上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を以下のような遊技機(パチンコ機)および遊技情報表示装置(データ表示器)に適用した実施例について説明する。尚、実施例のパチンコ機は「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機である。また、特に断りがない限りは、パチンコ機正面に向かって右側を「右」と表現し、左側を「左」と表現する。
また、以下の実施例は次のような順序に従って説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の進行態様:
C.パチンコ機の制御内容:
C−1.遊技制御処理:
C−2.演出制御処理:
D.データ表示器の装置構成:
E.データ表示器で行われる外部演出処理:
F.変形例1:
G.変形例2:
H.変形例3:
I.変形例4:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例の遊技情報表示システム100が備えるパチンコ機1およびデータ表示器70の正面図である。図1に示されるように、遊技ホールでは1台のパチンコ機1の上方に1台のデータ表示器70が設けられる。データ表示器70は、中継装置90を介してパチンコ機1と接続されて、そのパチンコ機1の稼働状態を示す遊技情報を表示する。パチンコ機1では所定の条件を契機に抽選を行って「大当り」と呼ばれる状態になることがあり、データ表示器70は、例えばその大当りの回数などを上記の遊技情報として表示画面71に表示する。
また、データ表示器70には、遊技情報の表示内容を切り替えるための操作ボタン72と、遊技ホールの従業員を呼び出すための呼出ボタン73と、呼出ボタン73が押された場合に所定の態様で光るランプ74とが設けられている。呼出ボタン73が押された場合、従業員はランプ74の光を目印にして呼出ボタン73を押した遊技者を把握することができる。また、ランプ74はパチンコ機1の大当り中にも光り、出玉を入れる箱の交換や、玉詰まり等に従業員が迅速に対処できるようにしている。尚、パチンコ機1が本発明の「遊技機」に相当し、データ表示器70が本発明の「遊技情報表示装置」に相当する。また、表示画面71が本発明の「遊技情報表示部」に相当する。
図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置される遊技盤20の遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20のセグメント表示部50(図2参照)を視認可能である。セグメント表示部50の表示内容については後述する。
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの右側には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの左側には左サイドランプ5cが設けられている。また、前面枠4における窓部4aの左右上方には上部スピーカー6aが設けられており、前面枠4の下方には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、カードユニット242(図3参照)を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
前面枠4における下皿部8の右方には、発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(図3参照)に接続されている。この発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーターが駆動して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
また、上皿部7の縁部には遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。また、図1では図示を省略しているが、上皿部7の縁部であって演出ボタン10aの左側には方向ボタン10c(図3参照)が設けられている。方向ボタン10cは上下左右方向のそれぞれに対応する4個のボタン(上ボタン、下ボタン、左ボタン、右ボタン)から構成されている。これらの演出ボタン10aや、ジョグシャトル10b、方向ボタン10cは、何れも遊技者によって操作可能であり、所定の条件成立時に遊技者によって操作されると、所定の遊技演出が行われる。
前面枠4の背面側には中枠および本体枠が設けられ、前面枠は、一端(図1における左側)が中枠に対して回動可能に軸支されており、中枠は、一端(図1における左側)が本体枠に対して回動可能に軸支されている。本体枠は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1はこの本体枠が島設備に取り付けられることで遊技ホールに設置される。中枠の前面側には遊技盤20(図3参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠に対してパチンコ機1の前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出した状態となる。遊技盤20の裏側には、電源のON/OFFを操作するための電源スイッチ(図示略)や、大当り遊技中などの遊技状態を示す情報が保存されているRAM203を初期化するためのRAMクリアボタン(図示略)が設けられている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。遊技領域21の周囲には、発射装置ユニットから発射された遊技球を遊技領域21へ案内する遊技球通路が、外レール22と内レール23とによって形成されている。発射装置ユニットから発射された遊技球は、この遊技球通路を通過して遊技領域21に放出され、遊技領域21の上部から下方に向かって流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4aを通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者に視認されることとなる。
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40の略中央には、演出表示装置41が設けられている。演出表示装置41は液晶表示画面を用いて構成され、演出用の種々の画像を表示することが可能である。尚、演出表示装置41の詳しい表示内容については後述する。
遊技領域21において、中央装置40(演出表示装置41)の下方には、開口部の大きさが不変(一定)であり遊技球が常時入球可能な始動口である第1始動口24が設けられている。第1始動口24に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第1始動口24の内部の通路には第1始動口センサー24s(図3参照)が設けられており、第1始動口24に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21における第1始動口24の下方には、遊技球の入球可能性が変化する入球口である第2始動口25が設けられている。第2始動口25は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉26を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第2始動口25の内部の通路には第2始動口センサー25s(図3参照)が設けられており、第2始動口25に入球した遊技球を検知することが可能となっている。
また、遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられており、普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技球の通過を検知するゲートセンサー27s(図3参照)が設けられている。
また、遊技領域21における第1始動口24の右方には、略長方形状に大きく開口された大入賞口28が設けられている。大入賞口28は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉29を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。図2では、大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。大入賞口28に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。大入賞口28の内部の通路には大入賞口センサー28s(図3参照)が設けられており、大入賞口28に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21には一般入賞口30が適宜設けられており、遊技球が一般入賞口30に入球した場合は10個の遊技球が遊技者に払い出される。同様に、上記の第1始動口24に遊技球が入球した場合は3個の遊技球が払い出され、第2始動口25に遊技球が入球した場合にも3個の遊技球が払い出される。更に、詳しくは後述するが、第1始動口24または第2始動口25に入球した場合には抽選が行われ、その結果次第では大入賞口28が開放状態となる。大入賞口28が開放状態となった場合、入球1個につき13個の遊技球が払い出される。
その他、遊技領域21には、遊技球の流下経路に影響を与える風車型ホイール31や多数の障害釘32が設けられている。また、遊技領域21の最下部にはアウト口33が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、大入賞口28、一般入賞口30の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏側に排出される。
遊技盤20における遊技領域21の右下方には、LEDの組合せによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者に視認される。尚、セグメント表示部50の詳しい表示内容については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、パチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されている。詳しくは、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(図3におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図3における203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、大入賞口28へ入球した遊技球を検知する大入賞口センサー28s、普通図柄作動ゲート27を通過した遊技球を検知するゲートセンサー27sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、これらのセンサーなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向けて送信する。
また、主制御基板200には、第2始動口25に設けられた開閉扉26に開閉動作を行わせるための(第2始動口25を開放状態、閉鎖状態にするための)第2始動口ソレノイド26mや、大入賞口28に設けられた開閉扉29に開閉動作を行わせるための(大入賞口28を開放状態、閉鎖状態にするための)大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第2始動口ソレノイド26m、大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50に向けて駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。また、主制御基板200には、パチンコ機1の遊技情報を外部に出力するための外部端子板60が接続されている。尚、外部端子板60は、払出制御基板240を介して主制御基板200に接続してもよい。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226等が接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた遊技演出を行う。サブ制御基板220は、例えば画像音声制御基板230に対しては、主制御基板200から受信したコマンドに基づいて、出力画像や出力音声を指定するコマンドを送信することによって遊技演出を行う。また、ランプ制御基板226に対しては、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a〜5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信することによって遊技演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出ボタン10aやジョグシャトル10bに対する遊技者の操作を検知すると、該操作に対応する遊技演出を行う。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する音声データを音声ROM236から読み出す。そして、該音声データに基づく音声を、アンプ基板224を介して、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から出力する。
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、この信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信した場合も、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には、遊技球を発射させるための発射モーター262や遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263等を有する発射装置ユニット261が接続されている。発射制御基板260は、タッチスイッチ263を介して遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知すると、発射モーター262を駆動することによって、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
B.遊技の進行態様 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。先ず、上皿部7に遊技球が貯留された状態で、遊技者が発射ハンドル9を回転すると、貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を調整することによって、所望の領域に狙いを定めて遊技球を打ち出すことができる。
打ち出された遊技球が第1始動口24に入球すると、パチンコ機1の内部で大当り抽選が行われる。大当り抽選では、第1始動口24に入球した時に取得される所定の乱数(大当り判定乱数等)に基づいて抽選を行い、当該入球分が大当りであるか外れであるかを判定する。大当り抽選の結果は、第1の特別図柄(以下、第1特図)としてセグメント表示部50に表示される。また、遊技球が第2始動口25に入球した場合にも、大当り抽選が行われて、その結果は、第2の特別図柄(以下、第2特図)としてセグメント表示部50に表示される。第1特図および第2特図は次のようなものである。
<特別図柄の変動表示>
図4は、セグメント表示部50の拡大図である。前述したように、遊技者は前面枠4の小窓部4c(図1参照)を通してセグメント表示部50を視認可能である。図4(a)に示すように、セグメント表示部50には、第1特図を表示する第1特図表示部51と、第2特図を表示する第2特図表示部52とが設けられており、これらの表示部にはそれぞれ8個のLEDが配置されている。遊技球が第1始動口24に入球すると、第1特図表示部51の8個のLEDのうち点灯するLEDが切り換わることによって第1特図が変動表示する。所定時間が経過するまで変動表示したら、8個のLEDのうち所定のLEDが点灯した停止表示の状態となる。同様に、遊技球が第2始動口25に入球すると、第2特図表示部52の8個のLEDのうち点灯するLEDが切り換わることによって第2特図が変動表示した後、所定のLEDが点灯した停止表示の状態となる。以下、停止表示した状態の特別図柄(第1特図または第2特図)を停止図柄とも呼ぶ。
本実施例のパチンコ機1では、第1特図の停止図柄として、100種類の大当り図柄(停止図柄1〜100)と、1種類の外れ図柄(停止図柄101)とが設定されている。図4(b)は大当り図柄の一例として停止図柄1を示し、図4(c)は別の大当り図柄の例として停止図柄2を示している。図示するように、停止図柄1および停止図柄2は、それぞれ点灯中のLEDの組み合わせが互いに異なる。同様に、他の停止図柄3〜101についても、それぞれ点灯中のLEDの組み合わせが互いに異なる。また、第2特図の停止図柄についても、100種類の大当り図柄(停止図柄201〜300)と、1種類の外れ図柄(停止図柄301)とが設定されており、それぞれの停止図柄は点灯中のLEDの組み合わせが互いに異なる。
特別図柄(第1特図または第2特図)が停止表示した状態(停止図柄)は、所定時間が経過するまで表示が維持されるため、遊技者は停止図柄の内容を確認することができる。以下では、所定時間が経過するまで特別図柄を停止表示させた状態で保つことを「確定表示」とも呼ぶ。確定表示となった第1特図の停止図柄は、第1始動口24への入球による大当り抽選の結果を表し、第2特図の停止図柄は第2始動口25への入球による大当り抽選の結果を表す。以下では、特別図柄が変動表示を開始してから、大当り図柄または外れ図柄として確定するまでの遊技、すなわち1回の大当り抽選の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」とも表現する。
<大当り遊技>
遊技者が第1始動口24または第2始動口25に遊技球を入球させて図柄変動遊技を繰り返すうちに、特別図柄(第1特図または第2特図)が何れかの大当り図柄で停止表示した場合には、いわゆる大当り遊技が行われる。大当り遊技が開始されると、暫くの間、大入賞口28が開放して遊技球の入球が容易となる。大入賞口28が開放した状態の遊技はラウンド遊技と呼ばれ、本実施例のパチンコ機1では、大入賞口28に9個の遊技球が入球した場合(9カウント)または大入賞口28が開放状態となってから30秒が経過した場合に1回のラウンド遊技が終了する。例えば、1回のラウンド遊技が9カウントで終了した場合には、9カウント×払出数13個=117個の遊技球が賞球として払い出されることになる。大当り遊技では、このようなラウンド遊技を所定回数くり返すことができ、ラウンド遊技の回数(以下、単に「ラウンド数」と呼ぶ)が多いほど、遊技者はより多くの賞球を獲得することが期待できる。
大当り遊技が終了したら、図柄変動遊技(すなわち大当り抽選)を繰り返す通常の遊技状態に戻る。このとき、大当り抽選において、大当りと判定される確率が通常よりも高い確変状態に設定されることがある。確変状態に設定されていれば、遊技者は、これから行う大当り抽選の回数が少ないうちに再び大当りと判定されることを期待できる。また、大当り遊技の終了後は、第2始動口25に遊技球が入球し易くなる電サポ状態に設定される。第2始動口25に入球すると賞球(本実施例では3個)が払い出されるため、電サポ状態では、持ち玉(上皿部7や下皿部8に貯留された遊技球)をあまり減らすことなく遊技を続けることができる。確変状態や電サポ状態は、所定回数の図柄変動遊技が行われる間だけ設定されるようになっており、それらの回数や上記の大当り遊技中のラウンド数は、大当り抽選で当選した大当りの種類によって決定されている。以下、大当り抽選の結果が、大当りであるか外れであるか、また、大当りの場合にはどのような種類の大当りであるかという当否態様について説明する。
<大当り抽選の当否態様>
図5は、第1特図の大当り抽選による当否態様を表す説明図である。前述したように、第1特図の停止図柄としては、100種類の大当り図柄(停止図柄1〜100)と、1種類の外れ図柄(停止図柄101)とが設定されている。図5に示すように、本実施例のパチンコ機1では、大当り図柄である停止図柄1〜100に対して6つの当否態様A〜Fが割り当てられ、外れ図柄である停止図柄101には当否態様Gが外れとして割り当てられている。
大当り図柄である停止図柄1〜100のうち、停止図柄1〜20には当否態様Aが割り当てられている。これは、図柄変動遊技において停止図柄1〜20のうち何れかの停止図柄が表示された場合には、大当り抽選の結果が当否態様Aであったということを表す。当否態様Aは大当りの一態様であり、大当り遊技のラウンド数は、最大の15ラウンドが設定されている。大当り遊技の終了後に与えられる電サポ回数も最大の100回である。また、当否態様Aは、大当り遊技の終了後に上記の確変状態に移行する「確変当り」であり、大当りと判定される確率が通常よりも高確率な状態で行われる図柄変動遊技の回数(以下、高確回数と呼ぶ)が設定されている。本実施例のパチンコ機1では高確回数は50回である。
当否態様Aと同様に、停止図柄21〜40には当否態様Bが割り当てられている。当否態様Bも確変当りであり、大当り遊技のラウンド数は8ラウンドが設定され、大当り遊技の終了後に与えられる高確回数は50回が設定され、電サポ回数は100回が設定されている。また、停止図柄41〜60には当否態様Cが割り当てられ、ラウンド数は4ラウンド、高確回数は50回、電サポ回数は100回が設定されている。以上の当否態様A〜Cはラウンド数が異なるが、全て確変当りである。
これに対して、停止図柄61〜70には当否態様Dが割り当てられており、当否態様Dは、大当り遊技の終了後に確変状態に移行することがない「非確変当り」である。従って、当否態様Dには、上記の当否態様A〜Cには設定されていた高確回数が設定されない。当否態様Dのラウンド数としては最大の15ラウンドが設定され、電サポ回数は100回が設定されている。
