JP2020090087A - ブロー成形装置 - Google Patents

Abstract

【課題】ブロー成形後にノズルを口部から離脱させたときにノズルから非圧縮性流体が垂れ落ちることを抑制でき、もって、当該流体が成形後の容器や金型に付着することを抑制できるブロー成形装置を提供する。【解決手段】ノズル７と、加圧流体供給源１０と、シール体１１と、ロッド１６とを備え、シール体１１は筒壁１１ｂを備え、シール体１１の内周面には、筒壁１１ｂの下端から筒壁１１ｂの外周面に開口する連通口１８まで延在する連通凹部１７が設けられており、ノズル７には連通路２０が設けられており、連通路２０及び連通口１８を通じて連通凹部１７から非圧縮性流体を吸引可能な流体吸引源２２と、連通路２０及び連通口１８を通じて連通凹部１７から非圧縮性流体を吹き飛ばす加圧された気体を供給可能な加圧気体供給源との少なくとも一方をさらに備える、ブロー成形装置１。【選択図】図１

Description

本発明は、ブロー成形装置に関する。

ポリプロピレン（ＰＰ）製の壜体やポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）製の壜体（ペットボトル）に代表されるような樹脂製の容器は、飲料、化粧品、薬品、洗剤、シャンプー等のトイレタリーなどの様々な内容物を収容するものとして使用されている。このような容器は、射出成形等により有底筒状に形成された樹脂製のプリフォームを、延伸効果を発現させることのできる温度にまで加熱し、この状態でブロー成形装置を用いて２軸延伸ブロー成形することで所定の形状に形成されるのが一般的である。

ブロー成形装置としては、プリフォーム内に供給される加圧流体として、加圧エアに替えて加圧した液体等の非圧縮性流体を使用するようにしたものが知られている。この場合、加圧用の流体として最終的に製品として容器に充填される内容物を使用することにより、容器への内容物の充填工程を省略して、その生産工程やブロー成形装置の構成を簡略化することができる。

例えば特許文献１には、プリフォームを配置可能な金型と、プリフォームの口部に係合可能なノズルと、ノズルに加圧した液体を供給可能な加圧流体供給源と、上下方向に移動可能な延伸ロッドとを備え、延伸ロッドによりプリフォームを縦方向（軸方向）に延伸させつつプリフォーム内に加圧された液体を供給してプリフォームを横方向（径方向）に延伸させて、当該プリフォームを金型のキャビティに沿った形状の容器に成形するブロー成形装置が記載されている。

特開２０１３−２０８８３４号公報

特許文献１に示されるような従来のブロー成形装置では、ブロー成形後にノズルを上昇させ、当該ノズルを容器の口部から離脱させると、ノズルの表面や延伸ロッドの表面に付着している液体（非圧縮性流体）が下方に垂れ落ちることがある。特に、ブロー成形を行う非圧縮性流体としてシャンプーや液体洗剤等の比較的粘度の高い液体を用いた場合には、ブロー成形後にノズル等から液体が垂れ落ちるまでの時間が長く、また、当該液体が糸を引くように暫く垂れ続けることから、成形後の容器や容器が取り出された後の金型に液体が垂れ落ち易く、これらに当該液体が付着するおそれがあった。

本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブロー成形後にノズルを口部から離脱させたときにノズルから非圧縮性流体が垂れ落ちることを抑制でき、もって、当該流体が成形後の容器や金型に付着することを抑制できるブロー成形装置を提供することにある。

本発明のブロー成形装置は、筒状のノズルと、前記ノズルに加圧した非圧縮性流体を供給可能な加圧流体供給源と、前記ノズルを閉塞する閉位置と前記ノズルを開放する開位置との間で上下方向に移動可能な筒状のシール体と、前記シール体の内周面と対向する外周面を有するとともに上下方向に移動可能なロッドとを備え、前記シール体は、該シール体が前記閉位置にあるときに前記ノズルと対向する外周面を有する筒壁を備え、前記シール体の内周面には、前記筒壁の下端から前記筒壁の外周面に開口する連通口まで延在する凹状をなす連通凹部が設けられており、前記ノズルには、前記シール体が前記閉位置にあるときに前記連通口と連通する連通路が設けられており、前記連通路及び前記連通口を通じて前記連通凹部から前記非圧縮性流体を吸引可能な流体吸引源と、前記連通路及び前記連通口を通じて前記連通凹部から前記非圧縮性流体を吹き飛ばす加圧された気体を供給可能な加圧気体供給源との少なくとも一方をさらに備える。

