JP2020083926A - ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2020083926A
JP2020083926A JP2018215216A JP2018215216A JP2020083926A JP 2020083926 A JP2020083926 A JP 2020083926A JP 2018215216 A JP2018215216 A JP 2018215216A JP 2018215216 A JP2018215216 A JP 2018215216A JP 2020083926 A JP2020083926 A JP 2020083926A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
film
density
density polyethylene
mfr
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018215216A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7176366B2 (ja
Inventor
啓朗 福井
Hiroaki Fukui
啓朗 福井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Polypropylene Corp
Original Assignee
Japan Polypropylene Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Polypropylene Corp filed Critical Japan Polypropylene Corp
Priority to JP2018215216A priority Critical patent/JP7176366B2/ja
Publication of JP2020083926A publication Critical patent/JP2020083926A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7176366B2 publication Critical patent/JP7176366B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】外観欠点であるフィッシュアイの抑制と、優れたマット調付与と、耐寒衝撃性を同時に成し得る樹脂組成物を提供する。【解決手段】特定のスチレン系エラストマー樹脂(a)と、特定の高密度ポリエチレン樹脂(b)、特定の高密度ポリエチレン樹脂(c)と、特定の低密度ポリエチレン樹脂(d)との各成分を配合してなり、各々の配合割合が(a)/(b)/(c)/(d)=14〜50/20〜34/20〜34/10〜18(重量比;ただし、(b)≧(c)>(d)、かつ、(a)+(b)+(c)+(d)=100)であることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、高ヘイズと外観欠点抑制と耐寒衝撃性とが高バランス化されたマット調ポリプロピレン系フィルムに適した樹脂組成物に関する。
フィルム用材料として汎用されているポリプロピレン樹脂であるが、近年では、フィルム適用範囲の拡大に伴う、剛性、透明性、表面形状など、各々の用途に応じたフィルムへの要求特性を満たすために、その原料となるポリプロピレン樹脂にも高機能化・高バランス化が求められている。
その一つに、フィッシュアイと呼ばれる外観欠点が極力無く、かつ、高いヘイズ値で粗面化された表面形状を有するマット調フィルムがある。用途としては、例えば、その外観を活かした意匠性に優れた包装材料や、その表面形状を活かした粘着フィルムの非粘着面用材料などが挙げられる。
かかるフィルムを得る手段の一つとして、フィルム表面に対して艶消し印刷を行うことや、和紙の様な外観の材料をラミネートすることなどが挙げられる。しかし、環境保護や生産性向上の観点からは、包装材の軽量化や工程の簡素化は喫緊の課題であり、従来の包装材としての特性を損なうことがなく、フィルム単体でマットな外観を有することが好ましい。
フィルム単体でマットな外観を有するためには、高ヘイズ、かつ、粗面性を発現できる樹脂組成物を用いることが重要である。
この様な樹脂組成物を得る方法の例として、ポリプロピレン樹脂に対してシリカ、タルク、炭酸カルシウムといった無機微粒子を配合する方法がある。
また、無機粒子に頼らない方法として、特定のポリプロピレン系樹脂組成物、所謂プロピレン−エチレンブロック共重合体を用いる方法(例えば、特許文献1、2を参照。)や、ポリプロピレン樹脂に対して高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンを配合する方法(例えば、特許文献3、4、5を参照。)が提案されている。
しかし、いずれの方法においても、高ヘイズを得るためには、フィッシュアイの増加やフィルム剛性を始めとする物性への影響を避けることができない。したがって、年々厳しくなる市場からの外観欠点抑制の要求に応えるためにも、これまでに無い高いレベルでの高機能化・高バランス化がなされた樹脂材料の登場が望まれていた。
特開2011−184683号公報 特開2011−252081号公報 特開平7−233291号公報 特開2003−213069号公報 特開2011−194588号公報
本発明は、不規則な凹凸の存在により表面が荒れており、かつ、高ヘイズなために優れたマット感が得られるのみならず、フィッシュアイの様な外観不良を生起することなく、低温下での外的要因によるフィルム破壊に対しての高い耐性などに押しなべて優れる、マット調ポリプロピレン系フィルムに適した樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、前述の特性を併せ持つポリプロピレン系フィルムを得るべく、鋭意研究した。その結果、特定のスチレン系エラストマー樹脂と、特定のポリエチレン樹脂を配合することで得られるポリオレフィン樹脂組成物をもってして、上記目的を達成し得ることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
本発明は、各々特定の範囲で設定されたスチレン系エラストマー樹脂(a)と、高密度ポリエチレン樹脂(b)と、高密度ポリエチレン樹脂(c)と、低密度ポリエチレン樹脂(d)とを配合してなるポリオレフィン樹脂組成物(X)を得ることを、本発明の主要な特徴とするものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記(a)〜(d)の各成分を配合してなり、各々の配合割合が(a)/(b)/(c)/(d)=14〜50/20〜34/20〜34/10〜18(重量比;ただし、(b)≧(c)>(d)、かつ、(a)+(b)+(c)+(d)=100)であることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物(X)が提供される。
・スチレン系エラストマー樹脂(a):密度が0.880〜0.910g/cmであり、メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が1.0〜20.0g/10分であること。
