JP2020083244A - 非空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】乗り心地性を悪化させることなく、外筒がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのを抑制する。【解決手段】内筒6、外筒4、および連結部材3を備え、外筒4、および連結部材3が、弾性変形可能に形成された非空気入りタイヤ1であって、外筒のうち、最も厚さの厚い部分の肉厚は、連結部材のうち、最も厚さの厚い部分の肉厚より厚く、外筒が、突起物により押し込まれ、タイヤ径方向の内側に向けて変形したときに、突起物と内筒との間に位置する連結部材、およびこの連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材の少なくとも一部同士が互いに当接し、この非空気入りタイヤ1が、車両に装着されて平坦な接地面上を走行するときは、接地面と内筒との間に位置する連結部材と、この連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材と、の間の隙間が確保される。【選択図】図1

Description

本発明は、非空気入りタイヤに関する。
従来から、車軸に取り付けられる内筒と、内筒をタイヤ径方向の外側から囲い、外周面にトレッド部材が装着される外筒と、内筒の外周面と外筒の内周面とを連結するとともに、タイヤ周方向に間隔をあけて配設された複数の連結部材と、を備え、外筒および連結部材が、弾性変形可能に形成された非空気入りタイヤが知られている。
この種の非空気入りタイヤとして、例えば下記特許文献1に示されるような、連結部材に、タイヤ周方向に突出する緩衝ストッパが配設され、車両に装着されて平坦な接地面上を走行する際に、緩衝ストッパが、タイヤ周方向で隣り合う他の連結部材に当接する構成が知られている。
特開平2−310102号公報
しかしながら、前記従来の非空気入りタイヤでは、車両に装着されて平坦な接地面上を走行する際に、緩衝ストッパが、タイヤ周方向で隣り合う他の連結部材に当接するので、乗り心地性が悪化するおそれがあった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、乗り心地性を悪化させることなく、例えば縁石などの段差を乗り越えるときに、外筒がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのを抑制することができる非空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る非空気入りタイヤは 車軸に取り付けられる内筒と、前記内筒をタイヤ径方向の外側から囲い、外周面にトレッド部材が装着される外筒と、前記内筒の外周面と前記外筒の内周面とを連結するとともに、タイヤ周方向に間隔をあけて配設された複数の連結部材と、を備え、前記外筒および前記連結部材が、弾性変形可能に形成された非空気入りタイヤであって、前記外筒のうち、最も厚さの厚い部分の肉厚は、前記連結部材のうち、最も厚さの厚い部分の肉厚より厚く、前記外筒が、突起物により押し込まれ、タイヤ径方向の内側に向けて変形したときに、前記突起物と前記内筒との間に位置する前記連結部材、およびこの連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の前記連結部材の少なくとも一部同士が互いに当接し、この非空気入りタイヤが、車両に装着されて平坦な接地面上を走行するときは、前記接地面と前記内筒との間に位置する前記連結部材と、この連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の前記連結部材と、の間の隙間が確保される。
この発明では、外筒のうち、最も厚さの厚い部分の肉厚が、連結部材のうち、最も厚さの厚い部分の肉厚より厚くなっているので、外筒の剛性を確保することが可能になり、非空気入りタイヤが、例えば縁石などの段差を乗り越えるときに、外筒がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのを抑制することができる。
外筒が、突起物により押し込まれ、タイヤ径方向の内側に向けて変形(バックリング変形)したとき、つまり、外筒の外周面が、タイヤ径方向の内側に向けて窪み、かつ外筒の内周面が、タイヤ径方向の内側に向けて膨出したとき(以下、段差乗越時という)に、前記突起物と内筒との間に位置する連結部材、およびこの連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材の少なくとも一部同士が互いに当接するので、それ以上の変形を抑止することが可能になり、外筒がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのを確実に抑制することができる。
