以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態の移植機の一例として玉葱苗を移植する移植機10を示す左側面図であり、図2は右側面図、図3は背面図、図4は正面図、図5は平面図であると共に、図6は底面図である。
なお、以下の説明では、操縦ハンドル47を配置した側を後とし、その反対側、すなわちエンジン41を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
本実施の形態の移植機10は、図1から図6に示すとおり、機体を前進走行可能とする走行車体40と、走行車体40の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル47と、圃場に苗を植え付ける植付装置42と、植付装置42に苗を供給する苗供給装置43を備えている。
走行車体40は、機体前部にミッションケース39を設け、該ミッションケース39の前側に駆動源となるエンジン41を設ける。前記ミッションケース39の左右両側の機体後側下部には、後輪44の左右位置を変更するトレッド調節が可能な車軸を覆う車軸カバー101が各々連結され、該車軸カバー101の機体外側端部には、機体後側に設ける後輪44に駆動力を伝動する走行伝動ケース38を各々上下回動可能に装着する。
なお、左右の後輪44は、走行伝動ケース38と、後述するメインフレーム103の左右間に各々配置することで、機体の左右幅を抑える構成としている。但し、苗の植付作業を行う畝幅等の条件に対応させるべく、左右の後輪44を走行伝動ケース38の機体外側に装着できる構成としておくと、対応可能な作業条件を増やすことができる。
より正確には、左右の車軸カバー101が内部の車軸(図示省略)を支点として回転可能に装着され、これらの車軸カバー101に走行伝動ケース38を各々装着し、後述する昇降用油圧シリンダ300やローリングシリンダ310の伸縮により車軸カバー101が回転することで、走行伝動ケース38が上下回動する構成である。
そして、図6から図10に示すとおり、前記左右の車軸カバー101の機体後側上部には、平面視でL字形状の連結ステー102を各々設け、該連結ステー102の機体後側に、前後方向を長手方向とするメインフレーム103の前端部を各々連結する。該左右のメインフレーム103の取付位置は、前記走行伝動ケース38よりも機体内側である。
前記左右のメインフレーム103は、図5から図8に示すとおり、機体前後方向に直線状に配置されるが、側面視において後輪44の前後中央部よりも機体後側位置と、後述する植付ホッパ20a,20bよりも機体前側位置との前後間で各々機体外側且つ機体上方、即ち、機体外側ほど上方に向かう傾斜姿勢で屈曲させる。さらに、後述する苗供給装置43の左右両外側の下方となる位置で、メインフレーム103を機体後側に向けて屈曲させる。これにより、左右のメインフレーム103の前端部側の左右幅よりも、後端部側の左右幅が広い構成となる。
そして、図3、図6から図8に示すとおり、前記左右のメインフレーム103の後端部を、作業者が機体後部に立ち、旋回走行時等に機体後部を押し下げる操作や、収納作業時等に機体の進行方向の操作を行う操縦ハンドル47を装着する、左右方向のハンドルフレーム104の左右両端部に各々連結する。
上記のとおり、左右のメインフレーム103を、左右間隔を空けて配置することにより、メインフレーム103同士の左右空間部に構成部材を配置する構成となり、メインフレーム103が部材の配置位置を分断しにくい構成となるので、設計の自由度が高くなる。
また、メインフレーム103を、後輪44の前後中央部より後側で、且つ植付ホッパ20a,20bよりも前側位置で機体外側方向で且つ上方に向けて屈曲させたことにより、メインフレーム103の屈曲部は、走行伝動ケース38が回動するときの上下移動量の大きい後部側から上方に離間すると共に、後輪44からも大きく上方に離間するので、車高の変更をメインフレーム103が妨げることが防止される。
また、メインフレーム103の機体後側への屈曲部を、苗供給装置43の左右両側の下方を通過させる構成により、苗供給装置43を構成する、投入された苗を収容して所定の落下位置まで搬送する複数の苗収容体22の移動をメインフレーム103が妨げることを防止できる。
そして、左右のメインフレーム103の前端部を、連結ステー102を介して各々車軸カバー101に連結すると共に、左右の後端部をハンドルフレーム104に連結することにより、移植機のフレーム構造を四角形の枠状に構成できるので、機体強度の向上が図られる。
図7及び図8に示すとおり、前記左右のメインフレーム103のうち、機体左右両外側で且つ上方への屈曲部よりも機体前側には、後上がり傾斜姿勢となる取付支持プレート105を各々設け、該取付支持プレート105の左右間には、前後方向に所定間隔を空けて梁フレーム106f,106rを各々装着する。該前後の梁フレーム106f,106rのうち、機体後側に位置する後側梁フレーム106rは、前側梁フレーム106fよりも機体上方に配置される。
前記前後の梁フレーム106f,106rの左右中央部、即ち機体の左右中央と左右のメインフレーム103の左右方向の中間位置付近には、作業者が前記苗収容具22に投入した苗を所定位置まで搬送し、左右の植付ホッパ20a,20bに各々供給する苗供給装置43を下方から支持する供給支持フレーム107を各々設ける。
そして、該左右の供給支持フレーム107の下部には、前記ミッションケース39から駆動力を受け、前記苗供給装置43や、左右の植付ホッパ20a,20bの上下動機構21に伝動する伝動ケース26を設け、左右の供給支持フレーム107の下端部を、該伝動ケース26の機体上側の側面と、前記前後の梁フレーム106f,106rに取り付ける。
なお、前記左右の供給支持フレーム107は、側面視でL字形状の板体であり、且つ、上下方向を長手方向とする機体後部側を、機体内側に向かって折り曲げる構成としている。
上記の構成により、伝動系を内装すべく強固な造りとなっている伝動ケース26を、左右の供給支持フレーム107の支持部材として用いることができるので、苗供給装置43の荷重を受けて変形し、苗供給装置43が傾くなどして苗が供給できなくなることが防止される。
また、前記ミッションケース39の機体前側で且つ左右両側には、正面断面視でコの字形状のバンパー支持フレーム108を機体前側に突出させて設ける。そして、該左右のバンパー支持フレーム108の前方には、機体前側に突出するバンパー109を設ける。
なお、図11から図13に示すとおり、バンパー109は、板体の機体前側と左右両側を下方に折り曲げたバンパープレート109aと、該バンパープレート109aの上面に着脱可能なフロントウエイト109bと、バンパープレート109aから左右方向に延びるバンパーロッド109cで構成している。該フロントウエイト109bは、鉄等の比較的重量があり且つ硬度の高い素材の塊で構成し、バンパープレート109aよりも機体前側に突出する形状とする。
これにより、重量と硬度を有する塊であるフロントウエイト109bが最も機体前方に突出するので、障害物に接触したときにバンパープレート109aまで損傷が及ぶことを防止できる。
前記左右のバンパー支持フレーム108の機体前側で、且つ機体下部側には機体下側が開口部となる凹部(図示省略)を形成し、これらの凹部に、機体左右方向を長手方向とする前部梁フレーム110を差し込んで固定する。
該前部梁フレーム110を設けることにより、左右のバンパー支持フレーム108とミッションケース39とで機体前側にも四角形にフレームが組み上げられるので、機体前側の強度が向上する。特に、バンパー109が障害物に接触した際、前部梁フレーム110に左右のバンパー支持フレーム108を差し込んで固定しているので、左右のバンパー支持フレーム108の後部側に破損や衝撃が伝播しにくくなる。
また、ミッションケース39を機体に組み付ける際、左右のバンパー支持フレーム108の凹部を前部梁フレーム110に差し込んでから左右方向に移動させることにより、ミッションケース39の前後位置を固定したうえで左右位置を調節できるので、ミッションケース39の取付位置のずれにより組立作業が滞ることが防止される。
なお、図7及び図8に示すとおり、前記ミッションケース39の前側で且つ左右一側に前記エンジン41の後部を積載し、エンジン41の前部は、前部梁フレーム110の左右中央部付近に配置するエンジンマウントに積載する構成とするが、エンジン41が配置される側のバンパー支持フレーム108とエンジン41は、上下方向に間隔を空けて配置する構成とする。即ち、バンパー支持フレーム108は、エンジン41を下方から受ける部材ではない。
