上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例において、特に断りがない限りは、パチンコ機正面に向かって右側を「右」と表現し、左側を「左」と表現する。
また、以下の実施例は次のような順序に従って説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の内容:
C.不正交換を検出するための構成:
C−1.不正交換を検出するための制御回路:
C−2.不正交換を検出するための処理:
D.変形例:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aには合成樹脂製の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置される遊技盤20(図2参照)の遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20のセグメント表示部を視認可能である。詳しくは後述するが、セグメント表示部とは、複数のLEDの組合せによって遊技に係る情報を表示する表示部である。
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの周縁部における右部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの周縁部における左部には左サイドランプ5cが設けられている。また、窓部4aの左右上方には上部スピーカー6aが設けられており、前面枠4の下方(後述する本体枠の下部前面)には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、パチンコ機1に対応して設けられたカードユニット60を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
前面枠4における下皿部8の右方には、発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニットに接続されており、この発射装置ユニットには、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニットに伝達され、発射装置ユニットに内蔵された発射モーターが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
また、上皿部7の縁部には遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。また、図示は省略するが、上皿部7の縁部であって演出ボタン10aの左側には方向ボタン10cが設けられている。方向ボタン10cは上下左右方向のそれぞれに対応する4個のボタン(上ボタン、下ボタン、左ボタン、右ボタン)から構成されている。これらの演出ボタン10aや、ジョグシャトル10b、方向ボタン10cは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定の条件成立時に遊技者によって操作されると、所定の演出が行われる。
前面枠4の背面側には中枠および本体枠が設けられ、前面枠4は、一端(図1における左側)が中枠に対して回動可能に軸支されており、中枠は、一端(図1における左側)が本体枠に対して回動可能に軸支されている。本体枠は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1はこの本体枠が島設備に取り付けられることで遊技ホールに設置される。中枠の前面側には遊技盤20が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠に対してパチンコ機1前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出された状態となる。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤20は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(図3参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方に向かって流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4aを通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者に視認されることとなる。
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40のほぼ中央には、演出表示装置41が設けられている。演出表示装置41は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出用の種々の画像を表示することが可能である。尚、演出表示装置41の詳しい表示内容については後述する。
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、開口部の大きさが不変(一定)であり遊技球が常時入球可能な始動口である第1始動口24が設けられている。第1始動口24に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第1始動口24の内部の通路には第1始動口センサー24s(図3参照)が設けられており、第1始動口24に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の右下には、遊技球が通過可能な普通図柄作動ゲート27が設けられており、普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技球の通過を検知するゲートセンサー27s(図3参照)が設けられている。また、普通図柄作動ゲート27の下方には、遊技球の入球可能性が変化する入球口(始動口)である第2始動口25が設けられている。すなわち、第2始動口25は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉26(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第2始動口25の内部の通路には第2始動口センサー25s(図3参照)が設けられており、第2始動口25に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21における第1始動口24の下方には、略長方形状に大きく開口された第1大入賞口28(可変入球口)が設けられている。第1大入賞口28は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉29(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能な開放状態(入球可能状態)とに変化可能である。図2では、第1大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。第1大入賞口28に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第1大入賞口28の内部の通路には第1大入賞口センサー28s(図3参照)が設けられており、第1大入賞口28に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21における第2始動口25の下方(遊技領域21の右下隅部)には、遊技盤20の前面から前方(遊技者側)に突出した第2大入賞口ユニット33が設けられている。第2大入賞口ユニット33の上面は、右側から左側にかけて下方へ傾斜しており、遊技球が右側から左側(パチンコ機1中央側)に転動可能な転動面34となっている。この転動面34の中途部(遊技球の転動方向の中途部)には、第2大入賞口35(可変入球口)が設けられている。この第2大入賞口35は、パチンコ機1の前後方向に摺動可能(移動可能)な開閉扉36(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉36が前方側に摺動(移動)して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉36が後方側に摺動(移動)して遊技球が入球可能な開放状態(入球可能状態)とに変化可能である。第2大入賞口35に入球した遊技球は、第2大入賞口ユニット33内部に設けられた通路を通って特定口38に導かれる。
第2大入賞口ユニット33の前壁は少なくとも一部が透明板によって形成されているので(光透過性を有しているので)、遊技者は第2大入賞口ユニット33の前壁を通して、第2大入賞口35に入球した遊技球が特定口38に導かれる様子を視認可能である。
第2大入賞口35の内部には第2大入賞口センサー35s(図3参照)が設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球を検知可能である。また、特定口38の内部には特定口センサー38s(図3参照)が設けられており、特定口38に入球した遊技球を検知可能である。
上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が入球可能な一般入球口(図示省略)や、遊技球の流下経路に影響を与える風車型ホイール31、多数の障害釘(図示省略)が設けられている。また、遊技領域21の最下部にはアウト口32が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、第1大入賞口28、第2大入賞口35、一般入球口の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口32から遊技盤20の裏側に排出される。
