JP5815536B2 - アミノ基含有重合体及びその製造方法、並びに、洗剤組成物 - Google Patents
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Description
ところで、近年、消費者の環境意識が高まってきたことにより、節水を目的として、風呂の残り湯を洗濯に使用する等の洗濯が定着してきた。これによって、風呂の残り湯に含まれる汚れ成分が洗濯中に繊維等に付着したり、風呂の追い焚きによって硬水成分が濃縮してしまったりするといったことが課題となるため、より高硬度下においても、洗濯中に汚れ成分の繊維への再付着を抑制する性能(再汚染防止能という)が従来よりも厳しく求められるようになってきている。また、現在需要の増大している液体洗剤は、界面活性剤の含有量が50%以上であるような濃縮液体洗剤であるため、洗剤添加剤にはこのような濃縮液体洗剤への配合に適したものであることが必要とされ、従来よりも界面活性剤との相溶性に優れた洗剤添加剤が求められている。
以下に本発明を詳述する。なお、以下において段落に分けて記載される本発明の好ましい形態の2つ又は3つ以上を組み合わせたものも本発明の好ましい形態である。
<アミノ基含有単量体(A)>
本発明のアミノ基含有重合体は、単量体(A)に由来する構造単位(a)を含むが、該単量体(A)とは、上記一般式(1)で表されるアミノ基含有単量体である。
上記一般式(1)において、R2が直接結合である場合とは、上記一般式(1)における「H2C=C(R1)−R2−O−」が「H2C=C(R1)−O−」であることを意味する。なお、「H2C=C(R1)−R2−」は、R1がCH3基、R2がCH2基の場合は、メタリル基であり、R1がCH3基、R2がCH2CH2基の場合は、イソプレニル基であり、R1がCH3基、R2が直接結合の場合は、イソプロペニル基であり、R1が水素原子、R2がCH2基の場合は、アリル基であり、R1が水素原子、R2がCH2CH2基の場合は、ブテニル基であり、R1が水素原子、R2が直接結合の場合は、ビニル基である。
上記炭素数1〜20の有機基は、全体として炭素数が1〜20であれば特に限定されないが、アルキル基、アリール基及びアルケニル基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることが好ましい。
上記炭素数1〜20の有機基はまた、無置換の基であってもよいし、水素原子の1又は2以上が他の有機基によって置換された基であってもよい。この場合の他の有機基としては、例えば、アルキル基(R3、R4及びR5で表される有機基がアルキル基である場合には、置換後の有機基は全体として無置換のアルキル基に該当する。)、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、水酸基、アシル基、エーテル基、アミド基、エステル基、ケトン基、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン酸基、スルホン酸基の塩等が挙げられる。
上記カウンターアニオンX1−の種類は特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子のイオン、アルキル硫酸イオン、有機酸のイオンが好ましい。
上記ハロゲン原子のイオンとして具体的には、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等のイオンが挙げられる。中でも、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のイオンが好ましく、塩素原子のイオンがより好ましい。
上記アルキル硫酸イオンとして具体的には、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン等が挙げられる。中でも、メチル硫酸イオンが好ましい。
上記有機酸のイオンとしては、酢酸イオン(CH3COO−)、プロピオン酸イオン(CH3CH2COO−)が好ましい。
なお、上記構造単位(a)の、全単量体由来の構造単位の総量に対する質量割合(質量%)や、上記単量体(A)の、全単量体の総量に対する質量割合を算出する際には、カウンターアニオンの質量は考慮しないで(含めないで)計算するものとする。
また上記アミノ基含有重合体が有する構造単位(a)は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
上記一般式(2)で表される構造単位の含有量としては、アミノ基含有重合体を形成する全単量体に由来する構造単位の総量100質量%に対し、1質量%以上、99質量%以下であることが好ましい。
上記アミノ基含有単量体(A)の調製方法としては特に制限されず、任意の適切な方法により調製することができる。例えば、上記アミノ基含有単量体(A)を高い収率で製造することができることから、下記製造方法(1)〜(6)のいずれかの方法により製造することが好ましい。
製造方法(2):上記一般式(5)で表されるグリシジルエーテル基含有単量体と二級アミンとを反応させる工程(工程2−1)、及び、工程2−1の反応生成物と四級化剤とを反応させる工程(工程2−2)を含む製造方法。
製造方法(3):上記一般式(5)で表されるグリシジルエーテル基含有単量体と、アンモニア、一級アミン及び二級アミンからなる群より選択される少なくとも1種とを反応させる工程(工程3)を含む製造方法。
製造方法(4):下記一般式(6);
製造方法(5):上記一般式(6)で表されるハロゲン化物と、アンモニア、一級アミン及び二級アミンからなる群より選択される少なくとも1種とを反応させる工程(工程5)を含む製造方法。
製造方法(6):下記一般式(7);
−製造方法(1)、(2)、(3)−
上記製造方法(1)、(2)及び(3)において、上記一般式(5)で表されるグリシジルエーテル基含有単量体は、市販のものを、そのまま、又は、精製して使用することができる。また、例えば、上記一般式(7)で表される水酸基含有単量体と、エピハロヒドリンとを反応させる工程(工程A)を含む製造方法により、製造してもよい。
