JP2020084074A - (メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 保存前後における重合体水溶液の粘度の変化を充分に抑制し、かつ、重合体水溶液の良好な取り扱い性を維持することができる(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法を提供する。【解決手段】 (メタ)アクリル酸系重合体水溶液を保存する方法であって、該保存方法は、下記の条件で測定した粘度が150〜2800mPa・sの範囲である(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を、50℃で30日間保存した後の上記粘度の変化率が保存開始時の粘度に対して±10%以内となるように調整し、該(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を、40℃以上で保存することを特徴とする(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法。<粘度の測定条件>測定装置:B型粘度計重合体水溶液の固形分:20質量%粘度測定時の水溶液の温度:25℃【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法に関する。より詳しくは、水処理剤、繊維処理剤、分散剤や洗剤ビルダー等の各種用途に好適に用いることができる(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法に関する。
構造中にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸系重合体は、水溶性の重合体等として、家庭用、工業用を問わず様々な用途で使用されている。例えば特許文献1には、重量平均分子量が20000以上である多価アルコール、及びポリカルボン酸を含有する(但し、有機炭酸エステルを含有する場合を除く。)ことを特徴とする、繊維又は繊維製品に保持させて熱処理して用いられる繊維処理剤が開示されている。特許文献2には、ポリカルボン酸系化合物と多官能基を有する架橋剤とバインダー樹脂を繊維類上に付着させた後、該繊維を熱処理することを特徴とするポリカルボン酸系化合物の繊維類への固着方法および固着物が開示されている。感温性水性ゲル、化粧料添加物、医薬徐放性担体、皮膚貼付剤添加物等に用いられるアクリル酸系重合体に関して、特許文献3には、アクリル酸系単量体またはアクリル酸系単量体を主体とする単量体混合物を、水性媒体中でラジカル重合開始剤によって重合した後、必要に応じてラジカル重合開始剤にて追加触媒処理を施し、水性媒体が水可溶性有機溶剤を含有している場合は、前記水可溶性有機溶剤を除去することによって、水溶液粘度と不揮発分が、所定の関係を満たし、残存アクリル酸系単量体が不揮発分に対して7000ppm以下である重合体水溶液とすることを特徴とするアクリル酸系重合体水溶液の製造法が開示されている。また、特許文献4には、所定の構造で表されるスルホン酸基含有エーテル化合物と(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体組成物を重合して製造された(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法であって、重合反応完結時から60日後のL表色系において、L値を88〜100の範囲内に調整し、a値を−7〜−2の範囲内に調整し、b値を4〜14の範囲内に調整する、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法が開示されている。
特許第5893114号公報 特開2003−301380号公報 特開2005−255848号公報 特開2016−65147号公報
上述のとおり、種々の(メタ)アクリル酸系重合体やその製造方法が開示されている。これらの重合体水溶液は、製造後各種用途に使用されるまでに少なくとも輸送等のための期間を要し、一定期間保存されることが一般的である。(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、このような保存期間中に重合体に粘度が変化し、それに起因して不具合が発生することがあるため、そのような粘度の変化を抑制することが求められる。例えば、重合体水溶液を基材に練り込んだり、塗布して製造を行う用途では、重合体水溶液の保存前後で重合体水溶液の粘度が変化した場合、練り込みや塗布にムラが生じる恐れがあり、保存前後における粘度の変化を抑制することが求められる。一方で(メタ)アクリル酸系重合体水溶液には、取扱い性に優れることも求められる。一般に液体の粘度は液体の温度が高いほど低くなるため、水溶液の温度が高い方が重合体水溶液の粘度が下がり、取り扱い性に優れることが知られているが、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を高温で保存するとカルボキシル基における水の脱水によりポリマー間の架橋が生じやすくなり、ポリマーが高分子量化することに起因して増粘することが知られている。このため、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を取扱い性に優れたものとしつつ、粘度変化を抑制することは容易ではない。特許文献4には、経時に伴う色調の変化を抑制する保存方法が開示されているものの、粘度の変化や取り扱い性に関して何ら記載はされておらず、従来の技術により(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の粘度の変化を抑制することと、重合体水溶液の良好な取り扱い性を維持することとを両立させることは困難であり、これらを両立させる保存方法を検討する余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、保存前後における重合体水溶液の粘度の変化を充分に抑制し、かつ、重合体水溶液の良好な取り扱い性を維持することができる(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法を提供することを目的とする。