上述した第1始動口24には、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域(第1領域)を流下する遊技球であっても、右方の領域(第2領域)を流下する遊技球であっても入球可能であるが、左方の領域を流下する遊技球の方が右方の領域を流下する遊技球よりも入球し易い。これに対して、普通図柄作動ゲート27、第2始動口25、第1大入賞口28、第2大入賞口35には、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下する遊技球が入球可能(または通過可能)である。以下では、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「左打ち」とも表現し、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「右打ち」とも表現する。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口24に遊技球が入球した場合は3個の遊技球が遊技者に払い出され、第2始動口25に遊技球が入球した場合は2個の遊技球が遊技者に払い出され、一般入球口に遊技球が入球した場合は10個の遊技球が遊技者に払い出される。また、第1大入賞口28または第2大入賞口35に遊技球が入球した場合は15個の遊技球が遊技者に払い出される。
遊技盤20における遊技領域21の右下方には、LEDの組合せによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者に視認される。尚、セグメント表示部50の詳しい表示内容については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されている。詳しくは、遊技の進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(図3におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図3における203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、普通図柄作動ゲート27を通過した遊技球を検知するゲートセンサー27s、第1大入賞口28へ入球した遊技球を検知する第1大入賞口センサー28s、第2大入賞口35に入球した遊技球を検知する第2大入賞口センサー35s、特定口38に入球した遊技球を検知する特定口センサー38sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、これらのセンサーなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向けて送信する。
また、主制御基板200には、第2始動口25に設けられた開閉扉26に開閉動作を行わせるための(第2始動口25を開放状態、閉鎖状態にするための)第2始動口ソレノイド26mや、第1大入賞口28に設けられた開閉扉29に開閉動作を行わせるための(第1大入賞口28を開放状態、閉鎖状態にするための)第1大入賞口ソレノイド28m、第2大入賞口35に設けられた開閉扉36に開閉動作を行わせるための(第2大入賞口35を開放状態、閉鎖状態にするための)第2大入賞口ソレノイド35m、セグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第2始動口ソレノイド26m、第1大入賞口ソレノイド28m、第2大入賞口ソレノイド35m、セグメント表示部50に向けて駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板228が接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対しては、出力画像や出力音声を指定するコマンドを送信し、ランプ制御基板226に対しては、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a〜5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信することによって、これらのランプを駆動する演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aや、ジョグシャトル10b、方向ボタン10c(以下「演出操作部10a,10b,10c」ともいう)に対する遊技者の操作を検知すると、該操作に対応する演出を行う。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する音声データを音声ROM236から読み出す。そして、該音声データに基づく音声を、アンプ基板237を介して、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から出力する。
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、この信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信した場合も、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には、遊技球を発射させるための発射モーター262や遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263等を有する発射装置ユニット261が接続されている。発射制御基板260は、タッチスイッチ263を介して遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知すると、発射モーター262を駆動することによって、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
B.遊技の内容 :
本実施例のパチンコ機1では次のように遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で発射ハンドル9が回転されると、貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、所望する領域に遊技球を流下させることができる。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(左打ちを行ったり)、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(右打ちを行ったり)することができる。
<特別図柄の変動表示>
図2を用いて前述したように、第1始動口24には左打ちされた遊技球および右打ちされた遊技球が入球可能である。左打ちまたは右打ちされた遊技球が第1始動口24に入球し、その入球した遊技球が第1始動口センサー24sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する特図当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて「大当り」または「外れ」の何れであるかを判定する特図当り判定を行う。そして、この特図当り判定の結果に基づいて、第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。また、図2を用いて前述したように、第2始動口25には右打ちされた遊技球が入球可能である。右打ちされた遊技球が第2始動口25に入球し、その入球した遊技球が第2始動口センサー25sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する特図当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて「大当り」または「外れ」の何れであるかを判定する特図当り判定を行う。そして、この特図当り判定の結果に基づいて、第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。
図4は、セグメント表示部50を拡大して示す説明図である。前述したように、セグメント表示部50は遊技盤20における遊技領域21の右下方に設けられており(図2参照)、遊技者は前面枠4の小窓部4c(図1参照)を通してセグメント表示部50を視認可能である。図4に示すように、セグメント表示部50には、第1特図を表示する第1特図表示部51と、第2特図を表示する第2特図表示部52が設けられており、これらの表示部にはそれぞれ9個のLEDが配置されている。第1特図および第2特図(以下、これらを特に区別をしない場合は、まとめて「特別図柄」という)は、それぞれの表示部において、9個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、9個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、第1特図として、200種類の大当り図柄(大当り図柄101〜300)と1種類の外れ図柄(外れ図柄101)を停止表示可能であり、第2特図として、200種類の大当り図柄(大当り図柄401〜600)と1種類の外れ図柄(外れ図柄401)を停止表示可能である。これらの図柄の種類は、点灯するLEDの組合せの相違によって識別可能である。
主制御基板200のCPU201は、遊技球が第1始動口24に入球することに基づく特図当り判定(以下「第1特図についての特図当り判定」ともいう)の結果が「大当り」である場合は、第1特図を大当り図柄101〜300の何れかで停止表示し、第1特図についての特図当り判定の結果が「外れ」である場合は、第1特図を外れ図柄101で停止表示する。また、遊技球が第2始動口25に入球することに基づく特図当り判定(以下「第2特図についての特図当り判定」ともいう)の結果が「大当り」である場合は、第2特図を大当り図柄401〜600の何れかで停止表示し、第2特図についての特図当り判定の結果が「外れ」である場合は第2特図を外れ図柄401で停止表示する。
そして、主制御基板200のCPU201は、特別図柄(第1特図または第2特図)を大当り図柄または外れ図柄の何れかで停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(以下「確定表示」ともいう)を行う。以下では、特別図柄が変動表示を開始してから確定表示されるまでの遊技、すなわち1回の変動表示の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」とも表現する。
