JP2020079183A - 吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材及びそれを用いた吹き付け用モルタル並びに吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法 - Google Patents

吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材及びそれを用いた吹き付け用モルタル並びに吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モルタルを吹き付けた際のモルタルのリバウンド量を低減できる吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材及びそれを用いた吹き付け用モルタル並びに吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法を提供する。【解決手段】本発明に係る吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材は、製鋼スラグから生成され、粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内にある砂状スラグからなる。また、本発明に係る吹き付け用モルタルは、上述のスラグ細骨材、セメント及び水が混練されたものである。また、本発明に係るスラグ細骨材を製造する方法は、溶融状態の製鋼スラグを得る製鋼工程と、製鋼工程で得られた溶融状態の製鋼スラグを冷却固化させる冷却固化工程と、冷却固化工程の後に、製鋼スラグに対して破砕、選鉱及び分級を行い、粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内にある砂状スラグを得る砂状化工程とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、製鋼工程で生成される製鋼スラグから生成される吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材及びそれを用いた吹き付け用モルタル並びに吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法に関する。
一般に、土砂崩れ等の事象を防止することを目的として、法面又は法枠にモルタルを吹き付けることが行われる。従来、モルタルに配合される細骨材として、海砂、山砂、又は砕石を加工して製造した砕砂等の天然砂が使用されてきた。しかしながら、天然砂、特に海砂の採取は禁止されつつある。このため、輸入や遠方からの輸送などで天然砂の使用コストは高くなりつつある。また、これらの天然砂を使用し続ける事は自然環境の破壊をもたらす。このような状況に対し、天然砂の代替材の開発が進められている。例えば下記の特許文献1,2等に示されるように、代替材として、ゴミ溶融スラグ及び鉄鋼スラグなどを活用することが検討されている。
特開2005−67938号公報 特開2017−222534号公報
吹き付け用モルタルへの鉄鋼スラグの適用を試みたところ、以下のような課題が生じた。すなわち、鉄鋼スラグを材料として含むモルタルを法面又は法枠等の対象に吹き付けたところ、多くのモルタルが対象の表面でリバウンドする(跳ね返る)ことがあった。リバウンドしたモルタルは産業廃棄物として処分する必要があり、モルタルのリバウンド量を低減することが望まれる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、モルタルを吹き付けた際のモルタルのリバウンド量を低減できる吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材及びそれを用いた吹き付け用モルタル並びに吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法を提供することである。
本発明に係る吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材は、製鋼スラグから生成され、粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内にある砂状スラグからなる。
また、本発明に係る吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を用いた吹き付け用モルタルは、上述のスラグ細骨材、セメント及び水が混錬されたものである。
また、本発明に係る吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法は、溶融状態の製鋼スラグを得る製鋼工程と、製鋼工程で得られた溶融状態の製鋼スラグを冷却固化させる冷却固化工程と、冷却固化工程の後に、製鋼スラグに対して破砕、選鉱及び分級を行い、粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内にある砂状スラグを得る砂状化工程とを含む。
