JP2020097744A - 顔料微粒子、顔料分散体、感光性着色組成物及びカラーフィルター - Google Patents

顔料微粒子、顔料分散体、感光性着色組成物及びカラーフィルター Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、色特性が良く、薄膜化可能なカラーフィルターの製造に適したジケトピロロピロール系顔料微粒子、該顔料微粒子を含む顔料分散体、感光性着色組成物及びカラーフィルターを提供する。【解決手段】X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち(±1±1±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズが140Å以下であり、下記式(III)などで示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。【選択図】図4

Description

本発明は、新規な顔料微粒子並びにこれを用いた顔料分散体、感光性着色組成物及びカラーフィルターに関する。
液晶表示装置及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルターは、一般的に染料または顔料の色材を溶媒に溶解または分散させた液体に樹脂等を配合した着色組成物をガラス基板やシリコン基板等に塗布した後、露光・硬化、現像、熱硬化させる等の工程を経て製造されている。カラーフィルターの耐久性は、液晶表示装置及び固体撮像素子の寿命に関わるため、着色組成物の色材として耐熱性や耐溶剤性に優れる顔料を用いた顔料分散法が主流となっている。ここで用いられる顔料分散体は、顔料を有機溶媒に分散させた非水系顔料分散体が主に使用されており、分散体に含まれる顔料微粒子の一次粒子径、分散粒径、結晶性等の特性が、最終製品であるカラーフィルターの色特性等の性能に大きく影響する。
近年、液晶表示装置及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルターは高精彩化並びに省電力化が求められている。それらを達成させるためにカラーフィルターの色特性としてはより高コントラスト、高輝度、高着色力といった特性が強く求められている。
赤色フィルタセグメント用着色剤に用いられる有機顔料としてはジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料またはジスアゾ系顔料などの耐光性、耐熱性に優れる有機顔料を単独または組み合わせて行うことが一般的であるが、市販されているこれらの有機顔料は一次粒子径が大きく不均一であるため、そのまま用いたとしてもカラーフィルターに要求される色特性の達成は不可能である。
そのため、これらの有機顔料を微細化させる検討が多く試みられている。
特に、ジケトピロロピロール系顔料は輝度に優れる有機顔料であるとして近年好んで用いられており、中でも、C.I.ピグメントレッド254及び臭素化ジケトピロロピロールは特に色特性に優れる有機顔料であるとして積極的に微細化(以下、「微粒子化」ともいう)の検討が行われている。
例えば、特許文献1及び2に記載されたような、塩化ナトリウムなどの無機塩をメディアとし、有機顔料及び有機溶媒を予備混合して混練機にて処理することで有機顔料を粉砕する所謂ソルトミリング法や、特許文献3、特許文献4や特許文献5に記載されたような有機顔料を良溶媒に溶解した溶液と、その良溶媒に相溶する有機顔料の貧溶媒とを混合して顔料微粒子を生成させる所謂再沈法、或いは特許文献6に記載されたような再沈法とソルトミリング法を組み合わせた有機顔料の微細化方法が提案されている。
また、特許文献7に記載されたような、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する少なくとも2つの処理用面の間にできる薄膜流体中で有機顔料を溶解した顔料溶解液と有機顔料微粒子を析出させるための析出溶媒とを混合する微粒子の製造方法が提供されている。
特開2012−211970号公報 特開2014−177532号公報 特開2011−046846号公報 特開2011−137142号公報 国際公開WO2011/024896号パンフレット 特開2015−102858号公報 国際公開WO2011/096401号パンフレット
これらの従来技術を適用して微細化された有機顔料微粒子を用いることにより、高コントラスト、高輝度といったカラーフィルター性能に対して一定の効果はありうる。しかし、本発明者らの検討により、これら従来の技術により得られたものは、いずれもカラーフィルターに要求されている高コントラスト、高輝度を十分に満足するには至っておらず、また特許文献3や特許文献5などでは色材以外の物質を添加するなどしているため、近年強く求められている高コントラストかつ高着色力のカラーフィルターを得ることの出来る有機顔料微粒子及びその分散体を得られていない。
本発明が解決しようとする課題は、高コントラストかつ高輝度なジケトピロロピロール系顔料微粒子であって、当該顔料微粒子を含む顔料分散体を用いた場合に、良好なフィルタセグメントを形成する上で必要な性能を有しかつその性能のバランスが優れる感光性着色組成物、及びそれを用いたコントラストかつ輝度に優れた高精細なカラーフィルターを提供することにある。
発明者らは鋭意研究を行った結果、ジケトピロロピロール系顔料は主に3方向に結晶が成長していることが確認され、中でも特定の結晶成長方向における結晶子サイズが一定の値以下である、または各結晶成長方向に対して特定の結晶子サイズの比が一定範囲内であるジケトピロロピロール系顔料は微細で均一な一次粒子径を有し、カラーフィルターとしたときに求められる上記の特性を高いレベルでバランスよく満足することを見出した。
本発明は以下の手段により解決された。
(1)X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち(±1 ±1 ±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズが140Å以下であり、下記一般式(I)で示される化合物を90%以上含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
[上記一般式(I)において、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
(2)X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち(±1 ±1 ±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズが140Å以下であり、X線回折パターンにより算出される(1 5 −1)面方向の結晶子サイズが80Å以下であり、一般式(I)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(3)X線回折パターンにより算出される(±1 ±1 ±1)の8個の結晶格子面面のうちX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズを、X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち、2θ=3〜10°における最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズで除して算出される結晶子サイズの比が、0.85〜1.25であり、かつ平均一次粒子径が5〜40nmであることを特徴とする、一般式(I)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(4)X線回折パターンにより算出される2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが140Å以下であり、一般式(I)で示される化合物を90%以上含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(5)X線回折パターンにより算出される2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが140Å以下であり、X線回折パターンにより算出される2θ=28.0°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが80Å以下であることを特徴とする、一般式(I)で示される化合物を90%以上含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(6)平均一次粒子径が5〜40nmである上記(1)、(2)、(4)又は(5)に記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(7)X線回折パターンにより算出される2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズを、X線回折パターンにより算出される2θ=7.4°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズで除して算出される結晶子サイズの比が0.85〜1.25であり、かつ平均一次粒子径が5〜40nmであることを特徴とする、一般式(I)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(8)X線回折パターンにより算出される2θ=3〜10°における最大ピークに対応する結晶格子面の面間隔の、80℃における値と230℃における値の変化率(下記特定式による)が3.0%以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
80℃における値と230℃における値の変化率=
{(230℃における面間隔)/(80℃における面間隔)×100}−100(%)[特定式]
(9)X線回折パターンにより算出される2θ=7.4°±0.3°に対応する結晶格子面の面間隔の、80℃における値と230℃における値の変化率(下記特定式による)が3.0%以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
80℃における値と230℃における値の変化率=
{(230℃における面間隔)/(80℃における面間隔)×100}−100(%)[特定式]
(10)一次粒子径の標準偏差が7.0未満であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(11)一次粒子径の変動係数(CV値)が30未満であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(12)Feの含有量が35ppm以下であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかにに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(13)上記一般式(I)が、下記一般式(II)で示されることを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
[上記一般式(II)において、Rが、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
(14)Rが臭素である下記式(III)で示されることを特徴とする上記(13)記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(15)X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち(±1 ±1 ±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズが140Å以下であり、式(III)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(16)有機顔料と有機溶媒とを少なくとも含有する顔料分散体であって、該有機顔料が、上記(1)〜(15)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子であることを特徴とする顔料分散体。
(17)上記(1)〜(15)のいずれかに記載の顔料微粒子を少なくとも含有する感光性着色組成物。
(18)上記(17)に記載の感光性着色組成物を少なくとも含有するカラーフィルター。
(19)上記(1)〜(15)のいずれかに記載の顔料微粒子を少なくとも含有するカラーフィルター。
本発明によれば、上記に記載の(1)〜(15)の何れかの特徴を有するジケトピロロピロール系顔料微粒子、当該顔料微粒子を含む顔料分散体、感光性着色組成物及びカラーフィルターを提供することができる。当該顔料微粒子を用いることで、微粒子でありながら易分散化が可能となり、当該顔料微粒子を含む顔料分散体を用いた際には、高コントラストかつ高着色力、更に耐熱性に優れるカラーフィルター用途として非常に好適な性能を有する感光性着色組成物、及び当該感光性着色組成物を用いたコントラストかつ輝度に優れたカラーフィルターを提供することが可能となった。
本発明の実施の形態に係る流体処理方法の実施に用いられる流体処理装置の略断面図である。 (A)は図1に示す流体処理装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は同装置の処理用面の要部拡大図である。 (A)は同装置の第2導入部の断面図であり、(B)は同第2導入部を説明するための処理用面の要部拡大図である。 臭素化ジケトピロロピロールとC.I.ピグメントレッド254のX線回折パターン図である。 臭素化ジケトピロロピロールとC.I.ピグメントレッド254の結晶中の芳香環の面がジグザグになった杉綾模様の積層構造における当該ジグザグを斜め上から見た模式図である。 臭素化ジケトピロロピロールとC.I.ピグメントレッド254の結晶中の芳香環の面がジグザグになった杉綾模様の積層構造における当該ジグザグを真横から見た模式図である。 二次粒子、一次粒子、結晶子、及び結晶面の関係を示す模式図である。
以下に、本発明の好ましい実施態様について説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
本発明におけるジケトピロロピロール系顔料微粒子は下記(1)〜(15)の何れかの特徴を有する。
(1)X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち(±1 ±1 ±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズが140Å以下であり、下記一般式(I)で示される化合物を90%以上含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
[上記一般式(I)において、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