・高密度ポリエチレン樹脂(b):密度が0.935〜0.970g/cmであり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.1〜1.0g/10分であること。
・高密度ポリエチレン樹脂(c):密度が0.935〜0.970g/cmであり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.01g/分以上0.1g/10分未満であること。
・低密度ポリエチレン樹脂(d):密度が0.910g/cm以上0.935g/cm未満であり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.05〜0.5g/10分であること。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明に係るポリオレフィン樹脂組成物(X)と、ポリプロピレン樹脂(Y)を配合してなり、各々の配合割合が(X)/(Y)=5〜49/95〜51(重量比;ただし、(X)+(Y)=100)であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物から形成され、厚み30μmにおける全ヘイズが50%以上であり、かつ、長辺0.2mm以上のフィッシュアイの数が、1m当たりで5個以下であることを特徴とする単層フィルムが提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第2の発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物から形成され、厚み30μmにおける0℃での耐寒衝撃性が5kJ/m以上であることを特徴とする単層フィルムが提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第2の発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物から形成された層を少なくとも1層備えることを特徴とする多層フィルムが提供される。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)を配合し得られたフィルムは、不規則な凹凸の存在により表面が荒れており、かつ、高ヘイズなために優れたマット感が得られるのみならず、フィッシュアイの様な外観不良を生起することなく、低温下での外的要因によるフィルム破壊に対しての高い耐性などに押しなべて優れるという、従来には見られなかった格別の効果を発現するものである。

本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)は、前記(a)〜(d)の要件を満たす各成分を、特定の割合で配合してなることを特徴とする。さらに、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、前記(X)、(Y)の各成分を、特定の割合で配合してなることを特徴とする。以下に、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)及びポリプロピレン系樹脂組成物を構成する各成分について、詳細に説明する。
[構成成分]
1.スチレン系エラストマー樹脂(a)
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いるスチレン系エラストマー樹脂(a)は、スチレン系のものであれば特に限定されるものではない。
具体的には、スチレン−ブタジエン−スチレン型、スチレン−イソプレン−スチレン型、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン型、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン型、及びポリスチレンとビニル−ポリイソプレンの結合型、ポリスチレンと水添ビニル−ポリイソプレンの結合型などのポリスチレンブロックとゴム中間ブロックを持つブロック共重合体であるスチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンゴム、水添スチレン−ブタジエンゴム及びスチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン結晶ブロックコポリマー並びにこれらの任意の混合ゴムなどを挙げることができる。なお、このようなスチレン系エラストマー樹脂は1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
特に、樹脂(a)を選定するに当たってポリプロピレンとの親和性を重要視する場合は、ビニル基比率が高く、かつ、水素添加して得られるスチレン系エラストマー樹脂が好ましく、これら樹脂としては、クラレ(株)製「HAYBRAR;7000シリーズ」や、旭化成(株)製「TUFTEC」、JSR(株)製「DYNARON;1320P、1321P、2324P」などの商品を例として挙げることができる。
(1)スチレン系エラストマー樹脂(a)の密度
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いるスチレン系エラストマー樹脂(a)の密度は、0.880〜0.910g/cmであることが必要であり、さらには0.885〜0.905g/cmであることが好ましい。
密度(a)が本発明の範囲であれば、配合する(b)、(c)、(d)の各樹脂との密度差が最小限に抑えつつ、ポリプロピレンと近い密度となるため、ポリオレフィン樹脂組成物(X)とポリプロピレン樹脂(Y)を配合した際に相溶化剤としての効果が期待できる。
なお、密度は、JIS K7112:1999によるD法(密度こうばい管法)で測定する値である。
(2)スチレン系エラストマー樹脂(a)のMFR
スチレン系エラストマー樹脂(a)の230℃、2.16kg荷重でのMFR(a)は、1.0〜20.0g/10分であることが必要であり、さらには2.0〜15.0g/10分であることが好ましい。
MFR(a)が1.0g/10分以上であれば、得られたポリオレフィン樹脂組成物(X)の粘度が低下しすぎることはなく、造粒又はフィルム成形における押出し負荷を低減することが可能となり、優れた生産性を確保することができる。また、MFR(a)が20.0g/10分以下であれば、配合する(b)、(c)、(d)の各樹脂との溶融時の粘度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
なお、これらスチレン系エラストマー樹脂(a)の入手方法は、市販の樹脂を利用できる。
2.高密度ポリエチレン樹脂(b)
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる高密度ポリエチレン樹脂(b)は、エチレン単独重合体又はエチレン−α−オレフィン共重合体である。主成分であるエチレンとの共重合成分(副成分)であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはプロピレン又は1−ブテンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。さらには、エチレン単独重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体のこれら重合体の2種以上のブレンド物を用いることもできる。
