JP2020097703A - 反応性接着剤、積層フィルム、及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせた積層体用の接着剤として適用でき、高速塗工条件であっても、高い接着性とラミネート加工後の優れた外観を有する積層フィルムを得ることのできる反応性接着剤を提供する。【解決手段】ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤であって、反応性接着剤全固形分に対しアラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサンを0.002〜1質量%含有する2液型接着剤、及び、第一のプラスチックフィルムと第二のプラスチックフィルムの間に接着剤層を積層してなる積層フィルムであって、前記接着剤層が前記記載の反応性接着剤の層である積層フィルム、包装体。【選択図】なし

Description

本発明は反応性接着剤、それを使用してなる積層フィルム及び包装体に関する。
従来より、各種プラスチックフィルム同士の貼り合わせや、プラスチックフィルムと金属蒸着フィルムや金属箔とを積層(ラミネート)させた積層体が、様々な用途、例えば食品や医薬品、生活用品の包装材料や、防壁材、屋根材、太陽電池パネル材、電池用包装材、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材、看板、ステッカー等の屋外産業用途、射出成形同時加飾方法等に使用する加飾用途等で使用されている。
これらの積層体は、各々用途での要求特性に応じて、各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせ、その要求特性に応じた接着剤が選択される。例えば食品や生活用品であれば、様々な流通、冷蔵等の保存や加熱殺菌などの処理等から内容物を保護するため、強度や割れにくさ、耐レトルト性、耐熱性、耐内容物性といった機能が要求される。
更にこれらの積層体はシート状で流通することは少なく、例えば端をヒートシールした袋状としたり、あるいは熱成形用により成形加工を施される場合もあり、ヒートシール性や成型加工性を要求される場合もある。
このようなラミネートに使用する接着剤として、従来より、水酸基とイソシアネートとを反応させる反応型接着剤(2液硬化型接着剤ともいう)が知られている。
例えば食品用途では、2個の水酸基を有するジオール化合物(A)と、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(B)とを含有してなる接着剤において、前記ジオール化合物(A)の数平均分子量(Mn)が400〜3000の範囲であり、前記ポリイソシアネート(B)が、3価以上のポリイソシアネート化合物(b1)と、ポリエステルジオールにイソシアネート化合物を付加させて得られるジイソシアネート化合物(b2)との混合物である接着剤が知られている。(例えば特許文献1参照)
これら反応性接着剤は、各種用途に応じた特性を要求されるほか、近年は生産性の観点からグラビアコーターを使用することが行われており、例えば200m/分以上での塗工速度であっても、外観不良等の生じない積層フィルムを得ることが求められる。しかしながらこのような高速塗工(高速加工ともいう)条件下では、有機溶剤を使用しない無溶剤型の反応性接着剤はもとより、有機溶剤を用いて粘度調整のできるドライラミネート型の反応性接着剤においても、基材によってはゆず肌状、カスレ状、スジ状、気泡状の外観不良が生じやすいという問題があった。
特開2014−101422号公報 特開2010−264677号公報
本発明が解決しようとする課題は、各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせた積層体用の接着剤として適用でき、高速塗工条件であっても、高い接着性とラミネート加工後の優れた外観を有する積層フィルムを得ることのできる反応性接着剤を提供することにある。
本発明者らは、アラルキル基を有するシロキサン化合物を特定量添加することで、上記課題を解決した。
プラスチック基材とシーラント層との間に用いるラミネート用の接着剤として、85重量%以上の2官能以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と、0.01〜0.5重量%のポリジメチルシロキサン化合物からなる接着剤は特許文献2に開示されている。しかしながら特許文献2の課題は、優れた初期ラミネート強度を有しラミネート強度が低下せず、しかもこれらの優れた特性が極薄の接着層でも発揮できることであり、本願の外観不良についてはなんら評価されていなかった。
即ち本発明は、ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤であって、反応性接着剤全固形分に対しアラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサンを0.001〜1質量%含有する2液型接着剤を提供する。
また本発明は、第一のプラスチックフィルムと第二のプラスチックフィルムの間に接着剤層を積層してなる積層フィルムであって、前記接着剤層が前記いずれかに記載の反応性接着剤の層である積層フィルムを提供する。
また本発明は、第一のプラスチックフィルム、印刷層、接着剤層、第二のプラスチックフィルムをこの順に積層してなる積層フィルムであって、前記接着剤層が請求項1〜3のいずれかに記載の反応性接着剤の層である積層フィルムを提供する。
また本発明は、前記記載の積層フィルムを袋状に成形してなる包装体を提供する。
また本発明は、第一のプラスチックフィルムと第二のプラスチックフィルムの間に接着剤層を積層してなる積層フィルムであって、前記接着剤層が前記記載の反応性接着剤の層である積層フィルムを提供する。
また本発明は、前記記載の積層フィルムを袋状に成形してなる包装体を提供する。
本発明の反応性接着剤は、各種あるプラスチックフィルム、金属蒸着フィルムあるいは金属箔を適宜組み合わせた積層体用の接着剤として適用でき、高速塗工条件であっても、高い接着性とラミネート加工後の優れた外観を有する積層フィルムを得ることができる。さらに耐熱性と耐内容物性にも優れるため、特に食品包装袋やサニタリー用詰め替え袋として好適に使用することができる。
