JP2020070367A - 高周波誘電加熱接着シート - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、仮設構造体の部材を再利用できないという課題があった。
また、特許文献1に記載の解体方法に用いる熱可塑性樹脂組成物では、短時間で強固に接合でき、かつ強固に接合された接着組み立て部品等の仮設構造体を、部品を損傷させることなく、短時間で安全かつ容易に解体したいといった、仮設構造体を使用する現場での要求を十分に満たせないという課題がある。
[高周波誘電加熱接着シート]
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、高周波誘電接着剤層を含む。高周波誘電接着剤層は、熱可塑性樹脂(A)及び誘電フィラー(B)を含有する。本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、使用後に接着面において複数の部材に分離される仮設構造体に用いられる。本明細書において、熱可塑性樹脂(A)をA成分と称する場合もある。本明細書において、誘電フィラー(B)をB成分と称する場合もある。
高周波誘電加熱接着シート及び高周波誘電接着剤層の詳細については後述する。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートを用いることで、例えば、複数の部材を接合して仮設構造体を製造でき、さらに当該仮設構造体の接合部に対して高周波誘電加熱処理を行うことで仮設構造体を解体できる。
図1には、本実施形態の第1態様に係る仮設構造体1を示す斜視図が示されている。
本実施形態の第1態様に係る仮設構造体1は、第1の部材としての板材20と、第2の部材としての角柱状部材31と、高周波誘電加熱接着シート11と、を有する。仮設構造体1においては、板材20と角柱状部材31とが高周波誘電加熱接着シート11により接合される。
仮設構造体1は、角柱状部材31を複数有し、具体的には、角柱状部材31A、角柱状部材31B、角柱状部材31C及び角柱状部材31Dを有する。
仮設構造体1は、板材20と複数の角柱状部材31のそれぞれとが、個別の高周波誘電加熱接着シート11により接合されている。具体的には、角柱状部材31Aと板材20とが高周波誘電加熱接着シート11Aにより接合され、角柱状部材31Bと板材20とが高周波誘電加熱接着シート11Bにより接合され、角柱状部材31Cと板材20とが高周波誘電加熱接着シート11Cにより接合され、角柱状部材31Dと板材20とが高周波誘電加熱接着シート11Dにより接合されている。
高周波誘電加熱接着シート11の詳細については後述する。
本実施形態において、第1の部材は、板材20であるが、本発明における第1の部材は、板材に限定されず、第2の部材と同様、角柱状部材でもよいし、その他の形状でもよい。
本実施形態において、第2の部材は、角柱状部材31であるが、本発明における第2の部材は、角柱状部材に限定されず、第1の部材と同様、板材でもよいし、その他の形状でもよい。
本実施形態において、軽量化及び高強度化の観点から、第1の部材及び第2の部材の一方が木材であり、第1の部材及び第2の部材の他方が木材、ガラス、樹脂及び金属からなる群から選択される材質の部材であることが好ましい。
本実施形態に係る仮設構造体1においては、第1の部材としての板材20及び第2の部材としての角柱状部材31は、いずれも木材である場合を例に挙げて説明する。
板材20の厚さは、50mm以下であることが好ましく、40mm以下であることがより好ましく、30mm以下であることがさらに好ましい。
板材20の厚さが、1mm以上であれば、仮設構造体の強度を得やすい。
板材20の厚さが、50mm以下であれば、仮設構造体を軽量化しやすい。
第1の部材(板材20)と第2の部材(角柱状部材31)とは、誘電加熱処理によって接合することが好ましく、下記工程(1)及び工程(2)を含む接合方法によって接合することがより好ましい。
工程(2):第1の部材と第2の部材との間に挟持した高周波誘電加熱接着シートに対して、誘電加熱接着装置を用いて、誘電加熱処理を行う工程
図2には、誘電加熱接着装置100の概略図が示されている。
誘電加熱接着装置100は、第1高周波印加電極160と、第2高周波印加電極180と、高周波電源200と、を備えている。
第1高周波印加電極160と、第2高周波印加電極180とは、互いに対向配置されている。第1高周波印加電極160及び第2高周波印加電極180は、プレス機構を有している。このプレス機構により、板材20、高周波誘電加熱接着シート11及び角柱状部材31を、第1高周波印加電極160と第2高周波印加電極180との間で加圧処理できる。
なお、図2には、板材20と角柱状部材31Aとの接合箇所を例に挙げて示しているが、他の角柱状部材31B、31C及び31Dと板材20との接合箇所についても、板材20と角柱状部材31Aとの接合と同様にして実施できる。
誘電加熱接着装置100は、図2に示すように、板材20及び角柱状部材31Aとの間に挟持した高周波誘電加熱接着シート11Aを介して、誘電加熱処理する。さらに、誘電加熱接着装置100は、誘電加熱処理に加えて、第1高周波印加電極160及び第2高周波印加電極180による加圧処理によって、板材20と角柱状部材31Aとを接着する。
そして、B成分としての誘電フィラーは、発熱源として機能し、その発熱によって、高周波誘電加熱接着シート11AのA成分としての熱可塑性樹脂成分を溶融させ、短時間処理であっても、最終的には、板材20と角柱状部材31とを強固に接着できる。
前述した仮設構造体1の解体方法について説明する。
第1の部材(板材20)と第2の部材(角柱状部材31)とは、誘電加熱処理によって分離し、仮設構造体1を解体することが好ましく、下記工程(3)及び工程(4)を含む解体方法によって解体することがより好ましい。
工程(4):第1の部材及び第2の部材の少なくともいずれか一方に外力を付与して、第1の部材と第2の部材とを分離する工程
図3(A)は、工程(3)を示す模式図である。
図3(B)は、工程(4)を示す模式図である。
仮設構造体1の解体方法においても誘電加熱接着装置100を用いることができる。
なお、図3には、角柱状部材31Aと板材20との接合箇所における仮設構造体1の解体方法(角柱状部材31Aと板材20との接着面における分離)の例が示されているが、他の角柱状部材31B、31C及び31Dと板材20との接合箇所についても、板材20と角柱状部材31Aとの解体方法と同様にして実施できる。
工程(3)における高周波誘電加熱処理の方法及び条件は、工程(2)と同様の方法及び条件を適用できる。