本発明者は、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法について種々検討したところ、特定の粘度範囲である(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を50℃で30日間保存したときの粘度の変化率を保存開始時の粘度に対して±10%以内となるように調整することにより、良好な取り扱い性を維持することができる40℃以上の高い温度で保存した場合にも、保存前後における重合体水溶液の粘度の変化を充分に抑制することができることを見出した。このようにして上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を保存する方法であって、上記保存方法は、下記の条件で測定した粘度が150〜2800mPa・sの範囲である(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を、50℃で30日間保存した後の上記粘度の変化率が保存開始時の粘度に対して±10%以内となるように調整し、上記(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を、40℃以上で保存する(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法である。
<粘度の測定条件>
測定装置:B型粘度計
重合体水溶液の固形分:20質量%
粘度測定時の水溶液の温度:25℃
上記保存方法は、(メタ)アクリル酸系重合体の中和度を35%以下にすることが好ましい。
上記保存方法は、(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量を、25万以上、50万以下に調整することが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位の割合が、全構造単位100質量%に対して50〜100質量%であることが好ましい。
上記保存方法は、ステンレス製の保存容器を用いることが好ましい。
本発明はまた、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液であって、上記(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、下記の条件で測定した粘度が150〜2800mPa・sであり、50℃で30日間保存した時の上記粘度の変化率が保存開始時の粘度に対して±10%以内である(メタ)アクリル酸系重合体水溶液でもある。
<粘度の測定条件>
測定装置:B型粘度計
重合体水溶液の固形分:20質量%
粘度測定時の水溶液の温度:25℃
上記(メタ)アクリル酸系重合体は、中和度が35%以下であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸系重合体は、重量平均分子量が25万以上、50万以下であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位の割合が、全構造単位100質量%に対して50〜100質量%であることが好ましい。
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法は、上述の構成よりなり、保存前後における重合体水溶液の粘度の変化を充分に抑制し、かつ、重合体水溶液の良好な取り扱い性を維持することができるため、水処理剤、繊維処理剤、分散剤や洗剤等の各種用途に用いられる(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法として好適である。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
<(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法>
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法は、上記の条件で測定する粘度が150〜2800mPa・sの範囲である(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を50℃で30日間保存した後の粘度の変化率が保存開始時の粘度に対して±10%以内となるように調整し、該重合体水溶液を40℃以上で保存する方法である。
本発明者は、上記特定の粘度範囲である(メタ)アクリル酸系重合体水溶液について、50℃で30日間保存した後の粘度の変化率が±10%以内になるように調整すれば、良好な取り扱い性を維持することができる40℃以上の温度で保存した場合にも、重合体水溶液の粘度の変化を充分に抑制することができることを見出した。
これにより保存後の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を各種用途に好適に用いることができる。
上記保存方法における保存対象の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、下記の条件で測定した粘度が150〜2800mPa・sであるが、好ましくは250〜2500mPa・sであり、更に好ましくは300〜2000mPa・sであり、特に好ましくは400〜1500mPa・sである。
<粘度の測定条件>
測定装置:B型粘度計
重合体水溶液の固形分:20質量%
粘度測定時の水溶液の温度:25℃
上記保存方法は、上記条件で測定した粘度が150〜2800mPa・sである(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を50℃で30日間保存した後の粘度の変化率が保存開始時の粘度に対して±10%以内となるように調整する工程を含む。より好ましくは、粘度の変化率が−10〜0%となるように調整することである。
保存する重合体水溶液を上記粘度範囲に調整後、24時間以内に50℃に調温し、50℃になった時点を保存開始時とする。保存する重合体水溶液の粘度を調整する際に、後述する中和工程が含まれる場合は中和工程から50℃に調温するまでを24時間以内に行う。
上記保存方法は、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の粘度変化率を上記範囲に調整することができる限り特に制限されないが、(メタ)アクリル酸系重合体の中和度を35%以下に調整することが好ましい。
(メタ)アクリル酸系重合体中のカルボキシル基等の酸基がアニオンとなると、ポリマー鎖の広がり方が変化することで、粘度の変化が生じやすくなるが、中和度を35%以下とすることにより、ポリマー鎖の広がり方の変化をより充分に抑制することができるため、粘度の変化が生じることをより充分に抑制することができる。中和度の上限として、より好ましくは30%以下であり、更に好ましくは20%以下であり、特に好ましくは10%以下である。中和度の下限としては、未中和(0%)であってもよく、好ましくは0%を超えるものであり、より好ましくは1%以上、更に好ましくは3%以上、特に好ましくは5%以上である。
(メタ)アクリル酸系重合体の中和度は、重合体中の酸基含有単量体由来の構造単位のモル数と、中和に用いる塩基性化合物のモル数とから算出することができる。また、(メタ)アクリル酸系重合体の原料として、(メタ)アクリル酸塩等の中和された酸基(塩)を有する単量体を用いる場合、当該単量体由来の構造単位は、酸基が中和された構造単位として計算する。
