JP2020102263A - 煙感知器、及び煙濃度推定方法 - Google Patents

煙感知器、及び煙濃度推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自器の外側における煙の濃度を推測することで、火災の発生を精度良く感知することの可能な煙感知器、及び煙濃度推定方法を提供する。【解決手段】自器の外側を流れる煙を含んだ空気が流入する煙感知室22と、自器の外側を流れる気流の風速を検知する風速検知部と、風速検知部で検知した気流の風速に基づき、煙感知室内に流入した煙を含んだ空気の流入量を算出すると共に煙感知室内の煙の濃度を測定する煙濃度測定機構24と、を備え、煙濃度測定機構は、算出した煙を含んだ空気の流入量、測定した煙感知室内の煙の濃度、及び煙感知室の容量に基づいて、自器の外側における煙の濃度を推定する。【選択図】図1

Description

本発明は、煙を感知する煙感知器、及び煙濃度推定方法に関する。
従来、火災の発生を早期検知し、火災が発生した建物の住人や管理者に、火災の発生を知らせて避難や消火活動を促す設備として、火災感知器が用いられている。
火災感知器には、熱によって火災を感知して警報を発する熱感知器と、煙によって火災を感知して警報を発する煙感知器と、がある。
ここで、従来の煙感知器の構成について説明する。
従来の煙感知器は、ケースと、回路基板と、端子盤と、回路基板に実装された電子部品と、回路基板が固定される端子盤と、底板部材と、複数のラビリンスと、防虫網と、回路基板支持部材と、発光部と、受光部と、を有する(例えば、特許文献1参照。)。
ケースは、端子盤、底板部材、複数のラビリンス、防虫網、回路基板支持部材、煙感知室、発光部、及び受光部を収容している。
ケースは、煙をケース内に流入させるための複数の煙流入口を有する。端子盤は、板状とされた部材であり、ケース内に固定されている。端子盤は、その下方に底板部材、複数のラビリンス、防虫網、回路基板支持部材、煙感知室、発光部、及び受光部を収容することが可能な位置に設けられている。
電子部品が実装された回路基板は、端子盤に固定されている。底板部材は、ケース内の底部に配置されている。
複数のラビリンスは、底板部材の中央部に煙を導入可能な状態で、底部部材の外周部の上面に立設されている。複数のラビリンスは、外部からの光の侵入を抑制する機能を有する。
防虫網は、円筒形状とされており、複数のラビリンスを外側から囲むように、ケース内に配置されている。
回路基板支持部材は、端子盤の下側に固定されている。回路基板支持部材の下面は、複数のラビリンスの上端部と接続されている。回路基板支持部材の上面側は、回路基板を支持している。
煙感知室は、底板部材、回路基板支持部材、及び複数のラビリンスで区画された空間である。煙感知室には、煙流入口、防虫網、及び複数のラビリンスを介して、ケースの外側に位置する煙が流入される。
発光部は、回路基板の下方に設けられており、回路基板と電気的に接続されている。発光部は、煙感知室内に導入された煙に光を照射する。
受光部は、回路基板の下方に設けられており、回路基板と電気的に接続されている。受光部は、発光部から煙に向けて照射され、煙によって散乱された光を受光する。回路基板に実装された電子部品のうち、制御用の電子部品は、受光部が受光した光に基づいて、煙感知室内の煙の濃度を算出する。
上記構成とされた従来の煙感知器は、算出された煙感知室内の煙の濃度が所定の閾値を超えた際、発報する。
特開2004-227446号公報
しかしながら、上記構成とされた従来の煙感知器では、煙流入口の開口の大きさがそれほど大きくないため、煙流入口を介して、ケースの外側に位置する煙がケース内に入り込みにくい。このため、ケースの外側における煙の濃度よりも煙感知室内の煙の濃度の方が低くなり、煙感知器による火災の発生の感知が遅れる恐れがあった。
また、上述した従来の煙感知器では、煙感知室の外側に、複数のラビリンスや防虫網を有した構成とされているため、ケース内に入り込んだ煙が煙感知室に入り込みにくい。
したがって、複数のラビリンスや防虫網を有する煙感知器の場合、ケースの外側における煙の濃度と、煙感知室内の煙の濃度と、の差がさらに大きくなるため、煙感知器による火災の感知がさらに遅れる恐れがあった。
特に、ケースの外側を流れる気流の速度が低速の場合に、上記問題が顕著となる。
そこで、本発明は、ケースの外側における煙の濃度を推測することで、火災の発生を精度良く感知することの可能な煙感知器、及び煙濃度推定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の煙感知器は、自器の外側を流れる煙を含んだ空気が流入する煙感知室と、前記自器の外側を流れる気流の風速を検知する風速検知部と、前記風速検知部で検知した前記気流の風速に基づき、前記煙感知室内に流入した前記煙を含んだ空気の流入量を算出すると共に前記煙感知室内の煙の濃度を測定する煙濃度測定機構と、を備え、前記煙濃度測定機構は、前記算出した前記煙を含んだ空気の流入量、測定した前記煙感知室内の煙の濃度、及び前記煙感知室の容量に基づいて、前記自器の外側における煙の濃度を推定することを特徴とする。
また、前記煙濃度測定機構は、下記式(1)に基づいて、前記自器の外側における煙の濃度を推定してもよい。
Dout(t)=(V/v)・{Din(t+Δt)−Din(t)}+Din(t)
・・・(1)
但し、上記式(1)において、Vは前記煙感知室の容量[m]、vは前記煙感知室内に流入する前記煙を含んだ空気の流入量[m]、Din(t)はある時刻tにおける前記煙感知室内における煙の濃度[m−1]、Dout(t)はある時刻tでの前記自器の外側における推定された煙の濃度[m−1]、Δtはある時刻tからの経過時間[s]をそれぞれ示す。
