JP2022141381A - カルボン酸系重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】カルボン酸系重合体の保存安定性を向上させることを目的とする。【解決手段】カルボン酸系重合体であって、重量平均分子量が27000以上1000000以下であり、重合体中に連鎖移動剤由来の構造単位を含有し、全単量体由来の構造単位合計100モル%に対して、カルボン酸系単量体由来の構造単位が85モル%以上であり、該重合体に含まれるカルボキシル基の中和率が30モル%以下であるカルボン酸系重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、カルボン酸系重合体に関する。より詳しくは、無機粒子分散剤、水処理剤、洗剤用添加剤、繊維処理剤、増粘剤等の各種工業用途に有用なカルボン酸系重合体に関する。
カルボン酸系重合体は、カルボキシル基又はその塩を有する重合体であり、例えば、無機粒子分散剤、水処理剤、洗剤用添加剤、繊維処理剤、増粘剤等、各種工業用途に広く使用されている。カルボン酸系共重合体は、取り扱いの観点から経時での保存安定性が高いことが望まれる。
例えば特許文献1には、(メタ)アクリル酸(塩)系単量体含有水溶液に重合開始剤を添加して重合する(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の製法であって、反応器に該(メタ)アクリル酸(塩)系単量体含有水溶液の全量と該重合開始剤とを徐々に添加して重合を開始させる段階(A)と、次いでこれに更に重合開始剤を添加しつつ重合を継続させる段階(B)と、該重合開始剤の添加後に該反応液を熟成させる段階(C)とを含み、該段階(A)において、該(メタ)アクリル酸(塩)系単量体含有水溶液及び該重合開始剤の滴下時間が40~110分で、該段階(B)と該段階(C)との合計が50分以上で、該段階(C)が30分以上であり、該段階(A)において、反応液中の下記式で示す(メタ)アクリル酸(塩)系単量体濃度を10~60質量%に制御して重合し、得られる(メタ)アクリル酸(塩)系重合体に残存する重合開始剤の量が、該重合体調製直後の水溶液に対して10質量ppm以下であることを特徴とする、中和度が30モル%以下であり、重量平均分子量が100,000~300,000である(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の製造方法が開示されており、該(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は、製造2週間後も重量平均分子量の変動が6%以下であり粘度上昇も抑えられると開示されている。
例えば特許文献2には、安定な酸形態のポリ(メタ)アクリレートポリマー、その製造方法について開示されている。該ポリマーは約1000g/mol~約10,000g/molの分子量を有すること、 該ポリマーは重合開始剤、連鎖移動剤、および場合により重合安定化剤の存在下での製造方法によって得られることが開示されている。該ポリマーは、ポリマー分子量が1ヶ月後実質的に増加しないことが示されている。
特許第4067807号公報 特表2014-505753号公報
(メタ)アクリル酸(塩)系重合体及びその製造方法は多数開示されているが、特に(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を酸性の水溶液として取り扱う場合、保存時に分子量が変動すること、分子量が変動しない場合でも粘度が変動する課題があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、カルボン酸系重合体の保存安定性を向上させることを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成する為に種々検討を行ない、本発明に想到した。
すなわち本開示のカルボン酸系重合体は、重量平均分子量が27000以上1000000以下であり、重合体中に連鎖移動剤由来の構造単位を含有し、全単量体由来の構造単位合計100モル%に対して、カルボン酸系単量体由来の構造単位が85モル%以上であり、該重合体に含まれるカルボキシル基の中和率が30モル%以下であるカルボン酸系重合体である。
本開示のカルボン酸系重合体は、長期保管後の分子量変動、粘度変動を抑制することができるため、無機粒子分散剤、水処理剤、洗剤用添加剤、繊維処理剤、増粘剤等の各種工業用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
[本開示のカルボン酸系重合体]
本開示のカルボン酸系重合体は、重量平均分子量が27000以上1000000以下であり、重合体中に連鎖移動剤由来の構造単位を含有し、全単量体由来の構造単位合計100モル%に対して、カルボン酸系単量体由来の構造単位が85モル%以上であり、該重合体に含まれるカルボキシル基の中和率が30モル%以下であるカルボン酸系重合体である。なお、上記重合体を「本開示の重合体」とも言う。
<カルボン酸系重合体>
本開示において、カルボン酸系重合体とは、カルボキシル基を含む重合体をいう。例えば
