JP2020100872A - 二相ステンレス鋼および溶接構造物 - Google Patents
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Abstract
Description
質量%で、
C:0.001〜0.030%、
Si:0.01〜1.50%、
Mn:0.1〜2.0%未満、
Cr:20.0〜26.0%、
Ni:2.0〜7.0%、
Mo:0.5〜3.0%、
N:0.10〜0.25%、
Ti:0.001〜0.030%および
Al:0.003〜0.050%を含有し、
さらに、
W:0.01〜1.00%、
Co:0.01〜1.00%、
Cu:0.01〜2.00%、
V:0.01〜0.30%、
Nb:0.005〜0.100%、
Ta:0.005〜0.200%、
Zr:0.001〜0.050%
Hf:0.001〜0.080%
Sn:0.005〜0.100%、
B:0.0001〜0.0050%、
Ca:0.0005〜0.0050%、
Mg:0.0001〜0.0030%、および
REM:0.005〜0.100%のうち1種または2種以上を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物であり、
不純物として
O:0.006%以下、
P:0.050%以下、
S:0.003%以下、に制限した鋼であり、
表面のブリネル硬度がHB230以上で、
式1で求められるPREW,Mnが24.0以上34.0以下であり、
前記鋼どうしを溶接した試験片において溶接した接合部位と、前記鋼の接合部位以外の母材部のJIS G0590:2013に定められた孔食発生温度(CPT)を測定したときに、溶接による接合部位のCPT(溶接部CPT)が25℃以上であり、母材部のCPT(母材部CPT)と溶接部CPTの差が15℃以下であることを特徴とする二相ステンレス鋼。
PREW,Mn=Cr+3.3(Mo+0.5W)+16N−Mn ・・・(式1)
ただし、式1中における元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を示し、含有していない場合は0を代入する。
(2)
前記二相ステンレス鋼は、帯状鋼材であることを特徴とする(1)に記載の二相ステンレス鋼。
(3)
前記溶接は、レーザー溶接であることを特徴とする(1)または(2)に記載の二相ステンレス鋼。
(4)
摺動部を有する構造物に使用されることを特徴とする(1)〜(3)に記載の二相ステンレス鋼。
(5)
前記(1)に記載の二相ステンレス鋼を溶接して構成した溶接構造物。
(6)
前記溶接が、レーザー溶接である(5)に記載の溶接構造物。
(7)
前記溶接構造物が摺動部品である(5)または(6)に記載の溶接構造物。
(8)
前記溶接構造物が、汽水環境または河川において用いられる(5)〜(7)のいずれか1項に記載の溶接構造物。
しかし、微量のTiを含有させた場合でもTiとNとの間には非常に強い親和力があるため、非常に微量のTiが鋼中でTiの窒化物を形成する。鋼中に析出した微細なTiの窒化物はHAZのフェライト粒径の粗大化を抑制する作用があって、オーステナイト相の析出サイトとなるフェライト/フェライト粒界を増加させていると考えられる。一方、Tiを、0.030%を超えて含有させると、Tiの窒化物が粗大になるとともに、鋼の靱性を阻害するようになることから、その含有量を0.030%以下に制限する。好ましくは0.020%以下、さらに好ましくは0.015%以下にするとよい。
一方、CaおよびMgは、いずれも過剰な含有は逆に熱間加工性および靭性を低下するため、Caについては0.0050%以下、Mgについては0.0030%以下にするとよい。好ましくはCaを0.0040%以下、Mgを0.0025%以下、さらに好ましくはCaを0.0035%以下、Mgを0.0020%以下にするとよい。
帯状摺動部材の表面には、これと接触するローラー等の硬度と同等程度の硬度が要求される。一般に用いられるローラーの表面硬度はブリネル硬さ(HB)190〜230であることから、摺動部材表面はHB230以上の硬度があるとよい。より好ましくは、HB250以上が望ましい。
河川環境では、河川水に含まれる塩化物イオンが腐食要因となって腐食が発生する。当該環境で十分な耐食性を確保するためには、Cr、Mo、N、Wを含有し、Mnを制限することにより以下の式1で求められるPREW、Mnの値を24.0以上とすればよい。好ましくは25.0以上、さらに好ましくは27.0以上とするとよい。一方、PREW、Mnを高めるためにCr、Mo、Wの含有量を過大にすると合金コストの増加等を招き、Nの含有量を過大にすると靭性が悪化する等悪影響が現れる。また、Mnを過度に低減するとNの固溶量が低下し、Cr窒化物が析出して逆に耐食性が低下する。これらのコストパフォーマンスを勘案し、PREW、Mnの上限は34.0とするのがよい。
PREW,Mn=Cr+3.3(Mo+0.5W)+16N−Mn ・・・(式1)
ただし、式1中における元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を示し、含有していない場合は0を代入する。
海水が混入し汽水が主体となる河口付近は、塩化物イオン濃度が高く非常に過酷な腐食環境となる。さらに河口付近に特有の現象として、上流から流入する淡水の量と下流から遡上する海水の量が逐次変動するため、環境が短時間のうちに著しく変化する。実際に鋼材の適用可否を検討する上では、腐食環境の過酷さを決定する塩化物イオンの濃度、水温、電位の値と、そのような値をとる時間の長さを両方考慮する必要がある。発明者らは実際の汽水におけるステンレス鋼の腐食状況と、腐食要因となる塩化物イオン濃度、水温、電位推移の関係を詳細に調査した。その結果、最も注意すべき塩化物イオン濃度、水温、電位の条件があることを明らかにし、当該用途に必要な耐食性水準は、耐孔食性を評価指標としてJIS G0590:2013に定められた孔食発生温度(CPT)で25℃以上であることを見出した。
