JP2020090575A - ポリオール樹脂、ポリオール樹脂の製造方法、塗料原料、および、塗料組成物の製造方法 - Google Patents

ポリオール樹脂、ポリオール樹脂の製造方法、塗料原料、および、塗料組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗料に配合した場合に、曲げ加工性を向上することができるポリオール樹脂、そのポリオール樹脂の製造方法、そのポリオール樹脂を備える塗料原料、および、そのポリオール樹脂を含む塗料組成物の製造方法を提供すること。【解決手段】ポリオール樹脂は下記一般式(1)で示される。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される数平均分子量が3900以上である。【化1】(式中、R1、R1´はアルキレン基、R2、R2´はアルキル基またはアリール基、R3は水素原子、メチル基、R4〜R7は水素原子、ハロゲン原子、R8はメチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキシリデン基、スルホニル基、エーテル基、nは繰り返し単位の数、xおよびx´は1または2、yおよびy´は0または1、x+y=2、x´+y´=2を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオール樹脂、ポリオール樹脂の製造方法、塗料原料、および、塗料組成物の製造方法に関し、詳しくは、ポリオール樹脂、そのポリオール樹脂を製造する製造方法、そのポリオール樹脂を備える塗料原料、そのポリオール樹脂を含む塗料組成物を製造する製造方法に関する。
従来、鋼板上に塗料組成物を、予め塗布することにより得られるプレコート鋼板は、建材、電気製品、自動車部品などの用途に広く使用されている。
このような塗料組成物は、例えば、ポリオール樹脂を含む主剤と、イソシアネートとを含む硬化剤とからなる。
このようなポリオール樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびキシレンを配合し、120℃まで昇温させた後、ジエタノールアミンを配合し、150℃まで昇温することで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびジエタノールアミンを反応させることにより得られるポリオール樹脂が提案されている(例えば、下記特許文献1の実施例1参照。)。
特開昭62−164714号公報
一方、プレコート鋼板は、成形加工されるため、鋼板に塗布された塗料組成物からなる塗膜には、優れた曲げ加工性が要求される。
しかし、特許文献1のポリオール樹脂を含む塗料により得られる塗膜では、曲げ加工性が不十分であるという不具合がある。
本発明は、塗料に配合した場合に、曲げ加工性を向上することができるポリオール樹脂、そのポリオール樹脂の製造方法、そのポリオール樹脂を備える塗料原料、および、そのポリオール樹脂を含む塗料組成物の製造方法を提供することにある。
本発明[1]は下記一般式(1)で示され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される数平均分子量が3900以上である、ポリオール樹脂である。
Figure 2020090575
(一般式(1)中、RおよびR´は、互いに同一または相異なって、炭素数2〜10の2価のアルキレン基を示し、RおよびR´は、互いに同一または相異なって、炭素数1〜10の1価のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、R、R、R、Rは、互いに同一または相異なって、水素原子またはハロゲン原子を示し、Rは、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキシリデン基、スルホニル基、または、エーテル基を示し、nは、1以上の整数であって、繰り返し単位の数を示し、xは、1または2を示し、yは0または1を示し、かつ、x+y=2を示し、x´は、1または2を示し、y´は0または1を示し、x´+y´=2を示す。)
本発明[2]は、反応溶媒を、50℃以上120℃以下に加熱する第1工程と、前記反応溶媒に、下記一般式(2)で示されるアルカノールアミン化合物を連続供給または分割供給し、かつ、前記反応溶媒に、下記一般式(3)で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給または分割供給することにより、前記アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を反応させ、ポリオール樹脂を含むポリオール樹脂溶液を調製する第2工程とを備える製造方法により得られる、上記[1]に記載のポリオール樹脂を含んでいる。
Figure 2020090575
(一般式(2)中、x、yは、上記一般式(1)のx、yと同意義を示す。)
Figure 2020090575
(一般式(3)中、R〜Rは、上記一般式(1)のR〜Rと同意義を示し、mは、1以上の整数であって、繰り返し単位の数を示す。)
本発明[3]は、反応溶媒を、50℃以上120℃以下に加熱する第1工程と、前記反応溶媒に、下記一般式(2)で示されるアルカノールアミン化合物を連続供給または分割供給し、かつ、前記反応溶媒に、下記一般式(3)で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給または分割供給することにより、前記アルカノールアミン化合物および前記ビスフェノール型エポキシ樹脂を反応させ、ポリオール樹脂を含むポリオール樹脂溶液を調製する第2工程とを備える、ポリオール樹脂の製造方法である。
Figure 2020090575
(一般式(2)中、x、yは、上記一般式(1)のx、yと同意義を示す。)
Figure 2020090575
(一般式(3)中、R〜Rは、上記一般式(1)のR〜Rと同意義を示し、mは、1以上の整数であって、繰り返し単位の数を示す。)
本発明[4]は、さらに、前記ポリオール樹脂溶液を、150℃以上250℃以下に加熱する第3工程を備える、上記[3]に記載のポリオール樹脂の製造方法を含んでいる。
本発明[5]は、上記[1]または[2]に記載のポリオール樹脂と、前記ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを備える、塗料原料を含んでいる。