カルボン酸系重合体は、不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位を有する重合体である。不飽和カルボン酸系単量体は、エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有するものであれば、特に制限されないが、不飽和モノカルボン酸系単量体や不飽和ジカルボン酸系単量体等が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸系単量体としては、分子内にエチレン性不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基を一つ有する単量体であればよく、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、チグリン酸、3-メチルクロトン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、α-ヒドロキシアクリル酸等;これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩;下記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1~22のアルコール又は炭素数2~4のグリコールとのハーフエステル;不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1~22のアミンとのハーフアミド等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸系単量体としては、分子内にエチレン性不飽和基とカルボアニオンを形成しうる基を二つ有する単量体であればよく、例えばマレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等、それらの無水物が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)又は無水マレイン酸が好ましい。これらの単量体由来の構造単位を有するカルボン酸系重合体では、本発明の技術的意義がより効果的に発揮される。より好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)であり、特に好ましくはアクリル酸(塩)である。
本開示において、不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位とは、不飽和カルボン酸系単量体のエチレン性不飽和基の炭素炭素二重結合が、炭素炭素単結合に置き換わった構造単位を表す。例えば、アクリル酸、CH=CH(COOH)、であれば、アクリル酸由来の構造単位は、-CH-CH(COOH)-、で表すことができる。(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位は、例えば、(メタ)アクリル酸(塩)をラジカル重合することにより形成することができる。なお、不飽和カルボン酸系単量体由来の構造単位は、不飽和カルボン酸系単量体の炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造と同じ構造であればよく、不飽和カルボン酸系単量体を重合することにより形成された構造単位に限定されず、例えば重合以外の反応により形成された構造単位であってもよい。
本開示の重合体における、カルボン酸系単量体由来の構造単位の含有量は、本開示の重合体を構成するすべての単量体(不飽和カルボン酸系単量体及びその他の単量体)に由来する構造単位100モル%に対し、85モル%以上である。上記構造単位の含有量としては90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは92モル%以上であり、更に好ましくは95モル%以上であり、最も好ましくは100モル%である。分子量変動無く粘度が変動する原因の一つとして、重合体中のカルボキシル基に由来する分子間相互作用が推定されるため、上記範囲では本発明の技術的意義がより効果的に発揮される。
<連鎖移動剤由来の構造単位>
本開示において、連鎖移動剤由来の構造単位とは、重合で使用する連鎖移動剤に由来する構造単位をいう。
本開示のカルボン酸系重合体は、重合開始剤の増減により、重量平均分子量を27000以上1000000以下に調整することができる。さらに連鎖移動剤を用いて分子量調整を行うと、副反応を起こしうる重合開始剤使用量を低減することができるため、本開示の重合体の、分子量の保存安定性が向上する傾向にある。他方で、本開示の重合体の、粘度の保存安定性が低下する傾向にある。これは重合体中の連鎖移動剤由来の構造単位とカルボキシル基が相互作用するためと推測される。上記連鎖移動剤としては特に制限されないが、リン原子又は硫黄原子を有するものが好ましい。リン原子又は硫黄原子を有する連鎖移動剤を用いる場合、重合体中の連鎖移動剤由来の構造単位とカルボキシル基との相互作用が強まり、本発明の技術的意義がより効果的に発揮される。リン原子又は硫黄原子を有する連鎖移動剤として、より好ましくは、亜リン酸、次亜リン酸、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びこれらの塩等のリン原子又は硫黄原子と酸素原子とを有するものであり、更に好ましくは亜リン酸、次亜リン酸、亜硫酸水素及びこれらの塩であり、特に好ましくは亜リン酸、次亜リン酸及びこれらの塩であり、最も好ましくは次亜リン酸(塩)である。
上記ポリカルボン酸系重合体における連鎖移動剤由来の構造の含有割合としては、全単量体由来の構造単位100モル%に対して0.01モル%以上、1.8モル%以下であることが好ましい。より好ましくは0.05モル%以上、更に好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは0.15モル%以上、最も好ましくは0.2モル%以上である。また、より好ましくは1.6モル%以下、更に好ましくは1.4モル%以下、特に好ましくは1.2モル%以下、最も好ましくは0.8モル%以下である。連鎖移動剤が上記の範囲であると、重合開始剤量を適正にすることが可能であり、かつ連鎖移動剤由来の構造と重合体中のカルボキシル基との相互作用を抑制することにより、カルボン酸系重合体の保存安定性が向上する傾向にある。
<塩基>
