以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る造形装置10の一例を示す。図1(a)は、造形装置10の要部の構成の一例を示す。図1(b)は、造形装置10におけるヘッド部12の構成の一例を示す。
尚、以下に説明をする点を除き、造形装置10は、公知の造形装置と同一又は同様の特徴を有してよい。より具体的に、以下に説明をする点を除き、造形装置10は、インクジェットヘッドを用いて造形物50の材料となる液滴を吐出することで造形を行う公知の造形装置と同一又は同様の特徴を有してよい。また、造形装置10は、図示した構成以外にも、例えば、造形物50の造形等に必要な各種構成を更に備えてよい。
本例において、造形装置10は、積層造形法により立体的な造形物50を造形する造形装置(3Dプリンタ)である。この場合、積層造形法とは、例えば、予め設定された積層方向へ複数の層を積層することで立体的な造形物50を造形する方法のことである。造形物50とは、例えば、立体的な三次元構造物のことである。また、本例において、造形装置10は、ヘッド部12、造形台14、走査駆動部16、モード設定部18、及び制御部20を備える。
ヘッド部12は、造形物50の材料を吐出する部分である。また、本例において、造形物50の材料としては、インクを用いる。この場合、インクとは、例えば、機能性の液体のことである。また、本例において、インクについては、例えば、インクジェットヘッドから吐出する液体等と考えることもできる。この場合、インクジェットヘッドとは、例えば、インクジェット方式でインクの液滴を吐出する吐出ヘッドのことである。また、より具体的に、ヘッド部12は、造形物50の材料として、複数のインクジェットヘッドから、所定の条件に応じて硬化するインクを吐出する。そして、着弾後のインクを硬化させることにより、造形物50を構成する各層を重ねて形成する。また、本例では、インクとして、紫外線の照射により液体状態から硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)を用いる。
また、ヘッド部12は、造形物50の材料に加え、サポート層52の材料を更に吐出する。これにより、ヘッド部12は、造形物50の周囲等に、必要に応じて、サポート層52を形成する。サポート層52とは、例えば、造形中の造形物50の少なくとも一部を支持する積層構造物のことである。サポート層52は、造形物50の造形時において、必要に応じて形成され、造形の完了後に除去される。
造形台14は、造形中の造形物50を支持する台状部材であり、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドと対向する位置に配設され、造形中の造形物50を上面に載置する。また、本例において、造形台14は、少なくとも上面が積層方向(図中のZ方向)へ移動可能な構成を有しており、走査駆動部16に駆動されることにより、造形物50の造形の進行に合わせて、少なくとも上面を移動させる。この場合、積層方向とは、例えば、積層造形法において造形の材料が積層される方向のことである。また、本例において、積層方向は、造形装置10において予め設定される主走査方向(図中のY方向)及び副走査方向(図中のX方向)と直交する方向である。
走査駆動部16は、造形中の造形物50に対して相対的に移動する走査動作をヘッド部12に行わせる駆動部である。この場合、造形中の造形物50に対して相対的に移動するとは、例えば、造形台14に対して相対的に移動することである。また、ヘッド部12に走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部12が有するインクジェットヘッドに走査動作を行わせることである。また、本例において、走査駆動部16は、走査動作として、主走査動作(Y走査)、副走査動作(X走査)、及び積層方向走査(Z走査)をヘッド部12に行わせる。
主走査動作とは、例えば、造形の材料であるインクを吐出しつつ造形中の造形物50に対して相対的に主走査方向へ移動する動作のことである。本例において、走査駆動部16は、主走査方向における造形台14の位置を固定して、ヘッド部12の側を移動させることにより、ヘッド部12に主走査動作を行わせる。また、走査駆動部16は、例えば、主走査方向におけるヘッド部12の位置を固定して、例えば造形台14を移動させることにより、造形物50の側を移動させてもよい。
副走査動作とは、例えば、主走査方向と直交する副走査方向へ造形中の造形物50に対して相対的に移動する動作のことである。また、より具体的に、副走査動作は、例えば、予め設定された送り量だけ副走査方向へ造形台14に対して相対的に移動する動作である。本例において、走査駆動部16は、主走査動作の合間に、副走査方向におけるヘッド部12の位置を固定して、造形台14を移動させることにより、ヘッド部12に副走査動作を行わせる。また、走査駆動部16は、副走査方向における造形台14の位置を固定して、ヘッド部12を移動させることにより、ヘッド部12に副走査動作を行わせてもよい。
積層方向走査とは、例えば、造形中の造形物50に対して相対的に積層方向へヘッド部12を移動させる動作のことである。走査駆動部16は、造形の動作の進行に合わせてヘッド部12に積層方向走査を行わせることにより、積層方向において、造形中の造形物50に対するインクジェットヘッドの相対位置を調整する。また、より具体的に、本例の積層方向走査において、走査駆動部16は、積層方向におけるヘッド部12の位置を固定して、造形台14を移動させる。走査駆動部16は、積層方向における造形台14の位置を固定して、ヘッド部12を移動させてもよい。
