以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。図1は同実施形態に係る液体を吐出する装置である印刷装置の概略説明図、図2は同印刷装置の吐出ユニットの一例の平面説明図である。
印刷装置1は、搬入部10と、印刷部20と、乾燥部30と、搬出部40とを備えている。印刷装置1は、搬入部10から搬入されるシートPに対し、印刷部20で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部30でシートPに付着した液体を乾燥させた後、シートPを搬出部40に排出する。
搬入部10は、複数のシートPが積載される搬入トレイ11と、搬入トレイ11からシートPを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12と、シートPを印刷部20へ送り込むレジストローラ対13とを備えている。
給送装置12には、ローラやコロを用いた装置や、エアー吸引を利用した装置など、あらゆる給送装置を用いることが可能である。給送装置12により搬入トレイ11から送り出されたシートPは、その先端がレジストローラ対13に到達した後、レジストローラ対13が所定のタイミングで駆動することにより、印刷部20へ送り出される。
印刷部20は、シートPを搬送するシート搬送装置21を備えている。シート搬送装置21は、シートPを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)であるドラム51及びドラム51の周面に吸引力を生じさせる吸引手段である吸引装置52などを有している。また、印刷部20は、シート搬送装置21のドラム51に担持されたシートPに向けて液体を吐出する液体吐出部22を備えている。
また、印刷部20は、送り込まれたシートPを受け取ってドラム51との間でシートPを渡す渡し胴24と、ドラム51によって搬送されたシートPを乾燥部30へ受け渡す受け渡し胴25を備えている。
搬入部10から印刷部20へ搬送されてきたシートPは、渡し胴24に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴24の回転に伴って搬送される。渡し胴24により搬送されたシートPは、ドラム51との対向位置でドラム51へ受け渡される。
ドラム51の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シートPの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム51の表面には、複数の吸引穴が分散して形成されている。吸引手段である吸引装置52によってドラム51の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
そして、渡し胴24からドラム51へ受け渡されたシートPは、シートグリッパ106によって先端が把持されるとともに、吸引装置52による吸い込み気流によってドラム51上に吸着担持され、ドラム51の回転に伴って搬送される。
液体吐出部22は、液体吐出手段である吐出ユニット23(23A〜23F)を備えている。例えば、吐出ユニット23Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット23Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット23Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット23Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、吐出ユニット23F,23Fは、YMCKのいずれか、或いは、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出に使用する。さらに、表面コート液などの処理液を吐出する吐出ユニットを設けることもできる。
吐出ユニット23は、例えば、図2に示すように、複数のノズルを配列したノズル列101を有する複数の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)100をベース部材102に配置したフルライン型ヘッドである。
