以下、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ及びステップの順序等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸を表している。
(実施の形態)
まず、実施の形態に係る液晶表示装置1の構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る液晶表示装置1の概略構成を示す図である。
液晶表示装置1は、液晶セルを含む表示パネルを複数重ね合わせて構成された画像表示装置の一例であって、静止画像又は動画像の画像(映像)を表示する。
図1に示すように、本実施の形態における液晶表示装置1は、複数の表示パネルとして、観察者に近い位置(前側)に配置された第1表示パネル100と、第1表示パネル100より観察者から遠い位置(後側)に配置された第2表示パネル200とを備える。
さらに、液晶表示装置1は、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の後側に配置されたバックライト300を備える。具体的に、バックライト300は、第2表示パネル200の後側に配置されている。
第1表示パネル100は、メインパネルであって、ユーザが視認する画像を表示する。本実施の形態において、第1表示パネル100は、カラー画像を表示する。第1表示パネル100には、入力映像信号に応じたカラー画像を第1画像表示領域101(アクティブ領域)に表示するために、第1ソースドライバ102及び第1ゲートドライバ103が設けられている。
具体的には、第1表示パネル100の液晶セルには、第1ソースドライバ102が実装された第1ソースFPC(Flexible Printed Circuits)104と、第1ゲートドライバ103が実装された第1ゲートFPC105とが接続されている。
また、第1ソースFPC104の第1表示パネル100側とは反対側の部分には、第1回路基板106が接続されている。第1回路基板106は、略矩形板状のプリント基板(PCB;Printed Circuit Board)であり、第1回路基板106には、複数の電子部品が実装されている。第1回路基板106は、第1タイミングコントローラ410から出力された各種信号を第1ソースFPC104に実装された第1ソースドライバ102に伝達する機能を有する。
第1表示パネル100の第1画像表示領域101にカラー画像を表示する場合、第1タイミングコントローラ410から出力される各種信号が第1ソースドライバ102及び第1ゲートドライバ103に入力される。
第2表示パネル200は、第1表示パネル100の背面側に配置されるサブパネルである。本実施の形態において、第2表示パネル200は、第1表示パネル100に表示されるカラー画像に対応した画像のモノクロ画像(白黒画像)を、そのカラー画像に同期させて表示する。第2表示パネル200には、入力映像信号に応じたモノクロ画像を第2画像表示領域201に表示するために、第2ソースドライバ202及び第2ゲートドライバ203が設けられている。
具体的には、第2表示パネル200の液晶セルには、第2ソースドライバ202が実装された第2ソースFPC204と、第2ゲートドライバ203が実装された第2ゲートFPC205とが接続されている。
また、第2ソースFPC204の第2表示パネル200側とは反対側の部分には、第2回路基板206が接続されている。第2回路基板206は、略矩形板状のプリント基板(PCB)であり、第2回路基板206には、複数の電子部品が実装されている。第2回路基板206は、第2タイミングコントローラ420から出力された各種信号を第2ソースFPC204に実装された第2ソースドライバ202に伝達する機能を有する。
第2表示パネル200の第2画像表示領域201にモノクロ画像を表示する場合、第2タイミングコントローラ420から出力される各種信号が第2ソースドライバ202及び第2ゲートドライバ203に入力される。
第1画像表示領域101及び第2画像表示領域201は、マトリクス状に配列された複数の画素を有する。第1画像表示領域101の画素数と第2画像表示領域201の画素数とは同じであってもよいし異なっていてもよい。
また、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の駆動方式は、例えばIPS(In Plane Switching)方式又はFFS(Fringe Field Switching)方式等の横電界方式であるが、これに限るものではなく、VA(Vertical Alignment)方式又はTN(Twisted Nematic)方式等であってもよい。
バックライト300は、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の背面側に配置された光源ユニットであり、第1表示パネル100及び第2表示パネル200に向けて光を照射する。本実施の形態において、バックライト300は、平面状の均一な拡散光(散乱光)をむらなく照射する面光源ユニットである。
バックライト300は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を光源とするLEDバックライトであるが、これに限るものではない。また、本実施の形態において、バックライト300は、直下型であるが、エッジ型であってもよい。なお、バックライト300の具体的な構成については後述する。
液晶表示装置1は、さらに、第1タイミングコントローラ410及び第2タイミングコントローラ420に画像データを出力する画像処理部430を備える。
画像処理部430は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力映像信号Dataを受信し、画像処理を実行した後、第1タイミングコントローラ410に第1画像データDAT1を出力し、第2タイミングコントローラ420に第2画像データDAT2を出力する。また画像処理部430は、第1タイミングコントローラ410及び第2タイミングコントローラ420に同期信号等の制御信号(図1では省略)を出力する。第1画像データDAT1は、カラー表示用の画像データであり、第2画像データDAT2は、モノクロ表示用の画像データである。
