以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[駅務システム100]
図1は、本発明の実施形態に係る駅務システム100(本発明の駅務システムの一例)を示すネットワーク図である。図1に示すように、駅務システム100は、自動改札機1(本発明の自動改札機の一例)、駅員端末装置2、精算端末装置3(本発明の精算端末装置の一例)、駅サーバ4(本発明の入場駅特定装置の一例)、及び、センタ装置5などを含んで構成されている。図1では、二つの駅8(8A,8B)が示されているが、駅務システム100は、それ以上の複数の駅8に属する駅務機器を含む構成であってもよい。
各駅8には、複数の自動改札機1、駅員が使用する駅員端末装置2、精算端末装置3、駅サーバ4、券売機(不図示)等の駅務機器が設置されている。言い換えると、これらの駅務機器は、駅8に属している。これらの駅務機器は、LAN等のネットワークN1を介して互いに通信可能に接続されている。また、各駅8の駅サーバ4は、専用回線や公衆回線等のネットワークN2を介して、鉄道事業者(鉄道会社)が管理するサーバ装置であるセンタ装置5に通信可能に接続されている。
本実施形態では、駅務システム100において、駅8内に設置された自動改札機1と、精算端末装置3と、駅サーバ4とによって、鉄道の駅を入場する際に入場駅を示す入場駅情報(本発明の入場駅情報、利用駅情報の一例)を含む入場記録(利用記録)が乗車券に記録されなかった場合でも、利用者が利用した入場駅を事後的に特定することが可能である。つまり、本発明の駅務システムは、自動改札機1と、精算端末装置3と、駅サーバ4とにより構成されている。
自動改札機1は、駅8の改札口に設置されている。図3に示すように、自動改札機1は、間に改札通路6を形成するように入場用の自動改札機1A及び出場用の自動改札機1Bを対面させた構成である。一方の自動改札機1Aは、入場時の進行方向(矢印D10の方向)に沿って前記改札口から内側に入場する利用者(入場者)に対して改札処理(入場改札処理)を行う入場用自動改札機としての役割を担う。他方の自動改札機1Bは、出場時の進行方向(矢印D11の方向)に沿って前記改札口から外側へ出場する利用者(出場者)に対して改札処理(出場改札処理)を行う出場用自動改札機としての役割を担う。ここで、以下においては、特に区別しない限り、自動改札機1が自動改札機1A及び自動改札機1Bを含んでおり、入場用及び出場用の両方の改札機能を兼ねるものとして説明する。
なお、自動改札機1は、自動改札機1A或いは自動改札機1Bが単体として用いられて、一方向に通行する利用者に対して改札処理を行うものであってもよい。この場合、自動改札機1は、後述するICカード読取部16や乗車券挿入口17が改札外側に配置されるように設置された場合に、入場用自動改札機として用いられる。また、自動改札機1は、ICカード読取部16や乗車券挿入口17が改札内側に配置されるように設置された場合に、出場用自動改札機として用いられる。
以下、駅務システム100を構成する自動改札機1、駅サーバ4、センタ装置5、及び精算端末装置3の具体的な構成について説明する。
[自動改札機1]
図2は、自動改札機1の構成を示すブロック図であり、図3は、自動改札機1の外観を示す斜視図である。
自動改札機1は、駅8の改札口に設置されるものであり、前記改札口を通る利用者に対して改札処理を行う。図3に示すように、自動改札機1は、互いに対向するように設置された自動改札機1A及び自動改札機1Bを備える。本実施形態では、自動改札機1は、改札通路6(図3参照)を通行しようとする利用者が所有するICカードや切符(磁気券)などの乗車券から前記乗車券に含まれる乗車券情報を取得する。自動改札機1は、取得した乗車券情報が有効であると判定した場合に、前記乗車券情報に基づく改札処理を行う。具体的には、自動改札機1は、ゲート15を開けて、改札通路6を開放して、利用者の通行を許可する。一方、自動改札機1は、取得した乗車券情報が無効であると判定した場合、乗車券情報が取得されなかった場合、或いはICカードや切符の読取不良が生じた場合に、改札通路6を閉鎖して、改札通路6における利用者の通行を禁止する。具体的には、自動改札機1は、ゲート15を閉じて、改札通路6を閉鎖して、利用者の通行を禁止する。
なお、前記乗車券として、前記乗車券情報が記録されたバーコードやQRコード(登録商標)などの情報コードが用いられてもよい。この場合、前記情報コードが印刷された紙媒体、或いは、前記情報コードが表示された端末装置の表示画面が前記乗車券に代用される。
ここで、前記乗車券がICカードである場合は、前記乗車券情報は、利用者を示すID、チャージされている金額(残金)、ICカードの有効期限、入場時に記録された入場駅の情報(入場駅情報)を含む前記入場記録などを含む。また、前記乗車券が切符の場合は、前記乗車券情報は、購入した駅名(入場駅情報)を含む前記入場記録、発行日付及び発行時刻、券種、購入した駅(乗車駅)から乗車可能な区間、その区間の運賃(金額)などを含む。ここで、前記入場記録は、利用者が利用した入場駅から入場したことを示す情報である。
図2に示すように、自動改札機1は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、通信部14と、ゲート15と、ICカード読取部16と、乗車券挿入口17(図3参照)と、撮像部18と、人感センサ19(図3参照)と、を備えており、これらが自動改札機1の筐体10(図3参照)に設けられている。
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどを含む不揮発性の記憶媒体である。記憶部12には、自動改札機1で実行される各種制御処理や、後述の顔画像取得処理(図6、図7参照)などの各種処理を制御部11に実行させるための制御プログラム、前記各種処理に用いられる各種のデータなどが記憶されている。また、記憶部12には、駅サーバ4やセンタ装置5などから自動改札機1に送信された各種情報が一時的に格納される場合がある。
表示部13は、制御部11からの指示に従って、改札通路6を通行する利用者に対するメッセージを表示する。表示部13は、例えば、液晶パネルを有している。図3に示すように、表示部13は、自動改札機1の筐体10の上面に配置されている。詳細には、表示部13は、筐体10の上面において、改札通路6(図3参照)における利用者の進行方向(矢印D10又は矢印D11の方向)の前方側に配置されている。本実施形態では、表示部13は、入場又は出場に用いられるゲート15と概ね同じ位置か、或いは、ゲート15よりも前記進行方向の前方側に配置されている。利用者の通行が許可される場合、表示部13には、通行可能であることを示すメッセージが表示される。また、利用者の通行が許可されない場合、表示部13には、通行不可(禁止)であることを示すメッセージが表示される。なお、自動改札機1が出場用として用いられる場合は、表示部13には、例えば、運賃が不足していることを示すメッセージや、精算端末装置3(図1参照)での精算を促すメッセージが表示されてもよい。
通信部14は、自動改札機1を有線又は無線でネットワークN1に接続し、ネットワークN1を介して駅サーバ4などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
ゲート15は、自動改札機1の改札通路6において前記進行方向の前方側の出口の付近に設置される。ゲート15は、例えば開閉可能な扉であり、モータなどの駆動部(不図示)から駆動力を得て開閉する。前記駆動部が制御部11によって駆動制御されることにより、ゲート15が開位置と閉位置との間で変位する。ゲート15は、利用者の通行が許可された場合に開放される。これにより、利用者は自動改札機1の改札通路6を通過することができる。一方、利用者の通行が許可されない場合は、ゲート15が閉鎖されるか、或いは閉鎖状態を維持する。例えば、自動改札機1において入場又は出場の改札処理が行われていない場合は、利用者の通行が許可されず、ゲート15は閉鎖状態を維持する。また、前記改札処理が行われないまま利用者が改札通路6に進入すると、筐体10に設けられた人感センサ19(図3参照)が前記利用者を検知した場合に、ゲート15が閉鎖される。
なお、ゲート15は、物理的な扉に限られず、例えば、ホログラムを用いた立体画像で現された扉であってもよい。また、ゲート15は、音声により利用者の通過を許可又は禁止する音声ゲートであってもよい。
ICカード読取部16は、筐体10の上面において前記進行方向の手前側に設けられている。ICカード読取部16は、ICカード形式の乗車券(以下「ICカード」という。)に記録されている情報(乗車券情報)を非接触により読み取る。ICカード読取部16は、例えば、近距離通信によってICカード内の情報を非接触で読み出し、非接触で書き込みを行うリーダライタ装置である。ICカード読取部16により読み取られた情報は制御部11に送信され、制御部11は当該情報に基づいて改札処理を実行する。ICカードを利用する利用者は、ICカード読取部16にICカードを翳して、ICカード読取部16に前記乗車券情報を読み取らせる。
ICカード読取部16よりも前記進行方向の手前側に乗車券挿入口17が設けられている。利用者が切符を用いて自動改札機1を通行する場合、乗車券挿入口17に切符が挿入される。乗車券挿入口17に挿入された切符は、自動改札機1の内部を排出口(不図示)へ向けて搬送され、その搬送過程において、磁気読取部(不図示)が、切符から磁気データとともに切符の情報(乗車券情報)を読み出し、切符の磁気部分に情報を書き込む。
