JP2020075227A - 二軸混合機及び攪拌羽根洗浄方法 - Google Patents

二軸混合機及び攪拌羽根洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】攪拌羽根のウラ面に付着した被混合物も洗い落とすことができる二軸混合機をできるだけ簡素な構造で提供する。【解決手段】被混合物を入れるための混合槽90と、軸線L1を回転中心とする螺旋面状の第一攪拌羽根10と、軸線L2を回転中心とする螺旋面状の第二攪拌羽根20とを備え、攪拌羽根10,20を正回転させると、攪拌羽根10,20によって被混合物が混合槽30内を矢印B1,B2,B3,B4の向きに循環移動されながら混合されるようにした二軸混合機において、混合槽30内に洗浄水を溜めた状態で攪拌羽根10,20を正回転させながら攪拌羽根10,20を洗浄する正回転洗浄モードの後に、攪拌羽根10,20を逆回転させながら攪拌羽根10,20を洗浄する逆回転洗浄モードを実行するようにした。【選択図】 図2

Description

本発明は、略平行な一対の攪拌羽根で被混合物を混合する二軸混合機と、その攪拌羽根を洗浄する攪拌羽根洗浄方法とに関する。
生コンクリートのように粘性を有する材料(粘性材料)を短時間で均質に混合しようとすると、その材料(被混合物)を混合槽内で大きく循環移動させながら混合する必要がある。また、生コンクリートを混合する場合には、一般的に、砂利(粗骨材)、砂(細骨材)、セメント(凝固材)及び水からなる原料を混合するところ、これらの原料のうち、砂やセメント粒子等、粒径の小さな原料(微粒子)は、凝集体を形成しやすい。これらの微粒子が凝集体のまま残ってしまうと、得られる生コンクリートの品質が低下するため、生コンクリート等の被混合物を混合する際には、被混合物を剪断し、原料に含まれる微粒子の凝集体をバラバラに分散させることも要求される。
このことに着目して、本出願人は、特許文献1の図1に示すように、回転軸芯B1,B2を中心としてそれぞれ逆向きに回転する一対の撹拌羽根2a,2b(同文献では「攪拌具2a,2b」と記載)を備えた二軸混合機であって、撹拌羽根2a,2bのそれぞれを、螺旋面状を為す混練羽根3と、混練羽根3とは逆向きの螺旋面状を為す切返し羽根4とで構成したものを開発した。この二軸混合機において、一方の撹拌羽根2aを構成する切返し羽根4は、他方の撹拌羽根2bを構成する混練羽根3と隣り合うように配し、他方の撹拌羽根2bを構成する切返し羽根4は、一方の撹拌羽根2aを構成する混練羽根3と隣り合うように配している。これにより、混合槽1(同文献では「攪拌槽1」と記載)内に投入された被混合物を大きく循環移動させる(同文献の図1における符号「Z」で示される矢印を参照。)ことが可能となっている。また、混練羽根3の外端面と混合槽1の内底面との隙間や、切返し羽根4の外端面と混合槽1の内底面との隙間に被混合物を入り込ませることにより、被混合物を剪断し、被混合物の練り効果を向上することも可能となっている。
特開2006−346510号公報
上記のように、混合槽内の被混合物を一対の攪拌羽根で混合する二軸混合機では、粘性材料を効率的に混合することができる。しかし、この種の二軸混合機では、攪拌羽根に被混合物が付着した状態のまま長時間放置しておくと、被混合物が硬化してしまい、その二軸混合機で次に被混合物を混合する際に攪拌羽根を回転させても、そのとき混合している被混合物が、それ以前に硬化した被混合物に引っ掛かって上記のように循環移動しなくなり、所望の混合効果が得られなくなる虞があった。被混合物の硬化の態様によっては、攪拌羽根を回転させること自体ができなくなる可能性もあり、その場合に攪拌羽根を無理に回転しようとすると、二軸混合機が故障する虞もある。このため、二軸混合機を使用した後には、その攪拌羽根(混練羽根や切返し羽根)等をしっかりと洗浄する必要がある。
二軸混合機における攪拌羽根の洗浄方法としては、例えば、混合槽内に洗浄水を溜めた状態で、攪拌羽根を正回転(被混合物を上記のように循環移動させる向きに回転)させることで、攪拌羽根等を水洗いする方法が挙げられる。しかし、生コンクリート等の粘性材料は、攪拌羽根等に粘着しやすいことから、上記の水洗いを行っただけでは、攪拌羽根等に付着した被混合物を十分に洗い落とすことができなかった。特に、上記のように、攪拌羽根を正回転させる洗浄態様では、攪拌羽根のオモテ面(混合時に循環移動される被混合物を移送方向に押す側の面。以下同じ。)に付着した被混合物についてはある程度洗い落とすことができたとしても、攪拌羽根のウラ面(上述したオモテ面とは反対側の面。以下同じ。)に付着した被混合物についてはなかなか洗い落とすことができなかった。
このため、従来の二軸混合機では、混合槽に洗浄水を溜めた状態で攪拌羽根を正回転させて攪拌羽根を一次洗浄した後、洗浄ガン等を用いて高圧の洗浄水を攪拌羽根等に噴射する二次洗浄を行うことで、一次洗浄では落としきれなかった被混合物を洗い落とすことが行われている。ところが、洗浄ガンによる手作業での洗浄作業は、手間と時間(通常、1台の二軸混合機につき、30〜60分程度)を要する。この点、従来の二軸混合機のなかには、図示しない二軸混合機カバーに取り付けられた洗浄ガンを機械的に自動操作するようにした機種も見受けられる。しかし、この場合には、洗浄ガンを制御するための機構を二軸混合機に組み込む必要があり、二軸混合機が大掛かりで高価なものになるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、攪拌羽根のオモテ面に付着した被混合物だけでなく、攪拌羽根のウラ面に付着した被混合物も洗い落とすことができる二軸混合機をできるだけ簡素な構造で提供することを目的とするものである。また、この二軸混合機で攪拌羽根を洗浄する攪拌羽根洗浄方法を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、
被混合物を入れるための混合槽と、
略水平な軸線Lを回転中心として回転可能な状態で混合槽内に配された螺旋面状の第一攪拌羽根と、
軸線Lに略平行な軸線Lを回転中心として回転可能な状態で混合槽内に配された螺旋面状の第二攪拌羽根と
を備え、
第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を、被混合物を混合する向きに回転(以下、「正回転」という。)させると、
第一攪拌羽根によって、被混合物が軸線L方向一側から軸線L方向他側に移送されて第二攪拌羽根側に移送された後、
第二攪拌羽根によって、被混合物が軸線L方向他側から軸線L方向一側に移送されて第一攪拌羽根側に移送されるようにし、
以下、この被混合物の移送が繰り返されることで、被混合物が混合槽内を循環移動しながら混合されるようにした
二軸混合機であって、
混合槽内に洗浄水を溜めた状態で第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を正回転させながら第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を洗浄する正回転洗浄モードの後に、
第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を正回転とは逆向きに回転(以下、「逆回転」という。)させながら第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を洗浄する逆回転洗浄モードを実行することができるようにした
ことを特徴とする二軸混合機
を提供することによって解決される。
