JP6270554B2 - スルホン酸基含有共重合体およびその製造方法およびその用途 - Google Patents
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Description
特許文献1〜2には、スルホン酸基を有するポリアルキレングリコール系単量体(A)に由来する構造単位(a)と、カルボキシル基含有単量体(B)に由来する構造単位(b)とを必須とするポリアルキレングリコール系重合体に関する技術が開示されている。このポリアルキレングリコール系重合体を洗剤用途に用いた場合、洗浄時に優れた耐ゲル化能及びCaイオン捕捉能を発揮する事ができ、更に、界面活性剤との相溶性に優れている事が、本願の出願人によって見出されている。
そこで、本発明は、優れたリン酸カルシウムスケール抑制能を有するスルホン酸基含有共重合体およびその製造方法を提供することを目的とする。
(i)下記一般式(1)で表されるスルホン酸基を有するポリアルキレングリコール系単量体(A)に由来する構造単位(a)と、
(ii)カルボキシル基含有単量体(B)に由来する構造単位(b)、
とを必須とするスルホン酸基含有共重合体であって、
下記一般式(1);
更に、下記一般式(4)で表される(iii)スルホン酸基含有単量体(C)に由来する構造単位(c)を必須とするスルホン酸基含有共重合体であり、
下記一般式(4);
前記スルホン酸基含有共重合体は、
前記重合体を形成する全単量体に由来する構造単位の総量100質量%に対して、
構造単位(a)を1〜98質量%含み、
構造単位(b)を1〜98質量%含み、
構造単位(c)を1〜98質量%含む、
スルホン酸基含有共重合体である。
(i)下記一般式(1)で表されるスルホン酸基を有するポリアルキレングリコール系単量体(A)と、
(ii)カルボキシル基含有単量体(B)と、
(iii)下記一般式(4)で表されるスルホン酸基含有単量体(C)
とを重合させる工程を含むスルホン酸基含有共重合体の製造方法であって、
前記製造方法は、使用する全単量体の総量100質量%に対して、
前記ポリアルキレングリコール系単量体(A)を1〜98質量%、
前記カルボキシル基含有単量体(B)を1〜98質量%、
前記スルホン酸基含有単量体(C)を1〜98質量%
使用することを特徴とするスルホン酸基含有共重合体の製造方法である。
下記一般式(1);
下記一般式(4);
本発明のスルホン酸基含有共重合体の用途は、水処理剤である。
<4>
本発明のスルホン酸基含有共重合体は、洗剤用ビルダーまたは洗剤組成物に用いる事ができる。
<ポリアルキレングリコール系単量体(A)>
本発明のスルホン酸基含有共重合体(本発明の重合体ともいう。)は、ポリアルキレングリコール系単量体(A)(以下、単量体(A)ともいう)に由来する構造単位(a)を必須とする重合体であるが、前記ポリアルキレングリコール系単量体(A)は、下記一般式(1);
また、本発明のスルホン酸基含有共重合体を液体洗剤等に配合した場合に、ポリアルキレングリコール構造等に起因して界面活性剤との相溶性が高くなるために、配合物中での経時安定性(分離安定性)を優れたものとすることができる。
なお、本発明において、スルホン酸基含有共重合体とは、ポリアルキレングリコール鎖を有する重合体を意味し、ポリアルキレングリコール系単量体とは、ポリアルキレングリコール鎖を有する単量体を意味する。
前記一般式(1)において、R2は、メチレン基、エチレン基または直接結合を表すが、これらの中でも、メチレン基、エチレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
前記一般式(1)におけるR2がメチレン基、エチレン基または直接結合であった場合、本発明の重合体を用いると、優れたリン酸カルシウムスケール抑制能を発揮することができる。
これらの理由により、前記一般式(1)におけるR2がエチレン基であった場合には、例えば、本発明の重合体を水処理剤などに配合すると、特に高い性能を発揮し、かつ、上述したような問題が生じることを実質的に避け、製品の品質のばらつきを抑制することが可能となる。
前記一般式(1)において、Zは、同一若しくは異なって、炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表すが、ポリアルキレングリコール系単量体(A)の重合性を良好にする観点から、Zは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜3のオキシアルキレン基であることがより好ましい。特に好ましくは、炭素数2のオキシアルキレン基である。具体的には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等の炭素数2〜4のオキシアルキレン基であることが好ましく、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等の炭素数2〜3のオキシアルキレン基であることがより好ましい。中でも、炭素数2のアルキレン基であるオキシエチレン基が特に好ましい。
前記Zとしては、1種または2種以上を用いることができるが、前記一般式(1)の有する全Zの100モル%に対して80〜100モル%はオキシエチレン基であることが好ましい。より好ましくは90〜100モル%がオキシエチレン基であることであり、特に好ましくは100モル%がオキシエチレン基であることである。
なお、前記Zとして2種以上を用いる場合には、オキシアルキレン基は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
前記一般式(1)におけるXまたはYは、水酸基、下記一般式(2)で表される構造、下記一般式(3)で表される構造を表す。但し、XまたはYのいずれか一方は水酸基を表し、XまたはYのいずれか一方は下記一般式(2)で表される構造または下記一般式(3)構造を表す。当該構造を有することにより、本発明のスルホン酸基含有共重合体のリン酸カルシウムスケール抑制能が顕著に向上する。