モード設定部18は、造形装置10において実行する造形の動作モードを設定するための構成である。この場合、動作モードとは、例えば、造形の動作を指定するモードのことである。造形モードについては、例えば、造形の動作の各種の条件をまとめて指定するパラメータ等と考えることもできる。また、モード設定部18は、例えば、造形装置10を操作するオペレータの指示に応じて、造形モードの設定を行う。また、モード設定部18は、例えば、造形装置10の動作を制御する制御用のコンピュータ(ホストPC)を介して、オペレータの指示を受け取る。この場合、モード設定部18は、例えば、造形装置10において造形しようとする造形物50を示すデータである造形物データとして、動作モードを指定する情報を含むデータをホストPCから受けとってもよい。また、モード設定部18は、造形物データとは別に、動作モードを指定する情報を含むデータをホストPCから受け取ってもよい。
また、より具体的に、本例において、モード設定部18は、動作モードとして、少なくとも、第1モードの一例である高速モードと、第2モードの一例である高精細モードとを設定可能である。また、これらのうち、高速モードは、造形物50の造形に要する時間(造形時間)が高精細モードよりも短くなる条件で造形を行う動作モードである。高精細モードは、高速モードよりも高精細な条件で造形物の造形を行うモードである。高精細な条件で造形物の造形を行うとは、例えば、より高い品質での造形を行うことである。また、高精細モードについては、例えば、造形時間が高速モードよりも長くなる動作モードと考えることもできる。
また、モード設定部18は、動作モードとして、高速モード及び高精細モード以外の動作モードを更に設定可能であってもよい。この場合、例えば、造形時間が高速モードよりも短くなる超高速モードや、高精細モードよりも高精細な条件で造形物の造形を行う超高精細モード等を更に設定可能にすること等が考えられる。モード設定部18において設定する造形モードについては、後に更に詳しく説明をする。
制御部20は、例えば造形装置10のCPUであり、造形装置10の各部を制御することにより、造形装置10における造形の動作を制御する。より具体的に、制御部20は、例えば造形すべき造形物50の形状情報や、カラー情報等に基づき、造形装置10の各部を制御する。また、この場合、モード設定部18により設定された造形モードに合わせて、造形装置10の各部の動作を制御する。本例によれば、例えば、造形物50の造形を適切に行うことができる。
続いて、ヘッド部12のより具体的な構成について、説明をする。本例において、ヘッド部12は、複数のインクジェットヘッド、複数の紫外線光源104、及び平坦化ローラ106を有する。また、複数のインクジェットヘッドとして、図1(b)に示すように、インクジェットヘッド102s、インクジェットヘッド102w、インクジェットヘッド102y、インクジェットヘッド102m、インクジェットヘッド102c、インクジェットヘッド102k、及びインクジェットヘッド102tを有する。これらの複数のインクジェットヘッドは、例えば、副走査方向における位置を揃えて、主走査方向へ並べて配設される。また、それぞれのインクジェットヘッドは、造形台14と対向する面に、所定のノズル列方向へ複数のノズルが並ぶノズル列を有する。また、本例において、ノズル列方向は、副走査方向と平行な方向である。
また、これらのインクジェットヘッドのうち、インクジェットヘッド102sは、サポート層52の材料を吐出するインクジェットヘッドである。サポート層52の材料としては、例えば、サポート層用の公知の材料を好適に用いることができる。また、本例において、サポート層52の材料としては、造形物50の材料よりも紫外線による硬化度が弱い紫外線硬化型インクを用いる。これにより、インクジェットヘッド102sは、サポート層52の材料となる紫外線硬化型インクを、ノズル列における各ノズルから吐出する。
インクジェットヘッド102wは、白色(W色)のインクを吐出するインクジェットヘッドであり、白色のインクを、ノズル列における各ノズルから吐出する。また、本例において、インクジェットヘッド102wは、造形物50の内部を形成するための内部造形用ヘッドの一例であり、造形物50の内部を構成する内部領域を、白色のインクで形成する。また、白色のインクは、光反射性のインクの一例でもあり、例えば造形物50において光を反射する性質の領域(光反射領域)を形成する場合に用いられる。この光反射領域は、例えば、造形物50表面に対してフルカラー表現での着色を行う場合に、造形物50の外部から入射する光を反射する。フルカラー表現とは、例えば、プロセスカラーのインクによる減法混色法の可能な組み合わせで行う色の表現のことである。また、本例においては、内部領域を白色のインクで形成することにより、内部領域が光反射領域としても機能する。
尚、造形装置10の動作の変形例においては、内部領域と光反射領域とを分けて形成してもよい。この場合、内部領域について、白色のインク以外のインクを用いて形成してもよい。また、ヘッド部12は、内部領域を形成するためのインクジェットヘッドとして、造形材インク(Moインク)を吐出するインクジェットヘッド等を更に有してもよい。この場合、造形材インクとは、例えば、造形物50の内部領域の造形に用いる造形専用のインクである。また、この場合、造形材インク用のインクジェットヘッドについて、内部造形用ヘッドと考えることができる。
インクジェットヘッド102y、インクジェットヘッド102m、インクジェットヘッド102c、インクジェットヘッド102k(以下、インクジェットヘッド102y〜kという)は、着色された造形物50の造形時に用いられる着色用のインクジェットヘッドであり、着色に用いる複数色のインク(着色用のインク)のそれぞれのインクを、ノズル列における各ノズルからそれぞれ吐出する。より具体的に、インクジェットヘッド102yは、イエロー色(Y色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド102mは、マゼンタ色(M色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド102cは、シアン色(C色)のインクを吐出する。また、インクジェットヘッド102kは、ブラック色(K色)のインクを吐出する。また、この場合、YMCKの各色は、フルカラー表現に用いるプロセスカラーの一例である。
