上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例において、「前」および「表」は「遊技機を基準とする前方」、つまり「遊技者に近接する方向(遊技者から見て手前側)」を示し、「後」および「裏」は「遊技機を基準とする後方」、つまり「遊技者から離間する方向(遊技者から見て奥側)」を示す。また、「上」とは遊技者から見て「上」であることを示し、「下」とは遊技者から見て「下」であることを示し、「左」とは遊技者から見て「左」であることを示し、「右」とは遊技者から見て「右」であることを示す。
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4は、一端(図1における左側)が中枠3に対して回動可能に軸支されている。中枠3の前面側には遊技盤20(図2参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠3に対してパチンコ機1の前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出した状態となる。中枠3は、一端(図1における左側)が本体枠2に対して回動可能に軸支されている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。
前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置される遊技盤20の後述する遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述するセグメント表示部を視認可能である。
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの右側の周縁部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの左側の周縁部には左サイドランプ5cが設けられている。また、窓部4aの上方の左右には一対の上部スピーカー6aが設けられており、本体枠2の下部の前面側には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、および下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、カードユニット242(図6参照)を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
前面枠4における下皿部8の右方には、遊技者による回転操作が可能な発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(図6参照)に接続されている。この発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーターが作動して、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
また、上皿部7の手前側の縁部には、遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には、遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。これらの演出ボタン10aやジョグシャトル10bは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定の条件成立時に遊技者によって操作されると、所定の遊技演出が行われる。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように遊技盤20は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(図6参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方に向かって流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4a(透明板4b)を通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者が視認可能である。
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40には、演出表示装置41が設けられている。演出表示装置41は、液晶表示器によって構成されており、その表示画面上に演出用の種々の画像を表示することが可能である。例えば、演出図柄として3つの識別図柄41a,41b,41cを表示可能であり、これらの識別図柄41a,41b,41cが、複数の数字(例えば「1」〜「9」の9つの数字)を次々と切り換えて変動表示を実行する。
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、内蔵のゲートセンサー27s(図6参照)によって検知されて、下方へと流下していく。
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、第1始動口24が設けられている。第1始動口24は、上方に向けて開口しており、遊技球の入球可能性が不変(一定)であって、遊技球が常時入球可能になっている。第1始動口24に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第1始動口センサー24s(図6参照)によって検知される。尚、本実施例の第1始動口24は、本発明の「入賞口」に相当している。