停止図柄71〜85にも当否態様Dと同様に非確変当りである当否態様Eが割り当てられている。当否態様Eでは、大当り遊技のラウンド数として4ラウンドが設定され、電サポ回数は同じく100回が設定されている。停止図柄86〜100にも非確変当りである当否態様Fが割り当てられて、ラウンド数として4ラウンドが設定されている。ただし、当否態様Fについては、電サポ回数が上記の当否態様A〜Eと比べて少ない20回が設定されている。
以上説明したように、第1特図の大当り抽選では、大当り図柄(停止図柄1〜100)に対して6つの当否態様A〜Fが割り当てられ、当否態様の違いによってラウンド数や、大当り遊技後の確変状態の有無、電サポ回数が異なっている。第2特図の当否態様については図示を省略するが、第1特図と同様に、大当り図柄(停止図柄201〜300)に対して6つの当否態様A〜Fが割り当てられている。すなわち、停止図柄201〜220には当否態様Aが割り当てられ、停止図柄221〜240には当否態様Aが割り当てられ、停止図柄241〜260には当否態様Cが割り当てられている。また、停止図柄261〜270には当否態様Dが割り当てられ、停止図柄271〜285には当否態様Eが割り当てられ、停止図柄286〜300には当否態様Fが割り当てられている。これら第2特図における当否態様A〜Fは、図5を示して説明した第1特図の当否態様A〜Fと同様のラウンド数、高確回数、電サポ回数が設定されている。また、第2特図の外れ図柄である停止図柄201には当否態様Gが割り当てられている。
ここで、セグメント表示部50の第1特図表示部51または第2特図表示部52に表示される各停止図柄は、点灯中のLEDの組み合わせが互いに異なるから(図4(b),図4(c)参照)、表示中の停止図柄を他の停止図柄と識別することが可能である。このことから、遊技者が停止図柄を見れば、外れを含む当否態様A〜Gの何れが表示されているのかを知ることができる。
<特別図柄の保留>
特別図柄(第1特図または第2特図)の図柄変動遊技が行われ、あるいは大当り遊技が行われている最中に、遊技球が新たに第1始動口24に入球した場合には、新たな入球分は第1特図保留として保留される。第1特図保留の保留数は最大4個であり、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53に表示される。図4(a)に示すように、第1特図保留表示部53には2個のLEDが配置されており、保留数が0個の場合は何れのLEDも消灯している。これに対して、保留数が1個の場合には1個のLEDが点灯し、保留数が2個の場合には2個のLEDが点灯する。さらに、保留数が3個の場合には1個のLEDが点滅し、保留数が4個の場合には2個のLEDが点滅する。こうすることで0個から4個まで何れかの保留数が表示される。
また、第2特図についても第1特図と同様に保留される。すなわち、図柄変動遊技が行われ、あるいは大当り遊技が行われている最中に、別の遊技球が新たに第2始動口25に入球した場合には、新たな入球分は第2特図保留として保留される。第2特図の保留はセグメント表示部50の第2特図保留表示部54に表示される。第2特図保留の保留数も最大4個であり、第1特図保留と同様に2個のLEDによって0個から4個まで何れかの保留数が表示される。尚、本実施例のパチンコ機1では、第2特図保留は第1特図保留よりも優先して消化する機能を備える。すなわち、第1特図保留および第2特図保留の両方が記憶されている場合は、第2特図保留が無くなるまで第1特図保留の図柄変動遊技は行われず、第2特図保留の図柄変動遊技が行われる。もっとも、通常、第2始動口25は開閉扉26によって閉鎖されており、第2始動口25に遊技球が入球することはないため、第2特図保留が記憶されるのは所定の条件を満たした場合となる。以下では、第2始動口25を開放するための普通図柄遊技について説明する。
<普通図柄遊技>
先ず、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、パチンコ機1の内部では、普通図柄の当たり判定(以下、普図当り判定)が行われる。普図当り判定では、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過した時に取得される所定の乱数(普図当り判定乱数)に基づいて抽選を行い、普図当りであるか外れであるかを判定する。普図当り判定の結果は普通図柄としてセグメント表示部50に表示される。
図4(a)に示すように、セグメント表示部50には、普通図柄を表示する普図表示部55が設けられている。普図表示部55には2個のLEDが配置されており、各LEDを点滅させて変動表示した後、普図当り判定の結果が停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、2個のLEDのうち左のLEDを点灯させた状態が普図当り図柄であり、右のLEDを点灯させた状態が普図外れ図柄である。
普通図柄が普図当り図柄で停止表示された場合には、所定時間だけ開閉扉26が開いて、第2始動口25に遊技球が入球可能な遊技状態(以下、「普図当り遊技」と呼ぶ)となる。また、上記の第1特図保留または第2特図保留と同様に、普通図柄作動ゲート27を遊技球が通過した回数は普図保留として保留される。普図保留についても保留数は最大4個であり、図4(a)に示すセグメント表示部50の普図保留表示部56では、2個のLEDによって0個から4個までの保留数が表示される。
前述したように、大当り遊技の終了後は、遊技球が第2始動口25に入球し易くなる電サポ状態となる。この電サポ状態は、後述するように普図当り判定や普図当り遊技の条件を変更することにより設定される。電サポ状態が設定されている時は、その旨がセグメント表示部50に表示される。図4(a)に示すように、セグメント表示部50には、電サポ表示部57が設けられている。電サポ表示部57には、3個のLEDが配置されており、所定のLEDが点灯して電サポ状態の設定中であることが示される。電サポ状態では、1回の普図当り遊技における開閉扉26の開放回数や各開放時間などの開放パターンが数種類設定されており、開放パターン毎に点灯するLEDが異なる。
また、図4(a)に示すように、セグメント表示部50には、右打ちを行うことを示す右打ち表示部58が設けられている。第2始動口25は遊技領域21のうち右側にあることから(図2参照)、遊技球が遊技領域21の右側の領域を流下するように遊技球を発射することで(いわゆる右打ち)、電サポ状態となって入球し易くなった第2始動口25を狙うことができる。そこで、電サポ状態の設定中は、右打ち表示部58に配置された2個のLEDが点灯して右打ちを行うことが示される。また、大当り遊技中についても、右打ちを行うことで大入賞口28を狙うことができるため(図2参照)、右打ち表示部58のLEDが点灯して右打ちを行うことが示される。
また、図4(a)に示すように、セグメント表示部50には、ラウンド表示部59が設けられている。ラウンド表示部59には、1回の大当り遊技でラウンド遊技が何回行われるかということが表示される。前述したように、本実施例のパチンコ機1では、大当りの種類が複数存在し、15ラウンドの大当り(当否態様A,D)と、8ラウンドの大当り(当否態様B)と、4ラウンドの大当り(当否態様C,E,F)とが設定されている(図5参照)。例えば、15ラウンドの大当り遊技(当否態様Aまたは当否態様Dの大当り遊技)を実行している間は、ラウンド表示部59に配置された3個のLEDのうち左のLEDが点灯する。また、8ラウンドの大当り遊技(当否態様Bの大当り遊技)では3個のLEDのうち中のLEDが点灯し、4ラウンドの大当り遊技(当否態様Cまたは当否態様Eまたは当否態様Fの大当り遊技)では右のLEDが点灯する。
<演出表示>
以上、図4を参照して説明したように、遊技中はセグメント表示部50に様々な遊技結果や遊技状態が表示される。もっとも、セグメント表示部50における表示態様は、遊技者にとって必ずしも分かり易いとは言えないため、演出表示装置41を用いて遊技結果や遊技状態を分かり易く表示し、また、遊技者がより楽しめるように様々な演出の表示が行われる。例えば、セグメント表示部50で表示される第1特図保留数および第2特図保留数は、より見やすい演出表示装置41の表示画面に表示される。また、セグメント表示部50で表示される図柄変動遊技、すなわち、特別図柄(第1特図または第2特図)が変動表示して停止表示することに合わせて、演出表示装置41では、3つの識別図柄41a,41b,41c(図6参照)を変動表示して停止表示させることが行われる。
図6は、演出表示装置41における表示内容の説明図である。図6(a),(b)に示すように、演出表示装置41の表示画面の下部には、第1特図保留数を示すための第1保留表示領域41dと、第2特図保留数を示すための第2保留表示領域41eとが設けられている。本実施例のパチンコ機1では、第1保留表示領域41dに第1特図保留数と同数の「保留図柄(図中、小さい円形の図柄)」を表示することで第1特図保留数を示し、第2保留表示領域41eに第2特図保留数と同数の「保留図柄」を表示することで第2特図保留数を示す。従って、図6に示す例では、第1特図保留数および第2特図保留数が共に4個であることが示されている。
また、図6には、演出表示装置41における3つの識別図柄41a,41b,41cが示されている。3つの識別図柄41a,41b,41cは、それぞれ「1」〜「9」まで9つの数字を意匠化した図柄である。特別図柄の変動表示が開始した時、図6(a)に示されるように、3つの識別図柄41a,41b,41cの変動表示も開始する。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、先ず左識別図柄41aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次に、右識別図柄41cが停止表示され、最後に中識別図柄41bが停止表示される。前述したように特別図柄は所定時間、停止表示した状態が維持され、これに合わせて識別図柄41a,41b,41cについても停止表示した状態が維持される。
また、これら演出表示装置41で停止表示される3つの識別図柄41a,41b,41cの組合せは、前述したセグメント表示部50で停止表示される特別図柄(第1特図または第2特図)と対応するように構成されている。例えば、第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は、演出表示装置41の3つの識別図柄41a,41b,41cが同じ図柄で揃う図柄組合せ(いわゆる「ゾロ目」)で停止表示される。これに対して、第1特図または第2特図が「外れ図柄」で停止表示される場合は、3つの識別図柄41a,41b,41cは同じ図柄で揃わない図柄組合せ(いわゆる「バラケ目」)で停止表示される。
このように、セグメント表示部50で表示される特別図柄と、演出表示装置41で表示される3つの識別図柄41a,41b,41cとは、変動させるタイミングおよび停止させるタイミングが同じであり、表示の内容も対応している。しかも、図2に示すように、演出表示装置41は、セグメント表示部50よりも目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置41の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。例えば、図6(b)に示すように、演出表示装置41で初めに停止表示される左識別図柄41aと、続いて停止表示される右識別図柄41cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄41bも同じ図柄で停止して、「大当り遊技が開始されるのではないか」と、遊技者は識別図柄の変動表示を注視することになる。このように、2つの識別図柄を同じ図柄(ゾロ目となり得る態様)で停止させて最後の識別図柄を変動表示させた状態で行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれている。
また、3つの識別図柄41a,41b,41cのうち2つ以上が変動している最中に、その後リーチの状態となる可能性を示唆する予告の演出が行われたり、変動していた識別図柄が一旦バラケ目で停止したかのように表示した後、再び変動を開始したように表示するといった擬似連続変動の演出が行われたりもする。このように、演出表示装置41では、図柄変動遊技の結果(すなわち大当り抽選の結果)を遊技者に分かり易く報知するとともに、識別図柄を変動表示させる間、様々な演出を行って遊技興趣を高めている。以下、識別図柄を変動表示させる間に行われる演出を「変動演出」と呼ぶ。
また、別の演出の一態様として、次のような「昇格演出」が行われることもある。前述したように、大当りにはラウンド数の違いや、確変状態の設定の有無、あるいは電サポ回数の違いによって複数の当否態様が存在する(図5参照)。そこで、演出表示装置41における変動演出で、大当り抽選の結果が大当りであることを報知する時に、実際の当否態様ではない当否態様を報知することがある。例えば、大当り抽選の結果が当否態様Aであったとする。当否態様Aは確変当りであり、大当り遊技後の50回の図柄変動遊技では確変状態が設定されるから、当否態様Aに当選したことを報知すれば、遊技者は確変状態が設定されている間に再度、大当りを引くことを期待する筈である。しかし、「昇格演出」を行う場合は、演出表示装置41の変動演出において大当り抽選の結果を報知する時には、実際の当否態様Aではなく、当否態様D、すなわち非確変当りであることを報知する。そして、事後的に(例えば大当り遊技中に)、あたかも非確変当りから確変当りへと昇格したかのような演出を行って、実際の当否態様Aを報知する。こうすると、遊技者は非確変当りであることに一度は残念に思った後に確変当りであることを知るため、最初から確変当たりであることを知るよりも大きな喜びを感じて、遊技興趣が高められることになる。
このような昇格演出を実行する時には、演出表示装置41で目立つように表示したり、各種ランプ5a〜5cを華やかに光らせたりして遊技者を祝福することが通常である。本実施例のパチンコ機1は、パチンコ機1の各部で昇格演出を行うことに加えて、更にパチンコ機1の上方に設けられたデータ表示器70(図1参照)でも昇格演出が行われるようにする。以下では、データ表示器70で昇格演出が行われるようにするために、パチンコ機1の内部で実行する処理について説明する。
C.パチンコ機の制御内容 :
パチンコ機1で行われる遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。また、遊技の進行に伴って行われる各種の演出は、主制御基板200の制御の下で、サブ制御基板220および、サブ制御基板220に接続された画像音声制御基板230等によって実行されている。以下では、先ず、遊技を進行するために主制御基板200で行われる遊技制御処理について説明し、次いで、遊技の進行に合わせて演出を行うためにサブ制御基板220で行われる演出制御処理について説明する。
C−1.遊技制御処理 :
図7は、遊技の進行を制御するために主制御基板200で実行される遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。パチンコ機1の電源がONにされたら、先ず、前回に電源をOFFにした時に保存されていた各種データを呼び出して初期設定が行われる。また、RAMクリアボタン(図示略)が押された状態でパチンコ機1の電源がONになった場合には、RAM203に保存された遊技状態(大当り遊技中や確変状態中など)の初期化も行われる。このような初期設定の後、主制御基板200のCPU201は、所定周期毎に(例えば4msec毎に)発生するタイマ割り込みに基づいて、遊技制御処理を実行する。尚、以下の説明では、CPU201の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については、その説明を省略している。
<出力処理>
図7に示すように、主制御基板200のCPU201は遊技制御処理を開始すると先ず、出力処理(S101)を行う。本実施例のパチンコ機1では、後述する各種処理において、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて出力する各種コマンドをRAM203に確保された出力バッファに記憶する。出力処理(S101)では、このように出力バッファに記憶された各種コマンドを各種制御基板や、外部端子板60に向けて出力する。こうすることにより、例えば、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになり、払出制御基板240では、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しが行われることとなる。また例えば、パチンコ機1の外部のデータ表示器70では、外部端子板60を介してパチンコ機1の遊技に関する情報を取得することとなる。
<入力処理>
主制御基板200のCPU201は、続いて、入力処理(S102)を行う。本実施例のパチンコ機1では上述したように、第1始動口24または第2始動口25の何れかに遊技球が入球した場合は3個の賞球が払い出され、一般入賞口30に入球した場合は10個の遊技球が払い出され、大入賞口28に入球した場合は13個の遊技球が払い出される。そこで、入力処理(S102)では、これらの入球を検知するセンサー類(第1始動口センサー24sや、第2始動口センサー25s、大入賞口センサー28s等)について、遊技球を検知したか否かを判断する。その結果、遊技球を検知している場合は、払い出す遊技球の数を示す払出コマンドを上述した出力バッファに記憶する。こうして出力バッファに記憶された払出コマンドは次回の出力処理(S101)で払出制御基板240に向けて送信される。
<乱数更新処理>
主制御基板200のCPU201は、続いて、乱数更新処理(S103)を行う。本実施例のパチンコ機1では上述したように、「普図当り判定乱数」や「大当り判定乱数」など各種の乱数を利用した抽選が行われる。例えば、遊技球が第1始動口24に入球した時には大当り判定乱数を取得して、その値に基づいて大当りであるか外れであるかを判定するという大当り抽選が行われる。また、大当り判定乱数の取得と同時に、後述の「停止図柄決定乱数」および「変動パターン決定乱数」についても取得する。この乱数更新処理(S103)では、これら各種の乱数を更新することによって、後の処理で取得される各種の乱数が無作為な値となるようにする。尚、乱数の更新は、乱数更新処理(S103)においてだけでなく、遊技制御処理を終了してから次の遊技制御処理を開始する(次のタイマ割り込み)までの期間でも行ったり、乱数更新の専用回路を設けたりして、遊技制御処理を実行する周期よりもさらに高速で更新するようにしてもよい。
<始動口等センサー検出処理>
主制御基板200のCPU201は、続いて、始動口等センサー検出処理(S104)を行う。この始動口等センサー検出処理(S104)では、次のようにして、普図保留、第1特図保留、第2特図保留を記憶する処理が行われる。先ず、主制御基板200のCPU201は、ゲートセンサー27sの検知結果に基づいて、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過したか否かを判断する。その結果、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過した場合は、普図保留数が上限値である4個に達しているか否かを判断する。そして、普図保留数が4個に達していなければ、普図当り判定乱数を取得すると共に該普図当り判定乱数を普図保留として記憶する。普図保留は、記憶した順序を識別できるように、RAM203に確保された普図保留記憶領域に記憶される。尚、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過していなかった場合や、普図保留数が既に4個に達していた場合は、新たな普図保留は記憶しない。
こうして普図保留の記憶に係る処理を行ったら、第1始動口センサー24sの検知結果に基づいて、遊技球が第1始動口24に入球したか否かを判断する。その結果、遊技球が第1始動口24に入球した場合は、第1特図保留数が上限値である4個に達しているか否かを判断する。そして、第1特図保留数が4個に達していなければ、大当り判定乱数、停止図柄決定乱数、変動パターン決定乱数を取得すると共にこれらの乱数を第1特図保留として記憶する。第1特図保留は、記憶した順序を識別できるように、RAM203に確保された第1特図保留記憶領域に記憶される。
第1特図保留の記憶に係る処理を行ったら、同様にして第2特図保留の記憶に係る処理を行う。すなわち、第2始動口センサー25sの検知結果に基づいて、遊技球が第2始動口25に入球したか否かを判断する。その結果、遊技球が第2始動口25に入球した場合は、第2特図保留数が上限値である4個に達しているか否かを判断する。そして、第2特図保留数が4個に達していなければ、大当り判定乱数、停止図柄決定乱数、変動パターン決定乱数を取得すると共にこれらの乱数を第2特図保留として記憶する。第2特図保留は、記憶した順序を識別できるように、RAM203に確保された第2特図保留記憶領域に記憶される。
<普通動作処理>
主制御基板200のCPU201は、続いて、普通動作処理(S105)を行う。この普通動作処理(S105)では、普通図柄を変動表示させたり、普図当り遊技を実行したりする処理が行われる。すなわち、主制御基板200のCPU201は先ず、普図当り遊技中、普通図柄の変動表示中、普通図柄の確定表示中の何れかであるか否かを判断する。その結果、普図当り遊技中、普通図柄の変動表示中、普通図柄の確定表示中の何れでもない場合は、上記の普図保留記憶領域に普図保留が記憶されているか否かを判断する。その結果、普図保留記憶領域に普図保留が記憶されている場合は、記憶されている普図保留のうち最先に記憶された普図保留を読み出す。そして、読み出した普図保留、すなわち、普図当り判定乱数に基づいて普図当り判定を行う。
普図当り判定を行ったら、該普図当り判定の結果が普図当りであるか否かを判断する。その結果、普図当り判定の結果が普図当りである場合は、今回の普通図柄の変動表示にて停止表示する図柄(停止図柄)として普図当り図柄を記憶する。すなわち、今回の普通図柄の変動表示の結果として普図表示部55の左のLED(図4参照)を点灯させることを記憶する。これに対して、普図当り判定の結果が普図外れである場合は、今回の普通図柄の変動表示にて停止表示する図柄(停止図柄)として普図外れ図柄を記憶する。すなわち、今回の普通図柄の変動表示の結果として普図表示部55の右のLED(図4参照)を点灯させることを記憶する。
