JP2020095943A - 全固体電池用の電極積層体及びその製造方法 - Google Patents

全固体電池用の電極積層体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】全固体電池における短絡の発生の抑制、及び/又は全固体電池の耐久性の低下の抑制、並びに、全固体電池の抵抗値の上昇の抑制が可能な、全固体電池用の電極積層体を提供する。【解決手段】少なくとも集電体を含む集電部と、接着剤部と、を有する集電複合体と、前記集電複合体上に積層された活物質層と、を有し、前記集電部の前記活物質層側の主面と、前記接着剤部の前記活物質層側の主面とは、同一平面となるように形成され、前記集電部と前記活物質層は前記接着剤部によって接着されている、ことを特徴とする、全固体電池用の電極積層体。【選択図】図1

Description

本開示は、全固体電池用の電極積層体及びその製造方法に関する。
集電体と、正極活物質層又は負極活物質層(以下、単に活物質層ということがある)とを有する全固体電池用の電極積層体を積層した全固体電池が知られている。
近年、全固体電池においては、高電圧及び高容量のものが求められており、前述した電極積層体を、複数個積層した積層型の全固体電池に対する需要が高まっている。
例えば特許文献1では、一の電池ユニットの集電体と、該集電体に隣接して積層された他の電池ユニットとを、熱可塑性樹脂を用いて接着することで、各電池ユニットの積層ずれが生じないように固定した、全固体電池が開示されている。特許文献1においては、前記集電体の表面の一部の領域に塗布した熱可塑性樹脂により、当該集電体と、他の電池ユニットとを接着する形態が例示されている。
また、前記した積層型の全固体電池においては、各電極積層体において、集電体−活物質層間の積層ずれが生じないように、集電体と活物質層とを固定することが求められている。例えば特許文献2には、集電体と活物質層とを、カーボンを含有したポリアミドイミド樹脂からなる接着層により接着した、電池用電極板が開示されている。特許文献2においては、集電体−活物質層間の領域全体に設けた前記接着剤層により、前記集電体と前記活物質層とを接着する形態が例示されている。
近年、このような積層型の全固体電池の製造に、レーザー光を使用する技術が用いられている。
例えば特許文献3には、第一の活物質層及び固体電解質層が積層された積層体に、所定の波長のレーザー光を照射することにより、固体電解質層を維持しつつ第一の活物質層の一部を除去する、電池用積層体の製造方法が開示されている。
特開2017−204377号公報 特開2004−273181号公報 特開2016−213070号公報
集電体−活物質層間の領域に、部分的に塗布した接着剤(例えば、特許文献1に例示されている形態)により、集電体と活物質層とを接着して作製した電極積層体を、複数個積層して全固体電池を作製した場合、当該全固体電池において充放電サイクルを繰り返すと、活物質層や集電体にクラックが生じて短絡が発生するという問題、及び全固体電池の耐久性が低下するという問題等があった。
また、特許文献2に例示されているような、集電体−活物質層間の領域全体に接着剤を塗布し、当該接着剤により、集電体と活物質層とを接着した電極積層体を有する全固体電池は、抵抗値が高くなり過ぎるため、電池として十分に機能する性能を得られないという問題があった。
一方、特許文献3に記載の技術によれば、第一の活物質層及び固体電解質層が積層された積層体にレーザー光を照射して、固体電解質層を維持しつつ第一の活物質層を除去することにより、活物質層間の短絡の発生が抑制された電池用積層体を効率的に製造できるものの、当該特許文献3に記載の技術では、各層間を接着剤等により接着することを行っていないため、積層ずれを抑制できないという問題があった。
上記実情に鑑み、本開示は、全固体電池における短絡の発生の抑制、及び/又は全固体電池の耐久性の低下の抑制、並びに、全固体電池の抵抗値の上昇の抑制が可能な、全固体電池用の電極積層体を提供することを目的とする。
本開示の全固体電池用の電極積層体は、少なくとも集電体を含む集電部と、接着剤部と、を有する集電複合体と、前記集電複合体上に積層された活物質層と、を有し、前記集電部の前記活物質層側の主面と、前記接着剤部の前記活物質層側の主面とは、同一平面となるように形成され、前記集電部と前記活物質層は前記接着剤部によって接着されている、ことを特徴とする。
本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法は、少なくとも集電体を含む集電部と、接着剤部と、を有し、当該集電部の主面と当該接着剤部の主面が同一平面となるように形成されている集電複合体を形成する工程と、前記集電複合体の前記接着剤部が露出している側の主面上に、活物質層を形成することによって、前記集電部と前記活物質層を前記接着剤部によって接着する工程と、を有する、ことを特徴とする。
本開示によれば、全固体電池における短絡の発生の抑制、及び/又は全固体電池の耐久性の低下の抑制、並びに、全固体電池の抵抗値の上昇の抑制が可能な、全固体電池用の電極積層体を提供することができる。
本開示の第一の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体の一例を説明するための図である。 本開示の第二の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体の一例を説明するための図である。 本開示の第三の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体の一例を説明するための図である。 図1に示す本開示の電極積層体10の製造方法の一例について、その過程を概略的に説明する斜視図である。 図4に示す工程のうち、図4(b)〜(d)に示す工程についてのA−A´線断面図である。 図2に示す本開示の電極積層体20の製造方法の一例について、その過程を概略的に説明する斜視図である。 図6に示す工程のうち、図6(a)に示す領域βについてのA−A´線断面図である。 図3に示す本開示の電極積層体30の製造方法の一例について、その過程を概略的に説明する斜視図である。 本開示の第一の実施形態に係る電極積層体10を備えた、全固体電池100の一例を示す断面模式図である。 本開示の第二の実施形態に係る電極積層体20を備えた、全固体電池200の一例を示す断面模式図である。 本開示の第三の実施形態に係る電極積層体30を備えた、全固体電池300の一例を示す断面模式図である。 図9に示す全固体電池を複数個積層した、積層型の全固体電池を概略的に示す断面図である。 従来の電極積層体を備えた、積層型の全固体電池の構成を概略的に示す断面図である。
1.全固体電池用の電極積層体
本開示の全固体電池用の電極積層体は、少なくとも集電体を含む集電部と、接着剤部と、を有する集電複合体と、前記集電複合体上に積層された活物質層と、を有し、前記集電部の前記活物質層側の主面と、前記接着剤部の前記活物質層側の主面とは、同一平面となるように形成され、前記集電部と前記活物質層は前記接着剤部によって接着されている、ことを特徴とする。
図13は、従来の電極積層体を備えた、積層型の全固体電池の構成を概略的に示す断面図である。
図13に示す積層型の全固体電池に備えられた、従来の電極積層体50(正極側)は、正極集電体11及び正極活物質層14を有している。正極集電体11と正極活物質層14とは、正極集電体11−正極活物質層14間の領域に、部分的に塗布した接着剤12により接着されている。
なお、図13に示す全固体電池において、各電極積層体50(正極側)には、固体電解質層15を介して、負極側の電極積層体60が接続されている。負極側の電極積層体60は、正極側の電極積層体50の正極活物質層14側から、負極活物質層19、及び負極集電体18の順に配置されるように、各電極積層体50(正極側)に接続されている。
このような、従来の電極積層体50(正極側)を備えた積層型の全固体電池において、充放電サイクルを繰り返すと、正極活物質層14及び/又は正極集電体11にクラックが生じて短絡が発生する虞、及び全固体電池の耐久性が低下する虞等があった。
これは以下に説明する理由によると考えられる。
