JP6820796B2 - 非空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、非空気入りタイヤに関する。
従来から、例えば下記特許文献1に記載の非空気入りタイヤが知られている。非空気入りタイヤは、車軸に取り付けられる内筒と、内筒をタイヤ径方向の外側から囲う外筒と、内筒および外筒を連結する連結部材と、外筒に外嵌されたトレッド部材と、を備える。外筒は、タイヤ赤道部上に位置する外周部と、外周部に対するタイヤ幅方向の両側に位置する側部と、外周部と側部とを接続するショルダー部と、を備える。トレッド部材は、外筒の外周部、側部およびショルダー部を覆う。
この非空気入りタイヤによれば、トレッド部材が外筒の側部を覆っている。これにより、非空気入りタイヤの縁石乗り上げ時に、外筒に損傷が発生するのを抑えることができる。
特開2016−113078号公報
しかしながら、前記従来の非空気入りタイヤでは、非空気入りタイヤが縁石と衝突した際、トレッド部材に損傷が生じるおそれがある。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、非空気入りタイヤが縁石と衝突した際にトレッド部材に損傷が生じるのを抑制することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る非空気入りタイヤは、車軸に取り付けられる内筒と、前記内筒をタイヤ径方向の外側から囲う外筒と、前記内筒および前記外筒を連結する連結部材と、前記外筒に外嵌されたトレッド部材と、を備え、前記外筒は、タイヤ赤道部上に位置する外周部と、前記外周部に対するタイヤ幅方向の両側に位置する側部と、前記外周部と前記側部とを接続するショルダー部と、を備え、前記トレッド部材は、前記外周部、前記側部および前記ショルダー部を覆い、前記ショルダー部は、面取りされ、前記ショルダー部は、タイヤ幅方向およびタイヤ径方向の双方向に沿う縦断面視において、タイヤ幅方向の外側およびタイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成され、前記ショルダー部は、タイヤ幅方向に複数配置されるとともに前記縦断面視において互いに異なる曲率をなす円弧部を備え、複数の前記円弧部では、タイヤ幅方向の内側に位置する前記円弧部からタイヤ幅方向の外側に位置する前記円弧部に向けて曲率が徐々に大きくなっていることを特徴とする。
本願発明者は、非空気入りタイヤが縁石に対して乗り上げるように衝突する(非空気入りタイヤが縁石に対して斜め進入する)際に、縁石と外筒のショルダー部との間に、トレッド部材がタイヤ径方向に対して傾斜する斜め方向に挟み込まれ、この挟み込まれた部分に、亀裂等の損傷が生じることを見出した。
この発明によれば、外筒のショルダー部が面取りされている。したがって、非空気入りタイヤが縁石と衝突し、縁石と外筒のショルダー部との間にトレッド部材が挟み込まれたときに、トレッド部材に発生する圧縮応力を緩和することができる。これにより、トレッド部材に損傷が生じるのを抑制することができる。
また、縁石と外筒のショルダー部との間にトレッド部材が挟み込まれると、トレッド部材において側部を覆う部分である保護部分がタイヤ径方向の内側に向けて膨出しようとする。このとき、保護部分に対してタイヤ径方向の内側に、例えば外筒などが位置していると、保護部分においてタイヤ径方向の内側に位置する端部が変位を拘束されて固定端となり、保護部分のタイヤ径方向への膨出変形が規制される。しかしながら、トレッド部材が、外筒の側部を、そのタイヤ径方向の全長にわたって覆うことで、保護部分においてタイヤ径方向の内側に位置する端部が変位を拘束されずに自由端となり、トレッド部材の前述の膨出変形が許容される。これにより、トレッド部材に損傷が生じるのを一層抑制することができる。
この場合、外筒のショルダー部が、前記縦断面視において曲線状に形成されている。したがって、トレッド部材に生じる圧縮応力をより緩和することが可能になり、トレッド部材に損傷が生じるのを効果的に抑制することができる。
この場合、複数の円弧部では、タイヤ幅方向の内側に位置する円弧部からタイヤ幅方向の外側に位置する円弧部に向けて曲率が徐々に大きくなっている。これにより、トレッド部材に生じる圧縮応力を一層緩和することができる。
前記ショルダー部は、タイヤ幅方向の全域にわたって複数の前記円弧部によって形成されていてもよい。
この場合、外筒のショルダー部が、タイヤ幅方向の全域にわたって複数の円弧部によって形成されている。したがって、前記縦断面視において、例えば、タイヤ幅方向に隣り合う円弧部が、互いの接点において共通の接線を有するように、言い換えると、タイヤ幅方向に隣り合う円弧部が接するように、複数の円弧部を配置することで、外筒のショルダー部を段差なく滑らかに形成することができる。これにより、トレッド部材に生じる圧縮応力をより一層緩和することができる。
