上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例において、特に断りがない限りは、パチンコ機正面に向かって右側を「右」と表現し、左側を「左」と表現する。
また、以下の実施例は次のような順序に従って説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の内容:
C.遊技媒体の払い出しに係る構成:
C−1.払出制御基板とその周辺の制御回路:
C−2.払出制御処理:
C−2−1.通常払出処理:
C−2−2.球無し異常用処理:
C−2−3.満杯異常用処理:
C−2−4.払出異常用処理:
C−2−5.特殊払出処理(スローアップ動作):
D.変形例:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aには合成樹脂製の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置される遊技盤20(図2参照)の遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20のセグメント表示部を視認可能である。詳しくは後述するが、セグメント表示部とは、複数のLEDの組合せによって遊技に係る情報を表示する表示部である。
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの周縁部における右部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの周縁部における左部には左サイドランプ5cが設けられている。また、窓部4aの左右上方には上部スピーカー6aが設けられており、前面枠4の下方(後述する本体枠の下部前面)には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、パチンコ機1に対応して設けられたカードユニット252を介して払い出される(貸し出される)遊技球や、所定の入球口に遊技球が入球することに基づいてパチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
前面枠4における下皿部8の右方には、発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニットに接続されており、この発射装置ユニットには、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニットに伝達され、発射装置ユニットに内蔵された発射モーターが回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
また、上皿部7の縁部には遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。また、図示は省略するが、上皿部7の縁部であって演出ボタン10aの左側には方向ボタン10cが設けられている。方向ボタン10cは上下左右方向のそれぞれに対応する4個のボタン(上ボタン、下ボタン、左ボタン、右ボタン)から構成されている。これらの演出ボタン10aや、ジョグシャトル10b、方向ボタン10cは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定の条件成立時に遊技者によって操作されると、所定の演出が行われる。
前面枠4の背面側には中枠および本体枠が設けられ、前面枠4は、一端(図1における左側)が中枠に対して回動可能に軸支されており、中枠は、一端(図1における左側)が本体枠に対して回動可能に軸支されている。本体枠は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1はこの本体枠が島設備に取り付けられることで遊技ホールに設置される。中枠の前面側には遊技盤20が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠に対してパチンコ機1前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出された状態となる。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤20は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(図3参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方に向かって流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4aを通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者に視認されることとなる。
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40のほぼ中央には、演出表示装置41が設けられている。演出表示装置41は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出用の種々の画像を表示することが可能である。尚、演出表示装置41の詳しい表示内容については後述する。
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、開口部の大きさが不変(一定)であり遊技球が常時入球可能な始動口である第1始動口24が設けられている。第1始動口24に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第1始動口24の内部の通路には第1始動口センサー24s(図3参照)が設けられており、第1始動口24に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の右下には、遊技球が通過可能な普通図柄作動ゲート27が設けられており、普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技球の通過を検知するゲートセンサー27s(図3参照)が設けられている。また、普通図柄作動ゲート27の下方には、遊技球の入球可能性が変化する入球口(始動口)である第2始動口25が設けられている。すなわち、第2始動口25は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉26(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第2始動口25の内部の通路には第2始動口センサー25s(図3参照)が設けられており、第2始動口25に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21における第1始動口24の下方には、略長方形状に大きく開口された第1大入賞口28(可変入球口)が設けられている。第1大入賞口28は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉29(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能な開放状態(入球可能状態)とに変化可能である。図2では、第1大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。第1大入賞口28に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第1大入賞口28の内部の通路には第1大入賞口センサー28s(図3参照)が設けられており、第1大入賞口28に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21における第2始動口25の下方(遊技領域21の右下隅部)には、遊技盤20の前面から前方(遊技者側)に突出した第2大入賞口ユニット33が設けられている。第2大入賞口ユニット33の上面は、右側から左側にかけて下方へ傾斜しており、遊技球が右側から左側(パチンコ機1中央側)に転動可能な転動面34となっている。この転動面34の中途部(遊技球の転動方向の中途部)には、第2大入賞口35(可変入球口)が設けられている。この第2大入賞口35は、パチンコ機1の前後方向に摺動可能(移動可能)な開閉扉36(図中のハッチング部分)を備えており、開閉扉36が前方側に摺動(移動)して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉36が後方側に摺動(移動)して遊技球が入球可能な開放状態(入球可能状態)とに変化可能である。第2大入賞口35に入球した遊技球は、第2大入賞口ユニット33内部に設けられた通路を通って特定口38に導かれる。
第2大入賞口ユニット33の前壁は少なくとも一部が透明板によって形成されているので(光透過性を有しているので)、遊技者は第2大入賞口ユニット33の前壁を通して、第2大入賞口35に入球した遊技球が特定口38に導かれる様子を視認可能である。
第2大入賞口35の内部には第2大入賞口センサー35s(図3参照)が設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球を検知可能である。また、特定口38の内部には特定口センサー38s(図3参照)が設けられており、特定口38に入球した遊技球を検知可能である。
上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が入球可能な一般入球口(図示省略)や、遊技球の流下経路に影響を与える風車型ホイール31、多数の障害釘(図示省略)が設けられている。また、遊技領域21の最下部にはアウト口32が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、第1大入賞口28、第2大入賞口35、一般入球口の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口32から遊技盤20の裏側に排出される。
上述した第1始動口24には、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域(第1領域)を流下する遊技球であっても、右方の領域(第2領域)を流下する遊技球であっても入球可能であるが、左方の領域を流下する遊技球の方が右方の領域を流下する遊技球よりも入球し易い。これに対して、普通図柄作動ゲート27、第2始動口25、第1大入賞口28、第2大入賞口35には、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下する遊技球が入球可能(または通過可能)である。以下では、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「左打ち」とも表現し、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「右打ち」とも表現する。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口24に遊技球が入球した場合は3個の遊技球が遊技者に払い出され、第2始動口25に遊技球が入球した場合は2個の遊技球が遊技者に払い出され、一般入球口に遊技球が入球した場合は10個の遊技球が遊技者に払い出される。また、第1大入賞口28または第2大入賞口35に遊技球が入球した場合は15個の遊技球が遊技者に払い出される。