図13に示すように、正極集電体11−正極活物質層14間の領域に、接着剤部12を部分的に塗布することにより、前記正極集電体11と前記正極活物質層14とを接着した場合、接着剤部12を塗布した部分(以下、接着剤塗布部ということがある)の電極積層体50の厚さと、接着剤部12を塗布していない部分の電極積層体50の厚さの差に起因して、段差Rが発生する。このような電極積層体50を多数積層した積層構造体では、段差Rの累計値が大きくなり、全体として大きい段差を有する状態となる。
例えば、各電極積層体50において、正極集電体11−正極活物質層14間を接着する接着剤部12の厚さを2μmに抑えた場合でも、当該電極積層体50(正極側)を、例えば40個積層した場合、段差の大きさの累計値は80μmとなる。
このように、大きい段差を有する積層構造体を備えた全固体電池において、充放電サイクルを繰り返すと、活物質層の膨張に伴う拘束圧Pの上昇により、前記した段差Rを形成する接着剤塗布部(凸部)に応力が集中し、この応力が原因となって、正極活物質層14及び/又は正極集電体11にクラックが発生し易くなり、短絡が生じ易くなる。
また、大きい段差を有する積層構造体を備えた積層型の全固体電池では、前記したように、段差Rを形成する接着剤塗布部(凸部)に応力が集中するため、接着剤塗布部以外の領域の、正極集電体11と正極活物質層14の界面には、例えば拘束部材等による拘束圧Pが十分に負荷されず、正極集電体11と正極活物質層14の界面における面圧分布が不均一となる。
このような不均一な面圧分布が原因となって、正極集電体11と正極活物質層14の界面にLi堆積(Liデポジット)が発生し易くなり、全固体電池としての耐久性が低下する。
しかしながら、以下に説明するように、本開示の全固体電池用の電極積層体によれば、上記問題を解決することができる。
1−1.第一の実施形態
まず、本開示の第一の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体について説明する。
図1は、本開示の第一の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体の一例を説明するための図である。
図1(a)は、第一の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体の構成を説明するために、便宜的に、第一の実施形態に係る電極積層体のカーボンコート層上に正極活物質層を積層する前の構成を示した斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すカーボンコート層上に正極活物質層を積層した第一の実施形態に係る電極積層体の、図1(a)中A−A´の位置における断面を示したものである。
本開示の第一の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体10は、正極集電体11及び正極集電体11上に形成されたカーボンコート層13を含む集電部16と、カーボンコート層13の一部に形成された接着剤部12と、を有する集電複合体17を有している。
当該集電複合体17上には、正極活物質層14が積層されており、当該正極活物質層14と集電部16とは、カーボンコート層13に形成された接着剤部12により接着されている。
図1(a)に示す例において、カーボンコート層13は、正極集電体11の長手方向の一方の端縁側の領域を残して、正極集電体11上に形成されている。
なお、カーボンコート層13は、正極集電体11の正極活物質層14と対向する側の主面のうち、電極積層体10を平面視した時、前記正極集電体11と前記正極活物質層14とが重複する領域の全体が、前記カーボンコート層13及び後述する接着剤部12a〜12eで覆われるように、前記正極集電体11上に配置してもよい。
図1(a)に示す例では、接着剤部12a〜12dは、カーボンコート層13の四隅の位置に配置され、接着剤部12eは、カーボンコート層13の中央部の位置に配置されている。
接着剤部12a〜12eは、具体的には、前述したカーボンコート層13の四隅の位置又は中央部の位置に形成された貫通孔からなる凹部12a´〜12e´(図4(b)参照)に充填された接着剤部形成用組成物の固化物として形成されている。
接着剤部12a〜12eは、それぞれ、カーボンコート層13との間に隙間を設けることなく、当該カーボンコート層13と一続きに配置する。
本開示の電極積層体10において、集電部16の正極活物質層14側の主面(即ち、カーボンコート層13の主面)と、前記接着剤部12a〜12eの正極活物質層14側の主面とは、それぞれ、同一平面となるように形成されている。なお、「同一平面となるように形成されている」とは、水平若しくは平らになるように形成されていると言い換えることもできる。
本開示の電極積層体10は、図1(a)に示すように、前記カーボンコート層13の主面が、前記接着剤部12a〜12eの主面とそれぞれ互いに隣接して連続面を形成する。
なお、本開示において、「カーボンコート層の主面と接着剤部の主面が互いに隣接して連続面を形成する」とは、カーボンコート層の主面と接着剤部の主面とが、不連続部となる隙間を有することなく、当該カーボンコート層の主面と当該接着剤部の主面とが、同一平面となるように形成されていることを意味する。
また、図1(a)に示す例では、接着剤部12a〜12eの厚さは、カーボンコート層13の厚さと同じ厚さを有する。
なお、図1に示す例では、正極集電体11には凹部が形成されておらず、カーボンコート層13に形成された貫通孔に充填された接着剤部形成用組成物の固化物により、接着剤部12が形成された例を示したが(図1(b)参照)、本開示の電極積層体は、このような形態には限られない。
例えば、カーボンコート層13に形成された貫通孔の直下に存在する正極集電体11に凹部が形成されていてもよく、当該貫通孔及び当該凹部に充填された接着剤部形成用組成物の固化物により、接着剤部が形成されていてもよい。この場合、接着剤部の厚さは、カーボンコート層の厚さより厚くなる。
また、カーボンコート層13には、当該カーボンコート層13を貫通していない凹部を形成し、当該凹部に充填された接着剤部形成用組成物の固化物により、接着剤部が形成されていてもよい。この場合、接着剤部の厚さは、カーボンコート層の厚さより薄くなる。
なお、図1(a)に示す例では、接着剤部12a〜12dを、カーボンコート層13の四隅の位置に配置し、接着剤部12eを、カーボンコート層13の中央部の位置に配置した例を示したが、接着剤部を配置する位置は、必ずしも、前述した位置には限られない。
例えば、カーボンコート層13の四隅の位置及び中央部の位置のうちの一部の位置だけに接着剤部を配置してもよい。例えば、図1(a)中の接着剤部12a〜12eの位置のうち、接着剤部12a、12d、及び12eの位置だけに接着剤部を配置してもよく、接着剤部12b、12c、及び12eの位置だけに接着剤部を配置してもよい。
また、例えば、図1(a)のカーボンコート層13の対角線上における、接着剤部12aと接着剤部12eとの間の位置及び/又は接着剤部12dと接着剤部12eとの間の位置に、接着剤部を配置してもよい。
また、例えば、図1(a)のカーボンコート層13の長辺に沿って、接着剤部12aと接着剤部12cとの間の位置及び/又は接着剤部12bと接着剤部12dとの間の位置に、接着剤部を配置してもよく、図1(a)のカーボンコート層13の短辺に沿って、接着剤部12aと接着剤部12bとの間の位置及び/又は接着剤部12cと接着剤部12dの間の位置に、接着剤部を配置してもよい。
また、前述した接着剤部の配置位置のいずれかを適宜組み合わせた位置に、接着剤部を配置するようにしてもよい。
ただし、上記したいずれの場合においても、前記接着剤部12は、前記カーボンコート層13との間に隙間を設けることなく、当該カーボンコート層13と一続きとなるように配置し、且つ、当該接着剤部12の主面と、当該カーボンコート層13の主面とが、同一平面となるように配置する。
1−2.第二の実施形態
次に、本開示の第二の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体について説明する。