上記課題を解決するため、本発明の煙濃度推定方法は、煙感知器の外側を流れる気流の風速に基づき、前記煙感知器内に設けられた煙感知室内に流入した煙を含んだ空気の流入量、前記煙感知室内の前記煙の濃度、および前記煙感知室の容量に基づいて、前記煙感知器の外側における煙の濃度を推定することを特徴とする。
また、下記式(2)に基づいて、前記煙感知器の外側における煙の濃度を推定してもよい。
Dout(t)=(V/v)・{Din(t+Δt)−Din(t)}+Din(t)
・・・(2)
但し、上記式(2)において、Vは前記煙感知室の容量[m]、vは前記煙感知室内に流入する前記煙を含んだ空気の流入量[m]、Din(t)はある時刻tにおける前記煙感知室内における煙の濃度[m−1]、Dout(t)はある時刻tでの前記煙感知器の外側における推定された煙の濃度[m−1]、Δtはある時刻tからの経過時間[s]をそれぞれ示す。
本発明によれば、火災の発生を精度良く感知することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る煙感知器の概略構成を示す断面図である。 図1に示す第1の実施の形態の煙感知器をその下面側から平面視した図である。 第1の実施の形態の煙感知器を構成するケース、底板部、複数のラビリンス、防虫網、回路基板支持部材、及び端子盤を分解した斜視図である。 図1に示す煙感知器を用いた第1の実施の形態に係る煙濃度推定方法の処理を示すフローチャートである。 図1に示す煙感知器を用いた第1の実施の形態の変形例に係る煙濃度推定方法の処理を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る煙感知器の概略構成を示す断面図である。 図6に示す第2の実施の形態の煙感知器をその下面側から平面視した図である。 本発明の第3の実施の形態に係る煙感知器の概略構成を示す断面図である。 図8に示す第3の実施の形態の煙感知器をその下面から平面視した図である。 第1のサーミスタ素子のみを発熱させた際の時間と発熱温度との関係を示すグラフである。 第1のサーミスタ素子のみを発熱させた際の第2のサーミスタ素子の時間と発熱温度との関係を示すグラフである。 第1のサーミスタ素子のみを発熱させた際の第3のサーミスタ素子の時間と発熱温度との関係を示すグラフである。 第1のサーミスタ素子のみを発熱させた際の第4のサーミスタ素子の時間と発熱温度との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施の形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の煙感知器の寸法関係とは異なる場合がある。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る煙感知器の概略構成を示す断面図である。図1では、第1の実施の形態の煙感知器10の構成要素のうち、制御用電子部品32、発光部33、及び受光部34以外の構成要素を断面で図示する。また、図1では、電子部品のうち、第1の実施の形態の説明に必要な電子部品である制御用電子部品32のみを回路基板31に実装させた場合を例に挙げて図示する。
また、図1に示す気流の横の矢印は、気流の移動方向(風向き)の一例を示しているが、気流の風向きは、これに限定されない。
図2は、図1に示す第1の実施の形態の煙感知器をその下面側から平面視した図である。図2において、図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図3は、第1の実施の形態の煙感知器を構成するケース、底板部、複数のラビリンス、防虫網、回路基板支持部材、及び端子盤を分解した斜視図である。図3において、図1及び図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図1〜図3では、一例として、天井(図示せず)に取り付けられる煙感知器10を図示する。
図1〜図3を参照するに、第1の実施の形態の煙感知器10は、ケース11と、端子盤13と、回路基板支持部材14と、底板部15と、複数のラビリンス17と、防虫網19と、煙感知室22と、煙濃度推定部を含む煙濃度測定機構24と、導体27,28と、風速検知部であるサーミスタ素子29と、を有する。
ケース11は、ケース本体35と、突出部36と、煙流入口38と、を有する。ケース本体35は、端子盤13、回路基板支持部材14、底板部15、複数のラビリンス17、防虫網19、煙感知室22、及び煙濃度測定機構24を収容可能な収容部35Aを有する。
ケース本体35の上部には、端子盤13及び煙濃度測定機構24が収容され、ケース本体35の下部には、複数のラビリンス17や底板部15が収容される。
突出部36は、ケース本体35内の上部から上方に突出している。突出部36は、端子盤13の外周部に形成された溝部42に挿入されることで、ケース11内における端子盤13の位置を規制する。突出部36としては、例えば、リング状の突出部を用いることができる。
煙流入口38は、突出部36の形成位置よりも下方側に位置するケース本体35の下部を貫通するように設けられている。煙流入口38は、ケース本体35の周方向に対して複数設けられている。
図2の場合、一例として、8つの煙流入口38を図示したが、煙流入口38の数は、複数であればよく、8つに限定されない。
煙流入口38は、火災が発生した際にケース11の外側を流れる煙を含んだ空気を、ケース本体35内に流入させるための開口部である。
端子盤13は、円盤状の部材であり、溝部42と、突出部44と、凹部46と、を有する。溝部42は、端子盤13の外周部の下面側に設けられている。上述したように、溝部42には、突出部36が挿入される。
突出部44は、端子盤13の下面側であって、溝部42の形成位置よりも内側の位置から下方に突出している。突出部44は、溝部42が突出部36に挿入された状態において、ケース本体35の内面と接触する回路基板支持部材14の外周部の上面と接触している。これにより、突出部44は、収容部35A内での回路基板支持部材14の位置を規制している。
