1が気体切換弁42に指令を発して、第1気体導入ライン40を気体供給ライン44に接続し、かつ第2気体導入ライン41を大気に連通させると、エアシリンダ37は、第1押圧部材35をウェーハ保持面4aに向かって(すなわち、ウェーハWのエッジに向かって)移動させる。第1押圧部材35は、第1研磨テープ12の研磨面をウェーハWのエッジに対して押し付けることができる。
動作制御部1が気体切換弁42に指令を発して、第2気体導入ライン41を気体供給ライン44に接続し、かつ第1気体導入ライン40を大気に連通させると、エアシリンダ37は、第1押圧部材35をウェーハ保持面4aから離れる方向に(すなわち、ウェーハWのエッジから離れる方向に)移動させる。第1研磨テープ12の研磨面は、ウェーハWのエッジから離れ、第1研磨テープ12によるウェーハWのエッジの研磨が停止される。
本実施形態では、エアシリンダ37と気体切換弁42の組み合わせは、第1押圧部材35をウェーハ保持面4aに向かって移動させ、かつ第1押圧部材35をウェーハ保持面4aから離れる方向に移動させる第1アクチュエータ48を構成する。一実施形態では、第1アクチュエータ48は、モータとボールねじ機構との組み合わせから構成されてもよい。
第1研磨ユニット10は、第1研磨テープ12を第1巻き出しリール17から第1巻き取りリール18へ送る第1テープ送り機構51を備えている。第1テープ送り機構51は第1研磨ヘッド14に設けられている。一実施形態では、第1テープ送り機構51は、第1研磨ヘッド14から離れて設けられてもよい。
第1テープ送り機構51は、第1研磨テープ12をその長手方向に送るテープ送りローラー51aと、第1研磨テープ12をテープ送りローラー51aに対して押し付けるニップローラー51bと、テープ送りローラー51aを回転させるテープ送りモータ51cとを備えている。テープ送りモータ51cは第1研磨ヘッド14の側面に設けられ、テープ送りモータ51cの回転軸にテープ送りローラー51aが取り付けられている。ニップローラー51bはテープ送りローラー51aに隣接して配置されている。ニップローラー51bは、図4の矢印NFで示す方向(テープ送りローラー51aに向かう方向)に力を発生するように図示しない機構で支持されており、第1研磨テープ12をテープ送りローラー51aに対して押し付けるように構成されている。
第1研磨テープ12はニップローラー51bとテープ送りローラー51aとの間に挟まれている。テープ送りモータ51cが図4に示す矢印方向に回転すると、テープ送りローラー51aが回転して第1研磨テープ12を第1巻き出しリール17から第1研磨ヘッド14を経由して第1巻き取りリール18へ送る。ニップローラー51bはそれ自身の軸心まわりに回転することができるように構成されている。
第1研磨ヘッド14は、第1研磨テープ12を支持する複数のガイドローラー53A,53B,53C,53D,53E,53Fを有している。第1研磨テープ12の進行方向は、これらガイドローラー53A,53B,53C,53D,53E,53Fによってガイドされる。第1押圧部材35の両側に配置された2つのガイドローラー53D,53Eは、ウェーハ保持面4aの半径方向に沿って配列されている。これらガイドローラー53D,53Eは、ウェーハW上の研磨点において、第1研磨テープ12がウェーハ保持面4aの半径方向(すなわちウェーハWの半径方向)に延びるように第1研磨テープ12を支持する第1テープ支持機構を構成する。
第1押圧部材35は、第1研磨テープ12の裏側に配置されている。第1アクチュエータ48を構成するエアシリンダ37はこの第1押圧部材35をウェーハ保持面4a上のウェーハWのエッジに向かって移動させ、第1押圧部材35は第1研磨テープ12をウェーハWのエッジに押し付ける。エアシリンダ37へ供給する気体の圧力を制御することによって、ウェーハWへの研磨圧力が調整される。