撮像部18は、筐体10の上面に設けられている。撮像部18は、自動改札機1を利用しようとする利用者を撮像するものであり、詳細には、利用者の顔を撮像する。撮像部18は、具体的にはカメラである。撮像部18は、レンズが前記進行方向の上流側へ向くように設置されている。撮像部18は、入場時の改札処理(入場改札処理)が行われるよりも前に、駅改札口の内側に入場するために自動改札機1へ向かって移動する利用者(入場利用者)の顔を撮像する。この場合の撮像部18は、本発明の第1固有情報取得部の一例である。制御部11は、その入場者の顔画像(入場顔画像)の画像データを制御部11のRAMや記憶部12に一時的に記憶し、必要に応じて駅サーバ4やセンタ装置5に送信する。ここで、前記入場顔画像及びその画像データは、本発明の固有情報、入場固有情報の一例である。
本実施形態では、後述する利用記録判定部113によって、入場利用者の乗車券に前回利用したときの出場駅情報(本発明の出場駅情報、利用駅情報の一例)を含む出場記録(利用記録)が記録されていないと判定された場合に、制御部11は、撮像部18によって撮像された入場利用者の顔画像(入場顔画像)を駅サーバ4に送信する。送信された入場顔画像は、駅サーバ4で実行される後述の顔画像照合処理(図13参照)に用いられる。なお、前記出場記録は、利用者が利用した出場駅から出場したことを示す情報である。
また、撮像部18は、出場時の改札処理(出場改札処理)が行われるよりも前に、駅改札口から出場するために自動改札機1へ向かって移動する利用者(出場利用者)の顔を撮像する。この場合の撮像部18は、本発明の第2固有情報取得部の一例である。制御部11は、その出場利用者の顔画像(出場顔画像)の画像データを制御部11のRAMや記憶部12に一時的に記憶し、必要に応じて駅サーバ4やセンタ装置5に送信する。ここで、前記入場顔画像及びその画像データは、本発明の固有情報、出場固有情報の一例である。
本実施形態では、後述する利用記録判定部113によって、出場利用者の乗車券に前記入場駅情報を含む前記入場記録が記録されていないと判定された場合に、制御部11は、撮像部18によって撮像された出場利用者の顔画像(出場顔画像)を駅サーバ4に送信する。送信された出場顔画像は、駅サーバ4で実行される後述の顔画像照合処理(図9参照)に用いられる。
なお、本実施形態では、撮像部18が自動改札機1に搭載された構成を例示するが、例えば、撮像部18は、駅8の構内に設置されたカメラであってもよい。
人感センサ19は、筐体10に設けられており、詳細には、筐体10において改札通路6側の側面に設けられている。人感センサ19は、改札通路6に進入した利用者を検知するセンサであり、例えば、非接触で利用者を検知する光学式の近接センサである。本実施形態では、改札通路6において前記進行方向の手前側(入口側)と、前記進行方向の前方側(出口側)のそれぞれに人感センサ19が設けられている。乗車券が読み取られる前に手前側の人感センサ19によって改札通路6内の利用者が検知されると、改札処理が行われずに改札通路6に進入したと判定され、更に前方側の人感センサ19によって利用者が検知されると、改札処理が行われずに改札通路6を通過したと判定される。以下、改札処理が行われずに改札通路6を通過して入場又は出場することを処理未了通過、処理未了入場、或いは処理未了出場と称する。
制御部11は、自動改札機1の各部の動作を制御する。制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより自動改札機1を制御する。
図2に示すように、制御部11は、読取処理部111、記録処理部112(本発明の利用記録処理部の一例)、利用記録判定部113(本発明の利用記録判定部、入場記録判定部、出場記録判定部の一例)、通行制御部114、未了通過判定部115、ゲート処理部116、通知処理部117、などの各種処理部を含む。
制御部11は、前記CPUが前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。言い換えると、前記CPUは、前記制御プログラムを実行することにより、読取処理部111、記録処理部112、利用記録判定部113、通行制御部114、未了通過判定部115、ゲート処理部116、通知処理部117、などの処理部として機能する。また、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。また、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。なお、制御部11又は前記CPUが、前記制御プログラムを実行するコンピュータの一例である。
読取処理部111は、ICカード読取部16により読み取られたICカードの前記乗車券情報、或いは、前記磁気読取部(不図示)により読み取られた切符の前記乗車券情報を取得する。
読取処理部111によって乗車券から前記乗車券情報が取得されると、記録処理部112は、乗車券における当該情報をICカード読取部16や前記磁気読取部(不図示)に更新させる。例えば、入場用の自動改札機1Aにおいて、記録処理部112は、入場駅の駅名などの入場駅情報を含む前記入場記録(利用記録)をICカードまたは切符に書き込む。また、出場用の自動改札機1Bにおいて、記録処理部112は、ICカードにチャージされている金額から所定の金額(運賃)を減額し、減額された残りの金額をICカードの情報保持部に書き込む。また、記録処理部112は、出場駅の駅名を示す出場駅情報(本発明の出場駅情報、利用駅情報の一例)を含む出場記録(利用記録)をICカードに書き込む。
また、出場用の自動改札機1Bにおいて、後述するように事後的に入場駅の情報(入場駅情報)が得られた場合に、記録処理部112は、出場改札処理(出場許可処理、通過許可処理)の際にその入場駅情報を含む前記入場記録を乗車券に書き込む(記録する)。また、入場用の自動改札機1Aにおいて、後述するように事後的に出場駅の情報(出場駅情報)が得られた場合に、記録処理部112は、入場改札処理(入場許可書利、通過許可処理)の際にその出場駅情報を含む前記出場記録を乗車券に書き込む(記録する)。
利用記録判定部113は、出場改札処理の際に読取処理部111によって読み取られた前記乗車券情報に基づいて、出場利用者の乗車券に前記入場記録があるか否かを判定する。利用者が自動改札機1において適切に入場時の改札処理(入場改札処理)を行った場合は、利用者の乗車券に前記入場駅情報を含む前記入場記録が書き込まれる。しかしながら、例えば、上述した前記処理未了入場が生じた場合は、利用者の乗車券には前記入場記録は書き込まれない。したがって、制御部11は、利用記録判定部113によって前記乗車券に前記入場記録があると判定された場合に、適切に入場改札処理が行われたと判定できる。また、制御部11は、利用記録判定部113によって前記入場記録が乗車券に記録されていないと判定された場合に、前記処理未了入場が生じたと判定できる。
また、利用記録判定部113は、入場改札処理の際に読取処理部111によって読み取られた前記乗車券情報に基づいて、入場利用者の乗車券に前回利用時の前記出場記録があるか否かを判定する。利用者が自動改札機1において適切に出場時の改札処理(出場改札処理)を行った場合は、利用者の乗車券に前記出場駅情報を含む前記出場記録が書き込まれる。しかしながら、例えば、上述した前記処理未了出場が生じた場合は、利用者の乗車券には前記出場記録は書き込まれない。したがって、制御部11は、利用記録判定部113によって前記乗車券に前記出場記録があると判定された場合に、前回の利用時に適切に出場改札処理が行われたと判定できる。また、制御部11は、利用記録判定部113によって前記出場記録が乗車券に記録されていないと判定された場合に、前回の利用時に前記処理未了出場が生じたと判定できる。
本実施形態では、利用記録判定部113によって前記入場記録が乗車券に記録されていないと判定された場合、制御部11は、出場の際に撮像部18が撮像した利用者(入場記録の無い出場利用者)の顔画像(出場顔画像)とともに前記乗車券情報に含まれる利用者ID(入場記録の無い出場利用者のID)を駅サーバ4に送信する。つまり、駅サーバ4は、自動改札機1から、入場記録の無い出場利用者の出場顔画像及び利用者IDを自動改札機1から取得する。また、利用記録判定部113によって前記出場記録が乗車券に記録されていないと判定された場合、制御部11は、入場の際に撮像部18が撮像した利用者(出場記録の無い入場利用者)の顔画像(入場顔画像)とともに前記乗車券情報に含まれる利用者ID(出場記録の無い入場利用者のID)を駅サーバ4に送信する。つまり、駅サーバ4は、自動改札機1から、出場記録の無い入場利用者の入場顔画像及び利用者IDを自動改札機1から取得する。なお、駅サーバ4が取得した前記出場顔画像及び前記利用者IDは、駅サーバ4の記憶部42又は制御部41内のRAMに一時的に格納され、後述の顔画像照合処理(図9参照)に用いられる。また、駅サーバ4が取得した前記入場顔画像及び前記利用者IDは、駅サーバ4の記憶部42又は制御部41内のRAMに一時的に格納され、後述の顔画像照合処理(図13参照)に用いられる。
通行制御部114は、所定の条件を満たした場合に、利用者が改札通路6を通行することを許可又は禁止する。例えば、通行制御部114は、ICカードや切符などの乗車券から読み取られた乗車券情報が有効であると判定すると、利用者が改札通路6を通行することを許可する。一方、通行制御部114は、前記乗車券情報が無効であると判定した場合、利用者が改札通路6を通行することを禁止する。通行が許可された場合、ゲート15は開放される。一方、通行が許可されなかった場合は、ゲート15は閉鎖されるか、或いは、閉鎖状態が維持される。
