JP2020086450A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 より簡易化された構成で現像剤の補給を行える仕組み、或いはより使い勝手の良い現像剤の補給を行える仕組みを提供することを課題とする。【解決手段】 現像剤が封入された現像剤供給ボトルを着脱可能な取り付け口が、画像形成装置に設けられ、カバーが開かれた状態で、現像剤供給ボトルを取り付け口に取り付け可能となっている。現像剤供給ボトルが前記取り付け口に取り付けられたときに、現像供給ボトル中の現像剤が自重で前記現像収容室に移動する画像形成装置。【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真方式などを利用して像担持体上に形成したトナー像を転写材に転写することで記録画像を得る、レーザープリンター、複写機、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
一般に、電子写真方式の画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラムの表面に形成した現像剤像(トナー画像)を、転写媒体としての転写材に転写することで、画像を形成する。そして、様々な現像剤の補給方式が提案されている。例えば、代表的案例としてプロセスカートリッジが挙げられる。このプロセスカートリッジ方式では、感光体ドラムや現像剤容器が一体化されており、現像剤が切れるとプロセスカートリッジを新品に交換すれば良い。ユーザー自信により、容易にメンテナンスを行えるというメリットがある。
一方、トナーが切れると新たにトナーを現像装置に補給するトナー補給方式も知られている。例えば、特許文献1には、画像形成装置に着脱可能なトナー補給容器を設け、トナー補給容器が画像形成装置に装着されると、搬送スクリューが設けられたトナー搬送経路を介し、トナー補給容器から現像容器へトナーが搬送される。
特開平8−30084
しかしながら、従来から知られているトナー補給方式では次の課題があった。即ち、搬送スクリューを含むトナー搬送経路を設ける必要があるなど、装置の複雑化、或いは大型化を招いていた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、より簡易化された構成で現像剤の補給を行える仕組み、或いはより使い勝手の良い現像剤の補給を行える仕組みを提供することにある。
本願発明の画像形成装置は、露光手段と、像担持体と、現像剤担持体と、前記現像剤担持体を支持すると共に、前記現像剤担持体に供給されるトナーを収容する現像剤収容室を構成する枠体とを有し、前記現像剤担持体は、前記現像剤収容室に収容された現像剤を、前記露光手段により露光された静電潜像に現像する画像形成装置であって、現像剤が封入された現像剤供給ボトルを着脱可能な取り付け口を有する現像剤収容室と、装置内部を露出する開閉可能なカバーと、前記カバーが開かれた状態で、前記取り付け口が装置本体の外部に露出され、前記現像剤供給ボトルを前記取り付け口に取り付け可能であり、前記現像剤供給ボトルが前記取り付け口に取り付けられたときに、前記封入された現像剤が自重で前記現像剤収容室に移動し、前記カバーは前記現像剤供給ボトルが取り外された状態で閉じることが可能であり、前記カバーが閉じられたとき、前記取り付け口は装置本体内部に位置することを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、より簡易化された構成で現像剤の補給を行える仕組み、或いはより使い勝手の良い現像剤の補給を行える仕組みを提供することが可能になる。
実施例における画像形成装置及びトナーボトルの断面構成を示す図 実施例における現像ローラーの長手方向と直交する方向から見た現像装置及びトナーボトルを示す図 実施例における開口部に対するキャップを示す図 実施例における別の形態の開口部を有した現像装置を示す図 実施例における現像電流検出システムを示す図 実施例におけるファラデーゲージの構造を示す図 実施例におけるトナートリボ低下を判断するフローチャート トナーの模式図の一例
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施例で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
[画像形成装置の全体構成]
図1(a)は、モノクロプリンターの画像形成装置の概略構成を示すものである。
本実施例における画像形成装置には像担持体としての円筒型の感光体、即ち、感光ドラム1が設けられている。感光ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電ローラー2、現像手段としての現像装置3が設けられている。また、図の下に向かう方向との関係では、帯電ローラー2と現像装置3との間に、露光手段としての露光装置4が設けられている。また、感光ドラム1には転写ローラー5が圧接されている。
現像装置3の現像剤収容室37にはトナーが収納されている。トナーとして、本実施例では、粒径が6μm、正規の帯電極性が負極性のトナーを用いている。
本実施例における感光ドラム1は負帯電性の有機感光体である。この感光ドラム1は、アルミニウムのドラム状の基体上に感光層を有しており、駆動装置(不図示)によって図中矢印の方向(時計方向)に所定のプロセススピードで回転駆動される。本実施例では、プロセススピードは、感光ドラム1の周速度(表面移動速度)に相当する。
帯電ローラー2は、感光ドラム1に所定の圧接力で接触し、帯電部を形成する。また、帯電電圧供給手段としての帯電高圧電源(不図示)によって、所望の帯電電圧を印加され、感光ドラム1の表面を所定の電位に均一に帯電させる。本実施例では、感光ドラム1は帯電ローラー2により負極性に帯電される。
露光装置4は、本実施例では、レーザースキャナー装置であり、ホストコンピュータと等の外部装置から入力された画像情報に対応したレーザー光を出力し、感光ドラム1の表面を走査露光する。この露光により、感光ドラム1の表面に画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。尚、露光装置4としては、レーザースキャナー装置に限定されることはなく、例えば、感光ドラム1の長手方向に沿って複数のLEDが配列されたLEDアレイを採用しても良い。
本実施例では、現像装置3の現像方式として接触現像方式を用いている。現像装置3は、トナーを収容する現像剤収容室37を形成する枠体中(ハウジング中)によって、現像剤担持体としての現像ローラー31を支持している。また現像剤供給手段としてのトナー供給ローラー32も支持している。そして感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像ローラー31と感光ドラム1との対向部(現像ニップ)において、現像ローラー31によって搬送されたトナーによりトナー像として現像される。このとき、現像ローラー31には、現像電圧印加手段としての現像高圧電源(図5の103)により現像電圧が印加される。本実施例では、反転現像方式にて、静電潜像を現像する。即ち、帯電処理後の感光ドラム1における、露光によって電荷が減衰した部分に、感光ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させることで、静電潜像をトナー像として現像する。
また、現像ローラー31には、トナーを供給するトナー供給ローラー32が回転可能に当接している。なお、本実施例では、一成分非磁性接触現像法を採用したが、二成分非磁性接触/非接触現像法を使用してもよい。また現像方式として、一成分磁性接触/非接触現像法、或いは二成分磁性接触/非接触現像法を採用しても良い。また、本実施例の現像剤は一例として重合法により生成された重合トナーを採用している。
現像剤収容室37の内部には、更に、攪拌部材/撹拌部材としての撹拌羽根33が設けられている。撹拌羽根33は不図示の駆動装置からの駆動力を受け、断面において回転軸33aを回転中心に回動することで、現像ローラー31およびトナー供給ローラー32に向け、トナーを送り込む。撹拌部材は、駆動装置からの駆動力を直接撹拌羽根33で受けても良いし、駆動ギアを介して駆動装置からの駆動力を受けても良い。また、撹拌羽根33は、図で示されるように時計回りで回転軸33aを中心に回転する。より具体的には、撹拌羽根33の回転半径内にあるトナーは撹拌羽根に押され移動し、その移動したトナーの一部が現像ローラー31及びトナー供給ローラー32に送り込まれる。撹拌羽根33は、例えば、現像ローラー31の長手方向に沿って伸びるシート状の部材から構成され、この場合にはシートが断面における回転半径内のトナーを押し移動させる。そして、移動されたトナーの一部が現像ローラー31及びトナー供給ローラー32に向け送り込まれる。また、図示されるように、撹拌羽根33は、回転方向と交わる方向に伸びる形状を有する。そして、取り付け口(開口部34)に装着されたトナーボトル12の供給口よりも、トナーの自重による移動方向に関し下流で、且つ感光ドラム1よりも上流の空間において、一つのみの撹拌羽根33(撹拌部材)が配置されている。一つのみの撹拌羽根33(撹拌部材)が配置されているとは、現像ローラー31およびトナー供給ローラー32に向け、トナーを送り込む機能を有した撹拌羽根33(撹拌部材)が一つのみということである。
また、撹拌羽根33は、現像に使用されず現像ローラー31から剥ぎ取られたトナーを循環させ、現像剤収容室37内のトナーの劣化度を均一化する機能も担う。また撹拌拌羽根33は、自重によってトナーボトル12内から落下し、現像剤収容室37に移動したトナーの剤面も均一に均す機能も兼ね備えている。補給後のトナー剤面が撹拌羽根33により均されることで、トナー残量検知も正確に行うことができる。
転写ローラー5としては、ポリウレタンゴムやEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)などから成るスポンジゴムなどの弾性部材で構成されたものを好適に用いることができる。
転写ローラー5は感光ドラム1に向けて押圧され、感光ドラム1と転写ローラー5とが圧接する転写部を形成する。転写ローラー5には、転写電圧印加手段として不図示の転写高圧電源が接続され、所定のタイミングで所定の電圧が印加される。
感光ドラム1上に形成されたトナー像が転写部に到達するタイミングに合わせてカセット6に格納された転写材Sが給紙ユニット7により給紙され、レジストローラー対8を通り転写部に搬送される。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、転写高圧電源によって所定の転写電圧が印加された転写ローラー5により、転写材S上に転写される。
トナー像転写後の転写材Sは、定着器9に搬送される。定着器9は、不図示の定着ヒーターと定着ヒーターの温度を測定する不図示のサーミスターを内蔵した定着フィルム91と、定着フィルム91に圧接するための加圧ローラー92を備えたフィルム加熱方式の定着器である。そして、転写材Sは加熱及び加圧されることによりトナー像が定着されて、排紙ローラー対10を通過して機外へ排出される。
また、感光ドラム1の回転方向において転写部より下流側かつ帯電部より上流側に、感光ドラム1を除電処理する除電手段としての前露光装置11を設けている。前露光装置11は、帯電部で安定した放電を生じさせるために、帯電部に進入する前の感光ドラム1の表面電位を除電する。
また、転写材Sに転写されずに感光ドラム1に残留した転写残トナーは、以下の工程で除去される。転写残トナーには正極性に帯電しているトナーや、負極性に帯電しているものの充分な電荷を有していないトナーが混在する。前露光装置11により転写後の感光ドラム1を除電し、帯電時に均一な放電を生じさせることで、転写残トナーは再び負極性に帯電される。帯電部において再び負極性に帯電させられた転写残トナーは、感光ドラム1の回転に伴い現像部に到達する。現像部に到達した転写残トナーの挙動について、感光ドラム1の露光部と非露光部に分けて説明する。感光ドラム1の非露光部に付着している転写残トナーは、現像部において感光ドラム1の非露光部電位と現像電圧との電位差により現像ローラー31に転移し、現像剤収容室37中に回収される。なお、現像剤収容室37に回収されたトナーは再度画像形成に使用される。また、感光ドラム1の露光部に付着している転写残トナーは、現像部において感光ドラム1から現像ローラー31に転移されず、現像ローラー31から現像されたトナーとともに転写部に移動し転写材Sに転写され、感光ドラム1より除去される。
なお、本実施例では転写残トナーを現像装置3に回収し再利用する構成としたが、従来公知の感光ドラム1に当接するクリーニングブレードを使用して転写残トナーを回収し再利用しない構成としても、本実施例の効果に影響はない。しかしながら、本実施例の構成をとることで回収した転写残トナーを一時収容する収容容器が不要となり、装置の大型化を防ぐことができることは言うまでもない。また、転写残トナーを再利用するため、印刷コストの低減を図ることもできる。
[現像剤供給ボトルからの自重による現像剤収容室への現像剤の補給]