このように、本実施の形態に係る液晶表示装置1では、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の2つの表示パネルを重ね合わせて画像を表示しているので、黒を引き締めることができる。これにより、高コントラスト比の画像を表示することができる。
次に、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の詳細な構造について、図2を用いて説明する。図2は、実施の形態に係る液晶表示装置1の構成を示す断面図である。
図2に示すように、液晶表示装置1は、第1表示パネル100と、第2表示パネル200と、バックライト300とを備えるとともに、第1表示パネル100及び第2表示パネル200を接合する接合部材500を備える。
接合部材500によって接合された第1表示パネル100及び第2表示パネル200は、液晶モジュール2を構成している。つまり、液晶表示装置1は、液晶モジュール2と、バックライト300とを備える。本実施の形態において、バックライト300は、液晶モジュール2の第2表示パネル200側に配置されている。したがって、バックライト300は、液晶モジュール2の第2表示パネル200に向けて光を照射する。
第1表示パネル100は、第1液晶セル110と、第1液晶セル110を挟む一対の第1偏光板120とを有する。
第1液晶セル110は、第1TFT(Thin Film Transistor)基板111と、第1TFT基板111に対向する第1対向基板112と、第1TFT基板111及び第1対向基板112の間に配置された第1液晶層113とを備える。
本実施の形態において、第1液晶セル110は、第1TFT基板111が第1対向基板112よりも接合部材500側(内側)に位置するように、かつ、第1対向基板112が第1TFT基板111よりも前方(外側)に位置するように、液晶モジュール2に組み込まれている。つまり、第1液晶セル110は、第1TFT基板111を第1内側基板とし、かつ、第1対向基板112を第1外側基板として、液晶モジュール2に組み込まれている。
なお、第1液晶セル110は、第1対向基板112が第1TFT基板111よりも接合部材500側(内側)に位置するように、かつ、第1TFT基板111が第1対向基板112よりも前方(外側)に位置するように、配置されていてもよい。この場合、第1TFT基板111が第1外側基板となり、第1対向基板112が第1内側基板となる。
第1TFT基板111は、ガラス基板等の透明基板にTFT層(不図示)が形成された基板である。TFT層には、マトリクス状に配列された画素の各々に対応して設けられたTFT及びTFTを駆動する配線等が形成されている。TFT層の平坦化層上には、第1液晶層113に電圧を印加するための画素電極が形成されている。
第1対向基板112は、ガラス基板等の透明基板に画素形成層としてカラーフィルタ層が形成されたCF基板である。第1対向基板112の画素形成層は、ブラックマトリクス(黒色部)及びカラーフィルタ(着色部)を有する。ブラックマトリクスは、例えば格子状又はストライプ状に形成されており、ブラックマトリクスには、画素を構成するマトリクス状の複数の開口部が形成されている。ブラックマトリクスの各開口部内にはカラーフィルタが形成されている。つまり、ブラックマトリクスは、カラーフィルタを囲んでいる。各カラーフィルタは、例えば、赤色用のカラーフィルタ、緑色用のカラーフィルタ、又は、青色用のカラーフィルタである。各色のカラーフィルタは、各画素に対応している。なお、画素形成層を覆うようにオーバーコート層が形成されている。さらに、オーバーコート層の表面には配向膜が形成されている。
本実施の形態において、第1TFT基板111(第1内側基板)の厚さは、第1対向基板112(第1外側基板)の厚さよりも厚い。内側に位置する第1TFT基板111の厚さは、例えば0.4mm〜3.0mmである。また、外側に位置する第1対向基板112の厚さは、例えば、0.3mm〜2.0mmである。一例として、内側の第1TFT基板111の厚さは、0.7mmであり、外側の第1対向基板112の厚さは、0.5mmである。なお、第1対向基板112が第1内側基板で、第1TFT基板111が第1外側基板である場合には、内側に位置する第1対向基板112の厚さを外側に位置する第1TFT基板111の厚さよりも厚くする。つまり、第1TFT基板111及び第1対向基板112の一対の基板のうち、内側に位置する基板の厚さを外側に位置する基板の厚さよりも厚くしている。
第1液晶層113は、第1TFT基板111と第1対向基板112との間に封止されている。具体的には、第1液晶層113は、第1TFT基板111に形成された配向膜と第1対向基板112に形成された配向膜との間に封止されている。第1液晶層113の液晶材料は、駆動方式に応じて適宜選択することができる。なお、第1液晶層113の厚さ(セルギャップ)は、例えば、2.5μm〜6μmであるが、これに限るものではない。
一対の第1偏光板120は、第1液晶セル110の接合部材500側(第2液晶セル210側)の面に貼り付けられた接合側の第1偏光板121と、第1液晶セル110の接合部材500側とは反対側の面に貼り付けられた非接合側の第1偏光板122とによって構成されている。つまり、本実施の形態において、接合側の第1偏光板121は、非接合側の第1偏光板122よりも内側に位置する第1内側偏光板であり、非接合側の第1偏光板122は、接合側の第1偏光板121よりも外側に位置する第1外側偏光板である。