(1)高密度ポリエチレン樹脂(b)の密度
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる高密度ポリエチレン樹脂(b)の密度(b)は、0.935〜0.970g/cmであることが必要であり、さらには0.940〜0.965g/cmであることが好ましい。
密度(b)が0.935g/cm以上であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な高ヘイズ発現効果を付与することができる。また、密度(b)が0.970g/cm以下であれば、配合する(a)、(c)、(d)の各樹脂との密度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
なお、密度(b)は、主としてエチレンと共重合する炭素数3〜20のα−オレフィンとの量比等で調整できる。ここで、密度は、JIS K7112:1999によるD法(密度こうばい管法)で測定する値である。
(2)高密度ポリエチレン樹脂(b)のMFR
高密度ポリエチレン樹脂(b)の190℃、2.16kg荷重でのMFR(b)は、0.1〜1.0g/10分であることが必要であり、さらには0.2〜0.8g/10分であることが好ましい。
MFR(b)が0.1g/10分以上であれば、配合する(a)、(c)、(d)の各樹脂との溶融時の粘度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。また、MFR(b)が1.0g/10分以下であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。
なお、これら高密度ポリエチレン樹脂(b)の入手方法は、市販の樹脂を利用できる。
3.高密度ポリエチレン樹脂(c)
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる高密度ポリエチレン樹脂(c)は、エチレン単独重合体又はエチレン−α−オレフィン共重合体である。主成分であるエチレンとの共重合成分(副成分)であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはプロピレン又は1−ブテンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。さらには、エチレン単独重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体のこれら重合体の2種以上のブレンド物を用いることもできる。
(1)高密度ポリエチレン樹脂(c)の密度
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる高密度ポリエチレン樹脂(c)の密度(c)は、0.935〜0.970g/cmであることが必要であり、さらには0.940〜0.965g/cmであることが好ましい。
密度(c)が0.935g/cm以上であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な高ヘイズ発現効果を付与することができる。また、密度(c)が0.970g/cm以下であれば、配合する(a)、(b)、(d)の各樹脂との密度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
なお、密度(c)は、主としてエチレンと共重合する炭素数3〜20のα−オレフィンとの量比等で調整できる。ここで、密度は、JIS K7112:1999によるD法(密度こうばい管法)で測定する値である。
(2)高密度ポリエチレン樹脂(c)のMFR
高密度ポリエチレン樹脂(c)の190℃、2.16kg荷重でのMFR(c)は、0.01g/10分以上0.1g/10分未満であることが必要であり、さらには0.02〜0.09g/10分であることが好ましい。
MFR(c)が0.01g/10分以上であれば、配合する(a)、(b)、(d)の各樹脂との溶融時の粘度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。また、MFR(c)が0.1g/10分未満であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。
なお、これら高密度ポリエチレン樹脂(c)の入手方法は、市販の樹脂を利用できる。
4.低密度ポリエチレン樹脂(d)
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる低密度ポリエチレン樹脂(d)は、高圧法のエチレン単独重合体又はエチレン−α−オレフィン共重合体である。主成分であるエチレンとの共重合成分(副成分)であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはプロピレン又は1−ブテンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。さらには、エチレン単独重合体及びエチレン−α−オレフィン共重合体のこれら重合体の2種以上のブレンド物を用いることもできる。
(1)低密度ポリエチレン樹脂(d)の密度
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる低密度ポリエチレン樹脂(d)の密度(d)は、0.910g/cm以上0.935g/cm未満であることが必要であり、さらには0.915〜0.930g/cmであることが好ましい。
密度(d)が0.910g/cm以上であれば、高密度ポリエチレン樹脂(b)及び(c)との密度差が大きくなりすぎることがなく、また、密度(d)が0.935g/cm未満であれば、スチレン系エラストマー樹脂(a)との密度差が大きくなりすぎることがないため、配合する(a)、(b)、(c)の各樹脂との密度差を緩和し、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
なお、密度(d)は、主としてエチレンと共重合する炭素数3〜20のα−オレフィンとの量比等で調整できる。ここで、密度は、JIS K7112:1999によるD法(密度こうばい管法)で測定する値である。
(2)低密度ポリエチレン樹脂(d)のMFR
低密度ポリエチレン樹脂(d)の190℃、2.16kg荷重でのMFR(d)は、0.05〜0.5g/10分であることが必要であり、さらには0.06〜0.45g/10分であることが好ましい。
MFR(d)が0.05g/10分以上であれば、配合する(a)、(b)、(c)の各樹脂との溶融時の粘度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。また、MFR(d)が0.5g/10分以下であれば、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。
