JP2020075201A - 薄片製造方法 - Google Patents

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康徳 渡邊
Yasunori Watanabe
康徳 渡邊
慎次郎 梅屋
Shinjiro Umeya
慎次郎 梅屋
章 平川
Akira Hirakawa
章 平川
文喜 長尾
Fumiyoshi Nagao
文喜 長尾
長尾 大輔
Daisuke Nagao
大輔 長尾
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Abstract

【課題】強度異方性を有する積層状物質(例えばグラファイト)を剥離粉砕し、簡単にかつ大量に薄片化できる製造方法を提供する。【解決手段】球体容器内に、ボールと、溶媒と、強度異方性を有する積層状物質とを入れ、3次元高速回転ボールミル装置を用い、第1軸周りおよび前記第1軸の軸芯方向とは垂直方向に軸芯方向を有する第2軸周りに、球体容器を二軸回転させ、積層状物質を剥離粉砕し、薄片(例えばグラフェン)とする。剥離粉砕後、溶媒に浮遊している薄片を回収するとともに、溶媒に沈澱している薄片を回収する。すなわち全量回収する。【選択図】図1

Description

本発明は、強度異方性を有する積層状物質の薄片製造方法に関するものである。
薄く軽く強く、高い熱伝導率と高い導電性を有する材料としてグラフェンが注目されている。グラフェンは電池電極やキャパシタ電極や透明電極への適用等、幅広い用途が検討されている。
理論上、グラフェンの存在については以前より指摘されていたが、近年実際にその存在が発見され、詳しく研究されるようになった(たとえば特許文献1)。
グラフェンの製法についてもいくつか提案されている。グラファイトは、グラフェンが3次元的に積層した結晶である。
最初のグラフェン製造方法は、スコッチテープで黒鉛の薄片をはさみ,そのテープを引き剥すという簡単な操作を繰り返すものであった。したがって、工業化へ不適であった。
その後、いくつかグラフェンの製造方法が開発されている。その代表例にプラズマ化学気相成長(CVD)法がある。この方法では,メタンをマイクロ波で分解し、銅箔などの表面にグラフェンシートを成長させる。
他に、炭化ケイ素(SiC)の基板を真空中で高温処理すると、表面のケイ素原子だけが昇華し、そのあとにグラフェンシートが生成される。また、液状媒質にグラファイトを分散させ、超音波処理をかけると、グラフェンが、グラファイトから分離されることが知られている。
特許5697067号公報
以上のように、グラフェンは近年注目される一方、その研究は始まったばかりである。上記の様に様々な製造方法が提案されているが、大量生産が難しく、工業的には確立されていない。
本発明は上記課題を解決するものであり、強度異方性を有する積層状物質から、簡単にかつ大量生産できる薄片製造方法を提供することを目的とする。とくに、グラフェン製造方法を提供する。
上記課題を解決する本発明の薄片製造方法は、球体容器内に、ボールと、強度異方性を有する積層状物質とを入れ、回転装置を用い、第1軸周りおよび前記第1軸の軸芯方向とは垂直方向に軸芯方向を有する第2軸周りに、前記球体容器を二軸回転させ、前記積層状物質を剥離粉砕し、薄片とする。
これにより、従来製法と比べて、簡便に、大量に、強度異方性を有する積層状物質を薄片化できる。
上記発明において、前記積層状物質は、グラファイトであり、前記薄片は、薄層黒鉛である。
これにより、従来製法と比べて、簡単な装置で、簡便に、大量に、グラファイトを薄層黒鉛にできる。
上記発明において、前記薄層黒鉛はグラフェンである。
これにより、従来製法と比べて、簡便に、大量に、グラファイトをグラフェンにできる。
上記発明において、前記グラファイトは膨張黒鉛である。
これにより、グラファイトをより容易に薄片化できる。