本発明のブロー成形装置は、上記構成において、前記連通凹部が、前記筒壁の周方向に等間隔で設けられた上下方向に沿って延在する複数の縦溝で構成されており、前記複数の縦溝の相互間に位置する前記筒壁の内周面が、前記ロッドの前記外周面と接するのが好ましい。

本発明のブロー成形装置は、上記構成において、前記シール体の外周面には、前記筒壁の下端から前記連通口まで延在する凹状をなす外側連通凹部が設けられているのが好ましい。

本発明のブロー成形装置は、上記構成において、前記外側連通凹部が、前記筒壁の周方向に等間隔で設けられた上下方向に沿って延在する複数の外側縦溝で構成されているのが好ましい。

本発明によれば、ブロー成形後にノズルを口部から離脱させたときにノズルから非圧縮性流体が垂れ落ちることを抑制でき、もって、当該流体が成形後の容器や金型に付着することを抑制できるブロー成形装置を提供することができる。

本発明の一実施形態に係るブロー成形装置を待機状態で示す縦断面図である。 図１に示す延伸ロッド、シール体及びノズルの底面図である。 図１に示すブロー成形装置をブロー成形時の状態で示す縦断面図である。 図１に示すブロー成形装置をブロー成形後の容器からノズルを離脱させた状態で示す縦断面図である。 （ａ）は、図１に示すブロー成形装置の変形例を示す縦断面図であり、（ｂ）は、（ａ）に示す延伸ロッド、シール体及びノズルの底面図である。 （ａ）は、図１に示すブロー成形装置の他の変形例を示す縦断面図であり、（ｂ）は、（ａ）に示す延伸ロッド、シール体及びノズルの底面図である。

以下、図面を参照して本発明をより具体的に例示説明する。

なお、本明細書において、上下方向とは、鉛直方向を意味する。また、以下に説明する本発明の実施形態では、ノズル７、シール体１１及びロッド１６は、上下方向に沿う共通の中心軸線Ｏを有している。本実施形態において縦断面とは、中心軸線Ｏを含む平面による断面を意味し、横断面とは、中心軸線Ｏと垂直な平面による断面を意味する。また、中心軸線Ｏの径方向を単に径方向ともいい、中心軸線Ｏの周方向を単に周方向ともいい、中心軸線Ｏの軸方向を単に軸方向ともいう。

図１に示すように、本発明の実施形態に係るブロー成形装置１は、口部２ａを有する有底筒状のプリフォーム２を容器Ｃ（図３参照）にブロー成形する装置である。ブロー成形装置１は、プリフォーム２を配置可能な金型３を有している。図中においては一部のみを示すが、この金型３のキャビティ４は壜形状となっており、金型３の上面において開口している。プリフォーム２は、その口部２ａを上側とした起立姿勢で金型３に配置される。プリフォーム２が金型３に配置されたとき、口部２ａはキャビティ４から上方に突出する。詳細は図示しないが、金型３は左右に型開きすることができ、金型３を開くことで成形後の容器Ｃを金型３から取り出すことができる。

プリフォーム２としては、例えばポリプロピレン（ＰＰ）やポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリエチレン（ＰＥ）等の、加熱によって延伸性が発現する熱可塑性樹脂材料を、射出成形、圧縮成形、押出成形等によって有底筒状に形成したものを用いることができる。

金型３の上方には、金型３に対して上下方向に相対移動可能にノズルユニット５が設けられている。ノズルユニット５は本体ブロック６を有している。本体ブロック６は複数の部材を組み合わせて構成されているが、その詳細についての図示及び説明は省略する。

ノズルユニット５には、プリフォーム２の口部２ａに係合可能な筒状のノズル７が設けられている。ノズル７は、その外径がプリフォーム２の口部２ａの内径よりも小径の円筒状に形成されたノズル先端７ａを有しており、ノズル先端７ａの下端面がプリフォーム２の口部２ａの内面に形成された段部に当接される。なお、ノズル先端７ａの外径をプリフォーム２の口部２ａの内径と同等とし、ノズル先端７ａの外周面が口部２ａの内周面に当接するようにしてもよい。ノズル７は、このノズル先端７ａをプリフォーム２の口部２ａに挿入することで、口部２ａに係合することができる。また、ノズル７は、このノズル先端７ａの上側に一体に設けられた挟持部７ｂを有しており、挟持部７ｂにおいて本体ブロック６の内面に挟持固定されている。なお、ノズル７は、例えば鋼材や樹脂材料等により形成することができる。