本発明[6]は、上記[1]または[2]に記載のポリオール樹脂と、前記ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを混合する工程を備える、塗料組成物の製造方法を含んでいる。
本発明のポリオール樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される数平均分子量が3900以上である。そのため、塗料に配合した場合に、曲げ加工性を向上させることができる。
また、本発明のポリオール樹脂は、反応溶媒を、50℃以上120℃以下に加熱する第1工程と、反応溶媒に、アルカノールアミン化合物を連続供給または分割供給し、かつ、反応溶媒に、ビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給または分割供給することにより、アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を反応させ、ポリオール樹脂を含むポリオール樹脂溶液を調製する第2工程とを備える製造方法により得られる。
そのため、塗料に配合した場合に、曲げ加工性を向上させることができる。
本発明のポリオール樹脂の製造方法は、反応溶媒を、50℃以上120℃以下に加熱する第1工程と、反応溶媒に、アルカノールアミン化合物を連続供給または分割供給し、かつ、反応溶媒に、ビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給または分割供給することにより、アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を反応させ、ポリオール樹脂を含むポリオール樹脂溶液を調製する第2工程とを備える。
つまり、このポリオール樹脂の製造方法では、予め、アルカノールアミン化合物と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とが反応できる温度に調整された反応溶媒に、アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給または分割供給する。
そのため、反応溶媒に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびアルカノールアミン化合物が高濃度で存在することを抑制でき、その結果、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の熱分解を抑制することができる。そうすると、ポリオール樹脂を高分子量化することができる。
本発明の塗料原料は、本発明のポリオール樹脂を備えている。
そのため、この塗料原料を用いて得られる塗膜は、曲げ加工性を向上することができる。
本発明の塗料組成物の製造方法は、本発明のポリオール樹脂と、ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを混合する工程を備える。
そのため、この塗料組成物の製造方法によって得られる塗料組成物を用いて得られる塗膜は、曲げ加工性を向上することができる。
本発明のポリオール樹脂は、反応溶媒を、50℃以上120℃以下に加熱する第1工程と、反応溶媒に、アルカノールアミン化合物を連続供給または分割供給し、かつ、前記反応溶媒に、ビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給または分割供給することにより、アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を反応させ、ポリオール樹脂を含むポリオール樹脂溶液を調製する第2工程とを備える製造方法により、得ることができる。
第1工程では、反応溶媒を、所定の温度(後述)に加熱する。
反応溶媒を加熱するには、まず、反応溶媒を準備する。
反応溶媒は、ビスフェノール型エポキシ樹脂およびアルカノールアミン化合物を溶解し、ビスフェノール型エポキシ樹脂およびアルカノールアミン化合物と反応しない溶剤であれば特に限定されず、例えば、非極性溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類)、例えば、極性溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールモノエーテル類、例えば、酢酸セロソルブなどのエステル類)などが挙げられる。
これら反応溶媒は、単独使用または2種以上併用でき、ビスフェノール型エポキシ樹脂の溶解性の観点から、好ましくは、非極性溶媒と極性溶媒との併用、より好ましくは、芳香族炭化水素類とグリコールモノエーテル類との併用、さらに好ましくは、キシレンとエチレングリコールモノメチルエーテルとの併用が挙げられる。
反応溶媒として、芳香族炭化水素類とグリコールモノエーテル類とを併用する場合には、芳香族炭化水素類とグリコールモノエーテル類との総量100質量部に対して、芳香族炭化水素類の配合割合は、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、また、例えば、90質量部以下であり、また、グリコールモノエーテル類の配合割合は、例えば、10質量部以上であり、また、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。
そして、第1工程では、窒素雰囲気下で、反応溶媒を、50℃以上、好ましくは、70℃以上、より好ましくは、90℃以上であり、また、120℃以下、好ましくは、110℃以下、より好ましくは、105℃以下に加熱する。
加熱温度が、上記下限以上および上記上限以下であれば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の熱分解(後述)を抑制し、高分子量化されたポリオール樹脂を得ることができる。
一方、加熱温度が、上記下限未満であれば、ビスフェノール型エポキシ樹脂およびアルカノールアミン化合物を十分に反応させることができない。
また、加熱温度が、上記上限を超過すると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の熱分解(後述)の抑制が不十分となり、高分子量化されたポリオール樹脂を得ることができない。