(2)X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち(±1 ±1 ±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズが140Å以下であり、X線回折パターンにより算出される(1 5 −1)面方向の結晶子サイズが80Å以下であり、一般式(I)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(3)X線回折パターンにより算出される(±1 ±1 ±1)の8個の結晶格子面面のうちX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズを、X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち、2θ=3〜10°における最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズで除して算出される結晶子サイズの比が、0.85〜1.25であり、かつ平均一次粒子径が5〜40nmであることを特徴とする、一般式(I)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(4)X線回折パターンにより算出される2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが140Å以下であり、一般式(I)で示される化合物を90%以上含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(5)X線回折パターンにより算出される2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが140Å以下であり、X線回折パターンにより算出される2θ=28.0°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが80Å以下であることを特徴とする、一般式(I)で示される化合物を90%以上含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(6)平均一次粒子径が5〜40nmである上記(1)、(2)、(4)又は(5)に記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(7)X線回折パターンにより算出される2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズを、X線回折パターンにより算出される2θ=7.4°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズで除して算出される結晶子サイズの比が0.85〜1.25であり、かつ平均一次粒子径が5〜40nmであることを特徴とする、一般式(I)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(8)X線回折パターンにより算出される2θ=3〜10°における最大ピークに対応する結晶格子面の面間隔の、80℃における値と230℃における値の変化率(下記特定式による)が3.0%以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
80℃における値と230℃における値の変化率=
{(230℃における面間隔)/(80℃における面間隔)×100}−100(%)[特定式]
(9)X線回折パターンにより算出される2θ=7.4°±0.3°に対応する結晶格子面の面間隔の、80℃における値と230℃における値の変化率(下記特定式による)が3.0%以下であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
80℃における値と230℃における値の変化率=
{(230℃における面間隔)/(80℃における面間隔)×100}−100(%)[特定式]
(10)一次粒子径の標準偏差が7.0未満であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(11)一次粒子径の変動係数(CV値)が30未満であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(12)Feの含有量が35ppm以下であることを特徴とする上記(1)〜(11)のいずれかにに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(13)上記一般式(I)が、下記一般式(II)で示されることを特徴とする上記(1)〜(12)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
[上記一般式(II)において、Rが、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
(14)Rが臭素である下記式(III)で示されることを特徴とする上記(13)記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(15)X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち(±1 ±1 ±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズが140Å以下であり、式(III)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
(16)有機顔料と有機溶媒とを少なくとも含有する顔料分散体であって、該有機顔料が、上記(1)〜(15)のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子であることを特徴とする顔料分散体。
(17)上記(1)〜(15)のいずれかに記載の顔料微粒子を少なくとも含有する感光性着色組成物。
(18)上記(17)に記載の感光性着色組成物を少なくとも含有するカラーフィルター。
(19)上記(1)〜(15)のいずれかに記載の顔料微粒子を少なくとも含有するカラーフィルター。
本発明によれば、上記に示す(1)〜(15)の何れかの特徴を有するジケトピロロピロール系顔料微粒子を用いた感光性着色組成物、特にこれらの顔料微粒子を含む顔料分散体を用いて得られた感光性着色組成物から作製されるカラーフィルターは、高コントラストかつ高着色力、更に耐熱性に優れることから、非常に好適な性能を有する感光性着色組成物及びカラーフィルターを提供することが可能となった。
〔顔料種〕
本発明に係る顔料微粒子は、顔料種が下記一般式(I)で示されるジケトピロロピロール系顔料化合物を含む顔料の微粒子である。
[上記一般式(I)において、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
このようなジケトピロロピロール系顔料化合物としては、従来より知られた各種の製造方法で得られるものや、各種の市販品がある。
例えば、ジケトピロロピロール系顔料化合物の基本的な製造方法として、出発物質としてニトリル化合物を用いるコハク酸エステル合成法について開示するUSP 4,415,685号公報、USP 4,579,949号公報及びこれらの対応特許に記載された方法により、出発物質の官能基の種類、数、位置を選択することにより、上記一般式(I)のX及びXの種類、数及び位置を選択することができる。
また、改良された各種の方法、例えば、特開昭58−210084号公報、特開平07−90189号公報、特開平08−48908号公報、WO2009/81930号パンフレット、EP1411092 B1公報、特開2012−211970号公報等に記載された方法により得られるものも挙げられる。
カラーインデックス(C.I.)搭載のものとしてはC.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73等があり、各種の市販品もある。
これら各種の一般式(I)で示されるジケトピロロピロール系顔料化合物のうち、特に、パラ位に置換基を有する、下記一般式(II)で示されるジケトピロロピロール系顔料化合物が、色調が優れ、赤色顔料としての用途には好適である。
[上記一般式(II)において、Rが、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
中でも、Rがいずれも塩素原子であるC.I.ピグメントレッド254、又はRがいずれも臭素原子である臭素化ジケトピロロピロール(下記式(III))が、優れた耐光性、耐薬品性、高い彩度を有し、輝度が高く、光学特性にも優れるため、カラーフィルター用途には適しており、特に好ましい。
C.I.ピグメントレッド254と臭素化ジケトピロロピロールとは、置換基の種類が異なるため、分光吸収的な色相が異なる。臭素化ジケトピロロピロールはC.I.ピグメントレッド254と比較して分光波長が長波長側にシフトしており、より青味の赤色となる。目的とする色度に応じてこれらを適宜選択して使用すればよい。
特に上記式(III)で示される臭素化ジケトピロロピロールは、臭素原子の立体障害により分子間の結合がC.I.ピグメントレッド254と比較して弱いため微粒子化しやすく、コントラストが高い、輝度が高いといったカラーフィルターに好適な性能を得ることができることから、カラーフィルター用途には、より好ましい。
また、特に臭素化ジケトピロロピロールを用いて以下に説明する本発明の結晶子サイズや結晶子サイズの比を算出した場合に、最も高いコントラストを得ることができることが本発明者らにより判明した。
本発明に係る顔料微粒子は、顔料種が一般式(I)で示されるジケトピロロピロール系顔料化合物に加えて、ジケトピロロピロール系顔料化合物以外の有機顔料を含んでもよい。このように他の有機顔料を含むことによっても、粒子径制御や色度調整を行うことができる。この際に混合して使用できる有機顔料は特に限定されないが、例えば、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、アントラキノン系顔料、アントアントロン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ジスアゾ縮合系顔料、ジスアゾ系顔料、アゾ系顔料、インダントロン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリアリールカルボニウム系顔料、ジオキサジン系顔料、アミノアントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ピラントロン顔系料、イソビオラントロン系顔料、またはそれらの組成物及び混合物が挙げられる。上記有機顔料はその粗顔料を用いることも可能である。
〔結晶子サイズ〕
1.本発明の第1の形態
本発明の第1の形態においては、本発明に係る顔料微粒子は、X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち(±1 ±1 ±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面(以下「面α」とする)方向の結晶子サイズが140Å以下であり、かつ前述した一般式(I)で示される化合物を90%以上含有することを特徴とする。
面α方向の結晶子サイズは140Å以下、好ましくは130Å以下、さらに好ましくは120Å以下、最も好ましくは100Å以下である。
一般式(I)で示される化合物の含有量は90%以上、95%以上がより好ましく、97%以上が更に好ましく、99%以上が最も好ましい。
顔料種として上述した一般式(II)で示される化合物を含有する場合には、面αは図5に示す(1 1 1)面であり、2θ=24.5°±0.3°に対応する。よって、顔料種として上述した一般式(II)で示される化合物を含有する場合には、2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが140Å以下であることが好ましい。
2.本発明の第2の形態
本発明の第2の形態においては、本発明に係る顔料微粒子は、面α方向の結晶子サイズが140Å以下であり、かつX線回折パターンにより算出される(1 5 −1)面(以下「面β」とする)方向の結晶子サイズが80Å以下である前述した一般式(I)で示される化合物を含有することを特徴とする。
面α方向の結晶子サイズは140Å以下、好ましくは130Å以下、さらに好ましくは120Å以下、最も好ましくは100Å以下である。面β方向の結晶子サイズは、好ましくは80Å以下、より好ましくは75Å以下、更に好ましくは70Å以下である。
より好ましくは面α方向の結晶子サイズが140Å以下かつ面β方向の結晶子サイズが80Å以下、さらに好ましくは面α方向の結晶子サイズが130Å以下かつ面β方向の結晶子サイズが75Å以下、特に好ましくは面α方向の結晶子サイズが120Å以下かつ面β方向の結晶子サイズが70Å以下である。最も好ましくは面α方向の結晶子サイズが100Å以下かつ面β方向の結晶子サイズが70Å以下である。
顔料種として上記一般式(II)で示される化合物を含有する場合には、面αは前述のように(1 1 1)面であり、2θ=24.5°±0.3°に対応し、面βは図6に示す(1 5 −1)面であり、2θ=28.0°±0.3°に対応する。したがって、顔料種として上記一般式(II)で示される化合物を含有する場合には、2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが140Å以下であり、かつ、2θ=28.0°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが80Å以下であることが好ましい。
3.本発明の第3の形態
本発明の第3の形態においては、本発明に係る顔料微粒子は、面α方向の結晶子サイズを、X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち、2θ=3〜10°における最大ピークに対応する面(以下「面γ」とする)方向の結晶子サイズで除して算出される結晶子サイズの比が、0.85〜1.25であり、かつ平均一次粒子径が5〜40nmであることを特徴とする、前述した一般式(I)で示される化合物を含有することを特徴とする。
上記の結晶子サイズの比は、好ましくは0.85〜1.25であり、より好ましくは0.90〜1.20であり、最も好ましくは0.95〜1.15である。
上記の平均一次粒子径は、好ましくは5〜40nm、さらに好ましくは10〜30nm、最も好ましくは15〜25nmである。
さらに、結晶子サイズの比が0.85〜1.25かつ平均一次粒子径が5〜40nmであるものが好ましく、さらに結晶子サイズの比が0.90〜1.20かつ平均一次粒子径が10〜30nmであるものがより好ましく、結晶子サイズの比が0.95〜1.15かつ平均一次粒子径が15〜25nmであるものが最も好ましい。
顔料種として上記一般式(II)で示される化合物を含有する場合には、面αは前述のように(1 1 1)面であり、2θ=24.5°±0.3°に対応する。面γは図5、6に示す(0 2 0)面であり、2θ=7.4°±0.3°に対応する。したがってこの場合、本発明に係る顔料微粒子は、X線回折パターンにより算出される2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズを、X線回折パターンにより算出される2θ=7.4°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズで除して算出した結晶子サイズの比が、0.85〜1.25であり、かつ平均一次粒子径が5〜40nmであることが好ましい。
特に、顔料種がC.I.ピグメントレッド254の場合には、結晶子サイズの比は、0.85〜1.25、より好ましくは0.90〜1.15であり、さらに好ましくは0.95〜1.10である。平均一次粒子径は、好ましくは5〜40nm、より好ましくは10〜30nm、最も好ましくは15〜25nmである。
さらに、結晶子サイズの比が0.85〜1.25かつ平均一次粒子径が5〜40nmであることが好ましく、結晶子サイズの比が0.90〜1.15かつ平均一次粒子径が10〜30nmであることがより好ましく、結晶子サイズの比が0.95〜1.10かつ平均一次粒子径が15〜25nmであることが最も好ましい。
また、顔料種が臭素化ジケトピロロピロールの場合には、結晶子サイズの比が0.85〜1.25が好ましく、0.90〜1.20がより好ましく、0.95〜1.15が最も好ましい。平均一次粒子径は、好ましくは5〜40nm、より好ましくは10〜30nm、最も好ましくは15〜25nmである。
さらに、結晶子サイズの比が0.85〜1.25かつ平均一次粒子径が5〜40nmであることが好ましく、結晶子サイズの比が0.90〜1.20かつ平均一次粒子径が10〜30nmであることがより好ましく、結晶子サイズの比が0.95〜1.15かつ平均一次粒子径が15〜25nmであることが最も好ましい。
表1に、上記一般式(II)で示される化合物の3つの格子面である、(0 2 0)面、(1 1 1)面、(1 5 −1)面とブラッグ角(2θ)との関係を示す。
4.本発明の第4の形態
本発明の第4の形態においては、本発明に係る顔料微粒子は、面α方向の結晶子サイズが140Å以下であり、かつ前述した式(III)で示される化合物(臭素化ジケトピロロピロール)を含有することを特徴とする。
好ましい面α方向の結晶子サイズと好ましい面β方向の結晶子サイズ、好ましい結晶子サイズの比と一次粒子径は、本発明の第2の形態及び第3の形態と同様である。
好ましい式(III)で示される化合物の含有量は、本発明の第1の形態における一般式(I)で示される化合物の含有量と同様である。
3.結晶子サイズとその比のもたらす性能への影響
3−1 結晶子サイズ