ノズル７は、金型３のキャビティ４と同軸に配置されている。したがって、ノズルユニット５が所定位置にまで下降することで、ノズル先端７ａを金型３に配置されたプリフォーム２の口部２ａに挿入することができる。

本体ブロック６の内部には上下方向に延在する供給路８が設けられ、この供給路８がノズル７に上方から接続されている。また、供給路８には配管９を介して加圧流体供給源１０が接続されている。加圧流体供給源１０は、所定の圧力に加圧した非圧縮性流体を、配管９及び供給路８を通してノズル７に供給することができる。つまり、加圧流体供給源１０は、ブロー成形時に、配管９、供給路８及びノズル７を介してプリフォーム２に加圧した非圧縮性流体を供給することができる。

加圧流体供給源１０としては、例えば加圧源としてプランジャーポンプを用いた構成のものを用いるのが好ましいが、供給路８に所定の圧力にまで加圧した非圧縮性流体を供給することができるものであれば、他の構成のものを用いることもできる。

加圧流体供給源１０がノズル７つまりプリフォーム２に供給する非圧縮性流体としては、例えばシャンプーや液体洗剤等の比較的粘性の高い液体を用いることができる。この場合、非圧縮性流体は、プリフォーム２への供給時における粘度が、１００００ｍＰａ・ｓ以下のものであるのが好ましい。

供給路８の内部にはノズル７を開閉するための筒状のシール体１１が配置されている。シール体１１は、ノズル７に上方から当接して該ノズル７を閉塞する閉位置とノズル７から離れて該ノズル７を開放する開位置との間で上下方向に移動可能に構成されている。また、シール体１１は、円筒状の軸体（不図示）と、この軸体の下端に一体に連なるとともに軸体より拡大した外径を有する円筒状の大径部１１ａと、この大径部１１ａの下端に一体に連なるとともに大径部１１ａより縮小した外径を有する円筒状の筒壁１１ｂとを備えている。大径部１１ａの下端には、下向き円錐状の傾斜面１２が設けられている。

シール体１１は、鋼材又は樹脂材料等により形成された単一の部材で構成されている。なお、シール体１１を複数の部材で構成してもよい。

ノズル７の上面、つまりノズル７の挟持部７ｂの上面は、下向き円錐状の閉塞面１５を有している。シール体１１が下方のストローク端となる閉位置にまで移動して、大径部１１ａの下端に設けられた傾斜面１２が上方から閉塞面１５に当接することにより、供給路８とノズル先端７ａとの連通をシール体１１によって遮断してノズル７を閉塞することができる。また、シール体１１が閉位置から上方に向けて開位置にまで移動して、傾斜面１２がノズル７の閉塞面１５から上方へ離れることにより、供給路８とノズル先端７ａとが連通してノズル７を開放することができる。なお、傾斜面１２及び閉塞面１５の形状は適宜変更が可能である。また、筒壁１１ｂの外周面とノズル７の内周面との当接及び離脱によってノズル７を開閉するように構成してもよい。

ノズル先端７ａが金型３に配置されたプリフォーム２の口部２ａに挿入され、加圧流体供給源１０が作動した状態でシール体１１によってノズル７を開放することで、加圧流体供給源１０からノズル７を通してプリフォーム２の内部に加圧された非圧縮性流体を供給して、当該プリフォーム２をブロー成形することができる。また、ブロー成形後にシール体１１によってノズル７を閉塞することで成形後の容器Ｃへの非圧縮性流体の供給を停止させることができる。

ブロー成形装置１は、シール体１１に包囲されるとともに上下方向に移動可能なロッド１６を備えている。本実施形態では、ロッド１６を２軸延伸用のロッドとして使用している。このため、以下の説明において、ロッド１６を延伸ロッド１６とも称する。延伸ロッド１６は、シール体１１の軸心に設けられた孔に摺動可能に装着され、シール体１１に対して軸方向つまり上下方向に相対移動可能となっている。ブロー成形の際に、延伸ロッド１６をシール体１１に対して下方に向けて移動させることにより、金型３に配置されたプリフォーム２をキャビティ４の内部において延伸ロッド１６によって軸方向（縦方向）に延伸させることができる。つまり、ブロー成形装置１はプリフォーム２を二軸延伸ブロー成形することができる。延伸ロッド１６は、中実の円柱状をなしている。