第2工程では、上記の反応溶媒に、アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を配合する。
アルカノールアミン化合物は、下記一般式(2)で表される。
Figure 2020090575
(一般式(2)中、Rは、炭素数2〜10の2価のアルキレン基を示し、Rは、炭素数1〜10の1価のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、xは、1または2を示し、yは0または1を示し、かつ、x+y=2を示す。)。
上記式(2)において、Rは、炭素数2〜10の2価のアルキレン基を示す。
炭素数2〜10の2価のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、ペンチレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基などが挙げられ、好ましくは、エチレン基が挙げられる。
上記式(2)において、Rは、炭素数1〜10の1価のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示す。
炭素数1〜10の1価のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基などの炭素数1〜10の鎖状アルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などの炭素数3〜10の環状アルキル基などが挙げられる。
炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基などが挙げられる。
は、好ましくは、炭素数1〜10の1価のアルキル基、より好ましくは、メチル基を示す。
上記式(2)において、xは、1または2を示し、yは0または1を示し、かつ、x+y=2を示し、好ましくは、xが2を示し、yが0を示す。
このようなアルカノールアミン化合物として、具体的には、ジアルカノールアミン、モノアルカノールアミンなどが挙げられる。
ジアルカノールアミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジ(イソプロパノール)アミン、ジ(n−プロパノール)アミン、ビス(2−ヒドロキシブチル)アミンなどのジアルカノール(炭素数2以上4以下)アミン、例えば、ジペンタノールアミン、ビス(2−ヒドロキシオクチル)アミンなどのジアルカノール(炭素数5以上10以下)アミンなどが挙げられる。
モノアルカノールアミンとしては、例えば、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−(n−プロピル)エタノールアミン、N−(イソプロピル)エタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−ベンジルエタノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、N−(n−プロピル)イソプロパノールアミン、N−(イソプロピル)イソプロパノールアミン、N−フェニルイソプロパノールアミン、N−ベンジルイソプロパノールアミン、N−メチル−n−プロパノールアミン、N−エチル−n−プロパノールアミン、N−(n−プロピル)−n−プロパノールアミン、N−(イソプロピル)−n−プロパノールアミン、N−フェニル−n−プロパノールアミン、N−ベンジル−n−プロパノールアミンなどのモノアルカノール(炭素数2以上4以下)アミンが挙げられる。
これらアルカノールアミン化合物は、単独使用または2種以上併用でき、好ましくは、ジアルカノールアミンとモノアルカノールアミンとの併用、より好ましくは、ジアルカノールアミンの単独使用、さらに好ましくは、ジアルカノール(炭素数2以上4以下)アミンの単独使用、とりわけ好ましくは、ジエタノールアミンの単独使用が挙げられる。
また、このようなアルカノールアミン化合物は、上記した反応溶媒に溶解させて用いることもできる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、下記一般式(3)で表される。
Figure 2020090575
(一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、R、R、R、Rは、互いに同一または相異なって、水素原子またはハロゲン原子を示し、Rは、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキシリデン基、スルホニル基、または、エーテル基を示し、mは、1以上の整数であって、繰り返し単位の数を示す。)
上記式(3)において、Rは水素原子またはメチル基を示し、好ましくは、水素原子を示す。
上記式(3)において、R、R、R、Rは、互いに同一または相異なって、水素原子またはハロゲン原子を示す。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
、R、R、Rは、好ましくは、水素原子を示す。
上記式(3)において、Rは、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキシリデン基、スルホニル基、または、エーテル基を示し、好ましくは、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、より好ましくは、ジメチルメチレン基を示す。
上記式(3)において、mは、繰り返し単位の数を示し、mは、例えば、1以上20(数平均)以下である。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、後述するポリオール樹脂の数平均分子量を高くする観点から、高いほうがよく、例えば、800g/eq.以上、好ましくは、1500g/eq.以上、より好ましくは、2000g/eq.以上、さらに好ましくは、2500g/eq.以上であり、また、例えば、5000g/eq.以下である。
そして、第2工程では、反応溶媒に、アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を供給する。