一般に、一次粒子を構成する結晶子と結晶子の間の界面(結晶粒界)では光散乱しやすく、結晶粒界が光散乱の主要因となることが知られている。したがって、顔料微粒子の光学特性の向上には、当該微粒子中の結晶粒界の面積を小さくし結晶粒界の影響を減らすことが考えられる。このため、結晶粒界を低減させる試みは各分野で行われている。結晶粒界の面積を小さくするには、結晶子サイズは大きいほうが良い。しかし、本発明者らの検討により、意外にも、以上説明した、より小さい結晶子サイズを有する本発明に係る顔料微粒子が、優れた光学特性を有することが判明した。以上の本発明に係る顔料微粒子の結晶子サイズにより優れた光学特性を発揮する機構は完全には明らかではないが、以下のように推測される。
結晶子サイズが小さいと、一次粒子を構成する結晶子間の界面(結晶粒界)の数は多くなるが、結晶粒界ひとつひとつの面積は小さくなる。一般に結晶粒界の面積が大きいと光散乱しやすいと考えられる。これに対し、本発明では、結晶子サイズが小さく制御されていることによって結晶粒界の面積が小さくなり、光散乱が減少し、得られるカラーフィルターのコントラストと輝度が向上していることが推測される。ここで、結晶子サイズが小さいとは、面α方向の結晶子サイズにあっては140Å以下であり、面β方向の結晶子サイズにあっては80Å以下であることをいう。
また、図7で示すように、顔料の一次粒子は結晶子で構成されているため、結晶子サイズを小さくすることで、一次粒子も小さくすることができる。一次粒子が小さいことによってもカラーフィルターの透過率が高く、光散乱が低く抑えられ、コントラストと輝度が向上したと考えられる。ここで、顔料の一次粒子が小さいとは、その平均一次粒子径が40nm以下であることをいう。
また、一般式(I)に示されるジケトピロロピロール系顔料化合物のように異方性を有する結晶の場合、粒界でなく結晶自身による複屈折を完全には防止できない。
特に、パラ位に置換基を有するジケトピロロピロール系顔料化合物(上述の一般式(II))の場合、杉綾模様構造を取り空間群がP21/nであり、メタ位に置換基を有するものやTert−ブチル−ジケトピロロピロールが擬レンガ塀のレンガ構造を取り空間群がP1(P1の上にバー(−)有)であるのに比べ、対称性が低く、異方性が高い。このため、面αの結晶子サイズにあっては140Å以下とし、面βの結晶子サイズにあっては80Å以下とすることにより、後述するように等方性を一層高め、優れた光学特性を得ることができる。下記数1に示すようにP1の上にはバー(−)が付される。
更に、本発明に係る顔料微粒子は一次粒子が小さいため、粗大な一次粒子による異物発生等の不具合も抑えることができる。
一方で、結晶子サイズが大きいと、必然的に一次粒子も大きくなる。結晶子サイズが大きくなることにより一次粒子も大きくなり、カラーフィルターのコントラスト、輝度の向上を妨げられることが考えられる。
結晶子サイズが本発明の範囲の上限値、例えば面α方向の結晶子サイズにあっては140Å、面β方向の結晶子サイズにあっては80Åを超えると、得られるカラーフィルターのコントラスト、輝度が十分ではない。また、粗大粒子による異物発生等も生じやすい。
なお、結晶子サイズの下限は特に制限されないが、あまりに小さいと一次粒子も必要以上に小さくなり一次粒子の比表面積が増大する。一次粒子の比表面積が増大することで粒子表面エネルギーが大きくなり顔料微粒子の分散媒への分散が難しくなる。具体的には分散時に顔料微粒子が凝集してしまったり、顔料微粒子を分散媒に分散させた顔料分散体の粘度が高くまた経時変化により増粘やゲル化を引き起こす可能性が高くなる。分散安定化を図るために顔料分散体により多くの分散剤を含有する場合には、得られるカラーフィルターに含まれる着色成分が少なくなり、カラーフィルター特性に必要のない分散剤成分が増えるため、色特性の低下やカラーフィルター作製における工程性の不具合を起こしてしまう可能性が高い。また、結晶子サイズをあまりに小さくすることは技術的にも困難な上に、反面、それほど小さくしなくても十分な性能向上を得られることが本発明者らの検討により判明した。このため、上記上限値以下まで結晶子サイズを小さくすれば十分である。
3−2 結晶子サイズの比と平均一次粒子径
面αと面γの結晶子サイズの比を本発明の範囲内、例えば0.85〜1.25の範囲とすることで、高コントラストで高輝度なカラーフィルターを得ることが可能となる。結晶子サイズの比がカラーフィルターの光学特性に及ぼす機構は完全には明らかでないものの、次のように推測される。
上記の結晶子サイズの比すなわちアスペクト比(以下、「結晶子サイズのアスペクト比」ともいう)が小さいということは、結晶子が球状に近いことを意味する。球状に近ければ、一次粒子を形成する際に結晶子が緻密に充填し、一次粒子内で結晶子が異方性の少ない並び方をしやすくなる。一次粒子内の異方性が減少することで、一次粒子が光学的に均一となり、コントラストと輝度の向上に繋がると考えられる。また、結晶子が球状に近いことから、結晶子が集合してなる一次粒子も球状でアスペクト比の小さい一次粒子となると考えられる。一次粒子が球状に近いことによって、当該一次粒子の集合体である顔料微粒子を含有する硬化膜中で顔料微粒子が配向しにくくなり、硬化膜の異方性が減少しコントラストと輝度の向上に繋がると考えられる。
また、上記の結晶子サイズの比を本発明の範囲内とすることにより、顔料微粒子を分散媒中に分散させた顔料分散体も、分散剤の添加量を減らすことができ、かつ低粘度で分散性の良いものとすることができる。おそらく、一次粒子のアスペクト比が小さいことから、一次粒子から形成される顔料微粒子の比表面積が小さく、粒子表面エネルギーの小さい顔料微粒子が得られ、粒子同士の凝集が抑制されることによると推測される。
上記の結晶子サイズのアスペクト比が本発明の範囲を超えた場合、得られるカラーフィルターのコントラストと輝度が十分でない。
特に本発明で結晶子サイズと結晶子サイズの比を特定した各結晶格子面は、(±1 ±1 ±1)面(面α)と、X線回折パターンにより算出される2θ=3〜10°における最大ピークに対応する面 (面γ)であるが、これらの面が等方性の指標として有用であることが本発明者らの検討により明らかとなったものであり、画期的なものであると言える。
ただし、結晶子のアスペクト比が小さくとも、平均一次粒子径が大きい場合、得られたカラーフィルターのコントラストと輝度は低くなる。また、平均一次粒子径が5nm以下になると、結晶子サイズの比が上記範囲内であったとしても、一次粒子の比表面積が大きくなり、凝集しやすくなるため、良好な分散体を得ることが難しくなる。したがって、該結晶子のサイズの比が上記範囲以内であり、かつ一次粒子径も上記範囲内、例えば平均一次粒子径が5〜40nmの範囲である顔料微粒子を用いた場合にのみ、高コントラストで高輝度のカラーフィルターを得ることができる。
〔結晶子サイズの測定〕
前述のように、X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ)を、結晶構造の格子面に対応させることにより、結晶子サイズの測定が可能である。
ジケトピロロピロール系顔料においては、C.I.ピグメントレッド254の結晶構造は文献(Acta.Cryst.B49,1056(1993))にてX線結晶構造解析で分析されており、顔料種がC.I.ピグメントレッド254の場合には、これを用いて結晶子サイズの測定が可能である。また、臭素化ジケトピロロピロールのX線回折パターンは図4に示すようにC.I.ピグメントレッド254のものと比較してX線回折強度は異なるものの、ピーク位置は同様の場所に現れることより、臭素化ジケトピロロピロールはC.I.ピグメントレッド254と類似の結晶構造、結晶構造の格子面を取ると仮定して解析を行うことができる。
その他のジケトピロロピロール系顔料の場合も同様に、X線回折パターンにより結晶構造の解析を行い、X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ)を、結晶構造の格子面に対応させる。
本発明においては、以上説明した各結晶格子面の結晶子サイズの測定は、以下の条件及び手順によるものとする。
(1)試料のCuKα線を用いた粉末X線回折測定をブラッグ角(2θ)が5.3°から60°の範囲で行う。
(2)(1)で得られたX線回折パターンから、バックグラウンドを除去した回折パターンを求める。バックグラウンドの除去方法は、上記測定パターンのブラッグ角(2θ)=5.3°付近及び6.5°付近、10°付近、60°付近のすそをそれぞれ直線で結んでバックグラウンドとし、このバックグラウンドで表されるX線回折強度の値を(1)で得られたX線回折強度の値から除去したパターンを求める操作とする。
(3)(2)で得たバックグラウンドを除去したX線回折パターンから、一般式(II)に示される化合物にあっては、(0 2 0)面の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=7.4°±0.3°付近の回折ピーク及び(1 1 1)面の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=24.5°±0.3°付近の回折ピーク、(1 5 −1)面の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=28.0°±0.3°付近の回折ピークそれぞれに対し、半値幅及び回折ピークのブラッグ角(2θ)を求める。半値幅の算出は、上記測定範囲に存在する3つの回折ピークそれぞれを市販のデータ解析ソフトを用いてピーク分離を行うことにより算出可能となる。例えば、後述する実施例においては、パナリティカル社製データ解析ソフト HighScorePlus Ver.3.0e(3.0.5)を用い、ピーク形状をPseudo Voigt関数としてフィッティングを行い算出される半値幅の値を用いた。
(4)(3)で算出した回折ピーク半値幅及び下記シェラーの式により結晶子サイズを算出する。
D=Kλ/(B×cosA)
B=Bobs−b
ここで、
D:結晶子サイズ(Å)
Bobs:(3)で算出した半値幅(rad)
b:X線回折装置角度分解能補正係数であり、標準シリコン結晶測定時の半値幅(rad)。下記装置構成及び測定条件で標準シリコン結晶を測定し、b=0.087とする。
A:回折ピークブラッグ角2θ(rad)
K:シェラー定数(K=0.90と定義する)
λ:X線波長(Å)(CuKα線であるため、λ=1.54)
測定条件の詳細は下記であった。
X線回折装置:パナリティカル社製 多目的X線回折装置X‘Pert Powder
ゴニオメーター: パナリティカル社製 高精度試料水平型ゴニオメーター
サンプリング幅:0.0131°
ステップ時間:0.335秒
発散スリット:プログラム式発散スリット
入射側散乱スリット:なし
入射側ソーラースリット:0.04°
入射側マスク:10mm
受光側散乱スリット:8mm
受光側ソーラースリット:0.04°
管球:Cu
管電圧:45kV
管電流:40mA
なお、以上の方法と同一の結果が得られる方法であれば、他の方法を採用しても差し支えない。
〔結晶子サイズの比の算出〕
前述の方法で求めた各面の結晶子サイズから、(1 1 1)面の結晶子サイズを(0 2 0)面の結晶子サイズで除することにより(1 1 1)面と(0 2 0)面との結晶子サイズの比を算出する。
〔結晶格子面の面間隔変化率〕
本発明に係るジケトピロロピロール系顔料微粒子は、加熱前後のX線回折パターンにより算出される2θ=3〜10°における最大ピークに対応する結晶格子面の面間隔の、80℃における値と230℃における値の変化率(下記特定式による)が3.0%以下であることが好ましい。2.0%以下であることがより好ましく、1.5%以下であることが特に好ましい。
80℃における値と230℃における値の変化率=
{(230℃における面間隔)/(80℃における面間隔)×100}−100(%)[特定式]
ここで、C.I.ピグメントレッド254及び臭素化ジケトピロロピロールにおいては、2θ=7.4°±0.3°が2θ=3〜10°における最大ピークとなり、(0 2 0)面に対応する。(0 2 0)面は結晶格子の長軸にほぼ垂直な面であり、他の結晶格子面と比較して加熱による面間隔の変化率が最も大きいため、後述の結晶構造が安定しているかどうかの指標となる。
その他のジケトピロロピロール系顔料においてもC.I.ピグメントレッド254や臭素化ジケトピロロピロールと同じく、2θ=3〜10°における最大ピークに対応する面は結晶格子の長軸にほぼ垂直な面となり、他の結晶格子面と比較して加熱による面間隔の変化率が最も大きいため、結晶構造が安定しているかどうかの指標となる。
カラーフィルターの製造では顔料が加熱される工程を含み、加熱による色特性の悪化が多かれ少なかれ生じる。具体的には、加熱による色相のずれやコントラスト及び輝度低下などが問題となる。
これに対し、本発明に係る顔料微粒子は、当該面間隔の変化率を3.0%以下とすることにより、加熱による色特性の悪化を抑制でき、より品質の高いカラーフィルターを得ることができる。
本発明においては、結晶格子面の面間隔変化率が小さい顔料微粒子を用いることにより優れた光学特性のカラーフィルターを得られる機構、また結晶子サイズの小さい顔料微粒子や結晶子サイズのアスペクト比が小さい顔料微粒子により結晶格子面の面間隔変化率を小さくできる機構は完全には明らかではないが、以下のように推測される。
加熱による結晶格子面間隔の変化はほとんどの場合、面間隔が広がる方向に変化する。面間隔が広がると、結晶子間の結晶粒界の面積が大きくなり、前述のように、光散乱しやすい一次粒子となり、顔料微粒子にあってはコントラストや輝度の低下を招きやすいと推測される。
また、加熱による当該面間隔の変化率が大きいということは、結晶構造が安定していないということであり、加熱により結晶構造が変化し、隣接する分子の電子軌道の相互作用により色相のずれを生じることも推測される。
一般に、加熱による面間隔変化率が大きくなる理由としては、結晶構造内に不安定な要素を多く含んでいるためと考えられる。結晶構造の不安定要素としては、不純物や非結晶質成分、更には結晶構造の歪み等が挙げられる。
結晶子サイズがまちまちの大きさであったり結晶子のアスペクト比が大きいと、結晶構造中に歪みを持ったり、結晶子の隣接部位に不安定なアモルファス構造を多く含むと考えられ、加熱により結晶構造が変化し、隣接する分子の電子軌道の相互作用により色相のずれにつながると推測される。また、不安定なアモルファス構造が加熱により結晶化し異物を発生させることも考えられる。これに対し、本発明の顔料微粒子は結晶子が小さく球形に近いことから、結晶構造の歪みが小さく緻密で安定であり、加熱による結晶構造の変化が抑えられ、面間隔の変化率が小さくなると推測される。
特定の結晶子サイズ又は特定の結晶子サイズの比を有する本発明に係る顔料微粒子であれば、結晶構造の不安定要素の原因となる結晶粒界が小さく抑制された、結晶子が緻密に集合した安定な結晶構造となっていると考えられる。そのため、加熱による面間隔変化率を上記範囲、例えば3.0%以内に収めることができる。すなわち、加熱による面間隔の変化率が小さく、結晶構造の安定な顔料であると言える。
また、加熱による結晶格子面の面間隔変化率の測定方法は、以下のように行う。
(1)前述の〔結晶子サイズの測定〕と同様に、ブラッグ角(2θ)が5.3°から50°の範囲でCuKα線を用いた加熱による粉末X線回折測定を行う。
具体的には、はじめに25℃にてX線回折パターンを測定し、その後80℃に昇温して該温度を10分間保持してから80℃におけるX線回折パターンを測定する。さらに230℃に昇温して該温度を10分間保持してから230℃におけるX線回折パターンを測定する。
(2)(1)で得られたX線回折パターンから、バックグラウンドを除去した回折パターンを求める。バックグラウンドの除去方法は、上記測定パターンのブラッグ角(2θ)=5.3°付近及び6.5°付近、10°付近、37.5°付近のすそをそれぞれ直線で結んでバックグラウンドとし、このバックグラウンドで表されるX線回折強度の値を(1)で得られたX線回折強度の値から除去したパターンを求める操作とする。
(3)(2)で得たバックグラウンドを除去したX線回折パターンから、パナリティカル社製データ解析ソフト HighScorePlus Ver.3.0e(3.0.5)を用い、ピーク形状をPseudo Voigt関数としてフィッティングを行い、下記ブラッグの式により(0 2 0)面の特徴的な回折ピークであるブラッグ角(2θ)=7.4°±0.3°付近の回折ピークの面間隔を算出する。
2dsinA=nλ
ここで、
d:面間隔(Å)
A:回折ピークブラッグ角2θ(rad)
λ:X線波長(Å)(CuKα線であるため、λ=1.54)
n:整数
(4) (3)で得られた80℃及び230℃における(0 2 0)面の面間隔の結果より、下記の特定式よりこれらの温度変化による面間隔の変化率を算出する。