特に本発明の反応性接着剤は、該反応性接着剤を第一のプラスチックフィルムに塗布、次いで塗布面に第二のプラスチックフィルムを積層し、該接着剤層を硬化させて得る場合に、前記第二のプラスチックフィルムとして汎用のCPP(無延伸ポリプロピレン)、VMCPP(アルミ蒸着無延伸ポリプロピレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、VMLDPE(アルミ蒸着低密度ポリエチレン)等のシーラントフィルムや、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)といったフィルムに特に濡れ性が高いことから、これらのフィルムを使用した積層フィルムの製造に特に好ましく使用できる。
本発明の反応性接着剤は、ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤であって、反応性接着剤全固形分に対しアラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサンを0.002〜1質量%含有することを特徴とする。
(アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン)
本発明で使用するアラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサンとは、シロキサン結合が直鎖状に連結した鎖状構造を有し、該鎖状構造中のSi基にアラルキル基がペンダントした構造を有する化合物を示す。具体的には一般式(1)で表される化合物である。分子量は数平均分子量に換算に500〜20000であることが好ましく、2000〜10000であることがなお好ましい。
Figure 2020097703
一般式(1)中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、Rはアラルキル基を表し、x及びyは各々独立して1以上の整数を表す。またxあるいはyが各々独立して2以上の場合、複数存在するxあるいはyは同一の基であっても異なる基であってもよい。なお
一般式(1)中、Rで表されるアルキル基の炭素原子数は、xが2以上の場合、炭素原子数1〜6のアルキル基と、炭素原子数6〜10のアルキル基とが混在していることが好ましい。なかでも炭素原子数1〜2のアルキル基と、炭素原子数8〜10のアルキル基とが混在することが好ましい。
また、Rで表されるアラルキル基としては、アリール部分の炭素原子数が6〜20であって、アルキル部分の炭素原子数が1〜10である基を挙げることができる。アリール部分の炭素原子数は6〜14であることがより好ましく、6〜10であることがさらに好ましい。Rで表されるアラルキル基として、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等が挙げられる。中でもフェニルプロピル基が好ましい。
前記アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサンは、本発明の反応性接着剤の全固形分に対し0.002〜1質量%含有することが好ましい。より好ましくは0.005〜0.1質量%の範囲である。
本発明の反応性接着剤において、前記アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサンは、炭素原子数6以上のアルキル側鎖を有する多価アルコールあるいは多塩基酸を組み合わせて使用することが好ましい。
炭素原子数6以上のアルキル側鎖を有する多価アルコールあるいは多塩基酸としては、例えばダイマージオール、ひまし油、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、ダイマー酸等が挙げられる。
ここで、ダイマー酸とはオレイン酸、リノール酸などの炭素原子数18の不飽和脂肪酸のディールスアルダー型2量化反応による生成物であり、不飽和結合に水素を添加し飽和させたものなど種々のものが市販されている。代表的なものは、炭素原子数18のモノカルボン酸0〜5重量%、炭素原子数36のダイマー酸70〜98%および炭素原子数54のトリマー酸0〜30重量%からなるものである。また、ダイマージオールとは上記で説明したダイマー酸を還元させて得られるものである。
前記炭素原子数6以上のアルキル側鎖を有する多価アルコールあるいは多塩基酸は、ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)との硬化塗膜中の0.1〜30.0%重量%の割合で使用するのが好ましく、より好ましくは0.2〜20.0重量%である。
前記炭素原子数6以上のアルキル側鎖を有する多価アルコールあるいは多塩基酸を反応性接着剤のポリオール組成物(A)の反応原料として使用するのであれば、ポリオール組成物(A)固形分中0.1〜35.0重量%の割合で使用するのが好ましく、より好ましくは0.2〜25.0重量%である。
また、前記炭素原子数6以上のアルキル側鎖を有する多価アルコールあるいは多塩基酸を反応性接着剤のポリオール組成物(A)の混合原料として使用するのであれば、ポリオール組成物(A)固形分中0.1〜5.0重量%の割合で使用するのが好ましく、より好ましくは0.2〜3.0重量%である。
(その他の原料 ポリオール組成物(A))
本発明において反応性接着剤は、前記アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサンを添加する以外は特に限定なく、水酸基とイソシアネートとを反応させる反応型接着剤に一般に使用される公知のポリオールやポリイソシアネートを適宜使用することができる。
例えばポリオール組成物(A)としては、公知の多価アルコールやポリオールと称されるものを使用することができる。具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエーテル(ポリウレタン)ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシルアルカン、ひまし油又はそれらの混合物から選ばれるポリマーポリオールを挙げることができる。中でも、ポリエステルポリオールが好ましい。
