JP2020070777A - 電磁弁、および、これを用いた高圧ポンプ - Google Patents

電磁弁、および、これを用いた高圧ポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】作動時の高周波音の発生を抑制可能な電磁弁および高圧ポンプを提供する。【解決手段】ストッパ部50は、シート部30に対し加圧室200側に設けられ、弁部材40の加圧室200側の面に当接することで弁部材40の開弁方向の移動を規制可能である。ニードル60は、軸方向に往復移動可能、かつ、一端が弁部材40の加圧室200とは反対側の面に当接可能に設けられている。ニードル60は、共振周波数が20kHz以下となるよう軸方向の剛性が設定されている。【選択図】図2

Description

本発明は、電磁弁、および、これを用いた高圧ポンプに関する。
従来、吸入通路の弁部材を電磁駆動部により開弁制御する電磁弁を適用した高圧ポンプが知られている。特許文献1の高圧ポンプでは、開弁制御時、電磁駆動部への通電を停止すると、弁部材とともにニードルが開弁方向に移動し、弁部材がストッパ部に衝突する。このとき、ニードル、弁部材およびストッパ部の振動により、不快な騒音が発生する。
特開2015−21428号公報
特許文献1の高圧ポンプでは、開弁制御時、電磁駆動部への通電を停止した後、ニードルが開側位置に到達する前に電磁駆動部に一時的に再通電する。これにより、ニードルの開弁方向の移動速度が低下し、ニードルと弁部材とストッパ部との衝突力が低減される。その結果、ニードル、弁部材およびストッパ部の振動による騒音を低減可能である。
特許文献1の高圧ポンプでは、上述の制御により、騒音の全体的な低減は可能であるものの、耳障りな高周波音が残るおそれがある。また、ニードルと弁部材とストッパ部との衝突力をさらに低減させることを目的としてニードルの開弁方向の移動速度をさらに低下させた場合、応答性が悪化するおそれがある。
本発明の目的は、作動時の高周波音の発生を抑制可能な電磁弁および高圧ポンプを提供することにある。
本発明に係る電磁弁の第1の態様は、加圧室形成部と吸入通路形成部とシート部と弁部材とストッパ部とニードルと可動コアと電磁駆動部とニードル付勢部材とを備えている。加圧室形成部は、流体が加圧される加圧室を形成する。吸入通路形成部は、加圧室に吸入される流体が流れる吸入通路を形成する。シート部は、吸入通路に設けられ、一方の面と他方の面とを連通する連通路を有する。弁部材は、シート部の加圧室側に設けられ、シート部から離間し開弁、または、シート部に当接し閉弁することで連通路における流体の流れを許容または規制可能である。
ストッパ部は、シート部に対し加圧室側に設けられ、弁部材の加圧室側の面に当接することで弁部材の開弁方向の移動を規制可能である。ニードルは、軸方向に往復移動可能、かつ、一端が弁部材の加圧室とは反対側の面に当接可能に設けられている。可動コアは、ニードルに設けられている。電磁駆動部は、通電により可動コアをニードルとともに閉弁方向または開弁方向に吸引可能である。ニードル付勢部材は、ニードルを開弁方向または閉弁方向に付勢する。
ニードルは、共振周波数が20kHz以下となるよう軸方向の剛性が設定されている。これにより、高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
本発明に係る電磁弁の第2の態様では、ニードルは、可動コアが設けられたニードル本体、弁部材に当接可能なようニードル本体の弁部材側に形成されたニードル端部、および、ニードル端部の周方向の全範囲においてニードル端部の外壁から径方向内側へ凹むよう形成されたニードル凹部を有している。そのため、ニードル端部の剛性はニードル凹部において比較的低く、弁部材の開弁時、ニードルと弁部材とストッパ部とが衝突している時間を長くすることができる。これにより、ニードルと弁部材とストッパ部との衝突力の最大値を低減できる。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
本発明に係る電磁弁の第3の態様では、ストッパ部は、弁部材の加圧室側の面の外縁部に当接可能なストッパ当接面を有している。弁部材は、板厚が0.5mm以上、0.75mm以下となるよう形成されている。そのため、弁部材の剛性は比較的低く、弁部材の開弁時、ニードルと弁部材とストッパ部とが衝突している時間を長くすることができる。これにより、ニードルと弁部材とストッパ部との衝突力の最大値を低減できる。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
本発明に係る電磁弁の第4の態様では、ストッパ部は、筒状のストッパ筒部、ストッパ筒部の加圧室側の端部を塞ぐストッパ底部、ストッパ底部から加圧室とは反対側へ突出するストッパ凸部、および、ストッパ凸部に形成され弁部材の加圧室側の面に当接可能なストッパ当接面を有している。ストッパ底部は、板厚が0.5mm以上、0.74mm以下となるよう形成されている。そのため、ストッパ底部の剛性は比較的低く、弁部材の開弁時、ニードルと弁部材とストッパ部とが衝突している時間を長くすることができる。これにより、ニードルと弁部材とストッパ部との衝突力の最大値を低減できる。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
本発明に係る電磁弁の第5の態様では、弁部材は、周方向に複数に分割されて環状に配置され内周壁がテーパ状に形成された外側弁部、ニードルの一端が当接可能なよう外側弁部の中央に対し加圧室とは反対側に設けられ外周壁が外側弁部の内周壁と摺動可能なようテーパ状に形成された内側弁部、および、外側弁部を径内方向へ付勢する径内方向付勢部を有し、内側弁部が開弁方向へ移動すると、内側弁部の外周壁が外側弁部の内周壁と摺動しつつ、複数の外側弁部が径外方向へ移動する。これにより、弁部材の開弁時、内側弁部がニードルに押されて開弁方向へ移動すると、内側弁部の外周壁が外側弁部の内周壁と摺動しつつ、複数の外側弁部が径内方向付勢部の付勢力に抗して径外方向へ移動する。そのため、ニードルと弁部材とストッパ部とが衝突している時間を長くすることができる。これにより、ニードルと弁部材とストッパ部との衝突力の最大値を低減できる。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