未了通過判定部115は、自動改札機1において入場又は出場時の改札処理が行われないまま利用者が改札通路6を通過したか否かを判定する。つまり、未了通過判定部115は、上述した前記処理未了通過が生じたか否かを判定する。未了通過判定部115は、自動改札機1において乗車券から前記乗車券情報が読み取られないまま筐体10に設けられた出口側の人感センサ19が前記利用者を検知した場合に、改札処理が行われなかったと判定する。つまり、未了通過判定部115は、前記処理未了通過が生じたと判定する。例えば、未了通過判定部115は、入場用の自動改札機1Aにおいては前記処理未了入場と判定し、出場用の自動改札機1Bにおいては前記処理未了出場と判定する。
本実施形態では、未了通過判定部115によって入場時の改札処理が未了のまま利用者が改札通路6を通過(処理未了入場)したと判定された場合、制御部11は、その際に撮像部18が撮像した利用者(処理未了入場の入場者)の顔画像(入場顔画像)を駅サーバ4に送信し、駅サーバ4からセンタ装置5に転送させる。また、制御部11は、前記入場顔画像とともに、利用者が利用した入場駅の名称などの入場駅情報を駅サーバ4に送信し、駅サーバ4からセンタ装置5に転送させる。つまり、センタ装置5は、撮像部18によって顔が撮像された前記入場者が入場改札処理が行われない状態で改札通路6及びゲート15を通過した場合に、前記入場顔画像及び前記入場駅情報を取得する。そして、センタ装置5は、その入場顔画像と前記入場駅情報とを関連付けた状態で、他の駅8の駅サーバ4に送信し、当該駅サーバ4において前記入場顔画像及び前記入場駅情報が後述する入場顔画像データ格納部421(図4参照)に格納(記憶)される。なお、駅サーバ4に格納された前記入場顔画像及び前記入場駅情報は、後述の顔画像照合処理(図9参照)に用いられる。
また、未了通過判定部115によって出場時の改札処理が未了のまま利用者が改札通路6を通過(処理未了出場)したと判定された場合、制御部11は、その際に撮像部18が撮像した利用者(処理未了出場の出場者)の顔画像(出場顔画像)を駅サーバ4に送信し、駅サーバ4からセンタ装置5に転送させる。また、制御部11は、前記出場顔画像とともに、利用者が利用した出場駅の名称などの出場駅情報を駅サーバ4に送信し、駅サーバ4からセンタ装置5に転送させる。つまり、センタ装置5は、撮像部18によって顔が撮像された前記出場者が出場改札処理が行われない状態で改札通路6及びゲート15を通過した場合に、前記出場顔画像及び前記出場駅情報を取得する。そして、センタ装置5は、その出場顔画像と前記出場駅情報とを関連付けた状態で、他の駅8の駅サーバ4に送信し、当該駅サーバ4において前記出場顔画像及び前記出場駅情報が後述する出場顔画像データ格納部422(図4参照)に格納(記憶)される。なお、駅サーバ4に格納された前記出場顔画像及び前記出場駅情報は、後述の顔画像照合処理(図13参照)に用いられる。
また、制御部11は、撮像部18が撮像した前記出場顔画像を駅サーバ4や駅員端末装置などの他の駅務機器に送信し、処理未了出場が発生したことと、その出場者の顔画像を駅務機器を通じて駅係員に報知する。この場合、駅サーバ4は、前記出場顔画像を受信すると、駅係員が所持している駅員端末装置2に送信する。これにより、駅係員は、不正に出場した出場者の顔画像を駅員端末装置2で確認することができる。そして、駅係員は、出場した利用者を監視することにより、不正に出場した利用者を発見することができる。
ゲート処理部116は、ゲート15の動作(開閉動作)を制御する。例えば、改札通路6における利用者の通行が許可された場合、ゲート処理部116は、不図示の駆動部を制御して、ゲート15を開ける。これにより改札通路6が開放される。一方、改札通路6における利用者の通行が禁止された場合、或いは、処理未了と判定された場合は、ゲート処理部116は、ゲート15を閉じるか、閉じた状態を維持する。これにより、改札通路6閉鎖される。
通知処理部117は、入場又は出場の改札処理が未了の状態で改札通路6に進入した利用者に対して、利用者に視認できるように、入場又は出場の改札処理が未了である旨のエラーメッセージを表示部13に出力して表示させる。また、通知処理部117は、出場時に、前記エラーメッセージとともに、精算端末装置3で精算手続きを促すメッセージを出力してもよい。通知処理部117は、前記各メッセージを表示部13に表示するのみならず、スピーカー(不図示)から音声で前記メッセージの内容をアナウンスしてもよい。
[駅サーバ4]
図4は、駅サーバ4の構成を示すブロック図である。駅サーバ4は、駅務室などに設置されるサーバ装置であり、各駅8に設けられている。駅サーバ4は、各駅8の駅内ネットワークであるネットワークN1に接続されている自動改札機1などの複数の駅務機器を管理する。
駅サーバ4は、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、を備えている。
通信部43は、駅サーバ4を有線又は無線でネットワークN1,N2に接続し、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークN1を介して自動改札機1、駅員端末装置2、精算端末装置3との間でデータ通信を実行し、ネットワークN2を介してセンタ装置5との間でデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
記憶部42は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどを含む不揮発性の記憶媒体である。記憶部42には、制御部41に各種処理を実行させるための制御プログラムや、駅サーバ4で実行される後述の顔画像登録処理(図8参照)、顔画像照合処理(図9参照)に用いられる制御プログラムやデータなどが記憶される。具体的には、記憶部42には、自動改札機1から送られてきた前記出場顔画像及び前記利用者IDが互いに関連付けられた状態で一時的に記憶されている。なお、前記出場顔画像及び前記利用者IDは、後述の制御部41のRAMに一時的に格納されてもよい。
なお、本実施形態では、記憶部42が駅サーバ4に設けられた構成を例示するが、例えば、記憶部42内の各種情報の一部又は全部が、ネットワークN1,N2などを通じて駅サーバ4とデータ通信可能な他のサーバ装置やネットワーク接続可能な記憶装置などの外部装置に記憶されていてもよい。また、後述の入場顔画像データ格納部421、出場顔画像データ格納部422、不正者データ格納部423が前記外部装置に設けられていてもよい。
記憶部42には、入場顔画像データ格納部421、出場顔画像データ格納部422、及び不正者データ格納部423などの記憶領域が設けられている。入場顔画像データ格納部421は、本発明の記憶部の一例である。
入場顔画像データ格納部421には、各駅8それぞれの自動改札機1から送られてきた前記入場顔画像及び前記入場駅情報を含む入場顔画像データ(本発明の固有情報登録データの一例)が格納されている。各駅8の自動改札機1で取得された前記入場顔画像及び前記入場駅情報は、その駅8の駅サーバ4に送られ、駅サーバ4からセンタ装置5に送られる。そして、センタ装置5によって全ての駅8の駅サーバ4に前記入場顔画像及び前記入場駅情報が送信されて、各駅サーバ4の入場顔画像データ格納部421に格納される。上述したように、前記入場顔画像は、自動改札機1において入場時の改札処理が未了のまま入場したと判定されたときのその利用者(入場者)の顔画像である。前記入場顔画像データにおいて、前記入場顔画像それぞれは、識別可能なようにIDが付された状態で管理されている。また、前記入場顔画像データにおいては、各入場顔画像に前記入場駅情報が関連付けられている。前記入場顔画像データは、駅サーバ4において実行される後述の顔画像照合処理(図9参照)に用いられる。
出場顔画像データ格納部422には、各駅8それぞれの自動改札機1から送られてきた前記出場顔画像及び前記出場駅情報を含む出場顔画像データ(本発明の固有情報登録データの一例)が格納されている。各駅8の自動改札機1で取得された前記出場顔画像及び前記出場駅情報は、その駅8の駅サーバ4に送られ、駅サーバ4からセンタ装置5に送られる。そして、センタ装置5によって全ての駅8の駅サーバ4に前記出場顔画像及び前記出場駅情報が送信されて、各駅サーバ4の出場顔画像データ格納部422に格納される。上述したように、前記出場顔画像は、自動改札機1において出場時の改札処理が未了のまま出場したと判定されたときのその利用者(出場者)の顔画像である。前記出場顔画像データにおいて、前記出場顔画像それぞれは、識別可能なようにIDが付された状態で管理されている。また、前記出場顔画像データにおいては、各出場顔画像に前記出場駅情報が関連付けられている。前記出場顔画像データは、駅サーバ4において実行される後述の顔画像照合処理(図13参照)に用いられる。
前記入場顔画像データ及び前記出場顔画像データは、いずれも、自動改札機1において改札処理が行われないまま入場又は出場した利用者の顔画像を含むデータベースである。つまり、前記入場顔画像データ及び前記出場顔画像データには、改札処理未了の状態で自動改札機1を通過した利用者の顔画像及び利用駅情報(入場駅情報、出場駅情報)が登録されている。本実施形態では、自動改札機1は、駅改札口の入場時又は出場時に撮像部18によって撮像された利用者の顔画像のうち、改札処理が行われなかった改札処理未了の利用者の顔画像と前記利用駅情報とを駅サーバ4を介してセンタ装置5に送信する。そして、これらの顔画像及び前記利用駅情報をセンタ装置5が受信すると、センタ装置5は、他の駅8の駅サーバ4に送信する。駅サーバ4は、受信した顔画像及び前記利用駅情報を入場顔画像データ格納部421又は出場顔画像データ格納部422に格納する。これにより、各駅8の駅サーバ4において、同じ内容の前記入場顔画像データ及び前記出場顔画像データを共有することができる。