インクジェットヘッド102tは、クリアインクを吐出するインクジェットヘッドであり、クリアインクを、ノズル列における各ノズルから吐出する。クリアインクとは、例えば、無色の透明色(T)であるクリア色のインクのことである。また、本例において、着色された造形物50を造形する場合、光反射領域として機能する内部領域の周囲に、着色用のインクとクリアインクとを用いて、着色領域を形成する。そして、この場合、着色される色の違いによって生じる着色用のインクの使用量の変化を補填するようにクリアインクを用いる。このように構成すれば、例えば、様々な色で着色がされた造形物50を適切に造形することができる。
複数の紫外線光源104は、インクを硬化させるための光源(UV光源)であり、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線を発生する。また、本例において、複数の紫外線光源104のそれぞれは、間にインクジェットヘッドの並びを挟むように、ヘッド部12における主走査方向の一端側及び他端側のそれぞれに配設される。紫外線光源104としては、例えば、UVLED(紫外LED)等を好適に用いることができる。また、紫外線光源104として、メタルハライドランプや水銀ランプ等を用いることも考えられる。
平坦化ローラ106は、造形物50の造形中に形成されるインクの層を平坦化するための平坦化手段である。平坦化ローラ106は、例えば主走査動作時において、インクの層の表面と接触して、硬化前のインクの一部を除去することにより、インクの層を平坦化する。
以上のような構成のヘッド部12を用いることにより、造形物50を構成するインクの層を適切に形成できる。また、複数のインクの層を重ねて形成することにより、造形物50を適切に造形できる。
尚、ヘッド部12の具体的な構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変形することもできる。例えば、ヘッド部12は、着色用のインクジェットヘッドとして、上記以外の色用のインクジェットヘッドを更に有してもよい。また、ヘッド部12における複数のインクジェットヘッドの並べ方についても、様々に変形可能である。例えば、一部のインクジェットヘッドについて、他のインクジェットヘッドと副走査方向における位置をずらしてもよい。
続いて、造形装置10において行う造形の動作について、更に詳しく説明をする。先ず、以下において説明をする造形の動作を行うためのより具体的な構成の例として、本例の造形装置10において用いるインクジェットヘッドの構成について、更に詳しく説明をする。
図2は、インクジェットヘッド102のより詳細な構成の一例を示す。この場合、図中に示すインクジェットヘッド102は、造形装置10におけるヘッド部12(図1参照)が有するいずれか一つのインクジェットヘッドである。また、この場合、ヘッド部12においては、インクジェットヘッド102s、インクジェットヘッド102w、インクジェットヘッド102y、インクジェットヘッド102m、インクジェットヘッド102c、インクジェットヘッド102k、及びインクジェットヘッド102tのそれぞれとして、図2に示すインクジェットヘッド102を用いることが考えられる。
上記においても説明をしたように、本例において、インクジェットヘッド102は、副走査方向と並行なノズル列方向へ複数のノズル202が並ぶノズル列を有する。また、より具体的に、本例のインクジェットヘッド102におけるノズル列において、複数のノズル202は、副走査方向における間隔が一定の間隔dになるようにして、ノズル列長Lの範囲に並んでいる。
ここで、ノズル列において、副走査方向における間隔が一定の間隔dになるように複数のノズル202が並ぶとは、例えば、各ノズルの副走査方向における位置に着目した場合に、ノズル202の間隔が一定の間隔dになっていることである。また、図2においては、図示の便宜上、ノズル202の数が比較的少ない場合について、インクジェットヘッド102の構成の例を示している。しかし、インクジェットヘッド102としては、ノズル202の数がより多い構成を用いることがより好ましい。一つのインクジェットヘッド102におけるノズル202の数については、例えば500個以上(例えば、500〜2000程度)にすることが考えられる。また、図中に示すように、本例のインクジェットヘッド102における複数のノズル202は、主走査方向における位置を揃えて、副走査方向における位置が互いにずれるように並んでいる。しかし、インクジェットヘッド102の構成の変形例において、複数のノズル202の主走査方向における位置は、必ずしも揃っていなくてもよい。この場合、ノズル列長Lについては、例えば、インクジェットヘッド102において複数のノズル202が並ぶ範囲の副走査方向における幅等と考えることができる。また、一つの色用のインクジェットヘッド102としては、例えば、複数のインクジェットヘッドにより構成される複合ヘッド(例えばスタガヘッド)を用いてもよい。この場合、複合ヘッドの全体において複数のノズル202が並ぶ範囲の副走査方向における幅について、ノズル列長Lと考えることができる。
また、本例においては、造形に使用する各色のインク用のインクジェットヘッド102として上記のような構成のインクジェットヘッドを用いて、マルチパス方式での造形の動作を行う。この場合、マルチパス方式での造形の動作とは、例えば、積層造形法において積層するそれぞれのインクの層を形成する動作について、マルチパス方式で行うことである。また、マルチパス方式でインクの層を形成するとは、例えば、一つのインクの層を形成する動作において、各位置(同じ位置)に対して複数回の主走査動作を行うことである。
また、更に具体的に、本例において、造形装置10は、高速モード及び高精細モードでの造形の動作として、小ピッチパス方式での造形の動作を行う。この場合、小ピッチパス方式での造形の動作とは、例えば、それぞれのインクの層を形成する動作を小ピッチパス方式で行うことである。そこで、以下、小ピッチパス方式での造形の動作について、更に詳しく説明をする。