(ポリオール組成物(A))
本発明において使用するポリオール組成物(A)は、主成分としてポリオール化合物を含有する組成物である。ポリオール化合物は単独で使用しても複数を混合して使用することもできる。
具体的には例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のグリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール;
前記グリコール、3官能又は4官能の脂肪族アルコール等の重合開始剤の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のアルキレンオキシドを付加重合したポリエーテルポリオール;該ポリエーテルポリオールを更に前記芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートで高分子量化したポリエーテルウレタンポリオール;
プロピオラクトン、ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、β−メチル−σ−バレロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステルと前記グリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとの反応物であるポリエステルポリオール(1);前記グリコール、ダイマージオール、又は前記ビスフェノール等の2官能型ポリオールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(2);前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(3);2官能型ポリオールと、前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(4);ジメチロールプロピオン酸、ヒマシ油脂肪酸等のヒドロキシル酸の重合体である、ポリエステルポリオール(5);
前記ポリエステルポリオール(1)〜(5)と前記ポリエーテルポリオールと芳香族若しくは脂肪族ポリイソシアネートとを反応させて得られるポリエステルポリエーテルポリオール;前記ポリエステルポリオール(1)〜(5)を芳香族若しくは脂肪族ポリイソシアネートで高分子量化して得られるポリエステルポリウレタンポリオール;ポリエステルポリオール(1)〜(5)とポリエーテルポリオールとの混合物;ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヒマシ油の水素添加物であるヒマシ硬化油、ヒマシ油のアルキレンオキサイド5〜50モル付加体等のヒマシ油系ポリオール等が挙げられる。使用するポリオールの重量平均分子量(Mw)は400〜100000が好ましい。
ここで、多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;及びこれら脂肪族又は芳香族ジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体、ダイマー酸等の多塩基酸類が挙げられる。
(ポリイソシアネート組成物(B)
本発明で使用するポリイソシアネート組成物(B)は、主成分としてポリイソシアネート化合物を含有する組成物である。本発明で使用するポリイソシアネート化合物は、特に限定なく公知のものが使用でき、単独で使用しても複数を混合して使用することもできる。
例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の分子構造内に芳香族構造を持つポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミドで変性した化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の分子構造内に脂環式構造を持つポリイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の直鎖状脂肪族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミドで変性した化合物;
前記各種のポリイソシアネートのイソシアヌレート体;前記各種のポリイソシアネートに由来するアロファネート体;前記各種のポリイソシアネートに由来するビゥレット体;前記各種のポリイソシアネートをトリメチロールプロパン変性したアダクト体;前記各種のポリイソシアネートとポリオール成分との反応生成物であるポリイソシアネートなどが挙げられる。
ここで、前記したポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応割合は、イソシアネート基と水酸基との当量比[イソシアネート基/水酸基]が0.5〜6.0の範囲であることが、接着剤塗膜の凝集力と柔軟性のバランスの点から好ましい。
前記分子構造内に脂環式構造又は芳香族構造を持つポリイソシアネートと反応させるポリオール化合物としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の鎖状脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール;
ダイマージオール;前記グリコール、3官能又は4官能の脂肪族アルコール等の重合開始剤の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のアルキレンオキシドを付加重合したポリエーテルポリオール;
プロピオラクトン、ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、β−メチル−σ−バレロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステルと、前記グリコール又は3官能若しくは4官能の脂肪族アルコールとの反応物であるポリエステルポリオール(1);