こうして、普図当り判定の結果として普図当り図柄または普図外れ図柄を記憶したら、普通図柄の変動時間と、確定表示時間とを設定して、普通図柄の変動表示を開始する。そして、今回の普図当り判定の対象となった普図保留を普図保留記憶領域から消去する。
以上は、普図当り遊技中、普通図柄の変動表示中、普通図柄の確定表示中の何れでもない場合の処理について説明した。これに対して、普通図柄の変動表示中である場合は、変動表示中の普通図柄の変動時間が経過したか否かを判断する。その結果、変動時間が経過したと判断された場合は、変動表示中の普通図柄を予め記憶しておいた態様で停止表示する。すなわち、普図当り判定の結果が普図当りであった場合は普図表示部55の左のLEDを点灯した状態とし(普図当り図柄を停止表示し)、普図当り判定の結果が外れであった場合は普図表示部55の右のLEDを点灯した状態した状態とする(外れ図柄を停止表示する)。
以上は、普通図柄の変動表示中である場合の処理について説明した。これに対して、普通図柄の確定表示中である場合は、確定表示時間が経過したか否かを判断する。その結果、確定表示時間が経過した場合は、今回停止表示(確定表示)された普通図柄が普図当り図柄(普図表示部55の左のLEDの点灯)であるか否かを判断する。その結果、停止表示された普通図柄が普図当り図柄であった場合は、普図当り遊技における第2始動口25の開放パターン(開放回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定した後、普図当り遊技を開始する。
以上は、普通図柄の確定表示中である場合の処理について説明した。これに対して、普図当り遊技中である場合は、上述の開放パターンで第2始動口25が開放状態・閉鎖状態となるように、第2始動口ソレノイド26mを制御して開閉扉26を動作させる。そして、この開放パターンに従う制御が終了したら普図当り遊技を終了する。
ここで、本実施例のパチンコ機1では、上述したように、第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態が「第2始動口25への遊技球の入球頻度が低い非電サポ状態」または「第2始動口25への遊技球の入球頻度が高い電サポ状態」に設定される。このような非電サポ状態および電サポ状態の設定は次のようにして実現される。
すなわち、電サポ状態は非電サポ状態と比較して、普図当り判定の結果が普図当りとなる確率(普図当り確率)が高く、普通図柄の変動時間(普図変動時間)が短く、普図当り遊技における第2始動口25の開放時間が長く設定される。従って、電サポ状態は非電サポ状態と比較して、第2始動口25が高頻度で開放状態になるとともに該開放状態にある期間が長くなるので、第2始動口25への遊技球の入球頻度が高くなる(高頻度状態)。例えば、非電サポ状態が設定されている場合は、普図当り確率を100分の1の確率に設定し(普図保留として取得可能な普図当り判定乱数のうち100分の1の乱数を普図当りとし)、普図変動時間を20秒に設定し、普図当り遊技における第2始動口25の開放時間を0.3秒(0.1秒×3回開放)に設定する。これに対して、電サポ状態が設定されている場合は、普図当り確率を100分の99の確率に設定し(普図保留として取得可能な普図当り判定乱数のうち100分の99の乱数を普図当りとし)、普図変動時間を1秒に設定し、普図当り遊技における第2始動口25の開放時間を4.5秒(1.5秒×3回開放)に設定する。
主制御基板200のCPU201は、続いて、特別動作処理(S200)を行う。この特別動作処理(S200)では、特別図柄(第1特図または第2特図)を変動表示させたり、大当り遊技を進行したりする処理が行われる。特別動作処理(S200)について詳しくは後述する。
<保留数処理>
主制御基板200のCPU201は、続いて、保留数処理(S106)を行う。この保留数処理(S106)では、第1特図保留記憶領域に記憶されている第1特図の保留数(以下、第1特図保留数)、および、第2特図保留記憶領域に記憶されている第2特図の保留数(以下、第2特図保留数)を読み出して、これらの数を示す保留数伝達コマンドをRAM203の出力バッファに記憶する。こうして出力バッファに記憶された保留数伝達コマンドも次回の出力処理(S100)でサブ制御基板220に向けて送信される。こうすることによって、サブ制御基板220は、第1特図保留数や第2特図保留数に対応する保留図柄を演出表示装置41に表示する等、これらの数に基づいて種々の演出を実行することが可能となる。
<特別動作処理>
以下、特別動作処理(S200)について詳しく説明する。この特別動作処理(S200)では、特別図柄(第1特図または第2特図)を変動表示させたり、大当り遊技を実行したりする処理が行われる。また、パチンコ機1の上方に設けられたデータ表示器70(図1参照)で昇格演出を行うことを可能とするための処理の多くが、この特別動作処理(S200)の中で行われる。
図8は、特別動作処理(S200)の大まかな流れを示したフローチャートである。特別動作処理(S200)では、先ず、大当り遊技中か否かを判断する(S201)。この判断は、後述する「大当り開始フラグ」および「大当り中フラグ」の状態に基づいて行われる。すなわち、「大当り開始フラグ」または「大当り中フラグ」の何れかがONとなっている場合に大当り遊技中であると判断し(S201:yes)、「大当り開始フラグ」および「大当り中フラグ」の両方ともOFFとなっている場合に大当り遊技中ではないと判断する(S201:no)。パチンコ機1の電源を投入した直後などの通常の遊技状態では、大当り遊技中ではないから(S201:no)、図柄変動遊技処理(S300)を実行することになる(図9,図10参照)。一方、大当り遊技中の場合には(S201:yes)、大当り遊技処理(S400)を実行する(図13〜図16参照)。以下では、先ず図柄変動遊技処理について説明する。
<図柄変動遊技処理>
図9および図10は、図柄変動遊技処理(S300)のフローチャートを示している。図柄変動遊技処理(S300)を開始すると、先ず始めに、第1特図または第2特図いずれかの特別図柄が変動中であるか否かを判断する(S301)。特別図柄が変動中でない場合は(S301:no)、続いて、特別図柄が確定表示中であるか否かを判断する(S302)。特別図柄が変動中の場合(S301:yes)または確定表示中の場合(S302:yes)は、前回の図柄変動遊技の一連の処理が終わっていないことを示し、これらの場合については後で説明する。
これに対して、特別図柄が変動中でなく(S301:no)、かつ、確定表示中でもなければ(S302:no)、新たな図柄変動遊技を開始することができる。新たな図柄変動遊技は、現在記憶中の特別図柄の保留のうち最先に記憶された保留を消化して行われる。更に、前述したように本実施例のパチンコ機1は、特別図柄の保留(第1特図保留または第2特図保留)のうち第2特図保留を優先して消化する機能を備えるため、先ず、第2特図保留が記憶されているか否かを判断する(S303)。第2特図保留が記憶されている場合は(S303:yes)、第2特図の大当り判定を行う(S304)。一方、第2特図保留が記憶されていない場合は(S303:no)、第1特図保留が記憶されているか否かを判断して(S305)、第1特図保留が記憶されていれば(S303:yes)、第1特図の大当り判定を行う(S306)。第2特図保留および第1特図保留の何れも記憶されていない場合は(S303:no)、図9および図10の図柄変動遊技処理を終了して、図8の特別動作処理に復帰した後、さらに図7の遊技制御処理に復帰する。
第1特図および第2特図の大当り判定は次のようにして行われる。尚、以下では、特に明示する場合を除いて第1特図であるか第2特図であるかを区別することなく単に「特別図柄」と呼ぶ。先ず、特別図柄の保留のうち、最先に記憶された保留に含まれる大当り判定乱数を読み出す。例えば第2特図の大当り判定を行う場合は、現在記憶されている第2特図保留のうち最先に記憶された第2特図保留から大当り判定乱数を読み出すことになる。次に、所定の大当り判定乱数に大当りが設定された大当り判定テーブル(図示略)を参照して、特別図柄の保留から読み出した大当り判定乱数が、大当りが設定された乱数値であるか否かを判断する。大当り判定テーブルは、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
前述したように本実施例のパチンコ機1では、大当りと判定される確率が通常よりも高い確変状態が設定されることがあり、現在の遊技状態が確変状態であれば、確変状態用の大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行う。例えば、大当り判定乱数が0〜99の範囲に設定され、通常の大当り判定テーブルでは、そのうち「7」の乱数値に大当りが設定されているとしたら、確変状態用の大当り判定テーブルでは「0〜9」の何れかの乱数値に大当りを設定するといった態様で確変状態を実現できる。尚、現在の遊技状態が確変状態であるか否かは、後述する確変フラグがONであるか否かに基づいて判断することができる。
こうして大当り判定を行ったら(S304またはS306)、続いて、停止図柄を決定する(S307)。本実施例のパチンコ機1では、図5を用いて前述したように、第1特図および第2特図それぞれについて、100種類の大当り図柄と、1種類の外れ図柄とが停止図柄として設定されている。そこで、上記の大当り判定(S304またはS306)の結果、大当りであると判定された場合には、100種類の大当り図柄のうち何れの大当り図柄を停止図柄として表示するのかを決定する。停止図柄の決定は、停止図柄決定乱数を所定の停止図柄決定テーブルに照合して行う。停止図柄決定乱数は、今回消化する特別図柄の保留(すなわち上記の大当り判定の処理で大当り判定乱数を読み出した特別図柄の保留)から読み出す。停止図柄決定テーブルは、停止図柄決定乱数が取り得る乱数値それぞれに対して、所定の停止図柄が設定されたテーブルであり、第1特図の大当り用のテーブルと第2特図の大当り用のテーブルとが主制御基板200のROM202に予め記憶されている。例えば今回消化する保留が第1特図保留の場合には、第1特図に設定された大当り図柄である停止図柄1〜100から何れか1つの停止図柄が今回の図柄変動遊技で表示される停止図柄として決定されることになる(S307)。
これに対して、上記の大当り判定(S304またはS306)の結果、外れであると判定された場合には、外れ図柄101(第2特図保留を消化する時は外れ図柄201)を停止図柄として決定する(S307)。本実施例のパチンコ機1では外れ図柄が1種類であるから、大当り判定の結果が外れであれば停止図柄が決定されるが、複数種類の外れ図柄を設定している場合には、外れ図柄用の停止図柄決定テーブルを用意しておき、停止図柄決定乱数に基づいて外れ図柄を決定すればよい。尚、S307の処理で決定された停止図柄は、RAM203に確保された停止図柄記憶領域に記憶される。また、S307の処理で停止図柄を決定することによって大当り抽選の結果である当否態様が決定されることから、主制御基板200のCPU201が本発明における「当否態様抽選手段」に相当する。
停止図柄を決定したら(S307)、停止図柄指定コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S308)。停止図柄指定コマンドとは、図柄変動遊技の結果として表示する停止図柄をサブ制御基板220に指定するためのコマンドをいう。サブ制御基板220では、受け取った停止図柄指定コマンドの内容に基づいて、演出表示装置41で停止表示する3つの識別図柄41a,41b,41cの組合せを決定する。
尚、上記の「停止図柄指定コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する」とは、停止図柄指定コマンドを、主制御基板200のRAM203に確保された出力バッファに記憶することを意味する。出力バッファに記憶された停止図柄指定コマンドは、次回の遊技制御処理における出力処理(図7のS101)によって、サブ制御基板220に向かって出力されることになる。これと同様に、図柄変動遊技処理(S300)における以降の処理で何某かのコマンドを出力する場合も、主制御基板200のRAM203に確保された出力バッファに記憶することを意味する。
停止図柄指定コマンドを出力したら(S308)、続いて、変動パターンを決定する(S309)。変動パターンとは、図柄変動遊技において特別図柄を変動表示させる時間(変動時間)を示す識別情報である。変動パターンは複数種類が設けられており、その中から何れか1つの変動パターンを決定することによって、特別図柄の変動時間の長さが決定されることになる。変動パターンの決定(S309)は、上記の大当り判定(S304またはS306)や停止図柄の決定(S307)の仕方と同様に、変動パターン決定乱数と、変動パターン決定テーブルとを用いて行う。変動パターン決定乱数は、今回消化する特別図柄の保留から読み出す。変動パターン決定テーブルは、変動パターン決定乱数が取り得る乱数値それぞれに対して所定の変動パターンが設定されたテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。ここで、本実施例のパチンコ機1では、当否態様に応じて別々の変動パターン決定テーブルが用意されている。
図11は、当否態様に応じて設けられる変動パターン決定テーブルを示している。図示するように、当否態様Aに対しては、変動パターン決定テーブルTAが設けられている。同様に、当否態様Bに対しては変動パターン決定テーブルTBが設けられ、当否態様Cに対しては変動パターン決定テーブルTCが設けられている。更に、当否態様Dに対しては変動パターン決定テーブルTDが、当否態様Eに対しては変動パターン決定テーブルTEが、当否態様Fに対しては変動パターン決定テーブルTFが、当否態様Gに対しては変動パターン決定テーブルTGが、それぞれ設けられている。尚、ここでは1つの当否態様に対して1つの変動パターン決定テーブルを設けているが、1つの当否態様に対して複数の変動パターン決定テーブルを設けて、条件に応じて選択するようにしてもよい。例えば、確変状態または電サポ状態を設定している場合や、特別図柄の保留数が多数の場合には、特別図柄の変動時間を短くすることが考えられ、その場合には変動時間が短い変動パターンが設定された変動パターン決定テーブルを選択するようにしてもよい。
前述したように、各当否態様は何れかの停止図柄に対応付けて設定されているから(図5参照)、上記の処理S307で停止図柄を決定すれば、当否態様についても決定されることになる。従って、変動パターンを決定するには(S309)、先ず、上記の処理S307で決定した停止図柄に基づいて当否態様を把握し、その当否態様に対応した変動パターン決定テーブルを選択する(図11参照)。そして、選択した変動パターン決定テーブルと、今回消化する特別図柄の保留に含まれる変動パターン決定乱数とに基づいて変動パターンを決定する。
図12は、変動パターン決定テーブルを例示した説明図である。図12(a)は、当否態様Aの場合に選択される変動パターン決定テーブルTAを例示している。図示するように、例えば変動パターン決定乱数が「0〜100」までの何れかの値である場合には、これらに対応して変動パターン「HP11」が設定されているというように、所定の変動パターン決定乱数に対応づけて所定の変動パターンが設定されている。尚、図中では変動パターン決定乱数の値が「255」までの変動パターンを示しているが、変動パターン決定乱数にはもっと多数の乱数値が設定されており、以降の乱数値に対しても同様に変動パターンが設定されている。
他の当否態様B〜Gに対応した変動パターン決定テーブルTB〜TGについても同様にして変動パターンが設定されており、図12では、当否態様Eに対応した変動パターン決定テーブルTEを図12(b)に例示している。図12(a)および図12(b)に示されるように、変動パターン決定乱数が同じ乱数値であっても、変動パターン決定テーブルが異なれば、異なる変動パターンが設定されている。例えば変動パターン決定乱数「0〜100」に対して、変動パターン決定テーブルTAでは変動パターン「HP11」が設定されているが、変動パターン決定テーブルTEでは別の変動パターン「HP51」が設定されている。こうすることで、1つの変動パターン決定乱数に対して、当否態様に応じた変動パターンが決定されることになる。尚、決定された変動パターンは、RAM203に確保された変動パターン記憶領域に記憶される。
ここで、図12に示すように、本実施例の変動パターン決定テーブルでは、所定の変動パターンに対して昇格演出の有無と昇格態様についての情報が付加されている。例えば、図12(a)の変動パターン決定テーブルTAでは、変動パターン「HP12」に対して、「確変昇格」である旨の情報が付加されている。これは、変動パターンが「HP12」の図柄変動遊技を行う場合、後で確変昇格の態様の昇格演出を行うことを規定している。従って、この図柄変動遊技に対応して演出表示装置41で行われる変動演出では、図柄変動遊技の結果(すなわち大当り抽選の結果)を遊技者に報知する時に、先ず非確変当りの大当りに当選したことを報知しておくことになる。こうすることによって、後で非確変当りから確変当りへと昇格したことを演出する昇格演出を行うことが可能となる。以下では、後で昇格演出を行うために、演出表示装置41の変動演出において実際の当否態様とは異なる当否態様を報知することを「仮報知」と呼ぶ。この変動パターン決定テーブルTAは、確変当りである当否態様Aの場合に選択されるテーブルであるから、仮報知の際には、ラウンド数など他の条件が同じで非確変当りである当否態様D(図5参照)に当選したことを報知することになる。
また、この変動パターン「HP12」には、演出の実行タイミングとして「大当り遊技の開始時」である旨の情報が付加されており、これは上記の昇格演出を大当り遊技の開始時に実行することを規定している。確変昇格の演出の実行タイミングとしては、演出表示装置41で大当り抽選の結果を仮報知してから、大当り遊技を実行し、その後、確変状態が設定された50回の図柄変動遊技が終了するまでの何れかの間に実行することができる。従って、確変昇格の演出は、大当り遊技の開始時に限られず、大当り遊技中や、大当り遊技の終了時、あるいは大当り遊技の終了後など他のタイミングで実行してもよい。もっとも、大当り遊技の終了後に確変昇格の演出を実行する場合、大当り遊技の終了後であって確変昇格の演出を実行するまでの間に行われる図柄変動遊技は、確変状態に設定されていることを遊技者が認識し難い、いわゆる潜伏確変の状態となる。本実施例のパチンコ機1は、潜伏確変の状態が生じないように設定されており、確変状態が設定された図柄変動遊技を開始する前、すなわち、大当り遊技の終了時までに確変昇格の演出を実行することになる。
更に、この変動パターン「HP12」には、昇格演出指定パターンとして「SEP11」が規定されている。昇格演出指定パターンとは、演出表示装置41で実行される昇格演出の表示内容を、主制御基板200がサブ制御基板220に対して指定するための識別情報である。演出表示装置41では、所定の昇格演出指定パターンに対応して、所定の画像や映像が表示されることになる。変動パターン「HP12」における昇格態様は非確変当りから確変当りに昇格したことであるから、昇格演出指定パターン「SEP11」が規定する昇格演出の表示内容は、非確変当りから確変当りへと昇格したことを示す所定の画像や映像になる。
図12(a)の変動パターン決定テーブルTAにおいて、上記とは別の変動パターン「HP13」に対しても昇格演出が規定されており、その昇格態様は「ラウンド数昇格」である。昇格態様が「ラウンド数昇格」の場合、演出表示装置41の変動演出において大当り抽選の結果を報知する時には、ラウンド数が少ない大当りに当選したことを仮報知しておき、その後にラウンド数が昇格したことを演出することになる。図に示した例では、4ラウンドの大当りである当否態様C(図5参照)であることを仮報知しておき、後で実際の当否態様である15ラウンドの当否態様Aを報知することで、ラウンド数の昇格演出が行われる。
続いて、ラウンド数の昇格演出を実行するタイミングについて説明する。先ず、上記のように4ラウンドの当否態様Cに当選したことを仮報知すれば、遊技者は、4ラウンドで大当り遊技が終了するものと認識することになる。これに対して実際には当否態様Aに従って15ラウンドまで大当り遊技が続くことから、ラウンド数昇格の演出は、4ラウンドが終了するまでに行う必要がある。すなわち、ラウンド数昇格の演出は、演出表示装置41で大当り抽選の結果として実際のラウンド数よりも少ないラウンド数を仮報知してから、その仮報知したラウンド数の終了時までの何れかのタイミングで実行することになる。従って、図に示した例で、ラウンド数昇格の演出を実行するタイミングとして規定された「大当り遊技中」とは、大当り遊技中のうち、4ラウンドの終了時までのタイミングを指す。
また、この変動パターン「HP13」には、昇格演出指定パターンとして「SEP12」が規定されている。ここでは昇格態様が、ラウンド数が4ラウンドから15ラウンドへと昇格したことであるから、昇格演出指定パターン「SEP12」に対応して演出表示装置41で表示される内容は、4ラウンドから15ラウンドへと昇格したことを示す所定の画像や映像となる。
また、図12(a)の変動パターン決定テーブルTAにおいて、更に別の変動パターン「HP14」に対しては、前述の「HP12」と同じく確変昇格の演出を行うことが規定されている。ただし、昇格演出指定パターンについては、前述の「HP12」における昇格演出指定パターン「SEP11」とは異なる昇格演出指定パターン「SEP13」が規定されている。このように、同じ昇格態様に対して異なる昇格演出指定パターンを設定することで、演出のバリエーションを増やすことができる。
図12(a)の変動パターン決定テーブルTAには、上で説明した変動パターン「HP12」、「HP13」、「HP14」の他、変動パターン「HP11」が示されているが、変動パターン「HP11」については昇格演出が規定されていない。従って、変動パターンが「HP11」の図柄変動遊技を行う場合には、演出表示装置41で当該図柄変動遊技の結果を遊技者に報知する時に、そのまま実際の当否態様Aに当選したことを報知し、その後の昇格演出は行わないことになる。