このように、混合槽内に洗浄水を溜めた状態で第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を正回転させながら第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を洗浄する正回転洗浄モードを行った後に、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を逆回転させながら第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を洗浄する逆回転洗浄モードを行うことにより、攪拌羽根のオモテ面に付着した被混合物だけでなく、攪拌羽根のウラ面に付着した被混合物も洗い落とすことが可能になる。加えて、本発明の二軸混合機では、構造的には、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を逆回転できるようにするという簡単な変更のみで実現することが可能になる。
ただし、二軸混合機において、螺旋面状を為す第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根は、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を正方向に回転させた際に、被混合物が上記のように循環移動する形状に設計されており、逆回転させることを想定した形状には設計されていない。すなわち、後で詳しく説明するように、第一攪拌羽根を逆回転させると、第一攪拌羽根のウラ面側にある被混合物が、軸線L方向他側から軸線L方向一側へと移送(上記の循環方向とは逆向きに移送)されて、混合槽の一側の内壁面(軸線L方向一側に配されて軸線L方向他側を向く内壁面)に押し付けられるようになる。また、第二攪拌羽根を逆回転させると、第二攪拌羽根のウラ面側にある被混合物が、軸線L方向一側から軸線L方向他側へと移送(上記の循環方向とは逆向きに移送)されて、混合槽の他側の内壁面(軸線L方向他側に配されて軸線L方向一側を向く内壁面)に押し付けられるようになる。
このため、逆回転洗浄モードを行うと、第一攪拌羽根における軸線L方向一側の端部周辺のウラ面と混合槽の一側の内壁面との隙間や、第二攪拌羽根における軸線L方向他側の端部周辺のウラ面と混合槽の他側の内壁面との隙間に、被混合物が噛み込んでしまい、最悪の場合には、二軸混合機が故障する虞もある。したがって、本発明の二軸混合機においては、逆回転洗浄モードを行う際に第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根のウラ面側にある被混合物を第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根のオモテ面側に逃がすための逃し用開口部を、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根に設けることが好ましい。これにより、逆回転洗浄モードを行う際に、上記の隙間に被混合物が噛み込みにくくすることが可能になる。
この逃し用開口部は、被混合物の噛み込み防止に寄与するだけでなく、正回転洗浄モードや逆回転洗浄モードにおける第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の洗浄を効率的に行うことも可能にする。すなわち、正回転洗浄モードにおいては、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根のオモテ面側に存在する洗浄水を、逃し用開口部を通じて第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根のウラ面側に導き、その洗浄水で第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根のウラ面側を洗浄することが可能になる。また、逆回転洗浄モードにおいては、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根のウラ面側に存在する洗浄水を、逃し用開口部を通じて第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根のオモテ面側に導き、その洗浄水で第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根のオモテ面側を洗浄することが可能になる。
上記のように、正回転洗浄モードにおいて、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根のウラ面側も洗浄できるということは、逆回転洗浄モードにおいて、第一攪拌羽根のウラ面と混合槽の一側の内壁面との隙間や、第二攪拌羽根のウラ面と混合槽の他側の内壁面との隙間に噛み込み得る被混合物を予め洗い落とすことができることになり、逆回転洗浄モードにおける被混合物の噛み込みをより確実に防止できるという点でも有利である。
逃し用開口部を設ける箇所は、特に限定されないが、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の外縁部近傍に設けることが好ましい。というのも、回転している第一攪拌羽根や第二攪拌羽根の周囲にある被混合物は、その回転の遠心力によって軸線L及び軸線Lに近い側(第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の内縁側)から遠い側(第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の外縁側)に移動してくる。このとき、あまりに大量の被混合物が第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の外縁部近傍まで移動してくると、その被混合物が第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の外縁部近傍で圧縮され、場合によっては、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の外縁部と混合槽の内底面との隙間に被混合物が噛み込む虞がある。この点、逃し用開口部を第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の外縁部近傍に設けることで、被混合物が第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の外縁部近傍で圧縮されないようにして、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の外縁部と混合槽の内底面との隙間に被混合物が噛み込みにくくすることが可能になる。
逃し用開口部の寸法は、被混合物の種類等によっても異なり、特に限定されない。しかし、逃し用開口部の寸法が小さすぎると、被混合物が逃し用開口部に詰まって逃し用開口部がその機能を発揮できなくなる虞がある。また、生コンクリートの原料のうち、寸法が最大のものは、通常、砂利である。生コンクリートの原料として使用される砂利は、寸法が大きいものでは粒径が40mm程度あることがある。このため、二軸混合機を生コンクリートの混合にも適したものとすることを考慮するならば、逃し用開口部の寸法は、40mm角以上とすることが好ましい。逃し用開口部の寸法の上限も、特に限定されない。しかし、逃し用開口部の寸法が大きすぎると、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根における広い範囲を逃し用開口部が占めるようになり、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根で被混合物を循環移送しにくくなる虞がある。このため、逃し用開口部の寸法は、300mm角以下とすることが好ましい。
