JP2020090420A - 黒鉛製またはセラミックス製の基板、基板の製造方法、炭化珪素の成膜方法および炭化珪素基板の製造方法 - Google Patents

黒鉛製またはセラミックス製の基板、基板の製造方法、炭化珪素の成膜方法および炭化珪素基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】CVD法によって支持基板上にSiC多結晶膜を成膜したのち、支持基板から分離することでSiC多結晶基板を製造する場合において、安価かつ容易に、SiC多結晶膜と支持基板を容易に分離することができる、黒鉛製またはセラミックス製の基板、基板の製造方法、炭化珪素の成膜方法および炭化珪素基板の製造方法を提供する。【解決手段】表面に平均膜厚5nm〜10μmの二酸化珪素膜を備える黒鉛製またはセラミックス製の基板。【選択図】図1

Description

本発明は、黒鉛製またはセラミックス製の基板、基板の製造方法、炭化珪素の成膜方法および炭化珪素基板の製造方法に関する。
炭化珪素(SiC)は、ケイ素(以下、「Si」とする場合がある)と炭素で構成される化合物半導体材料である。SiCは、絶縁破壊電界強度がSiの10倍であり、バンドギャップがSiの3倍と優れているだけでなく、デバイスの作製に必要なp型、n型の制御が広い範囲で可能であることなどから、Siの限界を超えるパワーデバイス用材料として期待されている。
しかしながら、SiC半導体は、広く普及するSi半導体と比較し、大面積のSiC単結晶基板が得られず、工程も複雑であることから、Si半導体と比較して大量生産ができず、高価であった。
SiC半導体のコストを下げるため、様々な工夫が行われてきた。例えば、特許文献1には、SiC基板の製造方法であって、少なくとも、マイクロパイプの密度が30個/cm以下のSiC単結晶基板とSiC多結晶基板を準備し、前記SiC単結晶基板と前記SiC多結晶炭化珪素基板とを貼り合わせる工程を行い、その後、SiC単結晶基板を薄膜化する工程を行うことで、SiC多結晶基板上にSiC単結晶層を形成した基板を製造することが記載されている。
更に、特許文献1には、SiC単結晶基板とSiC多結晶基板とを貼り合わせる工程の前に、SiC単結晶基板に水素イオン注入を行って水素イオン注入層を形成する工程を行い、SiC単結晶基板とSiC多結晶基板とを貼り合わせる工程の後、SiC単結晶基板を薄膜化する工程の前に、350℃以下の温度で熱処理を行い、SiC単結晶基板を薄膜化する工程を、水素イオン注入層にて機械的に剥離する工程とするSiC基板の製造方法が記載されている。
このような方法により、1つのSiC単結晶のインゴットから、より多くのSiC基板が得られるようになった。
特開2009−117533号公報
しかしながら、前記記載の方法で製造されたSiC基板は、その大部分がSiC多結晶基板である。このため、SiC基板が研磨などのハンドリングの際に損傷しないよう、機械的な強度を有するように十分な厚さのSiC多結晶基板を使用しなければならない。
従来、前記SiC多結晶基板は、CVD法によって支持基板上にSiC多結晶膜を成膜したのち、必要に応じで端面研削により支持基板を側面から露出させ、溶液による溶解、もしくは焼成し気化させる等の手段により、支持基板を一部または全部を破壊することでSiC多結晶膜を分離していた。
例えば、支持基板に黒鉛を用いた場合、酸素もしくは大気雰囲気中において数百度で加熱し、黒鉛を焼成することで支持基板を分離することができる。この際に、SiC多結晶膜と黒鉛基板との熱膨張係数の差によって応力が生じ、クラックが発生する不具合の起きる場合があった。
一方で、支持基板にSi基板を用いた場合、例えばふっ硝酸中にSi基板を浸漬し、Si基板を溶解させることでSiC多結晶膜を分離することができる。この際、Siとふっ硝酸との反応で生じた熱によって、SiC多結晶膜とSi基板の熱膨張係数の差で応力が生じ、SiC多結晶膜にクラックが生じる不具合の起きる場合があった。