本発明の吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材及びそれを用いた吹き付け用モルタル並びに吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法によれば、スラグ細骨材を構成する砂状スラグの粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内にあるので、モルタルを吹き付けた際のモルタルのリバウンド量を低減できる。
本発明の実施の形態による吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法を示すフロチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
図1は、本発明の実施の形態による吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法を示すフロチャートである。図1の方法により製造されるスラグ細骨材は、吹き付け用モルタルの材料となるものである。吹き付け用モルタルとは、法面又は法枠等の対象に吹き付ける用途に使用されるモルタルを意味する。
本実施の形態のスラグ細骨材は、図1に示す方法により製造される。図1に示すように、本発明の実施の形態によるスラグ細骨材を製造する方法には、製鋼工程(ステップS1)、冷却固化工程(ステップS2)及び砂状化工程(ステップS3)が含まれている。砂状化工程(ステップS3)には、破砕工程(ステップS3−1)、選鉱工程(ステップS3−2)及び分級工程(ステップS3−3)が含まれている。
製鋼工程(ステップS1)は、溶融状態の製鋼スラグを得る工程である。製鋼スラグとは、製鋼プロセスで生じるスラグのことを意味する。例えば、ステンレス鋼の製鋼プロセスでは、ステンレス鋼を溶製する際に発生するスラグを指す。このスラグには、電気炉で原料を溶解してステンレス鋼の溶銑を生成する溶解工程で生成した溶製スラグと、生成した溶銑から含有される硫黄を除去する脱硫処理工程で生成した脱硫スラグと、脱硫処理後の溶銑に対して転炉及び真空脱ガス処理装置で溶銑に含有される炭素を除去する精錬工程で生成した精錬スラグとが含まれる。また、このスラグには、原料内の不純物、製鋼プロセスにおける生成物、有用金属の地金も含まれる。
なお、上記のステンレス鋼の製鋼プロセスでは、溶銑の脱硫処理方法として、機械駆動される攪拌翼で溶銑を攪拌しつつ脱硫剤を添加することにより、溶銑に含有される硫黄をスラグ化して除去するKR法を用いることができる。KR法では、攪拌することによって溶銑と脱硫剤との脱硫反応が促進されるため、CaO(生石灰、酸化カルシウム)を主成分とした脱硫剤を用いることができる。そのため、脱硫反応を促進するために有用であるとして公知のCaF2(蛍石、フッ化カルシウム)を用いなくてもよい。
製鋼スラグは、F、CaO、SiO2及びAl23を含む。
製鋼スラグにおけるFの含有量は、土壌環境基準に規定される水に対するFの溶出量の基準を満足するため、0質量%超過0.4質量%未満とする必要がある。本発明では、脱硫処理に蛍石を使用しなくてもよいため、製鋼スラグにおけるFの含有量を低減することができる。したがって、製鋼スラグから製造されるスラグ細骨材におけるFの含有量も低減することができ、スラグ細骨材を含むモルタルにおいても土壌環境基準を満たすことが可能となる。
CaOは、脱硫剤の主成分であり且つ脱硫反応に必須の成分である。したがって、製鋼スラグにおけるCaOの含有量は、35質量%以上とする必要がある。一方、製鋼スラグにおけるCaOの含有量が過剰になると、塩基度(CaO/SiO2)が高くなり過ぎてスラグの流動性が低下し、脱硫反応が促進されなくなる。したがって、製鋼スラグにおけるCaOの含有量は、65質量%以下とする必要がある。
SiO2は、ステンレス鋼の原料から発生し、或いは還元剤による脱酸反応生成物としても発生する。製鋼スラグにおけるSiO2の含有量は、ステンレス鋼の溶銑の脱硫処理を効率的に実施する観点から、20質量%以上かつ55質量%以下とする必要がある。SiO2の含有量が20質量%未満であると、脱硫処理時の塩基度が高くなり過ぎてしまい、脱硫反応を促進させることができない。一方、SiO2の含有量が55質量%を超えると、脱硫処理時の塩基度が低くなり過ぎてしまい、十分な脱硫反応が得られない。
Al23は、製鋼スラグの流動性を確保するために必須の成分である。また、Al23は、製鋼に使用する各鍋の耐火煉瓦、ステンレス鋼の原料からも混入する。製鋼スラグにおけるAl23の含有量は、製鋼スラグの流動性を確保する観点から、1質量%以上かつ15質量%以下とする必要がある。Al23の含有量が1質量%未満又は15質量%超過であると、製鋼スラグの融点が上昇し、製鋼スラグの流動性が低下する。