凹部46は、端子盤13の中央部が図示していない天井側に窪むことで構成されている。
回路基板支持部材14は、その直径が端子盤13の直径よりも小さい円盤状の部材である。回路基板支持部材14は、端子盤13の下方に位置する収容部35Aに収容されている。回路基板支持部材14は、支持面14aと、発光部収容部51と、受光部収容部53と、を有する。
回路基板支持部材14の支持面14aは、上方に突出した平面であり、煙濃度測定機構24の構成要素である後述する回路基板31の他面31bに当接されている。これにより、支持面14aは、端子盤13と回路基板支持部材14との間に配置される回路基板31の他面31b側を支持している。
発光部収容部51は、発光部33が照射する光を煙感知室22に照射可能なように、発光部33を収容している。受光部収容部53は、発光部33が煙感知室22に照射した光を受光可能なように、受光部34を収容している。
底板部15は、ケース本体35の底部の内面と対向するように、ケース本体35の底部の近傍に配置されている。
複数のラビリンス17は、底板部15の上面からその上方に突出するように、底板部15の上面の外周部に設けられている。複数のラビリンス17は、底板部15と一体に構成されている。複数のラビリンス17の上端は、回路基板支持部材14の下面に当接されている。
複数のラビリンス17は、煙感知室22内に外部からの光が直接入射されることを抑制する遮光部材として機能する。
なお、図3に示す複数のラビリンス17の形状は、一例であって、この形状に限定されない。
防虫網19は、環状とされた部材であり、複数のラビリンス17の外側を囲むように、回路基板支持部材14と底板部15との間に配置されている。
煙感知室22は、底板部15、底板部15と対向する部分の回路基板支持部材14、及び複数のラビリンス17で区画された空間である。煙感知室22は、ケース本体35内の下部に配置されている。
煙感知室22には、火災が発生した際、煙流入口38、防虫網19、及び複数のラビリンス17を介して、煙を含んだ空気が出入りする。煙感知室22の容積は、例えば、0.5×10−5〜5.0×10−5の範囲内で適宜設定することができる。
煙濃度測定機構24は、ケース本体35内のうち、煙感知室22の上方に配置されている。煙濃度測定機構24は、煙感知室22内に流入した煙の濃度を測定するとともに、ケース11の外側における煙の濃度を推定する。
煙濃度測定機構24は、回路基板31と、煙濃度推定部としても機能する制御用電子部品32と、発光部33と、受光部34と、を有する。
回路基板31は、ケース本体35内に収容されている。回路基板31は、回路基板支持部材14の支持面14aと端子盤13との間に配置されている。回路基板31は、制御用電子部品32を含む電子部品が実装される一面31aと、一面31aの反対側に設けられた他面31bと、を有する。
回路基板31は、例えば、絶縁性を有する板状の基板本体(図示せず)と、該基板本体の一面31a側に配置された配線パターン(図示せず)と、で構成することができる。
回路基板31を構成する配線パターン(図示せず)は、図1〜図3に図示していない一対の外線(給電用の外線)、発光部33、受光部34、及び制御用電子部品32と電気的に接続されている。
上記回路基板31としては、例えば、プリント配線基板を用いることができる。
制御用電子部品32は、煙感知器10の制御全般を行う電子部品であり、煙濃度推定部としても機能する。制御用電子部品32は、風速検知部であるサーミスタ素子29、回路基板31、発光部33、及び受光部34と電気的に接続されている。
煙濃度推定部は、記憶部61と、制御部62と、を有した構成とされている。
記憶部61には、予め取得した気流の風速の大きさと煙感知室22内へ流入した煙を含んだ空気の流入量との関係を示す空気流入量算出用データ(以下、単に「空気流入量算出用データ」という)、煙感知室22の容量、気流の風速の検知を開始する際の閾値となる煙の所定の濃度(以下、「所定の濃度B」という)、発報する際の閾値である発報濃度、煙感知室22内へ流入した煙の濃度を検知するプログラム、及びケース11の外側における煙の濃度を推定する推定プログラム等が格納されている。
制御部62は、記憶部61に格納されたプログラムに基づいて、煙感知器10を制御する。例えば、制御部62は、煙感知室22内へ流入した煙の濃度を検知する。
一方、制御用電子部品32が煙濃度推定部として機能する場合、制御部62は、空気流入量算出用データと、サーミスタ素子29を発熱させた際のサーミスタ素子29の温度上昇量と、に基づいて、煙感知室22内に流入した煙を含んだ空気の流入量を算出するとともに、煙を含んだ空気の流入量、煙感知室22の容量、及び煙感知室22内の煙の濃度に基づいて、ケース11の外側における煙の濃度を推定する。
このように、空気流入量算出用データと、サーミスタ素子29が検知する気流の風速と、に基づいて、煙感知室22内に流入した煙を含んだ空気の流入量を算出するとともに、煙を含んだ空気の流入量、煙感知室22の容量、及び煙感知室22内の煙の濃度に基づいて、ケース11の外側における煙の濃度を推定する煙濃度推定部(制御部62)を有することで、気流の風速を考慮して推定された煙の濃度と、ケース11の外側における実際の煙の濃度と、の差を小さくすることが可能となる。これにより、煙感知器10が設置された領域での火災の感知を精度良く行うことができる。
煙濃度推定部は、例えば、下記式(5)に基づいて、ケース11の外側における煙の濃度を推定してもよい。
Dout(t)=(V/v)・{Din(t+Δt)−Din(t)}+Din(t)
・・・(5)
但し、上記式(5)において、Vは前記煙感知室の容量[m]、vは前記煙感知室内に流入する前記煙を含んだ空気の流入量[m]、Din(t)はある時刻tにおける前記煙感知室内における煙の濃度[m−1]、Dout(t)はある時刻tでの前記ケースの外側における推定された煙の濃度[m−1]、Δtはある時刻tからの経過時間[s]をそれぞれ示す。