さらに、支持基板として、Si基板の表面を熱により酸化させてSiOの薄膜を形成させた、熱酸化SiO膜付きSi基板を用いた場合、例えばふっ酸中に浸漬し、SiO膜のみを溶解させることでSiC多結晶膜を分離することができる。しかしながら、Si基板は、高価であるため、製造コストを増加させる要因となっていた。また、Si基板は黒鉛基板に比べ熱に弱く、1300℃を超えるような条件で蒸着を行う熱CVD法では、Si基材が高温で軟化し、SiC膜の応力によって、SiC膜に反りが発生することがあった。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、例えばCVD法によって支持基板上にSiC多結晶膜を成膜したのち、支持基板から分離することでSiC多結晶基板を製造する場合において、安価かつ容易に、SiC多結晶膜と支持基板を容易に分離することができる、黒鉛製またはセラミックス製の基板、基板の製造方法、炭化珪素の成膜方法および炭化珪素基板の製造方法を提供することにある。
そこで、上記課題を解決すべく、本発明者等が鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、支持基板上にシリコン化合物の溶液を塗布し、焼成することよりSiO膜を形成してSiO膜付きの支持基板を得た後、化学的気相成長法によりSiO膜付きの支持基板上にSiC多結晶膜を形成し、その後SiO膜を溶解して支持基板を分離することで、安価かつ容易にSiC多結晶膜を分離できることを見出すに至った。
上記課題を解決するために、本発明の基板は、表面に平均膜厚5nm〜10μmの二酸化珪素膜を備える黒鉛製またはセラミックス製の基板である。
基板の厚みが0.5mm〜10mmであってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の基板の製造方法は、前記の基板を製造する方法であって、加水分解により二酸化珪素を形成するシラン化合物を基板に塗付する塗付工程と、シラン化合物を塗付した基板を焼成する焼成工程とを含む。
前記シラン化合物が、アルコキシシランおよび/またはシラザンであってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の炭化珪素の成膜方法は、前記の基板の表面に、化学蒸着によって炭化珪素の多結晶膜を成膜する成膜工程を含む。
また、上記課題を解決するために、本発明の炭化珪素基板の製造方法は、前記の成膜方法により得た、表面に炭化珪素の多結晶膜が成膜した基板に対し、成膜した前記炭化珪素の端部を除去して二酸化珪素膜を露出させる露出工程と、前記露出工程後、前記二酸化珪素膜を溶解して除去する除去工程と、を含む。
前記除去工程後、成膜した前記炭化珪素の多結晶膜の表面を研磨する研磨工程を含んでもよい。
本発明の黒鉛製またはセラミックス製の基板、基板の製造方法、炭化珪素の成膜方法および炭化珪素基板の製造方法によれば、安価な黒鉛製またはセラミックス製の支持基板を使用し、支持基板を破壊することなくSiC多結晶膜と支持基板を容易に分離することができるため、支持基板を再利用することが可能となり、支持基板のコストを大幅に低減する効果がある。
本発明の基板の一例として基板100、110を模式的に示す断面図である。 基板110を用いた炭化珪素の成膜方法および炭化珪素基板の製造方法の工程を説明する模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明するが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
[基板]