上記一般式(7)で表される水酸基含有単量体としては、例えば、(メタ)アリルアルコールや、イソプレノールを好ましく使用することができる。これにより、得られるアミノ基含有単量体(A)の純度を高くすることができる。
上記アルカリ化合物としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましい。
上記アルカリ化合物の使用量は、上記一般式(7)で表される水酸基含有単量体の水酸基(水酸基価換算)とアルカリ化合物とのモル比〔(水酸基)/(アルカリ化合物)〕が15/1〜1/15となるように設定することが好ましい。より好ましくは5/1〜1/5であり、更に好ましくは3/1〜1/3である。
上記アルカリ化合物は、そのまま反応系に投入してもよいし、水溶液の状態で使用してもよい。水溶液として用いる場合には、水(反応の進行に伴い副生する水も含む)を除去しながら反応を行ってもよい。
上記溶媒としては、反応に悪影響が少ないものが好ましく、使用できる溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジクロロメタン等の塩素系炭化水素類等を挙げることができる。
上記溶媒としては、反応に悪影響が少ないものが好ましく、使用できる溶媒としては、例えば、水;エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等を挙げることができる。
上記製造方法(4)において用いられる三級アミンとしては、下記一般式(11)で表されるものが好ましい。なお、式中、R3、R4及びR5は、上述したとおりである。
また工程4、5の反応は、必要に応じてpHを調整して行われる。pHの調整は、反応前又は反応中に行ってもよく、また、アルカリ性化合物を添加して行うことが好ましい。アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。
上記触媒の使用量は、上記一般式(7)で表される水酸基含有単量体の水酸基(水酸基価換算)を1(モル)とすると、通常は、0.0001〜0.1(モル)である。触媒量が少なすぎると充分な触媒効果は得られず、多過ぎても、それ以上の効果はなく、経済的に不利である。好ましくは0.0005〜0.05(モル)であり、より好ましくは0.001〜0.03(モル)である。
上記製造方法(6)において用いられるグリシジルトリアルキルアンモニウム塩としては、下記一般式(12)で表されるものが好ましい。なお、式中、R3、R4及びR5は、上述したとおりである。X4−は、ハロゲン原子のイオンを表す。
上記溶媒としては、反応に悪影響が少ないものが好ましく、使用できる溶媒としては、工程1〜3で使用できる溶媒と同様である。
本発明のアミノ基含有重合体はまた、単量体(B)に由来する構造単位(b)を含む。
上記単量体(B)は、単量体(B−1)及び/又は単量体(B−2)である。言い換えれば、上記単量体(B)は、単量体(B−1)、単量体(B−2)、又は、単量体(B−1)と単量体(B−2)との混合物、のいずれかである。
上記単量体(B−1)は、ノニオン性単量体であり、単量体(B−2)とは、上述した単量体(A)以外のアミノ基含有単量体である。
なお、構造単位(b)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
上記ノニオン性単量体(B−1)は、非イオン性の単量体であるが、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシネオペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体;スチレン、インデン、ビニルアニリン等のビニルアリール単量体;イソブチレン等のアルケン類;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル環状アミド単量体;(メタ)アクリルアミド、(メタ)イソプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド類、;アルコキシポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体;等が例示される。これらの中でも、単量体(A)との共重合性が良好であり、また、得られる重合体の再汚染防止能が良好であることから、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体、ビニルアリール単量体、カルボン酸ビニル類、N−ビニル環状アミド単量体、アクリルアミド類が好ましい。
上記単量体(B−2)は、重合性炭素−炭素不飽和二重結合と、1〜4級のアミノ基及び/又はその塩とを有する単量体(但し、単量体(A)に該当する単量体を除く)であり、例えば、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、モルホリン、ビニルピロール等の環状アミン構造を有する、ビニル環状アミン系単量体;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、アミノエチルメタクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;ジアリルアミン、ジアリルジメチルアミン等のアリルアミン類;これらのアミノ基を四級化した構造の単量体;等が挙げられる。
これらの中でも、単量体(A)との共重合性が良好であり、また、得られる重合体の再汚染防止能が良好であることから、ビニル環状アミン系単量体、アミノアルキル(メタ)アクリレート類、アリルアミン類、カルボン酸ビニル類、N−ビニル環状アミド単量体、アクリルアミド類が好ましい。
