JP2020084378A - 成形体の製造方法および抄造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度のばらつきが低減された成形体を得る方法を提供する。【解決手段】熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを含むスラリーを調製する工程と、前記スラリーを抄造し、脱水し、熱硬化性樹脂、繊維フィラーおよびポリ(メタ)アクリル酸エステルを含む抄造体を得る工程と、前記抄造体を加熱成形して成形体を得る工程と、を含み、前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンは、0.02meq/g以上0.1meq/g以下のカチオン度を有する、成形体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、成形体の製造方法および抄造体に関する。より詳細には、抄造法を用いて作製された抄造体、およびこの抄造体から成形体を得る方法に関する。
抄造体から得られる成形体は、使用する繊維フィラーや樹脂の種類を選択することにより所望の特性を付与でき、設計の自由度が高いことから、種々の物品に用いられている。ここで、「抄造体」とは、繊維材料を抄く手法を使用して得られた物の状態を示す技術用語として一般に使用されている(例えば、特許文献1および2)。特許文献1および2に記載されるように、抄造体とは、繊維フィラーや樹脂等の原料を液体分散媒に分散させて得られるスラリーを、フィルターに通して分液し、フィルター上に残った湿潤状態の固形分をいう。ここで、湿式状態の固形分とは、乾燥および加熱処理を施す前の、未硬化状態の固形分を指す。抄造体は、成形型内での加熱処理により、残存した液体分散媒が乾燥除去され、さらに樹脂が硬化して成形体となる。
抄造体およびこれから得られる成形体の強度は、それに含まれる繊維フィラーの分散状態や繊維密度から大きな影響を受ける。この繊維フィラーの分散状態や繊維密度は、抄造体の製造方法に依存するため、添加剤の種類や原料の混合順等の製造条件について様々な提案がなされている。たとえば、特許文献3には、炭素繊維と、疎水性バインダ粉末と水とを含むスラリーに、凝集剤を添加してスラリーを凝集させた後、このスラリーをフィルターに通して水を分離することにより抄造体を得る技術が開示されている。特許文献3には、疎水性バインダ粉末を水に分散させ、炭素繊維とともに凝集させた後、抄造することにより、得られる抄造体に含まれる水分を容易に除去でき、安定したバインダ含有量の抄造体を得ることができることが開示されている。
特許第4675276号 特許第5426399号 特開2013−87367号公報
しかし、特許文献3に開示されるような方法を使用して抄造体を製造した場合であってもなお、繊維フィラーの分散状態が不十分であり、繊維フィラーの含有量が低い、換言すると強度の低い部分ができる場合があった。このように繊維フィラーの分散状態に偏りが存在する場合、このような抄造体から得られる成形体は、曲げ強度などの機械的強度においてばらつきが生じ、特定の方向から荷重がかかった場合、成形物が破損したり、変形したりする場合があった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、強度のばらつきが低減された成形体を得る方法を提供する。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、抄造工程に供する原料スラリーにおいて特定の添加剤を加えることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを含むスラリーを調製する工程と、
前記スラリーを抄造し、脱水し、熱硬化性樹脂、繊維フィラーおよびポリ(メタ)アクリル酸エステルを含む抄造体を得る工程と、
前記抄造体を加熱成形して成形体を得る工程と、を含み、
前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンは、0.02meq/g以上0.1meq/g以下のカチオン度を有する、成形体の製造方法が提供される。
また本発明によれば、
熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびポリ(メタ)アクリル酸エステルを含む抄造体であって、
重量ばらつきが、所定重量に対して26%以下である、抄造体が提供される。
また本発明によれば、
熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびポリエーテルオキサイドを分散媒中で混合して、第一のスラリーを得る工程と、
前記第一のスラリーに、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを混合して、第二のスラリーを得る工程と、
前記第二のスラリーを抄造し、脱水し、熱硬化性樹脂、繊維フィラー、ポリエーテルオキサイド、およびポリ(メタ)アクリル酸エステルを含む抄造体を得る工程と、
前記抄造体を加熱成形して成形体を得る工程と、を含み、
前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンが、0.02meq/g以上0.1meq/g以下のカチオン度を有する、成形体の製造方法が提供される。