上記構成により、バンパー109が障害物に接触したときの衝撃が、バンパー支持フレーム108からエンジン41に伝播することを防止できるので、エンジン41が破損することや、衝撃により作動不良を起こすことを防止できる。
また、バンパー支持フレーム108が衝撃で変形しても、エンジン41の積載状態に影響を及ぼしにくい構成となり、バンパー109が破損してもエンジン41の動力で作業や移動を行うことができる。
そして、図11から図13に示すとおり、前記バンパープレート109aの左右両側には、バンパーロッド109cを装着する左右方向の凹部を有するステップ支持プレート111を各々装着する。該左右のステップ支持プレート111は、前記前部梁フレーム110の機体後側で且つ左右両側に各々設ける補強アーム112を介して支持する構成とする。該左右のステップ支持プレート111の上面は平坦であり、ここに作業者が機体前側から乗り降りする際に足を乗せる前側搭乗ステップ113を装着する。
なお、該左右の前側搭乗ステップ113は、台形状の枠内に複数の板体を配置し、大小の空間部を形成する構成であり、作業者が足を乗せる際に靴底に付着している土を下方に落下させるものである。板体の上面には凹凸を形成すると、靴底の溝に凸部が接しやすくなり、土落とし効果が向上する。
これにより、機体上に土が持ち込まれにくくなるので、土の除去作業に要する労力の軽減が図られる。
上記のとおり、前側搭乗ステップ113は複数の空間部が形成されているので、障害物との接触時に変形が生じやすい構造であるが、バンパー109よりも機体後側に位置していることにより、バンパー109が先に障害物に接触しやすい。これにより、前側搭乗ステップ113の破損が防止される。
前記エンジン41及びミッションケース39の左右両側は、作業者が走行車体40の前側から乗降する際に通過する必要があるので、足場となるステップを設ける必要がある。しかしながら、ミッションケース39はエンジン41よりも機体下側に配置されていることにより、左右共通のステップにすると、一方のステップがミッションケース39と干渉して取り付けられない。
従って、エンジン41が偏倚して設けられる側の前側ステップ114Rは平板上とし、エンジン41と左右一側のバンパー支持フレーム108の上下間に入り込ませて配置する。一方、エンジン41とは反対側に設ける前側ステップ114Lには、ミッションケース39を露出させる切欠部114Laを形成し、左右他側のバンパー支持フレーム108上を覆わせる。
上記により、左右の前側ステップ114L,114Rを装着できるので、作業者は乗り降りがしやすい側で乗り降りができるので、作業能率が向上する。
また、エンジン41が偏倚する側には切欠部114Laを形成しないので、足場を広く確保できると共に、右側の前側114Rの強度の向上が図られる。
なお、前記左右の前側ステップ114L,114Rは、各々一枚の板体を折り曲げ、左右の前側搭乗ステップ113の後部に左右の前側搭乗ステップ113と略水平姿勢となる下部ステップ115と、下部ステップ115を後上方に折り曲げた立上傾斜ステップ116と、立上傾斜ステップ116を折り曲げて下部ステップ115と平行な姿勢とした上部ステップ117を各々有する。なお、立上傾斜ステップ116と上部ステップ117には、各々切欠きを形成すると、ミッションケース39やその周辺のメンテナンス作業時に手や工具を移動させる空間が広がり、作業能率が向上する。
そして、前記左右の上部ステップ117と、前記左右のメインフレーム103の後上方屈曲部よりも機体前側には、機体側方から作業者が乗り降りすると共に、作業時の足場となる側部ステップ118を各々設ける。該側部ステップ118は、枠内に縦横に板体を配置して複数の空間部を形成しており、作業者の靴底に付着した土を下方に落下させる構成とする。
前記左右の側部ステップ118の左右間には、搭乗する作業者の足場となる中央ステップ119を着脱可能に設ける。該中央ステップ119の下方で、且つ左右のメインフレーム103の左右間には、図8及び図10に示すとおり、前後の補強梁フレーム120f,120rを前後間隔を空けて設ける。該前後の補強梁フレーム120f,120rを固定するボルトは、中央ステップ119の下面に接触しない、あるいは中央ステップ119の上面から露出しない長さとし、左右のメインフレーム103の左右間に設ける補強フレーム121に各々装着する構成とすると、中央ステップ119上における作業者の足の動きをボルトが邪魔することがなく、作業能率が向上する。
以上により、フロアステップ122が構成される。
左右の前側ステップ114L,114R、左右の側部ステップ118、及び中央ステップ119の取付は、各々独立して行う、即ち、一つの取付部材(ボルト等)で共締めしないものとする。これにより、部分的なメンテナンス作業時に各ステップ構成体を取り外す際、別のステップ構成体を取り外す必要が無く、メンテナンス作業の能率が向上する。
また、前後の補強梁フレーム120f,120rを前後間隔を空けて配置することにより、後述する昇降用油圧シリンダ300や、圃場面の左右傾斜に合わせて植付姿勢を水平にするローリング機構の油圧天秤303のメンテナンス作業を走行車体40上から行いやすくなるので、作業能率が向上する。
また、走行車体40の機体前側の左右両側で、且つ後輪44よりも機体前側には、前部梁フレーム110の下部側に設けられて機体左右方向に突出する横フレーム16を介して、転動自在に支持した前輪45を設ける。
そして、前記走行伝動ケース38の前部の回動軸心位置には、ミッションケース39から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース39内の走行部系変速伝動部を経た走行用の動力が走行伝動ケース38内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は走行伝動ケース38内の伝動機構を介して、走行用伝動ケース38の後輪車軸12に伝動し、後輪44が駆動回転する構成としている。
なお、ミッションケース39内に設けた左右それぞれのサイドクラッチ(図示せず)により、左右の各後輪44の駆動を断つことが出来る構成になっている。従って、機体を旋回させるときには、サイドクラッチにより旋回内側となる左右一方の後輪44を非駆動状態にしてスムーズに旋回できる構成としている。
また、前記走行伝動ケース38には、走行伝動ケース38の前部側を回動支点として後輪44を上下させる、上下回動する駆動手段が連結している。具体的には、走行伝動ケース38のミッションケース39への取付部には、上方に延びるアーム13が一体的に取り付けられており、アーム13がミッションケース39に固定された昇降用油圧シリンダ300のピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、連結ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に対応して伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダで連結している。
昇降用油圧シリンダ300が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右のアーム13は後方に回動し、これに伴い走行伝動ケース38が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ300のピストンロッドが機体前方に移動してシリンダ内に引っ込むと、左右のアーム13は前方に回動し、これに伴い走行伝動ケース38が上方に回動して、機体が下降する。
この昇降用油圧シリンダ300は、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動に伴って動作する畝面センサ14によって作動する。畝面センサ14の動作は機体の位置を基準とした畝上面高さを検出する動作となり、その畝面センサ14の検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対応して設定高さになる構成で昇降用油圧シリンダ300が作動する構成としている。
また、左右水平制御用油圧シリンダが伸縮作動すると、その左右水平制御用油圧シリンダと連結する左側のアーム13が回動して、左側の後輪44のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダは、左右水平を基準として機体の左右傾斜を検出するセンサの検出結果に基づいて作動して、機体を左右水平にする構成としている。