図3は、小ピッチパス方式での造形の動作について説明をする図であり、一般的なマルチパス方式の動作と、小ピッチパス方式の動作とを比較して示す。図3(a)は、一般的なマルチパス方式でインクの層を形成する動作の一例を示す図である。この場合、一般的なマルチパス方式とは、例えば、2次元の画像を印刷するインクジェットプリンタにおいて用いられているマルチパス方式の動作と同一又は同様にしてインクの層を形成する方式のことである。
また、より具体的に、一般的なマルチパス方式の動作とは、1回の副走査動作において造形中の造形物に対して相対的にインクジェットヘッド102を移動させる距離である副走査送り量について、例えば図3(a)に示すように、ノズル列長Lをパス数N(Nは、2以上の整数)で除した距離L/Nに設定する動作のことである。この場合、パス数Nとは、一つのインクの層の形成時に層の各位置に対して行う主走査動作の回数のことである。また、副走査送り量を距離L/Nに設定するとは、副走査送り量を実質的に距離L/Nに設定することであってよい。副走査送り量を実質的に距離L/Nに設定するとは、例えば、マルチパスの動作の制御の都合上で生じる調整量分等のずれを許容して、距離L/Nと等しく設定することである。
また、図3(a)においては、パス数Nが4である場合について、連続して行う6回の主走査動作について、一つのインクジェットヘッド102の副走査方向における位置の例を示している。図中において、丸で囲んで示す数字1〜6は、この6回の主走査動作のうちのいずれの回に対応するかを示す数字である。また、図3(a)において、文字Fは、一般的なマルチパス方式の動作での副走査送り量を示している。この場合、Fは、L/Nと等しい。また、パス数が4回の場合、F=L/4になる。図示した場合において、形成中のインクの層の副走査方向における幅は、ノズル列長Lの1/2より大きく、かつ、ノズル列長Lの3/4よりも小さくなっている。そして、この場合、図中に示すように、インクの層の各位置に対してパス数である4回分の主走査動作を行うためには、6回の主走査動作を行うことが必要になる。
これに対し、小ピッチパス方式でインクの層を形成する場合、例えば図3(b)に示すように、同じ大きさインクの層を形成するために必要な主走査動作の回数をより少なくすることができる。図3(b)は、小ピッチパス方式でインクの層を形成する動作の一例を示す図である。また、図3(b)においては、パス数Nが4である場合について、連続して行う4回の主走査動作について、一つのインクジェットヘッド102の副走査方向における位置の例を示している。図中において、丸で囲んで示す数字1〜4は、この4回の主走査動作のうちのいずれの回に対応するかを示す数字である。また、図示した場合において、形成中のインクの層の副走査方向における幅は、図3(a)に示す場合と同じである。
ここで、一つのインクの層の形成時に同じ位置に対してパス数分のN回の主走査動作を行う間に行う副走査動作をパス間副走査動作と定義し、パス間副走査動作での副走査送り量(小ピッチ送り量)をFsとした場合、小ピッチパス方式については、例えば、パス間副走査動作での副走査送り量Fsを一般的なマルチパス方式での副走査送り量Fよりも小さくする動作等と考えることができる。この場合、同じ位置に対してN回の主走査動作を行う間とは、例えば図中に示すように、一つのインクの層におけるいずれかの位置に対してN回の主走査動作を行う間のことである。パス間副走査動作については、例えば、一つのインクの層の形成時に当該層の少なくとも一部における同じ位置に対してパス数分(N回)の主走査動作を行う間に行う副走査動作等と考えることもできる。また、小ピッチパス方式での副走査動作の実行時における走査駆動部16(図1参照)の動作については、例えば、パス間副走査動作での副走査送り量Fsを距離L/Nよりも小さくしてインクジェットヘッド102に副走査動作を行わせる動作等と考えることができる。また、小ピッチパス方式におけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsについては、通常、距離L/Nの1/2であるL/(2N)よりも小さくすることが考えられる。また、小ピッチパス方式におけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsについて、好ましくは、L/(5N)以下程度である。また、インクジェットヘッド102におけるノズルの数が十分に多い場合、小ピッチパス方式におけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsについては、L/(10N)以下程度にすることが好ましい。
また、小ピッチパス方式でインクの層を形成する動作では、インクの層の副走査方向における幅に応じて、多くの場合、一般的なマルチパス方式の動作でインクの層を形成する場合よりも、必要な主走査動作の回数が少なくなる。例えば、図3(a)、(b)に示した場合、副走査方向における幅が同じインクの層を形成するために必要な主走査動作の回数について、一般的なマルチパス方式の動作での回数が6回であるのに対し、小ピッチパス方式の動作では、4回になっている。また、これにより、小ピッチパス方式では、一般的なマルチパス方式と比べ、より短時間でインクの層を形成することが可能になる。また、その結果、造形時間についても、小ピッチパス方式を用いることで、より短くすることができる。
また、小ピッチパス方式でインクの層を形成する場合において、形成しようとするインクの層の副走査方向における幅が大きい場合、例えば、パス数分のN回の主走査動作を行う毎に、パス間副走査動作での副走査送り量Fsよりも大きな副走査送り量Flでの副走査動作を行うことが考えられる。図4は、小ピッチパス方式でインクの層を形成する動作について更に詳しく説明をする図であり、副走査方向における幅がノズル列長Lよりも大きなインクの層を小ピッチパス方式で形成する動作の一例を示す。図中において、丸で囲んで示す数字1〜4は、最初に行うパス数分の主走査動作について、いずれの回に対応するかを示す数字である。また、丸で囲んで示す数字5〜8は、大きな副走査送り量Flでの副走査動作を行った後に行うパス数分の主走査動作である5〜8回目の主走査動作について、いずれの回に対応するかを示す数字である。