なお、これら低密度ポリエチレン樹脂(d)の入手方法は、市販の樹脂を利用できる。
6.ポリオレフィン樹脂組成物(X)中の(a)、(b)、(c)、(d)の割合
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)は、スチレン系エラストマー樹脂(a)、高密度ポリエチレン樹脂(b)、高密度ポリエチレン樹脂(c)、低密度ポリエチレン樹脂(d)の各成分を配合してなる。その配合割合は(a)/(b)/(c)/(d)=14〜50/20〜34/20〜34/10〜18(重量比;ただし、(b)≧(c)>(d)、かつ、(a)+(b)+(c)+(d)=100)であることが必要であり、19〜45/22〜32/22〜32/11〜17であることが好ましい。スチレン系エラストマー樹脂(a)の配合割合を14重量%以上とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)とポリプロピレン樹脂(Y)とのブレンド時において、ポリオレフィン樹脂組成物(X)のポリプロピレン樹脂(Y)に対する相溶性を確保することができる。また、スチレン系エラストマー樹脂(a)の配合割合を50重量%以下とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。
高密度ポリエチレン樹脂(b)の配合割合を20重量%以上とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。また、高密度ポリエチレン樹脂(b)の配合割合を34重量%以下とすることで、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
高密度ポリエチレン樹脂(c)の配合割合を20重量%以上とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化の発現効果を付与することができる。また、高密度ポリエチレン樹脂(c)の配合割合を34重量%以下とすることで、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
低密度ポリエチレン樹脂(d)の配合割合を10重量%以上とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)を含む成形品において、均一に粗面化された表面を得ることができる。また、低密度ポリエチレン樹脂(d)の配合割合を18重量%以下とすることで、ポリオレフィン樹脂組成物(X)に十分な粗面化発現効果を付与することができる。
7.ポリプロピレン樹脂(Y)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いるポリプロピレン樹脂(Y)は、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)と共に配合して用いることのできるポリプロピレン樹脂であり、好ましくはプロピレン単独重合体又はα−オレフィン含有量が2重量%未満のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体であり、より好ましくはプロピレン単独重合体である。プロピレンとの共重合成分であるα−オレフィンは1種又は2種以上の組み合わせでもよい。α−オレフィンは、好ましくはエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィン、より好ましくはエチレン又は炭素数4〜10のα−オレフィン、さらに好ましくはエチレン又は1−ブテンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等を挙げることができる。さらには、プロピレン単独重合体及びプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のこれら重合体の2種以上のブレンド物を用いることもできる。
(1)ポリプロピレン樹脂(Y)の融点
ポリプロピレン樹脂(Y)の融点は、特に制限はないが、115〜170℃であることが好ましく、さらには120〜165℃であることが好ましい。
融点が115℃以上であれば、十分な耐熱性や剛性を有したフィルムを得ることができる。また、融点が170℃以下であれば、フィルム押出し成形時の溶融温度を過度に高くする必要がないため、樹脂劣化物の発生を抑制することが可能となり、優れた品質安定性を確保することができる。
(2)ポリプロピレン樹脂(Y)のMFR
ポリプロピレン樹脂(Y)の230℃、2.16kg荷重でのMFR(Y)は、特に制限はないが、フィルムの押出し成形に適した範囲として、2.0〜20.0g/10分であることが好ましく、さらには5.0〜15.0g/10分であることが好ましい。
MFR(Y)が2.0g/10分以上であれば、フィルム成形における押出し負荷を低減することが可能となり、優れた生産性を確保することができる。また、MFR(Y)が20.0g/10分以下であれば、配合するポリオレフィン樹脂組成物(X)との溶融時の粘度差が大きくなりすぎることはなく、フィッシュアイの原因であるポリマーゲルの発生を抑制することができる。
なお、これらポリプロピレン樹脂(Y)の入手方法は、市販の樹脂を利用するほか、各種公知のプロピレン重合用触媒を用いて公知の重合方法によって製造されたものが利用できる。ポリプロピレン樹脂(Y)の製造方法については、特に制限はなく、従来公知のスラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等のいずれの重合方法でも製造可能であり、また、MFRが2.0〜20.0g/10分の範囲内であれば、多段重合法を利用して製造することも可能である。
8.ポリプロピレン系樹脂組成物中の(X)、(Y)の割合
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)と、ポリプロピレン樹脂(Y)を配合してなり、各々の配合割合が(X)/(Y)=5〜49/95〜51(重量比;ただし、(X)+(Y)=100)であることが必要であり、(X)/(Y)=10〜45/90〜65であることが好ましく、さらには、(X)/(Y)=15〜40/85〜60であることがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物(X)の配合割合を5重量%以上とすることで、高いヘイズ値で、かつ、高い表面粗度のフィルムを得ることができる。また、ポリオレフィン樹脂組成物(X)の配合割合を49重量%以下とすることで、十分な耐寒衝撃性を有したフィルムを得ることができる。
[その他成分]
9.その他成分
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)においては、本発明の効果を損なわない範囲内で、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる各種成分とは組成の異なるプロピレン−エチレンブロック共重合体やプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体などのポリプロピレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、オレフィン系エラストマー、又はスチレン系エラストマーなどを、適宜配合してもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、臭気吸着剤、抗菌剤、顔料、無機質及び有機質の充填剤並びに種々の合成樹脂などの公知の添加剤を必要に応じて随時添加することができる。