不正者データ格納部423には、不正判定部413による不正判定処理に用いられるテーブルデータ形式の不正者データが格納されている。前記不正者データには、利用者IDごとに、後述する不正利用疑義者の顔画像が不正回数とともに登録されている。前記不正利用疑義者は、後述する顔照合処理部411によって一致しないと判定されときの出場利用者であり、そのように判定された場合に自動改札機1から送られてきた前記出場顔画像が前記不正利用疑義者の顔画像として、前記不正者データに登録されている。本実施形態では、前記不正利用疑義者の顔画像が送られてくるたびに、前記不正者データの不正回数などが更新される。
ここで、前記不正回数は、顔照合処理部411によって一致しないと判定された回数である。顔照合処理部411によって一致しないと判定されるケースの一例として、入場時に最短区間の切符(1区間切符)で適切に入場し、その後、1区間以上離れた他の駅から定期券などの他の乗車券を用いて出場するケースがある。この場合、中間区間を不正乗車している可能性が高い。したがって、本実施形態では、顔照合処理部411によって一致しないと判定された回数を不正回数としてカウントし、前記不正者データに登録される。
制御部41は、駅サーバ4の各部の動作を制御する。制御部41は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部41は、前記ROM又は記憶部42に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUが実行することにより駅サーバ4を制御する。
図4に示すように、制御部41は、顔照合処理部411(本発明の照合処理部の一例)、利用駅特定部412(本発明の利用駅特定部、入場駅特定部、出場駅特定部の一例)、不正判定部413(本発明の不正判定処理部の一例)、通知処理部414、等の各種処理部を含む。制御部41は、前記CPUが前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、制御部41に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
顔照合処理部411は、自動改札機1から送られてきた前記出場顔画像を用いて、当該出場顔画像と入場顔画像データ格納部421に格納された前記入場顔画像データとを照合する処理を行う。そして、前記出場顔画像と前記入場顔画像データに登録されている登録済みの入場顔画像(登録顔画像)とが一致するか否かを判定する。具体的には、顔照合処理部411は、前記入場顔画像データに登録されている各顔画像と、前記出場顔画像とを比較し、前記入場顔画像データから前記出場顔画像と一致するものを検索する。例えば、顔照合処理部411は、顔画像の特徴量を抽出し、それらの特徴量を比較して、特徴量の一致度が所定の閾値以上である場合に、両者が一致すると判定することができる。また、同様にして、顔照合処理部411は、自動改札機1から送られてきた前記入場顔画像を用いて、当該入場顔画像と出場顔画像データ格納部422に格納された前記出場顔画像データとを照合する処理を行う。そして、前記入場顔画像と前記出場顔画像データに登録されている登録済みの出場顔画像(登録顔画像)とが一致するか否かを判定する。
利用駅特定部412は、顔照合処理部411によって前記出場顔画像と前記入場顔画像データに登録されている登録済みの入場顔画像とが一致すると判定された場合に、一致すると判定された前記入場顔画像に関連付けられた前記入場駅情報を前記入場顔画像データから取得して、取得した前記入場駅情報に基づいて出場利用者が今回の利用時に利用した入場駅(特定利用駅)を事後的に特定する。また、利用駅特定部412は、顔照合処理部411によって前記入場顔画像と前記出場顔画像データに登録されている登録済みの出場顔画像とが一致すると判定された場合に、一致すると判定された前記出場顔画像に関連付けられた前記出場駅情報を前記出場顔画像データから取得して、取得した前記出場駅情報に基づいて入場利用者が前回の利用時に利用した出場駅(特定利用駅)を事後的に特定する。
不正判定部413は、自動改札機1から送られてきた前記出場顔画像の出場利用者が不正利用者であるか否かを判定する。ここで、顔照合処理部411によって一致しないと判定された場合は、適切に入場改札処理が行われたが、出場時に入場記録の無い乗車券で出場しようとした場合である。この場合は、例えば、鉄道事業者が管轄する運行区間における最短区間の切符(1区間切符)で適切に入場し、その後、1区間以上離れた他の駅から定期券などの他の乗車券を用いて出場しようとした不正利用の可能性が高い。したがって、不正判定部413は、顔照合処理部411によって一致しないと判定された場合に、自動改札機1から送られてきた前記出場顔画像の出場利用者を不正利用者と判定する。
本実施形態では、不正判定部413は、過去に不正を行った不正回数に基づいて、自動改札機1から送られてきた前記出場顔画像の出場利用者が不正利用者であるか否かを判定する。具体的には、顔照合処理部411によって一致しないと判定された場合に、不正判定部413は、出場顔画像の利用者の利用者IDと、不正者データ格納部423に格納された前記不正者データとを照合し、前記利用者IDと前記不正者データに登録されている前記不正利用疑義者の利用者IDとが一致するか否かを判定する。そして、前記不正者データから出場顔画像の利用者の利用者IDと一致するものが検索されると、その一致する利用者IDや出場顔画像に関連付けられた前記不正回数を抽出する。そして、当該不正回数が予め定められた設定回数以上である場合に、不正判定部413は、前記出場顔画像の出場利用者を不正利用者と判定する。これにより、意図せずに入場時の乗車券とは異なる乗車券で出場しようとした出場利用者を不正利用者と判定する誤判定を防止できる。
なお、前記出場利用者の利用者IDが取得できなかった場合は、不正判定部413は、前記出場顔画像と、不正者データ格納部423に格納された前記不正者データとを照合し、前記出場顔画像と前記不正者データに登録されている前記不正利用疑義者の顔画像とが一致するか否かを判定してもよい。
通知処理部414は、出場駅における駅務機器に、不正判定部413によって不正利用者と判定された出場者の出場顔画像を送信する。具体的には、通知処理部414は、前記出場顔画像をネットワークN1を介して、駅員端末装置2や自動改札機1などに送信する。駅員端末装置2に前記出場顔画像が送信されると、駅係員は、駅員端末装置2から不正利用者の顔画像を確認することができる。これにより、駅係員は、出場する利用者を監視することにより、不正に出場する可能性のある不正利用者を発見することができる。
[センタ装置5]
センタ装置5は、駅8を含む鉄道事業を運営する鉄道事業者が管理する中央監視装置であり、鉄道事業者が運営する全ての駅8の駅サーバ4や自動改札機1などの駅務機器を管理する。図4に示すように、センタ装置5は、無線によりネットワークN2に接続し、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークN2を介して駅サーバ4や他の駅務機器との間でデータ通信を実行する。
図4に示すように、センタ装置5は、制御部51と、記憶部52と、通信部53と、を備えている。制御部51は、センタ装置5の動作を制御する。記憶部52は、制御部51が実行する制御に必要な情報を記憶する。通信部53は、ネットワークN2を介して接続されている複数の駅サーバ4とのデータ通信を制御する。
センタ装置5の制御部51は、駅サーバ4から送られてきた各種データを受信すると、そのデータを他の駅8の駅サーバ4、及びその駅サーバ4に属する駅員端末装置2や自動改札機1に送信する。前記各種データには、上述した前記入場顔画像や前記入場駅情報、前記不正利用疑義者の顔画像などを含む。
[駅員端末装置2]
駅員端末装置2は、鉄道において駅務を行う駅係員が利用する端末装置であり、例えば、駅務室に設置された情報処理装置や、駅係員が携帯して所持可能なスマートフォン、携帯電話、又はタブレット端末などの携帯端末である。駅員端末装置2は、有線又は無線でネットワークN1に接続し、ネットワークN1を介して駅サーバ4などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を行う。駅係員は、駅員端末装置2を操作することにより、駅員端末装置2が受信した各種情報を閲覧、確認することができる。
[精算端末装置3]
精算端末装置3は、駅8の改札口や駅務室の付近に設置されている。精算端末装置3は、有線又は無線でネットワークN1に接続し、ネットワークN1を介して駅サーバ4などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を行う。利用者は、精算端末装置3の操作入力部を操作することにより、精算端末装置3において、自分自身の乗車券の精算手続きを行うことができる。なお、精算端末装置3は、独立した端末装置として設置されたものに限られず、例えば、改札処理が行われていない乗車券に対して精算する機能が搭載された券売機、駅員端末装置であってもよい。また、精算端末装置3は、駅8に設置されたものに限られず、例えば、インターネット経由でセンタ装置5や駅サーバ4にデータ通信可能に接続された携帯型の情報処理装置であってもよい。
図5は、精算端末装置3の構成を示すブロック図である。図5に示すように、精算端末装置3は、制御部31と、記憶部32と、表示部33と、通信部34と、ICカード読取部36と、を備えている。