遊技領域21における第1始動口24の下方には、遊技球の入球可能性が変化可能な第2始動口25が設けられている。本実施例の第2始動口25は、前方に向けて開口していると共に、下端側を軸に上端側を前方に傾けて回動可能な開閉扉26を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26が前方に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第2始動口センサー25s(図6参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の右方には、前方に向けて略長方形状に大きく開口した大入賞口28が設けられている。大入賞口28は、下端側を軸に上端側を前方に傾けて回動可能な開閉扉29を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29が前方に回動して遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。図2では、大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。大入賞口28に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、大入賞口センサー28s(図6参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の左方には、その他入賞口30が2つ設けられている。その他入賞口30は、上方に向けて開口しており、遊技球の入球可能性に変化がなく、遊技球が常時入球可能である。その他入賞口30に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、その他入賞口センサー30s(図6参照)によって検知される。
また、上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が流下する経路に影響を与える風車型ホイール31や、図2では図示を省略するが多数の遊技釘が設けられている。さらに、遊技領域21の最下部には、アウト口33が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、大入賞口28、その他入賞口30の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏面側に排出される。
本実施例のパチンコ機1において、複数の遊技釘の配置などにより、上述した第1始動口24、その他入賞口30には、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下する遊技球が入球可能である。これに対して、普通図柄作動ゲート27、大入賞口28、第2始動口25には、中央装置40の右方の領域を流下する遊技球が通過または入球可能である。以下では、中央装置40の左方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「左打ち」とも表現し、中央装置40の右方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「右打ち」とも表現する。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口24、第2始動口25、その他入賞口30の何れかに遊技球が入球した場合は、賞球として5個の遊技球が払い出され、大入賞口28に遊技球が入球した場合は、13個の遊技球が払い出される。
また、遊技盤20における遊技領域21の右下方には、複数のLEDの組み合わせによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部35が設けられている。セグメント表示部35は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。
さらに、本実施例のパチンコ機1には、磁気センサー50が搭載されている。パチンコ機1では、遊技領域21の前面を覆う透明板4bに強力な磁石を近付けて、遊技球を透明板4b越しに磁石に引き付けることにより、第1始動口24などの各種入賞口に遊技球を不正に入球させる行為(いわゆるゴト行為)が行われることがある。特に、後述のように遊技者にとって遊技上の利益が大きい第1始動口24や第2始動口25は不正の対象になり易い。そこで、磁気センサー50を搭載しておけば、不正行為者が磁石を透明板4bに近付けると、磁気センサー50に作用する磁場が変化するため、その変化に基づいて異常磁場をゴト行為として検知することが可能である。
図3は、本実施例の磁気センサー50の配置を示した斜視図である。図では、第1始動口24および第2始動口25の周辺を拡大して示している。本実施例のパチンコ機1では、図示されるように第1始動口24の下方に遊技盤20よりも前方に突出した中空のケース体34が設けられており、このケース体34内に前方磁気センサー50aが収容されている。
また、前方磁気センサー50aとは別に、もう1つの磁気センサー50として、遊技盤20よりも後方に配置された後方磁気センサー50bが設けられており、図示しない接続線によって前方磁気センサー50aと後方磁気センサー50bとが通信可能に接続されている。
加えて、ケース体34の下方に設けられた第2始動口25は、前述したように開閉扉26を備えており、開閉扉26が下端側を軸に上端側を前方に傾けて回動することで、図3に示されるように開放状態となる。この開放状態では、第2始動口25の右方に配置された複数の遊技釘32によって遊技球が第2始動口25へと誘導されて入球可能である。そして、このような第2始動口25の開閉扉26を駆動するための始動口ソレノイド26mを備えている。
図4は、始動口ソレノイド26mとして用いられる一般的なソレノイド60の内部構造および動作を例示した断面図である。周知のようにソレノイド60は、導線を巻回して円筒状に形成された電磁コイル61や、電磁コイル61の内側に収容されて中心軸方向の一端に固定された固定鉄心62や、電磁コイル61の内側に摺動可能な状態で挿入された可動鉄心63や、可動鉄心63を電磁コイル61の内側から固定鉄心62とは反対側に引き出す方向に付勢する付勢バネ64などを備えている。
図4(a)に示されるように電磁コイル61に通電していないときには、付勢バネ64の付勢力によって可動鉄心63が固定鉄心62から引き離された状態となっている。一方、電磁コイル61に直流電源を接続して通電すると磁場が発生して固定鉄心62と可動鉄心63との間に磁気吸引力が働き、付勢バネ64の付勢力に抗して、図4(b)に示されるように可動鉄心63が固定鉄心62に引き寄せられて当接した状態になる。