上記の昇降用油圧シリンダ300は、前記畝面センサ14による検知、または機体後部に設ける車高調節レバー123の操作によって伸縮し、車高を変化させるものである。しかしながら、長時間停車していると、機体の重量による負荷が昇降用油圧シリンダ300に加わり、作動油が自然にリークすることで、昇降用油圧シリンダ300が収縮して車高が低くなってしまうことがある。
特に、長期間機体が停車状態となる、倉庫等での保管時に車高が下がると、畝面センサ14や植付ホッパ20a,20bの下端部が床面に接触し、変形してしまう恐れや、床面を傷つけてしまうおそれがある。また、食事等による長時間の休憩の後、車高を再度調節し直す作業が必要となることもあり、作業能率の低下や、調節ミスにより植付深さが不揃いになるおそれがある。
図20及び図21に示すとおり、昇降用油圧シリンダ300は、固定シリンダケース301と、該固定シリンダケース301に内装されて摺動する、摺動ロッド302の端部を支持する油圧天秤303と、該摺動ロッド302を伸長側、即ち走行車体40の車高を高くする方向に付勢するスプリング304で構成し、該スプリング304の一端部には、伸長を規制する円弧形状のスプリングキャップ305を設ける。
そして、前記油圧天秤303の上部側には、回動操作により規制状態と非規制状態に切替可能な収縮規制アーム306を回動可能に設け、該収縮規制アーム306が規制状態側に回動すると、固定シリンダケース301と油圧天秤303の前後間に収縮規制アーム306の端部が接触し、摺動ロッド302が物理的に収縮方向に移動できない状態になる構成とする。
前記収縮規制アーム306は、に示すとおり、油圧天秤303に基部側をトルク・スプリング307を介して装着し、端部側には、摺動ロッド302の外周を覆う形で接触して固定シリンダケース301と油圧天秤303の前後間に入り込む規制スペーサ308と、スプリング304の前方で固定シリンダケース301の外周面に噛み込む規制ホルダ309を設けて構成する。
なお、該規制スペーサ308は、図20(c)に示すとおり、予備摺動ロッド302の外周に確実に接するべく、正面視でコの字形状とし、該規制ホルダ309は、固定シリンダケース301に噛み合わせるべく、円弧状の切り欠きを形成したものとする。また、規制スペーサ308及び規制ホルダ309の接触面には、昇降用油圧シリンダ300に傷を付けることを防止すべく、ゴム等の軟質材をコーティングするとよい。
前記トルク・スプリング307は、収縮規制アーム306を非規制状態側に付勢しており、非規制状態では前記規制スペーサ308と規制ホルダ309が昇降用油圧シリンダ300の伸縮域から完全に退避する位置に収縮規制アーム306が回動する構成とする。
前記収縮規制アーム306の規制状態と非規制状態の切替は、専用の手動操作レバーを設けて、走行車体40のフロアステップ122上から行える構成としてもよいが、昇降用油圧シリンダ300は走行車体40の機体前後方向の中央付近に位置するので、手動操作レバーをフロアステップ122の上面から突出させる必要がある。フロアステップ122から手動操作レバーが突出していると、作業者の移動を妨げるおそれがあると共に、作業者の足が接触して規制状態と非規制状態の切替が意図せず行われてしまい、畝面センサ14が圃場高さが低くなったことを検知しても昇降用油圧シリンダ300が収縮できず、植付深さが浅くなるおそれがある。
また、車高調節を行ったあと、走行車体40上で手動操作レバーを操作する必要があるので、作業工数が増加してしまうことになる。
これらの問題の発生を防止すべく、前記収縮規制アーム306の切替操作は、走行車体40の操縦ハンドル47の左右中央部の操縦パネル47aに設けられる、昇降用油圧シリンダ300を伸縮操作して走行車体40の車高を調節する、車高調節レバー123に連携ワイヤ124を設け、該車高調節レバー123の操作に連動して行われる構成とする。
前記車高調節レバー123は、機体前側に車高を高くする「高」ポジション、機体後側に車高を低くする「低」ポジションを有すると共に、「低」ポジションから機体外側方向には、昇降用油圧シリンダ300の伸縮を停止させて車高を維持する「固定」ポジションを有する。「固定」ポジションに車高調節レバー123を操作すると、連携ワイヤ124が収縮規制アーム306を規制状態側に回動させる構成とする。一方、車高調節レバー123を「固定」ポジションから移動させて連携ワイヤ124が緩むと、トルク・スプリング307の付勢力により収縮規制アーム306は非規制状態側に回動する。
上記構成により、収縮規制アーム306が規制状態に操作されると、規制スペーサ308が固定シリンダケース301と油圧天秤303の前後間に入り込んで昇降用油圧シリンダ300が収縮できない状態になるので、移植機の自重による車高の低下が防止される。
これにより、車高を再調整する作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、植付ホッパ20a,20bや畝面センサ14が床面に押し付けられて変形することが防止される。
また、規制ホルダ309が固定シリンダケース301に噛み込むことにより、収縮規制アーム306の接触位置がずれて昇降用油圧シリンダ300が収縮可能な状態が維持されることを防止できる。
また、走行車体40の後部の車高調節レバー123の操作に連動して、収縮規制アーム306が規制状態と非規制状態に切り替わるので、収縮規制アーム306の操作部材を別途設ける必要が無く、部品数の削減が図られる。
あるいは、フロアステップ122の上面に収縮規制アーム306の操作部材が突出することがなく、規制状態と非規制状態が意図せずに切り替わることが防止されるので、畝面の凹凸に合わせた植付深さで苗の植付が行える。
また、連携ワイヤ124は、収縮規制アーム306を規制状態側にのみ切り替える構成であるので、連携ワイヤ124が断線する、あるいは過度に伸長して撓む等の破損が生じたときは、トルク・スプリング307の付勢力により収縮規制アーム306が非規制状態側に回動するので、修理の際に固定シリンダケース301と油圧天秤303の間に挟まれた収縮規制アーム306を回動させる作業が不要となり、修理作業に要する労力の軽減が図られる。
なお、上記構成では、収縮規制アーム306は連携ワイヤ124により規制状態に回動し、トルク・スプリング307で非規制状態に回動する構成としているが、トルク・スプリング307で規制状態に回動し、連携ワイヤ124により非規制状態に回動する構成としてもよい。
具体的には、車高調節レバー123が「高」ポジションまたは「低」ポジションにあるときは連携ワイヤ124が収縮規制アーム306を非規制状態側に回動させており、「固定」ポジションに操作すると連携ワイヤ124が緩んでトルク・スプリング307の付勢力により収縮規制アーム306が規制状態側に回動する構成とする。
上記構成では、車高調節レバー123の「固定」ポジションへの操作により連携ワイヤ124が緩むと、トルク・スプリング307の付勢力によって収縮規制アーム306がすぐに規制状態側に回動するので、車高調節レバー123の操作による昇降用油圧シリンダ300の収縮量をより小さく抑えられるので、車高がより確実に維持される。
図1、図2及び図5に示すとおり、前記横フレーム16は、前部梁フレーム110に前後方向の軸中心にローリング回動可能に装着されており、該横フレーム16の左右両側部には、上下に長い縦フレーム17を装着する。そして、左右前輪45は、縦フレーム17の下端部側方に固着した前輪車軸18に回転自在に取り付けられている。従って、左右前輪45は、機体の左右中央の前後方向の軸心回りにローリング動自在となっている。また、横フレーム16の左右両側部を基準として、縦フレーム17が上下調節可能に設けられており、前輪45の高さ調節をすることが出来る構成としている。
前記操縦ハンドル47は、機体後部に設けられており、後輪44の後輪車軸12より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース39に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けられている。
機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。
操縦ハンドル47は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル47のグリップ部としている。
なお、図2では、グリップ部を左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル47の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
