JP2020092002A - 全固体電池用の電極積層体の製造方法 - Google Patents

全固体電池用の電極積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】全固体電池の安全性を向上させることができ、かつ、全固体電池の耐久性を向上させることができ、かつ、作業効率を向上させることが可能な、全固体電池用の電極積層体の製造方法を提供する。【解決手段】集電体と、活物質層とを有する全固体電池用の電極積層体を製造する方法であって、前記集電体上又は前記活物質上に、導電材とポリマーとを含むPTC層形成用組成物を塗布してPTC層を積層する第一の積層工程と、前記PTC層の欠損部を検知する検知工程と、少なくとも前記検知工程で欠損部が検知された場合に、当該欠損部に、導電材と、ポリマーと、接着剤とを含む塗布部形成用組成物を塗布して、塗布部を形成する塗布部形成工程と、前記検知工程を経た後のPTC層上に、活物質層又は集電体を積層する第二の積層工程と、を有することを特徴とする、全固体電池用の電極積層体の製造方法。【選択図】図2

Description

本開示は、全固体電池用の電極積層体の製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラ及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。
これらの用途に用いられる電池として、集電体と、正極活物質層又は負極活物質層(以下、単に活物質層ということがある)とを有する電極積層体を積層した全固体電池が知られている。
全固体電池においては、前記したように、高電圧・高容量のものが求められており、前述した電極積層体を、多数積層した積層型の全固体電池に対する需要が高まっている。
例えば特許文献1では、一の電池ユニットの集電体と、該集電体に隣接して積層された他の電池ユニットとを、熱可塑性樹脂を用いて接着することで、複数の電池ユニットを固定した、全固体電池が開示されている。
このような、高容量の電池においては、短絡時や誤用時の温度上昇を抑える技術や短絡防止のための技術等、さまざまな安全性向上のための技術が検討されている。
例えば特許文献2には、正極活物質層と正極集電体層との間、及び、負極活物質層と負極集電体層との間の少なくともどちらか一方に、導電材と絶縁性無機物とポリマーとを含有するPTC膜を備えることで、拘束圧力の影響による電子抵抗の低下を抑制し、前記PTC膜により安全性を向上させるようにした、全固体電池が開示されている。
特開2017−204377号公報 特開2018−014286号公報
特許文献2に記載されているように、集電体−活物質層間にPTC層を備えた全固体電池では、短絡が発生していない正常状態での使用時には、前記PTC層において良好な導電性を維持し、且つ、短絡時には、当該PTC層により抵抗を増大させて電流量を制限することで、安全性を向上させることが可能となる。
しかしながら、特許文献2に記載されているように、集電体と活物質層との間に、PTC層を配置した場合でも、短絡時に抵抗が十分に増大せず、必ずしも、安全性を向上させられないことがある。
また、特許文献2に記載されているように、集電体−活物質層間にPTC層を備えた全固体電池では、当該全固体電池を構成する各層間の密着性を向上させるために、全固体電池の積層方向に拘束圧力をかけたときに、各層の界面に所望の面圧がかからないことがある。この場合、全固体電池を構成する各層の界面における密着性が不足し、全固体電池としての耐久性が低下するという問題がある。
また、前記した集電体−活物質層間は、一般に、接着性が得られにくい。このため、これらの層間の接着性を向上させるために、集電体と活物質層との間に、接着剤を塗布する工程を別途設けた場合(例えば特許文献1に記載されている態様)、その分、作業工程が増えるため、全固体電池を作製するために要する作業が煩雑となるという不具合がある。
上記実情に鑑み、本開示は、全固体電池の安全性を向上させることができ、かつ、全固体電池の耐久性を向上させることができ、かつ、作業効率を向上させることが可能な、全固体電池用の電極積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法は、集電体と、活物質層とを有する全固体電池用の電極積層体を製造する方法であって、前記集電体上又は前記活物質上に、導電材とポリマーとを含むPTC層形成用組成物を塗布してPTC層を積層する第一の積層工程と、前記PTC層の欠損部を検知する検知工程と、少なくとも前記検知工程で欠損部が検知された場合に、当該欠損部に、導電材と、ポリマーと、接着剤とを含む塗布部形成用組成物を塗布して、塗布部を形成する塗布部形成工程と、前記検知工程を経た後のPTC層上に、活物質層又は集電体を積層する第二の積層工程と、を有することを特徴とする。
本開示によれば、全固体電池の安全性を向上させることができ、かつ、全固体電池の耐久性を向上させることができ、かつ、作業効率を向上させることが可能な、全固体電池用の電極積層体の製造方法を提供することができる。
本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法に含まれる工程を示すフローチャート図である。 本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法の一例について、その過程を概略的に示す断面図である。 図2に示す工程のうち、図2(a)〜(d)に示す工程についての斜視図である。 本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法の一例について、その過程を概略的に示す斜視図である。 本開示の製造方法により製造された全固体電池用の電極積層体の一例を示す断面模式図である。 本開示の電極積層体を備えた、全固体電池の一例を示す断面模式図である。 従来の全固体電池用の電極積層体の製造方法について、その過程を概略的に示す断面図である。
1.全固体電池用の電極積層体の製造方法