上記においても説明をしたように、副走査方向における幅が大きいインクの層を小ピッチパス方式で形成する場合、副走査送り量をFsとする副走査動作を挟んでパス数分の主走査動作を行う毎に、より大きな副走査送り量Flでの副走査方向を行う。また、これにより、次に行うパス数分の主走査動作でインクを吐出する範囲について、副走査送り量Flの分だけ、副走査方向における位置をずらす。このように構成すれば、副走査方向における幅が大きなインクの層を形成する場合にも、小ピッチパス方式での形成を適切に行うことができる。また、この場合も、インクの層の副走査方向における幅に応じて、多くの場合、一般的なマルチパス方式の動作でインクの層を形成する場合よりも、必要な主走査動作の回数が少なくなる。そのため、この場合も、小ピッチパス方式を用いることで、造形時間をより短くすることができる。
ここで、図からわかるように、副走査送り量Flについては、例えば、ノズル列長Lに相当する距離等と考えることができる。また、より具体的に、副走査送り量Flは、ノズル列長Lに対し、連続して行うパス数分の主走査動作の合間に行うパス間副走査動作での副走査送り量Fsの合計である(N−1)Fsを減じた距離と等しい。すなわち、これらの値の間には、Fl=L−(N−1)Fsの関係が成り立っていると考えることができる。また、この場合、造形装置10における走査駆動部16(図1参照)の動作については、例えば、副走査方向における幅がノズル列長Lよりも大きなインクの層を形成する場合において、インクの層における同じ位置に対してパス数であるN回分の主走査動作をインクジェットヘッド102に行わせる毎に、副走査送り量をノズル列長Lに対応する距離に設定した副走査動作をインクジェットヘッド102に行わせると考えることができる。このように構成すれば、例えば、大きなサイズの造形物を造形する場合にも、造形物の造形を適切に行うことができる。
また、この場合、大きな副走査送り量Flでの副走査動作を行う前にパス数分の主走査動作でインクを吐出する範囲と、この副走査動作の後のパス数分の主走査動作でインクを吐出する範囲とは、一部が重なることになる。また、その結果、インクの層において、このような重なりの部分に相当するつなぎ領域152が形成されることになる。そして、この場合、つなぎ領域152は、形成中に大きな副走査送り量Flでの副走査動作が行われること等により、他の部分と異なる状態で形成されることが考えられる。また、その結果、インクの層において、つなぎ領域152の位置であるつなぎ位置が目立ち、造形の品質に影響が生じること等も考えられる。
これに対し、本例においては、上記においても説明をしたように、造形に求められる品質等に応じて、造形の動作モードとして、高速モード及び高精細モード等を選択可能にしている。また、この場合において、例えば、高精細モードにおいて、つなぎ位置をより目立ちにくくなる条件での造形を行う。
図5は、モード設定部18(図1参照)において設定する造形モードについて更に詳しく説明をする図である。図5(a)は、高速モードの動作の一例を示す図であり、高速モードにおけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsの一例を示す。図5(b)は、高精細モードの動作の一例を示す図であり、高精細モードにおけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsの一例を示す。
上記においても説明をしたように、小ピッチパス方式での造形の動作を行う場合、一般的なマルチパス方式で造形の動作を行う場合と比べて、造形時間を短くすることができる。また、この場合、通常、パス間副走査動作での副走査送り量Fsを小さくする程、造形時間が短くなる。一方、図4を用いて上記において説明をするように、副走査方向における幅が大きなインクの層を小ピッチパス方式で形成する場合、つなぎ領域が形成されることになる。また、この場合、通常、パス間副走査動作での副走査送り量Fsを小さくする程、つなぎ位置が目立ちやすくなると考えられる。そのため、小ピッチパス方式の動作については、例えば、造形の速度をより速くするとつなぎ位置がより目立ちやすくなると考えることができる。
そこで、本例においては、パス間副走査動作での副走査送り量Fsについて、高精細モードでの副走査送り量Fsが高速モードでの副走査送り量Fsよりも大きくなるように、各モードでの副走査送り量Fsを設定する。このように構成すれば、例えば、高速モードにおいて、高精細モードよりも高速に造形を行うことができる。また、これにより、高速モードにおいて、高速な造形をより適切に行うことができる。また、この場合、高精細モードにおいては、例えば、高速モードよりもつなぎ位置を目立ちにくくすることができる。また、これにより、高精細モードにおいて、高い品質での造形をより適切に行うことができる。また、より具体的に、本例においては、図中に示すように、高速モードでの副走査送り量Fsについて、f1に設定する。また、高精細モードでの副走査送り量Fsについて、f1よりも大きなf2に設定する。このように構成すれば、例えば、各モードでの造形の動作を適切に行うことができる。
ここで、本例において、高速モードについては、例えば、パス間副走査動作での副走査送り量Fsを第1の条件で設定する動作モード等と考えることができる。また、高精細モードについては、例えば、パス間副走査動作での副走査送り量Fsを第1の条件と異なる第2の条件で設定する動作モード等を考えることができる。そして、この場合、第2の条件については、例えば、パス間副走査動作での副走査送り量Fsが第1の条件よりも大きくなる条件等と考えることができる。また、この場合、高精細モードについては、例えば、パス間副走査動作での副走査送り量Fsを第1の条件よりも大きくすることで造形に要する時間がより長くなる動作モード等と考えることもできる。
