JP2016194619A - 画像形成装置 - Google Patents

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橋本 和則
Kazunori Hashimoto
和則 橋本
松永 智教
Tomonori Matsunaga
智教 松永
山口 誠士
Seishi Yamaguchi
誠士 山口
俊彦 片倉
Toshihiko Katakura
俊彦 片倉
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Abstract

【課題】現像装置の寿命末期においても、カブリの発生を抑制しつつ、画像濃度の低下を抑制することが可能な画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置100は、感光体ドラム1と、現像剤t、収納部41及び現像ローラ42を備えた現像装置4と、感光体ドラム1及び現像ローラ42をそれぞれ駆動する駆動部を有する。現像剤は有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を備えており、現像時の現像ローラ42の表面の移動速度は感光体ドラム1の表面の移動速度よりも速い。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式などを利用して像担持体に形成した静電像をトナーで現像して画像を形成する画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷などの画像形成装置では、電子写真感光体や静電記録誘電体などの像担持体に形成された静電像(静電潜像)が、現像装置により現像剤としてのトナーが供給されてトナー像として現像される。そして、このトナー像が、最終的に記録材、例えば、記録用紙、OHPシート、布などに転写された後、定着されることで記録画像が得られる。
このような画像形成装置では、トナーの流動性の向上やトナーの帯電性の制御を目的として、トナーに外添剤としてシリカなどの無機微粒子が外添されることが多い(特許文献1)。
特開平6−313980号公報
しかしながら、外添剤を外添したトナーを用いた画像形成装置では、現像装置を繰り返し使用することで徐々に外添剤がトナーの母粒子から遊離したり、外添剤がトナーの母粒子の内部へ埋め込まれたりした状態となることが知られている。このようなトナーの表面からの外添剤の遊離、あるいはトナーの表面への外添剤の埋め込みが生じることを、ここではトナーの「劣化」と呼ぶことがある。
そのため、現像装置の使用初期にはトナーの表面の多くを外添剤が占めているが、現像装置の使用量の増加に従ってトナーの表面にトナーの母粒子を形成する樹脂が出てくる部分が増加してくる。これによって、トナーの帯電性が低下することがあり、画像上の白地部にトナーが付着してしまう所謂カブリの悪化や、現像性(現像効率)、転写性(転写効率)の低下による画像濃度の低下を引き起こしてしまうことがある。
ここで、現像装置には、一般に、トナーを像担持体へと搬送する現像剤担持体としての現像ローラなどが設けられる。この現像剤担持体の表面速度を像担持体の表面速度よりもより大きくすることで、画像濃度の低下を抑制できる。しかし、外添剤を外添したトナーを用いた画像形成装置では、現像剤担持体の表面速度を大きくすればするほど、トナーの劣化を促進する傾向となってしまう。そのため、外添剤を外添したトナーを用いた画像形成装置では、現像装置の寿命末期においてカブリの発生の抑制と画像濃度の低下の抑制との両立が難しくなることがあった。
したがって、本発明の目的は、現像装置の寿命末期においても、カブリの発生を抑制しつつ、画像濃度の低下を抑制することが可能な画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、移動可能な像担持体と、現像剤、前記現像剤を収納する収納部、及び現像時に前記像担持体に接触し前記現像剤を担持して搬送する移動可能な現像剤担持体を備え、前記現像剤担持体により搬送される前記現像剤により前記像担持体上の静電像を現像する現像装置と、前記像担持体及び前記現像剤担持体をそれぞれ駆動する駆動部と、を有する画像形成装置において、前記現像剤は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を備え、前記有機ケイ素重合体は、下記式(T3)で表される部分構造を有し、前記トナー粒子の表面のX線光電子分光分析において、前記トナー粒子の表面の、炭素原子の濃度dC、酸素原子の濃度dO、及びケイ素原子の濃度dSiの合計を100.0原子%としたときに、前記ケイ素原子の濃度dSiが、2.5原子%以上であり、前記現像時の前記現像剤担持体の表面の移動速度は前記像担持体の表面の移動速度よりも速いことを特徴とする画像形成装置。
Figure 2016194619
本発明によれば、現像装置の寿命末期においても、カブリの発生を抑制しつつ、画像濃度の低下を抑制することが可能となる。
画像形成装置の概略断面図である。 現像ローラ及び感光体ドラムの概略断面図である。 TEM観察で得られたトナー粒子断面の模式図である。 トナーのDSC測定で得られたリバーシングヒートフロー曲線を示すグラフ図である。 帯電列の測定方法を説明するための模式図である。 実施例2に係るフローチャート図である。 実施例3に係るフローチャート図である。 画像形成装置の要部の概略制御態様を示すブロック図である。
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置
1−1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を利用したレーザービームプリンタである。
画像形成装置100は、移動可能な像担持体としてのドラム型(円筒形)の電子写真感光体(感光体)である感光体ドラム1を有する。本実施例では、感光体ドラム1は、外径が24mmであり、駆動部の感光体駆動モータM1(図8)によって周速(表面の移動速度)120mm/secで図中矢印A方向に回転駆動される。
感光体ドラム1の周囲には、次の各機器が配置されている。まず、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2が配置されている。また、露光手段としての露光装置(レーザースキャナー)3が配置されている。また、現像手段としての現像装置4が配置されている。また、転写手段としてのローラ型の転写部材である転写ローラ5が配置されている。また、クリーニング手段としてのクリーニング装置6が配置されている。
帯電ローラ2は、感光体ドラム1に接触して配置され、感光体ドラム1の回転に従動して図中矢印D方向に回転する。帯電ローラ2には、帯電バイアス印加手段としての帯電電源(図示せず)によって所定の帯電バイアス(帯電電圧)が印加される。これによって、回転する感光体ドラム1の表面が所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に略一様に帯電させられる。
露光装置3は、入力信号に対応した画像信号に応じて半導体レーザーを発光させ、レーザー光Hを、ポリゴンミラーや結像レンズ群を介して、回転する感光体ドラム1に照射する。これによって、感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。
現像装置4は、感光体ドラム1上に形成された静電像をトナー像として現像する。本実施例の現像装置4は、一成分接触現像装置である。現像装置4は、現像剤を収容する収納部を形成する現像容器41、現像剤担持体としての現像ローラ42、現像剤供給部材としての現像剤供給ローラ43、規制部材としての現像ブレード44を有する。本実施例では、現像容器41は、現像剤として負帯電性の非磁性一成分系現像剤であるトナーtを100g収容する。また、本実施例では、現像ローラ42は、外径が12mmであり、駆動部の現像駆動モータM2(図8)によって周速180mm/secで図中矢印B方向に回転駆動される。本実施例では、感光体ドラム1と現像ローラ42との対向部(現像部)において、感光体ドラム1と現像ローラ42のそれぞれの表面の移動方向は同じである。現像ローラ42には、現像バイアス印加手段としての現像電源(図示せず)によって、所定の現像バイアス(現像電圧)が印加される。本実施例では、現像ローラ42は、感光体ドラム1に接触して配置される。また、現像剤供給ローラ43は、外径が13mmであり、周速165mm/secで図中矢印C方向に回転駆動される。現像剤供給ローラ43は、現像ローラ42に接触して配置され、現像ローラ42上に残ったトナーtを剥ぎ取りつつ、現像容器41内のトナーtを現像ローラ42上に供給する。また、現像ブレード44は、現像ローラ42上のトナーtの層厚を適正化するための層厚規制機能と、トナーtに所定の電荷を付与する機能とを有する。本実施例では、現像装置4は、反転現像方式で感光体ドラム1上にトナー像を形成する。すなわち、略一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光体ドラム1上の露光部に、感光体ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーが付着する。
転写ローラ5は、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を、被転写体としての記録用紙などの記録材P上に転写させる。転写ローラ5は、感光体ドラム1に接触して配置され、感光体ドラム1の回転に従動して図中矢印E方向に回転する。転写ローラ5には、転写バイアス印加手段としての転写電源(図示せず)によって、現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)とは逆極性の直流電圧である転写バイアス(転写電圧)が印加される。記録材Pは、搬送部10によって、感光体ドラム1上のトナー像と同期がとられて、感光体ドラム1と転写ローラ5との接触部である転写部(転写ニップ)Nに搬送されてくる。搬送部10は、記録材Pを収納するカセット11、カセット11から記録材Pを送り出して搬送する搬送ローラ対12、記録材Pの斜行の補正やトナー像とのタイミング合わせを行うレジストローラ対13などを有する。
クリーニング装置6は、転写工程時に記録材Pに転写されずに感光体ドラム1上に残ったトナー(転写残トナー)を感光体ドラム1上から除去して回収する。クリーニング装置6は、感光体ドラム1に当接して配置されたクリーニング部材としてのクリーニングブレード61によって、回転する感光体ドラム1上から転写残トナーを掻き取り、廃トナー収納部62に収納する。
トナー像が転写された記録材Pは、定着装置8へと搬送される。定着装置8は、熱及び圧力によってトナー像を記録材P上に定着させる。トナー像が定着された記録材Pは、排出口9から画像形成装置100の装置本体110の外部に排出される。
本実施例では、感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びクリーニング装置6とは、装置本体110に対し着脱可能なプロセスカートリッジ7として一体化されている。
本実施例では、感光体ドラム1の表面電位は、ベタ白画像部(非印字部)が−500V、ベタ画像部(印字部)が−100Vに設定されている。そのため、本実施例では、帯電バイアスとして、帯電ローラ2に直流の−1000Vを印加する。また、本実施例では、現像バイアスとして、現像ローラ42に直流の−300Vを印加する。また、本実施例では、現像ブレードバイアスとして、現像ブレード44に直流の−500Vを印加する。
図8は、本実施例の画像形成装置100の要部の概略制御態様を示す。画像形成装置100には、画像形成装置100の各部を統括的に制御する制御部120が設けられている。制御部120は、制御手段としての演算処理を行う中心的素子であるCPU121、記憶手段としての記憶素子(記憶部)であるROM、RAMなどのメモリ122などを有して構成される。RAMには、センサの検出結果、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。本実施例との関係では、制御部120には、装置本体110に設けられた感光体駆動モータM1、現像駆動モータM2の他、画像形成に係る多くの被制御対象が接続されている。本実施例では、感光体駆動モータM1、現像駆動モータM2、各モータから感光体ドラム1、現像ローラ42へと駆動を伝達するギア列(図示せず)などによって、感光体ドラム1及び現像ローラ42をそれぞれ駆動する駆動部が構成される。制御部120は、パーソナルコンピュータなどの外部ホスト機器からの画像情報に応じて画像形成装置100の各部を制御し、記録材Pに画像を形成して出力する動作を実行させる。
1−2.現像ローラ
次に、本実施例における現像ローラ42について更に説明する。図2(a)は、本実施例における現像ローラ42の概略断面図である。本実施例では、現像ローラ42は、軸芯体42aの外周上に、導電性ゴム材料からなる弾性層42bと、表面層42cと、を下からこの順番で有する。
本実施例では、軸芯体42aは、直径6mmのステンレス製の円柱である。軸芯体(導電性基体)42aを構成する材料としては、ステンレスの他にも、例えば鉄、アルミニウム、チタン、銅及びニッケルなどの金属や、これらの金属を含むステンレス、ジュラルミン、真鍮及び青銅などの合金が挙げられる。
弾性層42bは、通常、ゴム材料の成型体により形成されることが好ましい。ゴム材料としては、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、ウレタンゴム。これらは単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。この中でも、特に、長期にわたり他の部材(現像ブレードなど)が当接した場合にも圧縮永久歪みを弾性層42bに生じさせにくいシリコーンゴムが好ましい。本実施例では、弾性層42bの材料としてシリコーンゴムを用い、弾性層42bの厚さは3mmとした。また、本実施例では、弾性層42bの材料中には、導電性付与剤として、カーボンブラックが含有されている。
本実施例では、表面層42cは、ウレタン樹脂に、導電性付与剤としてのカーボンブラックと、粗し粒子としての架橋ウレタンビーズと、を含有させて構成されており、表面層42cの厚さは10μmとした。
1−3.感光体ドラム
次に、本実施例における感光体ドラム1について更に説明する。図2(b)は、本実施例における感光体ドラム1の概略断面図である。本実施例では、感光体ドラム1は、支持体1aの外周上に、導電層1bと、下引き層1cと、電荷発生層1dと、電荷輸送層1eと、を下からこの順番で有する。
本実施例では、支持体1aは、長さ257mm、直径24mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)である。また、本実施例では、導電層1bは、金属酸化物粒子及びフェノール樹脂を含有して構成されており、導電層1bの厚さ(膜厚)は28μmとした。また、本実施例では、下引き層1cは、ポリアミド樹脂を含有して構成されており、下引き層1cの厚さ(膜厚)は0.65μmとした。また、本実施例では、電荷発生層1dは、ヒドロキシフタロシアニン結晶とブチラール樹脂を含有して構成され、電荷発生層1dの厚さ(膜厚)は0.2μmとした。また、本実施例では、電荷輸送層1eは、電荷輸送物質とポリエステル樹脂とを9/10の比率で含有して構成されている。また、本実施例では、電荷輸送層1eは、更にレベリング剤として、末端シロキサン変性ポリカボネート樹脂を電荷輸送物質とポリエステル樹脂に対して2wt%含有して構成されている。本実施例では、電荷輸送層1eの厚さ(膜厚)は15μmとした。
2.トナー
2−1.トナーの特徴