ノズル７（ノズル先端７ａ及び挟持部７ｂ）の内周面は、円筒内周面状をなしている。シール体１１の筒壁１１ｂは、シール体１１が閉位置にあるときにノズル７の内周面と対向する外周面を有している。筒壁１１ｂの外周面とノズル７の内周面との間には、これらの間の摺動抵抗を低減するために僅かな隙間が設けられている。なお、筒壁１１ｂの外周面をノズル７の内周面に摺接するように設けてもよい。筒壁１１ｂは、シール体１１が閉位置にあるときに筒壁１１ｂの下端がノズル先端７ａの下端と面一に配置されるように構成されている。

このブロー成形装置１には、ブロー成形後に非圧縮性流体が延伸ロッド１６、シール体１１及びノズル７から垂れ落ちるのを防止するために吸引機構が設けられている。この吸引機構は、シール体１１の内周面に設けられた連通凹部１７と、筒壁１１ｂの外周面に開口する連通口１８と、ノズル７に設けられた連通路２０と、この連通路２０に開閉弁２１を介して接続された流体吸引源２２とを備えている。

連通路２０は、図１〜図２に示すように、周方向に等間隔で設けられた８個の放射方向通路２０ａからなっている。各放射方向通路２０ａは、挟持部７ｂの内周面に開口する一端から挟持部７ｂの外周面に開口する他端まで径方向に沿って延在する円筒内周面状をなしている。なお、各放射方向通路２０ａは、円形以外の断面形状をなしていてもよいし、径方向に対して軸方向及び周方向の少なくとも一方に傾斜した方向に延在していてもよい。挟持部７ｂの外周面には、中心軸線Ｏと同心の円環状凹部１９が設けられており、各放射方向通路２０ａの他端は、この円環状凹部１９に開口している。円環状凹部１９は、本体ブロック６の内周面と協働して円環状通路２３を形成している。したがって、各放射方向通路２０ａの他端は、円環状通路２３及び開閉弁２１を介して流体吸引源２２に接続されている。

シール体１１の内周面には、筒壁１１ｂの下端から筒壁１１ｂの外周面に開口する連通口１８まで延在する凹状をなす連通凹部１７が設けられている。連通凹部１７は、筒壁１１ｂの周方向に等間隔で設けられた上下方向に沿って延在する８個の縦溝１７ａからなっている。各縦溝１７ａは、全長（上下方向）に亘って横断面形状が径方向内側に開放されたＵ字形状をなしている。なお、各縦溝１７ａの横断面形状は、このようなＵ字形状に限らない。また、各縦溝１７ａは、上下方向に沿って延在するものに限らず、例えば、中心軸線Ｏを中心として螺旋状に延在するものであってもよい。８個の縦溝１７ａの相互間に位置する筒壁１１ｂの内周面は、延伸ロッド１６の外周面と接するように構成されている。したがって、筒壁１１ｂは、延伸ロッド１６の案内機能を発揮することができる。なお、８個の縦溝１７ａの相互間に位置する筒壁１１ｂの内周面が延伸ロッド１６の外周面と接しないように構成してもよい。各縦溝１７ａの下端は、筒壁１１ｂの下端まで延在している。各縦溝１７ａの上端は、連通口１８まで延在している。連通口１８は、８個の縦溝１７ａの上端がそれぞれ連結する円筒内周面状の開口１８ａからなっている。すなわち、連通口１８は、このような８個の開口１８ａからなっている。

なお、８組の縦溝１７ａ、開口１８ａ及び放射方向通路２０ａは、周方向に等間隔で設けられていなくてもよい。また、縦溝１７ａの横断面積が個々に異なっていてもよい。また、縦溝１７ａ、開口１８ａ及び放射方向通路２０ａの数は、８組に限らず適宜増減が可能である。また、連通口１８を中心軸線Ｏの周方向に延在させ、複数の縦溝１７ａと連通するように構成してもよい。この場合、縦溝１７ａの数と、放射方向通路２０ａの数とが互いに異なってもよいし、更には、放射方向通路２０ａの数を１個とし、放射方向通路２０ａの他端に開閉弁２１を接続した（つまり、円環状通路２３を設けない）構成としてもよい。なお、図１及び図２等においては、便宜上、１組の縦溝１７ａ、開口１８ａ及び放射方向通路２０ａにのみ符号を付している。