図12(b)の変動パターン決定テーブルTEにおいても、図12(a)の変動パターン決定テーブルTAと同様に、所定の変動パターン「HP53」に対して昇格演出についての情報が付加されている。ただし、ここでは、昇格態様として「電サポ数昇格」が規定されている。昇格態様が「電サポ数昇格」の場合、演出表示装置41の変動演出において大当り抽選の結果を報知する時には、電サポ回数が少ない大当りに当選したことを仮報知しておき、その後に電サポ回数が昇格したことを演出することになる。ここでは、電サポ回数が20回の当否態様F(図5参照)に当選したことを仮報知しておき、後で実際の当否態様である電サポ回数が100回の当否態様Eに当選したことを報知することで、電サポ回数の昇格演出が行われる。
変動パターン「HP53」に対する昇格演出の実行タイミングとしては「大当り遊技の終了後」が規定されている。電サポ回数の昇格演出は、演出表示装置41で大当り抽選の結果として実際の電サポ回数よりも少ない電サポ回数を仮報知してから、その仮報知した電サポ回数の終了時までの何れかのタイミングで実行することができる。また、昇格演出指定パターンは、上記の昇格演出指定パターンの何れとも異なる「SEP51」が規定されている。ここでは昇格態様が、電サポ回数が20回から100回へと昇格したことであるから、昇格演出指定パターン「SEP51」に対応して演出表示装置41で表示される内容は、電サポ回数が20回から100回へと昇格したことを示す所定の画像や映像となる。
このように、所定の変動パターンに対して昇格演出を規定することとすれば、当否態様に応じて昇格演出をするか否かを別途抽選することなく、昇格演出の有無や実行タイミングなどを無作為に決定することができる。尚、変動パターンに対して昇格演出を規定するのではなく、停止図柄に対して昇格演出を規定するようにしてもよい。停止図柄についても乱数に基づいて無作為に決定されるから、昇格演出の有無などを無作為に決定することができる。ただし、停止図柄の種類は、セグメント表示部50における第1特図表示部51や第2特図表示部52を構成するランプ数によって制限されるため、このような制限がない変動パターンを利用して昇格演出を規定する方が、より多くのバリエーションの昇格演出を設定することができる。
図9のS309の処理で変動パターンを決定した後は、サブ制御基板220に向かって変動パターン指定コマンドを出力する(S310)。変動パターン指定コマンドとは、特別図柄の変動時間を示す変動パターンをサブ制御基板220に指定するためのコマンドをいう。サブ制御基板220は、変動パターン指定コマンドの内容に基づいて、セグメント表示部50で行われる特別図柄の変動時間を把握して、演出表示装置41で行う変動演出の内容を決定することが可能となる。尚、本実施例のパチンコ機1では、当否態様(すなわち停止図柄の内容)に応じて異なる変動パターンを決定することから(図11,図12参照)、変動パターン指定コマンドに基づけば停止図柄の内容についても把握できるため、主制御基板200からサブ制御基板220に対する停止図柄指定コマンドの送受信を省略してもよい。
変動パターン指定コマンドを出力(S310)した後は、セグメント表示部50を制御して特別図柄の変動表示を開始する(S311)。この特別図柄の変動表示を開始したことをもって特別図柄の保留を1つ消化したことになる。そこで、第1特図保留記憶領域または第2特図保留記憶領域から今回の大当り判定の対象となった特別図柄の保留を1つ消去する(S312)。その後は、図9および図10の図柄変動遊技処理を終了して、図8の特別動作処理に復帰する。図8の特別動作処理に復帰すると、今度は図7の遊技制御処理に復帰することになり、保留数処理(図7のS106)を実行する。前述したように、保留数処理(S106)では、第1特図保留記憶領域に記憶された第1特図保留数と、第2特図保留記憶領域に記憶された第2特図保留数とを計数する。ここでは、上記の図柄変動遊技処理で特別図柄(第1特図または第2特図)の保留を1つ消去したから(図9のS312)、第1特図保留数または第2特図保留数から「1」を減算する。
この保留数処理(S106)の実行をもって図7の遊技制御処理は終了し、所定周期(例えば4msec)に従って、次回の遊技制御処理を実行する。次回の遊技制御処理において図柄変動遊技処理(図9のS300)を開始したら、特別図柄が変動中か否かを判断する(S301)。前回の処理で特別図柄の変動を開始したから(S311)、今度は特別図柄が変動中であると判断される(S301:yes)。続いて、特別図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(図10のS313)。特別図柄の変動時間は、前回の処理(S309)で決定した変動パターンに基づいた時間であり、特別図柄の変動を開始すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したか否かを判断することができる。未だ変動時間が経過していない場合は(S313:no)、図8の特別動作処理に復帰して、図7の遊技制御処理に復帰する。特別図柄の変動時間が経過するまでは、図7の遊技制御処理を繰り返す中で、S313の判断を繰り返す。
特別図柄の変動時間が経過したと判断された場合は(S313:yes)、特別図柄を停止表示させることを示すコマンド(変動停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する(S314)とともに、変動表示中の特別図柄を停止表示する(S315)。この停止表示した状態の特別図柄は、以前S307の処理で決定された停止図柄とする。このように特別図柄を停止表示したら、今度は特別図柄の確定表示を開始するため、確定表示の時間を設定して(S316)、確定表示の時間が経過したか否かを判断する(S317)。未だ確定表示の時間が経過していない場合は(S317:no)、図7の遊技制御処理を繰り返す中で、S317の判断を繰り返す。
確定表示の時間が経過したと判断された場合は(S317:yes)、確定表示された特別図柄、すなわち停止図柄が大当り図柄か否かを判断する(S318)。その結果、停止図柄が外れ図柄であった場合は(S318:no)、遊技状態管理処理(S500)を実行する。遊技状態管理処理(S500)は、確変状態や電サポ状態を管理するために行われる一連の処理であり、後で詳しく説明する。遊技状態管理処理(S500)を実行した後は、図柄変動遊技処理を終了して、図8の特別動作処理に復帰して、図7の遊技制御処理に復帰する。
一方、停止図柄が大当り図柄であった場合は(S318:yes)、大当り開始フラグをONに設定する(S319)。大当り開始フラグとは、大当り遊技を開始することを示すフラグである。主制御基板200に搭載されたRAM203において、所定アドレスの記憶領域が大当り開始フラグに割り当てられており、この所定アドレスの値を「1」に設定すると、大当りフラグ開始がONとなる。また、後で大当りフラグ開始をOFFにする時は、この所定アドレスの値を「0」に設定する。以降の処理で説明する各種のフラグについても同様にしてONとOFFとが切り換えられる。
続いて、大当り遊技における大入賞口28の開放パターン(開放回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定する(S320)。前述したように、本実施例のパチンコ機1では停止図柄によって大当り遊技のラウンド数が異なる(図5参照)。そこで、今回のラウンド数に応じて大入賞口28の開放回数を設定する。また、本実施例では1ラウンド分の開放時間が30秒、ラウンド間の閉鎖時間が3秒に設定される。
大入賞口28の開放パターンを設定したら(S320)、大当り遊技を開始することを示すコマンド(大当り遊技開始コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する(S321)。この処理をもって図9および図10に示した図柄変動遊技を終了して、図8の特別動作処理に復帰した後、図7の遊技制御処理に復帰する。次回の遊技制御処理における特別動作処理(図8)では、大当り遊技中か否かの判断において(S201)、大当り遊技中であると判断される(S201:yes)。この判断は、先ほど大当り開始フラグをONに設定したこと(図10のS319)に基づく。そして、大当り遊技処理(S400)を開始する。
図13ないし図15は、大当り遊技処理(S400)のフローチャートを示している。大当り遊技処理(S400)を開始すると、先ず始めに、大当り開始フラグはONか否かを判断する(S401)。「大当り開始フラグ」は、新たな大当り遊技を開始する時、すなわち1ラウンド目のラウンド遊技を開始する時に、所定の処理を実行するために設けられたフラグである。ここでは、大当り開始フラグはONであると判断される(S401:yes)。
続いて、昇格演出を行うか否かを判断する(S402)。この判断は、前述した図柄変動遊技処理(図9参照)の中で決定された変動パターン(図9のS309)に基づいて行われる。すなわち、所定の変動パターンに対しては昇格演出が規定されており(図12参照)、図柄変動遊技処理の中で決定された変動パターンが、昇格演出が規定された変動パターンである場合には、昇格演出を行うと判断する(S402:yes)。一方、図柄変動遊技処理の中で決定された変動パターンが、昇格演出が規定されていない変動パターンである場合には、昇格演出を行わないと判断する(S402:no)。
昇格演出を行うと判断した場合には(S402:yes)、昇格演出フラグをONにする(S403)。昇格演出フラグとは、今回の大当り遊技を開始してから、大当り遊技終了後の所定回数の図柄変動遊技を実行するまでの間に昇格演出を行うことを示すフラグである。続いて、昇格演出の実行タイミングは大当り遊技の開始時であるか否かを判断する(S404)。図12を示して前述したように、昇格演出が規定された所定の変動パターンに対しては、昇格演出の実行タイミングについても規定されているから、図柄変動遊技処理(図9参照)の中で決定された変動パターンに基づいて、昇格演出の実行タイミングを把握することができる。
昇格演出の実行タイミングが大当り遊技の開始時である場合には(S404:yes)、昇格演出開始コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S405)。昇格演出開始コマンドは、サブ制御基板220に昇格演出を開始するように指示するためのコマンドをいう。前述したように、昇格演出が規定された変動パターンには、昇格演出の表示内容を示す昇格演出指定パターンが規定されており(図12参照)、この昇格演出指定パターンについても昇格演出開始コマンドの内容に含まれる。例えば、今回の変動パターンが「HP12」であった場合、昇格演出指定パターンとして「SEP11」が規定されているため、その旨を昇格演出開始コマンドに含めることによって、演出表示装置41で昇格演出指定パターン「SEP11」の表示が実行されることになる。尚、サブ制御基板220に本実施例の変動パターン決定テーブルを用意しておき、昇格演出指定パターンの内容を省略して昇格演出開始コマンドを出力するようにしてもよい。
尚、上記の「昇格演出開始コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する」とは、昇格演出開始コマンドを、主制御基板200のRAM203に確保された出力バッファに記憶することを意味する。出力バッファに記憶された昇格演出開始コマンドは、次回の遊技制御処理における出力処理(図7のS101)によって、サブ制御基板220に向かって出力されることになる。これと同様に、大当り遊技処理(S300)における以降の処理で何某かのコマンドを出力する場合も、主制御基板200のRAM203に確保された出力バッファに記憶することを意味する。
昇格演出開始コマンドをサブ制御基板220に向かって出力したら(S405)、今度は、外部演出コマンドをデータ表示器70に向かって出力する(S406)。ここで、外部演出コマンドとは、本実施例のパチンコ機1が、パチンコ機1の上方に設置されたデータ表示器70に対して、演出表示(パチンコ機1の視点でいう「外部演出」)を実行するように指示するコマンドをいう。このように、昇格演出の実行タイミングになったら、サブ制御基板220およびデータ表示器70の両方に演出の指示を出すことによって、パチンコ機1で昇格演出を実行するタイミングに合わせて、外部のデータ表示器70でも演出表示を実行することが可能となる。また、外部演出コマンドには、上記のサブ制御基板220に向かって出力される昇格演出開始コマンド(S405)と同様に、昇格演出指定パターンの情報が含まれる。こうすることで、演出表示装置41で実行される昇格演出の表示内容と対応させた演出表示を外部のデータ表示器70で実行することが可能となる。
外部演出コマンドをデータ表示器70に出力(S406)した後は、昇格演出フラグをOFFに設定して(S407)、所定の待機時間が経過したか否かを判断する(S408)。所定の待機時間については後で説明する。尚、外部演出コマンドは本発明の「外部演出指示」に対応し、従って、外部演出コマンドを出力する主制御基板200のCPU201が本発明の「出力手段」に相当する。
ここまでは、昇格演出を行うと判断された場合(S402:yes)について説明してきた。これに対して、昇格演出を行わないと判断した場合(S402:no)は、上記S403〜S407の処理をスキップして、所定の待機時間が経過したか否かの判断(S408)を行う。また、昇格演出を行うと判断された場合(S402:yes)であっても、昇格演出の実行タイミングは大当り遊技の開始時でないと判断された場合(S404:no)であれば、上記S405〜S407の処理をスキップして、所定の待機時間が経過したか否かの判断(S408)を行う。
S408でいう所定の待機時間とは次のようなものである。先ず、パチンコ機1で大当り遊技を開始するとき、演出表示装置41では、サブ制御基板220および画像音声制御基板230による制御の下、大当り遊技を開始する旨の演出が行われる。この演出が行われている間は、主制御基板200で実行される大当り遊技処理(図13のS400)でも処理を進行することなく、待機する必要がある。そこで、大当り遊技を開始する際に演出表示装置41で行われる演出の演出時間に対応する時間が、S408の所定の待機時間として設定される。尚、昇格演出の実行タイミングが大当り遊技の開始時の場合(S404:yes)は、この待機時間を利用して昇格演出を行えばよい。
S408の判断の結果、未だ所定の待機時間が経過していない場合は(S408:no)、大当り遊技処理(S400)を一旦終了して、図8の特別動作処理を介して図7の遊技制御処理に復帰する。所定の待機時間が経過するまでは、図7の遊技制御処理を繰り返す中でS408の判断を繰り返す。やがて所定の待機時間が経過したと判断されたら(S408:yes)、大入賞口28を開放する(S409)。大入賞口28を開放したことにより、1ラウンド目のラウンド遊技を開始したことになるため、ラウンド数指定コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S410)。ラウンド数指定コマンドは、大入賞口28の開放によって何ラウンド目のラウンド遊技を開始したのかを指定するためのコマンドである。ここでは、1ラウンド目のラウンド遊技を開始したことを示すラウンド数指定コマンドを出力する。
ラウンド数指定コマンドを出力したら(S410)、続いて、昇格演出フラグはONであるか否かを判断する(S411)。前述の処理S403で、昇格演出フラグをONにした場合であって、大当り遊技の開始時には昇格演出を行っていない場合は(S404:no)、現在、昇格演出フラグがONであると判断される(S411:yes)。そこで、昇格演出の実行タイミングは大当り遊技中か否かを判断する(S412)。この判断は、前述の処理S404と同様に、図柄変動遊技処理の中で決定された変動パターン(図9のS309)に基づいて行う(図12参照)。そして、昇格演出の実行タイミングは大当り遊技中であると判断される場合には(S412:yes)、現在実行中の1ラウンド目のラウンド遊技で昇格演出を実行するか否かを抽選して(S413)、1ラウンド目で昇格演出を実行するか否かを判断する(S414)。
処理S413による抽選の結果、1ラウンド目で昇格演出を実行すると判断された場合には(S414:yes)、昇格演出開始コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S416)とともに、外部演出コマンドをデータ表示器70に向かって出力する(S417)。そして、外部演出コマンドをデータ表示器70に出力したら(S416)、昇格演出フラグをOFFに設定した後(S417)、大当り開始フラグについてもOFFに設定する(S418)。
一方、処理S413による抽選の結果、1ラウンド目で昇格演出を実行しない場合(S414:no)は、昇格演出フラグをONにしたまま、大当り開始フラグをOFFに設定する(S418)。また、前述の処理S412で、昇格演出の実行タイミングは大当り遊技中でないと判断された場合(S412:no)についても、昇格演出フラグをONにしたまま、大当り開始フラグをOFFに設定する(S418)。また、更に前述の処理S411で、1ラウンド目のラウンド遊技を開始する際に昇格演出フラグがONでないと判断された場合には(S411:no)、上記の処理S412〜S417をスキップして、大当り開始フラグをOFFに設定する(S418)。
大当り開始フラグをOFFに設定したら(S418)、今度は、大当り中フラグをONに設定する(S419)。「大当たり中フラグ」は、既に大当り遊技を開始した後であり、現在も大当り遊技中であるという状態を示すフラグである。大当り中フラグをONに設定(S419)した後は、大当り遊技処理(S400)を一旦終了して、図8の特別動作処理を介して図7の遊技制御処理に復帰する。次回の遊技制御処理における特別動作処理(図8のS200)では、大当り遊技中か否かの判断において(S201)、大当り中フラグがONであることに基づいて大当り遊技中であると判断される(図8のS201:yes)。そして、再び図13の大当り遊技処理(S400)が開始されることになり、大当り開始フラグはONか否かを判断する(S401)。前回の大当り遊技処理(S400)で大当り開始フラグをOFFに設定しているため(S418)、今度は、大当り開始フラグはONではないと判断される(S401:no)。このことは大当り遊技を新たに開始する時の処理が既に実行済みであることを示し、続いて、図14に示す処理を行う。
先ず、大入賞口28が開放中であるか否かを判断する(図14のS421)。前回の大当り遊技処理(S400)で大入賞口28を開放しているから(図13のS409)、大入賞口28は開放中であると判断される(S421:yes)。続いて、大入賞口28の開放時間が経過したか否かを判断する(S422)。ここでは、大入賞口28を開放(図13のS409)した直後であるから、大入賞口28の開放時間は経過していないと判断される(S422:no)。同様の理由から、次の、大入賞口28に規定数の遊技球が入球したか否かの判断(S423)でも、規定数が入球していないと判断される(S423:no)。ここまでの処理S421:yes〜S423は、本実施例のパチンコ機1における1回のラウンド遊技は、30秒が経過するまで、又は大入賞口28に9個の遊技球が入球するまで行われることと対応する。規定数が入球していないと判断される場合(S423:no)、すなわち、未だ1ラウンド目のラウンド遊技が終わっていない場合は、大入賞口28を開放させたままの状態で大当り遊技処理(S400)を一旦終了して、図8の特別動作処理を介して図7の遊技制御処理に復帰する。
図7の遊技制御処理の中で大当り遊技処理(S400)を繰り返すうちに、大入賞口28の開放時間が経過するか(S422:yes)、もしくは大入賞口28に規定数の遊技球が入球したら(S423:yes)、大入賞口31dを閉鎖する(S424)。こうして、1ラウンド目のラウンド遊技が終了し、図7の遊技制御処理に復帰する。次回の遊技制御処理の中で行われる大当り遊技処理(S400)では、S421の判断において大入賞口28は開放中でないと判断されて(S421:no)、所定のラウンド数を消化したか否かを判断する(S425)。この所定のラウンド数は、大当りの当否態様(図5参照)に基づいて設定されたラウンド数である。
所定のラウンド数を消化していなければ(S425:no)、大入賞口28の閉鎖時間が経過したか否かを判断する(S426)。この閉鎖時間は、1回のラウンド遊技を終了してから次回のラウンド遊技を開始するまでの時間を表し、本実施例のパチンコ機1では閉鎖時間が3秒に設定されている。未だ閉鎖時間が経過していなければ(S426:no)、大当り遊技処理(S400)を一旦終了して、図8の特別動作処理を介して図7の遊技制御処理に復帰する。やがて、閉鎖時間が経過したら(S426:yes)、次回のラウンド遊技(ここでは2ラウンド目)を開始すべく、再度、大入賞口28を開放する(S427)。そして、新たに開始したラウンド数を示すラウンド数指定コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S428)。
新たなラウンド遊技を開始してラウンド数指定コマンドを出力したら(S428)、1ラウンド目のラウンド遊技を開始した時と同様に(図13のS411〜S417)、抽選に基づいて昇格演出を行うために、次のような処理を実行する。先ず、昇格演出フラグがONであるか否かの判断(S429)と、昇格演出の実行タイミングが大当り遊技中であるか否かの判断(S430)とを行う。その結果、昇格演出フラグがONであり(S429:yes)、昇格演出の実行タイミングが大当り遊技中であると判断される場合には(S430:yes)、今回のラウンドは最終ラウンドか否かを判断する(S430)。ここでは2ラウンド目であるから、未だ最終ラウンドでないと判断されて(S430:no)、今回のラウンドで昇格演出を実行するか否かを抽選する(S432)。