なお、煙の濃度は、一般的に、煙に光を透過させた時の光の単為通貨距離あたりの減光率[%/m]で表現するが、SI単位系で表現すると%が消えて、上記のように、[m−1]で表現される。
このように、上記式(5)を用いて、ケース11の外側の煙の濃度を推定することで、ケース11の外側における煙の濃度を精度良く推定することができる。
上記制御用電子部品32としては、例えば、CPUを用いることができる。
発光部33は、発光部収容部51に固定されており、回路基板31を構成する配線パターン(図示せず)と電気的に接続されている。これにより、発光部33は、配線パターンを介して、制御用電子部品32と電気的に接続されている。
発光部33は、煙感知室22に光を照射し、煙感知室22に流入する煙の粒子に光が当たったときに生ずる散乱光を、受光部34に入射させる。
受光部34は、受光部収容部53に固定されており、上記散乱光を受光する。そして、制御用電子部品32により、受光部34が受光した散乱光に基づいて、煙感知室22内の煙の濃度が算出される。
上記発光部33及び受光部34は、例えば、煙感知室22に向かう発光部33からの光軸と、煙感知室22内の煙の粒子によって散乱されて受光部34に向かう散乱光の光軸と、が水平方向で所定の角度で交差し、且つ鉛直方向においても所定の角度で交差するように、配置することができる。
また、上述した煙濃度測定機構24の下方に、外部からの光を遮光する複数のラビリンス17、及び複数のラビリンス17の外側を囲む筒状の防虫網19を有することで、外部からの光や虫が煙感知室22に入りにくくなるので、ケース11の外側を流れる気流の風速を精度良く求めることができる。
導体27,28は、一方の端部が回路基板31を構成する配線パターン(図示せず)と電気的に接続されている。導体27,28は、回路基板支持部材14及びケース本体35を貫通するように、回路基板31の下方に延在している。これにより、導体27,28の他方の端部は、ケース11の外側に配置されている。
サーミスタ素子29は、ケース11の外側を流れる気流の風速を検知する風速検知部である。サーミスタ素子29は、導体27,28の他方の端部間に設けられている。これにより、サーミスタ素子29は、ケース本体35の外側に配置されている。
サーミスタ素子29は、発熱した際の温度に関するデータを連続して、制御用電子部品32に送信する。
サーミスタ素子29としては、例えば、NTCサーミスタ素子を用いることが好ましいが、PTCサーミスタ素子を用いてもよい。
このように、風速検知部として、1つのサーミスタ素子29を用いることで、気流によって奪われる熱量が気流の風速に依存するため、サーミスタ素子29を発熱させた際のサーミスタ素子29の温度上昇量から気流の風速を求めることができる。
図4は、図1に示す煙感知器を用いた第1の実施の形態に係る煙濃度推定方法の処理を示すフローチャートである。
図4を参照して、第1の実施の形態に係る煙濃度推定方法(具体的には、煙感知器10が感知する煙感知室22の煙が所定の濃度Bを超えた際に気流の風速を検知する場合の煙濃度推定方法)について説明する。
図4に示す処理が開始されると、ステップS1では、煙濃度検知工程が行われる。煙濃度検知工程では、煙感知室22内の煙の濃度を連続的に検知する処理が行われる。
続く、ステップS2では、煙感知室22内の煙の濃度が閾値となる所定の濃度Bを超えたか否かの判定が行われる。ステップS2において、煙感知室22内の煙の濃度が所定の濃度Bを超えたと判定(Yesと判定)されると、処理は、ステップS3へと進む。
一方、ステップS2において、煙感知室22内の煙の濃度が所定の濃度Bを超えていないと判定(Noと判定)されると、処理は、ステップS1へと戻る。
上記所定の濃度Bは、例えば、0.001[m−1]〜0.050[m−1]の範囲内で適宜設定することができる。
ステップS3では、ケース11の外側を流れる気流の風速を取得する風速取得工程が行われる。
風速取得工程では、例えば、ケース本体35の外側に突出するように配置された1つのサーミスタ素子29を発熱させた際のサーミスタ素子29の温度上昇ΔTTh[K]、サーミスタ素29子の発熱量QTh[J]、煙感知器10に逃げる熱量QFL[J]、及びサーミスタ素子29の熱容量CHC[J/K]を下記式(6)に代入して、気流に奪われる熱量QAF[J]を算出する熱量算出工程と、予め取得した気流の大きさと気流に奪われる熱量との関係を示す空気流入量算出用データと、前記熱量算出工程で算出した前記気流に奪われる熱量QAF[J]と、に基づいて、気流の風速を取得する風速取得工程と、を行う。
ΔTTh=(QTh−QAF−QFL)/CHC ・・・(6)
ケース11の外側を流れる気流によって奪われる熱量は、気流の風速に依存する。このため、電流を流して、サーミスタ素子29を発熱させた際のサーミスタ素子29の温度上昇量からケース11の外側を流れる気流の風速を求めることが可能となる。
したがって、サーミスタ素子29の温度上昇ΔTTh[K]、該サーミスタの発熱量QTh[J]、煙感知器10に逃げる熱量QFL[J]、及びサーミスタ素子29の熱容量CHC[J/K]を上記式(6)に代入することで算出される気流に奪われた熱量QAF[J]と、予め取得した気流の大きさと気流に奪われる熱量との関係を示す空気流入量算出用データと、に基づいて、ケース11の外側を流れる気流の風速を精度良く算出することができる。
上述したステップS3の処理が完了すると、処理は、ステップS4へと進む。
ステップS4では、煙濃度推定工程が行われる。煙濃度推定工程では、予め取得した空気流入量算出用データと、風速取得工程で取得した気流の風速と、に基づいて、煙感知室22内に流入した煙を含んだ空気の流入量を算出するとともに、煙を含んだ空気の煙感知室22内への流入量、煙感知室22の容量、及び煙感知室22内における煙の濃度を上記式(5)に代入することで、ケース11の外側における煙の濃度を推定する。