なお、単量体(B−2)が四級化されたアミノ基を有する場合としては、1〜3級のアミノ基を有する単量体(B−2)を、公知の四級化剤で四級化した単量体等が例示される。公知の四級化剤としては、ハロゲン化アルキルや、ジアルキル硫酸等が挙げられる。
なお、上記構造単位(b)が、上記単量体(B−2)由来の構造単位である場合には、全単量体由来の構造単位の総量に対する質量割合や、上記単量体(B−2)の、全単量体の総量に対する質量割合を算出する際には、対応する未中和アミンの質量割合として計算するものとする。例えば、単量体(B−2)がビニルアミン塩酸塩の場合には、対応する未中和アミンであるビニルアミンの質量割合(質量%)を計算する。また、四級化されたアミノ基を含有する単量体又はそれに由来する構造単位の質量割合(質量%)を計算する場合には、カウンターアニオンの質量は考慮しないで(含めないで)計算するものとする。
本発明のアミノ基含有重合体はまた、その他の単量体(E)(上記単量体(A)及び(B)以外の単量体)に由来する構造単位(e)を有していてもよい。なお、構造単位(e)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
なお、上記構造単位(e)が酸基含有単量体由来の構造単位である場合には、全単量体由来の構造単位の総量に対する質量割合(質量%)は、対応する酸換算で計算するものとする。また、酸基含有単量体の、全単量体の総量に対する質量割合(質量%)を計算する場合も、対応する酸換算で計算するものとする。
本発明のアミノ基含有重合体は、上記構造単位(a)、(b)、及び、必要に応じて構造単位(e)が、上記したような特定の割合で導入されていればよい。
上記アミノ基含有重合体の重量平均分子量は、適宜設定できるものであり、特に限定されない。具体的には、アミノ基含有重合体の重量平均分子量は、2000〜200000であることが好ましく、より好ましくは3000〜100000、更に好ましくは4000〜60000である。重量平均分子量が上記範囲内であれば、再汚染防止能がより向上する傾向にある。
また上記アミノ基含有重合体の数平均分子量は、1000〜100000であることが好ましい。より好ましくは1500〜50000、更に好ましくは2000〜25000である。数平均分子量が上記範囲内であれば、再汚染防止能がより向上する傾向にある。
なお、本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定値であり、後述する実施例において記載される装置及び測定条件により測定することが可能である。
なお、再汚染防止率は、後述する実施例と同様にして測定することができる。
本発明のアミノ基含有重合体は、他の成分とともにアミノ基含有重合体組成物を構成してもよい。他の成分としては、重合開始剤残渣、残存モノマー、重合時の副生成物、水分等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を含有することができる。
上記アミノ基含有重合体組成物は、本発明のアミノ基含有重合体を、アミノ基含有重合体組成物の総量100質量%に対して、1〜100質量%含有することが好ましい。上記アミノ基含有重合体組成物の好ましい形態の一つは、本発明のアミノ基含有重合体を40〜60質量%含有し、水を40〜60質量%含有する形態である。
本発明のアミノ基含有重合体は、例えば、上記単量体(A)及び(B)を必須とし、必要に応じてその他の単量体(E)を含む単量体成分を所定の割合で共重合することにより製造することができる。
また、全単量体(単量体(A)、(B)及び(E))の総量100質量%に対して、単量体(E)を0〜60質量%の割合で含んでいてもよい。より好ましくは0〜50質量%、更に好ましくは0〜10質量%、特に好ましくは0質量%である。
上記溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記単量体成分の溶媒への溶解性を向上させるため、重合反応に悪影響を及ぼさない範囲で、有機溶媒を適宜加えても良い。
なお、溶媒は、重合初期に一部又は全量を反応容器内に仕込んでおけばよいが、溶媒の一部を重合反応中に反応系内に添加(滴下)してもよいし、単量体成分や開始剤等を予め溶媒に溶解させた形で、これらの成分と共に重合反応中に反応系内に添加(滴下)してもよい。
上記反応系内に予め仕込まれた溶媒中に、上記単量体成分を含む溶液と重合開始剤を含む溶液とを滴下して反応を行う形態としては、例えば、単量体(A)、単量体(B)、必要に応じて単量体(E)、開始剤成分、及び、必要に応じてその他の添加剤をそれぞれ溶媒に溶解し、又は、溶媒に溶解させずにそのままで、重合中に反応系内に適当に添加(滴下)して重合を行う形態が挙げられる。また、この反応形態においては、単量体(A)の全使用量の一部又は全部を重合開始前に予め反応系内に添加(初期仕込み)することもできる。
上記製造方法において用いられる重合開始剤としては、通常用いられるものを使用することができる。具体的には、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノパレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤のうち、過酸化水素、過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩が好ましく、過硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩が最も好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよく、2種以上を混合して使用されてもよい。
上記製造方法においては、必要に応じ、重合に悪影響を及ぼさない範囲内で、重合体の分子量調整剤として連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を使用すると、製造される重合体が必要以上に高分子量化することを抑制し、低分子量のアミノ基含有重合体を効率よく製造することができるという利点がある。
