JP2020076018A - 低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な熱特性(特に、耐湿熱性や熱安定性)及び低アウトガス性を兼ね備えたホットメルト接着剤組成物の提供。【解決手段】 ポリオール成分(A)およびポリイソシアネート成分(B)を原料とするウレタンプレポリマー(I)と、触媒(II)と、を含有するウレタンホットメルト接着剤組成物であり、前記ポリイソシアネート成分(B)は、ポリイソシアネート成分(B)全体に対して、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートを0.5質量%超10質量%以下含み、前記触媒(II)は、イソシアネート基と反応する官能基を有する反応型触媒を含有することを特徴とする、低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、低アウトガス性の新規なホットメルト接着剤組成物に関する。
従来、車両のシートクッションの表面に被さる表皮材は、発泡体からなる緩衝層の裏面に裏基布層が形成された積層シートの表面に表皮層を貼着し、さらに縫製することにより作成されている。裏基布層は、縫製時の作業や縫製後にシートクッションに装着する際の作業を良好にするための滑り性向上、及び緩衝層裏面の保護等のために設けられている。
ここで、車両のシートクッションには、ウレタン系やナイロン系の極性材料が多く、耐熱性が必要であるため、反応型ウレタンホットメルトが一般的に適用される。このような反応型ウレタンホットメルトを用いた車両用シートについては、例えば、特許文献1で開示されている。
しかしながら、車両のシートクッションに使用される接着剤としては、人体に影響を与える有機揮発分が少ないことが望まれている。
このような低アウトガス性ホットメルト接着剤として、特許文献2では、低アウトガス性のオレフィン系ホットメルト接着剤が開示されている。
特開2017−136735号公報 特開2017−031273号公報
しかしながら、オレフィン系ホットメルト接着剤では、低VOCを達成することは可能であっても、耐熱性等の観点からその用途が限られており、車両用等とすることは困難であった。
そこで本発明は、上記従来技術の課題を解決し、良好な熱特性(特に、耐湿熱性や熱安定性)及び低アウトガス性を兼ね備えたホットメルト接着剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、特定の接着剤組成物とすることにより、上記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明は、
ポリオール成分(A)およびポリイソシアネート成分(B)を原料とするウレタンプレポリマー(I)と、触媒(II)と、を含有するウレタンホットメルト接着剤組成物であり、
前記ポリイソシアネート成分(B)は、ポリイソシアネート成分(B)全体に対して、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートを0.5質量%超10質量%以下含み、
前記触媒(II)は、イソシアネート基と反応する官能基を有する反応型触媒を含有することを特徴とする、低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物である。
前記反応型触媒は、前記イソシアネート基と反応する官能基を1つ有し、三級アミン構造をもつ触媒であってもよい。
前記ポリオール成分(A)は、炭素数10〜12の脂肪族ジカルボン酸と炭素数4〜6の脂肪族ジオールの縮合反応からなる結晶性ポリエステルポリオール(a−1)と、ポリエーテルポリオール(a−2)とを含有し、
前記ポリオール成分(A)における前記ポリエーテルポリオール(a−2)の含有量が前記ポリオール成分(A)100質量%に対して30〜80質量%であってもよい。
前記結晶性ポリエステルポリオール(a−1)は、数平均分子量が1000〜5000の範囲内であってもよい。
前記ポリエーテルポリオール(a−2)は、数平均分子量が1000〜4000の範囲内であってもよい。
前記ポリオール成分(A)は、非晶性ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及び分子量500以下の低分子ジオールからなる群より選択される1つ以上のポリオールであるポリオール(a−3)を更に含有してもよい。
前記ポリオール(a−3)の含有量が、前記ポリオール成分(A)100質量%に対して30質量%以下であってもよい。
前記低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物は、90℃で加熱したときに発生する有機揮発分の量がトルエン換算値で150ppm以下であってもよい。
前記低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物は、発泡体、天然皮革、合成皮革、フィルム、織布及び不織布を有する車両用部材用であってもよい。