上記(メタ)アクリル酸系重合体が(メタ)アクリル酸(塩)のホモポリマーである場合、酸基含有単量体は(メタ)アクリル酸(塩)のみであるが、上記重合体は(メタ)アクリル酸(塩)以外に例えば、スルホン酸基含有単量体等の酸基含有単量体由来の構造単位を有していてもよい。
(メタ)アクリル酸(塩)以外の酸基含有単量体としては、例えば、後述する(メタ)アクリル酸以外のカルボキシル基含有単量体及びその塩;スルホン酸基を有する単量体及びそれらの塩;ホスホン酸基を有する単量体等が挙げられる。
上記中和に用いる塩基性化合物は、(メタ)アクリル酸系重合体中の酸基を中和することができるものである限り特に制限されず、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属、及び、アルミニウムや鉄の水酸化物;アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン;エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等のポリアミン等の1種又は2種以上を用いることができる。好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物であり、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
上記保存方法は、(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量を25万以上、50万以下に調整したうえで重合体を保存することが好ましい。重量平均分子量が25万以上である場合、重合体中の酸基がアニオンとなった場合の粘度への影響が大きくなるため、本発明における重合体の中和度を上記好ましい範囲とすることの技術的意義がより効果的に発揮される。
重量平均分子量の調整は、後述する(メタ)アクリル酸系重合体の製造方法において連鎖移動剤の使用量、開始剤の使用量、重合温度等を調整することにより行うことができ、該製造方法において重量平均分子量を25万以上、50万以下に調整して得られた重合体を本発明の保存方法により保存する形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。重量平均分子量としてより好ましくは30万以上、45万以下であり、更に好ましくは31万以上、43万以下であり、特に好ましくは33万以上、40万以下である。
上記保存方法における(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、重合体の固形分濃度が10〜40質量%であることが好ましい。これにより、ポリマー間の架橋をより充分に抑制することができるため、粘度の変化率をより小さくすることができる。重合体の固形分濃度としてより好ましくは11〜30質量%であり、更に好ましくは12〜25質量%であり、特に好ましくは13〜23質量%である。
上記保存方法における重合体水溶液の保存温度として好ましくは40℃以上であり、更に好ましくは45℃以上であり、特に好ましくは50℃以上である。また保存温度は70℃以下であることが好ましい。
上記保存方法は、保存容器の材質は特に制限されず、例えば、密閉性の高い樹脂容器(例えば、高密度ポリエチレン容器など)、ガラス容器、ステンレス等の金属容器等が挙げられる。中でも酸素透過性の観点からステンレス製の保存容器を用いることが好ましい。ステンレスの種類は特に限定されないが、耐食性の観点からSUS304、SUS316、SUS316Lが好ましい。
上記保存方法において、保存温度を40℃以上に保つ方法としては特に制限されないが、例えば、保存容器の一部又は全体を加温する方法や、重合体水溶液を保存容器に取り付けた熱交換機等を通過させる方法が挙げられる。好ましくは保存容器の一部又は全体を加温する方法である。これにより、保存容器中の重合体水溶液の温度をより均一に保つことができ、より安定に保存することができる。
上記保存方法において、保存容器中の雰囲気は、空気雰囲気、不活性雰囲気のどちらでもよいが、不活性雰囲気とすることが好ましい。不活性ガスとしては特に制限されないが、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。上記保存方法において、保存容器中の気相部分を不活性ガスで置換することがより好ましい。
上記保存方法における保存期間は特に制限されないが、1日間以上730日間以下であることが好ましい。より好ましくは2日間以上540日間以下であり、更に好ましくは3日間以上365日間以下である。
本発明の保存方法の保存対象とする(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位を有する。本発明において、(メタ)アクリル酸(塩)とは、メタクリル酸(塩)またはアクリル酸(塩)をいう。メタクリル酸(塩)とは、メタクリル酸又はメタクリル酸塩をいい、アクリル酸(塩)とは、アクリル酸またはアクリル酸塩をいう。
(メタ)アクリル酸(塩)における「塩」とは、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩である。金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属の塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属の塩;アルミニウム、鉄等の塩等が挙げられる。また、有機アミン塩としては、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;モノエチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩等のアルキルアミン塩;エチレンジアミン塩、トリエチレンジアミン塩等のポリアミン等の有機アミンの塩が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位を有するものであればよいが、該構造単位の割合が、全構造単位100質量%に対して50〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは60〜100質量%であり、更に好ましくは70〜100質量%であり、一層好ましくは80〜100質量%であり、特に好ましくは90〜100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
(メタ)アクリル酸系重合体における該構造単位の割合が上記好ましい範囲である場合、カルボキシル基量が多くなることに基づき、粘度への影響がより大きくなるため、この場合に重合体の中和度を上記好ましい範囲とすることの技術的意義がより効果的に発揮される。
上記(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位のみを有していてもよいが、(メタ)アクリル酸(塩)と共重合可能なその他の単量体由来の構造単位を有していてもよい。