植付装置42は、先端が下方に向かう嘴状の複数の植付具と、植付具の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに植付具を上下動させる上下動機構21と、嘴状の植付具の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と植付具の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能とする開状態とに植付具を開閉する開閉機構とを備える。
図1から図6に示すとおり、本実施の形態の植付装置42は、第1植付ホッパ20aと第2植付ホッパ20bを左右に並べて配備した、二条植の構成としている。これらの第1植付ホッパ20a及び第2植付ホッパ20bは、ミッションケース39から伝動される伝動ケース26の左右両側部に設けられた上下動機構21に各々装着されている。
上下動機構21は、上下一対のリンクアーム21a,21bで構成されており、該上下のリンクアーム21a,21bは、前端部側を伝動ケース26に上下回動可能に各々装着すると共に、後端部側を左右のリンクホルダ210,210の左右間に上下回動可能に各々装着する。上側リンクアーム21aの前端部は、伝動ケース26に回転可能に装着する非円形カム211の回転軸から外周縁部側に離間する位置に設け、上下動機構21により上下動される植付ホッパ20a,20bを前から後に揺動させる構成とする。
なお、伝動ケース26は、機体フレーム19に下部を固定した取付部材の上部に固着されている。また、植付ホッパ20a,20b及び上下動機構21の後端部側は、側面視で左右の後輪44,44の後端部よりも機体後側に位置しており、各々の機体外側方は他の部材の無い空間部となっている。
特に、上側リンクアーム21aの前端部を非円形カム211に装着する位置は、植付ホッパ20a,20bの静軌跡において、苗を受け取ってから下死点に向かうまでの間に植付ホッパ20a,20bを後傾姿勢から圃場面に対して略垂直な姿勢に変化すると共に、下死点から上昇し始めると垂直な姿勢から前傾姿勢に変化する位置とする。
これにより、植付ホッパ20a,20bの動軌跡において、苗を植え付けるべく土中に進入する時間、及び距離を短くできるので、植付ホッパ20a,20bが圃場に形成
する植付孔の大きさを小さく抑えられるので、苗が倒れて植付姿勢が乱れることが防止される。
また、植付ホッパ20a,20bが上死点付近で大きく前傾した姿勢になるので、作業者が投入する苗を所定位置まで搬送して落下供給する苗供給装置43の落下供給位置に植付ホッパ20a,20bの上端部を近付けることができるので、苗が植付ホッパ20a,20b内に供給されず、欠株が発生することが防止される。
そして、苗が落下供給されるときの植付ホッパ20a,20bが傾斜姿勢であることにより、植付ホッパ20a,20b内に入り込んだ苗を上部側から下部側に向かって滑らせて移動させることができるので、植付ホッパ20a,20b内に苗が留まり、植付ホッパ20a,20bが土中に入り込んでも苗が植え付けられず、欠株が発生することが防止される。
なお、前記非円形カム211と上側リンクアーム21aの間には、複数の円弧上の調節長孔212a…を形成した調節プレート212を配置し、調節長孔212a…にボルト等の固定部材を差し込む位置を変更することで、作業者が意図する植付ホッパ20a,20bの前後傾斜角度に調節可能な構成とする。
これにより、苗の長さや植付深さ等の作業条件に合わせて植付ホッパ20a,20bの前後傾斜角度を適切に調節できるので、苗が生育に適した姿勢や植付深さで植え付けられ、苗の生育が良好になる。
前記上下動機構21の昇降駆動力は、前記非円形カム211の回転軸よりも機体後側に設ける昇降駆動軸213から伝動される。該昇降駆動軸213には、不等円形状の昇降カム214を装着し、該昇降カム214と上側リンクアーム21aの左右間に、上側リンクアーム21aを上下回動させる昇降クランク215を設ける。なお、下側リンクアーム21bは、上側リンクアーム21aの上下回動に連動して上下回動するものであり、上下動機構21を平行リンクとするものである。
前記昇降クランク215は、一端を昇降カム214から機体外側に向かう回動軸に装着し、他端を上側リンクアーム21aの機体内側に設ける連結プレート216に装着し、植付ホッパ20a,20bの軌跡を苗の植付、及び苗供給装置43からの苗の受け取りに適したものとする。
なお、連結プレート216は上側リンクアーム21aから機体下方に向かって突出させ、下端部を下側リンクアーム21bの上端部乃至上端部よりも僅かに上方に位置させて配置し、連結プレート216の下端部付近に昇降クランク215の他端部を装着する。
上記構成により、昇降クランク215を機体下方寄りに配置できるので、重心が機体下部寄りとなることで、機体が部材の重量等により前後に傾斜しにくくなり、苗の植付深さや植付姿勢が安定する。
また、昇降クランク215の他端部を連結プレート216に装着することにより、上側リンクアーム21aが昇降クランク215から直接負荷を受けない構成となるので、上側リンクアーム21aの耐久性の向上が図られる。
上記のとおり、昇降動作により掛かる負荷が小さいので、上下のリンクアーム21a,21bは、内部が中空の角パイプで構成するとよい。上下のリンクアーム21a,21bが軽量であると、昇降クランク215や昇降カム214を通じて伝動ケース26に伝わる負荷が小さくなるので、伝動ケース26の耐久性も向上する。
また、重量によって上昇速度が遅くなり過ぎることや、下降速度が速くなり過ぎることがなく、植付ホッパ20a,20bの昇降軌跡が安定し、苗の植付姿勢や植付深さが安定し、生育が良好になる。
さらに、伝動ケース26と上下動機構21の左右間に昇降カム214、昇降クランク215及び連結プレート216を配置したことにより、上下のリンクアーム21a,21bが上下回動時に干渉しない構成となるので、上下のリンクアーム21a,21bを両方とも直線状にでき、構成の簡素化や強度の維持が可能になる。
なお、植付ホッパ20a,20bの昇降及び前後傾動を苗の植付により適したものとすべく、上側リンクアーム21aと下側リンクアーム21bの前後長さは異なるものとする。本件では、上側リンクアーム21aが下側リンクアーム21bよりも短く構成している。
上下のリンクアーム21a,21bの後端部は、上記のとおり左右のリンクホルダ210,210の左右間に、上下間隔を空けて装着するが、このとき、上側リンクアーム21aの装着位置を下側リンクアーム21bの装着位置よりも機体前側に位置させる。
これにより、植付ホッパ20a,20bが上死点付近に上昇したときは、上下のリンクアーム21a,21bの後端部側の支点間距離が長くなり、植付ホッパ20a,20bの前後揺動量を小さく抑えられるので、苗供給装置43の落下供給位置付近で植付ホッパ20a,20b上側の前後位置量が変化しにくく、苗を受け取り損なうことが減少する。
また、植付ホッパ20a,20bが下死点付近に上昇したときは、上下のリンクアーム21a,21bの後端部側の支点間距離が短くなり、植付ホッパ20a,20bの前後揺動量が大きくなるので、植付ホッパ20a,20bを後傾姿勢から前傾姿勢に変更させることができ、植付ホッパ20a,20bが苗に接触して倒したり傷付けたりすることが防止される。
前記下側リンクアーム21bの前端部には、植付ホッパ20a,20bを昇降位置に合わせて開閉させる開閉機構を作動させる開閉ワイヤ220を上端部側に装着した、開閉アーム218を前後回動可能に装着する。該開閉アーム218の上部後側には、前記非円形カム211の径が一定以上である部分が通過する際に接触する接触ローラ219を設ける。
非円形カム211が接触すると開閉アーム218が前方回動して開閉ワイヤ220を引くことで、植付ホッパ20a,20bが閉じていき、非円形カム211が接触しなくなると開閉アーム218が後方回動して開閉ワイヤ220が緩むことで、植付ホッパ20a,20bが開いていく構成である。
なお、植付ホッパ20a,20bが開くのは、下降途中から苗を植え付けて上昇し始める間であり、閉じるのは、苗を植え付けて上昇し始めてから苗を受けて再び下降する間であり、非円形カム211の形状は対応するものである。
前記左右のホッパホルダ210,210の後部側には、機体後側に開口するコの字形状に切欠部221を各々形成する。該切欠部221の上部及び下部には、ホッパホルダ210の構成体が機体後方に突出するものとする。
そして、前記左右のホッパホルダ210,210の後部には、図15から図19に示す、側面視で機体前側が開口するコの字形状の条間調節プレート222を設ける。該条間調節プレート222の上下の前方突出部222aには、左右方向の切溝222b…を、左右のホッパホルダ210,210の左右間隔と略同じ左右間隔を空けて各々形成し、該切溝222b…各々ホッパホルダ210,210に差し込んで装着する。このとき、切欠部221と条間調節プレート222の前後間には、側面視で四角形の調整空間部223が形成される。