液体吐出部22の各吐出ユニット23は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラムに担持されたシートPが液体吐出部22との対向領域を通過するときに、吐出ユニット23から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
乾燥部30は、印刷部20でシートP上に付着した液体を乾燥させるための乾燥機構部31と、印刷部20から搬送されてくるシートPを吸引した状態で搬送する(吸引搬送する)吸引搬送機構部32とを備えている。
印刷部20から搬送されてきたシートPは、吸引搬送機構部32に受け取られた後、乾燥機構部31を通過するように搬送され、搬出部40へ受け渡される。
乾燥機構部31を通過するとき、シートP上の液体には乾燥処理が施される。これにより液体中の水分等の液分が蒸発し、シートP上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シートPのカールが抑制される。
搬出部40は、複数のシートPが積載される搬出トレイ41を備えている。乾燥部30から搬送されてくるシートPは、搬出トレイ41上に順次積み重ねられて保持される。
なお、印刷装置1には、例えば、シートPに対して前処理を行う前処理部を印刷部20の上流側に配置したり、液体が付着したシートPに対して後処理を行う後処理部を乾燥部30と搬出部40との間に配置したりすることもできる。
前処理部としては、例えば、液体と反応して滲みを抑制するための処理液をシートPに塗布する先塗り処理を行うものが挙げられる。また、後処理部としては、例えば、印刷部20で印刷されたシートを反転させて再び印刷部20へ送ってシートPの両面に印刷するためのシート反転搬送処理や、複数枚のシートを綴じる処理などを行うものが挙げられる。
なお、液体を吐出する装置として、カットされたシートPに印刷を施す印刷装置で説明しているが、連帳紙などの連続体に印刷を施す印刷装置などにも同様に本願発明を適用できる。
次に、本発明の第1実施形態について図3を参照して説明する。図3は同実施形態における液体供給系の説明図である。
吐出ユニット23は、前述したように複数のヘッド100を並べて配置して構成しており、本実施形態では、複数のヘッド100に液体を供給するマニホールド110を備えている。なお、ヘッド100は、液体を吐出するヘッド部100aと、ヘッド部に液体を供給するタンク部100bとを備えるものを使用しているが、これに限るものではない。
そして、ヘッド100にマニホールド110を介して接続する第1タンク111と、第1タンク111に接続する第2タンク112とを備えている。第2タンク112と第1タンク111とをつなぐ第1経路121と、第1タンク111と第2タンク112とをつなぐ第2経路122と、第1経路121と第2経路122とを切り替える三方切替弁で構成した切替手段124とを備えている。
ここで、切替手段124は、ポートaと第1タンク111とを共通経路123で接続し、ポートbと第2タンク112とを個別第1経路121aで接続し、ポートcと第2タンク112とを個別第2経路122aで接続している。これにより、本実施形態では、第1経路121は、共通経路123と個別第1経路121aで構成され、第2経路122は、共通経路123と個別第2経路122aで構成される。
このように、第1経路は切替手段を境に個別第1経路と共通経路とで構成され、第2経路は切替手段を境に個別第2経路と共通経路とで構成されることにより、第1経路の一部が第2経路の一部を兼ねることができ、装置を低コストで小型にできる。
第1経路121の個別第1経路121aには、第1経路121を通じて第2タンク112から第1タンク111に送液する送液手段としての不可逆型の送液ポンプ125を備えている。第2タンク112は、密閉タンクとし、第2タンク112内を減圧して、第2経路122を通じて第1タンク111から第2タンク112に逆送液する逆送液手段を構成する減圧手段としての排気ポンプ126を備えている。また、第2タンク112には内部を大気開放する大気開放弁127も備えている。
また、第2タンク112に供給する液体を貯留する第3タンクであるメインタンク113と、メインタンク113から第2タンク112への液体経路114とを備えている。
なお、「タンク」は、金属や樹脂などで成型され形状が不変のものであってもよいし、可撓性を有し形状が可変のものであってもよい。また、「タンク」は、一部の形状が不変で残りの部分の形状が可変のものであってもよい。「タンク」は、専用の部品であってもよいし、ヘッドユニットなどと一体的に設けられたものであってもよい。