本発明によれば、繊維フィラーが高度に分散された成形体の製造方法が提供される。
本実施形態に係る抄造体の製造方法の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第一の実施形態における成形体の製造方法)
本発明の第一の実施形態にしたがう成形体の製造方法は、
熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを含むスラリーを調製する工程と、
前記スラリーを抄造し、脱水し、熱硬化性樹脂、有機繊維、無機繊維およびポリ(メタ)アクリル酸エステルを含む抄造体を得る工程と、
前記抄造体を加熱成形して成形体を得る工程と、を含む。本実施形態で用いられるポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンは、0.02meq/g以上0.1meq/g以下のカチオン度を有する。
本発明者らは、熱硬化性樹脂繊維フィラーを含むスラリーに、カチオン度が0.02meq/g以上0.1meq/g以下のポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを加えることにより、このスラリーを抄造法に供して得られる抄造体において繊維フィラーが高度に分散されることを見出した。また、このような抄造体から得られる成形体は、繊維フィラーが高度に分散されているため、強度のばらつきが低減されており、任意の方向からの荷重に対して優れた強度を有することを見出した。
本実施形態で用いられるポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンは、0.02meq/g以上0.1meq/g以下のカチオン度を有する。ここで、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンのカチオン度とは、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョン中のポリ(メタ)アクリル酸エステル1グラムあたりのカチオンコロイド当量(meq/g)をいい、ポリビニル硫酸カリウム溶液を用いて滴定するコロイド滴定法により測定される。
本実施形態において、上記カチオン度を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを用いることにより、繊維フィラーが高度に分散されたスラリーが得られる。その理由は必ずしも明らかではないが、スラリー中の繊維フィラーおよび熱硬化性樹脂の表面は負(マイナス)に帯電しているため、カチオン性のポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンとの相互作用により強く凝集するためと考えられる。また、上述の所定のカチオン度を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルは、繊維フィラーと熱硬化性樹脂とを適度な速度で凝集させ、溶媒中に高度に分散するのに適切なサイズの凝集体を形成するように作用すると考えられる。
本実施形態で用いられるポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンとしては、ハイモ社製の「ハイモロック DR−9300」、および「ハイモフロックDR−7300」、三菱ケミカル株式会社製の「ダイヤフロックKMシリーズ」および「ダイヤフロックKPシリーズ」、MTアクアポリマー株式会社製の「アロンフロックE1600」および「アロンフロックE3300」等が挙げられるが、これらに限定されない。
本実施形態で用いられる繊維フィラーとしては、金属繊維、木材繊維、木綿、麻、羊毛などの天然繊維;レーヨン繊維などの再生繊維;セルロース繊維などの半合成繊維;ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、エチレンビニルアルコール繊維などの合成繊維;炭素繊維;ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維などが挙げられるがこれらに限定されない。繊維フィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
繊維フィラーの含有量は、スラリーの固形分に対し、1質量%以上90質量%以下とすることができ、得られる成形体の用途に応じて適宜選択できる。
繊維フィラーの繊維長さは、特に限定されないが、要求される特性に応じて使い分けることが望ましく、例えば、500μm以上10mm以下であることが好ましい。繊維長さを500μm以上とすることで、繊維フィラーによる特性、たとえば、機械的強度、剛性などの特性を発現させることができる。一方で、繊維長さを10mm以下とすることで、成形加工性を確保することができる。
繊維フィラーの径は、1μm以上100μm以下であることが好ましく、特に5μm以上80μm以下であることが好ましい。1μm以上とすることで、得られる成形体の機械的強度を確保することができ、100μm以下とすることで、成形加工性を確保することができる。繊維の長さおよび径は、例えば、得られた成形体を電子顕微鏡で観察することにより、確認することができる。さらに、平均繊維長さ、平均径は、得られた成形体の表面に露出している繊維フィラーを合計で100本選び、その平均値を算出することで、求めることができる。