逃し用開口部の数も特に限定されないが、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の螺旋に沿った複数個所に逃がし用開口部を設けることが好ましい。これにより、上述した被混合物の噛み込み(特に、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の外縁部と混合槽の内底面との隙間への被混合物の噛み込み)をより確実に防止することが可能になる。
本発明の二軸混合機において、正回転洗浄モードから逆回転洗浄モードへの切り替えは、手動により行われるようにしてもよいが、プログラム等で自動的に行われるようにすることが好ましい。これにより、二軸混合機の近くに人が付いていなくても、第一攪拌羽根や第二攪拌羽根を洗浄することができ、第一攪拌羽根や第二攪拌羽根の洗浄に要する手間を軽減することが可能になる。
以上のように、本発明によって、攪拌羽根のオモテ面に付着した被混合物だけでなく、攪拌羽根のウラ面に付着した被混合物も洗い落とすことができる二軸混合機を簡素な構造で提供することが可能になる。また、この二軸混合機で攪拌羽根を洗浄する攪拌羽根洗浄方法を提供することも本発明の目的である。
本発明の二軸混合機を右上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。 本発明の二軸混合機を上方から見た状態を示した図である。 本発明の二軸混合機を、図2におけるY−Y面で切断した状態を示した断面図である。 本発明の二軸混合機における混練羽根と切返し羽根との動作を説明する図である。 本発明の二軸混合機における第一攪拌羽根を左上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。 本発明の二軸混合機における第一攪拌羽根から第一混練羽根を外して分解した状態を左上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。 本発明の二軸混合機における外側羽根及び内側羽根を螺旋方向に垂直な面で切断した状態を示した断面図である。 本発明の二軸混合機において第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を洗浄する手順の一例を示したフロー図である。
本発明の二軸混合機の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。後掲する図1〜6には、x軸、y軸及びz軸を示している。x軸、y軸及びz軸の向きは、異なる図であっても、互いに一致させている。以下においては、説明の便宜上、x軸方向正側を「右」側、x軸方向負側を「左」側、y軸方向正側を「後」側、y軸方向負側を「前」側、z軸方向正側を「上」側、x軸方向負側を「下」側と呼んでいる。
図1は、本発明の二軸混合機を右上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。本発明の二軸混合機は、図1に示すように、混合槽30と、第一攪拌羽根10と、第二攪拌羽根20とを備えている。混合槽30は、その上面部が開放された箱状の部材となっており、開放された上面部からその内部に被混合物を投入することができるようになっている。混合槽30の底部には、混合槽30内で混合を終えた被混合物を混合槽30外へ送出するための被混合物送出口(図示省略)が、開閉可能な状態で設けられている。
第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20は、混合槽30内に投入された被混合物を攪拌混合するためのものであり、左右方向(x軸方向)に所定間隔を隔てて略平行に配されている。第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20は、軸状を為す前端部10a,20aを図示省略のベアリング(混合槽30の前壁部31の外側に配したベアリング)で軸支しており、同じく軸状を為す後端部10b,20bを図示省略のベアリング(混合槽30の後壁部32の外側に配したベアリング)で軸支している。第一攪拌羽根10の後端部10b及び第二攪拌羽根20の後端部20bは、混合槽30の外部に設けられた回転駆動手段(図示省略)に連結されている。このため、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20は、それぞれ、前後方向に平行な軸線L及び軸線Lを回転中心として同じ速さで回転するようになっている(図1における矢印A及び矢印Aを参照。)。
ただし、第一攪拌羽根10が回転する方向と、第二攪拌羽根10が回転する方向とは、常に逆向きとなるようになっている。すなわち、第一攪拌羽根10が軸線Lを中心として矢印A1+の向きに回転する(y軸方向負側から見たときに、軸線Lを中心として反時計方向に回転する)ときには、第二攪拌羽根20は、軸線Lを中心として矢印A2+の向きに回転する(y軸方向負側から見たときに、軸線Lを中心として時計方向に回転する)ようになっている。一方、第一攪拌羽根10が軸線Lを中心として矢印A1−の向きに回転する(y軸方向負側から見たときに、軸線Lを中心として時計方向に回転する)ときには、第二攪拌羽根20は、軸線Lを中心として矢印A2−の向きに回転する(y軸方向負側から見たときに、軸線Lを中心として反時計方向に回転する)ようになっている。
以下においては、第一攪拌羽根10における矢印A1+の向きへの回転と、第二攪拌羽根20における矢印A2+の向きへの回転を、「正回転」と呼び、第一攪拌羽根10における矢印A1−の向きへの回転と、第二攪拌羽根20における矢印A2−の向きへの回転を、「逆回転」と呼ぶ。本発明の二軸混合機において、混合槽30内の被混合物を混合する際には、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20は、いずれも正回転される。本発明の二軸混合機において、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20は、正回転するだけでなく逆回転することもできる構造となっている。このため、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を回転駆動する回転駆動手段としては、正逆回転が可能なもの(正逆回転モーター等)が用いられる。
図2は、本発明の二軸混合機を上方から見た状態を示した図である。図2に示すように、第一攪拌羽根10は、第一攪拌羽根10における後端部10b付近から前後方向中央部分よりもやや前端部10a寄りの部分に至るまで、軸線Lを中心線とする螺旋面状に連なる第一混練羽根11と、第一攪拌羽根10における中央部分よりもやや前端部10a寄りの部分から前端部10a付近に至るまで、軸線Lを中心線とする螺旋面状に連なる第一切返し羽根12とを有している。第一混練羽根11が為す螺旋面と第一切返し羽根12が為す螺旋面は、その旋回方向が逆向きになっている。
一方、第二攪拌羽根20は、第二攪拌羽根20における前端部20a付近から前後方向中央部分よりもやや後端部20b寄りの部分に至るまで、軸線Lを中心線とする螺旋面状に連なる第二混練羽根21と、第二攪拌羽根20における中央部分よりもやや後端部20b寄りの部分から後端部20b付近に至るまで、軸線Lを中心線とする螺旋面状に連なる第二切返し羽根22とを有している。第二混練羽根21が為す螺旋面の旋回方向(軸線Lを中心とした旋回方向)は、上記の第一混練羽根11が為す螺旋面の旋回方向(軸線Lを中心とした旋回方向)とは同じであるものの、第二切返し羽根22が為す螺旋面の旋回方向(軸線Lを中心とした旋回方向)とは逆向きになっている。