本発明によれば、良好な熱特性(特に、耐湿熱性や熱安定性)及び低アウトガス性を兼ね備えるホットメルト接着剤組成物を提供することが可能である。
次に、本発明のホットメルト接着剤組成物について以下の順番で具体的に説明するが、本発明はこれらには限定されない。
1 成分
2 製造方法
3 物性
4 用途
5 適用方法
<<<成分>>>
本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、低アウトガス性の反応型ウレタンホットメルトである。本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、ベース樹脂であるイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー(I)と、触媒(II)と、を含む。更に、必要に応じて、接着剤組成物中にその他の成分を含んでいてもよい。
このようなホットメルト接着剤組成物を用いると、加熱されて溶融状態となったポリウレタンプレポリマーが冷却・固化する際に接着性が発現する。更に、未硬化のイソシアネート末端が空気中の水分と反応し架橋構造を形成することで、より強固な接着性を発現する。このようなホットメルト接着剤組成物を、湿気硬化型ホットメルト接着剤組成物、又は、反応型ホットメルト接着剤組成物等と呼称してもよい。
<<ポリウレタンプレポリマー(I)>>
ポリウレタンプレポリマー(I)は、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)を原料とし、通常、ポリイソシアネート成分(B)を化学量論的に過剰量にしてポリオール成分(A)と反応させることで得られる。
<ポリオール成分(A)>
ポリオール成分(A)としては、ポリウレタンプレポリマーの製造において通常使用されるものであれば特に限定されないが、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。より具体的には、炭素数10〜12の脂肪族ジカルボン酸と炭素数4〜6の脂肪族ジオールの縮合反応からなる結晶性ポリエステルポリオール(a−1)と、ポリエーテルポリオール(a−2)を含むことが好ましい。
炭素数10〜12の脂肪族ジカルボン酸は、デカン二酸(セバシン酸、C10)、ウンデカン二酸(C11)及びドデカン二酸(C12)が挙げられる。また、炭素数4〜6の脂肪族ジオールは、ブタンジオール(例えば、1,3−ブタンジオールや1,4−ブタンジオール等)、ペンタンジオール(例えば、1,5−ペンタンジオール等)及びヘキサンジオール(例えば、1,6−ヘキサンジオール等)が挙げられる。
本発明において、「結晶性ポリエステルポリオール」とは、融点30℃以上であるポリエステルポリオールを示し、「非晶性ポリエステルポリオール」とは、融点30℃未満であるポリエステルポリオールもしくは融点が存在しないポリエステルポリオールを示す。なおこのような結晶性は、ポリエステルポリオールを構成するカルボン酸・アルコールを適宜選択することによって調整可能である。ここで、示差走査熱量計を用いて、温度プログラム25℃⇒−80℃⇒100℃(昇温速度5℃/min)における−80℃⇒100℃範囲での融解ピークを融点とする。
結晶性ポリエステルポリオール(a−1)は、数平均分子量が、1000〜5000の範囲内であることが好適であり、2000〜4500の範囲内であることがより好適である。
ポリエーテルポリオール(a−2)としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。また、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価アルコールを用い、上記の環状エーテルを重合させて得ることもできる。
ポリエーテルポリオール(a−2)は、数平均分子量が1000〜4000の範囲内であることが好適であり、1500〜3000の範囲内であることがより好適である。
また、結晶性ポリエステルポリオール(a−1)およびポリエーテルポリオール(a−2)以外のポリオールとして、非晶性ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及び数平均分子量500以下の低分子ジオールからなる群より選択される1つ以上のポリオール(a−3)が例示される。ポリオール成分(A)は、その他のポリオール(a−3)のみを含むものであってもよいが、結晶性ポリエステルポリオール(a−1)およびポリエーテルポリオール(a−2)を含有し、ポリオール(a−3)を更に含有することが好ましい。