第1押圧部材35は、第1研磨テープ12の裏側に接触する研磨ブレード35aを有している。第1研磨テープ12の研磨面は、研磨ブレード35aによってウェーハWのエッジに対して押し付けられる。研磨ブレード35aは、ウェーハWのエッジの周方向に沿って湾曲している。したがって、研磨ブレード35aが第1研磨テープ12をウェーハWのエッジに対して押し付けているとき、研磨ブレード35aはウェーハWのエッジに沿って延びる。このような形状を有する研磨ブレード35aは、第1研磨テープ12とウェーハWとの接触箇所の全体において、研磨レートを均一にすることができる。
図4に示すように、第1研磨ユニット10は、第1アクチュエータ48によって移動された第1押圧部材35の移動距離を測定する距離センサ58を備えている。距離センサ58は、第1研磨ヘッド14に固定されている。距離センサ58は、第1押圧部材35の変位を測定する変位センサであってもよい。この距離センサ58は、第1研磨テープ12によってウェーハWのエッジに形成された窪み(後述する)の深さを測定するために設けられている。すなわち、ウェーハWを回転させながら、第1押圧部材35が第1研磨テープ12をウェーハWのエッジに押し付けると、第1研磨テープ12はウェーハWのエッジに窪みを形成する。この窪みの深さは、第1押圧部材35の移動距離から求めることができる。したがって、第1押圧部材35の移動距離を測定する距離センサ58は、第1研磨テープ12によってウェーハWのエッジに形成された窪みの深さを測定する深さ測定器として機能する。距離センサ58は動作制御部1に電気的に接続されており、第1押圧部材35の移動距離の測定値(すなわち、窪みの深さの測定値)は、動作制御部1に送られようになっている。
ウェーハWのエッジの研磨中、動作制御部1は、窪みの深さ(第1押圧部材35の初期位置からの移動距離)を監視し、窪みの深さが目標値に達したことを検出する。動作制御部1は、第1研磨ヘッド14、第1研磨ヘッド移動機構26、およびウェーハ回転装置3に指令を発して、窪みの深さが少なくとも目標値に達するまで、第1研磨テープ12を用いたウェーハWのエッジの研磨を継続させる。窪みの深さの目標値は、少なくとも10μmである。一例では、窪みの深さの目標値は、30μm〜100μmである。
次に、第2研磨ユニット20について説明する。図2および図3に示すように、第2研磨ユニット20は、ウェーハWのエッジを第2研磨テープ60で研磨する第2研磨ヘッド62と、第2研磨テープ60を第2研磨ヘッド62に供給し、第2研磨ヘッド62から回収する第2研磨テープ供給機構65を備えている。第2研磨ヘッド62は、第2研磨テープ60をウェーハWのエッジに押し付ける第2押圧部材67と、第2押圧部材67をウェーハ保持面4aに対して垂直な方向(すなわちウェーハWの上面に対して垂直な方向)に移動させる第2アクチュエータ70を備えている。
第2研磨ユニット20は、第2押圧部材67および第2アクチュエータ70を含む第2研磨ヘッド62の全体を、回転軸心CLに向かう方向および回転軸心CLから離れる方向に移動させる第2研磨ヘッド移動機構76を備えている。さらに、第2研磨ユニット20は、第2研磨テープ60および第2研磨テープ供給機構65を、回転軸心CLに向かう方向および回転軸心CLから離れる方向に移動させる第2研磨テープ移動機構73(図3参照)をさらに備えている。
第2研磨ヘッド移動機構76および第2研磨テープ移動機構73は、互いに独立に動作可能となっている。したがって、第2押圧部材67の第2研磨テープ60に対する相対位置は、第2研磨ヘッド移動機構76および第2研磨テープ移動機構73によって調整することができる。第2アクチュエータ70、第2研磨ヘッド移動機構76、および第2研磨テープ移動機構73としては、エアシリンダの組み合わせ、またはモータとボールねじ機構との組み合せなどを使用することができる。
図3に示すように、第2研磨テープ供給機構65は、第2研磨テープ60を巻き出す第2巻き出しリール71と、第2研磨テープ60を巻き取る第2巻き取りリール72