遊技盤20における遊技領域21の右下方には、LEDの組合せによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者に視認される。尚、セグメント表示部50の詳しい表示内容については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されている。詳しくは、遊技の進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(図3におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図3における203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、普通図柄作動ゲート27を通過した遊技球を検知するゲートセンサー27s、第1大入賞口28へ入球した遊技球を検知する第1大入賞口センサー28s、第2大入賞口35に入球した遊技球を検知する第2大入賞口センサー35s、特定口38に入球した遊技球を検知する特定口センサー38sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、これらのセンサーなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向けて送信する。
また、主制御基板200には、第2始動口25に設けられた開閉扉26に開閉動作を行わせるための(第2始動口25を開放状態、閉鎖状態にするための)第2始動口ソレノイド26mや、第1大入賞口28に設けられた開閉扉29に開閉動作を行わせるための(第1大入賞口28を開放状態、閉鎖状態にするための)第1大入賞口ソレノイド28m、第2大入賞口35に設けられた開閉扉36に開閉動作を行わせるための(第2大入賞口35を開放状態、閉鎖状態にするための)第2大入賞口ソレノイド35m、セグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第2始動口ソレノイド26m、第1大入賞口ソレノイド28m、第2大入賞口ソレノイド35m、セグメント表示部50に向けて駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板228が接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対しては、出力画像や出力音声を指定するコマンドを送信し、ランプ制御基板226に対しては、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a〜5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信することによって、これらのランプを駆動する演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aや、ジョグシャトル10b、方向ボタン10c(以下「演出操作部10a,10b,10c」ともいう)に対する遊技者の操作を検知すると、該操作に対応する演出を行う。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する音声データを音声ROM236から読み出す。そして、該音声データに基づく音声を、アンプ基板237を介して、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から出力する。
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン251(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット252などが接続されている。球貸ボタン251が操作されると、この信号は、払出制御基板240を介してカードユニット252に伝達される。そして、カードユニット252は、遊技球の払い出し(貸し出し)を指示する第1払出コマンドを払出制御基板240に向けて送信する。払出制御基板240は、カードユニット252から第1払出コマンドを受信すると、遊技球の払い出し(貸し出し)を行う。また、払出制御基板240は、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する第2払出コマンドを受信した場合も、遊技球の払い出しを行う。尚、払出制御基板240については、本明細書の後半で詳しく説明する。また、本明細書において、第1払出コマンドと第2払出コマンドとを特に区別しない場合は、これらをまとめて「払出コマンド」と表現する。
また、発射制御基板260には、遊技球を発射させるための発射モーター262や遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263等を有する発射装置ユニット261が接続されている。発射制御基板260は、タッチスイッチ263を介して遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知すると、発射モーター262を駆動することによって、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
B.遊技の内容 :
本実施例のパチンコ機1では次のように遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で発射ハンドル9が回転されると、貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、所望する領域に遊技球を流下させることができる。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(左打ちを行ったり)、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(右打ちを行ったり)することができる。
<特別図柄の変動表示>
図2を用いて前述したように、第1始動口24には左打ちされた遊技球および右打ちされた遊技球が入球可能である。左打ちまたは右打ちされた遊技球が第1始動口24に入球し、その入球した遊技球が第1始動口センサー24sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する特図当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて「大当り」または「外れ」の何れであるかを判定する特図当り判定を行う。そして、この特図当り判定の結果に基づいて、第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。また、図2を用いて前述したように、第2始動口25には右打ちされた遊技球が入球可能である。右打ちされた遊技球が第2始動口25に入球し、その入球した遊技球が第2始動口センサー25sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する特図当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて「大当り」または「外れ」の何れであるかを判定する特図当り判定を行う。そして、この特図当り判定の結果に基づいて、第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。
図4は、セグメント表示部50を拡大して示す説明図である。前述したように、セグメント表示部50は遊技盤20における遊技領域21の右下方に設けられており(図2参照)、遊技者は前面枠4の小窓部4c(図1参照)を通してセグメント表示部50を視認可能である。図4に示すように、セグメント表示部50には、第1特図を表示する第1特図表示部51と、第2特図を表示する第2特図表示部52が設けられており、これらの表示部にはそれぞれ9個のLEDが配置されている。第1特図および第2特図(以下、これらを特に区別をしない場合は、まとめて「特別図柄」という)は、それぞれの表示部において、9個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、9個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、第1特図として、200種類の大当り図柄(大当り図柄101〜300)と1種類の外れ図柄(外れ図柄101)を停止表示可能であり、第2特図として、200種類の大当り図柄(大当り図柄401〜600)と1種類の外れ図柄(外れ図柄401)を停止表示可能である。これらの図柄の種類は、点灯するLEDの組合せの相違によって識別可能である。
主制御基板200のCPU201は、遊技球が第1始動口24に入球することに基づく特図当り判定(以下「第1特図についての特図当り判定」ともいう)の結果が「大当り」である場合は、第1特図を大当り図柄101〜300の何れかで停止表示し、第1特図についての特図当り判定の結果が「外れ」である場合は、第1特図を外れ図柄101で停止表示する。また、遊技球が第2始動口25に入球することに基づく特図当り判定(以下「第2特図についての特図当り判定」ともいう)の結果が「大当り」である場合は、第2特図を大当り図柄401〜600の何れかで停止表示し、第2特図についての特図当り判定の結果が「外れ」である場合は第2特図を外れ図柄401で停止表示する。
そして、主制御基板200のCPU201は、特別図柄(第1特図または第2特図)を大当り図柄または外れ図柄の何れかで停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(以下「確定表示」ともいう)を行う。以下では、特別図柄が変動表示を開始してから確定表示されるまでの遊技、すなわち1回の変動表示の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」とも表現する。
ここで、主制御基板200のCPU201は、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示を行うに際しては、特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)の変動パターンを選択する。変動パターンとは、特別図柄が変動表示を開始してから停止表示するまでの時間(変動時間)であり、各変動パターンには他の変動パターンと識別するための情報(変動パターンID)が付されている。変動パターンを選択する処理では、複数の変動パターン(変動パターンID、変動時間)に変動パターン選択乱数が割り振られた「変動パターン選択テーブル」を参照する。そして、第1特図保留または第2特図保留として取得された変動パターン選択乱数に対応する変動パターンを今回の変動パターンとして選択する。特別図柄は、このようにして選択された変動パターンに基づいて変動表示される。
