以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[通行制御システム100]
図1は、本発明の実施形態に係る通行制御システム100を示すネットワーク図である。図1に示すように、通行制御システム100は、鉄道車両を用いて利用者を輸送する輸送サービス(鉄道サービス)に適用され、自動改札機1、駅サーバ2、センタ装置3、及び、利用者端末4(本発明の携帯端末の一例)などの駅務機器を含んで構成されている。ここで、図1では、二つの駅8(8A,8B)が示されているが、通行制御システム100は、それ以上の複数の駅8に属する駅務機器を含む構成であってもよい。また、通行制御システム100は、少なくとも、二つの駅8それぞれに属する各自動改札機1、センタ装置3、及び、利用者端末4を含んで構成されていればよい。なお、自動改札機1は、本発明のゲート装置、入場用ゲート装置、出場用ゲート装置、第1ゲート装置、第2ゲート装置の一例である。
各駅8には、複数の自動改札機1、駅サーバ2、券売機(不図示)等の駅務機器が設置されている。言い換えると、これらの駅務機器は、各駅8それぞれに属している。これら駅務機器は、LAN等のネットワークN1を介して互いに通信可能に接続されている。また、駅8の駅サーバ2は、専用回線や公衆回線等のネットワークN2を介して、鉄道事業者(鉄道会社)が管理するサーバ装置であるセンタ装置3に通信可能に接続されている。また、利用者端末4は、無線基地局や無線ルータを介して無線接続可能な無線通信網N3を介してセンタ装置3に通信可能に接続されている。
本実施形態では、通行制御システム100は、利用者が入場した入場駅(利用開始位置)から利用者が出場した出場駅(利用終了位置)までの乗車区間の距離に応じた乗車料金に対して、QRコード(登録商標)などの情報コードを用いた電子決済を行うことが可能であり、また、自動改札機1における通路9の通行を許可又は禁止する通行制御を行うことが可能なように構成されている。ここで、前記入場駅は本発明の利用開始位置の一例であり、前記出場駅は本発明の利用終了位置の一例であり、前記乗車区間の距離は本発明の区間距離の一例である。また、前記乗車料金は、乗車区間の距離に応じて金額が増大する従量料金であり、本発明の利用料金の一例である。
自動改札機1は、駅8の改札口に設置されている。前記改札口それぞれには複数の自動改札機1が設置されている。図2に示すように、自動改札機1は、入場用の自動改札機1A(以下、入場用改札機1Aと称する。)と出場用の自動改札機1B(以下、出場用改札機1Bと称する。)とを互いに対面させた構成である。入場用改札機1Aと出場用改札機1Bとは、互いに対向するように配置されている。通路9は、入場用改札機1Aと出場用改札機1Bとの間に形成された空間であり、前記改札口の内側と外側とを繋いでいる。なお、一方の入場用改札機1Aは、入場時の進行方向(矢印D10の方向)に沿って改札口7Aの外側から内側(改札口内)に入場する利用者(入場者)に対して入場処理(通行制御処理)を行う役割を担う。他方の出場用改札機1Bは、出場時の進行方向(矢印D11の方向)に沿って改札口7Aの内側から外側(改札口外)へ出場する利用者(出場者)に対して出場処理(通行制御処理)を行う役割を担う。以下においては、特に区別しない限り、自動改札機1が入場用改札機1A及び出場用改札機1Bを含んでおり、前記入場処理及び前記出場処理の両方の機能を兼ねるものとして説明する。
なお、自動改札機1は、入場用改札機1A或いは出場用改札機1Bが単体として用いられて、一方向に通行する利用者に対して入場処理又は出場処理を行うものであってもよい。この場合、入場用改札機1Aは、後述するICカード読取部16やQR表示部132が改札外側に配置されるように設置される。また、出場用改札機1Bは、ICカード読取部16やQR表示部132が改札内側に配置されるように設置される。
以下、通行制御システム100を構成する自動改札機1、利用者端末4、センタ装置3、駅サーバ2の構成について説明する。
[自動改札機1]
以下、図2及び図3を参照して、自動改札機1について説明する。ここで、図2は、自動改札機1の外観を示す斜視図であり、図3は、自動改札機1の構成を示すブロック図である。
自動改札機1は、駅8の改札口に設置されるものであり、利用者が通過する通路9における入場処理又は出場処理を行う。図2に示すように、自動改札機1は、互いに対向するように設置された入場用改札機1A及び出場用改札機1Bを備える。
本実施形態では、自動改札機1は、通路9を通行しようとする利用者が、利用者端末4を用いて自動改札機1の後述するQR表示部132に表示されたQR画像を読み取り、これによって後述する読取完了信号(本発明の通知信号の一例)が利用者端末4から自動改札機1に伝達されると、自動改札機1は、利用者が通路9を通行することを許可する。具体的には、自動改札機1は、フラップドア15を開けて、通路9を開放して、利用者が通行可能な状態にする。一方、前記読取完了信号が自動改札機1に伝達されない場合、自動改札機1は、利用者が通路9を通行することを禁止する。具体的には、自動改札機1は、フラップドア15を閉じて、通路9を閉鎖して、利用者が通行できない状態にする。
図2及び図3に示すように、自動改札機1は、制御部11と、記憶部12と、表示部131と、QR表示部132と、通信部14と、フラップドア15(15A,15B)と、ICカード読取部16と、通知受光部17と、通路9側の人感センサ18と、正面側の人感センサ19と、を備えており、これらが自動改札機1の筐体10(図2参照)に設けられている。
記憶部12(図3参照)は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどを含む不揮発性の記憶媒体である。記憶部12には、自動改札機1で実行される各種演算処理を制御部11に実行させるための制御プログラム、前記各種演算処理に用いられる各種のデータなどが記憶されている。また、記憶部12には、自動改札機1で実行される後述の通行制御処理(図8参照)を制御部11に実行させるための制御プログラム、及び前記通行制御処理に用いられる各種のデータが記憶されている。また、記憶部12には、センタ装置3がネットワーク上で自動改札機1を特定することが可能なIPアドレスなどの改札機ID(本発明のゲート識別情報の一例)が記憶されている。
表示部131は、制御部11からの指示に従って、通路9を通行する利用者に対するメッセージを表示する。表示部131は、例えば、液晶パネルを有している。図2に示すように、表示部131は、自動改札機1の筐体10の上面に設けられている。詳細には、表示部131は、筐体10の上面において、通路9における利用者の進行方向(矢印D10又は矢印D11の方向)の前方側に配置されている。利用者の通行が許可される場合、表示部131には、通行可能であることを示すメッセージが表示される。また、利用者の通行が許可されない場合、表示部131には、通行不可(禁止)であることを示すメッセージが表示される。
QR表示部132は、自動改札機1が設置されている設置位置を示す位置情報を含む情報コードの一例であるQRコードを表示するものである。図2に示すように、QR表示部132は、自動改札機1の筐体10の上面に設けられている。詳細には、QR表示部132は、筐体10の上面において、通路9における利用者の進行方向(矢印D10又は矢印D11の方向)の後方側に配置されている。前記位置情報は、具体的には、自動改札機1が設置されている駅8を示す駅情報であり、詳細には、駅8の駅名である。もちろん、駅8の位置を認識できるものであれば、前記位置情報は如何なる情報であってもよく、例えば、駅8の所在位置を示す緯度と経度の座標であってもよい。
QR表示部132に表示されるQRコードは、本発明の情報コードの単なる一例であり、QRコードに替えて、バーコードなどの一次元コードや、他のタイプの情報コードがQR表示部132に表示されてもよい。
本実施形態では、QR表示部132としては、液晶パネルを有する画像表示装置が採用されており、制御部11からの指示に従って、前記QRコードが前記液晶パネルに表示される。なお、QR表示部132は、画像表示装置に限られず、例えば、前記駅名などの前記位置情報を含む前記QRコードがプリント又は転写された紙やフィルムなどの記録媒体であって、当該記録媒体が筐体10の上面に張り付けられたものであってもよい。もちろん、筐体10の上面に前記QRコードがプリント又は転写されたものであってもよい。
通信部14(図3参照)は、自動改札機1を有線又は無線でネットワークN1,N2に接続し、ネットワークN1,N2を介して駅サーバ2や他の自動改札機1、センタ装置3などの駅務機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