ここで、主制御基板200のCPU201は、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示を行うに際しては、特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)の変動パターンを選択する。変動パターンとは、特別図柄が変動表示を開始してから停止表示するまでの時間(変動時間)であり、各変動パターンには他の変動パターンと識別するための情報(変動パターンID)が付されている。変動パターンを選択する処理では、複数の変動パターン(変動パターンID、変動時間)に変動パターン選択乱数が割り振られた「変動パターン選択テーブル」を参照する。そして、第1特図保留または第2特図保留として取得された変動パターン選択乱数に対応する変動パターンを今回の変動パターンとして選択する。特別図柄は、このようにして選択された変動パターンに基づいて変動表示される。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動表示を開始するに際しては、当該変動表示の変動パターンを示す変動パターン指定コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する。これによって、今回開始される特別図柄の変動表示の変動パターンがサブ制御基板220に伝達される。サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受信すると、該変動パターン指定コマンドに基づいて今回開始される特別図柄の変動表示の変動パターンを認識し、認識した変動パターンに基づく(対応する)演出パターンで特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)に対応する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)を実行する。
上述した変動パターンを選択する処理では、常時同じ変動パターン選択テーブルを参照するのではなく、種々の遊技進行状況に対応する変動パターン選択テーブルを参照する。例えば、特別図柄の種類(第1特図または第2特図)や、現在設定されている遊技状態、特図当り判定の結果、記憶されている第1特図保留および第2特図保留の数などに対応する変動パターン選択テーブルを参照する。こうすることで、種々の遊技進行状況に対応する変動パターンを選択可能となり、ひいては、サブ制御基板220のCPU221は種々の遊技進行状況に対応する演出パターンで演出を実行可能となる。
また、主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動表示を停止するに際しては、変動停止コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する。サブ制御基板220のCPU221は、この変動停止コマンドを受信することによって特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)が終了するタイミングがサブ制御基板220のCPU221に伝達される。
尚、特別図柄(本発明における「識別情報」)を変動表示させる主制御基板200のCPU201は、本発明における「識別情報表示手段」に相当する。
<特別図柄の保留>
遊技球が第1始動口24や第2始動口25に入球すると、上述したように特別図柄についての特図当り判定や変動表示が行われるものの、これらの特図当り判定や変動表示は、遊技球が第1始動口24や第2始動口25に入球後に直ぐに行われるのではなく、主制御基板200のCPU201は、取得された判定乱数を特別図柄の保留(特図保留)としてRAM203に一旦記憶する。
詳しくは、遊技球が第1始動口24に入球すると、判定乱数を取得し、取得された判定乱数を第1特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第1特図保留について特図当り判定や第1特図の変動表示を行う。このような第1特図保留は4個を上限として記憶される。第1特図保留の記憶数(第1特図保留数)は、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53に表示される。すなわち、図4に示すように、第1特図保留表示部53には2個のLEDが配置されており、この第1特図保留表示部53では、2個のLEDのうち両方を消灯することで第1特図保留数が0個であることを示し、1個のLEDを点灯することで第1特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第1特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第1特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第1特図保留数が4個であることを示す。
また、遊技球が第2始動口25に入球すると、判定乱数を取得し、取得された判定乱数を第2特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第2特図保留について特図当り判定や第2特図の変動表示を行う。このような第2特図保留も4個を上限として記憶される。第2特図保留の記憶数(第2特図保留数)は、セグメント表示部50の第2特図保留表示部54に表示される。すなわち、図4に示すように、第2特図保留表示部54にも2個のLEDが配置されており、この第2特図保留表示部54では、2個のLEDのうち両方を消灯することで第2特図保留数が0個であることを示し、1個のLEDを点灯することで第2特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第2特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第2特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第2特図保留数が4個であることを示す。
尚、本実施例のパチンコ機1では、何れかの特別図柄の変動表示中や、何れかの特別図柄の確定表示中、大当り遊技中は、特図保留が記憶されていても、特図当り判定や特別図柄の変動表示は行わない。また、複数の特図保留が記憶されている場合は、それらが第1特図保留であるか第2特図保留であるかに拘わらず、最先に記憶された特図保留についての特図当り判定および特別図柄の変動表示を行う(いわゆる特別図柄の順次変動機能を有する)。
<遊技状態>
主制御基板200のCPU201は、本実施例のパチンコ機1の遊技状態として、「特図当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態」と「第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態」とを適宜設定する。これらのうち「特図当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態」としては、「低確率状態」または「高確率状態」を設定する。「低確率状態」は、特図当り判定において大当りと判定される確率が低い(約100分の1の確率である)状態であり、「高確率状態」は、特図当り判定において大当りと判定される確率が高い(約10分の1の確率である)状態である。
また、「第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態」としては、「非電サポ状態」または「電サポ状態」を設定する。「非電サポ状態」は、第2始動口25への遊技球の入球頻度が低い状態であり、「電サポ状態」は、第2始動口25への遊技球の入球頻度が高い状態である。こうすることによって、「非電サポ状態」では、第2始動口25よりも第1始動口24に遊技球が入球し易く、「電サポ状態」では、第1始動口24よりも第2始動口25に遊技球が入球し易くなっている。このため、「非電サポ状態」では、遊技者に左打ちを行わせる(第1始動口24への入球を狙わせる)ことができ、「電サポ状態」では、遊技者に右打ちを行わせる(第2始動口25への入球を狙わせる)ことができる。
尚、セグメント表示部50には、上述した電サポ状態中であることを示す電サポ表示部58が設けられている。すなわち、図4に示すように、電サポ表示部58には、3個のLEDが配置されており、電サポ状態中は、この3個のLEDを点灯することによって電サポ状態中であることを遊技者に示す。さらに、セグメント表示部50には、右打ちを行うことを遊技者に促す右打ち表示部59が設けられている。電サポ状態中は第2始動口25への遊技球の入球頻度が高く、且つ、第2始動口25は右打ちされた遊技球が入球可能であるので、電サポ状態中は右打ちを行うことが遊技者にとって有益である。そこで、電サポ状態中は、右打ち表示部59に配置された2個のLEDを点灯することによって右打ちを行うことを遊技者に促すこととしている。
<大当り遊技>
主制御基板200のCPU201は、第1特図または第2特図が何れかの大当り図柄で停止表示すると、第1大入賞口28または第2大入賞口35が開放状態となるラウンド遊技が複数回行われる大当り遊技を開始する。図2を用いて前述したように、第1大入賞口28および第2大入賞口35には右打ちされた遊技球が入球可能であるので、大当り遊技中は右打ちが行われることとなる。
図5に示すように、本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技として、「Vショート」の大当り遊技と「Vロング」の大当り遊技とを実行可能である。詳しくは、図5(a)に示すように、第1特図が大当り図柄101〜280で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は90%の確率で)、「Vショート」の大当り遊技が行われ、第1特図が大当り図柄281〜300で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は10%の確率で)、「Vロング」の大当り遊技が行われる。また、図5(b)に示すように、第2特図が大当り図柄401〜600で停止表示された場合は(第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は100%の確率で)、「Vロング」の大当り遊技が行われる。