主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動表示を開始するに際しては、当該変動表示の変動パターンを示す変動パターン指定コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する。これによって、今回開始される特別図柄の変動表示の変動パターンがサブ制御基板220に伝達される。サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受信すると、該変動パターン指定コマンドに基づいて今回開始される特別図柄の変動表示の変動パターンを認識し、認識した変動パターンに基づく(対応する)演出パターンで特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)に対応する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)を実行する。
上述した変動パターンを選択する処理では、常時同じ変動パターン選択テーブルを参照するのではなく、種々の遊技進行状況に対応する変動パターン選択テーブルを参照する。例えば、特別図柄の種類(第1特図または第2特図)や、現在設定されている遊技状態、特図当り判定の結果、記憶されている第1特図保留および第2特図保留の数などに対応する変動パターン選択テーブルを参照する。こうすることで、種々の遊技進行状況に対応する変動パターンを選択可能となり、ひいては、サブ制御基板220のCPU221は種々の遊技進行状況に対応する演出パターンで演出を実行可能となる。
また、主制御基板200のCPU201は、特別図柄の変動表示を停止するに際しては、変動停止コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する。サブ制御基板220のCPU221は、この変動停止コマンドを受信することによって特別図柄の変動表示(図柄変動遊技)が終了するタイミングがサブ制御基板220のCPU221に伝達される。
尚、特別図柄は「識別情報」として捉えることもでき、特別図柄を変動表示させる主制御基板200のCPU201は「識別情報表示手段」として捉えることもできる。
<特別図柄の保留>
遊技球が第1始動口24や第2始動口25に入球すると、上述したように特別図柄についての特図当り判定や変動表示が行われるものの、これらの特図当り判定や変動表示は、遊技球が第1始動口24や第2始動口25に入球後に直ぐに行われるのではなく、主制御基板200のCPU201は、取得された判定乱数を特別図柄の保留(特図保留)としてRAM203に一旦記憶する。
詳しくは、遊技球が第1始動口24に入球すると、判定乱数を取得し、取得された判定乱数を第1特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第1特図保留について特図当り判定や第1特図の変動表示を行う。このような第1特図保留は4個を上限として記憶される。第1特図保留の記憶数(第1特図保留数)は、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53に表示される。すなわち、図4に示すように、第1特図保留表示部53には2個のLEDが配置されており、この第1特図保留表示部53では、2個のLEDのうち両方を消灯することで第1特図保留数が0個であることを示し、1個のLEDを点灯することで第1特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第1特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第1特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第1特図保留数が4個であることを示す。
また、遊技球が第2始動口25に入球すると、判定乱数を取得し、取得された判定乱数を第2特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第2特図保留について特図当り判定や第2特図の変動表示を行う。このような第2特図保留も4個を上限として記憶される。第2特図保留の記憶数(第2特図保留数)は、セグメント表示部50の第2特図保留表示部54に表示される。すなわち、図4に示すように、第2特図保留表示部54にも2個のLEDが配置されており、この第2特図保留表示部54では、2個のLEDのうち両方を消灯することで第2特図保留数が0個であることを示し、1個のLEDを点灯することで第2特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第2特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第2特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第2特図保留数が4個であることを示す。
尚、本実施例のパチンコ機1では、何れかの特別図柄の変動表示中や、何れかの特別図柄の確定表示中、大当り遊技中は、特図保留が記憶されていても、特図当り判定や特別図柄の変動表示は行わない。また、複数の特図保留が記憶されている場合は、それらが第1特図保留であるか第2特図保留であるかに拘わらず、最先に記憶された特図保留についての特図当り判定および特別図柄の変動表示を行う(いわゆる特別図柄の順次変動機能を有する)。
<遊技状態>
主制御基板200のCPU201は、本実施例のパチンコ機1の遊技状態として、「特図当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態」と「第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態」とを適宜設定する。これらのうち「特図当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態」としては、「低確率状態」または「高確率状態」を設定する。「低確率状態」は、特図当り判定において大当りと判定される確率が低い(約100分の1の確率である)状態であり、「高確率状態」は、特図当り判定において大当りと判定される確率が高い(約10分の1の確率である)状態である。
また、「第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態」としては、「非電サポ状態」または「電サポ状態」を設定する。「非電サポ状態」は、第2始動口25への遊技球の入球頻度が低い状態であり、「電サポ状態」は、第2始動口25への遊技球の入球頻度が高い状態である。こうすることによって、「非電サポ状態」では、第2始動口25よりも第1始動口24に遊技球が入球し易く、「電サポ状態」では、第1始動口24よりも第2始動口25に遊技球が入球し易くなっている。このため、「非電サポ状態」では、遊技者に左打ちを行わせる(第1始動口24への入球を狙わせる)ことができ、「電サポ状態」では、遊技者に右打ちを行わせる(第2始動口25への入球を狙わせる)ことができる。
尚、セグメント表示部50には、上述した電サポ状態中であることを示す電サポ表示部58が設けられている。すなわち、図4に示すように、電サポ表示部58には、3個のLEDが配置されており、電サポ状態中は、この3個のLEDを点灯することによって電サポ状態中であることを遊技者に示す。さらに、セグメント表示部50には、右打ちを行うことを遊技者に促す右打ち表示部59が設けられている。電サポ状態中は第2始動口25への遊技球の入球頻度が高く、且つ、第2始動口25は右打ちされた遊技球が入球可能であるので、電サポ状態中は右打ちを行うことが遊技者にとって有益である。そこで、電サポ状態中は、右打ち表示部59に配置された2個のLEDを点灯することによって右打ちを行うことを遊技者に促すこととしている。
<大当り遊技>
主制御基板200のCPU201は、第1特図または第2特図が何れかの大当り図柄で停止表示すると、第1大入賞口28または第2大入賞口35が開放状態となるラウンド遊技が複数回行われる大当り遊技を開始する。図2を用いて前述したように、第1大入賞口28および第2大入賞口35には右打ちされた遊技球が入球可能であるので、大当り遊技中は右打ちが行われることとなる。
図5に示すように、本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技として、「Vショート」の大当り遊技と「Vロング」の大当り遊技とを実行可能である。詳しくは、図5(a)に示すように、第1特図が大当り図柄101〜280で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は90%の確率で)、「Vショート」の大当り遊技が行われ、第1特図が大当り図柄281〜300で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は10%の確率で)、「Vロング」の大当り遊技が行われる。また、図5(b)に示すように、第2特図が大当り図柄401〜600で停止表示された場合は(第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は100%の確率で)、「Vロング」の大当り遊技が行われる。
本実施例のパチンコ機1では、「Vショート」の大当り遊技または「Vロング」の大当り遊技の何れが行われる場合であっても、2回のラウンド遊技が行われ、そのうち1回目のラウンド遊技では第1大入賞口28が開放状態となり、2回目のラウンド遊技では第2大入賞口35が開放状態となる。もっとも、「Vショート」の大当り遊技と「Vロング」の大当り遊技とでは、「特定口38への遊技球の入球可能性」が互いに異なっている。すなわち、「Vショート」の大当り遊技および「Vロング」の大当り遊技は、1回目のラウンド遊技では双方とも10秒間(あるいは4個の遊技球が入球するまで)第1大入賞口28が開放状態となるものの、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が互いに異なる。詳しくは、「Vショート」の大当り遊技は、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が0.2秒間であることから遊技球が特定口38に入球し難く、「Vロング」の大当り遊技は、2回目のラウンド遊技における第2大入賞口35の開放時間が10秒間(あるいは4個の遊技球が入球するまで)であることから遊技球が特定口38に入球し易い。
そして、図5(c)に示すように、「Vショート」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球した場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「高確率状態且つ電サポ状態(高確率・電サポ状態)」に設定され、「Vショート」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球しなかった場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「低確率状態且つ非電サポ状態(低確率・非電サポ状態)」に設定される。