非晶性ポリエステルポリオールとしては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等)、脂環族ジカルボン酸(例えばヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等)、またはこれらのエステルもしくは酸無水物と、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等、もしくは、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるポリエステルポリオール;ε−カプロラクトン、メチルバレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリラクトンジオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、脂環式ジヒドロキシ化合物等の多価アルコールの少なくとも1種と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等とを反応させて得られるものが挙げられる。
低分子量ジオールとしては、分子量500以下のジオールであれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが挙げられる。
その他のポリオール(a−3)は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、その他のポリオール(a−3)として、上記以外のポリオールを含んでいてもよい。
<ポリイソシアネート成分(B)>
ポリイソシアネート成分(B)として含まれるポリイソシアネート(イソシアネート基を複数有するもの)について説明する。
ポリイソシアネート成分(B)は、少なくとも、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(b−1)と、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート以外のポリイソシアネート(その他のポリイソシアネート(b−2))を含む。
カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(b−1)は、下記の式で示される化合物である。
Figure 2020076018
その他のポリイソシアネート(b−2)としては、特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、水素添加MDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、1,8−ジイソシアナトメチルオクタン、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、及びこれらの変性体、誘導体等が挙げられる。
その他のポリイソシアネート(b−2)は、MDI(ピュアMDI)を含むことが好ましい。
ポリイソシアネート成分(B)に含まれる全てのポリイソシアネートの平均官能基数(平均イソシアネート基数)は、2.0〜4.0、2.0〜3.0、2.0〜2.5、2.0〜2.3、2.0〜2.1であることが好ましい。
なお、ポリイソシアネート成分(B)に含まれる全てのポリイソシアネートの平均官能基数は、特開平10−231347号公報等に開示された方法に基づき計算できる。例えば、変性ジフェニルメタンジイソシアネートと、ジフェニルメタンジイソシアネート(精製p−MDI、4,4’−MDI)とを含む場合、変性ジフェニルメタンジイソシアネートと、ジフェニルメタンジイソシアネートとが同様の比率となるように計量した場合のNCO基含有率の測定結果に基づき、以下の式1から計算することができる。
Figure 2020076018
ポリウレタンプレポリマー(I)のNCO基含有率は、特に限定されないが、好ましくは1.0〜2.5%である。このような範囲とすることで、作業中の発泡等を抑制しつつも、湿気による硬化を促進することが可能となる。なお、NCO基含有率は、JIS K1603−1に従って測定されたものである。
<触媒(II)>
触媒(II)としては、イソシアネート基と反応する官能基を有する反応型触媒を含む。
反応型触媒においてイソシアネート基と反応する官能基とは、例えば、ポリイソシアネートと反応する活性水素基であり、水酸基及びアミノ基のうちの少なくとも一種の官能基であることが好ましい。
反応型触媒は、イソシアネート基と反応する官能基を1つ有し、三級アミン構造をもつ触媒であることが好ましい。
反応型触媒としては、例えば、(1)官能基として水酸基を有するアミン系触媒(例えば、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン)、及び、(2)官能基としてアミノ基を有するアミン系触媒(例えば、N,N,N",N"−テトラメチルジエチレントリアミン)等が挙げられる。
これらの反応型触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
また、触媒(II)としては、本発明の効果を阻害しない範囲で、反応型触媒以外の触媒(例えば、金属系触媒や上記官能基を有しないアミン系触媒等)を含んでいてもよい。
