JP2020102442A - Lan対応カールコードおよびプラグ付きlan対応カールコード - Google Patents
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Abstract
Description
たとえば特許文献1では、螺旋状のケーブルを「通信ケーブル」に適用した例が開示されている。ここでは、螺旋状のカール部がケーブル端部のコネクタ近傍に形成され、ケーブルに誤って足を引っ掛けるなどしてそのケーブルに張力が加わったとしても、コネクタの接合部分やケーブルのストレート部にかかる力が吸収されるようになっており、コネクタの破損やストレート部の断線を防止しようとしている(段落0001、0021、図1など参照)。
したがって本発明の主な目的は、電気的特性を担保しながら伸縮性に優れるLAN対応カールコードを提供することにある。
螺旋状を呈するLAN対応カールコードであって、
1対の絶縁電線が撚り合わされた対撚線と、
前記対撚線の周囲を被覆するシースとを備え、
前記シースがポリ塩化ビニル樹脂を主成分とするPVC樹脂組成物から構成され、前記PVC樹脂組成物にはポリエステル系樹脂が含有され、
当該LAN対応カールコードのカール内径がコード外径の2.3倍以上3.1倍未満であることを特徴とするLAN対応カールコードが提供される。
なお、本明細書では、数値範囲を示す「〜」の記載に関し下限値および上限値はその数値範囲に含まれる。
図1に示すとおり、プラグ付きLAN対応カールコード60は主に、螺旋状を呈するLAN対応カールコード10とプラグ62とで構成されている。
LAN対応カールコード10はLAN(Local Area Network)に対応した通信ケーブルを、螺旋状に加工したカールコードである。
プラグ62はLAN対応カールコード10の両端にそれぞれ取り付けられている。
プラグ付きLAN対応カールコード60の使用時には、一方のプラグ62がPC(Personal Computer)に接続され、他方のプラグ62が通信機器に接続される。
図2に示すとおり、LAN対応カールコード10は主に、ケーブル心2およびシース4で構成され、ケーブル心2の周囲にシース4が形成されている。
ケーブル心2は単一の対撚線1で構成されてもよい。
対撚線1は1対の絶縁電線5が撚り合わされ構成されている。
導体51は複数本の素線(図示略)が撚り合わされ構成された導電性金属製の導線であり、好ましくは素線として軟銅線が使用される。導体51は単線で構成されてもよい。
導体51は錫、ニッケル、銀のいずれかのめっき層(図示略)によって素線の外周面が被覆されてもよい。この場合、絶縁体52の被覆加工時において素線の酸化を効果的に防止することができる。
ここでは、導体51は複数本の軟銅線が撚り合わされ構成されている。
導体51の外径は24〜30AWG(American Wire Gauge)であり、好ましくは28AWGである。
絶縁体52は絶縁性の樹脂で構成されている。絶縁体52は導体51を被覆するように絶縁性の樹脂が押出機のダイスから押し出され形成される。
絶縁性の樹脂は好ましくはポリエチレン樹脂またはフッ素樹脂であり、より好ましくはポリエチレン樹脂である。
ポリエチレン樹脂としては、たとえば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることができる。
フッ素樹脂としては、たとえば、フルオロエチレン・プロピレン共重合体(FEP;テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)を用いることができる。
これらフッ素樹脂のうち、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、またはテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を用いるのがよい。
絶縁体52の厚さは好ましくは0.09mm以上0.13mm以下である。
シース4はいわゆる外被でありケーブル心2の周囲を被覆している。
シース4は、ポリ塩化ビニル樹脂を主成分とするPVC樹脂組成物(PVC:Poly Vinyl Chloride)から構成され、ケーブル心2を被覆するようにPVC樹脂組成物が押出機のダイスから押し出され形成される。
PVC樹脂組成物においては、当該PVC樹脂組成物の含有物質全体に対するポリエステル系樹脂の含有率(質量%)は好ましくは10〜20質量%であり、より好ましくは14〜18質量%である。
ポリエステル系樹脂としては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリトリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが使用可能である。ポリエステル系樹脂は好ましくはポリブチレンテレフタレートである。
PVC樹脂組成物は柔軟性に優れ、LAN対応カールコード10に伸縮性を付与する。
シース4の厚さは好ましくは0.4mm以上0.8mm以下であり、より好ましくは0.5mm以上0.7mm以下である。
コード外径Bは好ましくは3.5mm以上4.5mm以下であり、より好ましくは3.7mm以上4.1mm以下である。
たとえば、コード外径Bが3.9mmの場合、カール内径Aは9.0mm以上12mm未満の範囲内に収まっている。
押え巻はポリエステルテープ(ポリエステル製フィルム)で構成されるのがよく、ポリエステルテープの厚さは好ましくは10μm以上50μm以下である。ポリエステルテープは不織布よりも硬いため、LAN対応カールコード10の変形を効果的に抑制することができる。押え巻で被覆する場合は、押え巻は好ましくはケーブル心2の外周においてポリエステルテープの一部が重ね合わされ巻回される(ラップ巻きされる)のがよい。これにより、LAN対応カールコード10の可撓性が低下するのを防止することができる。