その他の単量体としては、具体的にはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−メチレングルタル酸、及びそれらの塩等の(メタ)アクリル酸以外のカルボキシル基含有単量体及びその塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキル基のエステルである、アルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級化物等のアミノ基含有アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、α−メチル−p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、1−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、1,1−ジメチル−2−プロペン−1−スルホン酸、3−ブテン−1−スルホン酸、1−ブテン−3−スルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体及びそれらの塩;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸等のホスホン酸基を有する単量体;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルピロリドン等のその他官能基含有単量体類;ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、モノアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキシドが1〜300モル付加した構造を有する単量体等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;等が挙げられる。これらその他の単量体についても、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体は、上記その他の単量体由来の構造単位の割合が全構造単位100質量%に対して0〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜40質量%であり、更に好ましくは0〜30質量%であり、一層好ましくは0〜20質量%であり、特に好ましくは0〜10質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
上記(メタ)アクリル酸系重合体は、重量平均分子量が25万以上、50万以下であることが好ましい。重量平均分子量が25万以上である場合、重合体中の酸基がアニオンとなった場合の粘度への影響が大きくなるため、本発明における重合体の中和度を上記好ましい範囲とすることの技術的意義がより効果的に発揮される。
重量平均分子量としてより好ましくは30万以上、45万以下であり、更に好ましくは31万以上、43万以下であり、特に好ましくは33万以上、40万以下である。
上記(メタ)アクリル酸系重合体は、数平均分子量が1万以上、12万以下であることが好ましい。
数平均分子量としてより好ましくは2万以上、11万以下であり、更に好ましくは3万以上、10万以下であり、特に好ましくは4万以上、9万以下である。
上記(メタ)アクリル酸系重合体の製造方法は、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸(塩)を含む単量体成分を重合することにより製造することができる。(メタ)アクリル酸(塩)等の単量体成分の具体例及び好ましい例は、上述のとおりである。また、単量体成分100質量%に対する(メタ)アクリル酸(塩)及びその他の単量体の含有割合は、上述の全構造単位100質量%に対する(メタ)アクリル酸(塩)及びその他の単量体由来の構造単位の割合と同様である。
上記(メタ)アクリル酸系重合体の製造方法の重合工程における、単量体成分の重合を開始する方法としては、特に制限されないが、例えば、重合開始剤を添加する方法、UVを照射する方法、熱を加える方法、光開始剤存在下に光を照射する方法等が挙げられる。
上記重合工程において、重合開始剤を用いることが好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アスコルビン酸と過酸化水素、過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤等が好適である。これらの重合開始剤のうち、残存単量体が減少する傾向にあることから、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ系化合物が好ましく、より好ましくは過硫酸塩である。これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよく、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。重合開始剤として過硫酸塩を使用して(メタ)アクリル酸系重合体を製造した場合、得られた重合体水溶液を保存した際に増粘しやすい傾向があるが、本発明の保存方法を適用することにより、重合体水溶液の粘度の変化を充分に抑制することができる。したがって、過硫酸塩を使用して製造した(メタ)アクリル酸系重合体水溶液に対して本発明の保存方法を適用する場合、本発明の技術的意義がより効果的に発揮される。
上記重合開始剤の使用量としては、単量体(全単量体)の使用量1モルに対して、0.05g以上、10g以下であることが好ましく、0.1g以上、5g以下であることがより好ましく、0.15g以上、1g以下であることが更に好ましい。
上記重合工程では、得られる重合体の分子量調整のために、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、メルカプトカルボン酸類、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロピルアルコール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等)の低級酸化物及びその塩等の親水性連鎖移動剤が挙げられる。
上記連鎖移動剤の使用量としては、単量体(全単量体)の使用量1モルに対して、0g以上、5g以下であることが好ましく、0g以上、1g以下であることがより好ましい。
上記重合工程において、溶媒を使用する場合、溶媒としては水性溶媒が好ましい。水性溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)、n−ブチルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられ、好ましくは水である。これらの溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