外力として、解体作業者の手の力を付与することにより板材20と角柱状部材31とを分離することも好ましい。
また、工程(4)においては、工程(3)によって高周波誘電加熱接着シート11が加熱された後、押圧部材を当接させることにより、第1の部材及び第2の部材の少なくともいずれか一方に外力を付与することも好ましい。押圧部材を用いて解体する場合、図3(B)に示すように、第2の部材としての角柱状部材31に、仮設構造体1の接着面に沿って押圧部材190を当接させ、板材20と角柱状部材31とを分離することが好ましい。押圧部材190は、図3(B)に示した形状に限定されない。
工程(4)は、高周波誘電加熱接着シート11が加熱状態にあるタイミングで行うのが好ましく、高周波を印加開始した後、印加中のタイミングで工程(4)を行うのがより好ましい。第1高周波印加電極160及び第2高周波印加電極180は、プレス機構を有している。このプレス機構により、第1高周波印加電極160と第2高周波印加電極180とを近づけたり、離したりすることができる。そのため、押圧部材190を角柱状部材31Aに当接させる際に、押圧部材190が第1高周波印加電極160に接触しないように、高周波の印加終了後、第1高周波印加電極160を角柱状部材31Aから離間させた後に、押圧部材190を角柱状部材31Aに当接させることも好ましい。高周波の印加終了後、第1高周波印加電極160を角柱状部材31Aから離間させた後に、高周波誘電加熱接着シート11が冷却される前まで押圧部材190を角柱状部材31Aに当接させることが好ましい。
高周波誘電加熱接着シート11が加熱された状態のタイミングで、角柱状部材31Aを押圧部材190で押圧することによって、仮設構造体1には、接着面に沿ったせん断力が作用する。このせん断力によって、角柱状部材31Aは、図3(B)に示すように、高周波誘電加熱接着シート11から外れる。角柱状部材31Aを板材20から分離することで、仮設構造体1を解体する。
押圧部材190で角柱状部材31Aを押圧する際は、板材20を固定手段(図示せず)により固定しておくことが好ましい。板材20を固定手段で固定しておくことにより、角柱状部材31Aと板材20との接着面に沿ったせん断力をより確実に作用させることができる。固定手段としては、例えば、板材20の角柱状部材31Aが接合されている面(接合面)とは反対側の面(反対面)を吸引して固定できる吸引テーブル及び板材20の外周を把持して固定する把持装置等が挙げられる。本実施形態に係る解体方法の説明における押圧部材190による押圧は、解体作業者の手の力による押圧に変更してもよい。また、固定手段としては、解体作業者の人力でもよい。
仮設構造体の製造時及び解体時における高周波誘電加熱条件は、適宜変更できるが、以下の条件であることが好ましい。
高周波出力は、50kW以下であることが好ましく、20kW以下であることが好ましく、15kW以下であることがより好ましく、10kW以下であることがさらに好ましい。
高周波出力が0.01kW以上であれば、誘電加熱処理によって、温度が上昇し難く、良好な接着力が得られないという不具合を防ぎ易い。高周波出力が0.01kW以上であれば、高周波誘電加熱接着シートが溶融する時間が長くなって解体作業性が低下するのを防ぐことができる。
高周波出力が50kW以下であれば、誘電加熱処理による温度制御が困難となる不具合を防ぎ易い。
高周波の印加時間は、60秒以下であることが好ましく、45秒以下であることがより好ましく、35秒以下であることがさらに好ましく、25秒以下であることがさらに好ましい。
高周波の印加時間が1秒以上であれば、誘電加熱処理によって、温度が上昇し難く、良好な接着力が得られないという不具合を防ぎ易い。高周波の印加時間が1秒以上であれば、高周波誘電加熱接着シートが溶融する時間が長くなって解体作業性が低下するのを防ぐことができる。
高周波の印加時間が60秒以下であれば、第1の部材と第2の部材との接合時間又は解体時間が過度に長くなり、仮設構造体の製造効率又は解体効率が低下したり、製造コストが高くなったり、さらには、第1の部材及び第2の部材(例えば、木質材である板材20及び角柱状部材31)が熱劣化するといった不具合を防ぎ易い。
高周波の周波数は、300MHz以下であることが好ましく、100MHz以下であることがより好ましく、80MHz以下であることがさらに好ましく、50MHz以下であることがよりさらに好ましい。具体的には、国際電気通信連合により割り当てられた工業用周波数帯13.56MHz、27.12MHz又は40.68MHzが、本実施形態の高周波誘電加熱接着方法にも利用される。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、一態様としては、高周波誘電接着剤層の一層のみからなる。なお、本発明に係る高周波誘電加熱接着シートは、高周波誘電接着剤層の一層のみからなる態様に限定されず、高周波誘電加熱接着シートの変形例としては、高周波誘電接着剤層以外の層が積層されている態様も挙げられる。
このように、高周波誘電加熱接着シートは、高周波誘電接着剤層の一層のみからなる場合があるため、本明細書において、「高周波誘電加熱接着シート」という用語と、「高周波誘電接着剤層」という用語は、場合によっては、互いに入れ替えることが可能である。
熱可塑性樹脂(A)の種類は、特に制限されない。
熱可塑性樹脂(A)は、例えば、融解し易いとともに、所定の耐熱性を有する等の観点から、ポリオレフィン系樹脂、極性部位を有するポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、フェノキシ系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン及びポリメチルペンテン等のホモポリマーからなる樹脂、並びにエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン及び4−メチルペンテン等からなる群から選択されるモノマーの共重合体からなるα−オレフィン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂は、一種単独の樹脂でもよいし、二種以上の樹脂の組み合わせでもよい。
極性部位を有するポリオレフィン系樹脂における極性部位は、ポリオレフィン系樹脂に対して極性を付与できる部位であれば特に限定されない。
熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン系モノマーと極性部位を有するモノマーとの共重合体であってもよい。また、熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン系モノマーの重合によって得られたオレフィン系ポリマーに極性部位を付加反応等の変性により導入させた樹脂でも良い。
オレフィン系モノマーは、機械的強度に優れ、安定した接着特性が得られるという観点から、エチレン及びポリプロピレンが好ましい。
極性部位を有するポリオレフィン系樹脂におけるオレフィン由来の構成単位は、エチレン又はプロピレンに由来する構成単位であることが好ましい。
当該共重合体が極性部位を有するモノマー由来の構成単位を2質量%以上含むことで、高周波誘電加熱接着シートの接着強度が向上する。また、当該共重合体が極性部位を有するモノマー由来の構成単位を30質量%以下含むことで、熱可塑性樹脂(A)のタックが強くなり過ぎることを抑制できる。その結果、高周波誘電加熱接着シートの成形加工が困難になるのを防止できる。
熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂が酸変性構造を有する場合、酸による変性率は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)が酸変性構造を有する場合、酸による変性率が、0.01質量%以上であることで、高周波誘電加熱接着シートの接着強度が向上する。また、酸による変性率が30質量%以下であることで、熱可塑性樹脂(A)のタックが強くなり過ぎることを抑制できる。その結果、高周波誘電加熱接着シートの成形加工が困難になるのを防止できる。
本明細書において、変性率は、酸変性ポリオレフィンの総質量に対する酸に由来する部分の質量の百分率である。
熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂は、酸変性構造として、酸無水物構造を有することがより好ましい。酸無水物構造は、無水マレイン酸によってポリオレフィン系樹脂を変性した際に導入される構造であることが好ましい。
A成分としての無水マレイン酸変性ポリオレフィンにおいて、無水マレイン酸による変性率は、熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂が酸変性構造を有する場合の変性率と同様の範囲であることが好ましく、当該範囲内であることで得られる効果も、熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂が酸変性構造を有する場合と同様である。
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン由来の構成単位と、酢酸ビニル由来の構成単位とを含む共重合体(オレフィン−酢酸ビニル共重合樹脂)であることも好ましい。
熱可塑性樹脂(A)としてのオレフィン−酢酸ビニル共重合樹脂は、酢酸ビニル由来の構成単位を、熱可塑性樹脂(A)がオレフィン系モノマーと極性部位を有するモノマーとの共重合体における極性部位を有するモノマー由来の構成単位と同様の範囲で有することが好ましく、当該範囲内で得られる効果も、熱可塑性樹脂(A)がオレフィン系モノマーと極性部位を有するモノマーとの共重合体である場合と同様である。
したがって、熱可塑性樹脂(A)は、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂及びプロピレン−酢酸ビニル共重合樹脂の少なくとも一種であることが好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂であることがより好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂及びプロピレン−酢酸ビニル共重合樹脂における酢酸ビニル由来の構成単位についても、オレフィン−酢酸ビニル共重合樹脂について説明した百分率(質量%)と同様の範囲であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)のJIS K 7206:2016に準拠して測定されるビカット軟化点は、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)のJIS K 7206:2016に準拠して測定されるビカット軟化点は、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)のビカット軟化点が、40℃以上であれば、高周波誘電接着剤層の耐熱性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂(A)のビカット軟化点が、200℃以下であれば、短時間で安定した接合強度が得られ易くなる。
熱可塑性樹脂(A)の平均分子量(重量平均分子量)は、通常、5000以上であることが好ましく、1万以上であることがより好ましく、2万以上であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)の平均分子量(重量平均分子量)は、30万以下であることが好ましく、20万以下であることがより好ましく、10万以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量が、5000以上であれば、耐熱性及び接着力が著しく低下することを防止できる。
熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量が、30万以下であれば、誘電加熱処理を実施した際の溶着性等が著しく低下することを防止できる。
熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量は、例えば、JIS K 7367−3:1999に準拠して、極限粘度法により測定できる。
熱可塑性樹脂(A)のメルトフローレート(Melt flow rate,MFR)は、通常、JIS K 7210−1:2014に準拠して測定した値が、次のような範囲であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)のMFRは、後述の条件下で、0.5g/10分以上であることが好ましく、0.8g/10分以上であることがより好ましく、1g/10分以上であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)のMFRは、後述の条件下で、30g/10分以下であることが好ましく、20g/10分以下であることがより好ましく、15g/10分以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)のMFRが0.5g/10分以上であれば、流動性が維持でき、膜厚精度が得られ易い。また、熱可塑性樹脂(A)のMFRが0.5g/10分以上であれば、第1の部材及び第2の部材が表面に凹凸を有する場合には、第1の部材及び第2の部材の表面に対する高周波誘電加熱接着シートの追従性が向上する。