また、電磁コイル61への通電を停止すると、磁場が消失して固定鉄心62と可動鉄心63との間に磁気吸引力が働かなくなるため、付勢バネ64の付勢力によって可動鉄心63が固定鉄心62から引き離され、図4(a)の状態に戻る。尚、ソレノイド60は、電磁コイル61への通電方向にかかわらず、通電中は可動鉄心63が固定鉄心62に引き寄せられて当接した状態となる。
図5は、始動口ソレノイド26mを用いて第2始動口25の開閉扉26を駆動する機構を例示した説明図である。図では、開閉扉26を側方から見た状態が示されており、始動口ソレノイド26mは開閉扉26の後方(遊技盤20の裏面側)に設置されている。まず、図5(a)には、始動口ソレノイド26mに通電していない場合が示されており、開閉扉26が略直立した閉鎖状態になっている。前述したように開閉扉26は、下端側に回動軸26aを有しており、回動軸26aから後方(図中の右方)に腕部26bが延設されている。この腕部26bは、連動杆65を介して始動口ソレノイド26mの可動鉄心63と接続されている。
図示されるように連動杆65は、長手片と短手片とが交差した形状になっており、交差部分の近傍に設けられた支点軸65aで回動可能に支持されている。また、短手片側の端部には、始動口ソレノイド26mの可動鉄心63と連結する連結部65bが設けられている。一方、長手片側の端部には、長孔65cが設けられており、腕部26bに突設されたピン26cが長孔65cに挿通されている。
そして、始動口ソレノイド26mに通電すると、可動鉄心63が引き込まれるのに伴い、図5(b)に示されるように連動杆65が支点軸65aを中心として図中の時計回りに回動して腕部26bを持ち上げるため、開閉扉26が前方(図中の左方)に回動して開放状態になる。その後、始動口ソレノイド26mへの通電を停止すると、付勢バネ64の付勢力によって可動鉄心63が引き出されるのに伴い、連動杆65が図中の反時計回りに回動して腕部26bを引き下げるので、開閉扉26が後方(図中の右方)に回動して図5(a)の閉鎖状態に戻る。尚、本実施例の開閉扉26は、本発明の「可動部材」に相当し、本実施例の始動口ソレノイド26mは、本発明の「電動駆動手段」に相当している。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図6は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板などから構成されている。機能に着目して大別すると、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(図6におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図6におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図6におけるRAM203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球を検知するゲートセンサー27s、大入賞口28へ入球した遊技球を検知する大入賞口センサー28s、その他入賞口30へ入球した遊技球を検知するその他入賞口センサー30sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第1始動口センサー24sや、第2始動口センサー25s、ゲートセンサー27s、大入賞口センサー28s、その他入賞口センサー30sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応したコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240などに向けて送信する。
また、主制御基板200には、第2始動口25の開放状態と閉鎖状態とを切り換え可能な開閉扉26を駆動する始動口ソレノイド26mや、大入賞口28の開放状態と閉鎖状態とを切り換え可能な開閉扉29を駆動する大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部35などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、始動口ソレノイド26m、大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部35に駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。尚、大入賞口ソレノイド29mには、始動口ソレノイド26mと同様に、図4に示したような一般的なソレノイド60を用いることができる。また、大入賞口ソレノイド29mを用いて大入賞口28の開閉扉29を駆動する機構として、図5に示した第2始動口25の開閉扉26と同様の機構を採用することができる。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板228などが接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた遊技演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対して、表示画像や出力音声を指定するコマンドを送信したり、ランプ制御基板226に対して、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a〜5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信したりすることによって、遊技演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aやジョグシャトル10b(以下「演出操作部10a,10b」ともいう)に対する遊技者の操作を検知すると、その操作に対応する遊技演出を行う。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した音声データを音声ROM236から読み出して、その音声データの信号をアンプ基板224に送信することにより、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から音声を出力する。