具体的には、接合側の第1偏光板121(第1内側偏光板)は、第1液晶セル110の第1TFT基板111(第1内側基板)の表面に貼り合わされるとともに、接合部材500に接合される。一方、非接合側の第1偏光板122(第1外側偏光板)は、第1液晶セル110の第1対向基板112(第1外側基板)の表面に貼り合わされている。なお、接合側の第1偏光板121の厚さは、非接合側の第1偏光板122の厚さよりも厚い方がよい。
一対の第1偏光板120(接合側の第1偏光板121、非接合側の第1偏光板122)は、偏光方向が互いに直交するように配置されている。つまり、一対の第1偏光板120は、クロスニコルで配置されている。
一対の第1偏光板120の各々は、例えば樹脂材料からなるシート状の偏光フィルムである。本実施の形態において、一対の第1偏光板120のうち接合部材500に接合される接合側の第1偏光板121は、偏光子121aと、偏光子121aの接合部材500側に配置される光拡散粘着層121bとを有する。偏光子121a及び光拡散粘着層121bの各々は、例えば、TAC(Triacetylcellulose:トリアセチルセルロース)フィルム等の透明樹脂フィルムによって支持されている。一方、一対の第1偏光板120のうち接合部材500に接合されない非接合側の第1偏光板122は、接合側の第1偏光板121と同様に、偏光子及びTAC等を有しているが、光拡散粘着層を有していない。
なお、一対の第1偏光板120の各々には、最外層として透明保護フィルムが含まれていてもよい。また、一対の第1偏光板120の一方には、位相差板(位相差フィルム)が含まれていてもよい。
第2表示パネル200は、第2液晶セル210と、第2液晶セル210を挟む一対の第2偏光板220とを有する。
第2液晶セル210は、第2TFT基板211と、第2TFT基板211に対向する第2対向基板212と、第2TFT基板211及び第2対向基板212の間に配置された第2液晶層213とを備える。
本実施の形態において、第2液晶セル210は、第2TFT基板211が第2対向基板212よりも接合部材500側(内側)に位置するように、かつ、第2対向基板212が第2TFT基板211よりもバックライト300側(外側)に位置するように、液晶モジュール2に組み込まれている。つまり、第2液晶セル210は、第2TFT基板211を第2内側基板とし、かつ、第2対向基板212を第2外側基板として、液晶モジュール2に組み込まれている。
なお、第2液晶セル210は、第2対向基板212が第2TFT基板211よりも接合部材500側(内側)に位置するように、かつ、第2TFT基板211が第2対向基板212よりもバックライト300側(外側)に位置するように、配置されていてもよい。この場合、第2TFT基板211が第2外側基板となり、第2対向基板212が第2内側基板となる。
第2TFT基板211は、第1TFT基板111と同様の構成であり、ガラス基板等の透明基板にTFT層(不図示)が形成された基板である。
第2対向基板212は、ガラス基板等の透明基板に画素形成層が形成された基板である。第2対向基板212の画素形成層は、画素を構成するマトリクス状の複数の開口部が形成されたブラックマトリクスを有する。第2対向基板212の画素形成層を覆うようにオーバーコート層が形成されている。さらに、オーバーコート層の表面には配向膜が形成されている。また、本実施の形態において、第2表示パネル200はモノクロ画像を表示するので、第2対向基板212の画素形成層には、カラーフィルタが形成されていない。したがって、第2対向基板212の画素形成層のブラックマトリクスの開口部内にはオーバーコート層が充填されている。
本実施の形態において、第2TFT基板211(第2内側基板)の厚さは、第2対向基板212(第2外側基板)の厚さよりも厚い。内側に位置する第2TFT基板211の厚さは、例えば0.4mm〜3.0mmである。また、外側に位置する第2対向基板212の厚さは、例えば、0.3mm〜2.0mmである。一例として、内側の第2TFT基板211の厚さは、第1液晶セル110の第1内側基板(第1TFT基板111)の厚さと同じで、0.7mmである。一方、外側の第2対向基板212の厚さは、第1液晶セル110の第1外側基板(第1対向基板112)の厚さと同じで、0.5mmである。なお、第2対向基板212が第2内側基板で、第2TFT基板211が第2外側基板である場合には、内側に位置する第2対向基板212の厚さを外側に位置する第2TFT基板211の厚さよりも厚くする。つまり、第2TFT基板211及び第2対向基板212の一対の基板のうち、内側に位置する基板の厚さを外側に位置する基板の厚さよりも厚くしている。
第2液晶層213は、第2TFT基板211と第2対向基板212との間に封止されている。具体的には、第2液晶層213は、第2TFT基板211に形成された配向膜と第2対向基板212に形成された配向膜との間に封止されている。第2液晶層213の液晶材料は、駆動方式に応じて適宜選択することができる。なお、第2液晶層213の厚さ(セルギャップ)は、例えば、第1液晶層113と同様に、2.5μm〜6μmであるが、これに限るものではない。
第2液晶セル210を挟む一対の第2偏光板220は、第1偏光板120と同様の構成であり、第2液晶セル210の接合部材500側(第1液晶セル110側)の面に貼り付けられた接合側の第2偏光板221と、第2液晶セル210の接合部材500側とは反対側の面に貼り付けられた非接合側の第2偏光板222とによって構成されている。つまり、本実施の形態において、接合側の第2偏光板221は、非接合側の第2偏光板222よりも内側に位置する第1内側偏光板であり、非接合側の第2偏光板222は、接合側の第2偏光板221よりも外側に位置する第2外側偏光板である。
具体的には、接合側の第2偏光板221(第2内側偏光板)は、第2液晶セル210の第2TFT基板211(第2内側基板)の表面に貼り合わされるとともに、接合部材500に接合される。一方、非接合側の第2偏光板222(第2外側偏光板)は、第2液晶セル210の第2対向基板212(第2外側基板)の表面に貼り合わされている。なお、接合側の第2偏光板221の厚さは、非接合側の第2偏光板222の厚さよりも厚い方がよい。さらに、接合側の第2偏光板221(第2内側偏光板)の厚さは、第1表示パネル100の接合側の第1偏光板121(第1内側偏光板)の厚さと同じであるとよい。同様に、非接合側の第2偏光板222(第2外側偏光板)の厚さは、第1表示パネル100の非接合側の第1偏光板122(第1外側偏光板)の厚さと同じであるとよい。