溶媒の使用量としては、単量体100質量%に対して40〜900質量%が好ましく、100〜600質量%がより好ましく、150〜500質量%が更に好ましい。
上記重合工程において、重合温度は、特に限定されるものではないが、50〜150℃の範囲内であれば、重合率がより向上するので好ましい。より好ましくは70〜120℃である。
上記重合工程において、反応時間は、上記重合反応が完結するように、反応温度や、単量体成分、重合開始剤、及び、溶媒等の種類(性質)や組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すればよい。
<(メタ)アクリル酸系重合体水溶液>
本発明はまた、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液であって、上記(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、下記の条件で測定した粘度が150〜2800mPa・sであり、50℃で30日間保存した時の粘度の変化率が保存開始時の粘度に対して±10%以内である(メタ)アクリル酸系重合体水溶液でもある。
<粘度の測定条件>
測定装置:B型粘度計
重合体水溶液の固形分:20質量%
粘度測定時の水溶液の温度:25℃
上記(メタ)アクリル酸系重合体水溶液中の(メタ)アクリル酸系重合体の中和度の範囲の上限は、35%以下であることが好ましい。より好ましくは30%以下であり、更に好ましくは20%以下であり、特に好ましくは10%以下である。中和度の下限としては、未中和(0%)であってもよく、好ましくは0%を超えるものであり、より好ましくは1%以上、更に好ましくは3%以上、特に好ましくは5%以上である。
上記(メタ)アクリル酸系重合体の好ましい形態、並びに、重合体水溶液の粘度及び粘度変化率の好ましい範囲は、上記保存方法の保存対象の(メタ)アクリル酸系重合体と同様である。また、本発明の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法は、該水溶液の量や保存形態に特に限定されず、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を貯蔵、輸送、運搬、移送などして取り扱う場合にも好適に運用される。
上記(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、(メタ)アクリル酸系重合体以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、未反応の残留単量体、重合開始剤、重合安定化剤、ポリマー安定化剤、有機溶剤等が挙げられ、これらの1種を含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。これらの含有量は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。上記重合体水溶液は、重合安定化剤やポリマー安定化剤としてチアジン化合物等の複素環式化合物を含んでいてもよいが、複素環式化合物の含有量としては、100ppm以下が好ましく、より好ましくは50ppm以下であり、更に好ましくは10ppm以下であり、特に好ましくは1ppm以下であり、最も好ましくは0ppmである。
本発明の保存方法は、(メタ)アクリル酸系重合体水溶液が複素環式化合物等の重合安定化剤やポリマー安定化剤を含まないものであっても、重合体水溶液の粘度の変化を充分に抑制することができる。
<(メタ)アクリル酸系重合体の用途>
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体は、凝固剤、凝集剤、印刷インク、接着剤、土壌調整(改質)剤、難燃剤、スキンケア剤、ヘアケア剤、シャンプー・ヘアースプレー・石鹸・化粧品用添加剤、アニオン交換樹脂、繊維・写真用フィルムの染料媒染剤や助剤、製紙における顔料展着剤、紙力増強剤、乳化剤、防腐剤、織物・紙の柔軟剤、潤滑油の添加剤、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤用添加剤、スケール防止剤(スケール抑制剤)、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤等として用いることができる。
これらの中でも上記(メタ)アクリル酸系重合体を繊維処理剤として用いることが好ましい。すなわち本発明は、上記(メタ)アクリル酸系重合体を含む繊維処理剤でもある。
本発明の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、該重合体を繊維に保持させて使用することが好ましい。
繊維処理対象の繊維における(メタ)アクリル酸系重合体の保持量は特に制限されないが、繊維100質量%に対して、0.1〜30質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜25質量%であり、更に好ましくは1〜22質量%であり、特に好ましくは2〜20質量%である。
上記(メタ)アクリル酸系重合体を繊維に対して用いる場合、繊維に(メタ)アクリル酸系重合体を保持させる限り、その方法は特に制限されず、繊維の繊維化工程の段階で上記(メタ)アクリル酸系重合体を練り込む方法や、繊維化工程後の糸や織物に対して(メタ)アクリル酸系重合体をコーティングする方法が挙げられる。
好ましくは繊維に(メタ)アクリル酸系重合体を練り込む方法である。
本発明の繊維処理剤はまた、繊維に(メタ)アクリル酸系重合体を保持させる限り使用方法は特に制限されないが、繊維に練り込んで使用されることがより好ましい。
ここで繊維への繊維処理剤の練り込みとは、溶融状態の繊維原料に繊維処理剤を添加して練り込むことや、繊維原料を溶解させた液に繊維処理剤を混合して紡糸することで繊維に繊維処理剤を練り組むことを意味する。
本発明の繊維処理剤で処理する繊維としては特に制限されないが、ポリエステルやナイロン等の合成繊維や、キュプラ等の再生セルロース繊維、綿等の天然セルロース繊維等のセルロース繊維等が挙げられる。本発明の繊維処理剤は、セルロース繊維及び/又はポリエステル繊維に用いられることが好ましい。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<重量平均分子量の測定条件(GPC)>
装置:東ソー株式会社製 HLC−8320GPC
検出器:RI
カラム:昭和電工株式会社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ、
GF−710−HQ、GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/min.