前記トレッド部材の外周面は、前記縦断面視において、タイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成されていてもよい。
この場合、トレッド部材の外周面が、前記縦断面視において、タイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成されている。したがって、例えばコーナリング等においてキャンバー角を大きくしても、非空気入りタイヤの接地面積を確保することができる。
しかも、外筒のショルダー部が、前記縦断面視において、タイヤ幅方向の外側およびタイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成されている。したがって、前述のようにキャンバー角を大きくしたときに、外筒のショルダー部を、トレッド部材を介して違和感なく接地させることが可能になり、乗り心地性を向上させることができる。
本発明によれば、非空気入りタイヤが縁石と衝突した際にトレッド部材に損傷が生じるのを抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る非空気入りタイヤの側面図である。 図1に示すA−A断面矢視図(縦断面図)である。 本発明の第2実施形態に係る非空気入りタイヤの分解斜視図である。 図3に示す非空気入りタイヤの側面図である。 図4の一部を示す拡大図である。 図3に示す非空気入りタイヤにおいて、外筒及びトレッド部材を含む要部の縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係る非空気入りタイヤの要部の縦断面図である。 本発明の第4実施形態に係る非空気入りタイヤの要部の縦断面図である。 本発明の第5実施形態に係る非空気入りタイヤの要部の縦断面図である。 本発明の第6実施形態に係る非空気入りタイヤの要部の縦断面図である。 本発明の第7実施形態に係る非空気入りタイヤの要部の縦断面図である。 本発明の第8実施形態に係る非空気入りタイヤの要部の縦断面図である。 本発明の変形例に係る非空気入りタイヤの要部の縦断面図である。
(第1実施形態)
以下、本実施形態に係る非空気入りタイヤの構成を、図1および図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため縮尺を適宜変更している。また、各図面では、後述する外筒4やトレッド部材5を縦断面視した際に、図面の見易さのためハッチングを省略する場合がある。
図1に示すように、非空気入りタイヤ1は、車軸に取り付けられるホイール部2と、ホイール部2の外周に配置されたタイヤ部7と、を備えている。
この非空気入りタイヤ1は、自転車、二輪車、自動車など(以下、これらの総称を単に車両という)、特に車体を、車体の左右方向(後述するタイヤ幅方向)に傾斜させながら(バンクさせながら)走行する車両(具体的には、二輪車や三輪車など)に用いられる。
ここで、ホイール部2は円板状に形成され、タイヤ部7は環状に形成されており、各中心軸は共通軸上に位置している。この共通軸を中心軸O1といい、中心軸O1に沿う方向をタイヤ幅方向という。また、タイヤ幅方向から見た側面視において、中心軸O1を中心として周回する方向をタイヤ周方向といい、この中心軸O1に直交する方向をタイヤ径方向という。
図2に示すように、ホイール部2、タイヤ部7および後述するトレッド部材5は、全体として、タイヤ幅方向の中央部(タイヤ赤道部)を通る中心線O2を中心として線対称に形成されている。タイヤ幅方向およびタイヤ径方向の双方向に沿う縦断面視において、タイヤ幅方向のうち、この中心線O2に向かう方向をタイヤ幅方向内側といい、この中心線O2から離れる方向をタイヤ幅方向外側という。
図1に示すように、ホイール部2は、中心軸O1を中心としてタイヤ幅方向に延びる筒状のボス8と、ボス8の外周面に固定された装着筒部2aと、装着筒部2aをタイヤ径方向外側から囲う外装筒部2cと、装着筒部2aおよび外装筒部2cを互いに連結する複数のリブ2bと、を備えている。
本実施形態では、ボス8はアルミニウムにより形成されている。ボス8が車軸によって回転自在に支持されることで、ホイール部2は車軸に取り付けられる。なお、ボス8はアルミニウム以外の金属あるいは非金属により形成されていてもよい。タイヤ幅方向において、ボス8の幅は、装着筒部2a、複数のリブ2b、および外装筒部2cの幅よりも大きい。