本発明の基板は、化学蒸着によって表面に炭化珪素膜を成膜させるための支持基板であり、黒鉛基板や、アルミナやジルコニアなどのセラミックス基板を用いることができる。これらの基板であれば、1300℃を超えるような条件で蒸着を行う熱CVD法においても、軟化や形状の変形等が発生しないため、軟化点が1000℃付近にあるSi基板のように、軟化や形状の変形等の発生によるSiC膜の反りが発生しない。また、これらの基板は、二酸化珪素膜(SiO膜)を溶解させるフッ酸溶液等の酸によって溶解しないため、炭化珪素膜を分離後、再度支持基板として使用することができる。
〈二酸化珪素膜の平均膜厚〉
本発明の基板は、表面に二酸化珪素膜を備えており、その平均膜厚は5nm〜10μmである。平均膜厚は、例えば基板の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、任意の3点の膜厚の平均を求めることで算出できる。
二酸化珪素膜の平均膜厚が5nm未満の場合には、二酸化珪素膜が支持基板の表面全体に形成されていないことで、支持基板が部分的に露出するおそれがある。また、二酸化珪素膜の平均膜厚が10μmより厚い場合には、酸による溶解に時間を要し、また、例えば後述するスピンコート処理を2回以上行う必要がある等、二酸化珪素膜を形成する工程数が増えることで、非効率となるおそれがある。平均膜厚が5nm〜10μmの二酸化珪素膜であれば、二酸化珪素膜が支持基板の表面全体に形成されており、この膜を形成する負担がかからず、また、酸により溶解され易い十分な膜厚を有する。また、後述する方法による二酸化珪素膜の膜厚の管理や制御が容易となり、溶解処理の管理が容易となる。
また、二酸化珪素膜は、成膜対象となる基板の表面全体に形成されていることが重要となる。例えば、黒鉛基板の表面に二酸化珪素膜が形成されていない領域があり、その領域において黒鉛基板に炭化珪素膜が直接成膜してしまうと、黒鉛基板から炭化珪素膜を分離するために、加熱により黒鉛基板を燃焼させる必要のある場合がある。
〈基板の厚み〉
本発明の基板は、その厚みが0.5mm〜10mmであることが好ましい。厚みが0.5mm未満の場合には、成膜したSiC膜の内部応力により、支持基板にSiC膜が成膜した状態で反りが発生し、不具合を招来するおそれがある。また、厚みが10mmよりも厚いと、成膜装置のチャンバ−へ設置できる基板の数が少なくなるため、一度の成膜処理によってSiC膜を化学蒸着させることのできる支持基板の枚数が少なくなり、生産性が低下するおそれがある。基板の厚みが0.5mm〜10mmであれば、上記のような反りが発生せず、また、生産性が低下することもない。
図1に、本発明の基板の一例として、基板100、110の模式断面図を示す。黒鉛基板やセラミックス基板である支持基板10は、成膜対象となる表面全面に二酸化珪素膜20を備える。本発明の基板としては、図1(a)に示すように、支持基板10の片面に二酸化珪素膜20を備える基板100や、図1(b)に示すように、支持基板10の両面に二酸化珪素膜20を備える基板110を例示することができる。
[基板の製造方法]
次に、本発明の基板の製造方法について、その一態様を説明する。かかる製造方法は、上記した本発明の基板を製造する方法であって、以下に説明する塗付工程と、焼成工程とを含む。これらの工程により、表面に二酸化珪素膜を備える基板を製造することができる。
〈塗付工程〉
本工程は、加水分解により二酸化珪素を形成するシラン化合物を基板に塗付する工程である。後にSiCを成膜する対象となる基板の表面全体に、例えば、スピンコート、ディップコート、ローラー塗り、刷毛塗り、スプレー塗り等により塗付することができる。また、二酸化珪素膜として平均膜厚が5nm〜10μmとなるように、シラン化合物の塗付量や塗付回数を適宜調整することができる。
(シラン化合物)