上記発明において、前記球体容器を前記第1軸周りに100RPM以上の回転速度で回転させるとともに、前記第2軸周りに100RPM以上の回転速度で回転させる。
これにより、積層状物質を剥離粉砕できる。
上記発明において、前記球体容器内に、さらに溶媒を入れ、剥離粉砕後、前記溶媒に浮遊している薄層黒鉛を回収するとともに、前記溶媒に沈澱している薄層黒鉛を回収する。
これにより、ほぼ全量薄層黒鉛を回収できる。その結果大量生産に適している。
上記発明において、前記回転装置は、第1回転駆動装置と、前記第1回転駆動装置により回転される第1水平軸と、前記第1水平軸に結合される外側回転枠と、第2回転駆動装置と、前記第1水平軸と反対側に設けられ、前記外側回転枠の一側面を貫通し、前記第2回転駆動装置により回転される第2水平軸と、前記第2水平軸に結合され、前記第2水平軸に垂直な方向に板面を有する主動円板と、前記第1水平軸および前記第2水平軸の軸芯方向とは直交方向に軸芯方向を有し、前記外側回転枠に設けられる直交軸と、前記直交軸に結合される内側回転枠と、前記直交軸に結合され、前記直交軸に垂直な方向に板面を有する従動円板と、前記第1回転駆動装置および第2回転駆動装置の出力を個別に制御する制御装置と、前記主動円板の周端面が前記従動円板の板面外周部に対向した状態で、前記主動円板の回転力を前記従動円板に伝達する伝達機構とを備える。
これにより、球体容器を高速で二軸回転でき、かつ、均等に剥離粉砕できる。
上記発明において、前記回転装置は、回転駆動装置と、前記回転駆動装置により回転される第1水平軸と、前記第1水平軸に結合される外側回転枠と、前記第1水平軸と反対側に設けられ、前記外側回転枠の一側面を貫通する第2水平軸と、前記外側回転枠の一側面を貫通して前記第2水平軸に結合され、前記第2水平軸に垂直な方向に板面を有する主動円板と、前記第1水平軸および前記第2水平軸の軸芯方向とは直交方向に軸芯方向を有し、前記外側回転枠に設けられる直交軸と、前記直交軸に結合される内側回転枠と、前記直交軸に結合され、前記直交軸に垂直な方向に板面を有する従動円板と、前記回転駆動装置の出力を制御する制御装置と、前記主動円板の周端面が前記従動円板の板面外周部に対向した状態で、前記主動円板の回転力を前記従動円板に伝達する伝達機構とを備える。
これにより、球体容器を高速で二軸回転でき、かつ、均等に剥離粉砕できる。
本発明の製造方法では、強度異方性を有する積層状物質を剥離粉砕し、簡単にかつ大量に薄片化できる。
本発明に係る基本概念図 本発明におけるグラフェンの定義 本発明に係る回転装置本体の詳細構成図 本発明に係る回収工程の概要図 本発明おける試験結果 本発明おける試験結果 参考例における試験結果 比較検討結果
〜基本概念〜
図1は、本願の基本概念を示す図である。グラファイト(黒鉛)を膨張黒鉛とする。グラファイトは積層状物質である。積層間に酸と酸化剤を入れ、急激に熱することにより、爆発膨張したものが膨張黒鉛である。
膨張黒鉛を3次元高速回転ボールミル装置(図3参照)により、剥離粉砕し、薄片化する。これにより、グラフェン(図2参照)が形成される。
〜基本原理〜
グラファイトは、グラフェンが3次元的に積層した結晶である。グラフェン一層は、面内は強い共有結合からなっており、層間は弱いファンデルワールス結合からなる。このように、グラファイトは強度異方性を有する。
したがって、弱いファンデルワールス結合のみを選択的に破壊できれば、グラフェンが剥離する。
その際、グラファイトを膨張黒鉛としておくと、より容易に剥離粉砕できる。膨張黒鉛は市場にて廉価で入手可能である。すなわち、コスト増や手間にならない。
次に、本願発明者は、ファンデルワールス結合のみを選択的に破壊する力について検討した。
ところで、別案件において、本願発明者は、3次元高速回転ボールミル装置において、容器内でボール群がカスケード(連なった小さな滝のような)運動しているのではないか?と推測した。カスケード運動とは、容器の回転に伴いボール群が持ち上げられ、さらに重力によりボール群が少しずつ連続して崩れる一連の動作を言う。