装置に装着された現像装置3には、トナーボトル(現像剤供給ボトル)の取り付け口である開口部34が設けられている。この開口部34は、装置本体の外装よりも装置本体内部に位置しており、ここからトナー補給が可能となっている。トナーボトル12の供給口と、開口部34とは、トナーボトルが開口部34に着脱可能なように互いに構成されている。そして、現像剤収容室37を形成する枠体中において、開口部34の一番近傍に配置される移動部材として、撹拌羽根33が配置されている。これにより、補給されたトナーの現像ローラー長手方向の剤面が迅速に均され、トナー補給後に迅速にプリント動作に移行することができるようになる。なお、現像剤収容室37の枠体中における回転移動部材としては、他に現像ローラー31やトナー供給ローラー32を挙げることができる。
なお、以下ではトナーボトルの用語を用い説明を行っていくが、このトナーボトルは、装置に装着でき、且つ現像装置に補給又は供給する現像剤(トナー)を収容する機能を最低限備えていれば良く、現像剤収容器、現像剤供給用容器等と呼ぶこともできる。
ここで、本実施例における装着の用語について詳しく説明すると、これは後述の図1や図4で説明するように、トナーボトル12の供給口が、開口部34に対して水平方向及び上下方向で位置決めされている状態を指す。図1では、トナーボトル12の先端が、現像剤収容室37に勘合及び当接し、図4(b)では、トナーボトル12の一部の面が、現像剤収容室37に当接することで位置決めがなされている。なお、トナーボトル12の本体への装着機構として、この形態には限定されない。トナーボトル12の供給口を開口部34に対して位置決めする為の様々な機構を採用可能である。
また、画像形成装置に着脱可能なトナーボトルの現像剤収容部の構成は樹脂で形成されることが一般的であるが、その樹脂の肉厚を薄くし、ユーザーの握る動作で容易に変形する可撓性シートとしても良い。可撓性シートの肉厚として、例えば0.03〜1mm程度が想定され、シートの肉厚を薄くすることで袋状の現像剤収容室を持つ現像剤補給容器を提供することもできる。また現像剤収容室を構成する可撓性シートの材質を紙材質とすることで、環境にも良い現像剤補給容器を提供することもできる。またトナーボトル12の供給口について樹脂で構成しても良いが、環境対策で、強度の高い段ボール等で構成しても良い。
ユーザーがトナーボトル12を画像形成装置に装着する場合、ユーザーは、取り付け口としての開口部34に対し外部からアクセスできるよう、カバー38を第1位置から第2位置に移動させ開く。カバー38は、図1(a)のような、画像形成時に対応する位置で、装置の内部(取り付け口)を覆っている第1位置と、図1(b)のような、画像形成装置内部に外部からのアクセスを可能にする第2位置(開放位置ともいう)と、の間を移動可能に構成されている。カバー38が、第2位置に位置するときは、ユーザーは、装置内部(取り付け口)へのアクセスが可能となり、トナーボトル12の開口部34への装着、或いは開口部34からの着脱が可能になる。また開口部34に、キャップ35が取り付けられている場合には、ユーザーはキャップ35を開口部34から取り外す。図3に開口部34に対するキャップ35の例をいくつか示す。なお、キャップ35は、トナーが現像剤収容室37から外部に漏れないよう、開口部34を封止できる部材であれば、様々な形状/形態のものを採用できる。
また、開閉部材としてのカバー38は、図中では、カバー左側のヒンジを中心に回動し、装置内部を覆う或いは露出しているが、この構成に限定されない。例えば、スライド式のドアでも良い。また、カバーが開くことで形成される画像形成装置本体の開口の対向する各辺に夫々ヒンジを持たせた両開きの扉(観音扉)でも良い。カバー38には、様々な開閉構成が適用できる。
そして、図1(b)に示すようにカバー38が開口位置(第2位置)に移動した状態で、開口部34にトナーボトル12が取り付けられると、トナーがトナーボトル12から現像剤収容室37へ自重で移動し補給が行われる。より具体的には、トナーボトル12が、開口部34に取り付けられると、現像剤収容室37がトナーボトル12の内部空間と連通し、トナーボトル12に封入されたトナーが自重で現像剤収容室37へ移動する。トナー補給が促された状態から、トナーボトル12に収納されたトナー(現像剤)の全て、或いは一回の補給分として定めされた所定量が収容室37に供給されると、トナー21の剤面の位置は、重力方向に関し、回転軸33aよりも上方に位置する。言い換えると、回転軸33aのほうが、補給後のトナー21の剤面よりも重力方向に関し下方に位置している。ここで、現像剤が補充された後、現像剤収容室37内の重力方向に関する剤面の位置を、現像ローラー31の長手方向に沿って見た場合に、その高さ位置は完全に同じではない。ここでの剤面の位置とは、重力方向における、現像剤収容室37内の剤面の平均の位置とする。
このように、本実施例では重力によりトナーボトル12から現像剤収容室37へトナーを移動させる。例えば、別のトナー補給方式として、トナー補給ボトルを、現像剤収容室37とは別の、搬送スクリューを備えたトナー補給経路に供給し、そのトナー補給経路から搬送スクリューで現像剤収容室37へトナーを移動させる形態も考えられる。しかし、その場合、トナー補給経路を設けるぶん装置が大型化してしまう。これに比べ、本実施例におけるトナー補給システムでは、装置の小型化を図ることが出来る。また、今説明したトナー搬送路へ補給トナーを供給する場合、トナー搬送路でのトナー搬送が完了するまでに時間を要し、プリントが再開するまでユーザーを待たせてしまう。この点でも、本実施例では改善が図られている。
更に、図1(b)に示されるように、トナーボトル12が開口部34に装着された状態で、トナーボトル12の重力方向における上部は、装置本体の外装よりも上外側(重力方向上側)に突出している。これにより、トナーボトル12を画像形成装置内に全て収容する必要が無く、画像形成装置の小型化を図ることができる。また、補給時はトナーボトル12が重力上下方向において外側に突出しているので、カバー38は、トナーボトル12が開口部34から取り外され、装置外に取り出された状態で、閉じ位置である第1位置に移動することができる。なお、閉じ位置とは、カバー38の画像形成時に対応する位置で、カバー38が開口部34又は画像形成装置の内部を覆う位置のことを指す。
更に、図1(a)に示すように撹拌羽根33を傾けた状態で停止し、トナー補給時には撹拌羽根により、補給されたトナーが、現像ローラー31及び供給ローラー32に導かれるようにしても良い。このように、撹拌羽根33を、トナー案内部材とすることで、よりも素早く現像ローラー31にトナーを補給できる。
なお、トナーボトル12の供給口や、開口部34の形状は、トナーボトル12の供給口と、開口部34とが、互いに着脱可能なように構成されていれば、図1に示した形状に限定されない。例えば、図4(a)では、開口部34は、現像剤収容室37の表面から突出した形状をもっている。突出部の内側壁は、現像剤収容室37の内部に伸延しており、その内側壁に、トナーボトル12の供給口の表面(外周面)が案内され下方に移動し、トナーボトル12が、現像剤収容室37に位置決めされる。即ち、トナーボトル12の側面の一部が開口部34の縁に当接することで、トナーボトル12の下方向の移動が規制される。なお、内部に伸延した側壁は、図4(a)中破線で示されている。
また、図4(b)に示されるように、トナーボトル12が、現像剤収容室37の表面に当接するトナーボトル面(部分)を有し、その面同士の当接で、トナーボトル12の下方向への移動を規制しても良い。この面同士の当接で、トナーボトル12の横方向の位置決めも行われる。
[トナーボトル中の現像剤充填量]
トナーボトル12に充填されている現像剤(トナー)の量について説明する。トナーボトル12に充填するトナー量は適宜選択可能であるが、本実施例ではトナーボトル12に充填されているトナーの量はA[g]以上B[g]以下を好適な例としている。ここで、A[g]は、画像形成時の現像装置3の姿勢において、現像ローラー31の最も高い位置(最上点)を含む水平面よりも下側(下部)の現像剤収容室37に含まれるトナー量(現像剤量)である。即ち、現像剤収容室37内のトナーが空になった状態でトナー補給が行われた場合でも、補給されたトナーにより現像ローラー31が覆われるレベルの量のトナー補給が出来る。図1(a)のトナーボトル12に封入されたトナー21を、図1(a)の現像剤収容室37に供給した場合、図1(b)に示すように、トナーボトル12中のトナー21は全て現像剤収容室37に供給される。
図2に、現像ローラー31の長手方向に直交する方向から見た場合の現像装置3及びトナーボトル12の関係を示す。現像剤収容室37は長手方向に伸びており、トナーボトル12に封入された全てのトナー21を収納するだけに十分な容積を有している。
また、B[g]は、現像剤収容室37に充填できる最大のトナー量と、ユーザーにトナー補給を促し始める際の現像剤収容室37に含まれる閾値トナー残量の差分である。ここで、図2(b)に、現像剤収容室37に収容される現像剤の残量が所定量を下回ったか否かを検出する為の構成を示す。22は光受光部で、光発光部23から出射される光を受光する。現像剤収容室37に収容されるトナーが十分多い場合には、トナーにより光発光部23からの光が遮光され、光受光部22は光を受光しない。一方、トナー残量が所定量(所定体積)を下回ると、光受光部22が、光発光部23からの光を受光し、トナー残量が所定量を下回ったことが制御部101により検出される。制御部101は、不図示の信号線を介して入力される、光受光部22からの出力信号を認識し、トナー残量が所定量を下回ったことを検出・検知する。また、現像剤収容室37内に設置される撹拌羽根33が回転しながら、トナー残量を検出する場合には、トナー残量に応じて撹拌されたトナーによる遮光時間が変化してくる。制御部101は、その遮光時間の長さ、或いは受光時間の長さの違いによってトナー残量を推定しても良い。
そして、制御部101が、光受光部22による光受光を検出した場合、トナー補給を促す出力を不図示の出力I/Fを介し外部機器に出力する。即ち制御部101は、トナー残量が所定量を下回りトナー残量が少なくなったことを検知すると、トナー補給を促す出力を行う出力装置として機能する。外部機器としては、例えば表示装置、スピーカー或いはデータ送信装置などを挙げることができる。出力I/Fは有線であっても無線であっても良い。
尚、A[g]を、B[g]のように、現像剤収容室37内が空になった状態から現像ローラー31を覆うトナー量と、トナーの補給を促し始める際の現像剤収容室37のトナー残量と、の差分としても良い。またB[g]を、A[g]のように、現像剤収容室37が空の状態から現像剤収容室37に充填できる最大のトナー量としても良い。
上記A[g]や、B[g]の設定は様々である。
以上のように、トナー補給が促された後にユーザーによりトナー補給が行われる際、未開封のトナーボトル12に含まれる現像剤が全て現像剤収容室37に補給されても、現像剤収容室37に収容可能な最大の現像剤の量に到達しない。これにより、トナー補給後に、ユーザーがトナーボトル12を画像形成装置から取り外す際、トナーが外部にこぼれてしまうことを回避できるという利点が得られる。また、トナー補給後にトナーボトルが画像形成装置から取り外された後、現像剤収容室37の開口部34には、図3に示されるようなキャップ35が取り付けられる。トナーボトルが空になっていることを前提にした場合には、キャップ35の構成を簡易にすることができる。
[装置動作の停止状態維持]
画像形成装置は、カバー38が開いた状態を検知する為の不図示の光学センサー又はメカニカルセンサを備える。制御部101は、このカバーが開いた状態を示す信号を入力した場合、画像形成動作を許可しない。たとえ、外部からプリント指示が入力された場合でも、感光ドラム1等のプロセス手段を駆動させた画像形成を許可しない。また、カバーが開いた状態の検知に代わり、トナーボトル12の装着状態を検知するようにしても良い。即ち、不図示のセンサーで、トナーボトル12が、開口部34に装着されていることを検知すると、制御部101は、同様に、光ドラム1等のプロセス手段を駆動させた画像形成を許可しない。トナーボトル12の装着状態の検知について、画像形成装置は、トナーボトル12によって装置本体に設けられたメカニカルセンサが押下されたことを検知しても良い。また、トナーボトル12にメモリユニット(記憶素子及び電気接点部を少なくとも含む)が設けられている場合には、装置本体にメモリ読み取り装置が設けられることになる。この場合、画像形成装置は、例えば、メモリ読み取り装置がトナーボトル12の記憶ユニットと所定の通信を行えているか否かを判断し、それに基づきトナーボトル12の装着を判断しても良い。
以上説明したように、本実施例によれば、トナーボトル12から自重によりトナーを現像剤収容室37へと移動させるという、より簡易化された構成で現像剤補給システムを構築できる。またより使い勝手の良いトナー補給を実現できる。例えば、トナー補給が行われた後、素早く画像形成を再開することができダウンタイムを抑制できる。また、例えば、複雑なトナー搬送経路等が不要であるため画像形成装置の小型化が可能となり、コストダウンを図ることができる。また、更に例えば、トナーボトル12を画像形成装置内に配置される開口部34に着脱しトナー補給を行うのでトナー飛散などトナー補給方式の画像形成装置で発生しやすい課題も防止できる。
本実施例における画像形成装置の構成は実施例1と同様であり詳しい説明を省略する。本実施例では以下トナー補給時に発生する画像問題、及びその対策について説明する。