と、第2研磨テープ60を支持する第1ガイドローラー74および第2ガイドローラー75を備えている。第2巻き出しリール71および第2巻き取りリール72は、基台81に回転可能に支持されている。第2巻き出しリール71および第2巻き取りリール72にはテンションモータ77,78がそれぞれ連結されている。それぞれのテンションモータ77,78は、第2巻き出しリール71および第2巻き取りリール72に所定のトルクを与え、第2研磨テープ60に所定のテンションを掛けることができるようになっている。
第1ガイドローラー74および第2ガイドローラー75も、基台81に回転可能に支持されている。第1ガイドローラー74および第2ガイドローラー75は、第2押圧部材67の両側に配置されている。すなわち、第1ガイドローラー74は、第2巻き出しリール71と第2押圧部材67との間に配置され、第2ガイドローラー75は、第2押圧部材67と第2巻き取りリール72との間に配置されている。これら2つのガイドローラー74,75は、ウェーハWの研磨点(すなわち第2研磨テープ60とウェーハWとの接触点)において、第2研磨テープ60がウェーハWの接線方向に延びるように第2研磨テープ60を支持する第2テープ支持機構を構成する。第1ガイドローラー74および第2ガイドローラー75は、ウェーハWの接線方向に沿って配列されている。
図5は、第2研磨ヘッド62および第2研磨テープ供給機構65をウェーハ側から見た図である。図5に示すように、第2巻き出しリール71と第2巻き取りリール72との間には、第2研磨テープ送り機構84が設けられている。第2研磨テープ送り機構84は、第2研磨テープ60をその長手方向に送るテープ送りローラー85と、第2研磨テープ60をテープ送りローラー85に対して押し付けるニップローラー86と、テープ送りローラー85を回転させるテープ送りモータ87とを備えている。第2研磨テープ60はニップローラー86とテープ送りローラー85との間に挟まれている。テープ送りモータ87がテープ送りローラー85を回転させると、第2研磨テープ60は第2巻き出しリール71から第2研磨ヘッド62を経由して第2巻き取りリール72に所定の速度で送られる。
第2研磨テープ60は、その研磨面がウェーハWのエッジに対向するように第2研磨テープ供給機構65によって支持されている。第2研磨テープ60の片面は、砥粒が固定された研磨面を構成している。第2研磨テープ60は、ウェーハWの研磨点(すなわち第2研磨テープ60とウェーハWとの接触点)において、ウェーハWの接線方向に延びている。第2押圧部材67は、第2研磨テープ60をウェーハWのエッジに押し付けるための構造体であり、ウェーハ保持面4aの外周部の上方に位置している。第2押圧部材67は、ウェーハ保持面4aに保持されたウェーハWのエッジに対向している。
第1研磨テープ12は、ウェーハWのエッジを粗研磨するための粗研磨具であり、第2研磨テープ60はウェーハWのエッジを仕上げ研磨するための仕上げ研磨具である。第1研磨テープ12は、第2研磨テープ60よりも粗い研磨面を有している。したがって、第1研磨テープ12は、第2研磨テープ60よりも高い研磨レート(除去レートともいう)でエッジを研磨することができる。第1研磨テープ12の幅は、第2研磨テープ60の幅よりも大きい。一例では、第1研磨テープ12の幅は、第2研磨テープ60の幅の約10倍である。
ウェーハWのエッジの研磨は、第1研磨工程と第2研磨工程に分けられる。第1研磨工程は第1研磨ユニット10によって実行される粗研磨であり、第2研磨工程は第2研磨ユニット20によって実行される仕上げ研磨である。ウェーハWのエッジの研磨は、次のようして行われる。図2に示すように、ウェーハWの下面はウェーハ保持面4aに保持され、ウェーハWは回転軸心CLを中心に回転される。図示しないノズルから液体(例えば純水)がウェーハWの上面の中心に供給される。液体は、遠心力によりウェーハWの上面の全体に広がる。
第1研磨ヘッド14は、第1研磨テープ12をウェーハWのエッジに押し付け、該エッジを研磨する。より具体的には、図4に示すように、第1アクチュエータ48のエアシリンダ37は、第1押圧部材35をウェーハWのエッジに向かって移動させ、第1押圧部材35の研磨ブレード35aは第1研磨テープ12をウェーハWのエッジに押し付ける。ウェーハWのエッジの研磨中は、第1研磨テープ12は、その長手方向に所定の速度で第1研磨テープ送り機構51により送られる。さらに、第1研磨ヘッド移動機構26(図2参照)は、第1研磨ヘッド14および第1研磨テープ12をウェーハWの半径方向において外側に移動させる。一実施形態では、第1研磨ヘッド移動機構26は、第1研磨ヘッド14および第1研磨テープ12をウェーハWの半径方向に往復させてもよい。