一方、この非空気入りタイヤが、車両に装着されて平坦な接地面上を走行するときは、接地面と内筒との間に位置する連結部材と、この連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材と、の間の隙間が確保されるので、段差乗越時にはじめて、前記突起物と内筒との間に位置する連結部材、およびこの連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材の少なくとも一部同士を互いに当接させることが可能になり、平坦な接地面上を走行する際の乗り心地性が悪化するのを防ぐことができる。
ここで、前記連結部材は、前記外筒の内周面からタイヤ径方向の内側に向けて延びる縦基部と、前記縦基部におけるタイヤ径方向の内端部からタイヤ周方向の一方側に向けてタイヤ周方向に沿って延びる横基部と、前記横基部におけるタイヤ周方向の一方側の端部からタイヤ径方向の内側に向かうに従い漸次、タイヤ周方向の一方側に向けて延びる傾斜部と、を備え、前記外筒が突起物により押し込まれ、前記突起物と前記内筒との間に位置する前記連結部材、およびこの連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の前記連結部材の少なくとも一部同士が互いに当接する際に、これらの前記連結部材のうち、タイヤ周方向の一方側に位置する前記連結部材における前記縦基部と前記横基部との接続部分と、タイヤ周方向の他方側に位置する前記連結部材における前記傾斜部のタイヤ径方向の外側部分と、が互いに当接してもよい。
この場合、段差乗越時に、前記突起物と内筒との間に位置する連結部材、およびこの連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材のうち、タイヤ周方向の一方側に位置する連結部材における縦基部と横基部との接続部分と、タイヤ周方向の他方側に位置する連結部材における傾斜部のタイヤ径方向の外側部分と、が互いに当接する。
したがって、外筒が、タイヤ径方向の内側に向けて前述のように変形したときに、タイヤ周方向で隣り合う連結部材同士において互いに当接する部分が特定の部位に定められることとなり、外筒がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのを確実に抑制することができる。
横基部がタイヤ周方向に沿って延びているので、外筒が、タイヤ径方向の内側に向けて前述のように変形したときに、傾斜部におけるタイヤ径方向の外側部分を、タイヤ周方向の一方側に向けてたわみ変形させやすくすることが可能になり、段差乗越時に、前記外側部分を、この連結部材に対してタイヤ周方向の一方側で隣り合う他の連結部材に確実に当接させることができる。
また、前記傾斜部の肉厚は、前記縦基部、および前記横基部の各肉厚より薄く、前記傾斜部のタイヤ径方向の外側部分のうち、少なくとも、前記外筒の内周面が、タイヤ径方向の内側に向けて膨出するように、前記外筒がタイヤ径方向の内側に向けて変形したときに、他の前記連結部材の前記接続部分に当接する部分は、前記内筒と前記外筒との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の外側に位置してもよい。
この場合、傾斜部のタイヤ径方向の外側部分のうち、少なくとも、段差乗越時に他の連結部材の前記接続部分に当接する部分が、内筒と外筒との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の外側に位置している。つまり、段差乗越時に、前記突起物と内筒との間に位置する連結部材、およびこの連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材それぞれにおいて、互いに当接する部分が、内筒と外筒との間のうちのタイヤ径方向の外側寄りに位置することとなり、外筒の内周面が、タイヤ径方向の内側に向けて膨出した早い段階で、タイヤ周方向で隣り合う連結部材同士を互いに当接させることができる。これにより、外筒がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのをより一層確実に抑制することができる。