試料液注入量:10μL(試料濃度は0.5質量%)
検量線:創和科学株式会社製 ポリアクリル酸標準(Mp=94、900、2925、7500、28000、115000、143800、589700)を使用し、Mpと溶出時間を基礎に3次式で作成。
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム水溶液
<重合体水溶液の固形分測定方法>
重合体水溶液1gを3gの脱イオン水で希釈して130℃で120分間乾燥させ、その蒸発残分を測定して、下記式より求めた。
固形分(%)=〔乾燥後の蒸発残分(g)/乾燥前の重合体水溶液の質量(g)〕×100
<重合体水溶液の粘度変化率の測定>
重合体水溶液を加温保存前の粘度、50℃で30日間保存後の粘度、50℃で100日間保存後の粘度を測定して、下記式より求めた。
変化率(%)=(加温保存後の粘度−加温保存前の粘度)/加温保存前の粘度×100
<重合体水溶液の取り扱い性>
入り目:100mLの容器に50℃で100日間保存後の重合体水溶液50gを入れ、15℃、もしくは50℃に調温した。調温後の容器を180°2秒間傾けることで容器から取り出すことができた重合体水溶液の量から取り扱い性を評価した。容器内の重合体水溶液を65%以上(すなわち、32.5g以上)取り出すことができた重合体水溶液を取り扱い性良好とした。
<製造例1>(メタ)アクリル酸系重合体(A)の製造Mw=45万 PAA
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5LのSUS製反応容器に、脱イオン水:1358.8gを仕込み、攪拌下で沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点の重合反応系中に、80重量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」と称する):523.5g(すなわち5.82モル)を75分間、15重量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下「15%NaPS」と称する):7.8gを140分間、脱イオン水:109.9gを140分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに65分間、上記反応液を沸点に保持(熟成)し、重合を完結させることで(メタ)アクリル酸系重合体(A)の水溶液を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は45万、数平均分子量(Mn)は7.3万であった。
<製造例2>(メタ)アクリル酸系重合体(B)の製造Mw=37万 PAA
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5LのSUS製反応容器に、脱イオン水:778.7gを仕込み、攪拌下で沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点の重合反応系中に、80%AA:488.2g(すなわち5.42モル)を75分間、15%NaPS:1.2gを15分間と更に続いて13.5gを115分間と2段階の供給速度で、脱イオン水:114.9gを75分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、15%NaPS以外は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに65分間、上記反応液を沸点に保持(熟成)し、重合を完結させることで(メタ)アクリル酸系重合体(B)の水溶液を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は37万、数平均分子量(Mn)は6.7万であった。
<実施例1>(メタ)アクリル酸系重合体(A−1)水溶液の保存
攪拌機を備えた容量1LのSUS製反応容器に製造例1で得られた(メタ)アクリル酸系重合体(A)の水溶液:417.7gを仕込み、撹拌下、脱イオン水:52.0g、48質量%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「48%NaOH」と称する):30.3g(すなわち、(メタ)アクリル酸系重合体(A)に含まれるカルボキシル基を30モル%中和する量)を添加し、30分間撹拌することで固形分20%の(メタ)アクリル酸系重合体(A−1)水溶液を得た。重合体水溶液の粘度を測定したところ、2750mPa・sであった。(メタ)アクリル酸系重合体(A−1)水溶液をステンレス製の容器に入れ、50℃の恒温槽内にて保管した。30日間保存後の粘度は2600mPa・s、粘度の変化率は−5.5%であり、100日間保存後の粘度は2520mPa・s、粘度の変化率は−8.4%であった。また、取り扱い性評価を実施したところ、15℃で取り出すことができた重合体水溶液は13.6g、50℃で取り出すことができた重合体水溶液は33.2gと50℃では取り扱い性が良好だった。