一実施形態において、上記繊維フィラーに加え、パルプ繊維を用いることが好ましい。パルプ繊維とは、有機繊維をフィブリル化したものをいう。パルプ繊維としては、たとえば、リンターパルプや木材パルプ等のセルロース繊維、ケナフ、ジュート、竹などの天然繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維やその共重合体、芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、メタ型アラミド繊維やその共重合体、アクリル繊維、アクリロニトリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維をフィブリル化したパルプ状繊維が挙げられる。パルプ繊維は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態で用いられる熱硬化性樹脂は、バインダ樹脂として使用され、たとえば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタンなどを用いることができる。熱硬化性樹脂としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。熱硬化性樹脂としては、上記具体例のうち例えば、フェノール樹脂を用いることが好ましい。これにより、成形物の強度を向上できる。したがって、曲げ強度の異方性をより小さくできる。また、単繊維の分散性をより向上できる観点でも好ましい。
本実施形態の抄造体の製造に用いられるスラリーには、上述の成分に加え、必要に応じて、抄造薬剤、イオン交換剤、充填剤、凝集剤、導電性付与剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、滑剤、離型剤、相溶化剤、分散剤、結晶核剤、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、発泡剤、抗菌剤、制震剤、防臭剤、摺動性改質剤、帯電防止剤などを配合してもよい。
本実施形態において、成形体は、湿式抄造法を用いて抄造体を得る工程と、得られた抄造体を加熱成形して成形体を得る工程により製造される。
抄造体を得る工程は、熱硬化性樹脂と、繊維フィラーとポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンとを分散媒中で混合して、スラリーを調製する工程と、底面にメッシュを備える容器に、得られたスラリーを入れ、分散媒を分離する工程と、メッシュ上に残った固形分を乾燥させ、プレスすることで、抄造体を得る工程とを含む。
以下に、図1に基づいて各工程の詳細を説明する。
(スラリーの調製)
スラリーの調製は、図1(a)に示すように、熱硬化性樹脂Aと、繊維フィラーBと、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンとを分散媒中で混合、撹拌することにより行われる。
ここで、スラリーは、上記材料に加えてパルプ繊維を含むことが好ましい。パルプ繊維が配合されることにより、繊維フィラーBを高度に分散させることができる。
上記材料を分散媒中で混合する工程は、例えば、攪拌機を備える容器中で撹拌する方法を用いることができる。
分散媒としては限定されず、具体的には、水;エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラールなどのエーテル類などが挙げられる。分散媒としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、入手が容易であり、環境負荷が低く、安全性が高いことから、水を用いることが好ましい。
ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンは、熱硬化性樹脂A、繊維フィラーB、必要に応じてパルプ繊維、および必要に応じて他の成分を分散媒中で混合し、撹拌した後に添加してもよいし、上記成分と同時に混合してもよい。各成分をより高度に分散させるために、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンは、上記各成分を分散媒中で混合し撹拌した後に加えるのが好ましい。
(分離工程)
分離工程では、図1(b)に示すように底面にメッシュ60を備える容器に、スラリーを入れ、分散媒と、固形分とを分離する。これにより、図1(c)メッシュ上に、シート状の凝集物が残存する。なお、凝集物は、例えば、スラリーの原料成分を含む。
本実施形態において、メッシュ60の形状を適宜選択することによって、得られる抄造体10の形状を調整することが可能である。たとえば、平坦なシート形状のメッシュ60を用いた場合、シート様の形状を有する抄造体10が得られる。また、たとえば、波型、凹凸等の立体形状を有するメッシュ60を用いた場合、立体形状を有する抄造体10が得られる。抄造体10の形状は、これを硬化成型して得られる成形体20の形状、金型の形状等に応じて適宜選択することができる。また、抄造体10の厚みは、材料スラリー中の上記各材料の量を調整したり、再度スラリーを作製して分離工程を行ったりすることによって調整することができる。