熱可塑性樹脂(A)のMFRが30g/10分以下であれば、造膜性を得易い。
なお、熱可塑性樹脂(A)のMFRの値は、JIS K 7210−1:2014に準拠し、所定の試験温度、2.16kg荷重の条件下で測定できる。
試験温度は、JIS K 7210−1:2014に準拠する。例えば、熱可塑性樹脂(A)におけるオレフィン由来の構成単位がポリエチレンの場合、試験温度は、190℃である。熱可塑性樹脂(A)におけるオレフィン由来の構成単位がポリプロピレンの場合、試験温度は、230℃である。
(種類)
誘電フィラー(B)は、1kHz以上、300MHz以下の高周波の印加により発熱することが好ましい。さらに、誘電フィラー(B)は、例えば、周波数28MHz又は40MHz等の高周波の印加により、発熱可能な高誘電損率を有する高周波吸収性充填剤であることが好ましい。
誘電フィラー(B)としての酸化亜鉛は、接着剤成分である熱可塑性樹脂(A)中へ均一に配合し易い。そのため、高周波誘電接着剤層中の酸化亜鉛の配合量が、比較的、少量であっても、所定の誘電加熱処理において、他の誘電フィラーを配合した高周波誘電加熱接着シートと比較して、優れた発熱効果を発揮できる。
したがって、高周波誘電接着剤層が、誘電フィラー(B)として酸化亜鉛を含んでいることで、第1の部材と第2の部材とを接合するための誘電加熱処理において、優れた溶着性が得られる。
誘電フィラー(B)のJIS Z 8819−2:2001に準拠し測定される平均粒子径(メディアン径、D50)は、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。
誘電フィラー(B)のJIS Z 8819−2:2001に準拠し測定される平均粒子径(メディアン径、D50)は、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。
誘電フィラー(B)の平均粒子径が小さ過ぎると、高周波印加した際の反転運動が低下するため、誘電加熱接着性が過度に低下し、被着体間の強固な接着が困難となる場合がある。
一方、誘電フィラー(B)の平均粒子径が増大するにつれて、フィラー内部で分極できる距離が大きくなる。そのため、分極の度合いが大きくなり、高周波印加した際の反転運動が激しくなり、誘電加熱接着性が向上する。
したがって、誘電フィラー(B)の平均粒子径が1μm以上であれば、フィラーの種類にもよるが、フィラー内部で分極できる距離が小さくなり過ぎず、分極の度合いが小さくなることを防ぐことができる。
誘電フィラー(B)の平均粒子径が大き過ぎると、周囲の誘電フィラーとの距離が短いため、その電荷の影響を受けて高周波印加した際の反転運動が低下し、誘電加熱接着性が過度に低下したり、あるいは、被着体間の強固な接着が困難となったりする場合がある。
そのため、誘電フィラー(B)の平均粒子径が30μm以下であれば、誘電加熱接着性が過度に低下すること、並びに被着体間の強固な接着が困難となることを防止できる。
誘電フィラー(B)が酸化亜鉛である場合、平均粒子径は、10μm以上、20μm以下であることが好ましい。
なお、誘電フィラー(B)の平均粒子径は、高周波誘電接着剤層の厚さよりも小さい値であることが好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、誘電フィラー(B)を、高周波誘電接着剤層中に3体積%以上含有することが好ましく、5体積%以上含有することがより好ましく、13体積%以上含有することがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、誘電フィラー(B)を、高周波誘電接着剤層中に40体積%以下含有することが好ましく、35体積%以下含有することがより好ましく、25体積%以下含有することがさらに好ましい。
誘電フィラー(B)の体積含有率が、3体積%以上であれば、誘電加熱処理の際に発熱性が乏しくなることを防止できる。その結果、熱可塑性樹脂(A)の溶融性が過度に低下して強固な接着力が得られないという不具合を防止できる。
誘電フィラー(B)の体積含有率が、40体積%以下であれば、誘電加熱処理の際に、高周波誘電加熱接着シートの流動性が低下したり、高周波を印加した際に電極間で通電したりすることを防止できる。また、誘電フィラー(B)の体積含有率が、40体積%以下であれば、高周波誘電加熱接着シートの製膜性、フレキシブル性及び靭性の低下を防止できる。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層は、熱可塑性樹脂(A)及び誘電フィラー(B)の合計体積に対して、誘電フィラー(B)を40体積%以下含有していることが好ましく、35体積%以下含有していることがより好ましく、25体積%以下含有していることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層は、誘電フィラー(B)を、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以上含有することが好ましく、20質量部以上含有することが好ましく、30質量部以上含有することがより好ましく、50質量部以上含有することがより好ましく、100質量部以上含有することがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層は、誘電フィラー(B)を、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、800質量部以下含有することが好ましく、400質量部以下含有することが好ましく、300質量部以下含有することがより好ましく、200質量部以下含有することがさらに好ましい。
誘電フィラー(B)の質量部数が、5質量部以上であれば、誘電加熱処理の際に発熱性が乏しくなることを防止できる。その結果、熱可塑性樹脂(A)の溶融性が過度に低下して強固な接着力が得られないという不具合を防止できる。