80℃における値と230℃における値の変化率={(230℃における面間隔)/(80℃における面間隔)×100}−100(%)[特定式]
測定条件の詳細は、前述の〔結晶子サイズの測定〕と同様である。
なお、以上の方法と同一の結果が得られる方法であれば、他の方法を採用しても差し支えない。
〔一次粒子径〕
本発明の第3の形態におけるジケトピロロピロール系顔料微粒子は、一次粒子径が5〜40nmである。また本発明の第1,2,4の形態におけるジケトピロロピロール系顔料微粒子においても、一次粒子径が5〜40nmであることが好ましい。いずれの場合も、その一次粒子径が10〜30nmであることがより好ましく、15〜25nmであることが特に好ましい。
また、上記一次粒子径の標準偏差が7.0未満であることが好ましく、6.0未満であることがより好ましく、4.0未満であることが特に好ましい。
更に上記一次粒子径の変動係数(CV値:以下「CV値」とする)が30未満であることが好ましく、28未満であることがより好ましく、25未満であることが特に好ましい。
当該ジケトピロロピロール系顔料微粒子の一次粒子径を上記上限値以下とすることで高コントラストな顔料分散体を得ることができる。他方、当該ジケトピロロピロール系顔料微粒子の一次粒子径を上記下限値以上とすることで、分散体を調整した際の粘度を低く抑えることができ、粘度の経時変化も抑制することができる。
上記上限値を超える一次粒子径を持つジケトピロロピロール系顔料微粒子の場合、コントラストの低下を招くことがあり、カラーフィルター用途として求められる性能を満たすことができないことがある。上記下限値未満の一次粒子径を持つジケトピロロピロール系顔料微粒子の場合、分散媒への当該顔料微粒子の分散が難しくなり、分散処理時に顔料分散体への分散剤やバインダー樹脂、顔料誘導体等の化合物の添加量が非常に多くなるため、当該顔料分散体のカラーフィルターへの適用が困難となりやすい。
当該ジケトピロロピロール系顔料微粒子の一次粒子径の標準偏差を上記上限値以下にすることで、特に高コントラストかつ低粘度であって、粘度の経時変化の小さい顔料分散体を得ることができる。
上記一次粒子径の標準偏差が上記上限値を超える場合、大きさや形状が不揃いな一次粒子が多数存在することにより、顔料分散体のコントラストの低下を招きやすい。
当該ジケトピロロピロール系顔料微粒子の一次粒子径のCV値を上記上限以下にすることで、特に高コントラストかつ低粘度であって、粘度の経時変化の小さい顔料分散体を得ることができる。
上記一次粒子径のCV値が上記上限を超える場合、大きさや形状が不揃いな一次粒子が多数存在することにより、顔料分散体のコントラストの低下を招きやすい。
ここで、一次粒子径は、電子顕微鏡観察により得られる画像から算出される粒子径である。一次粒子径とその標準偏差、CV値の測定方法は、以下のとおりである。
本発明に係る顔料微粒子を10重量部、分散剤として「BYKLPN6919」(ビックケミー社製)を固形分量にて5重量部、分散助剤としてC.I.ピグメントレッド254のスルホン化誘導体1重量部、分散媒となる有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70重量部をペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)で撹拌混合して6時間分散処理し、顔料分散体を得た。この顔料分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで50倍から200倍に希釈し、その希釈液を超音波ホモジナイザー(株式会社エスエヌディ社製、超音波洗浄機US−105)で5分間処理した後、粒子像の観察を行った。この観察には、S−5200形電界放出形走査電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて加速電圧20kVの観察倍率100万倍で行い、観察画像から明瞭に識別できる粒子100個に対してその長径をSEM用画像解析ソフトウェア(OLYMPUS社製Scandium)を用い測定し、一次粒子径及びその標準偏差、ならびにCV値を算出した。
〔ジケトピロロピロール化合物の含有量〕
本発明の第1の形態に係る顔料微粒子は、一般式(I)で示される化合物を90%以上含有する。このように一般式(I)で示される化合物を高濃度で含むことにより、着色力や輝度を高く保つことができる。
顔料微粒子の結晶を小さくするためには、例えば粒子成長を抑制する成分(例えば、特許文献5に記載されているような顔料誘導体など)を添加することが考えられるが、このような成分を添加すると着色力や輝度を高く保つことが難しくなる。これに対し、本発明の第1の形態に係る顔料微粒子は、顔料誘導体等の成分以外の、一般式(I)で示される化合物自体の含有量を90%以上と高く保つことにより、着色力や輝度を高く保つことができるのである。
また、本発明の第2の形態、第3の形態に係る顔料微粒子においても、着色力や輝度を高く保つためには、一般式(I)で示される化合物の含有量を90%以上とすることができ、またそうすることが望ましい。
本発明の第4の形態に係る顔料微粒子においても、式(III)で示される臭素化ジケトピロロピロールの含有量を90%以上とすることができ、またそうすることが望ましい。
一般式(I)、一般式(II)、式(III)に示されるジケトピロロピロール系顔料化合物の含有量の特定は、以下のように行うことができる。
本発明に係る顔料微粒子の溶媒抽出液について、LC−MS分析やNMR分析を行い、含有成分を同定し、さらに定量分析する。
より具体的には、テトラヒドロフラン(以下、「THF」とする)などの有機溶剤に当該顔料微粒子を溶解させ、LC−MSで液体クロマトグラフィー分離し分子量分析を行う。また、不溶物を固体直接導入プローブで分子量分析する。これらは、分子の全体および部分の分子量情報を元に各成分を同定する手法である。さらに、当該顔料微粒子の成分である一般式(I)、一般式(II)、式(III)に示されるジケトピロロピロール系顔料化合物や同定成分の標品と比較して定量分析することができる。
また、重ジメチルスルホキシドや重硫酸に当該顔料微粒子を溶解させ、NMR測定で各成分を同定し、NMRスペクトルの面積比から定量することができる。
〔本発明に係る顔料微粒子の性能〕
以上説明した本発明に係る顔料微粒子は、優れた光学特性を有する。具体的には、色度x=0.6500の硬化膜とした際のコントラストが7,000以上、より好ましくは8,000以上、さらには10,000以上とすることもできる。また、色度x=0.6500とするための膜厚を2.80μm以下、特に2.70μm以下、さらには2.60μm以下とすることもできる。さらに、色度x=0.6500かつy=0.3230において、輝度が18.00以上、さらには19.00以上となり極めて光学特性に優れたカラーフィルターを得ることができる。硬化膜の作製については後述する。
ここで、コントラストとは顔料の色特性の指標のひとつであり、コントラストが高い方がディスプレイ等の光学材料に用いた際に発色が精彩となるため好ましいとされる。コントラストの測定は、2枚の偏光板で挟んだ硬化膜に対して光を照射し、前面側の偏光板と後面側の偏光板の偏光面が平行であるとき及び直角であるときの透過する光量をコントラスト測定装置(壺坂電気社製CT−1)を用いて測定し、透過光を偏光板上の輝度として、偏光板の偏光面が平行のときの輝度と直角であるときの輝度との比をコントラスト{(コントラスト)=(偏光板の偏光面が平行のときの輝度)/(偏光板の偏光面が直角のときの輝度)}として算出する。
また、硬化膜の膜厚は、同一の色度で薄くできれば感光性着色組成物を節約することができ、また同じ膜厚に調整した際には、高着色力の硬化膜を得ることができるため好ましい。膜厚については非接触表面・層断面形状計測システム (菱化システム社製R5300G−Lite)を用いて測定を行う。
耐熱性については、コントラストの変化率{(ポストベイク工程前のコントラスト−ポストベイク工程後のコントラスト)/ポストベイク工程後のコントラスト×100(%)}にて示す。
加えて、硬化膜を光学顕微鏡で500倍にて観察した際に確認できる粗大粒子数の数を50個以下、さらには20個以下にまで抑えることができる。
さらに、輝度はコントラスト同様顔料の色特性の指標のひとつであり、コントラスト及び輝度の値が高い方がディスプレイ等の光学材料に用いた際に発色が精彩であるとともに、バックライトの光量を抑えることができるため好ましいとされる。輝度の測定は、硬化膜に対して分光光度計(大塚電子社製LCF−1100)を用いて測定を行い得られたものである。
特定の結晶子サイズ又は特定の結晶子サイズの比を有する本発明に係る顔料微粒子により、以上のように極めて優れた光学特性を有するカラーフィルターを提供しうる機構は完全には明らかではないが、前述したように、結晶子のサイズを例えば面α方向の結晶子サイズにあっては140Å以下、面β方向の結晶子サイズにあっては80Å以下に制御することや結晶子サイズの比を例えば0.85〜1.25の範囲に制御することで、結晶の歪み等の発生が抑えられ、構造が安定で、加熱された場合の変化が少ないことが寄与していると推測される(加熱による変化の低減による性能向上)。
また、結晶界面が及ぼす光散乱等の影響が抑えられていることが寄与していると推測される(結晶粒界の光学的影響)。
さらに、当該結晶子のサイズ及び結晶子サイズの比が、一次粒子のサイズ及び形状を小さくかつ等方性にすることにより、一次粒子が硬化膜中で良好な状態で存在することに寄与していると推測される(一次粒子の硬化膜中の状態の影響)。
これらの複数の要素が、相乗効果で本発明の優れた効果を達成していることが推測され、従来技術からは到底達成が困難なものである。
なお、カラーフィルター等の硬化膜中や感光性着色組成物中において、一般式(I)、一般式(II)、式(III)に示されるジケトピロロピロール系顔料化合物の含有量の特定は、以下のように行うことができる。
硬化膜や感光性着色組成物の溶媒抽出液について、LC−MS分析やNMR分析を行い、含有成分を同定し、さらに定量分析する。
より具体的には、THFなどの有機溶剤に硬化膜や感光性着色組成物を溶解させ、LC−MSで液体クロマトグラフィー分離し分子量分析を行う。また、不溶物を固体直接導入プローブで分子量分析する。さらに、当該硬化膜や感光性着色組成物の成分である一般式(I)、一般式(II)、式(III)に示されるジケトピロロピロール系顔料化合物や同定成分の標品と比較して定量分析することができる。
また、重ジメチルスルホキシドや重硫酸に硬化膜や感光性着色組成物を溶解させ、NMR測定で各成分を同定し、NMRスペクトルの面積比から定量することができる。
〔製造方法〕
本発明に係るジケトピロロピロール系顔料微粒子の製造方法は特に限定されないが、所謂ソルトミリング法や、所謂再沈法、或いはソルトミリング法と再沈法を組み合わせた有機顔料の微細化方法など、前述した各種の従来技術を用いて製造することができる。
中でも、結晶子サイズや一次粒子径の制御が比較的容易で、ソルトミリング法のように過剰なエネルギーの投下により顔料結晶の歪み等を発生させてしまうリスクの少ない再沈法を用いて製造を行うことが好ましい。
再沈法の中でも、有機顔料を良溶媒に溶解した溶液(以下、「顔料溶解液」ともいう)と、その良溶媒に相溶する有機顔料の貧溶媒(以下、「貧溶媒」とも言う)とを連続的に反応場に供給し、両者を混合して析出させた顔料微粒子を液中より取り出すことによって連続的に顔料析出反応を行う、連続式の反応装置により製造を行うことが望ましい。
特に、顔料溶解液と貧溶媒との混合が、接近・離反可能な相対的に回転する処理用面間で連続して行われる方式の反応装置(以下、「流体処理装置」ともいう)を用いて当該混合が行われることが最も好適である。当該反応装置は、接近・離反可能な状態で相対的に回転する処理用面の間に形成され、処理用面によって強制された薄膜流体という特殊な環境下にて顔料溶解液と貧溶媒との混合と顔料微粒子の析出をなすものであり、従来のマイクロリアクターや他の混合攪拌装置とは一線を画すものである。また、顔料溶解液と貧溶媒とは、接近・離反可能な状態で相対的に回転する処理用面間の微小間隔にて混合されるもので、実質的に重力の影響を排除できるものであり、さらに、当該反応装置を用いた顔料微粒子の析出は、乱流条件ではなく、層流条件下においてなされることが好まししいものである。
このような方法が好適な理由は、以下のように考えられる。
まず、ソルトミリング法のように顔料を機械的に粉砕する方法による場合、結晶子サイズを例えば面α方向の結晶子サイズにあっては140Å以下、面β方向の結晶子サイズにあっては80Å以下の範囲まで小さくするには非常に大きな力をかける必要がある。また粉砕と同時に結晶成長が起こるので、反応が平衡になる状態を作り出さなければならず、制御が難しく、生産性も悪い。再沈法の場合は、いったん顔料を溶解させるので、粒子サイズの制御はより容易である。しかし、再沈法の場合でも結晶子サイズまでの制御は容易ではない。反応を継続していくと結晶子が次第に成長するため、これを防がなければならない。そこで、反応場における顔料溶解液と貧溶媒との接触を速やかに行い小さな結晶子サイズの粒子を大量に生成させることが重要だと考えられる。このため、反応場での拡散係数が重要となる。そこで、顔料溶解液と貧溶媒とを連続的に反応場に供給して生成した顔料微粒子を連続的に回収する連続式の反応装置によることが望ましいと考えられる。特に、顔料溶解液と貧溶媒との混合が、接近・離反可能な相対的に回転する処理用面間で連続して行われる方式の反応装置を用いれば、反応場での拡散係数が大きくなることで、結晶の核が大量に生成し、微細な結晶子の顔料微粒子を効率良く得ることができると考えられる。
再沈法、特に接近・離反可能な相対的に回転する処理用面間で連続的に顔料微粒子の析出反応を行う方法では、得られた顔料微粒子は非常に微細であり、かつ一つ一つの粒子が均一に作製され、かつ結晶子サイズとその分布が小さなものを得ることができることがわかった。すなわち、得られた顔料微粒子は、粗大粒子が少なく粒子径が均一な極めて微細な顔料微粒子であって、しかも結晶の歪み等の発生が抑制されたものである。これは、前述のように、顔料溶解液と貧溶媒との接触が極めて高速で起こるために反応場の拡散係数が大きくなり、微細な結晶子の核が大量に精製し微細な結晶子の集合体である顔料微粒子を得ることができることと、ソルトミリング処理のような粉砕処理で与えられていた過剰なエネルギーが投下されず歪みの生成を抑えることができているためであると推測される。
上述の方法により得られた顔料微粒子は結晶などの状態が良好であり、また、着色性を阻害する粗大粒子が少ないため、耐熱性及び着色性に優れた顔料微粒子分散体を得ることができる。つまり、顔料微粒子の一次粒子径だけでなく、結晶子のサイズやその分布を制御することにより、色特性、耐熱性等の特性が向上した優れた性能を維持するカラーフィルターを得ることが可能になった。
再沈法による本発明に係る顔料微粒子の製造は、具体的には以下のように行うことができる。
まず、ジケトピロロピロール系顔料原体(以下、「顔料原体」ともいう)を、良溶媒に溶解する。顔料原体とは、以下に説明する微細化処理前の顔料をいう。ジケトピロロピロール系顔料原体としては、特に限定はされないが、公知の市販顔料を用いることも可能であるし、前述したジケトピロロピロール系顔料の製造方法についての各種の従来技術に開示されている方法で作製された顔料を用いることも可能である。
ジケトピロロピロール系顔料原体を溶解するための良溶媒としては、例えば水や有機溶媒、またはそれらの複数からなる混合溶媒が挙げられる。上記水としては、水道水やイオン交換水、純水や超純水、RO水などが挙げられ、有機溶媒としては、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、二硫化炭素、脂肪族系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、イオン性液体、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物などが挙げられる。上記の溶媒はそれぞれ単独で使用しても良く、または複数以上を混合して使用しても良い。
ここで、水酸化ナトリウムや、水酸化カリウムなどの無機水酸化物や、ナトリウムメトキシドやカリウム−tert−ブトキシド等の金属アルコキシド等の化合物、あるいは4級アンモニウム化合物を上記良溶媒中に存在させることが知られている。本発明では特に、4級アンモニウム化合物を上記良溶媒に添加させることが好ましい。4級アンモニウム化合物を上記良溶媒に添加することによって、本発明の特徴である所定の結晶子サイズ及び一次粒子径に制御することが特に容易となる。そのメカニズムは明らかではないが、溶媒中の4級アンモニウム化合物の存在がジケトピロロピロール系顔料原体の溶解並びにその後の析出に良好な結果をもたらし、ひいては色特性の向上に良好な結果をもたらすものと考えられる。