前記条間調節プレート222は、左右中央部が上下動機構21を構成する上下のリンクアーム21a,21bの後方に位置し、左右方向に略同じ長さに突出しており、機体後部に位置する上下の壁面には、左右方向に亘って条間調節長孔224を形成している。
該条間調節プレート222の後部には、植付ホッパ20a,20bを機体後側に支持するホッパホルダ225を設ける。該ホッパホルダ225は、上部側を機体前側にL字状に折り曲げて接続部225aを形成すると共に、左右両側には、機体後側に突出して植付ホッパ20a,20bとボルト等の締結部材209を介して連結する連結部225b,225bを形成する。また、接続部225aの下方で且つ連結部225b,225bよりも上側の上下方向の壁面には、ボルト等の締結部材209の取付孔(図示省略)が一または左右方向に複数形成されている。なお、ホッパホルダ225は、側面視でL字状の接続部225aを条間調節プレート222の上側と後部側に沿わせ、条間調節長孔224と取付孔が同じ上下高さに位置する状態で装着する。これにより、締結部材209を外す、または緩めると、ホッパホルダ225を条間調節プレート222に沿って左右方向に摺動可能になる構成である。
左右の植付ホッパ20a,20bの左右の植付間隔、即ち条間を調節するときは、上記のとおり締結部材209を外すかあるいは緩め、ホッパホルダ225を条間調節プレート222の左右幅内の任意の位置に移動させ、締結部材209を取り付けるかあるいは締めることで決定される。
なお、締結部材209は、ホッパホルダ225の取付孔を介して差し込んでおき、調整空間部223側に設けるナットにねじ込む、あるいは抜き出すことで位置固定状態と条間調節状態に切替可能な構成とする。
上記の構成では、条間調節長孔224内に締結部材209が入り込んでいることにより、締結部材209がストッパとなりホッパホルダ225が条間調節プレート222の左右端部から脱落することを防止できる。
左右の植付ホッパ20a,20bを備える、本件の条間調節構成では、左右の条間調節プレート222,222の左右間隔を大きく確保できることにより、左右の植付ホッパ20a,20bの条間が最も狭くなるとき、即ち各ホッパホルダ225,225を各条間調節プレート222,222の機体内側端部まで移動させたときでも、左右の植付ホッパ20a,20b同士が干渉し合わない配置となる。これにより、条間をより狭く設定できるので、従来よりも多様な作業条件に対応できる。
また、条間調節プレート222を上下動機構21の後部に設けたことにより、条間調節プレート222が植付ホッパ20a,20bの左右移動を妨げることを防止できるので、条間調節プレート222の左右幅に亘ってより広い範囲で条間を設定することができ、さらに多様な作業条件に対応できる。
また、リンクホルダ210,210の前後間と条間調節プレート222の開口部の間に調整空間部223が形成されることにより、作業者は左右の後輪44,44の後側で且つ機体外側の空間部でナットを締めたり緩めたりする作業を行うことができるので、条間調節作業を能率よく行うことができる。
なお、ナットの厚みは調整空間部223の前後幅の半分以下とすると、条間調節プレート222の左右中央部、即ち上下のリンクアーム21a,21bの後方にナット着脱用の工具を入り込ませる作業空間が確保されるので、条間調節プレート222の左右幅内で植付ホッパ20a,20bを固定できない位置が発生せず、必要な条間設定が可能になる。
上記の条間調節機構では、左右の植付ホッパ20a,20bは基本的に左右対称の方向に移動させる。例えば、条間を70cmとするときは、左右の植付ホッパ20a,20bを条間調節プレート222,222の左右外側端部に各々移動させ、条間を30cmとするときは、左右の植付ホッパ20a,20bを条間調節プレート222,222の左右内側端部に各々移動させる。その他の条間は、条間調節プレート222,222の左右幅内の任意の位置に移動させて設定するが、条間を何cmに設定しているかを作業者が視覚的にわかりやすくすべき、条間調節プレート222,222にインジケータを設けるとよい。このインジケータは、シールを印刷したものを貼り付ける、条間調節プレート222に書き込む、または彫り込むものとする。
しかしながら、作物の種類や圃場環境によっては、幅広い畝に二条よりも多い条、例えば四条を植え付けることもあり得る。一つの畝を一往復して四条植え付ける場合、植付位置を畝の進行方向における左右一側にオフセットさせるべく、左右の植付ホッパ20a,20bを共に条間調節プレート222,222の左右一側に寄せても苗の植付を行うことが可能である。これにより、さらにさらに多様な作業条件に対応できる。
前記植付ホッパ20a,20bは、ホッパホルダ225の上方にホッパカバー226を機体後側向きに向けて被せ、機体後側で且つ左右両側の上面を切り欠いて開放空間部を形成する。そして、前記ホッパホルダ225の後部側の壁面とホッパカバー226の後部側の壁面の前後間に左右の回動支軸227,227を各々設け、該回動支軸227,227には各々回動アーム228,228を回動可能に装着する。該左右の回動アーム228,228は、大部分が開放空間部から上方に突出させる。
該左右の回動支軸227,227は、リンクホルダ210,210の切欠き部221や、条間調節プレート222よりも機体下側に配置する。
これにより、ホッパホルダ225側の回動支軸227,227を条間調節プレート222の下部側で、且つリンクホルダ210,210と前後間隔を大きく開けることなく配置できるので、植付ホッパ20a,20bの前後位置が後ろに寄り過ぎず、コンパクトな構成とすることができる。
なお、該回動アーム228,228のうち、機体外側に開閉ワイヤ220のケーブルアウターを装着し、機体内側にケーブルインナーを接続して、開閉ワイヤ220の引っ張りと弛みにより左右の回動アーム228,228が回動する構成とする。
また、前記左右の回動支軸227,227には、左右一対のホッパステー229,229を下部側に装着する、コの字形状の開閉アーム230,230を左右回動可能に各々装着する。該開閉アーム230,230は、ホッパステー229,229の前後及び側面の上方を覆う形状であり、図18に示すとおり、前後面の上部側には、左右方向の凹凸が上下方向に交互に噛み合うギア部230a,230aが各々形成されている。このギア部230a,230aの噛み合いにより、開閉アーム230,230の開閉時の回動量を同調させる構成であり、植付ホッパ20a,20bから苗を偏りなく開放可能な開度となる構成とする。
また、開閉アーム230,230の前後面の機体下部側には、左右各々に支持ピン232,232を設け、該左右の支持ピン232,232に、左右の開閉アーム230,230を互いに近接し合う方向に付勢するスプリング233を前後に各々配置する。
また、前記ホッパステー229,229は、前後の上方に折り曲げた部分を開閉アーム230,230の前後部と連結し、前後方向の底部の各機体内側部には、左右一対のホッパ構成体231,231を装着する半円形状の切欠部(図示省略)を形成している。該左右のホッパ構成体231,231は、開くときには下端部側ほど左右方向に大きく開くと共に、閉じたときは上下に亘って端面同士が略均等に接する構成とする。また、ホッパ構成体231,231の下端部付近は板状に形成し、土中に進入するときの抵抗を軽減する形状とする。
さらに、前記ホッパカバー226に、左右のホッパ構成体231,231の最上部と略同径、乃至僅かに小径の開口部(図示省略)を形成し、この開口部に、苗供給装置43から供給される苗を入り込ませて左右のホッパ構成体231,231の内部に案内する苗ガイド234を差し込んで装着する。なお、前記左右のホッパ構成体231,231の上端部付近の径は、上端部付近から下側の径よりも大径とする。
該苗ガイド234のうち、ホッパカバー226よりも下側は略同径とし、ホッパカバー226よりも上側は、機体上側ほど大径に構成し、側面視及び背面視でテーパ形状とする。
苗ガイド234の上部側がテーパ形状であることにより、上端側の径が最大になるので、苗が落下供給される位置が多少ずれても苗を受け止めることができ、植付ホッパ20a,20bが苗を植え付け損なうことが防止される。
また、苗ガイド234の下部側の径を、ホッパ構成体231,231の上端部の径と略同径、乃至僅かに小径としたことにより、苗ガイド234とホッパ構成体231,231の間に隙間が生じないので、苗を確実に引き継がせることができ、確実に苗を植え付けられる。