本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法は、集電体と、活物質層とを有する全固体電池用の電極積層体を製造する方法であって、前記集電体上又は前記活物質上に、導電材とポリマーとを含むPTC層形成用組成物を塗布してPTC層を積層する第一の積層工程と、前記PTC層の欠損部を検知する検知工程と、少なくとも前記検知工程で欠損部が検知された場合に、当該欠損部に、導電材と、ポリマーと、接着剤とを含む塗布部形成用組成物を塗布して、塗布部を形成する塗布部形成工程と、前記検知工程を経た後のPTC層上に、活物質層又は集電体を積層する第二の積層工程と、を有することを特徴とする。
本開示において、PTCとは、「Positive Temperature Coefficient(正温度係数)」であって、PTC層は、温度上昇に伴って、電子抵抗が正の係数を持って変化する性質であるPTC特性を備える層のことを言う。
このようなPTC層を、全固体電池の集電体と活物質層との間に設けることで、短絡が発生していない正常状態での使用時には、PTC層において良好な導電性を維持することができ、また、短絡により全固体電池の温度が上昇したときには、PTC層に含まれるポリマーが体積膨張して当該PTC層の抵抗が増大することで、全固体電池を流れる電流量を制限し、安全性を向上することが可能となる。
最初に、従来の、PTC層を備えた全固体電池用の電極積層体の製造方法の問題を説明した上で、本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法について説明する。
図7は、従来の全固体電池用の電極積層体の製造方法について、その過程を概略的に示す断面図である。
全固体電池に備えられるPTC層13は、例えば、当該PTC層13の構成成分を含むPTC層形成用組成物をスラリー状にしたものを、集電体11等に塗布・乾燥することにより作製されている(図7(a)参照)。
このようにして形成されたPTC層13には、PTC層形成用組成物を塗布したときに発生した塗布抜け部に起因して、一部に欠損部50が生じることがあった。このような、欠損部50を有するPTC層13上に、活物質層14を積層して積層体30を作製した場合(図7(b)参照)、当該積層体30を、他の積層体と積層して積層構造体40を作製し(図7(c)参照)、当該積層構造体40に含まれる各層の界面の密着性を向上させるために、積層構造体40の積層方向に高い拘束圧力Pをかけても(図7(d)参照)、各層の界面における密着性が十分に向上せず、全固体電池としての耐久性が低下するという問題があった。
これは以下の理由によると考えられる。
即ち、PTC層の一部に欠損部50が存在していると、当該欠損部50には、積層方向に加えられた拘束圧力Pによる面圧P1がかからないため、その直上又は直下に存在する各層間の界面にかかる面圧が低下し、各層間の界面における面圧分布が不均一となる。
従って、面圧が低下した領域の各層の界面では、密着性が低下するため、このような部分的な密着性の低下に起因して、全固体電池としての耐久性が低下する。
また、全固体電池に備えられたPTC層13の一部に欠損部50が存在していると、当該欠損部50において、PTC層13以外の異物と集電体11とが接触する可能性がある。そのような状態で、当該全固体電池において短絡が発生した場合、集電体11と異物との接触部分において、抵抗が低下し、PTC層13により抵抗を増大させる機能が損なわれるため、全固体電池に流れる電流量を十分に制限することができず、安全性を確保できない虞がある。
一方、集電体11上又は活物質層14上に形成されたPTC層13の一部に、欠損部50が存在していることが確認された場合に、当該PTC層13と集電体11との積層体又は当該PTC層13と活物質層14との積層体を、全固体電池の構成部材として使用せずに廃棄した場合には、その分、製造コストが増大するという問題があった。
しかしながら、以下に説明するように、本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法によれば、上記問題を解決することができる。
図1は、本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法に含まれる工程を示すフローチャート図である。
本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法は、図1に示すように、第一の積層工程(以下、「S11」と示すことがある)と、検知工程(以下、「S12」と示すことがある)と、塗布部形成工程(以下、「S13」と示すことがある)と、第二の積層工程(以下、「S14」と示すことがある)と、を有する。
図2(a)〜(e)は、本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法の一例について、その過程を概略的に示す断面図であり、図3は、図2に示す工程のうち、図2(a)〜(d)に示す工程についての斜視図である。なお、図2(a)は、図3(a)のA−A´線断面図であり、図2(b)は、図3(b)のA−A´線断面図であり、図2(c)は、図3(c)のA−A´線断面図であり、図2(d)は、図3(d)のA−A´線断面図である。
図2を参照しつつ、本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法について説明する。
<第一の積層工程(S11)>
S11は、集電体上又は活物質上に、導電材とポリマーとを含むPTC層形成用組成物を塗布してPTC層を積層する工程である(図2(a)、図3(a)参照)。
図2(a)〜(e)、図3(a)〜(d)に示す例では、S11において、集電体11上に、PTC層形成用組成物を塗布してPTC層13を積層し、積層体10aを作製する場合について説明する。
なお、S11は、図2(a)に示すような、集電体11上に、PTC層形成用組成物を塗布してPTC層13を積層する形態に限られず、活物質層上に、PTC層形成用組成物を塗布してPTC層13を積層してもよい。
集電体11は、正極集電体であってもよく、負極集電体であってもよい。