肉厚が、縦基部、および横基部の各肉厚より薄い傾斜部が、内筒と外筒との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の外側に達していて、連結部材に占める傾斜部の長さの割合が大きくなっているので、傾斜部の曲げ剛性が確実に低減されることとなり、連結部材を弾性変形させやすくすることが可能になり、平坦な接地面上を走行する際の乗り心地性を確保することができる。
しかも、傾斜部が、連結部材において、非空気入りタイヤの接地時に最も応力が集中するタイヤ径方向の外端部を回避した位置に配設されているので、耐久性の低下を防ぐこともできる。
この発明によれば、乗り心地性を悪化させることなく、外筒がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのを抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る非空気入りタイヤの側面図である。 図1の非空気入りタイヤのII−II線矢視断面図である。 図1に示す連結部材の拡大図である。 図1から図3に示す非空気入りタイヤにおいて、平坦な接地面に接地した状態を示す拡大側面図である。 図1から図3に示す非空気入りタイヤにおいて、外筒の内周面が、タイヤ径方向の内側に向けて膨出するように、外筒がタイヤ径方向の内側に向けて変形した状態を示す拡大側面図である。
以下、本実施形態に係る非空気入りタイヤの構成を、図1から図5を参照しながら説明する。
図1に示すように、非空気入りタイヤ1は、車軸に取り付けられるホイール部2と、ホイール部2の外周に配置されたタイヤ部7と、タイヤ部7の外周に配置されたトレッド部材5と、を備えている。
なお、本実施形態の非空気入りタイヤ1は、例えば自転車、二輪車、自動車、ハンドル形電動車いすなどに装着されて用いられる。
ここで、ホイール部2は円板状に形成され、タイヤ部7は円環状に形成されており、各中心軸は共通軸上に位置している。この共通軸を中心軸Oといい、中心軸Oに沿う方向をタイヤ幅方向という。また、タイヤ幅方向から見て、中心軸O回りに周回する方向をタイヤ周方向といい、この中心軸Oに交差する方向をタイヤ径方向という。
ホイール部2、タイヤ部7、およびトレッド部材5それぞれにおけるタイヤ幅方向の中央部は、互いに一致している。タイヤ幅方向およびタイヤ径方向の双方向に沿う断面視において、ホイール部2、タイヤ部7、およびトレッド部材5は、全体として、タイヤ幅方向の中央部(タイヤ赤道部)を通る直線を基準とした線対称形状を呈する。
ホイール部2は、中心軸Oを中心としてタイヤ幅方向に延びる筒状のボス2dと、ボス2dの外周面に固定された装着筒部2aと、装着筒部2aをタイヤ径方向の外側から囲う外装筒部2cと、装着筒部2aおよび外装筒部2cを互いに連結する複数のリブ2bと、を備えている。
装着筒部2aおよび外装筒部2cはそれぞれ、ボス2dと同軸に配置されている。複数のリブ2bは、例えばタイヤ周方向に等間隔をあけて配置されている。複数のリブ2bはそれぞれ、ボス2dを中心として放射状に延びている。
本実施形態では、装着筒部2a、複数のリブ2b、および外装筒部2cは、熱可塑性樹脂により一体に形成されている。これにより、ホイール部2は、ボス2dをインサート品としたインサート成形により形成することが可能であり、量産に適している。
なお、ボス2d、装着筒部2a、複数のリブ2b、および外装筒部2cは、それぞれ別体に形成されていてもよい。また、装着筒部2a、複数のリブ2b、および外装筒部2cは、熱可塑性樹脂以外の材質により形成されていてもよい。
タイヤ部7は、ホイール部2の外装筒部2cに外嵌された内筒6と、内筒6をタイヤ径方向の外側から囲い、外周面にトレッド部材5が装着される外筒4と、内筒6の外周面と外筒4の内周面とを連結するとともに、タイヤ周方向に間隔をあけて配設された複数の連結部材3と、を備えている。タイヤ部7を形成する材質の弾性率は、例えば300MPa以上1500MPa以下となっている。
内筒6は、ホイール部2を介して、車軸に取り付けられる。内筒6および外筒4の中心軸は、中心軸Oと同軸に配置されている。内筒6、連結部材3、および外筒4は、それぞれのタイヤ幅方向の中央部が互いに一致した状態で配置されている。
本実施形態では、内筒6、連結部材3、および外筒4は、熱可塑性樹脂により一体に形成されている。これにより、タイヤ部7は射出成形により形成することが可能であり、量産に適している。熱可塑性樹脂としては、例えば1種だけの樹脂、2種以上の樹脂を含む混合物、または1種以上の樹脂と1種以上のエラストマーとを含む混合物であってもよく、さらに、例えば老化防止剤、可塑剤、充填剤、若しくは顔料等の添加物を含んでいてもよい。
なお、内筒6、連結部材3、および外筒4は、それぞれ別体に形成されていてもよい。内筒6、連結部材3、および外筒4は、熱可塑性樹脂以外の材質により形成されていてもよい。