図2に示すように、人感センサ18は、筐体10に設けられており、詳細には、筐体10において通路9側の側面に設けられている。人感センサ18は、通路9に進入した利用者を検知するセンサであり、その検知信号は制御部11に伝送される。人感センサ18は、例えば、非接触で利用者を検知する光学式の近接センサである。本実施形態では、通路9において入場時の進行方向D10の手前側(入口側)と、前記進行方向の前方側(出口側)のそれぞれに人感センサ18が設けられている。換言すると、人感センサ18は、筐体10の側面において、改札口よりも内部側の位置と、改札口よりも外部側の位置に設けられている。
フラップドア15は、自動改札機1の通路9において、両サイドの通行口9A,9Bそれぞれの近傍に設けられている。換言すると、フラップドア15は、通路9において、改札口よりも内部側の通行口9Aと、改札口よりも外部側の通行口9Bに設置されている。前者の通行口9Aは、入場時の進行方向D10の前方側の出口(通行口)であり、後者の通行口9Bは、出場時の進行方向D11の前方側の出口(通行口)である。
フラップドア15は、開閉可能な一対の扉であり、各扉は、入場用改札機1A及び出場用改札機1Bそれぞれの側面に回動可能に設けられている。フラップドア15は、モータなどの駆動部(不図示)から駆動力を得て開閉する。前記駆動部が制御部11のドア駆動制御部116(図3参照)によって駆動制御されることにより、フラップドア15が開位置と閉位置との間で変位する。フラップドア15は、利用者の通行が許可された場合に開放され、これにより、利用者は自動改札機1の通路9を通過することができる。一方、利用者の通行が許可されない場合は、フラップドア15が閉じられるか、或いは閉位置を維持する。
例えば、入場時の通行が禁止された状態で通行口9Bから通路9に利用者が進入すると、通行口9Bの人感センサ18によって検知されることにより、通行口9A側のフラップドア15Aが閉じられるか、或いは閉位置を維持する。なお、入場時の通行が許可されている場合は、人感センサ18の検知に関わらず、フラップドア15Aが開けられるか、或いは開位置を維持する。
また、出場時の通行が禁止された状態で通行口9Aから通路9に利用者が進入すると、通行口9Aの人感センサ18によって検知されることにより、通行口9B側のフラップドア15Bが閉じられるか、或いは閉位置を維持する。なお、出場時の通行が許可されている場合は、人感センサ18の検知に関わらず、フラップドア15Bが開けられるか、或いは開位置を維持する。
なお、フラップドア15は、物理的な扉に限られず、例えば、ホログラムを用いた立体画像で現された扉であってもよい。また、フラップドア15に替えて、音声により利用者の通行を許可又は禁止する音声ゲートを用いてもよい。
図2に示すように、人感センサ19は、筐体10に設けられており、詳細には、筐体10において進行方向の手前側(入口側)の側面に設けられている。人感センサ19は、通路9に進入しようとする利用者を通路9に進入する前に検知するセンサであり、その検知信号は制御部11に伝送される。人感センサ19は、例えば、非接触で利用者を検知する光学式の近接センサである。人感センサ19は、利用者を検知可能なものであれば如何なる構成のものであってもよく、例えば、利用者を撮像するカメラなどの撮像部であってもよい。制御部11が前記撮像部によって撮像されたデータを解析することにより、通路9に進入使用とする利用者を検知することができる。
本実施形態では、後述するように、人感センサ19によって利用者が検知されると、制御部11は、駅8の位置情報(駅名等)を含む前記QRコードをQR表示部132に表示させる。
ICカード読取部16は、筐体10の上面において前記進行方向の手前側に設けられている。ICカード読取部16は、ICカード形式の乗車券(以下「ICカード」という。)に記録されている情報(乗車券情報)を非接触により読み取る。前記乗車券情報は、利用者を示す利用者ID(本発明の利用者識別情報の一例)、チャージされている金額(残金)、ICカードの有効期限などを含む。ICカード読取部16は、例えば、通信規格ISO/IEC18092,21481,14443,15696などで規定された近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)によってICカード内の情報を非接触で読み出し、非接触で書き込みを行うリーダライタ装置である。ICカードを利用する利用者は、ICカード読取部16にICカードを翳して、ICカード読取部16に前記乗車券情報を読み取らせる。
ICカード読取部16により読み取られた情報は制御部11に伝送される。制御部11は当該情報に基づいて入場処理又は出場処理を実行する。例えば、制御部11は、前記乗車券情報が有効と判定した場合に通路9の通行を許可し、無効と判定した場合に通路9の通行を禁止する。
なお、本実施形態において、ICカード読取部16や乗車券挿入口は任意の構成である。つまり、自動改札機1にICカード読取部16等が設けられていなくてもよく、また、制御部11による前記乗車券情報の有効、無効の判定も行う必要はない。この場合、自動改札機1は、ICカードなどの乗車券の前記乗車券情報に基づく従来の改札処理を行う必要はなく、少なくとも、後述する読取完了信号を受け取った場合に、フラップドア15を開けて、通路9を開放して、利用者が通路9を通行可能な状態にする機能があればよい。
通知受光部17は、利用者端末4から発信された前記読取完了信号(通知信号)を受け取るためのものである。通知受光部17は、利用者端末4から出射された光を受光する受光センサ171(本発明の光センサの一例)を有する。受光センサ171は、QR表示部132の近傍に設けられており、具体的には、QR表示部132よりも進行方向側に設けられている。このため、QR表示部132のQRコードを撮像するために利用者端末4がQR表示部132の上側に配置されると、利用者端末4が備える発光部47(図4参照)が受光センサ171に対向される。
通知受光部17は、利用者端末4の発光部47(図4参照)から、予め定められた波長、輝度、又は発光パターンの光が前記読取完了信号として発光部47から出射された場合に、受光センサ171で受光した前記光に応じたセンサ出力信号を制御部11に伝送する。本実施形態では、制御部11の通行制御部114は、前記センサ出力信号を受け取ることにより、前記読取完了信号を受信したと判定して、通路9の通行を許可し、フラップドア15を開放する。
制御部11は、自動改札機1の各部の動作を制御する。制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の演算処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより自動改札機1を制御する。
図3に示すように、制御部11は、読取処理部111、記録処理部112、通行制御部114(本発明の通行制御部の一例)、ドア駆動制御部116、表示処理部117、などの各種の処理部を含む。
制御部11は、前記CPUが前記制御プログラムに従った各種の演算処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。言い換えると、前記CPUは、前記制御プログラムを実行することにより、読取処理部111、記録処理部112、通行制御部114、ドア駆動制御部116、表示処理部117、などの処理部として機能する。制御部11又は前記CPUが、前記制御プログラムを実行するコンピュータの一例である。なお、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。また、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
読取処理部111は、ICカード読取部16により読み取られたICカードの前記乗車券情報、或いは、磁気読取部(不図示)により読み取られた磁気切符の前記乗車券情報を取得する。
記録処理部112は、乗車券から前記乗車券情報が取得された場合に、乗車券における当該情報をICカード読取部16や前記磁気読取部(不図示)に更新させる。例えば、記録処理部112は、入場駅の駅名をICカードや磁気券に書き込む。また、記録処理部112は、出場時に、ICカードにチャージされている金額から乗車料金分の金額を減額し、減額された残りの金額をICカードの情報保持部に書き込む。また、記録処理部112は、出場駅の駅名をICカードに書き込む。
なお、上述したように、ICカード読取部16や前記乗車券挿入口は本実施形態に必須の構成ではなく、したがって、ICカード読取部16等が自動改札機1に設けられていない場合は、読取処理部111及び記録処理部112は不要である。