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、その検知信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、払出制御基板240は、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信すると、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には発射装置ユニット261が接続されている。発射装置ユニット261は、遊技球を発射するための発射モーター262や、遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263などを有している。遊技者が発射ハンドル9に触れていることをタッチスイッチ263で検知すると、発射モーター262の作動が可能となり、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
これらの制御基板や各種基板などで消費される電力は、電源基板270から供給されている。電源基板270は、100Vの交流電圧の供給を受けており、規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および各種基板などに電力を供給している。
また、本実施例のパチンコ機1には、外部に信号を送信するための外部端子板70が設けられており、主制御基板200と接続されている。主制御基板200のCPU201は、検知信号の入力のあった各種センサー(第1始動口センサー24s、第2始動口センサー25s、ゲートセンサー27s、大入賞口センサー28s、その他入賞口センサー30sなど)に対応する信号や、パチンコ機1の状態を示す信号を、外部端子板70を介してパチンコ機1の外部に向けて送信することが可能になっている。
さらに、本実施例のパチンコ機1には、前述したように前方磁気センサー50aと後方磁気センサー50bとが搭載されており、接続線で互いに接続されていると共に、前方磁気センサー50aおよび後方磁気センサー50bがそれぞれ外部端子板70と接続されている。前方磁気センサー50aは、磁場の強さを計測可能なセンサー素子51aや、センサー素子51aの計測値に基づき各種制御を実行可能な制御部52aを有している。また、後方磁気センサー50bは、基本的には前方磁気センサー50aと同様の構成であり、センサー素子51bや制御部52bを有している。センサー素子51a,51bとしては、ホール素子や、磁気抵抗素子(MR素子)など周知の各種素子を採用することができる。尚、本実施例のセンサー素子51a,51bは、本発明の「磁場計測素子」に相当している。
また、前方磁気センサー50aおよび後方磁気センサー50bは、パチンコ機1の外部から外部端子板70を介して設定信号(HighレベルまたはLowレベル)を受信し、その設定信号に応じて主従関係を設定可能になっている。本実施例のパチンコ機1では、前方磁気センサー50aがHighレベルの設定信号に応じて「主」に設定され、後方磁気センサー50bがLowレベルの設定信号に応じて「従」に設定される。そして、「主」である前方磁気センサー50aで異常磁場を検知すると、その検知信号を、外部端子板70を介してパチンコ機1の外部に送信することが可能になっている。尚、前方磁気センサー50aおよび後方磁気センサー50bによる異常磁場(不正な磁石)の検知については、後ほど詳しく説明する。
以上のような本実施例のパチンコ機1は、遊技ホールに複数台設置されている。図7は、遊技ホールのネットワーク構成を概念的に示した説明図である。遊技ホールには、複数台のパチンコ機1が設置されていると共に、遊技ホール全体を管理するホールコンピュータ95が設置されている。遊技ホールの各パチンコ機1は、中継装置90を介してホールコンピュータ95と通信可能に接続されている。
図示した例では、2台のパチンコ機1に対して1台の中継装置90が設けられており、前述したようにパチンコ機1は、外部端子板70から外部に向けて各種の信号を送信することが可能である。中継装置90は、2台のパチンコ機1からの遊技情報を示す信号を収集してホールコンピュータ95に送信するようになっており、ホールコンピュータ95は、パチンコ機1毎に遊技データを管理することが可能である。加えて、本実施例のパチンコ機1では、前述したように外部から受信した設定信号に応じて前方磁気センサー50aおよび後方磁気センサー50bの主従関係が設定されるようになっており、この設定信号をホールコンピュータ95から送信することが可能である。
また、遊技ホールにおけるパチンコ機1の上方には、パチンコ機1毎にデータ表示機80が設置されている。データ表示機80は、液晶表示部81を備えており、この液晶表示部81には、パチンコ機1の遊技に関する各種の情報を表示可能である。液晶表示部81の左右および上方には、状態ランプ82が設けられており、この状態ランプ82は、パチンコ機1の遊技状態などに応じて色を変化させて点灯することが可能である。
データ表示機80は、中継装置90と通信可能に接続されており、パチンコ機1の遊技に関する情報を中継装置90から取得し、その情報に基づいて液晶表示部81の表示や、状態ランプ82の点灯を実行する。また、前述したようにパチンコ機1の前方磁気センサー50aで異常磁場(磁石を用いたゴト行為)を検知すると、検知信号が外部端子板70を介して外部に送信されるので、その検知信号が中継装置90からホールコンピュータ95に送信されると共に、データ表示機80に送信されることによって状態ランプ82が所定の警報色(例えば赤色)で点灯する。
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で遊技者が発射ハンドル9を回転させると、上皿部7に貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に向けて発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、遊技者の所望する領域に遊技球を流下させることができる。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射したり(左打ちを行ったり)、中央装置40の右方の領域を流下するように遊技球を発射したり(右打ちを行ったり)することができる。