正極集電体は、正極活物質層の集電を行う機能を有するものである。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、Ni、Cr、Au、Pt、Al、Fe、Ti、Zn等の金属材料等が挙げられる。
また、正極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状等を挙げることができる。
正極集電体には、外部端子と接続するための正極リードを備えていてもよい。
負極集電体は、負極活物質層の集電を行う機能を有するものである。負極集電体の材料としては、例えば、SUS、Cu、Ni、Fe、Ti、Co、Zn等の金属材料が挙げられる。また、負極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状等を挙げることができる。
負極集電体には、外部端子と接続するための負極リードを備えていてもよい。
PTC層形成用組成物に含有される導電材としては、所望の電子伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、炭素材料を挙げることができる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックや、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等の炭素繊維や、活性炭、カーボン、グラファイト、グラフェン、フラーレン等を挙げることができ、中でも上記カーボンブラックを用いることが好ましい。上記カーボンブラックは、添加量に対する電子伝導度が高いという利点を有するからである。なお、導電材としては、前述した炭素材料から選択される一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。導電材の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、粒子状を挙げることができる。導電材の平均一次粒子径は、例えば、10nm以上200nm以下であることが好ましく、15nm以上100nm以下であることがより好ましい。ここで、導電材の平均一次粒子径は、例えば、SEM(走査型電子顕微鏡)等の電子顕微鏡を用いた画像解析に基づいて30個以上の一次粒子径を測定し、それらの算術平均として得られる値を採用することができる。
PTC層形成用組成物に含有される導電材の含有割合は、後述する塗布・乾燥処理の後に形成されるPTC層における導電材の含有量が、所望の範囲となるように、適宜調整することがよい。
前記PTC層形成用組成物は、固形分換算で、当該PTC層形成用組成物の全体を100質量%として、前記導電材を、50質量%以下、より好ましくは、30質量%以下の範囲で、含むことがよい。PTC層としては、温度上昇時に電子抵抗を増加させられるようにすることが良いが、PTC層における導電材の含有量が多すぎると、ポリマーの体積膨張によって、導電材間の距離を長くすることができずに、電子抵抗の増加が不十分となる虞があるためである。
尚、本開示において、「固形分換算で」とは、例えば、PTC層形成用組成物全体に占める導電材の質量比を特定するにあたって、溶媒等の液体は換算しないことを意味する。
また、前記PTC層形成用組成物は、固形分換算で、当該PTC層形成用組成物の全体を100質量%として、前記導電材を、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上の範囲で、含むことがよい。前記PTC層としては、通常使用時に安定した電子伝導性を確保できるようにすることが良いが、導電材の含有量が少な過ぎると、形成される導電パスが減少し、当該PTC層の電子伝導性が低くなる虞があるためである。
例えば、導電材としてカーボンブラックを用いた場合、固形分換算で、前記PTC層形成用組成物の全体を100質量%として、前記導電材を、8質量%以上50質量%以下の範囲で含むことがよい。
PTC層形成用組成物に含有されるポリマーとしては、温度上昇時に体積膨張できるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール等を挙げることができる。なお、ポリマーとしては、前述した熱可塑性樹脂から選択される一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリマーの融点は、電池の通常使用時の温度よりも高い温度であれば良く、例えば、80℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましい。融点は、例えば、示差熱分析(DTA)により測定することができる。
PTC層形成用組成物に含有されるポリマーの含有割合は、後述する塗布・乾燥処理の後に形成されるPTC層におけるポリマーの含有量が、所望の範囲となるように、適宜調整すればよい。
前記PTC層形成用組成物は、固形分換算で、当該PTC層形成用組成物の全体を100質量%として、前記ポリマーを、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上の範囲で、含むことがよい。PTC層としては、温度上昇時に電子抵抗を増加させられるようにすることが良いが、前記PTC層におけるポリマーの含有量が少なすぎると、体積膨張したポリマーによって、導電材間の距離を長くすることができずに、電子抵抗の増加が不十分となる虞があるためである。
また、前記PTC層形成用組成物は、固形分換算で、当該PTC層形成用組成物の全体を100質量%として、前記ポリマーを、90質量%以下、より好ましくは、80質量%以下の範囲で、含むことがよい。前記PTC層としては、通常使用時に安定した電子伝導性を確保できるようにすることが良いが、ポリマーの含有量が多すぎると、導電材により形成される導電パスがポリマーにより阻害され、前記PTC層の電子伝導性が低くなる虞があるためである。
前記PTC層形成用組成物は、固形分換算で、当該PTC層形成用組成物の全体を100質量%として、前記導電材を15質量%、前記ポリマーを85質量%含んでいてもよい。
