JP2020098118A - 音源探査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両を路面で走行させたときのタイヤ近傍での騒音の音源を精度良く特定する方法を提供する。【解決手段】走行している車両の車外においてタイヤから発生する騒音が測定され、その測定データに基づき前記騒音の音源が特定される音源探査方法において、タイヤと共に上下動する非回転部に取り付けられた騒音測定器で騒音が測定され、タイヤが路面の突起を乗り越えたことが、車両のいずれかの部分に取り付けられた検出器により検出され、騒音の測定データからタイヤが路面の突起を乗り越えたときのデータが除外され、除外後のデータが音源の特定に使用されることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は音源探査方法に関する。
多数のマイクロホンが縦横に並んだマイクロホンアレイが知られている。特許文献1に記載のように、回転しているタイヤから発生する騒音の音圧をこのようなマイクロホンアレイで測定し、音響ホログラフィを用いて騒音の音源を特定することが行われている。特許文献1に記載のようにドラム上でタイヤを回転させて騒音の音圧を測定することだけでなく、タイヤが装着された車両を路面で走行させてタイヤ近傍での車外音の音圧を測定することも行われている。従来、このように車両を路面で走行させて車外音の音圧を測定する場合、延長部材を車両のボディに対して固定していた。
特許第5089253号公報
しかし、ボディとタイヤとの間にはサスペンションが介在しているため、車両が加速したり、旋回したり、路面の突起を乗り越えたりするたびにボディとタイヤとの位置関係が変化してしまい、騒音の音源とマイクロホンアレイとの位置関係が変化してしまうという問題があった。また、タイヤが路面の突起を乗り越える時に音が発生し、その音圧をマイクロホンアレイが測定してしまうという問題もあった。これらのことから、従来の方法では、車両を路面で走行させたときのタイヤ近傍での騒音の音源を正確に特定することができなかった。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、車両を路面で走行させたときのタイヤ近傍での騒音の音源を精度良く特定する方法を提供することを課題とする。
実施形態の音源探査方法は、走行している車両の車外において、タイヤから発生する騒音が測定され、その測定データに基づき前記騒音の音源が特定される音源探査方法において、タイヤと共に上下動する非回転部に取り付けられた騒音測定器で騒音が測定され、タイヤが路面の突起を乗り越えたことが、車両のいずれかの部分に取り付けられた検出器により検出され、騒音の測定データからタイヤが路面の突起を乗り越えたときのデータが除外され、除外後のデータが音源の特定に使用されることを特徴とする。
上記の実施形態によれば、騒音測定器とタイヤとの位置関係が変化せず、またタイヤが路面の突起を乗り越えたときに発生した音のデータが除外されるので、騒音の音源が精度良く特定される。
音源探査装置の概念図。 マイクロホンアレイの正面図。 タイヤの前又は後ろに配置されたマイクロホンアレイをタイヤ前後方向から見た図。 タイヤの前又は後ろに配置されたマイクロホンアレイをタイヤの軸方向から見た図。 タイヤの横の接地部分近傍に配置されたマイクロホンアレイをタイヤの軸方向から見た図。 タイヤの横においてタイヤ全体をカバーするように配置されたマイクロホンアレイをタイヤの軸方向から見た図。 タイヤを前後方向から見た図。ホイールに非回転部が取り付けられたときの図。 音源探査方法のフローチャート。 音響ホログラフィ処理のイメージ図。
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。
<実施形態の音源探査装置について>
図1に、本実施形態の音源探査方法の実施に用いられる音源探査装置10の一例を示す。音源探査装置10は、騒音測定器として、騒音の音圧を測定するマイクロホンアレイ12を有している。また、音源探査装置10は、マイクロホンアレイ12が接続された音響ホログラフィ装置16と、音響ホログラフィ装置16が接続されたコンピュータ18と、コンピュータ18での計算結果を出力するディスプレイ等の出力装置20とを有している。さらに、音源探査装置10は、タイヤに負荷される荷重を測定する荷重測定器22を有している。荷重測定器22はコンピュータ18に接続されている。
図2に示すように、マイクロホンアレイ12は多数の小マイクロホン13が縦横に並んで構成されている。これらの小マイクロホン13は1つの測定面を形成している。これらの小マイクロホン13は同時に音圧を測定する。