上記連鎖移動剤として具体的には、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン際、3−メルカプトプロピオン際、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、チオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、低級酸化物及びその塩等が挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもよく、2種以上を混合して使用されてもよい。
上記塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が好適である。
上記金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属の塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属の塩;アルミニウム塩、鉄塩等の重金属の塩等が好ましい。
また有機アンモニウム塩(有機アミン塩)としては、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミンの塩、トリエチルアミン塩等が好適である。
よって、本発明で好ましく使用される亜硫酸(塩)としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム等が挙げられ、亜硫酸水素ナトリウムが特に好適である。上記亜硫酸(塩)は、単独で使用されてもよく、2種以上を混合して使用されてもよい。
上記製造方法においては、開始剤等の使用量を低減する等の目的で反応促進剤を加えてもよい。反応促進剤としては、例えば、重金属イオンが挙げられる。本発明において、重金属イオンとは、比重が4g/cm3以上の金属を意味する。
上記重金属イオンを構成する重金属としては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等が好ましい。これらの重金属は1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、鉄がより好ましい。
上記重金属イオンのイオン価は特に限定されるものではなく、例えば、重金属として鉄が用いられる場合、開始剤における鉄イオンとしては、Fe2+であっても、Fe3+であってよく、これらが両方含まれていてもよい。
上記重金属イオンとして鉄を用いる場合、モール塩(Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄等の重金属化合物等を用いることが好ましい。また、重金属イオンとしてマンガンを用いる場合、塩化マンガン等を好適に用いることができる。これらはいずれも水溶性の化合物であるため、水溶液の形態として用いることができ、取り扱い性に優れたものとなる。
なお、上記重金属化合物を溶解してなる溶液の溶媒としては、水に限定されるものではなく、本発明のアミノ基含有重合体の製造において、重合反応を妨げるものでなく、かつ、重金属化合物を溶解するものであればよい。
なお、上記重合反応完結時とは、重合反応液中において重合反応が実質的に完了し、所望する重合体が得られた時点を意味する。例えば、重合反応液中において重合された重合体が酸成分で中和される場合には、中和した後の重合反応液の全質量を基準に、重金属イオンの含有量を算出する。2種以上の重金属イオンが含まれる場合には、重金属イオンの総量が上述の範囲であればよい。
上記重合開始剤の分解触媒としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム等のハロゲン化金属;酸化チタン、二酸化ケイ素等の金属酸化物;塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の金属塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラク酸、イソラク酸、安息香酸等のカルボン酸、そのエステル及びその金属塩;ピリジン、インドール、イミダゾール、カルバゾール等の複素環アミン及びその誘導体等が挙げられる。これらの分解触媒は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記重合開始剤の使用量は、単量体の共重合を開始できる量であれば特に制限されないが、全単量体成分(単量体(A)、(B)及び(E))の総量1モルに対して、15g以下であることが好ましい。より好ましくは1〜12gである。
上記開始剤として過酸化水素を使用する場合、過酸化水素の添加量は、全単量体成分の総量1モルに対して1.0〜10.0gであることが好ましく、2.0〜8.0gであることがより好ましい。過酸化水素の添加量が1.0g未満であると、得られる重合体の重合平均分子量が高くなる傾向にある。一方、添加量が10.0gを超えると、添加量の増加に見合うだけの効果が得られなくなり、更に、残存する過酸化水素量が多くなる等の影響を及ぼす。
単量体の滴下開始までに必要所定量の10%を超える過酸化水素を添加すると、例えば過硫酸塩を併用する場合には過硫酸塩に対する過酸化水素の濃度の比率が大きくなり、重合が停止するおそれがある。一方、単量体の滴下開始から60分より遅く開始すると、過酸化水素による連鎖移動反応等が起こらなくなるため、重合初期の分子量が高くなる。
なお、単量体の滴下終了前に、これら開始剤の滴下を終了しても、重合に特に悪影響を及ぼすものではない。また、得られた重合体中の単量体の残存量に応じて開始剤の滴下終了時間を設定すればよい。