なお、本発明のスルホン酸基含有共重合体が「ポリアルキレングリコール系単量体(A)に由来する構造単位(a)」を有するとは、最終的に得られた重合体が前記一般式(7)で表される構造単位を有することを意味する。すなわち、本発明における「ポリアルキレングリコール系単量体(A)に由来する構造単位(a)」には、前記ポリアルキレングリコール系単量体(A)を合成した後、それを他の単量体成分と共重合させることによって重合体中に導入されるものだけでなく、例えば、まずスルホン酸基含有共重合体の主鎖部分を共重合によって形成し、その後特定の構造を有する側鎖を導入して得られるもののように、形成工程が重合反応の前後にわたるものも含まれる。
また、本発明のスルホン酸基含有共重合体が有する構造単位(a)は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
構造単位(a)の含有量として、好ましくは5〜93質量%であり、より好ましくは10〜90質量%であり、更に好ましくは15〜87質量%であり、最も好ましくは20〜60質量%である。
前記ポリアルキレングリコール系単量体(A)は、適用可能な公知の製造方法により製造しても良く、詳細は、特開2012−57096に開示されている。
後述する<ポリアルキレングリコール系単量体(A)の合成例>で示している通り、前記ポリアルキレングリコール系単量体(A)は、以下の3段階の工程で合成される。
1)イソプレノールの末端水酸基にエチレンオキシドを付加させる工程。2)前記で得られた化合物の水酸基末端に、エピクロルヒドリンとエーテル合成を行う工程。3)前記で得られた化合物のエポキシ末端に、亜硫酸水素ナトリウムを付加反応させる工程。
また、必要に応じて精製工程を行うため、前記ポリアルキレングリコール系単量体(A)の含有量が多くなると、得られる本発明のスルホン酸基含有共重合体のコストアップとなる。
本発明のスルホン酸基含有共重合体は、カルボキシル基含有単量体(B)(以下、単量体(B)ともいう)に由来する構造単位(b)を必須とする重合体である。
本発明のスルホン酸基含有共重合体におけるカルボキシル基含有単量体(B)の主要な役割は、(i)スルホン酸基含有共重合体によるリン酸カルシウムスケール抑制能を向上すること、(ii)カルボキシル基含有単量体(B)由来の構造を、重合体の好ましい位置に配置したり、本発明のスルホン酸基含有共重合体を適度な分子量や分子量分布に制御する為の前記ポリアルキレングリコール系単量体(A)および後述するスルホン酸基含有単量体(C)のつなぎの役割を担うことである。
前記塩とは、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩であり、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が特に好ましい。
なお、前記構造単位(b)がカルボキシル基含有単量体(B)由来の構造単位(b)である場合、全単量体由来の構造単位の総量に対する質量割合(質量%)は、対応する酸換算で計算するものとする。例えば、アクリル酸ナトリウム由来の構造単位、−CH2CH(COONa)−、の場合、対応する酸であるアクリル酸由来の構造単位、−CH2CH(COOH)−、として質量を計算する。また、カルボキシル基含有単量体(B)の、全単量体の総量に対する質量割合(質量%)を計算する場合も、対応する酸換算で計算するものとする。全単量体由来の構造単位の総量に対する、開始剤や連鎖移動剤に由来する構造単位の質量割合(質量%)を計算する場合も同様とする。
本発明のスルホン酸基含有共重合体は、スルホン酸基含有単量体(C)(以下、単量体(C)ともいう)に由来する構造単位(c)も必須とする重合体である。
本発明のスルホン酸基含有単量体(C)は、下記一般式(4)で表される構造を有する。
このような構造単位(c)を有することによって、スルホン酸基含有共重合体は、優れたリン酸カルシウムスケール抑制能を発揮することができる。
R5は、メチレン基、エチレン基または直接結合を表し、好ましくはメチレン基である。
なお、前記R5が直接結合を表すとは、例えば、CH2=CH−R2−O−で表される構造において、CH2=CH−O−で表される構造であることを表している。
但し、XまたはYのいずれか一方は水酸基を表し、XまたはYのいずれか一方は下記一般式(5)で表される構造または下記一般式(6)構造を表す。当該構造を有することにより、本発明のスルホン酸基含有共重合体のリン酸カルシウムスケール抑制能が顕著に向上する。
本発明のスルホン酸基含有共重合体は、構造単位(c)を1種のみ有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。
前記構造単位(c)の含有量は、好ましくは2〜90質量%であり、より好ましくは3〜83質量%であり、更に好ましくは4〜76質量%であり、最も好ましくは10〜50質量%である。
また、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩は重合性が低いため、不純物としてのスルホン酸基含有単量体由来のホモポリマーの生成を抑えられるため好ましい。
本発明のスルホン酸基含有共重合体は、その他の単量体(E)(前記単量体(A)、単量体(B)および単量体(C)以外の単量体)に由来する構造単位(e)を有していてもよい。前記スルホン酸基含有共重合体は、構造単位(e)を1種のみ有していてもよいし、2種以上の構造単位(e)を有していてもよい。
前記三級アミン塩としては、具体的にはトリメチルアミン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩等が挙げられる。