また、連通凹部１７は、縦溝１７ａからなるものに限られない。例えば、連通凹部１７は、縦溝１７ａと、中心軸線Ｏの全周に亘って延在する１個以上の環状の凹溝と、で構成されてもよい。また、連通凹部１７は、筒壁１１ｂの下端から連通口１８まで延在するとともに中心軸線Ｏの全周に亘って延在する環状の凹部からなっていてもよい。

開閉弁２１は、ノズルユニット５の内部に設けることが好ましいが、ノズルユニット５の外部に設けてもよい。また、開閉弁２１は、電動式の調節弁により構成されており、図示しない制御手段によって開閉制御可能である。しかし、開閉弁２１は、例えば空気圧式又は油圧式の調節弁等によって構成されてもよい。

流体吸引源２２は、例えば真空ポンプによって構成され、開閉弁２１が開かれたときに円環状通路２３及び連通路２０から非圧縮性流体を吸引することができる。したがって、流体吸引源２２は、シール体１１が閉位置にあり、延伸ロッド１６の下端がノズル先端７ａ及び筒壁１１ｂと略面一の位置にあるときに、これらの下端に付着した非圧縮性流体を、連通凹部１７、連通口１８、連通路２０及び円環状通路２３を介して吸引し、非圧縮性流体が垂れ落ちることを抑制することができる。

次に、このようなブロー成形装置１によりプリフォーム２をブロー成形する手順の一例を示す。

まず、図１に示すように、シール体１１が閉位置にありノズル７が閉じられた状態で、プリフォーム２が金型３に配置される。次いで、ノズルユニット５が下降してノズル先端７ａがプリフォーム２の口部２ａに挿入される。このとき、延伸ロッド１６は、その下端がシール体１１の筒壁１１ｂの下端と面一に配置された原点位置にある。

次に、シール体１１が開位置にまで移動することでノズル７が開かれる。ノズル７が開放されると、加圧流体供給源１０から供給路８とノズル７とを介してプリフォーム２の内部に加圧された非圧縮性流体が供給され、プリフォーム２が当該非圧縮性流体によってブロー成形（液体ブロー成形）される。また、ブロー成形の際には、延伸ロッド１６が下降することで、プリフォーム２は延伸ロッド１６によって軸方向（縦方向）に延伸される。このような２軸延伸ブロー成形により、プリフォーム２は、図３に示すように、金型３のキャビティ４に沿った壜形状の容器Ｃに成形される。

ブロー成形が完了すると、シール体１１が下降して閉位置となり、ノズル７が閉塞されて非圧縮性流体の供給が停止され、延伸ロッド１６が、図４に２点鎖線で示すように、その下端がシール体１１の筒壁１１ｂの下端と面一に配置される位置、つまり原点位置にまで上昇する。そして、図４に示すように、ノズルユニット５が上昇してノズル先端７ａが容器Ｃの口部Ｃａから上方へ離脱する。なお、延伸ロッド１６が原点位置にまで上昇するタイミングはノズル先端７ａが容器Ｃの口部Ｃａから離脱する前でも後でもよい。このとき、延伸ロッド１６が上昇して容器Ｃの内部の非圧縮性流体から引き抜かれることにより、容器Ｃの内部に引き抜かれた延伸ロッド体積分のヘッドスペースが形成される。しかし、他の方法でヘッドスペースを形成してもよい。なお、ロッド１６を２軸延伸用のロッドとしてではなく、ヘッドスペース形成用のロッドとして用いてもよい。

また、ブロー成形の完了後には、開閉弁２１が開かれ、流体吸引源２２が作動を開始し、ノズル先端７ａ、筒壁１１ｂ及び延伸ロッド１６の下端に付着した非圧縮性流体が、図４に破線矢印で示すように、連通凹部１７、連通口１８、連通路２０及び円環状通路２３から吸引される。ブロー成形後に延伸ロッド１６が上昇する際には、シール体１１の内周面に設けた連通凹部１７から延伸ロッド１６の外周面に付着した非圧縮性流体を直接吸引することができるので、延伸ロッド１６の外周面に付着した非圧縮性流体を効果的に吸引することができる。また、このとき、延伸ロッド１６がシール体１１に扱かれることにより、延伸ロッド１６の外周面に付着した非圧縮性流体を連通凹部１７の上端付近に溜めることができるので、この点からも、延伸ロッド１６の外周面に付着した非圧縮性流体を効果的に吸引することができる。