S432による抽選の結果、今回のラウンドで昇格演出を実行すると判断された場合には(S433:yes)、昇格演出開始コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S434)とともに、外部演出コマンドをデータ表示器70に向かって出力する(S435)。その後は、昇格演出フラグをOFFに戻して(S436)、大当り遊技処理(S400)を一旦終了する。
これに対して、S432による抽選の結果、今回のラウンドで昇格演出を実行しないと判断された場合には(S433:no)、昇格演出を行うことなく、大当り遊技処理(S400)を一旦終了する。また、上記の処理S429で昇格演出フラグがONでないと判断された場合(S429:no)、または、上記の処理S430で昇格演出の実行タイミングは大当り中でないと判断された場合(S430:no)についても、昇格演出を行うことなく、大当り遊技処理(S400)を一旦終了する。
次回の大当り遊技処理(S400)では、S421の処理で大入賞口28は開放中であると判断されて(S421:yes)、ラウンド遊技が行われる。以降も同様に、大入賞口28を開放状態にした後(S427)、閉鎖状態とすること(S424)を繰り返すことによってラウンド数を重ねていく。そして、昇格演出の実行タイミングが大当り遊技中である場合には(S430:yes)、新たなラウンドを開始する毎に、昇格演出を実行するか否かの抽選を行い(S432)、抽選結果に応じて(S432:yes)、昇格演出を行う(S434,S435)。このようにラウンド毎に抽選することによって、何ラウンド目で昇格演出を実行するかということを無作為に決定することができ、どのラウンドでも遊技者に昇格演出への期待感を持たせることができる。そして、このように無作為なタイミングで昇格演出を実行しても、主制御基板200が昇格演出の実行タイミングを把握して、外部演出コマンドをデータ表示器70に向かって出力することで(S435)、パチンコ機1における昇格演出に連動してデータ表示器70でも昇格演出を行うことができる。
図14に示した大当り遊技処理(S400)を繰り返す中で、ラウンド毎の抽選(S432)の結果として昇格演出を実行しないままに(S433:no)、最終ラウンドになった場合は(S431:yes)、次のように処理する。すなわち、抽選の処理(S432,S433)をスキップして、昇格演出開始コマンドの出力(S434)と、外部演出コマンドの出力(S435)とを行う。こうすることで、昇格演出の実行タイミングが大当り遊技中である場合において(S430:yes)、ラウンド毎の抽選結果によらず、大当り遊技中、すなわち、最終ラウンドまでに確実に昇格演出が実行される。尚、ここでいう「最終ラウンド」とは、昇格演出前に遊技者が認識しているラウンド数における最終ラウンドを指すものとする。従って、昇格態様が「ラウンド数昇格」である場合には、演出表示装置41で図柄変動遊技の結果を仮報知した時の「実際のラウンド数よりも少ないラウンド数」における最終ラウンドを指すことになる。
尚、上記のように、新たなラウンド遊技を開始する都度、昇格演出を実行するか否かの抽選(S432)を行うのではなく、前述の処理(図13のS413)で1ラウンド目に昇格演出を実行するか否かを抽選する代わりに、「どのラウンドで昇格演出を実行するかを決定する抽選」を行うようにしてもよい。あるいは、図12に示した変動パターン決定テーブルにおいて、演出の実行タイミングが「大当り遊技中」であると規定する場合には、「何ラウンド目に昇格演出を実行するか」ということまで規定するようにしてもよい。これら何れの方法であっても、昇格演出の実行タイミングは無作為なタイミングになる。そして、何れの方法であっても、主制御基板200が昇格演出の実行タイミングを把握することができ、昇格演出の実行タイミングに合わせて、データ表示器70に向かって外部演出コマンドを出力することができる。
ここまでは、ラウンド遊技を繰り返す処理について説明してきた。これに対して、所定のラウンド数を消化したと判断された場合(S425:yes)には、以下の処理を実行する。先ず、大当り遊技を終了させるべく、大当り中フラグをOFFに設定し(図15のS441)、大当り遊技を終了することを示すコマンド(大当り遊技終了コマンド)をサブ制御基板220に向かって出力する(S442)。
続いて、昇格演出フラグはONであるか否かを判断する(S443)。前述の処理で、昇格演出フラグをONにした場合(図13のS403)であって、大当り遊技の開始時に昇格演出を行わず(S404:no)、大当り遊技中にも昇格演出を行わなかった場合(S412:no,S430:no)は、現在、昇格演出フラグがONであると判断される(S443:yes)。そこで、昇格演出の実行タイミングは大当り遊技の終了時か否かを判断する(S444)。この判断は、図柄変動遊技処理の中で決定された変動パターン(図9のS309)に基づいて行えばよい(図12参照)。
判断の結果、昇格演出の実行タイミングは大当り遊技の終了時であると判断される場合には(S444:yes)、昇格演出開始コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S445)とともに、外部演出コマンドをデータ表示器70に向かって出力する(S446)。その後は、昇格演出フラグをOFFに設定してから(S447)、今回実行した大当り遊技の当否態様は、確変当りだったか否かを判断する(S448)。
一方、昇格演出の実行タイミングは大当り遊技の終了時でないと判断される場合には(S444:no)、処理S445〜S447をスキップして、今回実行した大当り遊技の当否態様は確変当りだったか否かを判断する(S448)。また、上記のS443で昇格演出フラグがONでないと判断された場合(S443:no)にも、処理S445〜S447をスキップして、確変当りだったか否かを判断する(S448)。
今回実行した大当り遊技の当否態様が確変当りだったか否かの判断(S448)は、図柄変動遊技処理(図9)で決定した停止図柄(図9のS308)に基づいて行うことができる。図5を示して前述したように、本実施例のパチンコ機1では、当否態様A〜当否態様Cが確変当りであり、これらに対応する停止図柄は、停止図柄1〜20、停止図柄21〜40、停止図柄41〜60である。従って、図柄変動遊技処理で決定した停止図柄が停止図柄1〜60の何れかであった場合には、確変当りだったと判断される(S448:yes)。一方、図柄変動遊技処理で決定した停止図柄がその他の停止図柄61〜100であった場合には、確変当りではなかったと判断される(S448:no)。
確変当りだったと判断される場合には(S448:yes)、高確回数を設定する(S449)。前述したように、高確回数とは、大当りと判定される確率が通常よりも高確率な確変状態で行われる図柄変動遊技の回数を言い、本実施例のパチンコ機1では、確変当りであれば50回の高確回数を設定する。続いて、確変状態であることを示す確変フラグをONに設定する(S450)。一方、確変当りではなかったと判断される場合には(S448:no)、S449,S450の処理をスキップする。
次に、当否態様に基づいて電サポ回数を設定する(S451)。図5を示して前述したように、本実施例のパチンコ機1では、当否態様が「A〜E」の場合は電サポ回数が100回であり、当否態様が「F」の場合は電サポ回数が20回である。電サポ回数を設定したら(S451)、電サポ状態であることを示す電サポフラグをONに設定する(S452)。
このようにして高確回数および電サポ回数を設定したら、遊技状態(高確回数や電サポ回数)を指定する遊技状態指定コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S453)。この処理S453の実行をもって、図13ないし図15に示した大当り遊技処理(S400)は終了し、図8の特別動作処理を介して図7の遊技制御処理に復帰する。次回の遊技制御処理における特別動作処理(図8のS200)では、先ほどの大当り遊技処理(図15)で大当り中フラグをOFFに戻したことから(S441)、大当り遊技中か否かの判断において(S201)、大当り遊技中ではないと判断される(S201:no)。従って、以降は大当り遊技処理(S400)ではなく、前述した図柄変動遊技処理(S300)が実行される。
図10を示して前述したように、図柄変動遊技処理(S300)において、特別図柄の確定表示の時間が経過した後(S317:yes)、停止図柄が外れ図柄と判断された場合は(S318:no)、遊技状態管理処理(S500)を実行する。特別図柄の確定表示の時間が経過したこと(S317:yes)をもって、1回の図柄変動遊技が行われたことになるから、図柄変動遊技を1回行う毎に遊技状態管理処理(S500)が実行されることになる。この遊技状態管理処理(S500)では、先ほどの大当り遊技処理(図15)で設定された遊技状態(確変状態や電サポ状態)を以下のようにして管理する。
図16は、遊技状態管理処理(S500)のフローチャートを示している。遊技状態管理処理(S500)を開始すると、先ず始めに、最後の大当り遊技後に行われた図柄変動遊技の回数を計数する(S501)。以降の処理では、この図柄変動遊技の回数に基づいて確変状態や電サポ状態の設定を管理する。ここで、本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技の後に昇格演出を行う場合のために、次のような処理から実行する。
先ず、昇格演出フラグがONであるか否かを判断する(S502)。前述の大当り遊技処理の中で昇格演出フラグをONにした場合であって(図13のS403)、大当り遊技の開始時、大当り遊技中、大当り遊技の終了時の何れでも昇格演出を行っていない場合は、現在、昇格演出フラグがONであると判断される(S502:yes)。この場合、残る昇格演出の実行タイミングは「大当り遊技の終了後」ということになる。ここで、例えば「ラウンド数昇格」の演出は大当り遊技の終了前に行われ、また、前述したように本実施例のパチンコ機1は潜伏確変の状態が生じないように設定されているから、「確変昇格」の演出についても大当り遊技の終了時までに行われる。しかし、「電サポ数昇格」の演出であれば、大当り遊技の終了後であっても行われることがある。
図5を示して前述したように、本実施例のパチンコ機1では、当否態様Eと当否態様Fとで異なる電サポ回数が設定されている。従って、当否態様E(電サポ回数100回)の大当りに当選した場合には、演出表示装置41で図柄変動遊技の結果として当否態様F(電サポ回数20回)に当選したことを仮報知しておけば、後で実際の当否態様Eに当選したことを報知するという態様で昇格演出を行うことができる。この昇格演出は大当り遊技の終了後であっても行うことができるが、仮報知した電サポ回数の終了時までには行う必要がある。そこで、遊技状態管理処理(S500)で昇格演出フラグがONであると判断された場合には(S502:yes)、大当り遊技の終了後に行われた図柄変動遊技の回数が、仮報知時の電サポ回数に達したか否かを判断する(S503)。
未だ仮報知時の電サポ回数に達していないと判断された場合には(S503:no)、続いて、今回の図柄変動遊技後に昇格演出を実行するか否かを抽選する(S504)。ここでいう「今回の図柄変動遊技」とは、図10に示した図柄変動遊技処理(S300)の中で、確定表示の時間が経過(S317:yes)したことによって完了した1回の図柄変動遊技のことを指す。抽選の結果、今回の図柄変動遊技で昇格演出を実行しないと判断された場合には(S505:no)、遊技状態管理処理(S500)を終了して、図10に示した大当り遊技処理に復帰する。
図7の遊技制御処理を繰り返しているうちに、今回の図柄変動遊技で昇格演出を実行すると判断された場合には(S505:yes)、昇格演出開始コマンドをサブ制御基板220に向かって出力する(S506)とともに、外部演出コマンドをデータ表示器70に向かって出力する(S507)。一方、S505の処理で「yes」と判断される前に、図柄変動遊技の回数が仮報知時の電サポ回数に達したと判断された場合には(S503:yes)、抽選(S504)を行うことなく、昇格演出開始コマンドの出力処理(S506)と、外部演出コマンドの出力(S507)とを実行する。昇格演出開始コマンドの出力処理(S506)と、外部演出コマンドの出力(S507)とを実行した後は、昇格演出フラグをOFFに設定してから(S508)、遊技状態管理処理(S500)を終了して、図10に示した大当り遊技処理に復帰する。
次回の図柄変動遊技を行った時に実行される遊技状態管理処理(S500)では、昇格演出フラグはONでないと判断されて(S502:no)、今度は、確変フラグがONであるか否かを判断する(S509)。また、大当り遊技の終了後、1回目の図柄変動遊技を行った時点で、昇格演出フラグがONでなかった場合(S502:no)については、前述の処理S503〜S508を実行することなく、確変フラグがONであるか否かを判断する(S509)。
確変フラグがONであると判断された場合には(S509:yes)、大当り遊技の終了後に行われた図柄変動遊技の回数が、所定の高確回数に達したか否かを判断する(S510)。大当り遊技の終了後に行われた図柄変動遊技の回数は、前述したS501の処理で計数している。また、本実施例では高確回数が50回に設定されているため(図5参照)、大当り遊技の終了後に行われた図柄変動遊技の回数が50回未満であれば、未だ所定の高確回数に達していないと判断される(S510:no)。そして、図柄変動遊技の回数が50回目の時には、所定の高確回数に達したと判断して(S510:yes)、確変フラグをOFFに設定する(S511)。
このようにして確変状態の設定を管理したら、次に、電サポ状態の設定を管理する。すなわち、確変フラグがONでないと判断された場合(S509:no)、未だ所定の高確回数に達していないと判断された場合(S510:no)、確変フラグをOFFに設定(S511)した場合の何れの場合についても、次に、電サポフラグはONであるか否かを判断する(S512)。電サポフラグはONであると判断された場合(S512:yes)、大当り遊技の終了後に行われた図柄変動遊技の回数が、所定の電サポ回数に達したか否かを判断する(S513)。尚、ここでいう「所定の電サポ回数」とは、当否態様に応じて設定された電サポ回数であり(図5参照)、前述の処理S503でいう「仮報知時の電サポ回数」とは異なる。
S513の判断の結果、未だ所定の電サポ回数に達していないと判断された場合は(S513:no)、遊技状態管理処理(S500)を終了して、図10に示した大当り遊技処理に復帰する。そして、遊技状態管理処理(S500)を繰り返すうちに、所定の電サポ回数に達したと判断された場合は(S513:yes)、電サポフラグをOFFに設定してから(S514)、遊技状態管理処理(S500)を終了する。この後、次回以降の遊技状態管理処理(S500)では、昇格演出フラグ、確変フラグ、電サポフラグの何れも既にOFFになっているから(S502:no,S509:no,S512:no)、そのまま遊技状態管理処理(S500)を終了して、図10に示した大当り遊技処理に復帰することになる。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返して行いながら、パチンコ機1の遊技を進行している。また、これにともなって主制御基板200からはサブ制御基板220に向かって各種のコマンド(例えば、停止図柄指定コマンド、変動パターン指定コマンド、変動停止コマンドなど)が出力される。サブ制御基板220は、これら各種のコマンドに基づいて遊技の演出に関する制御を行うために、以下のような演出制御処理を行う。
C−2.演出制御処理 :
図17は、サブ制御基板220で実行される演出制御処理(S600)の大まかな流れを示したフローチャートである。演出制御処理(S600)は、サブ制御基板220のCPU221によって、所定周期毎(例えば10msec毎)に発生するタイマ割り込みに基づき行われる。尚、以下の説明では、CPU221の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については、その説明を省略している。
演出制御処理(600)を開始すると、サブ制御基板220のCPU221は先ず、コマンド解析処理を行う(S601)。ここで、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からコマンドを受信するたびに、外部割り込み処理として、このコマンドをRAM223の受信コマンド記憶領域に記憶している。コマンド解析処理(S601)では、この受信コマンド記憶領域に記憶されたコマンド、すなわち、主制御基板200から受信したコマンドに対応する演出を決定し、この演出を行うために画像音声制御基板230やランプ制御基板226等に送信するコマンドをRAM223に確保された出力バッファに記憶する。
サブ制御基板220のCPU221は、続いて、出力処理を行う(S602)。この処理では、RAM223の出力バッファに記憶されたコマンドを画像音声制御基板230やランプ制御基板226等に送信する。サブ制御基板220からコマンドを受信すると、画像音声制御基板230は、受信したコマンドに対応する画像を演出表示装置41に表示すると共に、受信したコマンドに対応する音声を各種スピーカー6a,6b等から出力する。また、ランプ制御基板226は、受信したコマンドに対応する発光パターンで各種ランプ5a〜5c等を発光させる。
以上のように、サブ制御基板220は、画像音声制御基板230やランプ制御基板226等と協働して各種演出を実行するが、本明細書では説明の便宜上、サブ制御基板220が画像音声制御基板230やランプ制御基板226等と協働して各種演出を実行することを、単に、「サブ制御基板220のCPU221が各種演出を実行する」とも表現する。尚、サブ制御基板220のCPU221が本発明における「演出制御手段」に相当する。
図18には、主制御基板200から受信したコマンドに対応して、サブ制御基板220のCPU221が行う処理の説明図を示している。図18に示すように、サブ制御基板220のCPU221は、保留数伝達コマンドを受信すると、このコマンドによって示される第1特図保留数および第2特図保留数と同数の保留図柄を、演出表示装置41の第1保留表示領域41dや第2保留表示領域41eに表示する。尚、第1特図保留数および第2特図保留数の両方を常時表示する必要はなく、例えば、左打ちが行われる非電サポ状態、すなわち、第1特図主体の遊技が行われる状態においては、第1特図保留数を表示し、右打ちが行われる非電サポ状態、すなわち、第2特図主体の遊技が行われる状態においては、第2特図保留数を表示することとしてもよい。
受信コマンドが停止図柄指定コマンドの場合には、サブ制御基板220のCPU221は、これからセグメント表示部50で表示される特別図柄の停止図柄、すなわち、図柄変動遊技の結果を把握することができる。セグメント表示部50で停止図柄を表示する時には、遊技者が分かり易いように演出表示装置41の表示画面でも図柄変動遊技の結果を表示する。そこで、主制御基板200で決定された図柄変動遊技の結果を、停止図柄指定コマンドによってサブ制御基板220でも把握しておく。演出表示装置41で図柄変動遊技の結果を表示する方法としては、例えば停止図柄が大当り図柄であれば、演出表示装置41では3つの識別図柄41a,41b,41cを変動表示させた後にゾロ目で停止させて、大当りであることを遊技者に報知するといった方法がある。また、停止図柄は大当りの当否態様と対応しているから(図5参照)、サブ制御基板220のCPU221は、停止図柄に基づいて当否態様を知ることもでき、その当否態様についても演出表示装置41で表示することができる。例えば確変当りの当否態様であった場合には、3つの識別図柄41a,41b,41cを「1〜9の数字」のうち「奇数」の図柄のゾロ目で停止させるというように、演出表示装置41で当否態様を表示することができる。もちろん、「確変当り」である旨や「15ラウンド当り」である旨など当否態様の内容を文字で表す図柄で表示して、図柄変動遊技の結果を表示することもできる。
また、サブ制御基板220のCPU221は、変動パターン指定コマンドを受信したことに対応して、演出表示装置41で行う変動演出の表示内容を決定して、変動演出を開始する。変動演出の表示内容は、上記の停止図柄指定コマンドに基づいて把握される図柄変動遊技の結果(すなわち大当り抽選による当否態様)と、変動パターン指定コマンドに基づいて把握される特別図柄の変動時間に基づいて決定する。尚、変動パターン指定コマンドに基づいて特別図柄の変動時間を把握するために、主制御基板200のROM202に記憶してある変動パターン決定テーブル(図12参照)をサブ制御基板220のROM222にも予め記憶しておく。
ただし、後で昇格演出を実行する場合には、変動演出で実際の当否態様を報知しないでおく必要がある。ここで、本実施例のパチンコ機1では、前述したように所定の変動パターンに対して昇格演出が規定されていることから(図12参照)、サブ制御基板220は、変動パターン指定コマンドに基づいて、昇格演出の有無や昇格態様などの情報を把握することができる。その結果、今回の図柄変動遊技の変動パターンに昇格演出が規定されている場合には、停止図柄指定コマンドに基づいて把握された実際の当否態様とは異なる当否態様を仮報知するように変動演出の表示内容を決定する。例えば、変動パターン指定コマンドによって把握された変動パターンが「HP12」であった場合(図12参照)、後ほど確変昇格の演出を実行するために、変動演出では偶数の識別図柄41a,41b,41cをゾロ目で停止させるなどして非確変当りの大当りに当選したかのような演出内容とする。尚、前述したように変動パターンは当否態様に応じて決定されるから(図11,図12参照)、変動パターンが決まれば、特別図柄の変動時間、図柄変動遊技の結果、昇格演出の有無などの変動演出の表示内容を決定するために必要な要素も決まることになる。そこで、変動パターンと変動演出の表示内容とを対応付けてサブ制御基板220のROM222に予め記憶しておくとよい。
このようにして、受信した停止図柄指定コマンドおよび変動パターン指定コマンドに基づいて変動演出の表示内容を決定したら、サブ制御基板220のCPU221は、変動演出を開始する。そして、変動演出の実行中に、変動停止コマンドを受信すると、サブ制御基板220のCPU221は、識別図柄41a,41b,41cをゾロ目またはバラケ目で停止表示させて図柄変動遊技の結果を表示する。ここで、今回の図柄変動遊技の変動パターンに昇格演出が規定されている場合には、後で昇格演出を行うことができるように、実際の当否態様とは異なる当否態様を図柄変動遊技の結果として表示(仮報知)することになる。このことから、サブ制御基板220のCPU221が本発明における「抽選結果演出制御手段」に相当する。