シラン化合物としては、加水分解により二酸化珪素を形成することのできるものを使用することができる。例えば、アルコキシシランやシラザンが挙げられ、これらを単独で使用、または併用することができる。より具体的には、オルガノアルコキシシランやペルヒドロポリシラザンが挙げられる。これらは、以下の反応式によって加水分解され、二酸化珪素となる。特に、副生成物として発生するアンモニアや水素が不具合を生じさせるおそれのある場合には、ペルヒドロポリシラザンよりもオルガノアルコキシシランを用いることが好ましい。
[数1]
オルガノアルコキシシラン:Si(OC2H5)4 + 2H2O → SiO2 + 4C2H5OH (1)

ペルヒドロポリシラザン:SiH2NH + 2H2O →SiO2 + NH3 + 2H2 (2)
オルガノアルコキシシランを例とすると、塗付に用いるシラン化合物の溶液は、オルガノアルコキシシランの加水分解縮合物を、ヘキサンやエーテル等の適当な溶媒に溶解して得られる。オルガノアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどの3官能または2官能のアルコキシシランを単独または混合して用いることができる。
〈焼成工程〉
本工程は、シラン化合物を塗付した基板を焼成する工程である。この工程により、基板の表面に二酸化珪素の連続膜を形成することができる。焼成条件は特に限定されないが、大気中で焼成すれば良く、例えば、空気雰囲気中にて150〜250℃で1〜10分間加熱する条件により、焼成することができる。
(その他の工程)
本発明の基板の製造方法は、上記の工程以外の工程を含んでもよい。例えば、塗付工程前に支持基盤を洗浄する洗浄工程、塗布工程後にシラン化合物の溶液の溶媒を蒸発させる乾燥工程が挙げられる。
上記の工程により、表面に二酸化珪素膜を備える基板(例えば基板100、110)を製造することができる。
[炭化珪素の成膜方法]
次に、本発明の炭化珪素の成膜方法について、その一態様を説明する。かかる炭化珪素の成膜方法は、上記した本発明の基板の表面に、化学蒸着によって炭化珪素の多結晶膜を成膜する成膜工程を含む。この工程により、本発明の基板の表面に、炭化珪素の多結晶膜(SiC多結晶膜)を成膜することができる。
〈成膜工程〉
SiC多結晶膜は化学的気相成長法(CVD法)により化学蒸着させることで成膜される。例えば、本発明の基板を成膜装置の反応炉内に固定し、減圧状態でAr等の不活性ガスを流しながら炉内を反応温度まで昇温させる。反応温度に達したら、不活性ガスを止め、原料ガスおよびキャリアガスを流すことで、本発明の基板に成膜されたSiC多結晶膜を得ることができる。
より具体的には、加熱した本発明の黒鉛基板に、1200〜1700℃の温度に加熱した、SiC多結晶膜の成分を含む原料ガスやキャリアガス等の混合ガスを供給し、大気圧下において黒鉛基板の二酸化珪素膜の表面や気相での化学反応を所定時間行うことにより、SiC多結晶膜を堆積する方法が挙げられる。
(原料ガス)
原料ガスとしては、SiC多結晶膜を成膜することができれば、特に限定されず、一般的に使用されるSi系原料ガスやC系原料ガスを用いることができる。Si系原料ガスとしては、例えば、シラン(SiH)を用いることができるほか、モノクロロシラン(SiHCl)、ジクロロシラン(SiHCl)、トリクロロシラン(SiHCl)、テトラクロロシラン(SiCl)などのエッチング作用があるClを含む塩素系Si原料含有ガス(クロライド系原料)を用いることもできる。また、C系原料ガスとしては、例えば、メタン(CH)、プロパン(C)、アセチレン(C)等の炭化水素ガスを用いることができる。また、上記のほか、トリクロロメチルシラン(CHClSi)、トリクロロフェニルシラン(CClSi)、ジクロロメチルシラン(CHClSi)、ジクロロジメチルシラン((CHSiCl)、クロロトリメチルシラン((CHSiCl)等のSiとCとを両方含むガスも、原料ガスとして用いることができる。