本実施例では、補給かぶりの発生を抑制するトナー補給システムを提供することを目的とするが、まず、トナー補給時には補給される新しいトナーと現像装置3に残っている古いトナーの特性差による、所謂補給かぶりについて説明する。
[補給かぶり]
補給かぶりが発生するメカニズムについて説明する。トナーの表層が摩耗していない新しいトナーでは電荷が保持しやすいため、単位重量当たりのトナーの持つ電荷量(以下、トナートリボ)は大きくなる。逆に、現像部などで繰り返し圧力を受けたようなトナーは、表層が摩耗しシリカ等の外添剤がトナー母体(トナー粒子)に埋め込まれ或いは遊離してしまい、トナーの帯電性が低下してしまう。帯電性が低下したトナーは電荷を保持しにくく、トナートリボが小さくなる。
さらに、新しいトナーと古いトナーが混合された場合、それらトナーの帯電列の差の影響を大きく受けてしまう。即ち、新しいトナーと古いトナーが触れた場合、新しいトナーのトリボは新しいトナーのみで使用するときよりも大きくなり、古いトナーのトリボは古いトナーのみで使用するときよりも低くなる。その結果、古いトナーのトリボが低くなりすぎ、電界によって現像ローラー31上にとどめておくことができず、かぶりとなってしまう。
上述の実施例で説明したように、本実施例の画像形成装置の構成では、補給された新しいトナーが現像装置3内の古いトナーと直に触れてしまうため、補給かぶりの発生に注意が必要である。
[本実施例の特徴部分]
本実施例では、補給かぶりを防止するには、いかにトナー補給時の新しいトナーと古いトナーのトリボの差を無くすかが重要となる。即ち、古いトナーのトナートリボが低くなり過ぎない状態で新しいトナーを補給する必要がある。本実施例では、トナーのトリボを間接的に検知し、トナートリボが低くなり過ぎない状態で新しいトナーの補給を促し、補給かぶりの発生を抑える。より具体的に、本実施例では、所定の量のトナーを現像する際に発生する電流値(現像電流)を測定することでトナーの帯電量を測定し、新しいトナーの補給を促すか否かを判断する。
[現像電流について]
現像ローラー31に印加される現像電圧と感光ドラム1の露光部電位との電位差は、一般的に放電閾値以下であるため、現像時に流れている電流は電荷(トナー)の移動が大きく影響している。従って、単位時間あたりに現像されたトナーの重量を仮定すれば、単位重量当たりのトナーの電荷量(トナートリボ)を予測できる。単位時間あたりに現像されたトナーの重量は、現像ローラー表面の単位面積当たりのトナー重量(以下、M/S)と単位時間あたりに現像されたトナーの面積とから求められる。単位時間あたりに現像されたトナーの面積は、現像されたトナーの長手幅、即ち、感光ドラム1を露光した領域の長手幅と画像形成装置のプロセス速度から定まる。従って、専用の現像電流検知動作を行うことで、単位時間あたりに現像されたトナーの面積は一定の値にできる。言い換えると、本実施例で使用している画像形成装置ではトナーのM/S変化が小さく、ほぼ一定の値となる。従って、現像時に流れている電流はトナーの所定重量当たりの帯電量と等価と見做すことができる。また制御部101は、所定重量当たりの帯電量から単位重量当たりの帯電量を算出できる。また、この時の露光の強さは画像形成装置が出力できる最大の露光量とした。これは、現像ローラー31上のトナーをすべて現像することで、トナーのトリボを正確に測定するためである。なお、トナーのM/S変化が大きい場合は、従来公知のトナー付着量センサーを用いてトナーのM/Sを測定し、トナーの帯電量を求める構成としてもよい。
[現像電流の測定方法]
図5は、現像ローラー31に現像高圧電源103により高電圧を印加した際の現像ローラー31に流れる電流を検知する検知システムを示す。図中の電流検出回路102は、現像高圧電源103より現像ローラー31に現像電圧(例えば−350V)が印加された際に、現像ローラー31、感光ドラム1、アースを介して流れる電流を検出する。そして、電流検出回路102により検出された電流値を示す信号は制御部101に入力され、制御部101はどの程度の電流が流れているかを予測、検出する。
なお、現像電流測定の実施タイミングは、適宜設定可能であるが、本実施例では画像形成装置の設置時に実施し、その後、100ページ印刷毎(所定通紙枚数毎)に実施する構成となっている。しかし、これには限定されない。例えば、画像形成装置が電源OFF又は省電力状態から起動する際に、この現像電流測定を毎回行うようにしても良い。
制御部101は、現像電流測定を開始すると、まず、感光ドラム1、現像ローラー31、帯電ローラー2等の各部材の駆動を開始する。そして、所定のタイミングで、制御部101の指示のもと、露光装置4によって、感光ドラム1表面への露光が行われ、形成された静電潜像へのトナー現像が行われ、現像電流が測定される。本実施例では、露光装置4により、感光ドラム1の長手方向の216mmの範囲を1秒間露光(感光ドラム1表面の副走査方向長さに対応)し、形成された静電潜像が現像ニップに到達した際に、制御部101は、1秒間の平均電流値Iを入力信号に基づき測定する。
[トナー補給要否判断]
本発明者らの検討によれば、新しいトナーのトリボは約−40[μC/g]であった。また、トナーの劣化によりトナートリボが約−20[μC/g]よりも小さな絶対値となった状態で新しいトナーが補給されると、補給かぶりが発生してしまった。即ち、新しいトナーと古いトナーのトリボの差が約2倍となると補給かぶりが発生してしまった。
なお、本実施例におけるトナートリボの測定は、図6の透視図に示すファラデーケージ13を用いて行った。内部(図の右側)を減圧状態にして現像ローラー上のトナーが吸い込まれるようにし、トナーフィルター133を設けてトナーを捕集した。なお、131は吸引部であり、132はホルダーである。この捕集したトナーの質量Mとクーロンメーターにて直接測定した電荷Qより、単位質量当たりの電荷量Q/M[μC/g]を計算する。本実施例ではトナートリボが新しいトナーの半分のトナートリボに近づいたと判断された際にトナー補給を促す通知を出す構成となっている。
以下、図7のフローチャートに従って画像形成装置の動作を説明する。
(step1)
画像形成装置の設置時(現像剤が新品時)に、制御部101の指示のもと、露光装置4は、帯電ローラー2で帯電された感光ドラム1表面に、長手方向の216mm×1秒間露光(副走査副走査方向長さに対応)の静電潜像を形成する。
(step2)
制御部101は、画像形成装置の設置時(現像剤が新品時)に、先の静電潜像が現像ニップを通過している1秒間の間に、電流検出回路102からの信号を検出し、現像電流の測定を行い、新しいトナーを使用したときの現像電流Iを取得する。制御部101は、1秒の間、現像電流Iを示す信号をサンプリングし、得られた複数のデータを平均化して現像電流Iを算出する。なお、現像電流Iの演算手法は平均に限定されず、例えば、複数サンプリングされたデータから中央値を求め、その中央値を現像電流Iとしても良い。ここで取得された現像電流Iは制御部101の不図示の記憶装置に記憶される。なお、現像電流Iを取得するタイミグは、現像装置3が実質初期状態と見做せる範囲であれば、例えば、最初の数十枚の印刷を終えた後でも良い。
(step3−5)
次に、制御部101は、100ページ印刷したと判断すると、再度現像電流の測定を行う。step4では、step1と同様の処理が行われ、step5で、制御部101は現像電流Iiを取得する。現像電流Iiの取得/演算方法は、現像電流Iのそれと同じで詳しい説明を省略する。
(step6)
次に、制御部101は、検知結果に基づきIiとIの比を計算し、以下の判断を行う。
・Ii/Iが0.55以上の場合
トナーのトリボが十分高いため、トナー補給通知は出さず(step3)に戻る。Ii/Iが0.55以上の場合は、トナーの電荷量は、初期の現像剤収容室37に収納されたトナーの電荷量の55%以上であることに対応する。
・Ii/Iが0.55未満の場合
トナーのトリボが新しいトナーのトリボの半分に近づいたため、(step7)に進み、トナー補給を促す通知を出す。Ii/Iが0.55未満の場合は、トナーの電荷量は、初期の現像剤収容室37に収納されたトナーの電荷量の55%未満であることに対応する。トナー補給通知については、実施例1で説明したように、制御部101は、不図示の入出力I/Fを介し外部機器にトナー補給を促す出力をする外部機器としては、例えば表示装置、スピーカー及びデータ送信装置などがあげられる。出力としてはテキストであったり、画像であったり、音声信号であったりする。
(例外処理)
100枚印刷されるまでに、不図示の光学センサーによりトナーなしが検知された場合、現像電流の測定は行わずに(step7)に進み、トナー補給通知を出す。
以上説明したように本実施例によれば、現像電流の測定によりトナートリボの検知ができるので、古いトナーのトナートリボが低くなり過ぎない状態で新しいトナーを補給することができ、補給かぶりの発生を防止できる。
本実施例における画像形成装置の構成は実施例1と同様であり説明を省略する。実施例2で説明したように、現像部などで繰り返し圧力を受けたようなトナーは帯電性が低下する。このような劣化した(帯電特性が低下した)トナーについては発生する鏡映力が小さく現像ローラー31上を担持されてにくい。また現像ローラー31上に担持されたとしても、感光ドラム1へ静電気力により移動することが難しく、新しい高トリボトナーが優先的に現像に使用され、感光ドラム1へ移動していく。結果、帯電性の低下した劣化したトナーが蓄積されていく。なお、帯電性が低下しているトナーは、静電気力による制御が難しく、感光ドラム1表面上の白地部分(暗部電位部)にトナーが現像されてしまう所謂地カブリを発生しやすくなる。しかしながら、カブリとして外部に排出されるものの、劣化したトナーの蓄積度合の方が大きく、結果、トナー補給を繰り返す中で、劣化したトナーの蓄積量が増加していく。このような状況は回避すべきことである。
本実施例では、実施例2で説明した補給かぶりの発生を抑制すると共に、帯電性の低下した劣化トナーの蓄積量増加をなるべく抑止できる現像剤について説明する。以下説明する現像剤を、図1に示された、トナー補給システムに適用することで、より一層画像不良の少ないすぐれたトナー補給システムを実現できる。
[改良トナーの説明]
本実施例ではトナーの改良により、印字によるトナートリボの変化を抑えられる現像剤を使用し、帯電特性の低下した劣化トナーの蓄積及びトナー補給時の補給かぶりを防止する。より具体的には、トナーとして結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子を有し、最大荷重2.0×10−4[N]の条件で測定したときのマルテンス硬度(以下、当該マルテンス硬度と呼ぶ)が、200MPa以上1100MPa以下であるものを使用する。これにより、実施例2の図7で説明したトナー補給のフローチャート実行の頻度を下げる、或いは不要とすることができる。図7のフローチャートを実行しない場合には、図2(b)で説明した残量検出の残量結果に基づくトナー補給通知を制御部101が行えばよい。
最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定する時のマルテンス硬度を200MPa以上1100MPa以下に調整するための手段は特に限定されない。ただし、当該硬度は一般的なトナーに用いられている有機樹脂の硬さに比べて大幅に硬いため、硬度を上げるために通常行われている手段では達成が困難である。例えば、ガラス転移温度の高い樹脂設計にする手段、樹脂分子量を上げる手段、熱硬化する手段、表層にフィラーを添加する手段などでは達成が難しい。
一般的なトナーに用いられている有機樹脂のマルテンス硬度は、最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定すると50MPa〜80MPa程度である。さらに樹脂設計や分子量を上げるなどして硬度を上げた場合でも120MPa以下程度である。さらに、磁性体やシリカといったフィラーを表層近傍に充填して熱硬化させた場合でも180MPa以下程度であり、本実施例のトナーは一般的なトナーに比べて大幅に硬い。
上記特定の硬度範囲に調整するための1つの手段として、例えば、適切な硬度を持つ無機物などの物質でトナーの表層を形成させ、更にその化学構造やマクロ構造を適切な硬度を持つ様に制御する方法が挙げられる。
具体的な例示として、上記特定の硬度をとり得る物質としては有機ケイ素重合体が挙げられ、材料の選択として有機ケイ素重合体のケイ素原子に直接結合している炭素原子の数や炭素鎖長などによって硬度を調整することが可能である。トナー粒子が、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、該有機ケイ素重合体のケイ素原子に直接結合している炭素原子の数が、ケイ素原子1個当たり、平均1個以上3個以下であると、上記特定の硬度に調整しやすいため好ましい。また、好ましくは、有機ケイ素重合体のケイ素原子に直接結合している炭素原子の数は、ケイ素原子1個当たり、1個以上2個以下で、より好ましくは1個である。
化学構造によりマルテンス硬度を調整する手段としては表層物質の架橋や重合度などの化学構造の調整などにより可能である。マクロ構造によりマルテンス硬度を調整する手段としては、表層の凸凹形状や凸間を繋ぐネットワーク構造の調整などにより可能である。これらの調整は有機ケイ素重合体を表層として用いる場合には、有機ケイ素重合体を前処理する際のpH、濃度、温度、時間などで調整可能である。また、トナーのコア粒子に有機ケイ素重合体を表層付けするタイミングや形態、濃度、反応温度などによって調整可能である。