また、「Vロング」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球した場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「高確率・電サポ状態」に設定され、「Vロング」の大当り遊技中に遊技球が特定口38に入球しなかった場合は、大当り遊技終了後の遊技状態が「低確率状態且つ電サポ状態(低確率・電サポ状態)」に設定される。
尚、「高確率・電サポ状態」は次に大当り遊技が行われるまで継続し、「低確率・電サポ状態」は45回の図柄変動遊技が行われるまで継続する(それまでに大当り遊技が行われた場合は終了する)。
ここで、主制御基板200のCPU201は、大当り遊技を開始する場合は、サブ制御基板220に向けて大当り遊技が開始されることを示す大当り遊技開始コマンドを送信する。サブ制御基板220のCPU221は、大当り遊技開始コマンドを受信すると、大当り遊技に対応する大当り遊技演出を実行する。
尚、第1大入賞口28および第2大入賞口35は「可変入球口」として捉えることもでき、第1大入賞口28および第2大入賞口35の開放状態は「入球可能状態」として捉えることもでき、大当り遊技は「特定遊技」として捉えることもできる。また、第1大入賞口28および第2大入賞口35(可変入球口)が開放状態(入球可能状態)となる大当り遊技(特定遊技)を実行する主制御基板200のCPU201は、「特定遊技実行手段」として捉えることもできる。
<普通図柄の変動表示、普図当り遊技、普通図柄の保留>
図2を用いて前述したように、普通図柄作動ゲート27は右打ちされた遊技球が通過可能である。右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過し、その遊技球がゲートセンサー27sにより検知されると、主制御基板200のCPU201は、所定の判定乱数(後述する普図当り判定乱数)を取得し、該判定乱数に基づいて普図当りであるか外れであるかを判定する普図当り判定を行う。そして、この普図当り判定の結果に基づいて、普通図柄を変動表示させた後に停止表示させる。図4に示すように、セグメント表示部50には、普通図柄を表示する普図表示部56が設けられており、普図表示部56には2個のLEDが配置されている。普通図柄は、普図表示部56において、2個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、2個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、普通図柄として、2個のLEDのうち左のLEDを点灯させた普図当り図柄と、右のLEDを点灯させた普図外れ図柄の2種類の図柄を停止表示可能である。普図当り判定の結果が普図当りである場合は普通図柄が普図当り図柄で停止表示され、普図当り判定の結果が普図外れである場合は普通図柄が普図外れ図柄で停止表示される。こうして普通図柄を当り図柄または外れ図柄で停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(確定表示)を行う。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示した場合は、第2始動口25が開放状態となった後に閉鎖状態となる普図当り遊技を行う。
上述した非電サポ状態や電サポ状態は、普図当り判定の態様や、普通図柄の変動表示の態様、普図当り遊技の態様を異ならせることによって設定される。つまり、普図当り判定において普図当りと判定される確率は、非電サポ状態においては100分の1であり、電サポ状態においては100分の99である。また、普通図柄の変動時間としては、非電サポ状態においては長い時間が選択され易く(1000m秒、2000m秒、3000m秒の何れかが均等に選択され)、電サポ状態においては短い時間が選択され易い(1000m秒、1252m秒、1500m秒の何れかが均等に選択される)。また、普図当り遊技としては、非電サポ状態においては第2始動口25が短時間(16m秒×1回)だけ開放状態となる普図当り遊技が行われ、電サポ状態においては第2始動口25が長時間(840m秒×2回)開放状態となる普図当り遊技が行われる。これらによって、非電サポ状態中は、第2始動口25が開放状態となる頻度が低くなり、第2始動口25への遊技球の入球頻度も低くなる。これに対して、電サポ状態中は、第2始動口25が開放状態となる頻度が高くなり、第2始動口25への遊技球の入球頻度も高くなる。
遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、普図当り判定や普通図柄の変動表示が行われるものの、これらの普図当り判定や変動表示は、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過後に直ぐに行われるのではなく、取得された判定乱数を普図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した普図保留に基づいて普図当り判定や普通図柄の変動表示を行う。このような普図保留も4個を上限として記憶される。普図保留の記憶数(普図保留数)は、セグメント表示部50の普図保留表示部57に表示される。すなわち、図4に示すように、普図保留表示部57には2個のLEDが配置されており、この普図保留表示部57では、2個のLEDのうち両方を消灯することで普図保留数が0個であることを示し、2個のLEDのうち1個のLEDを点灯することで普図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで普図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで普図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで普図保留数が4個であることを示す。尚、本実施例のパチンコ機1では、普図保留が記憶されている場合において、普通図柄の変動表示中、普通図柄の確定表示中、普図当り遊技中の何れでもなければ、最先に記憶された普図保留に係る普図当り判定および普通図柄の変動表示を行う。
<演出表示装置41の表示内容>
本実施例のパチンコ機1では、上述したような遊技の進行に合わせて、演出表示装置41に種々の画像を表示する演出を行う。このような演出を行うための処理は、主にサブ制御基板220のCPU221によって行われる。すなわち、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200のCPU201から遊技の進行状況を示すコマンド(例えば、上述の変動パターン指定コマンド、大当り遊技開始コマンドなど)を受信することに基づいて、遊技の進行状況を把握しており、この遊技の進行状況に応じた演出を行う。
例えば、サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受信すると、第1特図または第2特図の変動表示(変動パターン)に合わせた図柄変動演出を行う。すなわち、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示(図柄変動遊技)の開始タイミングと同期して、演出表示装置41において3つの識別図柄41a,41b,41cの変動表示を開始する。その後、特別図柄の変動時間が経過するまで種々の態様で識別図柄41a,41b,41cの変動表示を行う。そして、サブ制御基板220のCPU221は、変動停止コマンドを受信すると図柄変動演出を終了する。すなわち、特別図柄の変動表示の終了タイミング(特別図柄の停止表示)と同期して識別図柄41a,41b,41cの変動表示を終了する。本実施例のパチンコ機1では、識別図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄を表示可能である。
図6(a)には、3つの識別図柄41a,41b,41cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始されてから所定時間が経過すると、例えば、初めに左識別図柄41aが停止表示され、次に右識別図柄41cが停止表示され、最後に中識別図柄41bが停止表示される。これら演出表示装置41で停止表示される3つの識別図柄41a,41b,41cの組合せは、前述した第1特図表示部51または第2特図表示部52にて停止表示される特別図柄(第1特図または第2特図)と対応するように構成されている。例えば、第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は(すなわち、特図当り判定の結果が「大当り」となる場合に選択される変動パターンを受信した場合は)、演出表示装置41の3つの識別図柄41a,41b,41cが同じ図柄となる図柄組合せ(以下「ゾロ目」ともいう)で停止表示される。また、第1特図または第2特図が外れ図柄で停止表示される場合は(すなわち、特図当り判定の結果が「大当り」となる場合に選択される変動パターンを受信した場合は)、3つの識別図柄41a,41b,41cは同じ図柄で揃わない図柄組合せ(以下「バラケ目」ともいう)で停止表示される。尚、停止表示された識別図柄41a、41b、41cは、特別図柄の確定表示時間が経過するまで停止表示された状態となる(確定表示される)。
このように、第1特図表示部51または第2特図表示部52で表示される特別図柄と、演出表示装置41で表示される3つの識別図柄41a,41b,41cとは、表示内容が互いに対応しており、変動表示中の特別図柄が停止表示する際には、3つの識別図柄41a,41b,41cも停止表示するようになっている。しかも、図2に示すように、演出表示装置41は、第1特図表示部51または第2特図表示部52(セグメント表示部50)よりも目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置41の画面を視認しながら遊技を行うことが通常である。従って、図6(b)に示すように、例えば、演出表示装置41の表示画面上で初めに停止表示される左識別図柄41aと、続いて停止表示される右識別図柄41cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄41bも同じ図柄で停止して、「大当り遊技が開始されるのではないか」と、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、複数の識別図柄のうち一の識別図柄を除いた識別図柄を同じ図柄(ゾロ目となり得る態様)で停止させて該一の識別図柄を変動表示させた状態で行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。