装着筒部2aおよび外装筒部2cはそれぞれ、ボス8と同軸に配置されている。複数のリブ2bは、例えばタイヤ周方向に等間隔をあけて配置されている。複数のリブ2bはそれぞれ、ボス8を中心として放射状に延びている。
本実施形態では、装着筒部2a、複数のリブ2b、および外装筒部2cは、熱可塑性樹脂により一体に形成されている。これにより、ホイール部2は射出成形により成形することが可能であり、量産に適している。
なお、ボス8、装着筒部2a、複数のリブ2b、および外装筒部2cは、それぞれ別体に形成されていてもよい。また、装着筒部2a、複数のリブ2b、および外装筒部2cは、熱可塑性樹脂以外の材質により形成されていてもよい。
タイヤ部7は、ホイール部2の外装筒部2cに外嵌された内筒6と、内筒6をタイヤ径方向外側から囲う外筒4と、内筒6と外筒4とを変位自在に連結する弾性変形可能な連結部材3と、を備えている。外筒4の外周面には、トレッド部材5が嵌合されている。
内筒6は、ホイール部2を介して、車軸に取り付けられる。内筒6および外筒4の中心軸は、中心軸O1と同軸に配置されている。内筒6、連結部材3、および外筒4は、タイヤ幅方向において、それぞれのタイヤ幅方向の中央部が互いに一致した状態で配置されている。
本実施形態では、内筒6、連結部材3、および外筒4は、熱可塑性樹脂により一体に形成されている。これにより、タイヤ部7は射出成形により成形することが可能であり、量産に適している。熱可塑性樹脂としては、例えば1種だけの樹脂、2種以上の樹脂を含む混合物、または1種以上の樹脂と1種以上のエラストマーとを含む混合物であってもよく、さらに、例えば老化防止剤、可塑剤、充填剤、若しくは顔料等の添加物を含んでいてもよい。このように、内筒6、連結部材3、および外筒4を、熱可塑性樹脂により一体に形成することで、タイヤ部7の設計の自由度を確保することができる。これにより、例えば後述するような、外筒4の外周部41、側部42およびショルダー部43の多様な形状を容易に実現することができる。
なお、内筒6、連結部材3、および外筒4は、それぞれ別体に形成されていてもよい。
また、内筒6、連結部材3、および外筒4は、熱可塑性樹脂以外の材質により形成されていてもよい。
タイヤ部7およびホイール部2は、一体に形成されていてもよく、それぞれ別体に形成されていてもよい。なお、ホイール部2はボス8とタイヤ部7とを連結する機能を有しており、タイヤ部7は弾性変形可能であるとともに地面からボス8に伝わる振動を吸収する機能を有している。このように、ホイール部2とタイヤ部7とは異なる機能を有しているため、異なる材質により形成されていてもよい。例えば、タイヤ部7は振動吸収性能を確保するために弾性率が比較的小さい材質により形成し、ホイール部2は堅牢性を確保するために弾性率がタイヤ部7よりも大きい材質により形成されていてもよい。また、例えばホイール部2を比較的比重の小さい材質により形成し、非空気入りタイヤ1全体の軽量化を図ってもよい。
トレッド部材5は、例えば、天然ゴム又は/及びゴム組成物が加硫された加硫ゴム、或いは熱可塑性材料等で形成されている。熱可塑性材料として、例えば熱可塑性エラストマー若しくは熱可塑性樹脂等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えばJIS
K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えばウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、若しくはポリアミド樹脂等が挙げられる。なお、耐摩耗性の観点ではトレッド部材5を加硫ゴムで形成するのが好ましい。
連結部材3は、全体として湾曲した長方形状の板状に形成されており、表裏面がタイヤ周方向を向き、側面がタイヤ幅方向を向いている。連結部材3は弾性変形可能な材質により形成され、内筒6の外周面側と外筒4の内周面側とを相対的に弾性変位自在に連結している。連結部材3は、タイヤ周方向に等間隔をあけて複数配置されている。
複数の連結部材3はそれぞれ、内筒6に接続される内側部3aと、外筒4に接続される外側部3bと、を有する。内側部3aと外側部3bとは、連結部材3のタイヤ径方向の中央部において互いに接続されており、側面視においてこの接続部で鈍角に交わっている。
内側部3aのタイヤ周方向における厚みは、外側部3bのタイヤ周方向における厚みよりも小さい。外側部3bのタイヤ周方向における厚みは、タイヤ径方向外側に向かうに従い、漸次大きくなっている。
なお、連結部材3の形態は図示の例に限られず、連結部材3が弾性変形可能であり、非空気入りタイヤとして機能するものであれば、他の構成を採用してもよい。例えば、内筒6および外筒4の間の円盤状の連結部材がハニカム状に肉抜きされた構成、板状の連結部材が車軸を中心に放射状に配置された構成、放射状の連結部材同士を中間部材で連結する構成などを採用してもよい。