次に、本実施例におけるトナーについて更に説明する。本実施例の現像装置4で用いられるトナーは、有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー(トナー粒子)である。上記有機ケイ素重合体は、下記式(T3)で表される部分構造(以下、「T3構造」ともいう。)を有することにより、有機構造による疎水性を向上させることができ、環境安定性に優れたトナーを得ることができる。
Figure 2016194619
また、有機ケイ素重合体のT3構造による耐久性と、上記式(T3)中のRの疎水性及び帯電性により、次の効果が得られる。つまり、表層よりも内部に存在する、染み出しやすい低分子量(Mw1000以下)樹脂、及び低Tg(40℃以下)樹脂、並びに、場合によっては離型剤のブリードが抑えられる。その結果、トナーの撹拌性が良化し、保存安定性、並びに、印字率が30%以上の高印字率画像出力を繰り返し行う場合の環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。
上記トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の29Si−NMRの測定において、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、上記式(T3)で表される部分構造のピーク面積の割合「ST3」が、ST3≧0.40の関係を満たすことが好ましい。上記ST3≧0.40の関係を満たすことで、トナー粒子の表面の表面自由エネルギーを低くすることができるため、環境安定性及び耐部材汚染に優れた効果がある。
ST3に関し、1.00≧ST3≧0.40の関係を満たすことが好ましく、0.80≧ST3≧0.50の関係を満たすことがより好ましい。帯電性、耐久性の観点からST3は、1.00以下であることが好ましく、0.90以下であることがより好ましく、0.80以下であることがさらに好ましい。
ST3は、有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、並びに、有機ケイ素重合体形成時の加水分解、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の29Si−NMRの測定において、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する、ケイ素に結合するO1/2の数が2.0である構造(以下、「X2構造」ともいう。)のピーク面積の割合「SX2」と上記ST3が、ST3/SX2≧1.00の関係を満たすことが好ましい。
上記ST3がSX2に比べて同等又はそれ以上であることにより、シロキサン構造の架橋構造による耐久性と帯電性のバランスが良好になる。そのため、環境安定性、保存安定性や現像耐久性により優れ、様々な環境においてもカブリや画像濃度安定性に優れている。より好ましくは、ST3/SX2≧1.50の関係を満たすことであり、さらに好ましくは、ST3/SX2≧2.00の関係を満たすことである。
ST3/SX2の値は、有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、並びに、有機ケイ素重合体形成時の加水分解、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
上記式(T3)で表される部分構造において、Rは炭素数が1以上6以下のアルキル基又はフェニル基である。Rの疎水性が大きいと様々な環境において帯電量変動が大きくなる傾向がある。特に環境安定性に優れている、炭素数が1以上5以下のアルキル基が好ましい。
上記Rは炭素数が1以上3以下のアルキル基であることが、帯電性及びカブリ防止のさらなる向上のためにより好ましい。帯電性が良好であると、転写性が良く転写残トナーが少ないため感光体、帯電部材及び転写部材の汚染が良化する。
炭素数が1以上3以下の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、又はプロピル基が好ましく例示できる。さらに好ましくは、環境安定性と保存安定性の観点から、Rはメチル基である。
有機ケイ素重合体の代表的な製造例としては、ゾルゲル法と呼ばれる方法が挙げられる。ゾルゲル法は、金属アルコキシドM(OR)n(M:金属、O:酸素、R:炭化水素、n:金属の酸化数)を出発原料に用いて、溶媒中で加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経て、ゲル化する方法である。ゾルゲル法は、ガラス、セラミックス、有機−無機ハイブリット、ナノコンポジットを合成する方法に用いられる。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子などの種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
トナー粒子の表層に存在する有機ケイ素重合体は、具体的には、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物の加水分解及び縮重合によって生成されることが好ましい。
この有機ケイ素重合体を含有する表層をトナー粒子に均一に設けることによって、環境安定性が向上し、かつ、長期使用時におけるトナーの性能低下が生じにくく、保存安定性に優れたトナーを得ることができる。これにより、従来のトナーのように、外添剤として無機微粒子の固着や付着を行わなくてもよくなる。
さらに、ゾルゲル法は、溶液から出発し、その溶液をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に析出させやすくなる。
しかしながら、有機ケイ素化合物の疎水性が大きい場合(例えば有機ケイ素化合物の炭化水素基の炭素数が6を超える炭化水素基である場合)、トナー粒子の表面上に、トナー粒子の重量平均粒径(μm)の1/10以下である凝集体を形成しやすい傾向がある。一方、有機ケイ素化合物の炭化水素基の炭素数が0の場合には疎水性が弱くなるため、トナーの帯電安定性が悪化する。上記微細構造及び形状は反応温度、反応時間、反応溶媒、pHや有機金属化合物の種類及び量などによって調整することができる。
このように、本実施例におけるトナー粒子は、上記式(T3)で表される部分構造を有する有機ケイ素重合体を含有する表層を有する。
上記有機ケイ素重合体は、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物を重合させて得られる有機ケイ素重合体であることが好ましい。
Figure 2016194619
1のアルキル基又はフェニル基により疎水性を向上することができ、環境安定性に優れたトナー粒子を得ることができる。R1としては、炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。R1の疎水性が大きい場合、様々な環境において帯電量変動が大きくなる傾向を示すことから、環境安定性を鑑みて、R1は炭素数1以上3以下のアルキル基であることがより好ましい。
炭素数が1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、又はプロピル基が好ましく例示できる。また、R1としてフェニル基も好ましく例示できる。この場合、帯電性及びカブリ防止が良好となる。さらに好ましくは、環境安定性と保存安定性の観点から、R1はメチル基である。
2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、「反応基」ともいう)。これらの反応基で加水分解、付加重合及び縮合重合させて架橋構造を形成し、耐部材汚染及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点から、アルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。また、R2、R3及びR4の加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(Z)中のR1を除く一分子中に3つの反応基(R2、R3及びR4)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
また、有機ケイ素重合体の含有量は、トナー粒子中に0.50質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、0.75質量%以上40.00質量%以下であることがより好ましい。
上記式(Z)としては以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のメチルシラン。
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシランのような三官能性のシラン。
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランのような三官能性のフェニルシラン。
有機ケイ素重合体において、式(T3)で表わされるT単位構造は、有機ケイ素重合体中に50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは60モル%以上である。式(T3)で表わされるT単位構造の含有量を50モル%以上とすることによって、さらにトナーの環境安定性を向上させることができる。
また、本実施例の効果を損なわない程度に、式(T3)で表わされるT単位構造を有する有機ケイ素化合物とともに、次の有機ケイ素重合体を用いてもよい。一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)又は1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)を併用して得られた有機ケイ素重合体である。併用してもよい有機ケイ素化合物としては以下のようなものが挙げられる。
ジメチルジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン;ビニルトリイソシアネートシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジエトキシメトキシシラン、ビニルエトキシジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメトキシジクロロシラン、ビニルエトキシジクロロシラン、ビニルジメトキシクロロシラン、ビニルメトキシエトキシクロロシラン、ビニルジエトキシクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジアセトキシメトキシシラン、ビニルジアセトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジメトキシシラン、ビニルアセトキシメトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジエトキシシラン、ビニルトリヒドロキシシラン、ビニルメトキシジヒドロキシシラン、ビニルエトキシジヒドロキシシラン、ビニルジメトキシヒドロキシシラン、ビニルエトキシメトキシヒドロキシシラン、ビニルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のビニルシラン。
アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリアセトキシシラン、アリルトリヒドロキシシラン、のような三官能性のアリルシラン。
t−ブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルメトキシシラン、t−ブチルジメチルエトキシシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、t−ブチルジフェニルメトキシシラン、t−ブチルジフェニルエトキシシラン、クロロ(デシル)ジメチルシラン、メトキシ(デシル)ジメチルシラン、エトキシ(デシル)ジメチルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、メトキシジメチルフェニルシラン、エトキシジメチルフェニルシラン、クロロトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、トリフェニルクロロシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、クロロメチル(ジクロロ)メチルシラン、クロロメチル(ジメトキシ)メチルシラン、クロロメチル(ジエトキシ)メチルシラン、ジ−tert−ブチルジクロロシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジブチルジクロロシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジクロロデシルメチルシラン、ジメトキシデシルメチルシラン、ジエトキシデシルメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジクロロ(メチル)−n−オクチルシラン、ジメトキシ(メチル)−n−オクチルシラン、ジエトキシ(メチル)−n−オクチルシラン。
一般的に、ゾルゲル反応では、反応媒体の酸性度によって生成するシロキサン結合の結合状態が異なることが知られている。具体的には、反応媒体が酸性である場合には、水素イオンが1つの反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))の酸素に親電子的に付加する。次に、水分子中の酸素原子がケイ素原子に配位して、置換反応によってヒドロシリル基になる。水が十分に存在している場合には、H+1つで反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))の酸素を1つ攻撃するため、反応媒体中のH+の含有率が少ないときには、ヒドロキシ基への置換反応が遅くなる。よって、ケイ素原子に付いた反応基のすべてが加水分解する前に縮重合反応が生じ、比較的容易に、一次元的な線状高分子や二次元的な高分子が生成しやすい。
一方、反応媒体がアルカリ性の場合には、水酸化物イオンがケイ素に付加して5配位中間体を経由する。そのため全ての反応基(例えば、アルコキシ基(−OR基))が脱離しやすくなり、容易にシラノール基に置換される。特に、同一ケイ素原子に3個以上の反応基を有するケイ素化合物を用いた場合には、加水分解及び縮重合が3次元的に生じて、3次元の架橋結合の多い有機ケイ素重合体が形成される。また、反応も短時間で終了する。
したがって、有機ケイ素重合体を形成するには、反応媒体がアルカリ性の状態でゾルゲル反応を進めることが好ましく、水系媒体中で製造する場合には、具体的には、pH8.0以上であることが好ましい。これによって、より強度の高い、耐久性に優れた有機ケイ素重合体を形成することができる。また、ゾルゲル反応は、反応温度90℃以上、かつ、反応時間5時間以上で行うことが好ましい。
このゾルゲル反応を上記反応温度及び反応時間で行うことによって、トナー粒子の表面のゾルやゲルの状態のシラン化合物同士が結合した合一粒子の形成を抑制することができる。
さらに、本実施例の効果を損なわない程度に、上記有機ケイ素化合物とともに、有機チタン化合物や有機アルミ化合物を用いてもよい。
有機チタン化合物としては、以下のものが挙げられる。チタンメトキサイド、チタンエトキサイド、チタンn−プロポキサイド、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、チタンイソブトキサイド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、チタンラクテート、チタンメタクリレートイソプロポキサイド、トリイソプロポキシチタネート、チタンメトキシプロポキサイド、チタンステアリルオキサイド。