<実施例2>(メタ)アクリル酸系重合体(A−2)水溶液の保存
攪拌機を備えた容量1LのSUS製反応容器に製造例1で得られた(メタ)アクリル酸系重合体(A)の水溶液:428.1gを仕込み、撹拌下、脱イオン水:51.2g、48%NaOH:20.7g(すなわち、(メタ)アクリル酸系重合体(A)に含まれるカルボキシル基を20モル%中和する量)を添加し、30分間撹拌することで固形分20%の(メタ)アクリル酸系重合体(A−2)水溶液を得た。重合体水溶液の粘度を測定したところ、2450mPa・sであった。(メタ)アクリル酸系重合体(A−2)水溶液をステンレス製の容器に入れ、50℃の恒温槽内にて保管した。30日間保存後の粘度は2300mPa・s、粘度の変化率は−6.1%であり、100日間保存後の粘度は2250mPa・s、粘度の変化率は−8.2%であった。また、取り扱い性評価を実施したところ、15℃で取り出すことができた重合体水溶液は16.2g、50℃で取り出すことができた重合体水溶液は34.9gと50℃では取り扱い性が良好だった。
<実施例3>(メタ)アクリル酸系重合体(B−3)水溶液の保存
攪拌機を備えた容量1LのSUS製反応容器に製造例2で得られた(メタ)アクリル酸系重合体(B)の水溶液:349.1gを仕込み、撹拌下、脱イオン水:150.9gを添加し、30分間撹拌することで固形分20%の(メタ)アクリル酸系重合体(B−3)水溶液を得た。重合体水溶液の粘度を測定したところ、820mPa・sであった。(メタ)アクリル酸系重合体(B−3)水溶液をステンレス製の容器に入れ、50℃の恒温槽内にて保管した。30日間保存後の粘度は810mPa・s、粘度の変化率は−1.2%であり、100日間保存後の粘度は810mPa・s、粘度の変化率は−1.2%であった。また、取り扱い性評価を実施したところ、15℃で取り出すことができた重合体水溶液は29.2g、50℃で取り出すことができた重合体水溶液は41.2gと50℃では取り扱い性が良好だった。
<実施例4>(メタ)アクリル酸系重合体(B−4)水溶液の保存
攪拌機を備えた容量1LのSUS製反応容器に製造例2で得られた(メタ)アクリル酸系重合体(B)の水溶液:336.0gを仕込み、撹拌下、脱イオン水:158.6g、48%NaOH:5.4g(すなわち、(メタ)アクリル酸系重合体(B)に含まれるカルボキシル基を5モル%中和する量)を添加し、30分間撹拌することで固形分20%の(メタ)アクリル酸系重合体(B−4)水溶液を得た。重合体水溶液の粘度を測定したところ、870mPa・sであった。(メタ)アクリル酸系重合体(B−4)水溶液をステンレス製の容器に入れ、50℃の恒温槽内にて保管した。30日間保存後の粘度は830mPa・s、粘度の変化率は−4.6%であり、100日間保存後の粘度は800mPa・s、粘度の変化率は−8.0%であった。また、取り扱い性評価を実施したところ、15℃で取り出すことができた重合体水溶液は31.6g、50℃で取り出すことができた重合体水溶液は42.1gと50℃では取り扱い性が良好だった。
<実施例5>(メタ)アクリル酸系重合体(B−5)水溶液の保存
攪拌機を備えた容量1LのSUS製反応容器に製造例2で得られた(メタ)アクリル酸系重合体(B)の水溶液:329.5gを仕込み、撹拌下、脱イオン水:159.8g、48%NaOH:10.7g(すなわち、(メタ)アクリル酸系重合体(B)に含まれるカルボキシル基を10モル%中和する量)を添加し、30分間撹拌することで固形分20%の(メタ)アクリル酸系重合体(B−5)水溶液を得た。重合体水溶液の粘度を測定したところ、910mPa・sであった。(メタ)アクリル酸系重合体(B−5)水溶液をステンレス製の容器に入れ、50℃の恒温槽内にて保管した。30日間保存後の粘度は860mPa・s、粘度の変化率は−5.5%であり、100日間保存後の粘度は840mPa・s、粘度の変化率は−7.7%であった。また、取り扱い性評価を実施したところ、15℃で取り出すことができた重合体水溶液は31.4g、50℃で取り出すことができた重合体水溶液は41.0gと50℃では取り扱い性が良好だった。
<実施例6>(メタ)アクリル酸系重合体(B−6)水溶液の保存
攪拌機を備えた容量1LのSUS製反応容器に製造例2で得られた(メタ)アクリル酸系重合体(B)の水溶液:316.9gを仕込み、撹拌下、脱イオン水:167.7g、48%NaOH:15.4g(すなわち、(メタ)アクリル酸系重合体(B)に含まれるカルボキシル基を15モル%中和する量)を添加し、30分間撹拌することで固形分20%の(メタ)アクリル酸系重合体(B−6)水溶液を得た。重合体水溶液の粘度を測定したところ、960mPa・sであった。(メタ)アクリル酸系重合体(B−6)水溶液をステンレス製の容器に入れ、50℃の恒温槽内にて保管した。30日間保存後の粘度は900mPa・s、粘度の変化率は−6.3%であり、100日間保存後の粘度は890mPa・s、粘度の変化率は−7.3%であった。また、取り扱い性評価を実施したところ、15℃で取り出すことができた重合体水溶液は29.8g、50℃で取り出すことができた重合体水溶液は41.3gと50℃では取り扱い性が良好だった。