撹拌制御手段400は、切替手段124、送液ポンプ125、排気ポンプ126を駆動制御する。そして、撹拌制御手段400は、第1タンク111から第2タンク112への逆送液と第2タンク112から第1タンク111への送液を行って、第1タンク111内の液体を撹拌する撹拌動作を制御する。
次に、第1実施形態の作用について図4ないし図6も参照して説明する。図4は第1経路を使用した送液動作を説明する説明図、図5は第2経路を使用した逆送液動作を説明する説明図、図6は撹拌動作終了後の状態を説明する説明図である。
まず、撹拌動作を行う前においては、例えば、図3に示すように、第1タンク111の底部には液体300の沈降よる沈降液体301が溜まり、同様に、第2タンク112の底部にも液体300の沈降による沈降液体301が溜まっているものとする。
そこで、撹拌制御手段400は、撹拌動作を開始すると、切替手段124のポートa−b間を開き、ポートa−c間を閉じた状態にして、第1経路121を介して第1タンク111と第2タンク112とを通じる。そして、送液ポンプ125を回転駆動することで、図4に破線矢印で示すように第1経路121を通じて、第2タンク112から第1タンク111に液体300が送液される。
次いで、撹拌制御手段400は、第1経路121を通じた送液を行った後、切替手段124のポートa−c間を開き、ポートa−b間を閉じた状態にして、第2経路122を介して第1タンク111と第2タンク112とを通じる。そして、排気ポンプ126を回転駆動することで、第2タンク112内が減圧され、図5に一点鎖線矢印で示すように第2経路122を通じて、第1タンク111から第2タンク112に液体300が逆送液される。
なお、第2タンク112内が減圧されることにより、メインタンク113から第2タンク112に対して液体経路114を通じて液体300が補給される。このときの液体補給を停止するには、液体経路114に常開の開閉弁を配置して、撹拌制御手段400が撹拌を行うときには当該常開の開閉弁を閉弁して液体経路114を閉じるようにすればよい。この点については、以下の実施形態でも同様であるので、説明を繰り返さない。
このような第2タンク112から第1タンク111への送液と、第1タンク111から第2タンク112への逆送液を所定回数繰り返すことによって、第1タンク111内の液体300、第2タンク112内の液体300がそれぞれ撹拌される。
これにより、図6に示すように、第1タンク111内の沈降液体301、第2タンク112内の沈降液体301が分散されて、沈降液体301が減少ないし消失する。
ここで、撹拌動作は、例えば、印刷装置1が使用されていない状態が継続して続いた後で、電源ON、若しくは、印刷に移行する直前のタイミングで行うことにより、液体の沈降を解消し、出力物に不具合が発生しないようにすることができる。特に、使用されていない時間(非印刷時間、非吐出動作継続時間)が長いほど、沈降が懸念されるので、効果を発揮する。
また、本実施形態では、送液動作や逆送液動作(ポンプの駆動)は、例えば、予め設定した所定時間行う。送液ポンプ125や排気ポンプ126の駆動時間は送液量、逆送液量に相当するので、駆動時間を管理することで第1タンク111に供給する液体量(供給量)や排出する液体量(排出量)を管理することができる。
この場合、温度変化に応じて、液体粘度が変化するので、予め決められた温度−時間テーブルに基づいて送液動作、逆送液動作の時間を決定するようにすることもできる。
また、撹拌動作(1回の送液動作と1回の逆送液動作)の実施回数は、複数回とすることが好ましい。つまり、送液量と逆送液量には、第1タンク111及び第2タンク112内で収容できる液体量の範囲内という制限がある。そのため、第1タンク111と第2タンク112の沈降液体301を分散するには、交互に、第1タンク111、第2タンク112内に流動を起こし、複数回くり返す動作にすることでより撹拌効果を高めることができる。
本実施形態では、第1タンク111及び第2タンク112内で収容できる液体量の範囲は、上述したように、送液時間、逆送液時間(ポンプ駆動時間)で管理している。
また、装置の放置時間については、送液ポンプ125を駆動したときの動作終了時刻を毎回上書き記憶し、その時間と現在時刻の差分とする。この差分を印刷していない非印刷時間(非吐出動作継続時間)とし、非印刷時間が予め設定した所定時間を超えた状態で、電源ON、若しくは、印刷開始前のタイミングになったとき、撹拌動作を所定回数分実施する。