タイヤ部7、およびホイール部2は、一体に形成されていてもよく、それぞれ別体に形成されていてもよい。なお、ホイール部2は、車軸とタイヤ部7とを連結する機能を有し、タイヤ部7は、地面から車軸に伝わる振動を吸収する機能を有している。このように、ホイール部2とタイヤ部7とは異なる機能を有しているため、異なる材質により形成されていてもよい。例えば、タイヤ部7は振動吸収性能を確保するために弾性率が比較的小さい材質により形成し、ホイール部2は堅牢性を確保するために弾性率がタイヤ部7よりも大きい材質により形成されていてもよい。また、例えばホイール部2を比較的比重の小さい材質により形成し、非空気入りタイヤ1全体の軽量化を図ってもよい。
トレッド部材5は、中心軸Oを中心としてタイヤ幅方向に延びる筒状に形成されている。トレッド部材5は、弾性変形可能に形成された外筒4に外嵌されている。図2に示されるように、トレッド部材5は、外筒4において、その外周面だけでなく、タイヤ幅方向を向く側面のうちのタイヤ径方向の外端部も覆っている。トレッド部材5を形成する材質の弾性率は、タイヤ部7を形成する材質の弾性率よりも小さい。トレッド部材5の外周面は、図2に示されるような、図1のII−II線矢視断面図、つまりタイヤ幅方向およびタイヤ径方向の双方向に沿う縦断面視において、タイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状を呈する。
トレッド部材5は、例えば、天然ゴム又は/及びゴム組成物が加硫された加硫ゴム、或いは熱可塑性材料等で形成されている。耐摩耗性の観点ではトレッド部材5を加硫ゴムで形成するのが好ましい。熱可塑性材料として、例えば熱可塑性エラストマー若しくは熱可塑性樹脂等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えばJIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えばウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、若しくはポリアミド樹脂等が挙げられる。
図1および図3に示されるように、連結部材3は、全体として湾曲した長方形状の板状に形成されており、表裏面がタイヤ周方向、若しくはタイヤ径方向を向き、側面がタイヤ幅方向を向いている。連結部材3は弾性変形可能な材質により形成され、内筒6の外周面と外筒4の内周面とを相対的に弾性変位自在に連結している。連結部材3は、タイヤ周方向に等間隔をあけて複数配置されている。
連結部材3は、縦基部11、横基部12、および傾斜部13を備えている。
縦基部11は、外筒4の内周面からタイヤ径方向の内側に向けて延びている。縦基部11の表裏面は、タイヤ周方向を向いている。縦基部11の表裏面は、外筒4との接続部分を除く全体が、タイヤ幅方向から見た側面視で直線状に延びている。縦基部11のうち、外筒4との接続部分における表裏面は、前記側面視で、タイヤ径方向の外側に向かうに従い漸次、互いに離れる向きに延びるとともに、タイヤ周方向に窪む曲線状を呈する。
タイヤ幅方向から見て、中心軸Oと、縦基部11においてその厚さ方向の中央部を通る中心線CLのタイヤ径方向の外端縁P1と、を通る直線L1に対して、縦基部11の中心線CLは、わずかにタイヤ周方向の一方側に向けて傾いている。この傾斜角度θ1は、例えば25°以下となっている。
なお、縦基部11の中心線CLは、前記直線L1と一致してもよい。
縦基部11のタイヤ周方向の肉厚は、外筒4との接続部分を除くタイヤ径方向の全長にわたって同等になっている。縦基部11の肉厚は、連結部材3の中で最も厚くなっている。
ここで、縦基部11の肉厚とは、縦基部11のうち、外筒4との接続部分よりタイヤ径方向の内側に位置し、タイヤ幅方向から見た側面視で、表裏面が直線状に延びている部分の肉厚のことをいい、例えば、この部分の肉厚がタイヤ径方向の位置ごとで異なっている場合、肉厚の平均値のことをいう。
横基部12は、縦基部11におけるタイヤ径方向の内端部からタイヤ周方向の一方側に向けてタイヤ周方向に沿って延びている。横基部12の表裏面は、タイヤ径方向を向いている。横基部12は、タイヤ幅方向から見た側面視で直線状に延びている。横基部12は、タイヤ幅方向から見て、厚さ方向の中央部を通る中心線CL、タイヤ径方向の内側を向く面、およびタイヤ径方向の外側を向く面のうちの少なくとも1つが、タイヤ周方向に沿って延びている。図示の例では、横基部12の表裏面のうち、タイヤ径方向の内側を向く面が、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ径方向の外側を向く面は、タイヤ周方向の一方側に向かうに従い漸次、タイヤ径方向の内側に向けて延びている。横基部12のタイヤ径方向の厚さは、タイヤ周方向の他方側から一方側に向かうに従い漸次、薄くなっている。横基部12の長さは、縦基部11の長さと同等になっている。