一般的なボールミル装置では、ボール同士が衝突するのに対し、3次元高速回転ボールミル装置では、カスケード運動により、ボール同士が衝突せずに、ボール同士が回転しながら擦れあっている可能性がある。
積層状物質の薄片化に3次元高速回転ボールミル装置を用いることにより、積層状物質(たとえばグラファイト)には適度な摩擦力・せん断力が作用する。
さらに、本願出願人は、非定常的な摩擦力・せん断力が加わるとより好ましいと考えた(後述)。
〜グラフェン定義〜
グラフェンは近年実際にその存在が発見され、研究が始まったばかりである。したがって、明確な定義がなく、研究者毎に異なる。
グラフェンは共有結合された炭素原子からなる蜂の巣のような六角形格子構造のシート状物質である。
狭義のグラフェンは1層のみ(単層グラフェン)である。しかしながら、単層グラフェンは、それを支える基板の種類・表面の性質(形状・化学的性質)により、大きく影響されるため、工業材料として扱うことは難しい。
したがって、実用的に多層グラフェンを含めてグラフェンと呼ぶ。何層までをグラフェンと呼ぶかは、研究者によって相違している。本願では、既往の研究を参考にして、30層以下の多層グラフェンを広義のグラフェンと呼ぶ。
さらに、工業材料として自由に扱え、基板を必要としないことを考え、100nm(300層)程度の自立膜までを薄層黒鉛とし、本願発明の対象とする。
図2は、本願における上記定義を概念図としたものである。
〜3次元高速回転ボールミル装置〜
本願は、3次元高速回転ボールミル装置を用いて、積層状物質(たとえばグラファイト)を剥離粉砕するものである。以下、3次元高速回転ボールミル装置について説明する。
図3は、3次元高速回転ボールミル装置の概略構成図である。装置本体は、第1水平軸と、外側回転枠と、第2水平軸と、主動円板と、直交軸と、内側回転枠と、従動円と、伝達機構と、制御装置とを備える。
第1電動モータの出力軸はプーリを介して第1水平軸に結合されている。また、第1水平軸は、外側回転枠に結合されている。すなわち、電動モータの駆動により、外側回転枠は第1水平軸回り(軸心X−Xラインの回り)で回転する。
第2電動モータの出力軸はプーリを介して第2水平軸に結合されている。第2水平軸は、第1水平軸と反対側に設けられ、外側回転枠の一側面を貫通する。第2水平軸と外側回転枠との間には、ボールベアリングが設けられている。また、第2水平軸は、主動円板に結合されている。主動円板は第2水平軸に垂直な方向に板面を有する。
すなわち、第2電動モータの駆動により、主動円板は第2水平軸回り(X−Xラインの回り)で回転する。一方で、第2水平軸は外側回転枠と縁がきれているため、第2電動モータの駆動力は外側回転枠に直接伝達されない。
直交軸は外側回転枠に設けられる。直交軸と外側回転枠との間には、ボールベアリングが設けられている。直交軸は、第1水平軸および第2水平軸の軸芯方向とは直交方向に軸芯方向を有する。また、直交軸は、内側回転枠に結合されている。
すなわち、内側回転枠は外側回転枠の内側に配置され、外側回転枠内において直交軸回り(Z−Zライン)に回転自在となっている。
さらに、直交軸は、従動円板に結合されている。すなわち、従動円板の直交軸回りの回転に伴い、内側回転枠も直交軸回り(Z−Zライン)で回転する。なお、内側回転枠および従動円板が直交軸回りで回転しても、この回転力は外側回転枠に直接伝達されない。
伝達機構は、主動円板の周端面が従動円板の板面外周部に対向した状態で、主動円板の回転力を従動円板に伝達する。
球状容器は、容器保持板を介して内側回転枠の内部に設けられている。球状容器の中心は、回転装置の回転中心(すなわちX−XラインとZ−Zラインとの交点)と一致する。