[ポリオレフィン樹脂組成物(X)の製造法]
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)は、スチレン系エラストマー樹脂(a)、高密度ポリエチレン樹脂(b)、高密度ポリエチレン樹脂(c)、低密度ポリエチレン樹脂(d)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどを、ヘンシェルミキサー(商品名)、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどに投入して混合し均一化した後に、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサーなどの混練機により190〜260℃の温度範囲で溶融混練してペレット化する方法によりペレット状のポリオレフィン樹脂組成物(X)として得られることを例示できる。
[ポリプロピレン系樹脂組成物の製造法]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)とポリプロピレン樹脂(Y)を配合してなる樹脂組成物であり、好ましい製造法の態様として、(1)ポリオレフィン樹脂組成物(X)、ポリプロピレン樹脂(Y)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどを、ヘンシェルミキサー(商品名)、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどに投入して混合し均一化した後に、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサーなどの混練機により190〜260℃の温度範囲で溶融混練してペレット化する方法(溶融ブレンド法)、(2)ペレット状のポリオレフィン樹脂組成物(X)、ペレット状のポリプロピレン樹脂(Y)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどをペレット状の形態にて、ヘンシェルミキサー(商品名)、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどに投入して混合し均一化する方法(ドライブレンド法)、(3)ペレット状のポリオレフィン樹脂組成物(X)、ペレット状のポリプロピレン樹脂(Y)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどをペレット状の形態にて、ヘンシェルミキサー(商品名)、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどに投入して混合し均一化(ドライブレンド法)した後に、フィルム成形機に供給してフィルムとする方法(溶融ブレンド法)、(4)ペレット状のポリオレフィン樹脂組成物(X)、ペレット状のポリプロピレン樹脂(Y)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどをペレット状の形態にて、複数のホッパー又は上流にメインホッパーと下流に少なくとも一つのサイドフィード供給口とを備えたフィルム成形機の前記複数のホッパー又はメインホッパーと少なくとも一つのサイドフィード供給口とにそれぞれ投入した後に、各所定量をフィルム成形機に供給してフィルムとする方法(溶融ブレンド法)、によりそれぞれペレット状又はフィルム状のポリプロピレン系樹脂組成物として得られることを例示できる。
[フィルムの成形法]
本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)を含むポリプロピレン系樹脂組成物は、公知の溶融押出製膜法によってフィルムとして得られる。
例えば、一般に工業的に行われているTダイキャスト法による未延伸フィルム、キャスト後に熱延伸を行う一軸延伸フィルムや二軸延伸フィルム、又は水や大気雰囲気にて冷却を行うインフレーション法などの製膜方法にてフィルムの製造が可能である。
このようにして製造されるフィルムは、単層フィルムとしても多層(積層)フィルムとしても用いることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物から形成されるフィルムを製造するにあたって、スチレン系エラストマー樹脂(a)、高密度ポリエチレン樹脂(b)、高密度ポリエチレン樹脂(c)、低密度ポリエチレン樹脂(d)、及び必要に応じて、上述の[その他成分]の添加剤、その他成分の樹脂、エラストマーなどを混合し均一化した後に混練機により溶融混練してペレット化したペレット状のポリオレフィン樹脂組成物(X)と、ポリプロピレン樹脂(Y)とを配合してなるペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物を、フィルム成形機に供給してフィルムとすることが好ましい。
また、多層フィルムを製造するにあたり、多層フィルムが本発明のポリプロピレン系樹脂組成物以外の樹脂組成物から得られる層を備える場合、該層の材料としては、本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)に用いる各種成分とは組成の異なるプロピレン−エチレンブロック共重合体やプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、又はスチレン系エラストマーなどを、適宜使用することができる。
次に、本発明の単層フィルム及び多層フィルムについて詳細に説明する。本発明のフィルムは、上述のフィルム成形法に記載されるように、上述した本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)を含むポリプロピレン系樹脂組成物を溶融押出製膜して得られるフィルムであり、多層フィルムの場合、多層フィルムを構成する少なくとも1層が、上述した本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いて得られる。本発明のフィルムによれば、上述した本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いることで、不規則な凹凸の存在により表面が荒れた状態のフィルムであり、かつ、高ヘイズなため優れたマット感を有するフィルムを提供することができる。なお、本発明のフィルムが多層フィルムであり、上述した本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)を含むポリプロピレン系樹脂組成物を用いて得られる層が表層以外である場合には、表面の凹凸は小さくなることは否めないものの、この場合も同様に、深みのある高ヘイズなマット調フィルムが得られる。