<その他の成分>
その他の成分として、好ましくはVOCが150ppm以下になる範囲内で、ホットメルト接着剤に使用される公知の添加剤、例えば、オイル成分(可塑剤)、粘着付与樹脂、酸化防止剤、ワックス等を配合可能である。また、熱安定剤、充填剤等を配合してもよい。
オイル成分としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル及び芳香族系オイル等が例示される。なお、オイル成分として植物性油等を用いてもよい。
粘着付与樹脂は、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、水添脂肪族系石油樹脂、水添芳香族系石油樹脂、テルペン系樹脂、スチレン系樹脂、ロジン系樹脂およびこれらの変性樹脂からなる群より選択される1種以上の粘着付与樹脂を例示できる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤(例えば、Irganox1010(BASF社製))、イオウ系酸化防止剤(例えば、SUMILIZER TP−D(住友化学社製))及びリン系酸化防止剤等(例えば、Irgafos168(BASF社製)、JP−650(城北化学社製))を例示できる。
ワックスとしては、天然ろう(例えば、動物系ろう(みつろう、鯨ろう等)、植物系ろう(木ろう等)、石油系ろう(パラフィンワックス等)等)、及び、合成ろう{例えば、合成炭化水素(低分子ポリエチレン等)、脂肪酸エステル(ポリエチレングリコール等)等}を例示できる。
これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
<<各成分の含有量>>
ポリウレタンプレポリマー(I)の含有量は、組成物全体に対して、好ましくは80〜99.99質量%(より好ましくは95〜99.99質量%)である。
触媒(II)の含有量は、ポリウレタンプレポリマー(I)の種類によっても異なるが、組成物全体に対して、好ましくは0.01〜0.1質量%(より好ましくは0.01〜0.05質量%)である。
ポリオール成分(A)が、結晶性ポリエステルポリオール(a−1)と、ポリエーテルポリオール(a−2)とを含有する場合、ポリオール成分(A)における結晶性ポリエステルポリオール(a−1)の含有量は、ポリオール成分(A)全体に対して、10〜60質量%であることが好適であり、20〜40質量%とすることがより好適である。このような範囲とすることにより、適正な固化時間かつ、高い剥離強度を維持することが可能となる。
また、ポリオール成分(A)におけるポリエーテルポリオール(a−2)の含有量は、ポリオール成分(A)全体に対して、30〜80質量%であることが好適であり、40〜60質量%とすることがより好適である。このような範囲とすることにより、高い柔軟性と剥離強度の両立が可能となる。
なお、ポリオール成分(A)における、結晶性ポリエステルポリオール(a−1)の含有量とポリエーテルポリオール(a−2)の含有量との比は、20:80〜70:30であることが好適であり、30:70〜50:50であることがより好適である。
更に、ポリオール成分(A)におけるその他のポリオール(a−3)の含有量は、ポリオール成分(A)全体に対して30質量%以下であることが好適である。このような範囲とすることにより、耐湿熱老化性・剥離強度等の物性を満たすことが可能となる。なお、下限値は特に限定されないが、例えば、ポリオール成分(A)全体に対して5質量%以上である。
ポリイソシアネート成分(B)中、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(b−1)の含有量は、ポリイソシアネート成分(B)全体に対して、0.5質量%超、0.6質量%以上、0.7質量%以上、0.8質量%以上、0.9質量%以上または1質量%以上であり、10質量%以下である。カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(b−1)の配合量をこの範囲とすることで、組成物の粘度上昇を抑えつつも、変性した基団により接着剤の耐湿熱性および熱安定性を向上させることができる。中でも、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(b−1)の含有量を、ポリイソシアネート成分(B)全体に対して、1〜10質量%とすることが好ましい。
その他のポリイソシアネート(b−2)全体に対して、50質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上または100質量%がMDI(ピュアMDI)であることが好ましい。
<<<製造方法>>>
本発明に係るウレタンホットメルト接着剤組成物の製造方法は、公知の方法であればよく、製造されたウレタンホットメルト接着剤組成物が本発明の目的を損なわない限りにおいて、特に限定されない。例えば、以下のように製造することができる。