このように、このブロー成形装置１では、シール体１１の内周面に筒壁１１ｂの下端から連通口１８まで延在する連通凹部１７を設けているので、ノズル先端７ａ、筒壁１１ｂ及び延伸ロッド１６の下端に付着した非圧縮性流体のみならず、延伸ロッド１６の外周面に付着した非圧縮性流体を連通凹部１７によって効果的に吸引してノズル７からの非圧縮性流体の垂れ落ちを抑制することができ、もって、成形後の容器Ｃや金型３への非圧縮性流体の付着を抑制することができる。特に、このブロー成形装置１によれば、非圧縮性流体として、シャンプーや液体洗剤などの比較的粘度の高い液体を用いた場合であっても、当該液体の垂れ落ちを抑制し、且つ、サイクルタイムの増加を抑制して効率良くブロー成形を行うことができる。

また、ブロー成形が完了した後に、延伸ロッド１６を、図４に実線で示すように、その下端が連通凹部１７の上端と面一に配置される位置にまで上昇させ、この状態で、延伸ロッド１６の下端に付着した非圧縮性流体を連通凹部１７、連通口１８及び連通路２０を通じて吸引するようにしてもよい。なお、延伸ロッド１６が当該位置にまで上昇するタイミングはノズル先端７ａが容器Ｃの口部Ｃａから離脱する前でも後でもよい。このようにすれば、延伸ロッド１６の下端に付着した非圧縮性流体を効率的に吸引することができる。更には、このように延伸ロッド１６の下端に付着した非圧縮性流体を吸引した後に、延伸ロッド１６を原点位置にまで下降させ、この状態で、ノズル先端７ａ、筒壁１１ｂ及び延伸ロッド１６の下端に付着した非圧縮性流体を連通凹部１７、連通口１８及び連通路２０を通じて吸引するようにしてもよい。このようにすれば、非圧縮性流体のより効率的な吸引が可能となる。

次に、ブロー成形装置１の変形例について説明する。

図５（ａ）（ｂ）に示すように、本変形例のブロー成形装置１は、ノズル７が、ノズル先端７ａの下端に開口する８個の縦孔２４と、ノズル７の内周面に設けられた中心軸線Ｏを中心とする円環状をなす３つの環状溝２５と、を有している。なお、図５（ａ）（ｂ）においては、便宜上、１つの縦孔２４及び環状溝２５にのみ符号を付している。また、図５（ａ）において、金型３及びプリフォーム２の図示を省略している。図５（ａ）（ｂ）において、前述した実施形態で示した部分に対応する部分には同一の符号を付している。

各縦孔２４は、上下方向に沿って延在しており、その上端において放射方向通路２０ａに開口している。３つの環状溝２５は、軸方向に並べて設けられている。各環状溝２５は、８個の縦孔２４と交差しており、その交差部分にそれぞれ開口を形成している。なお、縦孔２４の数は、放射方向通路の数に合わせて適宜増減が可能である。環状溝２５の数は適宜増減が可能である。環状溝２５を設けない構成としてもよい。その他の構成は、前述した実施形態の場合と同様である。

このような構成によれば、連通凹部１７だけでなく、ノズル７に設けた縦孔２４及び環状溝２５からも非圧縮性流体を吸引することができるので、ノズル先端７ａ、筒壁１１ｂ及び延伸ロッド１６の下端に付着した非圧縮性流体を特に効果的に吸引することができる。

次に、ブロー成形装置１の他の変形例について説明する。

図６（ａ）（ｂ）に示すように、本変形例のブロー成形装置１は、筒壁１１ｂの周方向に等間隔で設けられた上下方向に沿って延在する１０個の縦溝１７ａからなる連通凹部１７を有している。