なお、CPTは、前述したように、河川環境における鋼材表面の電位貴化を想定し、1mol/L(リットル)−NaCl溶液中で鋼材に745mV vs. SSE(SSEは飽和KCl溶液を電解質溶液とする銀−塩化銀参照電極基準であることを示す)の電位を印加した状態で、溶液の温度を上昇させ、孔食が発生する温度を求める手法である。
溶接部CPT25℃を確保するとともに、母材部と溶接部のCPTの差が15℃以下にすることにより、耐食性を確保しつつコストパフォーマンスのよい、二相ステンレス鋼を得ることができる。
従って、鋼の試験片を製作する場合も、レーザー溶接により製造して評価してもよい。
一般的なステンレス鋼の熱間圧延鋼は、熱間圧延後に行われる固溶化熱処理で圧延時に導入されたひずみが取り除かれ軟化する。本発明鋼は、摺動部材に適した表面硬さを得るために圧延において鋼板温度を制御し、圧延により導入した歪を活用して表面硬さを得るため、固溶化熱処理を省略する。具体的には圧延前に所定の成分を含有させ溶製した鋼片を1050〜1250℃の間の温度まで加熱した後、最終圧延の温度(仕上圧延温度)を800〜1000℃とする熱間圧延を施す。仕上圧延温度は低温とするほどより大きな硬さを得られる傾向があるが、800℃未満ではσ相が析出し靭性が劣化する。さらに圧延後の冷却過程では、クロム窒化物の析出を抑制することを目的に、800〜600℃のクロム窒化物の析出速度が大きくなる温度領域での保持時間を短縮するため、この温度領域を1℃/秒以上の冷却速度で冷却すると良い。好ましくは3℃/秒以上、さらに好ましくは5℃/秒以上にすると良い。これにより、表面硬さを確保し、さらに耐食性のよい鋼材を得ることができる。前述したように、表面硬さを確保するため、熱間圧延後に冷却した後は、溶体化熱処理は実施しない。
溶接部を模擬した再現熱サイクル試験片は、熱サイクル試験片を10mmφ×30mmLに切断した後、これを半割にして10mmw×30mmLの試験面として研磨した。この試験面のうち、幅中央の7mm×14.5mmの面を残して、それ以外の部分に樹脂を塗布して評価面を作成した。
Claims (8)
- 質量%で、
C:0.001〜0.030%、
Si:0.01〜1.50%、
Mn:0.1〜2.0%未満、
Cr:20.0〜26.0%、
Ni:2.0〜7.0%、
Mo:0.5〜3.0%、
N:0.10〜0.25%、
Ti:0.001〜0.030%および
Al:0.003〜0.050%を含有し、
さらに、
W:0.01〜1.00%、
Co:0.01〜1.00%、
Cu:0.01〜2.00%、
V:0.01〜0.30%、
Nb:0.005〜0.100%、
Ta:0.005〜0.200%、
Zr:0.001〜0.050%
Hf:0.001〜0.080%
Sn:0.005〜0.100%、
B:0.0001〜0.0050%、
Ca:0.0005〜0.0050%、
Mg:0.0001〜0.0030%、および
REM:0.005〜0.100%のうち1種または2種以上を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物であり、
不純物として
O:0.006%以下、
P:0.050%以下、
S:0.003%以下、に制限した鋼であり、
表面のブリネル硬度がHB230以上で、
式1で求められるPREW,Mnが24.0以上34.0以下であり、
前記鋼どうしを溶接した試験片において溶接した接合部位と、前記鋼の接合部位以外の母材部のJIS G0590:2013に定められた孔食発生温度(CPT)を測定したときに、溶接による接合部位のCPT(溶接部CPT)が25℃以上であり、母材部のCPT(母材部CPT)と溶接部CPTの差が15℃以下であることを特徴とする二相ステンレス鋼。
PREW,Mn=Cr+3.3(Mo+0.5W)+16N−Mn ・・・(式1)
ただし、式1中における元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を示し、含有していない場合は0を代入する。 - 前記二相ステンレス鋼は、帯状鋼材であることを特徴とする請求項1に記載の二相ステンレス鋼。
- 前記溶接は、レーザー溶接であることを特徴とする請求項1または2に記載の二相ステンレス鋼。
- 摺動部を有する構造物に使用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二相ステンレス鋼。
- 請求項1に記載の二相ステンレス鋼を溶接して構成した溶接構造物。
- 前記溶接が、レーザー溶接である請求項5に記載の溶接構造物。
- 前記溶接構造物が摺動部品である請求項5または6に記載の溶接構造物。
- 前記溶接構造物が、汽水環境または河川において用いられる請求項5〜7のいずれか1項に記載の溶接構造物。
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JP2018239739A JP7183027B2 (ja) | 2018-12-21 | 2018-12-21 | 二相ステンレス熱間圧延鋼材および溶接構造物 |
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JPH01100248A (ja) * | 1987-10-09 | 1989-04-18 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 二相ステンレス鋼及びその製造方法 |
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JP2016191094A (ja) * | 2015-03-30 | 2016-11-10 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | レーザ溶接部の特性が良好な省合金二相ステンレス鋼レーザ溶接部材および省合金二相ステンレス鋼レーザ溶接部材の製造方法 |
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