一対の第2偏光板220(接合側の第2偏光板221、非接合側の第2偏光板222)は、偏光方向が互いに直交するように配置されている。つまり、一対の第2偏光板220は、クロスニコルで配置されている。
一対の第2偏光板220の各々は、例えば樹脂材料からなるシート状の偏光フィルムである。本実施の形態において、一対の第2偏光板220のうち接合部材500に接合される接合側の第2偏光板221は、偏光子221aと、偏光子221aの接合部材500側に配置される光拡散粘着層221bとを有する。偏光子221a及び光拡散粘着層221bの各々は、例えば、TACフィルム等の透明樹脂フィルムによって支持されている。一方、一対の第2偏光板220のうち接合部材500に接合されない非接合側の第2偏光板222は、接合側の第2偏光板221と同様に、偏光子及びTAC等を有しているが、光拡散粘着層を有していない。
なお、一対の第2偏光板220の各々には、最外層として透明保護フィルムが含まれていてもよい。また、一対の第2偏光板220の一方には、位相差板(位相差フィルム)が含まれていてもよい。
接合部材500は、第1表示パネル100と第2表示パネル200とを接合する。具体的には、接合部材500は、第1表示パネル100の接合側の第1偏光板121と第2表示パネル200の接合側の第2偏光板221とを接合している。本実施の形態において、接合部材500は、接合側の第1偏光板121の光拡散粘着層121bに接しているとともに、接合側の第2偏光板221の光拡散粘着層221bに接している。
接合部材500は、第1表示パネル100と第2表示パネル200とを貼り合わせるための粘着層として機能する。具体的には、接合部材500は、光学透明粘着シート(OCA)からなるフィルム状の接合シート(貼合シート)である。接合部材500の厚さは、一例として、0.3mm以上である。なお、接合部材500の厚さは、接合部材500側(内側)に位置する第1TFT基板111及び第2TFT基板211の各々の厚さよりも厚い方がよい。
接合部材500は、例えば、紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂によって構成されている。光硬化性樹脂としては、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ポリエステル系、又は、エポキシ系等の化合物が挙げられる。本実施の形態において、接合部材500は、アクリル系の紫外線硬化性樹脂によって構成されている。なお、「光硬化性樹脂」とは、露光により硬化し得る樹脂組成物を意味する。また、「露光」とは、紫外線等の光を照射することを意味する。
接合部材500は、予め固化することにより得られたシート状の光硬化性樹脂組成物を第1表示パネル100と第2表示パネル200との間に挿入して露光することで硬化させたものであってもよいし、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の一方の上に液状の光硬化性樹脂組成物を塗布した後、その上に第1表示パネル100及び第2表示パネル200の他方を積層して露光することで硬化させたものであってもよい。
光硬化性樹脂は、溶剤を除去するための加熱を行う必要がないので、光硬化性樹脂としては無溶剤型であるとよい。「無溶剤型」とは、溶剤を含まない又は溶剤の含有割合が硬化性樹脂の総重量(100重量%)のうち5重量%以下であることを意味する。また、「溶剤」とは、沸点が150℃以下の液体(揮発性希釈剤)を意味する。なお、溶剤を含まない光硬化性樹脂を用いることで乾燥工程を省くことができるので、光硬化性樹脂は、溶剤を含まない方がよい。
また、光硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂と比べて、低温で硬化するとともに硬化速度が速い。このため、光硬化性樹脂を用いることで、低温かつ短い時間で第1表示パネル100と第2表示パネル200とを貼り合わせることができる。
光硬化性樹脂等の硬化性樹脂は、典型的には、硬化性基を有する硬化性化合物と、重合開始剤(反応開始剤)とを含む。また、硬化性樹脂には、必要に応じて、重合開始剤以外の他の化合物が含まれてもよい。他の化合物としては、可塑剤又は安定剤、連鎖移動剤等の添加剤等が挙げられる。
接合部材500によって接合された第1表示パネル100及び第2表示パネル200(液晶モジュール2)は、バックライト300とともに、フレーム等の保持部材によって保持される。
次に、本実施の形態に係る液晶表示装置1の効果等について、本開示の技術を得るに至った経緯も含めて説明する。
光硬化性樹脂からなる接合部材によって接合された2枚の表示パネルを有する液晶表示装置を長時間使用すると、通電時に表示画面の周辺部に枠状の輝度ムラが発生するおそれがある。例えば、このような液晶表示装置1Xを2000時間使用すると、図3の散点状のハッチングで示されるように、液晶表示装置1Xの表示画面(有効領域)の周辺部に枠状の輝度ムラが発生することがある。このように、液晶表示装置1Xに枠状の輝度ムラが発生すると、表示画像の品質が低下する。なお、図3において、枠状の黒塗り部分は、ブラックマトリクスが形成された無効領域である。