容器保持板には球体容器サイズに対応する開口が設けられている。2枚の容器保持板により球体容器を挟み込み、容器保持板を内側回転枠に取付ける。これにより、球体容器が保持される。
制御装置は、第1電動モータおよび第2電動モータの出力を個別に制御可能である。
第1電動モータを駆動させると、第1水平軸を介して、外側回転枠はX−Xラインの回りで回転する。外側回転枠の回転に伴い、外側回転枠に設けられた直交軸もX−Xラインの回りで回転する。さらに直交軸を介して内側回転枠および従動円板も、同様に、X−Xラインの回りで回転する。
第2電動モータを駆動させると、第2水平軸を介して、主動円板はX−Xラインの回りで回転する。主動円板と従動円板は個別にX−Xラインの回りで回転し、回転速度差が発生する。X−Xラインの回りの回転速度差は伝達機構を介して従動円板に伝達され、従動円板が直交軸の回り(Z−Zラインの回り)で回転し、内側回転枠もZ−Zラインの回りで回転する。
すなわち、内側回転枠および球体容器は、X−Xラインの回りで回転するとともに、Z−Zラインの回りでも回転する。言い換えると、2軸回転(3次元回転)する。
図示の例では、伝達機構は非接触である。非接触伝達機構は、複数の第1磁石と複数の第2磁石とから構成される。第1磁石と第2磁石との間にスペースが形成されている。つまり、第1磁石と第2磁石とは非接触である。なお、非接触伝達機構は精度よく高速回転できる。
第1磁石は、主動円板の周端面に、N極とS極とが交互になる様に複数配設される。第2磁石は、従動円板の板面外周部に、N極とS極とが交互になる様に複数配設される。
さらに、図示の3次元高速回転ボールミル装置の変形例について説明する。
非接触伝達機構に代えて、接触伝達機構としてもよい。第1円板周面にゴムが配設され、第2円板下面に当接されて、接触伝達機構を構成する。
また、図示の例では、2つの電動モータにより、第1水平軸および第2水平軸を駆動したが、これに代えて、1つの電動モータとしてもよい。
第2水平軸が固定されることにより、主動円板も固定されている。
電動モータを駆動させると、第1水平軸を介して、外側回転枠はX−Xラインの回りで回転する。
外側回転枠の回転に伴い、外側回転枠に設けられた直交軸もX−Xラインの回りで回転する。さらに直交軸を介して内側回転枠および従動円板も、同様に、X−Xラインの回りで回転する。
このとき、従動円板は主動円板外周に沿って回転する。X−Xラインの回りの回転力は伝達機構介して従動円板に伝達され、従動円板が直交軸の回り(Z−Zラインの回り)で回転し、内側回転枠もZ−Zラインの回りで回転する。
内側回転枠および球体容器は、X−Xラインの回りで回転するとともに、Z−Zラインの回りでも回転する。言い換えると、2軸回転(3次元回転)する。
〜試験概要〜
本願発明者は、一例として実際に、3次元高速回転ボールミル装置を用いて、膨張黒鉛を剥離粉砕してみた。
球形容器直径140mm(≒容量1.4L)に対し、φ10mmの鉄製ボールを122個(総重量0.5Kg、63cc)を用いた。湿式混合とし、水100ccを用いた。115gの膨張黒鉛を投入した。湿式混合とすることにより、ボールの動作が溶媒を介して間接的にせん断力を発生させる。
X−Xラインの回りに300RPMの回転速度で回転させるとともに、Z−Zラインの回り300RPMの回転速度で回転させた。粉砕時間を1時間とした。
その後、回転速度を100RPM未満〜500RPM超の範囲でそれぞれ試験した。回転速度を100RPM以上〜500RPM以下の範囲であれば、良好な結果を得た(後述)。
ただし、回転速度100RPM未満であれば、充分に剥離粉砕されなかった。すなわち、積層間のファンデルワールス結合を破壊することができなかったものと推測される。回転速度500RPM超であれば、一般的な破砕がなされた。すなわち、グエフェン面内の共有結合も破壊されたものと推測される。
3次元高速回転ボールミル装置よる剥離粉砕後、下記の様に回収した。
〜回収工程概要〜