なお、前記PTC層形成用組成物は、前述した導電材及びポリマーの他に、必要に応じて、絶縁性無機物を含有してもよい。
絶縁性無機物としては、絶縁性を有し、融点が後述するポリマーの融点よりも高いものであれば特に限定されるものではないが、例えば、金属酸化物や金属窒化物を挙げることができる。金属酸化物としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ等を挙げることができ、金属窒化物としては、例えば、窒化ケイ素等を挙げることができる。また、絶縁性無機物としては、例えば、セラミック材料を挙げることができる。また、絶縁性無機物の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、粒子状を挙げることができる。絶縁性無機物が粒子状である場合、絶縁性無機物は一次粒子でも二次粒子でも良い。絶縁性無機物の平均粒径(D50)は、例えば、50nm以上5μm以下であることが好ましく、100nm以上2μm以下であることがより好ましい。
本開示において、平均粒径(D50)は、特記しない限り、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定により測定される、粒子の粒径を小さい順に並べた場合に、粒子の累積体積が全体の体積の半分(50%)となる径(体積平均径)である。
PTC層形成用組成物が、絶縁性無機物を含有する場合、前記PTC層形成用組成物は、固形分換算で、当該PTC層形成用組成物の全体を100質量%として、前記絶縁性無機物を、85質量%以下の範囲で、含むことがよい。
第一の積層工程において、前記集電体11上に、前記PTC層形成用組成物を塗布してPTC層を積層する具体的な方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のような方法がある。
先ず、前述した導電材とポリマーとを含むPTC層形成用組成物を、例えば、N−メチルピロリドン等の分散媒により分散させたPTC層用ペーストを作製し、集電体11上に塗布して乾燥させることにより、PTC層を積層する。
分散媒としては、前述したN−メチルピロリドンには限定されず、例えば、ヘプタン、酪酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール類や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等、或いは、これらの混合物を用いてもよい。
分散方法としては、特に限定されないが、例えば、ホモジナイザー、ビーズミル、シェアミキサー、ロールミル等が挙げられる。
PTC層用ペーストの塗布方法、乾燥方法等は適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法などが挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。減圧乾燥、加熱乾燥における具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。
前記集電体11上に塗布するPTC層形成用組成物の量は、塗布・乾燥処理後に形成されるPTC層13の厚さが所望の厚さとなるように、適宜調整すればよい。
前記PTC層11の厚さは、1μm以上20μm以下であることが好ましく、1μm以上15μm以下であることがより好ましい。
前記PTC層13の厚さは、例えば、10μmであってもよい。
PTC層13を積層する位置は、特に限定されないが、例えば、集電体11が箔状である場合、当該集電体11の一方の主面の全面に、PTC層13を積層してもよい。なお、PTC層13を集電体11の一方の主面の全面に形成しない場合でも、PTC層13は、前記集電体11を平面視したときに、当該集電体11の主面のうち、後述する工程(図2(d)参照)において積層する活物質層14と重複する領域の全体が、当該PTC層13で覆われるように、PTC層13を形成することがよい(図3(a)参照)。
塗布・乾燥後に形成されるPTC層13の体積抵抗率は、1×10Ωcm〜10×10Ωcmであってもよい。前記PTC層の体積抵抗率は、例えば、5×10Ωcmであってもよい。
<検知工程(S12)>
S12は、前記PTC層13の欠損部50を検知する工程である(図2(b)、図3(b)参照)。
S12は、例えば図2(b)、図3(b)に示すように、カメラ60を用いて、集電体11(又は活物質層14)の表面に積層されたPTC層13の表面を撮像することにより行うことができる。
カメラ60は、検知対象物の表面を撮像するための撮像手段であり、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子を備えている。
カメラ60は、例えば、所定の撮像範囲(視野)に存在する、撮像対象物の映像を、レンズ(図示せず)によって拡大/縮小等して、撮像素子上に投影することにより、画像データを取得することができる。
カメラ60は、支持体(図示せず)により支持してもよい。カメラ60は、支持体により、検知対象物の表面を撮像することが出来る所定の姿勢で固体されるように支持されてもよく、ロボット等の移動機構を備えた支持体により、検知対象物に対するカメラ60の姿勢や位置を自在に変更できる態様で支持されてもよい。
例えば、検知対象物に対するカメラ60の位置を、水平方向又は垂直方向に変更できる移動機構を備えた支持体により、カメラ60を支持するようにしてもよい。
図2(b)、図3(b)に示す例では、検知対象物である積層体10aは、水平な支持台(図示せず)上に配置されており、カメラ60は、その視線方向が、前記積層体10aが有するPTC層の表面(被検知面)に対して、垂直に保持された状態で支持されている。
カメラ60が、前述した移動機構を有する支持体により支持されている場合には、支持台上に配置された積層体10a(検知対象物)に対する、カメラ60の姿勢や位置を変位させて、撮像部位を変更しながら、当該積層体10aをカメラ60により撮像することが可能である。