第1実施形態による電磁弁および高圧ポンプを示す模式的断面図。 第1実施形態による高圧ポンプの電磁弁の弁部材、および、その近傍を示す断面図。 (A)は第1実施形態による電磁弁と従来の電磁弁とについて時間の経過に伴う衝突力の大きさの変化を示すグラフ、(B)は第1実施形態による電磁弁と従来の電磁弁とについて衝突力の大きさと周波数の高さとの関係を示すグラフ。 (A)はニードル端部の外径の違いによる衝突力の大きさと周波数の高さとの関係を示すグラフ、(B)はニードル端部の外径の大きさと周波数の高さとの関係を示すグラフ。 第2実施形態による高圧ポンプの電磁弁の弁部材、および、その近傍を示す断面図。 第3実施形態による高圧ポンプの電磁弁の弁部材、および、その近傍を示す断面図。 弁部材の板厚の大きさと周波数の高さとの関係を示すグラフ。 第4実施形態による高圧ポンプの電磁弁の弁部材、および、その近傍を示す断面図。 ストッパ底部の板厚の大きさと周波数の高さとの関係を示すグラフ。 第5実施形態による高圧ポンプの電磁弁の閉弁状態の弁部材、および、その近傍を示す断面図。 (A)は第5実施形態による高圧ポンプの電磁弁の弁部材を示す断面図、(B)は(A)を矢印XIB方向から見た図。 第5実施形態による高圧ポンプの電磁弁の開弁状態の弁部材、および、その近傍を示す断面図。
以下、複数の実施形態による電磁弁および高圧ポンプを図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。また、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位は、同一または同様の作用効果を奏する。
(第1実施形態)
第1実施形態による電磁弁、および、これを用いた高圧ポンプを図1に示す。高圧ポンプ1は、図示しない車両の内燃機関に燃料を供給する燃料供給システムに適用される。高圧ポンプ1は、例えば内燃機関のエンジンヘッド等に取り付けられる。ここで、内燃機関は、例えばガソリンエンジンである。よって、高圧ポンプ1は、燃料としてのガソリンを内燃機関に供給する。ここで、燃料は、「流体」に対応している。
高圧ポンプ1は、ハウジング20、プランジャ11、電磁弁10等を備えている。電磁弁10は、シート部30、弁部材40、ストッパ部50、ニードル60、可動コア70、電磁駆動部80、ニードル付勢部材91等を備えている。
ハウジング20は、ハウジング本体21、インレット部22、吐出部23、吐出弁24等を有している。ハウジング本体21は、例えば金属により形成されている。ハウジング本体21は、空間としての加圧室200、吸入通路201、吐出通路202等を有している。加圧室200は、ハウジング本体21の内側において略円筒状に形成されている。吸入通路201は、一端が加圧室200に連通するようハウジング本体21に形成されている。吐出通路202は、一端が加圧室200に連通するようハウジング本体21に形成されている。ここで、ハウジング20のハウジング本体21は、「加圧室形成部」、「吸入通路形成部」に対応している。
インレット部22は、ハウジング本体21から筒状に突出するよう形成されている。インレット部22の内側の空間は、吸入通路201に連通している。インレット部22には、図示しない燃料ポンプが接続される。これにより、インレット部22には、燃料ポンプから吐出された燃料が流入する。インレット部22に流入した燃料は、吸入通路201を経由して加圧室200に流入可能である。
吐出部23は、ハウジング本体21から筒状に突出するよう形成されている。吐出部23の内側の空間は、吐出通路202に連通している。吐出部23には、図示しない燃料レールが接続される。これにより、加圧室200から流出した燃料は、吐出通路202、吐出部23を経由して高圧ポンプ1から吐出され、燃料レールに流入する。燃料レールに流入した燃料は、図示しない燃料噴射弁から内燃機関に噴射供給される。
吐出弁24は、吐出部23の内側に設けられている。吐出弁24は、吐出通路202側から燃料レール側への燃料の流れを許容し、燃料レール側から吐出通路202側への燃料の流れを規制する。
プランジャ11は、例えば金属により略円柱状に形成されている。プランジャ11は、一端側が加圧室200において軸方向に往復移動可能なようハウジング本体21に設けられている。プランジャ11の他端は、ハウジング本体21から突出している。プランジャ11の他端には、スプリングシート12が設けられている。スプリングシート12とハウジング本体21との間には、スプリング13が設けられている。スプリング13は、例えばコイルスプリングであり、プランジャ11を、プランジャ11が加圧室200から抜け出る方向へ付勢している。
高圧ポンプ1は、プランジャ11の他端またはスプリングシート12がカムシャフト2のカム3に当接するよう内燃機関に取り付けられる。これにより、カムシャフト2が回転すると、プランジャ11は、軸方向に往復移動する。このとき、加圧室200の容積は、プランジャ11の往復移動に応じて増減する。
シート部30は、例えば金属により略円板状に形成されている。シート部30は、吸入通路201に設けられている。具体的には、シート部30は、吸入通路201を形成するハウジング本体21の内壁に固定されている。図2に示すように、シート部30は、連通路としての内側連通路301、外側連通路302、および、弁座300等を有している。
内側連通路301は、シート部30の一方の面の中央と他方の面の中央とを連通するようシート部30に1つ形成されている。外側連通路302は、シート部30の一方の面と他方の面とを連通するようシート部30に形成されている。外側連通路302は、内側連通路301の径方向外側においてシート部30の周方向に等間隔で複数形成されている。弁座300は、シート部30の加圧室200側の面において内側連通路301の周囲、および、外側連通路302の周囲に環状に形成されている。
弁部材40は、弁本体400を有している。弁本体400は、例えば金属により略円板状に形成されている。弁部材40は、吸入通路201においてシート部30に対し加圧室200側に設けられている。弁部材40は、弁本体400の一方の面がシート部30の弁座300から離間、または、シート部30の弁座300に当接するよう軸方向に往復移動可能である。弁部材40は、シート部30から離間し開弁、または、シート部30に当接し閉弁することで内側連通路301、外側連通路302における燃料の流れを許容または規制可能である。
弁本体400は、弁連通路401、テーパ面402を有している。弁連通路401は、弁本体400のシート部30側の面と加圧室200側の面とを連通するよう弁本体400に形成されている。なお、弁連通路401は、シート部30の径方向において内側連通路301と外側連通路302との間に位置するよう形成されている。弁連通路401は、弁本体400の周方向に等間隔で複数形成されている。テーパ面402は、弁本体400の加圧室200側の面の外縁部に形成されている。テーパ面402は、加圧室200側からシート部30側へ向かうに従い弁本体400の軸から離れるようテーパ状に形成されている。
ストッパ部50は、例えば金属により形成されている。ストッパ部50は、吸入通路201においてシート部30に対し加圧室200側に設けられている。具体的には、ストッパ部50は、吸入通路201を形成するハウジング本体21の内壁に固定されている。