通行制御部114は、所定の条件を満たした場合に、利用者が通路9を通行することを許可又は禁止する。例えば、通行制御部114は、利用者端末4から発信された前記読取完了信号(通知信号)を受信したと判定すると、自動改札機1の通路9における利用者の通行を許可する。通行が許可された場合、後述のドア駆動制御部116によってフラップドア15が開位置に変位されて、通路9が開放される。また、通行制御部114は、利用者端末4から前記読取完了信号(通知信号)を受信しない状態で人感センサ18によって利用者が検知されると、前記利用者が通路9を通行することを禁止する。通行が許可されなかった場合は、ドア駆動制御部116によってフラップドア15が閉位置に変位されて、通路9は閉鎖される。
なお、ICカード読取部16等が設けられている場合は、通行制御部114は、ICカードや磁気切符などの乗車券から読み取られた乗車券情報が有効であると判定すると、利用者が通路9を通行することを許可し、前記乗車券情報が無効であると判定すると、前記利用者が通路9を通行することを禁止する。
ドア駆動制御部116は、フラップドア15の動作(開閉動作)を制御する。例えば、通路9における利用者の通行が許可された場合、ドア駆動制御部116は、モータなどの駆動部(不図示)を制御して、フラップドア15を開位置まで変位させる。これにより通路9が開放される。一方、通路9における利用者の通行が禁止された場合、ドア駆動制御部116は、前記駆動部を制御して、フラップドア15を閉位置まで変位させるか、閉じた状態を維持する。これにより、通路9が閉鎖される。
表示処理部117は、表示部131やQR表示部132に所定の情報を出力して表示させる。本実施形態では、表示処理部117は、通行可能であることを示すメッセージを表示部131に表示する。また、利用者の通行が許可されない場合は、通行不可(禁止)であることを示すメッセージを表示部131に表示する。また、表示処理部117は、人感センサ19によって自動改札機1に近づく利用者を検知した場合に、QR表示部132に、駅8の位置情報(駅名等)を含む前記QRコードを表示する。
[利用者端末4]
次に、図4及び図5を参照して、利用者端末4について説明する。ここで、図4は、利用者端末4の構成を示すブロック図であり、図5は、利用者端末4の正面図である。
図4に示すように、利用者端末4は、制御部41、記憶部42、表示部43、通信部44、操作入力部45、撮像部46(本発明の読取部の一例)、発光部47(本発明の信号発信部の一例)、などを備える。利用者端末4は、鉄道を利用する利用者が携帯して所持する携帯端末であり、例えばスマートフォン、携帯電話、又はタブレット端末である。
記憶部42は、各種の情報を記憶するフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶部42には、制御部41に各種処理を実行させるための制御プログラムや、鉄道を利用する際に起動される乗車アプリケーションのプログラム、利用者を識別するための利用者ID(利用者識別情報)、前記乗車アプリケーションに用いられる各種情報が記憶されている。
表示部43は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどディスプレイ装置である。利用者端末4において、前記乗車アプリケーションが起動されると、表示部43の表示画面50に、利用者IDが表示されるID表示枠51、撮像部46が撮像する画像を表示する画像表示枠52、入場駅の駅名が表示される入場駅表示枠53、出場駅の駅名が表示される出場駅表示枠54、所定のメッセージが表示されるメッセージ表示枠55が表示される。
本実施形態では、利用者が入場しようとする駅8の自動改札機1のQR表示部132から前記QRコードが撮像部46によって撮像されると、そのQRコードに含まれている駅情報(駅名)が入場駅表示枠53に入力されて表示される。そして、入場時の駅情報(入場駅情報:利用開始位置情報の一例)が記憶部42に記憶される。また、利用者が出場しようとする駅8の自動改札機1のQR表示部132から前記QRコードが撮像部46によって撮像されると、そのQRコードに含まれている駅情報(駅名)が出場駅表示枠54に入力されて表示される。そして、出場時の駅情報(出場駅情報:利用終了位置情報の一例)が記憶部42に記憶される。なお、入場駅表示枠53及び出場駅表示枠54それぞれに入力された駅情報や記憶部42に記憶された駅情報は、後述する乗車料金の決済が完了するとリセットされて削除される。
通信部44は、利用者端末4を無線通信網N3に接続し、無線通信網N3を介してセンタ装置3などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
操作入力部45は、利用者の操作を受け付けるタッチパネルや押しボタンなどのユーザーインターフェースである。利用者は、例えば、利用者端末4にインストールされている前記乗車アプリケーションを動作させる場合、撮像部46でQR表示部132のQRコードを撮像する場合に、操作入力部45を操作して、所定の指示や情報を入力する。
撮像部46は、利用者端末4の背面に設けられている。撮像部46は、具体的にはカメラである。撮像部46は、QR表示部132に表示されている前記QRコードを撮像する場合に用いられる。撮像部46は、QR表示部132に表示される駅名などの位置情報を含む前記QRコードを撮像することにより、QR表示部132から前記QRコードを読み取る。利用者端末4において前記乗車アプリケーションが起動されると、表示画面50に画像表示枠52が表示される。利用者は、利用者端末4を動かして画像表示枠52に前記QRコードを配置させると、前記乗車アプリケーションが自動的に前記QRコードを撮像する。
また、前記乗車アプリケーションは、撮像部46によって撮像された前記QRコードに含まれる前記駅情報(駅名)を抽出すると、その駅情報を制御部11に伝送するとともに、入場駅表示枠53、或いは、出場駅表示枠54に入力して表示する。例えば、入場しようとする駅8の自動改札機1のQR表示部132から前記QRコードが撮像部46によって撮像されると、そのQRコードに含まれている駅情報(駅名)が入場駅表示枠53に入力されて表示される。また、出場しようとする駅8の自動改札機1のQR表示部132から前記QRコードが撮像部46によって撮像されると、そのQRコードに含まれている駅情報(駅名)が出場駅表示枠54に表示される。
発光部47は、撮像部46の近傍に配置されている。発光部47は、撮像部46によって前記QRコードが読み取られた場合に、前記QRコードが読み取られたことを示す読取完了信号を自動改札機1に伝達するために発信するものであり、具体的には、撮像部46の近傍に配置されたLEDなどのフラッシュライトである。本実施形態では、発光部47は、制御部11によって制御されることにより、通知受光部17の受光センサ171へ向けて、予め定められた輝度、又は発光パターンの光を前記読取完了信号として出射する。
発光部47から出射される光の種類は、通知受光部17によって認識可能なものであればどのような種類のものであってもよい。例えば、発光部47は、駅8に設置された人工光源や自然光などよりも十分に大きい所定閾値以上の輝度の光、或いは、所定回数だけ点滅する発光パターンの光を出射するものが考えられる。また、発光部47がフラッシュライトではない場合は、発光部47は、赤外線や紫外線などのような不可視光線に属する波長の光を出射するものであってもよい。
制御部41は、利用者端末4の各部の動作を制御する。制御部41は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の演算処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部41は、前記ROM又は記憶部42に予め記憶された各種の制御プログラムや、上述した乗車アプリケーションを動作させるためのプログラム(乗車アプリケーション)を前記CPUで実行することにより利用者端末4を制御する。
図4に示すように、制御部41は、入場判定部411、出場判定部412、送信処理部413、発光制御部414、表示処理部415などの各種処理部を含む。送信処理部413は、本発明の位置情報送信部、第1送信部、第2送信部の一例である。
ここで、これらの各処理部は、利用者端末4に前記乗車アプリケーションがインストールされ、当該乗車アプリケーションが起動されることによって、利用者端末4上で機能する。前記乗車アプリケーションが利用者端末4上で起動されると、前記乗車アプリケーションはセンタ装置3と通信して、表示画面50にログイン画面を表示する。このログイン画面において、登録済みの前記利用者IDや認証用のパスワードが入力され、その後にセンタ装置3によって認証されると、上述した入場判定部411、出場判定部412、送信処理部413、発光制御部414、表示処理部415などの各種処理部が利用者端末4上で動作可能となる。