本開示において、塩基とは、上記カルボン酸系重合体のカルボキシル基を中和する化合物をいう。例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトウリムなどのアルカリ金属の炭酸塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、n-ブチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらの中でも、入手の容易さから、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、特に好ましいのは水酸化ナトリウムである。なお塩基によって中和された中和率は、例えば通常の酸塩基滴定などにより算出することができる。本開示の重合体において、カルボキシル基の中和率が30モル%以下であることが好ましい。より好ましくは、15モル%以下、更に好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下、最も好ましくは3モル%以下である。上記範囲では本発明の技術的意義がより効果的に発揮される。
<その他の単量体由来の構造単位>
本開示の重合体は、所望に応じて、カルボン酸系単量体由来の構造単位以外の単量体に由来する構造単位(その他の単量体に由来する構造単位ともいう)を有していてもよい。
本開示において、その他の単量体由来の構造単位とはその他の単量体の少なくとも一つの炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造単位を表す。なお、その他の単量体由来の構造単位は、その他の単量体の少なくとも1つの炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造と同じ構造であればよく、その他の単量体を重合することにより形成された構造単位に限定されず、例えば重合以外の反応により形成された構造単位であってもよい。
本開示の重合体における、その他の単量体に由来する構造単位の含有量は、本開示の重合体を構成するすべての単量体に由来する構造単位100モル%に対し、0モル%以上、15モル%以下であり、好ましくは0モル%以上、10モル%以下であり、より好ましくは、0モル%以上、8モル%以下であり、更に好ましくは0モル%以上、5モル%以下であり、最も好ましくは0モル%である。上記範囲では本発明の技術的意義がより効果的に発揮される。
前記その他の単量体としては、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコール及びこれらにアルキレンオキサイドを付加した単量体、アルコキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環式芳香族炭化水素基を有するビニル芳香族系単量体;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアミン等のジアリルアルキルアミン等のアリルアミン等のアミノ基含有単量体及びこれらの四級化物;N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルオキサゾリドン等のN-ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド等のアミド系単量体;(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の水酸基含有単量体;ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体;3-(メタ)アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、α-メチル-p-スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、1-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、1,1-ジメチル-2-プロペン-1-スルホン酸、3-ブテン-1-スルホン酸、1-ブテン-3-スルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体及びそれらの塩;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸等のホスホン酸基を有する単量体及びそれらの塩;スチレン、インデン、ビニルアニリン等のビニルアリール単量体;イソブチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。本開示の重合体は、必要に応じてその他の単量体に由来する構造単位を1種または2種以上含んでも良い。
<本開示の重合体の物性等>
本開示の重合体は、重量平均分子量(Mw)が27000以上、1000000以下であることが好ましい。より好ましくは29000以上、更に好ましくは35000以上、特に好ましくは40000以上、最も好ましくは45000以上である。また、より好ましくは500000以下であり、更に好ましくは300000以下であり、特に好ましくは200000以下であり、最も好ましくは150000以下である。上記範囲であることにより、本開示の重合体の保存安定性が向上する傾向にある。
例えば、重合体の分子量が27000以下の時、中和率が30モル%以下である本開示のカルボン酸系重合体は、連鎖移動剤由来の構造及びカルボキシル基の割合が大きく、これらの相互作用が強くなり白濁及び増粘が生じる可能性がある。
本開示の重合体が溶媒を含むものである形態は本開示の好ましい実施形態の一つである。
上記溶媒は特に制限されないが、本開示の重合体の主な使用用途から溶媒は水溶性であることが好ましく、各種水、水溶性の有機溶媒を使用出来る。特に、水、水溶性のアルコール類、およびそれらの混合物であることが好ましく、水であることがより好ましい。