始めに、図3Aに示すとおり、線状のLANケーブル70(LAN対応カールコード10の前駆体)を準備する。
具体的には、1対の絶縁電線5を撚り合わせて対撚線1を形成し、複数組の対撚線1を撚り合わせてケーブル心2を形成する。その後、ケーブル心2に対して、PVC樹脂組成物を押出成形してシース4を形成し、線状のLANケーブル70を作製する。
その後、LANケーブル70をマンドレル80に巻き付けたまま−10〜0℃の低温環境下で30分〜2時間保持し急冷する。
なお、プラグ62の取付けに関しては、上記のとおり図3A〜図3Dの処理をおこなってからLAN対応カールコード10の両端にプラグを取り付けてもよいし、線状のLANケーブル70の両端にプラグ62を取り付けてから図3A〜図3Dの処理をおこなってもよい。
(1.1)サンプル21〜24
導体として、複数本の軟銅線を撚り合わせ撚り線を形成した(28AWG)。
その後、絶縁性の樹脂として高密度ポリエチレンを準備し、これを押出機のダイスから押し出し、導体の周囲を絶縁体で被覆し、絶縁電線を形成した。
絶縁電線の外径は0.56mmであった。
ここでは、撚りピッチが7mm、10mm、8mm、11mmの4組の対撚線を形成し、これら4組の対撚線をピッチが約70mmになるように撚り合わせ、ケーブル心を形成した。
PVC樹脂組成物の含有物質とその含有率(質量%)を表1に示す。
シースの厚さは0.6mmであり、ケーブル外径(コード外径)は3.9mmであった。
ここでは、マンドレルとして、外径8mm、9mm、10mm、12mmの4種類のマンドレルを準備し、これらマンドレルに巻き付けた。
その後、LANケーブルをマンドレルに巻き付けたまま0℃の低温環境下で2時間保持し急冷した。
ここでは、マンドレルの外径(カール内径)に応じてサンプル21〜24とした。
サンプル21〜24の仕様を表2に示す。
市販品(サンワサプライ製LANカールコードKB-Y5CC-01BK)を購入した。これをサンプル30とし分析した。
サンプル30の仕様を表2および表3に示す。
(2.1)パッチコード試験
各サンプルに対し、試験規格TIA Patch Cord Cat.5eに準拠したパッチコード試験を実施した。試験結果を表4に示す。表4中、「n」はサンプル数を示す。
全長約300mmのサンプルに対し、その約3倍の長さの900mmまで伸長してもとの長さに収縮させる、という伸縮動作を、10万回および50万回繰り返し実施した。
伸縮試験前後のサンプルにおいて長さを測定し、伸長率を算出し外観も観察した。結果を表5に示す。
併せて伸縮試験前後のサンプルに対し、試験規格TIA Patch Cord Cat.5eに準拠したパッチコード試験も実施した。試験結果を表6に示す。表6中、「n」はサンプル数を示す。
各サンプルを垂直に把持しその自重でどの程度垂れ下がったかを試験した(図4参照)。試験結果を表7に示す。
表4に示すとおり、カール内径がコード外径の2.1倍のサンプル21や1.5倍のサンプル30では、電気特性に不安が残る結果であった。他方、シースがPVC樹脂組成物製でカール内径がコード外径の2.3倍以上のサンプル22〜24では、2.0dB以上のマージンが確保され電気特性は良好であった。
表5に示すとおり、シースがPVC樹脂組成物製であってもカール内径がコード外径の3.1倍のサンプル24やシースがウレタン樹脂製のサンプル30では、伸長率が高かった。他方、シースがPVC樹脂組成物製でカール内径がコード外径の3.1倍未満のサンプル21〜23では、伸長率が低く収縮性に優れていた。
特に表6に示すとおり、シースがPVC樹脂組成物製でカール内径がコード外径の2.3倍以上3.1倍未満のサンプル22、23では、伸縮試験後においても電気特性は良好であった。
以上から、電気特性を担保しながら伸縮性に優れるLAN対応カールコードを得るには、シースを一定のPVC樹脂組成物で構成しかつカール内径をコード外径の2.3倍以上3.1倍未満の範囲内に収めるのが有用であることがわかる。
2 ケーブル心
4 シース
5 絶縁電線
10 LAN対応カールコード
51 導体
52 絶縁体
60 プラグ付きLAN対応カールコード
62 プラグ
70 (線状の)LANケーブル
72 (螺旋状の)LANケーブル
80 マンドレル
A カール内径
B コード外径
Claims (4)
- 螺旋状を呈するLAN対応カールコードであって、
1対の絶縁電線が撚り合わされた対撚線と、
前記対撚線の周囲を被覆するシースとを備え、
前記シースがポリ塩化ビニル樹脂を主成分とするPVC樹脂組成物から構成され、前記PVC樹脂組成物にはポリエステル系樹脂が含有され、
当該LAN対応カールコードのカール内径がコード外径の2.3倍以上3.1倍未満であることを特徴とするLAN対応カールコード。 - 請求項1に記載のLAN対応カールコードにおいて、
前記PVC樹脂組成物に対する前記ポリエステル系樹脂の含有率が10〜20質量%であることを特徴とするLAN対応カールコード。 - 請求項1または2に記載のLAN対応カールコードにおいて、
前記ポリエステル系樹脂がポリブチレンテレフタレートであることを特徴とするLAN対応カールコード。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のLAN対応カールコードと、
前記LAN対応カールコードの両端に取り付けられるプラグとを、備えることを特徴とするプラグ付きLAN対応カールコード。
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