各苗収容体22は、上下に開口する筒状体と、その筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋とを有し、互いにループ状に連結している。
移動機構23は、連結した各苗収容体22が左右の植付ホッパ20a,20bの上方近傍を通過する状態で、機体平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で、連結した苗収容体22を左回りに周回動させる。
苗落下機構は、苗収容体22の底蓋を、その苗収容体22に対応する、植付ホッパ20a,20bの上方位置で開放する。
本実施の形態では、苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、その円筒外周部に外側から回動自在に接続する係合部(丸孔)を設けて、2つの苗収容体22を連結する連結体を複数形成した。そして、その連結体の係合部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に接続し、その円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として、複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。すなわち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンの如く連結した構成である。
これにより、苗収容体22は、直線的に移動する直線状部分28でも円弧状に移動する円弧状部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から左右の植付ホッパ20a,20bに苗を供給する個所で、苗収容体22の左右の植付ホッパ20a,20bを基準とした位置ズレが生じ難くなり、苗供給が適正に行われて適確な苗の植え付けが出来る。
苗供給装置43の移動機構23は、無端チェーンの如く互いに連結する苗収容体22を、左右に設けたスプロケットの外周の円弧状切欠部に巻き掛け、この左右のスプロケットを伝動ケース26内から取り出した動力で駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分28と、スプロケットにより直線状部分28から前側または後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の後輪44より機体内側に配置されている。
前記苗供給装置43の苗収容体22は、直線状部分28では比較的安定して所定方向に移動するが、左右両側部の円弧状部分29では、苗収容体22同士の間隔が狭まったり広くなったりして、苗供給装置43の駆動に負荷を与えて破損させたり、苗の落下供給タイミングが不安定になったりするおそれがある。これを防止すべく、複数の苗収容体22の内周縁部で、且つ苗供給装置43の左右両外側部には、駆動回転するスターホイル240,240を各々設けており、該スターホイル240,240の外周縁部には等間隔に突起部が形成されている。これらの突起部を苗収容体22の間隔部に入り込ませることで、苗供給装置43の左右両側の円弧状部分29を通過するときの各苗収容体22の位置を各々保つことにより、過負荷の発生や、苗の落下供給タイミングのズレの発生を防止している。
しかしながら、苗の植付作業中、スターホイル240の突起部は、常時苗収容体22に接触し続けるので、摩耗により突起部の形状が変化したり、負荷の蓄積で破損しやすい傾向にある。変形や破損が生じたスターホイル240をそのまま用いると、苗収容体22の搬送間隔が不安定になり、苗の落下供給タイミングが乱れる等、植付作業に支障が生じるおそれがある。
この問題を解消すべく、図22、図23に示すとおり、スターホイル240の突起部に下方に突出する回転支軸241を各々設け、該回転支軸241の外周に、送りローラ242を回転可能に装着する。
これにより、スターホイル240の突起部が直接苗収容体22に接触しなくなるので、突起部の変形や負荷の蓄積が生じにくくなり、苗の落下供給タイミングの安定が図られる。
また、苗収容体22に接触する送りローラ242を回転可能としたことにより、送りローラ242の摩耗も軽減され、部品交換の頻度の増加が防止される。
なお、送りローラ242の外周面を、ゴム等の摩擦係数が高く且つ弾性を有する被覆部材で覆う、あるいはコーティングを施すことにより、送りローラ242の摩耗をさらに軽減できると共に、摩擦力によりグリップ力の向上が図られ、苗収容体22の搬送が安定する。
また、左右の植付ホッパ20a,20bは、後輪車軸12の位置よりも後側に配置している。
苗供給装置43は、左右の植付ホッパ20a,20bに合わせて苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
植付ホッパ20a,20bは、それぞれ第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bで、苗収容体22から苗が落下供給される。
そして、左右の植付ホッパ20a,20bに対応して落下供給する苗を収容する苗収容体22を各別に設けており、苗収容体22が対応する左右の植付ホッパ20a,20bの上方にきたときのみ底蓋が開き、対応しない左右の植付ホッパ20a,20bの上方では底蓋が開かない構成としている。
すなわち、植付ホッパ20aに対応する苗収容体22は第1落下供給位置31aにきたときのみ、植付ホッパ20bに対応する苗収容体22は第2落下供給位置31bにきたときのみ、それぞれの底蓋が開いて対応する植付ホッパ20a,20bに苗が供給される構成となっている。
なお、第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bは、左右の植付ホッパ20a,20bの条間を調節した際、対応する位置に移動可能な構成とする。
移動機構23の作動周期は、上下動機構21の作動周期に同期する設定にされており、左右の植付ホッパ20a,20bに対応する苗収容体22を合わせて1つの苗収容体ユニットとして、その苗収容体ユニットを複数連結した構成とすることにより、苗収容体22が左右の落下供給位置31a、31bを直列的に通過しながら、左右の植付ホッパ20a,20bに対応して苗供給漏れが生じることなく苗を供給でき、且つ左右の落下供給位置31a、31bを通過した後に苗が供給されなかった苗収容体22が生じなくすべく、余すことなく左右の植付ホッパ20a,20bに対応して苗を供給出来る構成としている。
本実施の形態の移植機10は、左右の植付ホッパ20a,20bが植え付けた苗に合わせて覆土鎮圧することに利用される覆土鎮圧輪37を左右の植付ホッパ20a,20bの苗植え付け個所の各後方左右両側近傍位置に設けている。該左右の覆土鎮圧輪37は、別個に上下回動可能な支持アームに各々装着する。
上記左右の植付ホッパ20a,20bは、苗の植付作業条件に合わせて左右位置を調節し、条間を変更することが可能であるが、設定条間に合わせて前記畝面センサ14の接地位置を変更しないと、検知精度が低下するおそれがある。
前記走行車体40は、昇降用油圧シリンダ300により左右の走行伝動ケース38を上下回動させて植付深さを変更する構成であることは上述しているが、左右の植付ホッパ20a,20bの植付深さを各々できる限り適切にすべく、左右の走行伝動ケース38のうち、左右一方、本件では機体左側の走行伝動ケース38を別個に上下回動させる、ローリング制御も組み込まれている。
具体的には、前記左側の走行伝動ケース38と、油圧天秤303の機体左側端部の間にローリングシリンダ310を配置し、前記左右の覆土鎮圧輪37の上下回動量の差に合わせて、ローリングシリンダ310を伸長または収縮する構成である。
上記のローリングシリンダ310を機体左側に寄せて設けているので、畝面センサ14は、機体右側の植付ホッパ20bの前方を検知すると、機体の左右バランスが取りやすい。
従って、前記畝面センサ14は、図6及び図8に示すとおり、左右のメインフレーム103よりも下方に設ける底部梁フレーム133に設ける調節基部プレート14aと、該調節基部プレート14aに左右方向に取付位置を調節自在に設ける接地プレート14bで構成する。
該調節基部プレート14aの機体後部側には、左右方向の調節長孔14cが形成されており、接地プレート14bを該調節長孔14cに沿って左右方向の位置を決め、ボルト等の固定部材で固定することにより、畝面センサ14の検知位置が設定される構成である。
上記構成により、左右の植付ホッパ20a,20bの条間設定に合わせて畝面センサ14の検知位置を適切な位置に調節できるので、設定条間に合わせた植付深さの自動制御がより適切に行われ、苗の植付精度が向上する。