前記鎖状脂肪族グリコール、脂環式グリコール、ダイマージオール、ビスフェノール又は前記ポリエーテルポリオール等のポリオールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(2);
前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(3);
2官能型ポリオールと、前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(4);
ジメチロールプロピオン酸、ヒマシ油脂肪酸等のヒドロキシル酸の重合体である、ポリエステルポリオール(5);
前記ポリエステルポリオール(1)、(2)、(3)、(4)、(5)とポリエーテルポリオールとの混合物;
ヒマシ油、ヒマシ油の水素添加物であるヒマシ硬化油、ヒマシ油のアルキレンオキサイド5〜50モル付加体等のヒマシ油系ポリオール等が挙げられる。
ここで、前記ポリエステルポリオール(2)、(3)、(4)又は(5)の製造に用いられる多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の非環状脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸;これら脂肪族又は芳香族ジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体、ダイマー酸等の多塩基酸類が挙げられる。
前記分子構造内に芳香族構造を持つポリイソシアネートやこれらのポリイソシアネートのNCO基の一部をカルボジイミドで変性した化合物や前記分子構造内に脂環式構造を持つポリイソシアネートや前記直鎖状脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート体やアロファネート体やビゥレット体やトリメチロールプロパン変性したアダクト体が好ましく、トリレンジイソシアネートのアダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体、アロファネート体、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体、アロファネート体、キシリレンジイソシアネートのアダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体、アロファネート体、又はイソホロンジイソシアネートのアダクト体、イソシアヌレート体、ビウレット体、アロファネート体を使用することが好ましい。
(溶剤)
本発明で使用する反応性接着剤は、イソシアネート基と水酸基との化学反応によって硬化する接着剤であり、溶剤型または無溶剤型の接着剤として使用することができる。なお本発明でいう無溶剤型の接着剤の「溶剤」とは、本発明で使用するポリイソシアネート化合物やポリオール化合物を溶解することの可能な、溶解性の高い有機溶剤を指し、「無溶剤」とは、これらの溶解性の高い有機溶剤を含まないことを指す。溶解性の高い有機溶剤とは、具体的には、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。中でもトルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチルは特に溶解性の高い有機溶剤として知られている。
本発明で使用する反応性接着剤において、前記ポリイソシアネート組成物(B)と前記ポリオール組成物(A)との配合割合は、前記ポリイソシアネート組成物(B)が含有する前記ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基と、前記ポリオール組成物(A)が含有する前記ポリオール化合物中の水酸基との当量比〔イソシアネート基/水酸基〕が0.5〜6.0の範囲であることが、接着強度やヒートシール時の耐熱性に優れる点から好ましく、特に1.0〜4.0の範囲であることがこれらの性能が顕著なものとなる点から好ましい。
(触媒)
本発明では触媒を使用することにより、硬化反応を促進することができる。
本発明で使用する触媒は、ウレタン化反応を促進するためのものであれば特に制限はないが、例えば、金属系触媒、アミン系触媒、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、脂肪族環状アミド化合物、チタンキレート錯体等の触媒を用いることができる。
金属系触媒としては、金属錯体系、無機金属系、有機金属系を挙げることができ、金属錯体系として具体的には、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Zr(ジルコニウム)、Th(トリウム)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)及びCo(コバルト)からなる群より選ばれる金属のアセチルアセトナート塩であり、例えば、鉄アセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、ジルコニアアセチルアセトネート等が挙げられるが、これらのうち、毒性と触媒活性の点から、鉄アセチルアセトネート(Fe(acac))又はマンガンアセチルアセトネート(Mn(acac))が好ましい。
無機金属系触媒としては、Sn、Fe、Mn、Cu、Zr、Th、Ti、Al及びCo等から選ばれる触媒を挙げることができる。
有機金属系触媒としては、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等が挙げられる。これらのうち好ましい化合物としては有機錫触媒であり、更に好ましくはスタナスジオクトエート、ジブチル錫ジラウレートである。
第3級アミン触媒は、上記構造を有する化合物であれば良く特に限定されないが、例えば、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンジアミン、キヌクリジン、2−メチルキヌクリジン等が挙げられる。これらの中でも、触媒活性に優れ工業的に入手可能なことからトリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンジアミンが好ましい。