図2は、本開示の第二の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体の一例を説明するための図である。
図2(a)は、第二の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体の構成を説明するために、便宜的に、第二の実施形態に係る電極積層体の正極集電体上に正極活物質層を積層する前の構成を示した斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示す正極集電体上に正極活物質層を積層した第二の実施形態に係る電極積層体の、図2(a)中A−A´の位置における断面を示したものである。
本開示の第二の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体20は、正極集電体11からなる集電部26と、正極集電体11の一部に形成された接着剤部12と、を有する集電複合体27を有している。
当該集電複合体27上には、正極活物質層14が積層されており、当該正極活物質層14と集電部26とは、正極集電体11に形成された接着剤部12により接着されている。
図2に示す例では、接着剤部12f〜12iは、正極集電体11の四隅の位置に形成され、接着剤部12jは、正極集電体11の中央部の位置に形成されている。
接着剤部12f〜12jは、具体的には、前述した正極集電体11の四隅の位置又は中央部の位置に形成された凹部12f´〜12j´(図6(a)参照)に充填された接着剤部形成用組成物の固化物として形成されている。
接着剤部12f〜12jは、それぞれ、正極集電体11との間に隙間を設けることなく、当該正極集電体11と一続きに配置する。
本開示の電極積層体20において、集電部26の前記正極活物質層14側の主面(即ち、正極集電体11の前記正極活物質層14側の主面)と、前記接着剤部12f〜12jの前記正極活物質層14側の主面とは、それぞれ、同一平面となるように形成されている。
本開示の電極積層体20は、図2(a)に示すように、前記正極集電体11の主面が、前記接着剤部12f〜12jの主面とそれぞれ互いに隣接して連続面を形成する。
なお、本開示において、「正極集電体の主面と接着剤部の主面が互いに隣接して連続面を形成する」とは、正極集電体の主面と接着剤部の主面とが、不連続部となる隙間を有することなく、当該正極集電体の主面と当該接着剤部の主面とが、同一平面となるように形成されていることを意味する。
なお、図2(a)に示す例では、接着剤部12f〜12iを、正極集電体11の四隅の位置配置し、接着剤部jを、正極集電体11の中央部の位置に配置した例を示したが、接着剤部を配置する位置は、必ずしも、上記した位置には限られない。
第二の実施形態において、図2(a)に示す接着剤部12f〜12jの位置以外に、正極集電体11に接着剤部を形成して良い位置は、例えば、前述した第一の実施形態に係る電極積層体において、カーボンコート層13に接着剤部を形成して良い位置として説明したのと同様の位置とすることができる。
ただし、上記したいずれの場合においても、前記接着剤部12f〜12jは、正極集電体11との間に隙間を設けることなく、前記正極集電体11と一続きとなるように配置し、且つ、当該接着剤部12f〜12jと、前記正極集電体11の主面とが、同一平面となるように配置する。
1−3.第三の実施形態
次に、本開示の第三の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体について説明する。
図3は、本開示の第三の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体の一例を説明するための図である。
図3(a)は、第三の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体の構成を説明するために、便宜的に、第三の実施形態に係る電極積層体のカーボンコート層上に正極活物質層を積層する前の構成を示した斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示すカーボンコート層上に正極活物質層を積層した第三の実施形態に係る電極積層体の、図3(a)中A−A´の位置における断面を示したものである。
本開示の第三の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体30は、正極集電体11及び正極集電体11上に形成されたカーボンコート層13を含む集電部36と、正極集電体11のカーボンコート層13が積層された側の主面上に形成された接着剤部12と、を有する集電複合体37を有している。
当該集電複合体37上には、正極活物質層14が積層されており、当該正極活物質層14と集電部36とは、正極集電体11上に形成された接着剤部12m及び12nにより接着されている。
即ち、本開示の第三の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体30は、正極集電体11と、前記正極集電体11上に接着剤部12m及び12nを介して積層された正極活物質層14と、前記正極集電体11と前記正極活物質層14との間に配置されたカーボンコート層13とを有する。
図3(a)に示す例では、接着剤部12m及び12nは、正極集電体11の幅方向両端縁側に、当該正極集電体11の長手方向に沿って延びる一対の層として形成されている。
なお、本開示において、正極集電体11の幅方向とは、正極集電体11の長手方向に対して直交する方向をいう。
カーボンコート層13は、正極集電体11の幅方向中央部、即ち、前記接着剤部12mと接着剤部12nとの間の領域に配置されている。
カーボンコート層13は、図3(b)に示すように、前記接着剤部12mとの間に隙間を設けることなく、当該接着剤部12mと一続きに配置されており、また、接着剤部12nとの間にも、隙間を設けることなく、当該接着剤部12nと一続きに配置されている。
本開示の電極積層体30において、集電部36の正極活物質層14側の主面、即ち、カーボンコート層13の主面と、前記接着剤部12mの正極活物質層14側の主面とは、同一平面となるように形成されており、当該カーボンコート層13の主面と、前記接着剤部12nの正極活物質層14側の主面とは、同一平面となるように形成されている。
本開示の電極積層体30は、図3(b)に示すように、前記カーボンコート層13の主面が、前記接着剤部12mの主面と互いに隣接して連続面を形成し、また、前記接着剤部12nの主面と互いに隣接して連続面を形成することがよい。
カーボンコート層13の厚さは、前記接着剤部12m及び12nと同じ厚さを有する。
接着剤部12m及び12n並びにカーボンコート層13は、前記正極集電体11の前記正極活物質層14と対向する側の主面のうち、電極積層体30を平面視した時、前記正極集電体11と前記正極活物質層14とが重複する領域の全体が、前記接着剤部12m及び12n並びに前記カーボンコート層13で覆われるように、前記正極集電体11上に配置してもよい。
なお、図3に示す例では、接着剤部12m及び12nを、正極集電体11の幅方向の両端縁側に配置した例を示したが、接着剤部12は、正極集電体11の長手方向両端縁側に配置してもよく、正極集電体11の幅方向の両端縁側と、正極集電体11の長手方向の両端縁側の双方に配置するようにしてもよい。また、接着剤部12は、正極集電体11の幅方向の両端縁のうちの一方の端縁側だけに配置するようにしてもよく、正極集電体11の長手方向の両端縁のうちの一方の端縁側だけに配置するようにしてもよい。また、接着剤部12は、正極集電体11の幅方向中央部又は長手方向中央部に配置するようにしてもよい。
ただし、上記したいずれの場合においても、前記カーボンコート層13は、前記接着剤部12との間に隙間を設けることなく、当該接着剤部12と一続きとなるように配置し、且つ、当該カーボンコート層13の主面と、前記接着剤部12の主面とが、同一平面となるように形成されるように配置する。
以上説明した、本開示の電極積層体においては、少なくとも集電体を含む集電部の正極活物質層側の主面と、接着剤部の正極活物質層側の主面とが、同一平面となるように形成された集電複合体を有しており、当該集電複合体上に積層された正極活物質層と集電部とが、接着剤部によって接着されている。