次いで、凝集物を脱水プレスすることで、抄造体を作製する。
脱水プレスの条件は、例えば、温度20℃以上30℃以下で、圧力1kgf/cm以上50kgf/cm以下とすることができる。
ここで、脱水プレスは、例えば、抄造体の脱水率が20%以下となるように行われることが好ましい。なお、本実施形態にかかる脱水率とは、脱水処理する前に凝集物に含まれる分散媒の質量を100%としたとき、脱水処理した後の凝集物(抄造体)に含まれる分散媒の質量を示す。
(成形物の製造方法)
次に、成形物の製造方法について説明する。
本実施形態に係る成形物の製造方法は、例えば、抄造体を熱処理する乾燥工程と、抄造体を加熱加圧下で金型成形し、成形物を作製する成形工程とを含む。
以下、詳細について説明する。
(乾燥工程)
乾燥工程では、図1(d)に示すように抄造体を熱処理する。これにより、抄造体から分散媒をさらに取り除く。
乾燥する方法としては限定されず、例えば、図1(d)に示すようにオーブン70などを用いることができる。
ここで、乾燥する温度としては、熱硬化性樹脂の融点以上反応温度以下とすることができる。なお、反応温度とは、示差走査熱量(DSC:Differential scanning calorimetry)測定における昇温過程において、算出される反応率が0%を最初に越える温度である。ここで、反応率とは、次のように求められる。まず、硬化反応を行っていない抄造体について、DSC測定により温度プロファイルを測定する。これにより得られる硬化反応の温度プロファイルから算出される、硬化反応の発熱ピークの単位質量あたりに換算した発熱量をA[mJ/mg]とする。次いで、反応率を算出する抄造体についても、同様に、硬化反応の発熱ピークの単位質量あたりに換算した発熱量B[mJ/mg]を算出する。上記A及びBを用いて、以下の式より、反応率が求められる。
(式) (反応率)=B/A×100[%]
(成形工程)
成形工程では、抄造体を加熱加圧下で金型成形し、成形物を作製する。
本実施形態に係る成形物は、抄造体を加熱加圧下で金型成型することにより得られる。成形体20は、目的の形状を有する金型を用いて、シート状または立体形状の抄造体10を加熱加圧することにより作製することができる。成型方法としては、例えば、プレス成形が挙げられる。図2(e)に示すように、プレス板71で、抄造体10を加圧するとともに、プレス板71の外周側に熱板72を配置して加熱する。これにより、成形体20を得ることができる。
なお、本実施形態に係る成形物の硬化状態は、Bステージの硬化状態である。
ここで、成形工程における加熱温度を、上述した熱硬化性樹脂の融点以上反応温度以下とする場合、成形物をBステージの硬化状態とすることができる。
なお、本実施形態に係る成形物は、さらに反応温度より大きい温度で加熱処理することで、Cステージの硬化状態の硬化物(成形体)としてもよい。ここで、反応温度より大きい温度の加熱処理は、例えば、上記成形工程と同時におこなってもよい。
(第二の実施形態における成形体の製造方法)
本発明の第二の実施形態にしたがう成形体の製造方法は、
熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびポリエーテルオキサイドを分散媒中で混合して、第一のスラリーを得る工程と、
前記第一の混合水性スラリーに、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを混合して、第二のスラリーを得る工程と、
前記第二のスラリーを抄造し、脱水し、熱硬化性樹脂、繊維フィラー、ポリエーテルオキサイド、およびポリ(メタ)アクリル酸エステルを含む抄造体を得る工程と、
前記抄造体を加熱成形して成形体を得る工程と、を含む。本実施形態で用いられるポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンは、0.02meq/g以上0.1meq/g以下のカチオン度を有する。
第二の実施形態の成形体の製造方法は、熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびポリエーテルオキサイドを分散媒中で混合して、第一のスラリーを得る工程を含む点で、上述の第一の実施形態の成形体の製造方法と異なる。本実施形態では、ポリエーテルオキサイドを用いることにより、繊維フィラーが高度に分散されたスラリーを得ることができる。第一の実施形態における方法と同様に、第一のスラリーには、パルプ繊維を配合してもよい。
本実施形態では、上述のようにして得られた第一のスラリーに、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンが添加される。用いられるポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンは上記と同様である。