塩としては、塩酸塩や有機酸塩等が挙げられる。);N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−4−ブチルピロリドン等の環状N−ビニルラクタム系単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−ヒドロキシメチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル;スチレン、インデン等のビニルアリール単量体;イソブチレン等のアルケン類;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル環状アミド単量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)イソプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド類;(メタ)アリルアルコールやイソプレノール等の水酸基含有単量体にアルキレンオキサイドを1〜200モル付加した単量体や、アルコキシポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、2−メチレングルタル酸等の不飽和ジカルボン酸およびこれらの塩等の不飽和ジカルボン酸系単量体;不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜22のアルコールとのハーフエステル、不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド、不飽和ジカルボン酸と炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル等が挙げられる。
前記塩とは、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩(有機アンモニウム塩)等が例示される。
前記構造単位(e)が酸基含有単量体由来の構造単位である場合には、全単量体由来の構造単位の総量に対する質量割合(質量%)は、対応する酸換算で計算するものとする。また、酸基含有単量体の、全単量体の総量に対する質量割合(質量%)を計算する場合も、対応する酸換算で計算するものとする。全単量体由来の構造単位の総量に対する、開始剤や連鎖移動剤に由来する構造単位の質量割合(質量%)を計算する場合も同様とする。前記構造単位(e)がアミノ基含有単量体由来の構造単位である場合には、全単量体に由来する構造単位の総量に対する質量割合や、アミノ基含有単量体の、全単量体の総量に対する質量割合を算出する際には、対応する未中和アミンの質量割合として計算するものとする。例えば、その他の単量体がビニルアミン塩酸塩の場合には、対応する未中和アミンであるビニルアミンの質量割合(質量%)を計算する。また、四級化されたアミノ基を含有する単量体またはそれに由来する構造単位の質量割合(質量%)を計算する場合には、カウンターアニオンの質量は考慮しないで(含めないで)計算するものとする。全単量体由来の構造単位の総量に対する、開始剤や連鎖移動剤に由来する構造単位の質量割合(質量%)を計算する場合も同様とする。
本発明のスルホン酸基含有共重合体は、前記構造単位(a)、構造単位(b)、構造単位(c)および、必要に応じて構造単位(e)が、前記したような特定の割合で導入されていればよく、各構造単位は、ブロック状、ランダム状のいずれで存在していてもよい。
また、前記スルホン酸基含有共重合体の重量平均分子量は、適宜設定できるものであり、特に限定されない。具体的には、スルホン酸基含有共重合体の重量平均分子量は、2,000〜200,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜100,000、最も好ましくは4,000〜60,000である。重量平均分子量が前記範囲内であれば、リン酸カルシウムスケール抑制能が向上する傾向にある。
また、前記スルホン酸基含有共重合体の数平均分子量は、1,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは1,500〜50,000、最も好ましくは2,000〜25,000である。数平均分子量が前記範囲内であれば、リン酸カルシウムスケール抑制能が向上する傾向にある。
本発明のスルホン酸基含有共重合体は、他の成分とともにスルホン酸基含有共重合体組成物を構成してもよい。前記他の成分としては、重合開始剤残渣、残存モノマー、重合時の副生成物、水分等が挙げられ、これらの1種または2種以上を含有することができる。前記スルホン酸基含有共重合体組成物は、本発明のスルホン酸基含有共重合体を、スルホン酸基含有共重合体組成物の総量100質量%に対して、1〜100質量%含有することが好ましい。前記スルホン酸基含有共重合体組成物の好ましい形態の一つは、本発明のスルホン酸基含有共重合体を30〜60質量%含有し、水を40〜70質量%含有する形態である。
本発明のスルホン酸基含有共重合体は、(i)前記一般式(1)で表されるポリアルキレングリコール系単量体(A)(単量体(A))、(ii)カルボキシル基含有単量体(B)(単量体(B))、および(iii)前記一般式(4)で表されるスルホン酸基含有単量体(C)(単量体(C))を必須とし、必要に応じてその他の単量体(E)(単量体(E))を含む単量体成分を所定の割合で共重合することにより製造することができる。
本発明のスルホン酸基含有共重合体の製造方法において、重合に使用する各単量体の組成比は、全単量体(単量体(A)、単量体(B)、単量体(C)、単量体(E))の総量100質量%に対して、単量体(A)が1〜98質量%、単量体(B)が1〜98質量%、単量体(C)が1〜98質量%である。単量体(B)の含有量が1質量%未満であると、重合体の分子量や単量体(A)および単量体(C)の重合性が制御できなくなるおそれがある。
また、単量体(A)および単量体(C)の含有量が1質量%未満であると、リン酸カルシウムスケール抑制能が低下する場合がある。
また、全単量体(単量体(A)、単量体(B)、単量体(C)および単量体(E))の総量100質量%に対して、単量体(E)を0〜50質量%の割合で含んでいてもよい。より好ましくは、0〜10質量%であり、更に好ましくは、0〜5質量%であり、特に好ましくは、0質量%である。
前記溶媒は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、前記単量体成分の溶媒への溶解性を向上させるため、重合反応に悪影響を及ぼさない範囲で、有機溶媒を適宜加えても良い。
前記製造方法において用いられる重合開始剤としては、通常用いられるものを使用することができる。具体的には、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノパレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤のうち、過酸化水素、過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩が好ましく、過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩が最も好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよく、2種以上を混合して使用されてもよい。