本開示の重合体は、商業的使用の理由から長期の保管をすることがある。保管条件は様々であるが、保管容器の材質は特に制限されず、一般的に使用される容器が使用できる。例えばポリエチレン等の樹脂容器、ステンレス等の金属容器、ガラス容器などである。保管温度は適宜設定できる。保管雰囲気は、空気雰囲気、不活性ガス雰囲気のどちらでも良い。本開示の重合体を2℃で45日間保管した場合の分子量変化率は10%以下であることが好ましい。本開示の重合体を50℃で45日間保管した場合の分子量変化率は10%以下であることが好ましい。上記範囲であると、保管後の重合体を各種用途に問題なく用いることができる。また、本開示の重合体を2℃で45日間保管した場合の粘度変化率は25%以下であることが好ましい。より好ましくは20%以下であり、更に好ましくは15%以下であり、特に好ましくは10%以下である。本開示の重合体を50℃で45日間保管した場合の粘度変化率は10%以下であることが好ましい。上記範囲であると保管後の重合体の保管容器からの取り出しや、ポンプによる移送を、問題なく行うことができる。50℃で保管した場合の粘度変化は残存する開始剤由来の不可逆的な副反応が主原因だと推定され、2℃で保管した場合の粘度変化は連鎖移動剤由来の構造と重合体中のカルボキシル基との可逆的な相互作用が主原因だと推定される。2℃で保管した場合の粘度変化は可逆性があると推定されるため、50℃で保管した場合と比較し、粘度の変化率が大きくても許容できる。
[本開示のカルボン酸系重合体組成物]
本開示のカルボン酸系重合体組成物は、本開示の重合体を含む。本開示のカルボン酸系重合体組成物は、本開示の重合体を例えば、0.01質量%以上、100質量%以下含む。
本開示のカルボン酸系重合体組成物は、水などの溶剤、未反応の残留単量体、重合開始剤、連鎖移動剤、防腐剤、消泡剤等の任意な成分を含むことができる。本開示のカルボン酸系重合体組成物が、水を含む場合には、その含有量が例えば40質量%以上、99質量%以下が好ましい。より好ましくは45質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは53質量%以上であり、最も好ましくは55質量%以上である。また、より好ましくは90質量%以下であり、更に好ましくは85質量%以下であり、特に好ましくは80質量%以下であり、最も好ましくは75質量%以下である。なお、本開示のカルボン酸系重合体組成物が水を含む場合、本開示の水溶液と呼ぶことがある。
本開示のカルボン酸系重合体組成物が水を含む場合には、pHが例えば1.0以上、4.5以下であることが好ましい。
本開示の重合体は、例えば、含まれる遊離のアクリル酸量は、100ppm以上、2000ppm以下である。本開示の重合体は、含まれる遊離のアクリル酸量にかかわらず、保存安定性に優れる。
[本開示の重合体の製造方法]
本開示の重合体の製造方法は、特に制限されないが、通常は、カルボン酸系単量体と必要に応じてその他の単量体とを重合することにより製造することが好ましい。例えば、反応器に溶媒や原料の一部を装填し、60℃以上にする工程(A)、(A)の温度を維持しつつ、カルボン酸系単量体と、重合開始剤と、連鎖移動剤と、溶媒とを別々に徐々に添加して重合を開始し、重合を進める工程(B)、該カルボン酸系単量体の添加終了後、高温を維持して未反応原料を低減する熟成工程(C)を含む重合方法がある。
例えば工程(A)は、反応容器として、還流冷却器、撹拌機を備えたものであればよく、使用する溶媒を仕込むことが出来る。溶媒は特に制限なく使用出来るが、生成する重合体の使用用途に応じて選択するのが良い。例えば、カルボン酸系重合体は水溶性であり、主な使用用途から溶媒は水溶性であることが好ましく、各種水、水溶性の有機溶媒を使用出来る。特に、水、水溶性のアルコール類、およびそれらの混合物であることが好ましく、水であることがより好ましい。工程(A)は、60℃以上であることが好ましく、より好ましくは70℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上である。
例えば工程(B)は、カルボン酸系単量体、及び又はカルボン酸系単量体の溶液(以下カルボン酸系単量体ともいう。)、重合開始剤を含む溶液(以下、重合開始剤ともいう。)、連鎖移動剤を含む溶液(以下、連鎖移動剤ともいう。)、溶媒の全量を、一括で添加する又は使用量の一部又は全量を滴下することが出来る。重合開始剤、連鎖移動剤、カルボン酸系単量体のそれぞれを滴下する工程を含むことが好ましい。滴下で重合する場合、カルボン酸系単量体、重合開始剤、連鎖移動剤、溶媒の滴下速度としては適宜設定することができ、滴下時間中変更してもよく、一定であってもよい。滴下速度を変更する場合、段階的に変更する多段階滴下でも良い。滴下はそれぞれ別々のポンプで行ってもよく、適宜混合して行ってもよいが、分子量制御や、残存する単量体の低減が容易となることから、滴下は別々のポンプで行うことが好ましい。
重合の過程において使用する全連鎖移動剤の量は、重合の過程において使用する全重合開始剤の量100モル%に対して、50モル%以上が好ましい。60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましく、85モル%以上が特に好ましく、100モル%以上が最も好ましい。また、750モル%以下が好ましく、600モル%以下がより好ましく、500モル%以下がさらに好ましく、450モル%以下が特に好ましく、400モル%以下が最も好ましい。上記範囲であることにより、本開示の重合体の保存安定性が向上する傾向にある。重合の過程において使用する全連鎖移動剤の量は、全単量体由来の構造単位100モル%に対して、0.01モル%以上、1.8モル%以下であることが好ましい。0.05モル%以上がより好ましく、0.1モル%以上が更に好ましく、0.15モル%以上が特に好ましく、0.2モル%以上が最も好ましい。また、1.6モル%以下がより好ましく、1.4モル%以下が更に好ましく、1.2モル%以下が特に好ましく、0.8モル%以下が最も好ましい。上記範囲であることにより、本開示の重合体の保存安定性が向上する傾向にある。連鎖移動剤を含む溶液の全滴下時間は、カルボン酸系単量体の全滴下時間に対して75%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。これにより、本開示の重合体の保存安定性が向上する傾向にある。
連鎖移動剤は多段階で滴下することが好ましい。多段階で滴下することで、分子量の制御が容易となる。滴下速度は第1段の滴下速度より第2段以降の滴下速度のほうが遅くなるように調整することが好ましい。連鎖移動剤が多段階滴下の場合、連鎖移動剤の1段目の滴下時間は連鎖移動剤全滴下時間の0.10以上、0.50以下であることが好ましい。