本実施例において特に好ましいのは以下の方法である。まず、結着樹脂及び着色剤を含むトナーのコア粒子を製造して水系媒体に分散し、コア粒子分散液を得る。この時の濃度はコア粒子分散液総量に対し、コア粒子の固形分が10質量%以上40質量%以下となる濃度で分散することが好ましい。そして、該コア粒子分散液の温度は35℃以上に調整しておくことが好ましい。また、該コア粒子分散液のpHは有機ケイ素化合物の縮合が進みにくいpHに調整することが好ましい。有機ケイ素重合体の縮合が進みにくいpHは物質によって異なるため、最も反応が進みにくいpHを中心として、±0.5以内が好ましい。一方、有機ケイ素化合物は加水分解処理を行ったものを用いることが好ましい。例えば、有機ケイ素化合物の前処理として別容器で加水分解しておく。加水分解の仕込み濃度は有機ケイ素化合物の量を100質量部とした場合、イオン交換水やRO水などイオン分を除去した水40質量部以上500質量部以下が好ましく、より好ましくは水100質量部以上400質量部以下である。加水分解の条件としては、好ましくはpHが2〜7、温度が15〜80℃、時間が30〜600分である。
得られた加水分解液とコア粒子分散液とを混合して縮合に適したpH(好ましくは6〜12、又は1〜3、より好ましくは8〜12)に調整することで、有機ケイ素化合物を縮合させながらトナーのコア粒子表面に表層付けすることができる。縮合と表層付けは35℃以上で60分間以上行うことが好ましい。また、縮合に適したpHに調整する前に35℃以上で保持する時間を調整することで表面のマクロ構造を調整可能であるが、特定のマルテンス硬度を得やすくするため、3分以上120分以下が好ましい。
上のような手段によって反応残基を減らすことができ、表層に凹凸を形成させることができ、更に凸間にネットワーク構造を形成させることができるため、上記特定のマルテンス硬度のトナーを得られやすい。図8の46はトナーの一例を示す。図中、表層46bは、トナーコア粒子46aを外側から覆っており、表層46bは、凹凸の形状をしている。
有機ケイ素重合体を含有する表層を用いる場合には、有機ケイ素重合体の固着率が90%以上100%以下であることが好ましい。より好ましくは、95%以上である。固着率がこの範囲であれば耐久使用を通じてのマルテンス硬度の変化が小さく、帯電を維持することができる。有機ケイ素重合体の固着率の測定方法は後述する。
[表層について]
トナー粒子が表層を有する場合、表層とはトナーコア粒子を被覆してトナー粒子の最表面に存在する層である。有機ケイ素重合体を含有する表層は従来のトナー粒子に比べてとても硬い。そのため、定着性の観点からトナー粒子表面の一部に表層が形成されていない部分を設けることも好ましい。
ただし、有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが2.5nm以下である分割軸の数の割合(以下、表層の厚み2.5nm以下の割合ともいう)が、20.0%以下であることが好ましい。この条件は、トナー粒子の表面のうち少なくとも80.0%以上が、2.5nm以上の有機ケイ素重合体を含有する表層で構成されていることを近似している。すなわち、本条件を満たすと、有機ケイ素重合体を含有する表層が十分にコア表面を被覆することとなる。より好ましくは10.0%以下である。測定は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察により規定できるが、詳細は後述する。
[有機ケイ素重合体を含有する表層について]
トナー粒子が有機ケイ素重合体を含有する表層を有する場合、式(1)で表される部分構造を有することが好ましい。
R−SiO3/2 式(1)
(Rは炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。)
式(1)の構造を有する有機ケイ素重合体において、Si原子の4個の原子価のうち1個はRと、残り3個はO原子と結合している。O原子は、原子価2個がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si−O−Si)を構成する。有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、−SiO3/2と表現される。この有機ケイ素重合体の−SiO3/2構造は、多数のシロキサン結合で構成されるシリカ(SiO)と類似の性質を有することが考えられる。従って、従来の有機樹脂により表層形成されたトナーに比べて無機物に近い構造のため、マルテンス硬度を高くすることが可能であると考えられる。
さらに、トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の29Si−NMRの測定で得られるチャートにおいて、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する式(1)の構造に帰属されるピーク面積の割合が20%以上であることが好ましい。詳細な測定法は後述するが、これはトナー粒子に含まれる有機ケイ素重合体の中でR−SiO3/2で表される部分構造を、20%以上有していることを近似している。
前述の通り、Si原子の4つの原子価のうち、3つが酸素原子と結合し、さらにそれら酸素原子が別のSi原子と結合することが、−SiO3/2の部分構造の意味である。もし、そのうち酸素1つがシラノール基であったとすると、その有機ケイ素重合体の部分構造はR−SiO2/2−OHで表現される。さらに、酸素2つがシラノール基であれば、その部分構造はR−SiO1/2(−OH)となる。これら構造を比較すると、より多くの酸素原子がSi原子と架橋構造を形成するほうが、SiOで表わされるシリカ構造に近い。そのため−SiO3/2骨格が多いほど、トナー粒子表面の表面自由エネルギーを低くすることができるため、環境安定性及び耐部材汚染に優れた効果がある。
また式(1)で表される部分構造による耐久性と、式(1)中のRの疎水性及び帯電性により、表層よりも内部に存在する、染み出しやすい低分子量(Mw1000以下の)樹脂、低Tg(40℃以下)の樹脂、及び場合によっては離型剤のブリードが抑えられる。
式(1)で表される部分構造のピーク面積の割合は、有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、並びに、有機ケイ素重合体形成時の加水分解、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
式(1)で表される部分構造において、Rは炭素数が1以上6以下の炭化水素基であることが好ましい。これにより帯電量が安定しやすい。特に環境安定性に優れている、炭素数が1以上5以下の脂肪族炭化水素基、又はフェニル基が好ましい。
本実施例において、上記Rは炭素数が1以上3以下の脂肪族炭化水素基であることが、帯電性及びカブリ防止のさらなる向上のためにより好ましい。帯電性が良好であると、転写性が良く転写残トナーが少ないためドラム、帯電部材及び転写部材の汚染が良化する。
炭素数が1以上3以下の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、又はビニル基が好ましく例示できる。環境安定性と保存安定性の観点から、より好ましくは、Rはメチル基である。
有機ケイ素重合体の製造例としては、ゾルゲル法が好ましい。ゾルゲル法は、液体原料を出発原料に用いて加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経てゲル化する方法であり、ガラス、セラミックス、有機−無機ハイブリット、ナノコンポジットを合成する方法に用いられる。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子などの種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
トナー粒子の表層に存在する有機ケイ素重合体は、具体的には、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物の加水分解及び縮重合によって生成されることが好ましい。
この有機ケイ素重合体を含有する表層をトナー粒子に設けることによって、環境安定性が向上し、かつ、長期使用時におけるトナーの性能低下が生じにくく、保存安定性に優れたトナーを得ることができる。
さらに、ゾルゲル法は、液体から出発し、その液体をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に析出させやすくなる。上記微細構造及び形状は反応温度、反応時間、反応溶媒、pHや有機ケイ素化合物の種類及び量などによって調整することができる。
トナー粒子の表層の有機ケイ素重合体は、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
Figure 2020086450
(式(Z)中、Rは、炭素数1以上6以下の炭化水素基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。)
の炭化水素基(好ましくはアルキル基)により疎水性を向上することができ、環境安定性に優れたトナー粒子を得ることができる。また、炭化水素基として芳香族炭化水素基であるアリール基、例えばフェニル基を用いることもできる。Rの疎水性が大きい場合、様々な環境において帯電量変動が大きくなる傾向を示すことから、環境安定性を鑑みてRは炭素数1以上3以下の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。R、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、反応基ともいう)。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合させて架橋構造を形成し、耐部材汚染及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点から、炭素数1〜3のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。また、R、R及びRの加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。本実施例に用いられる有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(Z)中のRを除く一分子中に3つの反応基(R、R及びR)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
上記式(Z)で表される化合物としては以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のメチルシラン。
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシランのような三官能性のシラン。
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランのような三官能性のフェニルシラン。
また、本実施例の効果を損なわない程度に、式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物とともに、以下を併用して得られた有機ケイ素重合体を用いてもよい。一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)又は1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)。例えば以下のようなものが挙げられる。
ジメチルジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリイソシアネートシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジエトキシメトキシシラン、ビニルエトキシジメトキシシラン、ビニルエトキシジヒドロキシシラン、ビニルジメトキシヒドロキシシラン、ビニルエトキシメトキシヒドロキシシラン、ビニルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のビニルシラン。
さらに、トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量は0.5質量%以上10.5質量%以下であることが好ましい。
有機ケイ素重合体の含有量が0.5質量%以上であることで、表層の表面自由エネルギーを更に小さくすることができ、流動性が向上し、部材汚染やカブリの発生を抑制することができる。10.5質量%以下であることで、チャージアップを発生し難くすることができる。有機ケイ素重合体の含有量は有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、有機ケイ素重合体形成時のトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