ここで本実施形態では、外筒4は、図2に示すように、タイヤ赤道部(中心線O2)上に位置する外周部41と、外周部41に対するタイヤ幅方向の両側に位置する側部42と、外周部41と側部42とを接続するショルダー部43と、を備える。
外周部41は、外筒4におけるタイヤ径方向の外側の端部である。外周部41は、前記縦断面視において、タイヤ幅方向に延びる直線状に形成されている。外周部41は、前記縦断面視において、タイヤ赤道部を基準としてタイヤ幅方向に線対称に形成されている。
側部42は、外筒4におけるタイヤ幅方向の外側の端部であり、一対配置されている。側部42は、外周部41よりもタイヤ径方向の内側に位置している。側部42は、前記縦断面視において、タイヤ径方向に延びる直線状に形成されている。一対の側部42は、前記縦断面視において、タイヤ赤道部を基準としてタイヤ幅方向に線対称に形成されている。
ショルダー部43は、タイヤ周方向の全周にわたって面取りされている。ショルダー部43は、前記縦断面視において、タイヤ幅方向の外側に向かうに従い漸次、タイヤ径方向の内側に向けて延びている。ショルダー部43は、前記縦断面視において、タイヤ幅方向の外側およびタイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成されている。ショルダー部43は、いわゆるR面取りされている。
ショルダー部43は、前記縦断面視において単一の曲率をなす1つの円弧部44(フィレット)によって形成されている。円弧部44は、外周部41にタイヤ幅方向の外側から接していて、外周部41は、円弧部44における接線上に位置している。これにより、外周部41と円弧部44とは、段差なく滑らかに接続されている。一方、円弧部44と側部42との接点は、前記縦断面視において角部をなしている。円弧部44と側部42とは、段差を有して接続されている。
なお、外筒4の内周面は、前記縦断面視において、タイヤ幅方向に延びる直線状に形成されている。
トレッド部材5を形成する材質の弾性率は、タイヤ部7を形成する材質の弾性率よりも小さい。トレッド部材5の外周面は、前記縦断面視において、タイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成されている。
トレッド部材5は、外筒4の外周部41、側部42およびショルダー部43を覆っている。トレッド部材5は、外周部41、側部42およびショルダー部43をそれぞれの全域にわたって覆う1つの環状体によって形成されている。
トレッド部材5において側部42を覆う部分である保護部分9は、外筒4をタイヤ幅方向に挟んで一対設けられている。保護部分9におけるタイヤ径方向の両端部は、タイヤ径方向に開放されて露出する自由端とされていて、タイヤ径方向の移動を拘束されていない。言い換えると、保護部分9におけるタイヤ径方向の内側の端部は、タイヤ径方向への内側への移動が規制された固定端となってはいない。
以上説明したように、本実施形態に係る非空気入りタイヤ1によれば、外筒4のショルダー部43が面取りされている。したがって、非空気入りタイヤ1が縁石Cと衝突し、縁石Cと外筒4のショルダー部43との間にトレッド部材5が挟み込まれたときに、トレッド部材5に発生する圧縮応力を緩和することができる。これにより、トレッド部材5に損傷が生じるのを抑制することができる。
また、縁石Cと外筒4のショルダー部43との間にトレッド部材5が挟み込まれると、トレッド部材5の保護部分9がタイヤ径方向の内側に向けて膨出しようとする。このとき、保護部分9に対してタイヤ径方向の内側に、例えば外筒4などが位置していると、保護部分9においてタイヤ径方向の内側に位置する端部が変位を拘束されて固定端となり、保護部分9のタイヤ径方向への膨出変形が規制される。しかしながら、トレッド部材5が、外筒4の側部42を、そのタイヤ径方向の全長にわたって覆うことで、保護部分9においてタイヤ径方向の内側に位置する端部が変位を拘束されずに自由端となり、トレッド部材5の前述の膨出変形が許容される。これにより、トレッド部材5に損傷が生じるのを一層抑制することができる。
また、前記縦断面視において、外筒4の外周部41が、タイヤ幅方向に延びる直線状に形成されている。したがって、前記縦断面視において、外筒4の外周部41が、タイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成されている場合に比べて、タイヤ赤道部において外筒4の肉厚を抑えつつトレッド部材5の肉厚を確保することができる。これにより、乗り心地性を確保しつつ長寿命化を図ることができる。