誘電フィラー(B)の質量部数が、800質量部以下であれば、誘電加熱処理の際に、高周波誘電加熱接着シートの流動性が低下したり、高周波を印加した際に電極間で通電したりすることを防止できる。また、誘電フィラー(B)の質量部数が、800質量部以下であれば、高周波誘電加熱接着シートの製膜性、フレキシブル性及び靭性の低下を防止できる。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層は、添加剤を含んでいてもよいし、添加剤を含んでいなくてもよい。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂の水素化物、テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂及び芳香族石油樹脂の水素化物が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、石油系プロセスオイル、天然油、二塩基酸ジアルキル及び低分子量液状ポリマーが挙げられる。石油系プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。天然油としては、例えば、ひまし油及びトール油等が挙げられる。二塩基酸ジアルキルとしては、例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル及びアジピン酸ジブチル等が挙げられる。低分子量液状ポリマーとしては、例えば、液状ポリブテン及び液状ポリイソプレン等が挙げられる。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートが、高周波誘電接着剤層の一層のみからなる場合は、高周波誘電加熱接着シートの形態及び特性は、高周波誘電接着剤層の形態及び特性に相当する。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の厚さは、通常、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の厚さは、2,000μm以下であることが好ましく、1,000μm以下であることがより好ましく、600μm以下であることがさらに好ましい。
高周波誘電接着剤層の厚さが10μm以上であれば、被着体同士の接着力が急激に低下することを防止できる。また、高周波誘電接着剤層の厚さが10μm以上であれば、被着体の接着面に凹凸がある場合、高周波誘電接着剤層が当該凹凸に追従可能になり、接着強度が発現し易くなる。
高周波誘電接着剤層の厚さが2,000μm以下であれば、長尺物として、ロール状に巻いたり、ロール・ツー・ロール方式に適用したりすることもできる。また、抜き加工などの次工程で高周波誘電加熱接着シートの取り扱いが容易となる。また、高周波誘電接着剤層の厚さが増すほど接着構造体(仮設構造体)全体の重量も増加するため、使用上問題の生じない範囲の厚さであることが好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートの誘電特性としての誘電正接(tanδ)及び誘電率(ε’)は、JIS C 2138:2007に準拠して測定することもできるが、インピーダンスマテリアル法に準じて、簡便かつ正確に測定することができる。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートの誘電特性(tanδ/ε’)は、0.005以上であることが好ましく、0.008以上であることがより好ましく、0.01以上であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートの誘電特性(tanδ/ε’)は、0.05以下であることが好ましく、0.03以下であることがより好ましい。誘電特性(tanδ/ε’)は、インピーダンスマテリアル装置等を用いて測定される誘電正接(tanδ)を、インピーダンスマテリアル装置等を用いて測定される誘電率(ε’)で除した値である。
高周波誘電加熱接着シートの誘電特性が、0.005以上であれば、誘電加熱処理をした際に、所定の発熱をせずに、第1の部材と第2の部材とを強固に接着することが困難となるという不具合を防止できる。
但し、高周波誘電加熱接着シートの誘電特性が、過度に大きくなると、第1の部材及び第2の部材の損傷が起き易くなる。
なお、高周波誘電加熱接着シートの誘電特性の測定方法の詳細は、次の通りである。所定大きさに切断した高周波誘電加熱接着シートについて、インピーダンスマテリアルアナライザE4991(Agilent社製)を用いて、23℃における周波数40MHzの条件下、誘電率(ε’)及び誘電正接(tanδ)をそれぞれ測定し、誘電特性(tanδ/ε’)の値を算出する。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層のJIS K 7210−1:2014に準拠して測定されるメルトフローレート(Melt flow rate,MFR)が0.6g/10分以上であることが好ましく、1.0g/10分以上であることがより好ましく、1.2g/10分以上であることがさらに好ましく、2.0g/10分以上であることが特に好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層のJIS K 7210−1:2014に準拠して測定されるメルトフローレートは、85g/10分以下であることが好ましく、55g/10分以下であることがより好ましく、40g/10分以下であることがさらに好ましく、20g/10分以下であることがさらに好ましく、10g/10分以下であることが特に好ましい。
本明細書において、高周波誘電接着剤層のMFRを測定する際の試験温度は、230℃であり、荷重は、2.16kgである。
高周波誘電接着剤層のMFRが0.6g/10分以上であれば、流動性が維持でき、膜厚精度が得られ易い。
高周波誘電接着剤層のMFRが85g/10分以下であれば、造膜性が得られ易い。
高周波誘電加熱接着シートのJIS K 7206:2016に準拠して測定されるビカット軟化点は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。
高周波誘電加熱接着シートのJIS K 7206:2016に準拠して測定されるビカット軟化点は、210℃以下であることが好ましく、160℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることがさらに好ましい。
高周波誘電加熱接着シートのビカット軟化点が、50℃以上であれば、高周波誘電接着剤層の耐熱性を向上させることができる。