横基部12と縦基部11との接続部分(以下、第1接続部分という)14は、タイヤ周方向の他方側に向けて突となるように湾曲している。
傾斜部13は、横基部12におけるタイヤ周方向の一方側の端部からタイヤ径方向の内側に向かうに従い漸次、タイヤ周方向の一方側に向けて延び、内筒6の外周面に接続されている。
傾斜部13と横基部12との接続部分(以下、第2接続部分という)15は、タイヤ周方向の一方側に向けて突となるように湾曲している。タイヤ幅方向から見て、第2接続部分15の曲率半径は、第1接続部分14の曲率半径より大きくなっている。
タイヤ幅方向から見て、傾斜部13においてその厚さ方向の中央部を通る中心線CLのタイヤ径方向の内端縁P2と、縦基部11においてその厚さ方向の中央部を通る中心線CLのタイヤ径方向の外端縁P1と、を結ぶ直線L2の、前記直線L1に対するタイヤ周方向の一方側に向けた傾斜角度θ2が、前記傾斜角度θ1より大きく、32°以上45°以下となっている。
タイヤ幅方向から見て、縦基部11の中心線CLは、そのタイヤ径方向の外端縁P1を除く全体が、前記直線L2よりタイヤ周方向の他方側に位置し、傾斜部13の中心線CLは、そのタイヤ径方向の内端縁P2を除く全体が、前記直線L2よりタイヤ周方向の一方側に位置している。
タイヤ幅方向から見て、傾斜部13の長さは、縦基部11、および横基部12の各長さより長くなっている。タイヤ幅方向から見て、傾斜部13の長さは、縦基部11、および横基部12の各長さの例えば約3倍となっている。
傾斜部13の肉厚は、縦基部11、および横基部12の各肉厚より薄くなっている。図4に示されるように、この非空気入りタイヤ1が接地面Lに接地したときに、接地面Lと内筒6との間に縦基部11が位置する連結部材3の傾斜部13において、生ずる応力が最小となる部分(以下、最小応力部分という)13aの肉厚が、他の部分の肉厚より薄くなっている。最小応力部分13aは、タイヤ周方向の他方側に向けて突となるように湾曲している。最小応力部分13aは、傾斜部13におけるタイヤ径方向の中央領域に位置している。図示の例では、最小応力部分13aは、内筒6と外筒4との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の内側に位置している。この非空気入りタイヤ1が接地面Lに接地したときに、前述のように最小応力部分13aに生ずる応力は、連結部材3のなかで最小となる。
傾斜部13のうち、タイヤ径方向の中央領域よりタイヤ径方向の外側に位置する外側部分13cにおけるタイヤ周方向の一方側を向く面(以下、当接面という)13bは、タイヤ幅方向から見て、タイヤ径方向の外側から内側に向かうに従い漸次、タイヤ周方向の一方側に向けて直線状に延びている。傾斜部13のうち、少なくともタイヤ径方向の外側部分13cは、内筒6と外筒4との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の外側に位置している。
タイヤ幅方向から見て、タイヤ周方向で隣り合う連結部材3のうち、タイヤ周方向の他方側に位置する他方の連結部材3における傾斜部13の当接面13bの中央部と、タイヤ周方向の一方側に位置する一方の連結部材3における第1接続部分14の頂部と、が、当接面13bに直交する方向で対向している。タイヤ周方向で隣り合う連結部材3同士の隙間は、前記他方の連結部材3における傾斜部13の当接面13bの中央部と、前記一方の連結部材3における第1接続部分14の頂部と、の間で最小となっている。
タイヤ幅方向から見て、タイヤ周方向で隣り合う縦基部11同士の隙間は、タイヤ周方向で隣り合う傾斜部13同士の隙間より広くなっている。
図2に示されるように、タイヤ幅方向およびタイヤ径方向の双方向に沿う断面視において、外筒4の外周面のうち、タイヤ幅方向の中央部4aは、タイヤ幅方向に真直ぐ延び、タイヤ幅方向の両端部4bは、タイヤ幅方向の外側に向かうに従い漸次、タイヤ径方向の内側に向けて延びている。外筒4のうち、最も厚さの厚い部分は、タイヤ幅方向の中央部4aとなっている。
外筒4におけるタイヤ幅方向の中央部4aの肉厚は、連結部材3のうち、最も厚さの厚い縦基部11の肉厚より厚くなっている。外筒4におけるタイヤ幅方向の中央部4aの肉厚が、縦基部11の肉厚の1.1倍以上3.0倍以下となっている。