アルカノールアミン化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂との割合は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂が有するエポキシ基1当量に対して、アルカノールアミン化合物が有する活性水素が、0.3当量以上であり、また、1.2当量以下である。
具体的には、上記の加熱温度に維持した反応溶媒に、アルカノールアミン化合物を連続供給または分割供給し、かつ、反応溶媒に、ビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給または分割供給する。
すなわち、反応溶媒に、アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を供給する方法として、アルカノールアミン化合物を連続供給し、かつ、ビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給する方法、アルカノールアミン化合物を連続供給し、かつ、ビスフェノール型エポキシ樹脂を分割供給する方法、アルカノールアミン化合物を分割供給し、かつ、ビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給する方法、アルカノールアミン化合物を分割供給し、かつ、ビスフェノール型エポキシ樹脂を分割供給する方法が挙げられる。
分割供給とは、アルカノールアミン化合物またはビスフェノール型エポキシ樹脂を一括して供給するのではなく、これらの仕込み量を、複数回(具体的には、操作の煩雑さを考慮して、任意に設定することが可能であり、連続供給に近づける観点から、分割数は多い方がよく、例えば、2分割以上、好ましくは、3分割以上、より好ましくは、5分割以上、また、例えば、10000分割以下)に分けて、供給する方法である。
分割供給において、各分割におけるアルカノールアミン化合物またはビスフェノール型エポキシ樹脂の投入量、また、分割投入の間隔は任意に設定することができるが、等量に分割し、かつ、分割投入の間隔を均等にすることが、アルカノールアミン化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂の反応を、より均一に行わせる観点から好ましい。
また、連続供給とは、アルカノールアミン化合物またはビスフェノール型エポキシ樹脂を一括して供給するのではなく、これらの仕込み量を、所定の時間以上(具体的には、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上、より好ましくは、3時間以上、さらに好ましくは、4時間以上かけて、また、例えば、24時間以内、好ましくは、12時間以内、より好ましくは、8時間以内、さらに好ましくは、6時間以内)かけて、供給する方法である。
連続供給において、アルカノールアミン化合物またはビスフェノール型エポキシ樹脂の供給速度は任意に設定可能であるが、所定の量を、所定の供給時間の間、一定の速度で供給することが、アルカノールアミン化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂の反応を、より均一に行わせる観点から好ましい。
なお、反応溶媒に供給されるビスフェノール型エポキシ樹脂は、固体のまま供給してもよく、また、固体のビスフェノール型エポキシ樹脂を軟化点以上の温度に加熱し、流動可能な状態にしてから供給してもよく、また、固体のビスフェノール型エポキシ樹脂を上記の反応溶媒に溶解させて流動可能な状態にしてから供給してもよい。
反応溶媒に、アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を供給する方法として、操作性の観点から、好ましくは、アルカノールアミン化合物を連続供給し、かつ、ビスフェノール型エポキシ樹脂を分割供給する方法が挙げられる。
また、アルカノールアミン化合物の供給およびビスフェノール型エポキシ樹脂の供給は、好ましくは、同時に実施される。
すなわち、より好ましくは、アルカノールアミン化合物を連続供給し、かつ、ビスフェノール型エポキシ樹脂を分割供給し、かつ、アルカノールアミン化合物の供給およびビスフェノール型エポキシ樹脂の供給を、同時に実施する。
そして、アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を供給した後、ポリオール樹脂のエポキシ当量を向上させる観点から、さらに、反応溶媒を、上記の加熱温度で加熱することもできる。
このときの加熱時間は、例えば、10分以上、好ましくは、20分以上、より好ましくは、30分以上、さらに好ましくは、1時間以上、また、例えば、24時間以下、好ましくは、12時間以下、より好ましくは、6時間以下、さらに好ましくは、3時間以下である。
以上の工程を経て、アルカノールアミン化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂とが反応する。
具体的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂の両末端のエポキシ基が開環し、ビスフェノール型エポキシ樹脂の両末端に、アルカノールアミン化合物が結合する。
これにより、ポリオール樹脂が得られる。具体的には、ポリオール樹脂を含むポリオール樹脂溶液が得られる。
また、このようなポリオール樹脂溶液は、未反応のビスフェノール型エポキシ樹脂を、例えば、0.001質量%以上、また、例えば、70質量%以下の割合で含んでもよい。
ポリオール樹脂溶液のエポキシ当量は、例えば、5000g/eq.以上、好ましくは、6000g/eq.以上、より好ましくは、8000g/eq.以上であり、また、例えば、測定精度の観点から、100000g/eq.以下である。
なお、上記のエポキシ当量の測定方法については、後述する実施例において詳述する。
上記で説明したように、このポリオール樹脂の製造方法では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とアルカノールアミン化合物とを反応させることにより、ポリオール樹脂を製造する。
このような反応では、アルカノールアミン化合物によって、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が熱分解する(具体的には、下記一般式(3)で示したビスフェノールA型エポキシ樹脂において、Aで示したRとベンゼン環との間の結合が切れる。)場合がある。