高周波誘電加熱接着シートのビカット軟化点が、210℃以下であれば、短時間で安定した接合強度が得られ易くなる。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートの密度は、3g/cm3以下であることが好ましく、2.5g/cm3以下であることがより好ましく、2g/cm3以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートの密度は、0.85g/cm3以上であることが好ましく、0.87g/cm3以上であることがより好ましく、0.89g/cm3以上であることがさらに好ましい。
高周波誘電加熱接着シートの密度が3g/cm3以下であれば、高周波誘電加熱接着シートの自重による撓みを防止し、第1の部材と第2の部材との接合部位における剥離のきっかけが生じることを防止できる。
高周波誘電加熱接着シートの密度が3g/cm3以下であれば、仮設構造体の重量の増加を抑制できるため、仮設構造体を用いた施工時及び仮設構造体の解体時の作業性を向上できる。
また、高周波誘電加熱接着シートの密度が0.85g/cm3以上であれば、ロール・ツー・ロール方式でシート成形を行う際に、ばたつきを抑制し易くなる。
高周波誘電加熱接着シートの密度は、JIS K 7112:1999のA法(水中置換法)に準じて測定できる。
高周波誘電加熱接着シートの引張せん断接着強さとしては、引張せん断力の測定において、接着強度が1MP以上であるか、もしくは被着体が破壊する程度の接着強度であることが好ましい。
引張せん断力の測定は、次の方法で実施する。高周波誘電加熱接着シートを、25mm×12.5mm×0.4mm(厚さ)の大きさに切断する。切断した高周波誘電加熱接着シートを、一対の被着体としての合板(25mm×100mm×1.5mm)同士の間に挟んだ後に、平行平板タイプの高周波誘電加熱装置にて、周波数40MHz、出力200Wの条件下で、高周波を20秒印加して接着力評価用試験片を作製する。標準環境(23℃、50%RH)で24時間静置した後、万能引張試験機を用い、引張速度100mm/分の条件で、接着力評価用試験片について、引張せん断力を測定する。引張せん断力の測定は、JIS K 6850:1999に準拠する。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の5%重量減少温度は、300℃以上であることが好ましく、325℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の5%重量減少温度は、500℃以下であることが好ましく、475℃以下であることがより好ましく、450℃以下であることがさらに好ましい。
高周波誘電接着剤層の5%重量減少温度が300℃以上であれば、成形後も安定した物性が得られ易い。
高周波誘電接着剤層の5%重量減少温度が500℃以下であれば、成形加工性が得られ易い。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、50kW以下の高周波出力の条件で使用されることが好ましく、20kW以下の高周波出力の条件で使用されることがより好ましく、15kW以下の高周波出力の条件で使用されることがさらに好ましく、10kW以下の高周波出力の条件で使用されることがさらに好ましい。
本明細書において、高周波誘電加熱接着シートが使用されるとは、第1の部材と第2の部材とを接合(接着)する際の使用、並びに仮設構造体を第1の部材と第2の部材とに分離(解体)する際の使用を少なくとも意味する。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、300MHz以下の高周波の印加により使用されることが好ましく、100MHz以下の高周波の印加により使用されることがより好ましく、80MHz以下の高周波の印加により使用されることがさらに好ましく、50MHz以下の高周波の印加により使用されることがよりさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、より具体的には、国際電気通信連合により割り当てられた工業用周波数帯13.56MHz、27.12MHz又は40.68MHzの高周波の印加により使用されることが好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、60秒以下の高周波の印加時間により使用されることが好ましく、45秒以下の高周波の印加時間により使用されることがより好ましく、35秒以下の高周波の印加時間により使用されることがさらに好ましく、25秒以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートを部材同士の接合に用いることで、第1の部材(板材20)と第2の部材(角柱状部材31)とを短時間で強固に接合でき、かつ強固に接合された第1の部材(板材20)と第2の部材(角柱状部材31)とを損傷させることなく、短時間で安全かつ容易に解体できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態においては、高周波誘電加熱接着シートの使用態様としての仮設構造体の構造が、第1実施形態の仮設構造体1と異なる。
以下の説明では、第1実施形態との相違に係る部分を主に説明し、重複する説明については省略又は簡略化する。第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
図4には、第2実施形態に係る仮設構造体1Aの斜視図(分解斜視図)が示されている。
仮設構造体1Aは、2つの仮設構造体1及び仮設構造体2が高周波誘電加熱接着シート11Eにより接合されてなる、多連結構造体である。
仮設構造体2は、角柱状部材32を複数有し、具体的には、角柱状部材32A、角柱状部材32B、角柱状部材32C及び角柱状部材32Dを有する。
仮設構造体2は、板材22と複数の角柱状部材32のそれぞれとが、個別の高周波誘電加熱接着シート12により接合されている。具体的には、角柱状部材32Aと板材22とが高周波誘電加熱接着シート12Aにより接合され、角柱状部材32Bと板材22とが高周波誘電加熱接着シート12Bにより接合され、角柱状部材32Cと板材22とが高周波誘電加熱接着シート12Cにより接合され、角柱状部材32Dと板材22とが高周波誘電加熱接着シート12Dにより接合されている。
仮設構造体2における板材22、角柱状部材32及び高周波誘電加熱接着シート12は、特に限定されない。例えば、仮設構造体2における板材22、角柱状部材32及び高周波誘電加熱接着シート12は、それぞれ、仮設構造体1における板材20、角柱状部材31及び高周波誘電加熱接着シート11と同様の部材を用いることが好ましい。仮設構造体2においても、板材22及び角柱状部材32は、木質材であることが好ましい。