本実施例のパチンコ機1では、「Vショート」の大当り遊技または「Vロング」の大当り遊技の何れが行われる場合であっても、2回のラウンド遊技が行われ、そのうち1回目のラウンド遊技では第1大入賞口28が開放状態となり、2回目のラウンド遊技では第2大入賞口35が開放状態となる。もっとも、「Vショート」の大当り遊技と「Vロング」の大当り遊技とでは、「特定口38への遊技球の入球可能性」が互いに異なっている。すなわち、「Vショート」の大当り遊技および「Vロング」の大当り遊技は、1回目のラウンド遊技では双方とも10秒間(あるいは4個の遊技球が入球するまで)第1大入賞口28が開放状態となるものの、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が互いに異なる。詳しくは、「Vショート」の大当り遊技は、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が0.2秒間であることから遊技球が特定口38に入球し難く、「Vロング」の大当り遊技は、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が10秒間(あるいは4個の遊技球が入球するまで)であることから遊技球が特定口38に入球し易い。
そして、図5(c)に示すように、「Vショート」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球した場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「高確率状態且つ電サポ状態(高確率・電サポ状態)」に設定され、「Vショート」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球しなかった場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「低確率状態且つ非電サポ状態(低確率・非電サポ状態)」に設定される。
また、「Vロング」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球した場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「高確率・電サポ状態」に設定され、「Vロング」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球しなかった場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「低確率状態且つ電サポ状態(低確率・電サポ状態)」に設定される。
尚、「高確率・電サポ状態」は次に大当り遊技が行われるまで継続し、「低確率・電サポ状態」は45回の図柄変動遊技が行われるまで継続する(それまでに大当り遊技が行われた場合は終了する)。
ここで、主制御基板200のCPU201は、大当り遊技を開始する場合は、サブ制御基板220に向けて大当り遊技が開始されることを示す大当り遊技開始コマンドを送信する。サブ制御基板220のCPU221は、大当り遊技開始コマンドを受信すると、大当り遊技に対応する大当り遊技演出を実行する。
尚、第1大入賞口28および第2大入賞口35(本発明における「可変入球口」)が開放状態(本発明における「入球可能状態」)となる大当り遊技(本発明における「特定遊技」)を実行する主制御基板200のCPU201は、本発明における「特定遊技実行手段」に相当する。
<普通図柄の変動表示、普図当り遊技、普通図柄の保留>
図2を用いて前述したように、普通図柄作動ゲート27は右打ちされた遊技球が通過可能である。右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過し、その遊技球がゲートセンサー27sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する普図当り判定乱数)を取得し、該判定乱数に基づいて普図当りであるか外れであるかを判定する普図当り判定を行う。そして、この普図当り判定の結果に基づいて、普通図柄を変動表示させた後に停止表示させる。図4に示すように、セグメント表示部50には、普通図柄を表示する普図表示部56が設けられており、普図表示部56には2個のLEDが配置されている。普通図柄は、普図表示部56において、2個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、2個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、普通図柄として、2個のLEDのうち左のLEDを点灯させた普図当り図柄と、右のLEDを点灯させた普図外れ図柄の2種類の図柄を停止表示可能である。普図当り判定の結果が普図当りである場合は普通図柄が普図当り図柄で停止表示され、普図当り判定の結果が普図外れである場合は普通図柄が普図外れ図柄で停止表示される。こうして普通図柄を当り図柄または外れ図柄で停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(確定表示)を行う。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示した場合は、第2始動口25が開放状態となった後に閉鎖状態となる普図当り遊技を行う。
上述した非電サポ状態や電サポ状態は、普図当り判定の態様や、普通図柄の変動表示の態様、普図当り遊技の態様を異ならせることによって設定される。つまり、普図当り判定において普図当りと判定される確率は、非電サポ状態においては100分の1であり、電サポ状態においては100分の99である。また、普通図柄の変動時間としては、非電サポ状態においては長い時間が選択され易く(1000m秒、2000m秒、3000m秒の何れかが均等に選択され)、電サポ状態においては短い時間が選択され易い(1000m秒、1252m秒、1500m秒の何れかが均等に選択される)。また、普図当り遊技としては、非電サポ状態においては第2始動口25が短時間(16m秒×1回)だけ開放状態となる普図当り遊技が行われ、電サポ状態においては第2始動口25が長時間(840m秒×2回)開放状態となる普図当り遊技が行われる。これらによって、非電サポ状態中は、第2始動口25が開放状態となる頻度が低くなり、第2始動口25への遊技球の入球頻度も低くなる。これに対して、電サポ状態中は、第2始動口25が開放状態となる頻度が高くなり、第2始動口25への遊技球の入球頻度も高くなる。
遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、普図当り判定や普通図柄の変動表示が行われるものの、これらの普図当り判定や変動表示は、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過後に直ぐに行われるのではなく、取得された判定乱数を普図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した普図保留に基づいて普図当り判定や普通図柄の変動表示を行う。このような普図保留も4個を上限として記憶される。普図保留の記憶数(普図保留数)は、セグメント表示部50の普図保留表示部57に表示される。すなわち、図4に示すように、普図保留表示部57には2個のLEDが配置されており、この普図保留表示部57では、2個のLEDのうち両方を消灯することで普図保留数が0個であることを示し、2個のLEDのうち1個のLEDを点灯することで普図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで普図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで普図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで普図保留数が4個であることを示す。尚、本実施例のパチンコ機1では、普図保留が記憶されている場合において、普通図柄の変動表示中、普通図柄の確定表示中、普図当り遊技中の何れでもなければ、最先に記憶された普図保留に係る普図当り判定および普通図柄の変動表示を行う。
尚、上述したような遊技の進行に係る処理を行う主制御基板200は、本発明における「主制御部」に相当する。
<演出表示装置41の表示内容>
本実施例のパチンコ機1では、上述したような遊技の進行に合わせて、演出表示装置41に種々の画像を表示する演出を行う。このような演出を行うための処理は、主にサブ制御基板220のCPU221によって行われる。すなわち、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200のCPU201から遊技の進行状況を示すコマンド(例えば、上述の変動パターン指定コマンド、大当り遊技開始コマンドなど)を受信することに基づいて、遊技の進行状況を把握しており、この遊技の進行状況に応じた演出を行う。
例えば、サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受信すると、第1特図または第2特図の変動表示(変動パターン)に合わせた図柄変動演出を行う。すなわち、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示(図柄変動遊技)の開始タイミングと同期して、演出表示装置41において3つの識別図柄41a,41b,41cの変動表示を開始する。その後、特別図柄の変動時間が経過するまで種々の態様で識別図柄41a,41b,41cの変動表示を行う。そして、サブ制御基板220のCPU221は、変動停止コマンドを受信すると図柄変動演出を終了する。すなわち、特別図柄の変動表示の終了タイミング(特別図柄の停止表示)と同期して識別図柄41a,41b,41cの変動表示を終了する。本実施例のパチンコ機1では、識別図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄を表示可能である。