記憶部32は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどを含む不揮発性の記憶媒体である。記憶部32には、精算端末装置3で実行される各種制御処理や各種処理を制御部31に実行させるための制御プログラム、前記各種処理に用いられる各種のデータなどが記憶されている。また、記憶部32には、駅サーバ4やセンタ装置5などから送信された各種情報が一時的に格納される場合がある。
表示部33は、制御部31からの指示に従って、精算処理を行う利用者に対するメッセージを表示する。
通信部34は、精算端末装置3を有線又は無線でネットワークN1に接続し、ネットワークN1を介して駅サーバ4などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
ICカード読取部36は、ICカード形式の乗車券(以下「ICカード」という。)に記録されている情報(乗車券情報)を非接触により読み取る。ICカード読取部36は、上述した自動改札機1のICカード読取部16と同様の構成であり、近距離通信によってICカード内の情報を非接触で読み出し、非接触で書き込みを行うリーダライタ装置である。ICカード読取部36により読み取られた情報は制御部31に送信され、制御部31は当該情報に基づいて精算処理を実行する。ICカードを利用する利用者は、ICカード読取部36にICカードを翳して、ICカード読取部36に読取処理を行わせる。
なお、精算端末装置3には、磁気読取部(不図示)が備えられている。この磁気読取部は、精算を行うために投入された磁気切符から磁気データとともに切符の情報(乗車券情報)を読み出す。精算端末装置3は、磁気切符の精算処理が終了すると、出場許可情報を有する出場用の切符を発行する。
制御部31は、精算端末装置3の各部の動作を制御する。制御部31は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部31は、前記ROM又は記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより精算端末装置3を制御する。
制御部31は、読取処理部311、記録処理部312(本発明の利用記録処理部の一例)、通知処理部314、などの各種処理部を含む。
制御部31は、前記CPUが前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。言い換えると、前記CPUは、前記制御プログラムを実行することにより、読取処理部311、記録処理部312、通知処理部314、などの処理部として機能する。また、制御部31に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。また、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。なお、制御部31又は前記CPUが、前記制御プログラムを実行するコンピュータの一例である。
読取処理部311は、ICカード読取部36により読み取られたICカードの前記乗車券情報、或いは、前記磁気読取部(不図示)により読み取られた切符の前記乗車券情報を取得する。
記録処理部312は、読取処理部311によって乗車券から前記乗車券情報が取得されると、各乗車券における当該情報をICカード読取部36や前記磁気読取部(不図示)に更新させる。例えば、精算端末装置3においてICカードの精算処理が完了すると、出場許可情報をICカードに書き込み、当該ICカードによる出場を可能にする。また、記録処理部312は、ICカードにチャージされている金額から所定の金額(運賃)を減額し、減額された残りの金額をICカードの情報保持部に書き込む。
また、記録処理部312は、精算端末装置3において、後述するように事後的に入場駅の情報(入場駅情報)或いは出場駅の情報(出場駅情報)が得られた場合に、精算処理の際にその入場駅情報を含む前記入場記録、或いは、出場駅情報を含む前記出場記録をICカードに書き込む(記録する)。
通知処理部314は、精算処理時に利用者に通知する各種メッセージを出力して表示部33に表示する。
以下、図6乃至図13を参照して、駅務システム100において実行される入場者の顔画像取得処理(図6参照)、出場者の顔画像取得処理(図7参照)、入場者の顔画像登録処理(図8参照)、顔画像照合処理(図9参照)、精算端末装置3における出場許可処理(図10参照)、自動改札機1における出場許可処理(図11及び図12参照)の各処理手順の一例について説明するとともに、本発明の利用駅特定方法について説明する。各図において、S11,S12,・・・は処理手順の番号(ステップ番号)を示す。なお、以下においては、乗車券としてICカードが用いられた例について説明する。
[入場者の顔画像取得処理]
まず、図6のフローチャートを参照して、自動改札機1の制御部11によって実行される入場者の顔画像取得処理の手順の一例について説明する。当該顔画像取得処理は、入場時の改札処理が行われずに自動改札機1を入場(処理未了入場)した入場者の顔画像を取得する処理である。なお、出場時の改札処理が行われずに出場(処理未了出場)した出場者の顔画像についても、以下に説明する顔画像取得処理と同様の手順によって取得される。
自動改札機1においては、自動改札機1の改札通路6に向かって入場しようとする利用者(以下「入場利用者」という。)が移動する。ステップS11では、制御部11は、入場利用者が自動改札機1に到達するよりも前に、撮像部18に、入場利用者の顔画像を撮像させて、顔画像を取得する。これにより、入場利用者が改札処理のための乗車券を読み取らせる行為をする前に、入場利用者の顔画像が撮像される。そして、制御部11は、撮像した顔画像を制御部11のRAM又は記憶部12に記憶する。ここで、ステップS11は、本発明の第1固有情報取得ステップに相当する。
ステップS12では、制御部11は、入場時の改札処理(入場改札処理)が完了したか否かを判定する。ステップS12において、前記入場改札処理が完了したと判定されると(S12のYes)、制御部11は、制御部11のRAM又は記憶部12に記憶された顔画像を消去する(S121)。その後、一連の処理が終了する。
一方、ステップS12において前記入場改札処理が完了していないと判定され(S12のNo)、その次のステップS13において入場者が改札通路6に進入したと判定されると(S13のYes)、制御部11は、ICカードをもう一度ICカード読取部16に翳すよう入場利用者に促すエラーメッセージを表示部13に出力し(S14)、ゲート15を閉じる(S15)。その後、ステップS16では、制御部11は、出口側の人感センサ19の検知結果に基づいて、入場利用者が改札通路6を強行突破して処理未了のまま入場(処理未了入場)したか否かを判定する。ここで、前記処理未了入場が判定されなかった場合(S16のNo)、ステップS12以降の処理が繰り返される。
ステップS16において前記処理未了入場が判定されると(S16のYes)、制御部11は、ステップS11で撮像された顔画像(入場顔画像)及び撮像された入場駅の情報(入場駅情報)を駅サーバ4を経てセンタ装置5に送信する(S17)。つまり、制御部11は、入場改札処理が行われなかった処理未了の入場者の顔画像及び入場駅情報をセンタ装置5に送信し、適切に入場改札処理が行われた入場者の顔画像は送信せずに消去する。ここで、ステップS17では、制御部11は、入場時に撮像された前記入場顔画像を送信する際に、入場時に撮像されたことを示す識別フラグ(入場識別情報)を前記入場顔画像に付した状態で前記入場駅情報とともにセンタ装置5に送信する。
次のステップS18では、制御部11は、前記処理未了入場であることを入場者や駅係員に報知するために、警報出力を行う。例えば、制御部11は、自動改札機1に設けられた警告灯(不図示)を点灯し、駅係員に前記処理未了入場が生じた位置を知らせる。その後、一連の処理が終了する。
なお、センタ装置5は、前記入場顔画像を受信すると、全ての駅8の駅サーバ4に前記入場顔画像を送信し、駅サーバ4では、前記入場顔画像が入場顔画像データ格納部421に格納される。
[出場利用者の顔画像取得処理]
次に、図7のフローチャートを参照して、自動改札機1の制御部11によって実行される出場利用者の顔画像取得処理の手順の一例について説明する。当該顔画像取得処理は、出場改札処理においてICカードに前記入場記録が無い出場利用者の顔画像を取得する処理である。なお、入場改札処理においてICカードに前回利用時の前記出場記録が無い入場利用者の顔画像についても、以下に説明する顔画像取得処理と同様の手順によって取得される。
自動改札機1においては、自動改札機1の改札通路6に向かって出場しようとする利用者(以下「出場利用者」という。)が移動する。ステップS21では、制御部11は、出場利用者が自動改札機1に到達するよりも前に、撮像部18に、出場利用者の顔画像を撮像させて、顔画像を取得する。これにより、出場利用者が改札処理のための乗車券を読み取らせる行為をする前に、出場利用者の顔画像が撮像される。そして、制御部11は、撮像した顔画像を制御部11のRAM又は記憶部12に記憶する。ここで、ステップS21は、本発明の第2固有情報取得ステップに相当する。
ステップS22では、制御部11は、出場利用者のICカードから乗車券情報を取得したか否かを判定する。出場利用者が改札通路6に進入する前にICカード読取部16によって出場利用者のICカードから乗車券情報が読み取られると、ICカードの乗車券情報が読み取られたと判定される。