また、高速モード及び高精細モードにおけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsについては、例えば、同じパス数で一般的なマルチパス方式を用いる場合の副走査送り量よりも小さくなっている範囲で、副走査方向における造形の解像度に応じて設定することが好ましい。また、副走査方向における造形の解像度については、例えば、動作モード毎に異ならせてもよい。より具体的に、例えば、高速モードでの副走査方向における造形の解像度に対応するドット間距離をx1とし、高精細モードでの副走査方向における造形の解像度に対応するドット間距離をx2とした場合、f1、f2、x1、x2について、f2/x2>f1/x1となるようにそれぞれの値を設定することが考えられる。このように構成すれば、例えば、高速モードにおいて、高精細モードよりも高速に造形の動作を適切に行うことができる。また、高精細モードにおいて、例えば、高速モードよりも高精細な条件での造形を適切に行うことができる。
また、更に具体的に、f1及びx1の値については、例えば、f1/X1≦5となるように設定することが好ましい。このように構成すれば、例えば、高速な造形の動作をより適切に行うことができる。また、f1/X1の値については、好ましくは2以下、更に好ましくは1以下である。また、造形装置10(図1参照)の構成によっては、f1の値について、例えば、0(ゼロ)にすること等も考えられる。また、f2及びx2の値については、例えば、f2/X2≧10となるように設定することが好ましい。このように構成すれば、例えば、高精細な条件での造形を適切に行うことができる。また、より高精細な造形を行う場合、f1/X1の値について、例えば20以上にすること等も考えられる。
以上のように、本例によれば、例えば、小ピッチパス方式での造形を行うことで、それぞれのインクの層の形成時に行う主走査動作の回数を低減することができる。また、これにより、例えば、造形時間を適切に短縮することができる。また、この場合において、上記のような高速モード及び高精細モードを設定可能にすることで、例えば、パス間副走査動作での副走査送り量Fsを動作モードによって異ならせることができる。また、これにより、例えば、造形に求められる品質等に応じた造形の動作で造形物の造形をより適切に行うことができる。
続いて、上記において説明をした構成に関する補足説明や、変形例の説明等を行う。上記においては、造形装置10において設定可能な動作モードとして、主に、高速モード及び高精細モードについて、説明をした。しかし、動作モードとしては、これらに限らず、他の動作モードを更に設定可能にしてもよい。また、この場合、例えば、高速モードよりも更に高速に造形を行う超高速モードや、高精細モードよりも更に高精細に造形を行う超高精細モード等を設定可能にすること等が考えられる。また、超高速モードにおいては、例えば、高速モードでの造形時よりも造形の解像度を低くすることで、より高速に造形を行うことが考えられる。また、超高精細モードでは、例えば、パス間副走査動作での副走査送り量Fsを高精細モードよりも大きくして造形を行うことが考えられる。また、超高精細モードでは、例えば、小ピッチパス方式を用いずに、例えば図3(a)を用いて説明をしたような一般的なマルチパス方式の動作でインクの層を形成してもよい。
また、上記のように、本例においては、造形物を構成するそれぞれのインクの層を形成する動作について、小ピッチパス方式で行う。そして、この場合、一つのインクの層を形成する動作については、例えば、一つのスライスデータに基づいてインクの層を形成する動作と考えることができる。一つのスライスデータとは、例えば、積層方向における一つの位置での造形物の断面を示すデータのことである。
より具体的に、上記においても説明をしたように、本例において、造形装置10は、例えば、造形物を示す造形物データをホストPCから受け取り、造形物データに基づき、造形物の造形を行う。また、この場合、造形物データに基づき、造形物における互いに異なる位置の断面を示すスライスデータを生成する。また、積層方向における各位置のスライスデータとしては、例えば、積層方向と直交する面内(XY面内)においてヘッド部12(図1参照)の各インクジェットヘッドからインクを吐出する位置を示すデータを生成する。そして、スライスデータに基づいて各インクジェットヘッドからインクを吐出することで、一つのインクの層を形成する。
また、例えば高速モードや高精細モード等で造形を行う場合において、パス間副走査動作での副走査送り量Fsについては、一つの動作モードでの造形を行う中で、変更を行ってもよい。より具体的に、この場合、少なくともいずれかの造形モードで造形物を造形する動作において、造形装置10における走査駆動部16(図1参照)は、例えば、一部のインクの層の形成時におけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsを他のインクの層の形成時におけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsと異ならせる。また、この場合、走査駆動部16は、例えば、予め設定された数の層が形成される毎に、パス間副走査動作での副走査送り量Fsを変化させる。このように構成すれば、例えば、一部のインクの層を他のインクの層と異なる条件で形成することで、例えばつなぎ位置の影響等のような、各層の形成時に生じるマクロ的な規則性を目立ちにくくすることができる。また、これにより、例えば、高い品質での造形をより適切に行うことができる。また、このようにして造形中にパス間副走査動作での副走査送り量Fsを変化させる場合、副走査送り量Fsについて、一つのインクの層が形成される毎に変化させることがより好ましい。このように構成すれば、例えば、高い品質での造形をより適切に行うことができる。