その他の第3級アミン触媒としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3−キヌクリジノール、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール等が挙げられる。
脂肪族環状アミド化合物は、例えば、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−エナントールラクタム、η−カプリルラクタム、β−プロピオラクタム等が挙げられる。
チタンキレート錯体は、紫外線照射により触媒活性が高められる化合物であり、脂肪族又は芳香族ジケトンをリガンドとするチタンキレート錯体であることが硬化促進効果に優れる点から好ましい。又、本発明ではリガンドとして芳香族又は脂肪族ジケトンに加え、炭素原子数2〜10のアルコールを持つものがより本発明の効果が顕著なものとなる点から好ましい。
本発明においては、前記触媒を単独でも併用して使用してもよい。

前記触媒の質量比は、ポリイソシアネート組成物(B)とポリオール組成物(A)の混合液を100部としたとき0.001〜3部の範囲が好ましく、0.01〜2部の範囲がより好ましい。
本発明の反応性接着剤は、必要に応じて、顔料を併用してもよい。この場合使用可能な顔料としては、特に限定されるものではなく、例えば、塗料原料便覧1970年度版(日本塗料工業会編)に記載されている体質顔料、白顔料、黒顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、緑色顔料、青顔料、金属粉顔料、発光顔料、真珠色顔料等の有機顔料や無機顔料、さらにはプラスチック顔料などが挙げられる。これら着色剤の具体例としては種々のものが掲げられ、有機顔料としては、例えば、ベンチジンエロー、ハンザエロー、レーキッド4R等の、各種の不溶性アゾ顔料;レーキッドC、カーミン6B、ボルドー10等の溶性アゾ顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の各種(銅)フタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の各種の塩素性染め付けレーキ;キノリンレーキ、ファストスカイブルー等の各種の媒染染料系顔料;アンスラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料等の各種の建染染料系顔料;シンカシアレッドB等の各種のキナクリドン系顔料;ヂオキサジンバイオレット等の各種のヂオキサジン系顔料;クロモフタール等の各種の縮合アゾ顔料;アニリンブラックなどが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、黄鉛、ジンククロメート、モリブデートオレンジ等の如き、各種のクロム酸塩;紺青等の各種のフェロシアン化合物;酸化チタン、亜鉛華、マピコエロー、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロームグリーン、酸化ジルコニウム等の各種の金属酸化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化水銀等の各種の硫化物ないしはセレン化物;硫酸バリウム、硫酸鉛等の各種の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、群青等の各種のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種の炭酸塩;コバルトバイオレット、マンガン紫等の各種の燐酸塩;アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、ブロンズ粉、真鍮粉等の各種の金属粉末顔料;これら金属のフレーク顔料、マイカ・フレーク顔料;金属酸化物を被覆した形のマイカ・フレーク顔料、雲母状酸化鉄顔料等のメタリック顔料やパール顔料;黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、沈降性硫酸バリウム、ご粉、沈降炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、寒水石、アルミナ白、シリカ、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、タルク、沈降性炭酸マグネシウム、ベントナイト、クレー、カオリン、黄土などが挙げられる。
さらに、プラスチック顔料としては、例えば、DIC(株)製「グランドールPP−1000」、「PP−2000S」等が挙げられる。
本発明で用いる顔料としては、耐久性、耐侯性、意匠性に優れることから、白色顔料としての酸化チタン、亜鉛華等の無機酸化物、黒色顔料としてのカーボンブラックがより好ましい。
本発明で用いる顔料の質量割合は、イソシアネート成分Bとポリオール成分Aの合計100質量部に対して、1〜400質量部、中でも10〜300質量部とすることが、接着性、耐ブロッキング性などに優れることからより好ましい。
(接着促進剤)
また、本発明で使用する反応性接着剤には、接着促進剤を併用することもできる。接着促進剤にはシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ヘキサメチルジシラザン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
チタネート系カップリング剤としては、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテート、テトラオクチレングリコールチタネート、チタンラクテート、テトラステアロキシチタン等を挙げることが出来る。
また、アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げることが出来る。