重合開始剤の滴下は、カルボン酸系単量体及び又はカルボン酸系単量体の溶液と連鎖移動剤の滴下と同時に開始し、カルボン酸系単量体及び又はカルボン酸系単量体の溶液と連鎖移動剤の滴下終了後にも一定時間滴下することが好ましい。これにより、残存する単量体を低減させることができる。重合開始剤は等速で滴下することが好ましい。等速で滴下することで、残存する単量体を低減させることができる。連鎖移動剤の全滴下時間は、重合開始剤の全滴下時間の60%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、最も好ましくは90%以上である。これにより、本開示の重合体の保存安定性が向上する傾向にある。
使用する重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例えば、過酸化水素; 過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩; 過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク酸、ジ-t-ブチルパーオサイド、t-ブチルヒドロパーオサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2 '-アゾビス(2-アミノジプロパン)2塩酸塩4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)、アゾビスイソブチルニトリル2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;等が挙げられる。これらの重合開始剤のうち、過酸化水素、過硫酸塩、有機過酸化物が好ましい。この場合、本発明の技術的意義がより効果的に発揮される。重合開始剤は、過酸化水素、過硫酸塩がより好ましく、過硫酸塩がさらに好ましい。これらの重合開始剤は1種類のみで使用されても2種類以上組み合わせて使用されてもよい。また、重合開始剤として過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤等を使用しても良い。金属塩の金属は特に限定されるものではないが、鉄等が挙げられる。なお、滴下時の重合開始剤の濃度は、特に限定されないが、過硫酸塩が開始剤である場合には、好ましくは3~50質量%溶液、より好ましくは5~40質量%溶液、さらに好ましくは10~30質量%溶液である。溶媒は特に制限なく使用出来るが、生成する重合体の使用用途に応じて選択するのが良い。カルボン酸系重合体は水溶性であり、主な使用用途から溶媒は水溶性であることが好ましく、各種水、水溶性の有機溶媒を使用出来る。特に、水、水溶性のアルコール類、およびそれらの混合物であることが好ましく、水であることがより好ましい。
上記重合開始剤の全使用量は全単量体由来の構造単位100モル%に対して、0.05モル%以上、2モル%以下が好ましい。重合開始剤の全使用量が全単量体由来の構造単位100モル%に対して0.05モル%未満であると、残存する単量体が増加する恐れがある。また、重合開始剤の全使用量が全単量体由来の構造単位100モル%に対して2モル%以上であると、本開示の重合体の保存安定性が低下する傾向にある。このような量としては、0.1モル%以上がより好ましく、0.12モル%以上がさらに好ましく、0.15モル%以上が最も好ましい。また、1モル%以下がより好ましく、0.6モル%以下がさらに好ましく、0.4モル%以下が最も好ましい。
重合温度は、使用する重合開始剤の半減期温度以上であることが好ましい。通常60℃以上105℃以下であることが好ましい。この温度範囲であると重合が効率よく進行する。
例えば工程(C)は熟成工程であり、重合温度もしくは、重合温度よりも高い温度で一定時間以上行うのがよい。熟成工程は通常60℃以上105℃以下であることが好ましい。
カルボン酸系重合体を製造する方法であって、重合開始剤、連鎖移動剤、カルボン酸系単量体の少なくとも一部を滴下する工程を含み、上記連鎖移動剤の滴下時間は重合開始剤の滴下時間に対して60%以上であり、連鎖移動剤の全使用量は重合開始剤の全使用量100モル%に対して50モル%以上750モル%以下であることを特徴とし、得られるカルボン酸系重合体の重量平均分子量が27000以上1000000以下であり、重合体中に連鎖移動剤由来の構造単位を含有し、全単量体由来の構造単位合計100モル%に対して、カルボン酸系単量体由来の構造単位が85モル%以上であり、該重合体に含まれるカルボキシル基の中和率が30モル%以下であるカルボン酸系重合体を製造する方法は本開示の発明の一態様である。
上記連鎖移動剤の全使用量は全単量体由来の構造単位100モル%に対して、0.01モル%以上、1.8モル%以下である、請求項5に記載のカルボン酸系重合体を製造する方法も本開示の発明の一態様である。
[本開示の重合体の用途]
本開示の重合体は、凝固剤、凝集剤、印刷インク、接着剤、土壌調整(改質)剤、難燃剤、スキンケア剤、ヘアケア剤、シャンプー・ヘアースプレー・石鹸・化粧品用添加剤、アニオン交換樹脂、繊維・写真用フィルムの染料媒染剤や助剤、製紙における顔料展着剤、紙力増強剤、乳化剤、防腐剤、織物・紙の柔軟剤、潤滑油の添加剤、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤用添加剤、スケール防止剤(スケール抑制剤)、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤、親水化剤等として用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<重量平均分子量(1万以下)の測定条件(GPC)>
装置:東ソー株式会社製 HLC-8320GPC
検出器:RI
カラム:東ソー製 TSK-GEL G3000PWXL(2本直列に接続)
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/min.