また、演出表示装置41の表示画面上の下部には、第1特図保留数を示すための第1保留表示領域41dと、第2特図保留数を示すための第2保留表示領域41eとが設定されている。本実施例のパチンコ機1では、第1保留表示領域41dに第1特図保留数と同数の「保留図柄(図中、小さい円形の図柄)」を表示することで第1特図保留数(上限数は4個)を示し、第2保留表示領域41eに第2特図保留数(上限数は4個)と同数の「保留図柄」を表示することで第2特図保留数を示す。従って、図6に示す例では、第1特図保留数が4個であり、第2特図保留数が4個であることが示されている。尚、当然ながら、演出表示装置41の表示画面上に表示された保留図柄によって示される保留数と、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53および第2特図保留表示部54にて示される保留数とは一致する。
C.遊技媒体の払い出しに係る構成 :
本実施例のパチンコ機1は、上述したように遊技が進行するが、この遊技の進行過程では、適宜、遊技者に対して遊技球(遊技媒体)が払い出される。例えば、所定の入球口(第1始動口24、第2始動口25、第1大入賞口28、第2大入賞口35、一般入球口など)に遊技球が入球した場合や、遊技者に遊技球を貸し出す場合に、遊技者に対して遊技球が払い出される。このような遊技球の払い出しは、払出制御基板240が「払出制御処理」を実行することによって行われる。以下では、この「払出制御処理」について説明するが、その準備として先ず、払出制御基板240とその周辺の制御回路の構成について説明する。
C−1.払出制御基板240とその周辺の制御回路 :
図7には、払出制御基板240とその周辺の制御回路の構成を示したブロック図である。図7に示すように、払出制御基板240は、払出制御処理を実行するCPU241や、払出制御処理を行うためのプログラムやデータが記憶されているROM242、払出制御処理の実行に際して一時的なデータが記憶されるRAM243、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
また、払出制御基板240には、主制御基板200が接続されており、主制御基板200から払出制御基板240に向けて、遊技球の払い出しを指示する第2払出コマンドが送信される。また、払出制御基板240には、球貸ボタン251およびカードユニット252も接続されており、カードユニット252から払出制御基板240に向けて、遊技球の払い出し(貸し出し)を指示する第1払出コマンドが送信される。払出制御基板240のCPU241は、これらの払出コマンド(第1払出コマンドあるいは第2払出コマンド)を受信すると、遊技球を払い出すための処理を行う。
また、払出制御基板240には、払出モーター253が接続されており、この払出モーター253の駆動力は、スプロケットやスクリュー等の回転しながら遊技球を上皿部7側へ移動させる払出部材254に伝達される。払出制御基板240のCPU241は、この払出モーター253を駆動して払出部材254を回転させることによって、遊技球を上皿部7に払い出す。
また、払出制御基板240には、払出センサー255、球無しセンサー256、満杯センサー257が接続されている。これらのうち、払出センサー255は、実際に払い出された遊技球を検出するためのセンサーであり、払出部材254の下流側に設けられている。また、球無しセンサー256は、遊技者に払い出すための遊技球が存在するか否かを検出するためのセンサーであり、払出部材254の上流側に設けられている。また、満杯センサー257は、所定量以上の遊技球が下皿部8に貯留されたことを検出するためのセンサーであり、下皿部8に設けられている。詳しくは後述するが、払出制御基板240のCPU241は、これら各種センサーの検出結果を利用して、遊技球の払い出しに係る異常である「球無し異常」、「満杯異常」、「払出異常」を検出する。
また、払出制御基板240には、異常解消スイッチ258が接続されている。詳しくは後述するが、払出制御基板240のCPU241は、遊技球の払い出しに係る異常のうち、「球無し異常」および「満杯異常」については、その異常の解消を自動的に(上述のセンサーの検出結果に基づいて)検出できるが、「払出異常」については、その異常の解消を自動的に(上述のセンサーの検出結果に基づいては)検出することができない。そこで、異常解消スイッチ258を設けて、「払出異常」が解消された場合は、異常解消スイッチ258をホール(遊技場)の係員に操作させることで、「払出異常」の解消をCPU241に伝達する(検出させる)こととしている。
尚、遊技球は「遊技媒体」として捉えることもでき、遊技球の払い出しを行う払出制御基板240のCPU241は「払い出し手段」として捉えることもでき、遊技球の払い出しに係る異常(球無し異常、満杯異常、払出異常)を検出する払出制御基板240のCPU241は「異常検出手段」として捉えることもできる。また、払出制御基板240のCPU241は、遊技球の払い出しに係る異常(球無し異常、満杯異常、払出異常)が発生した場合は遊技球を払い出す動作を停止するものであり、このようなCPU241は「停止手段」として捉えることもできる。また、「球無し異常」、「満杯異常」、「払出異常」のうち、一の異常は「第1異常」として捉えることもでき、他の異常は「第2異常」として捉えることもできる。
C−2.払出制御処理 :
図8には、払出制御基板240のCPU241によって実行される払出制御処理のフローチャートが示されている。この払出制御処理は、所定の時間毎(例えば、50m秒毎)にタイマ割り込み処理として実行される。図8に示すように、払出制御処理を開始すると、払出制御基板240のCPU241は先ず、通常払出処理(S100)を行う。
C−2−1.通常払出処理 :
通常払出処理(S100)では、遊技球を払い出すための通常の処理が行われる。払出制御基板240のCPU241は、主制御基板200やカードユニット252から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信すると、該コマンドに含まれる「払い出すべき遊技球数」を検出すると共に、RAM243に記憶する。例えば、第1始動口24に遊技球が入球した場合は、「払い出すべき遊技球数」として「3個」を示す情報が含まれる払出コマンドが、主制御基板200から払出制御基板240に向けて送信される。同様に、第2始動口25に遊技球が入球した場合は「2個」を示す情報が含まれる払出コマンドが、一般入球口に遊技球が入球した場合は「10個」を示す情報が含まれる払出コマンドが、第1大入賞口28または第2大入賞口35に遊技球が入球した場合は「15個」を示す情報が含まれる払出コマンドが、主制御基板200から払出制御基板240に向けて送信される。そこで、払出制御基板240のCPU241は、主制御基板200やカードユニット252から払出コマンドを受信すると、該払出コマンドに基づいて、上述したような「払い出すべき遊技球数」を検出すると共に、RAM243に記憶する。
こうして「払い出すべき遊技球数」をRAM243に記憶したら、払出モーター253を駆動することによって、該「払い出すべき遊技球数」に対応する態様で払出部材254を動作させる。これによって、該「払い出すべき遊技球数」分の遊技球を上皿部7に払い出す。例えば、払出部材254として、遊技球を収容可能な収容部を5個有するスプロケットを採用する場合は、「払い出すべき遊技球数」が「2個」であれば、スプロケット(払出部材254)を5分の2回転させ、「10個」であれば、スプロケット(払出部材254)を2回転させる。
もっとも、「払い出すべき遊技球数」に対応する態様で払出部材254を動作させたとしても、払出部材254が遊技球を上手く掴むことができず(例えば、スプロケットの収容部の一部に遊技球を収容することができず)、実際には「払い出すべき遊技球数」分の遊技球が払い出されない場合がある。そこで、払出制御基板240のCPU241は、払出センサー255を利用して、実際に払い出された遊技球を検出し、該遊技球の数(実際に払い出された遊技球数)と「払い出すべき遊技球数」とを比較することとしている。そして、比較した結果、「実際に払い出された遊技球数」と「払い出すべき遊技球数」とが同数であれば、通常払出処理を終了する。これに対して、「実際に払い出された遊技球数」が「払い出すべき遊技球数」より少ない場合は、これらの差分を新たな「払い出すべき遊技球数」としてRAM243に記憶し(RAM243に記憶された「払い出すべき遊技球数」を更新し)、該「払い出すべき遊技球数」に対応する態様で再び払出部材254を動作させる。そして、「実際に払い出された遊技球数」と「払い出すべき遊技球数」とが同数になったら、通常払出処理を終了する。
尚、遊技球の払い出しに係る異常(払出異常、満杯異常、球無し異常)の発生中は、遊技球の払い出しは行わないこととしている。例えば、払出コマンドを受信した後であって「払い出すべき遊技球数」の遊技球を全て払い出す前に、遊技球の払い出しに係る異常が発生した場合は、RAM243に記憶された「払い出すべき遊技球数」を記憶したまま、遊技球の払い出しは行わない状態とする。また、遊技球の払い出しに係る異常の発生中に新たな払出コマンドを受信した場合は、該払出コマンドに基づいて「払い出すべき遊技球数」をRAM243に記憶するものの、遊技球の払い出しは行わない状態とする。
C−2−2.球無し異常用処理 :
払出制御基板240のCPU241は、続いて、「球無し異常」を検出するための球無し異常用処理(S102)を行う。「球無し異常」とは、払い出すための遊技球が無くなってしまう(存在しなくなってしまう)異常である。すなわち、本実施例のパチンコ機1は、後面上部に遊技球の補給タンクを備えている。この補給タンクには、ホールの島設備から遊技球が補給され、この補給された遊技球が所定の球通路を通って払出部材254の上流側に到達する。そして、このような状態で、払出部材254を動作させると、遊技球が上皿部7に払い出される。従って、払出部材254の上流側に遊技球が存在していなければ、払出部材254を動作させても遊技球が払い出されないという異常(球無し異常)が発生する。球無し異常用処理(S102)では、このような「球無し異常」を検出するために、払出部材254の上流側に設けられた球無しセンサー256が遊技球を検出しているか否かを判断する。その結果、該球無しセンサー256が遊技球を(所定の時間以上)検出していなければ、すなわち、払出部材254の上流側に遊技球が存在していなければ、「球無し異常」を検出する。
このように「球無し異常」を検出した場合(「球無し異常」が発生した場合)は、各種ランプ5a〜5cや、各種スピーカー6a,6b、演出表示装置41などを利用して、「球無し異常」が発生したことを、遊技者やホールの係員に報知する。例えば、払出制御基板240のCPU241は、「球無し異常」が発生したことを示すコマンドを主制御基板200に向けて送信する。該コマンドを受信した主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220を介して、演出表示装置41の表示画面に「球を補給して下さい」という文字を表示する。
また、「球無し異常」を検出した場合(「球無し異常」が発生した場合)は、図9に示すように、球無し異常フラグをONに設定する。この球無し異常フラグは、「球無し異常」の発生中であることを示すフラグであって、払出制御基板240のRAM243にその記憶領域が確保されている。払出制御基板240のCPU241は、球無し異常フラグがONに設定されているか否かを検出することによって、「球無し異常」の発生中であるか否かを判断する。