具体的には、本発明の単層フィルムは、上述した本発明のポリオレフィン樹脂組成物(X)を含むポリプロピレン系樹脂組成物を溶融押出製膜して得られ、厚み30μmにおける全ヘイズが50%以上であり、かつ、長辺0.2mm以上のフィッシュアイ、より詳細にはポリマーゲルを核とする外観欠点であるフィッシュアイの数が、1m当たりで5個以下であることが好ましい。また、本発明の多層フィルムは、上述した本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を少なくとも1層に用い、溶融押出製膜して得られることが好ましい。
フィルムの厚みは、特に限定されないが5〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。
フィルムの表面には、表面の濡れ適性向上のためにコロナ又はプラズマ等の放電処理、火炎処理、オゾン処理などを行うことも可能である。
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により限定して解釈されるものではない。
[物性の測定方法]
本発明の詳細な説明及び実施例中の各項目の物性測定や分析値などは、下記の方法に従ったものである。
(1)融点(単位:℃)
示差走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融点とした。
(2)MFR(単位:g/10分)
スチレン系エラストマー樹脂及びポリプロピレン樹脂のMFRは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃ 公称荷重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.000mm
ポリエチレン樹脂及びエチレン−α−オレフィン樹脂のMFRは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Dに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:190℃ 公称荷重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.000mm
(3)フィルムのヘイズ(単位:%)
フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下にて24時間以上調整した後、JIS−K7136に準拠してヘイズ(HAZE)を測定し、これを「全ヘイズ(%)」とした。得られた値が大きいほど不透明であることを意味する。
(4)フィルムの剛性(単位:MPa)
下記の条件にて、フィルムの引張弾性率を測定し、得られた値を剛性の尺度とした。引張弾性率の計算方法は、JIS K7127に準拠した。なお、サンプル長辺がMD(フィルム押出成形時の流れ方向)となるようサンプリングを行った。
サンプル長さ:150mm サンプル幅:15mm
チャック間距離:100mm クロスヘッド速度:1mm/分
(5)フィルムのフィッシュアイ(単位:個/m
厚み30μm、MD300mm×TD(フィルム押出成形時の流れ方向の垂直方向)200mmの大きさのフィルムを用い、長辺0.2mm以上のフィッシュアイを、目視にてカウントした。フィルム10枚に対して同様の作業を行い、1枚当たりの平均フィッシュアイ個数を求めた上で、面積1m当たりのフィッシュアイ個数に算出した。
(6)フィルムの耐寒衝撃性(単位:kJ/m)
雰囲気温度0℃において、JIS P8134に準拠した装置を用い、固定したフィルム試験片を直径25.4mmの半球型の金属製貫通部で打撃させ、貫通破壊に要した仕事量(J)を測定した後、フィルム試験片の厚みで除して求めた。
(7)フィルムの表面粗度
フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下にて24時間以上調整した後、JIS B−0601に準拠して、フィルム成形時におけるダイ直後の冷却ロールとの接触面について、カットオフ0.25mmでの中心面平均値(Ra)を測定し、フィルム表面粗度の指標とした。得られた値が大きい程、フィルム表面の凹凸が大きいことを示す。
表面凹凸が大きく十分に粗面であり、深みのあるマット調を得るためには、この値が0.35以上であることが好ましく、0.37以上であることがより好ましい。また、フィルム巻取時の意図せぬ凹凸転写や空気の巻き込みを抑制するためにも、この値は0.50以下であることが好ましく、0.48以下であることがより好ましい。
[使用樹脂]
実施例及び比較例に使用した各種樹脂を以下に記す。
[スチレン系エラストマー樹脂等(a)]
a−1:JSR(株)製、商品名DYNARON(登録商標)1320P
水添スチレン−ブタジエン型エラストマー
密度 0.89g/cm、MFR(230℃、2.16kg荷重)=3.5g/10分
a−2:旭化成(株)製、商品名TUFTEC(登録商標)H1221
水添スチレン−ブタジエン型エラストマー
密度 0.89g/cm、MFR(230℃、2.16kg荷重)=4.5g/10分
a−3:日本ポリプロ(株)製、商品名ウィンテック(登録商標)、グレード名WFX4M
メタロセン触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体
密度 0.900、MFR(230℃、2.16kg荷重)=7.0g/10分
a−4:三井化学(株)製、商品名タフマー(登録商標)、グレード名XM−7080
メタロセン触媒によるプロピレン−1−ブテン共重合体
密度 0.886、MFR(230℃、2.16kg荷重)=7.0g/10分
a−5:三井化学(株)製、商品名タフマー(登録商標)、グレード名BL−2481
メタロセン触媒による1−ブテン−プロピレン共重合体
密度 0.900、MFR(230℃、2.16kg荷重)=9.0g/10分
a−6:三井化学(株)製、商品名タフマー(登録商標)、グレード名A−4085S
メタロセン触媒によるエチレン−1−ブテン共重合体
密度 0.886、MFR(230℃、2.16kg荷重)=6.7g/10分
a−7:エクソンモービル(株)製、商品名Vistamaxx(登録商標)、グレード名Vistamaxx3980FL
メタロセン触媒によるプロピレン−エチレン共重合体
密度 0.879、MFR(230℃、2.16kg荷重)=8.0g/10分
[高密度ポリエチレン樹脂(b)]
b−1:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)HD、グレード名HB530
密度 0.962g/cm、MFR(190℃、2.16kg荷重)=0.3g/10分
b−2:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)HD、グレード名HF560
密度 0.963g/cm、MFR(190℃、2.16kg荷重)=7g/10分
[高密度ポリエチレン樹脂(c)]
c−1:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)HD、グレード名HF313
密度 0.950g/cm、MFR(190℃、2.16kg荷重)=0.05g/10分
[低密度ポリエチレン樹脂(d)]
d−1:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)LD、グレード名LF128