このため、上記のように、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20が正回転する(第一攪拌羽根10が矢印A1+の向きに回転し、第二攪拌羽根20が矢印A2+の向きに回転する)と、混合槽30内の被混合物は、第一攪拌羽根10と第二攪拌羽根20とによって、図2における矢印B,B,B,Bの向きに循環移送されるようになっている。矢印Bの移送は、主に、第一混練羽根11が担い、矢印Bの移送は、主に、第一切返し羽根12が担い、矢印Bの移送は、主に、第二混練羽根21が担い、矢印Bの移送は、主に、第二切返し羽根22が担っている。
ところで、第一攪拌羽根10を構成する第一混練羽根11及び第一切返し羽根12を、軸線Lに沿って直線状に延びるシャフトの外周部に取り付けた構造を採用すると、そのシャフトが被混合物の上記の循環移動を阻害する虞がある。同様に、第二攪拌羽根20を構成する第二混練羽根21及び第二切返し羽根22を、軸線Lに沿って直線状に延びるシャフトの外周部に取り付けた構造を採用すると、そのシャフトが被混合物の上記の循環移動を阻害する虞がある。被混合物の循環移動が阻害されると、被混合物の混合効率が低下する。
この点、本実施態様の二軸混合機における第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20はいずれも、上記のような直線状のシャフト(軸線L又は軸線Lに沿って延びる直線状のシャフト)を有さない構造となっている。すなわち、第一攪拌羽根10は、図5に示す形態を有しているところ、第一攪拌羽根10を構成する第一混練羽根11及び第一切返し羽根12は、図6に示すように、螺旋アーム13に対して取り付けるようになっている。図5は、本発明の二軸混合機における第一攪拌羽根10を左上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。図6は、本発明の二軸混合機における第一攪拌羽根10から第一混練羽根11を外して分解した状態を左上斜め前方から見た状態を示した斜視図である。
図6に示すように、螺旋アーム13は、その後端側の混練羽根取付け部13aと、その前端側の切返し羽根取付け部13bと、混練羽根取付け部13aの前端部と切返し羽根取付け部13bの後端部とを軸線Lに略垂直な方向に連結する連結部13cとで構成されている。混練羽根取付け部13aは、第一混練羽根11を取り付けるための部分となっており、螺旋状に形成されている。切返し羽根取付け部13bは、第二混練羽根12を取り付けるための部分となっており、混練羽根取付け部13aとは逆向きの螺旋状に形成されている。第二攪拌羽根20については、特に図示していないが、第二攪拌羽根20は、第一攪拌羽根10の前後を逆転させた構造を有している。第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20をこのような構造としたことによって、被混合物の上記の循環移動が効率的に行われるようになっている。
本発明の二軸混合機で混合する被混合物は、その種類を特に限定されない。しかし、二軸混合機では、被混合物を混合槽30内で大きく循環移動させながら混合することができることに加えて、後述するように、被混合物の粘性が高く、被混合物中に含まれる微粒子の凝集体が形成されやすい場合であっても、その凝集体を剪断して細化しながら混合することができ、被混合物の練りを効率的に行うことが可能になる。このため、本発明の二軸混合機は、粘性材料を含む被混合物を混合する場合に好適に使用することができる。このような被混合物としては、高流動コンクリートや高強度コンクリート等が例示される。
図3は、本発明の二軸混合機を、図2におけるY−Y面で切断した状態を示した断面図である。混合槽30の下壁部(底壁部)33は、図3に示すように、2つの円筒面状部33a,33bを連続させた形状を為している。一方の円筒面状部33aは、第一攪拌羽根10の回転中心である軸線Lを中心とした円筒面状に形成されており、他方の円筒面状部33bは、第二攪拌羽根20の回転中心である軸線Lを中心とした円筒面状に形成されている。軸線L,Lを中心として回転する羽根11,12,21,22が混合槽30の底壁部33に干渉しないようにしながらも、円筒面状部33a,33bの内周面付近に付着する被混合物に羽根11,12,21,22が届くように、各羽根11,12,21,22の外半径は、円筒面状部33a,33bの内半径よりも僅かに小さく設定される。
図4は、本発明の二軸混合機における第一切返し羽根12と第二混練羽根21との動作を説明する図である。図4は、y軸に垂直な断面で示してあり、一部の部材を省略して示している。また、第一切返し羽根12及び第二混練羽根21は、模式化して描いている。さらに、図4に描かれている小さな多数の白丸は、被混合物90を示しているが、この被混合物90も模式化して描いている。さらに、被混合物90は、概ね、図4において太破線で示した曲線Lよりも下側に存在するところ、図示の便宜上、上記の白丸(被混合物90を示す白丸)は、説明に必要な部分を除いて図示を省略している。
図4に示すように、第一切返し羽根12が円筒面状部33aの最下点Pを通過するタイミングと、第二混練羽根21が円筒面状部33bの最下点Pを通過するタイミングはズレており、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20が正回転する際には、第一切返し羽根12が最下点Pを通過するよりも前に、第二混練羽根21が最下点Pを通過するようになっている。このとき、第二混練羽根21の周囲の被混合物90は、第二混練羽根21のオモテ面側(A2+側)では、第二混練羽根21によって圧縮されて圧力が高まった状態になる一方、第二混練羽根21のウラ面側(A2−側)では、圧力が低くなった状態になる。同様に、第一切返し羽根12の周囲の被混合物90は、第一切返し羽根12のオモテ面側(A1+側)では第一切返し羽根12によって圧縮されて圧力が高まった状態になる一方、第一切返し羽根12のウラ面側(A1−側)では圧力が低くなった状態になる。
このような状況のもと、図4に示す状態から、第二混練羽根21が正回転側(A2+側)に45°程度回転して、第一切返し羽根12も正回転側(A1+側)に45°程度回転し、第二混練羽根21の外端がx軸方向負側を向いた際には、第二混練羽根21の下側(z軸方向負側)は、被混合物90の圧力が低い状態になっている。このタイミングで、第一切返し羽根12のオモテ面側(A1+側)にある圧力の高い被混合物90が、第二混練羽根21の下側に入ってくるため、第一切返し羽根12のオモテ面側(A1+側)にある被混合物90が、第二混練羽根21側に自然と流れ込むようになる。これにより、上述した循環移送における矢印Bの移送が行われる。上述した循環移送における矢印Bの移送が行われる理由も、これと略同様である。
以上のように、本発明の二軸混合機では、粘性の高い被混合物を効率的に混合することができるが、被混合物の粘性が高いと、被混合物が第一攪拌羽根10や第二攪拌羽根20に付着しやすい。第一攪拌羽根10や第二攪拌羽根20に付着した被混合物をそのまま放置すると、被混合物が硬化して、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を正回転させても、被混合物が上記のように循環移動しなくなり、所望の混合効果が得られなくなる虞がある。また、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20が破損する虞や、それらを回転駆動する回転駆動手段が故障する虞もある。この点、本発明の二軸混合機では、その使用後(被混合物を混合した後)に、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を洗浄し、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20に付着した被混合物(残留物)を洗い落とすことができるようになっている。