なお、図2(b)、図3(b)に示す例では、検知対象物である積層体10aを、定位置に配置してカメラ60により撮像する態様を示したが、本開示はこのような形態には限られず、積層体10aを、ロボット等の移動機構を備えた支持体により支持し、当該積層体10aのカメラ60に対する姿勢や位置を自在に変更できる態様で支持するようにしてもよい。
また、カメラ60と検知対象物である積層体10aの両方を、移動機構を備えた支持体により支持して、それぞれの姿勢や位置を、自在に変更できるようにしてもよい。
このようにして、カメラ60により撮像された画像データを、当該カメラ60に接続されたデータ処理部(図示せず)により取得し、当該データ処理部において画像処理した後、当該画像処理された画像データに基づいて、欠損の有無を判定することにより、前記PTC層の欠損部を検知することができる。
なお、欠損の有無の判定は、データ処理部において画像処理された画像データに基づいて、当該データ処理部が行ってよい。例えば、汎用的なパーソナルコンピューターに、画像処理プログラムや欠陥判定プログラム等を組み込んだものを、前述したデータ処理部として用いることも可能である。
<塗布部形成工程(S13)>
S13は、前記検知工程で欠損部50が検知された場合に、当該欠損部50に、導電材と、ポリマーと、接着剤とを含む塗布部形成用組成物を塗布して、塗布部12を形成する工程である(図2(c)、図3(c)参照)。
塗布部形成用組成物に含有される導電材としては、前述したPTC層形成用組成物に含有される導電材として列挙したものと同様のものを用いることができる。
塗布部形成用組成物に含有される導電材は、前記PTC層形成用組成物に含まれる導電材と同一のものを用いてもよい。なお、塗布部形成用組成物に含有される導電材は、前述したPTC層形成用組成物に含有される導電材として列挙したものから選択されるものであればよく、前記PTC層形成用組成物に含まれる導電材と異なるものを用いてもよい。
塗布部形成用組成物に含有される導電材の含有割合は、後述する塗布・乾燥処理の後に形成される塗布部における導電材の含有量が、所望の範囲となるように、適宜調整することがよい。
塗布部形成用組成物は、固形分換算で、当該塗布部形成用組成物の全体を100質量%として、前記導電材を、5質量%以上50質量%以下、より好ましくは、10質量%以上30質量%以下の範囲で含むことがよい。
塗布部12は、前述したPTC層と同様、温度上昇時に電子抵抗を増加させられるようにし、且つ、通常使用時に安定した電子伝導性を確保できるようにすることが良く、それに加えて、当該塗布部12により、集電体と活物質層との接着性を確保できるようにすることが良いからである。
即ち、塗布部12における導電材の含有量が多すぎると、ポリマーの体積膨張によって、導電材間の距離を長くすることができずに、電子抵抗の増加が不十分となる、又は、集電体と活物質層との接着性を十分に得られない虞がある。また、導電材の含有量が少な過ぎると、形成される導電パスが減少し、塗布部12の電子伝導性が低くなる虞がある。
塗布部形成用組成物に含有されるポリマーとしては、前述したPTC層形成用組成物に含有されるポリマーとして列挙したものと同様のものを用いることができる。
塗布部形成用組成物に含有されるポリマーは、前記PTC層形成用組成物に含まれるポリマーと同一のものを用いてもよい。なお、塗布部形成用組成物に含有されるポリマーは、前述したPTC層形成用組成物に含有されるポリマーとして列挙したものから選択されるものであればよく、前記PTC層形成用組成物に含まれるポリマーと異なるものを用いてもよい。
塗布部形成用組成物に含有されるポリマーの含有割合は、後述する塗布・乾燥処理の後に形成される塗布部におけるポリマーの含有量が、所望の範囲となるように、適宜調整することがよい。
塗布部形成用組成物は、固形分換算で、当該塗布部形成用組成物の全体を100質量%として、前記ポリマーを、5質量%以上90質量%以下、より好ましくは、10質量%以上80質量%以下の範囲で含むことがよい。
前記塗布部12におけるポリマーの含有量が少なすぎると、体積膨張したポリマーによって、導電材間の距離を長くすることができずに、電子抵抗の増加が不十分となる虞がある。また、ポリマーの含有量が多すぎると、導電材により形成される導電パスがポリマーにより阻害され、前記塗布部12の電子伝導性が低くなる虞がある。
塗布部形成用組成物に含有される接着剤としては、融点又は軟化点が電池材料の劣化温度以下である熱可塑性樹脂を好適に使用することができる。塗布部形成用組成物に含有される接着剤に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂が挙げられ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等が挙げられる。
塗布部形成用組成物に含有される接着剤に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(日立化成株式会社製)が挙げられる。
なお、接着剤に用いる樹脂としては、それぞれの樹脂の温度依存性を考慮して、電池材料の劣化温度以下の温度で、接着可能な樹脂粘度とすることができる樹脂を、適宜選択して用いることができる。
塗布部形成用組成物に含有される接着剤の含有割合は、後述する塗布・乾燥処理の後に形成される塗布部における接着剤の含有量が、所望の範囲となるように、適宜調整することがよい。
塗布部形成用組成物は、固形分換算で、当該塗布部形成用組成物の全体を100質量%として、前記接着剤を、10質量%以上80質量%以下、より好ましくは、30質量%以上60質量%以下の範囲で含むことがよい。
塗布部12における接着剤の含有量が多すぎると、当該塗布部12において形成される導電パスが減少し、当該塗布部12の電子伝導性が低くなる虞がある。また、接着剤の含有量が少な過ぎると、塗布部12において、集電体11と活物質層14との接着性を十分に得られなくなる虞がある。
なお、前記塗布部形成用組成物は、前述した導電材、ポリマー及び接着剤の他に、必要に応じて、絶縁性無機物を含有してもよい。