前述したように、第1始動口24には左打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第1始動口24に入球して、第1始動口センサー24sによって検知されると、所定の判定乱数(大当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて大当りか外れかを判定する大当り判定を行う。そして、大当り判定の結果に基づいて、セグメント表示部35にて第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)を表す複数の第1特図LEDを点滅させて第1特図を変動表示させた後、LEDを所定の組み合わせで点灯させて第1特図を停止表示させる。このとき、大当り判定の結果が大当りであれば、大当り図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させる。
また、前述したように第2始動口25には右打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第2始動口25に入球して、第2始動口センサー25sによって検知されると、判定乱数を取得して大当り判定を行う。そして、大当り判定結果に基づいて、セグメント表示部35にて第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)を表す複数の第2特図LEDを点滅させて第2特図を変動表示させた後、第1特図と同様に、大当り判定の結果に応じた組み合わせでLEDを点灯させて第2特図を停止表示させる。
尚、第1始動口24または第2始動口25に遊技球が入球しても、第1特図や第2特図の変動表示中などで新たな変動表示の開始条件が満たされていない場合には、第1始動口24への入球で取得した判定乱数の値を第1特図保留として記憶し、第2始動口25への入球で取得した判定乱数の値を第2特図保留として記憶する。その後、特別図柄(第1特図または第2特図)の新たな変動表示の開始条件が満たされると、第1特図保留または第2特図保留に基づいて大当り判定を行い、対応する特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示を行う。本実施例のパチンコ機1では、このような第1特図保留および第2特図保留を、それぞれ最大4つまで記憶可能である。また、第1特図保留および第2特図保留の両方が記憶されている場合には、第1特図保留よりも優先して第2特図保留に基づく大当り判定が行われる(第2特図保留を優先消化する)ので、第1特図保留に基づく大当り判定が行われるのは、第2特図保留が記憶されていない場合である。
さらに、特別図柄の変動表示と連動して、演出表示装置41では識別図柄41a,41b,41cが複数の数字(例えば「1」〜「9」の9つの数字)を次々と切り換えて変動表示する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。3つの識別図柄41a,41b,41cは、特別図柄が外れ図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃わない組み合わせ(バラケ目)で停止表示されるのに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃う組み合わせ(ゾロ目)で停止表示される。このため、3つの識別図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字であると、最後に停止表示される識別図柄も同じ数字で揃うのではないかと、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように2つの識別図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の識別図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、リーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。
第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示されると、大入賞口28が開放状態となる大当り遊技を実行する。大当り遊技では、開放した大入賞口28を、規定個数(例えば9個)の遊技球が入球するか、あるいは所定の開放時間(例えば30秒)が経過したら閉鎖するラウンド遊技が複数回繰り返される。本実施例のパチンコ機1では、複数の大当り図柄が設けられており、停止表示された大当り図柄の種類によって、大当り遊技で行われるラウンド遊技の回数が異なる(例えば、10回、13回、15回)。前述したように大入賞口28には、右打ちされた遊技球が入球可能であり、大入賞口28に遊技球が入球すると、賞球として13個の遊技球が払い出されることから、大当り遊技によって遊技者は多量の賞球を獲得することが可能である。
また、前述したように、中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられており、右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過可能である。普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球がゲートセンサー27sによって検知されると、所定の判定乱数(普図当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて普図当りか外れかを判定する普図当り判定を行う。続いて、普図当り判定の結果に基づいて、セグメント表示部35にて普通図柄を表す左右2つの普通図柄LEDを点滅させて普通図柄を変動表示させた後、何れかのLEDを点灯させて普通図柄を停止表示させる。このとき、本実施例のパチンコ機1では、普図当り判定の結果が普図当りであれば、普図当り図柄に対応する左のLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する右のLEDを点灯させる。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示された場合は、第2始動口25が開放状態となる普図当り遊技が行われるので、第2始動口25に遊技球が入球する可能性(すなわち、第2特図の変動表示が行われる可能性)が高まる。