<比較例1>(メタ)アクリル酸系重合体(A−7)水溶液の保存
攪拌機を備えた容量1LのSUS製反応容器に製造例1で得られた(メタ)アクリル酸系重合体(A)の水溶液:404.7gを仕込み、撹拌下、脱イオン水:56.1g、48%NaOH:39.2g(すなわち、(メタ)アクリル酸系重合体(A)に含まれるカルボキシル基を40モル%中和する量)を添加し、30分間撹拌することで固形分20%の(メタ)アクリル酸系重合体(A−7)水溶液を得た。重合体水溶液の粘度を測定したところ、2850mPa・sであった。(メタ)アクリル酸系重合体(A−7)水溶液をステンレス製の容器に入れ、50℃の恒温槽内にて保管した。30日間保存後の粘度は2400mPa・s、粘度の変化率は−15.8%であり、100日間保存後の粘度は2100mPa・s、粘度の変化率は−26.3%であった。また、取り扱い性評価を実施したところ、15℃で取り出すことができた重合体水溶液は14.1g、50℃で取り出すことができた重合体水溶液は32.6gと50℃では取り扱い性が良好だった。

Claims (9)

  1. (メタ)アクリル酸系重合体水溶液を保存する方法であって、
    該保存方法は、下記の条件で測定した粘度が150〜2800mPa・sの範囲である(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を、50℃で30日間保存した後の上記粘度の変化率が保存開始時の粘度に対して±10%以内となるように調整し、該(メタ)アクリル酸系重合体水溶液を、40℃以上で保存することを特徴とする(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法。
    <粘度の測定条件>
    測定装置:B型粘度計
    重合体水溶液の固形分:20質量%
    粘度測定時の水溶液の温度:25℃
  2. 前記保存方法は、(メタ)アクリル酸系重合体の中和度を35%以下にすることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法。
  3. 前記保存方法は、(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量を25万以上、50万以下に調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法。
  4. 前記(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位の割合が、全構造単位100質量%に対して50〜100質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法。
  5. 前記保存方法は、ステンレス製の保存容器を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液の保存方法。
  6. (メタ)アクリル酸系重合体水溶液であって、
    該(メタ)アクリル酸系重合体水溶液は、下記の条件で測定した粘度が150〜2800mPa・sであり、50℃で30日間保存した時の上記粘度の変化率が保存開始時の粘度に対して±10%以内であることを特徴とする(メタ)アクリル酸系重合体水溶液。
    <粘度の測定条件>
    測定装置:B型粘度計
    重合体水溶液の固形分:20質量%
    粘度測定時の水溶液の温度:25℃
  7. 前記(メタ)アクリル酸系重合体は、中和度が35%以下であることを特徴とする請求項6に記載の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液。
  8. 前記(メタ)アクリル酸系重合体は、重量平均分子量が25万以上、50万以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液。
  9. 前記(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位の割合が、全構造単位100質量%に対して50〜100質量%であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸系重合体水溶液。
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