(1)所定量のポリオールの入った反応容器に、所定量のポリイソシアネートを滴下した後に加熱し、前記ポリイソシアネートの有するイソシアネート基が、前記ポリオールの有する水酸基に対して化学量論的に過剰となる条件で反応させ、ポリウレタンプレポリマー(I)を調製する。
(2)前記ポリウレタンプレポリマー(I)に触媒(II)を含むその他の成分を所定量滴下し、撹拌することで所望のウレタンホットメルト接着剤組成物を製造する方法が挙げられる。
前記反応は、例えば50〜120℃、好ましくは60〜100℃の温度で行われる。反応時間は例えば1〜15時間である。
<<<物性>>>
次に、本発明に係るホットメルト接着剤組成物の各物性について説明する。
<<VOC>>
本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、90℃で加熱したときに発生する有機揮発分の量がトルエン換算値で150ppm以下であることが好ましい。VOCをこの範囲とすることで車両シートの全製品に対して規制値を満たすことができる。
<<耐湿熱性>>
本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、耐湿熱性として、湿熱環境(80℃95%)で静置した際に、常態剥離強度に対して80%以上の剥離強度を維持可能な時間として評価される耐湿熱性が、400時間以上であることが好ましい。
<<熱安定性1(貯蔵安定性):中温/長期熱安定性>>
本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、アルミ袋に密封された状態で50℃3ヶ月間静置された状態で、NCO%の残存率(静置後のNCO%/静置前のNCO%×100)として評価される貯蔵安定性が、80%以上であることが好ましい。
<<熱安定性2:高温/短期熱安定性>>
本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、140℃で窒素雰囲気下の中、4時間加熱したホットメルト接着剤の粘度上昇率(試験後粘度/試験前粘度×100)として評価される熱安定性が、200%以下であることが好ましい。
<測定方法>
Brookfield社のブルックフィールドデジタル粘度計LVDV−I+に接続したローターNo.4を、円筒状ガラス容器中の140℃に加熱溶融した試料150±15gに入れ、粘度を測定した。試験前粘度は0時間後の粘度、試験後粘度は4時間後の粘度である。
<<常態剥離強度>>
本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、ウレタンフォームと表皮材を貼り合わせ、1日後の剥離強度として評価される常態剥離強度が、3N/25mm以上となることが好ましい。
<<<用途>>>
本発明に係るホットメルト接着剤組成物は、表皮材と基材を積層接着可能な反応型ホットメルト接着剤組成物である。特に、後述する特定の繊維状とした際に、風合い、通気性、及び浸み込み防止性に優れる接着剤層(硬化したホットメルト接着剤組成物からなる層)を形成する。従って、表皮材および基材が、樹脂発泡体、樹脂フィルム、合成皮革、天然皮革、織布又は不織布等、種類を問わずに適用可能である。また、基材がウレタン樹脂発泡体に対しても適用可能であるため、連続シートからなる基材と表皮材を積層接着する長尺製品に適用することや、通常の熱可塑性ホットメルト接着剤では適用することが困難な、車両用部材用(特に、車両内装用)とすることもできる。
<<<適用方法>>>
次に、本発明に係るホットメルト接着剤組成物の適用方法の一例について説明する。なお本例では、ホットメルト接着剤組成物を非接触方式(例えば、スプレー方式)を用いて、所定の粘着剤層となるように塗布する場合について説明するが、本発明に係るホットメルト接着剤組成物の適用方法はこれには限定されず、公知の方法により接着対象面に塗布されてもよい。
<<溶融工程>>
先ず、本発明に係るホットメルト接着剤組成物を加熱して溶融した状態で保持する(溶融工程)。通常、溶融工程においては水分非含有雰囲気とする必要がある。
<<塗布工程>>
次に、適宜の塗布方法(好ましくは非接触方式の塗布方法)により、溶融状態であるホットメルト接着剤組成物を、被接着物の接着対象面(好ましくは発泡体の表面)に対して塗布する。具体的な塗布時の形状としては特に限定されないが、例えば、線形状、ドット状、繊維状等に塗布し、接着剤層を形成すればよい。その他にも、シート状に接着剤層を形成してもよい。なお、接着剤層は、接着剤組成物の塗布量を、好ましくは5〜50g/m(より好ましくは10〜30g/m)等とすればよい。なお、接着対象面となる両方の面に接着剤組成物を塗布してもよい。
なお、具体的な塗布条件としては特に限定されず、例えば、上記のように非接触方式の塗布方法を使用する場合、圧力0.01〜0.4MPa、温度100〜160℃等にて行えばよい。
ここで、非接触方式の塗布方法とは、接着対象部材に塗布設備が接触することがなく接着剤組成物を塗布する方法であり、例えば、スプレー方式による塗布が挙げられる。