本件の移植機には、苗供給装置43に苗を補給する作業者が乗車して苗補給作業を行うべく、作業者が座る作業座席46を設けている。具体的には、苗供給装置43の前側となる機体左右中央位置に後向きに作業座席46を配置している。作業座席46に座る作業者は、苗供給装置43の前側部に向って後側向き姿勢で着座して、苗供給装置43の前側部、特に苗収容体22の周回移動経路における前側の直線状部分28に対応して苗補給作業を行う。
また、前記操縦パネル47aの左右他側には、ミッションケース39に内装され、左右の走行伝動ケース38及び伝動ケース26への駆動力の伝動を入切する主クラッチレバー125を設ける。
本発明の移植機において、機体後部の操縦ハンドル47による作業者の操作は、圃場への移動、輸送手段からの積み下ろし、倉庫への収納や、圃場端での旋回のときに行われるものである。一方、苗の植付作業時には、作業者は走行車体40の作業座席46に搭乗しており、操縦ハンドル47の操縦パネル47aでの操作を行うことは困難である。
従って、走行車体40上には、作業座席46に搭乗した作業者用の、車体上操縦部126を設ける。
図4、図7及び図9に示すとおり、前記苗供給装置43の下部には、機体後側に上方傾斜する後部ステップ127を設け、該後部ステップ127の左右どちらか一側、本件では機体右側(作業座席46に着座した作業者を基準とすると左側)の端部に、車体上操縦部126を設ける。
該車体上操縦部126は、最も機体外側に、走行車体40の車高を調節して植付ホッパ20a,20bの植付深さを調節する第2車高調節レバー128を配置し、該第2車高調節レバー128よりも機体内側に、第2主クラッチレバー129を配置する。
なお、苗の植付作業時は、基本的に車高を固定する必要が無いので、第2車高調節レバー128は「高」ポジションと「低」ポジションのみを有する構成とする。
そして、前記後部ステップ127の外側端部には、第2車高調節レバー128を枠内に収めると共に車高の目安を示す表示目盛りを形成した車高調節レバーガイド130を機体前側に向かう上方傾斜姿勢で設け、該車高調節レバーガイド130の機体内側方には、第2主クラッチレバー129を枠内に収める主クラッチレバーガイド131を機体前側に向かう上方傾斜姿勢で設ける。
なお、第2車高調節レバー128は、第2主クラッチレバー129よりも機体前側への突出量を大きくする。
また、前記第2車高調節レバー128と第2主クラッチレバー129は、機体左右一側(機体右側)の前記取付支持プレート105、及び前後の梁フレーム106f,106rに基部側を回動可能に装着するものとすると、別途取付部材を設ける必要が無く、部品点数の削減が図られる。
さらに、前記車体上操縦部126よりも機体左右他側、即ち機体左側には、左右のサイドクラッチを入切操作するサイドクラッチペダル132L,132Rを、後部ステップ127の上面に露出させて設ける。
前記車高調節レバーガイド130と主クラッチレバーガイド131は、側部ステップ118の上面との間に一定の上下間隔Sを空けて配置するものとする。上記の上下間隔Sは、作業者の足を入り込ませても空間が確保される程度(例:15〜20cm程度)とする。
上記構成により、フロアステップ122上、及び作業座席46に搭乗した作業者は、走行車体40から降りることなく植付深さの手動操作や、植付作業の入切を手動操作することができるので、作業能率が向上すると共に、苗の植付精度が向上する。
また、第2主クラッチレバー129を第2車高調節レバー128よりも作業座席46に近付く機体内側に配置したことにより、苗の補充や植付状態の修正、休憩等の際に使用する第2主クラッチレバー129に作業者の手が届きやすく、労力の軽減が図られる。
特に、問題の発生時に速やかに苗の植付作業を中断でき、苗の植え直し作業が不要になると共に、生育に適さず破棄される苗の数が減少する。
また、第2車高調節レバー128を第2主クラッチレバー129よりも機体前側に突出させたことにより、作業座席46から遠い側の第2車高調節レバー128を操作する際に腕を大きく伸ばす必要が無く、作業者の労力が軽減される。
そして、後部ステップ127に左右のサイドクラッチペダル132L,132Rを設けたことにより、走行車体40の進行方向が畝を基準とする直進方向から外れかけているときに前記サイドクラッチペダル132L,132Rのどちらかを操作して対応するサイドクラッチを一時的に切状態とすることで、走行車体40の進路を修正でき、苗の植付位置が左右方向に蛇行することが防止される。
また、車高調節レバーガイド130と主クラッチレバーガイド131、即ち車体上操縦部126と側部ステップ118の上下間に上下間隔Sが形成される構成としたことにより、作業座席46に搭乗する作業者の足の動きが妨げられず、作業者は楽な姿勢で操縦座席46に搭乗でき、労力の軽減が図られる。
作業座席46の左右両側で機体側面視で後輪44の後輪車軸12の上方位置に、苗供給装置43に補給する苗を収容可能な予備苗枠50を設けている。
前記予備苗枠50は、走行車体40の機体外側に突出する苗載支柱51の上部に支持ステー52を設け、該支持ステー52に回動状態と非回動状態を切替可能な苗載回動アーム53を設け、該苗載回動アーム53には上下方向の苗枠フレーム54,54を間隔を開けて配置すると共に、該苗枠フレーム54,54の同じ面に、補充用の苗を収容する苗箱や苗トレイ等の容器を載置する載置台55の一側端部を装着して構成する。
該載置台55は、上下方向に一つだけ設けてもよいが、容器の取り出しに支障の無い上下方向の間隔を空けて複数配置してもよい。
上記構成の予備苗枠50は、走行車体40の左右両側に各々設け、状況に合わせて支持ステー52上で苗載回動アーム53を回動させる。
例えば、苗の植付作業時には、載置台55の長手方向を機体前後方向に向けることで、載置台55から苗の容器を取り出したり、空になった容器を戻しやすくすることで、作業能率を向上させることができる。
また、この位置では載置台55が走行車体40の左右両側に位置するので、作業者が走行車体40の搭乗可能な部分の端部を把握しやすくなり、走行車体40上から足がはみ出し、姿勢を崩すことが防止される。
また、走行車体40に作業者が乗り降りするときには、苗載回動アーム53を約90度回動させる。
これにより、走行車体40の左右両側に乗り降りの空間部が形成される。
また、作業者は走行車体40の機体前側からも乗り降りすることができるが、苗載回動アーム53を回動させて苗枠フレーム54,54が機体前側に位置し、載置台55が機体後側に位置する状態とすると、作業者は苗枠フレーム54,54を手摺りとして用いることができるので、走行車体40の乗り降りを円滑に行うことができる。
また、載置台55に苗の容器を積載、あるいは取り出す際、機体後側からであれば容器の積載、取り出しを妨げる部材が無いので、作業能率が向上する。
前記作業座席46の走行車体40への取付は、正面視または背面視においてコの字形状であり、エンジン41等の上方を覆う機体カバー48を跨ぐ座席フレーム49のうち、機体左右方向となる部分の上部に装着する。該座席フレーム49の上部には、機体前側に向かう左右のシートステー49aの基部が装着されており、作業座席46は左右のシートステー49aの基部側の左右方向の回動支点を中心に、機体前後方向に回動可能に装着される。
これにより、作業座席46を苗供給装置43の機体前側端部付近に接触する姿勢で載置できるので、作業中断時に作業者の着座部分に砂や雨水が付着することを防止できる。
しかしながら、作業座席46が回動可能であることにより、大きな凹凸を通過する時に作業座席46が回動し、乗り心地を悪くしたり、作業者の搭乗姿勢を乱して苗供給装置43への苗の供給タイミングを乱したりする問題がある。
特に、作業者が作業座席46に搭乗しているか否かを検知する着座センサ140を備え、着座センサ140が着座を検知しない場合に何らかの制御を行う構成とするものにおいては、誤検知により作業の中断や作業精度の低下が生じる問題がある。
この問題を防止すべく、作業座席46の前側下部に、図24に示す、座席サスペンション機構134を前記左右のシートステー49aに接触する姿勢で配置する。
該座席サスペンション機構134は、作業座席46の下部に直接装着する上側プレート135と、側面視で凹形状の下側プレート136と、該下側プレート136を下方に付勢する左右のサスペンションスプリング137と、該左右のサスペンションスプリング137よりも機体外側に設け、作業者が着座して荷重がかると下側プレート136の凹部内に接触するインシュレータ138で構成する。該インシュレータ138は、ゴム等の弾性部材を筒状に形成したものとし、振動を吸収し得る構成とする。
そして、前記下側プレート136の下面であり、前記左右のシートステー49aに接触する部分には、図25に示すとおり、マグネットシート139を各々装着する。