好ましい実施形態において、スラリーを得る工程は、パルプ繊維、およびポリエーテルオキサイドを分散媒中で混合して混合スラリーを得、次いで得られた混合スラリーに繊維フィラーBを添加して撹拌混合し、次いで熱硬化性樹脂を添加して撹拌混合して第一のスラリーを得る工程、および第一のスラリーにポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを添加し撹拌混合して第二のスラリーを得る工程を用いることが好ましい。上記方法を用いることにより、繊維フィラーBが高度に分散したスラリーを得ることができる。
第二の実施形態における抄造体および成形体を製造する工程は、上述の第一の実施形態における方法と同様にして実施することができる。
(抄造体)
上述の実施形態に記載の方法により得られる抄造体は、熱硬化性樹脂A、繊維フィラーBおよびポリ(メタ)アクリル酸エステルを含み、繊維フィラーBの分散状態に偏りがない。そのため、重量ばらつきが、所定重量に対して26%以下である。
ここで、本実施形態において、「重量ばらつき」とは、以下の式で定義される。
重量ばらつき(%)=[(最大値−最小値)/平均値]×100
重量ばらつきの測定は、300mm×300mmサイズの抄造体から、10mm×80mmの試験片を切り出し、70℃で1時間乾燥した後の重量を測定して行う。上記式中の「平均値」は、各試験片の重量の平均値であり、「最大値」は、上記試験片のうちの最大値であり、最小値は、上記試験片のうちの最小値である。
重量ばらつきの値が小さい程、抄造体の任意の部分における重量差が小さく、抄造体の重量が均一化されていることを表す。すなわち、重量ばらつきの値が小さいほど、抄造体に含まれる熱硬化性樹脂Aと繊維フィラーBとが均一に分散していることを表す。
抄造体の重量ばらつきは、26%以下であり、好ましくは、24%以下である。重量ばらつきが上記値であれば、この抄造体を硬化して得られる成形体が、任意の方向からの荷重に対して優れた強度を有する。
このような重量ばらつきが低減された抄造体を硬化して得られる成形体もまた、繊維フィラーBが高度に分散されているため、強度のばらつきが低減されており、任意の方向からの荷重に対して優れた強度を有する。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
抄造体の作製のために以下に示す材料を、表1に示す量で使用した。
(熱硬化性樹脂)
・熱硬化性樹脂1:レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製の「PR51723」
(繊維フィラー)
・繊維フィラー1:PAN系炭素繊維(繊維長6mm〜9mm)
(パルプ繊維)
・パルプ繊維1:アラミド微小繊維(ダイセルファインケム株式会社製の「ティアラ KY−400S」)
・パルプ繊維2:アラミド微小繊維(帝人株式会社製の「トワロン 1094」)
(添加剤)
・添加剤1:ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョン(ハイモ株式会社製の「ハイモロック DR−9300」、カチオン度 0.04meq/g)
・添加剤2:ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョン(ハイモ株式会社製の「ハイモロック DR−7300」、カチオン度 0.034meq/g)
・添加剤3:ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョン(ハイモ株式会社製の「ハイモロック DR−7300」、カチオン度 0.017meq/g)
・添加剤4:ポリエチレンオキサイド(住友精化株式会社製の「PEO−18」)
(実施例1)
(抄造体の作製)
分散媒としての水に、熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびパルプ繊維を加え、20分間撹拌して、固形分濃度0.15質量%のスラリーを得た。得られたスラリーに、あらかじめ調製した添加剤1の水溶液を、スラリー中の固形分に対して300ppmとなるように添加し、スラリー中の固形分を凝集させた。次いで、凝集物を含むスラリーを、30メッシュの金属網(スクリーン)で濾過し、スクリーン上に残ったシート状の凝集物を、圧力3MPaでプレスして脱水した。脱水した凝集物を、70℃で3時間乾燥させて、シート状の素形体(抄造体)を得た。
(成形体の作製)
上記にて得られたシート状の抄造体を、10mm×80mmにカットし重量を測定した。カット片は成形後の厚みが4mmとなるように積層させ、圧力650kg/cm、温度180℃の条件で10分間熱処理することにより、10mm×80mm×4mmの成形体を得た。
(実施例2)
添加剤1の代わりに添加剤2を使用した以外は、実施例1と同様にして、抄造体および成形体を作製した。
(比較例1)
添加剤1の代わりに添加剤3を使用した以外は、実施例1と同様にして、抄造体および成形体を作製した。
(実施例3)
(抄造体の作製)
分散媒としての水に、熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびパルプ繊維を加え、さらにあらかじめ作成した添加剤4の水溶液を、固形分に対して1000ppmとなるように添加し、20分間撹拌して、固形分濃度0.15質量%の分散液を得た。得られた分散液に、あらかじめ調製した添加剤1の水溶液を、分散液中の固形分に対して300ppmとなるように添加し、スラリー中の固形分を凝集させた。次いで、凝集物を含むスラリーを、流速20L/minで30メッシュの金属網(スクリーン)で濾過し、スクリーン上に残ったシート状の凝集物を、圧力3MPaでプレスして脱水した。脱水した凝集物を、70℃で3時間乾燥させて、シート状の素形体(抄造体)を得た。