この枠状の輝度ムラが発生する原因について本願発明者らが検討したところ、本願発明者らは、図4に示すように、OCAである接合部材500Xによって貼り合わされた第1表示パネル100及び第2表示パネル200を有する液晶表示装置1Xを長時間使用すると、第1表示パネル100と第2表示パネル200との間の接合部材500Xが周縁以外の領域で収縮し、第1表示パネル100が有する第1液晶セル110の第1TFT基板111と第2表示パネル200が有する第2液晶セル210の第2TFT基板211とに、中央に向かう引っ張り応力が発生する。この引っ張り応力によって第1表示パネル100の第1TFT基板111と第2表示パネル200の第2TFT基板211とが歪んで、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の各々の端部領域における第1液晶セル110及び第2液晶セル210の厚さ(セル厚)が変動することで、枠状の輝度ムラが発生するのではないかと推定した。つまり、枠状の輝度ムラの発生は、液晶表示装置における表示パネルの液晶セルの端部領域の厚さが変動したことに起因しているのではないかと推定した。なお、図4では、偏光板が省略されており、第1液晶セル110及び第2液晶セル210の各々は、一対の偏光板によって挟まれている。
本願発明者らは、この推定のもとに、枠状の輝度ムラが実際に発生した液晶表示装置の輝度を測定するとともに、液晶セルの厚さの変動に関するシミュレーションを行った。その結果を図5に示す。
図5の(a)は、枠状の輝度ムラが実際に発生した液晶表示装置を2次元輝度計で計測したときの2次元輝度分布を示す図であり、図5の(b)は、図5の(a)のB−B線(短軸方向)における断面輝度分布を示す図である。図5の(c)は、2枚の表示パネルの間の接合部材(OCA)の端部領域が収縮したときに、一方の表示パネルの液晶セルの短軸方向における厚さの変化(セル厚分布)のシミュレーション結果を示す図である。
図5の(b)と図5の(c)とを比較して分かるように、輝度分布とセル厚分布とがおおむね一致していることが分かった。つまり、2枚の表示パネルの間の接合部材の端部領域が収縮して表示パネルの液晶セルの厚さが変動した結果、枠状の輝度ムラが発生していると考えられる。
この結果をもとに、本願発明者らは、さらに、接合部材の端部領域が収縮する原因について検討した。具体的には、本願発明者らは、接合部材を構成する樹脂材料が光硬化性樹脂であることに着目し、接合部材の端部領域の収縮の原因が光硬化性樹脂にあるのではないかと考えて鋭意検討した。
その結果、接合部材の端部領域の収縮は、光硬化性樹脂の硬化反応率の分布に起因していることをつきとめた。以下、その検討結果について説明する。
2枚の表示パネルを貼り合わせるための接合部材を構成する光硬化性樹脂には、重合開始剤が含まれている。重合開始剤は、光が照射されると励起(活性化)して開裂反応等を起こし、ラジカル等の硬化反応を開始させるための物質を生成する。光硬化性樹脂を露光して硬化させることで、2枚の表示パネルを貼り合わせるためのフィルム状の接合部材が生成される。
このとき、接合部材を構成する光硬化性樹脂の硬化反応率は100%に至っておらず、接合部材を構成する光硬化性樹脂には重合開始剤が残留していると考えられる。このため、光硬化性樹脂からなる接合部材によって貼り合わされた2枚の表示パネルを有する液晶表示装置を長時間使用すると、接合部材を構成する光硬化性樹脂に残留する重合開始剤が使用時のバックライトの光によって事後的に反応し、光硬化性樹脂の追硬化(追加反応)が発生する。この光硬化性樹脂の追硬化(後硬化)は、光硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂であっても、バックライトからの光で生じる。
このとき、バックライトの光の照射による重合開始剤のラジカル発生量は、接合部材を構成する光硬化性樹脂に残留している重合開始剤の量とバックライトの光の照射光量(積算光量)とに依存する。
したがって、光硬化性樹脂に残留している重合開始剤の量が少なかったり、液晶表示装置の使用時間が短くてバックライトの光の照射光量が少なかったりすると、重合開始剤のラジカル発生量が少なくなる。逆に、光硬化性樹脂に残留している重合開始剤の量が多かったり、液晶表示装置の使用時間が長くてバックライトの光の照射光量が多かったりすると、重合開始剤のラジカル発生量が多くなる。
一方、接合部材によって貼り合わされた2枚の表示パネルを有する液晶表示装置において、接合部材の端縁(側端面)は空気に曝されている。このため、空気に含まれる酸素が接合部材の端縁から侵入する。この場合、接合部材の端縁から侵入した酸素によって、接合部材の中央領域よりも接合部材の端部領域の方が酸素濃度が高くなっている。酸素は、光硬化性樹脂に含まれる重合開始剤の励起を阻害する。したがって、光硬化性樹脂によって構成された接合部材では、この酸素による重合阻害によって、とりわけ貼合シートの端部領域においてバックライトの光による光硬化性樹脂の上記追硬化が抑制されることになる。
このように、接合部材によって貼り合わされた2枚の表示パネルを有する液晶表示装置を長時間使用した場合に枠状の輝度ムラが発生する原因の一つは、接合部材を構成する光硬化性樹脂に残留する重合開始剤がバックライトの光によって追硬化する中で、接合部材の端部領域では、酸素による重合阻害によって接合部材の中央領域よりも光硬化性樹脂の追硬化が抑制されたことにあると考えられる。
本願発明者らは、接合部材の端部領域が収縮することで液晶セルの厚さが変動して枠状の輝度ムラが発生するという知見をもとに鋭意検討した結果、液晶セルの接合部材側(内側)の基板を厚して液晶セルの剛性を高めることで、液晶セルの厚さの変動を抑制して液晶表示装置の表示画面に枠状の輝度ムラが発生すること抑制できるという着想を得た。
具体的には、本実施の形態における液晶表示装置1では、第1液晶セル110において、内側(接合部材500側)に位置する第1TFT基板111(第1内側基板)の厚さを、外側(接合部材500側とは反対側)に位置する第1対向基板112(第1外側基板)の厚さよりも厚くしている。
この構成により、内側に位置する第1TFT基板111の剛性を、外側に位置する第1対向基板112の剛性よりも相対的に高めることができる。これにより、接合部材500の収縮によって生じる引っ張り応力を、内側に位置する第1TFT基板111に伝達することを抑制できる。この結果、内側に位置する第1TFT基板111が歪むことを抑制できるので、第1液晶セル110の厚さが変動することを抑制できる。