試料液注入量:10μL(試料濃度は0.5質量%)
検量線:American Polymer Standards Corporation社製 ポリアクリル酸標準(Mp=900、1250、1770、2925、4100、7500、16000、28000、47500)および酢酸ナトリウム(Mp=94)を使用し、Mpと溶出時間を基礎に3次式で作成。
溶離液:リン酸二水素ナトリウム12水和物/リン酸水素二ナトリウム2水和物(34.5g/46.2g)の混合物を純水にて5000gに希釈した溶液。
<重量平均分子量(1万以上)の測定条件(GPC)>
装置:東ソー株式会社製 HLC-8320GPC
検出器:RI
カラム:東ソー製 TSKgel GMPWXL(2本直列に接続)
カラム温度:40℃
流速:1mL/min
試料液注入量:20μL(試料濃度は0.5質量%)
検量線:American Polymer Standards Corporation社製 ポリアクリル酸標準(Mp=1250、28000、47500、193800、392600、589700、1102000)を使用し、Mpと溶出時間を基礎に3次式で作成。
溶離液:(60.84mM炭酸ナトリウム水溶液+60.84mM炭酸水素ナトリウム水溶液)/アセトニトリル=83.74/16.26(重量比)
<重合体水溶液の固形分測定方法>
重合体水溶液1gをアルミ皿に量り採り、脱イオン水約1gで希釈して均一に広げた。これを150℃オーブン中で60分乾燥させ、デシケーター中で放冷した後、乾燥後質量を量った。下記式を用いて、乾燥前後の質量差により固形分(不揮発分)濃度を計算した。重合体の水溶液の濃度としては、特に断りがない限り、上記の手順で測定した固形分を用いた。
固形分(%)=〔乾燥後の蒸発残分(g)/乾燥前の重合体水溶液の質量(g)〕×100
<重合体水溶液の粘度の測定条件>
測定装置:B型粘度計
粘度測定時の水溶液の温度:25℃
<リン含有基の分析>
31P-NMR分析により重合体に導入されているリン原子及びポリマーに導入されずに無機リン塩型で存在するリン原子を分析した。
<重合体水溶液に含まれる単量体の定量条件(液体クロマトグラフィー)>
装置:Waters Alliance(2695)
検出器:UV(波長:200nm)(Waters 2489)
カラム:Shodex製 RSpak DE-413L
カラム温度:40℃
流速:1mL/min
溶離液:0.1重量%リン酸水溶液
<水溶液中の亜硫酸水素ナトリウム量の定量条件(イオンクロマトグラフィー)>
装置:東ソー株式会社製IC-2010
検出器:伝導度検出器
カラム:Shodex IC SI-90 4E、Shodex IC SI-90G
カラム温度:25℃
標品:亜硫酸ナトリウム
溶離液:1mM炭酸ナトリウム+4mM炭酸水素ナトリウム+5%アセトン溶液
<製造例1>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5LのSUS製反応容器に、脱イオン水:422.5gを仕込み、攪拌下で沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点の重合反応系中に、80重量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」と称する):632.8g(すなわち7.03モル)を120分間、15重量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下「15%NaPS」と称する):31.3(すなわち0.0197モル)gを130分間、45質量%次亜リン酸ナトリウム・1水和物の水溶液(以下「45%SHP」と称する):2.5g(すなわち0.0106モル)を15分間と更に続いて8.7g(すなわち0.0369モル)を105分間と2段階の供給速度で、脱イオン水:10.8gを15分間と更に続いて37.9gを105分間と2段階の供給速度でそれぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。80%AA、15%NaPSの滴下は一定の滴下速度で連続的に行った。AAの滴下終了後、さらに90分間、上記反応液を沸点に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合の完結後、反応溶液に脱イオン水:53.3gを撹拌下、滴下することで本開示の重合体水溶液(1)を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は47,000、固形分は43.6%、粘度は1250mPa・s、水溶液に含まれるアクリル酸濃度は400ppmであった。リン原子の分析において、ポリマー鎖中に導入されたリン原子と、ポリマー末端に導入されたリン原子と、ポリマーに導入されず、無機リン塩型で存在するリン原子の割合は61:16:23であったことから重合体中の全単量体由来の構造単位100モル%に対する連鎖移動剤由来の構造の含有割合は0.52モル%であった。
<製造例2>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量10LのSUS製反応容器に、脱イオン水:3353.3gを仕込み、攪拌下で沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点の重合反応系中に、80%AA:5019.4g(すなわち55.8モル)を120分間、15%NaPS:248.5g(すなわち0.157モル)を130分間、45%SHP:9.8g(すなわち0.0416モル)を15分間と更に続いて34.4g(すなわち0.146モル)を105分間と2段階の供給速度で、脱イオン水:85.6gを15分間と更に続いて299.5gを105分間と2段階の供給速度でそれぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。80%AA、15%NaPSの滴下は一定の滴下速度で連続的に行った。AAの滴下終了後、さらに105分間、上記反応液を沸点に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合の完結後、反応溶液に脱イオン水:1667.2gを撹拌下、滴下することで本開示の重合体水溶液(2)を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は90,000、固形分は38.5%、粘度は1250mPa・s、水溶液に含まれるアクリル酸濃度は630ppmであった。リン原子の分析において、ポリマー鎖中に導入されたリン原子と、ポリマー末端に導入されたリン原子と、ポリマーに導入されず、無機リン塩型で存在するリン原子の割合は49:16:35であったことから重合体中の全単量体由来の構造単位100モル%に対する連鎖移動剤由来の構造の含有割合は0.22モル%であった。