尚、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過しても、普通図柄の変動表示中などで新たな変動表示の開始条件が満たされていない場合には、取得した判定乱数の値を普図保留として最大4つまで記憶することが可能である。その後、普通図柄の新たな変動表示の開始条件が満たされると、普図保留に基づいて普図当り判定や、普通図柄の変動表示を行う。
普図当り遊技における第2始動口25の開放時間は、「電サポ状態」であるか「非電サポ状態」であるかで異なる。電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口25の開放時間が長く設定される。また、電サポ状態では、非電サポ状態よりも普図当り判定の結果が普図当りとなる確率(普図当り確率)が高く、且つ、普通図柄の変動時間が短く設定される。従って、電サポ状態では、非電サポ状態に比べて第2始動口25に遊技球が入球する可能性(すなわち、第2特図の変動表示が行われる可能性)が高まる。
本実施例のパチンコ機1では、複数設けられた大当り図柄が「通常当り図柄」と「確変当り図柄」とに大別されており、特別図柄(第1特図または第2特図)が何れの大当り図柄で停止表示された場合でも、大当り遊技の終了後に電サポ状態が設定される。そして、通常当り図柄である場合は、大当り遊技の終了後に、大当り判定の結果が大当りとなる確率(大当り確率)が所定の通常確率(低確率)に設定され、特別図柄の変動回数が所定回数(例えば100回)に達すると非電サポ状態に設定される。一方、確変当り図柄である場合は、大当り遊技の終了後に大当り確率が通常確率よりも高い高確率に設定され、電サポ状態と共に次回の大当り遊技まで継続される。以下では、大当り確率が高確率に設定された状態を「確変状態」と称することがある。また、電サポ状態では、非電サポ状態よりも特別図柄(第1特図および第2特図)の変動時間が短く設定されることから、電サポ状態であって、且つ大当り確率が通常確率に設定された状態を「時短状態」と称することがある。
以上のような本実施例のパチンコ機1では、磁石を用いて第1始動口24などの各種入賞口に遊技球を不正に入球させるゴト行為が行われることがあり、磁石による異常磁場を検知するために前述のように磁気センサー50a,50bを搭載している。以下では、磁気センサー50a,50bの制御部52a,52bで実行される処理について説明する。
C.本実施例の磁気センサーの制御内容 :
C−1.磁場情報共有処理 :
図8は、本実施例の後方磁気センサー50bの制御部52bで実行される磁場情報共有処理を示したフローチャートである。前述したように本実施例の後方磁気センサー50bは、前方磁気センサー50aとの主従関係で「従」に設定される。この磁場情報共有処理は、パチンコ機1に電源が投入されると所定の周期で(例えば、5分毎に)実行される。磁場情報共有処理では、まず、センサー素子51bで磁場の強さを計測する(S100)。前述したように後方磁気センサー50bは、遊技盤20よりも後方に配置されており、特に遊技盤20の裏面側における磁場の変化を感知可能である。
そして、センサー素子51bによる計測値を前方磁気センサー50aに向けて送信する(S101)。前述したように後方磁気センサー50bは、前方磁気センサー50aとは別に設けられているものの、接続線を介して前方磁気センサー50aと通信可能に接続されており、計測値を送信することで前方磁気センサー50aと遊技盤20の裏面側の磁場に関する情報を共有することができる。また、計測値を送信したら、図8の磁場情報共有処理を一旦終了し、その後、所定の周期で再び図8の磁場情報共有処理を実行する。尚、本実施例の後方磁気センサー50bの制御部52bは、本発明の「送信手段」に相当している。
C−2.異常磁場検知処理 :
図9は、本実施例の前方磁気センサー50aの制御部52aで実行される異常磁場検知処理を示したフローチャートである。前述したように本実施例の前方磁気センサー50aは、後方磁気センサー50bとの主従関係で「主」に設定される。この異常磁場検知処理は、前述した図8の磁場情報共有処理と同様に、パチンコ機1に電源が投入されると所定の周期で(例えば、5分毎に)実行される。異常磁場検知処理では、まず、センサー素子51aで磁場の強さを計測する(S200)。前述したように前方磁気センサー50aは、遊技盤20よりも前方に突出したケース体34内に収容されており、特に遊技盤20の表面側における磁場の変化を感知可能である。
続いて、後方磁気センサー50bから計測値を受信したか否かを判断し(S201)、未だ計測値を受信していない場合は(S201:no)、計測値を受信するまで待機状態となる。そして、後方磁気センサー50bから計測値を受信した場合は(S201:yes)、前方磁気センサー50aでの計測値(以下、前方計測値)と、後方磁気センサー50bでの計測値(以下、後方計測値)とを比較し、前方計測値が後方計測値よりも大きいか否かを判断する(S202)。
図10は、前方磁気センサー50aや後方磁気センサー50bで磁場の強さを計測する例を概念的に示した説明図である。図10では、垂直面でパチンコ機1を手前側から奥側に切断した断面を右方から見た状態を表しており、特に第1始動口24の付近を拡大して示している。前述したように、第1始動口24の下方に遊技盤20よりも前方(図中の左方)に突出してケース体34が設けられており、そのケース体34内に前方磁気センサー50aが収容されている。また、遊技盤20よりも後方(図中の右方)に、後方磁気センサー50bが配置されている。さらに、第2始動口25の開閉扉26を駆動する始動口ソレノイド26mなどは、遊技盤20よりも後方に配置されるのが一般的である。