しかも、内側に位置する第1TFT基板111の厚さを外側に位置する第1対向基板112の厚さよりも厚くすることで、外側に位置する第1対向基板112の厚さが内側に位置する第1TFT基板111の厚さよりも相対的に薄くなる。この結果、第1液晶セル110の厚さの変動による追従性を向上させることができる。これにより、第1液晶セル110の厚さが変動することを抑制できる。
このように、本実施の形態における液晶表示装置1によれば、第1液晶セル110の厚さが変動することを効果的に抑制できるので、液晶表示装置1の表示画面の周辺部に枠状の輝度ムラが発生することを抑制できる。したがって、液晶表示装置1の表示画像の品質が低下することを抑制できる。
また、本実施の形態における液晶表示装置1では、第2液晶セル210においても、内側(接合部材500側)に位置する第2TFT基板211(第1内側基板)の厚さを、外側(接合部材500側とは反対側)に位置する第2対向基板212(第1外側基板)の厚さよりも厚くしている。
この構成により、内側に位置する第2TFT基板211の剛性を、外側に位置する第2対向基板212の剛性よりも相対的に高めることができる。これにより、第2液晶セル210においても、接合部材500の収縮によって生じる引っ張り応力を、内側に位置する第2TFT基板211に伝達することを抑制できる。この結果、内側に位置する第2TFT基板211が歪むことを抑制できるので、第2液晶セル210の厚さが変動することを抑制できる。
しかも、第2液晶セル210においても、内側に位置する第2TFT基板211の厚さを外側に位置する第2対向基板212の厚さよりも厚くすることで、外側に位置する第2対向基板212の厚さが内側に位置する第2TFT基板211の厚さよりも相対的に薄くなる。これにより、第2液晶セル210の厚さの変動による追従性を向上させることができる。この結果、第2液晶セル210の厚さが変動することを抑制できる。
このように、本実施の形態における液晶表示装置1によれば、第1液晶セル110だけではなく、第2液晶セル210の厚さが変動することも効果的に抑制できるので、液晶表示装置1の表示画面の周辺部に枠状の輝度ムラが発生することを一層抑制できる。したがって、表示画像の品質が低下することを一層抑制できる。
また、本実施の形態における液晶表示装置1では、第1表示パネル100において、内側(接合部材500側)に位置する接合側の第1偏光板121(第1内側偏光板)の厚さを、外側に位置する非接合側の第1偏光板122(第1外側偏光板)の厚さよりも厚くしている。
この構成により、内側に位置する接合側の第1偏光板121が貼り合わされる第1TFT基板111の剛性を一層高めることができるので、接合部材500の収縮による引っ張り応力によって、内側に位置する第1TFT基板111が歪むことを抑制できる。これにより、第1液晶セル110の厚さが変動することを抑制できるので、液晶表示装置1の表示画面の周辺部に枠状の輝度ムラが発生することを一層抑制できる。
また、本実施の形態における液晶表示装置1では、第2表示パネル200においても、内側(接合部材500側)に位置する接合側の第2偏光板221(第2内側偏光板)の厚さを、外側に位置する非接合側の第2偏光板222(第2外側偏光板)の厚さよりも厚くしている。
この構成により、内側に位置する接合側の第2偏光板221が貼り合わされる第2TFT基板211の剛性を高めることができるので、接合部材500の収縮による引っ張り応力によって、内側に位置する第2TFT基板211が歪むことを抑制できる。これにより、第1液晶セル110だけではなく、第2液晶セル210の厚さが変動することも抑制できるので、液晶表示装置1の表示画面の周辺部に枠状の輝度ムラが発生することをさらに抑制できる。
また、本実施の形態における液晶表示装置1では、第1表示パネル100の第1内側基板である第1TFT基板111の厚さと第2表示パネル200の第2内側基板である第2TFT基板211の厚さとが同じであり、第1表示パネル100の第1外側基板である第1対向基板112の厚さと第2表示パネル200の第2外側基板である第2対向基板212の厚さとが同じであり、第1表示パネル100の第1内側偏光板である接合側の第1偏光板121の厚さと第2表示パネル200の第2内側偏光板である接合側の第2偏光板221の厚さとが同じであり、第1表示パネル100の第1外側偏光板である非接合側の第1偏光板122の厚さと第2表示パネル200の第2外側偏光板である非接合側の第2偏光板222の厚さとが同じである。
この構成により、接合部材500を間にして第1表示パネル100と第2表示パネル200とを対称な構造にすることができる。これにより、接合部材500の収縮による引っ張り応力の影響を第1表示パネル100と第2表示パネル200とで同程度にすることができるので、第1表示パネル100及び第2表示パネル200が受ける応力の偏りを小さくすることができる。したがって、第1液晶セル110及び第2液晶セル210の厚さが変動することを一層抑制することができるので、液晶表示装置1の表示画面の周辺部に枠状の輝度ムラが発生することをさらに抑制できる。
ここで、実施の形態に係る液晶表示装置1の上記効果に関して、構造シミュレーションを行ったので、その解析結果について説明する。
図6は、その構造シミュレーションで用いた第2表示パネル200のモデル構造を示す図である。
図6に示す第2表示パネル200において、接合部材500のシール側の端縁(OCA端縁)からパネル中央に向かって90mmの位置までの領域を、OCAである接合部材500が追硬化していない部分(OCA未硬化部)とし、その90mmの位置からパネル中央までの領域を、OCAである接合部材500が追硬化した部分(OCA追硬化部)としている。