即ち、集電複合体の正極活物質層と接触する側の主面が、段差の無い平らな面を形成している。
このため、当該電極積層体を複数個積層した積層構造体を備えた全固体電池において、充放電サイクルの繰り返しにより拘束圧が上昇しても、当該積層構造体の内部において、応力が局所的に集中する現象を抑制できる。このため、正極活物質層14や正極集電体11におけるクラックや、これに伴う短絡を防止することができる。
また、本開示の電極積層体は、前述した構成とすることにより、当該電極積層体を多数積層した積層構造体を備えた全固体電池において、充放電サイクルの繰り返しにより拘束圧が上昇したときに、積層構造体の内部において、応力が局所的に集中する現象が抑制されているため、正極集電体11と正極活物質層14との間の面圧分布が不均一となる現象(正極集電体11と正極活物質層14との界面の面圧にばらつきがある現象)を抑制することができる。このため、Li堆積(Liデポジット)の発生及び、これに伴う全固体電池の耐久性の低下を抑制することができる。
また、本開示の電極積層体は、正極集電体11と正極活物質層14との間の領域の全体に、接着剤部を形成する構成を採用していないため、全固体電池の抵抗値の過度の上昇を抑制することができる。
また、本開示の第一の実施形態に係る電極積層体10(図1参照)及び第三の実施形態に係る電極積層体30(図3参照)は、正極集電体11と正極活物質層14との間の領域に、カーボンコート層13を配置しているため、当該カーボンコート層13により、正極活物質層14と集電部16との密着性及び正極活物質層14と集電部36との密着性等を向上させることができ、当該正極集電体11と正極活物質層14との間において、高い導電性を得ることができる。
一方、本開示の第二の実施形態に係る電極積層体20は、カーボンコート層を有しないことにより、電極積層体及び当該電極積層体を複数個積層した積層構造体全体の厚さを低減することができ、またコストを低減することができる。
なお、本開示の電極積層体において、集電複合体が有する接着剤部の個数は、単数であってもよく、複数であってもよい。
例えば図1〜3に示すように、集電複合体が接着剤部を複数個有する場合には、当該複数個の接着剤部のいずれの主面も、前記集電部の主面と同一平面となるように配置すればよい。
以上に説明した例では、正極集電体を有する集電部を備えた集電複合体上に正極活物質層を積層し、当該正極活物質層と集電部とを接着剤部によって接着した電極積層体の例を示したが、本開示の電極積層体は、図1〜3に示す形態には限られない。
即ち、本開示の電極積層体は、負極集電体を有する集電部を備えた集電複合体上に負極活物質層を積層し、当該負極活物質層と集電部とを接着剤部によって接着したものであってもよい(図示せず)。
なお、負極集電体を有する集電部を備えた集電複合体上に負極活物質層を積層した電極積層体の構成は、図1〜3に示す電極積層体10〜30において、それぞれ、正極集電体11を負極集電体に変更し、正極活物質層14を負極活物質層に変更すること以外は、図1〜3に示す構成と同様の構成とすることができる。このため、詳細な説明は省略する。
以下に、本開示の全固体電池用の電極積層体の材料について詳述する。
本開示の電極積層体は、活物質層と集電複合体を有する。
(活物質層)
活物質層は正極活物質層であってもよく、負極活物質層であってもよい。
正極活物質層は少なくとも正極活物質を含有し、必要に応じ、導電材、結着剤、及び、固体電解質を含有する。
正極活物質としては、従来公知の材料を用いることができる。正極活物質は、例えば、金属リチウム(Li)、リチウム合金、LiCoO、LiNiCo1−x(0<x<1)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiMnO、異種元素置換Li−Mnスピネル(例えばLiMn1.5Ni0.5、LiMn1.5Al0.5、LiMn1.5Mg0.5、LiMn1.5Co0.5、LiMn1.5Fe0.5、及びLiMn1.5Zn0.5等)、チタン酸リチウム(例えばLiTi12)、リン酸金属リチウム(例えばLiFePO、LiMnPO、LiCoPO、及びLiNiPO等)、LiCoN、LiSiO、及びLiSiO等のリチウム化合物、遷移金属酸化物(例えばV、及びMoO等)、TiS、Si、SiO、並びにリチウム貯蔵性金属間化合物(例えばMgSn、MgGe、MgSb、及びCuSb等)等を挙げることができる。
リチウム合金としては、Li−Au、Li−Mg、Li−Sn、Li−Si、Li−Al、Li−B、Li−C、Li−Ca、Li−Ga、Li−Ge、Li−As、Li−Se、Li−Ru、Li−Rh、Li−Pd、Li−Ag、Li−Cd、Li−In、Li−Sb、Li−Ir、Li−Pt、Li−Hg、Li−Pb、Li−Bi、Li−Zn、Li−Tl、Li−Te、及びLi−At等が挙げられる。
正極活物質の形状は特に限定されず、粒子状及び板状等が挙げられる。
正極活物質層に含有させる固体電解質としては、公知の固体電解質を適宜用いることができ、例えば、LiPO等の酸化物系固体電解質のほか、例えば、LiS:P=50:50〜100:0となるように、LiS及びPを混合して作製した硫化物固体電解質(好ましくは、質量比でLiS:P=70:30となるように、LiS及ぴPを混合して作製した硫化物固体電解質)を用いることができる。
固体電解質の形状は特に限定されず、粒子状及び板状等が挙げられる。
結着剤としては、特に限定されず、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素含有樹脂、ブタジエンゴム(BR)及びスチレン・ブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。
導電材としては、特に限定されず、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ及びカーボンファイバー等の炭素材料並びに金属材料等を挙げることができる。
当該カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーはVGCF(気相法炭素繊維)であってもよい。
正極活物質層の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1000μm以下、中でも10μm以上250μm以下であってもよい。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、特に限定されないが、例えば、50質量%〜90質量%であってもよい。
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有し、必要に応じ、導電材、及び、結着剤及び固体電解質を含有する。
負極活物質としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、Li単体、リチウム合金、炭素材料、Si単体、Si合金、及びLiTi12(LTO)等が挙げられる。
リチウム合金としては、正極活物質に用いられるリチウム合金として例示したリチウム合金等が挙げられる。
Si合金としては、Li等の金属との合金等が挙げられ、その他、Sn、Ge、及びAlからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属との合金であってもよい。
炭素材料としては、例えば、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)及び難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
負極活物質の形状は特に限定されず、粒子状及び板状等が挙げられる。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、特に限定されないが、例えば、20質量%〜90質量%であってもよい。
負極活物質層に用いられる固体電解質は、前述した正極活物質層に使用できるものと同様のものを用いることができる。