具体的な添加方法としては、反応容器に単量体成分の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体成分の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分とを反応容器内に連続してあるいは段階的に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法;反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体成分と重合開始剤の全量を添加する方法;等が挙げられる。このような方法の中でも、得られる重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができ、汚れの分散性や再汚染防止能を向上することができることから、重合開始剤と単量体成分とを反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。このような重合は、回分式でも連続式でも行うことができる。
上記製造方法において、重合温度等の重合条件は、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤等により適宜定められるが、重合温度としては、25〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、50〜150℃であり、更に好ましくは、60〜120℃であり、特に好ましくは、80〜110℃である。重合温度が低すぎると、得られる重合体の重量平均分子量が高くなり過ぎるおそれや、不純物の生成量が増加するおそれがある。
本発明のアミノ基含有重合体(又はアミノ基含有重合体組成物)は、凝固剤、凝集剤、印刷インク、接着剤、土壌調整(改質)剤、難燃剤、スキンケア剤、ヘアケア剤、シャンプー・ヘアースプレー・石鹸・化粧品用添加剤、アニオン交換樹脂、繊維・写真用フィルムの染料媒染剤や助剤、製紙における顔料展着剤、紙力増強剤、乳化剤、防腐剤、織物・紙の柔軟剤、潤滑油の添加剤、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤添加剤、スケール防止剤(スケール抑制剤)、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤等として用いることができる。中でも、上述したように、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤用ビルダー、洗剤組成物に用いることが好ましい。すなわち、上記アミノ基含有重合体を含む、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤ビルダー、及び、洗剤組成物もまた、本発明の好適な実施形態に含まれる。
以下では、アミノ基含有重合体を含む上記各用途について、更に説明する。
本発明のアミノ基含有重合体(又はアミノ基含有重合体組成物)は、水処理剤に用いることができる。
上記水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を含んでもよい。
上記水処理剤は、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に有用である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでもよい。
本発明のアミノ基含有重合体(又はアミノ基含有重合体組成物)はまた、繊維処理剤に用いることができる。
上記繊維処理剤における本発明のアミノ基含有重合体の含有量は、繊維処理剤全体100質量%に対して、好ましくは1〜100質量%であり、より好ましくは5〜100質量%である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
上記繊維処理剤は、繊維処理における精錬、染色、漂白、ソーピングの工程で使用することができる。
上記アミノ基含有重合体と、染色剤、過酸化物及び界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとの配合比率は、例えば、繊維の白色度、色むら、染色けんろう度の向上のためには、繊維処理剤純分換算で、本発明の重合体1重量部に対して、染色剤、過酸化物及び界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを0.1〜100重量部とすることが好ましい。
上記繊維処理剤を精錬工程に適用する場合は、本発明の重合体と、アルカリ剤及び界面活性剤とを配合することが好ましい。漂白工程に適用する場合には、本発明の重合体と、過酸化物と、アルカリ性漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナトリウム等の珪酸系薬剤とを配合することが好ましい。
本発明のアミノ基含有重合体(又はアミノ基含有重合体組成物)はまた、分散剤に用いることができる。分散剤の中でも、無機顔料分散剤に用いることが好適である。
上記無機顔料分散剤には、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸及びその塩、ホスホン酸及びその塩、ポリビニルアルコールを含んでもよい。
上記無機顔料分散剤中における、本発明のアミノ基含有重合体の含有量は、無機顔料分散剤全体100質量%に対して、好ましくは5〜100質量%である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
本発明のアミノ基含有重合体(又はアミノ基含有重合体組成物)はまた、洗剤ビルダーとして用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用及び自動車用等、様々な用途の洗剤に添加されて使用され得る。
本発明のアミノ基含有重合体(又はアミノ基含有重合体組成物)はまた、洗剤組成物にも添加しうる。すなわち、上記アミノ基含有重合体は、洗剤組成物への添加剤(洗剤添加剤とも称す)として用いることができる。また、上記アミノ基含有重合体を含む洗剤組成物は、本発明の1つである。