有機アルミ化合物としては、以下のものが挙げられる。アルミニウム(III)n−ブトキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイド、アルミニウム(III)s−ブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム(III)t−ブトキサイド、アルミニウム(III)ジ−s−ブトキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)ジイソプロポキサイドエチルアセトアセテート、アルミニウム(III)エトキサイド、アルミニウム(III)エトキシエトキシエトキサイド、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム(III)3−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピロネート、アルミニウム(III)イソプロポキサイド、アルミニウム−9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキサイド、アルミニウム(III)2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムフェノキサイド、アルミニウム(III)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート。
なお、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。これらを適宜に組み合わせたり、添加量を変えたりすることで、帯電量を調節することができる。
トナー粒子の表層(表面層、最表層)のX線光電子分光分析(ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を用いた測定において、トナー粒子の表層における、ケイ素原子の濃度dSiと酸素原子の濃度dOと炭素原子の濃度dCの合計(dSi+dO+dC)に対するケイ素原子の濃度dSi(dSi/[dSi+dO+dC])が、2.5原子%以上であることが好ましく、より好ましくは5.0原子%以上であり、さらに好ましくは10.0原子%以上である。ここで、上記ケイ素原子の濃度dSiと酸素原子の濃度dOと炭素原子の濃度dCの合計(dSi+dO+dC)を100.0原子%としている。
上記ESCAは、トナー粒子の表面からトナー粒子の中心(長軸の中点)に数nmの厚さで存在する表層の元素分析を行うものである。このトナー粒子の表層におけるケイ素原子の濃度(dSi/[dSi+dO+dC])が2.5原子%以上あることで、表層の表面自由エネルギーを小さくすることができる。上記ケイ素原子の濃度を2.5原子%以上に調整することによって、流動性がさらに向上し、部材汚染やカブリの発生をより抑制することができる。
一方、上記トナー粒子の表層におけるケイ素原子の濃度(dSi/[dSi+dO+dC])は、帯電性の観点より、33.3原子%以下であることが好ましい。より好ましくは28.6原子%以下である。
上記トナー粒子の表層におけるケイ素原子の濃度は、上記式(T3)中のRの構造、有機ケイ素重合体形成時のトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の含有量によっても制御することができる。なお、トナー粒子の表層とは、トナー粒子の表面からトナー粒子中心(長軸の中点)に向かって0.0nm以上10.0nm以下の厚さで存在する層を意味する。
トナー粒子の表層のX線光電子分光分析(ESCA)を用いた測定において、ケイ素原子の濃度dSi(原子%)の炭素原子の濃度dC(原子%)に対する比[dSi/dC]が、0.15以上5.00以下であることが好ましい。[dSi/dC]を上記範囲とすることで、表面自由エネルギーを小さくすることができ、保存安定性及び耐部材汚染に効果がある。保存安定性及び耐部材汚染をより良化するために、[dSi/dC]は0.20以上4.00以下であることがより好ましく、0.30以上であることがさらに好ましい。
また、ケイ素原子の濃度dSi(原子%)の炭素原子の濃度dC(原子%)に対する比[dSi/dC]が0.15未満の場合、次のようになる。つまり、トナー粒子の表層の炭素量が相対的に多くなり、表面自由エネルギーが大きくなるため粒子同士の凝集や部材との親和性が強くなり部材汚染が悪化する傾向にある。一方、[dSi/dC]が5.00を超える場合は、炭素原子に起因する疎水性が少なくなりすぎ環境安定性が悪くなる傾向がある。なお、[dSi/dC]は、上記式(T3)中のRの構造、有機ケイ素重合体形成時のトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
トナー粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察において、次の条件を満たすことが好ましい(図3参照)。つまり、トナー粒子断面の長軸Lと、長軸Lの中心を通りかつ垂直な軸L90の交点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割する。そして、上記中心からトナー粒子の表面へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1〜32)とする。このときに、上記分割軸上の32箇所のトナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.が5.0nm以上150.0nm以下であることが好ましい。つまり、トナー粒子の断面の最大径である長軸Lの中点を通り、且つ、上記中点における交差角が均等(交差角は11.25°)になるように上記断面を横断する直線を16本引く。これにより上記中点からトナー粒子の表面まで32本の線分が形成されたとき、上記32本の線分上において、有機ケイ素重合体を含有する表面層の平均厚みDav.が、5.0nm以上であることが好ましい。有機ケイ素重合体を含有する表層とトナー粒子表層以外の部分(いわゆる芯部分)は、隙間なく接していることが好ましい。換言すれば特開2001−75304号公報に開示されているような粒状塊の被覆層でないことが好ましい。これにより、トナー粒子の表層よりも内部の樹脂成分や離型剤などによるブリードの発生が抑えられ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。
保存安定性の観点から、トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.は7.5nm以上125.0nm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは10.0nm以上100.0nm以下である。トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.が5.0nm未満ではトナー粒子中の樹脂成分や離型剤などによるブリードが発生しやすい。そのため、トナー粒子の表面性が変化して環境安定性、現像耐久性が悪くなる傾向がある。トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.が150.0nmを超える場合では低温定着性が悪くなる傾向がある。
上記トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.は、次のようにして制御することができる。つまり、有機ケイ素重合体形成時におけるトナー粒子の製造方法、上記式(T3)中の炭化水素基の炭素数、親水性基の数、有機ケイ素重合体形成時の付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の含有量で制御することもできる。
トナー粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察において、次の条件を満たすことが好ましい(図3参照)。つまり、トナー粒子断面の長軸Lと、長軸Lの中心を通りかつ垂直な軸L90の交点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割する。そして、上記中心からトナー粒子の表面へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1〜32)とする。このときに、32本存在する各分割軸上におけるトナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが5.0nm以下である分割軸の数の割合を、「有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが5.0nm以下の割合」とする。この有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが5.0nm以下の割合は、20.0%以下であることが好ましく、より好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下である。
有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが5.0nm以下の割合が上記範囲内である場合、トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層よりも内部の樹脂成分や離型剤などによるブリードの発生を低減することができる。そのため、環境安定性、保存安定性や現像耐久性が良化する。また、有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが5.0nm以下の割合が20.0%以下であることで、様々な環境においてもカブリや画像濃度安定性に優れたトナーを得ることができる。
上記有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが5.0nm以下の割合は、次のようにして制御することができる。つまり、有機ケイ素重合体形成時におけるトナー粒子の製造方法、上記式(T3)中の炭化水素基の炭素数、親水性基の数、有機ケイ素重合体形成時の付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。また、有機ケイ素重合体の含有量で制御することもできる。
2−2.トナーの製造方法
次に、トナー粒子の製造方法について説明する。
以下、有機ケイ素重合体をトナー粒子の表層に含有させる具体的態様について説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
第一製法としては、次の態様が挙げられる。有機ケイ素重合体を形成するための有機ケイ素化合物、及び、結着樹脂を形成するための重合性単量体を含有する重合性単量体組成物の粒子を水系媒体中で形成する。そして、重合性単量体を重合させることによってトナー粒子を得る。この態様を、以下、「懸濁重合法」ともいう。
第二製法としては、先にトナー粒子母体を得た後、トナー粒子母体を水系媒体中に投入して、水系媒体中でトナー粒子母体に有機ケイ素重合体の表層を形成する態様が挙げられる。トナー粒子母体は、結着樹脂を溶融混練し、粉砕することによって得られるものであってよい。あるいは、トナー粒子母体は、結着樹脂粒子を水系媒体中で凝集し、会合することによって得られたものであってもよい。あるいは、トナー粒子母体は、結着樹脂を有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁させ、粒子を形成(造粒)し、重合させた後に有機溶媒を除去することによって得られたものであってよい。
第三製法としては、結着樹脂、及び有機ケイ素重合体を形成するための有機ケイ素化合物を有機溶媒に溶解し、製造された有機相分散液を水系媒体中に懸濁させ粒子を形成(造粒)し、重合させた後に有機溶媒を除去してトナー粒子を得る態様が挙げられる。
第四製法としては、結着樹脂粒子、及びゾル又はゲル状態の有機ケイ素重合体を形成するための有機ケイ素化合物含有粒子を、水系媒体中で凝集し、会合してトナー粒子を形成する態様が挙げられる。
第五製法としては、次の態様が挙げられる。トナー粒子母体の表面に、有機ケイ素重合体を形成するための有機ケイ素化合物を含有する溶媒をスプレードライ法によりトナー粒子母体表面に噴射する。そして、熱風及び冷却により表面を重合又は乾燥させて、有機ケイ素重合体をトナー粒子の表層に形成する。トナー粒子母体は、結着樹脂を溶融混練し、粉砕して得られるものであってよい。あるいは、トナー粒子母体は、結着樹脂粒子を、水系媒体中で凝集し、会合して得てもよい。あるいは、トナー粒子母体は、結着樹脂を有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁させ、粒子を形成(造粒)し、重合させた後に有機溶媒を除去して得てもよい。
これらの製造方法によって製造されたトナー粒子は、有機ケイ素重合体がトナー粒子の表面近傍で形成されるため、環境安定性(特に、過酷環境下での帯電性)が良好となる。また、過酷環境下においてもトナー内部に存在する樹脂や、必要に応じて添加される離型剤のブリードによるトナー粒子の表面状態の変化が抑制される。
得られたトナー粒子又はトナーを、熱風を用いて表面処理してもよい。熱風を用いてトナー粒子又はトナーの表面処理を行うことによって、トナー粒子の表面近傍の有機ケイ素重合体の縮重合を促進して、環境安定性と現像耐久性を向上させることができる。
上記熱風を用いた表面処理としては、熱風でトナー粒子又はトナーの表面を処理することができ、かつ、熱風で処理されたトナー粒子又はトナーを冷風で冷却できる方式を採用できる手段であればどのようなものであってもよい。
熱風を用いた表面処理を行う装置としては、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック工業(株)製)が挙げられる。
上記製造方法において水系媒体とは、以下のものが挙げられる。水;メタノール、エタノール、及びプロパノールのようなアルコール類、並びに、これらの混合溶媒である。
トナー粒子の製造方法として、上述した製造方法の中でも、第一製法である懸濁重合法が好ましい。懸濁重合法では有機ケイ素重合体がトナー粒子の表面に均一に析出しやすく、表層と内部との接着性に優れ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性が良好になる。以下、懸濁重合法についてさらに説明する。
上記重合性単量体組成物には、必要に応じて着色剤、離型剤、極性樹脂、及び低分子量樹脂を添加してもよい。また、重合工程終了後は、生成した粒子を洗浄、濾過により回収し、乾燥させてトナー粒子を得る。なお、上記重合工程の後半に昇温してもよい。さらに、未反応の重合性単量体又は副生成物を除去するために、重合工程後半又は重合工程終了後に一部分散媒体を反応系から留去することも可能である。
なお、以下に記載される材料は、懸濁重合法にのみ適用されるものではなく、上記他の製法にも適用できるものである。
上記懸濁重合法における重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適に例示できる。スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
上記重合性単量体の重合に際して、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系、又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのような過酸化物系重合開始剤。これらの重合開始剤は、重合性単量体に対して0.5質量%以上30.0質量%以下の添加が好ましく、単独でも又は併用してもよい。
トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールするために、重合性単量体の重合に際して、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤の添加量としては、重合性単量体の0.001質量%以上15.000質量%以下であることが好ましい。
一方、トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールするために、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。
ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
また、多官能の架橋剤としては以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート。架橋剤の添加量としては、重合性単量体に対して0.001質量%以上15.000質量%以下であることが好ましい。
上記重合性単量体の重合の際に用いられる媒体が水系媒体の場合には、重合性単量体組成物の粒子の水系媒体中での分散安定剤として以下のものを使用することができる。
無機分散安定剤として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。
また、有機系分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンが挙げられる。
さらに、市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
難水溶性無機分散安定剤を用い、水系媒体を調製する場合に、これらの分散安定剤の添加量は重合性単量体100.0質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。また、重合性単量体組成物100質量部に対して300質量部以上3,000質量部以下の水を用いて水系媒体を調製することが好ましい。
上記のような難水溶性無機分散剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定剤をそのまま用いてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散安定剤を得るためには、水のような液媒体中で、高速撹拌下、難水溶性無機分散剤を生成させてもよい。具体的には、リン酸三カルシウムを分散安定剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することで、好ましい分散安定剤を得ることができる。
トナー粒子に用いられる結着樹脂は、特段限定されず、従来公知のものを用いることができる。トナー粒子に用いられる結着樹脂はビニル系樹脂、ポリエステル樹脂などが好ましく例示できる。ビニル系樹脂は前述したビニル系重合性単量体の重合により生成するとよい。例えば、ビニル系樹脂は、環境安定性に優れている。また、ビニル系樹脂は、上記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物を重合させて得られる有機ケイ素重合体のトナー粒子の表面への析出性、表面均一性、長期保存安定性に優れているため好ましい。
一方、ポリエステル樹脂としては、下記に挙げるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させたものを用いることができる。
カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸が挙げられる。
アルコール成分としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂は、ウレア基を含有したポリエステル樹脂であってもよい。
一方、上記ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びその他の結着樹脂として、以下の樹脂又は重合体が例示できる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これら結着樹脂は単独あるいは混合して使用できる。
高温時におけるトナーの粘度変化の改良を目的として樹脂が重合性官能基を有していてもよい。重合性官能基としては、ビニル基、イソシアナート基、エポキシ基、アミノ基、カルボン酸基、ヒドロキシ基が挙げられる。
トナー粒子は、極性樹脂を含有してもよい。この極性樹脂としては、飽和又は不飽和のポリエステル樹脂が好ましく例示できる。当該ポリエステル樹脂としては、下記に挙げるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させたものを用いることができる。
カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸が挙げられる。
アルコール成分としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、上記ポリエステル樹脂は、ウレア基を含有したポリエステル樹脂であってもよい。
極性樹脂の重量平均分子量は、4,000以上100,000未満であることが好ましい。また、極性樹脂の含有量は、トナー粒子に含有される結着樹脂成分を基準として、3.0質量%以上70.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは3.0質量%以上50.0質量%以下であり、さらに好ましくは5.0質量%以上30.0質量%以下である。
トナー粒子を構成する材料の1つとして、離型剤を含有することが好ましい。上記トナー粒子に使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸、又はその酸アミド、エステル、若しくはケトン;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス;シリコ−ン樹脂が挙げられる。上記誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。
なお、離型剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して5.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。この着色剤としては、特に限定されず、以下に示す公知のものを使用することができる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
また、トナーの製造方法によっては、着色剤の持つ重合阻害性や分散媒体移行性に注意を払うことが好ましい。必要により、重合阻害のない物質による着色剤の表面処理を施して表面改質を行ってもよい。特に、染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
また、染料を処理する好ましい方法として、予め染料の存在下に重合性単量体を重合させ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する方法が挙げられる。一方、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(例えば、オルガノシロキサンなど)で処理を行ってもよい。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが使用できる。特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤として、トナー粒子を負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属化合物及びキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、又はエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩のようなによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
これら荷電制御剤は単独であるいは2種類以上組み合わせて含有することができる。これら荷電制御剤の中でも、含金属サリチル酸系化合物が好ましく、特にその金属がアルミニウムもしくはジルコニウムが好ましい。最も好ましい荷電制御剤としては、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物である。
また、樹脂系荷電制御剤としては、スルホン酸系官能基を有する重合体が好ましい。スルホン酸系官能基を有する重合体とは、スルホ基(スルホン酸基)、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体である。
スルホ基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体としては、側鎖にスルホ基を有する高分子型化合物などが挙げられる。特にスルホ基含有(メタ)アクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上、好ましくは5質量%以上含有し、かつガラス転移温度(Tg)が40℃以上90℃以下のスチレン及び/又はスチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体である高分子型化合物が好ましい。これにより高湿下での帯電安定性が良化する。
上記のスルホ基含有(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、下記式(X)で表せるものが好ましく、具体的には、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸や2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。
Figure 2016194619
上記スルホ基を有する重合体は、トナー粒子において、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下含有させることにより、トナー粒子の帯電状態を一層良好なものとすることができる。
これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂又は重合性単量体100.00質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましい。
2−3.トナーの物性
以下、トナーの物性について説明する。
トナーの定荷重押し出し方式の細管式レオメータにより測定された80℃における粘度は、1,000Pa・s以上40,000Pa・s以下であることが好ましい。この80℃粘度が1,000Pa・s以上40,000Pa・s以下であることで、トナーは低温定着性に優れる。80℃粘度は、より好ましくは2,000Pa・s以上20,000Pa・s以下である。なお、上記80℃粘度は、低分子量樹脂の添加量や結着樹脂製造時の単量体種、開始剤量、反応温度及び反応時間により調整することができる。
トナーの定荷重押し出し方式の細管式レオメータにより測定された80℃における粘度の値は以下の方法により求めることができる。
装置としては、フローテスターCFT−500D((株)島津製作所製)を用い、下記の条件で測定を行う。
・サンプル:約1.0gのトナーを秤量し、これを100kg/cm2の荷重で1分間加圧成型器を用いて成型してサンプルとする。
・ダイ穴径:1.0mm
・ダイ長さ:1.0mm
・シリンダ圧力:9.807×105(Pa)
・測定モード:昇温法
・昇温速度:4.0℃/分
上記の方法により、30℃以上200℃以下におけるトナーの粘度(Pa・s)を測定し、80℃の粘度(Pa・s)を求める。当該値をトナーの定荷重押し出し方式の細管式レオメータにより測定された80℃粘度とする。
トナーの重量平均粒径(D4)は、4.0μm以上9.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.0μm以上8.0μm以下であり、さらに好ましくは5.0μm以上7.0μm以下である。
トナーのガラス転移温度(Tg)は35℃以上100℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以上80℃以下であり、さらに好ましくは45℃以上70℃以下である。ガラス転移温度が上記範囲であることによって、耐ブロッキング性、耐低温オフッセット性、オーバーヘッドプロジェクター用フィルムの透過画像の透明性をさらに向上させることができる。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)不溶分の含有量は、トナーの着色剤以外のトナー成分に対して50.0質量%未満であることが好ましい。より好ましくは0.0質量%以上45.0質量%未満であり、さらに好ましくは5.0質量%以上40.0質量%未満である。THF不溶分の含有量を50.0質量%未満とすることによって、低温定着性を向上させることができる。
上記トナーのTHF不溶分の含有量とは、THF溶媒に対して不溶性となった超高分子ポリマー成分(実質的に架橋ポリマー)の質量割合を意味する。トナーのTHF不溶分の含有量とは、以下のように測定された値である。
トナー1.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出する。そして、溶媒によって抽出された可溶成分を濃縮した後、40℃で数時間真空乾燥を行い、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー中の着色剤のような樹脂成分以外の成分の質量を(W3g)とする。THF不溶分の含有量は、下記式から求められる。
THF不溶分の含有量(質量%)={(W1−(W3+W2))/(W1−W3)}×100
トナーのTHF不溶分の含有量は、結着樹脂の重合度、架橋度によって調整することが可能である。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量(Mw)(以下、トナーの重量平均分子量ともいう)は、5,000以上50,000以下であることが好ましい。トナーの重量平均分子量(Mw)が上記範囲内であることによって、耐ブロッキング性及び現像耐久性と、低温定着性及び画像の高グロスを成立させることができる。なお、トナーの重量平均分子量(Mw)は、低分子樹脂の添加量及び重量平均分子量(Mw)やトナー粒子製造時の反応温度、反応時間、重合開始剤量、連鎖移動剤量及び架橋剤量により調整することができる。
トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された分子量分布において、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比[Mw/Mn]は、5.0以上100.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以上30.0以下である。[Mw/Mn]が上記範囲内であることによって、定着可能温度領域を広くすることができる。
2−4.トナー粒子又はトナーの物性の測定方法
<トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の調製法>
トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、以下のように調製した。
トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出する。そして、円筒濾紙中の濾物を40℃で数時間真空乾燥を行って得られたものをNMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分とした。
なお、上記有機微粒子又は無機微粒子でトナー粒子の表面が処理されている場合は、下記方法によって、上記有機微粒子又は無機微粒子を除去し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学(株)製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに上記ショ糖濃厚液31.0gと、コンタミノンN(商品名)(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)6mLとを入れ、分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分で振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30分の条件で分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラなどで採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥させる。乾燥品をスパチュラで解砕してトナー粒子を得る。
<式(T3)で表される部分構造の確認方法>
トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体における、式(T3)で表される部分構造の確認には以下の方法を用いる。
式(T3)のRで表されるアルキル基又はフェニル基の有無は、13C−NMRにより確認した。また、式(T3)の詳細な構造は1H−NMR、13C−NMR及び29Si−NMRにより確認した。使用した装置及び測定条件を以下に示す。
(測定条件)
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れた。
当該方法にて、式(T3)のRで表されるアルキル基又はフェニル基の有無を確認した。シグナルが確認できたら、式(T3)の構造は“あり”とした。
13C−NMR(固体)の測定条件)
測定核周波数:125.77MHz
基準物質:Glycine(外部標準:176.03ppm)
観測幅:37.88kHz
測定法:CP/MAS
コンタクト時間:1.75ms
繰り返し時間:4s
積算回数:2048回
LB値:50Hz
29Si−NMR(固体)の測定方法)
(測定条件)
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる。
測定核周波数:99.36MHz
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
観測幅:29.76kHz
測定法:DD/MAS、CP/MAS
29Si 90° パルス幅:4.00μs@−1dB
コンタクト時間:1.75ms〜10ms
繰り返し時間:30s(DD/MAS)、10s(CP/MAS)
積算回数:2048回
LB値:50Hz
<トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体における、式(T3)で表される部分構造(T3構造)及びケイ素に結合するO1/2の数が2.0である構造(X2構造)の割合の算出方法>
(T3構造、X1構造、X2構造、X3構造、X4構造の確認及び定量方法)
T3、X1、X2、X3及びX4の部分構造は、1H−NMR、13C−NMR及び29Si−NMRにより確認できる。
トナー粒子のTHF不溶分の29Si−NMR測定後に、トナー粒子における置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて、下記一般式(X4)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が4.0であるX4構造、下記一般式(X3)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が3.0であるX3構造、下記式(X2)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が2.0であるX2構造、下記式(X1)で示されるケイ素に結合するO1/2の数が1.0であるX1構造、式(T3)で表わされるT単位構造にピーク分離して、各ピークの面積比から各成分のモル%を算出する。
Figure 2016194619
Figure 2016194619
Figure 2016194619
Figure 2016194619
カーブフィティングは日本電子(株)製のJNM−EX400用ソフトのEXcalibur for Windows(商品名) version 4.2(EX series)を用いる。メニューアイコンから「1D Pro」をクリックして測定データを読み込む。次に、メニューバーの「Command」から「Curve fitting function」を選択し、カーブフィティングを行う。合成ピーク(b)と測定結果(d)の差分である合成ピーク差分(a)のピークが最も小さくなるようにピーク分割を行う。
X1構造の面積、X2構造の面積、X3構造の面積、X4構造の面積を求めて以下の式によりSX1、SX2、SX3、SX4を求める。
化学シフト値でシランモノマーを特定して、トナー粒子の29Si−NMRの測定において全ピーク面積からモノマー成分を取り除いたX1構造の面積とX2構造の面積とX3構造の面積とX4構造の面積の合計を有機ケイ素重合体の全ピーク面積とした。
SX1+SX2+SX3+SX4=1.00
SX1={X1構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
SX2={X2構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
SX3={X3構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
SX4={X4構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
ST3={T3構造の面積/(X1構造の面積+X2構造の面積+X3構造の面積+X4構造の面積)}
X1構造、X2構造、X3構造及びX4構造におけるケイ素の化学シフト値を以下に示す。
X1構造の一例(Ri=Rj=−OC25、Rk=−CH3):−47ppm
X2構造の一例(Rg=−OC25、Rh=−CH3):−56ppm
X3構造の一例(Rf=−CH3):−65ppm
また、X4構造がある場合のケイ素の化学シフト値を以下に示す。
X4構造:−108ppm
<透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナー粒子の断面観察によって測定される、トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.及び有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが5.0nm以下の割合の測定>
トナー粒子の断面観察は以下の方法により行う。
トナー粒子の断面を観察する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルを透過型電子顕微鏡(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)(TEM)で1万〜10万倍の倍率に拡大し、トナー粒子の断面を観察する。
ここでは、用いる樹脂と有機ケイ素化合物の中の原子の原子量の違いを利用し、原子量が大きいとコントラストが明るくなることを利用して確認を行っている。さらに、材料間のコントラストを付けるためには四三酸化ルテニウム染色法及び四三酸化オスミウム染色法を用いる。トナー粒子中の各種元素の存在状態は、透過型電子顕微鏡を用いて各種元素のマッピングによって確認できる。
当該測定に用いた粒子は、上記TEMの顕微鏡写真より得られたトナー粒子の断面から円相当径Dtemを求め、その値が後述の方法により求めたトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるものとした。
上述のように、透過型電子顕微鏡(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)を用い、加速電圧200kVでトナー粒子断面の明視野像を取得する。次にEELS検出器(商品名:GIF Tridiem、Gatan社製)を用い、Three Window法によりSi−K端(99eV)のEFマッピング像を取得して表層に有機ケイ素重合体が存在することを確認する。次いで、円相当径Dtemがトナー粒子の重量平均粒径の±10%の幅に含まれるトナー粒子1個について、トナー粒子断面の長軸Lと、長軸Lの中心を通りかつ垂直な軸L90の交点を中心にして、トナー粒子断面を均等に16分割する(図3参照)。次に、上記中心からトナー粒子の表層へ向かう分割軸をそれぞれAn(n=1〜32)、分割軸の長さをRAn、トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みをFRAnとする。
そして、上記分割軸上の32箇所のトナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.を求める。さらに、32本存在する各分割軸上におけるトナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みが5.0nm以下である分割軸の数の割合を求める。
ここでは、平均化するため、トナー粒子10個の測定を行い、トナー粒子1個あたりの平均値を計算した。
<透過型電子顕微鏡(TEM)写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)>
TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)は以下の方法で求める。まず、1つのトナー粒子に対して、TEM写真より得られるトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)を下記式に従って求める。
(TEM写真より得られたトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem))=(RA1+RA2+RA3+RA4+RA5+RA6+RA7+RA8+RA9+RA10+RA11+RA12+RA13+RA14+RA15+RA16+RA17+RA18+RA19+RA20+RA21+RA22+RA23+RA24+RA25+RA26+RA27+RA28+RA29+RA30+RA31+RA32)/16
トナー粒子10個の円相当径を求め、粒子1個あたりの平均値を計算してトナー粒子の断面から求めた円相当径(Dtem)とする。
<トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.>
トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.は以下の方法で求めた。
まず、1つのトナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みD(n)を以下の方法で求めた。
(n)=(軸上の有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みの32箇所の合計)/32
この計算をトナー粒子10個に対して行った。得られたトナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みD(n)(nは1から10の整数)から、トナー粒子1つあたりの平均値を下記式に従って計算し、トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の平均厚みDav.を求めた。
Dav.={D(1)+D(2)+D(3)+D(4)+D(5)+D(6)+D(7)+D(8)+D(9)+D(10)}/10
<有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下である有機ケイ素重合体を含有する表層の割合>
有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下である有機ケイ素重合体を含有する表層の割合は、以下の方法で求めた。
まず、1つのトナー粒子に対して、以下の式に基づいて有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下である有機ケイ素重合体を含有する表層の割合を求めた。
(有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下である有機ケイ素重合体を含有する表層の割合)=((有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下の数)/32)×100
この計算をトナー粒子10個に対して行った。得られた有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下である有機ケイ素重合体を含有する表層の割合から平均値を求めた。これを、トナー粒子の有機ケイ素重合体を含有する表層の厚みFRAnが5.0nm以下である有機ケイ素重合体を含有する表層の割合とした。
<トナー粒子の表層に存在するケイ素元素の濃度(原子%)>
トナー粒子の表層に存在するケイ素原子の濃度[dSi](原子%)、炭素原子の濃度[dC](原子%)、及び、酸素原子の濃度[dO](原子%)は、X線光電子分光分析(ESCA)を用いた表面組成分析を行い算出した。ESCAの装置及び測定条件は、下記の通りである。
使用装置:ULVAC−PHI社製 Quantum2000
X線光電子分光装置測定条件:X線源 Al Kα
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
PassEnergy:58.70eV StepSize:0.125eV
中和電子銃:20μA、1V Arイオン銃:7mA、10V
Sweep数:Si 15回、C 10回、O 5回
測定された各元素のピーク強度から、ULVAC−PHI社提供の相対感度因子を用いて、トナー粒子の表層に存在する、ケイ素原子の濃度[dSi]、炭素原子の濃度[dC]、及び、酸素原子の濃度[dO](いずれも、原子%(atomic%と同じ。))を算出した。
<トナー(粒子)及び各種樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びメインピーク分子量(Mp)の測定>
トナー(粒子)及び各種樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びメインピーク分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、下記条件により測定する。
(測定条件)
・カラム(昭和電工(株)製):Shodex GPC KF−801、KF−802、KF−803、KF−804、KF−805、KF−806、KF−807(直径8.0mm、長さ30cm)の7連
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・温度:40℃
・流速:0.6mL/分
・検出器:RI
・試料濃度及び量:0.1質量%の試料を10μL
(試料調製)
測定対象(トナー(粒子)、各種樹脂)0.04gをテトラヒドロフラン20mLに分散、溶解後、24時間静置し、0.2μmフィルター(商品名:マイショリディスクH−25−2、東ソー(株)製)で濾過し、その濾液を試料として用いる。