製鋼スラグは、上記成分の他に、MgO、Fe23、MnO、Cr23などの成分をさらに含むことができる。これらの成分の製鋼スラグにおける含有量は、特に限定されない。
製鋼スラグの塩基度(CaO/SiO2)は、溶銑の脱硫反応に大きな影響を及ぼす。特に、脱硫処理方法を機械攪拌式のKR法とし、スラグの流動性を向上させるために用いられてきた蛍石を使用しない場合には、製鋼スラグの塩基度を調節して製鋼スラグの流動性を確保しなければならない。そのため、製鋼スラグの塩基度は、0.7以上かつ1.7以下とする必要がある。製鋼スラグの塩基度が0.7未満であると、脱硫処理時に製鋼スラグに含まれるCaOと溶銑に含まれるSとの間で十分な脱硫反応が起こらない。一方、製鋼スラグの塩基度が1.7を超えると、脱硫処理時に製鋼スラグの流動性が低くなり、溶銑と製鋼スラグとの接触界面が減少して脱硫反応を促進させることができない。
製鋼スラグの組成は、原料の配合比、及びスラグとステンレス鋼との間の元素分配比についての経験則に基づき、溶製する鋼種ごとにスラグ発生源の原料の種類及び配合比を調節することによって、組成及び塩基度を制御することができる。
冷却固化工程(ステップS2)は、製鋼工程(ステップS1)で得られた溶融状態の製鋼スラグを冷却固化する工程である。溶融状態の製鋼スラグを冷却固化する方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、溶融状態の製鋼スラグは、スラグ鍋に入れられ、大気中での自然冷却による空冷と、スラグ鍋に散水して冷却する散水冷却とを組み合わせた冷却方法により、24時間以上かけて冷却される。この製鋼スラグの冷却過程において、製鋼スラグがスラグ鍋へ投入され、固化が開始する約1100℃からγ−2CaO・SiOなどの結晶構造の変化(すなわち、相変態)がほぼ終了する約700℃に温度が低下するまでの間(すなわち、約1100℃〜約700℃の間)、1.0℃/分以下の速度で降温するように徐冷することが好ましい。製鋼スラグの温度が約700℃以上の時に、例えば、散水量を増加させる又は製鋼スラグに直接散水するなどすることにより、1.0℃/分を超える速度で製鋼スラグを降温させると、冷却固化後に内部の密度が低く脆いスラグが得られることがある。なお、次の破砕処理において十分な破砕を行うことができるように製鋼スラグを十分に冷却固化させるためには、外気温に応じて28〜30時間にわたって或いはそれよりも長時間にわたって製鋼スラグを冷却することが好ましい。
上記のような冷却速度で製鋼スラグを冷却固化させると、製鋼スラグに含まれ且つ水和反応を起こすことが可能なフリーライム(f−CaO)、フリーマグネシア(f−MgO)、γ−2CaO・SiOなどを含む軟質な部分と、密度が高く硬質な鉱物相(SiO2、Al23などから形成される)とが、互いに分離した異なる相が形成される。そして、冷却過程において、γ−2CaO・SiOなどを含む軟質な部分は、γ−2CaO・SiOなどの結晶構造の変化による体積膨張によって粉化する。また、冷却固化した製鋼スラグが後述する湿式での破砕処理を受けると、硬質な鉱物相の間の軟質な部分が細かく砕けることにより、硬質な鉱物相の多くが互いに分離して塊状になり、さらにこの塊状の鉱物相が破砕されると粒状になる。したがって、処理では、軟質な部分が主に粉化し、硬質な鉱物相は粉化し難いため、後述する分級処理によって軟質な部分から、γ−2CaO・SiOなどを含まない硬質な鉱物相(粒状分)を分離、回収することができる。
破砕工程(ステップS3−1)は、冷却固化工程(ステップS2)において冷却固化された製鋼スラグを破砕する工程である。冷却固化した製鋼スラグを破砕する方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、冷却固化した製鋼スラグをジョークラッシャー破砕処理した後、ロッドミル破砕処理すればよい。
ジョークラッシャー破砕処理では、製鋼スラグは、気中にある状態で、ジョークラッシャーにおける固定歯と固定歯に対して接近及び離脱するように可動な可動歯との間に挟まれて押圧されることによって圧縮破砕される。製鋼スラグは、この処理によって、大まかに乾式破砕される。このとき、製鋼スラグでは、硬質な鉱物相の間にある軟質な部分が崩壊することにより、硬質な鉱物相が多数の塊状に分離する。
ロッドミル破砕処理では、製鋼スラグは、内部に水を含むロッドミル内に投入されて水中に浸漬された状態となり、ロッドミルを回転させることにより、さらに細かく湿式破砕される。この湿式破砕の過程では、製鋼スラグに含まれる軟質な部分は、水和反応してさらに脆くなり、微小粉状に破砕されて水中に懸濁する。このようにして微小粉状に破砕された軟質な部分を以下では「微小粉状分」という。他方、塊状の硬質な鉱物相は、ロッドミル内で粒状に破砕される。このようにして粒状に破砕された硬質な鉱物相を以下では「粒状分」という。