制御部41は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の演算処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。制御部41又は前記CPUが、前記制御プログラムや前記乗車アプリケーションプログラムを実行するコンピュータの一例である。なお、制御部41に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。また、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
入場判定部411は、撮像された前記QRコードに含まれる駅情報(駅名)が、利用者が入場した駅8を示すものであるか否かを判定する。本実施形態では、入場判定部411は、表示画面50の入場駅表示枠53及び出場駅表示枠54のいずれにも駅情報が入力されていない状態で、撮像されたQRコードに含まれている駅情報が前記乗車アプリケーションによって読み取られた場合に、その駅情報を、利用者が入場した入場駅(利用開始位置)の駅情報(入場駅情報)と判定する。その後、前記入場駅情報が入場駅表示枠53に入力される。
出場判定部412は、撮像された前記QRコードに含まれる駅情報(駅名)が、利用者が出場した駅8を示すものであるか否かを判定する。本実施形態では、出場判定部412は、表示画面50の入場駅表示枠53に駅情報が入力されており、出場駅表示枠54に駅情報が入力されていない状態で、撮像されたQRコードに含まれている駅情報が前記乗車アプリケーションによって読み取られた場合に、その駅情報を、利用者が出場した出場駅(利用終了位置)の駅情報(出場駅情報)と判定する。その後、前記出場駅情報が出場駅表示枠54に入力される。なお、前記入場駅情報を含む前記QRコードは本発明の第1情報コードの一例であり、前記出場駅情報を含む前記QRコードは本発明の第2情報コードの一例である。
送信処理部413は、入場判定部411によって判定された前記入場駅情報を通信部44を通じてセンタ装置3に送信する処理を行う。また、送信処理部413は、出場判定部412によって判定された前記出場駅情報を通信部44を通じてセンタ装置3に送信する処理を行う。
更に、送信処理部413は、前記入場駅情報及び前記出場駅情報をセンタ装置3に送信する際に、記憶部42から前記利用者IDを読み出して、当該利用者IDをセンタ装置3に送信する。本実施形態では、送信処理部413は、前記入場駅情報とともに前記利用者IDをセンタ装置3に送信し、また、前記出場駅情報とともに前記利用者IDをセンタ装置3に送信する。
発光制御部414は、予め定められた輝度の光を発光部47から出射するように、或いは、予め定められた発光パターンの光を発光部47から出射するように、発光部47を制御する。
表示処理部415は、ID表示枠51、画像表示枠52、入場駅表示枠53、出場駅表示枠54、メッセージ表示枠55に所定の情報を入力して、表示画面50に表示させる。具体的には、表示処理部415は、撮像された前記QRコードに含まれている駅情報が前記入場駅情報である場合に、その入場駅情報(入場駅名)を記憶部42に記憶するとともに、入場駅表示枠53に入力して表示する。また、表示処理部415は、撮像された前記QRコードに含まれている駅情報が前記出場駅情報である場合に、その出場駅情報(出場駅名)を記憶部42に記憶するとともに、出場駅表示枠54に入力して表示する。表示処理部415は、ID表示枠51に利用者IDを入力し、メッセージ表示枠55に各種メッセージを入力して、表示する。また、表示処理部415は、撮像部46によって撮像された画像を画像表示枠52に表示する。
[センタ装置3]
次に、図6を参照して、センタ装置3について説明する。ここで、図6は、センタ装置3の構成を示すブロック図である。
センタ装置3は、駅8を含む鉄道事業を運営する鉄道事業者が管理する中央監視装置であり、鉄道事業者が運営する全ての駅8の駅サーバ2や自動改札機1などの駅務機器を管理する。センタ装置3は、ネットワークN2に接続し、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークN2を介して駅サーバ2や自動改札機1との間でデータ通信を実行する。また、センタ装置3は、無線通信網N3に接続し、所定の通信プロトコルに従って、無線通信網N3を介して利用者端末4との間でデータ通信を実行する。
センタ装置3は、利用者端末4上で動作する前記乗車アプリケーションから送られてきた前記利用者ID、前記入場駅情報、及び前記出場駅情報を取得すると、これらの各情報に基づいて、利用者が利用した入場駅から出場駅までの区間の乗車料金を決済する決済処理(図11参照)を行うように構成されている。
図6に示すように、センタ装置3は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を備えている。
通信部33は、センタ装置3をネットワークN1,N2や無線通信網N3に接続して、所定の通信プロトコルに従って、自動改札機1や駅サーバ2、利用者端末4との間でデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
記憶部32は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどを含む不揮発性の記憶媒体である。記憶部32には、制御部31に各種演算処理を実行させるための制御プログラムや、センタ装置3で実行される後述の決済処理(図11参照)に用いられる制御プログラムや、各処理に用いられるデータなどが記憶される。また、記憶部32には、各駅8に属する各自動改札機1を識別するための改札機ID(ゲート識別情報)や、ネットワーク上の位置を示すIPアドレスなどがデータベースとして管理可能なように記憶されている。
なお、本実施形態では、記憶部32がセンタ装置3に設けられた構成を例示するが、例えば、記憶部32内の各種情報の一部又は全部が、ネットワークN1,N2などを通じてセンタ装置3とデータ通信可能な他のサーバ装置やネットワーク接続可能な記憶装置などの外部装置に記憶されていてもよい。また、後述の利用者情報格納部321や乗車履歴格納部322が前記外部装置に設けられていてもよい。
また、記憶部32には、利用者情報格納部321、及び乗車履歴格納部322などの記憶領域が設けられている。
利用者情報格納部321には、鉄道を利用する複数の利用者に関する利用者登録データがデータベースとして管理可能に格納されている。利用者登録データには、利用者に関する複数の利用者情報が予め登録されている。前記利用者情報は、前記利用者ID、氏名、支払方法(本発明の決済情報の一例)などを含むものであり、これらの複数の利用者情報が前記利用者登録データで管理されている。また、前記利用者IDには、大人又は子供を区分するための識別情報が含まれていてもよい。このような利用者情報は、利用者が乗車料金の電子決済を望む場合に、利用者情報格納部321の利用者登録データに事前に登録される。
なお、前記利用者登録データに登録可能な前記支払方法は、利用者が任意に指定することができるものであり、例えば、所謂プリペイド方式、ポストペイ方式、ジャストペイ方式などの種々の支払方法を前記利用者登録データに登録することができる。また、いずれの支払方法においても、電子マネー決済やクレジット決済、仮想通貨を用いた決済など種々の決済方法を適用することが可能である。
乗車履歴格納部322には、鉄道を利用した利用者の乗車履歴データがデータベースとして管理可能に格納されている。前記乗車履歴データでは、利用者が乗車した区間の乗車情報が利用者ごとに管理されている。前記乗車情報は、利用者が自動改札機1を通過した日時(入場日時、乗換日時、出場日時)、入場駅情報(入場駅名)、乗換駅情報(乗換駅名)、出場駅情報(出場駅名)などを含むものであり、複数の利用者ごとに前記乗車履歴データにおいて管理されている。本実施形態では、利用者が入場駅の自動改札機1を通過すると、入場駅情報が利用者端末4からセンタ装置3に送信され、その入場駅情報や当該入場駅情報を受信した受信日時が前記入場日時として前記乗車履歴データに登録される。また、利用者が乗換のために乗換駅の自動改札機1を通過した場合も、同様にして、その乗換駅情報と当該乗換駅情報を受信した受信日時が前記乗換日時として前記乗車履歴データに登録される。また、利用者が出場駅の自動改札機1を通過した場合も、同様にして、その出場駅情報と当該出場駅情報を受信した受信日時が前記出場日時として前記乗車履歴データに登録される。