また、サブ制御基板220のCPU221は、大当り遊技開始コマンドを受信したことに対応して、大当り遊技中であることを示す大当り遊技演出を開始する。例えば、大当り遊技が開始されるタイミングで、大当り遊技の開始を示すファンファーレ演出を実行するとともに、大当り遊技中であることを示す動画(いわゆるムービー)の表示を開始する。このような大当り遊技演出としては、内容が異なる演出を実行可能であり、何れの大当り遊技演出を実行するかは、大当りの当否態様(ラウンド遊技回数や電サポ回数等)によって決定すればよい。
また、サブ制御基板220のCPU221は、大当り遊技中にラウンド遊技開始コマンドを受信したことに対応して、ラウンド遊技中であることを示すラウンド遊技演出を(例えば、大当り遊技演出に重ねて)開始する。例えば、実行中の大当り遊技におけるラウンド遊技の回数を示す演出(例えば、1R,2R,3R・・・を表示する演出など)を開始する。その後、ラウンド遊技終了コマンドを受信すると、今回のラウンド遊技演出を終了する。再びラウンド遊技開始コマンドすると、次回のラウンド遊技演出を開始する。ラウンド遊技開始コマンドおよびラウンド遊技終了コマンドは、当否態様に応じて実行されるラウンド数と同じ回数だけ受信される。サブ制御基板220のCPU221は、ラウンド遊技開始コマンドまたはラウンド遊技終了コマンドを受信する度に、その時のラウンド数に対応したラウンド遊技演出を実行する。そして、大当り遊技終了コマンドを受信すると、大当り遊技演出を終了する。
また、サブ制御基板220のCPU221は、遊技状態指定コマンドを受信したことに対応して、設定された遊技状態に対応する演出を開始する。例えば、識別図柄41a,41b,41cやその背景画像を遊技状態に対応する態様(色彩や形状など)とする演出を実行したり、高確率状態が設定された場合は残りの高確回数を表示する演出を開始したり、電サポ状態が設定された場合は残りの電サポ回数を表示する演出を開始したりする。その後、高確回数や電サポ回数の表示は、図柄変動遊技が行われる毎に残り回数が1つずつ減っていくように表示する。図柄変動遊技が行われた回数は上記の変動停止コマンドなどの受信に基づいて把握すればよい。
受信したコマンドが昇格演出開始コマンドの場合には、サブ制御基板220のCPU221は、昇格演出を開始する。昇格演出は、演出表示装置41で所定の画像や映像を表示したり、各種スピーカー6a,6b等から所定の音声を出力したり、各種ランプ5a〜5c等を発光させたりして実行される。昇格演出開始コマンドを受信するタイミングとしては様々なタイミングがあり、例えば、変動パターン指定コマンドによって把握された変動パターンが「HP13」であった場合には(図12参照)、「大当り遊技中」に昇格演出開始コマンドを受信することになる。前述したように、「大当り遊技中」に昇格演出を行う場合には、何ラウンド目で昇格演出を実行するのかを抽選によって決定していた(図13,14参照)。この抽選は、主制御基板200で行われるため、サブ制御基板220は昇格演出開始コマンドを受信したことによって初めて昇格演出を開始するタイミングを知ることが可能となる。
別の変動パターンの例として、変動パターンが「HP12」であった場合には(図12参照)、「大当り遊技の開始時」に昇格演出開始コマンドを受信することになる。この場合については、以下の理由から昇格演出開始コマンドの送受信を省略することもできる。先ず、サブ制御基板220は、変動パターン決定テーブル(図12参照)に基づいて、昇格演出の実行タイミングは「大当り遊技の開始時」であることを把握できる。また、「大当り遊技の開始時」になったことは上記の「大当り遊技開始コマンド」によって把握できる。従って、昇格演出開始コマンドを受信しなくても、サブ制御基板220は、規定されたタイミングで昇格演出を実行することができるから、昇格演出の実行タイミングが「大当り遊技の開始時」の場合には、昇格演出開始コマンドの送受信を省略してもよい。同様の理由から、昇格演出の実行タイミングが「大当り遊技の終了時」の場合も昇格演出開始コマンドの送受信を省略することができる。
また、「大当り遊技中」に昇格演出を行う場合には、昇格演出を実行するラウンド遊技の回数を抽選するため、昇格演出開始コマンドの送受信が必要であることを上で説明した。しかし、これに限られず、次のようにして昇格演出開始コマンドの送受信を省略してもよい。すなわち、所定の変動パターンに対して「大当り遊技中」に昇格演出を行うと規定する場合には(図12参照)、昇格演出を実行するラウンド遊技の回数まで規定してもよい。こうすることで、サブ制御基板220側では、昇格演出開始コマンドによらなくても変動パターンに基づいて昇格演出を実行するラウンド遊技の回数を把握することができる。
以上説明したように、サブ制御基板220では、主制御基板200が決定した昇格演出の実行タイミングを把握して、そのタイミングに従って昇格演出を開始する。開始された昇格演出は、所定の表示内容を表示し終わったときに自動的に終了される。また、昇格演出の表示内容については、昇格態様(実際の当否態様と仮報知した当否態様)に対応したものとする。例えば、実際には確変当りに当選したのに、非確変当りに当選したことを大当り抽選の結果として仮報知した場合、昇格演出では確変当りに昇格したことを昇格演出の表示内容とする。本実施例では、前述したように昇格演出の有無などが規定された変動パターンに対しては昇格演出指定パターンについても規定されており(図12参照)、その昇格演出指定パターンに従えば、昇格態様に対応した表示内容となるように設定されている。ただし、本実施例のパチンコ機1では、外部演出(データ表示器70における演出表示)を行うか否かの設定機能を有し、外部演出を行う場合と行わない場合とで、パチンコ機1における昇格演出の表示内容を異ならせるようにする。以下では、先ず、外部演出を行うか否かの設定機能について説明し、その後、パチンコ機1における昇格演出の表示内容を異ならせることについて説明する。
本実施例のパチンコ機1では、外部演出を行うか否かを設定するために、ホールコードの設定画面を利用する。ホールコードとは、遊技ホール毎に固有の番号や文字列が割り当てられた識別情報である。自店舗に対応するホールコードをパチンコ機1に設定しておけば、パチンコ機1の内部でパチンコ機1が設置されている店舗名を把握して、様々な場面で店舗名を表示することが可能となる。例えば、所定時間遊技が行われない場合には演出表示装置41に待機画面を表示することが一般的であり、その待機画面で「パーラー特許ABC店へようこそ」(パーラー特許ABC店は店舗名)などと、ウェルカムメッセージを店舗名とともに表示することが可能となる。
ホールコードは、いわゆる「RAMクリア」の作業時に設定することができる。前述したように、RAMクリアボタン(図示略)を押した状態でパチンコ機1の電源をONにすると、RAM203に保存された遊技状態(大当り遊技中や確変状態中など)が初期化される。パチンコ機1の内部でRAMクリアを実行している最中に演出ボタン10aを5回押すと、ホールコードを設定することが可能な状態となる。
図19(a)は、「RAMクリア中に演出ボタン10a(図中では「PUSHボタン」)を5回押すと、ホールコード等を設定可能である」という内容のメッセージが演出表示装置41の表示画面に表示された状態を示している。この状態で遊技ホールの従業員等が演出ボタン10aを5回押すと、図19(b)のような設定メニューが演出表示装置41の表示画面に表示される。図19(b)に示した設定メニューでは、ホールコードの設定画面へ移行することを示すアイコンと、外部演出の設定画面へ移行することを示すアイコンとが表示される。ここで、パチンコ機1の演出ボタン10a(図1参照)の付近に備わる方向ボタン10cを操作すると、画面上のカーソル(図中でアイコンを囲う枠体)が移動する。所望のアイコン上にカーソルが位置した状態で演出ボタン10aを押すと、そのアイコンが示す内容が実行される。尚、ホールコードの設定方法については周知の技術であるから詳しい説明は省略する。
図19(c)は、外部演出の設定画面を示している。図示するように、設定画面には外部演出を「行う」のアイコンと、「行わない」のアイコンとが表示されており、強調表示されている方のアイコンが現在の設定状態を表している。図中では、外部演出を「行う」のアイコンが太枠で囲われて強調表示されており、外部演出を行う設定になっている。この状態で、遊技ホールの従業員等がパチンコ機1の方向ボタン10cを操作して、カーソルを「行わない」のアイコン上に位置させて演出ボタン10aを押せば、「外部演出を行わない」という設定に変更される。このようにして所望のアイコンを選択することで、外部演出を行うか否かを設定することができる。そして、「終了」のアイコンにカーソルを合わせて決定すれば、外部演出を行うか否かの設定がパチンコ機1の内部に保存される。
尚、図19(c)中には、「戻る」のアイコンが表示されており、このアイコンにカーソルを合わせて決定すれば、前の画面(図19(b))に戻って、ホールコード設定画面に行くことができる。また、図19に示した操作画面は一例であり、外部演出を「行う」のアイコン又は「行わない」のアイコンの何れかを選択する画面に代えて、「外部演出を行う」というチェックボックスを示す画面を表示するようにしてもよい。
このように本実施例のパチンコ機1では、ホールコードの設定画面を利用して、外部演出を行うか否かの設定機能を設けている。しかし、これに限られず、例えば遊技盤20の裏側にトグルスイッチのようなONとOFFとを切り換え可能な操作部を設けて、その操作部の切り換えによって外部演出を行うか否かを設定するようにしてもよい。この場合は、1つの操作で外部演出を行うか否かの設定が変更されることになる。これに対して、上記のようにホールコード設定画面を利用して外部演出を行うか否かの設定機能を設ける場合には、RAMクリアを実行して更に所定の操作を行ってから、外部演出を行うか否かを設定することが可能な状態となる。従って、ホールコード設定画面を利用する場合には、遊技ホールの従業員等が誤って外部演出を行うか否かの設定を変更してしまう虞が少なくなる。
外部演出を行うか否かの設定は、パチンコ機1の内部において、サブ制御基板220のRAM223に「外部演出フラグ」として保存される。外部演出フラグは、外部演出を行うか否かの設定状態を示すフラグであり、外部演出フラグがONであれば「外部演出を行う」と設定されていることを示し、外部演出フラグがOFFであれば「外部演出を行わない」と設定されていることを示す。サブ制御基板220のCPU221は、この外部演出フラグの状態に基づいて外部演出を行うか否かの設定を把握し、その設定に応じて演出表示装置41で実行される演出の表示内容を異ならせる。そのためにサブ制御基板220のRAM223には、演出表示装置41で実行される演出の表示内容を決定するための演出実行パターン決定テーブルが記憶されている。
図20は、サブ制御基板220に備わる演出実行パターン決定テーブルを示している。前述したように、主制御基板200における処理では、変動パターンを決定するとともに昇格演出指定パターンについても決定していた(図12参照)。これに対して図20の演出実行パターン決定テーブルでは、主制御基板200で決定される昇格演出指定パターンそれぞれを更に、外部演出を行うか否かの設定に応じて区分している。例えば、主制御基板200で決定される昇格演出指定パターン「SEP11」に対しては、外部演出を行うと設定されている場合の演出実行パターンとして「SEP11−a」と、外部演出を行わないと設定されている場合の演出実行パターンとして「SEP11−b」とが設定されている。「SEP12」以下、他の昇格演出指定パターンに対しても同様に、外部演出を行うと設定されている場合の演出実行パターンと、外部演出を行わないと設定されている場合の演出実行パターンとがそれぞれ設定されている。
サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200から昇格演出開始コマンドを受信したら(図18参照)、先ず、昇格演出開始コマンドに含まれる昇格演出指定パターンについての情報を取得するとともに、上記の外部演出フラグの状態に基づいて外部演出を行うか否かの設定情報を取得する。そして、昇格演出指定パターンについての情報と、外部演出を行うか否かの設定情報とを演出実行パターン決定テーブルに参照することで、演出実行パターンを決定する。例えば、図20に示した例では、主制御基板200で決定された昇格演出指定パターンが「SEP11」であって、外部演出を行うと設定されている場合には、演出実行パターンとして「SEP11−a」が決定されることになる。尚、演出表示装置41における昇格演出を制御することから、サブ制御基板220のCPU221が本発明における「昇格演出制御手段」に相当する。
本実施例では、昇格演出の指示がパチンコ機1の外部にも出力されて、パチンコ機1の上方に設置されたデータ表示器70でも昇格演出が実行される。以下では、データ表示器70について説明する。
D.データ表示器の装置構成 :
図21は、本実施例のデータ表示器70がパチンコ機1から受信する信号と、データ表示器70の大まかな構造とを示した説明図である。図示するように、データ表示器70は、中継装置90を介してパチンコ機1から図柄停止信号と、大当り信号と、確変信号と、演出指示信号とを受信する。これら各種の信号は、パチンコ機1の内部において主制御基板200に接続された外部端子板60(図3参照)から出力される。例えば図柄停止信号は、特別図柄が停止表示される毎に1パルスずつ出力される信号である。特別図柄の停止表示は、前述したように主制御基板200の制御下でなされる処理であるから(図10のS315参照)、主制御基板200に接続された外部端子板60から外部のデータ表示器70へと図柄停止信号を出力することができる。データ表示器70では、この図柄停止信号に基づいて図柄変動遊技が行われた回数を数えて、表示画面71に表示することが可能となる。
また、大当り信号は、パチンコ機1で大当り遊技中であることを示すための信号である。大当り遊技中であることは、例えば大当り遊技中であればHIレベル、大当り遊技中でなければLOWレベルと信号の出力レベルを切り換えることによって示すことができる。前述したように主制御基板200は、大当り遊技の開始時および終了時を制御しているから(図10,図15参照)、外部端子板60を介して大当り信号を出力することができる。同様に、確変信号は、パチンコ機1で確変中であることを示す信号であり、主制御基板200が制御する確変状態に基づいて外部端子板60から出力される。データ表示器70は、これら大当り信号および確変信号に基づいて、パチンコ機1の大当り回数や、継続回数(いわゆる連チャン回数)等といった遊技情報を表示することができる。また、大当り遊技中や確変中は、データ表示器70のランプ74を光らせて、遊技ホールの従業員が出玉を入れる箱の交換や玉詰まり等に迅速に対処できるようにする目印としての役目も果たしている。
本実施例のデータ表示器70は、上記のように遊技情報を表示するために受信する図柄停止信号や、大当り信号、確変信号に加えて、演出指示信号をパチンコ機1から受信する。前述したように、パチンコ機1に備わる主制御基板200は、データ表示器70に対して外部演出を実行するように指示する外部演出コマンドを出力する(図13〜図16参照)。この外部演出コマンドは、主制御基板200に接続された外部端子板60を介して演出指示信号として外部に出力される。
データ表示器70の内部に備わる制御基板75には、入力端子76と、表示処理装置77と、表示用メモリー78とが設けられている。入力端子76は、各種の信号を入力するための端子であり、演出指示信号もこの入力端子76から入力される。尚、入力した信号は、図示しない一時メモリーに一時的に記憶される。表示処理装置77は、表示画面71やランプ74の表示内容や表示タイミングを制御するためにCPUやVDPなどから構成される装置である。表示用メモリー78は、表示画面71やランプ74における表示データを予め記憶しておくためのROMである。尚、表示処理装置77が本発明の「演出表示制御手段」に相当する。
また、データ表示器70の側部には、正面(表示画面71が設けられる面)の方向から見えない位置に切換スイッチ79が設けられている。切換スイッチ79は、データ表示器70において演出表示を行うか否かを設定するためのスイッチであり、切換スイッチ79がONであれば「演出表示を行う」と設定されていることを示し、切換スイッチ79がOFFであれば「演出表示を行わない」と設定されていることを示す。尚、切換スイッチ79の操作の代わりに、データ表示器70に備わる操作ボタン72を操作することによって、演出表示を行うか否かの設定を切り換えるようにしてもよい。尚、切換スイッチ79が本発明の「演出設定手段」に相当する。
E.データ表示器で行われる外部演出処理 :
図22は、データ表示器70の表示処理装置77が実行する外部演出処理(700)のフローチャートを示している。外部演出処理(S700)は、所定周期(例えば10msec毎)で繰り返し実行される処理である。外部演出処理(700)を開始すると、先ず始めに、データ表示器70で演出表示を行う設定になっているか否かを判断する(S701)。上記の切換スイッチ79は制御基板75に接続されており、表示処理装置77は切換スイッチ79がONであるかOFFであるかに基づいて、演出表示を行う設定になっているか否かを判断することができる。切換スイッチ79がOFFになっていれば、演出表示を行う設定になっていないと判断され(S701:no)、外部演出処理(700)を終了する。切換スイッチ79がOFFになっている限り、次回の外部演出処理(S700)でも同様にS702以降の処理は行われないことになる。尚、切換スイッチ79がOFFになっている場合には、外部演出処理(S700)を開始しないようにしてもよい。
一方、切換スイッチ79がONになっている場合には、演出表示を行う設定になっていると判断され(S701:yes)、続いて、演出指示信号を受信したか否かを判断する(S702)。演出指示信号を受信したか否かの判断は、前回の外部演出処理(S700)を実行してから今回の外部演出処理(S700)を実行するまでの間に、パチンコ機1から新たに演出指示信号を受信したか否かに基づいて判断する。演出指示信号を受信していなければ(S702:no)、外部演出処理(700)を終了する。
外部演出処理(700)を何回も繰り返すうちに、やがて、演出指示信号を受信したら(S702:yes)、続いて、受信した演出指示信号に基づいて演出内容を把握する(703)。前述したように、主制御基板200が出力する外部演出コマンドには、パチンコ機1で行われる昇格演出の表示内容を指定する昇格演出指定パターンを示す情報が含まれている(図12と,図13のS405とを参照)。従って、データ表示器70が受信する演出指示信号にもパルスの時間幅やパルスの出力回数等によって、昇格演出指定パターンを示す情報が含まれる。そこで、受信した演出指示信号を解析して、パチンコ機1から指示された演出の表示内容を把握する(S703)。続いて、演出の表示内容に対応した表示データを表示用メモリー78から取得する(S704)。表示用メモリー78には、それぞれの昇格演出指定パターンに対応する表示データを予め記憶しておく。そして、取得した表示データに基づいて表示画面71やランプ74を制御して、演出表示を開始する(S705)。昇格演出指定パターンに従った一連の内容を表示し終わることで、自動的に演出表示は終了することになる。外部演出処理(S700)においては、演出表示を開始したことをもって(S705)、処理を終了する。
図23は、パチンコ機1で昇格演出が行われる時にデータ表示器70でも演出表示を行う様子を示した説明図である。図23(a)に示すように、パチンコ機1の演出表示装置41では「確変昇格」の旨が文字で表示されており、データ表示器70の表示画面71でも「確変昇格」の旨を示す同じ画像が表示されている。前述したように、パチンコ機1では、昇格演出指定パターンに従った内容の昇格演出が実行される。従って、上記の外部演出処理(図22の700)を実行することによって、データ表示器70でも昇格演出指定パターンに従った内容の演出表示を行えば、データ表示器70における演出表示の内容を、パチンコ機1における昇格演出の内容と同じにすることができる。
また、データ表示器70における演出表示は、図23(a)に示すような表示画面71における表示に限らず行うことができる。パチンコ機1で昇格演出を行う際には、演出表示装置41で画像や映像を表示するとともに、パチンコ機1に備わる各種ランプ5a〜5cを光らせて華やかな演出をすることが通常である。この時、図23(b)に示すように、データ表示器70においてランプ74を光らせるという態様で演出表示を行うことができる。このようにランプ74を光らせるという態様の演出表示を行う場合には、演出指示信号の内容を問うことなく、演出指示信号を受信したこと自体に基づいてランプ74を光らせればよい。従って、それぞれの昇格演出指定パターンに対応する専用の表示データを必ずしも表示用メモリー78に記憶しておかなくてもよい。もちろん、昇格演出指定パターンに対応したランプ74の発光パターンを表示用メモリー78に予め記憶しておいてもよい。その場合には、昇格演出中にパチンコ機1の各種ランプ5a〜5cが点滅したり光の色が変わったりすることに連動して、データ表示器70でもランプ74を点滅させたり光の色を変えたりして、パチンコ機1およびデータ表示器70における演出に、より一体感を持たせることが可能となる。
このように、本実施例のパチンコ機1およびデータ表示器70を備える遊技情報表示システム100によると、パチンコ機1で昇格演出を実行するタイミングに合わせて、データ表示器70でも昇格演出のための表示を行うことができる。パチンコ機1で昇格演出を開始した時、すなわち、大当りの当否態様が遊技者にとってより有利な当否態様に昇格したと報知した時は、遊技者にとって嬉しい瞬間となる。この瞬間にパチンコ機1に加えてデータ表示器70でも演出表示して華やかに祝福することで、遊技興趣を高めることができる。また、従来のデータ表示器では、「大当り中」という遊技者が既に知っている状態を表示することはあっても、遊技状態が有利な状態となった瞬間を演出することを目的として何某かの表示をすることは無かった。従って、遊技状態が有利な状態となったことを報知する昇格演出がデータ表示器70で行われるということは、遊技者にとって意外なことであり、このことからも遊技興趣が高められることになる。更には、データ表示器70は一般的にパチンコ機1の上方に設けられて周囲から目立つため、有利な遊技状態になったことを周囲にアピールすることもできる。