また、本変形例では、シール体１１の外周面に、筒壁１１ｂの下端から連通口１８まで延在する凹状をなす外側連通凹部２６が設けられている。外側連通凹部２６は、筒壁１１ｂの周方向に等間隔で設けられた上下方向に沿って延在する８個の外側縦溝２６ａからなっている。各外側縦溝２６ａは、全長（上下方向）に亘って横断面形状が径方向外側に開放されたＵ字形状をなしている。なお、各外側縦溝２６ａの横断面形状は、このようなＵ字形状に限らない。また、各外側縦溝２６ａは、上下方向に沿って延在するものに限らず、例えば、中心軸線Ｏを中心として螺旋状に延在するものであってもよい。８個の外側縦溝２６ａの相互間に位置する筒壁１１ｂの外周面は、ノズル先端７ａの内周面に対して間隔を空けて配置されていてもよいし、ノズル先端７ａの内周面と接するように配置されていてもよい。各外側縦溝２６ａの下端は、筒壁１１ｂの下端まで延在している。各外側縦溝２６ａの上端は、連通口１８まで延在している。

連通口１８は、シール体１１の外周面に設けられ、外側縦溝２６ａの上端が接続された中心軸線Ｏを中心とする環状溝１８ｂと、この環状溝１８ｂに対して１０個の縦溝１７ａの上端をそれぞれ連結する円筒内周面状の開口１８ａとからなっている。また、本変形例では、連通路２０は１個の放射方向通路２０ａからなっている。放射方向通路２０ａの一端は環状溝１８ｂに接続し、他端には開閉弁２１が接続されている。

なお、図６（ａ）（ｂ）においては、便宜上、１つの縦溝１７ａ、開口１８ａ及び外側縦溝２６ａにのみ符号を付している。また、図６（ａ）において、金型３及びプリフォーム２の図示を省略している。図６（ａ）（ｂ）において、前述した実施形態で示した部分に対応する部分には同一の符号を付している。

なお、１０組の縦溝１７ａ及び開口１８ａは、周方向に等間隔で設けられていなくてもよい。８個の外側縦溝２６ａは、周方向に等間隔で設けられていなくてもよい。外側縦溝２６ａの横断面積は個々に異なっていてもよい。縦溝１７ａ及び開口１８ａの数は、１０組に限らず適宜増減が可能である。外側縦溝２６ａの数は、８個に限らず適宜増減が可能である。また、連通口１８は、環状溝１８ｂと開口１８ａで構成されるものに限らない。また、本変形例においても、各縦溝１７ａの形状は上述した種々の変更が可能である。また、連通凹部１７は縦溝１７ａからなるものに限られず、上述した種々の変更が可能である。

このような構成によれば、連通凹部１７だけでなく、シール体１１の外周面に設けた外側連通凹部２６からも非圧縮性流体を吸引することができるので、ノズル先端７ａ、筒壁１１ｂ及び延伸ロッド１６の下端に付着した非圧縮性流体を特に効果的に吸引することができる。

本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。

例えば、前記の実施形態及びその種々の変形例では、ブロー成形装置１は、開閉弁２１、連通路２０及び連通口１８を介して連通凹部１７から非圧縮性流体を吸引可能な流体吸引源２２を有している。しかし、ブロー成形装置１は、流体吸引源２２に替えて又は加えて、開閉弁２１、連通路２０及び連通口１８を介して連通凹部１７（又は連通凹部１７と外側連通凹部２６）から非圧縮性流体を吹き飛ばす加圧された気体を供給可能な加圧気体供給源を有してもよい。加圧気体供給源は、例えばプランジャーポンプで構成することができる。このような構成によれば、ノズル先端７ａ、筒壁１１ｂ及びロッド１６の下端に付着した非圧縮性流体のみならず、ロッド１６の外周面に付着した非圧縮性流体も、連通凹部１７から吹き飛ばしてそのまま容器Ｃの内部に落とすことができるので、ノズル７からの非圧縮性流体の垂れ落ちを抑制することができ、もって、成形後の容器Ｃや金型３への非圧縮性流体の付着を抑制することができる。

また、前記の実施形態及びその変形例では、ノズル先端７ａ及び筒壁１１ｂは円筒状をなしているが、ノズル先端７ａ及び筒壁１１ｂは、例えば多角形又は楕円等の断面形状を有する筒状をなしていてもよい。しかし、プリフォーム２の口部２ａが円筒状をなしている場合は、ノズル先端７ａの外周面は円筒状をなしていることが好ましい。また、筒壁１１ｂの下端は、その外周縁から内周縁まで径方向内側に向けて上方へ傾斜する環状傾斜面を有していてもよい。例えば、筒壁１１ｂの下端は、環状水平面と、この環状水平面の径方向内側に位置する環状傾斜面とからなっていてもよい。なお、この場合、ロッド１６の下端が環状傾斜面の上端と一致する位置をロッド１６の原点位置とすることができる。