制御部31は、センタ装置3の各部の動作を制御する。制御部31は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の演算処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部31は、前記ROM又は記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムや、後述の決済処理(図11参照)を実行するための決済プログラムを前記CPUが実行することによりセンタ装置3を制御する。
図6に示すように、制御部31は、入場駅取得部311(本発明の利用開始位置取得部の一例)、出場駅取得部312(本発明の利用終了位置取得部の一例)、料金算出部313、決済処理部314(本発明の決済処理部の一例)、通行規制判定部315、利用停止処理部316(本発明の禁止処理部の一例)等の各種の処理部を含む。制御部31は、前記CPUが前記制御プログラムや前記決済プログラムに従った各種の演算処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。制御部31又は前記CPUが、前記制御プログラムや前記決済プログラムを実行するコンピュータの一例である。なお、制御部31に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。また、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
入場駅取得部311は、利用者端末4の撮像部46によって読み取られた前記QRコードに基づいて、利用者が入場した入場駅を示す入場駅情報を取得する。具体的には、撮像部46によって読み取られた前記QRコードに含まれる前記入場駅情報が利用者端末4からセンタ装置3に送られると、入場駅取得部311は、通信部33を通じて前記入場駅情報を取得する。本実施形態では、利用者端末4の送信処理部413によって、前記入場駅情報とともに前記利用者IDが送信される。そのため、入場駅取得部311は、前記入場駅情報のみならず、前記利用者IDも取得する。制御部31は、前記入場駅情報及び前記利用者IDが取得されると、前記入場駅情報及び前記利用者IDとともに、これらを受信した受信日時を前記入場日時として前記乗車履歴データに登録する。
出場駅取得部312は、利用者端末4の撮像部46によって読み取られた前記QRコードに基づいて、利用者が出場した出場駅を示す出場駅情報を取得する。具体的には、撮像部46によって読み取られた前記QRコードに含まれる前記出場駅情報が利用者端末4からセンタ装置3に送られると、出場駅取得部312は、通信部33を通じて前記出場駅情報を取得する。本実施形態では、利用者端末4の送信処理部413によって、前記出場駅情報とともに前記利用者IDが送信される。そのため、出場駅取得部312は、前記出場駅情報のみならず、前記利用者IDも取得する。制御部31は、前記出場駅情報及び前記利用者IDが取得されると、前記出場駅情報及び前記利用者IDとともに、これらを受信した受信日時を前記出場日時として前記乗車履歴データに登録する。
なお、前記乗車履歴データに登録される前記入場日時及び前記出場日時は、センタ装置3に組み込まれている時計機能が示す日付及び時刻に基づくものである。
料金算出部313は、入場駅取得部311によって取得された前記入場駅情報と出場駅取得部312によって取得された前記出場駅情報に基づいて、利用者が入場した入場駅から出場駅までの乗車区間の距離に応じた乗車料金を求める。例えば、センタ装置3の記憶部32には、所定の駅から所定の駅までの全ての区間に対応する料金データベースや料金計算式が格納されており、料金算出部313は、利用者の乗車区間に対応する乗車料金を前記料金データベースや前記料金計算式に基づいて求める。
決済処理部314、利用者が利用した入場駅の前記入場駅情報及び出場駅の前記出場駅情報を利用者端末4から受信した場合に、各駅情報が示す入場駅と出場駅の間の乗車区間の距離に応じた乗車料金に対して決済処理を実行する。本実施形態では、センタ装置3に上述した入場駅取得部311及び出場駅取得部312が設けられているため、決済処理部314は、入場駅取得部311及び出場駅取得部312によって前記入場駅情報及び前記出場駅情報が取得された場合に、料金算出部313によって求められた利用者の乗車料金に対して決済処理を実行する。
また、決済処理部314は、利用者端末4から受信した前記利用者IDに対応付けられた支払方法(決済情報)が利用者情報格納部321の利用者登録データから抽出(特定)され、その支払方法にしたがって前記乗車料金に対して決済処理を実行する。
なお、本実施形態では、受信した利用者IDに対応する支払方法が抽出されて、その支払方法によって決済処理が行われる決済処理例について例示するが、本発明はこの決済処理例に限られない。例えば、支払方法が特定の支払方法に固定されている場合は、決済処理部314は、予め定められた特定の支払方法にしたがって前記乗車料金に対して決済処理を行ってもよい。
通行規制判定部315は、利用者端末4から利用者が利用した駅の入場駅情報及び出場駅情報を受信したときの各受信日時(本発明の受信タイミングの一例)に基づいて、当該利用者が通路9における通行の規制の対象者(通行規制対象者)か否かを判定する。言い換えると、当該利用者の通行を許可するか禁止するかを判定する。上述したように、乗車履歴格納部322の前記乗車履歴データには、利用者IDごとに前記入場日時や前記出場日時が登録されており、そのため、制御部31は、前記乗車履歴データを参照することにより、利用者が入場駅を入場してから出場駅を出場するまでの経過時間を求めることができる。本実施形態では、通行規制判定部315は、前記経過時間が予め定められた設定時間を超えている場合に、その利用者を次回の乗車時における通路9の通行を禁止する前記通行規制対象者と判定し、前記経過時間が前記設定時間未満である場合は、その利用者を前記通行規制対象者とは判定しない。
ここで、前記設定時間は、適切に乗車料金が支払われずに乗車(無賃乗車)した可能性が高いと判定しうる時間に設定される。前記設定時間は、本実施形態の通行制御システム100を導入する鉄道事業者における最長乗車時間に基づいて定められた時間とすることができ、例えば、前記最長乗車時間に、改札口からホームまでの移動時間や待ち時間、乗り降り時間、休憩時間などを含む余裕時間を加算した時間に定められる。この場合、前記経過時間が前記設定時間を超えた場合は、利用者が過去の乗車において出場時に出場駅の前記QRコードを撮影し忘れて無賃乗車した可能性が高いと考えられる。
通行規制判定部315によって前記経過時間が前記設定時間を超過して、利用者が前記通行規制対象者と判定されると、その利用者に対応する前記利用者登録情報に、無賃乗車区間の精算が必要であることを示す警告情報が付与される。なお、利用者が駅係員に対して無賃乗車区間の精算を行うと、その後、駅係員が駅務室に設置された端末装置を操作して、センタ装置3にアクセスし、前記警告情報を削除する。
利用停止処理部316は、通行規制判定部315による判定結果に基づいて、利用者端末4による前記QRコードの読取を禁止する処理を行う。すなわち、利用停止処理部316は、通行規制判定部315によって利用者が前記通行規制対象者と判定された場合に、当該利用者の次回の乗車における通路9の通行を禁止するために、前記乗車アプリケーションの動作を停止させる。本実施形態では、例えば、利用者端末4において前記乗車アプリケーションが起動され、ログイン認証のために利用者IDがセンタ装置3に送られてきた場合に、利用停止処理部316は、当該利用者IDに対応する前記利用者登録情報に前記警告情報があるか否かを判定する。そして、前記警告情報があると判定された場合に、ログイン認証エラーを示すログインエラー信号が利用者端末4に送信される。つまり、利用者端末4による前記乗車アプリケーションのログイン認証が失敗する。これにより、前記乗車アプリケーションの動作が停止され、つまり、利用者端末4による前記QRコードの読取が禁止され、自動改札機1における入場処理が行われなくなる。
[駅サーバ2]
駅サーバ2は、駅務室などに設置されるサーバ装置であり、駅8内に属する自動改札機1などの駅務機器を管理する。駅サーバ2は、有線又は無線によりネットワークN1,N2に接続し、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークN1,N2を介して自動改札機1などの駅務機器やセンタ装置3との間でデータ通信を実行する。
以下、図7乃至図13のフローチャートを用いて、通行制御システム100において実行される各処理の手順の一例を説明するとともに、本発明の決済方法について説明する。各図において、S101,S102,・・・は処理手順の番号(ステップ番号)を示す。