パチンコ機1の昇格演出にタイミングを合わせてデータ表示器70で演出表示できるのは、パチンコ機1の主制御基板200が昇格演出の有無や実行タイミングを決定して、サブ制御基板220およびデータ表示器70それぞれに演出の指示を出すことによる。ここで、一般的なパチンコ機では、主制御基板は、サブ制御基板に対して情報を出力できる一方で、サブ制御基板から上報を入力することは不可能に形成されることが通常である。また、外部に情報を出力するための外部端子板を主制御基板に接続することも通常である。従って、仮に、パチンコ機の演出表示を司るサブ制御基板において昇格演出の有無や実行タイミングを決定すると、主制御基板は昇格演出の有無などを把握できなくなり、主制御基板に接続された外部端子板から昇格演出の指示を出力することもできなくなる。この点、本実施例のパチンコ機1では、主制御基板200において昇格演出の有無や実行タイミングを決定するため、外部端子板60を主制御基板200に接続するという通常の配線を変更することなく、外部に昇格演出の指示を出力することが可能である。
本実施例では、主制御基板200において昇格演出の有無や、昇格態様、実行タイミングなどの昇格演出に関する各事項を決定する手段として、所定の変動パターンに対して昇格演出に関する各事項を規定している(図12参照)。前述したように、昇格演出を行う場合は、演出表示装置41における変動演出で大当り抽選の結果を報知する際に、実際の当否態様とは異なる当否態様を仮報知しておく必要がある。そこで、昇格演出に関する各事項を所定の変動パターンに対して規定することで、サブ制御基板220が昇格演出の有無や昇格態様を把握して、演出表示装置41で行われる変動演出の表示内容を、後で昇格演出を行うことが可能な表示内容に制御することができる。
また、変動パターンは乱数に基づいて決定されるため、昇格演出の有無や実行タイミングについても無作為に決定されることになる。従って、主制御基板200において昇格演出の有無や実行タイミングを決定するための抽選を別途行う必要が無くなり、主制御基板200の処理負担を軽減することができる。また、サブ制御基板220は変動パターンに基づいて昇格演出の有無や実行タイミングを把握できることから、主制御基板200は昇格演出を実行するのに必要な情報を指示するための専用のコマンドを別途出力する必要が無く、このことからも主制御基板200の処理負担が軽減されることになる。
更に、変動パターン決定テーブルで昇格演出指定パターンの情報を付加しており(図12参照)、主制御基板200は、演出表示装置41における昇格演出の表示内容(画像や映像の内容)についても把握して外部に出力する。これによって、データ表示器70では、パチンコ機1における昇格演出の実行タイミングに合わせて演出表示できることに加えて、演出表示の内容についてもパチンコ機1における昇格演出の内容と合わせることが可能となる(図23参照)。
前述したように本実施例では、同じ昇格態様(例えば確変昇格)に対して異なる昇格演出指定パターンを設定することで演出のバリエーションを増やすことができる(図12(a)の「SEP11」,「SEP13」を参照)。上記の図23(a)を示して説明した例は、昇格演出指定パターンが「SEP11」における演出の表示内容である。これに対して、別の昇格演出指定パターンが「SEP13」における演出の表示内容は次のような内容となる。
図24は、昇格演出指定パターン「SEP13」における演出の表示内容を示している。図24(a)に示す例では、大当り遊技中に、データ表示器70で確変昇格したことを示す演出表示を実行し、パチンコ機1では確変昇格したことを表示することなく、そのまま大当り遊技中の演出を継続している。このパチンコ機1における演出の表示内容は、昇格演出指定パターン「SEP13」に対応するものとして決定された演出実行パターン「SEP13−a」に従ったものである。すなわち、演出実行パターン「SEP13−a」には、「パチンコ機1では確変昇格の演出を行わずに大当り遊技中の演出を継続する」ということが演出内容として規定されている。
従来のデータ表示器では、「大当り中」という遊技者が既に知っている状態を表示することはあっても、確変昇格等のように遊技状態が有利な状態となったことの報知を行うことはなかった。従って、図24(a)に示すように、確変昇格したことを報知する演出表示がパチンコ機1ではなくデータ表示器70で行われると、遊技者は意外に感じて遊技興趣が高められることになる。
ここで、前述したように、データ表示器70には演出表示を行うか否かの設定機能が設けられている。遊技ホール側の意向が「データ表示器70では演出表示したくない」という場合には、データ表示器70の切換スイッチ79をOFFにすればよい。もっとも、図24(a)に示した例では、データ表示器70で確変昇格の表示を行い、パチンコ機1では確変昇格の表示を行っていない。従って、データ表示器70で演出表示が行われないように設定すると、このままでは、データ表示器70でもパチンコ機1でも確変昇格の旨が表示されないことになる。そこで、前述したように、パチンコ機1の外部演出を行うか否かの設定機能においても「外部演出を行わない」に設定すると(図19参照)、次のような表示内容となる。
図24(b)は、上記のようにしてデータ表示器70で演出表示が行われないように設定した場合における昇格演出指定パターン「SEP13」の表示内容を示している。図示されるように、データ表示器70では演出表示が行われず、その代りにパチンコ機1で確変昇格の旨が表示されている。前述したように、パチンコ機1では、1つの昇格演出指定パターンに対して、外部演出を行うか否かの設定に応じて2つの演出実行パターンが設けられている。上記の図24(a)に示したパチンコ機1における表示内容は、昇格演出指定パターン「SEP13」に対して、「外部演出を行う」と設定されている場合に決定される演出実行パターン「SEP13−a」によるものであった。一方、この図24(b)に示したパチンコ機1における表示内容は、同じ昇格演出指定パターン「SEP13」に対して、「外部演出を行わない」と設定されている場合に決定される演出実行パターン「SEP13−b」によるものである。
このように本実施例のパチンコ機1およびデータ表示器70を備える遊技情報表示システム100によると、データ表示器70における演出表示(すなわち外部演出)を行うか否かに応じて、パチンコ機1における演出内容を変更することができる。こうすることにより、データ表示器70で演出表示を行わないように設定されている場合には、パチンコ機1の遊技状態に基づいて必要な演出表示を遊技者に対して行うことが可能となる。また、パチンコ機1に対して設置されたデータ表示器が本実施例によるものでなく、パチンコ機1からの外部演出指示に従って演出表示する機能を備えていない場合についても同様に、パチンコ機1の遊技状態に基づいて必要な演出表示を遊技者に対して行うことが可能である。
尚、外部演出を行う場合と行わない場合とで、必ずしもパチンコ機1における演出の表示内容を変更しなければならないわけではない。例えば、図23を示して説明したように、パチンコ機1における昇格演出の表示内容が、データ表示器70における昇格演出の表示内容と同じ内容となるように演出実行パターンが規定されていれば、外部演出を行わない場合であっても、演出の表示内容を変更しなくてもよい。
ところで、パチンコ機1に外部演出を行うか否かの設定機能が備わっているのだから、データ表示器70には演出表示を行うか否かの設定機能を設けないようにすることも考えられる。すなわち、外部演出を行わないとパチンコ機1で設定されている場合には、パチンコ機1から外部演出指示を出力しないようにすれば、データ表示器70に演出表示を行うか否かの設定機能を設けなくても済むことになる。そこで、データ表示器70において演出表示を行うか否かの設定機能を設ける意義について以下に説明する。
先ず、前述したように、パチンコ機1で「外部演出を行うか否かの設定」を行うには、演出ボタン10aや方向ボタン10cを操作する必要がある(図19参照)。演出ボタン10aや方向ボタン10cに対する操作は、サブ制御基板220に入力される(図3参照)。しかし、主制御基板200はサブ制御基板220から情報を入力することはできないから、主制御基板200では、外部演出を行うか否かの設定の状態を把握することができない。ここで、パチンコ機1から外部に情報を出力するための外部端子板60は、主制御基板200に接続されている(図3参照)。従って、主制御基板200で外部演出を行うか否かの設定の状態を把握することができない以上、外部演出を行うか否かの設定に応じて外部への出力を変更することはできない。つまり、外部演出を行わないと設定されている場合であっても、主制御基板200からは外部のデータ表示器70に対して外部演出指示が出力されることになる。そこで、データ表示器70において演出表示を行うか否かの設定機能を設けることで、パチンコ機1で「外部演出を行わない」と設定されている場合には、データ表示器70で演出表示を行わないようにすることが可能となる。
F.変形例1 :
上述した実施例では、演出の表示内容について、パチンコ機1とデータ表示器70とで同じ表示内容の昇格演出を行うこと(図23参照)、あるいは、データ表示器70で昇格演出を行ってパチンコ機1では昇格演出を行わないこと(図24参照)について説明した。しかし、パチンコ機1とデータ表示器70とでそれぞれ異なる表示内容の昇格演出を行うようにしてもよい。そこで、この変形例1では、パチンコ機1およびデータ表示器70における演出の表示内容について説明する。尚、以下の変形例では、上述した実施例と共通する部分については説明を省略し、異なる部分に焦点を当てて説明する。
図25には、変形例1によるパチンコ機1およびデータ表示器70における表示内容が示されている。図25では、パチンコ機1の演出表示装置41と、データ表示器70の表示画面71とを抜き出して図示し、また、大当り遊技中に昇格演出が行われるものとする。図25(a)は、外部演出を行う場合、すなわち、データ表示器70で演出表示を行う場合の表示内容を示している。昇格演出が開始されると、パチンコ機1の演出表示装置41では、大当り遊技中の演出を中断して、図示するようにロケットの打ち上げ画像を表示する。このロケットの打ち上げ画像は、大当りの態様が昇格する可能性があることを遊技者に対して示唆するものである。ロケットは、演出表示装置41の表示画面内で徐々に上昇して、上方に姿を消すように表示される。ロケットが姿を消した後、演出表示装置41の表示画面では、大当り遊技中の演出が再開され、データ表示器70の表示画面71には打ち上げられたロケットとともに昇格が成功した旨が表示される。
このような昇格演出を行う場合、遊技者は、先ずロケットの打ち上げ画像が表示されたときに、昇格を期待しながらロケットの行く末を注視し、ロケットが上昇するにつれて、視線が上方に誘導されることになる。そして、ロケットが演出表示装置41の表示画面から姿を消した後、データ表示器70の表示画面71にロケットが表示されれば、遊技者はその表示に気付いて、大当りの態様が昇格したことを知ることになる。このように、パチンコ機1およびデータ表示器70それぞれで異なった表示内容としながらも、互いの表示内容に関連性を持たせることで、パチンコ機1およびデータ表示器70で一つのまとまった内容の演出を行うことができる。従来のパチンコ機およびデータ表示器では、表示内容に関連性のある演出が行われることは無かったため、図25(a)に示したように、パチンコ機1およびデータ表示器70において一つのまとまった内容の演出を行うことで、遊技者に対して意外性を感じさせて遊技興趣を高めることができる。
図25(b)は、外部演出を行わない場合、すなわち、データ表示器70で演出表示を行わない場合の表示内容を示している。図示するように、上記の図25(a)と同様に、先ずパチンコ機1の演出表示装置41にロケットの打ち上げ画像が表示される。その後は上記の図25(a)と異なり、データ表示器70では演出表示が行われることなく、パチンコ機1の演出表示装置41に、打ち上げられたロケットとともに昇格が成功した旨の画像が表示される。前述したように、パチンコ機1では外部演出を行うか否かの設定に応じて演出の表示内容を異ならせるように構成されており、図25(b)のパチンコ機1における演出の表示内容は、外部演出を行うか否かの設定機能で「外部演出を行わない」に設定された状態の表示内容である。このように、外部演出を行う場合にはデータ表示器70で表示する内容についても、外部演出を行わない場合にはパチンコ機1で表示することで、一つのまとまった内容の演出を完結することが可能となる。
ここで、パチンコ機1における昇格演出の実行タイミングと、データ表示器70における昇格演出の実行タイミングとについて説明を補足しておく。パチンコ機1およびデータ表示器70における昇格演出の実行タイミングは、パチンコ機1の主制御基板200によって制御されており(図13のS405,S406等)、その実行タイミングはパチンコ機1およびデータ表示器70で同時であるということを前に説明した(図23等)。これに対して、図25(a)のように、パチンコ機1で昇格演出を実行した後に、データ表示器70で昇格演出を開始するには、次のようにすればよい。
図26には、パチンコ機1における昇格演出の実行タイミングと、データ表示器70における昇格演出の実行タイミングとを異ならせる様子を示している。図示するように、主制御基板200は、サブ制御基板220およびデータ表示器70それぞれに対して、同時に演出指示を出力している。尚、ここでは主制御基板200からサブ制御基板220に対して出力される昇格演出開始コマンドと、主制御基板からデータ表示器70に出力される演出指示信号とを総称して「演出指示」と呼んでいる。演出指示を受けたサブ制御基板220は、そのままパチンコ機1における昇格演出Aを開始する。この昇格演出Aは「t秒間」行われるものとする。一方、サブ制御基板220と同時に演出指示を受けたデータ表示器70は、演出指示を受けてから「t秒」を計測する。そして、「t秒」が経過したらデータ表示器70における昇格演出Bを開始する。こうすれば、パチンコ機1で昇格演出を開始してから所定時間が経過した後にデータ表示器70で昇格演出を開始することができる。
ここで、データ表示器70が演出指示を受け取って直ぐに昇格演出を開始するのではなく、所定時間が経過してから昇格演出を開始するには、演出指示を受け取って直ぐに演出表示を開始するか否かや、所定時間の長さを把握しておく必要がある。そのためには、データ表示器70の表示用メモリー78には、演出指示を受け取って直ぐに演出表示を開始するか否かや、所定時間の長さについての情報を、昇格演出指定パターン毎に予め記憶しておけばよい。
データ表示器70で所定時間の経過を計測する代わりに、主制御基板200で所定時間を計測して、その後にデータ表示器70に対して演出指示を出力するようにしてもよい。もっとも、データ表示器70で所定時間の経過を計測すれば、主制御基板200の処理負担が増大するのを防ぐことができる。
また、ここではパチンコ機1で昇格演出を開始してからデータ表示器70で昇格演出を開始することを説明したが、順番を逆にして、データ表示器70で昇格演出を開始してからパチンコ機1で昇格演出を開始するようにすることもできる。その場合、上記と同様にして、サブ制御基板220は、主制御基板200から演出指示を受け取ってから所定時間を計測し、所定時間が経過してから昇格演出を開始すればよい。
G.変形例2 :
上述した実施例では、データ表示器70に演出表示を実行させるタイミングで、パチンコ機1からデータ表示器70に対して演出指示信号を出力することを説明した。しかし、パチンコ機1から演出指示信号を出力することなく、データ表示器70において所定のタイミングで演出表示を実行させることもできる。以下では、パチンコ機1から大当り抽選の結果を示す情報を外部に出力することで、データ表示器70において所定のタイミングで演出表示を実行させることについて説明する。
図27は、大当り抽選の結果として決定される停止図柄に対して、昇格演出に関する情報を規定した昇格演出規定テーブルを示している。図5を示して前述したように、所定の停止図柄に対しては、所定の当否態様(ラウンド数や大当り後の確変状態の有無など)が割り当てられている。この変形例では、所定の停止図柄に対して、当否態様に加えて昇格演出に関する情報についても規定している。昇格演出に関する情報としては、先ず昇格演出の有無が規定され、昇格演出が有りの場合には更に、昇格態様、実行タイミング、昇格演出指定パターンが規定されている。例えば、図27に示すように、停止図柄1に対しては昇格演出が「なし」と規定され、停止図柄2に対しては昇格演出が「有」と規定されている。昇格演出が規定された停止図柄2に対しては更に、昇格態様が「確変昇格」であることと、昇格演出の実行タイミングが「大当り遊技中の3ラウンド開始時」であることと、昇格演出指定パターンが「SEP101」であることとが規定されている。
図27に示すように、停止図柄4や停止図柄5や停止図柄71など、停止図柄2以外の停止図柄にも昇格演出が「有」と規定されており、上述した実施例と同様に、昇格態様として「確変昇格」の他、「ラウンド数昇格」や「電サポ数昇格」が規定されている。また、実行タイミングとして「大当り遊技の開始時」や、「大当り遊技の終了時」、「大当り遊技の終了後」であること等が規定されている。更に、昇格演出指定パターンについても、別々のパターンが規定されている。例えば、停止図柄2および停止図柄5は昇格態様が「確変昇格」で同じであるが、互いに別々の昇格演出指定パターンが規定されている。こうすることで、同じ昇格態様に対して演出のバリエーションを増やすことができる。
ここで、停止図柄8に対しては、停止図柄2と同じく昇格態様が「確変昇格」であり、昇格演出パターンについても同じ「SEP101」が規定されている。しかし、実行タイミングについては、停止図柄2に対する「大当り遊技中の3ラウンド開始時」と異なり、「大当り遊技中の5ラウンド開始時」であると規定されている。このように、所定の停止図柄に対して規定される昇格演出の実行タイミングとしては、停止図柄を示す情報に基づくことで、実行タイミングを一意に特定できるようにしておく。
上述した実施例では、大当り遊技中、昇格演出を実行するラウンド数については抽選で決定することにより、昇格演出の実行タイミングを無作為なものとしていた(図13,図14参照)。こうすることで遊技者が「所定のラウンドで昇格演出が発生しなければ、その後のラウンドでは昇格演出の発生を期待できない」などと感じることなく、大当り遊技中であれば何時でも昇格演出の発生を期待できるようにしていた。これに対して変形例2では、大当り遊技中において昇格演出を実行するタイミングについても予め規定してある。そして、同じ内容の昇格演出について実行タイミングのラウンド数を別々にすることで、「所定のラウンドで昇格演出が発生しなければ、その後のラウンドでは昇格演出の発生を期待できない」などと遊技者が感じることを回避している。前述したように停止図柄1〜20に対しては15ラウンドの当否態様Aが割り当てられているから(図5参照)、停止図柄20までの更に別の停止図柄に対して、15ラウンド以内の別のラウンドで昇格演出を実行するように規定すれば、実行タイミングを無作為なものに近づけることができる。
また、停止図柄71に対しては、昇格態様が「電サポ数昇格」であることが規定されている。図12を示して前述したように、電サポ回数の昇格演出は、大当り抽選の結果として実際の電サポ回数よりも少ない電サポ回数を仮報知してから、その仮報知した電サポ回数の終了時までの何れかのタイミングで実行することができる。そこで、図27に示す昇格演出規定テーブルでは、実行タイミングが「大当り遊技の終了後、7回目の図柄変動遊技の開始時」に規定されている。上述した実施例では、大当り遊技の終了後、昇格演出を実行する図柄変動遊技については抽選で決定していた(図16参照)。これに対して変形例2では、大当り遊技の終了後、昇格演出を実行する図柄変動遊技の回数についても予め規定している。上記のラウンド数昇格の場合と同様に、別の停止図柄に対して規定される実行タイミングを、図柄変動遊技の別の回数に規定することで、実行タイミングを無作為なものに近づけることができる。
ここで、上述の実施例で説明したように、図柄変動遊技処理(図9)で決定された停止図柄を示す情報は、パチンコ機1の内部で主制御基板200からサブ制御基板220へと停止図柄指定コマンドによって出力される(図9のS308参照)。この変形例2では、サブ制御基板220は、停止図柄指定コマンドに基づいて昇格演出に関する情報を取得し、所定の昇格演出を実行する。例えば、図柄変動遊技処理で停止図柄が「2」に決定された場合には、その停止図柄2に該当する図柄変動遊技の際に、変動演出として「非確変当り」の大当りに当選したことを報知しておき(仮報知)、その後、大当り遊技の3ラウンド開始時に確変昇格の演出を実行する。昇格演出の表示内容としては昇格演出指定パターン「SEP101」に従う。このとき、上述の実施例と同様に、昇格演出指定パターン「SEP101」の中でも、外部演出を行うか否かの設定に応じた演出実行パターンを選択して演出を実行する。
そして、この変形例2によるパチンコ機1では、停止図柄を示す情報を、主制御基板200からサブ制御基板220へと出力すると同時に(図9のS308参照)、パチンコ機1の外部にも停止図柄指定信号として出力する。また、上述した実施例では、主制御基板200からラウンド数指定コマンドを出力して、新たに開始したラウンド数をサブ制御基板220が把握できるようにしていた。この変形例2によるパチンコ機1では、新たに開始したラウンド数を示す情報をサブ制御基板220に出力すると同時に、パチンコ機1の外部にもラウンド数指定信号として出力する。データ表示器70では、これら停止図柄指定信号とラウンド数指定信号とを利用して演出表示を行う。