負極活物質層に用いられる導電材、及び、結着剤は、前述した正極活物質層に使用できるものと同様のものを用いることができる。
負極活物質層の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1000μm以下であってもよい。
(集電複合体)
集電複合体は、集電部と、接着剤部と、を有する。
集電部は、少なくとも集電体を含み、必要に応じて当該集電体の少なくとも一面上に積層されたカーボンコート層を有する、集電体とカーボンコート層との積層体であってもよい。
集電体は、正極集電体であってもよく、負極集電体であってもよいが、上記活物質層が正極活物質層の場合は、集電体は正極集電体であり、上記活物質層が負極活物質層の場合は、集電体は負極集電体である。
正極集電体は、正極活物質層の集電を行う機能を有するものである。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、Ni、Cr、Au、Pt、Al、Fe、Ti及びZn等の金属材料等が挙げられる。
また、正極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状及びメッシュ状等を挙げることができる。
正極集電体には、外部端子と接続するための正極リードを備えていてもよい。
正極集電体の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1000μm以下であってもよい。
負極集電体は、負極活物質層の集電を行う機能を有するものである。負極集電体の材料としては、例えば、SUS、Cu、Ni、Fe、Ti、Co及びZn等の金属材料が挙げられる。また、負極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状及びメッシュ状等を挙げることができる。
負極集電体には、外部端子と接続するための負極リードを備えていてもよい。
負極集電体の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1000μm以下であってもよい。
カーボンコート層は少なくとも炭素材料を含有し、必要に応じ、結着剤を含有する。
カーボンコート層に含有される炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック及びケッチェンブラックなどのカーボンブラック並びにグラファイト粉末等が挙げられる。
カーボンコート層に含有される結着剤としては、上記正極活物質層に含有させる結着剤と同様のものを用いることができる。
カーボンコート層における炭素材料の含有量は、特に限定されないが、例えば、10質量%〜90質量%であってもよい。また、カーボンコート層における結着剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、10質量%〜90質量%であってもよい。
カーボンコート層としては、例えば、炭素材料を15質量%含有し、結着剤を85質量%含有するものを用いることができる。
カーボンコート層の厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm以上50μm以下であってもよい。カーボンコート層の厚さは、例えば、10μmであってもよい。
カーボンコート層の体積抵抗率は、1×10Ωcm〜10×10Ωcmであってもよい。カーボンコート層の体積抵抗率は、例えば、5×10Ωcmであってもよい。
接着剤部は少なくとも樹脂を含有する。
接着剤部に用いる樹脂としては、融点又は軟化点が電池材料の劣化温度以下である熱可塑性樹脂を使用してもよい。接着剤部に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等が挙げられる。
接着剤部に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(日立化成株式会社製)等が挙げられる。
なお、接着剤部に用いる樹脂としては、それぞれの樹脂の温度依存性を考慮して、電池材料の劣化温度以下の温度で、接着可能な樹脂粘度とすることができる樹脂を適宜選択して用いることができる。
また、接着剤部としては、前述した熱可塑性樹脂を層状に塗布し、乾燥させたものを用いてもよいが、必ずしもそのような形態には限られない。例えば、両面テープとして市販されているものを、接着剤部として用いても良く、粘着剤として市販されているものを、層状に塗布して乾燥させたものを、接着剤部として用いても良い。
接着剤部の厚さは、前記集電部の前記活物質層側の主面と、前記接着剤部の前記活物質層側の主面とが同一平面となるように形成されていれば、特に限定されない。
2.全固体電池用の電極積層体の製造方法
本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法は、少なくとも集電体を含む集電部と、接着剤部と、を有し、当該集電部の主面と当該接着剤部の主面が同一平面となるように形成されている集電複合体を形成する工程(集電複合体形成工程)と、前記集電複合体の前記接着剤部が露出している側の主面上に、活物質層を形成することによって、前記集電部と前記活物質層を前記接着剤部によって接着する工程(接着工程)と、を有する、ことを特徴とする。
本開示の電極積層体を製造する方法は、例えば、(1)集電複合体形成工程と、(2)接着工程を有し、必要に応じて(3)加圧工程等を有する。
(1)集電複合体形成工程
集電複合体形成工程は、
少なくとも集電体を含む集電部と、接着剤部と、を有し、当該集電部の主面と当該接着剤部の主面が同一平面となるように形成されている集電複合体を形成する工程である。
以下、集電複合体形成工程の、(1A)第一の実施形態及び第二の実施形態の場合の一例と、(1B)第三の実施形態の場合の一例について順に説明する。
(1A)第一の実施形態及び第二の実施形態
第一の実施形態に係る電極積層体並びに第二の実施形態に係る電極積層体の製造方法における(1)集電複合体形成工程は、(1−1)凹部形成工程、及び(1−2)第1の接着剤部形成工程を有していてもよい。
図4は、図1に示す本開示の第一の実施形態に係る電極積層体10の製造方法の一例について、その過程を概略的に説明する斜視図であり、図5(b)〜(d)は、それぞれ図4に示す工程のうち、図4(b)〜(d)に示す工程についてのA−A´線断面図である。なお、図5(b)は、図4(b)の領域αについての断面図であり、図5(c)は、図4(c)の領域αについての断面図であり、図5(d)は、図4(d)の領域αについての断面図である。
また、図6は、図2に示す本開示の第二の実施形態に係る電極積層体20の製造方法の一例について、その過程を概略的に説明する斜視図であり、図7は、図6に示す工程のうち、図6(a)に示す領域βについてのA−A´線断面図である。
(1−1)凹部形成工程
凹部形成工程は、集電部の活物質層を積層する側の表面に接着剤部形成用の凹部を形成する工程である(図4(b)、図6(a)参照)。
凹部を形成する集電部としては、集電体とカーボンコート層との積層体であってもよいし(図4(b)参照)、集電体単独であってもよい(図6(a)参照)。
集電部として、集電体とカーボンコート層との積層体を用いる場合、例えば以下のようにして、集電体の表面にカーボンコート層を形成することができる。
先ず、炭素材料と結着剤とを含むカーボンコート層形成用組成物をスラリー状にしたものを、正極集電体11上に塗布して乾燥させて、カーボンコート層13を形成する(図4(a)参照)。
カーボンコート層形成用組成物に含まれる炭素材料及び結着剤としては、カーボンコート層の材料として前述した材料を用いることができる。
カーボンコート層13を形成する位置は、特に限定されないが、例えば、図4(a)に示すように、正極集電体11の長手方向の一方の端縁側の領域を残して、正極集電体11の一面を被覆する層として形成してもよい。
なお、図4(a)に示す工程においては、前記正極集電体11を平面視したときに、当該正極集電体11の主面のうち、後述する(2)接着工程(図4(d)参照)において形成する正極活物質層14と重複する領域の全体が、カーボンコート層13及び後述する(1−2)第1の接着剤部形成工程で形成する接着剤部12a〜12e(図4(c)参照)で覆われるように、当該カーボンコート層13を形成してもよい。