図10(a)には、始動口ソレノイド26mに通電されておらず(第2始動口25が閉鎖状態であり)、不正な磁石が透明板4b越しに第1始動口24に近付けられた場合が示されている。このように前方から遊技盤20に近付けられた磁石の磁場は、後方磁気センサー50bよりも前方磁気センサー50aに作用し易いため、前方磁気センサー50aにおける前方計測値と後方磁気センサー50bにおける後方計測値とを比較すると、前方計測値が後方計測値よりも大きくなり、所定の許容範囲を超える差分となって表れる。
一方、図10(b)には、不正な磁石は近付けられていないものの、始動口ソレノイド26mに通電されている(第2始動口25が開放状態である)場合が示されている。始動口ソレノイド26mへの通電によって発生する磁場は、前方磁気センサー50aよりも後方磁気センサー50bに作用し易いため、前方磁気センサー50aにおける前方計測値と後方磁気センサー50bにおける後方計測値とを比較すると、後方計測値が前方計測値よりも大きくなる。
また、始動口ソレノイド26mに通電されていないと共に、不正な磁石が近付けられておらず、前方磁気センサー50aや後方磁気センサー50bの周囲に磁場を発生させるものが存在しなければ、前方磁気センサー50aにおける前方計測値と後方磁気センサー50bにおける後方計測値とに大きな違いはないはずであり、前方計測値が後方計測値よりも許容範囲を超えて大きくなることはない。
そこで、図9の異常磁場検知処理では、前方計測値と後方計測値とを比較して、前方計測値が後方計測値よりも大きい場合は(S202:yes)、続いて、前方計測値と後方計測値との差分が所定の許容範囲を超えているか否かを判断する(S203)。そして、差分が許容範囲を超えている場合は(S203:yes)、異常な磁場である(磁石を用いたゴト行為が行われている)と判断し、異常磁場の検知を示す異常磁場検知信号を、外部端子板70を介してパチンコ機1の外部に送信して(S204)、図9の異常磁場検知処理を終了する。前述したように異常磁場検知信号は、中継装置90からホールコンピュータ95に送信されると共に、データ表示機80に送信されることによって状態ランプ82が警報色で点灯する。尚、本実施例の前方磁気センサー50aの制御部52aは、本発明の「検知手段」に相当している。
一方、前方計測値と後方計測値とを比較して、前方計測値よりも後方計測値が大きい場合は(S202:no)、パチンコ機1内で始動口ソレノイド26mなどへの通電によって生じた正規の磁場であると判断し、そのまま図9の異常磁場検知処理を一旦終了する。その後、所定の周期で再び図9の異常磁場検知処理を実行する。
また、前方計測値と後方計測値とを比較して、前方計測値が後方計測値よりも大きくても(S202:yes)、前方計測値と後方計測値との差分が許容範囲を超えていない場合は(S203:no)、正常な磁場である(磁石を用いたゴト行為が行われていない)と判断し、S204の処理を省略して、図9の異常磁場検知処理を一旦終了する。その後、所定の周期で再び図9の異常磁場検知処理を実行する。
以上に説明したように本実施例のパチンコ機1では、遊技盤20よりも前方に配置された前方磁気センサー50aと、遊技盤20よりも後方に配置された後方磁気センサー50bとを搭載して接続線で通信可能に接続している。そして、後方磁気センサー50bの制御部52bは、センサー素子51bによる後方計測値を前方磁気センサー50aに向けて送信しており、前方磁気センサー50aの制御部52aは、センサー素子51aによる前方計測値と後方磁気センサー50bからの後方計測値とを比較して、前方計測値が後方計測値よりも大きく、且つ差分が所定の許容範囲を超えていると、異常磁場として検知するようになっている。不正な磁石が前方から遊技盤20に近付けられると、その磁石の磁場は後方磁気センサー50bよりも前方磁気センサー50aに作用し易いため、前方計測値が後方計測値よりも大きくなり、差分が許容範囲を超えることによって異常磁場(磁石を用いたゴト行為)として検知することができる。一方、パチンコ機1内(遊技盤20よりも後方)で正規に磁場が生じた場合は、前方磁気センサー50aよりも後方磁気センサー50bに磁場が作用し易いことから、前方計測値が後方計測値よりも許容範囲を超えて大きくなることはなく、磁石を用いたゴト行為と誤検知してしまうことを抑制することが可能となる。
尚、本実施例とは異なり、1つの磁気センサー50のパッケージ内に2つのセンサー素子51を搭載することも考えられるが、この場合、2つのセンサー素子51同士の前後の距離を離しておく必要があることから、磁気センサー50の外形が前後方向に長くなってしまうことは避けられず、結果として、パチンコ機1における磁気センサー50の設置の自由度を犠牲にしなければならない。これに対して、本実施例のように前方磁気センサー50aと後方磁気センサー50bとに分けてセンサー素子51a、51bを1つずつ搭載すると共に接続線で接続することにより、個々の磁気センサー50a,50bの外形を小さくすることができ、その結果、パチンコ機1における設置の自由度を確保することが可能となる。
また、本実施例のパチンコ機1における前方磁気センサー50aは、第1始動口24との距離が後方磁気センサー50bと第1始動口24との距離に比べて短い位置関係に配置されている。前述したように第1始動口24は、磁石を用いた不正の対象になり易いところ、磁石が透明板4b越しに第1始動口24に近付けられた場合は、後方磁気センサー50bに比べて前方磁気センサー50aに磁石の磁場が強く作用することになり、前方計測値が後方計測値よりも許容範囲を超えて大きくなり易いことから、異常磁場の検知精度を高めることができる。