なお、塗布工程前に、接着対象面に公知の前処理(例えば、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理等)を行ってもよい。
<<接触工程、硬化工程>>
塗布工程後、接着剤層が設けられた接着対象面(塗布面)に他の部材を接触させ、ホットメルト接着剤組成物を冷却硬化させる。通常、前述のように、冷却硬化後、未硬化のイソシアネート末端が空気中の水分と反応し架橋構造を形成することで、より強固な接着性を発現する。
上記塗布工程に記載された方法にて、本発明に係るホットメルト接着剤組成物を塗布する場合、接着対象を問わずに接着可能である。具体的には、樹脂発泡体、樹脂フィルム、合成皮革、天然皮革、織布又は不織布であっても、風合い、通気性、接着性に優れると共に、接着対象への浸み込みを防止できる。特に、接着対象をウレタン樹脂発泡体とした場合においても、このような効果を奏する。
以上のようにして、本発明に係るホットメルト接着剤組成物の硬化物である接着層を有する積層体、特には、発泡体と当該発泡体の表面上に設けられた接着剤層とを有する積層体が得られる。なお積層体は、具体的な構成としては、基材であるウレタンフォームと、表皮材もしくは裏基布からなる積層体であることが好ましい。このような積層体は、好ましくは車両用内装材すなわち、基材である(発泡体からなる緩衝層の、裏面に裏基布層が形成された積層シートの表面に表皮層が貼着されてなる積層材(積層シート))として利用可能である。
次に、実施例及び比較例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらには何ら限定されない。
<<<ウレタンホットメルト接着剤組成物の製造>>>
以下、各実施例及び各比較例に係るウレタンホットメルト接着剤組成物の製造方法について述べる。
<<実施例1>>
ポリオール成分(A)を反応器へ投入し、ポリイソシアネート成分(B−1)を添加し、100℃にて3〜4時間反応させた後、OH基含有三級アミン触媒を添加してさらに1時間反応させ、NCO基含有率が2.0%であるウレタンプレポリマーを含むウレタンホットメルト接着剤組成物を得た。各成分の配合量は、ポリオール成分(A)が80質量部、ポリイソシアネート成分(B−1)が20質量部、アミン触媒が0.03質量部である。
<ポリオール成分(A)>
結晶性ポリエステルポリオール(セバシン酸/ブタンジオール)融点60℃
数平均分子量4000
40質量部
ポリプロピレングリコール 付加形式PO単独
数平均分子量2000
50質量部
ポリカーボネートジオール
数平均分子量1000
10質量部
<ポリイソシアネート成分(B−1)>
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
99質量部
カルボジイミド変性MDI
1質量部
<<実施例2>>
ポリイソシアネート成分(B−1)をポリイソシアネート成分(B−2)に変更した以外は実施例1と同様に、実施例2に係るウレタンホットメルト接着剤組成物を製造した。
<ポリイソシアネート成分(B−2)>
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
90質量部
カルボジイミド変性MDI
10質量部
<<比較例1>>
ポリイソシアネート成分(B−1)をポリイソシアネート成分(B−3)に変更した以外は実施例1と同様に、比較例1に係るウレタンホットメルト接着剤組成物を製造した。
<ポリイソシアネート成分(B−3)>
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
100質量部
<<比較例2>>
OH基含有三級アミン触媒を、高分子量型三級アミン触媒(主成分:N,N’−ジメチルドデシルアミン)に変更した以外は実施例1と同様に、比較例2に係るウレタンホットメルト接着剤組成物を製造した。
<<比較例3>>
ポリイソシアネート成分(B−1)をポリイソシアネート成分(B−4)に変更した以外は実施例1と同様に、比較例3に係るウレタンホットメルト接着剤組成物を製造した。
<ポリイソシアネート成分(B−4)>
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
99.5質量部
カルボジイミド変性MDI
0.5質量部
<<比較例4>>
ポリイソシアネート成分(B−1)をポリイソシアネート成分(B−5)に変更した以外は実施例1と同様に、比較例1に係るウレタンホットメルト接着剤組成物を製造した。
<ポリイソシアネート成分(B−5)>
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
89質量部
カルボジイミド変性MDI
11質量部
<<<評価>>>
次に、上記にて得られた各ホットメルト接着剤組成物について、具体的に以下の方法により評価を行った。評価結果を表1に示す。
<<VOC>>