図28は、変形例2によるデータ表示器70がパチンコ機1から受信する信号と、データ表示器70の大まかな構造とを示した説明図である。図示するように、データ表示器70は、中継装置90を介してパチンコ機1から図柄停止信号と、大当り信号と、確変信号とを受信する。これらの信号を受信することについては上述の実施例と同様であるが、この変形例2では、上述の実施例で受信していた演出指示信号の代わりに、停止図柄指定信号と、ラウンド数指定信号とを受信する。
また、図28に示すように、データ表示器70は、表示画面71と、ランプ74と、制御基板75と、切換スイッチ79とを備える。切換スイッチ79は、前述したように、データ表示器70において演出表示を行うか否かを設定するためのスイッチである。また、制御基板75には、入力端子76と、表示処理装置77と、表示用メモリー78とが設けられている。これらの構成は上述した実施例におけるものと同様であるが、この変形例2の表示用メモリー78には、図27に示した昇格演出規定テーブルの情報が記憶されている。続いて、データ表示器70の内部で実行される処理について詳しく説明する。
図29および図30は、変形例2によるデータ表示器70の表示処理装置77が実行する外部演出処理(S800)のフローチャートを示している。外部演出処理(S800)は、所定周期(例えば10msec毎)で繰り返し実行される処理である。外部演出処理(S800)を開始すると、先ず始めに、データ表示器70で演出表示を行う設定になっているか否かを判断する(S801)。切換スイッチ79がOFFになっていれば、演出表示を行う設定になっていないと判断され(S801:no)、以降の処理を行うことなく、外部演出処理(S800)を終了する。
一方、切換スイッチ79がONになっていれば、演出表示を行う設定になっていると判断され(S801:yes)、続いて、停止図柄指定信号を受信したか否かを判断する(S802)。前回の外部演出処理(S800)を実行してから今回の外部演出処理(S800)を実行するまでの間に、パチンコ機1から新たに停止図柄指定信号を受信した場合には、S802の処理で、停止図柄指定信号を受信したと判断される(S802:yes)。そして、新たに受信した停止図柄指定信号に基づいて、昇格演出に関する情報を取得する(S803)。昇格演出に関する情報は、停止図柄指定信号によって指定された停止図柄を、表示用メモリー78に記憶されている昇格演出規定テーブルに参照して取得することができる。取得する情報の内容は、昇格演出規定テーブルに規定された情報であり(図27参照)、昇格演出の有無や、実行タイミング、昇格演出指定パターンを示す情報である。そして、指定された停止図柄に対して、昇格演出が「有」と規定されているか否かを判断して(S804)、昇格演出が「有」と規定されていれば(S804:yes)、演出フラグをONにする(S805)。演出フラグとは、データ表示器70において演出表示を行うことをパチンコ機1から指示された状態であることを示すフラグである。
続いて、演出フラグがONであるか否かを判断する(S806)。上記のS805の処理で演出フラグをONにしていれば、もちろん、このS806の処理で演出フラグがONであると判断される(S806:yes)。一方、上記のS804の処理で、指定された停止図柄に対して昇格演出が「有」と規定されていないと判断された場合には(S804:no)、演出フラグをONにする処理S805をスキップするため、演出フラグはONでないと判断される(S806:no)。また、上記のS802の判断で、停止図柄指定信号を受信していないと判断された場合にも(S802:no)、S803〜S805の処理をスキップするため、演出フラグはONでないと判断される(S806:no)。ただし、以前の外部演出処理(S800)を実行したときに演出フラグをONにしていて(S805)、その後OFFにしていなければ、S806の処理で演出フラグがONであると判断される(S806:yes)。
演出フラグがONでないと判断された場合には(S806:no)、外部演出処理(S800)を終了する。一方、演出フラグがONであると判断された場合には(S806:yes)、続いて、昇格演出の実行タイミングは大当り遊技開始時か否かを判断する(S807)。昇格演出の実行タイミングは、上記の処理S803で取得した昇格演出に関する情報の1つであり、これに基づいてS807の判断を行う。例えば、停止図柄指定信号によって指定された停止図柄が「4」であった場合、昇格演出規定テーブルを参照すると、実行タイミングが「大当り遊技開始時」と規定されているから、実行タイミングは大当り遊技開始時であると判断されることになる(S807:yes)。
実行タイミングが大当り遊技開始時であると判断された場合には(S807:yes)、続いて、大当り信号の受信を開始したか否かを判断する(S808)。この判断は、前回の外部演出処理(S800)を実行してから今回の外部演出処理(S800)を実行するまでの間に、大当り信号の受信を新たに開始したか否かに基づいて行われる。未だ大当り信号を受信していなければ、大当り信号の受信を開始していないと判断されて(S808:no)、外部演出処理(S800)を一旦終了する。
外部演出処理(S800)を何回も繰り返すうちに、やがて、大当り信号の受信を開始したと判断されたら(S808:yes)、演出表示を開始する(S809)。演出表示の内容は、昇格演出指定パターンに対応した内容とする。例えば、上記のように停止図柄が「4」であった場合、昇格演出規定テーブルに規定された昇格演出指定パターンは「SEP102」であるから、「SEP102」に対応した所定の画像(ラウンド数昇格の旨を示す画像など)を表示画面71に表示したり、所定の点灯パターンでランプ74を点灯したりして演出表示が行われる。昇格演出指定パターンに対応する演出表示の内容は、上述の実施例と同様に、表示用メモリー78に予め記憶してあり、記憶された通りの一連の内容を表示し終わることで、自動的に演出表示は終了することになる。外部演出処理(S800)では、演出表示を開始したら(S809)、演出フラグをOFFにして(S810)、処理を終了する。
前述の処理S807で、実行タイミングが大当り遊技開始時でないと判断された場合には(S807:no)、続いて、実行タイミングは大当り遊技中であるか否かを判断する(図30のS811)。そして、実行タイミングが大当り遊技中の場合は(S811:yes)、ラウンド数指定信号を受信したか否かを判断する(図30のS811)。この判断は、前回の外部演出処理(S800)を実行してから今回の外部演出処理(S800)を実行するまでの間に、ラウンド数指定信号を新たに受信したか否かに基づいて行われる。ラウンド数指定信号を受信していなければ(S812:no)、外部演出処理(S800)を一旦終了する(図29)。
外部演出処理(S800)を何回も繰り返すうちに、パチンコ機1からラウンド数指定信号を受信したら(S812:yes)、実行タイミングとして規定されたラウンド数に対して、ラウンド数指定信号によって指定されたラウンド数が一致するか否かを判断する(S813)。図27を示して前述したように、この変形例2による昇格演出規定テーブルでは、昇格演出の実行タイミングが大当り遊技中の場合には、ラウンド数についても規定されている。そこで、データ表示器70では、実行タイミングとして規定されたラウンド数とラウンド数指定信号によって指定されたラウンド数とが一致するか否かを判断し、ラウンド数が一致したことをもって所定の実行タイミングが来たと判断することができる。
処理S813の判断の結果、未だラウンド数が一致していなければ(S813:no)、外部演出処理(S800)を一旦終了する。そして、外部演出処理(S800)を何回も繰り返すうちに、実行タイミングとして規定されたラウンド数と、ラウンド数指定信号によって指定されたラウンド数とが一致したら(S813:yes)、演出表示を開始する(図29のS809)。その後は、演出フラグをOFFにして(S810)、処理を終了する。
前述の処理S811(図30)で、実行タイミングが大当り遊技中でないと判断された場合には(S811:no)、続いて、実行タイミングは大当り遊技終了時であるか否かを判断する(S814)。実行タイミングが大当り遊技終了時であると判断された場合は(S814:yes)、大当り信号の受信が終了したか否かを判断する(S815)。未だ大当り信号の受信が終了していない場合は(S815:no)、外部演出処理(S800)を一旦終了する(図29)。そして、外部演出処理(S800)を繰り返すうちに、大当り信号の受信が終了したら(S815:yes)、演出表示を開始する(図29のS809)。その後は、演出フラグをOFFにして(S810)、処理を終了する。
上記の処理S814(図30)で、実行タイミングが大当り遊技終了時でないと判断された場合(S814:no)、大当り遊技の終了後に停止図柄指定信号を所定回数受信したか否かを判断する(S816)。ここでいう「所定回数」とは次のようなものである。先ず、実行タイミングが大当り遊技終了時でないと判断された場合、残る実行タイミングとしては、大当り遊技の終了後ということになる。大当り遊技の終了後に昇格演出を実行する場合、昇格演出規定テーブルには、実行タイミングとして大当り遊技の終了後に行われる図柄変動遊技の回数が規定されている(図27参照)。データ表示器70では、大当り信号の受信が終了したことに基づいて、大当り遊技の終了時を把握することができ、また、停止図柄指定信号を受信した回数に基づいて、パチンコ機1で行われた図柄変動遊技の回数を把握することができる。そこで、この処理S816では、大当り遊技の終了後に停止図柄指定信号を受信した回数が、実行タイミングとして規定された図柄変動遊技の回数(所定回数)に達したか否かを判断する。そして、停止図柄指定信号を所定回数受信したことをもって所定の実行タイミングが来たと判断することができる。
処理S816の判断の結果、未だ停止図柄指定信号を所定回数受信していなければ(S816:no)、外部演出処理(S800)を一旦終了する。そして、外部演出処理(S800)を繰り返すうちに、停止図柄指定信号を所定回数受信したら(S816:yes)、演出表示を開始(図29のS809)した後、演出フラグをOFFにして(S810)、処理を終了する。
以上説明したように変形例2では、パチンコ機1において、所定の停止図柄に対して昇格演出の実行タイミングや演出内容を規定しておく。そして、データ表示器70では、パチンコ機1から出力される停止図柄を示す情報に基づいて、データ表示器70で演出表示を行うか否かと、演出表示の実行タイミングと、演出表示の内容とを判断する。また、実際に所定の実行タイミングになったことについても、パチンコ機1から出力される大当り信号などに基づいてデータ表示器70が自ら判断する。パチンコ機1としては、大当り抽選の結果を示す情報として出力するだけで、データ表示器70に対して演出表示を実行するように指示できることになる。そうすると、パチンコ機1では、データ表示器70に対して演出指示を出力するタイミングを判断する必要がなくなるため、外部への情報の出力を司る主制御基板200の処理負担が軽減されることになる。尚、変形例2における停止図柄指定信号、大当り信号、ラウンド数指定信号は、本発明の「外部演出指示」に相当する。
尚、上述した実施例では、所定の変動パターンに対して規定された昇格演出の実行タイミングが「大当り遊技中」等の時間の幅がある場合、正確な実行タイミングについてはその後の抽選で決めていた。この場合、変動パターンを示す情報(すなわち実際に実行タイミングが来る前の事前情報)だけでは実行タイミングを一意に特定することができないことになっていた。これに対して変形例2では、図27を示して前述したように、何れの実行タイミングについても、停止図柄を示す情報(すなわち実際に実行タイミングが来る前の事前情報)に基づくことで実行タイミングを一意に特定できるようにしてある。このことから、データ表示器70では、停止図柄を示す情報に基づいて、演出表示の実行タイミングを把握することができる。
また、この変形例2では、上述の実施例と同様にパチンコ機1から図柄停止信号と確変信号とが出力されることを前に説明したが(図21,図28参照)、これらの信号については、以下に示す理由からパチンコ機1からの出力を省略することもできる。先ず、図柄停止信号は、特別図柄が停止表示されたことを示す信号であり、上述の実施例で、データ表示器70が図柄停止信号を受信するのは、パチンコ機1で行われた図柄変動遊技の回数を数えるためであった。しかし、図柄変動遊技の回数は、変形例2による停止図柄指定信号の受信回数に基づけば数えることができるため、パチンコ機1から図柄停止信号の出力を省略してもよい。
また、確変信号はパチンコ機1で確変状態が継続していることを示す信号であるが、停止図柄指定信号に基づけば、次のようにして、現在は確変状態であるか否かを判断することができる。先ず、図5に説明したように確変当りであるか否かの当否態様を停止図柄に対応付けておくことにより、データ表示器70では停止図柄指定信号に基づいて確変当りであるか否かを判断することができる。また、確変当りの当否態様には、確変状態で行われる図柄変動遊技の回数(高確回数)が設定されており、データ表示器70は停止図柄指定信号に基づいて高確回数の設定についても把握することができる。従って、データ表示器70は、確変当りの大当り遊技後に行われた図柄変動遊技の回数を数えて、現在の図柄変動遊技の回数が所定の高確回数を超えていなければ、現在は確変状態であると判断することができる。このように、停止図柄指定信号に基づけば確変状態であるか否かを判断できるため、パチンコ機1から図柄停止信号の出力を省略してもよい。
このように変形例2では、パチンコ機1からデータ表示器70へと停止図柄指定信号を出力することにより、図柄停止信号および確変信号についてはパチンコ機1からの出力を省略することができる。ここで、上述の実施例では、パチンコ機1から出力される信号の種類は、図柄停止信号、大当り信号、確変信号、演出指示信号の4種類であった(図21参照)。これに対して、変形例2において図柄停止信号および確変信号の出力を省略すれば、パチンコ機1から出力される信号の種類は、大当り信号、停止図柄指定信号、ラウンド数指定信号の3種類になる(図28参照)。従って、変形例2によるとパチンコ機1から出力する信号の種類を減らすことができ、主制御基板200の処理負担を更に軽減することができる。
尚、上述した実施例では、大当り抽選の当否態様に応じて特別図柄の変動パターンを決定するようにし(図11参照)、変動パターンに対して昇格演出に関する情報を規定していた(図12参照)。同様に変形例2でも、大当り抽選の当否態様に応じて変動パターンを決定しておけば、昇格演出に関する情報を変動パターンに規定し、データ表示器70に対して変動パターンを示す情報を出力するようにしてもよい。当否態様に応じて変動パターンを決定しておくことで、データ表示器70は変動パターンに基づいて当否態様を知ることができ、昇格演出規定テーブルを参照して昇格演出に関する情報を取得することができる。
H.変形例3 :
上述した実施例では、外部演出を行うか否かをパチンコ機1において設定するための機能をサブ制御基板220のCPU221が担うこととして説明した。これに対して、この変形例3では、外部演出を行うか否かをパチンコ機1において設定するための機能を主制御基板200のCPU201が担う場合について説明する。以下では、外部演出を行うか否かをパチンコ機1において設定するための機能を「外部演出設定手段261」と呼び、外部演出コマンド(本発明でいう「外部演出指示」)を出力する機能を「出力手段262」と呼ぶ。外部演出設定手段や出力手段は、主制御基板200またはサブ制御基板220においてCPU、ROM、RAM等の電子回路によって構成される。また、外部演出を行うか否かを設定するために操作される演出ボタン10aおよび方向ボタン10cを「設定操作部10a,10c」と呼ぶ。
図31は、変形例3によるパチンコ機1の制御回路の構成を示している。図31以下では、説明に必要な部分を抜き出して図示しており、図示していない部分については図3と同様であるから、説明を省略する。上述した実施例では、図31(a)に示すように、外部演出設定手段261をサブ制御基板220に設けて、設定操作部10a,10cの操作をサブ制御基板220に入力していた。また、出力手段262を主制御基板200に設けて、主制御基板200に接続された外部端子板60から外部演出指示を出力するようにしていた。ここで、主制御基板200はサブ制御基板220から情報を取得することはできないことから、外部演出指示は、外部演出を行うか否かの設定状態に関わらず出力することとして、データ表示器70において演出表示を行うか否かの設定機能を設けていた。
これに対して変形例3では、図31(b)に示すように、外部演出設定手段261を主制御基板200に設けて、設定操作部10a,10cの操作を主制御基板200に入力する。こうすることで、主制御基板200上の出力部262は、同じく主制御基板200上の外部演出設定手段261から外部演出を行うか否かの設定状態を示す情報を取得することができる。そして、外部演出を行うか否かの設定状態を示す情報を取得すれば、外部演出を行うか否かの設定に応じて、外部演出指示を出力するか否かを選択することが可能となる。すなわち、外部演出設定手段261において外部演出を行うと設定されている場合には外部演出指示が出力されて、外部演出を行わないと設定されている場合には、外部演出指示は出力されないことになる。従って、データ表示器70において演出表示を行うか否かの設定機能を設けなくとも、パチンコ機1で外部演出を行わないと設定されていれば、データ表示器70において演出表示されないことになる。
I.変形例4 :
図32は、更に別の変形例4によるパチンコ機1の制御回路の構成を示している。図示するように、変形例4では外部演出設定手段261および出力手段262を、主制御基板200ではなく、サブ制御基板220に設けて、設定操作部10a,10cの操作をサブ制御基板220に入力している。また、外部端子板60には主制御基板60に加えて、サブ制御基板220にも接続する。
こうすれば、上記の変形例3と同じく、出力部262が外部演出設定手段261から外部演出を行うか否かの設定状態を示す情報を取得して、外部演出を行わないと設定されている場合には、外部演出指示を出力しないようにすることができる。更にこの変形例4のパチンコ機1によると、設定操作部10a,10cの操作を主制御基板200に入力することに対応して新たな不正対策を施すといった必要が生じることもない。また、変形例4のパチンコ機1によると、サブ制御基板220に接続された設定操作部10a,10c(すなわち演出ボタン10aと方向ボタン10c)や、ジョグシャトル10b(図3参照)を遊技者が操作したことを契機として昇格演出を開始する場合にも、そのパチンコ機1における昇格演出の開始タイミングに合わせて外部に演出指示を出力することが容易となる。
尚、この変形例4では、外部端子板60を主制御基板200に接続することなく、サブ制御基板220に接続するようにしてもよい。この場合、主制御基板200から外部に出力する情報については、一旦、主制御基板200からサブ制御基板220に入力して、サブ制御基板220に接続された外部端子板60から出力すればよい。
尚、図示は省略するが、主制御基板200に外部演出設定手段261を設けて、設定操作部10a,10cの操作を主制御基板200に入力するようにし、出力手段262をサブ制御基板220に設けて、サブ制御基板220に外部端子板60を接続してもよい。このようにしても、サブ制御基板220上の出力部262は、主制御基板200上の外部演出設定手段261から外部演出を行うか否かの情報を取得して、外部演出を行わないと設定されている場合には外部演出指示を出力しないという変形例3と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例では、パチンコ機1における「外部演出を行うか否かの設定」を遊技ホールの従業員等が操作することとして説明した。しかし、これに限られず、「外部演出を行うか否かの設定」を遊技者が操作するようにしてもよい。遊技者が操作する方法としては例えば次のような方法が考えられる。先ず、一般的にパチンコ機1では、所定時間、遊技されない状態が継続すると待機状態となり、演出表示装置41に待機中の画面が表示される。この待機中の画面が表示されている時に演出ボタン10aを押すと、パチンコ機1の音量や光量の設定画面が表示される。この設定画面を利用して、「外部演出を行うか否かの設定」についても遊技者が操作できるようにすることができる。
また、上述した実施例のように遊技ホール側が、「外部演出を行うか否かの設定」を操作する場合についても、パチンコ機1およびデータ表示器70それぞれを一台ずつ設定するのではなく、島設備に接続されたホールコンピュータによって、複数台のパチンコ機1やデータ表示器70を一括して設定するようにしてもよい。
また、上述した実施例では、後で昇格演出を行うために、演出表示装置41の変動演出において大当り抽選の結果を報知する時には、実際の当否態様とは異なる当否態様を仮報知することとして説明した。しかし、大当り抽選の結果を報知する時に、当否態様については報知することなく大当りに当選したことを報知して、その後、大当り遊技中などに当否態様を報知するという態様で昇格演出を行うこともできる。例えば、大当り抽選の結果が当否態様A(図5参照)であったとする。この大当り抽選の結果を報知するときには、遊技者には15ラウンドの大当りであることだけを報知して、確変当りであることは報知しないでおく。こうすれば、遊技者は先ず大当りが確定した時に喜びを感じ、大当り遊技中には確変当りであることの報知を期待しながら待つことになる。そして、大当り遊技中に、当否態様Aに当選したこと(すなわち確変当りであること)を報知すれば、もう一度、遊技者に喜びを感じさせることができる。このように、演出表示装置41の変動演出において大当り抽選の結果を報知する時には、当否態様については識別できない態様で大当り抽選の結果を報知するという態様で昇格演出を行う場合にも、本発明を適用することができる。
また、本発明でいう昇格演出には、昇格の旨を文字で明示する図柄等によって「昇格を報知する演出」に限られず、昇格の旨を暗示する図柄等によって「昇格を示唆する演出」も含まれる。「昇格を示唆する演出」としては例えば、現在消化中のラウンド数を表示する文字を通常とは異なる色で表示することにより、昇格を示唆するという演出が挙げられる。
また、上述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。