そして、払出制御基板240のCPU241は、「球無し異常」の発生中である場合は、該「球無し異常」が解消されたか否かを判断すべく、球無しセンサー256が遊技球を検出しているか否かを判断する。その結果、球無しセンサー256が遊技球を検出している場合は、「球無し異常」の発生を受けて補給タンクに遊技球が補給された(該遊技球が払出部材254の上流側に存在している)と判断できるので、「球無し異常」を解消すべく、球無し異常フラグをOFFに設定する。また、このように「球無し異常」が解消された場合は、図9に示すように、「球無し異常影響期間フラグ」をONに設定する。
ここで、「球無し異常影響期間フラグ」について説明する。「球無し異常」が発生した場合は、該「球無し異常」が解消された場合であっても、しばらくの間は、該「球無し異常」の影響が残存していると推測される。例えば、「球無し異常」が解消された直後は、球無しセンサー256が遊技球を検出するようになったとしても、未だ十分な数量の遊技球が補給されていないことも考えられる。そして、このような場合、通常払出処理(S100)と同様に(0.25秒に1個の単位で)遊技球を払い出すこととすると、すぐに払出部材254の上流側の遊技球(補給された遊技球)が無くなってしまう。その結果、再び「球無し異常」が発生してしまい、遊技者やホールの係員に煩わしさを感じさせてしまう。
そこで、本実施例のパチンコ機1では、「球無し異常」が解消してから「5個」の遊技球が払い出されるまでの期間を、該「球無し異常」の影響が残存している期間である「球無し異常影響期間」として設定し、該「球無し異常影響期間」中は、遊技球の単位時間あたりの払い出し数量を少なくする(いわゆるスローアップ動作を行う)こととしている。上述の「球無し異常影響期間フラグ」は、「球無し異常影響期間」であることを示すフラグであり、払出制御基板240のRAM243にその記憶領域が確保されている。そこで、払出制御基板240のCPU241は、「球無し異常」が解消された場合は、「球無し異常影響期間」を設定(開始)すべく、「球無し異常影響期間フラグ」をONに設定する。
C−2−3.満杯異常用処理 :
払出制御基板240のCPU241は、続いて、「満杯異常」を検出するための満杯異常用処理(S104)を行う。「満杯異常」とは、遊技球が貯留されて下皿部8が満杯になってしまう異常である。すなわち、本実施例のパチンコ機1では、遊技球は先ず上皿部7に払い出され、上皿部7の容量を超えると、下皿部8に貯留される。このように下皿部8に貯留された遊技球は、遊技者によってホール内の玉箱や各台計数機などに移される(球抜きされる)。もっとも、遊技者の中には球抜きを行う頻度の低い者も存在するので、下皿部8が遊技球で満杯になってしまい、遊技球をそれ以上払い出せなくなってしまう異常(満杯異常)が発生する場合がある。満杯異常用処理(S104)では、このような「満杯異常」を検出するために、下皿部8の上流側(上皿部7側)に設けられた満杯センサー257が同じ遊技球を(所定の時間以上)検出した状態であるか否かを判断する。その結果、該満杯センサー257が同じ遊技球を(所定の時間以上)検出した状態である場合は、下皿部8が満杯で上皿部7からの遊技球が下皿部8に進入することができない状態になっているので、「満杯異常」を検出する。
このように「満杯異常」を検出した場合(「満杯異常」が発生した場合)は、各種ランプ5a〜5cや、各種スピーカー6a,6b、演出表示装置41などを利用して、「満杯異常」が発生したことを、遊技者やホールの係員に報知する。例えば、払出制御基板240のCPU241は、「満杯異常」が発生したことを示すコマンドを主制御基板200に向けて送信する。該コマンドを受信した主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220を介して、演出表示装置41の表示画面に「球を抜いて下さい」という文字を表示する。
また、「満杯異常」を検出した場合(「満杯異常」が発生した場合)は、図10に示すように、満杯異常フラグをONに設定する。この満杯異常フラグは、「満杯異常」の発生中であることを示すフラグであって、払出制御基板240のRAM243にその記憶領域が確保されている。払出制御基板240のCPU241は、満杯異常フラグがONに設定されているか否かを検出することによって、「満杯異常」の発生中であるか否かを判断する。
そして、払出制御基板240のCPU241は、「満杯異常」の発生中である場合は、該「満杯異常」が解消されたか否かを判断すべく、満杯センサー257が同じ遊技球を(所定の時間以上)検出した状態が解消されたか否かを判断する。その結果、満杯センサー257が同じ遊技球を(所定の時間以上)検出した状態が解消されていれば、「満杯異常」の発生を受けて遊技者が球抜きを行って下皿部8が満杯でなくなったと判断できるので、「満杯異常」を解消すべく、満杯異常フラグをOFFに設定する。また、このように「満杯異常」が解消された場合は、図10に示すように、「満杯異常影響期間フラグ」をONに設定する。
ここで、「満杯異常影響期間フラグ」について説明する。「満杯異常」が発生した場合は、該「満杯異常」が解消された場合であっても、しばらくの間は、該「満杯異常」の影響が残存していると推測される。例えば、「満杯異常」が解消された直後は、満杯センサー257が同じ遊技球を(所定の時間以上)検出した状態は解消されていても、十分な数量の遊技球が下皿部8から抜かれていないことが考えられる。そして、このような場合、通常払出処理(S100)と同様に(0.25秒に1個の単位で)遊技球を払い出すこととすると、すぐに下皿部8が満杯になってしまう。その結果、再び「満杯異常」が発生してしまい、遊技者やホールの係員に煩わしさを感じさせてしまう。
そこで、本実施例のパチンコ機1では、「満杯異常」が解消してから「10個」の遊技球が払い出されるまでの期間を、該「満杯異常」の影響が残存している期間である「満杯異常影響期間」として設定し、該「満杯異常影響期間」中は、遊技球の単位時間あたりの払い出し数量を少なくする(いわゆるスローアップ動作を行う)こととしている。上述の「満杯異常影響期間フラグ」は、「満杯異常影響期間」であることを示すフラグであり、払出制御基板240のRAM243にその記憶領域が確保されている。そこで、払出制御基板240のCPU241は、「満杯異常」が解消された場合は、「満杯異常影響期間」を設定(開始)すべく、「満杯異常影響期間フラグ」をONに設定する。
C−2−4.払出異常用処理 :
払出制御基板240のCPU241は、続いて、「払出異常」を検出するための払出異常用処理(S106)を行う。「払出異常」とは、払出モーター253を駆動しても(駆動信号を出力しても)、遊技球が払い出されたことを検出することができない異常である。このような「払出異常」が発生する場合としては、大きく分けて2つあり、1つ目の場合としては、実際には遊技球が払い出されているにも拘わらず該遊技球を検出できない場合がある。例えば、払出センサー255自体に異常が生じて(例えば、異物が付着する等して)、払い出された遊技球を検出できない場合や、払出センサー255は遊技球を検出するものの(例えば、断線する等して)検出信号がCPU241に伝達されない場合などがある。また、2つ目の場合としては、遊技球を払い出すこと自体ができない場合がある。例えば、払出部材254が遊技球や異物を噛んでしまい払出部材254が動作できない場合や、払出モーター253の駆動力が払出部材254に伝達できず払出部材254が動作できない場合などがある。
払出異常用処理(S106)では、このような「払出異常」を検出するために、払出モーター253を駆動した場合に、払い出された遊技球が検出できるか否かを判断する。その結果、払い出された遊技球が検出できない場合は(検出できないことが複数回連続した場合は)、「払出異常」を検出する。
このように「払出異常」を検出した場合(「払出異常」が発生した場合)は、各種ランプ5a〜5cや、各種スピーカー6a,6b、演出表示装置41などを利用して、「払出異常」が発生したことを、遊技者やホールの係員に報知する。例えば、払出制御基板240のCPU241は、「払出異常」が発生したことを示すコマンドを主制御基板200に向けて送信する。該コマンドを受信した主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220を介して、演出表示装置41の表示画面に「払出異常が発生しました、ホールの係員を呼んで下さい」という文字を表示する。
また、「払出異常」を検出した場合(「払出異常」が発生した場合)は、図11に示すように、払出異常フラグをONに設定する。この払出異常フラグは、「払出異常」の発生中であることを示すフラグであって、払出制御基板240のRAM243にその記憶領域が確保されている。払出制御基板240のCPU241は、払出異常フラグがONに設定されているか否かを検出することによって、「払出異常」の発生中であるか否かを判断する。
そして、払出制御基板240のCPU241は、「払出異常」の発生中である場合は、該「払出異常」が解消されたか否かを判断すべく、異常解消スイッチ258が操作されたか否かを判断する。すなわち、「払出異常」は上述したように種々の原因で発生するので、「払出異常」が解消されたことをCPU241が検出することは困難である。そこで、「払出異常」が解消された場合は、ホールの係員が異常解消スイッチ258を操作することで、「払出異常」の解消をCPU241に伝達することとしている。
払出制御基板240のCPU241は、異常解消スイッチ258が操作されると、「払出異常」を解消すべく、払出異常フラグをOFFに設定する。また、このように「払出異常」が解消された場合は、図11に示すように、「払出異常影響期間フラグ」をONに設定する。
ここで、「払出異常影響期間フラグ」について説明する。「払出異常」が発生した場合は、該「払出異常」が解消された場合であっても、しばらくの間は、該「払出異常」の影響が残存していると推測される。例えば、払出センサー255に異物が付着したことにより「払出異常」が発生した場合は、異物を取り除いた後であっても、その周辺に別の異物が残存していることがあり、すぐに該別の異物を原因とする「払出異常」が発生してしまう場合がある。すなわち、該別の異物を原因として、払出センサー255が遊技球を検出できなくなる場合がある。そして、このような場合、通常払出処理(S100)と同様に(0.25秒に1個の単位で)遊技球を払い出すこととすると、実際には払い出したにも拘わらず検出できない遊技球の数量が多くなってしまい(ひいては重複して払い出される遊技球の数量が多くなってしまい)、ホールが被る損害が大きくなってしまう虞がある。
また、払出部材254が遊技球や異物を噛んでしまったことにより「払出異常」が発生した場合は、遊技球や異物を噛んだ状況を解消しても、その周辺に別の異物が残存していることがあり、すぐに該別の異物を原因とする「払出異常」が発生してしまう場合がある。すなわち、該別の異物を原因として、払出部材254が動作できなくなる場合がある。そして、このような場合、通常払出処理(S100)と同様に(0.25秒に1個の単位で)遊技球を払い出すこととすると、払出部材254等の遊技球を払い出す機構にかかる負荷が大きくなり、該機構が破損してしまう虞がある。