検量線は、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料として、東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレンF−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500を用いる、このとき、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いる。
GPCの分子量分布の作成において、高分子量側はベースラインからクロマトグラムが立ち上がる開始点から測定を始め、低分子量側は分子量約400まで測定する。
<トナー(粒子)、各種樹脂のガラス転移温度(Tg)及び熱量積分値の測定>
トナー(粒子)及び各種樹脂のガラス転移温度(Tg)及び熱量積分値は、示差走査熱量計(DSC)M−DSC(商品名:Q2000、TA−インストルメンツ社製)を用いて、下記手順にて測定する。測定する試料(トナー(粒子)、各種樹脂)3mgを精秤する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲20℃以上200℃以下の間で、昇温速度1℃/分、常温常湿下で測定を行う。このときのモジュレーション振幅±0.5℃、周波数1/分で測定する。得られるリバーシングヒートフロー曲線からガラス転移温度(Tg:℃)を計算する。Tgは、吸熱前後のベースラインと吸熱による曲線の接線との交点の中心値をTg(℃)として求めたものである。DSCによって測定される昇温時の吸熱チャートにおいて、吸熱メインピークのピーク面積で表されるトナー(粒子)1g当たりの熱量積分値(J/g)を測定する。トナーのDSC測定によって得られたリバーシングフロー曲線の一例を図4に示す。
熱量積分値(J/g)は、上記の測定から得られたリバーシングフロー曲線を用いて求める。計算には解析ソフト Universal Analysis 2000 forWindows(商品名) 2000/XP Version4.3A(TAインスツルメンツ社製)を用い、Integral Peak Linearの機能を用いて、35℃と135℃での測定点を結ぶ直線と吸熱曲線とで囲まれた領域から熱量積分値(J/g)を求める。
<トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定>
トナー(粒子)の重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、次のようにして求めた。100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3、ベックマン・コールター社製)を用いた。また、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いた。そして、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行いて算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、ベックマン・コールター社製のISOTON II(商品名)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように上記専用ソフトの設定を行う。上記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は(標準粒子10.0μm、ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON II(商品名)に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに上記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに上記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤としてコンタミノンN(商品名)(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150、日科機バイオス(株)製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンN(商品名)を約2mL添加する。
(4)上記(2)のビーカーを上記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ上記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した上記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した上記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の上記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。また、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<トナー(粒子)の平均円形度の測定方法>
トナー(粒子)の平均円形度の測定には、フロー式粒子像分析装置である「FPIA−3000型」(シスメックス(株)製)を用い、校正作業時の測定・解析条件で測定する。
イオン交換水20mLに、分散剤として界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加える。そして、発振周波数50kHz、電気的出力150ワットの卓上型の超音波洗浄器分散機(商品名:VS−150、(株)ヴェルヴォクリーア製)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した上記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用する。上記手順に従い調整した分散液を上記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー(粒子)を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.98μm以上19.92μm以下に限定し、トナー(粒子)の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の5100A(商品名)をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
また、トナー(粒子)の円形度分布において、モード円形度が0.98以上1.00以下であると、トナー(粒子)の多くが真球に近い形状を有することを意味している。鏡像力やファンデルワールス力などに起因するトナー(粒子)の感光体への付着力の低下がより一層顕著になり、転写効率が高くなり好ましい。
ここで、モード円形度とは、次のものをいう。つまり、0.40から1.00までの円形度を、0.40以上0.41未満、0.41以上0.42未満、…0.99以上1.00未満及び1.00のように0.01ごとに61分割する。そして、測定した各粒子の円形度をそれぞれ各分割範囲に割り振る。このとき、円形度頻度分布において頻度値が最大となる分割範囲の円形度がモード円形度である。
5.具体例
以下に、本実施例の効果について具体例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって制限されるものではない。なお、以下の配合における部数は、特に説明がない限り、質量部を示す。
5−1.本実施例のトナーの具体例
<荷電制御樹脂1の製造例>
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた反応容器に、溶媒としてメタノール250質量部、2−ブタノン150質量部及び2−プロパノール100質量部、単量体としてスチレン88質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル6.0質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸6.0質量部を添加して撹拌しながら常圧の還流下で加熱した。重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.2質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続した。さらに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部を2−ブタノン20質量部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、さらに常圧の還流下で5時間撹拌して重合を終了した。
次に、重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルにて100μm以下に粗粉砕し、さらにジェットミルにより微粉砕した。その微粒子を250メッシュの篩により分級し、60μm以下の粒子を分別して得た。次に上記粒子を10%の濃度になるようにメチルエチルケトンを加え溶解し、得られた溶液をメチルエチルケトンの20倍量のメタノール中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のメタノールで洗浄し、濾過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥を行った。
さらに前述の真空乾燥後の粒子を10%の濃度になるようにメチルエチルケトンを加え再溶解し、得られた溶液をメチルエチルケトンの20倍量のn−ヘキサン中に徐々に投じ再沈殿した。得られた沈殿物を再沈殿に使用した量の2分の1のn−ヘキサンで洗浄し、濾過した粒子を35℃にて48時間真空乾燥を行った。こうして得られた荷電制御樹脂はTgが約82℃であり、メインピーク分子量(Mp)が19,600、数平均分子量(Mn)が11,700、重量平均分子量(Mw)が20,600であり、酸価は17.4mgKOH/gであった。得られた樹脂を荷電制御樹脂1とする。
<ポリエステル樹脂(1)の製造例>
・テレフタル酸:11.1mol
・ビスフェノールA−プロピレンオキシド2モル付加物:11.0mol(PO−BPA)
上記単量体をエステル化触媒とともにオートクレーブに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置をオートクレーブに装着した。そして、窒素雰囲気下、減圧しながら、常法に従って210℃でTgが66℃になるまで反応を行い、ポリエステル樹脂(1)を得た。重量平均分子量(Mw)は7,100、数平均分子量(Mn)は3,030であった。
<トナー粒子1の製造例>
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた四つ口容器中にイオン交換水700質量部と0.1mol/LのNa3PO4水溶液1000質量部と1.0mol/LのHCl水溶液24.0質量部を添加し、高速撹拌装置TK−ホモミキサーを用いて12,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0mol/LのCaCl2水溶液85質量部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO42を含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン 70.0質量部
・n−ブチルアクリレート 30.0質量部
・メチルトリエトキシシラン 10.0質量部
・銅フタロシアニン顔料 6.5質量部
(ピグメントブルー15:3)(P.B.15:3)
・ポリエステル樹脂(1) 4.0質量部
・荷電制御剤1 0.5質量部
(3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物)
・荷電制御樹脂1 0.4質量部
・離型剤 10.0質量部
(ベヘン酸ベヘニル、融点:72.1℃)
上記材料をアトライターで3時間分散させて得られた重合性単量体組成物1を60℃で20分保持した。その後、重合性単量体組成物1に重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート16.0質量部(トルエン溶液50%)を添加した重合性単量体組成物1を水系媒体中に投入し、高速撹拌装置の回転数を12,000rpmに維持しつつ10分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内温を70℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら5時間反応させた。このとき水系媒体のpHは5.1であった。次に、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を10.0質量部加えてpH8.0にし、容器内を温度90℃に昇温して7.5時間維持した。その後、10%塩酸4.0質量部とイオン交換水50質量部を加え、pHを5.1にした。次に、イオン交換水を300質量部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行って、重合体スラリー1を得た。蒸留留分は300質量部であった。30℃に冷却後の重合体スラリー1を含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに、濾別、洗浄、乾燥をして重量平均粒径が5.6μmのトナー粒子1が得られた。このトナー粒子1を、本実施例の現像装置4で用いるトナー(トナー粒子)とした。トナー粒子1の物性を表1及び表2に示した。トナー粒子1のTEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層に均一なケイ素原子が存在し、粒状塊同士が固着されることによって形成された被覆層ではないことを確認した。なお、ここでは、トナーの有機ケイ素重合体を含有する表層を「シリカシェル」ともいう。
5−2.帯電列の測定方法
次に、トナーと現像ローラ42の帯電列(帯電系列)の測定方法について説明する。帯電列とは、2種類の材質が摩擦された時に、プラス側に帯電しやすい材質を上位にマイナス側に帯電しやすいものを下位に並べた序列である。摩擦帯電される材質が帯電列上でより離れていれば、より多くの電荷が移動する。具体的には、以下の摺擦試験によって帯電列を測定することができる。
図5に示すように、現像ローラ42Aを水平に配置し、現像ローラ42Aの上にトナーtを振りかける。そして、現像ローラ42A上のトナーtが振りかかった部分の電位を表面電位計により測定し、電位がほぼ0Vであることを確認する。もし、0Vでなければ、イオナイザーなどの除電手段を用いて0V近辺になるまで除電する。そして、現像ローラ42Bをもう一本準備して、下側から、現像ローラ42A、トナーt、現像ローラ42Bの順序になるようにし、上側の現像ローラ42Bによって、下側の現像ローラ42Aの長手方向と平行方向(矢印F、矢印G方向)に数回摺擦させる。その後、トナーtの電位を表面電位計により測定することで、現像ローラ42とトナーtの帯電列の関係を調べることができる。本実施例の場合、摺擦部のトナーtの電位が約−15Vとなったため、トナーtは現像ローラ42に対して、マイナス側に帯電することが分かる。
また、現像ローラ42の代わりに感光体ドラム1を用いて、感光体ドラム1とトナーtの帯電列の関係を調べることができる。本実施例の場合、摺擦部のトナーtの電位が−15Vとなった。そのため、トナーtは感光体ドラム1に対して、マイナス側に帯電することが分かる。