密度 0.922g/cm、MFR(190℃、2.16kg荷重)=0.25g/10分
d−2:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテック(登録商標)LD、グレード名LF443
密度 0.924g/cm、MFR(190℃、2.16kg荷重)=1.5g/10分
[ポリプロピレン樹脂(Y)]
Y−1:日本ポリプロ(株)製、商品名ノバテック(登録商標)PP、グレード名FA3KM
チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体
融点163℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)=10g/10分
Y−2:日本ポリプロ(株)製、商品名ウィンテック(登録商標)、グレード名WFX4M
メタロセン触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体
融点125℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)=7g/10分
Y−3:日本ポリプロ(株)製、商品名ウィンテック(登録商標)、グレード名WMG03
メタロセン触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体
融点142℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)=30g/10分
実施例1〜6、比較例1〜16
[ポリオレフィン樹脂組成物(X)のペレット化]
上述のスチレン系エラストマー樹脂(a)、高密度ポリエチレン樹脂(b)、高密度ポリエチレン樹脂(c)、低密度ポリエチレン樹脂(d)の各ペレットを、表1に示した割合でタンブラーにてそれぞれ混合し均一化した後に、以下の溶融混練条件に従って35mm径の二軸押出機により230℃で溶融混練し、ポリオレフィン樹脂組成物(X)の各ペレットを得た。
[単層マット調ポリプロピレンフィルムの成形法]
得られたポリオレフィン樹脂組成物(X)と上述のポリプロピレン樹脂(Y)の各ペレットを、表1に示した割合でタンブラーにてそれぞれ混合し均一化して得られたペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物を、Tダイ成形機のホッパーへ投入し、以下のフィルム成形条件に従ってTダイ成形機にて未延伸フィルムを得た。得られた実施例1〜6、比較例1〜15の各フィルムについての物性を、前記測定法に準拠し測定した。表1にその評価結果を記載する。
また、樹脂(a)〜(d)の各樹脂と、ポリプロピレン樹脂(Y)を、表1に示した割合でタンブラーにてそれぞれ混合し均一化した後に、以下の溶融混練条件に従って35mm径の二軸押出機により230℃で溶融混練したペレットを用い、以下のフィルム成形条件に従ってTダイ成形機にて未延伸フィルムを得た。これを比較例16とした。
(溶融混練条件)
混練機:東芝機械社製35mm径同方向二軸混練機 混練温度:230℃
スクリュー回転数:250rpm フィーダー回転数:50rpm
(フィルム成形条件)
Tダイ成形機:プラコー社製35mm径単軸成形機 押出温度:240℃
ダイス幅:330mm リップ開度:0.8mm
冷却ロール温度:30℃ 引取速度:18.0〜20.0m/分
フィルム厚み:30μm
[実施例と比較例の結果の考察]
表1から明らかなように、本発明によるポリオレフィン樹脂組成物(X)とポリプロピレン樹脂(Y)を原料として用いたフィルムは、表面が荒れており、かつ、高ヘイズであると共に、外観欠点であるフィッシュアイが抑制され耐寒衝撃性にも優れたフィルムを得ることができる(実施例1〜6)。
一方で、(1)スチレン系エラストマー樹脂(a)、高密度ポリエチレン樹脂(b)、高密度ポリエチレン樹脂(c)、低密度ポリエチレン樹脂(d)のうちの少なくとも一つが、上述した要件のいずれかを満たさないポリオレフィン樹脂組成物(X)を配合したポリプロピレン系樹脂組成物である場合(比較例1〜13)、(2)ポリオレフィン樹脂組成物(X)とポリプロピレン樹脂(Y)の配合割合(重量比)が上述した特定の範囲から外れたポリプロピレン系樹脂組成物である場合(比較例14、15)、又は、(3)予め製造したポリオレフィン樹脂組成物(X)をポリプロピレン樹脂(Y)と配合しない、具体的には樹脂(a)〜(d)の各樹脂を1回以上溶融混練することなくポリプロピレン樹脂(Y)と混合した後に溶融混練して得られたペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物である場合(比較例16)、いずれも得られたフィルムは高ヘイズ、表面粗度、低フィッシュアイ、耐寒衝撃性の各特性をバランスよく確保することが出来ない(比較例1〜16)。
また、比較例9、13、16では、フィルムに多数のフィッシュアイが存在していたため、フィッシュアイ以外の物性評価は実施しなかった。
以上の結果より、本発明の各実施例においては、各比較例に比して、粗面フィルムの各性能が、バランス良く押しなべて顕著に優れており、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を明示しているといえる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物を配合したフィルムは、表面が荒れており、かつ、高ヘイズであると共に、フィッシュアイの様な外観不良を生起することなく、低温下での外的要因によるフィルム破壊に対しての高い耐性などに押しなべて優れている。これら特性を活かし、例えば、粘着フィルムの非粘着面への表面凹凸付与によるロールからの離形性向上や、包装フィルムへのマット感付与による意匠性向上など、各種フィルム分野に用いることができる。

Claims (5)

  1. 下記(a)〜(d)の各成分を配合してなり、各々の配合割合が(a)/(b)/(c)/(d)=14〜50/20〜34/20〜34/10〜18(重量比;ただし、(b)≧(c)>(d)、かつ、(a)+(b)+(c)+(d)=100)であることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物(X)。
    ・スチレン系エラストマー樹脂(a):密度が0.880〜0.910g/cmであり、メルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)が1.0〜20.0g/10分。
    ・高密度ポリエチレン樹脂(b):密度が0.935〜0.970g/cmであり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.1〜1.0g/10分。
    ・高密度ポリエチレン樹脂(c):密度が0.935〜0.970g/cmであり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.01g/分以上0.1g/10分未満。
    ・低密度ポリエチレン樹脂(d):密度が0.910g/cm以上0.935g/cm未満であり、メルトフローレート(MFR)(190℃、2.16kg荷重)が0.05〜0.5g/10分。