また、本実施例のパチンコ機1における後方磁気センサー50bは、始動口ソレノイド26mとの距離が前方磁気センサー50aと始動口ソレノイド26mとの距離に比べて短い位置関係に配置されている。第2始動口25の開閉扉26を駆動するために始動口ソレノイド26mに通電することで磁場が生じた場合でも、その磁場は前方磁気センサー50aよりも後方磁気センサー50bに強く作用することになり、後方計測値が前方計測値よりも大きくなることから、始動口ソレノイド26mへの通電時における誤検知を抑制することができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、前述した実施例では、前方磁気センサー50aが遊技盤20よりも前方に配置されていた。しかし、前方磁気センサー50aは、後方磁気センサー50bよりも前方(透明板4bに近い位置)に配置されていればよく、必ずしも遊技盤20よりも前方に配置されていなくてもよい。尚、前方磁気センサー50aを遊技盤20より後方に配置する場合、始動口ソレノイド26mの磁場が後方磁気センサー50bよりも前方磁気センサー50aに強く作用することがあるものの、前方計測値と後方計測値との差分は、不正な磁石が前方から遊技盤20に近付けられた場合に比べて小さくなるため、許容範囲を超えないことに基づいて正規の磁場と判断し、始動口ソレノイド26mへの通電時における誤検知を抑制することができる。
また、遊技領域21における前方磁気センサー50aの配置は、第1始動口24の近傍に限られない。例えば、遊技球が第1始動口24に至る経路の途中に配置してもよいし、大入賞口28やその他入賞口30に不正な磁石を近付けた場合に磁石の磁場が作用し易い位置に配置してもよい。
また、後方磁気センサー50bの配置は、遊技盤20の裏面側であって前方磁気センサー50aよりも後方(透明板4bから離れた奥側の位置)であればよいため、第2始動口25の開閉扉26を駆動する始動口ソレノイド26mの磁場だけでなく、大入賞口28の開閉扉26を駆動する大入賞口ソレノイド29mの磁場が作用し易い位置に配置してもよい。
また、前述した実施例では、前方磁気センサー50aと後方磁気センサー50bとの主従関係として、前方磁気センサー50aが「主」に設定され、後方磁気センサー50bが「従」に設定されていた。しかし、これとは逆に、前方磁気センサー50aを「従」に設定し、後方磁気センサー50bを「主」に設定することとして、前方磁気センサー50aの制御部52aで図8の磁場情報共有処理を実行すると共に、後方磁気センサー50bの制御部52bで図9の異常磁場検知処理を実行してもよい。
また、前述した実施例では、前方磁気センサー50aの制御部52aで異常磁場を検知すると、外部端子板70を介してパチンコ機1の外部に異常磁場検知信号を送信するようになっていた。しかし、前方磁気センサー50aを主制御基板200と接続しておくこととして、異常磁場検知信号を主制御基板200に送信してもよく、主制御基板200のCPU201は、前方磁気センサー50aからの異常磁場検知信号に基づいてゴト行為と判断し、対応する警報信号をパチンコ機1の外部に送信してもよい。
また、第2始動口25の開閉扉26や、大入賞口28の開閉扉29を駆動する電動駆動手段は、ソレノイドに限られず、モーターであってもよい。モーターも通電によって磁場が発生し、その磁場が磁気センサー50に作用することがあるため、本発明を好適に適用することができる。
また、上述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
<上述した実施例から抽出できる遊技機A1〜A3>
上述した実施例のパチンコ機1は、次のような遊技機A1〜A3として捉えることができる。
<遊技機A1>
遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機において、
磁場の強さを計測可能な磁場計測素子を搭載し、前記遊技盤よりも後方に設置された後方磁気センサーと、
前記磁場計測素子を搭載し、前記後方磁気センサーよりも前方に設置された前方磁気センサーと、
前記前方磁気センサーと前記後方磁気センサーとを通信可能に接続する接続線と
を備え、
前記前方磁気センサーおよび前記後方磁気センサーの何れか一方には、前記磁場計測素子による計測値を何れか他方に向けて送信する送信手段が搭載されており、
前記前方磁気センサーおよび前記後方磁気センサーの前記何れか他方には、前記前方磁気センサーの前記磁場計測素子による前方計測値と、前記後方磁気センサーの前記磁場計測素子による後方計測値とを比較して、該前方計測値が該後方計測値よりも大きく、且つ差分が所定の許容範囲を超えていると、異常として検知する検知手段が搭載されている
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A1では、不正な磁石が前方から遊技盤に近付けられると、その磁石の磁場は後方磁気センサーよりも前方磁気センサーに作用し易いため、前方計測値が後方計測値よりも大きくなり、差分が許容範囲を超えることによって異常として検知することができる。一方、遊技盤よりも後方(遊技機内)で正規に磁場が生じた場合は、前方磁気センサーよりも後方磁気センサーに磁場が作用し易く、前方計測値が後方計測値よりも許容範囲を超えて大きくなり難いことから、磁石を用いたゴト行為と誤検知してしまうことを抑制することが可能となる。
<遊技機A2>
遊技機A1において、
前記遊技領域には、遊技球が入球可能な入賞口が設けられており、
前記前方磁気センサーは、前記入賞口との距離が前記後方磁気センサーと前記入賞口との距離に比べて短い位置関係に配置されている
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A2における入賞口は、磁石を用いた不正の対象になり易いところ、磁石が入賞口に近付けられた場合は、後方磁気センサーに比べて前方磁気センサーに磁石の磁場が強く作用することになり、前方計測値が後方計測値よりも許容範囲を超えて大きくなり易いことから、異常の検知精度を高めることができる。
<遊技機A3>
遊技機A1または遊技機A2において、
前記遊技領域で所定の動作が可能に設けられた可動部材と、
前記遊技領域よりも後方に設置され、通電によって生じる磁場を用いて作動し、前記可動部材を駆動する電動駆動手段と
を備え、
前記後方磁気センサーは、前記電動駆動手段との距離が前記前方磁気センサーと前記電動駆動手段との距離に比べて短い位置関係に配置されている
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A3では、可動部材を駆動するために電動駆動手段に通電することで磁場が生じた場合でも、その磁場は前方磁気センサーに比べて後方磁気センサーに強く作用することになり、後方計測値が前方計測値よりも大きくなることから、電動駆動手段への通電時における誤検知を抑制することができる。