<製造例3>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量5LのSUS製反応容器に、脱イオン水:833.9gを仕込み、攪拌下で沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点の重合反応系中に、80%AA:1233.0g(すなわち13.7モル)を120分間、15%NaPS:46.3g(すなわち0.0292モル)を130分間、45%SHP:1.7g(すなわち0.00722モル)を15分間と更に続いて5.5g(すなわち0.0234モル)を105分間と2段階の供給速度で、脱イオン水:52.8gを15分間と更に続いて171.7gを105分間と2段階の供給速度でそれぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。80%AA、15%NaPSの滴下は一定の滴下速度で連続的に行った。AAの滴下終了後、さらに105分間、上記反応液を沸点に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合の完結後、反応溶液に脱イオン水:675.1gを撹拌下、滴下することで本開示の重合体水溶液(3)を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は140,000、固形分は33.4%、粘度は1100mPa・s、水溶液に含まれるアクリル酸濃度は900ppmであった。リン原子の分析において、ポリマー鎖中に導入されたリン原子と、ポリマー末端に導入されたリン原子と、ポリマーに導入されず、無機リン塩型で存在するリン原子の割合は42:17:41であったことから重合体中の全単量体由来の構造単位100モル%に対する連鎖移動剤由来の構造の含有割合は0.13モル%であった。
<製造例4>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量5LのSUS製反応容器に、脱イオン水:1439.6gを仕込み、攪拌下で沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点の重合反応系中に、80%AA:2128.5g(すなわち23.7モル)を120分間、15%NaPS:79.9g(すなわち0.0503モル)を130分間、45%SHP:2.9g(すなわち0.0123モル)を15分間と更に続いて9.5g(すなわち0.0403モル)を105分間と2段階の供給速度で、脱イオン水:69.3gを15分間と更に続いて225.2gを105分間と2段階の供給速度でそれぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。80%AA、15%NaPSの滴下は一定の滴下速度で連続的に行った。AAの滴下終了後、さらに30分間、上記反応液を沸点に保持(熟成)し、重合を完結させた。重合の完結後、反応溶液に脱イオン水:1258.3gを撹拌下、滴下することで本開示の重合体水溶液(4)を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は140,000、固形分は33.4%、粘度は1100mPa・s、水溶液に含まれるアクリル酸濃度は1300ppmであった。リン原子の分析において、ポリマー鎖中に導入されたリン原子と、ポリマー末端に導入されたリン原子と、ポリマーに導入されず、無機リン塩型で存在するリン原子の割合は42:17:41であったことから重合体中の全単量体由来の構造単位100モル%に対する連鎖移動剤由来の構造の含有割合は0.13モル%であった。
<製造例5>
製造例2で得られた本開示の重合体水溶液(2):489.4g、48重量%水酸化ナトリウム水溶液(以下、「48%NaOH」と称する)10.6g(すなわち0.127モル、水溶液(B)に含まれるカルボキシル基に対して5モル%分)をよく攪拌し、本開示の重合体水溶液(5)を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は90,000、固形分は38.4%、粘度は1650mPa・s、水溶液に含まれるアクリル酸濃度は620ppmであった。
<製造例6>
製造例2で得られた本開示の重合体水溶液(2):751.1g、48%NaOH:48.9g(すなわち0.587モル、水溶液(B)に含まれるカルボキシル基に対して15モル%分)をよく攪拌し、本開示の重合体水溶液(6)を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は90,000、固形分は38.8%、粘度は4000mPa・s、水溶液に含まれるアクリル酸濃度は590ppmであった。
<製造例7>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5LのSUS製反応容器に、脱イオン水:508.0g、モール塩0.010gを仕込み、攪拌下で85℃まで昇温した。次いで攪拌下、85℃の重合反応系中に、80%AA:438.0g(すなわち4.87モル)を120分間、15%NaPS:20.0g(すなわち0.013モル)を160分間、35重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下、「35%SBS」と称する):27.8g(すなわち0.0936モル)を115分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は一定の滴下速度で連続的に行った。AAの滴下終了後、さらに90分間、上記反応液を85℃に保持(熟成)し、重合を完結させ、本開示の重合体水溶液(7)を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は35,000、固形分は37.2%、粘度は330mPa・s、水溶液に含まれるアクリル酸濃度は8ppm、であった。得られた重合体水溶液を室温で減圧乾燥して水を留去した後、重水を溶媒に用いて1HNMR測定を行い、ポリマー主鎖末端にスルホン酸基が導入されたことに由来する2.7ppmのピークが存在したことから、ポリマー末端へのスルホン酸基導入を確認した。未反応の亜硫酸水素ナトリウムが水溶液中に2375ppm(すなわち添加した亜硫酸水素ナトリウムの24.2%)であったことから、添加した亜硫酸水素ナトリウムの75.8モル%がポリマー末端に導入されており、重合体中の全単量体由来の構造単位100モル%に対する連鎖移動剤由来の構造の含有割合は0.47モル%であった。