マイクロホンアレイ12はタイヤTの接地部分Gから発生する騒音を測定できる場所に配置される。例えば、図3及び図4に示すようなタイヤTの前又は後ろの場所や、図5及び図6に示すようなタイヤTの横の場所に配置される。また、図3〜図5に示すように比較的小さなマイクロホンアレイ12がタイヤTの接地部分Gの近傍に配置されても良いし、図6に示すように比較的大きなマイクロホンアレイ12がタイヤTの全体をカバーするように配置されても良い。
暗騒音をできるだけ測定しないようにしつつタイヤTの接地部分Gから発生する騒音を測定するために、マイクロホンアレイ12の下端部11ができるだけ低い位置に配置されることが好ましい。ただし、タイヤTが撓んだときにマイクロホンアレイ12の下端部11が路面Sに当たらないように、マイクロホンアレイ12の下端部11が路面Sからある程度離れた位置に配置されることが好ましい。そのために、マイクロホンアレイ12の下端部11の高さは、図4に示すようにタイヤTの接地側部分の高さLの半分の位置Hより高く、タイヤTとリムRとの境界Bより低いことが好ましい。なおタイヤTの接地側部分とは、言い換えれば、タイヤTの回転軸の下方の部分のことである。
ここで、タイヤTの接地側部分の高さLとは、正規内圧(すなわちJATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRELOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、又はETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」)が充填されたタイヤTが静止中の車両に装着されているときの、タイヤTの接地部分GからタイヤTのビートトウ先端までの高さのことである。また、リムRとは正規リム(すなわち、JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「DesignRim」、又はETRTO規格における「MeasuringRim」)のことで、タイヤTとリムRとの境界Bとは図4のようにタイヤTを横から見たときのタイヤTとリムRとの境界のことである。
また、タイヤTの接地部分Gからマイクロホンアレイ12の下端部11までの直線距離は、例えば、評価しようとする周波数により決定される。一例としては、1600Hz程度の周波数の音源を精度良く特定するために、タイヤTの接地部分Gからマイクロホンアレイ12の下端部11までの距離が100mm以上150mm以下に設定される。
マイクロホンアレイ12は、タイヤTと共に上下動する非回転部に取り付けられている。タイヤTと共に上下動する非回転部とは、例えば、車両におけるサスペンション35(図3参照)よりもタイヤT側の、回転しないいずれかの部分である。
図3では、タイヤTと共に上下動する非回転部であるロアアーム30(サスペンションアームとも称される)に、マイクロホンアレイ12が取り付けられている。取り付けには固定具24が使用されている。固定具24は、ロアアーム30からタイヤTの接地部分G近傍まで延長された部材であり、一方の端部がロアアーム30に固定され、他方の端部にマイクロホンアレイ12が固定されている。
タイヤTと共に上下動する非回転部としては、他に、ナックル31やダンパーフォーク32が挙げられる。また、図7に示すように、ホイール33の車両外側面にホイール33と一体となって回転する回転部材27が取り付けられ、回転部材27の車両外側部分にベアリングを介して非回転部材29が設けられ、この非回転部材29がタイヤTと共に上下動する非回転部となっていても良い。なおこの非回転部材29は回転部材27と一体となって回転しないように車両のいずれかの部分に対して固定されている。以上に例示したタイヤTと共に上下動する非回転部に、固定具24を介して、マイクロホンアレイ12が取り付けられる。
なお、固定具24だけではマイクロホンアレイ12の姿勢が不安定になる場合は、補助的な部材がマイクロホンアレイ12と車両のいずれかの部分とを連結し、マイクロホンアレイ12の姿勢を安定化させても良い。
音響ホログラフィ装置16は、マイクロホンアレイ12から音圧の測定データを取り込み、後述する音響ホログラフィの処理を行って、タイヤTの接地部分Gにおける音圧分布を計算する。また、コンピュータ18は、接続されている音響ホログラフィ装置16の制御を行う。そして、音響ホログラフィ装置16が求めたタイヤTの接地部分Gにおける音圧分布を、出力装置20へ出力する。