[利用者端末4で実行される入場処理]
まず、図7のフローチャートを参照して、利用者が入場駅を入場する際に、利用者端末4の制御部41によって実行される入場処理の手順について説明する。なお、説明の便宜のため、利用者端末4の表示画面50の入場駅表示枠53及び出場駅表示枠54には、駅情報が入力されていないものとする。
入場駅の自動改札機1を入場する前に、利用者端末4において前記乗車アプリケーションが起動される(S101)。前記乗車アプリケーションは、例えば、利用者が利用者端末4を操作して、手動で起動指示が入力されることによって起動する。なお、利用者端末4にGPS機能が備えられている場合は、例えば、利用者端末4の位置情報と入場駅が登録されているマップ情報とに基づいて、利用者端末4が入場駅に近づいたと判定された場合に、制御部41が前記乗車アプリケーションを自動的に起動してもよい。
前記乗車アプリケーションが起動されると、次のステップS102において、制御部41は、ログイン認証が成功したか否を判定する。例えば、制御部41は、センタ装置3からの後述のアクセス許可信号を受信した場合に、ログイン認証が成功したと判定する。なお、センタ装置3から前記ログインエラー信号を受信した場合は、メッセージ表示枠55にログインが失敗したことを示すエラーメッセージを表示し、その後、前記乗車アプリケーションの動作を停止する。
前記ログイン認証が成功すると、図5に示す表示画面50が利用者端末4の表示部43に表示される。この状態で、利用者は、利用者端末4を用いて入場駅の自動改札機1に表示されたQRコードを読み取ることが可能となる。その後、利用者端末4は、QRコードの読み取りを待機する待機状態となる。
次のステップS103では、制御部41は、自動改札機1のQR表示部132に表示された前記QRコードが撮像部46によって読み取られたか否かを判定する。そして、前記QRコードが読み取られると、制御部41は、そのQRコードに駅を示す駅情報が含まれているか否かを判定する(S104)。なお、ステップS103及びS104が、本発明のプログラムの第1読取ステップの一例である。
ステップS104において前記QRコードに前記駅情報が含まれていないと判定された場合は、制御部41は、次のステップS105に進まず、前記ステップS103に戻り、前記QRコードの読み取りが行われるまで待機する。
一方、ステップS104において前記QRコードに前記駅情報が含まれていると判定された場合は、次のステップS105において、制御部41は、前記QRコードに含まれる前記駅情報が入場駅情報であるか否かを判定する。前記QRコードに含まれる駅情報は、入場又は出場の区別の無い駅情報であるが、本実施形態では、入場駅表示枠53及び出場駅表示枠54のいずれにも駅情報が入力されていない状態で前記QRコードが読み取られた場合に、そのQRコードに含まれる駅情報が前記入場駅情報と判定される。このように判定された前記入場駅情報は、利用者端末4によって入場駅で読み取られた前記QRコードに基づいて得られる情報である。
なお、前記QRコードに、入場を示す入場識別コードが含まれている場合は、その入場識別コードに基づいて前記QRコードに含まれる駅情報を前記入場駅情報と判定してもよい。
ステップS105において前記駅情報が前記入場駅情報ではないと判定された場合は、前記ステップS103に戻り、前記QRコードの読み取りが行われるまで待機する。
ステップS105において、前記駅情報が入場駅情報であると判定されると(S105のYes)、次のステップS106において、制御部41は、発光部47から前記読取完了信号を発信させる発信処理を行う。前記読取完了信号は、後述のステップS203(図8参照)の処理に用いられる。発光部47から発信された前記読取完了信号は、自動改札機1の受光センサ171に入射し、通知受光部17によって検知される。ここで、制御部41は、前記駅情報が前記入場駅情報であると判定されると、前記読取完了信号を即座に発信させる。そのため、自動改札機1において、フラップドア15の開位置への変位が迅速に行われ、これにより、利用者が通路9を円滑に通行することができる。なお、ステップS106が、本発明のプログラムの第1送信ステップの一例である。
次のステップS107では、制御部41は、ステップS106で判定された前記入場駅情報を記憶部42に入場記録として記憶するとともに、表示画面50の入場駅表示枠53に前記入場駅情報(入場駅名)を入力して表示画面50に表示させる。
その後、ステップS108において、制御部41は、前記入場駅情報と利用者端末4に登録されている利用者IDとを含む入場情報をセンタ装置3へ送信する。なお、センタ装置3から当該送信に対する応答信号を受信すると、利用者端末4における入場処理が終了する。
[自動改札機1で実行される通行制御処理]
次に、図8のフローチャートを参照して、自動改札機1で実行される通行制御処理の手順について説明する。なお、以下の通行制御処理は、利用者が自動改札機1を通って入場する場合、及び出場する場合のいずれにおいても同様に行われる。
ステップS201では、制御部11は、人感センサ19の検知信号に基づいて、通路9に進入しようとする利用者を検知する。そして、前記利用者が検知されると、制御部41は、自動改札機1が設置されている駅の駅情報(駅名)を含む前記QRコードをQR表示部132に表示させる(S202)。
次のステップS203では、制御部11は、利用者端末4から発信された前記読取完了信号を受信したか否かを判定する。上述のステップS106又は後述のステップS112において発光部47から発信された前記読取完了信号は、自動改札機1の受光センサ171に入射し、通知受光部17によって検知される。制御部11は、前記読取完了信号を受光したことにより通知受光部17から出力される前記センサ出力信号を受け取ることにより、前記読取完了信号を受信したと判定する。
なお、所定時間以内に前記読取完了信号が受信されなかった場合は、QR表示部132の前記QRコードの表示が消去される。
ステップS203において、前記読取完了信号を受信したと判定されると、制御部11は、通路9における利用者の通行を許可し、フラップドア15を開位置に変位させる(S207)。これにより、利用者は、入場時又は出場時において、通路9を通行することが可能となる。
一方、ステップS203において前記読取完了信号を受信しなかったと判定され、かつ、人感センサ18の検知信号によって通路9内に利用者が進入したと判定されると(S204のYes)、制御部11は、通路9における利用者の通行を禁止し、フラップドア15を閉位置に変位させる(S205)。これにより、利用者は、入場時又は出場時において、通路9を通行することが禁止される。その後、制御部11は、表示部131に、前記QRコードの読取エラーであることを示すエラーメッセージを表示して、再び前記QRコードの読み取りを利用者に促す(S206)。その後、ステップS203に戻り、ステップS203以降の処理が行われる。
[センタ装置3で実行される入場駅取得処理]
次に、図9のフローチャートを参照して、センタ装置3で実行される入場駅取得処理の手順について説明する。
ステップS301において、制御部31は、利用者端末4からログイン認証のためのログイン要求を受信したかどうかを判定する。前記ログイン要求が受信された場合、制御部31は、ログイン要求とともに送信されてきた利用者IDと前記利用者登録情報とに基づいて、前記利用者IDに対応する前記利用者登録情報に前記警告情報が含まれているか否かを判定する(S302)。この判定処理は、通路9を通行しようとする利用者が、通路9における通行を規制される後述の通行規制対象者か否かを判定するために行われる。具体的には、制御部31は、前記利用者IDに対応する前記利用者登録情報に、無賃乗車区間の精算が必要であることを示す前記警告情報が含まれている場合に、当該利用者が前記通行規制対象者であると判定し、前記警告情報が含まれていない場合は、前記通行規制対象者とは判定しない。
ステップS302において、前記警告情報が含まれていると判定されると(S302のYes)、制御部31は、前記ログインエラー信号を利用者端末4に送信し(S303)、ログイン要求を破棄する(S304)。利用者端末4では、前記ログインエラー信号を受信することにより、前記乗車アプリケーションの動作が停止される。これにより、利用者端末4による前記QRコードの読取が禁止され、自動改札機1における入場処理が行われなくなる。
一方、ステップS302において、前記警告情報が含まれていないと判定されると(S302のNo)、前記ログイン要求と共に送られてきたパスワードなどの認証キーによる認証が行われ、前記認証キーが一致した場合に、アクセス許可信号を利用者端末4に送信する(S305)。なお、利用者端末4では、アクセス許可信号を受信すると、前記乗車アプリケーションの動作が可能となり、自動改札機1に表示されたQRコードを読み取ることが可能となる。その後、センタ装置3は、上述のステップS108において利用者端末4から送信される前記入場駅情報の受信を待機する待機状態となる。