このように、連続的に検知する煙感知室22内の煙の濃度が予め設定した所定の濃度Bを超えた際、空気流入量算出用データと、風速取得工程で取得した気流の風速と、に基づいて、煙感知室22内に流入した煙を含んだ空気の流入量を算出するとともに、煙を含んだ空気の煙感知室22内への流入量、煙感知室22の容量、及び煙感知室22内における煙の濃度を上記式(5)に代入することで、ケース11の外側における煙の濃度を推定することにより、気流の風速を考慮して推定された煙の濃度と、ケース11の外側における実際の煙の濃度と、の差を小さくすることが可能となる。これにより、煙感知器10が設置された領域での火災の感知を精度良く行うことができる。
上述したステップS4の処理が完了すると、処理は、ステップS5へと進む。
ステップS5では、ステップS4において推定した煙の濃度が、閾値である発報濃度を超えたか否かの判定が行われる。ステップS5において、推定した煙の濃度が発報濃度を超えたと判定(Yesと判定)された場合には、処理は、ステップS6へと進む。
一方、ステップS5において、推定した煙の濃度が発報濃度を超えていないと判定(Noと判定)された場合には、処理は、ステップS4へと戻る。
ステップS6では、発報工程が行われる。発報工程では、火災を感知したことを知らせるために、煙感知器10に設けられたスピーカー(図示せず)から発報する。
また、トランジスタ、サイリスタ等の素子を用いて、端子部を通じて通常監視時の消費電流より大きい消費電流を流すことにより、接続された受信盤(図示せず)に対し、火災を感知したことを伝達する。
このように、推定した煙の濃度が発報濃度を超えた際、発報することで、煙感知器10の設置された部屋にいる人々に、火災が発生したことを認識させることができる。
上記ステップS6の処理が完了すると、図4に示すフローチャートの処理は、終了する。
第1の実施の形態の煙濃度推定方法によれば、上述した式(5)を用いて、ケース11の外側における煙の濃度を推定することにより、気流の風速を考慮して推定された煙の濃度と、ケース11の外側における実際の煙の濃度と、の差を小さくすることが可能となる。これにより、煙感知器10が設置された領域での火災の感知を精度良く行うことができる。
また、検知した煙の濃度が、予め設定した所定の濃度Bを超えた際、ケース11の外側を流れる気流の風速を取得することで、常時、気流の風速を取得するために、サーミスタ素子29を発熱させた場合と比較して、煙感知器10が消費する電力を節約することができる。
図5は、図1に示す煙感知器を用いた第1の実施の形態の変形例に係る煙濃度推定方法の処理を示すフローチャートである。図5において、図4に示すフローチャートと同一のステップには、同一のステップ符号を付す。
図5を参照して、第1の実施の形態の変形例に係る煙濃度推定方法(具体的には、連続的に気流の風速を取得する煙濃度推定方法)について説明する。
第1の実施の形態の変形例に係る煙濃度推定方法は、先に説明した図4に示すステップS2とステップS3との位置を入れ替え、かつ図5に示す風速取得工程において、常時、連続的にケース11の外側を流れる気流の風速を取得すること以外は、図4で説明した第1の実施の形態の煙濃度推定方法と同様な手法により行うことができる。
つまり、第1の実施の形態の変形例に係る煙濃度推定方法では、予め取得した空気流入量算出用データと、風速取得工程で連続的に取得した気流の風速と、に基づいて、煙感知室22内に流入した煙を含んだ空気の流入量を算出するとともに、煙を含んだ空気の流入量、煙感知室22の容量、及び煙感知室22内における煙の濃度を上記式(5)に代入することで、常時、ケース11の外側における煙の濃度を推定する。
上述した第1の実施の形態の変形例に係る煙濃度推定方法は、煙感知器10の消費電力がやや増加すること以外は、先に説明した第1の実施の形態の煙濃度推定方法と同様な効果を得ることができる。つまり、煙感知器10が設置された領域での火災の感知を精度良く行うことができる。
なお、第1の実施の形態では、一例として、図1に示すように、煙感知室22がケース本体35内の下部に配置され、煙濃度測定機構24が煙感知室22の上方に配置された場合を例に挙げて説明したが、煙感知室22は、ケース本体35内に配置されていればよく、また、煙濃度測定機構24は、煙感知室22に隣接して配置されていればよく、図1に示す煙感知室22及び煙濃度測定機構24の位置に限定されない。例えば、煙感知室22をケース本体35の上部に配置してもよい。
また、第1の実施の形態では、一例として、風速検知部を1つのサーミスタ素子29で構成した場合を例に挙げて説明したが、風速検知部は、例えば、3つ以下のサーミスタ素子29で構成することができる。
このように、2つ或いは3つのサーミスタ素子29を用いて風速検知部を構成する場合には、これらのサーミスタ素子29が検知する気流の風速を平均化させたものを風速検知部が検知した気流の風速として用いることで、得られる気流の風速の精度の信頼性が向上するため、推定されるケース11の外側における煙の濃度の精度を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る煙感知器の概略構成を示す断面図である。図6において、第1の実施の形態の煙感知器10(図1参照)と同一構成部分には同一符号を付す。
図7は、図6に示す第2の実施の形態の煙感知器をその下面側から平面視した図である。図7において、図6に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図6及び図7を参照するに、第2の実施の形態に係る煙感知器70は、第1の実施の形態の煙感知器10を構成する導体27,28及びサーミスタ素子29に替えて、風速検知部を構成する3つの気圧検知素子71を有すること以外は、煙感知器10と同様に構成されている。