図8は、本発明の二軸混合機において第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を洗浄する手順の一例を示したフロー図である。本実施態様の二軸混合機では、図8に示すように、第一洗浄水貯留工程S1と、正回転洗浄工程S2と、第一洗浄水排出工程S3と、第二洗浄水貯留工程S4と、逆回転洗浄工程S5と、第二洗浄水排出工程S6とを経て、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を洗浄するようになっている。ただし、以下で述べる構成は、飽くまで一例であり、適宜変更を施すことができる。例えば、以下においては、「第一洗浄水貯留工程S1を終えると、続いて、正回転洗浄工程S2が実行される。」とあるが、正回転洗浄工程S2は、第一洗浄水貯留工程S1と並行して行ってもよい。また、以下においては、「第二洗浄水貯留工程S4を終えると、続いて、逆回転洗浄工程S5が実行される。」とあるが、逆回転洗浄工程S5は、第二洗浄水貯留工程S4と並行して行ってもよい。
第一洗浄水貯留工程S1は、それに続く正回転洗浄工程S2において第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を洗浄する洗浄水を混合槽30内に貯留する工程となっている。この第一洗浄水貯留工程S1は、混合槽30内での被混合物の混合を終え、上記の被混合物送出口を通じて混合槽30から被混合物を送出した後に実行される。第一洗浄水貯留工程S1を実行する際には、混合槽30における被混合物送出口は、閉じられた状態とされる。洗浄水は、図3における直線L近傍の高さまで貯留される。第一洗浄水貯留工程S1を終えると、続いて、正回転洗浄工程S2が実行される。
正回転洗浄工程S2は、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を正回転させながら第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を洗浄する工程である。この正回転洗浄工程S2は、混合槽30内に洗浄水を溜めたままの状態(第一洗浄水貯留工程S1で混合槽30内に溜めた洗浄水を抜かない状態)で実行される。これにより、混合槽30内の洗浄水で、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20が洗浄される。正回転洗浄工程S2を行っていると、混合槽30内の洗浄水が減ることがあるが、このような場合には、正回転洗浄工程S2を行っている途中でも、洗浄水を足すとよい。
この正回転洗浄工程S2では、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20が正回転されるため、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のウラ面側よりもオモテ面側に水圧が掛かりやすい状況となっている。このため、正回転洗浄工程S2では、主に、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のオモテ面に付着した被混合物(残留物)が洗い落とされる。
正回転洗浄工程S2における第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の回転速度は、特に限定されないが、遅すぎると、洗浄作用が低下する虞がある。このため、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の回転速度は、10rpm以上とすることが好ましい。第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の回転速度は、20rpm以上とすることがより好ましく、25rpm以上とすることがさらに好ましい。
一方、正回転洗浄工程S2における第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の回転速度が速すぎると、混合槽30内の洗浄水が二軸混合機の周辺に飛散する虞がある。また、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を回転駆動する回転駆動手段の機械的振動が大きくなる虞もある。このため、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の回転速度は、55rpm以下とすることが好ましい。第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の回転速度は、45rpm以下とすることがより好ましく、40rpm以下とすることがさらに好ましい。
正回転洗浄工程S2を実行する時間は、被混合物の種類等によっても異なり、特に限定されないが、通常、5〜15分程度とされる。正回転洗浄工程S2を終えると、続いて、第一洗浄水排出工程S3が実行される。
第一洗浄水排出工程S3は、正回転洗浄工程S2で第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の洗浄に使用された洗浄水を混合槽30内から排出する工程である。上記の正回転洗浄工程S2を終えた状態にあっては、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20から洗い落とされた被混合物が洗浄水中に含まれた状態となっているが、この洗い落とされた被混合物を洗浄水とともに混合槽30外へと排出する。これにより、後述する逆回転洗浄工程S5を清浄な洗浄水を用いて行うことが可能になる。この第一洗浄水排出工程S3は、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の回転を止めた状態で行ってもよいが、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を回転させながら行うと、第一洗浄水排出工程S3を行っているときでも、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を洗浄することが可能になる。この場合においては、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を正回転させると、混合槽30の底部に溜まった状態の被混合物を第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20でかき集めながら、被混合物送出口まで運ぶことが可能になる。
本実施態様の二軸混合機では、第一洗浄水排出工程S3における洗浄水の排出を、上記の被混合物送出口を通じて行うようになっているが、これとは別に設けた洗浄水送出口を通じて行うようにしてもよい。混合槽30内の洗浄水が排出され、第一洗浄水排出工程S3を終えると、続いて、第二洗浄水貯留工程S4が実行される。
第二洗浄水貯留工程S4は、それに続く逆回転洗浄工程S5において第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を洗浄する洗浄水を混合槽30内に貯留する工程となっている。洗浄水は、図3における直線L近傍の高さまで貯留される。このように、逆回転洗浄工程S5で使用する洗浄水を入れ替えることにより、逆回転洗浄工程S5における洗浄効果を高めることができる。
ただし、被混合物の種類や、正回転洗浄工程S2を終えたときの洗浄水の状態等によっては、上記の第一洗浄水排出工程S3やこの第二洗浄水貯留工程S4を省略し、正回転洗浄工程S2で使用した洗浄水を逆回転洗浄工程S5で使い回すこともできる。第二洗浄水貯留工程S4を終えると、続いて、逆回転洗浄工程S5が実行される。