エポキシ樹脂としては、一般的に市販されているエピービス型、ノボラック型、βーメチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、ポリグリコールエーテル型、グリコールエーテル型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型等の各種エポキシ樹脂や、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等の化合物等が挙げられる。
(その他の添加剤)
本発明で使用する反応性接着剤には、必要であれば、前記以外のその他の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、レベリング剤、コロイド状シリカやアルミナゾルなどの無機微粒子、ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子、消泡剤、タレ性防止剤、湿潤分散剤、粘性調整剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、難燃剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防錆剤、蛍光性増白剤、無機系熱線吸収剤、防炎剤、帯電防止剤、脱水剤、公知慣用の熱可塑性エラストマー、粘着付与剤、燐酸化合物、メラミン樹脂、又は反応性エラストマーを用いることができる。これらの添加剤の含有量は、本発明で使用する反応性接着剤の機能を損なわない範囲内で適宜調整して用いることができる。
これらの接着促進剤、添加剤は、ポリイソシアネート組成物(B)又はポリオール組成物(A)のどちらか一方の成分に混合させるか、或いは、第3成分として塗布時に配合して使用することができる。通常は、ポリオール組成物(A)に、ポリイソシアネート組成物(B)以外の成分をあらかじめ配合したプレミックスを調製しておき、塗工直前に、該プレミックスとポリイソシアネート組成物(B)とを混合して調製する。
(積層フィルム)
本発明の積層フィルムは、第一のプラスチックフィルムと第二のプラスチックフィルムの間に前記反応性接着剤からなる接着剤層を積層してなる。具体的には、前記反応性接着剤を第一のプラスチックフィルムに塗布、次いで塗布面に第二のプラスチックフィルムを積層し、該接着剤層を硬化させて得られるものである。公知であればいずれの方法で塗工されても差し支えないが、一般的にはグラビアロール塗工方式で塗布される。本接着剤の塗布量は固形分で1.0〜5.0g/m、好ましくは1.5〜4.0g/mの塗工条件で使用される。
また、前記第一のプラスチックフィルム上に、印刷インキをグラビア、フレキソ、又はオフセット印刷したものを用いてもよく、この場合であっても良好なラミネート外観を呈することができる。前述の印刷インキは溶剤型、水性型又は活性エネルギー線硬化型インキを使用することがきる。
本発明で使用する反応性接着剤を用いた場合、ラミネートした後、常温または加温下で、12〜120時間で接着剤が硬化し、実用物性を発現する。
ここで用いる、第一のプラスチックフィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ナイロンフィルム、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルム、ポリ塩化ビニリデン等のKコートフィルム、各種蒸着フィルム等のベースフィルムやアルミ箔等が挙げられ、第二のプラスチックフィルムとしては、前記他の基材としては、CPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム、VMCPP(アルミ蒸着無延伸ポリプロピレン)フィルム、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)フィルム、LDPE(低密度ポリエチレン)フィルム、HDPE(高密度ポリエチレン)フィルム、VMLDPE(アルミ蒸着無低密度ポリエチレン)フィルム等のシーラントフィルムが挙げられる。
(包装体)
本発明の包装体は、前記積層フィルムを袋状に成形してなり、具体的には前記積層フィルムをヒートシールすることにより包装体の形態となる。また、包装体としての用途、必要な性能(易引裂性やハンドカット性)、包装体として要求される剛性や耐久性(例えば、耐衝撃性や耐ピンホール性など)などを考慮した場合、必要に応じて他の層を積層することもできる。通常は基材層、紙層、第2のシーラント層、不織布層などを伴って使用される。他の層を積層する方法としては、公知の方法を用いることができる。たとえば、他の層との層間に接着剤層を設けてドライラミネート法、熱ラミネート法、ヒートシール法、押出しラミネート法などにより積層すればよい。接着剤としては、前記反応性接着剤を使用してもよいし、他の1液タイプのウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、酸変性ポリオレフィンの水性分散体などを用いてもよい。
具体的な積層体構成としては、一般の包装体や蓋材、詰め替え容器などに好適に用いることが可能な、第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチック層、第一のプラスチックフィルム層をバリア層にした、基材層/接着層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチック層などが挙げられる。これら積層体は、必要に応じて、印刷層やトップコート層などを有していても構わない。
第一のプラスチックフィルム層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂フィルム;ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)などのポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体などが用いられる。なかでも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。特に、これらの中で二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましく用いられる。