そこで、本実施例のパチンコ機1では、「払出異常」が解消してから「15個」の遊技球が払い出されるまでの期間を、該「払出異常」の影響が残存している期間である「払出異常影響期間」として設定し、該「払出異常影響期間」中は、遊技球の単位時間あたりの払い出し数量を少なくする(いわゆるスローアップ動作を行う)こととしている。上述の「払出異常影響期間フラグ」は、「払出異常影響期間」であることを示すフラグであり、払出制御基板240のRAM243にその記憶領域が確保されている。そこで、払出制御基板240のCPU241は、「払出異常」が解消された場合は、「払出異常影響期間」を設定(開始)すべく、「払出異常影響期間フラグ」をONに設定する。
C−2−5.特殊払出処理(スローアップ動作) :
払出制御基板240のCPU241は、続いて、上述した「球無し異常影響期間」、「満杯異常影響期間」、「払出異常影響期間」において、遊技球を払い出す(いわゆるスローアップ動作を行う)ための特殊払出処理(S108)を行う。尚、本明細書では、「球無し異常影響期間」、「満杯異常影響期間」、「払出異常影響期間」を特に区別しない場合は、これらをまとめて「異常影響期間」とも表現する。
特殊払出処理(S108)では、先ず、「異常影響期間」中であるか否かを判断する。その結果、「異常影響期間」中であれば、遊技球を払い出す必要があるか否かを判断する。そして、遊技球を払い出す必要がある場合は、単位時間あたりの払い出し数量を上述の通常払出処理(S100)よりも少なくして、遊技球を払い出す(いわゆるスローアップ動作を行う)。
詳しくは、払出制御基板240のCPU241は、「球無し異常影響期間フラグ」がONに設定されているか否か、すなわち、「球無し異常影響期間」中であるか否かを判断する。その結果、「球無し異常影響期間」中であれば、RAM243に「払い出すべき遊技球数」が記憶されているか否かを判断する。そして、RAM243に「払い出すべき遊技球数」が記憶されている場合は、0.5秒に1個の単位で遊技球を払い出す(いわゆるスローアップ動作を行う)。すなわち、「球無し異常影響期間」中であってRAM243に「払い出すべき遊技球数」が記憶されている場合というのは、「球無し異常影響期間」が開始される前に払出コマンドを受信したものの該払出コマンドに対応する数量の遊技球を「球無し異常影響期間」が開始される前には払い出すことができなかった場合や、「球無し異常影響期間」中に払出コマンドを受信した場合である。従って、これらの場合は、0.5秒に1個の単位で遊技球を払い出す。そして、「球無し異常影響期間」中に「5個」の遊技球が払い出されたら、図9に示すように、「球無し異常影響期間」を終了すべく、「球無し異常影響期間フラグ」をOFFに設定する。
また、払出制御基板240のCPU241は、「満杯異常影響期間フラグ」がONに設定されているか否か、すなわち、「満杯異常影響期間」中であるか否かを判断する。その結果、「満杯異常影響期間」中であれば、RAM243に「払い出すべき遊技球数」が記憶されているか否かを判断する。そして、RAM243に「払い出すべき遊技球数」が記憶されている場合は、0.5秒に1個の単位で遊技球を払い出す(いわゆるスローアップ動作を行う)。すなわち、「満杯異常影響期間」中であってRAM243に「払い出すべき遊技球数」が記憶されている場合というのは、「満杯異常影響期間」が開始される前に払出コマンドを受信したものの該払出コマンドに対応する数量の遊技球を「満杯異常影響期間」が開始される前には払い出すことができなかった場合や、「満杯異常影響期間」中に払出コマンドを受信した場合である。従って、これらの場合は、0.5秒に1個の単位で遊技球を払い出す。そして、「満杯異常影響期間」中に「10個」の遊技球が払い出されたら、図10に示すように、「満杯異常影響期間」を終了すべく、「満杯異常影響期間フラグ」をOFFに設定する。
また、払出制御基板240のCPU241は、「払出異常影響期間フラグ」がONに設定されているか否か、すなわち、「払出異常影響期間」中であるか否かを判断する。その結果、「払出異常影響期間」中であれば、RAM243に「払い出すべき遊技球数」が記憶されているか否かを判断する。そして、RAM243に「払い出すべき遊技球数」が記憶されている場合は、0.5秒に1個の単位で遊技球を払い出す(いわゆるスローアップ動作を行う)。すなわち、「払出異常影響期間」中であってRAM243に「払い出すべき遊技球数」が記憶されている場合というのは、「払出異常影響期間」が開始される前に払出コマンドを受信したものの該払出コマンドに対応する数量の遊技球を「払出異常影響期間」が開始される前には払い出すことができなかった場合や、「払出異常影響期間」中に払出コマンドを受信した場合である。従って、これらの場合は、0.5秒に1個の単位で遊技球を払い出す。そして、「払出異常影響期間」中に「15個」の遊技球が払い出されたら、図11に示すように、「払出異常影響期間」を終了すべく、「払出異常影響期間フラグ」をOFFに設定する。
以上のように、本実施例のパチンコ機1では、「異常影響期間」中は、単位時間あたりの払い出し数量を通常よりも少なくして、遊技球を払い出す。詳しくは、上述の通常払い出し処理(S102)では0.25秒に1個の単位で遊技球を払い出すところ、「異常影響期間」中は0.5秒に1個の単位で遊技球を払い出す。こうすると、上述の「球無し異常」や「満杯異常」が発生した後に解消された場合は、すぐに同様の異常が発生することを抑制することができ、ひいては、遊技者やホールの係員に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することが可能となる。また、「払出異常」が発生した後に解消された場合は、過度の数量の遊技球が払い出されてホールが被る損害が大きくなってしまうことや、払出部材254等の遊技球を払い出す機構にかかる負荷が大きくなり、該機構が破損してしまうことを抑制することが可能となる。
ここで、本実施例のパチンコ機1では、「球無し異常」が解消された後は「5個」の遊技球が払い出されるまで、単位時間あたりの払い出し数量を通常よりも少なくして、遊技球を払い出す(異常影響期間とする)こととしている。これに対して、「満杯異常」が解消された後は、「球無し異常」が解消された場合よりも多い「10個」の遊技球が払い出されるまで、単位時間あたりの払い出し数量を通常よりも少なくして、遊技球を払い出す(異常影響期間とする)こととしている。このように「球無し異常」と「満杯異常」とで異常影響期間の終了条件を異ならせているのは、それぞれの異常の解消作業を行う者に起因している。すなわち、「球無し異常」を解消するために遊技球を補給する作業を行うのは、ほとんどの場合は「ホールの係員」であり、「満杯異常」を解消するために遊技球を下皿部8から抜く作業を行うのは、ほとんどの場合は「遊技者」である。そして、一般的には、パチンコ機1に何らかの異常が発生した場合には、「遊技者」よりも「ホールの係員」の方が業務として行っている分、該異常に対して十分な施し(解消作業)を行うものと考えられる。従って、「遊技者」が解消する「満杯異常」は「ホールの係員」が解消する「球無し異常」よりも、異常の影響が残存し易いと考えられる。例えば、「満杯異常」が発生した場合は「遊技者」が少しずつしか下皿部8から遊技球を抜かないものの、「球無し異常」が発生した場合は「ホールの係員」が遊技球を十分に補給することが考えられる。この点、本実施例のパチンコ機1では、「球無し異常」が解消された後よりも、異常の影響が残存し易い「満杯異常」が解消された後の方が、より多くの遊技球が払い出されるまでの期間を異常影響期間としている。従って、異常影響期間を異常の種類に応じたものとすることができ、遊技者やホールの係員に煩わしさを感じさせてしまうことを、更に適切に抑制することが可能となる。
また、本実施例のパチンコ機1では、「払出異常」が解消された後は、「球無し異常」および「満杯異常」の何れが解消された場合よりも多い「15個」の遊技球が払い出されるまで、単位時間あたりの払い出し数量を通常よりも少なくして、遊技球を払い出す(異常影響期間とする)こととしている。このように「払出異常」とその他の異常(球無し異常、満杯異常)とで異常影響期間の終了条件を異ならせているのは、再び同じ異常が発生した場合の重大性に起因している。すなわち、その他の異常(球無し異常、満杯異常)が再び発生した場合は、遊技者やホールの係員に煩わしさを感じさせてしまうという問題が生じるに留まるが、「払出異常」が再び発生した場合は、過度の数量の遊技球が払い出されてホールが被る損害が大きくなることや、払出部材254等の遊技球を払い出す機構が破損してしまうこと等のより重大な問題が生じることが考えられる。この点、本実施例のパチンコ機1では、その他の異常(球無し異常、満杯異常)が解消された後よりも、より重大な問題が生じ易い「払出異常」が解消された後の方が、より多くの遊技球が払い出されるまでの期間を異常影響期間としている。換言すると、その他の異常が解消された後よりも、より重大な問題が生じ易い「払出異常」が解消された後の方が、より慎重に遊技球の払い出しを再開することとしている。従って、異常影響期間を異常の種類に応じたものとすることができ、過度の数量の遊技球が払い出されてホールが被る損害が大きくなることや、払出部材254等の遊技球を払い出す機構が破損してしまうこと等のより重大な問題が生じることを、更に適切に抑制することが可能となる。
D.変形例 :
上述した実施例においては、「球無し異常影響期間」は「球無し異常」が解消してから「5個」の遊技球が払い出されるまで継続し、「満杯異常影響期間」は「満杯異常」が解消してから「10個」の遊技球が払い出されるまで継続し、「払出異常影響期間」は「払出異常」が解消してから「15個」の遊技球が払い出されるまで継続することとした。これに限らず、図12に示すように、「球無し異常影響期間」は「球無し異常」が解消してから1分経過するまで継続し、「満杯異常影響期間」は「満杯異常」が解消してから2分経過するまで継続し、「払出異常影響期間」は「払出異常」が解消してから3分経過するまで継続することとしてもよい。このような構成とした場合も、上述した実施例と同様の効果を奏することが可能となる。
また、図13に示すように、「球無し異常影響期間」は、「球無し異常」が解消してから、2個の遊技球が所定の入球口(第1始動口24、第2始動口25、第1大入賞口28、第2大入賞口35、一般入球口など)に入球したことに対応する(基づく)遊技球が払い出されるまで継続し、「満杯異常影響期間」は、「満杯異常」が解消してから、4個の遊技球が所定の入球口に入球したことに対応する(基づく)遊技球が払い出されるまで継続し、「払出異常影響期間」は、「払出異常」が解消してから、6個の遊技球が所定の入球口に入球したことに対応する(基づく)遊技球が払い出されるまで継続することとしてもよい。このような構成とした場合も、上述した実施例と同様の効果を奏することが可能となる。尚、所定の入球口に入球することは「所定の入賞条件が成立すること」と捉えることもできる。