また、前記縦断面視において、外筒4のショルダー部43が、タイヤ幅方向の外側に向かうに従い漸次、タイヤ径方向の内側に向けて延びている。したがって、トレッド部材5のうち、外筒4のショルダー部43に対してタイヤ径方向の外側に位置する部分(以下、「トレッド部材5のショルダー部分」という。)において、トレッド部材5の肉厚を薄くすることができる。さらに、トレッド部材5のショルダー部分において、トレッド部材5の肉厚を、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて徐々に薄くしていくことができる。これにより、コーナリング等の大きなキャンバー角を伴う入力に対する転がり抵抗の増加を抑えることができる。
また、外筒4のショルダー部43が、前記縦断面視において曲線状に形成されている。したがって、トレッド部材5に生じる圧縮応力をより緩和することが可能になり、トレッド部材5に損傷が生じるのを効果的に抑制することができる。
また、トレッド部材5の外周面が、前記縦断面視において、タイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成されている。したがって、例えばコーナリング等においてキャンバー角を大きくしても、非空気入りタイヤ1の接地面積を確保することができる。
しかも、外筒4のショルダー部43が、前記縦断面視において、タイヤ幅方向の外側およびタイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成されている。したがって、前述のようにキャンバー角を大きくしたときに、外筒4のショルダー部43を、トレッド部材5を介して違和感なく接地させることが可能になり、乗り心地性を向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の非空気入りタイヤを、図3から図6を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態に係る非空気入りタイヤ10では、図3に示すように、ボス8と装着筒部2aとが同一材料で一体に形成されている。また連結部材3は、内筒6の外周面と外筒4の内周面とを互いに連結する第1連結板21及び第2連結板22を備えている。第1連結板21及び第2連結板22は、ともに弾性変形可能な板材とされている。
第1連結板21は、タイヤ幅方向に沿う一方側の位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されている。第2連結板22は、タイヤ幅方向に沿う他方側の位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されている。すなわち、第1連結板21及び第2連結板22は、タイヤ幅方向に互いに間隔をあけて配置され、それぞれの位置でタイヤ周方向に沿って複数配置されている。
図5に示すように、第1連結板21のうち、外筒4に連結された一端部(外端部)は、内筒6に連結された他端部(内端部)よりもタイヤ周方向の一方側に位置している。これに対して、第2連結板22のうち、外筒4に連結された一端部(外端部)は、内筒6に連結された他端部(内端部)よりもタイヤ周方向の他方側に位置している。第1連結板21及び第2連結板22の他端部は、タイヤ側面視で、内筒6の外周面において一端部とタイヤ径方向で対向する位置から、中心軸O1を中心にタイヤ周方向における一方側及び他方側にそれぞれ同じ距離離れた位置に各別に連結されている。各連結部材3のタイヤ側面視の形状は、タイヤ径方向に沿って延在し、かつ第1連結板21及び第2連結板22の各一端部を通る仮想線Lを対称軸として線対称とされている。
ところで、図3に示すように、内筒6は、タイヤ幅方向の一方側に位置する第1内筒25と、タイヤ幅方向の他方側に位置する第2内筒26と、に分割されている。同様に、外筒4は、タイヤ幅方向の一方側に位置する第1外筒23と、タイヤ幅方向の他方側に位置する第2外筒24と、に分割されている。外筒4は、タイヤ幅方向に隣接して配置された第1、第2外筒23、24におけるタイヤ幅方向の端部同士が、互いに連結されてなる。図示の例では、内筒6及び外筒4は、それぞれタイヤ幅方向の中央部(タイヤ赤道部、中心線O2)で分割されている。
第1内筒25及び第1外筒23は、第1連結板21と例えば射出成形により一体に形成されている。第2内筒26及び第2外筒24は、第2連結板22と例えば射出成形により一体に形成されている。
以下、第1内筒25、第1外筒23及び第1連結板21が一体に形成されたユニットを第1分割ケース体31といい、第2内筒26、第2外筒24及び第2連結板22が一体に形成されたユニットを第2分割ケース体32という。