このように、本実施例では、トナーは、感光体ドラム1に対しても、現像ローラ42に対しても、マイナス側に帯電する。つまり、本実施例では、帯電列上で、トナー粒子の表面は、感光体ドラム1の表面よりもマイナス側である。また、本実施例では、帯電列上で、トナー粒子の表面は、現像ローラ42の表面よりもマイナス側である。
なお、本実施例では、同じ状態の現像ローラ42、感光体ドラム1をそれぞれ2本用いて摺擦実験を行って帯電列を測定したが、例えば1本の現像ローラ42、感光体ドラム1をそれぞれ切断するなどして分割したものを用いて摺擦実験を行ってもよい。
5−3.評価実験
本実施例の画像形成装置100において、A4サイズで印字率2%の画像を出力しながら耐久性を評価した。その際、カブリと画像濃度の低下の発生状況を確認した。また、評価実験は、25℃/50%RHの環境で行った。上述のように、本実施例では、感光体ドラム1の周速は120mm/sec、現像ローラ42の周速は180mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=150%)に設定されている。
(画像濃度の評価)
画像濃度の評価については、プロセスカートリッジ7の使用初期から寿命末期となる5000枚まで1000枚毎に出力した、印字率100%、印字濃度100%の画像であるベタ黒画像の画像濃度を測定した。画像濃度は、マクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)を用いて測定した。プロセスカートリッジ7の使用初期は、プロセスカートリッジ7がほぼ新品であり現像容器41内のトナーがほぼ満杯の状態である。また、プロセスカートリッジ7の寿命末期(目標寿命、公称寿命)は、現像容器41内のトナーがほぼ無くなった状態である。
なお、画像濃度の評価基準は下記のとおりである。記録材Pとしては70g/m2のA4サイズの転写紙を用いた。特に、下記ランクC、Dが、画像濃度の低下が顕著であるものとして問題となり得る。
A:1.40以上
B:1.30以上1.40未満
C:1.20以上1.30未満
D:1.20未満
(カブリの評価)
カブリの評価は、印字率0%の画像を出力したときに感光体ドラム1上に付着したトナーをドラム上カブリ値として数値化することによって評価した。ドラム上カブリ値とは、次のようにして求めたものである。0%の印字比率の画像を出力したときに、感光体ドラム1上の現像ローラ42との当接部と転写ローラ5との当接部との間に付着したトナーをポリエステルテープ(商品名:ポリエステルテープ No.5511、ニチバン(株))に貼り付けて剥ぎ取る。そして、そのポリエステルテープを紙上に貼り付けたものを反射濃度計(商品名:TC−6DS、(有)東京電色社製)を用いて測定する。その結果から、ポリエステルテープを単独で紙上に貼ったときに測定された反射濃度を差し引く。これよって算出された値がドラム上カブリ値である。感光体ドラム1の長手方向に沿って、両端部と中央の合計3点で測定し、その測定値の平均値をドラム上カブリ値として表現している。
プロセスカートリッジ7の使用初期から寿命末期となる5000枚まで、1000枚毎にドラム上カブリ値を算出した。また、そのドラム上カブリ値を下記の基準にてランク付けを行った。特に、下記ランクC、Dが、カブリの悪化が顕著であるものとして問題となり得る。
A:2.0%未満
B:2.0%以上5.0%未満
C:5.0%以上10.0%未満
D:10.0%以上
(評価結果)
評価結果を表3に示す。本実施例では、プロセスカートリッジ7の使用初期から寿命末期である印字枚数5000枚までカブリの発生はなく、画像濃度の低下の発生も無かった。
また、感光体ドラム1の周速を120mm/secにして、現像ローラ42の周速を120mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=100%)、144mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=120%)、216mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=180%)、252mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=210%)にして、同様の評価実験を行った。結果を表3に示す。現像ローラ42の周速が144mm/sec、216mm/sec、252mm/secの場合には、カブリの悪化や許容以上の画像濃度の低下の発生はなかった。しかし、現像ローラ42の周速が120mm/secでは、プロセスカートリッジ7の使用初期から許容以上の画像濃度の低下が発生した。
このように、感光体ドラム1の周速よりも現像ローラ42の周速を早くすることによって、画像濃度の低下の発生が抑制される。好ましくは、現像ローラ周速/感光体ドラム周速を120%以上にすると画像濃度の低下がより抑制され、更に好ましくは、現像ローラ周速/感光体ドラム周速を150%以上にすると画像濃度の低下が更に抑制される。
また、プロセスカートリッジ7の使用初期及び印字枚数5000枚における、トナー、現像ローラ42、感光体ドラム1の帯電列を調べた結果を表4に示す。トナーは感光体ドラム1に対しても、現像ローラ42に対しても、マイナス側に帯電することが分かった。
また、プロセスカートリッジ7の使用初期及び印字枚数5000枚におけるトナーの表面状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。その結果、印字枚数5000枚においても、トナーの表面はシリカシェルで引き続き覆われていることがわかった。
ところで、トナーには、長時間にわたって現像ローラ42や現像ブレード44などの現像部材との摺擦によるストレスが与えられる。そして、後述する比較例1について詳しく述べるが、外添剤としてシリカなどの無機微粒子を外添したトナーを用いた場合には、上記ストレスによってトナーの表面の材質が変化し、トナーの帯電性が変化する。そのため、カブリの悪化や画像濃度の低下が発生してしまう。
これに対して、本実施例では、トナーの表面はシリカシェルで覆われている。これによって、プロセスカートリッジ7の寿命末期まで印刷を続けても、トナーの表面の材質はほとんど変化せず、トナーの帯電性に対する変化も少なくなる。加えて、トナーの表面を、感光体ドラム1と現像ローラ42に対してマイナス側に帯電するようにしておくことで、トナーが感光体ドラム1や現像ローラ42と摺擦することによりトナーの電荷がプラス側になることも少なくなり、カブリの発生が抑えられる。更に、感光体ドラム1の周速よりも現像ローラ42の周速を早くすることによって、画像濃度の低下の発生も無くなり、プロセスカートリッジ7の使用初期から寿命末期までカブリの発生の抑制と画像濃度の低下の抑制の両立が可能となる。
5−4.比較例1
次に、本実施例に対する比較対象としての比較例1について説明する。本比較例では、本実施例に対してトナーが異なっている。比較例1のトナーは、外添剤として無機微粒子が外添されている。比較例1におけるトナー以外の条件は、本実施例と同様の条件とした。
本比較例にて用いたトナーは、下記の手順によって製造した。
温度60℃に加温したイオン交換水1300質量部に、リン酸三カルシウム9質量部、10%塩酸11質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000r/minにて撹拌し、pH5.2の水系媒体を調製した。
また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100r/minで溶解して溶解液を調製した。
・スチレン 69.0質量部
・n−ブチルアクリレート 31.0質量部
・スルホン酸基含有樹脂(アクリベースFCA−1001−NS、藤倉化成製) 2.0質量部
・スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−αメチルスチレン共重合体 20.0質量部
(スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/αメチルスチレン=80.85/2.50/1.65/15.0、Mp=19,700、Mw=7,900、TgB=96℃、酸価=12.0mgKOH/g、Mw/Mn=2.1)
次に上記溶解液に下記の材料を添加した。
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.0質量部
・負荷電制御剤(ボントロンE−88,オリエント化学製) 1.0質量部
・融点が77℃の炭化水素ワックス(HNP−51,日本精蝋社製) 8.0質量部
その後、混合液を温度60℃に加温した後にTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)にて、9,000r/minにて攪拌し、溶解、分散した。
これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃にてTK式ホモミキサーを用いて15,000r/minで10分間攪拌し、造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、温度70℃で5時間反応させた後、温度80℃まで昇温し、更に5時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
上記トナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理され、トナー粒子と同極性(負極性)に摩擦帯電する疎水性シリカ微粉体(個数平均1次粒子径:10nm、BET比表面積:170m2/g)2.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井三池製)で3,000r/minで15分間混合して、本比較例で用いるトナーを得た。
上記のトナーを用いて、感光体ドラム1の周速を120mm/secにし、現像ローラ42の周速を144mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=120%)、180mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=150%)、216mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=180%)に設定して、本実施例の場合と同様に、耐久性を評価した。このとき、A4サイズで印字率2%の画像を出力しながら、カブリとベタ黒濃度の状況を確認した。
結果を表7に示す。カブリに関しては、プロセスカートリッジ7の使用初期から寿命末期になる前の途中の段階までは、カブリの発生はほとんどなかった。しかし、現像ローラ42の周速が速ければ速いほど、より早い段階でカブリの悪化が発生した。また、ベタ黒濃度に関しては、現像ローラ42の周速が120mm/secの時には、画像濃度の低下が発生し、使用初期から寿命末期までカブリの発生の抑制と画像濃度の低下の抑制とを両立できる現像ローラ42の周速の設定はなかった。
また、トナー、現像ローラ42、感光体ドラム1の帯電列を、プロセスカートリッジ7の使用初期及び印字枚数5000枚の時に調べた。結果を表8に示す。プロセスカートリッジ7の使用初期は、本実施例と同様に、トナーは、感光体ドラム1に対しても、現像ローラ42に対してもマイナス側に帯電していた。そして、印字枚数5000枚の時には、トナーは感光体ドラム1に対してマイナス側に帯電していたが、現像ローラ42に対してはプラス極側に帯電した。これは、プロセスカートリッジ7の使用量の増加に従って徐々にトナーから外添剤のシリカが遊離し、トナーの表面に樹脂が露出する一方、現像ローラ42の表面をトナーから遊離した外添剤のシリカ覆ったためと考えられる。つまり、比較例1で用いたトナーの樹脂と外添剤のシリカとの帯電列では、樹脂の方がプラス側、シリカの方がマイナス側になるためであると考えられる。
また、プロセスカートリッジ7の使用初期及び印字枚数5000枚におけるトナーの表面状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。その結果、プロセスカートリッジ7の使用初期には表面に付着していた疎水性シリカ微粉体が、印字枚数5000枚においては減少していた。そして、疎水性シリカ微粒体のトナー粒子本体への埋め込みや、トナー粒子外への移行によって、トナー粒子本体の樹脂がむき出しになっている部分が観察された。
このように、トナーは、長時間にわたって現像ローラ42や現像ブレード44などの現像部材との摺擦によるストレスを受ける。これによって、無機微粒子を外添したトナーでは、トナーの表面の材質が変化しトナーの帯電性が変化するために、カブリの悪化や、現像効率及び転写効率の低下による画像濃度の低下が発生するものと考えられる。
以上説明したように、本実施例では、現像剤は有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を備えており、現像時の現像ローラ42の表面の移動速度は感光体ドラム1の表面の移動速度よりも速い。これにより、本実施例では、現像装置4(プロセスカートリッジ7)の寿命末期においても、カブリの発生を抑制しつつ、画像濃度の低下を抑制することが可能となる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素について、同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
トナーは、プロセスカートリッジ7の使用量の増加などによる現像容器41内での摺擦によってストレスを受ける。そして、トナーの凹凸形状が平らにならされることによって、トナーの他の部材(現像ローラや感光体ドラム)との接触面積が増加するため、トナーと他の部材との間の非静電付着力が上がる。これにより、トナーの現像性や転写性が低下し、最終的には画像濃度が低下することがある。この画像濃度の低下を抑えるためには、現像ローラ42の周速を速くすることが有効である。しかし、必要以上に現像ローラ42の周速を速くすると、トナーの劣化が促進され、トナーや現像装置4やプロセスカートリッジ7の寿命を短くしてしまうことが懸念される。
そこで、本実施例では、トナーの劣化を抑制して更なるプロセスカートリッジ7の長寿命化を達成するために、画像濃度が低下する可能性のあるプロセスカートリッジ7の寿命末期を検知した場合に、現像ローラ42の周速を上げるようにする。つまり、プロセスカートリッジ7の使用初期は現像ローラ42の周速を低めに設定し、トナーの現像性や転写性が低下する可能性のあるプロセスカートリッジ7の寿命末期に現像ローラ42の周速を上げることにより画像濃度の低下を抑制する。
本実施例では、制御部120のCPU121が、現像装置4(プロセスカートリッジ7)の使用量に関する情報としての現像ローラ42の累積回転数を検知する回転数検知手段(使用量検知手段)として機能する。つまり、制御部120のCPU121は、現像装置4を駆動するごとに、現像ローラ42の駆動時間などに基づいて現像ローラ42の回転数を求め、回転数記憶部として制御部120のメモリ122に積算して記憶させる。なお、現像装置4の使用量に関する情報は、現像ローラ42の回転数に限定されるものではなく、現像装置4の使用量と相関する任意の指標を用いることができる。上述のような機序で画像濃度の低下をもたらし得るトナーの状態の変化を見積もることのできる指標であればよい。例えば、現像装置4の駆動時間(現像ローラ42を回転させた時間)、現像バイアスの印加時間、現像ローラ42を感光体ドラム1に当接させた時間(現像ローラ42と感光体ドラム1とが離接可能な場合)、画像出力枚数などであってもよい。