(キャリアガス)
キャリアガスとしては、成膜を阻害することなく、原料ガスを基板へ展開することができれば、一般的に使用されるキャリアガスを用いることができる。例えば、熱伝導率に優れ、SiCに対してエッチング作用がある水素(H)を用いることができる。
(その他のガス)
また、これらの原料ガスおよびキャリアガスと同時に、第3のガスとして、不純物ドーピングガスを同時に供給することもできる。例えば、導電型をn型とする場合には窒素(N)ガス、p型とする場合にはトリメチルアルミニウム(TMA)ガスを用いることができる。
(その他の工程)
本発明の炭化珪素の成膜方法は、成膜工程以外にも、他の工程を含むことができる。例えば、成膜装置内の基板ホルダーに本発明の基板を複数枚セットする工程や、セットした基板を加熱する工程、化学蒸着前の基板に、成膜を阻害するような何らかの反応が生じないよう、基板を不活性雰囲気下とするべく、アルゴン等の不活性ガスを流通させる工程等が挙げられる。
[炭化珪素基板の製造方法]
次に、本発明の炭化珪素基板の製造方法について、その一態様を説明する。かかる製造方法は、以下に説明する露出工程と除去工程とを含む。この方法により、炭化珪素の多結晶基板を製造することができる。
〈露出工程〉
露出工程の一例としては、上記した本発明の炭化珪素の成膜方法により得た、表面にSiC多結晶膜が成膜した基板に対し、成膜したSiC多結晶膜の端部を除去して二酸化珪素膜を露出させる工程が挙げられる。この工程により、二酸化珪素膜が露出され、後述する除去工程により二酸化珪素膜を溶解させ易くなる。
上記の成膜工程によって、基板の側壁にはSiC多結晶膜が成膜されるため、これを例えば端面加工装置に投入して、成膜したSiC多結晶膜の端面から内側へ2〜4mm研削して、二酸化珪素膜の端面を露出させることができる。なお、SiC多結晶膜の成膜前に基板の外周部をリング状の黒鉛等でマスクしておけば、端面加工は不要であり、この場合には、マスクを除去することが露出工程となる。
〈除去工程〉
除去工程の一例としては、露出工程後、二酸化珪素膜を溶解して除去する工程が挙げられる。この工程により、二酸化珪素膜が消滅してSiC多結晶膜が残って、これがSiC多結晶基板となる。また、二酸化珪素膜が消滅した後の支持基板は、再利用可能であり、表面に二酸化珪素膜を形成させることで本発明の基板となる。
除去工程では、酸溶液を使用する例が挙げられ、例えば、フッ酸溶液中に露出工程後のSiC多結晶膜が成膜した基板を24時間以上浸漬することで、二酸化珪素膜のみを溶解し、支持基板とSiC多結晶膜を分離できる。また、フッ酸にフッ化アンモニウムを混合した溶液(緩衝フッ酸)を使用することで、溶解が遅くなるように溶解速度を制御することができ、これにより、二酸化珪素膜の急激な溶解によるSiC多結晶膜の内部応力の急激な変化により生じる、SiC多結晶膜の割れを防止することができる。
〈研磨工程〉
本発明の炭化珪素基板の製造方法は、除去工程後、成膜した炭化珪素の多結晶膜の表面を研磨する研磨工程を含んでもよい。炭化珪素基板は、半導体の製造に用いられる基板とするのであれば、半導体製造プロセスで使用できる面精度が必要となる。そこで、本工程により、炭化珪素基板700の表面を平滑化することが好ましい。
例えば、炭化珪素基板をダイアモンドスラリーでラップ処理し、ダイアモンドとアルミナとの混合スラリーでハードポリッシュした後に、シリカスラリー(コロイダルシリカ、pH11)でポリッシュするという工程を経て、炭化珪素基板の表面を平滑化することができる。
(その他の工程)
本発明の炭化珪素基板の製造方法は、上記の工程以外にも、他の工程を含むことができる。例えば、除去工程後の炭化珪素基板から酸溶液を除去するための洗浄工程等が挙げられる。