Figure 2020090575
特許文献1の方法では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む120℃のキシレン溶媒に、ジエタノールアミンを一括して供給しているため、キシレン溶媒中に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびジエタノールアミンが高濃度で存在する。このような場合には、上記の熱分解が起こりやすくなる傾向があり、その結果、ポリオール樹脂を高分子量化できないという不具合がある。
一方、上記のポリオール樹脂の製造方法では、第1工程において、予め、アルカノールアミン化合物と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とが反応できる温度に調整し、第2工程において、予め温度が調製された反応溶媒に、アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給または分割供給する。
このような連続供給または分割供給によって、反応溶媒中のアルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂の濃度を調整することで、この濃度が高濃度になることを抑制できる。その結果、上記の熱分解を抑制することができる。そうすると、後述する数平均分子量を有する(高分子量化された)ポリオール樹脂を製造することができる。
また、上記のポリオール樹脂の製造方法は、好ましくは、さらに、ポリオール樹脂溶液を加熱する第3工程を備える。
このような第3工程を実施することで、ポリオール樹脂溶液中の未反応のアルカノールアミン化合物、および、未反応のビスフェノール型エポキシ樹脂をより多く反応させることができ、その結果、ポリオール樹脂を、さらに高分子量化させることができる。
具体的には、第3工程では、上記のポリオール樹脂溶液を、第1工程における加熱温度よりも高い温度、例えば、150℃以上、好ましくは、160℃以下、より好ましくは、180℃以上、また、例えば、250℃以下で加熱する。
加熱温度が、上記下限以上であれば、ポリオール樹脂を、さらに高分子量化することができる。
加熱温度が、上記上限以下であれば、上記の熱分解を抑制することができる。
また、第3工程の反応温度を、第1工程の加熱温度よりも高くしても、ポリオール樹脂溶液中のアルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂の大部分は、反応しているため(換言すれば、ポリオール樹脂溶液中で、未反応のアルカノールアミン化合物および未反応のビスフェノール型エポキシ樹脂は、高濃度で存在していないため)、上記の熱分解を抑制することができる。
また、加熱時間は、例えば、10分以上、好ましくは、20分以上、より好ましくは、30分以上、さらに好ましくは、1時間以上であり、また、例えば、24時間以下、好ましくは、12時間以下、より好ましくは、6時間以下、さらに好ましくは、3時間以下である。
このようにして、得られたポリオール樹脂は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2020090575
(RおよびR´は、互いに同一または相異なって、上記一般式(2)のRと同意義を示し、RおよびR´は、互いに同一または相異なって、上記一般式(2)のRと同意義を示し、R〜Rは、上記一般式(3)のR〜Rと同意義を示し、xおよびx´は、上記一般式(2)のxと同意義を示し、yおよびy´は、上記一般式(2)のyと同意義を示し、nは、1以上の整数であって、繰り返し単位の数を示す。)
上記で説明したように、アルカノールアミン化合物とビスフェノール型エポキシ樹脂との反応では、ビスフェノール型エポキシ樹脂の両末端のエポキシ基が開環し、ビスフェノール型エポキシ樹脂の両末端に、アルカノールアミン化合物が結合する。
そのため、1種類のアルカノールアミン化合物を用いた場合は、ビスフェノール型エポキシ樹脂の両末端に、同一のアルカノールアミン化合物が結合する。そうすると、RおよびR´は、互いに同一となり、また、RおよびR´は、互いに同一となり、また、xおよびx´は、互いに同一となり、また、yおよびy´は互いに同一となる。
一方、2種類の互いに相異なるアルカノールアミン化合物を併用する場合、具体的には、上記一般式(2)において、互いに相異なるR、R、x、yを示す一のアルカノールアミン化合物および他のアルカノールアミン化合物を併用する場合には、
α)ビスフェノール型エポキシ樹脂の両末端に、一のアルカノールアミン化合物が結合したポリオール樹脂と、
β)ビスフェノール型エポキシ樹脂の両末端に、他のアルカノールアミン化合物が結合したポリオール樹脂と、
γ)ビスフェノール型エポキシ樹脂の一方側の末端に、一のアルカノールアミン化合物が結合し、ビスフェノール型エポキシ樹脂の他方側の末端に、他のアルカノールアミン化合物が結合したポリオール樹脂の混合物が得られる。
このようなポリオール樹脂のうち、ビスフェノール型エポキシ樹脂の両末端に、一のアルカノールアミン化合物が結合したポリオール樹脂と、ビスフェノール型エポキシ樹脂の両末端に、他のアルカノールアミン化合物が結合したポリオール樹脂とにおいては、RおよびR´は、互いに同一となり、また、RおよびR´は、互いに同一となり、また、xおよびx´は、互いに同一となり、また、yおよびy´は互いに同一となる。
一方、ビスフェノール型エポキシ樹脂の一方側の末端に、一のアルカノールアミン化合物が結合し、ビスフェノール型エポキシ樹脂の他方側の末端に、他のアルカノールアミン化合物が結合したポリオール樹脂においては、RおよびR´は、互いに相異なり、また、RおよびR´は、互いに相異なり、また、xおよびx´は、互いに相異なり、また、yおよびy´は互いに相異なる。
そして、N種類(n、n・・・n)の互いに相異なるアルカノールアミン化合物を併用する場合には、ビスフェノール型エポキシ樹脂の一方側の末端に、n、n・・・n番目のアルカノールアミン化合物のうち、1つのアルカノールアミン化合物が結合し、ビスフェノール型エポキシ樹脂の他方側の末端に、n、n・・・n番目のアルカノールアミン化合物のうち、1つのアルカノールアミン化合物が結合したポリオール樹脂が得られる。