逆回転洗浄工程S5は、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を逆回転させながら第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を洗浄する工程である。この逆回転洗浄工程S5は、混合槽30内に洗浄水を溜めたままの状態(第二洗浄水貯留工程S4で混合槽30内に溜めた洗浄水を抜かない状態)で実行される。これにより、混合槽30内の洗浄水で、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20が洗浄される。正回転洗浄工程S2を行っているときと同様、逆回転洗浄工程S5を行っているときにも、混合槽30内の洗浄水が減ることがあるが、このような場合には、逆回転洗浄工程S5を行っている途中でも、洗浄水を足すとよい。
この逆回転洗浄工程S5では、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20が逆回転されるため、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のオモテ面側よりもウラ面側に水圧が掛かりやすい状況となっている。このため、逆回転洗浄工程S5では、主に、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のウラ面に付着した被混合物(残留物)が洗い落とされる。この逆回転洗浄工程S5を行うことによって、洗浄ガン等を用いた高圧の洗浄水による洗浄を別途行わなくても、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20に付着した被混合物を綺麗に洗い落とすことが可能となっている。したがって、洗浄ガン等を制御する機構を図示しない二軸混合機カバーに組み込む必要がなく、コストを抑えることができる。
逆回転洗浄工程S5における第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の回転速度は、特に限定されないが、通常、正回転洗浄工程S2における第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の回転速度と同程度とされる。ただし、既に述べたように、螺旋面状を為す第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20は、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を正方向に回転させた際に、被混合物が循環移動する形状に設計されており、逆回転させることを想定した形状には設計されていない。
このため、逆回転洗浄工程S5において、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を最初から高速で回転させると、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20と混合槽との間に被混合物が噛み込む等の不具合が生じる虞がある。したがって、逆回転洗浄工程S5は、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の回転速度を、低速から徐々に高めるようにすることもできる。このような回転速度の制御は、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を回転駆動する回転駆動手段として、インバータ機能を備えたもの(インバータ駆動用モーター等)を使用することで実現することができる。
逆回転洗浄工程S5を実行する時間は、被混合物の種類等によっても異なり、特に限定されないが、通常、5〜15分程度とされる。逆回転洗浄工程S5を終えると、続いて、第二洗浄水排出工程S6が実行される。
第二洗浄水排出工程S6は、逆回転洗浄工程S5で第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の洗浄に使用された洗浄水を混合槽30内から排出する工程である。上記の逆回転洗浄工程S5を終えた状態にあっては、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20から洗い落とされた被混合物が洗浄水中に含まれた状態となっているが、この洗い落とされた被混合物を洗浄水とともに混合槽30外へと排出する。第二洗浄水排出工程S6における洗浄水の排出は、上述した第一洗浄水排出工程S3と同様の方法で行うことができる。ただし、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を回転させながら第二洗浄水排出工程S6を行う場合には、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を逆回転ではなく、正回転させながら第二洗浄水排出工程S6を行うとよい。
混合槽30内の洗浄水が排出され、第二洗浄水排出工程S6を終えると、第一攪拌羽根10及び第二拡散羽根20の洗浄が完了する。このとき、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20は、そのオモテ面に付着していた被混合物だけでなく、そのウラ面に付着していた被混合物も洗い落とされた状態となっており、次の混合を好適に行うことができる状態となっている。
上述した第一洗浄水貯留工程S1、正回転洗浄工程S2、第一洗浄水排出工程S3、第二洗浄水貯留工程S4、逆回転洗浄工程S5及び第二洗浄水排出工程S6は、手動によって行う(二軸混合機に設けた操作部を人が操作することによって行う)ようにしてもよいが、本実施態様の二軸混合機では、工程S1〜S6が自動的に切り替わるようにしている。
すなわち、二軸混合機には、第一洗浄水貯留工程S1を実行する第一洗浄水貯留モードと、正回転洗浄工程S2を実行する正回転洗浄モードと、第一洗浄水排出工程S3を実行する第一洗浄水排出モードと、第二洗浄水貯留工程S4を実行する第二洗浄水貯留モードと、逆回転洗浄工程S5を実行する逆回転洗浄モードと、第二洗浄水排出工程S6を実行する第二洗浄水排出モードとが設定されているところ、第一洗浄水貯留モードから正回転洗浄モードへの切替えと、正回転洗浄モードから第一洗浄水排出モードへの切替えと、第一洗浄水排出モードから第二洗浄水貯留モードへの切替えと、第二洗浄水貯留モードから逆回転洗浄モードへの切替えと、逆回転洗浄モードから第二洗浄水排出モードへの切替えが、プログラムによって自動的に行われるようになっている。これにより、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の洗浄を省力化することが可能となっている。
ところで、本発明の二軸混合機においては、上記の逆回転洗浄工程S5において、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を逆回転させるところ、螺旋面状を為す第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20は、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を正方向に回転させた際に、被混合物が循環移動する形状に設計されており、逆回転させることを想定した形状には設計されていない。
すなわち、第一攪拌羽根10が正回転するときには、第一混練羽根11のウラ面と混合槽30における後壁部32(図2)の内面との隙間に被混合物が噛み込みにくくなっている一方で、第一攪拌羽根10が逆回転するときには、その隙間に被混合物が噛み込む虞がある。また、第二攪拌羽根20が正回転するときには、第二混練羽根21のウラ面と混合槽30における前壁部31(図2)の内面との隙間に被混合物が噛み込みにくくなっている一方で、第二攪拌羽根20が逆回転するときには、その隙間に被混合物が噛み込む虞がある。