前記製造方法においては、必要に応じ、重合に悪影響を及ぼさない範囲内で、重合体の分子量調整剤として連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、具体的には、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン際、3−メルカプトプロピオン際、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、チオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸およびその塩(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、低級酸化物およびその塩等が挙げられる。前記連鎖移動剤は、単独で使用されてもよく、2種以上を混合して使用されてもよい。
前記製造方法において、亜硫酸および/または亜硫酸塩(以下、「亜硫酸(塩)」とも記載する)を連鎖移動剤として使用することは好ましい形態である。その場合、亜硫酸(塩)に加えて重合開始剤を使用する。更に、後述する反応促進剤として、重金属イオンを併用してもよい。
前記亜硫酸(塩)は、亜硫酸若しくは亜硫酸水素またはこれらの塩を意味する。中でも、亜硫酸および/または亜硫酸水素が塩である形態が好適である。亜硫酸および/または亜硫酸水素が塩である場合、前記した例に加えて、金属原子、アンモニウムまたは有機アンモニウムの塩が好適である。
また、有機アンモニウム(有機アミン)としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、トリエチルアミン等が好適である。更に、前記亜硫酸塩は、アンモニウム塩であってもよい。
よって、本発明で好ましく使用される亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム等が挙げられ、亜硫酸水素ナトリウムが特に好適である。前記亜硫酸(塩)は、単独で使用されてもよく、2種以上を混合して使用されてもよい。
前記製造方法においては、開始剤等の使用量を低減する等の目的で反応促進剤を加えてもよい。反応促進剤としては、例えば、重金属イオンが挙げられる。本発明において、重金属イオンとは、比重が4g/cm3以上の金属を意味する。前記金属イオンとしては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等が好ましい。これらの重金属は1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、鉄がより好ましい。前記重金属イオンのイオン価は特に限定されるものではなく、例えば、重金属として鉄が用いられる場合、開始剤における鉄イオンとしては、Fe2+であっても、Fe3+であってもよく、これらが両方含まれていてもよい。
前記重金属イオンの含有量は、また、重合反応完結時における重合反応液の全質量に対して0.1〜10ppmであることが好ましい。重金属イオンの含有量が0.1ppm未満であると、重金属イオンによる効果が充分に発現しないおそれがある。一方、重金属イオンの含有量が10ppmを超えると、得られる重合体の色調の悪化を来たすおそれがある。また、重金属イオンの含有量が多いと、生成物である重合体を洗剤ビルダーとして用いる場合に、着色汚れの原因となるおそれがある。
前記製造方法において、重合の際には、上述した化合物等に加えて、重合開始剤の分解触媒や還元性化合物を反応系に添加してもよい。
また、還元性化合物としては、例えば、フェロセン等の有機金属化合物;ナフテン酸鉄、ナフテン酸銅、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン等の、鉄、銅、ニッケル、コバルト、マンガン等の金属イオンを発生できる無機化合物;三フッ化ホウ素エーテル付加物、過マンガン酸カリウム、過塩素酸等の無機化合物;二酸化硫黄、亜硫酸塩、硫酸エステル、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、スルホキシ酸塩、ベンゼンスルフィン酸およびその置換体、パラトルエンスルフィン酸等の環状スルフィン酸の同族体等の硫黄含有化合物;オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオプロピオン酸、α−チオプロピオン酸ナトリウムスルホプロピルエステル、α−チオプロピオン酸ナトリウムスルホエチルエステル等のメルカプト化合物;ヒドラジン、β−ヒドロキシエチルヒドラジン、ヒドロキシルアミン等の窒素含有化合物;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、イソバレリアンアルデヒド等のアルデヒド類;アスコルビン酸等が挙げられる。これらの還元性化合物もまた、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、メルカプト化合物等の還元性化合物は、連鎖移動剤として添加してもよい。
重合開始剤の使用量は、単量体の共重合を開始できる量であれば特に制限されないが、全単量体成分(単量体(A)、単量体(B)、単量体(C)および(E))の総量1モルに対して15g以下であることが好ましい。より好ましくは1〜12gである。
開始剤として、過酸化水素を使用する場合、過酸化水素の添加量は、全単量体成分の総量1モルに対して1.0〜10.0gであることが好ましく、2.0〜8.0gであることがより好ましい。過酸化水素の添加量が1.0g未満であると、得られる重合体の重合平均分子量が高くなる傾向にある。一方、添加量が10.0gを超えると、添加量の増加に見合うだけの効果が得られなくなり、更に、残存する過酸化水素量が多くなる等の悪影響を及ぼす。