図6(a)には、3つの識別図柄41a,41b,41cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始されてから所定時間が経過すると、例えば、初めに左識別図柄41aが停止表示され、次に右識別図柄41cが停止表示され、最後に中識別図柄41bが停止表示される。これら演出表示装置41で停止表示される3つの識別図柄41a,41b,41cの組合せは、前述した第1特図表示部51または第2特図表示部52にて停止表示される特別図柄(第1特図または第2特図)と対応するように構成されている。例えば、第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は(すなわち、特図当り判定の結果が「大当り」となる場合に選択される変動パターンを受信した場合は)、演出表示装置41の3つの識別図柄41a,41b,41cが同じ図柄となる図柄組合せ(以下「ゾロ目」ともいう)で停止表示される。また、第1特図または第2特図が外れ図柄で停止表示される場合は(すなわち、特図当り判定の結果が「大当り」となる場合に選択される変動パターンを受信した場合は)、3つの識別図柄41a,41b,41cは同じ図柄で揃わない図柄組合せ(以下「バラケ目」ともいう)で停止表示される。尚、停止表示された識別図柄41a、41b、41cは、特別図柄の確定表示時間が経過するまで停止表示された状態となる(確定表示される)。
このように、第1特図表示部51または第2特図表示部52で表示される特別図柄と、演出表示装置41で表示される3つの識別図柄41a,41b,41cとは、表示内容が互いに対応しており、変動表示中の特別図柄が停止表示する際には、3つの識別図柄41a,41b,41cも停止表示するようになっている。しかも、図2に示すように、演出表示装置41は、第1特図表示部51または第2特図表示部52(セグメント表示部50)よりも目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置41の画面を視認しながら遊技を行うことが通常である。従って、図6(b)に示すように、例えば、演出表示装置41の表示画面上で初めに停止表示される左識別図柄41aと、続いて停止表示される右識別図柄41cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄41bも同じ図柄で停止して、「大当り遊技が開始されるのではないか」と、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、複数の識別図柄のうち一の識別図柄を除いた識別図柄を同じ図柄(ゾロ目となり得る態様)で停止させて該一の識別図柄を変動表示させた状態で行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。
また、演出表示装置41の表示画面上の下部には、第1特図保留数を示すための第1保留表示領域41dと、第2特図保留数を示すための第2保留表示領域41eとが設定されている。本実施例のパチンコ機1では、第1保留表示領域41dに第1特図保留数と同数の「保留図柄(図中、小さい円形の図柄)」を表示することで第1特図保留数(上限数は4個)を示し、第2保留表示領域41eに第2特図保留数(上限数は4個)と同数の「保留図柄」を表示することで第2特図保留数を示す。従って、図6に示す例では、第1特図保留数が4個であり、第2特図保留数が4個であることが示されている。尚、当然ながら、演出表示装置41の表示画面上に表示された保留図柄によって示される保留数と、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53および第2特図保留表示部54にて示される保留数とは一致する。
尚、遊技の進行合わせて上述したような演出を行うサブ制御基板220は、本発明における「副制御部」に相当する。
C.不正交換を検出するための構成 :
本実施例のパチンコ機1は、上述したように遊技が進行するが、遊技の進行を制御する主制御基板200(本発明における「主制御部」)が非正規なものに交換される(いわゆる「不正交換」が行われる)ことがある。例えば、特図当り判定の結果が「大当り」となる確率を不正に高めた主制御基板や、所定の操作を行うと大当り遊技が不正に開始される主制御基板などに交換されることがある。そして、このように主制御基板200が非正規なものに交換されると、遊技ホールが多大な損失を被ってしまう。そこで、本実施例のパチンコ機1では、このような「不正交換」を検出するための構成を有している。以下では、その構成について説明する。
C−1.不正交換を検出するための制御回路 :
本実施例のパチンコ機1では、図3を用いて前述した構成以外にも、主制御基板200の不正交換を検出するために図7に示すような構成を有している。尚、図7では、図3を用いて前述した構成については適宜省略している。
図7に示すように、主制御基板200(本発明における「主制御部」)には、CPU201やROM202等の他にも、不揮発性の記憶部(フラッシュメモリ)である主側フラッシュメモリ204が搭載されている。主側フラッシュメモリ204には、主制御基板200の不正交換の検出に利用される4バイト(byte)の「第1承認データ」が記憶されており、ROM202には、この「第1承認データ」を更新するための更新プログラムが記憶されている。CPU201は、「第1承認データ」を主側フラッシュメモリ204から読み出し、読み出した「第1承認データ」を更新プログラムに従って更新し、更新した「第1承認データ」を主側フラッシュメモリ204に記憶させる。
また、サブ制御基板220(本発明における「副制御部」)には、CPU221やROM222等の他にも、不揮発性の記憶部(フラッシュメモリ)であるサブ側フラッシュメモリ224が搭載されている。サブ側フラッシュメモリ224には、主制御基板200の不正交換の検出に利用される4バイト(byte)の「第2承認データ」が記憶されており、ROM222には、この「第2承認データ」を更新するための更新プログラムが記憶されている。CPU221は、「第2承認データ」をサブ側フラッシュメモリ224から読み出し、読み出した「第2承認データ」を更新プログラムに従って更新し、更新した「第2承認データ」をサブ側フラッシュメモリ224に記憶させる。
ここで、主制御基板200のROM202に記憶されている更新プログラム(すなわち、「第1承認データ」を更新するための更新プログラム)と、サブ制御基板220のROM222に記憶されている更新プログラム(すなわち、「第2承認データ」を更新するための更新プログラム)とは、互いに同一のプログラムである。従って、「第1承認データ」と「第2承認データ」とは互いに同一の態様で更新される。例えば、更新処理が行われるたびに同一の関数に基づいて演算が行われる(例えば「1」が加算される)。
尚、「第1承認データ」を記憶する主側フラッシュメモリ204は、本発明における「第1記憶手段」に相当し、「第2承認データ」を記憶するサブ側フラッシュメモリ224は、本発明における「第2記憶手段」に相当する。
C−2.不正交換を検出するための処理 :
図8は、主制御基板200のCPU201によって実行される主側不正交換検出処理を示すフローチャートである。この主側不正交換検出処理は、主制御基板200の不正交換を検出するための処理であり、所定周期毎に(例えば100msec毎に発生するタイマ割り込みに基づいて)行われる。主側不正交換検出処理を開始すると、主制御基板200のCPU201は先ず、「正常コマンド待機フラグ」がONに設定されているか否かを判断する(S100)。
詳しくは後述するが、本実施例のパチンコ機1では、主制御基板200の不正交換を検出するに際して、主制御基板200からサブ制御基板220に向けて「第1承認データ」を送信し、サブ制御基板220において該「第1承認データ」が正常であるか否かを判断する。そして、「第1承認データ」が正常であれば、サブ制御基板220から主制御基板200に向けて「正常コマンド」が送信される。「正常コマンド待機フラグ」は、このような「正常コマンド」を待機している状態であること、すなわち、「第1承認データ」をサブ制御基板220に向けて送信したものの、該「第1承認データ」に対応する「正常コマンド」を未だ受信していない状態であることを示すフラグである。従って、S100の判断処理では、「正常コマンド待機フラグ」がONに設定されているか否かを判断することによって、「正常コマンド」を待機している状態であるか否かが判断されることとなる。尚、「正常コマンド待機フラグ」は、RAM203にその記憶領域が確保されている。
S100の判断処理の結果、「正常コマンド待機フラグ」がOFFであると判断された場合、すなわち、「正常コマンド」を待機している状態でないと判断された場合は(S100:no)、図柄変動遊技中(特別図柄の変動表示中)であるか否かを判断する(S112)。その結果、図柄変動遊技中でない場合は(S112:no)、主制御基板200のCPU201は、主側フラッシュメモリ204から「第1承認データ」を読み出し、読み出した「第1承認データ」をサブ制御基板220に向けて送信する(S114)。そして、送信した「第1承認データ」に対応する「正常コマンド」を待機している状態とすべく、「正常コマンド待機フラグ」をONに設定する(S116)。一方、S114の判断処理で、図柄変動遊技中であると判断された場合は(S114:yes)、「第1承認データ」を送信することなく(すなわち、不正交換に係る処理を行うことなく)、そのまま図8に示す主側不正交換検出処理を終了する。ここで、図柄変動遊技中は、種々の演出(図柄変動演出)を行う可能性が高いため、主制御基板200のCPU201は図柄変動演出に係るコマンドを送信することがあり、サブ制御基板220のCPU221は図柄変動演出に係る処理を実行することがある。このため、図柄変動遊技中は、主制御基板200−サブ制御基板220間の通信負荷や、主制御基板200のCPU201やサブ制御基板220のCPU221の処理負荷が高まっている可能性がある。そこで、本実施例のパチンコ機1では、図柄変動遊技中は「第1承認データ」を送信しない構成(すなわち、主制御基板200の不正交換を検出するための処理を開始しない構成)とすることによって、主制御基板200−サブ制御基板220間の通信負荷や、主制御基板200のCPU201の処理負荷、サブ制御基板220のCPU221の処理負荷(これらの負荷のうち少なくとも1つ)が過度に高まることを抑制している。