ステップS22において、乗車券情報が読み取られず、入口側の人感センサ19の検知結果に基づいて出場利用者が改札通路6に進入したと判定されると(S23のYes)、制御部11は、ICカードをもう一度ICカード読取部16に翳すよう出場利用者に促すエラーメッセージを表示部13に出力し(S24)、ゲート15を閉じる(S25)。その後、ステップS26では、制御部11は、出口側の人感センサ19の検知結果に基づいて、出場利用者が改札通路6を強行突破して処理未了のまま出場(処理未了出場)したか否かを判定する。ここで、前記処理未了出場が判定されなかった場合(S26のNo)、ステップS22以降の処理が繰り返される。
ステップS26において前記処理未了出場が判定されると(S26のYes)、制御部11は、前記処理未了出場であることを出場者や駅係員に報知するために、警報出力を行う(S27)。その後、一連の処理が終了する。
ステップS22において、前記入場駅情報や前記利用者IDを含む前記乗車券情報が取得されたと判定されると(S22のYes)、次のステップS28において、制御部11は、取得された前記乗車券情報に前記入場記録があるか否かを判定する。具体的には、前記乗車券情報に入場駅情報を含む前記入場記録が含まれているか否かを判定する。ステップS21は、本発明の利用記録判定ステップに相当する。ステップS28において、前記入場記録があると判定されると(S28のYes)、次のステップS29において、適切に出場改札処理が行われる。その後、制御部11は、制御部11のRAM又は記憶部12に記憶された顔画像を消去する(S291)。その後、一連の処理が終了する。
一方、ステップS28において前記入場記録がないと判定されると(S28のNo)、制御部11は、自動改札機1の表示部13に、所定のメッセージを出力する(S281)。具体的には、制御部11は、出場改札処理が未了である旨のメッセージや、精算端末装置3での精算を促すメッセージを表示する。
次のステップS282では、制御部11は、ステップS21で撮像された顔画像(出場顔画像)及び前記乗車券情報に含まれる前記利用者IDを駅サーバ4に送信する。つまり、制御部11は、前記入場記録の無いICカードを所持する出場利用者の出場顔画像及び利用者IDを出場駅の駅サーバ4に送信する。ここで、ステップS282では、制御部11は、前記出場顔画像を送信する際に、出場時に撮像されたことを示す識別フラグ(出場識別情報)を前記出場顔画像に付した状態で前記利用者IDとともに駅サーバ4に送信する。その後、ステップS25以降の処理が繰り返される。
[入場者の顔画像登録処理]
次に、図8のフローチャートを参照して、駅サーバ4の制御部41によって実行される入場者の顔画像登録処理の手順の一例について説明する。この顔画像登録処理は、入場顔画像データ格納部421に格納された入場顔画像データを更新するために行われる。なお、出場顔画像データ格納部422に格納された出場顔画像データの更新処理についても、以下に説明する顔画像登録処理と同様の手順によって行われる。
ステップS31では、制御部41は、センタ装置5から前記入場顔画像を受信したか否かを判定する。制御部41は、センタ装置5から各駅8で撮像された顔画像が送られてくると、顔画像に付された識別フラグ(入場識別情報)の有無に基づいて、受信した顔画像が前記入場顔画像か否かを判定する。なお、ステップS31では、制御部41は、前記入場顔画像とともに入場駅名などの入場駅情報を受信する。
ステップS31において前記入場顔画像を受信したと判定すると、その入場顔画像を前記入場駅情報とともに入場顔画像データ格納部421に記憶し、入場顔画像データに登録する(S32)。
ステップS33では、前記入場顔画像データに予め定められた設定期間を超過した入力顔画像があるか否かを判定する。例えば、前記入場顔画像データにおいて、前記入力顔画像とともにその入場日時が記憶されている場合、制御部41は、その入場日時に基づいて、入場後から前記設定期間が超過しているか否かを判定する。
例えば、自動改札機1において、改札処理未了で入場した利用者は、遅くても入場した日のうちに他の駅から出場すると考えられる。この場合、前記設定期間は、例えば、入場日における終電時刻までの期間に定めることができる。また、改札処理未了で入場した利用者は、鉄道事業者の運行区間の全域を移動するのに要する所要時間(例えば2時間)を経過するまでに他の駅から出場すると考えられる。前記所要時間は、各者鉄道の運行区間により異なるが、前記設定期間は、前記所要時間に定めることができる。
ステップS33において、前記設定期間を超過した前記入場顔画像があると判定された場合、制御部41は、対象の前記入場顔画像を前記入場顔画像データから削除する。一方、前記設定期間を超過した前記入場顔画像がないと判定された場合は、前記入場顔画像を削除せずに残したままとする。その後、ステップS31以降の処理が繰り返し行われる。
このように前記設定期間を定めることにより、既に他の駅から出場した可能性の高い前記入場顔画像を前記入場顔画像データから削除することができ、後述のステップS53の照合処理の演算時間及び処理負担を軽減できる。
[顔画像照合処理]
次に、図9のフローチャートを参照して、駅サーバ4の制御部41によって実行される顔画像照合処理の手順の一例について説明する。なお、以下の説明では、駅サーバ4に、同じ駅8に属する精算端末装置3から照合要求が送信されたことを前提とする。
ステップS41では、制御部41は、精算端末装置3から利用者IDを含む照合要求を受信したか否かを判定する。前記照合要求は、駅サーバ4の制御部41に顔画像照合処理を開始させるためのトリガであり、精算端末装置3で受け付けられた利用者IDとともに精算端末装置3から駅サーバ4に送信される。
ステップS41において前記照合要求を受信したと判定すると(S41のYes)、制御部41は、前記照合要求に含まれる前記利用者IDに対応する前記出場顔画像を記憶部42或いは制御部41内のRAMから読み出す(S42)。このとき読み出される前記出場顔画像は、ステップS28において前記入場記録が無いと判定された出場利用者の顔画像であって、精算端末装置3において精算処理を行う利用者の顔画像に一致する。
次のステップS43では、制御部41は、ステップS42で読み出された前記出場顔画像と、入場顔画像データ格納部421に記憶された前記入場顔画像データとを照合する処理を行う。ステップS43は、本発明の照合処理ステップの一例である。当該照合処理では、読み出した前記出場顔画像と前記入場顔画像データに登録されている入場顔画像とが一致するか否かを判定する。つまり、当該処理では、前記入場顔画像データに、読み出した前記出場顔画像と一致する顔画像が含まれているか否かを判定する。
例えば、駅8を出場しようとする利用者のICカードに前記入場記録が無かった場合は、その利用者が入場時に処理未了の状態で入場したと考えられる。この場合は、入場時に撮像された顔画像(入場顔画像)が前記入場顔画像データに登録されているため、読み出された前記出場顔画像と一致する前記入場顔画像が検索される。
一方、ICカードに入場記録が無かった場合でも、入場時に撮像された顔画像(入場顔画像)が前記入場顔画像データに登録されていない場合がある。例えば、入場時に最短区間の切符(1区間切符)で適切に入場し、その後、1区間以上離れた他の駅から定期券などの他の乗車券を用いて出場する場合は、前記入場記録の無い出場利用者の入場顔画像は、前記入場顔画像データに登録されていない。したがって、この場合は、読み出された前記出場顔画像と一致する前記入場顔画像は検索されない。
前記入場顔画像データに登録されている各顔画像と、読み出された前記出場顔画像とを比較し、前記入場顔画像データから前記出場顔画像と一致するものが検索されると(ステップS44のYes)、制御部41は、次のステップS45において、入場駅特定処理を行う。一方、前記入場顔画像データに前記出場顔画像と一致するものが無いと判定されると(ステップS44のNo)、制御部41はステップS48に進む。
ステップS45の入場駅特定処理では、制御部41は、ステップS44において一致すると判定された前記入場顔画像に関連付けられた入場駅情報に基づいて、出場利用者が入場した入場駅を特定する。ステップS45は、本発明の利用駅特定ステップの一例である。具体的には、制御部41は、前記入場顔画像データから前記入場顔画像に関連付けられた入場駅情報を取得(抽出)し、取得した前記入場駅情報が示す駅を、前記出場利用者が入場時に利用した入場駅に特定する。そして、制御部41は、特定された入場駅を示す入場駅情報を精算端末装置3に送信し、必要に応じて自動改札機1に送信する。その後、制御部41はステップS46に進む。
一方、ステップS44において、前記出場顔画像と前記入場顔画像データに登録されている入場顔画像とが一致しないと判定されると(S44のNo)、制御部41は、ステップS42で読み出した出場顔画像及び利用者IDを用いて、不正者データ格納部423に格納されている前記不正者データを更新する(S48)。ICカードに入場記録が無く、且つ、入場時に撮像された顔画像(入場顔画像)が前記入場顔画像データに登録されていない場合は、入場駅から出場駅の間の中間区間が不正乗車である可能性が高い。したがって、この条件を満たす利用者IDは、不正利用の可能性が高い不正疑義者として前記不正者データに登録される。具体的には、一致しないと判定された出場顔画像に対応する利用者IDが前記不正者データに登録されている場合は、前記出場顔画像とともに、利用者IDに関連付けられた不正回数をインクリメントする。また、一致しないと判定された出場顔画像に対応する利用者IDが前記不正者データに登録されていない場合は、前記出場顔画像とともに、前記利用者ID及び不正回数を前記不正者データに新たに登録する。