有機ケイ素重合体を含有する表層とトナーコア粒子は、隙間なく接していることが好ましい。これにより、トナー粒子の表層よりも内部の樹脂成分や離型剤等によるブリードの発生が抑えられ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。表層には上記の有機ケイ素重合体の他に、スチレン−アクリル系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂や各種添加剤などを含有させてもよい。
[結着樹脂について]
トナー粒子は、結着樹脂を含有する。結着樹脂は特段限定されず、従来公知のものを用いることができる。ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂などが好ましい。ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びその他の結着樹脂として、以下の樹脂又は重合体が例示できる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これら結着樹脂は単独又は混合して使用できる。
結着樹脂がカルボキシ基を含有することが帯電性の観点で好ましく、カルボキシ基を含む重合性単量体を用いて製造された樹脂であることが好ましい。例えば、アクリル酸;メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸などのα−アルキル不飽和カルボン酸の誘導体あるいはβ−アルキル不飽和カルボン酸の誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、コハク酸モノアクリロイルオキシエチレンエステル、フタル酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノメタクリロイルオキシエチルエステルなどの不飽和ジカルボン酸モノエステル誘導体など。
ポリエステル樹脂としては、下記に挙げるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させたものを用いることができる。カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸が挙げられる。アルコール成分としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂は、ウレア基を含有したポリエステル樹脂であってもよい。ポリエステル樹脂としては末端などのカルボキシル基はキャップしないことが好ましい。
高温時におけるトナーの粘度変化の改良を目的として結着樹脂が重合性官能基を有していてもよい。重合性官能基としては、ビニル基、イソシアナート基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基が挙げられる。
[架橋剤]
結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。
例えば、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
架橋剤の添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001質量部以上15.000質量部以下であることが好ましい。
[離型剤について]
トナー粒子は、離型剤を含有することが好ましい。トナー粒子に使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸、あるいはその酸アミド、エステル、及びケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ−ン樹脂が挙げられる。なお、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。
離型剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して5.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
[着色剤について]
トナー粒子は、着色剤を含有する。着色剤は特段限定されず、例えば以下に示す公知のものを使用することができる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
またカラーの着色剤としては以下を例に挙げることができる。黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。
パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
必要により、重合阻害性のない物質により着色剤の表面処理を施してもよい。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
[トナー粒子の製造方法について]
トナー粒子の製造方法は公知の手段を用いることができ、混練粉砕法や湿式製造法を用いることができる。粒子径の均一化や形状制御性の観点からは湿式製造法を好ましく用いることができる。さらに、湿式製造法には懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などを挙げることができる。
ここでは懸濁重合法について説明する。まず、結着樹脂を生成するための重合性単量体、着色剤及び必要に応じてその他の添加剤をボールミル、超音波分散機のような分散機を用いてこれらを均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する。(重合性単量体組成物の調製工程)このとき、必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また、離型剤としてのワックスや荷電制御剤、可塑剤などを適宜加えることができる。懸濁重合法における重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適に例示できる。
スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
次に、上記重合性単量体組成物を予め用意しておいた水系媒体中に投入し、高せん断力を有する撹拌機や分散機により、重合性単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズに形成する(造粒工程)。
造粒工程における水系媒体は分散安定剤を含有していることが、トナー粒子の粒径制御、粒度分布のシャープ化、製造過程におけるトナー粒子の合一を抑制するために好ましい。分散安定剤としては、一般的に立体障害による反発力を発現させる高分子と、静電気的な反発力で分散安定化を図る難水溶性無機化合物とに大別される。難水溶性無機化合物の微粒子は、酸やアルカリにより溶解するため、重合後に酸やアルカリで洗浄することにより溶解させて容易に除去することができるため、好適に用いられる。
難水溶性無機化合物の分散安定剤としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、リンのいずれかが含まれているものが好ましく用いられる。より好ましくは、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、リンのいずれかが含まれていることが望まれる。具体的には、以下のものが挙げられる。
リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイド。上記分散安定剤に有機系化合物、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを併用しても構わない。これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.01質量部以上2.00質量部以下使用することが好ましい。
さらに、これら分散安定剤の微細化のため、重合性単量体100質量部に対して、0.001質量部以上0.1質量部以下の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
造粒工程の後、あるいは造粒工程を行いながら、好ましくは50℃以上90℃以下の温度に設定して、重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体の重合を行い、トナー粒子分散液を得る(重合工程)。
重合工程では容器内の温度分布が均一になる様に攪拌操作を行うことが好ましい。重合開始剤を添加する場合、任意のタイミングと所要時間で行うことができる。また、所望の分子量分布を得る目的で重合反応後半に昇温してもよく、さらに、未反応の重合性単量体、副生成物などを系外に除去するために反応後半、または反応終了後に、一部水系媒体を蒸留操作により留去してもよい。蒸留操作は常圧又は減圧下で行うことができる。
懸濁重合法において使用する重合開始剤としては、一般的に油溶性開始剤が用いられる。例えば、以下のものが挙げられる。
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシピバレート、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤。
重合開始剤は必要に応じて水溶性開始剤を併用してもよく、以下のものが挙げられる。過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素。
これらの重合開始剤は単独又は複数を併用して使用でき、重合性単量体の重合度を制御するために、連鎖移動剤、重合禁止剤等をさらに添加し用いることも可能である。
トナー粒子の粒径は、高精細かつ高解像の画像を得るという観点から重量平均粒径が3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。トナーの重量平均粒径は細孔電気抵抗法により測定することができる。例えば「コールター・カウンター Multisizer 3」(ベックマン・コールター(株)製)用いて測定することができる。こうして得られたトナー粒子分散液は、トナー粒子と水系媒体を固液分離する濾過工程へと送られる。
得られたトナー粒子分散液からトナー粒子を得るための固液分離は、一般的な濾過方法で行うことができ、その後トナー粒子表面から除去しきれなかった異物を除去するため、リスラリーや洗浄水のかけ洗いなどによって更に洗浄を行うことが好ましい。十分な洗浄が行なわれた後に、再び固液分離してトナーケーキを得る。その後、公知の乾燥手段により乾燥され、必要であれば分級により所定外の粒径を有する粒子群を分離してトナー粒子を得る。このとき分離された所定外の粒径を有する粒子群は最終的な収率を向上させるために再利用してもよい。
有機ケイ素重合体を有する表層を形成する場合は、水系媒体中でトナー粒子を形成する場合には水系媒体中で重合工程などを行いながら前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加して該表層を形成させることができる。重合後のトナー粒子の分散液をコア粒子分散液として用いて、有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させてもよい。また、混練粉砕法など水系媒体以外の場合には得られたトナー粒子を水系媒体に分散してコア粒子分散液として用いて、前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させることができる。
[トナーの物性の測定方法]
<NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分の分離法>
トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、以下のようにして得ることができる。
トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出し、円筒濾紙中の濾物を40℃で数時間真空乾燥を行って得られたものをNMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分とする。
なお、外添剤などでトナー粒子の表面が処理されている場合は、下記方法によって外添剤を除去し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(容量50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H−9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。この操作により、トナー粒子と外れた外添剤が分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、トナー粒子を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
<式(1)で表される部分構造の確認方法>
トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体における、式(1)で表される部分構造の確認には以下の方法を用いる。
式(1)のRで表される炭化水素基は、13C−NMRにより確認する。(13C−NMR(固体)の測定条件)
装置:JEOL RESONANCE製 JNM−ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