集電部の表面に凹部を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、凹部形成予定位置にレーザー光を照射することにより行うことができる。
レーザー光としては、例えば、パルス幅が10−9秒以下の超短パルスレーザーを用いてもよい。
超短パルスレーザーとしては、ナノ秒パルスレーザー(1×10−9)、ピコ秒パルスレーザー(1×10−12)及びフェムト秒パルスレーザー(1×10−15)を用いてもよい。
中でも、フェムト秒パルスレーザーを用いた場合には、照射対象となる集電部の材料特性に依存することなく、当該集電部に対して、任意の位置に、任意の孔径及び深さを有する凹部を形成することが可能となる。
レーザー光の波長、出力値並びに周波数については、レーザー照射により形成する孔の孔径や集電部の厚さ、及び/又は、材料特性に応じて、適宜調整することができる。
接着剤部形成用の凹部は、集電部の活物質層を積層する側の表面に形成する。
集電体とカーボンコート層との積層体である集電部に凹部を形成する場合には、例えば図4に示すように、まず、正極集電体11上にカーボンコート層13を形成して集電部16を作製した後(図4(a)参照)、当該カーボンコート層13の表面にレーザー光を照射して凹部12a´〜12e´を形成する(図4(b)、図5(b)参照)。この際、図5(b)に示すように、カーボンコート層13には貫通孔を形成してもよい。また、この際、正極集電体11に貫通孔が形成されない程度に、カーボンコート層13に形成された貫通孔の直下に存在する正極集電体11の一部に、凹部を形成してもよい。
また、集電体単独で構成される集電部に凹部を形成する場合には、例えば図7に示すように、正極集電体11の一方の主面にレーザー光を照射して、当該正極集電体11が貫通しないように、所定の深さを有する凹部12f´〜12j´を形成する(図6(a))。
集電部の表面に凹部を形成する方法としては、前述したレーザー光を照射する方法には限られない。例えば、集電部の活物質層側の主面の凹部形成予定位置に、例えば針状部材の先端等を接触させて、当該集電部の表面を抉ることにより、凹部を形成してもよい。
前記凹部を形成する位置は、特に限定されない。前記凹部は、例えば、図4(b)、図6(a)に示すように、前述した集電部の活物質層を積層する側の表面の四隅の位置及び中央部の位置に形成してもよい。
なお、凹部を形成する位置は、前述した位置には限定されず、集電部の活物質層を積層する側の主面の任意の位置に形成することができる。
以上説明したように、接着剤部形成用の凹部を形成する方法として、集電部に対してレーザー光を照射する方法を採用することにより、集電部に対して任意の位置に、任意の個数で当該凹部を形成することができる。
このため、各電極積層体において必要とされる接着力に応じて、凹部の形成位置や個数を適宜調整して、集電部に凹部を形成することが可能となる。このため、接着剤部が存在することによる、発電有効面積の減少を、最小限に抑制することが可能となる。
(1−2)第1の接着剤部形成工程
第1の接着剤部形成工程は、当該凹部に接着剤部形成用組成物を充填する工程である。
具体的には、(1−1)凹部形成工程で形成した凹部に、例えば前述した熱可塑性樹脂等を含む接着剤部形成用組成物を充填して、接着剤部形成用組成物の固化物からなる接着剤部を形成してもよい(図4(c)、図6(b)参照)。
接着剤部形成用組成物に含まれる、熱可塑性樹脂等の樹脂成分としては、接着剤部の材料として前述した材料を用いることができる。
凹部に接着剤部形成用組成物を充填する方法としては、従来公知の充填方法を用いることができる。
当該接着剤部を複数個形成する場合は、それぞれの接着剤部の主面が、当該集電部の主面と同一平面となるように形成する。
例えば図4に示すように、集電部として、正極集電体11とカーボンコート層13との積層体からなる集電部16を用いた場合、少なくともカーボンコート層13の一部に形成した接着剤部12a〜12eのそれぞれの主面が、集電部16の主面、即ちカーボンコート層13の主面と同一平面となるように形成する(図4(c)参照)。これにより、集電複合体17を得る。この場合、接着剤部12は、カーボンコート層13との間に隙間を設けることなく、当該接着剤部12が、前記カーボンコート層13と一続きに配置されるように形成する。
また、例えば図6に示すように、正極集電体11単独で構成される集電部26を用いた場合、正極集電体11の一部に形成した接着剤部12f〜12jのそれぞれの主面が、集電部26の主面、即ち正極集電体11の主面と同一平面となるように形成する(図6(b)参照)。これにより、集電複合体27を得る。この場合、接着剤部12は、正極集電体11との間に隙間を設けることなく、当該接着剤部12が、前記正極集電体11と一続きに配置されるように形成する。
即ち、接着剤部12は、当該接着剤部12の主面が、前記集電部11の正極活物質層14が積層される側の主面と互いに隣接して、連続面を形成するように形成する。
具体的には、接着剤部形成用組成物を、前記凹部の全体に隙間なく充填することがよい。
(1B)第三の実施形態
第三の実施形態に係る電極積層体の製造方法における(1)集電複合体形成工程は、(1−3)カーボンコート層形成工程、及び(1−4)第2の接着剤部形成工程を有していてもよい。
図8は、図3に示す本開示の電極積層体30の製造方法の一例について、その過程を概略的に説明する斜視図である。
図8を参照しつつ、本開示の第三の実施形態に係る電極積層体の製造方法について説明する。
(1−3)カーボンコート層形成工程
カーボンコート層形成工程は、集電体の少なくとも一面にカーボンコート層を形成して集電体とカーボンコート層を有する集電部を作製する工程である(図8(a)参照)。
カーボンコート層は、前述した工程(1−1)において説明したのと同様のカーボンコート層形成用組成物を用いて形成することができる。
工程(1−3)において、カーボンコート層13を形成する位置は、特に限定されないが、例えば、図8(a)に示すように、正極集電体11の主面の幅方向中央部に、当該正極集電体11の長手方向に沿って帯状に延びる層として形成してもよい。
(1−4)第2の接着剤部形成工程
第2の接着剤部形成工程は、前記集電体の前記カーボンコート層を形成した側の表面に接着剤部を形成する工程である。
第2の接着剤部形成工程では、接着剤部形成用組成物を、正極集電体11上に塗布して、層状の接着剤部12m及び12nを形成してもよい(図8(b)参照)。これにより、集電複合体37を得る。
接着剤部形成用組成物としては、前述した(1−2)第1の接着剤部形成工程で用いた接着剤部形成用組成物と同様の組成物を用いることができる。
接着剤部12を積層する位置は、特に限定されない。但し、接着剤部12は、前記カーボンコート層13との間に隙間を設けることなく、当該接着剤部12が、前記カーボンコート層13と一続きに配置されるように形成し、正極集電体11の主面上の領域のうち、カーボンコート層13を積層していない領域全体に、接着剤部12を積層してもよい。
例えば図8(a)に示すように、カーボンコート層13を、正極集電体11の幅方向中央部に形成した場合、接着剤部12は、正極集電体11の主面上の領域のうち、カーボンコート層13を積層していない、正極集電体11の幅方向両端縁側の領域(図8(a)において、11α、11βで示す領域)に、当該正極集電体11の長手方向に沿って延びる一対の層として形成してもよい。
接着剤部12m及び12nは、それぞれの主面が、集電部36の主面であるカーボンコート層13の主面と同一平面となるように形成する。
また、接着剤部12m及び12nは、当該接着剤部12mの主面及び接着剤部12nの主面が、それぞれ、前記カーボンコート層13の主面と互いに隣接して、連続面を形成するように形成する。
このような構成は、例えば、接着剤部12m及び12nの厚さを、いずれも、カーボンコート層13の厚さと同じ厚さとすることにより、形成してもよい。