前記不正者データの更新が完了すると、次のステップS481では、制御部41は、前記不正者データを参照して、ステップS42で読み出された利用者IDの不正回数に基づいて、その利用者IDで特定される出場利用者が不正乗車を行った不正者であるか否かを判定する。具体的には、制御部41は、前記不正回数が予め定められた設定回数以上であるか否かを判定する。つまり、制御部41は、前記不正回数が前記設定回数以上である場合に、前記出場利用者を不正者と判定し、前記設定回数未満である場合に不正者とは判定しない。
ステップS481において、前記不正回数が前記設定回数以上であると判定されると(S481のYes)、制御部41は、次のステップS49において、前記利用者IDで特定される出場利用者を不正者として、その出場利用者の利用者ID及び出場顔画像を不正者情報として、出場利用者が出場しようとする駅8の精算端末装置3や駅員端末装置2などの各駅務機器に送信する。また、制御部41は、必要に応じて自動改札機1に前記不正者情報を送信する。その後、制御部41はステップS46に進む。
一方、ステップS481において、前記不正回数が前記設定回数未満であると判定されると(S481のNo)、制御部41は、次のステップS482において、照合結果が不一致であることを示す不一致情報を精算端末装置3に送信し、必要に応じて自動改札機1に送信する。その後、制御部41はステップS46に進む。
ステップS46において、制御部41が精算端末装置3から削除要求を受信すると(S46のYes)、制御部41は、ステップS43の照合に用いた利用者IDに対応する入場顔画像を前記入場顔画像データから削除し、更に、記憶部42又は制御部41のRAMから前記出場顔画像を削除する(S47)。その後、一連の処理が終了する。
[出場許可処理]
次に、図10のフローチャートを参照して、精算端末装置3の制御部31によって実行される出場許可処理(通過許可処理)の手順の一例について説明する。当該出場許可処理は、入場記録の無いICカードで自動改札機1を出場することを許可するための処理である。なお、前回利用時の出場記録の無いICカードで自動改札機1を入場することを許可する入場許可処理(通過許可処理)については、以下に説明する出場許可処理と同様の手順によって行われる。
制御部31は、精算をしようとする出場利用者のICカードから前記乗車券情報を取得すると(S51のYes)、上述した照合要求を駅サーバ4に送信する(S52)。このとき、制御部31は、前記照合要求とともに、取得した乗車券情報に含まれる利用者IDを駅サーバ4に送信する。その後、精算端末装置3は、駅サーバ4から前記入場駅情報、前記不一致情報、前記不正者情報のいずれかを受信するまで待機する。
ステップS53において前記入場駅情報が受信されると(S53のYes)、制御部31は、出場許可処理を行う(S54)。具体的には、制御部31は、自動改札機1において適切に出場改札処理ができるように、受信した前記入場駅情報を含む入場記録をICカードに書き込む。これにより、出場利用者は、前記入場記録が書き込まれたICカードを用いて自動改札機1において適切に出場改札処理を行うことができる。その後、制御部31は、駅サーバ4に記憶されたその利用者の顔画像を削除するための削除要求を駅サーバ4に送信する。
なお、前記入場記録をICカードに書き込むことに替えて、例えば、受信した前記入場駅情報で特定された入場駅から出場駅までの乗車区間の精算を精算端末装置3において完了させた後に、ICカードに出場許可情報を書き込んでもよい。或いは、前記乗車区間の精算が完了した後に、出場用の磁気切符を発行してもよい。この場合、自動改札機1は、ICカードから出場許可情報を取得するか、或いは出場用の磁気切符を取得すると、ゲート15を開けて出場利用者を出場させる。
前記入場駅情報が受信されず、ステップS56において前記不一致情報が受信されると(S56のYes)、制御部31は、駅8の駅窓口において駅員に精算してもらうよう促すメッセージを表示部33に表示する(S561)。その後、一連の処理が終了する。
前記入場駅情報及び前記不一致情報が受信されず、ステップS57において前記不正者情報が受信されると(S57のYes)、制御部31は、警報出力を行う(S571)。具体的には、制御部31は、精算端末装置3に設けられた警告灯(不図示)を点灯し、駅係員に精算者が前記不正者であること、或いは前記不正者である可能性が高いことを知らせる。また、制御部31は、精算端末装置3の位置情報及び出場利用者の顔画像を出力し、駅員端末装置2を通じて前記不正者が手続きをしている精算端末装置3の位置、及び出場利用者の顔を知らせる。その後、一連の処理が終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る駅務システム100では、駅サーバ4において出場利用者が利用した入場駅が事後的に特定され、その入場駅を示す入場駅情報が精算端末装置3に送られることにより、前記入場記録が無かったICカードに前記入場駅情報を含む前記入場記録が事後的に記録される。これにより、出場利用者は、前記入場記録が書き込まれたICカードを用いて自動改札機1において適切に出場改札処理を行うことができる。その結果、出場駅において利用者の乗車区間が判明するので、駅係員が関与することなく、精算端末装置3において利用者自身が精算処理を適切に行うことができる。そのため、自動改札機1において出場改札処理ができなかった利用者に対する駅係員の対応負担が減少し、また、利用者が駅窓口において駅係員に口頭で自分自身が利用した入場駅の説明を行う必要がなくなる。
なお、上述の実施形態では、精算端末装置3で出場許可処理が行われる処理例について説明したが、本発明はこの処理例に限られない。例えば、出場改札処理を行う自動改札機1において出場許可処理が行われてもよい。
ここで、図11は、自動改札機1で実行される出場許可処理の手順の一例を示すフローチャートである。図11では、上述した各処理と同等の処理については、同じ処理手順番号を付している。図11に示す各手順における各処理は、自動改札機1の制御部11によって実行される。
自動改札機1では、上述したように、ステップS21〜S27の処理が制御部11によって実行される。
ここで、ステップS22において、前記利用者IDを含む前記乗車券情報が取得されたと判定されると(S22のYes)、ステップS28において、制御部11は、取得された前記乗車券情報に前記入場駅情報を含む前記入場記録があるか否かを判定する。ステップS28において、前記入場記録があると判定されると(S28のYes)、ステップS29以降の処理が行われる。一方、ステップS28において前記入場記録がないと判定されると(S28のNo)、制御部11は、上述したステップS282と同様の処理、つまり、ステップS21で撮像された顔画像(出場顔画像)及び前記乗車券情報に含まれる前記利用者IDを駅サーバ4に送信する処理を行う。そして更に、制御部11は、上述した照合要求を駅サーバ4に送信する(S52)。その後、自動改札機1は、駅サーバ4から前記入場駅情報、前記不一致情報、前記不正者情報のいずれかを受信するまで待機する。
自動改札機1の待機中に、前記入場駅情報が受信されると(S53のYes)、制御部11は、出場許可処理を行う(S54)。具体的には、制御部11は、自動改札機1において適切に出場改札処理ができるように、受信した前記入場駅情報を含む入場記録をICカードに書き込む。その後、ステップS55、S29、S291の処理が順次行われて、一連の処理が終了する。
前記入場駅情報が受信されず、ステップS56において前記不一致情報が受信されると(S56のYes)、制御部11は、駅8の駅窓口において駅員に精算してもらうよう促すメッセージを表示部13に表示する(S561)。その後、ステップS25以降の処理が行われる。
前記入場駅情報及び前記不一致情報が受信されず、ステップS57において前記不正者情報が受信されると(S57のYes)、制御部11は、警報出力を行う(S571)。その後、ステップS25以降の処理が行われる。
このような処理が自動改札機1において実行されることにより、出場利用者は、前記入場記録の無いICカードをICカード読取部16に読み取らせて出場改札処理を行った場合でも、事後的に前記入場記録がICカードに書き込まれる。これにより、自動改札機1における出場改札処理時に利用者の乗車区間が判明する。その結果、出場利用者は、出場改札処理が中断されることなく、円滑に出場改札処理を行うことができる。つまり、利用者は、入場改札処理が適切に行われずに入場したことに気づくことなく、出場駅からスムーズに出場することができる。また、自動改札機1における出場改札処理時に駅係員が関与することなく、自動改札機1で出場改札処理が適切に行われる。そのため、自動改札機1において出場改札処理ができなかった利用者に対する駅係員の対応負担が減少し、また、利用者が駅窓口において駅係員に口頭で自分自身が利用した入場駅の説明を行う必要がなくなる。
なお、上述の実施形態において、ステップS28(図11参照)において前記入場記録があると判定された場合でも、入場駅から出場駅までの乗車区間に乗換駅があり、その乗換駅において中間改札のために自動改札機1を通過する場合は、その乗換駅において処理未了通過が生じることがある。前記乗換駅の自動改札機1において処理未了通過が生じた場合、仮に、入場駅から出場駅までの乗車経路として、前記乗換駅を含む第1の経路と、前記乗換駅を含まない第2の経路の2つの経路が存在する場合は、出場改札時に、前記第1の経路で乗車料金が精算されずに、前記第2の経路で乗車料金が精算されてしまい、前記第1の経路の料金よりも高い料金或いは安い料金で精算される場合がある。このような問題を解消するために、自動改札機1では、図12に示す処理が行われる。