そして、本実施形態では、図5に示されるように、外筒4が、突起物Wにより押し込まれ、タイヤ径方向の内側に向けて変形(バックリング変形)したとき、つまり、外筒4の外周面が、タイヤ径方向の内側に向けて窪み、かつ外筒4の内周面が、タイヤ径方向の内側に向けて膨出したとき(以下、段差乗越時という)に、突起物Wと内筒6との間に位置する連結部材3と、この連結部材3にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材3と、が互いに当接する構成とされている。
図示の例では、段差乗越時に、突起物Wと内筒6との間に位置する連結部材3、およびこの連結部材3にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材3のうち、タイヤ周方向の一方側に位置する連結部材3の第1接続部分14と、タイヤ周方向の他方側に位置する連結部材3における傾斜部13のタイヤ径方向の外側部分13cの当接面13bと、が互いに当接する。
連結部材3の前記外側部分13cのうち、少なくとも、段差乗越時に他の連結部材3の第1接続部分14に当接する部分は、内筒6と外筒4との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の外側に位置している。
図示の例では、段差乗越時に、タイヤ周方向の他方側に位置する連結部材3の前記外側部分13cのうちのタイヤ径方向の内端部と、タイヤ周方向の一方側に位置する連結部材3における第1接続部分14のうちの頂部と、が互いに当接する。
なお、段差乗越時に、タイヤ周方向の他方側に位置する連結部材3の前記外側部分13cのうち、タイヤ径方向の内端部以外の部分と、タイヤ周方向の一方側に位置する連結部材3の第1接続部分14のうち、頂部以外の部分と、が互いに当接してもよい。
本実施形態では、連結部材3の前記外側部分13cの全体が、内筒6と外筒4との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の外側に位置している。
なお、連結部材3の前記外側部分13cのうち、例えば、タイヤ径方向の外端部のみを、内筒6と外筒4との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の外側に位置させてもよいし、連結部材3の前記外側部分13cの全体を、内筒6と外筒4との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の内側に位置させてもよい。
図4に示されるように、この非空気入りタイヤ1が、車両に装着されて平坦な接地面L上を走行するときは、接地面Lと内筒6との間に位置する連結部材3と、この連結部材3にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材3と、の間の隙間が確保される構成となっている。
以上説明したように、本実施形態に係る非空気入りタイヤ1によれば、外筒4のうち、最も厚さの厚いタイヤ幅方向の中央部4aの肉厚が、連結部材3のうち、最も厚さの厚い縦基部11の肉厚より厚くなっているので、外筒4の剛性を確保することが可能になり、非空気入りタイヤ1が、例えば縁石などの段差を乗り越えるときに、外筒4がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのを抑制することができる。
図5に示されるような段差乗越時に、突起物Wと内筒6との間に位置する連結部材3、およびこの連結部材3にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材3の少なくとも一部同士が互いに当接するので、それ以上の変形を抑止することが可能になり、外筒4がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのを確実に抑制することができる。
一方、この非空気入りタイヤ1が、車両に装着されて平坦な接地面L上を走行するときは、接地面Lと内筒6との間に位置する連結部材3と、この連結部材3にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材3と、の間の隙間が確保されるので、段差乗越時にはじめて、突起物Wと内筒6との間に位置する連結部材3、およびこの連結部材3にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材3の少なくとも一部同士を互いに当接させることが可能になり、平坦な接地面L上を走行する際の乗り心地性が悪化するのを防ぐことができる。
本実施形態では、段差乗越時に、突起物Wと内筒6との間に位置する連結部材3、およびこの連結部材3にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材3のうち、タイヤ周方向の一方側に位置する連結部材3の第1接続部分14と、タイヤ周方向の他方側に位置する連結部材3における傾斜部13のタイヤ径方向の外側部分13cと、が互いに当接する。