上記洗剤組成物における上記アミノ基含有重合体の含有量は特に制限されない。ただし、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、上記アミノ基含有重合体の含有量は、洗剤組成物の全量100質量%に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、更に好ましくは0.5〜5質量%である。
なお、洗剤組成物の概念には、家庭用洗剤の合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤、硬質表面洗浄剤の他、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含まれる。
上記両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。これらのカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基及びアルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記他の洗剤ビルダーとしては、特に制限されないが、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩等のアルカリビルダーや、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ボウ硝、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、クエン酸塩、(メタ)アクリル酸の共重合体塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体、フマル酸塩、ゼオライト等のキレートビルダー、カルボキシメチルセルロース等の多糖類のカルボキシル誘導体等が挙げられる。
上記ビルダーに用いられる対塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニウム、アミン等が挙げられる。
なお、カオリン濁度は、例えば、下記方法により測定することができる。
<カオリン濁度の測定方法>
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTubidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
上記アルカリビルダーとしては、珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩等が好適である。上記キレートビルダーとしては、ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、STPP(トリポリリン酸ナトリウム)、クエン酸等が好適である。本発明の重合体以外のその他の水溶性ポリカルボン酸系ポリマーを用いてもよい。
上記洗剤組成物は、分散能に優れ、更に、長期間保存した場合の性能低下や低温で保持した場合の不純物析出等が生じにくい極めて高品質剤性能で安定性に優れた洗剤とすることができる。
また、単量体や反応中間体の定量及び各種物性値の測定は、以下の方法により行った。
装置:日立製作所社製 L−7000シリーズ
検出器:HITACHI RI Detector L−7490
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ、GF−710−HQ、GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:ジーエルサイエンス社製 POLYETHYLENE GLYCOL STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)
単量体の定量は、特に言及した場合を除き、下記条件にて高速クロマトグラフィーを用いて行った。
測定装置:東ソー社製 8020シリーズ
カラム:資生堂社製 CAPCELL PAK C1 UG120
温度:40.0℃
溶離液:10mmol/Lリン酸水素二ナトリウム・12水和物水溶液
(リン酸でpH7に調整)/アセトニトリル=45/55(体積比)
流速:1.0ml/min
検出器:RI、UV(検出波長:215nm)
窒素雰囲気下、130℃に加熱したオーブンで、本発明のアミノ基含有重合体を含む重合体組成物1.0gに水1.0gを加えたものを1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の質量変化から、固形分(%)と揮発成分(%)とを算出した。
還流冷却器、攪拌機、及び、窒素導入管を備えた容量1000mLのガラス製4つ口フラスコに、ジエタノールアミン(以下、DEAと称す。)315.4gを仕込み、窒素導入、及び、攪拌しながら、液温を50℃に調整した。次に、攪拌しながら、アリルグリシジルエーテル(以下、AGEと称す。)349.3gをゆっくりと2時間かけて滴下した。液温は50℃〜60℃を保持した。滴下終了後、更に、2時間、液温60℃で熟成して、純水664.7gを加えて50%水溶液としたものを単量体(1)水溶液として得た。
反応の進行は液体クロマトグラフィー及び1HNMRで確認した。
還流冷却器、攪拌機、及び、窒素導入管を備えた容量2000mLのガラス製4つ口フラスコに、純水491.0g、及び、ジn−ブチルアミン(以下、DBAと称す。)258.0gを仕込み、窒素導入、及び、攪拌しながら、液温を50℃に調整した。次に、攪拌しながら、AGE232.8gをゆっくりと2時間かけて滴下した。液温は50℃〜60℃を保持した。滴下終了後、更に、2時間、液温60℃で熟成した。室温まで冷却した後、分液ロートに移し、静置すると2層に分離するので、下層の水層を廃棄した。更に、上層に純水を加えて洗浄した。これをナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで水分を完全に除去することにより、単量体(2)を得た。