すなわち、N種類(n、n・・・n)の互いに相異なるアルカノールアミン化合物を併用する場合には、ΣN種類のポリオール樹脂の混合物が得られる。
このようなポリオール樹脂のうち、ビスフェノール型エポキシ樹脂の両末端に、同種類のアルカノールアミン化合物が結合したポリオール樹脂においては、RおよびR´は、互いに同一となり、また、RおよびR´は、互いに同一となり、また、xおよびx´は、互いに同一となり、また、yおよびy´は互いに同一となる。
一方、ビスフェノール型エポキシ樹脂の一方側の末端および他方側の末端に、互いに異なる種類のアルカノールアミン化合物が結合したポリオール樹脂においては、RおよびR´は、互いに相異なり、また、RおよびR´は、互いに相異なり、また、xおよびx´は、互いに相異なり、また、yおよびy´は互いに相異なる。
上記式(1)において、R〜Rは、上記一般式(3)のR〜Rと同意義を示す。
詳しくは、上記式(1)で示されるポリオール樹脂のR〜Rは、上記の反応で用い、上記式(3)で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂のR〜Rと同じになる。
上記式(1)において、nは、繰り返し単位の数を示し、nは、例えば、1以上20(数平均)以下である。
詳しくは、上記式(1)で示されるポリオール樹脂のnは、上記の反応で用い、上記式(3)で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂のmと同じになるか、または、nはmより小さくなる。
より詳しくは、上記の反応において、上記の熱分解が起こらない場合には、nはmと同じになり、上記の熱分解が起こる場合には、nはmより小さくなる。
ポリオール樹脂溶液の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、また、好ましくは、60質量%以下である。
ポリオール樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される数平均分子量は、3900以上、好ましくは、4000以上、より好ましくは、4500以上、さらに好ましくは、4900以上であり、また、溶剤への溶解性の観点から、例えば、10000以下である。
ポリオール樹脂の数平均分子量が、上記下限以上であれば、塗料に配合した場合に、曲げ加工性を向上させることができる。
一方、ポリオール樹脂の数平均分子量が、上記下限未満であれば、塗料に配合した場合に、曲げ加工性を向上させることができない。
なお、上記の数平均分子量の測定方法については、後述する実施例において詳述する。
そして、とりわけ、このポリオール樹脂は、塗料原料における主剤として、好適に用いることができる。
本発明の塗料原料は、上記のポリオール樹脂と、上記のポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを備える。
具体的には、この塗料原料は、上記のポリオール樹脂と、上記のポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを、それぞれ別々に調製し、使用時に混合して使用する二液型の塗料原料である。
つまり、塗料原料は、ポリオール樹脂と、ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを独立して備えるキットであり、それらがセット販売される。
ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物としては、例えば、イソシアネート基を有する化合物、例えば、カルボキシル基を有する化合物、例えば、イミド基を有する化合物、例えば、アルデヒド基を有する化合物などが挙げられ、好ましくは、イソシアネート基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ジイソシアネート、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート、例えば、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロジイソシアネート)(IPDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(別名:ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン)(H12MDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NDBI)などの脂環族ジイソシアネートなどのポリイソシアネートが挙げられる。
また、イソシアネート基を有する化合物として、例えば、上記のポリイソシアネートの多量体、トリメチロールプロパンアダクト体、アロファネート体、ビウレット体などが挙げられる。
これらポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
そして、この塗料原料を用いて、塗料組成物を製造することができる。
具体的には、塗料組成物は、上記のポリオール樹脂および上記のポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(すなわち、塗料原料)を準備する工程(準備工程)と、上記のポリオール樹脂と、上記のポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを混合する工程(混合工程)を備える製造方法により製造することができる。
準備工程では、ポリオール樹脂およびポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物(すなわち、塗料原料)を準備する。
そして、混合工程では、ポリオール樹脂と、ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを混合する。
具体的には、ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物中の水酸基と反応可能な官能基に対する、ポリオール樹脂の水酸基の当量比(水酸基/水酸基と反応可能な官能基)が、例えば、好ましくは、0.75以上であり、例えば、2以下、好ましくは、1.5以下となるように、ポリオール樹脂と、ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを混合する。