3つの気圧検知素子71は、回路基板31及び制御用電子部品32と電気的に接続されている。3つの気圧検知素子71は、ケース11の外側を流れる気流の圧力を検知し、検知した気流の圧力に関するデータを制御用電子部品32に送信する。
上記気圧検知素子71としては、例えば、MEMS式気圧センサを用いることができる。
3つの気圧検知素子71は、例えば、隣り合う位置に配置された気圧検知素子71の中心を直線で結ぶことで形成される多角形(この場合、図7に示す三角形73)の内側に、ケース本体35の中心Cを収容するように配置するとよい。
第2の実施の形態の煙感知器70によれば、隣り合う位置に配置された気圧検知素子71の中心を直線で結ぶことで形成される多角形(この場合、三角形73)の内側に、ケース本体35の中心Cを収容するように、3つの気圧検知素子71を配置することで、ケース本体35の外面の周方向において、特定の半円の区間のみに3つの気圧検知素子71が配置されることがなくなる。
これにより、気流の風向きの方向に依存することなく、3つの気圧検知素子71が検知する気圧のバランスにより、ケース11の外側を流れる気流の風速だけでなく、気流の風向きも求めることができる。
また、気流の風向きが分かることで、煙感知器70から見た火源の方向を推測することができる。
さらに、上記構成とされた第2の実施の形態の煙感知器70は、第1の実施の形態の煙感知器10と同様に、煙感知器70が設置された領域での火災の感知を精度良く行うことができる。
なお、第2の実施の形態の煙感知器70は、気流の風向きは、検知する気圧の高い側が風上で、検知する気圧の低い側が風下であることに基づいて、判定することができる。
なお、第2の実施の形態では、ケース本体35の外面の周方向における気圧検知素子71の間隔を異ならせた場合を例に挙げて説明したが、ケース本体35の外面の周方向における気圧検知素子71の間隔を一定にしてもよい。
また、図7では、一例として、3つの気圧検知素子71を用いて風速検知部を構成する場合を例に挙げて説明したが、風速検知部を構成する気圧検知素子71の数は、3つ以上であればよく、3つに限定されない。
ここで、図6に示す煙感知器70を用いた第2の実施の形態の煙濃度推定方法について説明する。
煙感知器70を用いた煙濃度推定方法は、先に説明した図4及び図5に示すS3の風速取得工程において、3つの気圧検知素子71からなる風速検知部を用いて、ケース11の外側を流れる気流の風速及び風向きを取得すること以外は、第1の実施の形態で説明した図4及び図5に示す煙濃度推定方法と同様な手法により行うことができる。
第2の実施の形態の煙濃度推定方法によれば、気流の風速及び風向きを考慮して推定された煙の濃度と、ケース11の外側における実際の煙の濃度と、の差を小さくすることが可能となる。これにより、煙感知器70が設置された領域での火災の感知を精度良く行うことができる。
また、気流の風向きが分かることで、煙感知器70から見た火源の方向を推測することができる。
(第3の実施の形態)
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る煙感知器の概略構成を示す断面図である。図8において、第1の実施の形態の煙感知器10(図1参照)と同一構成部分には同一符号を付す。
図9は、図8に示す第3の実施の形態の煙感知器をその下面側から平面視した図である。図9において、図8に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図8及び図9では、説明の便宜上、図1及び図2に示すサーミスタ素子29と同様な構成とされた4つのサーミスタ素子を、第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4として図示する。
また、図8及び図9では、第1のサーミスタ素子29−1から第3のサーミスタ素子29−3に向かう方向に、気流の風向が一致している場合を例に挙げる。
図9に示すX方向は、第1及び第3のサーミスタ素子29−1,29−3の配列方向であるとともに、気流の風向きを示している。また、図9に示すY方向は、第2及び第4のサーミスタ素子29−2,29−4の配列方向を示している。
図8及び図9を参照するに、第3の実施の形態に係る煙感知器80は、第1の実施の形態の煙感知器10を構成するサーミスタ素子29に替えて、第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4を設けるとともに、3対の導体27,28をさらに設けたこと以外は、第1の実施の形態の煙感知器10と同様に構成されている。
4対の導体27,28は、平面視十字状に配置されている。4対の導体27,28は、その一方の端部が回路基板31及び制御用電子部品32と電気的に接続されている。
4対の導体27,28は、回路基板31の下方に延在しており、ケース本体35を貫通している。4対の導体27,28の他方の端部は、ケース本体35の外部に配置されている。
第1のサーミスタ素子29−1は、X方向に配置された2対の導体27,28のうち、一方の導体27,28の他方の端部間に配置されている。第2のサーミスタ素子29−2は、Y方向に配置された2対の導体27,28のうち、一方の導体27,28の他方の端部間に配置されている。
第3のサーミスタ素子29−3は、X方向に配置された2対の導体27,28のうち、他方の導体27,28の他方の端部間に配置されている。第4のサーミスタ素子29−4は、Y方向に配置された2対の導体27,28のうち、他方の導体27,28の他方の端部間に配置されている。
これにより、第1及び第3のサーミスタ素子29−1,29−3は、X方向において、対向するように配置されている。また、第2及び第4のサーミスタ素子29−2,29−4は、Y方向において、対向するように配置されている。