上記のように、本実施形態では、第2タンク112から第1タンク111に送液する送液ポンプ125として、不可逆型ポンプを使用している。不可逆型ポンプとは、一方向にのみ送液できるポンプのことで、一般的には、ピストンポンプやダイアフラムポンプが相当する。
ダイアフラムポンプとは、ポンプの入口(吸引側)と出口(吐出側)に逆止弁が備えられ、吸引と吐出を交互に繰り返すことで液体を送液する。逆止弁の作用により、一方向への送液に限られるが、機械的な摩耗等はなく、比較的寿命の長いポンプとして知られている。
一方、可逆型ポンプとは、双方向に送液できるポンプのことで、一般的にはチュービングポンプが相当する。可逆ポンプは、チューブを押しつぶしながら、下流から上流に流体を体積移動させる構造であり、比較的柔らかいチューブとコロなどで構成される。このチューブがコロで潰されながら移動することで、流体が送液される。
しかしながら、チュービングポンプは、比較的柔らかいチューブがコロで機械的に常時潰されるため、チューブの耐久や機械的摩耗に難があり、一般的に寿命が短く、例えば、商用印刷装置には採用できない。すなわち、ポンプの寿命を迎えるたびに、交換作業や追加のコストが発生したり、ポンプが交換されるまで、ユーザーの出力作業が滞ったりするという問題がある。
本実施形態によれば、不可逆型ポンプを使用して第2タンクから第1タンクに送液しつつ、第1タンクと第2タンクとの間で送液と逆送液を行って撹拌することができるので、長期にわたって安定した吐出を行うことができる。
次に、本発明の第2実施形態について図7を参照して説明する。図7は同実施形態における液体供給系の説明図である。
本実施形態では、前記第1実施形態と同様に構成において、第1タンク111の液体量を検知する液体量検知手段130を備えている。
液体量検知手段130は、第1タンク111内の液体量に応じて変位するセンサフィラ131と、上限検知手段である上限センサ132と、下限検知手段である下限センサ133とを含む。上限センサ132は、液体量が予め設定した上限値になったときにセンサフィラ131を検知する。下限センサ133は、液体量が予め設定した下限値になったときにセンサフィラ131を検知する。なお、上限値及び下限値は、撹拌動作を行うときの送液量と逆送液量を管理するときに使用する制限値の意味である。
撹拌制御手段400は、上限センサ132及び下限センサ133の検知結果を入力し、切替手段124、送液ポンプ125、排気ポンプ126を駆動制御する。そして、撹拌制御手段400は、第1タンク111から第2タンク112への逆送液と第2タンク112から第1タンク111への送液を行って、第1タンク111内の液体を撹拌する撹拌動作を制御する。
次に、第1タンクの液体量検知に関わる構成について図8ないし図10を参照して説明する。図8は同第1タンクの斜視説明図、図9はセンサフィラの変位を説明する第1タンクの側面説明図である。図10は液体残量の変化(供給−排出量)とセンサフィラの変位量の変化を説明する説明図である。
第1タンク111は、タンクケース151の開口部を変位可能なフィルム152で封止し、タンクケース151の内部にはフィルム152を外方の押圧する負圧発生ばね153が配置されている。フィルム152にはマイラ154が設けられ、フィルム152の変位に応じて変位するピン部材155が設けられている。
そして、センサフィラ131の一端部をタンクケース151に軸受け156で回転自在に支持し、ピン部材155に自重で接触させている。これによりセンサフィラ131はフィルム152の変位に応じて他端部側が上下方向に変位する。
そこで、センサフィラ131の他端部側に、タンクケース151に設けたセンサ保持部材157にて上限センサ132及び下限センサ133を保持している。
この第1タンク111においては、第1タンク111内の液体量が上限値になったときには、図9(a)に示すように、センサフィラ131の他端部により、上限センサ132が遮蔽されてON状態となり、下限センサ133が透過状態になってOFF状態となる。
この上限センサ132がON状態、下限センサ133がOFF状態のとき、第1タンク111の液体量は上限値となり、送液ポンプ125を停止する。
また、第1タンク111内の液体量が下限値になったときには、図9(b)に示すように、センサフィラ131の他端部により、上限センサ132が透過状態となってOFF状態となり、下限センサ133が遮蔽されてON状態となる。