(成形体の作製)
上記にて得られたシート状の抄造体を、10mm×80mmにカットし重量を測定した。カット片は成形後の厚みが4mmとなるように積層させ、圧力650kg/cm、温度180℃の条件で10分間熱処理することにより、10mm×80mm×4mmの成形体を得た。
(比較例2)
添加剤1の代わりに添加剤3を使用した以外は、実施例3と同様にして、抄造体および成形体を作製した。
(実施例4)
添加剤1の代わりに添加剤2を使用した以外は、実施例3と同様にして、抄造体および成形体を作製した。
(比較例3)
添加剤1の代わりに添加剤3を使用した以外は、実施例3と同様にして、抄造体および成形体を作製した。
Figure 2020084378
(抄造体の重量ばらつきの測定)
上述のようにして得られた抄造体の重量ばらつきを、以下の方法で測定した。抄造体の重量ばらつきは、抄造体に含まれる繊維フィラーの分散性の指標とした。
まず、上記の得られたシート状の抄造体から、10mm×80mmの試験片を36個切り出した。各試験片の重量を測定して、平均値を求めた。次いで、以下の式より、重量ばらつき(%)を求めた。
重量ばらつき(%)=[(最大値−最小値)/平均値]×100
ここで、「最大値」は、上述の36個の試験片のうち最大の重量値であり、「最小値」は、36個の試験片のうち最小の重量値であり、「平均値」は、36個の試験片の重量の平均値である。
(成形体の曲げ強度ばらつきおよび曲げ弾性率ばらつきの測定)
上述のようにして得られた成形体の曲げ強度ばらつきおよび曲げ弾性率ばらつきを、測定した。具体的には、上記で得られたシート状の抄造体から切り出した10mm×80mmの寸法の36個の試験片について、ISO178に準拠した方法により曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。次いで、以下の式より、曲げ強度ばらつき(%)および曲げ弾性率ばらつき(%)を求めた。結果を以下の表2に示す。
曲げ強度ばらつき(%)=[(最大値−最小値)/平均値]×100
曲げ弾性率ばらつき(%)=[(最大値−最小値)/平均値]×100
ここで、「最大値」は、36個の試験片のうち最大の曲げ強度または曲げ弾性率の値であり、「最小値」は、36個の試験片のうちの最小の曲げ強度または曲げ弾性率の値であり、「平均値」は、36個の試験片の曲げ強度または曲げ弾性率の平均値である。
Figure 2020084378
実施例の抄造体は重量ばらつきが小さく、このような抄造体を硬化して得られる成形体は、曲げ強度ばらつきおよび曲げ弾性ばらつきが比較的小さい。よって、実施例の成形体は、繊維フィラーが高度に分散しており、任意の方向からの荷重に対して優れた強度を有する。

Claims (4)

  1. 熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを含むスラリーを調製する工程と、
    前記スラリーを抄造し、脱水し、熱硬化性樹脂、繊維フィラーおよびポリ(メタ)アクリル酸エステルを含む抄造体を得る工程と、
    前記抄造体を加熱成形して成形体を得る工程と、を含み、
    前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンは、0.02meq/g以上0.1meq/g以下のカチオン度を有する、成形体の製造方法。
  2. スラリーを調製する前記工程が、
    前記熱硬化性樹脂、および繊維フィラーを分散媒中で混合して、混合液を得る工程と、
    前記混合液に、前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを混合してスラリーを得る工程と、を含む請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびポリ(メタ)アクリル酸エステルを含む抄造体であって、
    重量ばらつきが、所定重量に対して26%以下である、抄造体。
  4. 熱硬化性樹脂、繊維フィラー、およびポリエーテルオキサイドを分散媒中で混合して、第一のスラリーを得る工程と、
    前記第一の混合水性スラリーに、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを混合して、第二の水性スラリーを得る工程と、
    前記第二のスラリーを抄造し、脱水し、熱硬化性樹脂、繊維フィラー、ポリエーテルオキサイド、およびポリ(メタ)アクリル酸エステルを含む抄造体を得る工程と、
    前記抄造体を加熱成形して成形体を得る工程と、を含み、
    前記ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンが、0.02meq/g以上0.1meq/g以下のカチオン度を有する、成形体の製造方法。
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