これにより、ポリオール樹脂と、ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを含む塗料組成物が得られる。
また、塗料組成物には、必要に応じて、例えば、エポキシ樹脂、触媒、塗工改良剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、可塑剤、界面活性剤、顔料(例えば、酸化チタンなど。)、充填剤(例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、カーボン、石油樹脂、タール、アスファルトなど。)、有機または無機微粒子、防黴剤、シランカップリング剤などの添加剤を配合してもよい。
これらの添加剤は、ポリオール樹脂、および、ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物のうちのいずれか一方またはその両方に配合してもよく、これらを混合してから配合してもよい。
これらの添加剤の配合量は、その目的および用途により適宜決定される。
そして、このような塗料組成物を、適宜の割合で、鋼板上に塗布し、必要により、乾燥および加熱することで、塗料組成物を硬化させ、塗膜(硬化膜)を形成することができる。
このような塗膜は、上記のポリオール樹脂を含む塗料組成物を用いて得られるため、曲げ加工性に優れる。
そして、このような塗膜を備える鋼板(プレコート鋼板)は、建材、電気製品、自動車部品などの用途に好適に用いることができる。
また、上記のポリオール樹脂は、例えば、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールなどの他のポリオール樹脂、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、例えば、ポリエステル樹脂、例えば、アクリル樹脂、例えば、繊維素樹脂などに配合することで、改質剤として用いることができる。
また、上記のポリオール樹脂は、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂などのアミノ樹脂、例えば、レゾールなどのメチロール基を有する樹脂に配合することにより、焼付塗料として用いることもできる。
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。また、以下の記載において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。
1.ポリオール樹脂の製造
実施例1
(第1工程)
反応溶媒として、キシレン46.7g、エチレングリコールモノブチルエーテル109gを、還流冷却器を備えた反応容器に仕込み、容器内を窒素で置換したのち、撹拌しながら100℃に加熱した。
(第2工程)
上記の反応溶媒に、ジエタノールアミン3.7gを、5時間に亘って反応容器に連続的に供給した。別途、ジエタノールアミンのシクロヘキサノン溶液の供給と同時に、エポキシ当量2850g/eq.、数平均分子量3750のビスフェノールA型エポキシ樹脂(具体的には、上記一般式(3)において、Rが水素原子、R、R、R、Rは水素原子を示し、Rは、ジメチルメチレン基を示し、n=12(数平均)を示す固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂)100gを、10gずつに分割して、30分おきに反応溶媒に供給した。
供給終了後、さらに、100℃で加熱反応を1時間継続し、エポキシ当量30000g/eq.以上であり、GPCによる数平均分子量4000のポリオール樹脂を含むポリオール樹脂溶液を得た。
反応終了時における、キシレン:エチレングリコールモノブチルエーテルの組成比(重量比)は、18:42であり、ポリオール樹脂の固形分濃度は40重量%であった。
実施例2
実施例1で得られたポリオール樹脂溶液を、窒素雰囲気下、還流冷却器を備えた反応器中、撹拌下、180℃で2時間、加熱反応させた(第3工程)。
これにより、エポキシ当量30000g/eq.以上であり、GPCによる数平均分子量5000のポリオール樹脂を含むポリオール樹脂溶液を得た。
比較例1
キシレン46.7g、実施例1で用いたビスフェノールA型エポキシ樹脂100gを、還流冷却器を備えた反応容器に仕込み、系内を窒素置換した後、徐々に加熱して内温を120℃まで上げ、撹拌し完全に溶解させた後、さらに150℃まで徐々に加熱した。内温が150℃に到達した後、ジエタノールアミン3.7gを1時間かけて連続的に供給し、温度を保持して、さらに6時間撹拌させて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とジエタノールアミンとを反応させた。次に、反応混合物に、エチレングリコールモノブチルエーテル109gを反応溶媒に添加し溶解させた後、室温まで冷却させたところ、エポキシ当量30000g/eq.以上であり、GPCによる数平均分子量3500のポリオール樹脂を含むポリオール樹脂溶液を得た。反応終了時における、キシレン:エチレングリコールモノブチルエーテルの組成比(重量比)は、18:42であり、ポリオール樹脂の固形分濃度は40重量%であった。
2.評価
(エポキシ当量)
各実施例および比較例のポリオール樹脂0.2〜5gを精秤し、200mlの三角フラスコに入れた後、ジオキサン25mlを加えて溶解させた。次いで、1/5規定の塩酸溶液(ジオキサン溶媒)25mlを加え、密栓して十分混合した後、30分間静置した。次いで、トルエン−エタノール混合溶液(1:1容量比)50mlを加えた後、クレゾールレッドを指示薬として1/10規定水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。滴定結果に基づいて下記式(1)に従ってエポキシ当量(g/eq.)を計算した。
エポキシ当量(g/eq.)=1000×W/〔(B−S)×N〕 (1)
W:ポリオール樹脂採取量(g)
B:空試験に要した1/10規定水酸化ナトリウム水溶液(ml)
S:試料の試験に要した1/10規定水酸化ナトリウム水溶液(ml)
N:水酸化ナトリウム水溶液の規定度
(数平均分子量)