また、上記の破砕処理により、製鋼スラグに含まれる地金が、軟質な部分と共に粒状分から分離される。このとき、製鋼スラグが冷却によって十分に固化していれば、破砕処理時に地金の分離が容易になる。
選鉱工程(ステップS3−2)は、破砕工程(ステップS3−1)で破砕された選鉱スラグを選鉱する工程である。製鋼スラグを選鉱する方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、破砕処理を行った製鋼スラグを比重選鉱処理及び磁力選鉱処理すればよい。比重選鉱処理では、製鋼スラグを処理水中に投入し、比重選別機によって鉱物の比重の違いを利用した選別を行うことができる。比重選鉱処理により、高比重であるとして選別された製鋼スラグについては、続いて磁力選鉱処理が行われる。磁力選鉱処理では、地金を含む高比重の製鋼スラグに対して、磁選機によって地金を分離・回収することができる。
分級工程(ステップS3−3)は、選鉱工程(ステップS3−2)において低比重であるとして選別された製鋼スラグについて分級処理を行う工程である。分級処理としては、特に限定されないが、篩い分級処理を用いることができる。篩い分級処理では、比重選別機から取り出されて処理水中に含まれた状態の低比重の製鋼スラグが、振動篩い機の振動するスクリーン(篩い)上に供給され、そのうちのスクリーンの目開きの大きさ(例えば、3mm)以下のものが選別される。これにより、粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内にある砂状スラグからなるスラグ細骨材が得られる。スクリーンを通過しなかった粒径3mmを超える製鋼スラグについては、処理水と共にロッドミル破砕処理に再び戻され、湿式破砕処理が行われる。
上記のようにして製造される砂状スラグからなるスラグ細骨材は、原料に用いた製鋼スラグとほぼ同じ組成及び塩基度を有する。すなわち、スラグ細骨材は、0質量%超過0.4質量%未満のF、35質量%以上かつ65質量%以下のCaO、20質量%以上かつ55質量%以下のSiO2及び1質量%以上かつ15質量%以下のAl23を含み、塩基度(CaO/SiO2)が0.7以上かつ1.7以下である。
本発明のスラグ細骨材は、セメント及び水と混練されて吹き付け用モルタルを形成する。セメントとしては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。セメントの例としては、普通、早強、超早強、低熱、中庸熱などの各種ポルトランドセメント、混合セメント、エコセメントなどを用いることができる。
混練時の水/セメント比(セメントに対する水の重量比)は、特に限定されないが、本発明のスラグ細骨材に適正な量として55%以上かつ62%以下である。水/セメント比が55%未満であると、モルタルが固くなり、圧送が不安定になる。一方、水/セメント比が62%超であると、モルタルの強度が不十分となる。
また、混練時のセメント単位量は、特に限定されないが、本発明のスラグ細骨材に適正な量として300kg/m3以上かつ410kg/m3以下である。セメント単位量比が300kg/m3未満であると、モルタルの強度が不十分となる。一方、セメント単位量比が410kg/m3超であると、モルタルが固くなり、圧送が不安定になる。
さらに、混練時のスラグ細骨材/セメント比(セメントに対するスラグ細骨材の重量比)は、特に限定されないが、一般的には5.0以上かつ6.8以下である。スラグ細骨材/セメント比が5.0未満であると、圧送が不安定になる。一方、スラグ細骨材/セメント比が6.8超であると、モルタルの強度が不十分となる。
吹き付け用モルタルは、上記の成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲において、公知の添加材をさらに含むことができる。公知の添加材の例としては、減水剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、低収縮剤、膨張材、分散剤などが挙げられる。また、凍結の恐れがある場所で吹き付け用モルタルを用いる場合は、市販のAE剤を吹き付け用モルタルに配合して空気量を調整してもよい。
吹き付け用モルタルは、当該技術分野において公知の方法に準じて製造することができる。具体的には、セメントに水及びスラグ細骨材を加えて混合すればよい。混合方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の混合装置を用いて混合すればよい。
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(スラグ細骨材)