過酸化水素の添加方法としては、実質的に連続的に滴下することにより添加する量が、必要所定量の85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%、すなわち全量を滴下により添加することが最も好ましい。過酸化水素を連続的に滴下する際、その滴下速度は変えてもよい。
過酸化水素の滴下開始を遅らせる時間は、単量体の滴下開始後60分以内であることが好ましく、30分以内であることがより好ましい。
過酸化水素の滴下を単量体の滴下と同時に開始することや、単量体の滴下前に予め過酸化水素を仕込むことも可能であるが、予め過酸化水素を仕込む場合は、必要所定量の10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
また、過酸化水素の滴下は、後述する好適な反応条件(温度、圧力、pH等)の下で反応を行う場合において、単量体の滴下終了と同時に終了することが好ましい。また、単量体滴下終了時間よりも10分以上早く終了することがより好ましく、30分以上早く終了することが特に好ましい。なお、単量体の滴下終了時間より遅く終了しても、重合系において特に悪影響を及ぼすものではない。ただ、添加した過酸化水素が重合終了時までに完全には分解しないため、未反応の過酸化水素については添加による効果が得られず無駄となる。また、過酸化水素が多量に残存すると、得られた重合体の熱的安定性に悪影響を及ぼす可能性があるため好ましくない。
重合開始剤を滴下により添加する場合の開始剤溶液の濃度は、特には限定されないが、好ましくは5〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。開始剤の濃度が5質量%未満であると、結果的に重合中の単量体濃度が非常に低くなるので、単量体の重合性が非常に悪くなり得られる重合体中における単量体の残存量が非常に多くなる。また輸送等の効率や生産性も低くなり経済的な面からも好ましくない。逆に60質量%を超えると、安全性や滴下の簡便性の面で問題となる。
前記開始剤と連鎖移動剤との組み合わせとしては、過硫酸塩と亜硫酸塩とをそれぞれ1種以上用いることが最も好ましい。この場合、過硫酸塩と亜硫酸塩との混合比は、特に制限されないが、過硫酸塩1質量部に対して、亜硫酸塩0.1〜5質量部を用いることが好ましい。亜硫酸塩量の下限は、過硫酸塩1質量部に対して0.2質量部であることがより好ましく、最も好ましくは0.5質量部である。また、亜硫酸塩量の上限は、過硫酸塩1質量部に対して4質量部であることがより好ましく、最も好ましくは3質量部である。過硫酸塩1質量部に対して亜硫酸塩が0.1質量部未満であると、低分子量化する際に、必要となる開始剤総量が増加するおそれがあり、5質量部を超えると、副反応が増加し、それによる不純物が増加するおそれがある。
前記製造方法において、単量体成分、重合開始剤および連鎖移動剤の反応容器への添加方法としては、滴下、分割投入等の連続投入方法を適用することができる。また、それぞれ単独で反応容器へ導入してもよく、他の成分や、溶媒等とあらかじめ混合しておいてもよい。具体的な添加方法としては、反応容器に単量体成分の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体成分の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分とを反応容器内に連続してあるいは段階的に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法;反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体成分と重合開始剤の全量を添加する方法;等が挙げられる。このような方法の中でも、得られる重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができ、リン酸カルシウムスケール抑制能を向上することができることから、重合開始剤と単量体成分とを反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。このような重合は、回分式でも連続式でも行うことができる。
前記製造方法において、重合温度等の重合条件は、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤等により適宜定められるが、重合温度としては、0℃以上が好ましく、また、150℃以下が好ましい。より好ましくは、40℃以上であり、更に好ましくは、60℃以上であり、特に好ましくは、80℃以上である。また、より好ましくは、120℃以下であり、更に好ましくは、110℃以下である。連鎖移動剤として亜硫酸(塩)および/または重亜硫酸(塩)を用いる場合には、共重合温度は、好ましくは60℃〜95℃、より好ましくは70℃〜95℃、さらに好ましくは、80℃〜95℃である。60℃未満では、亜硫酸(塩)および/または重亜硫酸(塩)由来の不純物が多量に生成するおそれがある。逆に95℃を越えると、有毒な亜硫酸ガスが放出されるおそれがある。
前記重合温度は、重合反応において、常にほぼ一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間または昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応中に経時的に温度変動(昇温または降温)させてもよい。なお、重合温度とは、重合反応の反応溶液の温度をいう。また、重合温度の測定方法や制御手段については、任意の適切な方法や手段を採用することができる。例えば、一般に使用される装置を用いて測定すれば良い。
前記製造方法において、重合時間は、特に制限されないが、好ましくは30〜420分であり、より好ましくは45〜390分であり、更に好ましくは60〜360分であり、最も好ましくは90〜300分である。なお、本発明において「重合時間」とは、特に断らない限り、単量体を添加している時間、すなわち、単量体の添加を開始してから終了するまでの時間を表す。