ストッパ部50は、ストッパ筒部51、ストッパ底部52、ストッパ凸部53、ストッパ当接面54等を有している。ストッパ筒部51は、大径筒部511、小径筒部512を有している。大径筒部511は、略円筒状に形成されている。小径筒部512は、略円筒状に形成されている。小径筒部512は、大径筒部511と同軸となるよう大径筒部511と一体に形成されている。小径筒部512の内径は大径筒部511の内径より小さく、小径筒部512の外径は大径筒部511の外径と同じである。
ストッパ部50は、大径筒部511に対し小径筒部512が加圧室200側に位置し、大径筒部511および小径筒部512の外周壁が、吸入通路201を形成するハウジング本体21の内壁に当接するよう吸入通路201に設けられている。なお、大径筒部511の小径筒部512とは反対側の端面は、シート部30の加圧室200側の端面の外縁部に当接している。
ストッパ底部52は、ストッパ筒部51の加圧室200側の端部を塞ぐようストッパ筒部51と一体に板状に形成されている。具体的には、ストッパ底部52は、小径筒部512の加圧室200側の端部を塞ぐようストッパ筒部51と一体に形成されている。
ストッパ凸部53は、ストッパ底部52の中央から加圧室200とは反対側へ略円柱状に突出するようストッパ底部52と一体に形成されている。ストッパ当接面54は、ストッパ凸部53のストッパ底部52とは反対側の端面に形成されている。ストッパ当接面54のストッパ筒部51の軸方向における位置は、大径筒部511と小径筒部512との間の環状の段差面513の位置と概ね同じである。
ストッパ底部52は、ストッパ連通路501を有している。ストッパ連通路501は、ストッパ凸部53の径方向外側においてストッパ底部52のシート部30側の面と加圧室200側の面とを連通するよう形成されている。ストッパ連通路501は、ストッパ底部52の周方向に等間隔で複数形成されている。
弁部材40は、ストッパ部50のストッパ筒部51の内側においてシート部30の加圧室200側の面とストッパ当接面54との間で往復移動可能に設けられている。弁部材40は、弁本体400の加圧室200側の面の中央がストッパ当接面54に当接したとき、開弁方向の移動が規制される。このように、ストッパ部50は、弁部材40の加圧室200側の面に当接することで弁部材40の開弁方向の移動を規制可能である。
ニードル60は、例えば金属により形成されている。ニードル60は、ニードル本体61、ニードル端部62、ニードル大径部63、ばね座部64等を有している。ニードル本体61は、略円柱状に形成されている。ニードル端部62は、略円柱状に形成され、ニードル本体61と同軸となるようニードル本体61と一体に形成されている。ニードル端部62の外径は、ニードル本体61の外径より小さい。
ニードル大径部63は、ニードル本体61のニードル端部62側の端部の径方向外側において略円筒状に形成されている。ニードル大径部63の外径は、ニードル本体61の外径より大きい。ばね座部64は、ニードル大径部63のニードル端部62側の端部の径方向外側において略円環状に形成されている。ばね座部64の外径は、ニードル大径部63の外径より大きい。
ニードル60は、軸方向に往復移動可能、かつ、一端であるニードル端部62が弁部材40の加圧室200とは反対側の面に当接可能なよう吸入通路201に設けられている。ここで、ニードル端部62は、シート部30の内側連通路301に挿通されている。なお、ニードル端部62の軸方向の長さは、内側連通路301の軸方向の長さより大きい。また、弁部材40の加圧室200側の面がストッパ当接面54に当接し、ニードル端部62が弁部材40の加圧室200とは反対側の面に当接した状態において、ニードル60のばね座部64は、シート部30から離間している(図2参照)。
可動コア70は、例えば磁性材料により略円筒状に形成されている。可動コア70は、ニードル本体61のニードル端部62とは反対側の端部の径方向外側に設けられている。可動コア70は、ニードル本体61に固定されている。そのため、可動コア70は、ニードル60と一体に軸方向に往復移動可能である。
ニードル本体61の径方向外側において可動コア70とニードル大径部63との間には、ガイド部90が設けられている。ガイド部90は、例えば金属により略円環状に形成されている。ガイド部90は、吸入通路201を形成するハウジング本体21の内壁に外周壁が当接するようハウジング本体21に固定されている。ガイド部90の内周壁は、ニードル本体61の外周壁と摺動可能である。これにより、ガイド部90は、ニードル60の軸方向の往復移動を案内可能である。
電磁駆動部80は、ガイド部90に対し加圧室200とは反対側においてハウジング本体21に設けられている。電磁駆動部80は、固定コア81、コイル82等を有している。固定コア81は、例えば磁性材料により略円柱状に形成されている。固定コア81は、可動コア70に対し加圧室200とは反対側においてハウジング本体21に固定されている。コイル82は、略円筒状に形成され、固定コア81の径方向外側に設けられている。
ニードル付勢部材91は、例えばコイルスプリングであり、一端がばね座部64に当接し、他端がガイド部90に当接するようニードル本体61およびニードル大径部63の径方向外側に設けられている。ニードル付勢部材91は、ニードル60を加圧室200側、すなわち、開弁方向に付勢している。なお、ニードル付勢部材91のばね座部64側の端部の内側は、ニードル大径部63の外周壁に接触可能である。
弁部材40とストッパ底部52との間には、弁付勢部材92が設けられている。弁付勢部材92は、例えばコイルスプリングであり、一端がストッパ底部52に当接し、他端が弁部材40に当接するようストッパ凸部53の径方向外側に設けられている。弁付勢部材92は、弁部材40を加圧室200とは反対側、すなわち、閉弁方向に付勢している。弁付勢部材92の付勢力は、ニードル付勢部材91の付勢力より小さい。
図示しない電子制御ユニットによりコイル82に通電すると、固定コア81と可動コア70との間に吸引力が生じる。これにより、可動コア70は、ニードル付勢部材91の付勢力に抗して、ニードル60とともに加圧室200とは反対側、すなわち、閉弁方向に移動する。可動コア70がニードル60とともに閉弁方向にさらに移動すると、弁部材40は、弁付勢部材92の付勢力等により閉弁方向に移動し、シート部30の弁座300に当接し閉弁する。
弁部材40が閉弁した状態でコイル82への通電を停止すると、固定コア81と可動コア70との間の吸引力が消滅し、可動コア70およびニードル60は、ニードル付勢部材91の付勢力により開弁方向へ移動する。これにより、弁部材40は、ニードル端部62により開弁方向に押され、弁座300から離間し開弁する。可動コア70およびニードル60がさらに開弁方向に移動すると、弁部材40は、ストッパ当接面54に衝突する。これにより、弁部材40の開弁方向の移動が規制される(図2参照)。