図6(a)に示すように、第1研磨テープ12および第1押圧部材35は、ウェーハWの外側に移動しながら、第1押圧部材35の研磨ブレード35aは第1研磨テープ12の研磨面をウェーハWのエッジに押し付ける。第1研磨テープ12の研磨面は、液体の存在下でウェーハWのエッジに摺接し、ウェーハWのエッジに窪み300を形成する。
深さ測定器としての距離センサ58は、ウェーハWのエッジの研磨中に、第1押圧部材35の移動距離を測定する。第1押圧部材35の移動距離は、ウェーハWの平坦なデバイス面V(本実施形態ではウェーハWの上面)に対して垂直な方向への第1押圧部材35の移動距離である。窪みの深さ300は、第1研磨テープ12がウェーハWのエッジに接触した瞬間の初期位置からの第1押圧部材35の移動距離に相当する。一例では、初期位置は、ウェーハWが回転していないときに第1押圧部材35が第1研磨テープ12をウェーハWのエッジに接触させたときの第1押圧部材35の位置とすることができる。第1押圧部材35の移動距離の測定値は、距離センサ58から動作制御部1に送信される。
図6(b)は、第1研磨テープ12によって形成された窪み300の一例を示す断面図である。第1研磨テープ12によって形成される窪み300の深さDは、少なくとも10μmである。窪み300の深さDは、ウェーハWのデバイス面V(本実施形態ではウェーハWの上面)から窪み300の最深点までの距離を表す。一例では、窪み300の深さDは、30μm〜100μmである。
窪み300が形成された後、第1アクチュエータ48は、第1押圧部材35をウェーハWから離れる方向に移動させ、第1研磨テープ12はウェーハWのエッジから離れる。
次に、第2研磨テープ60を用いたウェーハWのエッジが開始される。より具体的には、図7(a)に示すように、第2アクチュエータ70は、第2押圧部材67をウェーハWのデバイス面Vに向かって移動させ、第2押圧部材67で第2研磨テープ60の研磨面を窪み300に押し付ける。ウェーハWのエッジの研磨中は、第2研磨テープ60は、その長手方向に所定の速度で第2研磨テープ送り機構84(図3参照)により送られる。第2研磨テープ60の研磨面は、液体の存在下で窪み300に摺接し、ウェーハWのエッジに、直角の断面形状を有する段部を形成する。
図7(b)は、第2研磨テープ60によって形成された段部の一例を示す断面図である。段部305は、ウェーハWのデバイス面V(本実施形態ではウェーハWの上面)に平行な第1面306と、デバイス面Vに垂直な第2面307から構成される。第1面306と第2面307は互いに垂直である。
本実施形態によれば、粗い研磨面を有する第1研磨テープ12は、高い研磨レート(すなわち高い除去レート)でウェーハWのエッジに深い窪み300を形成することができる。その後、細かい研磨面を有する第2研磨テープ60は、既に窪み300が形成されたエッジを研磨するので、滑らかな面306,307から構成された段部305をウェーハWのエッジに速やかに形成することができる。結果として、高いスループットが達成できる。
一実施形態では、図8(a)および図8(b)に示すように、第2研磨テープ60は、その一部が第2押圧部材67の内側角部上で折り曲げられた状態で、ウェーハWのエッジを研磨してもよい。第2研磨テープ60の折り曲げられた部分60aは、第2面307に接触し、第2面307をより滑らかに研磨することができる。第2研磨テープ60の折り曲げられた部分60aの幅は、第2面307の高さよりも大きいことが好ましい。