反応の進行は液体クロマトグラフィー及び1HNMRで確認した。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水150.0g、及び、モール塩0.0046gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、90℃に保持された重合反応系中に、アクリル酸ヒドロキシエチル(以下、HEAと称す。)200.0g、単量体(1)水溶液100.0g、15%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと称す。)52.1g、35%亜硫酸水素ナトリウム(以下、35%SBSと称す。)44.6g、及び、純水108.1gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。
各溶液の滴下開始は同時とし、各溶液の滴下時間は、HEAについては120分間、単量体(1)については60分間、15%NaPSについては130分間、35%SBSについては120分間、及び、純水については120分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。このようにして、固形分濃度44%の共重合体(1)を含む水溶液(重合体組成物(1))を得た。
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量1000mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水150.0g、及び、モール塩0.0045gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、90℃に保持された重合反応系中に、アクリル酸ジメチルアミノエチル(以下、DAAと称す。)200.0g、単量体(2)50.0g、15%NaPSを43.4g、及び、純水115.1gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。
各溶液の滴下開始は同時とし、各溶液の滴下時間は、DAAについては120分間、単量体(1)については60分間、15%NaPSについては130分間、及び、純水については120分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。15%NaPSの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。このようにして、固形分濃度44%の共重合体(2)を含む水溶液(重合体組成物(2))を得た。
還流冷却器、温度計、攪拌機を備えたガラス製の100mlセパラブルフラスコにポリエチレンイミン(Mw9500、Mn6500;以下、PEIと称す。)を40g仕込み、攪拌しながらデナコールEX−121(ナガセケムテックス社製、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(以下、2EHGHと称す))10gを加えた。この重合体混合物を攪拌下60℃に昇温して4時間反応させ、比較重合体(1)を得た。比較重合体(1)は、水に対して任意の割合で完全に溶解し、しかも、D2O中のNMRスペクトル測定において、3.5ppm付近にエポキシ環が開環して生ずるメチンプロトン由来のシグナルが検出されたことから、その生成が確認された。
重合体組成物(1)、(2)の液体クロマトグラフィーによる測定の結果、残存単量体は1000ppm以下であり、仕込量どおりの組成の重合体が得られたことが確認できた。
実施例1で得た共重合体(1)、実施例2で得た共重合体(2)、及び、比較例1で得た比較共重合体(1)の各々について、以下のようにして界面活性剤との相溶性を評価した。
<界面活性剤との相溶性>
試験サンプル(重合体組成物)を含む洗剤組成物を下記の配合で調製した。
・SFT−70H(日本触媒社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル);40g
・ネオペレックスF−65(花王社製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム);7.7g(有効成分5g)
・コータミン86W(花王社製、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド);17.9g(有効成分5g)
・ジエタノールアミン;5g
・エタノール;5g
・プロピレングリコール;5g
・試験サンプル(固形分換算);1.5g
・イオン交換水;バランス(イオン交換水の量は、試験サンプルの量を実際の使用量として、上記全合計が100gとなるように適宜調整する。)
各成分が均一になる様に充分に攪拌し、25℃での濁度値を、濁度計(日本電色社製「NDH2000」)を用い、Turbidity(カオリン濁度:mg/l)で測定した。このカオリン濁度に基づいて、以下の基準で評価した。
○:カオリン濁度が0以上、50未満(mg/l)であり、目視で分離、沈殿又は白濁していない。
△:カオリン濁度が50以上、200未満(mg/l)であり、目視で僅かに白濁している。
×:カオリン濁度が200以上(mg/l)であり、目視で白濁している。
実施例1で得た共重合体(1)、実施例2で得た共重合体(2)、及び、比較例1で得た比較共重合体(1)の各々について、以下のようにして再汚染防止能を評価した。結果を表1に示す。
再汚染防止能試験は、下記の手順に従って行った。
(1)Test fabric社より入手したポリエステル布を5cm×5cmに切断し、白布を作成した。この白布を予め日本電色工業社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定した。