絶縁性無機物としては、前記PTC層形成用組成物において含有してもよいものとして例示した絶縁性無機物と、同様のものを用いることができる。
S13において、前記欠損部50に前記塗布部形成用組成物を塗布して塗布部12を形成する具体的な方法としては、特に限定されないが、例えば、前述した導電材とポリマーと接着剤とを含む塗布部形成用組成物を、前記欠損部50を埋めるように塗布し、乾燥させることにより、行うことができる。
塗布部形成用組成物の塗布方法、乾燥方法は、第一の積層工程(S11)で説明した、PTC層用ペーストの塗布方法、乾燥方法と同様にして行うことができる。
なお、塗布部形成用組成物は、必要に応じて、N−メチルピロリドン等の分散媒に分散させた状態で、欠損部50に塗布してもよい。
塗布部形成用組成物を分散させる分散媒は、PTC層用ペーストの作製に使用可能な分散媒から選択して用いることができる。また、塗布部形成用組成物の分散方法は、PTC層用ペーストを分散させる方法と同様にして行うことができる。
S13においては、乾燥後に形成される塗布部12の厚さが、前記第一の積層工程(S11)において積層したPTC層の厚さと同じ厚さとなるように、前記塗布部形成用組成物の塗布量を調整して、当該塗布部形成用組成物を欠損部50に塗布することがよい。
なお、仮に、検知工程(S12)において欠損部50が検知されなかった場合には、例えば図4(a)に示すように、PTC層13の一部を、レーザー照射により切り欠いて、切り欠き部51を形成し、当該切り欠き部51に塗布部形成用組成物を塗布し、乾燥して、塗布部12を形成してもよい(図4(b)参照)。
この場合、切り欠き部51の形成位置は、特に限定されないが、例えば図4(a)に示すように、集電体11の幅方向両端縁側に、当該集電体11の長手方向に沿って延びる一対の層として形成してもよい。これにより、仮に、検知工程(S12)において、PTC層に欠損部50が検知されなかった場合でも、切り欠き部51により、集電体11と、後述する第二の積層工程(S14)で積層する活物質層14との接着性を向上させることができる。
なお、検知工程(S12)においてPTC層13に欠損部50が検知された場合であっても、切り欠き部51の形成(図4(c)参照)及び当該切り欠き部51への塗布部形成用組成物の塗布・乾燥による塗布部12の形成(図4(d)参照)を行ってよい。
<第二の積層工程(S14)>
S14は、前記検知工程を経た後のPTC層上に、活物質層又は集電体を積層する工程である(図2(d)参照)。
図2(d)においては、前記集電体11上に積層したPTC層13上に、活物質層14を積層して積層体10を作製する場合について説明する。
なお、前述したS11において、活物質層14上にPTC層形成用組成物を塗布してPTC層13を積層した場合には、S14では、当該活物質層14上に積層したPTC層13上に、集電体11を積層する。
例えば、前述した第一の積層工程(S11)において、正極集電体上にPTC層13を積層した場合には、第二の積層工程(S14)においては、当該PTC層13上に、正極活物質層を積層する。
この場合、正極活物質、及び必要に応じて、固体電解質、結着剤及び導電材を含む正極活物質層形成用組成物を、必要に応じて分散媒により分散させてスラリー状にしたものを、PTC層13の上に塗布して乾燥させることにより、正極活物質層を積層してもよい。
正極活物質層形成用組成物の塗布方法、乾燥方法、分散方法は、第一の積層工程(S11)で説明した、PTC層用ペーストの塗布方法、乾燥方法、分散方法と同様にして行うことができる。
また、正極活物質層形成用組成物を分散させる分散媒は、PTC層用ペーストの作製に使用可能な分散媒から選択して用いることができる。
正極活物質としては、従来公知の材料を用いることができる。正極活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)等が挙げられる。
正極活物質の形状は特に限定されず、粒子状、板状等が挙げられる。
正極活物質層に含有させる固体電解質としては、公知の固体電解質を適宜用いることができ、例えば、LiPO等の酸化物系固体電解質のほか、例えば、LiS:P=50:50〜100:0となるように、LiS及びPを混合して作製した硫化物固体電解質(好ましくは、質量比でLiS:P=70:30となるように、LiS及ぴPを混合して作製した硫化物固体電解質)を用いることができる。
固体電解質の形状は特に限定されず、粒子状、板状等が挙げられる。
結着剤としては、特に限定されず、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素含有樹脂や、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。
正極活物質層に用いられる導電材としては、特に限定されず、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー等の炭素材料や金属材料を挙げることができる。
当該カーボンナノチューブ、及び、カーボンナノファイバーはVGCF(気相法炭素繊維)であってもよい。
正極活物質層形成用組成物に含有される正極活物質の含有割合は、前述した塗布・乾燥処理の後に形成される正極活物質層における正極活物質の含有量が、所望の範囲となるように、適宜調整すればよい。
前記正極活物質層形成用組成物は、固形分換算で、当該正極活物質層形成用組成物の全体を100質量%として、前記正極活物質を、50質量%以上90質量%以下の範囲で、含ませることがよい。
前記PTC層13上に塗布する正極活物質層形成用組成物の量は、塗布・乾燥処理後に形成される正極活物質層の厚さが所望の厚さとなるように、適宜調整すればよい。
前記正極活物質層の厚さは、0.1μm以上1000μm以下であることが好ましく、中でも10〜250μmであってもよい。
例えば、前述した第一の積層工程(S11)において、負極集電体上にPTC層13を積層した場合には、第二の積層工程(S14)においては、当該PTC層13上に、負極活物質層を積層する。