また、第一のプラスチックフィルム層は、バリア機能を付与するためにアルミニウム箔などの軟質金属箔の他、アルミ蒸着、シリカ蒸着、アルミナ蒸着、シリカアルミナ2元蒸着などの蒸着層;塩化ビニリデン系樹脂、変性ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、MXDナイロンなどからなる有機バリア層などを採用できる。
第二のプラスチックフィルム層としては、従来から知られたシーラント樹脂を使用できる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、VMCPP(アルミ蒸着無延伸ポリプロピレン)、VMLDPE(アルミ蒸着低密度ポリエチレン)、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのポリオレフィン樹脂などがあげられる。なかでも低温シール性の観点からポリエチレン系樹脂が好ましく、安価であることからポリエチレンが特に好ましい。
紙層としては、天然紙や合成紙などが挙げられる。第1および第2のシーラント層は、上述のシーラント層と同様の材料で形成することができる。基材層および紙層の外表面または内面側には、必要に応じて印刷層を設けてもよい。
「他の層」は、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。また「他の層」は、その他の材料と積層する場合の密着性を向上させるために、前処理としてフィルムの表面をコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などしたものであってもよい。
本発明の包装体の態様としては、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、ピロー包装袋、ゲーベルトップ型の有底容器、テトラクラッシク、ブリュックタイプ、チューブ容器、紙カップ、蓋材、など種々ある。また、本発明の包装体に易開封処理や再封性手段を適宜設けてあってもよい。
以下に、本発明の内容及び効果を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。尚、例中「部」とあるのは「質量部」を示す。
また、「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを利用し、標準ポリスチレンの検量線を使用して算出した。
(ポリオール(A−1)の製造方法)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、イソフタル酸 387.7部、アジピン酸92.3部、ダイマ−酸56.0部、エチレングリコール92.6部、ネオペンチルグリコール119.4部、1,6−ヘキサンジオール72.0部、酢酸亜鉛0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々加熱して内温を240℃に保持した。酸価が5mgKOH/gになったところで10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリオールを得た。これを酢酸エチルで希釈して不揮発分50%のポリオール(A−1)を得た。
(ポリオール(A−2)の製造方法)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、イソフタル酸 394.2部、アジピン酸135.0部、エチレングリコール96.8部、ネオペンチルグリコール95.1部、1,6−ヘキサンジオール45.0部、ジエチレングリコ−ル70.0部 酢酸亜鉛0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々加熱して内温を240℃に保持した。酸価が5mgKOH/gになったところで10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリオールを得た。これを酢酸エチルで希釈して不揮発分50%のポリオール(A−2)を得た。
(ポリオール(A−3)の製造方法)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、イソフタル酸35.2部、アジピン酸20.9部、エチレングリコール8.5部、ネオペンチルグリコール15.7部、1,6−ヘキサンジオール11.3部、ダイマー酸(築野食品工業株式会社製 製品名ツノダイム216)8.4部、テトライソプロポキシチタン 0.01部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々加熱して内温を240℃に保持した。酸価が5mgKOH/gになったところで10mmHg以下に減圧し、1時間保持して中間体ポリオールを得た。得られた中間体ポリオール100部に対し、イソホロンジイソシアネート2.1部を加え120℃に加熱して遊離のNCO基が実質的になくなるまでウレタン化反応を行い、酢酸エチルで希釈して不揮発分50%のポリオール(A−3)を得た。
(シロキサン化合物)
シロキサン(D1):フェニルプロピル基を有するアラルキル変性ジメチルシロキサンを使用した。
シロキサン(D2):ポリエステル変性ポリメチルアルキルシロキサン(製品名 BYK−320 ビックケミー(株)製)を使用した。
シロキサン(D3):ポリエステル変性ポリメチルアルキルシロキサン(製品名 BYK−325 ビックケミー(株)製)を使用した。
(イソシアネート組成物(B−1))
TDI・TMPアダクト体の酢酸エチル溶液(コロネートL、東ソー(株)製)を使用した。
(実施例1)
ポリオール(A−1)を600部、イソシアネート組成物(B−1)を100部、シロキサン(D1)を0.10部(固形分比0.02%)及び酢酸エチルを575部配合し、反応性接着剤を調整した。
(実施例2)
ポリオール(A−1)を600部、イソシアネート組成物(B−1)を100部、シロキサン(D1)を1.00部(固形分比0.2%)及び酢酸エチルを575部配合し、反応性接着剤を調整した。
(実施例3)
ポリオール(A−2)を600部、イソシアネート組成物(B−1)を100部、シロキサン(D1)を0.10部(固形分比0.02%)及び酢酸エチルを575部配合し、反応性接着剤を調整した。
(実施例4)