図2の模式断面図を用いて、本発明の基板を用いた炭化珪素の成膜方法および炭化珪素基板の製造方法の工程を説明する。本発明の基板として基板110を使用し(図2(a))、成膜工程によって基板110の表面にSiC多結晶膜50を成膜する(図2(b))。そして、露出工程によって、SiC多結晶膜50の両方の端部を除去して、二酸化珪素膜20を露出させる(図2(c))。露出工程後、除去工程により露出した二酸化珪素膜20を溶解して除去する。除去工程により、二酸化珪素膜20を完全に溶解させることで、支持基板10とSiC多結晶膜50を分離することができ、分離後のSiC多結晶膜50がSiC多結晶基板60となる。また、支持基板10は再利用可能であり、二酸化珪素膜20を表面に形成した後、成膜工程に用いることができる。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(基板110の製造)
支持基板10として、直径4インチで厚みが500μmの黒鉛基板を使用した。支持基板10上にシリコン化合物の溶液(東京応化工業製:OCD T−7 10000−T)を塗付して毎分1000回転でスピンコート後、空気中にて200℃で3分間加熱して、シリコン化合物の乾燥塗膜を形成した。乾燥塗膜は、支持基板10の両面の全面に形成した。この乾燥塗膜付の支持基板10を、窒素雰囲気中にて400℃で30分間焼成し、両面に膜厚100nmの二酸化珪素膜20を備える基板110を得た。なお、炭化珪素膜20の膜厚は、分光光度計により観察し、任意の3点の膜厚の平均とした。
(SiC多結晶膜の成膜)
上記方法にて製造した基板110に、炭化珪素多結晶膜として厚み0.6mmのSiC多結晶膜50を基板110の両面に成膜した。成膜条件は、成膜室内の圧力を25kPa、温度を1350℃とし、SiClガスとCHガスを各800sccm、キャリアガスとして水素ガスを5000sccm(1気圧、0℃での値に換算したガス流量)で導入し、20時間の成膜を実施してSiC多結晶膜50を成膜した(図2(b))。
(SiC多結晶基板の製造)
SiC多結晶膜50を成膜後、端面加工装置を使用し、SiC多結晶膜50が成膜した基板110の外周部を研磨することで、二酸化珪素膜20の側面を露出させた(図2(c))。その後、HF濃度が49%のフッ酸とNHF濃度が40%のフッ化アンモニウムを質量比1:6の比率で混合した緩衝フッ酸溶液中に、SiC多結晶膜50が成膜した基板110を24時間浸漬することで、二酸化珪素膜20を融解させ、支持基板10とSiC多結晶膜50を分離し、SiC多結晶基板60を得た(図2(d))。
緩衝フッ酸により緩やかに二酸化珪素膜20だけを溶解させることで、溶解時の発熱が抑制され応力によるSiC多結晶膜50へのクラックの発生は見られなかった。また、高温でも軟化しない黒鉛基板を用いたことで、成膜時の応力によるSiC膜の反りや歪みはほとんど見られなかった。また、黒鉛基板は溶けることなく元の状態を保ち、再利用が可能であった。
[比較例1]
支持基板10上に二酸化珪素膜20を形成せずに、支持基板10をそのまま使用したこと以外は、実施例1と同様にSiC多結晶膜50を支持基板10の両面に成膜した。
その後、端面加工装置を使用し、SiC多結晶膜50が成膜した支持基板10の外周部を研磨することで、支持基板10の側面を露出させてから、空気中で800℃に加熱することにより、支持基板10を燃焼除去し、SiC多結晶基板60を得た。
支持基板10として、高温でも軟化しない黒鉛基板を用いたことで、SiCの成膜時の応力に起因するSiC多結晶基板60の反りや歪みはほとんど見られなかったが、支持基板10を燃焼除去する際の応力によって、多結晶基板60に若干の反りが確認された。また、支持基板10を燃焼除去する工程中で、熱応力によりSiC多結晶膜50の10枚中2枚にクラックが発生した。また、燃焼除去したことにより、黒鉛製の支持基板10は完全に消失する結果となった。