S114の処理で「第1承認データ」を送信すると共に、S116の処理で「正常コマンド待機フラグ」をONに設定したら、次回の主側不正交換検出処理のS100の処理では、「正常コマンド待機フラグ」がONに設定された状態、すなわち、「正常コマンド」を待機している状態であると判断される。このように「正常コマンド」を待機している状態である場合は(S100:yes)、サブ制御基板220から「正常コマンド」を受信しているか否かを判断する(S102)。その結果、「正常コマンド」を未だ受信していない場合は(S102:no)、「第1承認データ」を送信してから制限時間(例えば0.5秒)が経過したか否か(いわゆるタイムアウトとなったか否か)を判断する(S104)。その結果、未だタイムアウトとなっていない場合は(S104:no)、そのまま図8に示す主側不正交換検出処理を終了する。この場合は、次回の主側不正交換検出処理で、再度、「正常コマンド」を受信しているか否の判断処理が行われ(S104)、「正常コマンド」を受信していなければ(S104:no)、タイムアウトとなったか否かの判断処理が行われる(S106)。
その結果、タイムアウトとなった場合(S104:yes)、すなわち、「第1承認データ」を送信してから「正常コマンド」を受信することなく制限時間(例えば0.5秒)が経過した場合は(S104:yes)、タイムアウトとなった場合用のタイムアウト対応処理を行う(S106)。
ここで、タイムアウトとなる場合としては、サブ制御基板220に向けて送信した「第1承認データ」が正常でないこと(例えば、主制御基板200の不正交換が行われたこと)や、そもそもサブ制御基板220(CPU221等)が正常に動作していないことが想定される。そこで、タイムアウト対応処理としては、主制御基板200のCPU201の遊技の進行に係る制御を停止したり、サブ制御基板220のCPU221の遊技の進行に合わせた演出の制御を停止したりする(例えば、変動パターン指定コマンドを受信しても、図柄変動演出を行わないようにする)。
もっとも、パチンコ機1に電源が投入されてから直ぐは、サブ制御基板220のCPU221の初期化等に時間を要してしまい、「第1承認データ」が正常であるか否かに拘わらず「正常コマンド」を送信することができないことも想定される。このような場合にまで、主制御基板200のCPU201の遊技の進行に係る制御を停止したり、サブ制御基板220のCPU221の遊技の進行に合わせた演出の制御を停止したりすると、パチンコ機1が正常に動作しなくなってしまう。そこで、パチンコ機1の電源が投入されてから最初に「第1承認データ」を送信した場合は、タイムアウトと判断するまでの時間を上述の制限時間(第1時間)よりも長い時間(第2時間)とする構成としてもよいし、そもそもタイムアウトとなったか否かの判断を行わないこととしてもよい。こうすると、パチンコ機1が上述のように正常に動作しなくなってしまうことを防止することができる。
また、遊技者以外の関係者(例えば開発者)が意図的に、主制御基板200だけに(例えば、動作試験を行うために)電源を投入し、サブ制御基板220には電源を投入しないことも想定される。このような場合にまで、主制御基板200のCPU201の遊技の進行に係る制御を停止したり、サブ制御基板220のCPU221の遊技の進行に合わせた演出の制御を停止したりすると、パチンコ機1が正常に動作しなくなってしまう。そこで、関係者が意図的に主制御基板200だけに(例えば、動作試験を行うために)電源を投入する試験モード(第1モード)と、それとは異なる通常モード(第2モード)とを設け、遊技者以外の関係者の操作に基づいて試験モードと通常モードとを選択的に設定可能にしてもよい。そして、試験モードが設定されている場合はタイムアウトとなったか否かの判断を行わないこととしてもよい。こうすると、パチンコ機1が上述のように正常に動作しなくなってしまうことを防止することができる。
以上は、S102の判断処理で、「正常コマンド」を受信していないと判断した場合(S102:no)の処理について説明した。これに対して、「正常コマンド」を受信していると判断した場合は(S102:yes)、先ず、「正常コマンド」を待機している状態を解消すべく「正常コマンド待機フラグ」をOFFに設定する(S108)。そして、「第1承認データ」を主側フラッシュメモリ204から読み出し、読み出した「第1承認データ」をROM202に記憶された更新プログラムに従って更新し(S110)、更新した「第1承認データ」を主側フラッシュメモリ204に記憶させる。
以上のように、主制御基板200では、「第1承認データ」を送信し、該「第1承認データ」が正常であることを示す「正常コマンド」をサブ制御基板220から受信したら(「正常コマンド」受信する毎に)、「第1承認データ」を更新プログラムに従って更新する。
図9は、サブ制御基板220のCPU221によって実行されるサブ側不正交換検出処理を示すフローチャートである。このサブ側不正交換検出処理は、上述した主側不正交換検出処理に対応して、主制御基板200の不正交換を検出するための処理であり、所定周期毎に(例えば100msec毎に発生するタイマ割り込みに基づいて)行われる。サブ側不正交換検出処理を開始すると、サブ制御基板220のCPU221は先ず、「第1承認データ」を受信しているか否かを判断する(S200)。その結果、「第1承認データ」を受信している場合は(S200:yes)、「第2承認データ」をサブ側フラッシュメモリ224から読み出して、受信した「第1承認データ」と比較する(S202)。その結果、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致していれば(S204:yes)、「第1承認データ」は正常であると判断して、「正常コマンド」を主制御基板200に向けて送信する(S206)。そして、S202の処理で「第1承認データ」と比較した「第2承認データ」をROM222に記憶された更新プログラムに従って更新し(S208)、更新した「第2承認データ」をサブ側フラッシュメモリ224に記憶させる。
ここで、本実施例のパチンコ機1では、主側フラッシュメモリ204に記憶される「第1承認データ」と、サブ側フラッシュメモリ224に記憶される「第2承認データ」としては、パチンコ機1が出荷される時点では(すなわち初期値としては)、何れも同一の値(例えば「0」)が記憶されている。そして、図7を用いて前述したように、「第1承認データ」は、主制御基板200が「正常コマンド」を受信する毎に更新プログラムに従って更新され、図8を用いて上述したように、「第2承認データ」は、サブ制御基板220が「正常コマンド」を送信する毎に更新プログラムに従って更新される。つまり、「第1承認データ」および「第2承認データ」は双方とも、「正常コマンド」の送受信が行われる毎に(「第1承認データ」が正常であると判断される毎に)更新されるものであり、換言すると、「第1承認データ」および「第2承認データ」は、同一のタイミングに基づいて(同一の回数だけ)更新される。そして、これらの更新プログラムは互いに同一のプログラム(同一の態様で更新処理を行うためプログラム)である。例えば、「第1承認データ」および「第2承認データ」は更新が行われる毎に「1」ずつ加算(インクリメント)される。すわなち、「第1承認データ」および「第2承認データ」は、初期値が同一であり、同一のタイミングに基づいて(同一の回数だけ)、同一の態様(本発明における「特定態様」)で(更新プログラムに従って)更新される。
このため、主制御基板200の不正交換が行われていなければ、「第1承認データ」と「第2承認データ」とは互いに一致する(本発明における「正常結果」となる)はずである。これに対して、主制御基板200の不正交換が行われていれば、自ずと主側フラッシュメモリ204も交換されているので、それまで更新された「第1承認データ」も別の値に置き換わっている。従って、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致する可能性は極めて低くなる。
そこで、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較した結果(S202)、一致しなければ(本発明における「正常結果」とならなければ、S204:no)、不正交換が行われた(「第1承認データ」が正常でない)と判断できるので、該不正交換が行われたことに対応する不正交換対応処理を行う(S210)。例えば、不正交換が行われたことを示す音声を各種スピーカー6a,6bから出力したり、不正交換が行われたことを示す画像を演出表示装置41の表示画面に表示したりすることで、不正交換が行われてことを報知する。また、不正交換が行われた後は、サブ制御基板220のCPU221の遊技の進行に合わせた演出の制御を停止する(例えば、変動パターン指定コマンドを受信しても、図柄変動演出を行わないようにする)。さらに、不正交換が行われたことを示すコマンドを主制御基板200に送信し、主制御基板200のCPU201は該コマンドを受信すると遊技の進行に係る制御を停止する。