本発明のスルホン酸基含有共重合体(またはスルホン酸基含有共重合体組成物)は、凝固剤、凝集剤、印刷インク、接着剤、土壌調整(改質)剤、難燃剤、スキンケア剤、ヘアケア剤、シャンプー・ヘアースプレー・石鹸・化粧品用添加剤、アニオン交換樹脂、繊維・写真用フィルムの染料媒染剤や助剤、製紙における顔料展着剤、紙力増強剤、乳化剤、防腐剤、織物・紙の柔軟剤、潤滑油の添加剤、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤用添加剤、スケール抑制剤(スケール抑制剤)、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤等として用いることができる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、および自動車用等、様々な用途の洗剤に添加して使用することができる。
本発明のスルホン酸基含有共重合体(またはスルホン酸基含有共重合体組成物)は、水処理剤に用いることができる。該水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を用いてもよい。
前記水処理剤は、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール抑制に有用である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでもよい。
本発明のスルホン酸基含有共重合体(またはスルホン酸基含有共重合体組成物)はまた、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明のポリアルキレングリコール系重合体(またはスルホン酸基含有共重合体組成物)とを含む。
前記繊維処理剤における本発明のスルホン酸基含有共重合体の含有量は、繊維処理剤全体に対して、好ましくは1〜100質量%であり、より好ましくは5〜100質量%である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。以下に、繊維処理剤の配合例を示す。この繊維処理剤は、繊維処理における精錬、染色、漂白、ソーピングの工程で使用することができる。染色剤、過酸化物および界面活性剤としては繊維処理剤に通常使用されるものが挙げられる。
前記繊維処理剤を使用できる繊維としては、任意の適切な繊維を採用することができる。例えば、木綿、麻等のセルロース系繊維、ナイロン、ポリエステル等の化学繊維、羊毛、絹糸等の動物性繊維、人絹等の半合成繊維およびこれらの織物および混紡品が挙げられる。前記繊維処理剤を精錬工程に適用する場合は、本発明の重合体と、アルカリ剤および界面活性剤とを配合することが好ましい。漂白工程に適用する場合では、本発明の重合体と、過酸化物と、アルカリ性漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナトリウム等の珪酸系薬剤とを配合することが好ましい。
本発明のスルホン酸基含有共重合体(またはスルホン酸基含有共重合体組成物)はまた、無機顔料分散剤に用いることができる。該無機顔料分散剤には、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いてもよい。
前記無機顔料分散剤中における、本発明のスルホン酸基含有共重合体の含有量は、無機顔料分散剤全体に対して、好ましくは5〜100質量%である。また性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
前記無機顔料分散剤は、紙コーティングに用いられる重質または軽質炭酸カルシウム、クレーの無機顔料の分散剤として良好な性能を発揮し得る。例えば、無機顔料分散剤を無機顔料に少量添加して水中に分散することにより、低粘度でしかも高流動性を有し、かつ、それらの性能の経日安定性が良好な、高濃度炭酸カルシウムスラリーのような高濃度無機顔料スラリーを製造することができる。
前記無機顔料分散剤を無機顔料の分散剤として用いる場合、該無機顔料分散剤の使用量は、無機顔料100質量部に対して、0.05〜2.0質量部が好ましい。該無機顔料分散剤の使用量が前記範囲内にあることによって、充分な分散効果を得ることが可能となり、添加量に見合った効果を得ることが可能となり、経済的にも有利となり得る。
本発明のスルホン酸基含有共重合体(またはスルホン酸基含有共重合体組成物)はまた、洗剤ビルダーとして用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、および自動車用など、様々な用途の洗剤に添加されて使用されうる。
本発明のスルホン酸基含有共重合体(またはスルホン酸基含有共重合体組成物)はまた、洗剤組成物にも添加しうる。
洗剤組成物における前記スルホン酸基含有共重合体の含有量は特に制限されない。ただし、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、スルホン酸基含有共重合体の含有量は、洗剤組成物の全量100質量%に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、更に好ましくは0.5〜5質量%である。
洗剤用途で用いられる洗剤組成物には、通常、洗剤に用いられる界面活性剤や添加剤が含まれる。これらの界面活性剤や添加剤の具体的な形態は特に制限されず、洗剤分野において一般的に知られている知見が適宜参照されうる。また、前記洗剤組成物は、粉末洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択される1種または2種以上である。2種以上が併用される場合、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との合計量は、界面活性剤の全量100質量%に対して50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。
また、イソプレノールのエチレンオキシド付加物や反応中間体の定量および各種物性値の測定は、以下の方法により行った。
イソプレノールのエチレンオキシド付加物および反応中間体およびの定量は、以下の条件の液体クロマトグラフィーにより定量した。
測定装置:株式会社日立ハイテクノロジーズ社製
カラム:株式会社資生堂製 CAPCELL PAK C8DD 4.6mmΦ×250mm
5μm
検出器:RI
カラム温度:40.0℃
流速:1.0mL/min.