このため、逆回転洗浄モードを行うと、第一混練羽根11のウラ面と混合槽30における後壁部32の内面との隙間や、第二混練羽根21のウラ面と混合槽30における前壁部31の内面との隙間に、被混合物が噛み込んでしまい、最悪の場合には、二軸混合機が故障する虞もある。このため、本実施態様の二軸混合機においては、逆回転洗浄モードを行う際に第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のウラ面側にある被混合物を第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のオモテ面側に逃がすための逃し用開口部αを、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20に設けており、上記の隙間に被混合物が噛み込みにくくしている。噛み込み防止効果がより好適に奏されるようにするため、逃し用開口部αは、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の外縁部近傍に設けている。
また、上記の逃し用開口部αは、被混合物の噛み込みを防止するだけでなく、被混合物を混合する際に被混合物を剪断する機能をも有している。すなわち、図4に示すように、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20を正回転させて被混合物90を混合する際に、第一攪拌羽根10のオモテ面側(A1+側)に位置する被混合物90が、逃し用開口部αを通じて第一攪拌羽根10のウラ面側(A1−側)に抜けるとともに、第二攪拌羽根20のオモテ面側(A2+側)に位置する被混合物90が、逃し用開口部αを通じて第二攪拌羽根20のウラ面側(A2−側)に抜けるようになっている。換言すると、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のオモテ面側に位置する被混合物90が、オモテ面側にそのまま残る部分と、剪断用開口部αを通じてウラ面側に抜けてくる部分とに、剪断用開口部αによって剪断されるようになっている。
既に述べたように、被混合物90が高流動コンクリートや高強度コンクリートである場合等、被混合物90の粘性が高い場合においては、被混合物90に含まれる微粒子が凝集体のまま残った状態になりやすいため、その被混合物90を短時間で均質な状態まで混合することは容易ではない。この点、本実施態様の二軸混合機では、上記のように第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20に逃し用開口部αを設けて、被混合物90が剪断されるようにしたことによって、被混合物90中に形成されている微粒子の凝集体を剪断(細化)することが可能となっている。したがって、被混合物90の粘性が高い場合でも、その被混合物90を短時間で均質な状態まで混合することができるようになっている。
このように、上記の逃し用開口部αは、被混合物90が通過する部分となっているが、上記の正回転洗浄工程S2や逆回転洗浄工程S5を行う際には、洗浄水も逃し用開口部αを通過する。すなわち、正回転洗浄工程S2を行う際には、第一攪拌羽根10のオモテ面側(A1+側)に位置する洗浄水が、逃し用開口部αを通じて第一攪拌羽根10のウラ面側(A1−側)に抜けるとともに、第二攪拌羽根20のオモテ面側(A2+側)に位置する洗浄水が、逃し用開口部αを通じて第二攪拌羽根20のウラ面側(A2−側)に抜けるようになっている。このため、正回転洗浄工程S2を行う際には、逃し用開口部αを通じて第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のウラ面側に抜けてきた洗浄水によって、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のウラ面側を洗浄することも可能となっている。したがって、逆回転洗浄工程S5を行うよりも前に、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のウラ面側に付着した被混合物90をある程度洗い落とすことができるようになっており、逆回転洗浄工程S5を行っているときの被混合物90の噛み込みを抑えることが可能となっている。
また、逆回転洗浄工程S5を行う際には、第一攪拌羽根10のウラ面側(A1−側)に位置する洗浄水が、逃し用開口部αを通じて第一攪拌羽根10のオモテ面側(A1+側)に抜けるとともに、第二攪拌羽根20のウラ面側(A2−側)に位置する洗浄水が、逃し用開口部αを通じて第二攪拌羽根20のオモテ面側(A2+側)に抜けるようになっている。このため、逆回転洗浄工程S5を行う際には、逃し用開口部αを通じて第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のオモテ面側に抜けてきた洗浄水によって、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20のオモテ面側を洗浄することも可能となっている。このように、逃し用開口部αには、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の洗浄効果を高める機能をも有している。
逃し用開口部αを設ける数やその配置は、特に限定されないが、上記のように、逃し用開口部αは、被混合物90の噛み込み防止だけでなく、被混合物90の剪断や、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の洗浄にも効くものであるため、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20の螺旋に沿った複数個所に設けることが好ましい。また、逃し用開口部αは、第一混練羽根11及び第二混練羽根21だけでなく、第一切返し羽根12及び第二切返し羽根22に設けることが好ましい。本実施態様の二軸混合機では、第一混練羽根11及び第二混練羽根21のそれぞれに逃し用開口部αを5個ずつ設け、第一切返し羽根12及び第二切返し羽根22のそれぞれに逃し用開口部αを3個ずつ設けている。
逃し用開口部αの寸法は、被混合物90の種類等に応じて適宜決定される。というのも、逃し用開口部αが、被混合物90に配合される材料のうち最も粒径の大きな材料(最大材料)が通過できない寸法であると、逃し用開口部αが目詰まりして、逃し用開口部αを被混合物90が通過できなくなる虞があるからである。このため、逃し用開口部αは、最大材料が通過できる寸法とすることが好ましい。例えば、生コンクリートにおける最大材料は、通常、砂利であり、生コンクリートに配合される砂利は、寸法が大きなものだと粒径が40mm程度あることもある。このため、この種の生コンクリートを混合する場合には、逃し用開口部αは、40mm角以上の寸法(最大材料の粒径の1倍以上の差渡し寸法)とすることが好ましく、80mm角以上の寸法(最大材料の粒径の2倍以上の差渡し寸法)とすることがより好ましく、120mm角以上の寸法(最大材料の粒径の3倍以上の差渡し寸法)とすることがさらに好ましい。