この上限センサ132がOFF状態、下限センサ133がON状態のとき、第1タンク111の液体量は下限値となり、排気ポンプ126を停止する。
つまり、例えば、第1タンク111内の液体を第2タンク112に排出したときには、フィルム152がタンクケース151の内側に変形する。したがって、図10に示すように、第1タンク111のセンサフィラ131の外側のある点をゼロとして、第1タンク111内の液体を排出すると、排出に伴ってセンサフィラ131の変位量が内側に向かう方向で増加する。
逆に、第2タンク112から第1タンク111に液体を供給したときには、フィルム152がタンクケース151の外側に凸になるように変形する。したがって、図10に示すように、第1タンク111のセンサフィラ131の外側のある点をゼロとして、第1タンク111内に液体を供給すると、供給に伴ってセンサフィラ131の変位量が内側に向かう方向で減少する(外側に向かう方向で増加する)。
そこで、図10に示すように、センサフィラ131の変位量aの位置を上限位置(液体量の上限値)とし、変位量bの位置を下限位置(液体量の下限値)として設定する。そして、センサフィラ131が変位量a―b間で変位するように送液量及び逆送液量(供給−排出量)を管理する。
次に、本実施形態の作用について図11ないし図13も参照して説明する。図11は第1経路を使用した送液動作を説明する説明図、図12は第2経路を使用した逆送液動作を説明する説明図、図13は撹拌動作終了後の状態を説明する説明図である。
まず、撹拌動作を行う前においては、例えば、図7に示すように、第1タンク111の底部には液体300の沈降よる沈降液体301が溜まり、同様に、第2タンク112の底部にも液体300の沈降による沈降液体301が溜まっているものとする。
そこで、撹拌制御手段400は、撹拌動作を開始すると、切替手段124のポートa−b間を開き、ポートa−c間を閉じた状態にして、第1経路121を介して第1タンク111と第2タンク112とを通じる。そして、送液ポンプ125を回転駆動することで、図11に破線矢印で示すように第1経路121を通じて、第2タンク112から第1タンク111に液体300が送液される。
このとき、撹拌制御手段400は、上限センサ132がセンサフィラ131の遮蔽を検知してON状態になり、下限センサ133が透過を検知してOFF状態になったときに送液を停止する。
その後、撹拌制御手段400は、切替手段124のポートa−c間を開き、ポートa−b間を閉じた状態にして、第2経路122を介して第1タンク111と第2タンク112とを通じる。そして、排気ポンプ126を回転駆動することで、第2タンク112内が減圧され、図12に一点鎖線矢印で示すように第2経路122を通じて、第1タンク111から第2タンク112に液体300が逆送液される。
このとき、撹拌制御手段400は、下限センサ133がセンサフィラ131の遮蔽を検知してON状態になり、上限センサ132が透過を検知してOFF状態になったときに逆送液を停止する。
このような第2タンク112から第1タンク111への送液と、第1タンク111から第2タンク112への逆送液を所定回数繰り返すことによって、第1タンク111内の液体300、第2タンク112内の液体300がそれぞれ撹拌される。
これにより、図13に示すように、第1タンク111内の沈降液体301、第2タンク112内の沈降液体301が分散されて、沈降液体301が減少ないし消失する。
本実施形態において、送液と逆送液とは、いずれを先に始めて良い。ただし、送液を開始する前に、上限センサ132と下限センサ133の検知状態がセンサフィラ131の上限を検知しているときには、それ以上の送液ができないので、送液動作をスキップして、逆送液動作を開始する。
一方、逆送液を開始する前に、上限センサ132と下限センサ133の検知状態がセンサフィラ131の下限を検知しているときには、それ以上の逆送液ができないので、逆送液動作をスキップして、送液動作を開始する
本実施形態の撹拌動作を行うことにより、図10で説明したようなセンサフィラの変位特性、つまり、第1タンク111の特性に合わせた送液と逆走液を行うことができる。これにより、例えば、温度が変化し、送液対象の液体の粘度が変化しても、絶対的な位置は変わらないので、より正確に、第1タンク111内の液体量を制御できる。
また、第1タンク111に対する液体の供給(送液)−排出(逆送液)を上限センサ及び下限センサで管理できることで、撹拌動作がノズルメニスカスに与える影響を低減することができる。