さらに、一実施形態では、図9(a)に示すように、第1研磨テープ12によって形成された窪み300よりも内側の部位に第2研磨テープ60を押し付けてもよい。この場合も、図9(b)に示すように、第2研磨テープ60は、ウェーハWのデバイス面Vに平行な第1面306と、デバイス面Vに垂直な第2面307からなる段部305を形成することができる。段部305の深さは、窪み300の深さよりも小さく、ウェーハWのエッジには窪み300の一部が残る。図8(a)および図8(b)を参照して説明した実施形態は、図9(a)および図9(b)に示す実施形態にも適用してもよい。
図10は、第1研磨ユニット10の他の実施形態を示す図である。図10に示す第1研磨ユニット10は、第1押圧部材35が研磨ブレード35aを備えていない点、および第1研磨ヘッド移動機構26が設けられていない点で、図2に示す実施形態と相違する。その他の構成および動作は、先に説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図11は、図10に示す第1押圧部材35を示す拡大図である。第1押圧部材35の平坦な前面は、第1研磨テープ12の裏側に接触し、第1研磨テープ12の研磨面をウェーハWのエッジに押し付ける。図6に示す実施形態に比べて、第1研磨テープ12の研磨面とウェーハWとの接触面積は大きいので、ウェーハWのエッジの研磨中に第1押圧部材35および第1研磨テープ12を、ウェーハWの半径方向において外側に移動させる必要はない。
図12は、研磨装置の他の実施形態を示す側面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図2を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、第1研磨ユニット10は、第1研磨ヘッド14をウェーハ保持面4aと平行な平面内で円運動させる円運動機構91をさらに備えている。円運動機構91は、ヘッド支持部材25と第1研磨ヘッド14との間に配置されている。すなわち、円運動機構91は、ヘッド支持部材25と第1研磨ヘッド14の両方に連結されている。円運動機構91は、動作制御部1に接続されており、円運動機構91の始動および停止は、動作制御部1によって制御される。
図13は、第1研磨ヘッド14を円運動させるための円運動機構91の一実施形態を示す模式図である。図13に示す円運動機構91は、モータ92と、モータ92の回転軸93に固定された偏心回転体95と、偏心回転体95に軸受97を介して連結されたテーブル99と、テーブル99を支持する複数のクランク100を備えている。図13では1つのクランク100のみが図示されているが、少なくとも3つのクランク100が偏心回転体95の周りに配列されている。モータ92は、基台101に固定されている。
偏心回転体95の軸心95aは、モータ92の回転軸93の軸心93aから距離eだけ離れている。よって、モータ92が作動すると、偏心回転体95は半径eの円運動を行う。クランク100は、互いに固定された第1軸体102と第2軸体103を有する。第1軸体102の軸心102aと第2軸体103の軸心103aも、同様に、距離eだけ離れている。第1軸体102は、テーブル99に保持された軸受105によって回転可能に支持されており、第2軸体103は軸受107によって回転可能に支持されている。軸受107は、基台101に固定された支持部材109に固定されている。
上記構成によれば、モータ92が回転すると、偏心回転体95が半径eの円運動を行い、軸受97を介して偏心回転体95に連結されたテーブル99も半径eの円運動を行う。本明細書において、円運動は、対象物が円軌道上を移動する運動と定義される。
テーブル99は、複数のクランク100によって支持されているので、テーブル99が円運動を行っているとき、テーブル99自体は回転しない。このようなテーブル99の運動は、並進回転運動とも呼ばれる。本明細書において、対象物自体は回転せずに、対象物が円軌道上を移動する運動は、並進回転運動と定義される。この並進回転運動は、円運動の1つの具体例である。
テーブル99はウェーハ保持面4aと平行な面99aを有している。本実施形態では、第1研磨ヘッド14は、テーブル99の面99aに固定され、基台101はヘッド支持部材25に固定される。よって、研磨ヘッド50は、テーブル99とともに円運動(並進回転運動)を行う。本実施形態では、円運動機構91は、第1研磨ヘッド14を並進回転運動させる並進回転機構である。