本実施形態では、コイル82に通電されていないとき、弁部材40は、ニードル60により開弁方向に押され、開弁し、ストッパ当接面54に当接した状態となる(図2参照)。このように、本実施形態では、弁部材40、ニードル60、電磁駆動部80、ニードル付勢部材91は、所謂ノーマリーオープンタイプの弁装置を構成している。
本実施形態では、弁部材40が開弁しているとき、燃料は、弁連通路401、または、弁本体400の外縁部とストッパ筒部51の内周壁との間を経由して、弁部材40に対しシート部30側と、弁部材40に対し加圧室200側との間を行き来できる(図2参照)。
次に、ニードル端部62の構成について詳細に説明する。本実施形態では、ニードル端部62の外径をD1、ニードル端部62の軸方向の長さをL1とすると、ニードル端部62は、1/7.4≦D1/L1≦1.06/7.4の関係を満たすよう形成されている。より詳細には、ニードル端部62は、外径が1mm以上、1.06mm以下となるよう形成されている。さらに詳細には、ニードル端部62は、軸方向の長さが約7.4mmとなるよう形成されている。
本実施形態では、ニードル端部62は、1/7.4≦D1/L1≦1.06/7.4の関係を満たすよう形成されていため、剛性が比較的低い。そのため、弁部材40の開弁時、弁部材40がストッパ部50のストッパ当接面54に衝突したとき、ニードル端部62が弾性変形する。これにより、ニードル60と弁部材40とストッパ部50とが衝突している時間を長くすることができる。その結果、D1/L1>1.06/7.4の関係を満たす従来のニードル端部62の場合と比べ、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突力の最大値を低減できる(図3(A)参照)。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる(図3(B)参照)。
図4(A)に、ニードル端部62の外径をそれぞれ1.8mm、1.0mm、0.5mmとした場合の衝突力と周波数との関係を示す。図4(A)に示すように、外径を変えた各ニードル端部62の共振周波数の3倍の周波数に、衝突力の落ち込みが発生する。この落ち込みが発生した周波数とニードル端部62の外径との関係をプロットすると、図4(B)に示す通りとなる。本実施形態では、図4(B)のグラフに基づき、ニードル端部62の強度限界(外径が1mm以上)と、発生する騒音の目標周波数(20kHz以下)とを両立できる構成として、ニードル端部62を、軸方向の長さが約7.4mm、外径が1mm以上、1.06mm以下となるよう、すなわち、1/7.4≦D1/L1≦1.06/7.4の関係を満たすよう形成している。本実施形態では、ニードル60は、共振周波数が20kHz以下となるよう軸方向の剛性が設定されている。
次に、高圧ポンプ1の作動について、図1、2に基づき説明する。
「吸入工程」
電磁駆動部80のコイル82への通電が停止されているとき、弁部材40は、ニードル付勢部材91およびニードル60により加圧室200側へ付勢されている。よって、弁部材40は、弁座300から離間、すなわち、開弁している。この状態で、プランジャ11がカム3側に移動すると、加圧室200の容積が増大し、弁座300に対し加圧室200とは反対側の燃料は、内側連通路301、外側連通路302を経由して加圧室200側に吸入される。
「調量工程」
弁部材40が開弁した状態で、プランジャ11がカム3とは反対側に移動すると、加圧室200の容積が減少し、弁座300に対し加圧室200側の燃料は、弁座300に対し加圧室200とは反対側に戻される。調量工程の途中、コイル82に通電すると、可動コア70がニードル60とともに固定コア81側に吸引され、弁部材40が弁付勢部材92に付勢され弁座300に当接し閉弁する。プランジャ11がカム3とは反対側に移動するとき、弁部材40を閉弁することにより、加圧室200側から弁座300に対し加圧室200とは反対側に戻される燃料の量が調整される。その結果、加圧室200で加圧される燃料の量が決定される。弁部材40が閉弁することにより、燃料を加圧室200から弁座300に対し加圧室200とは反対側に戻す調量工程は終了する。
なお、燃料噴射弁が燃料を噴射しないとき、すなわち燃料カット時には、コイル82に通電せず、高圧ポンプ1からの燃料の吐出は0である。このとき、弁部材40は開弁した状態のため、加圧室200の燃料は、プランジャ11の往復移動に伴い、加圧室200と弁座300に対し加圧室200とは反対側との間を行き来する。
「加圧工程」
弁部材40が閉弁した状態でプランジャ11がカム3とは反対側にさらに移動すると、加圧室200の容積が減少し、加圧室200内の燃料は、圧縮され加圧される。加圧室200内の燃料の圧力が吐出弁24の開弁圧以上になると、吐出弁24が開弁し、燃料が加圧室200から燃料レール側に吐出される。
コイル82への通電が停止され、プランジャ11がカム3側に移動すると、弁部材40は再び開弁する。これにより、燃料を加圧する加圧工程が終了し、弁座300に対し加圧室200とは反対側から加圧室200側に燃料が吸入される吸入工程が再開する。
上記の「吸入工程」、「調量工程」、「加圧工程」を繰り返すことにより、高圧ポンプ1は、加圧室200に吸入した燃料を加圧、吐出し、燃料レールに供給する。高圧ポンプ1から燃料レールへの燃料の供給量は、電磁駆動部80のコイル82への通電タイミング等を制御することにより調節される。
加圧工程の終期においてコイル82への通電が停止され、弁部材40が再び開弁するとき、ニードル60および弁部材40が開弁方向に移動し、ニードル端部62と弁部材40とストッパ部50とが衝突する。本実施形態では、このとき、高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。また、本実施形態では、特許文献(特開2015−21428号公報)の従来技術のようにニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突力を低減させることを目的としてコイル82への通電を制御しニードル60の開弁方向の移動速度を低下させる必要がないため、応答性が悪化するのを抑制できる。
以上説明したように、(1)本実施形態の電磁弁10は、加圧室形成部および吸入通路形成部としてのハウジング20とシート部30と弁部材40とストッパ部50とニードル60と可動コア70と電磁駆動部80とニードル付勢部材91とを備えている。ハウジング20は、燃料が加圧される加圧室200を形成する。ハウジング20は、加圧室200に吸入される燃料が流れる吸入通路201を形成する。シート部30は、吸入通路201に設けられ、一方の面と他方の面とを連通する連通路としての内側連通路301および外側連通路302を有する。弁部材40は、シート部30の加圧室200側に設けられ、シート部30から離間し開弁、または、シート部30に当接し閉弁することで内側連通路301、外側連通路302における燃料の流れを許容または規制可能である。