一方、逃し用開口部αの寸法を大きくしすぎると、第一攪拌羽根10及び第二攪拌羽根20における広い範囲を逃し用開口部αが占めるようになり、被混合物90が循環移送されにくくなる虞がある。このため、上記の生コンクリートを混合する場合には、逃し用開口部αは、300mm角以下の寸法(最大材料の粒径の7.5倍以下の差渡し寸法)とすることが好ましく、240mm角以下の寸法(最大材料の粒径の6倍以下の差渡し寸法)とすることがより好ましく、200mm角以下の寸法(最大材料の粒径の5倍以下の差渡し寸法)とすることがさらに好ましい。本実施態様の二軸混合機において、逃し用開口部αは、内外方向の幅が約130mm、螺旋方向の幅が約190mmの略矩形に形成している。ただし、逃し用開口部αは、矩形(正方形を含む長方形)に限定されず、他の多角形(三角形や六角形等)や円形や楕円形等、他の形状とすることもできる。
第一混練羽根11及び第一切返し羽根12、並びに、第二混練羽根21及び第二切返し羽根22は、それぞれを1つの部材によって構成してもよい。しかし、この場合には、羽根11,12,21,22のいずれかに摩耗や破損等が生じた場合に、摩耗や破損等が生じた羽根11,12,21,22を丸ごと交換する必要がある。羽根11,12,21,22において、摩耗や破損等が最も生じやすいのは、羽根11,12,21,22の外縁部であるところ、外縁部にしか摩耗が生じていない羽根11,12,21,22の全体を交換するのは、非常に不経済である。
このため、本実施態様の二軸混合機においては、図6に示すように、第一攪拌羽根10の第一混練羽根11を、その回転中心(軸線L)から遠い側に位置する外側羽根40と、その回転中心(軸線L)に近い側に位置する内側羽根50とに分離可能な構造としている。このように、第一混練羽根11を、外側羽根40と内側羽根50とに分離可能な構造とすることによって、外側羽根40及び内側羽根50のうち、摩耗等が生じた方のみを交換することができるようになっている。
第一攪拌羽根10の第一切返し羽根12や、図6では示していない第二攪拌羽根20の第二混練羽根21及び第二切返し羽根22も、これと同様の構造としている。以下においても、主に、第一攪拌羽根10の第一混練羽根11の分割構造について説明するが、第一混練羽根11で述べる分割構造に係る構成は、第一切返し羽根12や第二混練羽根21や第二切返し羽根22においても同様に採用することができる。
図7は、本発明の二軸混合機における外側羽根40及び内側羽根50を螺旋方向に垂直な面で切断した状態を示した断面図である。本実施態様の二軸混合機において、外側羽根40は、図7(a)に示すように、それに設けられたボルト挿通孔40aに羽根取付けボルト14を挿通し、その羽根取付けボルト14の先端部を螺旋アーム13における所定箇所に固定することで、螺旋アーム13の外縁部分に取り付けるようになっている。一方、内側羽根50は、それに設けられたボルト挿通孔50aに羽根取付けボルト14を挿通し、その羽根取付けボルト14の先端部を螺旋アーム13における所定箇所に固定することで、螺旋アーム13の内縁部分に取り付けるようになっている。外側羽根40のボルト挿通孔40aは、内外方向に延在する長孔状に設けており、図7(a),(b)の変位ΔDに示すように、螺旋アーム13に対する外側羽根40の位置を内外方向で調節できるようにしている。
上述した外側羽根40や内側羽根50は、それぞれを1つの部材により形成してもよいが、それぞれを複数の部材で形成すると好ましい。本実施態様の二軸混合機においても、図6に示すように、外側羽根40を、その螺旋方向で分割された複数の外側羽根分割体41によって構成しており、内側羽根50を、その螺旋方向で分割された複数の内側羽根分割体41によって構成している。これにより、外側羽根40及び内側羽根50を、より狭い範囲で(外側羽根分割体41ごと又は内側羽根分割体51ごとに)交換することが可能になる。また、外側羽根40や内側羽根50は、上記の逃し用開口部αとなる凹凸を有する等、ある程度複雑な形態を有しており、このような形態を有する外側羽根40や内側羽根50を1つの部材で螺旋面状に成形することは必ずしも容易ではないところ、それぞれを複数の外側羽根分割体41及び複数の内側羽根分割体51で構成したことによって、外側羽根分割体41自体や内側羽根分割体51自体は、比較的簡素な形態(平版状)としながらも、羽根11,12,21,22を螺旋面状に形成することが可能となっている。上記の逃し用開口部αは、図6における網掛けハッチング部分で示すように、外側羽根40と内側羽根50との境界部であって、隣り合う外側羽根分割体41の境界部に形成されるようにしている。
10 第一攪拌羽根
11 第一混練羽根
12 第一切返し羽根
20 第二攪拌羽根
21 第二混練羽根
22 第二切返し羽根
30 混合槽
40 外側羽根
41 外側羽根分割体
50 内側羽根
90 被混合物
軸線(第一攪拌羽根の回転中心)
軸線(第二攪拌羽根の回転中心)
α 逃し用開口部

Claims (7)

  1. 被混合物を入れるための混合槽と、
    略水平な軸線Lを回転中心として回転可能な状態で混合槽内に配された螺旋面状の第一攪拌羽根と、
    軸線Lに略平行な軸線Lを回転中心として回転可能な状態で混合槽内に配された螺旋面状の第二攪拌羽根と
    を備え、
    第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を、被混合物を混合する向きに回転(以下、「正回転」という。)させると、
    第一攪拌羽根によって、被混合物が軸線L方向一側から軸線L方向他側に移送されて第二攪拌羽根側に移送された後、
    第二攪拌羽根によって、被混合物が軸線L方向他側から軸線L方向一側に移送されて第一攪拌羽根側に移送されるようにし、
    以下、この被混合物の移送が繰り返されることで、被混合物が混合槽内を循環移動しながら混合されるようにした
    二軸混合機であって、
    混合槽内に洗浄水を溜めた状態で第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を正回転させながら第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を洗浄する正回転洗浄モードの後に、
    第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を正回転とは逆向きに回転(以下、「逆回転」という。)させながら第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を洗浄する逆回転洗浄モードを実行することができるようにした
    ことを特徴とする二軸混合機。
  2. 逆回転洗浄モードを行う際に第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根のウラ面側にある被混合物を第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根のオモテ面側に逃がすための逃し用開口部が、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根に設けられた請求項1記載の二軸混合機。
  3. 逃し用開口部が、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の外縁部近傍に設けられた請求項2記載の二軸混合機。
  4. 逃し用開口部が、40mm角以上の寸法で設けられた請求項2又は3記載の二軸混合機。
  5. 逃し用開口部が、第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根の螺旋に沿った複数個所に設けられた請求項2〜4いずれか記載の二軸混合機。
  6. 正回転洗浄モードから逆回転洗浄モードへの切り替えが自動的に行われる請求項1〜5いずれか記載の二軸混合機。
  7. 請求項1〜6いずれか記載の二軸混合機で第一攪拌羽根及び第二攪拌羽根を洗浄する攪拌羽根洗浄方法。
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