上記構成により、走行車体40の走行や作業により生じる振動を座席サスペンション機構134で吸収することができるので、作業者が振動の影響で疲れにくくなる。
また、作業座席46を使用位置に回動させると、マグネットシート139が左右のシートステー49aに各々磁力で張り付くことにより、圃場の凹凸等の影響で機体が揺れても作業座席46が機体前側に回動することを防止できるので、作業者の着座姿勢が変わりにくく、労力の軽減が図られると共に、苗の植付精度が向上する。
なお、上記のマグネットシート139の代わりに、下側プレート136と左右のシートステー49aに各々板状の面ファスナーを接着剤等で張り付けておき、面ファスナー同士の接触で回動を規制する構成としてもよい。
なお、前記着座センサ140を作業座席46に装着する場合、前記左右のシートステー49aに装着する構成とすると、固定部分に着座センサ140が配置されることになるので、制御装置(図示省略)へ信号を伝達するハーネスを、回動を考慮せずに配策できるので、構成の簡潔化が図られる。
また、回動時にハーネスが引っ張られて断線することが無いので、着座センサ140が検知不能になることがなく、着座センサ140を用いた制御を活用できる。
前記着座センサ140は、作業座席46を作業位置に回動させ、作業者の登場による荷重で押し下げられることで着座を検知する上下動方式の着座スイッチ141で構成し、該着座スイッチ141は、何度も荷重がかけられても変形することを防止すべく、ゴム等の弾性部材で構成する。
上記構成により、着座スイッチ141は上下方向に動く構成であるので、着座スイッチ141の可動範囲に土がたまりにくく、着座センサ140の検知精度の低下が防止される。
なお、着座スイッチ141は、図26(a)(b)に示すとおり、シートステー49aの少なくとも左右一側に設けるスイッチホルダ142に上下動可能に設け、作業座席46を非作業位置に回動させた状態でシートステー49a上に部材を積載するときは、シートステー49aの上面が平坦になる構成としてもよい。
これにより、左右のシートステー49aの上面に苗箱や燃料タンク等を一時的に載置できるので、作業能率が向上する。
また、前記座席フレーム49の左右両側の下端部は、左右の走行用伝動ケース38,38を左右方向に移動させて、左右の後輪44,44の左右間隔を変更するスライド部のフレーム(図示省略)に連結する。
これにより、座席フレーム49がスライド部の構成部材を兼ねるので、スライド部の強度の向上が図られる。
圃場に苗を移植する際、圃場の土質や周辺の水環境、あるいは作業前の天候等の条件を考慮して、植え付けた苗の付近に水を供給する、所謂灌水作業を行うことがある。
本件の移植機には、図4で示すとおり、走行車体40の左右両側に設けられる苗載支柱51のうち少なくとも一方を、フロアステップ122の下部から機体外側に突出する側方突出部51aを有すると共に、該側方突出部51aの機体外側端部を走行伝動ケース38の機体外側端部付近で上方に向けて屈曲させ、上下部51bを有する構成とし、該側方突出部51aと上下部51bに、平面視で長方形の枠形状の水タンクホルダ601を設けている。
該水タンクホルダ601は、図1に示すとおり、機体前後方向に長辺部が向く配置とし、機体外側部で、且つ機体前後方向中央部よりも後側位置に、苗載支柱51の上下部51bと連結する左右方向の第1ジョイント602を設けると共に、機体内側部で、且つ機体前後方向中央部よりも後側位置に、苗載支柱51の側方突出部51aと連結する上下方向の第2ジョイント603を設けている。
水タンクホルダ601の取付位置が機体前後方向中央部よりも後側位置であることにより、積載する水タンク600の機体後部が後輪44から機体前側に離間するので、車高調節時等に水タンク600が後輪44に接触し、車高調節を妨げることが防止される。
また、走行伝動ケース38のうち、上下回動時の上下位置が変化しにくい機体前側、即ち回動支点付近の上方に水タン・BR>N600の後部が位置するので、走行伝動ケース38に水タンク600が干渉することが防止され、車高調節を妨げることが防止される。
そして、水タンクホルダ601を、第1ジョイント602及び第2ジョイント603を介して苗載支柱51の側方突出部51aと上下部51bに各々連結することにより、苗載支柱51を水タンクホルダ601の取付部材とすることができるので、部品点数の削減が図られる。
加えて、苗載支柱51の側方突出部51aを水タンク600の底部受けとするので、水を満載した水タンク600に耐え得る底部支持部材を別途用意する必要が無く、部品点数の削減がいっそう図られる。
なお、左右両方の苗載支柱51を同じ形状とし、両方に水タンクステー601を設けてもよい。
前記水タンク600に貯留された灌水用の水は、走行車体40の底部で、且つ機体前後中央付近に設けられる灌水ポンプ700の動作によって汲み上げられると共に、植付ホッパ20a,20bが苗を植え付ける位置に排出される。該灌水ポンプ700は、植付ホッパ20a,20bの数に合わせて配置し、走行車体40の左右中央部を基準として、間隔を空けて左右に配置する。
前記灌水ポンプ700にホースを装着し、水タンク600から灌水ポンプ700を経由して散水ノズル710から水を排出する構成とすることもできるが、灌水ポンプ700のピストンシリンダ(図示省略)の動作により、排出方向に送り出された水の一部が水タンク600側に戻されることがある。これにより、圃場に供給される1回当たりの灌水量が減少し、水不足により苗の生育が遅れたり、生育不良により収穫物の品質を低下させるおそれがある。
これを防止すべく、前記左右の側部ステップ118の機体外側の下部に、送水方向を一方に制限するチェックバルブ720を各々設け、水タンク600とチェックバルブ720の給水側を吸水ホース721で連結すると共に、チェックバルブ720の排水側と排水ノズル710を排水ホース722で連結する。また、チェックバルブ720と灌水ポンプ700を、中継ホース723で連結する。
より具体的には、図27で示すとおり、まず、機体前側から後側への送水を許容する方向に向けた吸水チェックバルブ724と排水チェックバルブ725を上下に並べて側部ステップ118の機体外側端部の下部に装着する。そして、前記吸水ホース721の一側を水タンク600内に入り込ませ、他側を吸水チェックバルブ724の入口、即ち機体前側と連結し、前記排水ホース722の一側を排水チェックバルブ725の出口、即ち機体後側と連結し、他側を前記排水ノズル710に連結する。
前記灌水ポンプ700には、機体左右方向の第1中継ホース723aの基部側を装着し、端部側には、三又形状の分岐ジョイント723dの収束ポートを装着する。そして、該分岐ジョイント723dの吸水ポートと吸水チェックバルブ724の出口(機体後側)の間には、第2中継ホース723bを設け、分岐ジョイント723dの排水ポートと排水チェックバルブ725の入口(機体前側)の間には、第3中継ホース723cを設ける。
なお、排水ノズル710は、圃場に直接水を供給してもよいが、植付ホッパ20a,20bの上側開口部から内部に灌水をある程度の水勢で投入し、植付ホッパ20a,20b内に付着した泥土の除去に利用する構成としてもよい。
これにより、植付ホッパ20a,20bが開いている間に内部に入り込み、泥土を除去するスクレーパが不要になるので、部品点数の削減が図られる。
上記スクレーパが、植付ホッパ20a,20bの昇降に連動して所定の軌跡を描くものであれば、所定の軌跡で昇降させる機構の部品を削減できるので、部品点数の大幅な削減と、機体構成の簡略化が図られる。
さらに、泥土を灌水で圃場に戻すことができるので、圃場外を泥土で汚染することを防止できると共に、圃場内の養分の流出が軽減される。
上記構成により、チェックバルブ720が機体左右外側の空間部に配置されるので、詰まり等の問題が生じた際に原因の調査やメンテナンス作業が行いやすく、労力の軽減や作業時間の短縮が図られる。
また、吸水チェックバルブ724と排水チェックバルブ725の送水方向が同じになる配置としたことにより、分解後の組付作業時に取付方向を間違えにくくなり、作業能率が向上する。
また、チェックバルブ720が水タンク600の後側で、植付ホッパ20a,20bの前側で、且つ灌水ポンプ700の機体外側に配置されることにより、吸水ホース721、排水ホース722、第1中継ホース723a、第2中継ホース723b及び第3中継ホース723cの屈曲を最低限に抑え、且つ重複しにくい配置とすることができる。
なお、吸水チェックバルブ724と排水チェックバルブ725は透明な筒とし、内部のスプリングや逆流防止用のボールを外部から確認できるものとすると、送水方向が視認でき、取付間違いがより生じにくくなる。