ストッパ部50は、シート部30に対し加圧室200側に設けられ、弁部材40の加圧室200側の面に当接することで弁部材40の開弁方向の移動を規制可能である。ニードル60は、軸方向に往復移動可能、かつ、一端が弁部材40の加圧室200とは反対側の面に当接可能に設けられている。可動コア70は、ニードル60に設けられている。電磁駆動部80は、通電により可動コア70をニードル60とともに閉弁方向または開弁方向に吸引可能である。ニードル付勢部材91は、ニードル60を開弁方向または閉弁方向に付勢する。ニードル60は、共振周波数が20kHz以下となるよう軸方向の剛性が設定されている。これにより、高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
また、(2)本実施形態では、ニードル60は、可動コア70が設けられたニードル本体61、および、外径がニードル本体61の外径より小さく弁部材40に当接可能なようニードル本体61の弁部材40側に形成されたニードル端部62を有している。ニードル端部62の外径をD1、ニードル端部62の軸方向の長さをL1とすると、ニードル端部62は、1/7.4≦D1/L1≦1.06/7.4の関係を満たすよう形成されている。そのため、ニードル端部62の剛性は比較的低く、弁部材40の開弁時、ニードル60と弁部材40とストッパ部50とが衝突している時間を長くすることができる。これにより、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突力の最大値を低減できる。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
また、(3)本実施形態では、ニードル端部62は、外径が1mm以上、1.06mm以下となるよう形成されている。そのため、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突による耳障りな高周波の騒音をさらに低減できる。
また、(4)本実施形態では、ニードル端部62は、軸方向の長さが7.4mmとなるよう形成されている。そのため、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突による耳障りな高周波の騒音をより一層低減できる。また、(12)本実施形態の高圧ポンプ1は、上記電磁弁10と、軸方向に往復移動し加圧室200内の燃料を加圧可能なプランジャ11と、を備えている。そのため、高圧ポンプ1の電磁弁10の作動時、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
(第2実施形態)
第2実施形態による高圧ポンプの一部を図5に示す。第2実施形態は、ニードル60の構成が第1実施形態と異なる。
本実施形態では、ニードル端部62の外径は、第1実施形態のニードル端部62の外径より大きい。図5に示すように、ニードル60は、ニードル凹部65をさらに有している。ニードル凹部65は、ニードル端部62の周方向の全範囲においてニードル端部62の外壁から径方向内側へ凹むよう形成されている。より詳細には、ニードル凹部65は、ニードル端部62の軸を含む面による断面において輪郭が曲線状となるよう形成されている。さらに詳細には、ニードル凹部65は、ニードル端部62の軸を含む面による断面において輪郭が円弧状となるよう形成されている。
以上説明したように、(5)本実施形態では、ニードル60は、可動コア70が設けられたニードル本体61、弁部材40に当接可能なようニードル本体61の弁部材40側に形成されたニードル端部62、および、ニードル端部62の周方向の全範囲においてニードル端部62の外壁から径方向内側へ凹むよう形成されたニードル凹部65を有している。そのため、ニードル端部62の剛性はニードル凹部65において比較的低く、弁部材40の開弁時、ニードル60と弁部材40とストッパ部50とが衝突している時間を長くすることができる。これにより、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突力の最大値を低減できる。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
また、(6)本実施形態では、ニードル凹部65は、ニードル端部62の軸を含む面による断面において輪郭が曲線状となるよう形成されている。そのため、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突時等、ニードル凹部65の特定箇所に応力が集中することによるニードル60の破損を抑制できる。
また、(7)本実施形態では、ニードル凹部65は、ニードル端部62の軸を含む面による断面において輪郭が円弧状となるよう形成されている。そのため、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突時等、ニードル凹部65の特定箇所に応力が集中することによるニードル60の破損をより一層効果的に抑制できる。
(第3実施形態)
第3実施形態による高圧ポンプの一部を図6に示す。第3実施形態は、ニードル60、ストッパ部50、弁部材40の構成等が第1実施形態と異なる。
本実施形態では、ニードル端部62の外径は、第1実施形態のニードル端部62の外径より大きい。図6に示すように、ストッパ部50の小径筒部512の内径は、第1実施形態の小径筒部512の内径より小さい。
ストッパ部50は、ストッパ当接面55を有している。ストッパ当接面55は、大径筒部511と小径筒部512との間の環状の段差面513の内縁部に形成され、弁部材40の弁本体400の加圧室200側の面の外縁部、より詳細には当該外縁部のうちテーパ面402の内側に当接可能である。弁部材40は、ストッパ当接面55に当接したとき、開弁方向の移動が規制される。このように、ストッパ部50は、弁部材40の加圧室200側の面に当接することで弁部材40の開弁方向の移動を規制可能である。
なお、ストッパ凸部53のストッパ底部52とは反対側の端面は、段差面513に対し加圧室200側に位置し、弁部材40に当接不能である。よって、本実施形態では、ストッパ凸部53にストッパ当接面54は形成されていない。
本実施形態では、弁部材40は、弁本体400の板厚が0.5mm以上、0.75mm以下となるよう形成されている。よって、弁部材40の剛性は比較的低い。そのため、弁部材40の開弁時、弁部材40がストッパ部50のストッパ当接面55に衝突したとき、弁部材40は、弁本体400の中央をニードル端部62により開弁方向に押され、弾性変形する。これにより、ニードル60と弁部材40とストッパ部50とが衝突している時間を長くすることができる。その結果、弁本体400の板厚が0.75mmより大きい従来の弁部材40の場合と比べ、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突力の最大値を低減できる。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