添加することができる4級アンモニウム化合物としてはベンジルトリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウムなどの水酸化物、塩化物、臭化物を用いることができるが、中でも水酸化物を用いるのが溶解性の改善の点から好ましく、特に水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムや水酸化テトラメチルアンモニウムを用いることが好ましい。これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
これら以外にも、塩化テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムや三臭化テトラ-N-ブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウムなども用いることができる。
4級アンモニウム化合物の添加量としては、顔料原体に対して0.1〜10モル当量添加するのが好ましく、更には顔料原体に対して0.3〜6モル当量添加するのがより好ましく、0.5〜4モル当量添加するのが特に好ましい。顔料原体に対して0.1モル当量以上を添加することにより、顔料原体の溶解が十分行うことができ、顔料微粒子の析出において粗大粒子の発生を抑制することができる点で有利である。また、顔料原体に対して10モル当量以下に抑えることによって、溶媒に対する顔料原体の量を適正化することができ、良好な生産性を得る点で好ましく、顔料原体の分子の分解の促進を抑制することができ、耐熱性、色特性に好影響を与えることができる点で有利である。
顔料溶解液の調製方法は特に限定されないが、回転する攪拌翼を有する攪拌機を用いて行うことが好ましい。これによって顔料溶解液中における未溶解物が原因となる粗大粒子の発生を抑えることができることは当然ながら、2種以上の分子や元素を溶解する場合にも、より均一な溶解状態である顔料溶解液を迅速に作製することができる。
顔料溶解液の調製を回転する攪拌翼を有する攪拌機を用いて行うことにより、分子レベルでの均一な溶解状態もしくは分子分散状態をなした顔料溶解液を得ることができ、顔料溶解液の溶解状態やクラスター形成状態を向上させると推測される。
顔料溶解液の調製に用いられる攪拌機は、回転する攪拌翼を有する攪拌機であれば特に限定されないが、一般的な回転する攪拌翼を有する攪拌機においては、撹拌翼の先端での周速度が1m/sec.以上であるものが高速回転であると言われている。1m/sec.未満の低周速度で実施することもできるが、顔料溶解の時間短縮や、顔料の溶解の確実性の向上の点で高速回転の方が有利である。粗大粒子の発生の抑制の観点からは、1m/sec.以上、更には10m/sec.以上の周速度で顔料溶解液を調製することが好ましい。このような攪拌機としては、各種の分散機、例えば、高速回転式乳化分散機(エム・テクニック株式会社製、製品名:クレアミックス)が好適である。
顔料溶解液中のジケトピロロピロール系顔料原体の濃度は、生産性の面からは高い方が望ましい。好ましくは3重量%以上、更には5重量%以上含まれることがより好ましい。
上記顔料溶解液を、上記貧溶媒と混合して、顔料微粒子を析出させる。貧溶媒に用いる溶媒は、ジケトピロロピロール系顔料原体を溶解するための良溶媒として列挙した溶媒から選んで使用できるが、顔料溶解液中に含まれる有機顔料に対する溶解度が低い溶媒を選択する必要がある。これらの溶媒はそれぞれ単独で使用してもよく、または複数以上を混合して使用してもよい。また、pH調整や粒子径、結晶化度を調製する目的で酸を添加することができる。添加する酸としては、有機酸であればギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸などのカルボン酸類、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などのスルホン酸類、サリチル酸、クレゾール、チモールなどのフェノール類などを用いることができる。また、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸、スルファミン酸、過塩素酸などの無機酸も用いることができる。これらはそれぞれ単独で使用してもよく、または複数以上を混合して使用してもよい。酸を添加することによって、色特性にさらなる向上をもたらすことが可能となる場合がある。更に、貧溶媒の調製においても、顔料溶解液の調製と同様に、先述した回転する撹拌翼を有する撹拌機を使用することが好ましい。
上記顔料溶解液と貧溶媒とを混合し、顔料微粒子を析出させる。前述のように、両者の混合は、接近・離反可能な相対的に回転する処理用面間で連続して行われることが好ましい。
顔料微粒子析出時の温度は、一次粒子径の調整及び結晶子サイズの制御に重要である。具体的には顔料溶解液と貧溶媒の両者の温度を調整し、析出時の温度が50℃以下になるようにすることでより微細な粒子を析出させることができる。特に好ましくは、析出時の温度が30℃以下である。50℃を超える高温で顔料微粒子の析出を行った場合には、顔料微粒子の結晶成長が促進され粗大な粒子が析出してしまうのに対し、50℃以下で顔料微粒子の析出を行った場合は、当該微粒子の結晶成長が抑制され結晶子サイズが小さく一次粒子径が微細で均一な顔料微粒子が析出するものと推測できる。
上記顔料溶解液と貧溶媒とを混合し、顔料微粒子を析出させることで得られる顔料微粒子を含むスラリーを、濾過、遠心分離、透析、限外濾過等の方法を用いて顔料微粒子を液中より取り出し、各種溶媒を用いて洗浄することにより、本発明の顔料微粒子を単離することができる。
洗浄に用いる溶媒は、先述したジケトピロロピロール系顔料原体を溶解するための良溶媒として列挙した溶媒より選んで使用できる。また、洗浄処理の際には、先述した回転する撹拌翼を有する撹拌機を使用することが好ましい。洗浄の終点は、特に限定されないが、洗浄液のpH、不純物のイオンや有機物の分析を用いて決定することが可能である。また、洗浄後の顔料微粒子は、洗浄完了時点では、洗浄に用いた溶媒を含む状態であるため、乾燥または溶媒置換の処理を行う必要がある。
乾燥方法は特に限定されないが、真空乾燥や、温風乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。乾燥によって、顔料微粒子の粉体を得ることが可能である。
溶媒置換の方法についても特に限定されないが、洗浄完了後に得られる洗浄液を含む顔料微粒子のウェットケーキを目的の溶媒に投入し、撹拌することでを均一とした後、再度濾過、遠心分離、透析、限外濾過等の方法を用いて、目的とする溶媒を含む顔料微粒子のウェットケーキを作製することが可能である。
再沈法による顔料微粒子の析出及び析出させた顔料微粒子の洗浄処理においては、単に顔料微粒子を析出させるのみならず、顔料原体の精製も伴うものであると言える。顔料原体を分子の状態まで溶解させることで顔料微粒子に取込まれていた金属や未反応物質等の不純物が抽出され、顔料微粒子析出後の洗浄によりこれらの不純物が除去されていると推測される。発明者らは、特許文献1及び2に代表されるソルトミリング法等に比べ再沈法による顔料微粒子の着色力が優れている理由の一つが、上記の顔料原体の精製にあると考えている。
顔料微粒子に含まれるFe量が多いと該顔料微粒子を用いてカラーフィルターを作製した際に、電圧保持率の低下による液晶の動作不良を起こす可能性がある。また、顔料微粒子中に含まれるFe量が多いことでカラーフィルターに含まれる不純物量が多くなり色特性や着色力の低下を招くのみならず、後述するカラーフィルター作製の際のポストベイク工程において、塗膜上への異物発生の原因となる可能性がある。そのため、極力顔料微粒子に含まれるFe量を減らす必要がある。以上説明した再沈法による顔料原体の精製作用により、Fe量を減らすことができることがわかった。このため、顔料微粒子中のFeの含有量を35ppm以下に抑えることができる。より好ましくは、30ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下にまで抑えることも可能である。
〔製造装置の一例〕
ここで、上述の接近・離反可能な相対的に回転する処理用面を備えた流体処理装置について、図1〜図3を参照して、簡単に説明しておく。この装置は、特許文献7に記載の装置と同様である。
図1においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示しているが、本願発明において上下前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。図2(A)、図3(B)においてRは回転方向を示している。図3(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
この流体処理装置は、対向する第1及び第2の、2つの処理用部10、20を備え、少なくとも一方の処理用部が回転する。両処理用部10、20の対向する面が、夫々処理用面となる。第1処理用部10は第1処理用面1を備え、第2処理用部20は第2処理用面2を備える。
両処理用面1、2は、流体(即ち、上記顔料溶解液と上記貧溶媒)の流路に接続され、被処理流動体の流路の一部を構成する。この両処理用面1、2間の間隔は、適宜変更して実施することができるが、通常は、1mm以下、例えば0.1μmから50μm程度の微小間隔に調整される。これによって、この両処理用面1、2間を通過する被処理流動体は、両処理用面1、2によって強制された強制薄膜流体となる。
この装置を用いて複数の流体を処理する場合、この装置は、第1の流体の流路に接続され、当該第1流体の流路の一部を形成する。さらにこの装置は、第1流体とは別の、第2流体の流路の一部を形成する。そして、この装置は、両流路を合流させて、処理用面1、2間において、両流体を混合し、反応させて微粒子の析出を行う流体処理を行なう。
具体的に説明すると、この装置は、上記の第1処理用部10を保持する第1ホルダ11と、第2処理用部20を保持する第2ホルダ21と、接面圧付与機構と、回転駆動機構と、第1導入部d1と、第2導入部d2と、流体圧付与機構pとを備える。
図2(A)に示す通り、この実施の形態において、第1処理用部10は、環状体であり、より詳しくはリング状のディスクである。また、第2処理用部20もリング状のディスクである。この実施の形態において、両処理用部10、20は、互いに対向する第1、第2の処理用面1、2が鏡面研磨されており、算術平均粗さは、特に限定されないが、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.03〜0.3μmとする。
第1ホルダ11、第2ホルダ21のうち、少なくとも一方のホルダは、電動機などの回転駆動機構(図示せず)にて、他方のホルダに対して相対的に回転することができる。
この実施の形態において、第2ホルダ21が装置に固定されており、同じく装置に固定された回転駆動機構の回転軸50に取り付けられた第1ホルダ11が回転し、この第1ホルダ11に支持された第1処理用部10が第2処理用部20に対して回転する。もちろん、第2処理用部20を回転させるようにしてもよく、双方を回転させるようにしてもよい。
この実施の形態では、第1処理用部10に対して、第2処理用部20が回転軸50の方向に接近・離反するもので、第2ホルダ21に設けられた収容部41に、第2処理用部20の処理用面2側と反対側の部位が出没可能に収容されている。但し、これとは、逆に、第1処理用部10が、第2処理用部20に対して接近・離反するものであってもよく、両処理用部10、20が互いに接近・離反するものであってもよい。
この収容部41は、第2処理用部20の、処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、環状に形成された溝である。この収容部41は、第2処理用部20の処理用面2側と反対側の部位を出没させ得る十分なクリアランスを持って、第2処理用部20を収容する。なお、第2処理用部20は軸方向に平行移動のみが可能なように配置してもよいが、上記クリアランスを大きくすることにより、第2処理用部20は、収容部41に対して、処理用部20の中心線を、上記収容部41の軸方向と平行の関係を崩すように傾斜して変位できるようにしてもよく、さらに、第2処理用部20の中心線と収容部41の中心線とが半径方向にずれるように変位できるようにしてもよい。このように、3次元的に変位可能に保持するフローティング機構によって、第2処理用部20を保持することが望ましい。
上記の流体は、ポンプや位置エネルギーなどによって構成される流体圧付与機構pによって圧力が付与された状態で、第1導入部d1と、第2導入部d2から両処理用面1、2間に導入される。この実施の形態において、第1導入部d1は、環状の第2ホルダ21の中央に設けられた通路であり、その一端が、環状の両処理用部10、20の内側から、両処理用面1、2間に導入される。第2導入部d2は、第1の流体との反応がなされる第2の流体を処理用面1、2へ供給する。この実施の形態において、第2導入部d2は、第2処理用部20の内部に設けられた通路であり、その一端は、第2処理用面に形成された開口部d20である。
流体圧付与機構pにより加圧された第1の流体は、第1導入部d1から、両処理用部10、20の内側の空間に導入され、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通り、両処理用部10、20の外側に通り抜けようとする。
これらの処理用面1、2間において、第2導入部d2から流体圧付与機構pにより加圧された第2の流体が供給され、第1の流体と合流し、両流体が混合した際の上記顔料溶解液と上記貧溶媒との析出反応によって、顔料微粒子が析出し、この顔料微粒子を含む流体が、両処理用面1、2から、両処理用部10、20の外側に排出される。
上記の接面圧付与機構は、第1処理用面1と第2処理用面2とを接近させる方向に作用させる力を、処理用部に付与する。この実施の形態では、接面圧付与機構は、第2ホルダ21に設けられ、第2処理用部20を第1処理用部10に向けて付勢する。
上記の接面圧付与機構は、第1処理用部10の第1処理用面1と第2処理用部20の第2処理用面2とが接近する方向に押す力(以下、接面圧力という)を発生させるための機構である。この接面圧力と、流体圧力による両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保ち、nm単位ないしμm単位の微小な膜厚を有する薄膜流体を発生させる。接面圧力としては、スプリング43の弾性力、付勢用流体導入部44へ導入された空気や油などの付勢用流体の圧力の他、磁力や重力などの他の力であってもよい。
この接面圧付与機構の付勢力に抗して、流体圧付与機構pにより加圧された流体の圧力や粘性などによって生じる離反力によって、第2処理用部20は、第1処理用部10から遠ざかり、両処理用面間に微小な間隔を開ける。このように、この接面圧力と離反力とのバランスによって、第1処理用面1と第2処理用面2との間隔は、μm単位の精度で設定される。
なお、離反力としては、流体の流体圧や粘性の他、処理用部の回転による遠心力、付勢用流体導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧、スプリング43を引っ張りスプリングとした場合の弾性力などを挙げることができる。この接面圧付与機構は、第2処理用部20ではなく、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。
図2に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1には、第1処理用部10の中心側から外側に向けて、即ち径方向について伸びる溝状の凹部13を形成して実施してもよい。この凹部13の平面形状は、図2(B)へ示すように、第1処理用面1上をカーブしてあるいは渦巻き状に伸びるものであってもよい。また、この凹部13は、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、第1及び第2の処理用面1、2の双方に形成するものとしても実施可能である。この様な凹部13を形成することによりマイクロポンプ効果を得ることができ、流体を第1及び第2の処理用面1、2間に吸引することができる効果がある。