荷重測定器22としては例えばロードセルが使用される。荷重測定器22は、タイヤTに負荷される荷重を測定できる場所、例えば車軸34に取り付けられている。タイヤTが路面Sの突起を乗り越えるとタイヤTに負荷がかかるので、荷重測定器22によりタイヤTが路面Sの突起を乗り越えたことを検出することができる。
<実施形態の音源探査方法について>
本実施形態の音源探査方法の大まかな流れを図8に示す。まず、車両が走行を開始し(S1)、それに伴ってタイヤTが路面S上で転動し始める。タイヤTが路面S上で転動すると騒音が発生する。次に、マイクロホンアレイ12により騒音の音圧が測定される(S2)。次に、音圧の測定データに基づき、音響ホログラフィを利用してタイヤTの接地部分Gにおける音圧分布が計算される(S3)。次に、タイヤTの接地部分Gにおける音圧分布に基づき、音源が特定される(S4)。
上記のステップS1及びS2において、車両が走行中に加速したり、旋回したり、路面Sの突起を乗り越えたりしても、マイクロホンアレイ12はタイヤTと共に上下動する非回転部に取り付けられているため、マイクロホンアレイ12とタイヤTとの位置関係は変わらない。また、タイヤTが突起を乗り越えると、そのことが荷重測定器22により検出される。マイクロホンアレイ12による音圧の測定と荷重測定器22による荷重の測定は同時平行で行われており、音圧の測定データも荷重の測定データも時系列のデータとして収録されるため、音圧の測定データと荷重の測定データとは時間軸で紐付けされる。
次のステップS3では、まず、音圧の測定データから、タイヤTが突起を乗り越えたときの測定データが除外される。具体的には、車両の走行中に荷重測定器22が測定した測定データの中に、所定の基準値以上の測定値が存在する場合は、その基準値以上の測定値を測定している間にタイヤTが突起を乗り越えていたと判断される。なお上記の「所定の基準値」はあらかじめ設定されている。そして、音圧の測定データ全体の中から、タイヤTが突起を乗り越えていたときの測定データだと判断された部分が除外される。
次に、タイヤTが突起を乗り越えていたときの測定データが除外された後の音圧の測定データに基づき、音響ホログラフィ処理が行われる。音響ホログラフィ処理では、既に確立されているNAH(Near Field Acoustic Holography:近距離場音響ホログラフィ)法等が利用される。図9のイメージ図に基づき簡単に説明すると、測定面における音圧の分布p(x,y,z1)のフーリエ変換P(kx,ky,z1)と、音源面から測定面までの伝達関数Hの逆特性H-1とから、音源面での音圧の分布p(x,y,0)が計算される。本実施形態では、マイクロホンアレイ12により測定された音圧分布から、タイヤTの接地部分Gを含む面における音圧分布が求められる。この音圧分布は、全ての周波数の音について求めることが可能だが、注目する特定の周波数の音についてのみ求められても良い。
次の音源の特定のステップS4では、タイヤTの接地部分Gを含む面における音圧分布において最も音圧の高い部分が、その周波数の騒音の音源として特定される。騒音の音源として、例えば、トレッド面におけるいずれかの溝又はサイプが特定される。なお、音源の特定は、人が音圧分布を見て行っても良いし、コンピュータ18が行っても良い。タイヤTの設計者は、音源の特定の結果をもとに、タイヤTのトレッドパターンの設計変更を行うことができる。
<実施形態の効果について>
本実施形態によれば、騒音測定器としてのマイクロホンアレイ12がタイヤTと共に上下動する非回転部に取り付けられている。そのため、車両が加速したり、旋回したり、実路面Sの突起を乗り越えたりしても、マイクロホンアレイ12とタイヤTとの位置関係が変化しない。
さらに、タイヤTが路面Sの突起を乗り越えたことが検出され、その検出されたときの音圧の測定データが、音圧の測定データ全体の中から除外される。そのため、タイヤTが路面Sの突起を乗り越えた時に発生した音のデータ(すなわちノイズ)が除外された形で音源の特定が行われる。
これらのことから本実施形態によれば騒音の音源が精度良く特定される。
<実施形態の変更例について>
上記実施形態のマイクロホンアレイ12の代わりに、別の騒音測定器が使用されても良い。
例えば、上記実施形態のマイクロホンアレイ12の位置に、マイクロホンアレイ12の代わりに複数の独立したマイクロホンが任意に並べられて、それらのマイクロホンが音圧を同時に測定し、それによってマイクロホンアレイ12で測定したときと同様の測定データを取得しても良い。その場合に使用されるマイクロホンとしては、例えば、先端の測定部の直径が例えば0.8mm〜1.2mmのプローブマイクロホン、1/2、1/4もしくは1/8インチマイクロホン(すなわち先端の測定部の直径が1/2、1/4もしくは1/8インチのマイクロホン)、又はMEMS(Micro-Electrical-MechanicalSystems)マイクロホンが挙げられる。