図7に、弁本体400の板厚と衝突時に発生する騒音の周波数との関係を示す。図7から、弁本体400の板厚が小さくなる程、騒音の周波数が低くなることがわかる。本実施形態では、図7のグラフに基づき、弁本体400の強度限界(板厚が0.5mm以上)と、発生する騒音の目標周波数(20kHz以下)とを両立できる構成として、弁部材40の弁本体400を、板厚が0.5mm以上、0.75mm以下となるよう形成している。
以上説明したように、(8)本実施形態では、ストッパ部50は、弁部材40の加圧室200側の面の外縁部に当接可能なストッパ当接面55を有している。弁部材40は、板厚が0.5mm以上、0.75mm以下となるよう形成されている。そのため、弁部材40の剛性は比較的低く、弁部材40の開弁時、ニードル60と弁部材40とストッパ部50とが衝突している時間を長くすることができる。これにより、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突力の最大値を低減できる。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
(第4実施形態)
第4実施形態による高圧ポンプの一部を図8に示す。第4実施形態は、ニードル60、ストッパ部50の構成等が第1実施形態と異なる。
本実施形態では、ニードル端部62の外径は、第1実施形態のニードル端部62の外径より大きい。本実施形態では、ストッパ底部52は、板厚が0.5mm以上、0.74mm以下となるよう形成されている。よって、ストッパ底部52の剛性は比較的低い。そのため、弁部材40の開弁時、弁部材40がストッパ部50のストッパ当接面54に衝突したとき、ストッパ底部52は、中央をストッパ凸部53により開弁方向に押され、弾性変形する。これにより、ニードル60と弁部材40とストッパ部50とが衝突している時間を長くすることができる。その結果、ストッパ底部52の板厚が0.74mmより大きい従来のストッパ部50の場合と比べ、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突力の最大値を低減できる。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
図9に、ストッパ底部52の板厚と衝突時に発生する騒音の周波数との関係を示す。図9から、ストッパ底部52の板厚が小さくなる程、騒音の周波数が低くなることがわかる。本実施形態では、図9のグラフに基づき、ストッパ底部52の強度限界(板厚が0.5mm以上)と、発生する騒音の目標周波数(20kHz以下)とを両立できる構成として、ストッパ底部52を、板厚が0.5mm以上、0.74mm以下となるよう形成している。
以上説明したように、(9)本実施形態では、ストッパ部50は、筒状のストッパ筒部51、ストッパ筒部51の加圧室200側の端部を塞ぐストッパ底部52、ストッパ底部52から加圧室200とは反対側へ突出するストッパ凸部53、および、ストッパ凸部53に形成され弁部材40の加圧室200側の面に当接可能なストッパ当接面54を有している。ストッパ底部52は、板厚が0.5mm以上、0.74mm以下となるよう形成されている。そのため、ストッパ底部52の剛性は比較的低く、弁部材40の開弁時、ニードル60と弁部材40とストッパ部50とが衝突している時間を長くすることができる。これにより、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突力の最大値を低減できる。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
(第5実施形態)
第5実施形態による高圧ポンプの一部を図10〜12に示す。第5実施形態は、ニードル60、ストッパ部50、弁部材40の構成等が第1実施形態と異なる。
本実施形態では、ニードル端部62の外径は、第1実施形態のニードル端部62の外径より大きい。
図10、11に示すように、本実施形態では、弁部材40は、弁本体400、径内方向付勢部43を有している。弁本体400は、外側弁部41、内側弁部42を有している。外側弁部41は、周方向に3つに分割されて略円環状に配置されている(図11(B)参照)。外側弁部41は、内周壁である弁内周壁410が、シート部30側から加圧室200側へ向かうに従い弁本体400の軸に近付くようテーパ状に形成されている。
内側弁部42は、略円板状に形成され、ニードル60の一端であるニードル端部62が当接可能なよう外側弁部41の中央に対し加圧室200とは反対側に設けられている。内側弁部42は、外周壁である弁外周壁420が、シート部30側から加圧室200側へ向かうに従い弁本体400の軸に近付くようテーパ状に形成されている。弁外周壁420は、外側弁部41の弁内周壁410と摺動可能である。
径内方向付勢部43は、周方向に3つに分割された外側弁部41のそれぞれを径内方向へ付勢するよう3つ設けられている。
図10に示すように、本実施形態では、ストッパ部50の小径筒部512の内径は、第1実施形態の小径筒部512の内径より小さい。ストッパ部50は、ストッパ当接面56を有している。ストッパ当接面56は、大径筒部511と小径筒部512との間の環状の段差面513の内縁部に形成され、弁部材40の外側弁部41の加圧室200側の面に当接可能である。ストッパ部50は、ストッパ当接面56が弁部材40の外側弁部41の加圧室200側の面に当接することで弁部材40の開弁方向の移動を規制可能である。
なお、ストッパ凸部53のストッパ底部52とは反対側の端面は、段差面513に対し加圧室200側に位置し、弁部材40に当接不能である。よって、本実施形態では、ストッパ凸部53にストッパ当接面54は形成されていない。
径内方向付勢部43は、一端がストッパ部50の大径筒部511の内周壁に接続し、他端が外側弁部41の外縁部に接続するよう設けられ、外側弁部41を弁本体400の径内方向へ付勢している。ここで、外側弁部41は、加圧室200側の面がストッパ当接面56と摺動しつつ、弁本体400の径方向に移動可能である。
弁部材40の閉弁時、内側弁部42のシート部30側の面は、弁座300に当接する(図10参照)。弁部材40が閉弁状態から開弁するとき、内側弁部42が開弁方向へ移動すると、内側弁部42の弁外周壁420が外側弁部41の弁内周壁410と摺動しつつ、3つの外側弁部41が径内方向付勢部43の付勢力に抗して径外方向へ移動する(図10、12参照)。