この凹部13の基端は第1処理用部10の内周に達することが望ましい。この凹部13の先端は、第1処理用部面1の外周面側に向けて伸びるもので、その深さは、基端から先端に向かうにつれて、漸次減少するものとしている。
この凹部13の先端と第1処理用面1の外周面との間には、凹部13のない平坦面16が設けられている。
前述の開口部d20は、第1処理用面1の平坦面16と対向する位置に設けることが好ましい。
特に、マイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が、処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも下流側(この例では外側)の平坦面16に対向する位置に設置することが望ましい。
具体的には、図2(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の先端から、半径方向への距離nを、約0.5mm以上とするのが好ましい。これによって、層流条件下にて複数の流体の混合と、微粒子の析出が行なわれることが可能となる。
開口部d20の形状は、図2(B)や図3(B)に示すように円形状であってもよく、図2(B)に点線で示すように、リング状ディスクである処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状であってもよい。
本発明の結晶子サイズ及び一次粒子径が制御された顔料微粒子を容易に得るには、開口部d20の形状は、処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状とするのが、より好ましい。両流体が速やかに接触し、処理用面間の反応場における両流体の濃度分布が抑えられ、混合状態がより均一となるため、析出反応の進行度合いがより均一となり、得られる顔料微粒子も結晶子サイズ及び一次粒子径が一層均一になるものと推測される。
この第2導入部d2は方向性を持たせることができる。例えば、図3(A)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、第2処理用面2に対して所定の仰角(θ1)で傾斜している。この仰角(θ1)は、0度を超えて90度未満に設定されており、さらに反応速度が速い反応の場合には1度以上45度以下で設置されるのが好ましい。
また、図3(B)に示すように、上記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、上記の第2処理用面2に沿う平面において、方向性を有するものである。この第2流体の導入方向は、処理用面の半径方向の成分にあっては中心から遠ざかる外方向であって、かつ、回転する処理用面間における流体の回転方向に対しての成分にあっては順方向である。言い換えると、開口部d20を通る半径方向であって外方向の線分を基準線gとして、この基準線gから回転方向Rへの所定の角度(θ2)を有するものである。この角度(θ2)についても、0度を超えて90度未満に設定されることが好ましい。
この角度(θ2)は、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。また、第2導入部d2に方向性を全く持たせないこともできる。
上記の流路の数は、図1の例では、2つとしたが、3つ以上であってもよい。図1の例では、第2導入部d2から処理用面1、2間に第2流体を導入したが、この導入部は、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。また、一種類の流体に対して、複数の導入部を用意してもよい。また、各処理用部に設けられる導入用の開口部は、その形状や大きさや数は特に制限はなく適宜変更して実施し得る。また、上記第1及び第2の処理用面間1、2の直前あるいはさらに上流側に導入用の開口部を設けてもよい。
以上説明した製造方法及び反応装置による結晶子サイズと結晶子サイズの比の制御は、反応場での反応係数を制御するための各種のパラメーター、例えば温度、処理面間の距離、流体の供給及び排出速度等を制御し、得られた顔料微粒子の結晶子サイズからフィードバックして各装置に最適な値を選択することにより可能である。
〔顔料分散体〕
本発明においては、以上説明した本発明に係るジケトピロロピロール系顔料微粒子を、分散媒である有機溶媒に投入し、分散処理することで顔料分散体を得ることができる。有機溶媒は、通常はエステル系有機溶媒が好ましい。ここで用いられるエステル系有機溶媒は特に限定されないが、沸点が好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは130℃以上の高沸点有機溶媒であることが好ましい。このような高沸点有機溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)等が挙げられる。
上記エステル系有機溶媒の中では、有機顔料の分散性の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点:146℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:120℃)がより好ましい。上記のエステル系有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、必要に応じて、分散剤を添加することが出来る。かかる分散剤としては特に限定されないが、例えば主に有機溶剤系ではポリウレタン、ポリアクリレートなどのカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボン酸基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩など;主に水性では(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物;ラウリル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
これらのなかでも特に、アミン構造を有する分散剤が、分散性に優れており好適に使用される。かかるアミン構造を有する分散剤としては、たとえばルーブリゾール社製Solsperseシリーズ、ビックケミー社製Disperbykシリーズ、BASF社製Efkaシリーズ、味の素ファインテック社製アジスパーシリーズなどが挙げられる。分散剤の量は通常、顔料100重量部に対して100重量部以下、好ましくは50重量部以下、更に好ましくは30重量部以下とするのが適当である。
また、分散剤とともにバインダー樹脂を添加することができる。バインダー樹脂としては例えば、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム、マレイン化油系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。バインダー樹脂は後述の感光性着色組成物を得る際に添加することも可能である。
更に必要に応じて、公知の顔料誘導体等の化合物を添加してもよい。これらの化合物は、顔料と分散剤との仲介をする化合物で、顔料表面と分散剤との間に物理的、電気的、化学的に吸着し、分散安定性を向上させる機能を持つと考えられている。このような顔料誘導体としては例えば、ジケトピロロピロール系、アントラキノン系、フタロシアニン系、金属フタロシアニン系、キナクリドン系、アゾキレート系、アゾ系、イソインドリノン系、ピランスロン系、インダンスロン系、アンスラピリミジン系、ジブロモアンザンスロン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系等の有機顔料を母体とし、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボンアミド基、スルホンアミド基等の置換基を導入した顔料誘導体が挙げられる。これらの顔料誘導体等の化合物は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
これら分散剤やバインダー樹脂、顔料誘導体等の化合物の顔料分散体への添加は、フロキュレーションの低減や顔料の分散安定性の向上、分散体の粘度特性の向上にも寄与する。
上記分散処理は、その方法や、処理に用いる分散機について限定するものでは無いが、処理の際の撹拌速度や処理時間等の調整で、本発明に係る顔料微粒子に過剰な衝撃力等のエネルギーを投下しなくても分散処理が可能である。そのため、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の撹拌機構でガラス、スチール、ステンレス、陶磁器、ジルコン、ジルコニア等から成るメディアを激しく撹拌することによって被処理物を分散させるものを用いることも可能であるが、顔料微粒子の粉砕を伴うものでは無い条件であっても実施することができる。更には、上記メディアを使用しない分散機を使用することでも分散処理が可能であり、その場合は、顔料溶解液または貧溶媒の調製に用いた装置と同様の装置を挙げることが出来る。顔料微粒子の粉砕を伴うものでは無い、あるいは伴ったとしても顔料微粒子の粉砕を低減することによって、分散処理後の顔料微粒子の均一化を向上させることができ、その結果、色特性の改善に寄与できるなどと言った効果を得易い点で有利である。
〔感光性着色組成物〕
上記顔料分散体に少なくともモノマーと光重合開始剤とを混合し、感光性着色組成物を得ることができる。
モノマーとしては、特に限定されないが、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート及びN−ビニルピロリドンのような単官能モノマーのほか、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート及びビスフェノールAジアクリレートのような2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレートのような3官能モノマー、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレートのようなその他の多官能モノマーなどが挙げられる。これらの光重合性モノマーは、2種類以上使用することも可能である。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ケタール類、キノン類、トリアジン類、イミダゾール類、オキシムエステル類、ホスフィン類、ボレート類、カルバゾール類、チタノセン類、ポリハロゲン類等が挙げられる。例えば4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N、N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2、6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノンが好ましい。これらの光重合開始剤は、単独で使用してもよく、必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いる事ができる。
その他、以下示すアルカリ可溶性樹脂についても感光性着色組成物に含むことが可能である。
アルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に用いられるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶性を有するものであればよく、特に限定されない。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、γ−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレート等の中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示することができ、上記のコポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたポリマー等も例示できる。これらのアルカリ可溶性樹脂は前述の顔料分散体を得る際に添加しておくことも可能である。
本発明の感光性着色組成物は、更に、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤等の添加剤が含まれていてもよい。
〔カラーフィルター〕
以上説明した、本発明に係る顔料微粒子を含有する感光性着色組成物を基板上に塗布、光硬化、現像を行い、塗膜を得ることによりカラーフィルターを製造することができる。以下、本工程をプリベイク工程という。基板上への当該感光性着色組成物の塗布は、ガラス基板やシリコン基板上にロールコーター、スリットコーター、スプレー、バーコーター、アプリケーター、スピンコーター、ディップコーター、インクジェット、スクリーン印刷で塗布することが好ましい。塗布後には、有機溶媒を乾燥させ、塗膜の平滑性やハンドリングの観点から加熱することが好ましい。加熱温度は50〜140℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。加熱時間は0.5〜60分間が好ましく、1〜10分間がより好ましい。
光硬化は、塗膜に紫外線を照射して、塗膜を硬化させる。光硬化は続く現像でガラス基板上にパターンを残すために行い、現像で除去する部分には紫外線を防ぐフォトマスクを載せて硬化させないことが好ましい。光硬化は、紫外線照射量が10〜100mJ/cmまで行うことが好ましい。現像は、光硬化後の硬化塗膜をアルカリ水溶液中に浸漬した後、水でリンスして未硬化部分を除去する。用いるアルカリ水溶液としては、アルカリ剤の濃度が0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜1重量%が好ましい。また、現像に用いるアルカリ剤としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の水溶液が好ましい。
塗膜の膜厚については、所望する色度を得られるように調整する。なぜなら、色度は膜厚にも依存するためである。
上記現像後の塗膜を、200〜300℃に加熱して硬化膜を得る。以下、本工程をポストベイク工程という。現像後の塗膜を加熱することにより、硬度に優れた硬化膜を形成することができる。硬度に優れ、耐熱性にも優れた硬化膜を得る観点から、加熱温度は200〜300℃とすることが好ましい。硬度に優れ、耐熱性にも優れた硬化膜を得る観点から、加熱時間は10〜300分間が好ましい。ポストベイク工程の前に、80〜100℃、10〜60分間の予備加熱を行ってもよい。
以下、本願の発明について実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本願の発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
尚、以下実施例中の記号は次の内容を示す。また、以下重量%をwt%と記載する。DMSO:ジメチルスルホキシド、NMP:N-メチルピロリドン、TMAH aq.:25wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、BTMA soln.:40wt%水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム メタノール溶液、EG:エチレングリコール、MeOH:メタノール。
(臭素化ジケトピロロピロールの製造)
1.ジケトピロロピロール系顔料化合物のアルカリ金属塩の生成
還流管を付けたステンレス製反応容器に、窒素雰囲気下、モレキュラシーブで脱水したtert−アミルアルコール200部、及びナトリウム−tert−アミルアルコキシド140部を加え、攪拌しながら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製した。つぎに、ガラス製フラスコに、コハク酸ジイソプロピル88部、4−ブロモベンゾニトリル153.6部を加え、攪拌しながら90℃に加熱して溶解させ、これらの混合物の溶液を調製した。この混合物の加熱溶液を、100℃に加熱した上記アルコラート溶液中に、激しく攪拌しながら、2時間かけて一定の速度でゆっくり滴下した。滴下終了後、90℃にて2時間、加熱攪拌を継続し、ジケトピロロピロール系顔料化合物のアルカリ金属塩溶液を得た。
2.赤色の懸濁液の生成