  2. 請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物(X)と、ポリプロピレン樹脂(Y)を配合してなり、各々の配合割合が(X)/(Y)=5〜49/95〜51(重量比;ただし、(X)+(Y)=100)であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物から形成され、厚み30μmにおける全ヘイズが50%以上であり、かつ、長辺0.2mm以上のフィッシュアイの数が、1m当たりで5個以下であることを特徴とする単層フィルム。
  4. 請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物から形成され、厚み30μmにおける0℃での耐寒衝撃性が5kJ/m以上であることを特徴とする単層フィルム。
  5. 請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物から形成された層を少なくとも1層備えることを特徴とする多層フィルム。
JP2018215216A 2018-11-16 2018-11-16 ポリオレフィン樹脂組成物 Active JP7176366B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018215216A JP7176366B2 (ja) 2018-11-16 2018-11-16 ポリオレフィン樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018215216A JP7176366B2 (ja) 2018-11-16 2018-11-16 ポリオレフィン樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020083926A true JP2020083926A (ja) 2020-06-04
JP7176366B2 JP7176366B2 (ja) 2022-11-22

Family

ID=70906397

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018215216A Active JP7176366B2 (ja) 2018-11-16 2018-11-16 ポリオレフィン樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7176366B2 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5922948A (ja) * 1982-07-06 1984-02-06 Chisso Corp シ−ト用ポリプロピレン系樹脂組成物

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5922948A (ja) * 1982-07-06 1984-02-06 Chisso Corp シ−ト用ポリプロピレン系樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP7176366B2 (ja) 2022-11-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6852528B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物およびフィルムそれぞれの製造法
JP6642086B2 (ja) 粗面フィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物及びフィルム
KR20220145875A (ko) 무광택 pe 재료 및 이의 제조 방법과 응용
CN111417676A (zh) 延伸多孔性膜及其制造方法
JP2016183292A (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法及び粘着シート
JP2008221533A (ja) 二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム
JP5358076B2 (ja) 二軸延伸自己粘着性プロテクトフィルム
JP2016196589A (ja) 高濃度アンチブロッキング剤マスターバッチ樹脂組成物
JP2018024826A (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物の製造法および該ポリオレフィン系樹脂組成物を用いたフィルム
JP7176358B2 (ja) ポリオレフィン樹脂組成物
JP7206697B2 (ja) ポリオレフィン樹脂組成物
CN112500675A (zh) 一种高强度、轻量化、耐刮擦聚丙烯复合材料及其制备方法
JP2011042780A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物を空冷インフレーション法に用いる方法およびそれより得られるフィルム
KR101664584B1 (ko) 수축율이 우수한 폴리프로필렌 수지 조성물 제조방법
JP7176366B2 (ja) ポリオレフィン樹脂組成物
JP6852527B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物およびフィルムそれぞれの製造法
JP2008115274A (ja) マスターバッチおよびそれを用いた成形体の製造方法
JP6561857B2 (ja) 延伸フィルム
JP2023016206A (ja) ポリプロピレン樹脂組成物
JP2009256474A (ja) ポリオレフィン系マスターバッチペレット、ポリオレフィン系樹脂組成物およびポリオレフィン系フィルム
JP6379739B2 (ja) 高剛性多層フィルム
JP2016216614A (ja) 無延伸艶消しフィルム用ポリプロピレン系樹脂組成物及びフィルム
JP2016065179A (ja) 樹脂シート、樹脂及び容器
JP7167486B2 (ja) ポリプロピレン系積層フィルム
JP3879500B2 (ja) 無機微粒子を含有する樹脂組成物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210729

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20220422

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220801

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221011

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221024

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7176366

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150