この点について図14も参照して説明する。図14は第1タンクに対する液体の供給(送液)−排出(逆送液)とタンク内圧力とセンサフィラ変位量の関係を説明する説明図である。
第1タンク111は負圧発生ばね153の復元力によって負圧を発生させており、液体残量が少なくなるほど圧力が低くなる(負圧が高くなる)。したがって、第1タンク111に対して送液、逆送液を行うことによってタンク内の液体残量が変化することで、図14に示すように、第1タンク111内の圧力が変化する。
例えば、上限センサ132と下限センサ133の検知状態がセンサフィラ131の上限に相当する状態を検知したときの変位量aに相当するタンク内圧力はPhとなり、上限センサ132と下限センサ133の検知状態がセンサフィラ131の下限に相当する状態を検知したときの変位量bに相当するタンク内圧力はPlとなる。
そこで、例えば、上限センサ132と下限センサ133で検知される範囲内で液体残量が変化するように送液と逆送液とを制御することで、第1タンク111内の圧力を上限センサ132と下限センサ133によって検知される液体残量に対応する圧力範囲内(圧力Ph−Plの間)に収めることができる。第1タンク111内の圧力を所定の圧力範囲内に収めることで、ノズルメニスカスを常に正常に保つことができ、逆送液しすぎることによるノズルからの気泡巻き込み、送液しすぎることによるノズルからの液垂れを防止することができる。
このように、本実施形態では、撹拌動作に伴う送液や逆送液を行っても、ノズルメニスカスを正常に保つことができ、ノズルからの気泡巻き込や液垂れを防止できて画像品質の劣化を抑制できる。特に、本実施形態のように、ヘッド100を多数並べるヘッドアレイ(ライン型ヘッド)においては、撹拌に伴う液体の流動が、多数のヘッド100に形成されたノズルメニスカスに及ぼす影響が大きくなる。また、ノズルメニスカスへの不具合が発生した場合は、ノズルが多い分、回復にも時間がかかる。ノズルメニスカスを正常に保つことで、ラインヘッドにおけるノズルメニスカスの不具合による影響を抑制できる。
次に、本発明の第3実施形態について図15を参照して説明する。図15は同実施形態における液体供給系の説明図である。
本実施形態では、第1タンク111には、タンク内圧力を検知する圧力検知手段としての圧力センサ161を備えている。第1タンク111には第1実施形態と異なりセンサフィラ131を備えていない。
撹拌制御手段400は、圧力センサ161の検知結果を入力し、切替手段124、送液ポンプ125、排気ポンプ126を駆動制御する。そして、撹拌制御手段400は、第1タンク111から第2タンク112への逆送液と第2タンク112から第1タンク111への送液を行って、第1タンク111内の液体を撹拌する撹拌動作を制御する。
次に、本実施形態の作用について図16ないし図19も参照して説明する。図16は第1経路を使用した送液動作を説明する説明図、図17は第2経路を使用した逆送液動作を説明する説明図、図18は撹拌動作終了後の状態を説明する説明図である。図19は第1タンクに対する液体の供給(送液)−排出(逆送液)とタンク内圧力の関係を説明する説明図である。
図19に示すように、第1タンク111に対して液体の供給と排出を行うことによって、第1タンク111のタンク内圧力は変化する。そこで、タンク内圧力Paを上限値とし、タンク内圧力Pbを下限値として、送液量及び逆送液量(供給−排出量)を管理する。
まず、撹拌動作を行う前においては、例えば、図15に示すように、第1タンク111の底部には液体300の沈降よる沈降液体301が溜まり、同様に、第2タンク112の底部にも液体300の沈降による沈降液体301が溜まっているものとする。
そこで、撹拌制御手段400は、撹拌動作を開始すると、切替手段124のポートa−b間を開き、ポートa−c間を閉じた状態にして、第1経路121を介して第1タンク111と第2タンク112とを通じる。そして、送液ポンプ125を回転駆動することで、図16に破線矢印で示すように第1経路121を通じて、第2タンク112から第1タンク111に液体300が送液される。
このとき、撹拌制御手段400は、圧力センサ161による検知結果がタンク内圧力Paになるまで送液を行い、タンク内圧力Paになったときに送液を停止する。
その後、撹拌制御手段400は、切替手段124のポートa−c間を開き、ポートa−b間を閉じた状態にして、第2経路122を介して第1タンク111と第2タンク112とを通じる。そして、排気ポンプ126を回転駆動することで、第2タンク112内が減圧され、図17に一点鎖線矢印で示すように第2経路122を通じて、第1タンク111から第2タンク112に液体300が逆送液される。