溶離液:10mMリン酸ナトリウム水溶液(pH6.8)/アセトニトリル=55/45(体積比)
<重量平均分子量および数平均分子量の測定条件(GPC)>
装置:東ソー株式会社製 HLC−8320GPC
検出器:RI
カラム:昭和電工株式会社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ、GF−710−HQ、GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/min.
検量線:創和科学株式会社製 ポリアクリル酸標準
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム水溶液
120℃に加熱したオーブンで、重合体(組成物)を2時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、不揮発分(質量%)と揮発成分(質量%)を算出した。
以下の単量体合成例においては、前記一般式(X)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体として下記化合物を使用した。
イソプレノールのエチレンオキシド平均10モル付加物(以下、「IPN10」とも称する。):水酸基価106.5(mgKOH/g)
<一般式(1)で表される化合物の合成例>
攪拌翼、温度計、冷却管を備えた5L4つ口フラスコに、イソプレノールのエチレンオキシド平均10モル付加物(以下、「IPN10」とも称する。水酸基価106.5(mgKOH/g))を1737g、エピクロルヒドリン1692g、48%NaOH411gを仕込み、50℃に保ちながら6時間攪拌させて、反応させた。反応後、生成する塩を除去した後、残った有機層からエピクロルヒドリンと水を除去して、中間体(A)を含む反応液を1779g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、中間体(A)が1467g、IPN10が108g含まれていた。次に、攪拌翼、温度計、冷却管、滴下漏斗を備えた5L4つ口フラスコに、上記反応液を、中間体(A)が1247gになるように仕込み、撹拌しながら、内温50℃に加熱した。ここに、48%NaOH90.4g、純水1796.8g、SO2換算で64%の亜硫酸水素ナトリウム(以下、「SBS」とも称する。)269.9g、亜硫酸水素ナトリウムに対して2500ppmの4H−TEMPOの混合液を、内温50℃に維持しながら、1時間かけてゆっくり滴下し、さらに4時間撹拌することにより、単量体(1)(前記一般式(1)において、R1がメチル基、R2がエチレン基、nが平均10、XおよびYは、水酸基または前記一般式(3)である構造の化合物。以下、「IPES10」とも称する。)を主成分とする単量体組成物(1)の溶液を3671g得た。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水88.4g、0.6%モール塩水溶液3.5gを仕込み、攪拌しながら、87℃に昇温した。次に、攪拌下、80%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」とも称する。)を142.2g(1.580モル)、40%の3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム水溶液(以下、「40%HAPS」とも称する。)を143.5g(0.263モル)、IPES10が180.8g(0.263モル)となるように単量体組成物(1)を、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、「15%NaPS」とも称する。)を112.3g、35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液(以下,「35%SBS」とも称する。)を42.1g、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液は同時に滴下を開始した。各溶液の滴下時間は、80%AAは180分、40%HAPSは30分、単量体組成物(1)は170分、15%NaPSは、42.1gを最初の120分、70.2gを引き続き80分の計200分、35%SBSは170分とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。15%NaPSの溶液の滴下終了後、更に30分間、前記重合反応溶液を87℃に保持(熟成)して重合を終了した。このようにして、重合体(1)の水溶液を得た。重合体(1)の重量平均分子量は13,000であった。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水102.5g、0.6%モール塩水溶液3.5gを仕込み、攪拌しながら、87℃に昇温した。次に、攪拌下、80%AAを141.5g(1.572モル)、IPES10が236.9g(0.345モル)となるように単量体組成物(1)を、15%NaPSを102.2g、35%SBSを38.4g、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液は同時に滴下を開始した。