ポリオール(A−3)を500部、イソシアネート組成物(B−1)を50部、シロキサン(D1)を0.10部(固形分比0.02%)及び酢酸エチルを600部配合し、反応性接着剤を調整した。
(比較例1)
ポリオール(A−1)を600部、イソシアネート組成物(B−1)を100部、酢酸エチルを575部配合し、反応性接着剤を調整した。
(比較例2)
ポリオール(A−1)を600部、イソシアネート組成物(B−1)を100部、シロキサン(D1)を0.005部(固形分比0.001%)、酢酸エチルを575部配合し、反応性接着剤を調整した。
(比較例3)
ポリオール(A−1)を600部、イソシアネート組成物(B−1)を100部、シロキサン(D2)をそれぞれ0.1部(固形分比0.02%)、酢酸エチルを575部配合し、反応性接着剤を調整した。
(比較例4)
ポリオール(A−1)を600部、イソシアネート組成物(B−1)を100部、シロキサン(D3)をそれぞれ0.1部(固形分比0.02%)、酢酸エチルを575部配合し、反応性接着剤を調整した。
<評価方法>
<消泡性>(テーブル評価)
実施例及び比較例の接着剤について、ザーンカップ#15(14〜16秒)となるように酢酸エチルで粘度を調整した。調整後の接着剤40mlを容量70mlの密閉出来る瓶に入れ、比較するサンプルを一度に同一条件で攪拌し、(毎秒約3回で約10秒(合計30回)攪拌、その直後から2分までの泡の消え方を評価した。
評価◎ 30秒経過以内に泡が完全消滅する。
評価○ 1分経過以内に泡が完全消滅する。
評価△ 2分経過時までに泡が殆ど目立たなくなる。
評価× 2分経過時でも殆ど泡が消えない。
<はじき>(テーブル評価)
実施例及び比較例の接着剤について、ザーンカップ#15(14〜16秒)となるよう酢酸エチルで粘度を調整した。調整後の接着剤をアルミ蒸着フィルムに、塗布量が不揮発分で3.0g/mになるように塗工した。該塗布面を熱風乾燥後、塗工外観を目視にて確認した。
評価◎ はじきが全く見られず、表面も完全に平滑である。
評価○ はじきは見られないが、塗工面に若干の凹凸が見られる。
評価△ 塗工面の一部にはじきが見られる。
評価× 全面で液を弾いており、フィルムが露出している。
<濁り>(テーブル評価)
実施例及び比較例の接着剤について、ザーンカップ#15(14〜16秒)となるように酢酸エチルで調整した。調整後の接着剤40mlを容量70mlの密閉出来る瓶に入れ、完全溶解するまで攪拌し、静止状態で泡を全て抜いた後、目視で濁りを観察した。
評価○ 完全に透明に見える。
評価△ 若干くぐもって見える(微白濁)。
評価× 白濁し不透明。
<実機評価>
実施例及び比較例の接着剤について、ザーンカップ#3(14〜16秒)となるように酢酸エチルで調整した。実生産機サイズのドライラミネーター(富士機械(株)製)にチャンバードクターを装着し、実施例及び比較例の接着剤を使用し積層フィルムを作成、目視評価により、レベリング性と外観異常評価を行った。
接着剤の塗布量:固形分換算で2.8(g/m)である。
ラミネーターのラインスピード:150m/minである。
積層フィルムの構成:PET/接着剤/VMPET/接着剤/LLDPE
PET:エスペットE−5102(東洋紡(株)製のポリエチレンテレフタレートフィルム)
VMPET:1310(東レフィルム加工(株)製のアルミ蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルム)
LLDPE:T.U.X−FCD100(三井化学東セロ(株)製の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム)
<レベリング性>
評価◎ 拡大しても凹凸が全く見られずに完全に平滑である。
評価○ 通常の目視では凹凸が判らない程度に平滑である。
評価△ 若干の凹凸が確認できる。
評価× 全体がざらついている。
<外観異常評価>
評価◎:気泡状外観不良がなく均一な塗工面である。
評価○:気泡状の外観不良が一部確認される。
評価△:気泡状の外観不良が全体に確認される。
評価×:気泡状の外観不良が全体に多数確認される。
結果を表1、表2に示す。
Figure 2020097703
Figure 2020097703

表中、空欄は未配合を表す。
この結果、シロキサン(D1)を使用した実施例は、全ての評価項目において良好であった。一方、シロキサン化合物そのものを使用しない比較例1は、消泡性にも劣った。シロキサン(D1)を使用したがその添加量が本発明の範囲外である比較例2はレベリング性に劣り外観異常を生じた。アラルキル基を有しないシロキサン化合物を使用した比較例3,4は、レベリング性に劣り外観異常を生じた。

Claims (6)

  1. ポリオール組成物(A)とポリイソシアネート組成物(B)とを含有する反応性接着剤であって、反応性接着剤全固形分に対しアラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサンを0.002〜1質量%含有することを特徴とする2液型接着剤。
  2. 前記ポリオール組成物(A)が炭素原子数6以上のアルキル側鎖を有する多価アルコールまたは多塩基酸の反応生成物であるか、又は多価アルコールと多塩基酸の反応生成物と炭素原子数6以上のアルキル側鎖を有する多価アルコールまたは多塩基酸との混合物である請求項1に記載の反応性接着剤。
  3. 前記ポリオール組成物(A)が多価アルコールと多塩基酸との反応生成物であり、多塩基酸がダイマー酸を含有する請求項1又は2に記載の反応性接着剤。
  4. 第一のプラスチックフィルムと第二のプラスチックフィルムの間に接着剤層を積層してなる積層フィルムであって、前記接着剤層が請求項1〜3のいずれかに記載の反応性接着剤の層であることを特徴とする積層フィルム。
  5. 第一のプラスチックフィルム、印刷層、接着剤層、第二のプラスチックフィルムをこの順に積層してなる積層フィルムであって、前記接着剤層が請求項1〜3のいずれかに記載の反応性接着剤の層であることを特徴とする積層フィルム。
  6. 請求項4又は5に記載の積層フィルムを袋状に成形してなる包装体。
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