図4は、回収工程の概要である。
上記試験では、剥離粉砕後の多くの薄片が容器に付着していた。そこで、ランジュバン型超音波振動装置により、容器に付着している薄片を剥離させた。
容器内の薄片を全量回収した。時間が経過すると、浮遊する薄片と、沈澱する薄片とに分離した。そこで、浮遊物と沈殿物を別々に回収した。さらに、乾燥させ、水分を除去した。
〜試験結果〜
回収した薄片がグラフェンであることをラマン分光法により検証した。
図5は上澄液浮遊物におけるラマンスペクトルであり、図6は沈殿物におけるラマンスペクトルであり、図7は参考例におけるラマンスペクトルである。図8は、3つのラマンスペクトルを比較したものである。なお、参考例は既往の研究結果である。
参考例によれば、グラフェンの特徴は、Dバンド、Gバンド、2Dバンドのピークに現れる。
Dバンドは、構造の乱れと欠陥に起因する。Dバンドのピークは、1270〜1450 cm-1に現れる。図示の例では1350 cm-1である。
Gバンドは、炭素原子の平面内運動に由来し、Gバンドのピークは1580 cm-1 付近に現れる。
2Dバンドは、フォノン波数ベクトルを電子バンド構造と関連づける二重共鳴過程に起因し、励起レーザーへの強い周波数依存性を示し、514 nmレーザー励起の場合、2Dバンドのピークは約2700 cm-1に現れる。およそDバンドのピーク位置の2倍である。
また、層数が少なくなるほど、2Dバンドのピーク強度が大きくなり、Gバンドのピーク強度が小さくなるとされている。
図8における比較によれば、本願薄片は、参考例程には薄層でないもの、これに準ずるものであり、グラフェンと推定される。
さらに、上澄液浮遊物におけるラマンスペクトルと沈殿物におけるラマンスペクトルはほぼ同じであり、両者ともグラフェンと推定される。この結果は、回収率が非常に良いことを示唆する。これにより、大量生産が可能となる。
〜考察〜
3次元高速回転ボールミル装置において、球状容器内中心では擬似無重力環境が現出される。なお、理論上、擬似無重力環境下となるのは中心のみであるが、実務上、中心付近の一定領域を擬似無重力環境下と見なすことができる。
これにより、重力による影響を低減し、膨張黒鉛とボールが均等に混合撹拌される。その結果、均等に薄片化される。
ところで、上記試験結果では、上澄液浮遊物におけるラマンスペクトルと沈殿物におけるラマンスペクトルとに顕著な相違は見られなかった。すなわち、均等に薄片化されており、顕著な相違は生じていないものと推測される。
〜非定常状態形成に係る検討〜
以上のように、本願発明者は、3次元高速回転ボールミル装置において、複雑なカスケード運動が発生している可能性に着目して、グラフェンの製造に適用した。
さらに、カスケード運動の複合による非定常性に着目した。すなわち、ランダムな方向にランダムな強さのせん断力が発生することが本願発明に寄与している可能性がある。
他に、以下の要因により、非定常な挙動を実現できる。
球形容器は、真球を原則とするが、楕円球とすることにより、非定常性が向上する。
3次元高速回転ボールミル装置は、回転速度が可変である出だけでなく、周期的な加速・減速も可能である。例えば、X−Xラインの回りおよびZ−Zラインの回りの回転速度が100RPMと比較的低速であっても、加速5秒・減速5秒を周期的に3時間繰り返すことにより、上記試験結果と同様な結果が得られた。周期的加減速により、非定常性が向上する。
また、サイズの異なる大小のボールを混ぜることで、非定常性が向上する。
上記実施形態では、X−Xラインの回りおよびZ−Zラインの回りの回転速度が同じであるが、X−Xラインの回りの回転速度とZ−Zラインの回りの回転速度とが異なることにより、非定常性が向上する。
〜その他〜
上記試験では、膨張黒鉛を剥離粉砕したが、通常のグラファイトを剥離粉砕してもよい。
上記試験では、湿式混合としたが、乾式混合でもよい。