各溶液の滴下時間は、80%AAは180分、単量体組成物(1)は170分、15%NaPSは、38.3gを最初の120分、63.9gを引き続き80分の計200分、35%SBSは170分とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。15%NaPSの溶液の滴下終了後、更に30分間、前記重合反応溶液を87℃に保持(熟成)して重合を終了した。このようにして、比較重合体(1)の水溶液を得た。比較重合体(1)の重量平均分子量は11,000であった。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量2.5LのSUS製セパラブルフラスコに、純水242.8g、0.6%モール塩水溶液3.5gを仕込み、攪拌しながら、87℃に昇温した。次に、攪拌下、80%AAを243.8g(2.709モル)、40%HAPSを466.2g(0.855モル)、15%NaPSを142.5g、35%SBSを50.9g、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液は同時に滴下を開始した。各溶液の滴下時間は、80%AAは180分、40%HAPSは155.3gを最初の30分、310.9gを引き続き110分の計140分、15%NaPSは、67.7gを最初の130分、74.8gを引き続き70分の計200分、35%SBSは4.6gを最初の30分、残りの46.3gを140分の計170分とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。15%NaPSの溶液の滴下終了後、更に30分間、前記重合反応溶液を87℃に保持(熟成)して重合を終了した。このようにして、比較重合体(2)の水溶液を得た。比較重合体(2)の重量平均分子量は8,500であった。
実施例1および比較例1〜2で得た重合体(1)および比較重合体(1)〜(2)について、以下のようにしてリン酸カルシウムのスケール抑制能を評価した。結果を表1に示す。
225mlのネジ口瓶に、脱イオン水、ホウ酸−ホウ酸ナトリウムpH緩衝液、塩化カルシウム水溶液、実施例・比較例で得られる重合体水溶液、リン酸ナトリウム水溶液をこの順に添加し、pH=8.6、重合体濃度が不揮発分換算で7mg/L、カルシウム硬度=200mgCaCO3/L、リン酸イオン=10mgPO4 3−/Lの試験液100mlを調製した。密封した後、60℃、24時間の条件で静置した。試験液を孔径0.1μmの濾紙で濾過し、濾液中の残留リン酸イオン濃度を分析した。
ブランクとして、前記の試験液から重合体を除いたブランク試験液を用意し、同様の操作を行って、残留リン酸イオン濃度を分析した。下記式によって、リン酸カルシウムスケール抑制率を求めた。
リン酸カルシウムスケール抑制率(%)=100×(R−Q)/(P−Q)
P:仕込みリン酸イオン濃度(mg/L)
Q:ブランクの残留リン酸イオン濃度(mg/L)
R:残留リン酸イオン濃度(mg/L)。
前記で得られたリン酸カルシウムのスケール抑制能(%)をIPES10 1質量%当たりの抑制能で表し、入手が容易なHAPSを含有する共重合体との比較を行った。数値が大きいほど、性能が高い事を示す。
Claims (4)
- (i)下記一般式(1)で表されるスルホン酸基を有するポリアルキレングリコール系単量体(A)に由来する構造単位(a)と、
(ii)カルボキシル基含有単量体(B)に由来する構造単位(b)、
とを必須とするスルホン酸基含有共重合体であって、
下記一般式(1);
更に、下記一般式(4)で表される(iii)スルホン酸基含有単量体(C)に由来する構造単位(c)を必須とするスルホン酸基含有共重合体であり、
下記一般式(4);
前記スルホン酸基含有共重合体は、
前記重合体を形成する全単量体に由来する構造単位の総量100質量%に対して、
構造単位(a)を1〜98質量%含み、
構造単位(b)を1〜98質量%含み、
構造単位(c)を1〜98質量%含む、
スルホン酸基含有共重合体。 - (i)下記一般式(1)で表されるスルホン酸基を有するポリアルキレングリコール系単量体(A)と、
(ii)カルボキシル基含有単量体(B)と、
(iii)下記一般式(4)で表されるスルホン酸基含有単量体(C)
とを重合させる工程を含むスルホン酸基含有共重合体の製造方法であって、
前記製造方法は、使用する全単量体の総量100質量%に対して、
前記ポリアルキレングリコール系単量体(A)を1〜98質量%、
前記カルボキシル基含有単量体(B)を1〜98質量%、
前記スルホン酸基含有単量体(C)を1〜98質量%
使用することを特徴とするスルホン酸基含有共重合体の製造方法。
下記一般式(1);
下記一般式(4);
- 請求項1に記載のスルホン酸基含有共重合体を含む水処理剤。
- 請求項1に記載のスルホン酸基含有共重合体を含む洗剤組成物。
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