したがって、外筒4が、タイヤ径方向の内側に向けて前述のように変形したときに、タイヤ周方向で隣り合う連結部材3同士において互いに当接する部分が特定の部位に定められることとなり、外筒4がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのを確実に抑制することができる。
横基部12がタイヤ周方向に沿って延びているので、外筒4が、タイヤ径方向の内側に向けて前述のように変形したときに、傾斜部13におけるタイヤ径方向の外側部分13cを、タイヤ周方向の一方側に向けてたわみ変形させやすくすることが可能になり、段差乗越時に、前記外側部分13cを、この連結部材3に対してタイヤ周方向の一方側で隣り合う他の連結部材3に確実に当接させることができる。
本実施形態では、傾斜部13のタイヤ径方向の外側部分13cのうち、少なくとも、段差乗越時に他の連結部材3の第1接続部分14に当接する部分が、内筒6と外筒4との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の外側に位置している。つまり、段差乗越時に、突起物Wと内筒6との間に位置する連結部材3、およびこの連結部材3にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材3それぞれにおいて、互いに当接する部分が、内筒6と外筒4との間のうちのタイヤ径方向の外側寄りに位置することとなり、外筒4の内周面が、タイヤ径方向の内側に向けて膨出した早い段階で、タイヤ周方向で隣り合う連結部材3同士を互いに当接させることができる。これにより、外筒4がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのをより一層確実に抑制することができる。
肉厚が、縦基部11、および横基部12の各肉厚より薄い傾斜部13が、内筒6と外筒4との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の外側に達していて、連結部材3に占める傾斜部13の長さの割合が大きくなっているので、傾斜部13の曲げ剛性が確実に低減されることとなり、連結部材3を弾性変形させやすくすることが可能になり、平坦な接地面L上を走行する際の乗り心地性を確保することができる。
しかも、傾斜部13が、連結部材3において、非空気入りタイヤ1の接地時に最も応力が集中するタイヤ径方向の外端部を回避した位置に配設されているので、耐久性の低下を防ぐこともできる。
前記傾斜角度θ2が、32°以上45°以下となっているので、重量の増大を抑えつつ、乗り心地性の悪化を確実に抑えることができる。
前記傾斜角度θ2が、32°未満になると、非空気入りタイヤ1の接地時に、連結部材3を弾性変形させやすくすることができず、前記傾斜角度θ2が、45°を超えると、連結部材3が長くなりすぎ、過度に弾性変形しやすくなるばかりでなく、重量も増大する。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
前記実施形態では、非空気入りタイヤ1として、ホイール部2、およびトレッド部材5を備える構成を示したが、ホイール部2、およびトレッド部材5を有さず、タイヤ部7のみを備える構成を採用してもよい。
前記実施形態では、傾斜部13のうち、最小応力部分13aの肉厚が、他の部分の肉厚より薄くなっている構成を示したが、これに限らず例えば、最小応力部分13aを含む、傾斜部13全体の肉厚を同等にするなど適宜変更してもよい。
前記実施形態では、最小応力部分13aを、タイヤ周方向の他方側に向けて突となるように湾曲したが、これに限らず例えば、タイヤ周方向の一方側に向けて突となるように湾曲してもよいし、湾曲せず単にタイヤ周方向に窪ませるなど適宜変更してもよい。
前記実施形態では、外筒4のうち、最も厚さの厚い部分が、タイヤ幅方向の中央部4aとなっている構成を示したが、これに限らず例えば、タイヤ幅方向の端部4bにするなど適宜変更してもよい。
前記実施形態では、縦基部11の肉厚を、連結部材3の中で最も厚くしたが、これに代えて例えば、横基部12、第1接続部分14、若しくは第2接続部分15などの肉厚を、連結部材3の中で最も厚くしてもよい。
前記実施形態では、傾斜部13のタイヤ径方向の外側部分13cにおける当接面13bが、タイヤ幅方向から見て、タイヤ径方向の外側から内側に向かうに従い漸次、タイヤ周方向の一方側に向けて直線状に延びている構成を示したが、これに限らず例えば、当接面13bを、タイヤ幅方向から見て、タイヤ周方向の一方側に向けて突となる曲線状に形成してもよいし、タイヤ周方向の他方側に向けて窪む曲線状に形成してもよい。