このとき、撹拌制御手段400は、圧力センサ161による検知結果がタンク内圧力Pbになるまで逆送液を行い、タンク内圧力Pbになったときに逆送液を停止する。
このような第2タンク112から第1タンク111への送液と、第1タンク111から第2タンク112への逆送液を所定回数繰り返すことによって、第1タンク111内の液体300、第2タンク112内の液体300がそれぞれ撹拌される。
これにより、図18に示すように、第1タンク111内の沈降液体301、第2タンク112内の沈降液体301が分散されて、沈降液体301が減少ないし消失する。
本実施形態の撹拌動作を行うことにより、例えば、温度が変化し、送液対象の液体の粘度が変化しても、より正確に、第1タンク111内の液体量を制御できる。
また、第1タンク111に対する液体の供給(送液)−排出(逆送液)をタンク内圧力の検知結果に基づいて管理しているので、撹拌動作がノズルメニスカスに与える影響を低減でき、ノズルメニスカスを常に正常に保つことができる。これにより、逆送液しすぎることによるノズルからの気泡巻き込み、送液しすぎることによるノズルからの液垂れを防止することができる。
次に、本発明の第4実施形態について図20を参照して説明する。図20は同実施形態における液体供給系の説明図である。
本実施形態では、第1タンク111には、第1実施形態と異なりセンサフィラ131を備えていない。
一方、送液ポンプ125の回転数を検出する回転数検出手段171と、排気ポンプ126の回転数を検出する回転数検出手段172とを備えている。送液ポンプ125による送液量は、送液ポンプ125の回転数に相当するので、送液ポンプ125の回転数を検出することで送液量を得ることができる。同様に、排気ポンプ126による排気に伴う逆送液量は、排気ポンプ126の回転数に相当するので、排気ポンプ126の回転数を検出することで逆送液量を得ることができる。
撹拌制御手段400は、回転数検出手段171の検出結果、回転数検出手段172の検出結果を入力し、切替手段124、送液ポンプ125、排気ポンプ126を駆動制御する。そして、撹拌制御手段400は、第1タンク111から第2タンク112への逆送液と第2タンク112から第1タンク111への送液を行って、第1タンク111内の液体を撹拌する撹拌動作を制御する。
次に、本実施形態の作用について図21も参照して説明する。図21は第2経路を使用した逆送液動作を説明する説明図である。
まず、撹拌動作を行う前においては、例えば、図20に示すように、第1タンク111の底部には液体300の沈降よる沈降液体301が溜まり、同様に、第2タンク112の底部にも液体300の沈降による沈降液体301が溜まっているものとする。
そこで、撹拌制御手段400は、撹拌動作を開始すると、切替手段124のポートa−b間を開き、ポートa−c間を閉じた状態にして、第1経路121を介して第1タンク111と第2タンク112とを通じる。そして、送液ポンプ125を回転駆動することで、図20に破線矢印で示すように第1経路121を通じて、第2タンク112から第1タンク111に液体300が送液される。
このとき、撹拌制御手段400は、回転数検出手段171の検出結果である送液ポンプ125の回転数が予め定めた送液量に相当する所定回転数になるまで送液を行い、所定回転数になったときに送液を停止する。
その後、撹拌制御手段400は、切替手段124のポートa−c間を開き、ポートa−b間を閉じた状態にして、第2経路122を介して第1タンク111と第2タンク112とを通じる。そして、排気ポンプ126を回転駆動することで、第2タンク112内が減圧され、図17に一点鎖線矢印で示すように第2経路122を通じて、第1タンク111から第2タンク112に液体300が逆送液される。
このとき、撹拌制御手段400は、回転数検出手段172の検出結果である排気ポンプ126の回転数が予め定めた逆送液量に相当する所定回転数になるまで逆送液を行い、所定回転数になったときにときに逆送液を停止する。
このような第2タンク112から第1タンク111への送液と、第1タンク111から第2タンク112への逆送液を所定回数繰り返すことによって、第1タンク111内の液体300、第2タンク112内の液体300がそれぞれ撹拌される。