上記第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4は、例えば、隣り合う位置に配置されたサーミスタ素子の中心を直線で結ぶことで形成される多角形(この場合、四角形82)の内側に、ケース本体35の中心Cを収容するように配置するとよい(図9参照)。
このように、第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4を配置させることにより、第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4のうち、1つのサーミスタ素子のみを一定時間発熱させ、このときの他のサーミスタ素子の時間に対する温度変化に関するデータを取得し、発熱させたサーミスタ素子の時間に対する発熱温度のデータと、他のサーミスタ素子の時間に対する温度のデータと、発熱させたサーミスタ素子に対する他のサーミスタ素子の位置関係と、に基づいて、ケース11の外側を流れる気流の風向きに依存することなく、気流の風向き及び風速を求めることができる。
図10は、第1のサーミスタ素子のみを発熱させた際の時間と発熱温度との関係を示すグラフである。図11は、第1のサーミスタ素子のみを発熱させた際の第2のサーミスタ素子の時間と発熱温度との関係を示すグラフである。
図12は、第1のサーミスタ素子のみを発熱させた際の第3のサーミスタ素子の時間と発熱温度との関係を示すグラフである。図13は、第1のサーミスタ素子のみを発熱させた際の第4のサーミスタ素子の時間と発熱温度との関係を示すグラフである。
図10〜図13において、tは第1のサーミスタ素子29−1の発熱を開始させた時間(以下、「時間t」という)、tは第1のサーミスタ素子29−1の発熱を停止させた時間(以下、「時間t」という)、tは第1のサーミスタ素子29−1の発熱の影響を受けて、第3のサーミスタ素子29−3が発熱を開始した時間(以下、「時間t」という)をそれぞれ示している。なお、時間tは、時間tと時間tとの間に位置する時間である。
図10に示す第1のサーミスタ素子29−1の発熱温度とは、第1のサーミスタ素子29−1が発熱開始する直前の第1のサーミスタ素子29−1の温度を基準値として、該基準値を0としたときの発熱開始後の第1のサーミスタの温度を示している。
図11に示す第2のサーミスタ素子29−2の発熱温度とは、第1のサーミスタ素子29−1が発熱開始する直前の第2のサーミスタ素子29−2の温度を基準値として、該基準値を0としたときの第2のサーミスタ素子29−2の温度である。
図12に示す第3のサーミスタ素子29−3の発熱温度とは、第1のサーミスタ素子29−1が発熱開始する直前の第3のサーミスタ素子29−3の温度を基準値として、該基準値を0としたときの第3のサーミスタ素子29−3の温度である。
図13に示す第4のサーミスタ素子29−4の発熱温度とは、第1のサーミスタ素子29−1が発熱開始する直前の第4のサーミスタ素子29−4の温度を基準値として、該基準値を0としたときの第4のサーミスタ素子29−4の温度である。
ここで、図8〜図13を参照して、第3の実施の形態の煙感知器80を用いた場合のケース11の外側を流れる気流の風向きの求め方について説明する。
初めに、時間tにおいて、第1のサーミスタ素子29−1のみを発熱させ、時間tになった段階で第1のサーミスタ素子29−1の発熱を停止させる。
このときの第1のサーミスタ素子29−1の発熱温度の上限値は、例えば、5℃とすることができる。
図12に示すように、第1のサーミスタ素子29−1は、発熱することで、発熱温度が上昇する。ここで、図11〜図13に示す時間tから時間tの間の発熱温度を見ると、第2及び第4のサーミスタ素子29−2,29−4の発熱温度には変化がないが、第3のサーミスタ素子29−3では、時間tよりも遅れた時間tから発熱を開始していることが分かる。また、第3のサーミスタ素子29−3の発熱温度が描く曲線は、第1のサーミスタ素子29−1の発熱温度が描く曲線のサイズを縮小したような形状であることが分かる。
なお、時間tと時間tとの時間差(=t−t)は、第1のサーミスタ素子29−1と第3のサーミスタ素子29−3との距離の差、及びケース11の外側を流れる気流の速さに起因する時間差であると考えられる。
時間差(=t−t)は、例えば、1秒程度となる。
また、図9を参照して、第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4の位置関係を確認すると、第1及び第3のサーミスタ素子29−1,29−3がX方向に配置され、第2及び第4のサーミスタ素子29−2,29−4は、X方向に対して直交し、かつ第1のサーミスタ素子29−1と第3のサーミスタ素子29−3とを結ぶ直線から離間するY方向に配置されていることが分かる。
そして、制御用電子部品32において、第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4の発熱温度変化と、発熱させた第1のサーミスタ素子29−1と発熱させていない第2ないし第4のサーミスタ素子29−2〜29−4との位置関係と、に基づいて、ケース11の外側を流れる気流の風向きが求められる。
具体的には、図10〜図13に示す発熱温度変化の場合、第2及び第4のサーミスタ素子29−2,29−4の発熱温度に変化がなく、第3のサーミスタ素子29−3の発熱温度が、第1のサーミスタ素子29−1の発熱温度よりも低い温度で上昇していることから、ケース11の外側を流れる気流の風向きは、第1のサーミスタ素子29−1から第3のサーミスタ素子29−3に向かう方向(図8及び図9に示す矢印方向)であると判定される。