当該方法にて、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si−CH)、エチル基(Si−C)、プロピル基(Si−C)、ブチル基(Si−C)、ペンチル基(Si−C11)、ヘキシル基(Si−C13)またはフェニル基(Si−C)などに起因するシグナルの有無により、式(1)のRで表される炭化水素基を確認する。
<トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体における、式(1)の構造に帰属されるピーク面積の割合の算出方法>
トナー粒子のTHF不溶分の29Si−NMR(固体)測定を、以下の測定条件で行う。
29Si−NMR(固体)の測定条件)
装置:JEOL RESONANCE製 JNM−ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:97.38MHz(29Si)
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
試料回転数:10kHz
コンタクト時間:10ms
遅延時間:2s
積算回数:2000〜8000回
上記測定後に、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記X1構造、X2構造、X3構造、及びX4構造にピーク分離して、それぞれピーク面積を算出する。
X1構造:(Ri)(Rj)(Rk)SiO1/2 式(2)
X2構造:(Rg)(Rh)Si(O1/2 式(3)
X3構造:RmSi(O1/2 式(4)
X4構造:Si(O1/2 式(5)
Figure 2020086450
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Figure 2020086450
Figure 2020086450
(式(2)、(3)及び(4)中のRi、Rj、Rk、Rg、Rh、Rmはケイ素に結合している、炭素数1〜6の炭化水素基などの有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。)
本実施例においては、トナー粒子のTHF不溶分の29Si−NMRの測定で得られるチャートにおいて、前記有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する式(1)の構造に帰属されるピーク面積の割合が20%以上であることが好ましい。
なお、上記式(1)で表される部分構造をさらに詳細に確認する必要がある場合、上記13C−NMR及び29Si−NMRの測定結果と共にH−NMRの測定結果によって同定してもよい。
<透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面観察によって測定される、有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが2.5nm以下の割合の測定方法>
本実施例において、トナー粒子の断面観察は以下の方法により行う。
トナー粒子の断面を観察する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルを透過型電子顕微鏡(JEOL製JEM−2800)(TEM)で1万〜10万倍の倍率に拡大し、トナー粒子の断面を観察する。
結着樹脂と表層材料の原子量の違いを利用し、原子量が大きいとコントラストが明るくなることを利用して確認を行うことができる。材料間のコントラストを付けるためには四酸化ルテニウム染色法及び四酸化オスミウム染色法を用いる。
当該測定に用いた粒子は、上記TEMの顕微鏡写真より得られたトナー粒子の断面から円相当径Dtemを求め、その値が後述の方法により求めたトナー粒子の重量平均粒径D4の±10%の幅に含まれるものとする。
上述のように、JEOL製JEM−2800を用い、加速電圧200kVでトナー粒子断面の暗視野像を取得する。次にGatan社製EELS検出器GIF Quantamを用い、Three Window法によりマッピング像を取得して表層を確認する。
次いで、円相当径Dtemがトナー粒子の重量平均粒径D4の±10%の幅に含まれるトナー粒子1個について、トナー粒子断面の長軸Lと、長軸Lの中心を通りかつ垂直な軸L90の交点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割する。次に、該中心からトナー粒子の表層へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1〜32)、分割軸の長さをRAn、表層の厚みをFRAnとする。
そして、32本存在する各分割軸上における有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが2.5nm以下である分割軸の数の割合を求める。平均化するため、トナー粒子10個の測定を行い、トナー粒子1個あたりの平均値を計算する。
[透過型電子顕微鏡(TEM)写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)]
TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)は以下の方法で求める。まず、1つのトナー粒子に対して、TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径Dtemを下記式に従って求める。
[TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)]=(RA1+RA2+RA3+RA4+RA5+RA6+RA7+RA8+RA9+RA10+RA11+RA12+RA13+RA14+RA15+RA16+RA17+RA18+RA19+RA20+RA21+RA22+RA23+RA24+RA25+RA26+RA27+RA28+RA29+RA30+RA31+RA32)/16
トナー粒子10個の円相当径を求め、粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)とする。
[有機ケイ素重合体を含有する表層の厚み2.5nm以下の割合]
[有機ケイ素重合体を含有する表層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である割合]=〔{有機ケイ素重合体を含有する表層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である分割軸の数}/32〕×100
この計算をトナー粒子10個に対して行い、得られた10個の表層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である割合の平均値を求め、トナー粒子の表層の厚み(FRAn)が2.5nm以下である割合とした。
<トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量の測定>
有機ケイ素重合体の含有量の測定は、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー粒子4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用いる。
有機ケイ素重合体を含まないトナー粒子100質量部に対して、シリカ(SiO)微粉末を0.5質量部添加し、コーヒーミルを用いて充分に混合する。同様にして、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粉末を5.0質量部、10.0質量部それぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi−Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。次に、分析対象のトナー粒子を、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにしてペレットとし、そのSi−Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線からトナー粒子中の有機ケイ素重合体含有量を求める。
<有機ケイ素重合体の固着率の測定方法>
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(容量50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H−9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを含む水溶液を減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥する。乾燥品をスパチュラで解砕し、蛍光X線でケイ素の量を測定する。水洗後のトナーと初期のトナーの測定対象の元素量比から固着率(%)を計算する。
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119−1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は10mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリング直径10mmの中に水洗後のトナーと初期のトナーを約1g入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機を用いて、20MPaで60秒間加圧し、厚さ約2mmに成型したペレットを用いる。錠剤成型圧縮機としては「BRE−32」(前川試験機製作所社製)を用いる。
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。
トナー中の定量方法としては、例えばケイ素量はトナー粒子100質量部に対して、例えば、シリカ(SiO)微粉末を0.5質量部添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、シリカ微粉末を2.0質量部、5.0質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi−Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。次に、分析対象のトナーを、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにしてペレットとし、そのSi−Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線からトナー中の有機ケイ素重合体の含有量を求める。上記方法により算出した初期のトナーの元素量に対して、水洗後のトナーの元素量の比率を求め固着率(%)とした。
(詳細な実施例)
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中及び比較例中の各材料の「部」及び「%」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
[詳細な実施例1]
<水系媒体1の調製工程>
反応容器中のイオン交換水1000.0部に、リン酸ナトリウム(12水和物)(ラサ工業社製)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を投入し、pHを5.0に調整し、水系媒体1を得た。
<表層用有機ケイ素化合物の加水分解工程>
撹拌機、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水60.0部を秤量し、10質量%の塩酸を用いてpHを3.0に調整した。これを撹拌しながら加熱し、温度を70℃にした。その後、表層用有機ケイ素化合物であるメチルトリエトキシシラン40.0部を添加して2時間以上撹拌して加水分解を行った。加水分解の終点は目視にて油水が分離せず1層になったことで確認を行い、冷却して表層用有機ケイ素化合物の加水分解液を得た。
<重合性単量体組成物の調製工程>
・スチレン :50.0部
・カーボンブラック(Nipex35[Orion Engineered Carbon社製]):7.0部
前記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料分散液を調製した。前記顔料分散液に下記材料を加えた。
・スチレン:20.0部
・n−ブチルアクリレート:30.0部
・架橋剤(ジビニルベンゼン):0.3部
・飽和ポリエステル樹脂:5.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比10:12)、ガラス転移温度Tg=68℃、重量平均分子量Mw=10000、分子量分布Mw/Mn=5.12)
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃):7.0部
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
<造粒工程>
水系媒体1の温度を70℃、T.K.ホモミクサーの回転数を12000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて12000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