本実施形態によれば、第1研磨ヘッド14に含まれる第1押圧部材35、および第1押圧部材35に支持されている第1研磨テープ12は円運動しながら、第1押圧部材35は第1研磨テープ12をウェーハWのエッジに押し付ける。第1研磨テープ12は、より高い研磨レートでウェーハWのエッジを研磨することができる。
図12および図13に示す実施形態は、図10に示す実施形態にも適用することができる。
図14は、研磨装置の他の実施形態を示す上面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図2乃至図5を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、第2研磨テープ60は、外側研磨テープ60Aと、内側研磨テープ60Bから構成される。外側研磨テープ60Aと内側研磨テープ60Bは、隣り合わせに配置される。より具体的には、内側研磨テープ60Bは、外側研磨テープ60Aの内側に配置されている。内側研磨テープ60Bは、外側研磨テープ60Aよりも、ウェーハ保持面4aの回転軸心CLの近くに位置している。
第2研磨テープ供給機構65は、外側研磨テープ60Aを巻き出す外側巻き出しリール71と、外側研磨テープ60Aを巻き取る外側巻き取りリール72と、内側研磨テープ60Bを巻き出す内側巻き出しリール111と、内側研磨テープ60Bを巻き取る内側巻き取りリール112と、外側研磨テープ60Aおよび内側研磨テープ60Bを支持する第1ガイドローラー74および第2ガイドローラー75を備えている。外側巻き出しリール71と内側巻き出しリール111は、テンションモータ77に連結され、外側巻き取りリール72と内側巻き取りリール112は、テンションモータ78に連結されている。
外側研磨テープ60Aおよび内側研磨テープ60Bは、第2テープ送り機構76のニップローラー86とテープ送りローラー85との間に挟まれており、第2テープ送り機構76は、外側研磨テープ60Aおよび内側研磨テープ60Bを同じ速度で同じ方向に送り出すように構成されている。
第2研磨テープ供給機構65は、内側研磨テープ60Bを90度に捻る2つの捻りローラー120,121をさらに備えている。2つの捻りローラー120,121は、第1ガイドローラー74と第2ガイドローラー75との間に配置され、かつ第2押圧部材67の両側に配置されている。捻りローラー120,121は、基台81に固定された図示しない保持部材に回転可能に保持されている。捻りローラー120,121はその軸心を中心に回転可能である。捻りローラー120,121の軸心は、ウェーハ保持面4aに対して垂直である。
第1ガイドローラー74と第2ガイドローラー75との間を延びる内側研磨テープ60Bは、2つの捻りローラー120,121によって捻られ、内側研磨テープ60Bの研磨面はウェーハ保持面4aに対して垂直となり、かつウェーハ保持面4aの回転軸心CLを向く。一方、外側研磨テープ60Aの研磨面は、ウェーハ保持面4aと平行である。したがって、第2押圧部材67に接触している外側研磨テープ60Aの研磨面と内側研磨テープ60Bの研磨面は、互いに垂直である。
第1ガイドローラー74と第2ガイドローラー75は、ウェーハW上の研磨点(すなわち、外側研磨テープ60AとウェーハWとの接触点)において、外側研磨テープ60AがウェーハWの接線方向に延びるように、外側研磨テープ60Aを支持する第2テープ支持機構を構成する。同様に、2つの捻りローラー120,121も、ウェーハW上の研磨点(すなわち、内側研磨テープ60BとウェーハWとの接触点)において、内側研磨テープ60BがウェーハWの接線方向に延びるように、内側研磨テープ60Bを支持する第2テープ支持機構を構成する。