各実施例および比較例のポリオール樹脂80mgを、テトラヒドロフラン(THF)10mlに溶解して試料液を調製し、この試料液100μlを、カラムに注入し、下記の測定条件で保持時間の測定を実施した。また、予め、既知の数平均分子量を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂を標準物質として用いて、保持時間を測定して、下記表1に示す結果を得、この表に基づいて検量線を作成し、その検量線から樹脂試料の数平均分子量(Mn)をビスフェノールA型エポキシ樹脂換算で求めた。なお、保持時間の補正のため、内部標準としてキシレン使用した。その結果を表2に示す。
<測定条件>
カラム:HSG20(ガードカラム)+HSG60S+HSG50+HSG40+HSG20(全て島津製作所社製)
カラム温度:40℃・移動相(流量):THF(1ml/分)
ピーク検出法:UV(254nm)
検量線種類:直線
Figure 2020090575
(曲げ加工性)
各実施例および比較例1のポリオール樹脂溶液のそれぞれに、ヘキサメチレンジイソシアネートを、エポキシ樹脂溶液/硬化剤樹脂の配合割合が20/10(固形分換算)となるように配合して、塗料組成物を調製した。
次いで、脱脂した0.3×100×200mmの鋼板(日本テストパネル工業(株)製JIS G3033(STPE))に、この塗料組成物を膜厚が7〜8μmになるようにバーコーターを用いて塗装し、220℃の温度で1分間焼き付け、塗膜を得た。これにより、ポリオール樹脂を含む塗膜を備える鋼板(プレコート鋼板)を得た。
次いで 、得られたプレコート鋼板を、スペーサーとして、被塗装金属板1枚を挟むように180度折り曲げた場合(1T)と、スペーサーとして、同上の板2枚を挟んで189度折り曲げた場合(2T)について、それぞれ折り曲げ部をテープ剥離し、その塗膜外観を目視で評価した。
塗膜の外観に関して次の基準で優劣を評価した。その結果を表2に示す
5:折り曲げ部の塗膜が、剥離しなかった。
:折り曲げ部の塗膜が、1%以上5%未満、剥離した。
4:折り曲げ部の塗膜が、5%以上10%未満、剥離した。
:折り曲げ部の塗膜が、10%以上20%未満、剥離した。
3:折り曲げ部の塗膜が、20%以上30%未満、剥離した。
2:折り曲げ部の塗膜が、30%以上50%未満、剥離した。
1:折り曲げ部の塗膜が、50%以上剥離した。
Figure 2020090575

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示され、
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される数平均分子量が3900以上であることを特徴とする、ポリオール樹脂。
    Figure 2020090575

    (一般式(1)中、RおよびR´は、互いに同一または相異なって、炭素数2〜10の2価のアルキレン基を示し、RおよびR´は、互いに同一または相異なって、炭素数1〜10の1価のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示し、R、R、R、Rは、互いに同一または相異なって、水素原子またはハロゲン原子を示し、Rは、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、メチルフェニルメチレン基、シクロヘキシリデン基、スルホニル基、または、エーテル基を示し、nは、1以上の整数であって、繰り返し単位の数を示し、xは、1または2を示し、yは0または1を示し、かつ、x+y=2を示し、x´は、1または2を示し、y´は0または1を示し、x´+y´=2を示す。)
  2. 反応溶媒を、50℃以上120℃以下に加熱する第1工程と、前記反応溶媒に、下記一般式(2)で示されるアルカノールアミン化合物を連続供給または分割供給し、かつ、前記反応溶媒に、下記一般式(3)で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給または分割供給することにより、前記アルカノールアミン化合物およびビスフェノール型エポキシ樹脂を反応させ、ポリオール樹脂を含むポリオール樹脂溶液を調製する第2工程とを備える製造方法により得られることを特徴とする、請求項1に記載のポリオール樹脂。
    Figure 2020090575

    (一般式(2)中、x、yは、上記一般式(1)のx、yと同意義を示す。)
    Figure 2020090575

    (一般式(3)中、R〜Rは、上記一般式(1)のR〜Rと同意義を示し、mは、1以上の整数であって、繰り返し単位の数を示す。)
  3. 反応溶媒を、50℃以上120℃以下に加熱する第1工程と、
    前記反応溶媒に、下記一般式(2)で示されるアルカノールアミン化合物を連続供給または分割供給し、かつ、前記反応溶媒に、下記一般式(3)で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂を連続供給または分割供給することにより、前記アルカノールアミン化合物および前記ビスフェノール型エポキシ樹脂を反応させ、ポリオール樹脂を含むポリオール樹脂溶液を調製する第2工程とを備えることを特徴とする、ポリオール樹脂の製造方法。
    Figure 2020090575

    (一般式(2)中、x、yは、上記一般式(1)のx、yと同意義を示す。)
    Figure 2020090575

    (一般式(3)中、R〜Rは、上記一般式(1)のR〜Rと同意義を示し、mは、1以上の整数であって、繰り返し単位の数を示す。)
  4. さらに、前記ポリオール樹脂溶液を、150℃以上250℃以下に加熱する第3工程を備えることを特徴とする、請求項3に記載のポリオール樹脂の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載のポリオール樹脂と、前記ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを備えることを特徴とする、塗料原料。
  6. 請求項1または2に記載のポリオール樹脂と、前記ポリオール樹脂の水酸基と反応可能な官能基を有する化合物とを混合する工程を備えることを特徴とする、塗料組成物の製造方法。
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