加熱脱着装置(Markes社 TD−100)のガラスチューブにホットメルト接着剤を直接入れ、アウトガスをGC/MS(Agilent 社 GC/MS(6890/5973))で測定した。試料は90℃で30分加熱し、C20までをトルエン換算値で算出した。測定結果が150ppm以下の場合、合格と判定される。
<<耐湿熱性>>
ウレタンフォーム(150×25×5mm)にハンドガン(REKA社製)で140℃に溶融したホットメルト接着剤を20g/mでスプレー塗布し、表皮材を圧着する。3日後に、80℃95%環境下で静置させ、100時間毎に剥離強度を測定する。常態剥離強度から80%維持できた時間までを測定した。測定結果が400時間以上の場合、合格と判定される。常態剥離強度は、以下の方法で測定した。
<常態剥離強度>
ウレタンフォーム(150×25×5mm)にハンドガン(REKA社製)で140℃に溶融したホットメルト接着剤を20g/mでスプレー塗布し、表皮材を圧着する。1日後にオートグラフ(島津社製 AG−Xplus)を用いて、引張速度200mm/minにて測定した。最大値・最小値それぞれ3点の剥離強度を平均化した数値を、N=3の中央値で算出した。
<<貯蔵安定性>>
ホットメルト接着剤(12.5g)をアルミ袋(容積110cc)に入れ、密封状態で50℃3ヶ月間静置させ、NCO%の減少率を測定した。測定結果が80%以上の場合、合格と判定される。
<<熱安定性>>
140℃で窒素雰囲気下の中、4時間加熱した後のホットメルト接着剤の粘度上昇率を測定した。測定結果が200%以下の場合、合格と判定される。
Figure 2020076018

Claims (9)

  1. ポリオール成分(A)およびポリイソシアネート成分(B)を原料とするウレタンプレポリマー(I)と、触媒(II)と、を含有するウレタンホットメルト接着剤組成物であり、
    前記ポリイソシアネート成分(B)は、ポリイソシアネート成分(B)全体に対して、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートを0.5質量%超10質量%以下含み、
    前記触媒(II)は、イソシアネート基と反応する官能基を有する反応型触媒を含有することを特徴とする、低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物。
  2. 前記反応型触媒は、前記イソシアネート基と反応する官能基を1つ有し、三級アミン構造をもつ触媒である、請求項1に記載の低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物。
  3. 前記ポリオール成分(A)は、炭素数10〜12の脂肪族ジカルボン酸と炭素数4〜6の脂肪族ジオールの縮合反応からなる結晶性ポリエステルポリオール(a−1)と、ポリエーテルポリオール(a−2)とを含有し、
    前記ポリオール成分(A)における前記ポリエーテルポリオール(a−2)の含有量が前記ポリオール成分(A)100質量%に対して30〜80質量%である、請求項1又は2に記載の低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物。
  4. 前記結晶性ポリエステルポリオール(a−1)は、数平均分子量が1000〜5000の範囲内である、請求項3に記載の低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物。
  5. 前記ポリエーテルポリオール(a−2)は、数平均分子量が1000〜4000の範囲内である、請求項3又は4に記載の低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物。
  6. 前記ポリオール成分(A)は、非晶性ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及び分子量500以下の低分子ジオールからなる群より選択される1つ以上のポリオールであるポリオール(a−3)を更に含有する、請求項3〜5のいずれかに記載の低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物。
  7. 前記ポリオール(a−3)の含有量が、前記ポリオール成分(A)100質量%に対して30質量%以下である、請求項6に記載の低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物。
  8. 90℃で加熱したときに発生する有機揮発分の量がトルエン換算値で150ppm以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物。
  9. 発泡体、天然皮革、合成皮革、フィルム、織布及び不織布を有する車両用部材用である、請求項1〜8のいずれかに記載の低アウトガス性ウレタンホットメルト接着剤組成物。

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