また、「球無し異常」が解消された後よりも、異常の影響が残存し易い「満杯異常」が解消された後の方が、単位時間あたりの遊技球の払い出し数量を少なくすることとしても、上述した実施例と同様の効果を奏することができる。例えば、図14に示すように、通常は0.25秒に1個の単位で遊技球(単位時間あたりに第1数量の遊技球)を払い出すところ、「球無し異常影響期間」中は0.5秒に1個の単位で遊技球(単位時間あたりに第1数量よりも少ない第2数量の遊技球)を払い出し、「満杯異常影響期間」中は1秒に1個の単位で遊技球(単位時間あたりに第2数量よりも少ない第3数量の遊技球)を払い出すこととしてもよい。
また、その他の異常(球無し異常、満杯異常)が解消された後よりも、より重大な問題が生じ易い「払出異常」が解消された後の方が、単位時間あたりの遊技球の払い出し数量を少なくすることとしても、上述した実施例と同様の効果を奏することができる。例えば、図14に示すように、「払出異常影響期間」中は1.5秒に1個の単位で遊技球(単位時間あたりに第3数量よりも少ない第4数量の遊技球)を払い出すこととしてもよい。
また、「球無し異常」が解消された後よりも、異常の影響が残存し易い「満杯異常」が解消された後の方が、遊技球を払い出す際の払出部材254の回転速度を小さくすることとしても、上述した実施例と同様の効果を奏することができる。例えば、図15に示すように、通常は1秒で1回転する速度で回転して遊技球を払い出すところ、「球無し異常影響期間」中は1秒で0.5回転する速度で回転して遊技球を払い出し、「満杯異常影響期間」中は1秒に0.3回転する速度で回転して遊技球を払い出すこととしてもよい。
また、その他の異常(球無し異常、満杯異常)が解消された後よりも、より重大な問題が生じ易い「払出異常」が解消された後の方が、遊技球を払い出す際の払出部材254の回転速度を小さくすることとしても、上述した実施例と同様の効果を奏することができる。例えば、図15に示すように、「払出異常影響期間」中は1秒に0.1回転する速度で回転して遊技球を払い出すこととしてもよい。
また、「球無し異常影響期間」、「満杯異常影響期間」、「払出異常影響期間」のうち複数が重なった場合は、各異常影響期間よりも、単位時間あたりの遊技球の払い出し数量を少なくする、あるいは、遊技球を払い出す際の払出部材254の回転速度を小さくすることとしてもよい。すなわち、異常影響期間中でも遊技球の払い出しは行われるので、「一の異常」に係る異常影響期間中に「他の異常」が発生することがあり、この場合に該「他の異常」が解消されると、「一の異常」に係る異常影響期間に重ねて「他の異常」に係る異常影響期間が開始されることとなる。例えば、図16に示すように、「球無し異常影響期間」に「満杯異常」が発生した場合、該「満杯異常」が解消されると、「球無し異常影響期間」に重ねて「満杯異常影響期間」が開始されることとなる。そして、このように複数の異常影響期間が重なった期間は、各異常影響期間よりも異常の影響が強く残存している(複数の異常の影響が残存している)と推測される。そこで、複数の異常影響期間が重なった期間は、各異常影響期間よりも、単位時間あたりの遊技球の払い出し数量を少なくする、あるいは、遊技球を払い出す際の払出部材254の回転速度を小さくすることで、再び異常が発生することを更に適切に抑制することが可能となる。
また、上述した実施例では、遊技球の払い出しに係る異常が発生した場合に、所定の終了条件が成立するまで(異常影響期間が終了するまで)、遊技球の払い出しを抑制することとした。これに限らず、遊技球の払い出しに係る異常とは異なる異常が発生した場合、例えば、パチンコ機1への電源が遮断されて遊技球の払い出しが停止した場合に、所定の終了条件が成立するまで(異常影響期間が終了するまで)、遊技球の払い出しを抑制することとしてもよい。
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例および変形例では、遊技盤20に形成された遊技領域21に向けて遊技球を発射することによって遊技を行うパチンコ機1に本発明を適用したが、外周面に複数種類の図柄が描かれた回胴を回転させ、該回胴を停止させることによって遊技を行うスロットマシン(回胴式遊技機)に本発明を適用することとしてもよい。スロットマシンでは、回胴が所定の図柄の組合せで停止表示されると遊技メダルが払い出されるので、本発明をスロットマシンに適用することとした場合は、遊技メダルを遊技媒体として捉えることができる。
また、上述した実施例および変形例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
<上述した実施例から抽出できる遊技機A1〜A7>
上述した実施例または変形例のパチンコ機は、次のような遊技機A1〜A7として捉えることができる。
<遊技機A1>
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
遊技者に対して遊技媒体を払い出し可能な払い出し手段と、
遊技媒体の払い出しに係る異常を検出可能な異常検出手段と、
前記異常検出手段によって前記異常が検出された場合に、前記払い出し手段の動作を停止する停止手段と、
ことを特徴とする遊技機。
<遊技機A2>
遊技機A1において、
前記遊技媒体の払い出しに係る異常が解消された場合は、該異常が解消されてから所定の終了条件が成立するまでは、前記払い出し手段の動作を抑制する
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、「遊技媒体の払い出しに係る異常」が発生した場合は、該「遊技媒体の払い出しに係る異常」が解消された場合であっても、しばらくの間は、該「遊技媒体の払い出しに係る異常」の影響が残存していることが推測される。そして、このような影響が残存している状態で通常の遊技媒体の払い出しを行うこととすると、再び「遊技媒体の払い出しに係る異常」が発生してしまい、遊技者に煩わしさを感じさせてしまう虞がある。この点、本遊技機では、「遊技媒体の払い出しに係る異常」が解消されてから所定の終了条件が成立するまでは、払い出し手段の動作(遊技媒体を払い出す動作)を抑制することとしている。こうすると、「遊技媒体の払い出しに係る異常」の解消直後に、再び「遊技媒体の払い出しに係る異常」が再び発生することを抑制することができ、ひいては、遊技者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することが可能となる。
<遊技機A3>
遊技機A1において、
前記遊技媒体の払い出しに係る異常が解消された場合は、該異常が解消されてから所定の終了条件が成立するまでは、前記異常検出手段によって該異常が検出される前よりも、前記払い出し手段が単位時間あたりに払い出し可能な遊技媒体の数量を少なくする
このような遊技機では、「遊技媒体の払い出しに係る異常」が解消されてから所定の終了条件が成立するまでは、「遊技媒体の払い出しに係る異常」が発生する前よりも、単位時間あたりに払い出し可能な遊技媒体の数量を少なくすることとしている。こうした場合も、「遊技媒体の払い出しに係る異常」の解消直後に、再び「遊技媒体の払い出しに係る異常」が発生することを抑制することができ、ひいては、遊技者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することが可能となる。
<遊技機A4>
遊技機A1において、
前記払い出し手段は、払出部材を回転させることによって遊技媒体を払い出す手段であり、
前記遊技媒体の払い出しに係る異常が解消された場合は、該異常が解消されてから所定の終了条件が成立するまでは、前記異常検出手段によって該異常が検出される前よりも、遊技媒体を払い出す際の前記払出部材の回転速度を小さくする
このような遊技機では、払出部材を回転させることによって遊技媒体を払い出すところ、「遊技媒体の払い出しに係る異常」が解消されてから所定の終了条件が成立するまでは、「遊技媒体の払い出しに係る異常」が発生する前よりも、遊技媒体を払い出す際の回転部材の払出速度を小さくすることとしている。こうした場合も、「遊技媒体の払い出しに係る異常」の解消直後に、再び「遊技媒体の払い出しに係る異常」が発生することを抑制することができ、ひいては、遊技者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することが可能となる。
<遊技機A5>
遊技機A2乃至遊技機A4の何れか1つの遊技機において、
前記終了条件は、所定の数量の遊技媒体が払い出されることである
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、「遊技媒体の払い出しに係る異常」が解消されてから所定の数量の遊技媒体が払い出されるまでは、払い出し手段の動作(遊技媒体を払い出す動作)を抑制することとしている。こうした場合も、「遊技媒体の払い出しに係る異常」の解消直後に、再び「遊技媒体の払い出しに係る異常」が再び発生することを抑制することができ、ひいては、遊技者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することが可能となる。
<遊技機A6>
遊技機A2乃至遊技機A4の何れか1つの遊技機において、
前記払い出し手段は、所定の入賞条件が成立する毎に所定の数量の遊技媒体を払い出す手段であり、
前記終了条件は、所定の回数の前記入賞条件の成立に対応する遊技媒体が払い出されたことである
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、「遊技媒体の払い出しに係る異常」が解消されてから、所定の回数の入賞条件の成立に対応する遊技媒体が払い出されるまでは、払い出し手段の動作(遊技媒体を払い出す動作)を抑制することとしている。こうした場合も、「遊技媒体の払い出しに係る異常」の解消直後に、再び「遊技媒体の払い出しに係る異常」が再び発生することを抑制することができ、ひいては、遊技者に煩わしさを感じさせてしまうことを抑制することが可能となる。
<遊技機A7>
遊技機A2乃至遊技機A6の何れか1つの遊技機において、
前記異常検出手段は、前記遊技媒体の払い出しに係る異常として、少なくとも第1異常と前記第1異常と異なる第2異常とを検出可能であり、
前記終了条件は、前記第1異常が解消された場合と前記第2異常が解消された場合とで互いに異なる
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機では、「遊技媒体の払い出しに係る異常」として、第1異常と第2異常とを検出可能であるところ、第1異常が解消された場合と、第2異常が解消された場合とでは、各異常の影響が残存している度合が異なることが考えられる。この点、本遊技機では、第1異常が解消された場合と、第2異常が解消された場合とでは、互いに異なる終了条件が成立するまで、払い出し手段の動作(遊技媒体を払い出す動作)を抑制することとしている。こうすると、それぞれの異常に応じて、払い出し手段の動作(遊技媒体を払い出す動作)を抑制することができ、「遊技媒体の払い出しに係る異常」の解消直後に、再び「遊技媒体の払い出しに係る異常」が再び発生することを、更に適切に抑制することが可能となる。