図8(b)に示す工程においては、前記正極集電体11を平面視したときに、当該正極集電体11の主面のうち、後述する(2)接着工程(図8(c)参照)において形成する正極活物質層14と重複する領域の全体が、前記接着剤部12m、12n及び前記カーボンコート層13で覆われるように、接着剤部12m及び12nを形成することが好ましい。
(2)接着工程
接着工程は、前記集電複合体の前記接着剤部が露出している側の主面上に、活物質層を形成することによって、前記集電部と前記活物質層を前記接着剤部によって接着する工程である。
接着工程は、例えば、正極活物質、固体電解質、結着剤及び必要に応じて導電材を含む正極活物質層形成用組成物をスラリー状にしたものを、集電複合体の前記接着剤部が露出している側の表面に塗布して乾燥させて、正極活物質層を当該集電複合体上に形成してもよい。これにより、前記集電部と前記活物質層を前記接着剤部によって接着し、電極積層体を得ることができる(図4(d)、図6(c)、及び、図8(c)参照)。
正極活物質層形成用組成物に含まれる、正極活物質、固体電解質、結着剤及び導電材としては、正極活物質層の材料として前述した材料を用いることができる。
具体的には、図4に示す第一の実施形態の例では、前記集電複合体17の前記接着剤部12a〜12eが露出している側の主面である、カーボンコート層13の主面(図4(c)参照)上に、正極活物質層14を形成し、前記集電部16と前記正極活物質層14を前記接着剤部12a〜12eによって接着することにより、電極積層体10を得てもよい(図4(d)参照)。
また、図6に示す第二の実施形態の例では、前記集電複合体27の前記接着剤部12f〜12jが露出している側の主面、即ち、正極集電体11の接着剤部12f〜12jが露出している側の主面(図6(b)参照)上に、正極活物質層14を形成し、前記集電部26と前記正極活物質層14を前記接着剤部12f〜12jによって接着することにより、電極積層体20を得てもよい(図6(c)参照)。
さらに、図8に示す第三の実施形態の例では、前記集電複合体37の前記接着剤部12m及び12nが露出している側の主面(図8(b)参照)上に、正極活物質層14を形成し、前記集電部36と前記正極活物質層14を前記接着剤部12m及び12nによって接着することにより、電極積層体30を得てもよい(図8(c)参照)。
(3)加圧工程
加圧工程は、前述した(2)接着工程で作製した電極積層体を積層方向に加圧する工程である(図示せず)。加圧工程において電極積層体を加圧する手段は特に限定されず、公知の手段によって加圧することができる。加圧工程においては、加熱下に加圧することが好ましい。
電極積層体を加圧する方法としては、特に限定されず、例えば機械加圧及びガス加圧等が挙げられる。
機械加圧としては、モーターを駆動してボールネジを介して電極積層体の積層方向に加圧する方法、及び、モーターを駆動して油圧を介して電極積層体の積層方向に加圧する方法等を挙げることができる。このとき、所望の圧力まで加圧又は降圧した後、メカニカルストッパーを用いてプレス機の稼動部を固定することにより、モーターの駆動に必要なエネルギーの消費を必要最低限に抑制することができる。
ガス加圧としては、例えば、ガスボンベ等から供給される加圧ガスを介して電極積層体を加圧する方法を挙げることができる。
電極積層体を加圧するときの圧力は例えば1MPaであってもよく、加熱温度は例えば140℃であってもよい。
なお、図4〜図8に示す例では、正極集電体を有する集電部を備えた集電複合体の前記接着剤部が露出している側の主面上に、正極活物質層を形成して、電極積層体を得る製造方法の例を示したが、本開示の電極積層体の製造方法は、負極集電体を有する集電部を備えた集電複合体の前記接着剤部が露出している側の主面上に、負極活物質層を形成して、電極積層体を得る製造方法とすることも可能である。
当該製造方法とする場合には、正極集電体11に代えて負極集電体を用い、正極活物質層形成用組成物に代えて、負極活物質、固体電解質、結着剤及び必要に応じて導電材を含む負極活物質層形成用組成物を用いること以外は、図4〜図8を用いて説明したのと同様の方法により、行うことができる。
なお、負極活物質層形成用組成物に含まれる、負極活物質、固体電解質、結着剤及び導電材としては、上記負極活物質層の材料として用いられる材料を用いることができる。
3.全固体電池
3−1.第一の実施形態
図9は、本開示の第一の実施形態に係る電極積層体10を備えた、全固体電池100の一例を示す断面模式図である。
全固体電池100は、正極集電体11及びカーボンコート層13を含む集電部16と、前記カーボンコート層13の一部に形成された接着剤部12a〜12eとを有する集電複合体17と、当該集電複合体17上に積層された正極活物質層14とを含む、正極側の電極積層体10と、負極活物質層19及び負極集電体18を含む負極側の電極積層体40と、正極側の電極積層体10と負極側の電極積層体40との間に配置される固体電解質層15を備える。
全固体電池100に備えられた正極側の電極積層体10は、本開示の第一の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体(図1参照)であるため、ここでの正極側の電極積層体10の説明は省略する。
3−2.第二の実施形態
図10は、本開示の第二の実施形態に係る電極積層体20を備えた、全固体電池200の一例を示す断面模式図である。
全固体電池200は、図9に示す全固体電池100において、正極側の電極積層体10に代えて、図2に示す正極側の電極積層体20を備えた全固体電池である。
全固体電池200に備えられた正極側の電極積層体20は、本開示の第二の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体20(図2参照)であるため、ここでの正極側の電極積層体20の説明は省略する。
3−3.第三の実施形態
図11は、本開示の第三の実施形態に係る電極積層体30を備えた、全固体電池300の一例を示す断面模式図である。
全固体電池300は、図9に示す全固体電池100において、正極側の電極積層体10に代えて、図3に示す正極側の電極積層体30を備えた全固体電池である。
全固体電池300に備えられた正極側の電極積層体30は、本開示の第三の実施形態に係る全固体電池用の電極積層体30(図3参照)であるため、ここでの正極側の電極積層体30の説明は省略する。
全固体電池100〜300に備えられる負極側の電極積層体40の負極活物質層は、前述した本開示の全固体電池用の電極積層体の活物質層として備えられる負極活物質層に使用できるものと同様のものを用いることができる。
また、全固体電池100〜300に備えられる負極側の電極積層体40の負極集電体は、前述した本開示の全固体電池用の電極積層体の集電体として備えられる負極集電体に使用できるものと同様のものを用いることができる。
本開示の全固体電池に備えられる固体電解質層は、少なくとも固体電解質を含有し、必要に応じて結着剤等を含有していても良い。
固体電解質層に用いられる固体電解質は、全固体電池に使用可能な公知の固体電解質であれば、特に限定することなく用いることができ、例えば、前述した正極活物質層又は負極活物質層に使用できるものと同様のものを用いることができる。
固体電解質の形状は特に限定されず、粒子状及び板状等が挙げられる。
固体電解質層に用いられる結着剤は前述した正極活物質層に用いるものと同様のものを用いることができる。
固体電解質層の厚さは、電解質の種類や電池の構成等によって異なるものであり、特に限定されないが、例えぱ、0.1μm以上1000μm以下の範囲内、中でも0.1μm以上300μm以下の範囲内であってもよい。
本開示の全固体電池は、必要に応じ、正極側の電極積層体、負極側の電極積層体及び固体電解質層を収容する外装体を備える。
外装体の材質は、電解質に安定なものであれば特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び、アクリル樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、本開示の全固体電池は、必要に応じ、正極側の電極積層体、負極側の電極積層体及び固体電解質層を有する積層構造体を積層方向に加圧して拘束する拘束部材を備えてもよい。