また、前記の実施形態及びその変形例では、ロッド１６は、中実の円柱状をなしている。しかし、ロッド１６は、例えば、その内部に、加圧流体供給源１０に接続される流路を有していてもよい。この場合、ロッド１６は、例えば、円筒状の外筒と、この外筒の下端を開閉可能なポペット弁状の開閉ロッドとで構成されてもよい。また、そのようなロッド１６の内部の流路を通じて、ブロー成形前にプリフォーム２の内部に予め非圧縮性流体を充填するプレフィル工程を設けてもよい。また、ブロー成形後の容器Ｃの内部から、このロッド１６の内部の流路を通じて、非圧縮性流体を加圧流体供給源１０に向けて吸い戻すサックバック工程を設けてもよい。また、プレフィル工程において連通凹部１７、連通口１８、連通路２０及び円環状通路２３を通じてプリフォーム２の内部の空気を外部へ排出できるように、円環状通路２３に開閉可能な空気の排出経路を設けてもよい。このようにロッド１６に流路を設ける場合においても、ロッド１６を２軸延伸用のロッドとして用いてもよいし、ロッド１６を２軸延伸用のロッドとして用いなくてもよい。

また、前記の実施形態及びその変形例では、筒壁１１ｂは、シール体１１が閉位置にあるときに筒壁１１ｂの下端がノズル先端７ａの下端と面一に配置されるように構成されている。しかし、筒壁１１ｂは、非圧縮性流体の種類等に応じて適宜、シール体１１が閉位置にあるときに筒壁１１ｂの下端がノズル先端７ａの下端より上方又は下方に配置されるように構成されてもよい。

１ ブロー成形装置
２ プリフォーム
２ａ 口部
３ 金型
４ キャビティ
５ ノズルユニット
６ 本体ブロック
７ ノズル
７ａ ノズル先端
７ｂ 挟持部
８ 供給路
９ 配管
１０ 加圧流体供給源
１１ シール体
１１ａ 大径部
１１ｂ 筒壁
１２ 傾斜面
１５ 閉塞面
１６ ロッド
１７ 連通凹部
１７ａ 縦溝
１８ 連通口
１８ａ 開口
１８ｂ 環状溝
１９ 円環状凹部
２０ 連通路
２０ａ 放射方向通路
２１ 開閉弁
２２ 流体吸引源
２３ 円環状通路
２４ 縦孔
２５ 環状溝
２６ 外側連通凹部
２６ａ 外側縦溝
Ｏ 中心軸線
Ｃ 容器
Ｃａ 口部

Claims (4)

1. 筒状のノズルと、
   前記ノズルに加圧した非圧縮性流体を供給可能な加圧流体供給源と、
   前記ノズルを閉塞する閉位置と前記ノズルを開放する開位置との間で上下方向に移動可能な筒状のシール体と、
   前記シール体の内周面と対向する外周面を有するとともに上下方向に移動可能なロッドとを備え、
   前記シール体は、該シール体が前記閉位置にあるときに前記ノズルと対向する外周面を有する筒壁を備え、
   前記シール体の内周面には、前記筒壁の下端から前記筒壁の外周面に開口する連通口まで延在する凹状をなす連通凹部が設けられており、
   前記ノズルには、前記シール体が前記閉位置にあるときに前記連通口と連通する連通路が設けられており、
   前記連通路及び前記連通口を通じて前記連通凹部から前記非圧縮性流体を吸引可能な流体吸引源と、前記連通路及び前記連通口を通じて前記連通凹部から前記非圧縮性流体を吹き飛ばす加圧された気体を供給可能な加圧気体供給源との少なくとも一方をさらに備える、ブロー成形装置。
2. 前記連通凹部が、前記筒壁の周方向に等間隔で設けられた上下方向に沿って延在する複数の縦溝で構成されており、
   前記複数の縦溝の相互間に位置する前記筒壁の内周面が、前記ロッドの前記外周面と接する、請求項１に記載のブロー成形装置。
3. 前記シール体の外周面には、前記筒壁の下端から前記連通口まで延在する凹状をなす外側連通凹部が設けられている、請求項１又は２に記載のブロー成形装置。
4. 前記外側連通凹部が、前記筒壁の周方向に等間隔で設けられた上下方向に沿って延在する複数の外側縦溝で構成されている、請求項３に記載のブロー成形装置。