さらに、ガラス製ジャケット付き反応容器に、メタノール600部、水600部、及び酢酸114部を加え、−10℃に冷却した。この冷却した混合物を、高速攪拌ディスパーサーを用いて、直径8cmのシェアディスクを4000rpmで回転させながら、この中に、75℃まで冷却した先に得られたジケトピロロピロール系顔料化合物のアルカリ金属塩溶液を、少量ずつ添加した。この際、メタノール、酢酸、及び水からなる混合物の温度が常に−5℃以下の温度を保つように、冷却しながら、かつ、75℃のジケトピロロピロール系顔料化合物のアルカリ金属塩溶液の添加する速度を調整しながら、およそ120分にわたって少量ずつ添加した。当該アルカリ金属塩溶液添加後、赤色の結晶が析出し、赤色の懸濁液が得られた。
3.臭素化ジケトピロロピロールの分取
続いて、得られた赤色の懸濁液を5℃にて限外濾過装置で濾別し赤色ペーストを得た。このペーストを25℃の水3500部にて再分散して、洗浄し、限外濾過装置で濾別する操作を3回行った。得られたジケトピロロピロール系顔料化合物の水ペーストを、60℃にて72時間乾燥させ、粉砕することにより、顔料原体となる式(III)に示す臭素化ジケトピロロピロール(以下、「臭素化DPP」と記載)(後述のSTEM観察による一次粒子径が40〜60nmのもの)を150.8部得た。
実施例1
顔料微粒子化
(顔料溶解液の調製)
表2中の基材となる溶媒として原料1のDMSO 60wt%に原料2のTMAH aq. 28wt%、臭素化DPP 9wt%、原料4のEG 3wt%を添加し、高速回転式乳化分散機(エム・テクニック株式会社製、製品名:クレアミックス、以下、「クレアミックス」)を用いて撹拌して臭素化DPPを溶解させた。処方及び調製条件を他の実施例、及び比較例と合わせて表2に示す。
(貧溶媒の調製)
貧溶媒として、表3中の原料1の水道水 70wt%に原料2のクエン酸 20wt%及び原料4のEG 10wt%を投入し、クレアミックスを用いて混合することで、貧溶媒を調製した。処方及び調製条件を他の実施例、及び比較例と合わせて表3に示す。
(顔料微粒子の析出)
対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間にできる薄膜流体中で、均一に拡散・攪拌・混合する反応装置を用いて、調製済みの顔料溶解液と貧溶媒とを混合し、薄膜流体中で連続的に析出反応を行った。具体的には、図1に示す装置の中央(第1導入部d1)から第1流体として貧溶媒を送液し、第2導入部d2から顔料溶解液を第2流体として処理用面1、2間に導入した。第1流体と第2流体を薄膜流体中で混合し、顔料溶解液中に溶解していた顔料微粒子を析出させ、顔料微粒子分散液を処理用面1、2より吐出させた。第1流体及び第2流体の供給圧力、送液流量及び送液温度、及び処理用部10の回転数(以下、回転数と記載)、背圧力、吐出液の温度を、顔料微粒子作製条件として他の実施例、及び比較例と合わせて表4に示す。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を当該装置導入直前(より詳しくは、処理用面1、2間に導入される直前)にて測定したものであり、吐出液の温度は、処理用面1、2より吐出させた直後の顔料微粒子分散液の温度を測定したものである。また、第2導入部d2の開口部d20として、図2(B)に点線で示すように、処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状のものを用いた。
(洗浄・乾燥)
(a)処理用面1,2より吐出された顔料微粒子分散液中より顔料微粒子のみを分取するために、顔料微粒子を緩く凝集させ、濾紙を用いて減圧濾過(−0.1 MPaG)にて顔料微粒子を濾集した。
(b)得られた顔料微粒子のウェットケーキを5Lの水道水に投入し、クレアミックスを用いて6000rpm、1.5分で攪拌・洗浄し、洗浄後の液を、再度減圧濾過にて回収する操作を4回繰り返し、顔料微粒子のウェットケーキを得た。得られた顔料微粒子のウェットケーキを真空乾燥させて顔料微粒子の乾燥粉体を得た。真空乾燥は30℃、−0.10MPaGで72時間行った。
得られた顔料微粒子の乾燥粉体について、多目的X線回折装置X‘Pert Powder(パナリティカル社製)にてX線回折測定を行い、データ解析ソフト HighScorePlus Ver.3.0e(3.0.5)(パナリティカル社製)を用いて解析を行った。
さらにICP定量分析を行い、顔料微粒子に含まれるFe量の測定を行った。
顔料分散体の調製
得られた顔料微粒子の乾燥粉体を10重量部、分散剤として「BYKLPN6919」(ビックケミー社製)を固形分量にて5重量部、分散助剤としてC.I.ピグメントレッド254(以下、「R254」)のスルホン化誘導体1重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」)70重量部をペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)で撹拌混合して6時間分散処理し、臭素化DPPの顔料分散体を得た。得られた顔料分散体の粘度を測定した。また得られた顔料分散体をPGMEAで希釈し、STEM観察用の分散液とした。得られたSTEM観察用の分散液をグリッドに滴下し、STEM観察を行った。
また、色度を調整するために、C.I.ピグメントレッド177(以下、「R177」)の顔料分散体を調製した。R177の顔料分散体については、顔料として「クロモファインレッドA3B」(BASF社製)を10重量部、分散剤として「BYKLPN6919」(ビックケミー社製)を固形分量にて5重量部、分散助剤としてR177のスルホン化誘導体1重量部、溶剤としてPGMEA 70重量部の組成にて上記の臭素化DPPの顔料分散体の調製と同様の方法にて調製を行った。
感光性着色組成物の作製
臭素化DPPの顔料分散体およびR177の顔料分散体に関して、以下の作製方法で各々の感光性着色組成物を作製した。
顔料分散体50重量部、アクリル樹脂(綜研化学(株)製「ZAH−110」)6重量部、重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート4重量部、光重合開始剤として2−メチル−1−(4-メチルチオフェニル) −2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製「IRGACURE 907」)1重量部、溶剤としてPGMEA100重量部を均一になるように撹拌混合した後、1.0μmのフィルターで濾過して感光性着色組成物を得た。
硬化膜の作製
硬化膜については、以下の2種類について作製を行った。
臭素化DPPの感光性着色組成物を使用して、ポストベイク工程時に色度x=0.6500となるように色度を調整した硬化膜を作製し、粗大粒子、コントラスト、膜厚および耐熱性について評価を行った。
臭素化DPPおよびR177の感光性着色組成物を使用して、ポストベイク工程時に色度x=0.6500、y=0.3230となるように色度を調整した硬化膜を作製し、輝度について評価を行った。
1.プリベイク工程
上記で得た感光性着色組成物をガラス基板上にスピンコーターで塗布した後、80℃、3分で乾燥して塗膜を得た。得られた塗膜にフォトマスクを載せ、紫外線ファイバースポット照射装置を用いて100mJ/cm2の紫外線を照射した。さらにアルカリ性水溶液(0.04wt%の水酸化カリウム水溶液)中で振動させ、次いで純水にてリンスして未硬化部分を除去した。なお、指定色度を挟むようにスピンコーターの回転数を変更して3点の塗膜を作製し、一次相関法により指定色度の評価項目を算出できるようにした。
2.ポストベイク工程
未硬化部分を除去した塗膜を乾燥機内で80℃、30分間予備加熱処理した後、230℃、30分間本加熱処理して硬化膜を得た。
実施例2
表2に記載の顔料溶解液の処方、表3に記載の貧溶媒の処方、並びに表4に記載の顔料微粒子作製条件に変更した以外は実施例1と同様に行い、硬化膜を得た。
実施例3
表3に記載の貧溶媒の処方に変更した以外は実施例1と同様に行い、硬化膜を得た。
実施例4
表4に記載の顔料微粒子作製条件に変更した以外は実施例1と同様に行い、硬化膜を得た。
実施例5
表2に記載の顔料溶解液の処方に変更した以外は実施例1と同様に行い、硬化膜を得た。
実施例6
表2に記載の顔料溶解液の処方、並びに表3に記載の貧溶媒の処方に変更した以外は、実施例2と同様に行い、硬化膜を得た。
比較例1
顔料微粒子化を行わない比較例として、実施例1〜6で顔料原体として用いた臭素化DPPを、顔料微粒子化を行わずに実施例1と同様の方法にて顔料分散体を調製し、以降も同様にして硬化膜を得た。
比較例2
比較例2として、粉砕を用いて作製した顔料微粒子の色特性及び一次粒子径とその変化について記載する。粉砕法での顔料微粒子の作製工程は、ソルトミリング法の文献として公知の特開2013−82905号に倣って以下のように行った。
臭素化DPP 50重量部、塩化ナトリウム 550重量部、ジエチレングリコール 110重量部をニーダーに仕込み、50℃で4時間ソルトミリング法により混練し、顔料微粒子混練物を作製した。
得られた顔料微粒子混練物より不純物を除去するために、得られた顔料微粒子の混練物を5Lの水道水に投入し、クレアミックスを用いて6000rpm、15分で攪拌・洗浄し、洗浄後の液を、濾紙を用いた減圧濾過(−0.1 MPaG)にて顔料微粒子を濾集した。濾集した顔料微粒子のウェットケーキを実施例1と同様に洗浄・乾燥した。その後、実施例1と同様の方法にて顔料分散体を調製し、以降も同様にして硬化膜を得た。
比較例3
クレアミックスを用いて1700rpmで攪拌させた実施例2で調製した貧溶媒5L中にビュレットを用いて実施例2で調製した顔料溶解液350mLを35mL/min.の速度で添加し、顔料微粒子分散液を得た。顔料微粒子分散液中より顔料微粒子のみを分取するために、顔料微粒子を緩く凝集させ、濾紙を用いて減圧濾過(−0.1 MPaG)にて顔料微粒子を濾集し、濾集した顔料微粒子のウェットケーキを実施例1と同様に洗浄・乾燥した。その後、実施例1と同様の方法にて顔料分散体を調製し、以降も同様にして硬化膜を得た。
評価方法
前述した〔結晶子サイズの測定〕により、結晶子サイズの測定を行い、さらに結晶子サイズの比を算出した。また、前述の〔結晶格子面の面間隔変化率〕により、面間隔変化率を算出した。
これらの結果を表5に示す。
なお、臭素化DPPのX線回折パターンは図4に示すようにR254のものと比較してX線回折強度は異なるものの、ピーク位置は同様の場所に現れることより、臭素化DPPはR254と同じ結晶構造、結晶構造の格子面を取ると仮定して解析を行った。
前述のように、R254の結晶構造は文献(Acta.Cryst.B49,1056(1993))にてX線結晶構造解析で分析されており、結晶構造はCIFデータ形式で公開されている。この結晶構造CIFデータを使えば、計算ソフトMercuryでブラッグ角(2θ)を結晶構造の格子面に対応させることができる。
ICP定性分析によるFe量の測定は、サーモフィッシャーサイエンティフィック製 iCAP6300Duoを用いて行った。測定結果を表5に示す。
得られた顔料分散体をPGMEAで50倍から200倍に希釈し、超音波ホモジナイザー(株式会社エスエヌディ社製、超音波洗浄機US−105)で5分間処理した後、粒子像の観察を行った。この観察には、S−5200形電界放出形走査電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて加速電圧20kVの観察倍率100万倍で行い、観察画像から明瞭に識別できる粒子100個に対してその長径をSEM用画像解析ソフトウェア(OLYMPUS社製Scandium)を用い測定し、平均一次粒子径及びさらに一次粒子径の標準偏差、ならびに一次粒子径のCV値を算出した。
これらの結果及び顔料分散体の粘度を表5に示す。また、得られた硬化膜について、光学顕微鏡で500倍にて観察した際に目視で確認できる粗大粒子数及び色評価結果(コントラスト、輝度、膜厚、及び耐熱性)を表5に示す。表5に示す色評価の値は、輝度についてはx=0.6500、y=0.3230となるように調整し、コントラスト、膜厚、耐熱性についてはx=0.6500となるように調整された硬化膜に対して測定を行ったものである。
表5に示す測定結果のうち、粗大粒子数(個)については0〜19:○、20〜59:△、60以上:×、コントラストについては7000以上:○、5000〜6999:△、4999以下:×、輝度については18.90以上:○、18.80〜18.89:△、18.79以下:×、膜厚(μm)については2.400以下:○、2.401〜2.600:△、2.601以上:×、耐熱性(%)については22.9以下:○、23.0以上:×と判定し、表5に示した。
以上の測定結果について、すべての評価が○のものについては総合評価を○とした。
(1 1 1)面の結晶子サイズが140Å以下であり、かつ(1 5 −1)面の結晶子サイズが80Å以下を満たす実施例1〜6は、(1 1 1)面の結晶子サイズが140Åを超え、かつ(1 5 −1)面の結晶子サイズが80Åを超えた結晶子サイズを有する比較例1〜3と比較してコントラスト、輝度が高い結果となった。このことは結晶子サイズが小さく制御されていることによって結晶粒界の面積が小さくなり、光散乱が減少したために、得られるカラーフィルターのコントラストと輝度が向上したものと考える。また、小さい結晶子で一次粒子が構成されることで一次粒子が小さくなり、カラーフィルターの透過率が高く、光散乱が低く抑えられ、コントラストと輝度の向上に寄与したと考えられる。
(1 1 1)面と(0 2 0)面との結晶子サイズの比が0.85〜1.25の範囲であり、かつ平均一次粒子径が5〜40nmである実施例1〜6は、この範囲外の結晶子サイズの比及び平均一次粒子径を有する比較例1〜3と比較してコントラスト、輝度が高い結果となった。このことは平均一次粒子径が小さく、結晶子のアスペクト比が小さいことで、一次粒子内で結晶子が異方性の少ない並び方をしやすくなり、一次粒子が光学的に均一となり、コントラストと輝度が向上したと考える。また、球状に近い結晶子から構成される一次粒子もアスペクト比が小さく、硬化膜中で配向しにくくなり、硬化膜の異方性が減少したこともコントラストと輝度の向上に寄与したと考えられる。さらに、一次粒子のアスペクト比が小さいことで、一次粒子から形成される顔料微粒子の比表面積が小さく、粒子表面エネルギーが小さいため、粒子同士の凝集が抑制できており、従来技術では粘度が高く、経時による増粘やゲル化を引き起こす可能性のある微細な顔料であるにも関わらず本発明の臭素化DPP顔料分散体は分散安定性を担保できている。
結晶格子の(0 2 0)面の80℃と230℃における面間隔の変化率が3.0%以下である実施例1〜6は、当該面間隔の変化率が3.0%を超える比較例1〜3と比較して耐熱性が高い結果となった。このことから、実施例に示した加熱による面間隔の変化率が小さい臭素化DPPは特定の結晶子サイズ又は特定の結晶子サイズの比を有するため、結晶構造中の結晶粒界が小さく抑制され、結晶子が緻密に集合した安定な結晶構造となっており、加熱によるコントラスト低下を緩和できたものと考えられる。
上記のことから、臭素化DPPの諸物性を制御することでコントラストや輝度、耐熱性といったカラーフィルターに要求される特性を高いレベルで満たす臭素化DPP顔料微粒子を得ることが可能なことがわかる。
実施例7
顔料微粒子化
(顔料溶解液の調製)
表6中の基材となる溶媒として原料1のDMSO 65.5wt%に原料2のBTMA soln. 22.5wt%、原料3の市販の顔料原体のR254(前記のSTEM観察による一次粒子径が100〜120nmのもの)12wt%を添加し、クレアミックスを用いて撹拌してR254を溶解させた。処方及び調製条件を他の実施例、及び比較例と合わせて表6に示す。
(貧溶媒の調製)
貧溶媒として、表7中の原料1の水道水 40wt%に原料2の酢酸 20wt%および原料3のMeOH 40wt%を投入し、クレアミックスを用いて混合することで、貧溶媒を調製した処方及び調製条件を他の実施例、及び比較例と合わせて表7に示す。
(顔料微粒子の析出)