なお、図10〜図13に示す発熱温度変化の場合、第1のサーミスタ素子29−1のみを発熱させて、第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4の発熱温度変化を取得することで、気流の風向きを特定できたが、気流の風向きによっては、第2ないし第4のサーミスタ素子29−2〜29−4のうちの少なくとも1つのサーミスタ素子を1つずつ発熱させて、第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4の発熱温度変化を取得する必要がある。
第3の実施の形態の煙感知器によれば、ケース本体35の外面の周方向に対して設けられた第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4により風速検知部を構成し、隣り合う位置に配置されたサーミスタ素子の中心を直線で結ぶことで形成される多角形(この場合、四角形82)の内側に、ケース本体35の中心を収容するように第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4を配置させることで、1つのサーミスタ素子のみを一定時間発熱させ、このときの他のサーミスタ素子の時間に対する温度変化に関するデータを取得し、発熱させたサーミスタ素子の時間に対する発熱温度のデータと、他のサーミスタ素子の時間に対する温度のデータと、発熱させたサーミスタ素子に対する他のサーミスタ素子の位置関係と、に基づいて、ケース11の外側を流れる気流の風向きに依存することなく、気流の風向き及び風速を求めることができる。
また、気流の風向きが分かることで、煙感知器80から見た火源の方向を推測することができる。
なお、第3の実施の形態では、図9に示すように、一例として、4つのサーミスタ素子で風速検知部を構成した場合を例に挙げて説明したが、風速検知部を構成するサーミスタ素子の数は、4つ以上であればよく、図9に示す数に限定されない。
また、風速検知部を構成するサーミスタ素子の数を増加させることで、取得される気流の風向きの精度を向上させることができる。
次に、図8に示す煙感知器80を用いた第3の実施の形態の煙濃度推定方法について説明する。
煙感知器80を用いた第3の実施の形態の煙濃度推定方法は、図4及び図5に示すS3の風速取得工程において、第1ないし第4のサーミスタ素子29−1〜29−4からなる風速検知部を用いて、ケース11の外側を流れる気流の風速及び風向きを取得すること以外は、第1の実施の形態で説明した図4及び図5に示す煙濃度推定方法と同様な手法により行うことができる。
第3の実施の形態の煙濃度推定方法によれば、気流の風速及び風向きを考慮して推定された煙の濃度と、ケース11の外側における実際の煙の濃度と、の差を小さくすることが可能となる。これにより、煙感知器80が設置された領域での火災の感知を精度良く行うことができる。
また、気流の風向きが分かることで、煙感知器80から見た火源の方向を推測することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10,70,80…煙感知器、11…ケース、13…端子盤、14…回路基板支持部材、14a…支持面、15…底板部、17…ラビリンス、19…防虫網、22…煙感知室、24…煙濃度測定機構、27,28…導体、29…サーミスタ素子、31…回路基板、31a…一面、31b…他面、32…制御用電子部品、33…発光部、34…受光部、35…ケース本体、35A…収容部、36,44…突出部、38…煙流入口、42…溝部、44…突出部、46…凹部、51…発光部収容部、53…受光部収容部、61…記憶部、62…制御部、71…気圧検知素子、73,82…多角形、C…中心

Claims (4)

  1. 自器の外側を流れる煙を含んだ空気が流入する煙感知室と、
    前記自器の外側を流れる気流の風速を検知する風速検知部と、
    前記風速検知部で検知した前記気流の風速に基づき、前記煙感知室内に流入した前記煙を含んだ空気の流入量を算出すると共に前記煙感知室内の煙の濃度を測定する煙濃度測定機構と、を備え、
    前記煙濃度測定機構は、前記算出した前記煙を含んだ空気の流入量、測定した前記煙感知室内の煙の濃度、及び前記煙感知室の容量に基づいて、前記自器の外側における煙の濃度を推定することを特徴とする煙感知器。
  2. 前記煙濃度測定機構は、下記式(1)に基づいて、前記自器の外側における煙の濃度を推定することを特徴とする請求項1に記載の煙感知器。
    Dout(t)=(V/v)・{Din(t+Δt)−Din(t)}+Din(t)
    ・・・(1)
    但し、上記式(1)において、Vは前記煙感知室の容量[m]、vは前記煙感知室内に流入する前記煙を含んだ空気の流入量[m]、Din(t)はある時刻tにおける前記煙感知室内における煙の濃度[m−1]、Dout(t)はある時刻tでの前記自器の外側における推定された煙の濃度[m−1]、Δtはある時刻tからの経過時間[s]をそれぞれ示す。
  3. 煙感知器の外側を流れる気流の風速に基づき、前記煙感知器内に設けられた煙感知室内に流入した煙を含んだ空気の流入量、前記煙感知室内の前記煙の濃度、および前記煙感知室の容量に基づいて、前記煙感知器の外側における煙の濃度を推定することを特徴とする煙濃度推定方法。
  4. 下記式(2)に基づいて、前記煙感知器の外側における煙の濃度を推定することを特徴とする請求項3に記載の煙濃度推定方法。
    Dout(t)=(V/v)・{Din(t+Δt)−Din(t)}+Din(t)
    ・・・(2)
    但し、上記式(2)において、Vは前記煙感知室の容量[m]、vは前記煙感知室内に流入する前記煙を含んだ空気の流入量[m]、Din(t)はある時刻tにおける前記煙感知室内における煙の濃度[m−1]、Dout(t)はある時刻tでの前記煙感知器の外側における推定された煙の濃度[m−1]、Δtはある時刻tからの経過時間[s]をそれぞれ示す。
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