以上説明したように、(10)本実施形態では、弁部材40は、周方向に複数に分割されて環状に配置され内周壁である弁内周壁410がテーパ状に形成された外側弁部41、ニードル60の一端が当接可能なよう外側弁部41の中央に対し加圧室200とは反対側に設けられ外周壁である弁外周壁420が外側弁部41の弁内周壁410と摺動可能なようテーパ状に形成された内側弁部42、および、外側弁部41を径内方向へ付勢する径内方向付勢部43を有し、内側弁部42が開弁方向へ移動すると、内側弁部42の弁外周壁420が外側弁部41の弁内周壁410と摺動しつつ、複数の外側弁部41が径外方向へ移動する。これにより、弁部材40の開弁時、内側弁部42がニードル60に押されて開弁方向へ移動すると、内側弁部42の弁外周壁420が外側弁部41の弁内周壁410と摺動しつつ、複数の外側弁部41が径内方向付勢部43の付勢力に抗して径外方向へ移動する。そのため、ニードル60と弁部材40とストッパ部50とが衝突している時間を長くすることができる。これにより、ニードル60と弁部材40とストッパ部50との衝突力の最大値を低減できる。また、特に高周波の衝突力を低減でき、耳障りな高周波の騒音を低減できる。
また、(11)本実施形態では、ストッパ部50は、外側弁部41の加圧室200側の面に当接可能なストッパ当接面56を有している。ストッパ部50は、ストッパ当接面56が弁部材40の外側弁部41の加圧室200側の面に当接することで弁部材40の開弁方向の移動を規制可能である。
(他の実施形態)
上述の第1実施形態では、ニードル端部62は、1/7.4≦D1/L1≦1.06/7.4の関係を満たすよう形成される例を示した。これに対し、他の実施形態では、ニードル60が、共振周波数が20kHz以下となるよう軸方向の剛性が設定されているのであれば、ニードル端部62は、1/7.4≦D1/L1≦1.06/7.4の関係を満たすよう形成されていなくてもよい。また、上述の第1実施形態では、ニードル端部62は、外径が1mm以上、1.06mm以下、軸方向の長さが7.4mmとなるよう形成される例を示した。これに対し、他の実施形態では、ニードル60が、共振周波数が20kHz以下となるよう軸方向の剛性が設定されているのであれば、ニードル端部62は、外径が1mm未満、または、1.06mmより大きく、軸方向の長さが7.4mm以外の長さとなるよう形成されていてもよい。
また、上述の第2実施形態では、ニードル凹部65は、ニードル端部62の軸を含む面による断面において輪郭が曲線状となるよう形成される例を示した。これに対し、他の実施形態では、ニードル凹部65は、ニードル端部62の軸を含む面による断面において輪郭が直線状となるよう形成されていてもよい。
また、上述の第5実施形態では、外側弁部41が周方向に3つに分割される例を示した。これに対し、他の実施形態では、外側弁部41は、周方向に2つ、または、4つ以上に分割されていてもよい。また、この場合、径内方向付勢部43は、周方向に分割された外側弁部41の数と同数設ければよい。
また、上述の実施形態では、ニードル付勢部材91がニードル60を開弁方向に付勢し、電磁駆動部80が可動コア70を閉弁方向に吸引し、弁部材40、ニードル60、電磁駆動部80、ニードル付勢部材91がノーマリーオープンタイプの弁装置を構成する例を示した。これに対し、他の実施形態では、ニードル付勢部材91がニードル60を閉弁方向に付勢し、電磁駆動部80が可動コア70を開弁方向に吸引し、弁部材40、ニードル60、電磁駆動部80、ニードル付勢部材91がノーマリークローズタイプの弁装置を構成することとしてもよい。
また、他の実施形態では、高圧ポンプを、ディーゼルエンジン等、ガソリンエンジン以外の内燃機関に適用してもよい。また、高圧ポンプを、車両のエンジン以外の装置等へ向けて燃料を吐出する燃料ポンプとして用いてもよい。また、電磁弁を、高圧ポンプ以外の装置等に適用してもよい。
このように、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
1 高圧ポンプ、10 電磁弁、20 ハウジング(加圧室形成部、吸入通路形成部)、200 加圧室、201 吸入通路、30 シート部、301 内側連通路(連通路)、302 外側連通路(連通路)、40 弁部材、50 ストッパ部、60 ニードル、70 可動コア、80 電磁駆動部、91 ニードル付勢部材、61 ニードル本体、62 ニードル端部、65 ニードル凹部、51 ストッパ筒部、52 ストッパ底部、53 ストッパ凸部、54、55 ストッパ当接面、41 外側弁部、42 内側弁部、43 径内方向付勢部

Claims (12)

  1. 流体が加圧される加圧室(200)を形成する加圧室形成部(20)と、
    前記加圧室に吸入される流体が流れる吸入通路(201)を形成する吸入通路形成部(20)と、
    前記吸入通路に設けられ、一方の面と他方の面とを連通する連通路(301、302)を有するシート部(30)と、
    前記シート部の前記加圧室側に設けられ、前記シート部から離間し開弁、または、前記シート部に当接し閉弁することで前記連通路における流体の流れを許容または規制可能な弁部材(40)と、
    前記シート部に対し前記加圧室側に設けられ、前記弁部材の前記加圧室側の面に当接することで前記弁部材の開弁方向の移動を規制可能なストッパ部(50)と、
    軸方向に往復移動可能、かつ、一端が前記弁部材の前記加圧室とは反対側の面に当接可能に設けられたニードル(60)と、
    前記ニードルに設けられた可動コア(70)と、
    通電により前記可動コアを前記ニードルとともに閉弁方向または開弁方向に吸引可能な電磁駆動部(80)と、
    前記ニードルを開弁方向または閉弁方向に付勢するニードル付勢部材(91)と、を備え、
    前記ニードルは、共振周波数が20kHz以下となるよう軸方向の剛性が設定されている電磁弁(10)。
  2. 前記ニードルは、前記可動コアが設けられたニードル本体(61)、および、外径が前記ニードル本体の外径より小さく前記弁部材に当接可能なよう前記ニードル本体の前記弁部材側に形成されたニードル端部(62)を有し、
    前記ニードル端部の外径をD1、前記ニードル端部の軸方向の長さをL1とすると、
    前記ニードル端部は、1/7.4≦D1/L1≦1.06/7.4の関係を満たすよう形成されている請求項1に記載の電磁弁。
  3. 前記ニードル端部は、外径が1mm以上、1.06mm以下となるよう形成されている請求項2に記載の電磁弁。
  4. 前記ニードル端部は、軸方向の長さが7.4mmとなるよう形成されている請求項2または3に記載の電磁弁。
  5. 流体が加圧される加圧室(200)を形成する加圧室形成部(20)と、
    前記加圧室に吸入される流体が流れる吸入通路(201)を形成する吸入通路形成部(20)と、