また、図6に示す第2表示パネル200において、第2TFT基板211及び第2対向基板212の各々については、弾性率を71000MPa、ポアソン比を0.2としており、また、第2液晶層213を封止するシール部材については、弾性率を2600MPa、ポアソン比を0.34としており、また、一対の第2偏光板220の各々については、弾性率を5000MPa、ポアソン比を0.35としている。また、接合部材500については、OCA未硬化部では、弾性率を0.0456、ポアソン比を0.4999とし、OCA追硬化部では、弾性率を0.064、ポアソン比を0.4999としている。
さらに、図6に示す第2表示パネル200において、パネル中央からパネル端部に向かって重力荷重が付与されたときに、OCA追硬化部が0.513%収縮し、第2表示パネル200が25℃から45℃に上昇したと条件設定している。なお、第2表示パネル200の上下面には大気圧が付与されているとした。
このように設定した条件の下で、第2内側基板(内基板)である第2TFT基板211及び第2外側基板(外基板)である第2対向基板212の厚さをそれぞれ変えたときの3つのサンプル1〜3について、OCAである接合部材500の収縮による第2液晶セル210の厚さ(セル厚)の変動量を求めた。その結果を図7に示す。図7において、横軸は、接合部材500のシール側の端縁(OCA端縁)からの距離を示しており、縦軸は、第2液晶セルの厚さ(セル厚)の変動量を示している。なお、サンプル1〜3は、以下のような仕様とした。
サンプル1では、第2TFT基板211(内基板)の厚さを0.5mmとし、第2対向基板212(外基板)の厚さを0.5mmとした。
サンプル2では、第2TFT基板211(内基板)の厚さを0.7mmとし、第2対向基板212(外基板)の厚さを0.7mmとした。
サンプル3では、第2TFT基板211(内基板)の厚さを0.7mmとし、第2対向基板212(外基板)の厚さを0.5mmとした。
なお、サンプル1〜3において、接合部材500(OCA)の厚さは、全て同じにした。
また、図8は、図7の3つのサンプル1〜3における第2液晶セル210の厚さ(セル厚)の変動量を棒グラフで示している。
また、図9は、図7の3つのサンプル1〜3における第2液晶セル210の厚さの変動の最大振幅の絶対値と、サンプル1を基準にしたときのサンプル2、3における第2液晶セル210の厚さの変動の最大振幅の相対値とを示している。
図7〜図9に示されるように、本シミュレーションの解析結果によれば、内基板である第2TFT基板211と外基板である第2対向基板212とが異なる厚さであれば、内基板である第2TFT基板211の厚さは厚い方がよく、外基板である第2対向基板212の厚さは薄い方がよいことが分かる。つまり、内基板である第2TFT基板211の厚さを厚くし、外基板である第2対向基板212の厚さを薄くすることで、第2液晶セル210の厚さの変動量を小さくできる。
また、内基板である第2TFT基板211と外基板である第2対向基板212とが同じ厚さであれば、内基板である第2TFT基板211の厚さと外基板である第2対向基板212の厚さとは薄い方がよいことも分かる。つまり、内基板である第2TFT基板211の厚さと外基板である第2対向基板212の厚さとをいずれも薄くすることで、第2液晶セル210の厚さの変動量を小さくできる。
なお、詳細は説明しないが、以上の構造シミュレーションの解析結果は、第1表示パネル100についても同様の結果が得られた。
すなわち、内基板である第1TFT基板111と外基板である第1対向基板112とが異なる厚さであれば、内基板である第1TFT基板111の厚さは厚い方がよく、外基板である第1対向基板112の厚さは薄い方がよい。これにより、第1液晶セル110の厚さの変動量を小さくできる。
また、内基板である第1TFT基板111と外基板である第1対向基板112とが同じ厚さであれば、内基板である第1TFT基板111の厚さと外基板である第1対向基板112の厚さとは薄い方がよい。これにより、第1液晶セル110の厚さの変動量を小さくできる。
以上の構造シミュレーションの解析結果から分かるように、本実施の形態における液晶表示装置1の構造にすることで、第1液晶セル110及び第2液晶セル210の厚さが変動することを抑制できる。つまり、第1液晶セル110において、内側に位置する第1TFT基板111(第1内側基板)の厚さを、外側に位置する第1対向基板112(第1外側基板)の厚さよりも厚くすることで、第1液晶セル110の厚さが変動することを抑制できる。また、第2液晶セル210において、内側に位置する第2TFT基板211(第2内側基板)の厚さを、外側に位置する第2対向基板212(第2外側基板)の厚さよりも厚くすることで、第2液晶セル210の厚さが変動することを抑制できる。これにより、液晶表示装置1の表示画面の周辺部に枠状の輝度ムラが発生することをさらに抑制できる。
また、実施の形態における液晶表示装置1では、第2表示パネル200においても、内側(接合部材500側)に位置する接合側の第2偏光板221(第2内側偏光板)の厚さを、外側に位置する非接合側の第2偏光板222(第2外側偏光板)の厚さよりも厚くしている。
この構成により、内側に位置する接合側の第2偏光板221が貼り合わされる第2TFT基板211の剛性を高めることができるので、接合部材500の収縮による引っ張り応力によって、内側に位置する第2TFT基板211が歪むことを抑制できる。これにより、第1液晶セル110だけではなく、第2液晶セル210の厚さが変動することも抑制できる。したがって、液晶表示装置1の表示画面の周辺部に枠状の輝度ムラが発生することをさらに抑制できる。
なお、本開示の効果を確認するために、液晶表示装置(実機)を実際に作製して通電試験を行った。具体的には、内基板の厚さが0.5mmで、外基板の厚さが0.5mmであるサンプル1の表示パネルを用いた液晶表示装置と、内基板の厚さが0.7mmで、外基板の厚さが0.5mmであるサンプル3の表示パネルを用いた液晶表示装置とのそれぞれについて、45℃の温度環境下で連続通電し、表示画面の輝度分布を測定した。その結果、サンプル1の表示パネルを用いた液晶表示装置では枠状の輝度ムラが発生したが、サンプル3の表示パネルを用いた液晶表示装置については、枠状の輝度ムラが発生しなかった。つまり、接合部材500側に位置する内側基板の厚さを外側基板の厚さよりも厚くすることで、枠状の輝度ムラを抑制することができることが確かめられた。