仮設構造体2も、仮設構造体1と同様に製造できる。
仮設構造体2においても、角柱状部材32同士の間にも高周波誘電加熱接着シート11を挟持して、角柱状部材32同士を接着してもよい。
仮設構造体1Aは、仮設構造体1と仮設構造体2とは、誘電加熱処理によって接合することが好ましく、下記工程(1A)及び工程(2A)を含む接合方法によって接合することがより好ましい。説明の便宜上、仮設構造体1を第1の仮設構造体と称し、仮設構造体2を第2の仮設構造体と称する場合がある。
工程(2A):第1の仮設構造体と第2の仮設構造体との間に挟持した、高周波誘電加熱接着シートに対して、誘電加熱接着装置を用いて、誘電加熱処理を行う工程
誘電加熱接着装置110は、第1高周波印加電極161と、第2高周波印加電極181と、高周波電源200と、を備えている。
第1高周波印加電極161と、第2高周波印加電極181とは、互いに対向配置されている。第1高周波印加電極161及び第2高周波印加電極181は、それぞれ第1実施形態の第1高周波印加電極160及び第2高周波印加電極180と同様の電極を用いてもよい。また、第2実施形態では、仮設構造体1の側面1Eと仮設構造体2の側面2Eとの間に挟持された高周波誘電加熱接着シート11Eを選択的に誘電加熱処理するため、第1高周波印加電極161及び第2高周波印加電極181の形状を第1実施形態と異ならせてもよい。
前述した仮設構造体1Aの解体方法について説明する。
第1の仮設構造体(仮設構造体1)と第2の仮設構造体(仮設構造体2)とは、誘電加熱処理によって分離し、仮設構造体1Aを解体することが好ましく、下記工程(3A)及び工程(4A)を含む解体方法によって解体することがより好ましい。
工程(4A):第1の仮設構造体と第2の仮設構造体とを離間させる方向に向けて外力を付与して、第1の部材と第2の部材とを分離する工程
図6は、工程(3A)を示す模式図である。
図7は、工程(4A)を示す模式図である。
仮設構造体1Aの解体方法においても誘電加熱接着装置110を用いることができる。
工程(3A)における高周波誘電加熱処理の方法及び条件は、工程(2A)と同様の方法及び条件を適用できる。
外力として、解体作業者の手の力を付与することにより仮設構造体1と仮設構造体2とを分離することも好ましい。
また、本実施形態に係る仮設構造体1Aの解体方法においては、仮設構造体1を掴む把持手段191と、仮設構造体2を掴む把持手段192と、把持手段191及び把持手段192を離間させる方向に移動させる駆動手段(図示せず)とを、有する分離手段を用いることも好ましい。仮設構造体1と仮設構造体2とを分離する手段は、この分離手段のように仮設構造体1及び仮設構造体2の面方向に沿って引っ張って分離する態様に限定されず、仮設構造体1の側面1Eと仮設構造体2の側面2Eに沿った(接着面に沿った)せん断力を作用させて分離させる手段等でもよい。
仮設構造体1Aを仮設構造体1と仮設構造体2とに分離後、仮設構造体1及び仮設構造体2をそれぞれ第1実施形態で説明した解体方法により、板材20、板材22、角柱状部材31及び角柱状部材32に分離できる。
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、さらに以下の効果を奏する。
さらに、本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートを用いることで、大きな仮設構造体1Aを短時間で安全かつ容易に解体できる。具体的には、強固に接合された仮設構造体1、仮設構造体2、並びにこれらを構成する板材20、板材22、角柱状部材31及び角柱状部材32を損傷させることなく、短時間で安全かつ容易に解体できる。
本発明は、前記実施形態に限定されない。本発明は、本発明の目的を達成できる範囲での変形及び改良等を含むことができる。
例えば、仮設構造体1を製造又は解体する場合、板材20側に第1の格子電極を配置し、角柱状部材31側に第2の格子電極を配置して、同時に高周波を印加してもよい。
例えば、仮設構造体1を製造又は解体する場合、板材20側に格子電極を配置し、高周波を印加し、その後、角柱状部材31側に格子電極を配置して、高周波を印加してもよい。
[実施例1]
A成分としてエチレン酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、製品名「ウルトラセン626」、軟化点:65℃、メルトフローレート:3g/10分、密度:0.936g/cm3;酢酸ビニル含有率:15質量%)80.0体積%と、B成分として酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、製品名「LPZINC11」,平均粒子径:11μm、表1中、ZnOと記載する。)20.0体積%と、をそれぞれ容器内に秤量した。表1に各成分の配合割合を示す。表1において各成分の配合割合は、体積%で表示した値である。また、表1には、B成分の配合割合として、単位を質量部に換算した値も示した。実施例1においては、A成分100質量部に対して、B成分を142質量部、配合した。
秤量したA成分及びB成分を容器内で予備混合した。各成分を予備混合した後、30mmΦ二軸押出機のホッパーに供給し、シリンダー設定温度を180℃以上200℃以下、ダイス温度を200℃に設定し、溶融混練した後、ペレタイザーにてペレット状に加工した。
次いで、得られたペレットを、Tダイを設置した単軸押出機のホッパーに投入し、シリンダー温度を200℃、ダイス温度を200℃の条件として、Tダイからシート状溶融混練物を押出し、冷却ロールにて冷却させることにより、厚さ400μmの高周波誘電加熱接着シートを作製した。得られた高周波誘電加熱接着シートを用いて、下記の高周波印加条件にて、第1の部材としての合板と第2の部材としての合板とを接着させて、実施例1の仮設構造体を得た。
第1の部材としての合板と、得られた高周波誘電加熱接着シートと、第2の部材としての表1に記載の部材とを重ねて、格子電極タイプの高周波誘電加熱装置(山本ビニター株式会社製)を用い、周波数40MHz、出力1,000Wの条件下で、高周波を20秒印加した。
第1の部材及び第2の部材の組み合わせ、並びにA成分を下記表1に記載の通り変更し、混練及び製膜時の温度を適宜調整したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4の仮設構造体を得た。