ステンレス鋼の製鋼プロセスにおいて、CaOを主成分とした脱硫剤を用いたKR法により、溶銑の脱硫処理を行った。この製鋼プロセスにおいて発生した溶融状態の製鋼スラグをスラグ鍋に収集した。溶融状態の製鋼スラグは、0.2質量%のF、38.7質量%のCaO、27.3質量%のSiO2、8.7質量%のAl23及び9.4質量%のMgO、3.4質量%のFe23、2.3質量%のMnO、3.3質量%のCr23を含み、塩基度(CaO/SiO2)が1.4であった。次に、スラグ鍋に入れられた溶融状態の製鋼スラグを、大気中での自然冷却による空冷と、スラグ鍋に散水して冷却する散水冷却とを組み合わせた冷却方法により、約1100℃〜約700℃の間を0.8℃/分以下の速度で7.8時間かけて、さらに700℃から常温(80℃以下)まで約18時間かけて冷却した。
次に、冷却固化した製鋼スラグをジョークラッシャー破砕処理した後、ロッドミル破砕処理した。次に、粉砕処理を行った製鋼スラグを比重選鉱処理した後、高比重であるとして選別された製鋼スラグについては、磁力選鉱処理を行って地金を分離・回収すると共に、低比重であるとして選別された製鋼スラグについては、目開きの大きさが3mmのスクリーンを用いて篩い分級処理を行い、粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内にある砂状スラグ(砂状スラグA)を得た。また、比較例として、目開きの大きさが5mmのスクリーンを用いて篩い分級処理を行い、粒径が0mmより大きくかつ5mm以下の範囲内にある砂状スラグ(砂状スラグB)を得た。
(細骨材粒度の影響)
実施例で得られた砂状スラグA(粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内)及び水を普通ポルトランドセメントに加えて混練することにより以下の表1に示すテストNo.1〜5の吹き付け用モルタルを作製した。比較例として、実施例で得られた砂状スラグB(粒径が0mmより大きくかつ5mm以下の範囲内)又は砕砂(粒径が0mmより大きくかつ5mm以下の範囲内)と水とを普通ポルトランドセメントに加えて混練することにより以下の表1に示すテストNo.6,7の吹き付け用モルタルを作製した。各成分の配合量及び割合などについては表1に示す。また、使用した砕砂の吸水率は0.86%であり、その絶乾密度は2.69g/cm3であった。テストNo.6の配合量等は、テストNo.1の配合量等と同じである。テストNo.7の配合量等は、テストNo.4の配合量等と同じである。
これらのテストNo.1〜7の吹き付け用モルタルを法面又は法枠等の対象に吹き付けて、リバウンド率(%)の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、リバウンド率(%)は、法面の施工面直下にブルーシートを敷き、吹付け機で250kg/バッチを2バッチ分の合計500kgのモルタルを法面の施工面に吹付け、ブルーシート上に落下したモルタルを回収して重量を測定し、リバウンド率(%)=(落下回収量/500)×100)により算出した。
Figure 2020079183
表1に示すように、粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内の砂状スラグAを用いたテストNo.1〜5のリバウンド率は8.2%等と10%を下回っていた。これに対して、粒径が3mm超のものを含む砂状スラグB又は砕砂を用いたテストNo.6,7のリバウンド率は17.9%及び18.1%と高かった。これらの結果から、粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内の砂状スラグを用いることにより、モルタルを吹き付けた際のモルタルのリバウンド量を低減できることが確認された。
(配合条件の影響)
次に、上述のテストNo.1〜5のサンプルを用いて、7日強度(N/mm2)、28日強度(N/mm2)の測定、及び施工性の評価を行った。上述のテストNo.1〜5は、好ましいと考えられる配合条件(混練時の水/セメント比が55%以上かつ62%以下であり、セメント単位量が300kg/m3以上かつ410kg/m3以下であり、スラグ細骨材/セメント比が5.0以上かつ6.8以下)で作製されている。また、比較例として、この好ましいと考えられる配合条件から外れた条件にて配合を行って、テストNo.8〜14の吹き付け用モルタルのサンプルを作製した。テストNo.8〜14の配合条件については表2に示す。これらテストNo.8〜14のサンプルを用いて、7日強度(N/mm2)、28日強度(N/mm2)の測定、及び施工性の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2020079183