ここで、図12は、自動改札機1で実行される上述した出場許可処理の変形例であって、ステップS28において入場記録があると判定されると、次のステップS61では、制御部11は、利用者が使用した入場駅から出場駅までの間に、複数の経路があるか否かを判定する。具体的には、制御部11は、乗換駅において自動改札機1による改札処理が行われる第1の経路と、その第1の経路とは別の経路であって前記乗換駅を含まない第2の経路とを含む複数の経路があるか否かを判定する。例えば、各駅8の駅サーバ4に、複数の経路が記憶されており、制御部11は、前記複数の経路の情報を参照して、前記複数の経路の有無を判定する。
ステップS61において、複数の経路が無いと判定されると、ステップS29以降の処理が行われる。一方、ステップS61において、複数の経路があると判定されると、ステップS282、S52、S53の各処理が順次行われ、そして、ステップS53において前記入場駅情報が受信されたと判定されると、制御部11は、ステップS54(出場許可処理)以降の処理を行う。また、ステップS53において前記入場駅情報が受信されなかった場合は、制御部11は、ステップS56以降の処理を行う。
このような処理が行われることにより、入場駅において入場改札処理が適切に行われてICカードに前記入場駅情報を含む前記入場記録が記録されたが、乗換駅における中間改札時に入場記録が行われなかった場合でも、その乗換駅を事後的に特定することができる。これにより、出場改札処理の際に、入場駅から乗換駅を経て出場駅に至る乗車区間の乗車料金を適切に精算することができる。
ここで、上述の実施形態では、入場時の改札処理が適切に行われずにICカードに前記入場記録が書き込まれなかった場合に、出場駅で行われる顔画像照合処理について説明した。しかし、入場時の改札処理が適切に行われたとしても、他の駅から出場する際に適切に出場時の改札処理が行われなかった場合、出場駅を利用したことを示す出場記録(利用記録)はICカードに書き込まれない。この場合も、その利用者が所持している乗車券では、再入場する駅の自動改札機1において適切に改札処理が行われず、利用者は駅8の改札口を入場することができない。このような問題を解消するために、駅サーバ4では、図13に示す顔画像照合処理が行われる。
図13は、駅務システム100の駅サーバ4で実行される顔画像照合処理の変形例を示すフローチャートである。以下の説明では、上述した実施形態と共通又は同様の構成及び処理手順については、同じ符号を付すことによりその説明を省略する。
ステップS41において精算端末装置3から送信された前記照合要求を受信すると、制御部41は、前記照合要求に含まれる前記利用者IDに対応する前記入場顔画像を記憶部42或いは制御部41内のRAMから読み出す(S42)。
次のステップS431では、制御部41は、ステップS42で読み出された前記入場顔画像と、出場顔画像データ格納部422に記憶された前記出場顔画像データとを照合する処理を行う。ステップS43は、本発明の照合処理ステップの一例である。当該照合処理では、読み出した前記入場顔画像と前記出場顔画像データに登録されている出場顔画像とが一致するか否かを判定する。つまり、当該処理では、前記出場顔画像データに、読み出した前記入場顔画像と一致する顔画像が含まれているか否かを判定する。
例えば、駅8を入場しようとする利用者のICカードに前回利用時の前記出場記録が無かった場合は、その利用者が出場時に処理未了の状態で出場したと考えられる。この場合は、出場時に撮像された顔画像(出場顔画像)が前記出場顔画像データに登録されているため、読み出された前記入場顔画像と一致する前記出場顔画像が検索される。
前記出場顔画像データに登録されている各顔画像と、読み出された前記入場顔画像とを比較し、前記出場顔画像データから前記入場顔画像と一致するものが検索されると(ステップS441のYes)、制御部41は、次のステップS451において、上述した入場駅特定処理と同様にして出場駅を特定する出場駅特定処理を行う。そして、制御部41は、特定された出場駅を示す出場駅情報を精算端末装置3に送信し、必要に応じて自動改札機1に送信する。なお、前記出場駅情報を受信した精算端末装置3或いは自動改札機1では、上述した出場許可処理(図10、図11参照)と同様の手順にしたがって、前回利用時の出場記録の無いICカードで自動改札機1を入場することを許可する入場許可処理(通過許可処理)が行われる。その後、制御部41によって、ステップS46、ステップS471の処理が行われる。
一方、前記出場顔画像データに前記入場顔画像と一致するものが無いと判定されると(ステップS441のNo)、制御部41はステップS48に進み、上述したステップS48以降の処理が行われる。
ステップS471では、制御部41は、ステップS431の照合に用いた利用者IDに対応する出場顔画像を前記出場顔画像データから削除し、更に、記憶部42又は制御部41のRAMから前記入場顔画像を削除する。その後、一連の処理が終了する。
このような処理が駅務システム100の駅サーバ4において実行されることにより、駅サーバ4において入場利用者が前回利用時に利用した出場駅が事後的に特定される。そして、その出場駅を示す出場駅情報が精算端末装置3に送られることにより、前回利用時の前記出場記録が無かったICカードに前記出場駅情報を含む前記出場記録が事後的に記録される。これにより、入場利用者は、前回利用時の前記出場記録が書き込まれたICカードを用いて自動改札機1において適切に入場改札処理を行うことができる。その結果、入場駅において利用者の乗車区間が判明するので、駅係員が関与することなく、精算端末装置3において利用者自身が精算処理を適切に行うことができる。そのため、自動改札機1において入場改札処理ができなかった利用者に対する駅係員の対応負担が減少し、また、利用者が駅窓口において駅係員に口頭で自分自身が前回利用時に出場した出場駅の説明を行う必要がなくなる。
なお、上述の実施形態では、本発明の一実施形態として駅務システム100を例示して説明したが、本発明は駅務システム100に限られない。例えば、駅務システム100を構成する駅サーバ4を本発明の入場駅特定装置或いは出場駅特定装置と捉えることができる。
また、上述の実施形態では、精算端末装置3や自動改札機1において出場許可処理、又は入場許可処理が実行される例について説明したが、例えば、精算端末装置3や自動改札機1において実行される処理が、駅員端末装置2の制御部によって実行されてもよい。
また、上述の実施形態では、駅サーバ4において顔画像照合処理、入場駅特定処理、出場駅特定処理が実行される例について説明したが、これらの各処理は、センタ装置5で実行されてもよく、或いは、自動改札機1や駅員端末装置2、精算端末装置3で実行されてもよい。この場合、この場合、駅サーバ4が備える各部は、センタ装置5、或いは、自動改札機1や駅員端末装置2、精算端末装置3に設けられる。
上述した実施形態に基づき、鉄道の駅を入場する際に入場駅を利用したことを示す入場記録が乗車券に記録されなかった場合でも、利用者が利用した入場駅を事後的に特定することが可能な駅務システムであって、
入場駅の改札口を通過する入場者を撮像して前記入場者の入場固有情報を取得する第1固有情報取得部と、
前記第1固有情報取得部によって取得された前記入場固有情報と、前記入場者が入場した前記入場駅の入場駅情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
出場駅の駅改札口を出場しようとする出場利用者を撮像して前記出場利用者の出場固有情報を取得する第2固有情報取得部と、
前記出場利用者の乗車券に入場記録があるか否かを判定する入場記録判定部と、
前記入場記録判定部によって前記入場記録がないと判定された場合に、前記第2固有情報取得部によって取得された前記出場固有情報と、前記記憶部に記憶された前記入場固有情報とを照合して、照合結果に基づいて前記出場利用者と前記入場者とが一致するか否かを判定する照合処理部と、
前記照合処理部によって一致すると判定された場合に、一致すると判定された前記入場固有情報に関連付けられた前記入場駅情報を取得して、取得した前記入場駅情報に基づいて前記出場利用者が利用した前記入場駅を特定する入場駅特定部と、を備える駅務システムとして捉えることができる。
また、上述した実施形態に基づき、鉄道の駅を出場する際に出場駅を利用したことを示す出場記録が乗車券に記録されなかった場合でも、利用者が前回利用時に出場した出場駅を事後的に特定することが可能な駅務システムであって、
出場駅の改札口を通過する出場者を撮像して前記出場者の出場固有情報を取得する第1固有情報取得部と、
前記第1固有情報取得部によって取得された前記出場固有情報と、前記出場者が出場した前記出場駅の出場駅情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
入場駅の駅改札口を入場しようとする入場利用者を撮像して前記入場利用者の入場固有情報を取得する第2固有情報取得部と、
前記入場利用者の乗車券に出場記録があるか否かを判定する出場記録判定部と、
前記出場記録判定部によって前記出場記録がないと判定された場合に、前記第2固有情報取得部によって取得された前記入場固有情報と、前記記憶部に記憶された前記出場固有情報とを照合して、照合結果に基づいて前記入場利用者と前記出場者とが一致するか否かを判定する照合処理部と、
前記照合処理部によって一致すると判定された場合に、一致すると判定された前記出場固有情報に関連付けられた前記出場駅情報を取得して、取得した前記出場駅情報に基づいて前記入場利用者が利用した前記出場駅を特定する出場駅特定部と、を備える駅務システムとして捉えることができる。