この場合、負極活物質、及び必要に応じて、固体電解質、結着剤及び導電材を含む負極活物質層形成用組成物を、必要に応じて分散媒により分散させてスラリー状にしたものを、PTC層13の上に塗布して乾燥させることにより、負極活物質層を積層してもよい。
負極活物質層形成用組成物の塗布方法、乾燥方法、分散方法は、前述した正極活物質層形成用組成物の塗布方法、乾燥方法、分散方法と同様にして行うことができる。
また、負極活物質層形成用組成物を分散させる分散媒は、PTC層用ペーストの作製に使用可能な分散媒から選択して用いることができる。
負極活物質としては、公知の炭素系負極活物質を用いることができる。
炭素系負極活物質としては、例えば、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)及び難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
負極活物質の形状は特に限定されず、粒子状、板状等が挙げられる。
負極活物質層に用いられる固体電解質は、前述した正極活物質層に使用できるものと同様のものを用いることができる。
負極活物質層に用いられる導電材、及び、結着剤は、前述した正極活物質層に使用できるものと同様のものを用いることができる。
負極活物質層形成用組成物に含有される負極活物質の含有割合は、前述した塗布・乾燥処理の後に形成される負極活物質層における負極活物質の含有量が、所望の範囲となるように、適宜調整すればよい。
前記負極活物質層形成用組成物は、固形分換算で、当該負極活物質層形成用組成物の全体を100質量%として、前記負極活物質を、20質量%以上、90質量%以下の範囲で、含ませることがよい。
前記PTC層13上に塗布する負極活物質層形成用組成物の量は、塗布・乾燥処理後に形成される負極活物質層の厚さが所望の厚さとなるように、適宜調整すればよい。
前記負極活物質層の厚さは、0.1μm以上1000μm以下であることが好ましく、中でも10〜100μmであってもよい。
なお、第二の積層工程(S14)においては、前述した方法により積層体10を作製した後、図2(e)に示すように、当該積層体10を積層方向に加圧してもよい。
積層体10を加圧する手段は特に限定されず、公知の手段によって加圧することができる。積層工程においては、加熱下に加圧することが好ましい。
積層体10を加圧する加圧方法としては、例えば機械加圧、ガス加圧が挙げられる。
機械加圧としては、モータを駆動してボールネジを介して積層体10の積層方向に加圧する方法、モーターを駆動して油圧を介して積層体10の積層方向に加圧する方法等を挙げることができる。このとき、所望の圧力まで加圧又は降圧した後、メカニカルストッパーを用いてプレス機の稼動部を固定することにより、モーターの駆動に必要なエネルギーの消費を必要最低限に抑制することができる。ガス加圧としては、例えば、ガスボンべ等から供給される加圧ガスを介して積層体10を加圧する方法を挙げることができる。
ただし、本開示の加圧方法は上記に限定されるものではない。
積層体10を加圧するときの圧力は例えば1MPaとすることができ、加熱温度は例えば140℃とすることができる。
以上説明した工程により、全固体電池用の電極積層体100(図5参照)を作製することができる。
2.全固体電池
図6(a)は、本開示の電極積層体を備えた、全固体電池の一例を示す断面模式図である。
全固体電池400は、正極活物質層14、PTC層13及び正極集電体11を含む、正極側の電極積層体100と、負極活物質層17及び負極集電体16を含む負極側の電極積層体200と、正極側の電極積層体100と負極側の電極積層体200との間に配置される固体電解質層15を備える。PTC層13は、その一部に、前述した塗布部12を有している。
図6(a)においては、本開示の製造方法により製造した電極積層体として、正極側の電極積層体100を備えた全固体電池の例を示している。
なお、全固体電池においては、本開示の製造方法により製造した電極積層体を、負極側の電極積層体として備えてもよい。また、全固体電池においては、本開示の製造方法により製造した電極積層体を、正極側の電極積層体及び負極側の電極積層体として備えてもよい。
図6(a)に示す全固体電池は、例えば、以下に示す工程を経て製造することができる。
まず、前述した全固体電池用の電極積層体の製造方法における、第一の積層工程(S11)、検知工程(S12)、塗布部形成工程(S13)及び第二の積層工程(S14)で説明したのと同様にして、正極集電体11と、前記正極集電体11上にPTC層13を介して積層された正極活物質層14と、を有する正極側の積層体10(図2(d)参照)を作製する。
なお、全固体電池の製造における、正極側の電極積層体10の作製に際しては、第二の積層工程(S14)において説明した、積層体10の加圧処理(図2(e)参照)は、行わなくてよい。
次いで、負極活物質、固体電解質、結着剤及び必要に応じて導電材を含む負極活物質層形成用組成物をスラリー状にしたものを、負極集電体16の上に塗布して乾燥させて、負極活物質層17を積層し、負極活物質層17及び負極集電体16を有する負極側の積層体(図示せず)を作製する。
負極活物質層形成用組成物に含まれる、負極活物質、固体電解質、結着剤及び導電材としては、前述した全固体電池用の電極積層体の製造方法における第二の積層工程(S14)において、負極活物質層形成用組成物の材料として前述した材料を、好適に用いることができる。
次いで、固体電解質と結着剤を含む固体電解質層形成用組成物を、正極側の積層体10の正極活物質層14(図2(d)参照)と負極側の積層体の負極活物質層17とにそれぞれ塗布して、正極活物質層14上と負極活物質層17上とのそれぞれに、固体電解質層15の一部を積層する。
固体電解質層形成用組成物に用いられる固体電解質は、全固体電池に使用可能な公知の固体電解質であれば、特に限定することなく用いることができ、例えば、前述した正極活物質層形成用組成物又は負極活物質層形成用組成物に使用できるものと同様のものを用いることができる。
固体電解質の形状は特に限定されず、粒子状、板状等が挙げられる。