次に、本願発明者らは、接合部材を構成する光硬化性樹脂に残留する重合開始剤がバックライトの光によって追硬化したことで表示画面に枠状の輝度ムラが発生したことに着目して、バックライトの光特性を所望に設定することで枠状の輝度ムラを抑制できるという着想も得た。
具体的には、液晶モジュール2の背面側に配置されたバックライト300が、図11に示されるように、発光ピーク波長が430nm以上470nm以下の発光ダイオード(LED)と黄色蛍光体とによって構成された白色光を発する白色LED光源である場合、重合開始剤の吸光度特性の青色光成分の影響を考慮すると、バックライト300が発する光の分光分布については、青色波長域のピーク強度を100%としたときに、420nm付近での強度を2%以下とし、かつ、440nm付近での強度を40%以下にするとよいことを突き止めた。
このような分光分布特性を有するバックライト300を用いることで、接合部材500を構成する光硬化性樹脂に残留する重合開始剤がバックライト300の光によって追硬化することを抑制できる。これにより、接合部材500の端部領域が収縮することを抑制できるので、接合部材500の収縮によって生じる引っ張り応力を軽減できる。この結果、第1液晶セル110及び第2液晶セル210の厚さが変動することを抑制できるので、液晶表示装置1の表示画面の周辺部に枠状の輝度ムラが発生することを抑制できる。したがって、液晶表示装置の表示画像の品質が低下することを抑制できる。
また、液晶モジュール2の背面側に配置されたバックライト300が、図12に示されるように、発光ピーク波長が455nm以上475nm以下の青色光を発するレーザダイオード(LD)を有するレーザ光源である場合には、バックライト300が発する光の分光分布については、青色波長域のピーク強度を100%としたときに、420nm付近での強度を1%以下とし、かつ、440nm付近での強度を11%以下にするとよい。
このような分光分布特性を有するバックライト300を用いることで、レーザ光源を用いた場合であっても、接合部材500を構成する光硬化性樹脂に残留する重合開始剤がバックライト300の光によって追硬化することを効果的に抑制できるので、接合部材500の端部領域が収縮することを抑制できる。したがって、第1液晶セル110及び第2液晶セル210の厚さが変動することを抑制できるので、液晶表示装置1の表示画面の周辺部に枠状の輝度ムラが発生することを抑制できる。
なお、図12に示されるレーザ光源は、白色光を発する白色レーザ光源であり、青色光を発する青色レーザダイオードと、緑色光を発する緑色レーザダイオードと、赤色光を発する赤色レーザダイオードとを有する。
(変形例)
以上、本開示に係る液晶表示装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂があるが、上記実施の形態における接合部材500は、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂のうち光硬化性樹脂のみによって構成されていたが、これに限らない。具体的には、接合部材500は、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂の両方によって構成されていてもよい。
また、上記実施の形態において、接合部材500は、1つの層によって構成されていたが、複数の層によって構成されていてもよい。例えば、接合部材500は、厚み方向に積層された複数の粘着層によって構成されていてもよい。
また、上記実施の形態において、第1表示パネル100がカラー画像を表示し、第2表示パネル200がモノクロ画像を表示する構成としたが、これに限らない。例えば、第1表示パネル100がモノクロ画像を表示し、第2表示パネル200がカラー画像を表示する構成であってもよい。
また、上記実施の形態では、2つの表示パネルを用いたが、これに限らない。例えば、3つ以上の表示パネルを用いてもよい。この場合、隣り合う2つの表示パネルの間ごとに接合部材が挿入されていればよい。
また、上記実施の形態では、第1表示パネル100及び第2表示パネル200のいずれにおいても、内側に位置する内側基板の厚さを外側に位置する外側基板の厚さよりも厚くしたが、これに限らない。つまり、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の少なくとも一方について、内側に位置する内側基板の厚さを外側に位置する外側基板の厚さよりも厚くしてもよい。具体的には、内側に位置する第1TFT基板111(第1内側基板)の厚さを外側に位置する第1対向基板112(第1外側基板)の厚さよりも厚くする、及び/又は、内側に位置する第2TFT基板211(第2内側基板)の厚さを外側に位置する第2対向基板212(第2外側基板)の厚さよりも厚くするとよい。
また、上記実施の形態では、第1表示パネル100及び第2表示パネル200のいずれにおいても、内側に位置する内側偏光板の厚さを外側に位置する外側偏光板の厚さよりも厚くしたが、これに限らない。つまり、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の少なくとも一方について、内側に位置する内側偏光板の厚さを外側に位置する外側偏光板の厚さよりも厚くしてもよい。具体的には、内側に位置する接合側の第1偏光板121(第1内側偏光板)の厚さを外側に位置する非接合側の第1偏光板122(第1外側偏光板)の厚さよりも厚くする、及び/又は、内側に位置する接合側の第2偏光板221(第2内側偏光板)の厚さを外側に位置する非接合側の第2偏光板222(第2外側偏光板)の厚さよりも厚くするとよい。
その他、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。