<比較製造例1>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5LのSUS製反応容器に、脱イオン水:283.0gを仕込み、攪拌下で沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点の重合反応系中に、80%AA:702.1g(すなわち7.80モル)を180分間、15%NaPS:39.1g(すなわち0.0254モル)を195分間、45%SHP:8.7g(すなわち0.0369モル)を18分間と更に続いて8.7g(すなわち0.149モル)を162分間と2段階の供給速度で、脱イオン水:132.1gを80%AA滴下開始時点より92分後から53分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。AAの滴下終了後、さらに30分間、上記反応液を沸点に保持(熟成)し、重合を完結させ、比較重合体水溶液(1)を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は10,000、固形分は49.8%、粘度は550mPa・s、水溶液に含まれるアクリル酸濃度は19ppmであった。リン原子の分析において、ポリマー鎖中に導入されたリン原子と、ポリマー末端に導入されたリン原子と、ポリマーに導入されず、無機リン塩型で存在するリン原子の割合は75:12:13であったことから重合体中の全単量体由来の構造単位100モル%に対する連鎖移動剤由来の構造の含有割合は2.07モル%であった。
<比較製造例2>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量5LのSUS製反応容器に、脱イオン水:1467.5gを仕込み、攪拌下で沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点の重合反応系中に、80%AA:1249.2g(すなわち13.9モル)を75分間、15%NaPS:63.6g(すなわち0.040モル)を95分間、脱イオン水:380.2gを75分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は一定の滴下速度で連続的に行った。AAの滴下終了後、さらに50分間、上記反応液を沸点に保持(熟成)し、重合を完結させ、比較重合体水溶液(2)を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は220,000、固形分は32.6%、粘度は2150mPa・s、水溶液に含まれるアクリル酸濃度は1350ppmであった。
<比較製造例3>
比較製造例2で得られた比較重合体水溶液(2):900.8g、48%NaOH49.6g(すなわち0.595モル、水溶液(F)に含まれるカルボキシル基に対して15モル%分)、脱イオン水:49.6gをよく攪拌し、カルボン酸系重合体の水溶液(G)を得た。該水溶液の重量平均分子量(Mw)は220,000、固形分は30.7%、粘度は2300mPa・s、水溶液に含まれるアクリル酸濃度は1200ppmであった。
<実施例1>
製造例1で得られた本開示の重合体水溶液(1)を空気雰囲気下で高密度ポリエチレン製容器に密閉し、2℃の恒温槽内に静置して保管した。45日間保管後の該水溶液の重量平均分子量(Mw)は47,000、粘度は1250mPa・sであった。
<実施例2~5、比較例1>
表1に示す重合体水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、2℃の恒温槽内にて45日間保管後の重量平均分子量(Mw)及び粘度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2022141381000001
表1の結果から、本開示のカルボン酸重合体は、経時の保存安定性に優れることが明らかとなった。
<実施例6>
製造例1で得られた本開示の重合体水溶液(1)を空気雰囲気下で高密度ポリエチレン製容器に密閉し、50℃の恒温槽内に静置して保管した。45日間保管後の該水溶液の重量平均分子量(Mw)は47,000、粘度は1250mPa・sであった。
<実施例7~12、比較例2、3>
表2に示す重合体水溶液を用いた以外は、実施例6と同様にして、50℃の恒温槽内にて45日間保管後の重量平均分子量(Mw)及び粘度を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2022141381000002
表2の結果から、本開示のカルボン酸重合体は、経時の保存安定性に優れることが明らかとなった。

Claims (6)

  1. カルボン酸系重合体であって、重量平均分子量が27000以上1000000以下であり、重合体中に連鎖移動剤由来の構造単位を含有し、全単量体由来の構造単位合計100モル%に対して、カルボン酸系単量体由来の構造単位が85モル%以上であり、該重合体に含まれるカルボキシル基の中和率が30モル%以下であるカルボン酸系重合体。
  2. 前記カルボン酸系重合体は、連鎖移動剤由来の構造の含有割合が全単量体由来の構造単位100モル%に対して0.01モル%以上、1.8モル%以下であることを特徴とする請求項1に記載のカルボン酸系重合体。
  3. 前記連鎖移動剤は、リン原子又は硫黄原子を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のカルボン酸系重合体。
  4. 前記カルボン酸系単量体は、(メタ)アクリル酸(塩)である、請求項1から3のいずれかに記載のカルボン酸系重合体。
  5. カルボン酸系重合体を製造する方法であって、
    該製造方法は、重合開始剤、連鎖移動剤、カルボン酸系単量体のそれぞれを滴下する工程を含み、上記連鎖移動剤の滴下時間は重合開始剤の滴下時間に対して60%以上であり、連鎖移動剤の全使用量は重合開始剤の全使用量100モル%に対して50モル%以上750モル%以下であることを特徴とし、得られるカルボン酸系重合体の重量平均分子量が27000以上1000000以下であり、重合体中に連鎖移動剤由来の構造単位を含有し、全単量体由来の構造単位合計100モル%に対して、カルボン酸系単量体由来の構造単位が85モル%以上であり、該重合体に含まれるカルボキシル基の中和率が30モル%以下である、カルボン酸系重合体を製造する方法
  6. 上記連鎖移動剤の全使用量は全単量体由来の構造単位の構造単位100モル%に対して、0.01モル%以上、1.8モル%以下である、請求項5に記載のカルボン酸系重合体を製造する方法。
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