そして、本実施例では、制御部120のCPU121が、回転数検知手段による検知結果としての現像ローラ42の累積回転数が、予め設定された所定の閾値以上になったと判断した場合に、現像ローラ42の周速を変更する。本実施例では、使用初期から現像ローラ42の累積回転数が最大累積回転数の80%に達するまでは、感光体ドラム1の周速を120mm/secに、現像ローラ42の周速を180mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=150%)にする。一方、本実施例では、現像ローラ42の累積回転数が最大累積回転数の80%に達すると、現像ローラ42の周速を216mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=180%)に変更する。なお、現像ローラ42の最大累積回転数は、現像装置4の寿命の目安として予め設定されるものである。
ここで、本実施例においても、実施例1と同様に、トナーの表面はシリカシェルで覆われている。また、本実施例においても、実施例1と同様に、トナーの表面は、感光体ドラム1と現像ローラ42に対してマイナス側に帯電するようになっている。これによって、プロセスカートリッジ7の寿命末期に現像ローラ42の周速を上げても、トナーの表面の材質はほとんど変化しないため、トナー、現像ローラ42、感光体ドラム1の帯電列の順序にも変化は起こらない。したがって、トナーが感光体ドラム1や現像ローラ42と摺擦しても、トナーは安定してマイナス側に帯電できる。そのため、トナーの帯電性が安定し、プロセスカートリッジ7の寿命末期に現像ローラ42の周速を上げても、カブリが悪化することはない。
図6は、本実施例に係る制御のフローチャート図である。まず、CPU121は、印刷ジョブを開始させると(S101)、メモリ122に記憶されている現像ローラ42の累積回転数を読み込む(S102)。次に、CPU121は、読み込んだ現像ローラ42の累積回転数が最大累積回転数の80%以上であるか判断する(S103)。CPU121は、S103にて最大累積回転数の80%以上であると判断した場合、現像ローラ42の周速を216mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=180%)に設定する(S104)。一方、CPU121は、S103にて最大累積回転数の80%未満であると判断した場合、現像ローラ42の周速を180mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=150%)に設定する(S105)。そして、CPU121は、印刷動作を開始する(S106)。印刷終了後、CPU121は、次の印刷を行うかどうかを判断し(S107)、次の印刷を行う場合は処理をS102まで戻し、次の印刷を行わない場合には処理を終了する(S108)。
本実施例の画像形成装置100について、A4サイズで印字率2%の画像を出力しながら、耐久性を評価した。結果を表5に示す。カブリの悪化も、画像濃度の低下も発生しなかった。また、印刷枚数5000枚後のトナーを用いて帯電列の測定を行った結果を表6に示す。印刷枚数5000枚後のトナーは、現像ローラ42に対しても、感光体ドラム1に対してもマイナス側に帯電した。
以上説明したように、本実施例では、CPU121は、現像装置4の使用量に関する情報を検知する検知手段による検知結果が所定の閾値以上の場合に、現像ローラ42の表面の移動速度を、該検知結果が該閾値未満の場合よりも大きくするように制御する。これにより、本実施例では、実施例1と同様の効果が得られると共に、トナーの劣化を抑制することができる。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素について、同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
トナーの現像性や転写性の低下による画像濃度の低下は、特に高印字率画像において顕著となる傾向がある。そこで、本実施例では、高印字率画像の高画質化を図ると共に、トナーの劣化を抑制してプロセスカートリッジ7の長寿命化を達成するために、次に形成する画像のトナー量が一定以上多いことを検知した場合に、現像ローラ42の周速を上げるようにする。特に、本実施例では、次に形成する画像の印字率が高印字率であることを検知した場合に、現像ローラ42の周速を上げるようにする。つまり、通常の画像を印字する場合には現像ローラ42の周速を低めに設定し、高印字率画像を印字する場合には、現像ローラ42の周速を高めに設定する。
本実施例では、制御部120のCPU121が、画像のトナー量に関する情報としての画像の印字率を求める印字率検知手段(トナー量検知手段)として機能する。制御部120のCPU121は、画像形成装置100に通信可能に接続されたホスト機器としてのコンピュータなどから出力された画像情報から画像の印字率を求める。印字率は、例えば、画像形成可能領域における全ての画素を最大濃度レベルとした場合の画素濃度信号の積算値を100%とした場合の比率として計算することができる。なお、画像のトナー量に関する情報は、本実施例における印字率に限定されるものではなく、記録材Pに転写して出力する画像のトナー量と相関する任意の指標を用いることができる。画像濃度の低下が顕著となりやすい画像のトナー量を見積もることのできる指標であればよい。
そして、本実施例では、制御部120のCPU121が、印字率検知手段による検知結果としての次に形成する画像の印字率に応じて現像ローラ42の周速を変更する。本実施例では、印字率が予め設定された所定の閾値である50%未満の場合には、感光体ドラム1の周速を120mm/secに、現像ローラ42の周速を180mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=150%)にする。一方、本実施例では、印字率が50%以上の場合には、現像ローラ42の周速を216mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=180%)に変更する。
ここで、本実施例においても、実施例1と同様に、トナーの表面はシリカシェルで覆われている。また、本実施例においても、実施例1と同様に、トナーの表面は、感光体ドラム1と現像ローラ42に対してマイナス側に帯電するようになっている。これによって、高印字率画像の形成時に現像ローラ42の周速を上げても、トナーの表面の材質はほとんど変化しないため、トナー、現像ローラ42、感光体ドラム1の帯電列の順序にも変化は起こらない。したがって、トナーが感光体ドラム1や現像ローラ42と摺擦しても、トナーは安定してマイナス側に帯電できる。そのため、トナーの帯電性が安定し、高印字率画像を高画質にて出力するために現像ローラ42の周速を上げても、カブリが悪化することはない。
図7は、本実施例に係る制御のフローチャート図である。まず、CPU121は、コンピュータなどから印刷する画像データを受けとり、印刷ジョブを開始させると(S201)、その画像データを用いて次に形成する画像の印字率を算出する(S202)。次に、CPU121は、算出した画像の印字率が50%以上であるか判断する(S203)。CPU121は、S203にて画像の印字率が50%以上であると判断した場合、現像ローラ42の周速を216mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=180%)に設定する(S204)。一方、CPU121は、S203にて画像の印字率が50%未満であると判断した場合、現像ローラ42の周速を180mm/sec(現像ローラ周速/感光体ドラム周速=150%)に設定する(S205)。そして、CPU121は、印刷動作を開始する(S206)。印刷終了後、CPU121は、次の印刷を行うかどうかを判断し(S207)、次の印刷を行う場合は処理をS202まで戻し、次の印刷を行わない場合には処理を終了する(S208)。
本実施例の画像形成装置100について、A4サイズで印字率2%の画像を出力しながら、耐久性を評価した。その際、印刷枚数1000枚毎に印字率100%、印字濃度100%の画像を5枚連続印字した。結果を表5に示す。カブリの悪化も、画像濃度の低下も発生せず、印字率100%、印字濃度100%の画像を5枚連続印字しても、画像濃度の低下は発生しなかった。また、印刷枚数5000枚後のトナーを用いて帯電列の測定を行った結果を表6に示す。印刷枚数5000枚後のトナーは、現像ローラ42に対しても、感光体ドラム1に対してもマイナス側に帯電した。
以上説明したように、本実施例では、CPU121は、形成する画像のトナー量に関する情報を検知する検知手段による検知結果が所定の閾値以上の場合に、現像ローラ42の表面の移動速度を、該検知結果が該閾値未満の場合よりも大きくするように制御する。これにより、本実施例では、実施例1と同様の効果が得られると共に、トナーの劣化を抑制しつつ、特に画像濃度の低下が顕著となりやすい高印字率画像の画質を向上することができる。
なお、本実施例と実施例2とを組み合わせて、現像装置の使用量に関する情報と、画像のトナー量に関する情報と、に基づいて現像ローラ42の周速を変更するようにしてもよい。
Figure 2016194619
Figure 2016194619
Figure 2016194619
Figure 2016194619
Figure 2016194619
Figure 2016194619
Figure 2016194619
Figure 2016194619
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
例えば、上述の実施例では、現像装置はプロセスカートリッジとして画像形成装置の装置本体に対し着脱可能とされていたが、現像装置が現像カートリッジとして単独で画像形成装置の装置本体に対し着脱可能とされていてもよい。あるいは、現像装置は、画像形成装置の装置本体に対して容易には着脱できない構成とされていてもよい。ここで、一般に、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成プロセスを用いて記録媒体に画像を形成するものである。電子写真画像形成装置としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(レーザービームプリンタ、LEDプリンタなど)、ファクシミリ装置、及びワードプロセッサが含まれる。また、プロセスカートリッジとは、感光体と、感光体に作用するプロセス手段としての少なくとも現像手段と、を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能としたものである。また、現像装置とは、感光体上の静電像を現像するために用いられる現像手段を一体化した装置(現像ユニット)である。本発明では、現像装置は、現像剤、現像剤を収納する収納部、及び現像剤を担持して搬送する移動可能な現像剤担持体を備え、現像剤担持体により搬送される現像剤により像担持体上の静電像を現像する。現像装置は、プロセスカートリッジの一部を構成した状態で、又は単独(現像カートリッジ)で、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能とされていてよい。また、画像形成装置の装置本体とは、プロセスカートリッジや現像カートリッジを除いた画像形成装置部分である。
また、上述の実施例では、感光体ドラムと現像ローラとは、感光体ドラムと現像ローラとの対向部においてそれぞれの表面の移動方向が順方向となるように駆動される場合について説明したが、これに限定されるものではない。感光体ドラムと現像ローラとが、感光体ドラムと現像ローラとの対向部においてそれぞれの表面の移動方向が逆方向となるように駆動される場合にも本発明は適用でき、上述と同様の効果を得ることができる。
1 感光体ドラム(像担持体)
4 現像装置
7 プロセスカートリッジ
42 現像ローラ(現像剤担持体)
100 画像形成装置
P 記録材
t トナー

Claims (9)

  1. 移動可能な像担持体と、
    現像剤、前記現像剤を収納する収納部、及び現像時に前記像担持体に接触し前記現像剤を担持して搬送する移動可能な現像剤担持体を備え、前記現像剤担持体により搬送される前記現像剤により前記像担持体上の静電像を現像する現像装置と、
    前記像担持体及び前記現像剤担持体をそれぞれ駆動する駆動部と、
    を有する画像形成装置において、
    前記現像剤は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子を備え、前記有機ケイ素重合体は、下記式(T3)で表される部分構造を有し、前記トナー粒子の表面のX線光電子分光分析において、前記トナー粒子の表面の、炭素原子の濃度dC、酸素原子の濃度dO、及びケイ素原子の濃度dSiの合計を100.0原子%としたときに、前記ケイ素原子の濃度dSiが、2.5原子%以上であり、
    前記現像時の前記現像剤担持体の表面の移動速度は前記像担持体の表面の移動速度よりも速いことを特徴とする画像形成装置。
    Figure 2016194619
  2. 帯電列上で、前記トナー粒子の表面は、前記像担持体の表面よりもマイナス側であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 帯電列上で、前記トナー粒子の表面は、前記現像剤担持体の表面よりもマイナス側であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記トナー粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察において、前記トナー粒子の断面の最大径である長軸Lの中点を通り、且つ、前記中点における交差角が均等(交差角は11.25°)になるように前記断面を横断する直線を16本引くことにより前記中点から前記トナー粒子の表面まで32本の線分が形成されたとき、前記32本の線分上において、前記有機ケイ素重合体を含有する表面層の平均厚みDav.が、5.0nm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記有機ケイ素重合体を含有する表面層の厚みが5.0nm以下である前記線分の数の割合が20.0%以下であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記現像時の前記現像剤担持体の表面の移動速度の前記像担持体の表面の移動速度に対する比率は120%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記駆動部を制御する制御手段と、
    前記現像装置の使用量に関する情報を検知する検知手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記検知手段による検知結果が所定の閾値以上の場合に、前記現像剤担持体の表面の移動速度を、前記検知結果が前記閾値未満の場合よりも大きくするように制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 前記駆動部を制御する制御手段と、
    形成する画像のトナー量に関する情報を検知する検知手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記検知手段による検知結果が所定の閾値以上の場合に、前記現像剤担持体の表面の移動速度を、前記検知結果が前記閾値未満の場合よりも大きくするように制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 前記像担持体と前記現像装置とを含むプロセスカートリッジが前記画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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