[比較例2]
支持基板10としてSi基板を用いた以外は、実施例1と同様に支持基板10の両面に二酸化珪素膜20を形成し、SiC多結晶膜50を支持基板10の両面にある二酸化珪素膜20の表面に成膜した。
その後、端面加工装置を使用し、SiC多結晶膜50が成膜した支持基板10の外周部を研磨することで、二酸化珪素膜20の側面を露出させた。その後、実施例1と同様に緩衝フッ酸溶液中にSiC多結晶膜50が成膜した支持基板10を24時間浸漬することで、二酸化珪素膜20を融解させ、支持基板10とSiC多結晶膜50を分離し、SiC多結晶基板60を得た。
緩衝フッ酸により緩やかに二酸化珪素膜20だけを溶解させることで、溶解時の発熱が抑制され応力によるSiC多結晶膜50へのクラックの発生は見られなかった。しかしながら、支持基板10としてSi基板を用いたため、1350℃という高温条件でSiC多結晶膜50を成膜している際に、支持基板10が軟化してしまい、SiC多結晶膜50の応力により、支持基板10が歪む結果となった。これにより、SiC多結晶基板60に反りが発生する結果となった。
また、支持基板10であるSi基板は、緩衝フッ酸により溶けなかったが、成膜時の応力により歪みが発生したため、再利用することができなかった。
表1に実施例1、比較例1、2の結果を示す。表1において、支持基板の状況は、SiC多結晶基板60を製造後の支持基板の状況を評価したものである。そして、SiC多結晶基板の反りは、SiC多結晶基板60が反り量:40μm以下の状態を〇、150μm以下を△、150μm以上を×と評価した。また、SiC多結晶基板のクラック発生枚数は、SiC多結晶基板60を10枚製造し、そのうちクラックが発生した基板の枚数を示したものである。
なお、反り量は、SiC多結晶基板60の表面の中心線上をレーザー変位計で測定し、得られた測定値の最大値と最小値との差を反り量とした。測定は5点とし、中心、円周端部、および中心と円周端部との間にあり、中心からの距離と円周端部からの距離が同じ地点について、測定した。
Figure 2020090420
[まとめ]
以上より、本発明によれば、反り量が少なくクラックの発生しないSiC多結晶基板を容易に製造することができる。また、SiC多結晶基板の製造に用いた支持基板の再利用が可能となる。
10 支持基板
20 二酸化珪素膜
50 SiC多結晶膜
60 SiC多結晶基板
100 基板
110 基板

Claims (7)

  1. 表面に平均膜厚5nm〜10μmの二酸化珪素膜を備える黒鉛製またはセラミックス製の基板。
  2. 基板の厚みが0.5mm〜10mmである、請求項1に記載の基板。
  3. 請求項1または2に記載の基板の製造方法であって、
    加水分解により二酸化珪素を形成するシラン化合物を基板に塗付する塗付工程と、
    シラン化合物を塗付した基板を焼成する焼成工程と
    を含む、基板の製造方法。
  4. 前記シラン化合物が、アルコキシシランおよび/またはシラザンである、請求項3に記載の基板の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の基板の表面に、化学蒸着によって炭化珪素の多結晶膜を成膜する成膜工程を含む、炭化珪素の成膜方法。
  6. 請求項5に記載の成膜方法により得た、表面に炭化珪素の多結晶膜が成膜した基板に対し、成膜した前記炭化珪素の端部を除去して二酸化珪素膜を露出させる露出工程と、
    前記露出工程後、前記二酸化珪素膜を溶解して除去する除去工程と、を含む、炭化珪素基板の製造方法。
  7. 前記除去工程後、成膜した前記炭化珪素の多結晶膜の表面を研磨する研磨工程を含む、請求項6に記載の炭化珪素基板の製造方法。
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