本開示の全固体電池は、電源として使用されるときに電極部(正極活物質層及び負極活物質層の存在領域)に印加される圧力が1MPa以上45MPa以下であってもよい。電池を使用しないときに電極部に印加される圧力としては、0MPa以上1MPa以下であってもよい。
全固体電池としては、リチウム電池、ナトリウム電池、マグネシウム電池及びカルシウム電池等を挙げることができ、中でも、リチウム電池であってもよい。
本開示の電極積層体を備えた全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型及び角型等が挙げられる。
本開示の電極積層体を備えた全固体電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも二次電池であってもよい。繰り返し充放電でき、例えば、車載用電池等として有用だからである。
本開示の電極積層体を備えた全固体電池を車載用電池として用いる場合、対象となる車両としては、電池を搭載しエンジンを搭載しない電気自動車並びに電池及びエンジンの双方を搭載するハイブリッド自動車等が挙げられる。
なお、図9〜11に示す全固体電池100〜300は、正極集電体を有する集電部を備えた集電複合体上に正極活物質層を形成し、当該正極活物質層と集電部とを接着剤部によって接着した電極積層体10〜30を備えた例を示したが、本開示の全固体電池は、これらには限定されない。即ち、本開示の全固体電池は、負極集電体を有する集電部を備えた集電複合体上に負極活物質層を形成し、当該負極活物質層と集電部とを接着剤部によって接着した電極積層体を備えた構成であってもよい。
4.全固体電池の製造方法
4−1.第一の実施形態
図9に示す第一の実施形態に係る全固体電池100は、例えば、以下に示す工程を経て製造することができる。
まず、前述した全固体電池用の電極積層体の製造方法における、(1)集電複合体形成工程及び(2)接着工程で説明したのと同様にして、正極集電体11及びカーボンコート層13を含む集電部16と、前記カーボンコート層13の一部に形成された接着剤部12a〜12eとを有する集電複合体17と、当該集電複合体17上に積層された正極活物質層14と、を有する正極側の電極積層体10(図4(d)参照)を作製する。
次いで、負極活物質、固体電解質、結着剤及び必要に応じて導電材を含む負極活物質層形成用組成物をスラリー状にしたものを、負極集電体18の上に塗布して乾燥させて、負極活物質層19を形成し、負極活物質層19及び負極集電体18を有する接合体(不図示)を作製する。
負極活物質層形成用組成物に含まれる、負極活物質、固体電解質、結着剤及び導電材としては、負極活物質層の材料として前述した材料を用いることができる。
次いで、固体電解質と結着剤を含む固体電解質層形成用組成物を、正極活物質層14と負極活物質層19とにそれぞれ塗布して、正極活物質層14上と負極活物質層19上とのそれぞれに、固体電解質層15の一部を積層する。その後、当該固体電解質層15の一部同士を合わせるようにして重ねた後、必要に応じて得られた積層構造体を積層方向に加圧することによって、正極集電体11、カーボンコート層13、正極活物質層14、固体電解質層15、負極活物質層19、及び負極集電体18が、この順で積層された積層構造体を有する第一の実施形態に係る全固体電池100を作製することができる。
なお、加圧方法及び加圧条件は、前述した(3)加圧工程で説明したのと同様にして行うことができる。
4−2.第二の実施形態
図10に示す第二の実施形態に係る全固体電池200は、例えば、以下に示す工程を経て製造することができる。
まず、前述した全固体電池用の電極積層体の製造方法における、(1)集電複合体形成工程及び(2)接着工程で説明したのと同様にして、正極集電体11からなる集電部26と、前記正極集電体11の一部に形成された接着剤部12f〜12jとを有する集電複合体27と、当該集電複合体27上に積層された正極活物質層14と、を有する正極側の電極積層体20(図6(c)参照)を作製する。その後の工程は、第一の実施形態に係る全固体電池100の製造方法と同様にして、第二の実施形態に係る全固体電池200を作製することができる。
4−3.第三の実施形態
図11に示す第三の実施形態に係る全固体電池300は、例えば、以下に示す工程を経て製造することができる。
まず、前述した全固体電池用の電極積層体の製造方法における、(1)集電複合体形成工程及び(2)接着工程で説明したのと同様にして、正極集電体11及びカーボンコート層13を含む集電部36と、前記正極集電体11のカーボンコート層13が積層された側の主面上に形成された接着剤部12m及び12nとを有する集電複合体37と、当該集電複合体37上に積層された正極活物質層14と、を有する正極側の電極積層体30(図8(c)参照)を作製する。その後の工程は、第一の実施形態に係る全固体電池100の製造方法と同様にして、第三の実施形態に係る全固体電池300を作製することができる。
5.積層型の全固体電池
図12は、図9に示す全固体電池を複数個積層した、積層型の全固体電池を概略的に示す断面図である。
図12に示す積層型の全固体電池は、正極集電体11とカーボンコート層13とを含む集電部16の正極活物質層14側の主面と、接着剤部12の正極活物質層14側の主面とが、同一平面となるように形成された集電複合体17を有しており、前記集電複合体17上に積層された正極活物質層14と、前記集電部16とが、前記接着剤部12によって接着されている。
このため、集電複合体16の正極活物質層14と接触する側の面全体が、段差の無い平らな面となっている。
従って、図12に示す積層型の全固体電池は、図13に示す積層型の全固体電池が有するような、大きい段差を有しないため、充放電サイクルを繰り返したときに、正極活物質層14や正極集電体11にクラックが生じて短絡が発生すること、及び、全固体電池の耐久性が低下することを抑制することができる。
なお、図12に示す積層型の全固体電池は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、負極集電体18の両面に、負極活物質層19、固体電解質層15、正極活物質層14を、この順に積層した積層構造体を作製する。各層の製造工程は、前述した全固体電池の製造方法において説明したのと同様の手順で行うことができるため、詳細な説明は省略する。次いで、前述した第一の実施形態に係る電極積層体の製造方法における、(1)集電複合体形成工程で説明したのと同様の手順で、集電複合体17を作製する。次いで、前記集電複合体17の接着剤部12が露出している側の主面を、前述した積層構造体の正極活物質層14と重ね合わせて、当該集電複合体17上に、前記積層構造体を積層する。この手順を繰り返すことにより、図12に示す積層型の全固体電池を得ることができる。
10、20、30 全固体電池用の電極積層体
11 正極集電体
12、12a〜12n 接着剤部
12a´〜12j´ 凹部
13 カーボンコート層
14 正極活物質層
15 固体電解質層
16、26、36 集電部
17、27、37 集電複合体
18 負極集電体
19 負極活物質層
40 負極側の電極積層体
50 従来の電極積層体(正極側)
60 従来の電極積層体(負極側)
100、200、300 全固体電池
R 段差
P 拘束圧

Claims (2)

  1. 少なくとも集電体を含む集電部と、接着剤部と、を有する集電複合体と、
    前記集電複合体上に積層された活物質層と、を有し、
    前記集電部の前記活物質層側の主面と、前記接着剤部の前記活物質層側の主面とは、同一平面となるように形成され、前記集電部と前記活物質層は前記接着剤部によって接着されている、ことを特徴とする、全固体電池用の電極積層体。
  2. 少なくとも集電体を含む集電部と、接着剤部と、を有し、当該集電部の主面と当該接着剤部の主面が同一平面となるように形成されている集電複合体を形成する工程と、
    前記集電複合体の前記接着剤部が露出している側の主面上に、活物質層を形成することによって、前記集電部と前記活物質層を前記接着剤部によって接着する工程と、を有する、ことを特徴とする、全固体電池用の電極積層体の製造方法。
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