実施例4のA成分としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン(三菱ケミカル株式会社製、製品名「モディックL553」、軟化点:84℃、メルトフローレート(190℃):1.4g/10分、密度:0.920g/cm3)を用いた。
(引張せん断力)
作製した高周波誘電加熱接着シートを、25mm×12.5mm×0.4mm(厚さ)の大きさに切断した。切断した高周波誘電加熱接着シートを、一対の被着体としての合板(25mm×100mm×1.5mm)同士の間に挟んだ後に、平行平板タイプの高周波誘電加熱装置(山本ビニター株式会社製)にて、周波数40MHz、出力200Wの条件下で、高周波を20秒印加して接着力評価用試験片を作製した。標準環境(23℃、50%RH)で24時間静置した後、万能引張試験機(インストロン社製、インストロン5581)を用い、引張速度100mm/分の条件で、接着力評価用試験片について、引張せん断力を測定した。接着強度が1MPa以上である場合、もしくは被着体としての合板が破壊された場合を合格とした。引張せん断力の測定は、JIS K 6850:1999に準拠した。
作製した高周波誘電加熱接着シートを、30mm×30mmの大きさに切断した。切断した高周波誘電加熱接着シートについて、インピーダンスマテリアルアナライザE4991(Agilent社製)を用いて、23℃における周波数40MHzの条件下、誘電率(ε’)及び誘電正接(tanδ)をそれぞれ測定した。測定結果に基づき、誘電特性(tanδ/ε’)の値を算出した。
JIS K7206:2016に則り、高周波誘電加熱接着シートのビカット軟化点を測定した。
5%重量減少温度(測定試料を昇温しながら重量減少を測定し、重量減少が5重量%に達したときの温度)の測定は、示差熱分析装置(株式会社島津製作所製、TG/DTA分析器DTG−60)を用いて行った。測定試料を、乾燥窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/分にて40℃から500℃まで昇温し、測定試料の5%重量減少温度を測定した。
格子電極タイプの高周波誘電加熱装置(山本ビニター株式会社製)にて、作製した接着力評価用試験片に対して周波数40MHz、出力1000Wの条件下で、高周波を20秒印加した。被着体としての合板を手で引っ張ることにより、合板同士を分離することができた場合を合格とした。
JIS K 7206:2016に則り、高周波誘電加熱接着シートのビカット軟化点を測定した。
JIS K 7112:1999のA法(水中置換法)に準じて、高周波誘電加熱接着シートの密度(g/cm3)を測定した。
JIS K 7210−1:2014に準じて試験温度230℃、荷重2.16Kgにて、高周波誘電加熱接着シートのメルトフローレート(MFR)を測定した。
Claims (12)
- 高周波誘電接着剤層を含む高周波誘電加熱接着シートであって、
前記高周波誘電接着剤層が、熱可塑性樹脂(A)及び誘電フィラー(B)を含有し、
使用後に接着面において複数の部材に分離される仮設構造体に用いられる高周波誘電加熱接着シート。 - 請求項1に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、
前記複数の部材は、第1の部材及び第2の部材を含み、
前記高周波誘電加熱接着シートは、前記仮設構造体において、前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟持されて前記第1の部材と前記第2の部材とを接合し、
前記第1の部材及び前記第2の部材の少なくともいずれかが木材である、
高周波誘電加熱接着シート。 - 請求項1又は請求項2に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、
前記誘電フィラー(B)は、酸化亜鉛である、
高周波誘電加熱接着シート。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、
前記高周波誘電接着剤層は、前記誘電フィラー(B)を、3体積%以上、40体積%以下含有する、
高周波誘電加熱接着シート。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、
前記高周波誘電接着剤層は、前記誘電フィラー(B)を、前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以上、800質量部以下含有する、
高周波誘電加熱接着シート。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、
前記誘電フィラー(B)のJIS Z 8819−2:2001に準拠し測定される平均粒子径は、1μm以上、30μm以下である、
高周波誘電加熱接着シート。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、
前記熱可塑性樹脂(A)のJIS K 7206:2016に準拠して測定されるビカット軟化点は、40℃以上、200℃以下である、
高周波誘電加熱接着シート。 - 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、
前記高周波誘電接着剤層のJIS K 7210:2014に準拠して測定される230℃におけるMFRが0.6g/10分以上、85g/10分以下である、
高周波誘電加熱接着シート。 - 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、
前記高周波誘電加熱接着シートの密度が3g/cm3以下である、
高周波誘電加熱接着シート。 - 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、
前記高周波誘電接着剤層の5%重量減少温度が300℃以上である、
高周波誘電加熱接着シート。 - 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、
高周波誘電加熱接着シートは、1kHz以上、300MHz以下の高周波の印加により使用される、
高周波誘電加熱接着シート。 - 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、
前記高周波誘電加熱接着シートは、1秒以上、60秒以下の高周波の印加時間により使用される、
高周波誘電加熱接着シート。
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