固体電解質層形成用組成物に用いられる結着剤は、例えば、ブタジエンゴム(BR)等を用いることができる。固体電解質層15に用いられる結着剤は、この他にも、前述した正極活物質層形成用組成物又は負極活物質層形成用組成物に用いるものと同様のものを用いることができる。
正極活物質層14上及び負極活物質層17上に塗布する固体電解質層形成用組成物の量は、塗布・乾燥処理後、両者を重ね合わせて形成される固体電解質層の厚さが所望の厚さとなるように、適宜調整すればよい。
固体電解質層15の厚さは、電解質の種類や電池の構成等によって異なるものであり、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1000μm以下の範囲内、中でも0.1μm以上300μm以下の範囲内であることが好ましい。
その後、当該固体電解質層15の一部同士を合わせるようにして重ねた後、得られた積層体を積層方向に加圧することによって、正極集電体11、PTC層13、正極活物質層14、固体電解質層15、負極活物質層17、及び負極集電体16が、この順で積層された積層構造体を有する全固体電池400(図6(a)参照)を作製することができる。
なお、加圧方法及び加圧条件は、前述した全固体電池用の電極積層体の製造方法における、第二の積層工程(S14)において説明した、加圧方法及び加圧条件と同様にして行うことができる。
本開示の全固体電池は、必要に応じ、正極側の電極積層体、負極側の電極積層体及び固体電解質層を収容する外装体を備える。
外装体の形状としては、特に限定されないが、ラミネート型等を挙げることができる。
外装体の材質は、電解質に安定なものであれば特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び、アクリル樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、本開示の全固体電池は、必要に応じ、正極側の電極積層体、負極側の電極積層体及び固体電解質層を有する積層体を積層方向に加圧して拘束する拘束部材を備えてもよい。
本開示の全固体電池は、電源として使用されるときに電極部(正極活物質層及び負極活物質層の存在領域)に印加される圧力が1MPa以上45MPa以下であることが好ましい。
電池を使用しないときに電極部に印加される圧力としては、0MPa以上1MPa以下であることが好ましい。
全固体電池としては、リチウム電池、ナトリウム電池、マグネシウム電池及びカルシウム電池等を挙げることができ、中でも、リチウム電池であってもよい。
本開示の電極積層体を備えた全固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型及び角型等が挙げられる。
本開示の電極積層体を備えた全固体電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば、車載用電池等として有用だからである。
本開示の電極積層体を備えた全固体電池を車載用電池として用いる場合、対象となる車両としては、電池を搭載しエンジンを搭載しない電気自動車や、電池及びエンジンの双方を搭載するハイブリッド自動車が挙げられる。
以上説明した、本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法によれば、検知工程において検知された欠損部に、導電材と、ポリマーと、接着剤とを含有する塗布部形成用組成物を用いて、塗布部を形成するため、PTC層を、欠損部の無い均一な面を有する層として、集電体−活物質層間に形成することができる。このため、当該PTC層を備えた電極積層体を有する積層構造体の積層方向に、拘束圧力Pをかけたときに(図6(b)参照)、面圧P1がかからない箇所が発生するのを防止し、当該積層構造体の各層の界面において、面圧分布が不均一となる現象を防止することができる。このため、当該電極積層体を備えた全固体電池の各層の界面において、高い密着力を得ることができ、当該全固体電池において、高い耐久性を得ることができる。
本開示の全固体電池用の電極積層体の製造方法によれば、検知工程において検知された欠損部に、導電材と、ポリマーと、接着剤とを含有する塗布部形成用組成物を用いて、塗布部を形成するため、PTC層を備えた全固体電池において、集電体に異物が付着するのを防止することができる。従って、当該PTC層を備えた全固体電池において短絡が発生した場合に、PTC層により抵抗を増大させる機能が損なわれるのを防止することができる。従って、全固体電池の安全性を向上させることができる。
また、本開示の全固体電池の製造方法によれば、PTC層の欠損部を検知し、検知工程において検知された欠損部に、導電材と、ポリマーと、接着剤とを含有する塗布部形成用組成物を用いて、塗布部を形成するため、集電体と活物質層との間に、接着剤を塗布する工程を別途設けなくても、集電体と活物質層との接着性を向上させることができる。このため、集電体と活物質層との間に、接着剤を塗布する工程を、別途行う場合と比較して、作業効率を向上させることができる。
10 積層体
10a 積層体
11 集電体(正極集電体)
12 塗布部
13 PTC層
14 活物質層(正極活物質層)
15 固体電解質層
16 負極集電体
17 負極活物質層
50 欠損部
60 カメラ
100 全固体電池用の電極積層体(正極側の電極積層体)
200 負極側の電極積層体
400 全固体電池

Claims (1)

  1. 集電体と、活物質層とを有する全固体電池用の電極積層体を製造する方法であって、
    前記集電体上又は前記活物質上に、導電材とポリマーとを含むPTC層形成用組成物を塗布してPTC層を積層する第一の積層工程と、
    前記PTC層の欠損部を検知する検知工程と、
    少なくとも前記検知工程で欠損部が検知された場合に、当該欠損部に、導電材と、ポリマーと、接着剤とを含む塗布部形成用組成物を塗布して、塗布部を形成する塗布部形成工程と、
    前記検知工程を経た後のPTC層上に、活物質層又は集電体を積層する第二の積層工程と、を有することを特徴とする、全固体電池用の電極積層体の製造方法。
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