なお、7日及び28日強度(N/mm2)は、JISA1108土木学会基準JSCE F561−1994に準拠して測定した。具体的には、施工時に法面とは別にサンプル用型枠に吹付け材を充填し、吹付け材の固化後、3本のサンプル供試体をコア抜きサンプリングし、3本の圧縮強度試験を実施して3測定値の平均値をとった。7日強度が18N/mm2以上、28日強度が21N/mm2以上であることを目標視した。
施工性は、モルタル湿式ホース(内径70φ)を100m長さに連結して使用し、モルタルガンによる圧送した際の吐出安定性(詰まり又は変動等)で評価した。
テストNo.1〜5については、良好な強度及び施工性が得られた。これに対して、細骨材/セメント比が低いサンプルNo.8,9については、閉塞気味又は吐出不安定となり、良好な施工評価が得られなかった。また、細骨材/セメント比が高いテストNo.10については、目標とする強度が得られなかった。水/セメント比が低いテストNo.11については、閉塞気味となり、良好な施工評価が得られなかった。水/セメント比が高いテストNo.12については、目標とする強度が得られなかった。テストNo.13,14では上述の好ましいと考えられる配合条件の範囲内で天然砂である砕砂を用いたが、テストNo.13は閉塞気味でリバウンドも多く施工不可能であり、またテストNo.14は目標とする強度が得られなかった。
このような吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材及びそれを用いた吹き付け用モルタル並びに吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法では、スラグ細骨材を構成する砂状スラグの粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内にあるので、モルタルを吹き付けた際のモルタルのリバウンド量を低減できる。
また、モルタル混練時の水/セメント比が55%以上かつ62%以下であり、セメント単位量が300kg/m3以上かつ410kg/m3以下であり、スラグ細骨材/セメント比が5.0以上かつ6.8以下であるので、良好な強度及び施工性を確保することができる。
さらに、冷却固化工程は、24時間以上かけて前記製鋼スラグを冷却固化するとともに、前記製鋼スラグが700℃以上のとき、前記製鋼スラグの温度を毎分1℃以下で低下させるので、冷却固化後に内部の密度が低く脆いスラグが得られることを回避することができる。

Claims (7)

  1. 製鋼スラグから生成され、粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内にある砂状スラグからなる、
    吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材。
  2. 前記砂状スラグは、0質量%超過0.4質量%未満のF、35質量%以上かつ65質量%以下のCaO、20質量%以上かつ55質量%以下のSiO2及び1質量%以上かつ15質量%以下のAl23を含み、塩基度(CaO/SiO2)が0.7以上かつ1.7以下である、
    請求項1記載の吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のスラグ細骨材、セメント及び水が混練された吹き付け用モルタル。
  4. 混練時の水/セメント比が55%以上かつ62%以下であり、セメント単位量が300kg/m3以上かつ410kg/m3以下であり、スラグ細骨材/セメント比が5.0以上かつ6.8以下である、
    請求項3記載の吹き付け用モルタル。
  5. 溶融状態の製鋼スラグを得る製鋼工程と、
    前記製鋼工程で得られた溶融状態の前記製鋼スラグを冷却固化させる冷却固化工程と、
    前記冷却固化工程の後に、前記製鋼スラグに対して破砕、選鉱及び分級を行い、粒径が0mmより大きくかつ3mm以下の範囲内にある砂状スラグを得る砂状化工程と
    を含む、
    吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法。
  6. 前記冷却固化工程は、24時間以上かけて前記製鋼スラグを冷却固化するとともに、前記製鋼スラグが700℃以上のとき、前記製鋼スラグの温度を毎分1℃以下で低下させる、
    請求項5記載の吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法。
  7. 前記砂状スラグは、0質量%超過0.4質量%未満のF、35質量%以上かつ65質量%以下のCaO、20質量%以上かつ55質量%以下のSiO2及び1質量%以上かつ15質量%以下のAl23を含み、塩基度(CaO/SiO2)が0.7以上かつ1.7以下である、
    請求項5又は請求項6に記載の吹き付け用モルタルに用いるスラグ細骨材を製造する方法。
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