図15(a)は、ウェーハWのエッジを研磨している外側研磨テープ60Aおよび内側研磨テープ60Bを示す断面図であり、図15(b)は、外側研磨テープ60Aおよび内側研磨テープ60Bによって形成された段部を示す断面図である。図15(a)に示すように、外側研磨テープ60Aは、第1研磨テープ12によって形成された窪み300に第2押圧部材67の下面によって押し付けられ、同時に内側研磨テープ60Bは、第2押圧部材67の内側面によって窪み300に押し付けられる。
図15(b)に示すように、外側研磨テープ60Aは、ウェーハWのデバイス面Vに対して平行な第1面306を形成し、内側研磨テープ60Bは、ウェーハWのデバイス面Vに垂直な第2面307を形成する。結果として、外側研磨テープ60Aおよび内側研磨テープ60Bは、直角の断面形状を持つ段部305をウェーハWのエッジに形成することができる。
図14に示す実施形態は、図10に示す実施形態、および図12および図13に示す実施形態にも適用することができる。
図16は、研磨装置のさらに他の実施形態を示す上面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図2乃至図5を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、第1研磨ユニット10は、第1研磨テープ12に代えて、砥石130を研磨具として備えている。第1押圧部材35および第1研磨テープ供給機構16は設けられていない。図16に示すように、第1研磨ヘッド14は、砥石130を回転させる研磨具モータ132と、研磨具モータ132に連結された第1アクチュエータ48を備えている。
砥石130は、円盤形状を有している。砥石130は、第2研磨テープ60の研磨面よりも粗い研磨面を有している。研磨具モータ132の回転軸132aは、ウェーハ保持面4aに対して垂直である。第1アクチュエータ48は、研磨具モータ132および砥石130を一体にウェーハ保持面4aと垂直な方向に移動させるように構成されている。第1アクチュエータ48は、図4を参照して説明したエアシリンダ37と気体切換弁42の組み合わせであってもよいし、またはモータとボールねじ機構の組み合わせであってもよい。
第1研磨ユニット10は、第1アクチュエータ48によって移動された砥石130の移動距離を測定する距離センサ58を備えている。距離センサ58は、第1研磨ヘッド14に固定されている。研磨具モータ132には、センサターゲット135が固定されている。センサターゲット135は、第1アクチュエータ48によって砥石130と一体に移動される。距離センサ58は、砥石130の移動距離に相当するセンサターゲット135の移動距離を測定するように構成されている。距離センサ58は、研磨具モータ132の移動距離を測定するように配置されてもよい。この場合は、センサターゲット135は省略することができる。
先述した実施形態と同じように、距離センサ58は、砥石130によってウェーハWのエッジに形成された窪みの深さを測定するために設けられている。距離センサ58は、砥石130によってウェーハWのエッジに形成された窪みの深さを測定する深さ測定器として機能する。距離センサ58は動作制御部1に電気的に接続されており、砥石130の移動距離の測定値(すなわち、窪みの深さの測定値)は、動作制御部1に送られようになっている。
第1アクチュエータ48は、ヘッド支持部材25に支持されている。ヘッド支持部材25は、第1研磨ヘッド移動機構26に連結されている。第1研磨ヘッド移動機構26は、第1研磨ヘッド14および砥石130を、ウェーハ保持面4aの半径方向、すなわちウェーハWの半径方向に移動させるように構成されている。
ウェーハWのエッジの研磨は、次のようして行われる。図16に示すように、ウェーハWの下面はウェーハ保持面4aに保持され、ウェーハWは回転軸心CLを中心に回転される。図示しないノズルから液体(例えば純水)がウェーハWの上面の中心に供給される。液体は、遠心力によりウェーハWの上面の全体に広がる。