第1分割ケース体31及び第2分割ケース体32は、互いに同形同大とされている。第1分割ケース体31及び第2分割ケース体32を一体に連結する際、各連結部材3がタイヤ側面視で上述のように線対称となるように、第1分割ケース体31及び第2分割ケース体32をタイヤ周方向に位置合わせつつ、第1分割ケース体31及び第2分割ケース体32の向きをタイヤ幅方向で互いに逆向きにした状態で、第1外筒23及び第2外筒24のタイヤ幅方向の端縁同士を突き合わせて連結する。
その後、一体に組み合わせた第1分割ケース体31及び第2分割ケース体32に対して、トレッド部材5を設けることで、非空気入りタイヤ10を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の非空気入りタイヤ15を、図7を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態に係る非空気入りタイヤ15では、外筒4のタイヤ幅方向に沿う幅をW1として、外周部41のタイヤ幅方向に沿う幅をW2としたときに、0.1≦W2/W1≦0.6である。幅W1は、一対の側部42間のタイヤ幅方向に沿う距離である。
以上説明したように、本実施形態に係る非空気入りタイヤ15によれば、0.1≦W2/W1≦0.6なので、キャンバー角の大きさによらず乗り心地性を確保することができる。すなわち、W2/W1が0.1よりも小さい場合、外筒4の外周部41の大きさが小さくなり過ぎてタイヤ赤道部においてトレッド部材5が薄くなり、キャンバー角が小さいときに乗り心地性が確保できないおそれがある。また、W2/W1が0.6よりも大きい場合、外筒4のショルダー部43の大きさが小さくなり過ぎてトレッド部材5のショルダー部分が薄くなり、キャンバー角が大きいときに乗り心地性が確保できないおそれがある。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態の非空気入りタイヤ50を、図8を参照して説明する。
なお、この第4実施形態においては、第3実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態に係る非空気入りタイヤ50では、円弧部44は、タイヤ幅方向に複数(図示の例では2つ)配置されている。外筒4のショルダー部43は、タイヤ幅方向の全域にわたって複数の円弧部44によって形成されている。複数の円弧部44は、前記縦断面視において互いに異なる曲率をなしている。本実施形態では、前記縦断面視において、タイヤ幅方向に隣り合う円弧部44が、互いの接点において共通の接線を有するように、言い換えると、タイヤ幅方向に隣り合う円弧部44が接するように、複数の円弧部44が配置されている。複数の円弧部44では、タイヤ幅方向の内側に位置する円弧部44からタイヤ幅方向の外側に位置する円弧部44に向けて曲率が徐々に大きくなっている。タイヤ幅方向の内側に位置する第1円弧部44aの曲率をR1とし、タイヤ幅方向の外側に位置する第2円弧部44bの曲率をR2とすると、R2>R1となっている。前記縦断面視において、第2円弧部44bは、側部42にタイヤ径方向の外側から接していて、側部42は、第2円弧部44bにおける接線上に位置している。第2円弧部44bと側部42とは、段差なく滑らかに接続されている。
以上説明したように、本実施形態に係る非空気入りタイヤ50によれば、複数の円弧部44では、タイヤ幅方向の内側に位置する円弧部44からタイヤ幅方向の外側に位置する円弧部44に向けて曲率が徐々に大きくなっている。これにより、トレッド部材5に生じる圧縮応力を一層緩和することができる。
また、外筒4のショルダー部43が、タイヤ幅方向の全域にわたって複数の円弧部44によって形成されている。したがって、前記縦断面視において、タイヤ幅方向に隣り合う円弧部44が接するように、複数の円弧部44を配置することで、外筒4のショルダー部43を段差なく滑らかに形成することができる。これにより、トレッド部材5に生じる圧縮応力をより一層緩和することができる。
(第5実施形態)
次に、本発明に係る第5実施形態の非空気入りタイヤ60を、図9を参照して説明する。
なお、この第5実施形態においては、第4実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態に係る非空気入りタイヤ60では、外筒4のショルダー部43は、2つ(複数)の円弧部44と、1つの直線部45と、によって形成されている。2つの円弧部44は、前記縦断面視において互いに同等の曲率をなしている。2つの円弧部44の曲率中心は、共通している。直線部45は、2つの円弧部44の間に配置され、2つの円弧部44を連結している。直線部45は、前記縦断面視において真直に延びている。円弧部44と直線部45とは、段差を有して接続されている。2つの円弧部44は、単一の円弧V上に配置されている。