また、上記実施形態のマイクロホンアレイ12の位置に、マイクロホンアレイ12の代わりに音響インテンシティマイクロホンが設けられても良い。なお音響インテンシティマイクロホンが使用される場合は、既知のインテンシティマッピングにより音源が特定される。
これらの変更例のように複数のマイクロホン又は音響インテンシティマイクロホンが騒音測定器として使用される場合も、その騒音測定器は上記実施形態と同様にしてタイヤと共に上下動する非回転部に取り付けられる。
また、上記実施形態の荷重測定器22の代わりに、タイヤが路面の突起を乗り越えたことを検出する別の検出器が使用されても良い。そのような検出器は上記実施形態と同様に車両のいずれかの部分に取り付けられている。
例えば、タイヤと共に上下動する非回転部に検出器としての変位センサが取り付けられ、車両の走行中、その変位センサが路面から変位センサまでの距離を継続して測定していても良い。タイヤが路面の突起を乗り越えるとタイヤが撓むため、変位センサの測定値が変化する。それにより、タイヤが路面の突起を乗り越えたことが検出される。
また、以上の実施形態や変更例の音源探査方法を実施することを前提とした上で、さらに車両の走行状態や走行場所を検出し、マイクロホンアレイ12等の騒音測定器による測定データと関連付けることにより、車両の走行状態や走行場所と騒音の音源との関係を特定することもできる。
例えば、車両の走行中に、騒音測定器による騒音の測定と同時に、走行状態(例えば、車両の速度、車両の加速度、タイヤの前後力、タイヤのトルク、タイヤの横力、タイヤのスリップ角、タイヤの旋回状態、又は操舵角)が測定される。騒音の測定データと走行状態の測定データとは時間軸で紐付けされるので、特定の走行状態のときの騒音の測定データに基づき、その走行状態のときの音源が特定される。なお、車両の加速度については、車両の速度、タイヤの前後力、タイヤのトルク等に基づき把握することもできる。また、タイヤの旋回状態については、車両の速度、タイヤの横力、タイヤのスリップ角、操舵角等に基づき把握することができる。
また別の例では、車両の走行中に、騒音測定器による騒音の測定と同時に、GPSにより走行位置が連続的に検出される。そして、特定の道路を走行したときの騒音の測定データに基づき、その道路を走行したときの音源が特定される。走行した道路の路面状態が明らかになっている場合は、路面状態と騒音の音源との関連についても特定することができる。
B…タイヤとリムとの境界、G…接地部分、H…タイヤの接地側部分の高さの半分の位置、R…リム、S…路面、T…タイヤ、10…音源探査装置、11…マイクロホンアレイの下端部、12…マイクロホンアレイ、13…小マイクロホン、16…音響ホログラフィ装置、18…コンピュータ、20…出力装置、22…荷重測定器、24…固定具、27…回転部材、29…非回転部材、30…ロアアーム、31…ナックル、32…ダンパーフォーク、33…ホイール、34…車軸、35…サスペンション

Claims (4)

  1. 走行している車両の車外において、タイヤから発生する騒音が測定され、その測定データに基づき前記騒音の音源が特定される音源探査方法において、
    タイヤと共に上下動する非回転部に取り付けられた騒音測定器で騒音が測定され、
    タイヤが路面の突起を乗り越えたことが、車両のいずれかの部分に取り付けられた検出器により検出され、
    騒音の測定データからタイヤが路面の突起を乗り越えたときのデータが除外され、除外後のデータが音源の特定に使用されることを特徴とする、音源探査方法。
  2. タイヤが路面の突起を乗り越えたことが、タイヤに負荷される荷重を測定する前記検出器としての荷重測定器により検出される、請求項1に記載の音源探査方法。
  3. タイヤが路面の突起を乗り越えたことが、路面までの距離を測定する前記検出器としての変位センサにより検出される、請求項1に記載の音源探査方法。
  4. 前記騒音測定器の下端部が、タイヤの接地側部分の高さの半分より高く、タイヤの接地側部分におけるタイヤとリムとの境界より低い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の音源探査方法。
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