次のステップS306では、制御部31は、利用者端末4から前記入場情報を受信したか否かを判定する。ここで、前記入場情報を受信した場合、つまり、利用者の入場位置を示す前記入場位置情報を取得した場合、前記入場情報に含まれる前記入場駅情報と前記利用者IDを乗車履歴データに登録し、更に、前記入場情報を受信した受信日時を利用者が入場した前記入場日時として乗車履歴データに登録する(S307)。なお、ステップS306及びステップS307が、本発明の決済方法の利用開始位置取得ステップの一例である。
[利用者端末4で実行される出場処理]
次に、図10のフローチャートを参照して、利用者が出場駅を出場する際に、利用者端末4の制御部41によって実行される出場処理の手順について説明する。なお、以下では、利用者端末4において前記乗車アプリケーションが起動されているものとして説明する。
ステップS109では、上述のステップS103と同様にして、制御部41は、自動改札機1のQR表示部132に表示された前記QRコードが撮像部46によって読み取られたか否かを判定する。そして、前記QRコードが読み取られると、制御部41は、そのQRコードに駅を示す駅情報が含まれているか否かを判定する(S110)。なお、ステップS109及びS110が、本発明のプログラムの第2読取ステップの一例である。
ステップS110において、前記QRコードに前記駅情報が含まれていると判定された場合は、次のステップS111において、制御部41は、前記QRコードに含まれる前記駅情報が出場駅情報であるか否かを判定する。本実施形態では、入場駅表示枠53に前記入場駅情報が入力されており、出場駅表示枠54に駅情報が入力されていない状態で、前記QRコードが読み取られた場合に、そのQRコードに含まれる駅情報が前記出場駅情報と判定される。このように判定された前記出場駅情報は、利用者端末4によって出場駅で読み取られた前記QRコードに基づいて得られる情報である。
なお、前記QRコードに、出場を示す出場識別コードが含まれている場合は、その出場識別コードに基づいて前記QRコードに含まれる駅情報を前記出場駅情報と判定してもよい。
ステップS111において前記駅情報が前記出場駅情報ではないと判定された場合は、前記ステップS109に戻り、前記QRコードの読み取りが行われるまで待機する。
ステップS111において、前記駅情報が出場駅情報であると判定されると(S111のYes)、次のステップS112において、制御部41は、上述のステップS106と同様にして、発光部47から前記読取完了信号を発信させる発信処理を行う。前記読取完了信号は、上述のステップS203(図8参照)の処理に用いられる。なお、ステップS112が、本発明のプログラムの第2送信ステップの一例である。
次のステップS113では、上述のステップS107と同様にして、制御部41は、ステップS112で判定された前記出場駅情報を記憶部42に出場記録として記憶するとともに、表示画面50の出場駅表示枠54に前記出場駅情報(出場駅名)を入力して表示画面50に表示させる。
その後、ステップS114において、制御部41は、前記出場駅情報と利用者端末4に登録されている利用者IDとを含む出場情報をセンタ装置3へ送信する。
次のステップS115では、制御部41は、センタ装置3から送信される後述の支払完了通知を受信したかどうかを判定し、前記支払完了通知を受信した場合は、記憶部42に入場駅から出場駅までの乗車料金に対する支払履歴を記憶し(S116)、入場駅表示枠53及び出場駅表示枠54をクリアし(S117)、その後に一連の処理を終了する。
なお、前記支払完了通知を所定時間位内に受信しなかった場合は、前記支払履歴を記憶せずに、また、入場駅表示枠53及び出場駅表示枠54をクリアにせずに、一連の処理を終了する。
[センタ装置3で実行される決済処理]
次に、図11のフローチャートを参照して、センタ装置3で実行される決済処理(出場駅取得処理を含む)の手順について説明する。
ステップS308において、制御部31は、前記出場情報を受信したか否かを判定する。ここで、前記出場情報を受信したと判定された場合に、前記出場情報に含まれる前記出場駅情報と前記利用者IDを乗車履歴データに登録し、更に、前記出場情報を受信した受信日時を利用者が出場した前記出場日時として乗車履歴データに登録する(S309)。なお、ステップS308及びステップS309が、本発明の決済方法の利用終了位置取得ステップの一例である。
次のステップS310では、制御部31は、ステップS307(図9参照)で前記乗車履歴データに登録された前記入場日時と、ステップS309で前記乗車履歴データに登録された前記出場日時とに基づいて、利用者が前記通行規制対象者であるか否かを判定する。具体的には、制御部31は、前記乗車履歴データを参照して、当該利用者の前記入場日時と前記出場日時との差分である経過時間を算出し、その経過時間が前記設定時間を超えている場合に、当該利用者を前記通行規制対象者であると判定する。
ステップS310において、利用者が前記通行規制対象者であると判定されると(S310のYes)、次のステップS311において、制御部31は、その利用者に対応する前記利用者登録情報に、無賃乗車区間の精算が必要であることを示す前記警告情報を付与する(S311)。この警告情報は、上述したステップS302の処理に用いられる。その後、制御部31は、前記乗車履歴データに登録された前記入場駅情報と前記出場駅情報から乗車区間を特定し、その乗車区間の乗車料金を算出する(S312)。なお、ステップS310において、利用者が前記通行規制対象者ではないと判定された場合(S310のNo)、前記警告情報を付すことなく、ステップS312の処理が行われる。
次のステップS313では、制御部31は、前記乗車料金に対して適用される支払い方法を特定する。具体的には、制御部31は、ステップS308で受信した前記利用者IDに対応付けられた支払方法を利用者登録データから抽出する。
その後、制御部31は、前記ステップS313で特定された支払方法にしたがって前記乗車料金に対する決済処理を実行し(S314)、前記決済処理が完了した場合に、支払完了通知を利用者端末4に送信する(S315)。前記支払完了通知は、上述したステップS115(図10参照)の処理に用いられる。なお、ステップS314は、本発明の決済処理ステップの一例である。
以上説明したように、本実施形態に係る通行制御システム100においては、利用者端末4によって読み取られた入場駅の前記QRコード(第1情報コード)に基づいて前記入場駅情報が取得され、利用者端末4によって読み取られた出場駅の前記QRコード(第2情報コード)に基づいて前記出場駅情報が取得され、これらの各駅情報が取得された場合に、予め定められた支払方法にしたがって利用者が利用した乗車料金に対する決済処理が行われる。これにより、鉄道車両を用いて利用者を輸送する輸送サービス(鉄道サービス)において、QRコードを読み取る読取装置を各駅の自動改札機1に設ける必要がなく、大きな設備投資を伴わずに、QRコードを用いた電子決済を導入することが可能となる。
また、上述の実施形態では、決済処理が行われるセンタ装置3に、入場駅情報や出場駅情報とともに、利用者端末4の利用者を特定する利用者IDが送られてくるため、センタ装置3において、前記利用者IDに対応付けられた利用者の支払方法を特定することができる。これにより、利用者ごとに定められた支払方法で決済処理を行うことが可能となる。
また、上述の実施形態では、利用者端末4によって前記QRコードが読み取られた場合に、利用者端末4から自動改札機1に読取完了信号が送られ、自動改札機1では、この読取完了信号を受信したことにより、通行を許可するためのフラップドア15の開閉制御が行われる。これにより、利用者端末4から乗車券の情報が自動改札機1に送信されなくても、自動改札機1の通路9における通行を許可し、或いは、通行を禁止する通行制御を実現することができる。
また、上述の実施形態では、自動改札機1に受光センサ171が設けられており、利用者端末4の発光部47から予め定められた波長、輝度、又は発光パターンの光が前記読取完了信号として受光センサ171へ出射されるため、自動改札機1に前記読取完了信号を確実に伝送することができる。また、利用者端末4が、従来周知のスマートフォンや携帯タイプのタブレットなどの端末装置である場合は、前記端末装置の筐体の背面に撮像部46及び発光部47が装備されているため、これらを利用することにより、別途、撮像部46や発光部47を利用者端末4に設ける必要なく、前記読取完了信号を自動改札機1に伝送することが可能である。