    前記吸入通路に設けられ、一方の面と他方の面とを連通する連通路(301、302)を有するシート部(30)と、
    前記シート部の前記加圧室側に設けられ、前記シート部から離間し開弁、または、前記シート部に当接し閉弁することで前記連通路における流体の流れを許容または規制可能な弁部材(40)と、
    前記シート部に対し前記加圧室側に設けられ、前記弁部材の前記加圧室側の面に当接することで前記弁部材の開弁方向の移動を規制可能なストッパ部(50)と、
    軸方向に往復移動可能、かつ、一端が前記弁部材の前記加圧室とは反対側の面に当接可能に設けられたニードル(60)と、
    前記ニードルに設けられた可動コア(70)と、
    通電により前記可動コアを前記ニードルとともに閉弁方向または開弁方向に吸引可能な電磁駆動部(80)と、
    前記ニードルを開弁方向または閉弁方向に付勢するニードル付勢部材(91)と、を備え、
    前記ニードルは、前記可動コアが設けられたニードル本体(61)、前記弁部材に当接可能なよう前記ニードル本体の前記弁部材側に形成されたニードル端部(62)、および、前記ニードル端部の周方向の全範囲において前記ニードル端部の外壁から径方向内側へ凹むよう形成されたニードル凹部(65)を有している電磁弁(10)。
  6. 前記ニードル凹部は、前記ニードル端部の軸を含む面による断面において輪郭が曲線状となるよう形成されている請求項5に記載の電磁弁。
  7. 前記ニードル凹部は、前記ニードル端部の軸を含む面による断面において輪郭が円弧状となるよう形成されている請求項6に記載の電磁弁。
  8. 流体が加圧される加圧室(200)を形成する加圧室形成部(20)と、
    前記加圧室に吸入される流体が流れる吸入通路(201)を形成する吸入通路形成部(20)と、
    前記吸入通路に設けられ、一方の面と他方の面とを連通する連通路(301、302)を有するシート部(30)と、
    前記シート部の前記加圧室側に設けられ、前記シート部から離間し開弁、または、前記シート部に当接し閉弁することで前記連通路における流体の流れを許容または規制可能な弁部材(40)と、
    前記シート部に対し前記加圧室側に設けられ、前記弁部材の前記加圧室側の面に当接することで前記弁部材の開弁方向の移動を規制可能なストッパ部(50)と、
    軸方向に往復移動可能、かつ、一端が前記弁部材の前記加圧室とは反対側の面に当接可能に設けられたニードル(60)と、
    前記ニードルに設けられた可動コア(70)と、
    通電により前記可動コアを前記ニードルとともに閉弁方向または開弁方向に吸引可能な電磁駆動部(80)と、
    前記ニードルを開弁方向または閉弁方向に付勢するニードル付勢部材(91)と、を備え、
    前記ストッパ部は、前記弁部材の前記加圧室側の面の外縁部に当接可能なストッパ当接面(55)を有し、
    前記弁部材は、板厚が0.5mm以上、0.75mm以下となるよう形成されている電磁弁(10)。
  9. 流体が加圧される加圧室(200)を形成する加圧室形成部(20)と、
    前記加圧室に吸入される流体が流れる吸入通路(201)を形成する吸入通路形成部(20)と、
    前記吸入通路に設けられ、一方の面と他方の面とを連通する連通路(301、302)を有するシート部(30)と、
    前記シート部の前記加圧室側に設けられ、前記シート部から離間し開弁、または、前記シート部に当接し閉弁することで前記連通路における流体の流れを許容または規制可能な弁部材(40)と、
    前記シート部に対し前記加圧室側に設けられ、前記弁部材の前記加圧室側の面に当接することで前記弁部材の開弁方向の移動を規制可能なストッパ部(50)と、
    軸方向に往復移動可能、かつ、一端が前記弁部材の前記加圧室とは反対側の面に当接可能に設けられたニードル(60)と、
    前記ニードルに設けられた可動コア(70)と、
    通電により前記可動コアを前記ニードルとともに閉弁方向または開弁方向に吸引可能な電磁駆動部(80)と、
    前記ニードルを開弁方向または閉弁方向に付勢するニードル付勢部材(91)と、を備え、
    前記ストッパ部は、筒状のストッパ筒部(51)、前記ストッパ筒部の前記加圧室側の端部を塞ぐストッパ底部(52)、前記ストッパ底部から前記加圧室とは反対側へ突出するストッパ凸部(53)、および、前記ストッパ凸部に形成され前記弁部材の前記加圧室側の面に当接可能なストッパ当接面(54)を有し、
    前記ストッパ底部は、板厚が0.5mm以上、0.74mm以下となるよう形成されている電磁弁(10)。
  10. 流体が加圧される加圧室(200)を形成する加圧室形成部(20)と、
    前記加圧室に吸入される流体が流れる吸入通路(201)を形成する吸入通路形成部(20)と、
    前記吸入通路に設けられ、一方の面と他方の面とを連通する連通路(301、302)を有するシート部(30)と、
    前記シート部の前記加圧室側に設けられ、前記シート部から離間し開弁、または、前記シート部に当接し閉弁することで前記連通路における流体の流れを許容または規制可能な弁部材(40)と、
    前記シート部に対し前記加圧室側に設けられ、前記弁部材の前記加圧室側の面に当接することで前記弁部材の開弁方向の移動を規制可能なストッパ部(50)と、
    軸方向に往復移動可能、かつ、一端が前記弁部材の前記加圧室とは反対側の面に当接可能に設けられたニードル(60)と、
    前記ニードルに設けられた可動コア(70)と、
    通電により前記可動コアを前記ニードルとともに閉弁方向または開弁方向に吸引可能な電磁駆動部(80)と、
    前記ニードルを開弁方向または閉弁方向に付勢するニードル付勢部材(91)と、を備え、
    前記弁部材は、周方向に複数に分割されて環状に配置され内周壁(410)がテーパ状に形成された外側弁部(41)、前記ニードルの一端が当接可能なよう前記外側弁部の中央に対し前記加圧室とは反対側に設けられ外周壁(420)が前記外側弁部の内周壁と摺動可能なようテーパ状に形成された内側弁部(42)、および、前記外側弁部を径内方向へ付勢する径内方向付勢部(43)を有し、前記内側弁部が開弁方向へ移動すると、前記内側弁部の外周壁が前記外側弁部の内周壁と摺動しつつ、複数の前記外側弁部が径外方向へ移動する電磁弁(10)。
  11. 前記ストッパ部は、前記外側弁部の前記加圧室側の面に当接可能なストッパ当接面(56)を有している請求項10に記載の電磁弁。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の電磁弁と、
    軸方向に往復移動し、前記加圧室内の流体を加圧可能なプランジャ(11)と、
    を備える高圧ポンプ(1)。
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