<重合工程>
造粒工程の後、撹拌機をプロペラ撹拌羽根に換え150rpmで撹拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行ってコア粒子を得た。コア粒子を含むスラリーの温度を55℃に冷却してpHを測定したところ、pH=5.0だった。55℃で撹拌を継続したまま、表層用有機ケイ素化合物の加水分解液を20.0部添加してトナーの表層形成を開始した。そのまま30分保持した後に、水酸化ナトリウム水溶液を用いてスラリーを縮合完結用にpH=9.0に調整して更に300分保持し、表層を形成させた。
<洗浄、乾燥工程>
重合工程終了後、トナー粒子のスラリーを冷却し、トナー粒子のスラリーに塩酸を加えpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキは気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥を行い、更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子1を得た。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
トナー粒子1の断面TEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層にケイ素原子が存在すること、有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子の表層の厚みが2.5nm以下である分割軸の数の割合が、20.0%以下であることを確認した。以降の実施例においても、有機ケイ素重合体を含有する表層は同様のケイ素マッピングで表層にケイ素原子が存在すること、表層の厚み2.5nm以下である分割軸の数の割合が20.0%以下であることを確認した。本実施例においては、得られたトナー粒子1を外添せずにそのままトナー1として用いた。
トナー1について行った評価について、その方法を以下に述べる。
<マルテンス硬度の測定>
硬度とは、物体の表面又は表面近傍の機械的性質の一つであり、異物によって変形や傷を与えられようとするときの、物体の変形しにくさ、物体の傷つきにくさであり、様々な測定方法や定義が存在する。例えば測定方法は測定領域の広さによって使い分けられ、測定領域が10μm以上の場合にはビッカース法、10μm以下の場合にはナノインデンテーション法、1μm以下の場合にはAFMなどと使い分けられることが多い。定義としては、例えば押し込み硬さとしてはブリネル硬度やビッカース硬度、引っ掻き硬さとしてはマルテンス硬度、反発硬さとしてはショア硬度などが使い分けられている。
トナーの測定においては、一般的な粒径は3μm〜10μmであるから、ナノインデンテーション法が好ましく用いられる測定方法である。発明者らの検討によると本実施例の効果を発現するための硬度の規定として、引っ掻き硬さを表すマルテンス硬度が適当であった。これは、トナーが現像機内で金属や外添剤などの硬い物質に引っ掻かれることに対する強さを表し得るのが引っ掻き硬さであるためと考えている。
ナノインデンテーション法にてトナーのマルテンス硬度を測定する方法は市販のISO14577−1に準拠した装置にて、ISO14577−1に規定された押込み試験の手順に従って、得られた荷重−変位曲線から算出することができる。本実施例においては、前記ISO規格に準拠した装置として、超微小押し込み硬さ試験機「ENT−1100b」(株式会社エリオニクス製)を用いた。測定方法は、装置に付属の「ENT1100操作マニュアル」に記載されているが、具体的な測定方法は以下の通りである。
測定環境は、付属の温度調節装置にてシールドケース内を30.0℃に保った。雰囲気温度を一定に保つことは熱膨張やドリフトなどによる測定データのバラつき低減に有効である。設定温度は、トナーが摩擦される現像機近辺の温度を想定した30.0℃の条件とした。試料台は装置に付属の標準試料台を用い、トナーを塗布した後にトナーが分散するように微弱なエアーを吹き付け、その試料台を装置にセットして1時間以上保持してから測定を行った。
圧子には装置に付属の先端が20μm四方の平面である平圧子(チタン製圧子、先端はダイヤモンド製)を用いて測定した。トナーの様に小径かつ球形の物体、外添剤が付着している物体、表面に凹凸が存在する物体においては、尖った圧子を用いると測定精度に大きな影響を与えるため平圧子を用いる。試験の最大荷重は2.0×10−4Nに設定して行う。この試験荷重に設定することで、現像部においてトナー1粒が受けるストレスに相当する条件で、トナーの表層を破壊せずに硬度を測定することが可能である。本実施例においては、耐摩擦性が重要であるから表層を破壊せずに維持したまま硬さを測ることが重要である。
測定対象の粒子としては、装置付属の顕微鏡による測定用画面(視野サイズ:横幅160μm、縦幅120μm)にトナーが単独で存在しているものを選択する。ただし、変位量の誤差を極力無くすため、粒子径(D)が個数平均粒径(D1)の±0.5μmの範囲にあるもの(D1−0.5μm≦D≦D1+0.5μm)を選択する。なお、測定対象粒子の粒径測定は装置付属のソフトを用いてトナーの長径と短径を測定し、[(長径+短径)/2]をもって粒子径D(μm)とした。また、個数平均粒径は「コールター・カウンター Multisizer 3(ベックマン・コールター株式会社製)により後述する方法にて測定する。
測定に際しては、粒子径D(μm)が上記条件を満たす任意のトナー100粒を選んで測定を行う。測定の際に入力する条件は以下の通りである。
試験モード:負荷−除荷試験
試験荷重:20.000mgf(=2.0×10−4N)
分割数:1000step
ステップインターバル:10msec
解析メニュー「データ解析(ISO)」を選択して測定を行うと、測定後に装置付属ソフトでマルテンス硬度が解析され、出力される。トナー100粒について上記測定を行って、その相加平均値を本実施例におけるマルテンス硬度とした。
<固着率の測定方法>
[トナーの物性の測定方法]にて述べた方法により測定を行った。
<プリントアウト評価>
市販のキヤノン製レーザービームプリンタLBP7600Cの改造機を用いた。改造点は、評価機本体及びソフトウェアを変更することにより、現像ローラーの回転速度を1.8倍の周速で回転するように設定した。具体的には、改造前の現像ローラーの回転速度は周速200mm/secであるのを、改造後の回転速度は360mm/secとした。
LBP7600Cのトナーカートリッジに、トナー40gを装填した。そして、そのトナーカートリッジを常温常湿NN(25℃/50%RH)の環境下で24時間放置した。当該環境下で24時間放置後のトナーカートリッジを上記LBP7600Cに取り付けた。
帯電立ち上がりの評価においては、NN環境で、35.0%の印字率画像をA4用紙横方向で4,000枚までプリントアウトした後に評価を行った。帯電立ち上がりの評価は初期にも行った。
<現像スジの評価>
LETTERサイズのXEROX4200用紙(XEROX社製、75g/m)にハーフトーン(トナーの載り量:0.2mg/cm)の画像をプリントアウトし、現像スジの評価をした。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:現像ローラー上にも、画像上にも排紙方向の縦スジは見られない。
B:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが5本以下見られる。または画像上に排紙方向の縦スジがほんの少し見られる。
C:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが6本以上20本以下見られる。または画像上に細かいスジが5本以下見られる。
D:現像ローラー上に21本以上のスジが見られる。または、画像上に1本以上の顕著なスジ、あるいは6本以上の細かいスジが見られる。
<ゴーストの評価>
3cm幅のベタ画像縦ラインとベタ白縦ラインの繰り返しで構成される画像を連続10枚印字させてから、ハーフトーン画像を一枚印字させ、画像上に残る前画像の履歴を目視で判断した。なお、ハーフトーン画像の画像濃度はマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルタを使用して、反射濃度測定を行い反射濃度0.4になるように調整した。
A:ゴースト発生なし。
B:目視で一部に軽微な前画像の履歴が確認できる。
C:目視で一部に前画像の履歴が確認できる。
D:目視で全体的に前画像の履歴が確認できる。
<クリーニング性の評価>
トナーの載り量が0.2mg/cmであるハーフトーン画像を5枚印刷し、評価した。
A:クリーニング不良画像なし、帯電ローラー汚れもなし。
B:クリーニング不良画像なし、帯電ローラー汚れあり。
C:ハーフトーン画像上にクリーニング不良が少し確認できる。
D:ハーフトーン画像上にクリーニング不良が目立つ。
<帯電立ち上がりの評価>
ベタ画像を10枚出力する。10枚目の出力中に強制的にマシンを停止して、規制ブレードを通過した直後の現像ローラー上のトナー帯電量を測定する。現像ローラー上の帯電量の測定は、図6の透視図に示すファラデーケージを用いて行った。内部(図の右側)を減圧状態にして現像ローラー上のトナーが吸い込まれるようにし、トナーフィルター33を設けてトナーを捕集した。なお、31は吸引部であり、32はホルダーである。この捕集したトナーの質量Mとクーロンメーターにて直接測定した電荷Qより、単位質量当たりの電荷量Q/M(μC/g)を計算し、トナー帯電量(Q/M)として、以下の通りランク付けした。
A:−40μC/g未満
B:−40μC/g以上−30μC/g未満
C:−30μC/g以上−20μC/g未満
D:−20μC/g以上
[詳細な実施例2〜実施例12]
“重合工程”における加水分解液を添加するときの条件、及び添加後の保持時間を表1のように変えた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。なお、スラリーのpH調整は塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液で行った。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
[詳細な実施例13〜実施例18]
“表層用有機ケイ素化合物の加水分解工程”において用いる表層用有機ケイ素化合物を表1のように変えた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
[詳細な実施例19〜実施例23]
“重合工程”における加水分解液を添加する時の条件を表1のように変えた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2示す。
[比較例1、比較例2]
“重合工程”における加水分解液を添加する時の条件、及び添加後の保持時間を表1のように変えた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを作製した。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例3]
“表層用有機ケイ素化合物の加水分解工程”は行わなかった。代わりに、表層用有機ケイ素化合物のメチルトリエトキシシラン8部をモノマーのまま“重合性単量体組成物の調製工程”で添加した。
“重合工程”では70℃に冷却してpH測定を行った後、加水分解液の添加を行わなかった。70℃で撹拌を継続したまま、水酸化ナトリウム水溶液を用いてスラリーを縮合完結用にpH=9.0に調整して更に300分保持して表層を形成させた。
それ以外は実施例1と同様の方法でトナーを作製した。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例3において、“重合性単量体組成物の調製工程”で添加するメチルトリエトキシシランを15部に変えた。
それ以外は比較例3と同様の方法でトナーを作製した。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例5]
比較例3において、“重合性単量体組成物の調製工程”で添加するメチルトリエトキシシランを30部に変えた。
それ以外は比較例3と同様の方法でトナーを作製した。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例6]
<結着樹脂1の製造例>
・テレフタル酸 25.0mol%
・アジピン酸 13.0mol%
・トリメリット酸 8.0mol%
・プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2.5mol付加物) 33.0mol%
・エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2.5mol付加物) 21.0mol%上記に示す酸成分及びアルコール成分の合計100部と、エステル化触媒として2−エチルヘキサン酸錫0.02部を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着し、窒素雰囲気下にて230℃に昇温して反応を行った。反応終了後、生成物を容器から取り出し、冷却、粉砕し、結着樹脂1を得た。