図17(a)に示すように、研磨具モータ132は、砥石130をその軸心を中心に回転させる。第1アクチュエータ48は、回転する砥石130をウェーハWのエッジに押し付ける。第1アクチュエータ48が砥石130をウェーハWのエッジに押し付けながら、第1研磨ヘッド移動機構26は、第1研磨ヘッド14および砥石130をウェーハWの半径方向において外側に移動させる。砥石130の研磨面は、液体の存在下でウェーハWのエッジに摺接し、ウェーハWのエッジに窪み300を形成する。一実施形態では、第1研磨ヘッド移動機構26は、第1研磨ヘッド14および砥石130をウェーハWの半径方向において往復移動させてもよい。
深さ測定器としての距離センサ58は、ウェーハWのエッジの研磨中に、砥石130の移動距離を測定する。砥石130の移動距離は、ウェーハWのデバイス面V(本実施形態ではウェーハWの上面)に対して垂直な方向への砥石130の移動距離である。窪み300の深さは、砥石130がウェーハWのエッジに接触した瞬間の初期位置からの砥石130の移動距離に相当する。一例では、初期位置は、ウェーハWおよび砥石130が回転していないときに砥石130をウェーハWのエッジに接触させたときの砥石130の位置とすることができる。砥石130の移動距離の測定値(すなわち、窪み300の深さの測定値)は、距離センサ58から動作制御部1に送信される。
ウェーハWのエッジの研磨中、動作制御部1は、窪み300の深さ(砥石130の初期位置からの移動距離)を監視し、窪み300の深さが目標値に達したことを検出する。動作制御部1は、第1研磨ヘッド14、第1研磨ヘッド移動機構26、およびウェーハ回転装置3に指令を発して、窪み300の深さが少なくとも目標値に達するまで、砥石130を用いたウェーハWのエッジの研磨を継続させる。窪み300の深さの目標値は、少なくとも10μmである。一例では、窪み300の深さの目標値は、30μm〜100μmである。
図17(b)は、砥石130によって形成された窪みの一例を示す断面図である。砥石130によって形成される窪みの深さDは、少なくとも10μmである。一例では、窪みの深さDは、30μm〜100μmである。
窪み300が形成された後、第1アクチュエータ48は、砥石130をウェーハWから離れる方向に移動させる。次に、第2研磨テープ60を用いたウェーハWのエッジが開始される。第2研磨テープ60を用いた研磨は、図7(a)および図7(b)に示す実施形態と同じようにして行われるので、その重複する説明を省略する。
図18は、研磨装置のさらに他の実施形態を示す上面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図16を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図18に示すように、第1研磨ユニット10は、第1研磨ヘッド14および砥石130をウェーハ保持面4aと平行な平面内で円運動させる円運動機構91をさらに備えている。円運動機構91は、ヘッド支持部材25と第1研磨ヘッド14との間に配置されている。すなわち、円運動機構91は、ヘッド支持部材25と第1研磨ヘッド14の両方に連結されている。円運動機構91は、動作制御部1に接続されており、円運動機構91の始動および停止は、動作制御部1によって制御される。円運動機構91は、図13に示す円運動機構91と同じ構成であるので、その重複する説明を省略する。
本実施形態によれば、砥石130はその軸心を中心に回転し、かつウェーハWのエッジに平行な平面内で円運動しながら、砥石130はウェーハWのエッジに押し付けられる。砥石130は、より高い研磨レートでウェーハWのエッジを研磨することができる。
窪みが形成された後、第1アクチュエータ48は、砥石130をウェーハWから離れる方向に移動させる。次に、第2研磨テープ60を用いたウェーハWのエッジが開始される。第2研磨テープ60を用いた研磨は、図7(a)および図7(b)に示す実施形態と同じようにして行われるので、その重複する説明を省略する。
上述した各実施形態は、適宜組み合わせることができる。例えば、図8、図9、図14に示す実施形態は、図16および図18に示す実施形態に適用することができる。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。