これにより、第1タンク111内の沈降液体301、第2タンク112内の沈降液体301が分散されて、沈降液体301が減少ないし消失する。
そして、送液量及び逆送液量を制御できることで、前述したように、第1タンク111のタンク内圧力を制御することができるので、予め設定した回転数だけ、送液ポンプ125、排気ポンプ126を駆動することによって、決められた量を送液及び逆走液できる。
このように、撹拌動作では、予め設定した回転数に相当する量の送液と逆走液が行われることで、前述したようにタンク内圧力を所定の圧力範囲に収めることができ、ノズルメニスカスを常に正常に保つことができる。
次に、本発明の第5実施形態について図22を参照して説明する。図22は同実施形態における第1タンクに対する液体経路の接続位置の説明に供する説明図である。
本実施形態では、第1タンク111の底部111aに第1経路121及び第2経路122を構成している共通経路123を接続している。つまり、少なくとも第1経路121は、第1タンク111の鉛直方向下側から接続する。
このような接続を行うことで、第1経路121を通じて、第2タンク112から第1タンク111に送液したとき、第1タンク111内では、底部111aから沈降液体301に対して湧き上げる液体の流れ302が作用する。
これにより、沈降液体301の層内、ひいては第1タンク111内に渦303を巻き起こす流れが生じて、沈降液体301の撹拌が促進される。
次に、本発明の第6実施形態について図23を参照して説明する。図23は同実施形態における第2タンクに対する液体経路の接続位置の説明に供する説明図である。
本実施形態では、第2タンク112の底部112aに第2経路122を構成している個別第2経路122aを接続している。つまり、少なくとも第2経路122は、第2タンク112の鉛直方向下側から接続する。
このような接続を行うことで、第2経路122を通じて、第1タンク111から第2タンク112に逆送液したとき、第2タンク112内では、底部112aから沈降液体301に対して湧き上げる液体の流れ302が作用する。
これにより、沈降液体301の層内、ひいては第2タンク112内に渦303を巻き起こす流れが生じて、沈降液体301の撹拌が促進される。
次に、本発明の第7実施形態について図24を参照して説明する。図24は同実施形態における非印刷時間と撹拌回数(撹拌動作の回数)との関係の一例の説明図である。
印刷動作が行われているときには、液体の消費に伴ってメインタンク113から第2タンク112に液体が補給され、第2タンク112から第1タンク111に液体が供給され、マニホールド110、ヘッド100への液体供給が行われる。したがって、液体の流動が繰り返され、液体300の沈降成分が沈降することはない。
これに対して、印刷動作を行っていないときには、第1タンク111と第2タンク112での液体流動が発生しないため、沈降成分の沈降が生じて沈降液体301が発生する。
ここで、ユーザーにとっては、送液動作と逆走液動作による撹拌動作が実施されている間は、印刷を実施できないため、出力生産性が低下することになる。
そこで、印刷動作を行っていない時間(非印刷時間)を撹拌制御手段400の内部の不揮発性記憶手段内に記憶する。そして、電源ONのタイミングや、印刷指示が与えられたタイミングで、非印刷時間と、予め決められた図24に示すような非印刷時間−撹拌回数テーブルを参照することで、送液動作と逆走液動作による撹拌動作の回数を決定する。
これにより、非印刷時間に応じた、最適な撹拌回数を選択することでできるので、撹拌作業時間が最適化される。また、ユーザーにとっては、生産性の低下を最小限に抑えることができる。
次に、本発明の第8実施形態について図25を参照して説明する。図25は同実施形態における液体供給系の説明図である。
本実施形態では、第2タンク112と第1タンク111とは、それぞれ第1経路121、第2経路122で接続している。そして、第1経路121を開閉する開閉バルブ124Aと、第2経路122を開閉する開閉バルブ124Bとを備え、撹拌制御手段400によって開閉バルブ124A、124Bの開閉を行う。
このように、第1経路と第2経路とは別経路として、それぞれ開閉制御する構成とすることもできる。
本願において、吐出される「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
「液体吐出ヘッド」には、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。