また、一つの動作モードでの動作中にパス間副走査動作での副走査送り量Fsを変化させる制御については、例えば、一部の動作モードに対してのみ行ってもよい。より具体的に、例えば、高速モードで造形を行う場合には、造形の速度を優先するために、このような制御を行わず、全てのインクの層を同じ条件で形成することが考えられる。また、例えば高精細モードで造形を行う場合には、造形の品質を優先するために、パス間副走査動作での副走査送り量Fsを上記のように変化させる制御を行うことが考えられる。
また、パス間副走査動作での副走査送り量Fsについては、例えば、積層方向におけるインクの層の位置によって変化させること等も考えられる。この場合、例えば、積層方向における下層側においてパス間副走査動作での副走査送り量をより大きくすることが考えられる。このように構成すれば、例えば、積層されるインクの層に反りが生じること等をより適切に防ぐことができる。より具体的に、この場合、走査駆動部16は、例えば、積層方向の下側からM番目(Mは、1以上の整数)までのインクの層の形成時におけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsを、M+1層目以降のインクの層の形成時におけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsよりも大きくする。このように構成すれば、例えば、高い品質での造形をより適切に行うことができる。また、このような制御についても、例えば、高速モード及び高精細モードのうち、造形の速度を優先する高速モードでは行わず、造形の品質を優先する高精細モードでのみ行うこと等も考えられる。
尚、積層方向の下側からM番目までのインクの層の形成時におけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsと、M+1層目以降のインクの層の形成時におけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsとの大小関係は、実質的な大小関係であってよい。この場合、実質的な大小関係とは、例えば、形式的に大小関係の例外となるインクの層を形成する場合等において、このような例外のインクの層を除いて考えた大小関係のことである。また、この場合、積層方向の下側からM番目までのインクの層の形成時におけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsと、M+1層目以降のインクの層の形成時におけるパス間副走査動作での副走査送り量Fsとの大小関係については、それぞれの範囲における平均の副走査送り量Fsに基づいて判断すること等が考えられる。
また、上記においても説明をしたように、小ピッチパス方式でインクの層を形成する場合、副走査送り量をノズル列長Lに対応する距離に設定した副走査動作を行うことで、つなぎ領域が形成されることになる。そして、この場合、つなぎ領域の位置であるつなぎ位置については、積層されるインクの層において、できるだけ同じ位置で重ならないようにすることが好ましい。そのため、つなぎ位置については、例えば、予め設定された数のインクの層が形成される毎に変化させることが考えられる。このように構成すれば、例えば、多数のインクの層におけるつなぎ位置が同じ位置で重なることでつなぎ位置が目立つことを適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、高い品質での造形をより適切に行うことができる。また、このような制御についても、例えば、高速モード及び高精細モードのうち、高速モードでは行わず、高精細モードでのみ行うこと等も考えられる。また、つなぎ位置については、例えば、副走査送り量をノズル列長Lに対応する距離に設定した副走査動作の前の副走査方向におけるインクジェットヘッド102の位置と、この副走査動作の後の副走査方向におけるインクジェットヘッド102の位置との境界となる位置等と考えることができる。
また、上記において説明をした小ピッチパス方式での好ましい動作については、高速モード及び高精細モードのような複数の動作モードを設定可能な構成の造形装置10に限らず、小ピッチパス方式で造形を行う動作モードが1種類のみの造形装置においても、好適に用いることができる。より具体的に、この場合も、所定の数のインクの層(例えば、一つのインクの層)を形成する毎にパス間副走査動作での副走査送り量Fsを変更することが考えられる。また、例えば、パス間副走査動作での副走査送り量Fsについて、積層方向におけるインクの層の位置によって変化させること等も考えられる。また、この場合も、つなぎ位置について、積層されるインクの層において、できるだけ同じ位置で重ならないようにすることが好ましい。
また、上記の説明から理解できるように、小ピッチパス方式での副走査送り量Fsは、ノズル列長Lよりも十分に小さくすることが好ましい。また、この点に関し、上記においては、主に、図2に示した構成のインクジェットヘッド102を用いる場合について、ノズル列長Lの説明を行った。しかし、上記においても説明をしたように、インクジェットヘッド102の構成の変形例においては、図2に示した構成とは異なる構成を有するインクジェットヘッド102を用いることも考えられる。そこで、以下、このような変形例を考慮して、インクジェットヘッド102の構成とノズル長Lとの関係について、更に詳しく説明をする。
図6は、インクジェットヘッド102の構成の変形例について説明をする図である。また、以下に説明をする点を除き、図6において、図1〜5と同じ符号を付した構成は、図1〜5における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