(第6実施形態)
次に、本発明に係る第6実施形態の非空気入りタイヤ70を、図10を参照して説明する。
なお、この第6実施形態においては、第5実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態に係る非空気入りタイヤ70では、2つの円弧部44は、前記縦断面視において互いに異なる曲率をなしている。タイヤ幅方向の内側に位置する第1円弧部44aの曲率をR1とし、タイヤ幅方向の外側に位置する第2円弧部44bの曲率をR2とすると、R2>R1となっている。第2円弧部44bは、側部42にタイヤ径方向の外側から接している。前記縦断面視において、円弧部44は、直線部45に接していて、直線部45は、円弧部44における接線上に位置している。円弧部44と直線部45とは、段差なく滑らかに接続されている。
(第7実施形態)
次に、本発明に係る第7実施形態の非空気入りタイヤ80を、図11を参照して説明する。
なお、この第7実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態に係る非空気入りタイヤ80では、外筒4のショルダー部43が、R面取りされているのに代えて、C面取りされている。ショルダー部43は、1つの直線部45により形成されている。直線部45は、前記縦断面視において真直に延びている。
(第8実施形態)
次に、本発明に係る第8実施形態の非空気入りタイヤ90を、図12を参照して説明する。
なお、この第8実施形態においては、第7実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態に係る非空気入りタイヤ90では、外筒4のショルダー部43が、複数(図示の例では2つ)の直線部45により形成されている。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
図13に示す変形例に係る非空気入りタイヤ1Aのように、トレッド部材5の保護部分9におけるタイヤ径方向の内側の端部がタイヤ幅方向の内側に延長され、この延長部分9aが外筒4をタイヤ径方向の内側から覆っていてもよい。
保護部分9が一対ではなく1つ設けられ、一対の側部42の一方がタイヤ幅方向に露出して開放されていてもよい。さらに、保護部分9が、側部42を全域にわたって覆っていなくてもよく、例えば、タイヤ周方向に間欠的に配置されていてもよい。
前記縦断面視において、側部42は、タイヤ径方向に延びる直線状に形成されていなくてもよい。例えば、前記縦断面視において、側部42が、点状に形成されていてもよく、側部42は、タイヤ径方向の大きさがある面状に形成されていなくてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1、10、15、50、60、70、80、90 非空気入りタイヤ
3 連結部材
4 外筒
5 トレッド部材
6 内筒
41 外周部
42 側部
43 ショルダー部
44 円弧部

Claims (3)

  1. 車軸に取り付けられる内筒と、
    前記内筒をタイヤ径方向の外側から囲う外筒と、
    前記内筒および前記外筒を連結する連結部材と、
    前記外筒に外嵌されたトレッド部材と、を備え、
    前記外筒は、タイヤ赤道部上に位置する外周部と、前記外周部に対するタイヤ幅方向の両側に位置する側部と、前記外周部と前記側部とを接続するショルダー部と、を備え、
    前記トレッド部材は、前記外周部、前記側部および前記ショルダー部を覆い、
    前記ショルダー部は、面取りされ
    前記ショルダー部は、タイヤ幅方向およびタイヤ径方向の双方向に沿う縦断面視において、タイヤ幅方向の外側およびタイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成され、
    前記ショルダー部は、タイヤ幅方向に複数配置されるとともに前記縦断面視において互いに異なる曲率をなす円弧部を備え、
    複数の前記円弧部では、タイヤ幅方向の内側に位置する前記円弧部からタイヤ幅方向の外側に位置する前記円弧部に向けて曲率が徐々に大きくなっていることを特徴とする非空気入りタイヤ。
  2. 前記ショルダー部は、タイヤ幅方向の全域にわたって複数の前記円弧部によって形成されていることを特徴とする請求項に記載の非空気入りタイヤ。
  3. 前記トレッド部材の外周面は、前記縦断面視において、タイヤ径方向の外側に向けて突となる曲線状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の非空気入りタイヤ。
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