対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間にできる薄膜流体中で、均一に拡散・攪拌・混合する反応装置を用いて、調製済みの顔料溶解液と貧溶媒とを混合し、薄膜流体中で連続的に析出反応を行った。具体的には、図1に示す装置の中央(第1導入部d1)から第1流体として貧溶媒を送液し、第2導入部d2から顔料溶解液を第2流体として処理用面1、2間に導入した。第1流体と第2流体を薄膜流体中で混合し、顔料溶解液中に溶解していた顔料微粒子を析出させ、顔料微粒子分散液を処理用面1、2より吐出させた。第1流体及び第2流体の供給圧力、送液流量及び送液温度、及び処理用部10の回転数(以下、回転数と記載)、背圧力、吐出液の温度を、顔料微粒子作製条件として他の実施例、及び比較例と合わせて表8に示す。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を当該装置導入直前(より詳しくは、処理用面1、2間に導入される直前)にて測定したものであり、吐出液の温度は、処理用面1、2より吐出させた直後の顔料微粒子分散液の温度を測定したものである。また、第2導入部d2の開口部d20として、図2(B)に点線で示すように、処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状のものを用いた。
(洗浄・乾燥)
(a)処理用面1,2より吐出された顔料微粒子分散液中より顔料微粒子のみを分取するために、顔料微粒子を緩く凝集させ、濾紙を用いて減圧濾過(−0.1 MPaG)にて顔料微粒子を濾集した。
(b)得られた顔料微粒子のウェットケーキを5Lの水道水に投入し、クレアミックスを用いて6000rpm、1.5分で攪拌・洗浄し、洗浄後の液を、再度減圧濾過にて回収する操作を4回繰り返し、顔料微粒子のウェットケーキを得た。得られた顔料微粒子のウェットケーキを真空乾燥させて顔料微粒子の乾燥粉体を得た。真空乾燥は30℃、−0.10MPaGで72時間行った。
得られた顔料微粒子の乾燥粉体について、多目的X線回折装置X‘Pert Powder(パナリティカル社製)にてX線回折測定を行い、データ解析ソフト HighScorePlus Ver.3.0e(3.0.5)(パナリティカル社製)を用いて解析を行った。さらにICP定量分析を行い、顔料微粒子に含まれるFe量の測定を行った。
顔料分散体の調製
得られた顔料微粒子の乾燥粉体を10重量部、分散剤として「BYKLPN6919」(ビックケミー社製)を固形分量にて5重量部、分散助剤としてC.I.ピグメントレッド254のスルホン化誘導体1重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」)70重量部をペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)で撹拌混合して6時間分散処理し、R254の顔料分散体を得た。また得られた顔料分散体をPGMEAで希釈し、STEM観察用の分散液を得た。得られたSTEM観察用の分散液をグリッドに滴下し、STEM観察を行った。
また、色度を調整するために、先述と同様の調製方法にてR177の顔料分散体の調製を行った。
感光性着色組成物の作製
R254の顔料分散体およびR177の顔料分散体に関して、以下の作製方法で各々の感光性着色組成物を作製した。
顔料分散体50重量部、アクリル樹脂(綜研化学(株)製「ZAH−110」)6重量部、重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート4重量部、光重合開始剤として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル) −2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製「IRGACURE 907」)1重量部、溶剤としてPGMEA100重量部を均一になるように撹拌混合した後、1.0μmのフィルターで濾過して感光性着色組成物を得た。
硬化膜の作製
硬化膜については、以下の2種類について作製を行った。
R254の感光性着色組成物を使用して、ポストベイク工程時に色度x=0.6500となるように色度を調整した硬化膜を作製し、粗大粒子、コントラスト、膜厚および耐熱性について評価を行った。
R254およびR177の感光性着色組成物を使用して、ポストベイク工程時に色度x=0.6500、y=0.3230となるように色度を調整した硬化膜を作製し、輝度について評価を行った。
1.プリベイク工程
上記で得た感光性着色組成物をガラス基板上にスピンコーターで塗布した後、80℃、3分で乾燥して塗膜を得た。得られた塗膜にフォトマスクを載せ、紫外線ファイバースポット照射装置を用いて100mJ/cm2の紫外線を照射した。さらにアルカリ性水溶液(0.04wt%の水酸化カリウム水溶液)中で振動させ、次いで純水にてリンスして未硬化部分を除去した。なお、指定色度を挟むようにスピンコーターの回転数を変更して3点の塗膜を作製し、一次相関法により指定色度の評価項目を算出できるようにした。
2.ポストベイク工程
未硬化部分を除去した塗膜を乾燥機内で80℃、30分間予備加熱処理した後、230℃、30分間本加熱処理して硬化膜を得た。
実施例8
表6に記載の顔料溶解液の処方、表7に記載の貧溶媒の処方、並びに表8に記載の顔料微粒子作製条件に変更した以外は実施例7と同様に行い、硬化膜を得た。
実施例9
表6に記載の顔料溶解液の処方並びに表8に記載の顔料微粒子作製条件に変更した以外は実施例8と同様に行い、硬化膜を得た。
比較例4
顔料微粒子化を行わない比較例として、実施例7〜9で顔料原体として用いたR254を、顔料微粒子化を行わず、実施例7と同様の方法にて顔料分散体を調製し、以降も同様にして硬化膜を得た。
比較例5
表7に記載の貧溶媒の処方並びに表8に記載の顔料微粒子作製条件に変更した以外は実施例9と同様に行い、硬化膜を得た。なお、貧溶媒として水道水のみを用いたので、クレアミックスを用いて貧溶媒の調製を行わなかった。
比較例6
クレアミックスを用いて1700rpmで攪拌させた実施例8で調製した貧溶媒1.1L中にビュレットを用いて実施例8で調製した顔料溶解液350mLを35mL/min.の速度で添加し、顔料微粒子分散液を得た。顔料微粒子分散液中より顔料微粒子のみを分取するために、顔料微粒子を緩く凝集させ、濾紙を用いて減圧濾過(−0.1 MPaG)にて顔料微粒子を濾集し、濾集した顔料微粒子のウェットケーキを実施例7と同様に洗浄・乾燥した。その後、実施例7と同様の方法にて顔料分散体を調製し、以降も同様にして硬化膜を得た。
評価方法については、実施例1〜6及び比較例1〜3と同様に行い、その結果を表9に示す。なお、判定についても実施例1〜6及び比較例1〜3におけるものと同様に行った。
(1 1 1)面の結晶子サイズが140Å以下であり、かつ(1 5 −1)面の結晶子サイズが80Å以下を満たす実施例7〜9は、(1 1 1)面の結晶子サイズが140Åを超え、かつ(1 5 −1)面の結晶子サイズが80Åを超える結晶子サイズを有する比較例4〜6と比較してコントラスト、輝度が高い結果となった。このことは結晶子サイズが小さく制御されていることによって結晶粒界の面積が小さくなり、光散乱が減少したために、得られるカラーフィルターのコントラストと輝度が向上したものと考える。また、小さい結晶子で一次粒子が構成されることで一次粒子が小さくなり、カラーフィルターの透過率が高く、光散乱が低く抑えられ、コントラストと輝度の向上に寄与したと考えられる。
(1 1 1)面と(0 2 0)面との結晶子サイズの比が0.85〜1.25の範囲であり、かつ平均一次粒子径が5〜40nmである実施例7〜9は、この範囲外の結晶子サイズの比及び平均一次粒子径を有する比較例4〜6と比較してコントラスト、輝度が高い結果となった。このことは平均一次粒子径が小さく、結晶子のアスペクト比が小さいことで、一次粒子内で結晶子が異方性の少ない並び方をしやすくなり、一次粒子が光学的に均一となり、コントラストと輝度が向上したと考える。また、球状に近い結晶子から構成される一次粒子もアスペクト比が小さく、硬化膜中で配向しにくくなり、硬化膜の異方性が減少したこともコントラストと輝度の向上に寄与したと考えられる。さらに、一次粒子のアスペクト比が小さいことで、一次粒子から形成される顔料微粒子の比表面積が小さく、粒子表面エネルギーが小さいため、粒子同士の凝集が抑制できており、従来技術では粘度が高く、経時による増粘やゲル化を引き起こす可能性のある微細な顔料であるにも関わらず本発明のR254顔料分散体は分散安定性を担保できている。
結晶格子の(0 2 0)面の80℃と230℃における面間隔の変化率が3.0%以下である実施例7〜9は、当該面間隔の変化率が3.0%を超える比較例5、6と比較して耐熱性が高い結果となった。このことから、実施例に示した加熱による面間隔の変化率が小さいR254は特定の結晶子サイズ又は特定の結晶子サイズの比を有するため、結晶構造中の結晶粒界が小さく抑制され、結晶子が緻密に集合した安定な結晶構造となっており、加熱によるコントラスト低下を緩和できたものと考えられる。
以上により、ジケトピロロピロール系顔料微粒子の諸物性を制御することでコントラストや輝度、耐熱性といったカラーフィルターに要求される特性を高いレベルで満たす赤色顔料微粒子を得ることが可能であることがわかる。

Claims (19)

  1. X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち(±1 ±1 ±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズが140Å以下であり、下記一般式(I)で示される化合物を90%以上含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
    [上記一般式(I)において、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
  2. X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち(±1 ±1 ±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズが140Å以下であり、X線回折パターンにより算出される(1 5 −1)面方向の結晶子サイズが80Å以下であり、下記一般式(I)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
    [上記一般式(I)において、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
  3. X線回折パターンにより算出される(±1 ±1 ±1)の8個の結晶格子面のうちX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズを、該X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち、2θ=3〜10°における最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズで除して算出される結晶子サイズの比が、0.85〜1.25であり、かつ平均一次粒子径が5〜40nmであることを特徴とする、下記一般式(I)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
    [上記一般式(I)において、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
  4. X線回折パターンにより算出される2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが140Å以下であり、下記一般式(I)で示される化合物を90%以上含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
    [上記一般式(I)において、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
  5. X線回折パターンにより算出される2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが140Å以下であり、X線回折パターンにより算出される2θ=28.0°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズが80Å以下であることを特徴とする、下記一般式(I)で示される化合物を90%以上含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
    [上記一般式(I)において、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
  6. 平均一次粒子径が5〜40nmである請求項1、2、4又は5に記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
  7. X線回折パターンにより算出される2θ=24.5°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズを、X線回折パターンにより算出される2θ=7.4°±0.3°に対応する結晶格子面の結晶子サイズで除して算出される結晶子サイズの比が0.85〜1.25であり、かつ平均一次粒子径が5〜40nmであることを特徴とする、下記一般式(I)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
    [上記一般式(I)において、X及びXは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
  8. X線回折パターンにより算出される2θ=3〜10°における最大ピークに対応する結晶格子面の面間隔の、80℃における値と230℃における値の変化率(下記特定式による)が3.0%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
    80℃における値と230℃における値の変化率=
    {(230℃における面間隔)/(80℃における面間隔)×100}−100(%)[特定式]
  9. X線回折パターンにより算出される2θ=7.4°±0.3°に対応する結晶格子面の面間隔の、80℃における値と230℃における値の変化率(下記特定式による)が3.0%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
    80℃における値と230℃における値の変化率=
    {(230℃における面間隔)/(80℃における面間隔)×100}−100(%)[特定式]
  10. 一次粒子径の標準偏差が7.0未満であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
  11. 一次粒子径の変動係数(CV値)が30未満であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
  12. Feの含有量が35ppm以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
  13. 上記一般式(I)が、下記一般式(II)で示されることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
    [上記一般式(II)において、Rが、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、−CF、置換基を有してもよい飽和もしくは不飽和のアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。]
  14. Rが臭素である下記式(III)で示されることを特徴とする請求項13記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子。
  15. X線回折パターンにより算出される結晶格子面のうち(±1 ±1 ±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズが140Å以下であり、下記式(III)で示される化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料微粒子。
  16. 有機顔料と有機溶媒とを少なくとも含有する顔料分散体であって、該有機顔料が、請求項1〜15のいずれかに記載のジケトピロロピロール系顔料微粒子であることを特徴とする顔料分散体。
  17. 請求項1〜15のいずれかに記載の顔料微粒子を少なくとも含有する感光性着色組成物。
  18. 請求項17に記載の感光性着色組成物を少なくとも含有するカラーフィルター。
  19. 請求項1〜15のいずれかに記載の顔料微粒子を少なくとも含有するカラーフィルター。
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