上記試験では、グラファイトの薄片化に着目したが、本願基本原理に基づき、強度異方性を有する積層状物質の薄片化であれば、適用可能である。たとえば、カルコゲナイド化合物の薄片化およびカオリナイトの薄片化に適用可能である。

Claims (8)

  1. 球体容器内に、ボールと、強度異方性を有する積層状物質とを入れ、
    回転装置を用い、第1軸周りおよび前記第1軸の軸芯方向とは垂直方向に軸芯方向を有する第2軸周りに、前記球体容器を二軸回転させ、
    前記積層状物質を剥離粉砕し、薄片とする
    ことを特徴とする薄片製造方法。
  2. 前記積層状物質は、グラファイトであり、
    前記薄片は、薄層黒鉛である
    ことを特徴とする請求項1記載の薄片製造方法。
  3. 前記薄層黒鉛はグラフェンである
    ことを特徴とする請求項2記載の薄片製造方法。
  4. 前記グラファイトは膨張黒鉛である
    ことを特徴とする請求項2または3記載の薄片製造方法。
  5. 前記球体容器を
    前記第1軸周りに100RPM以上の回転速度で回転させるとともに、
    前記第2軸周りに100RPM以上の回転速度で回転させる
    ことを特徴とする請求項2〜4いずれか記載の薄片製造方法。
  6. 前記球体容器内に、さらに溶媒を入れ、
    剥離粉砕後、
    前記溶媒に浮遊している薄層黒鉛を回収するとともに、
    前記溶媒に沈澱している薄層黒鉛を回収する
    ことを特徴とする請求項2〜5いずれか記載の薄片製造方法。
  7. 前記回転装置は、
    第1回転駆動装置と、
    前記第1回転駆動装置により回転される第1水平軸と、
    前記第1水平軸に結合される外側回転枠と、
    第2回転駆動装置と、
    前記第1水平軸と反対側に設けられ、前記外側回転枠の一側面を貫通し、前記第2回転駆動装置により回転される第2水平軸と、
    前記第2水平軸に結合され、前記第2水平軸に垂直な方向に板面を有する主動円板と、
    前記第1水平軸および前記第2水平軸の軸芯方向とは直交方向に軸芯方向を有し、前記外側回転枠に設けられる直交軸と、
    前記直交軸に結合される内側回転枠と、
    前記直交軸に結合され、前記直交軸に垂直な方向に板面を有する従動円板と、
    前記第1回転駆動装置および第2回転駆動装置の出力を個別に制御する制御装置と、
    前記主動円板の周端面が前記従動円板の板面外周部に対向した状態で、前記主動円板の回転力を前記従動円板に伝達する伝達機構と
    を備える
    ことを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の薄片製造方法。
  8. 前記回転装置は、
    回転駆動装置と、
    前記回転駆動装置により回転される第1水平軸と、
    前記第1水平軸に結合される外側回転枠と、
    前記第1水平軸と反対側に設けられ、前記外側回転枠の一側面を貫通する第2水平軸と、
    前記外側回転枠の一側面を貫通して前記第2水平軸に結合され、前記第2水平軸に垂直な方向に板面を有する主動円板と、
    前記第1水平軸および前記第2水平軸の軸芯方向とは直交方向に軸芯方向を有し、前記外側回転枠に設けられる直交軸と、
    前記直交軸に結合される内側回転枠と、
    前記直交軸に結合され、前記直交軸に垂直な方向に板面を有する従動円板と、
    前記回転駆動装置の出力を制御する制御装置と、
    前記主動円板の周端面が前記従動円板の板面外周部に対向した状態で、前記主動円板の回転力を前記従動円板に伝達する伝達機構と
    を備える
    ことを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の薄片製造方法。
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