以上のように、サブ制御基板220では、「第2承認データ」として、パチンコ機1が出荷される時点では(すなわち初期値としては)、「第1承認データ」と同一の値(例えば「0」)が記憶されている。そして、「第2承認データ」の更新は、「第1承認データ」の更新と同様に「正常コマンド」が送受信される毎に(「第1承認データ」の更新と同一のタイミングに基づいて)、「第2承認データ」の更新と同一の態様(本発明における「特定態様」)で行われる。このため、主制御基板200の不正交換が行われていなければ、「第1承認データ」と「第2承認データ」とは互いに一致する(本発明における「正常結果」となる)はずである。これに対して、主制御基板200の不正交換が行われていれば、自ずと主側フラッシュメモリ204も交換されているので、それまで更新された「第1承認データ」も別の値に置き換わっている。従って、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致する可能性は極めて低くなる。そこで、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致しなければ、主制御基板200の不正交換が行われたと判断して、不正交換対応処理を行う。この結果、主制御基板200の不正交換を高い精度で発見することが可能となる。
図10は、上述した不正交換を検出するための処理をまとめて示す説明図である。図10に示すように、主制御基板200のCPU201は、主側フラッシュメモリ204に記憶されている「第1承認データ」を、サブ制御基板220に向けて送信する。サブ制御基板220のCPU221は、「第1承認データ」を受信すると、該「第1承認データ」とサブ側フラッシュメモリ224に記憶されている「第2承認データ」とを比較する。その結果、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致する場合は、主制御基板200の不正交換は行われていない(「第1承認データ」は正常である)と判断して、「正常コマンド」を主制御基板200に向けて送信する。そして、「第1承認データ」と比較した「第2承認データ」を更新プログラムに従って更新し、サブ側フラッシュメモリ224に記憶する。主制御基板200のCPU201は、「正常コマンド」を受信すると、主側フラッシュメモリ204に記憶されている「第1承認データ」(サブ制御基板220に向けて送信した「第1承認データ」)を更新プログラムに従って更新する。そして、主制御基板200のCPU201およびサブ制御基板220のCPU221は、上述したような処理(図8および図9を用いて上述した処理)を繰り返す。
以上のように、「第1承認データ」および「第2承認データ」は、初期値が同一であり、同一のタイミングに基づいて(同一の回数だけ)、同一の態様(本発明における「特定態様」)で(更新プログラムに従って)更新される。このため、主制御基板200が不正交換されていなければ、「第1承認データ」と「第2承認データ」とは互いに一致する(本発明における「正常結果」となる)はずである。これに対して、主制御基板200が不正交換されていれば、自ずと主側フラッシュメモリ204も交換されているので、それまで更新された「第1承認データ」も別の値に置き換わっている。従って、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致する可能性は極めて低くなる。そこで、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致しなければ、主制御基板200の不正交換が行われたと判断して、不正交換対応処理を行う。この結果、主制御基板200の不正交換を高い精度で発見することが可能となる。
ここで、主制御基板200の不正交換は、パチンコ機1の電源が落とされた後(パチンコ機1に電源が供給されていない場合)に行われることも想定される。この点、本実施例のパチンコ機1は、「第1承認データ」は不揮発性の記憶部である主側フラッシュメモリ204に記憶されており、「第2承認データ」は不揮発性の記憶部であるサブ側フラッシュメモリ224に記憶されている。このため、パチンコ機1の電源が落とされても、「第1承認データ」および「第2承認データ」としては、パチンコ機1の電源が落とされる前の値が保持されることとなる。そして、その後にパチンコ機1の電源が投入されると、「第1承認データ」および「第2承認データ」として保持された値が更新されていくことによって、不正交換を検出するための上述の処理が行われることとなる。そして、主制御基板200の不正交換がパチンコ機1の電源が落とされた後に行われた場合は、自ずと主側フラッシュメモリ204も交換されているので、「第1承認データ」として保持された値も別の値に置き換わることとなり、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致しなくなる可能性が高くなる。この結果、主制御基板200の不正交換がパチンコ機1の電源が落とされた後に行われる場合であっても、該不正交換を高い精度で発見することが可能となる。
また、本実施例のパチンコ機1では、不正交換対応処理の一環として、サブ制御基板220のCPU221が遊技の進行に合わせた演出の制御を停止する(例えば、変動パターン指定コマンドを受信しても、図柄変動演出を行わないようにする)。大抵の遊技者は、遊技の進行に合わせた演出に基づいて遊技の進行状況を把握しており、不正交換を企てる者もその可能性が高い。従って、主制御基板200の不正交換を行った結果、遊技の進行に合わせた演出が行われなくなると、当該不正交換を行った者は遊技の進行状況を把握することができなくなり、遊技を意図的に進行させることが困難となる。この結果、遊技ホールが損失を被ることを抑制することが可能となる。また、近年では、遊技の進行に合わせた演出として派手な演出が行われることが多いが、このような派手な演出が行われなくなったパチンコ機1は目立つこととなる。この結果、主制御基板200の不正交換を発見することが更に容易となる。
また、本実施例のパチンコ機1では、不正交換対応処理の一環として、主制御基板200のCPU201が遊技の進行に係る制御を停止する。このように遊技の進行に係る制御が停止されると、その後は遊技の進行が行われず、ひいては、遊技球の払い出しが行われることもない。この結果、主制御基板200の不正交換を発見することが更に容易となり、ひいては、遊技ホールが損失を被ることを抑制することが可能となる。
また、主制御基板200の不正交換が行われた場合は、特定遊技が不正に行われることによって、遊技ホールが損失を被ることが多い。この点、本実施例のパチンコ機1では、特別図柄が大当り図柄で表示されると大当り遊技が行われるが、このような特別図柄の変動表示が行われる際に(特別図柄の変動表示の開始タイミングで)、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較する。すなわち、大当り遊技が行われる可能性が高まった際に、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較して、主制御基板200の不正交換が行われたか否かを判断する(主制御部の不正交換を発見する)。この結果、遊技ホールが損失を被ることを抑制することが可能となる。
尚、「正常コマンド」は本発明における「正常信号」に相当し、主側フラッシュメモリ204(第1記憶手段)に記憶されている「第1承認データ」を更新プログラムに従って(特定態様で)更新する主制御基板200のCPU201は、本発明における「第1更新手段」に相当する。また、主側フラッシュメモリ204(第1記憶手段)に記憶されている「第1承認データ」をサブ制御基板220(副制御部)に向けて送信する主制御基板200のCPU201は、本発明における「第1送信手段」に相当する。また、「第1承認データ」とサブ側フラッシュメモリ224(第2記憶手段)に記憶されている「第2承認データ」とを互いに比較する主制御基板200のCPU201は、本発明における「比較手段」に相当する。また、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致する場合に(正常結果となる場合に)、「正常コマンド(正常信号)」を主制御基板200(主制御部)に向けて送信するサブ制御基板220のCPU221は、本発明における「第2送信手段」に相当する。また、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致する場合に(正常結果となる場合に)、サブ側フラッシュメモリ224(第2記憶手段)に記憶されている「第2承認データ」を更新プログラムに従って(特定態様で)更新するサブ制御基板220のCPU221は、本発明における「第2更新手段」に相当する。また、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致しない場合に(正常結果とならない場合に)、主制御基板200の不正交換が行われたことを報知するサブ制御基板220のCPU221は、本発明における「報知手段」に相当する。
D.変形例 :
上述した実施例においては、主制御基板200が「第1承認データ」をサブ制御基板220に向けて送信するタイミング、すなわち、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較するタイミングは、次のようなタイミングとしてもよい。例えば、前面枠4が開放された後に閉鎖された場合や、中枠が開放された後に閉鎖された場合に(所定の比較条件が成立した場合に)、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較することとしてもよい。ここで、主制御基板200の不正交換は、前面枠4や中枠を開放して行われることが多い。そこで、前面枠4が開放された後に閉鎖された場合や、中枠が開放された後に閉鎖された場合に、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較することとすると、主制御基板200の不正交換が行われたタイミングで該不正交換が行われたか否かを判断することができ、ひいては、このタイミングで実施例と同様の不正交換対応処理を行うことができる。この結果、遊技ホールが損失を被ることを抑制することが可能となる。