なお、上述の実施形態では、本発明の信号発信部の一例としての発光部47が利用者端末4に設けられ、自動改札機1に受光センサ171が設けられた構成について例示したが、本発明はこの構成に限られない。
例えば、利用者端末4に、予め定められた周波数、音量、又は音調の音を前記読取完了信号として出射するスピーカなどの音出力部が設けられ、自動改札機1に音を検知可能な音センサが設けられた構成にも、本発明は適用可能である。この場合、自動改札機1の通行制御部114は、前記音センサによる出力信号に基づいて前記読取完了信号が受信されたと判定した場合に、自動改札機1のフラップドア15の開閉を制御して、通路9における通行を許可する。このような構成であっても、自動改札機1に前記読取完了信号が確実に伝送され、通路9における通行制御が適切に行われる。
或いは、自動改札機1に、予め定められた近距離無線通信規格に基づいて被接触式のICメモリから非接触で情報を受信するリーダライタ(本発明の受信部の一例)が設けられ、利用者端末4に、前記読取完了信号を含む前記ICメモリが設けられた構成であって、本発明は適用可能である。この場合、前記リーダライタから前記読取完了信号を伝送するための電波が放射される。そして、前記電波の放射範囲に前記ICメモリが配置されることで、前記ICメモリ内の信号発信部が前記読取完了信号を前記電波に乗せて発信する。また、自動改札機1の通行制御部114は、前記リーダライタによって前記読取完了信号が受信されると、自動改札機1のフラップドア15の開閉を制御して、通路9における通行を許可する。このような構成であっても、自動改札機1に前記読取完了信号が確実に伝送され、通路9における通行制御が適切に行われる。
また、上述の実施形態では、入場駅及び出場駅において利用者端末4によって各駅のQR表示部132の前記QRコードを読み取る例について説明したが、例えば、利用者が入場駅に入場後に所定の乗換駅で路線を乗り換えて、その後に出場駅から出場する場合は、図12に示すように、乗換時に利用者端末4において乗換処理が行われ、乗換時にセンタ装置3において乗換駅取得処理が行われる。
図12に示すように、乗換時に利用者端末4で行われる前記乗換処理は、以下のようにして行われる。すなわち、撮像部46によってQR表示部132の前記QRコードが読み取られると(S401のYes)、前記QRコードに前記駅情報が含まれているか否かが判定され(S402)、前記駅情報が含まれていると判定された場合に、制御部41は、前記駅情報が乗換駅情報であるか否か、詳細には、前記QRコードに乗換であることを示す乗換識別コードなどの乗換情報が含まれているか否かを判定する(S403)。そして、前記乗換情報が前記QRコードに含まれている場合に、制御部41は、前記QRコードに含まれる前記駅情報が乗換駅情報(乗換駅)であると判定する。このように判定された前記乗換駅情報は、利用者端末4によって乗換駅で読み取られた前記QRコードに基づいて得られる情報である。前記駅情報が乗換駅情報であると判定されると、制御部41は、発光部47から前記読取完了信号を発信させる発信処理を行う(S404)。その後、制御部41は、ステップS403で判定された前記乗換駅情報を記憶部42に乗換記録として記憶するとともに、表示画面50に乗換駅表示枠(不図示)を追加して、当該乗換駅表示枠に前記乗換駅情報(乗換駅名)を入力して表示画面50に表示させる(S405)。その後、ステップS406において、制御部41は、前記乗換駅情報と利用者端末4に登録されている利用者IDとを含む乗換情報をセンタ装置3へ送信する。
また、乗換時にセンタ装置3で行われる乗換駅取得処理は、以下のようにして行われる。すなわち、前記乗換情報を受信したと判定されると(S501のYes)、制御部31は、前記乗換情報に含まれる前記乗換駅情報と前記利用者IDを乗車履歴データに登録し、更に、前記乗換情報を受信した受信日時を利用者が乗り換えた前記乗換日時として乗車履歴データに登録する(S502)。
これにより、乗換駅の自動改札機1から前記QRコードが読み取られた場合でも、そのQRコードに含まれる駅情報を出場駅情報と認識されないため、乗換駅において誤って乗車区間が確定することを防止できる。また、入場駅から出場駅に至る乗車ルートが複数ある場合でも、入場駅、乗換駅、及び出場駅が特定されることにより、利用者が実際に利用した乗車ルートの乗車料金を正確に算出することができる。
また、上述の実施形態では、自動改札機1の前記QRコードが利用者端末4によって読み取られた場合に、利用者端末4が前記読取完了信号を自動改札機1に発信する構成を例示したが、本発明のこの構成に限られない。例えば、図13に示すように、前記QRコードが読み取られた場合に、前記読取完了信号が利用者端末4からセンタ装置3に送信され、その後に前記読取完了信号がセンタ装置3から自動改札機1に送信される構成であっても、本発明は適用可能である。
具体的には、図13に示すように、利用者端末4で行われる入場処理において、ステップS106の発信処理に替えて、以下のステップS1061の判定処理、及びS1062の送信処理が行われる。すなわち、前記入場処理において、読み取られた前記QRコードに前記駅情報があると判定され(S104のYes)、その駅情報が前記入場駅情報であると判定されると(S105のYes)、その後、ステップS1061において、制御部41は、前記QRコードに自動改札機1を識別可能な前記改札機IDが含まれているか否かを判定する。ここで、前記改札機IDは、前記QRコードが表示されている自動改札機1を識別可能なものであって、各自動改札機1ごとに割り当てられた固有の情報である。前記改札機IDは、予め、前記QRコードに含まれている。ステップS1161において前記改札機IDが前記QRコードに含まれていると判定されると、制御部41は、前記読取完了信号、及び前記改札機IDをセンタ装置3に送信し(S1062)、その後、次のステップS107以降の処理を行う。
なお、この場合、利用者端末4で行われる上述の出場処理(図10参照)においても、ステップS112の発信処理に替えて、上述したステップS1061及びS1062の処理が行われる。また、上述の乗換処理(図12)においてもステップS404の発信処理に替えて、上述したステップS1061及びS1062の処理が行われる。
また、センタ装置3では、上述した入場駅取得処理において、ステップS305の認証処理の後であってステップS306の処理の前に、以下のステップS3051の判定処理、及びS3052の送信処理が行われる。すなわち、前記入場駅取得処理において、制御部31は、利用者端末4から前記読取完了信号及び前記改札機IDを受信すると(S3051)、当該受信の応答信号としての前記読取完了信号(本発明の応答信号の一例)を前記改札機IDによって特定される自動改札機1に送信する(S3052)。具体的には、記憶部32に記憶された、前記改札機IDに対応する前記IPアドレス宛に前記読取完了信号を送信する。その後、ステップS306以降の処理が行われる。なお、前記読取完了信号を送信する制御部31は、本発明の応答信号送信部の一例である。
なお、この場合、センタ装置3で行われる上述の決済処理(図11参照)においても、ステップS308の前に、上述したステップS3051及びS3052の処理が行われる。
また、自動改札機1では、センタ装置3から送信された前記読み取り完了信号(応答信号)を受信した場合に(S203のyes)、通路9における利用者の通行を許可し、フラップドア15を開位置に変位させる(S207)。
このような構成であっても、自動改札機1に前記読取完了信号が確実に伝送され、通路9における通行制御が適切に行われる。
また、上述した実施形態では、自動改札機1、センタ装置3、及び利用者端末4によって構成された通行制御システム100について説明したが、本発明は、センタ装置3と利用者端末4とにより構成され、上述した入場処理、出場処理、入場駅取得処理、決済処理を行う決済システム200(図1参照)として捉えることもできる。この場合、前記読取完了信号は自動改札機1に送信されず、フラップドア15によって利用者の通行を阻止する必要はない。また、上述の決済システム200においては、上述した自動改札機1を設ける必要は無く、前記QRコードが表示されるQR表示部132、或いは、前記QRコードが記された記録媒体が通路9の側に設けられていればよい。
また、上述の実施形態では、鉄道車両を用いて利用者を輸送する輸送サービス(鉄道サービス)に適用される通行制御システム100及び前記決済システム200を例示したが、例えば、本発明は、航空機、バス、自動車(タクシー車両)などの種々の輸送機を用いて出発位置(利用開始位置)から到着位置(利用終了位置)まで利用者を輸送する輸送サービスにも適用可能である。