図6(a)は、インクジェットヘッド102の構成の変形例を示す。上記においても説明をしたように、インクジェットヘッド102の構成の変形例において、複数のノズル202の主走査方向における位置は、必ずしも揃っていなくてもよい。そして、この場合、例えば図中に示すように、主走査方向における位置をずらして並ぶ複数の列に分けてノズル202が並ぶ構成のインクジェットヘッド102を用いることが考えられる。この場合、各列のノズル202の副走査方向における位置をずらすことにより、インクジェットヘッド102の全体での副走査方向におけるノズル202の間隔について、一つの列でのノズル202の間隔よりも小さくすることができる。より具体的に、図中に示す場合、一つの列におけるノズル間隔の半分(半ピッチ)だけそれぞれのノズル202の副走査方向における位置がずれるように、二つの列が形成されている。この場合、1回の主走査動作において形成可能なインクのドットの副走査方向における間隔は、図中に距離dとして示すように、一つの列におけるノズルの間隔の半分になる。そのため、このように構成すれば、例えば、各回の主走査動作において、より高い密度でインクのドットを形成することができる。また、この場合、ノズル列長Lについては、図中に示すように、複数の列に含まれる複数のノズル202が並ぶ範囲の副走査方向における幅等と考えることができる。
図6(b)は、インクジェットヘッド102の構成の更なる変形例を示す。上記においても説明をしたように、一つの色用のインクジェットヘッド102としては、例えば、複数のインクジェットヘッドにより構成される複合ヘッドを用いてもよい。この場合、インクジェットヘッド102は、例えば図中に示すように、複数の単位ヘッド122により構成される。複数の単位ヘッド122は、同じ色のインクを吐出するインクジェットヘッドであり、副走査方向における位置をずらして配設されることにより、複合ヘッドのインクジェットヘッド102を構成する。また、図中に示す場合において、インクジェットヘッド102は、スタガヘッドである。この場合、複数の単位ヘッド122は、図中に示すように、スタガ状に並ぶ。また、この場合、複数の単位ヘッド122のそれぞれが有するノズルをまとめて並べた仮想的な列について、インクジェットヘッド102のノズル列と考えることができる。また、この場合、インクジェットヘッド102の全体において複数のノズル202が並ぶ範囲の副走査方向における幅について、ノズル列長Lと考えることができる。
また、小ピッチパス方式での具体的な動作についても、上記において説明をした動作に限らず、様々に変形することが可能である。図7は、小ピッチパス方式での具体的な動作について更に詳しく説明をする図である。図7(a)〜(c)は、小ピッチパス方式での具体的な動作の様々な例を示す。
上記においては、同じ位置に対してパス数分の主走査動作を行う間に行う副走査動作(パス間副走査動作)において造形物に対して相対的にインクジェットヘッドを移動させる向きに関し、主に、一方向にする場合(一方向へ小ピッチの副走査動作を行う場合)について、説明をした。しかし、小ピッチの副走査動作での移動の向きについては、双方向にすること等も考えられる。より具体的に、この場合、例えば、図3(b)に示した4回の主走査動作を行う順番を一部入れ替えることが考えられる。また、この場合、例えば、図3(b)における1〜4回目の主走査動作について、例えば、1、3、2、4又は1、4、2、3の順番等に入れ替えて実行すること等が考えられる。1、3、2、4の順番に入れ替えて主走査動作を実行するとは、例えば、図3(b)における1回目の主走査動作に対応する主走査動作の次に図3(b)における3回目の主走査動作に対応する主走査動作を行い、その次に図3(b)における2回目の主走査動作に対応する主走査動作を行い、更にその次に図3(b)における4回目の主走査動作に対応する主走査動作を行うことである。また、1、4、2、3の順番に入れ替えて主走査動作を実行するとは、同様に主走査動作の順番を入れ替えることである。また、この場合、主走査動作の順番の入れ替え方に応じて、小ピッチの副走査動作での移動の向きを変更することが考えられる。
また、この場合、各回の主走査動作によりインクのドットを形成する位置は、例えば、図7(a)、(b)に示すように変化する。図7(a)は、図3(b)に示す動作において各回の主走査動作でインクのドットを形成する位置の例を示す。図中において、丸で囲んで示す数字は、その位置へインクのドットを形成する主走査動作の回を示す。また、図7(b)は、図3(b)における1〜4回目の主走査動作を1、4、2、3の順番に入れ替えた場合に各回の主走査動作でインクのドットを形成する位置の例を示す。また、上記のように主走査動作の順番を入れ替える場合、5回目以降の主走査動作(例えば、5〜8回目の主走査動作)についても、同様に入れ替えることが考えられる。このように構成した場合も、小ピッチパス方式での動作を適切に行うことができる。
また、図7(a)、(b)においては、一つのインクの層を構成するインクのドットのうち、副走査方向の位置を揃えて主走査方向へ並ぶ複数のドットをいずれかの1回の主走査動作で形成する場合の例を図示している。しかし、小ピッチパス方式の動作の変形例においては、副走査方向の位置を揃えて主走査方向へ並ぶ複数のドットについて、複数回の主走査動作で形成してもよい。この場合、例えば、図7(c)に示すように、主走査方向において一つのドットおき(1ピッチおき)に異なる回の主走査動作でインクを吐出することが考えられる。また、より具体的に、図7(c)に示す動作では、例えば、1回目の主走査動作を行った後、副走査動作を行わずに2回目の主走査動作を行い、1回目の主走査動作で形成したインクのドットの間(主走査方向におけるトッドの合間)にインクを吐出する。また、この場合、例えば、2回目の主走査動作に続いて小ピッチでの副走査動作を行い、その後に、3回目の主走査動作を行う。また、3回目の主走査動作を行った後、副走査動作を行わずに4回目の主走査動作を行い、3回目の主走査動作で形成したインクのドットの間にインクを吐出する。このように構成した場合も、小ピッチパス方式での動作を適切に行うことができる。