<結着樹脂2の製造例>
モノマー組成比及び反応温度を以下の通り変更した以外は、結着樹脂1と同様の方法で、結着樹脂2を作製した。
・テレフタル酸 50.0mol%
・トリメリット酸 3.0mol%
・プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2.5mol付加物) 47.0mol%
・反応温度 190℃
<比較用トナー6の製造例>
結着樹脂1:70.0部
結着樹脂2:30.0部
磁性酸化鉄粒子:90.0部
(個数平均粒径0.14μm、Hc=11.5kA/m、σs=84.0Am/kg、σr=16.0Am/kg)
フィッシャートロプシュワックス(融点105℃):2.0部
荷電制御剤1(下記構造式):2.0部
荷電制御剤1
Figure 2020086450
式中、tBuはtertブチル基を示す。
上記材料をヘンシェルミキサーで前混合した後、ニーディング部を3か所、及びスクリュー部を有する二軸混練押し出し機によって、溶融混練した。この時、供給口に近い第1ニーディング部の加熱温度を110℃、第2ニーディング部の加熱温度を130℃、第3ニーディング部の加熱温度を150℃、パドルの回転数を200rpmで溶融混練した得られた混練物を冷却する。そして、ハンマーミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕し、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径7.0μmのトナー粒子を得た。
トナー粒子100部に対し、疎水性シリカ微粉末(BET140m/g、シランカップリング処理及びシリコーンオイル処理、疎水化度78%)1.0部、及びチタン酸ストロンチウム(D50;1.2μm)3.0部を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、比較用トナー6を得た。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例7]
特開2015−45860号公報の実施例に記載の磁性トナー粒子1を作製した。バインダー中に磁性体がフィラーとして存在し、表面が熱処理されている物である。得られたトナーに対して、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2020086450
Figure 2020086450
[トナーの効果]
以上、表で示される通り、マルテンス硬度を200[MPa]以上1100[Mpa]以下に調整することで、従来のトナーよりも現像部におけるトナーの耐摩耗性が大幅に向上し、印字によるトナートリボの変化を従来に比べ抑制できた。これにより、帯電性の低下した劣化トナーの蓄積量増加をなるべく抑止できるようになる。また、補給かぶりの発生を抑制でき、現像スジ、ゴーストにおいて画像改善が確認できる。
トナートリボの変化が少なくなり、補給かぶりが抑制されると、現像電流測定などの複雑な動作やダウンタイムが不要となる。また、本実施例のような、補給時に現像装置内の古いトナーと補給される新しいトナーがすぐに触れる構成の画像形成装置であっても補給かぶりが発生せずトナー補給時のダウンタイムを大幅に削減できる。
また、マルテンス硬度が200[MPa]よりも低い場合には本実施例の効果が満足に得られないことも表より読み取れる。
〔外添剤〕
上記トナー粒子は、外添せずにトナーとすることもできるが、さらに、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる外添剤である流動化剤、クリーニング助剤などを添加してトナーとしてもよい。
外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子などが挙げられる。あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
トナーは、トナー粒子の表面にポジ帯電粒子を有することが好ましい。ポジ帯電粒子の個数平均粒径は、0.10μm以上1.00μm以下が好ましい。より好ましくは0.20μm以上0.80μm以下である。
この様なポジ帯電粒子を有すると、耐久使用を通して転写効率が良好である事が明らかとなった。当該粒径のポジ帯電粒子であることで、トナー粒子表面で転がり可能であり、感光ドラムと転写ベルトの間で摩擦されてトナーの負帯電が促進され、結果的に転写バイアス印加によるポジ化を抑制しているためと考えられる。本実施例のトナーは表面が硬いことが特徴であり、ポジ帯電粒子がトナー粒子表面に固着又は埋没しにくいため、転写効率を高く維持できる。ポジ帯電粒子の種類としては、ハイドロタルサイト、酸化チタン、及びメラミン樹脂等が好ましい。この中でも特にハイドロタルサイトが好ましい。
また、トナー粒子は、表面に窒化ホウ素を有することも好ましい。トナー粒子表面に窒化ホウ素を存在させる手段としては特に限定されないが、外添により付与する方法が好ましい。トナーのマルテンス硬度が本実施例の範囲であれば、窒化ホウ素を均一に且つ高固着率でトナー粒子表面に存在させることができ、さらに耐久使用を通して固着率の低下が少ないことを見出した。
[変形例]
尚、上記各実施例で説明した場合と比較し、装置の大型化を招くというデメリットはあるものの、トナーボトル12を開口部34に装着した際に、トナーボトル12が装置の外装よりも上外側に突出することなく、装置内部に収納されるようにしても良い。この場合でも、同様に、トナーボトル12より自重によりトナーを現像剤収容室38へと移動させるという簡易化された構成で現像剤の補給を行える。また、実施例3で説明したトナーを用いることで、トナー切れの都度、順次新しいトナーボトル12を用いトナー補給を継続しても、補給かぶりや劣化トナーの蓄積量増加をより抑止できるという相乗効果が得られる。なお、順次新しいトナーボトルを用い補給を行う際に、感光ドラム1や現像装置3等のその他のプロセス手段は交換対象にはなっていないものとする。
1 感光ドラム
2 帯電ローラー
3 現像装置
31 現像ローラー
32 供給ローラー
33 撹拌羽根
34 開口部
35 キャップ
36 シャッター
37 現像剤収容室
38 カバー
4 露光装置
5 転写ローラー
6 カセット
7 給紙ユニット
8 レジストローラー対
9 定着装置
91 定着フィルム
92 加圧ローラー
10 排紙ローラー対
11 前露光装置
12 トナーボトル
13 ファラデーゲージ

Claims (14)

  1. 像担持体と、
    現像剤担持体と、
    移動可能な撹拌部材と、
    前記現像剤担持体を支持すると共に、前記現像剤担持体に供給される現像剤を収容する現像剤収容室を構成する枠体と、を有し、
    前記現像剤担持体が、露光手段により前記像担持体に形成された静電潜像を前記現像剤で現像する画像形成装置であって、
    前記現像剤収容室は、現像剤が封入された現像剤供給用容器を着脱可能に且つ位置決めして取り付ける取り付け口を有し、
    画像形成装置の取り付け口を覆う第1位置と、前記画像形成装置の取り付け口に外部からのアクセスを可能にする第2位置と、の間を移動可能なカバーと、
    前記カバーが前記第2位置にあり、前記現像剤供給用容器が前記取り付け口に装着され、前記現像剤供給用容器の内部と前記現像剤収容室が連通したときに、前記封入された現像剤は自重で前記現像剤収容室に移動し、
    前記現像剤供給用容器が前記取り付け口に装着された状態で、前記現像剤供給用容器の上部は、重力上下方向において、前記第1位置よりも画像形成装置の上外側に位置し、前記カバーは前記現像剤供給用容器が前記取り付け口から取り外された状態で前記第2位置から前記第1位置に移動可能であることを特徴とする画像形成装置。
  2. トナー補給を促す出力を行う出力装置を更に備え、
    前記撹拌部材は、回転可能であり、回転半径内にある現像剤を移動させると共に、前記現像剤担持体に向けて現像剤を送り込み、
    前記枠体の内側の空間において、前記撹拌部材が前記取り付け口に一番近傍に配置される回転移動部材であって、
    前記トナー補給が促された状態から、前記現像剤供給用容器から現像剤の供給がなされた際に、現像剤補給後の前記現像剤収容室の現像剤の剤面は、前記撹拌部材の回転中心よりも重力方向に関し上方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記撹拌部材は、回動可能であり、回転方向と交わる方向に伸びる形状を有し、前記現像剤担持体に向けて現像剤を送り込み、
    前記取り付け口に装着された前記現像剤供給用容器の現像剤の供給口よりも、前記現像剤の自重による移動方向に関し下流で、且つ前記像担持体よりも上流の空間において、一つのみの前記撹拌部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記撹拌部材は、外部の駆動装置からの駆動力により回動することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記カバーが開いた状態、又は前記現像剤供給用容器が、前記取り付け口に取り付けられた状態を検知する制御部を有し、前記制御部は、前記検知に基づき前記画像形成装置の動作を停止させたままにすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 前記現像剤供給用容器に含まれる初期の現像剤の量は、前記現像剤収容室に収容可能な最大の現像剤の量よりも少ないことを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記現像剤供給用容器に含まれる初期の現像剤の量は、
    前記現像剤収容室に収容可能な最大の現像剤の量から、現像剤の補給を促す通知をする際の前記現像剤収容室に含まれる現像剤の量を減じた量よりも少ないことを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記現像剤供給用容器に含まれる初期の現像剤の量は、画像形成時の前記現像剤収容室の姿勢において、前記現像剤担持体の最上点を通る平面より下部にある前記現像剤収容室に収容可能な現像剤量から、現像剤の補給を促す通知をする際に前記現像剤収容室の中に含まれる現像剤の量を減じた量よりも多いことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記現像剤の補給を促す通知の際の前記現像剤の電荷量は、初期の前記現像剤収容室に収納された前記現像剤の電荷量の55%未満であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記現像剤の移動に伴い発生する電流を検知する電流検知手段を有し、
    前記電流検知手段の検知結果により、前記初期の前記現像剤収容室に収納された前記現像剤の電荷量の55%未満であることを判断することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記現像剤は、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定したときのマルテンス硬度が、200MPa以上1100MPa以下であることを特徴とするトナーであることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の画像形成装置。
  12. 前記トナー粒子は有機ケイ素重合体を含有する表層及び前記表層に被覆されているトナーコア粒子を有し、
    該有機ケイ素重合体のケイ素原子に直接結合している炭素原子が、ケイ素原子1個あたり、平均1個以上3個以下であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 前記有機ケイ素重合体の前記トナー粒子に対する固着率が90%以上であることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 像担持体と、
    現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体を支持すると共に、前記現像剤担持体に供給される現像剤を収容する現像剤収容室を構成する枠体とを有し、
    前記現像剤担持体が、露光手段により前記像担持体に形成された静電潜像を前記現像剤で現像する画像形成装置であって、
    前記現像剤収容室は、現像剤が封入された現像剤供給用容器を着脱可能な取り付け口を有し、
    画像形成装置の取り付け口を覆う第1位置と、前記画像形成装置の取り付け口を外部に開放する第2位置と、の間を移動可能なカバーと、
    前記現像剤供給用容器が前記取り付け口に装着され、前記現像剤供給用容器の内部と前記現像剤収容室が連通したときに、前記封入された現像剤は自重で前記現像剤収容室に移動し、
    前記現像剤は、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子を有する現像剤であって、最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定したときのマルテンス硬度が、200MPa以上1100MPa以下であるトナーであることを特徴とする画像形成装置。
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