(2)塩化カルシウム2水和物1.1gに純水を加えて15kgとし、硬水を調製した。
(3)ポリオキシエチレン(20)ラウリルエーテル4.0gに、純水を加えて、100.0gとし、界面活性剤水溶液を調製した。pHは、水酸化ナトリウムで8.5に調整した。
(4)ターゴットメーターを25℃にセットし、硬水1L、界面活性剤水溶液5g、固形分換算で5%の重合体水溶液1g、及び、カーボンブラック1.0gをポットに入れ、150rpmで1分間撹拌した。その後、白布5枚を入れ、100rpmで10分間撹拌した。
(5)手で白布の水を切り、25℃にした水道水1Lをポットに入れ、100rpmで2分間撹拌した。
(6)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて再度白布の白度を反射率にて測定した。
(7)以上の測定結果から下式により再汚染防止率を求めた。
再汚染防止率(%)=(洗浄後の白色度)/(原白布の白色度)×100。
Claims (4)
- 単量体(A)に由来する構造単位(a)と、単量体(B)に由来する構造単位(b)とを含むアミノ基含有重合体であって、
該単量体(A)は、下記一般式(1)で表されるアミノ基含有単量体であり、
該単量体(B)は、単量体(B−1)及び/又は単量体(B−2)であり、
該単量体(B−1)は、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体であり、
該単量体(B−2)は、アミノアルキル(メタ)アクリレート類であり、
該アミノ基含有重合体は、該アミノ基含有重合体を形成する全単量体に由来する構造単位の総量100質量%に対して、構造単位(a)を15〜70質量%、構造単位(b)を30〜85質量%含み、かつ単量体(A)及び(B)以外のその他の単量体(E)に由来する構造単位(e)の含有量は0〜20質量%であり、
該アミノ基含有重合体の重量平均分子量は、6万以下であることを特徴とするアミノ基含有重合体(但し、後述するアミノ基含有共重合体(X)を除く。)。
アミノ基含有共重合体(X):全単量体由来の構造100質量%に対して1質量%以上50質量%以下の下記一般式(A1)〜(A2)で表される構造を有する単量体若しくはこれらの単量体のアミノ基を4級化した単量体から選ばれるアミノ基含有単量体に由来する構造、全単量体由来の構造100質量%に対して9質量%以上98質量%以下のカルボキシル基含有単量体由来の構造単位、及び、全単量体由来の構造100質量%に対して1質量%以上90質量%以下の下記式(P1)、(P2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体から選ばれる1種以上の単量体由来の構造単位、を必須構成単位として有する共重合体。
- 前記アミノ基含有重合体は、以下の測定方法により求められる再汚染防止率が75%以上であることを特徴とする請求項1に記載のアミノ基含有重合体。
<再汚染防止能試験>
(1)Test fabric社より入手したポリエステル布を5cm×5cmに切断し、白布を作成する。この白布を予め日本電色工業社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定する。
(2)塩化カルシウム2水和物1.1gに純水を加えて15kgとし、硬水を調製する。
(3)ポリオキシエチレン(20)ラウリルエーテル4.0gに、純水を加えて、100.0gとし、界面活性剤水溶液を調製する。pHは、水酸化ナトリウムで8.5に調整する。
(4)ターゴットメーターを25℃にセットし、硬水1L、界面活性剤水溶液5g、固形分換算で5%の重合体水溶液1g、及び、カーボンブラック1.0gをポットに入れ、150rpmで1分間撹拌する。その後、白布5枚を入れ、100rpmで10分間撹拌する。
(5)手で白布の水を切り、25℃にした水道水1Lをポットに入れ、100rpmで2分間撹拌する。
(6)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、前記測色色差計にて再度白布の白度を反射率にて測定する。
(7)以上の測定結果から下式により再汚染防止率を求める。
再汚染防止率(%)=(洗浄後の白色度)/(原白布の白色度)×100。 - 単量体(A)と単量体(B)とを重合させる工程を含むアミノ基含有重合体の製造方法であって、
該単量体(A)は、下記一般式(1)で表されるアミノ基含有単量体であり、
該単量体(B)は、単量体(B−1)及び/又は単量体(B−2)であり、
該単量体(B−1)は、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル系単量体であり、
該単量体(B−2)は、アミノアルキル(メタ)アクリレート類であり、
該製造方法は、使用する全単量体の総量100質量%に対し、単量体(A)を15〜70質量%、単量体(B)を30〜85質量%使用し、かつ単量体(A)及び(B)以外のその他の単量体(E)の使用量は0〜20質量%であり、
該アミノ基含有重合体の重量平均分子量は、6万以下であることを特徴とするアミノ基含有重合体の製造方法(但し、後述するアミノ基含有共重合体(X)の製造方法を除く。)。
アミノ基含有共重合体(X)の製造方法:全単量体100質量%に対して1質量%以上50質量%以下の下記一般式(A1)〜(A2)で表される構造を有する単量体若しくはこれらの単量体のアミノ基を4級化した単量体から選ばれるアミノ基含有単量体から選ばれる1種以上の単量体、全単量体100質量%に対して9質量%以上98質量%以下のカルボキシル基含有単量体、及び、全単量体100質量%に対して1質量%以上90質量%以下の下記式(P1)、(P2)で表されるポリアルキレングリコール鎖含有単量体から選ばれる1種以上の単量体、を必須として共重合する方法。
- 請求項1又は2に記載のアミノ基含有重合体を含むことを特徴とする洗剤組成物。
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