このうち、当接面13bを、タイヤ幅方向から見て、タイヤ周方向の他方側に向けて窪む曲線状に形成した場合、この非空気入りタイヤ1が、車両に装着されて平坦な接地面L上を走行するときに、この当接面13bと、タイヤ周方向の一方側に位置する連結部材3の第1接続部分14と、の間の隙間を容易に確保することができる一方、図5に示されるような段差乗越時には、タイヤ周方向の一方側に位置する連結部材3の第1接続部分14の頂部が、当接面13bに係止されることとなり、外筒4がタイヤ径方向の内側に向けて大きく変形するのを確実に抑制することができる。
連結部材3の形態は図示の例に限られず、この非空気入りタイヤ1が平坦な接地面Lに接地した状態で、接地面Lと内筒6との間に位置する連結部材3と、この連結部材3にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材3と、の間に隙間が設けられ、段差乗越時に、突起物Wと内筒6との間に位置する連結部材3、およびこの連結部材3にタイヤ周方向で隣り合う他の連結部材3の少なくとも一部同士が互いに当接する構成であれば、他の構成を採用してもよい。
例えば、内筒6と外筒4との間の円盤状の連結部材がハニカム状に肉抜きされた構成、板状の連結部材が車軸を中心に放射状に配置された構成、放射状の連結部材同士が中間部材で連結された構成などを採用してもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1 非空気入りタイヤ
3 連結部材
4 外筒
5 トレッド部材
6 内筒
11 縦基部
12 横基部
13 傾斜部
13c 外側部分
14 第1接続部分(接続部分)
L 接地面
W 突起物

Claims (3)

  1. 車軸に取り付けられる内筒と、
    前記内筒をタイヤ径方向の外側から囲い、外周面にトレッド部材が装着される外筒と、
    前記内筒の外周面と前記外筒の内周面とを連結するとともに、タイヤ周方向に間隔をあけて配設された複数の連結部材と、を備え、
    前記外筒および前記連結部材が、弾性変形可能に形成された非空気入りタイヤであって、
    前記外筒のうち、最も厚さの厚い部分の肉厚は、前記連結部材のうち、最も厚さの厚い部分の肉厚より厚く、
    前記外筒が、突起物により押し込まれ、タイヤ径方向の内側に向けて変形したときに、前記突起物と前記内筒との間に位置する前記連結部材、およびこの連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の前記連結部材の少なくとも一部同士が互いに当接し、
    この非空気入りタイヤが、車両に装着されて平坦な接地面上を走行するときは、前記接地面と前記内筒との間に位置する前記連結部材と、この連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の前記連結部材と、の間の隙間が確保される、非空気入りタイヤ。
  2. 前記連結部材は、
    前記外筒の内周面からタイヤ径方向の内側に向けて延びる縦基部と、
    前記縦基部におけるタイヤ径方向の内端部からタイヤ周方向の一方側に向けてタイヤ周方向に沿って延びる横基部と、
    前記横基部におけるタイヤ周方向の一方側の端部からタイヤ径方向の内側に向かうに従い漸次、タイヤ周方向の一方側に向けて延びる傾斜部と、を備え、
    前記外筒が突起物により押し込まれ、前記突起物と前記内筒との間に位置する前記連結部材、およびこの連結部材にタイヤ周方向で隣り合う他の前記連結部材の少なくとも一部同士が互いに当接する際に、
    これらの前記連結部材のうち、タイヤ周方向の一方側に位置する前記連結部材における前記縦基部と前記横基部との接続部分と、タイヤ周方向の他方側に位置する前記連結部材における前記傾斜部のタイヤ径方向の外側部分と、が互いに当接する、請求項1に記載の非空気入りタイヤ。
  3. 前記傾斜部の肉厚は、前記縦基部、および前記横基部の各肉厚より薄く、
    前記傾斜部のタイヤ径方向の外側部分のうち、少なくとも、前記外筒の内周面が、タイヤ径方向の内側に向けて膨出するように、前記外筒がタイヤ径方向の内側に向けて変形したときに、他の前記連結部材の前記接続部分に当接する部分は、前記内筒と前記外筒との間におけるタイヤ径方向の中央部よりタイヤ径方向の外側に位置している、請求項2に記載の非空気入りタイヤ。
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