また、大当り遊技(特定遊技)が開始される場合、すわなち、大当り遊技開始コマンドがサブ制御基板220に向けて送信される場合(所定の比較条件が成立した場合)に、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較することとしてもよい。ここで、主制御基板200の不正交換は、不正に遊技球を払い出させることを目的として行われる。このような遊技球の払い出しは、大当り遊技を介して行われる。そこで、大当り遊技が開始される場合に、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較することとすると、主制御基板200の不正交換によって遊技球が不正に払い出されるタイミングで該不正交換が行われたか否かを判断することができ、ひいては、このタイミングで実施例と同様の不正交換対応処理を行うことができる。この結果、遊技ホールが損失を被ることを抑制することが可能となる。
また、遊技球が払い出される場合、すなわち、払出コマンドが払出制御基板240に向けて送信される場合(所定の比較条件が成立した場合)に、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較することとしてもよい。ここで、主制御基板200の不正交換は、不正に遊技球を払い出させることを目的として行われる。そこで、遊技球が払い出される場合に、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較することとすると、主制御基板200の不正交換によって遊技球が不正に払い出されるタイミングで該不正交換が行われたか否かを判断することができ、ひいては、このタイミングで実施例と同様の不正交換対応処理を行うことができる。この結果、遊技ホールが損失を被ることを抑制することが可能となる。
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例および変形例においては、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致した場合に、主制御基板200の不正交換が行われていないと判断することとした。すなわち、「第1承認データ」と「第2承認データ」とが互いに一致する結果を本発明における「正常結果」とした。これに限らず、「第1承認データ」と「第2承認データ」が互いに一致しない場合も、主制御基板200の不正交換が行われていないと判断する(本発明における「正常結果」とする)ことがあってもよい。例えば、「第1承認データ」と「第2承認データ」とで初期値が互いに異なる場合は、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較した結果が初期値の差を考慮した結果となった場合に不正交換が行われていないと判断する(本発明における「正常結果」とする)。例えば、「第1承認データ」の初期値が「0」であり、「第2承認データ」の初期値が「10」であり、「第1承認データ」と「第2承認データ」の更新処理が1ずつ加算する態様である場合は、「第1承認データ」と「第2承認データ」とを互いに比較した結果が「第1承認データ」より「第2承認データ」が「10」だけ大きい結果となった場合に、主制御基板200の不正交換が行われていないと判断する(本発明における「正常結果」とする)。
上述した実施例および変形例では、「第1承認データ」を送信してから「正常コマンド」を受信することなく制限時間(例えば0.5秒)が経過した場合は、タイムアウト対応処理を行うこととしたが、これに限らず、「第1承認データ」を送信してから「正常コマンド」を受信することなく制限時間(例えば0.5秒)が経過した場合は、再度、同一の「第1承認データ」を送信することとしてもよい。こうすると、主制御基板200とサブ制御基板220との間の通信線(例えばハーネス)が接続されておらず、その後に該通信線が接続された場合であっても、該通信線が接続された後にサブ制御基板220が「第1承認データ」を受信して、上述したような不正交換を検出するための処理が行われるので、主制御基板200の不正交換を高い精度で発見することが可能となる。また、サブ制御基板220に電源が供給されておらず、その後に該電源が供給された場合などであっても、該電源が供給された後にサブ制御基板220が「第1承認データ」を受信して、上述したような不正交換を検出するための処理が行われるので、主制御基板200の不正交換を高い精度で発見することが可能となる。
また、上述した実施例および変形例では、遊技盤20に形成された遊技領域21に向けて遊技球を発射することによって遊技を行うパチンコ機1に本発明を適用したが、外周面に複数種類の図柄が描かれた回胴を回転させ、該回胴を停止させることによって遊技を行うスロットマシン(回胴式遊技機)に本発明を適用することとしてもよい。
また、上述した実施例および変形例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
また、上述した実施例または変形例のパチンコ機は、次のような遊技機として把握することもできる。すなわち、
<把握例1>
遊技の進行を制御する主制御部と、遊技の進行に合わせて演出の制御を行う副制御部とを備える遊技機において、
前記主制御部は、
第1承認データを記憶する第1記憶手段と、
副制御部から正常信号を受信する毎に、前記第1記憶手段に記憶されている前記第1承認データを特定態様で更新する第1更新手段と、
前記第1記憶手段に記憶されている前記第1承認データを前記副制御部に向けて送信する第1送信手段と、
を備え、
前記副制御部は、
第2承認データを記憶する第2記憶手段と、
前記主制御部から前記第1承認データを受信する毎に、当該第1承認データと前記第2記憶手段に記憶されている前記第2承認データとを互いに比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果が正常結果となる場合に、前記正常信号を前記主制御部に向けて送信する第2送信手段と、
前記比較手段による比較の結果が正常結果となる場合に、前記第2記憶手段に記憶されている前記第2承認データを前記特定態様で更新する第2更新手段と、
前記比較手段による比較の結果が前記正常結果とならない場合に、不正が行われたことを示唆する報知を行う報知手段と、
を備える
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、第1承認データと第2承認データとの比較結果が正常結果となる場合に(正常信号を送受信する場合に)、主制御部は第1承認データを更新し、副制御部は第2承認データを更新するので、第1承認データおよび第2承認データのうち一方のみが更新されることはない。例えば、主制御部および副制御部の一方のみに電源が投入された場合や、電源ハーネスが接続されていない場合などに、第1承認データおよび第2承認データのうち一方のみが更新されることはない。つまり、第1承認データと第2承認データとは同じタイミングに基づいてしか更新されないので、主制御部が不正に交換されていなければ(いわゆる不正交換が行われていなければ)、第1承認データと第2承認データとの比較結果は正常結果(予定された結果、例えば、同じ値)となる。一方、主制御部の不正交換が行われていれば、第1承認データは、不正交換された主制御部の第1記憶手段に記憶されたデータとなる。すなわち、不正交換前まで継続して更新されてきた正常な第1承認データとは異なったデータとなる。このため、第1承認データと第2承認データとの比較結果が正常結果とならず、不正が行われたことを示唆する報知が行われることとなる。この結果、主制御部の不正交換を高い精度で発見することが可能となる。
<把握例2>
また、こうした遊技機では、
前記主制御部は、
識別情報を変動表示させる識別情報表示手段と、
前記識別情報が特定態様で表示されることに基づいて、可変入球口が入球可能状態となる特定遊技を実行する特定遊技実行手段と、
を備え、
前記識別情報表示手段によって前記識別情報が変動表示されている間は、前記第1送信手段は前記第1承認データの前記副制御部への送信を行わない
こととしてもよい。
このような遊技機では、識別情報の変動表示中は、主制御部から副制御部へ第1承認データを送信する処理を行わないので、この処理に続く上述の処理も行われない。すなわち、識別情報の変動表示中は、上述した主制御部の不正交換を検出するための処理が開始されない。ここで、一般的な遊技機では、識別情報の変動表示中は、種々の演出を行う可能性が高いため、主制御部と副制御部との間では種々の信号が送受信される可能性が高まり、ひいては、主制御部や副制御部において種々の処理が実行される可能性が高まる。この点、本発明の遊技機は、識別情報の変動表示中は、上述した主制御部の不正交換を検出するための処理を開始しないので、主制御部−副制御部間の通信負荷や、主制御部の処理負荷、副制御部の処理負荷(これらの負荷のうち少なくとも1つ)が過度に高まることを抑制することができる。
<把握例3>
また、こうした遊技機では、
前記比較手段による比較の結果が前記正常結果とならない場合は、前記主制御部は前記遊技の進行の制御を停止する
こととしてもよい。
このような遊技機では、主制御部の不正交換が行われたと判断されると、その後は遊技の進行が行われず、ひいては、遊技媒体の払い出しが行われることもない。この結果、主制御部の不正交換を発見することが更に容易となり、ひいては、遊技ホールが損失を被ることを抑制することが可能となる。
<把握例4>
また、こうした遊技機では、
前記比較手段による比較の結果が前記正常結果とならない場合は、前記副制御部は前記演出の制御を停止する
こととしてもよい。
このような遊技機では、主制御部の不正交換が行われたと判断されると、その後は遊技の進行に合わせた演出が行われない。大抵の遊技者は、遊技の進行に合わせた演出に基づいて遊技の進行状況を把握しており、不正交換を企てる者もその可能性が高い。従って、主制御部の不正交換を行った結果、遊技の進行に合わせた演出が行われなくなると、当該不正交換を行った者は遊技の進行状況を把握することができなくなり、遊技を意図的に進行させることが困難となる。この結果、遊技ホールが損失を被ることを抑制することが可能となる。また、近年では、遊技の進行に合わせた演出として派手な演出が行われることが多いが、このような派手な演出が行われなくなった遊技機は目立つこととなる。この結果、主制御部の不正交換を発見することが更に容易となる。