JP2024005940A - 移植機 - Google Patents

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JP2024005940A JP2022106424A JP2022106424A JP2024005940A JP 2024005940 A JP2024005940 A JP 2024005940A JP 2022106424 A JP2022106424 A JP 2022106424A JP 2022106424 A JP2022106424 A JP 2022106424A JP 2024005940 A JP2024005940 A JP 2024005940A
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昌実 村並
Masami Muranami
暢宏 山根
Nobuhiro Yamane
幸太 東
Kota Azuma
昭雄 田▲崎▼
Akio Tazaki
丈晴 清家
Takeharu Seike
弘喜 中島
Hiroyoshi Nakajima
僚太 周防
Ryota Suo
優太 川崎
Yuta Kawasaki
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Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Abstract

【課題】メンテナンス作業や破損時の作業を能率よく行え、土砂の付着による影響を抑えられると共に、未浄化の水を使用しても問題が生じにくい移植機を提供すること。【解決手段】走行車体40に、苗を植え付ける植付装置20a,20bと、植付装置20a,20bが植え付けた苗の周囲の圃場面を均す覆土鎮圧輪37と、植え付けた苗に水を供給する灌水装置700を設けた移植機において、覆土鎮圧輪37は、左右の分割鎮圧体377a,377bを連結して構成する左右の連結鎮圧輪378,378で構成し、工具を用いることなく連結鎮圧輪378,378の連結と左右の分割鎮圧体377a,377bへの分割が可能な構成とする。【選択図】図21

Description

本発明は、作物の苗を圃場に移植する移植機に関するものである。
従来、植付装置で圃場に苗を植え付け、その後で苗の植え付け時に持ち上げられた土を左右の覆土輪で圧し均し、苗の姿勢を整えつつ根部を土中に埋没させる鎮圧装置を有すると共に、苗を植え付ける際に一定量の水を供給する灌水装置を有する移植機が知られている(特許文献1)。
特開2017-175998号公報
特許文献1の移植機により、植え付け後の苗が風等で倒れたり、露出した根部が気温や病害虫の影響を受けることを防止できるので、苗の生育が安定する。また、植付と同時に生育に必要な水を供給しているので、水不足による生育不良の発生も防止される。
しかしながら、覆土輪は等間隔に空間部の形成されたスポーク状の鎮圧ホイールと、その円周面に装着される鎮圧タイヤで構成されているので、部品数が多く、破損が生じると廃棄部品も増加する問題がある。
また、鎮圧ホイールの空間部は土砂の通り抜けを意図して形成されているが、圃場の土砂の粘度が高かったり、鎮圧時に接触する土砂の量が多いとこの空間部に土砂が詰まることがある。これにより、覆土輪の重量が増加し、設定された鎮圧荷重よりも大きな荷重で苗の周囲の土を圧し均すことになるので、苗の周囲の土が固くなり過ぎ、供給される水が染み込みにくく、水不足による生育不良を招くおそれがある。
また、付着した土砂にさらに土砂が付着することで覆土輪の形状が変わり、不均等に圃場面が圧し固められていると、弱い部分に向けて苗が倒れてしまうおそれがある。
さらに、灌水装置は水タンクに貯留された水をポンプで吸い上げて植付装置の周辺に水を定量ずつ供給するが、使用する水が用水路や河川から直接汲み上げたものであると、砂粒や小石、菌やウィルスが混入しやすい。砂粒や小石は灌水用のポンプや送水経路に詰まり破損の原因となるおそれがあり、菌やウィルスが水と共に苗に供給されると、病気で苗が枯れて収量が減少するおそれがある。
本発明は、従来の課題を考慮して、メンテナンス作業や破損時の作業を能率よく行え、土砂の付着による影響を抑えられると共に、未浄化の水を使用しても問題が生じにくい移植機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
請求項1に係る発明は、走行車体(40)に、苗を植え付ける植付装置(20a,20b)と、該植付装置(20a,20b)が植え付けた苗の周囲の圃場面を均す覆土鎮圧輪(37)と、植え付けた苗に水を供給する灌水装置(700)を設けた移植機において、該覆土鎮圧輪(37)は、左右の分割鎮圧体(377a,377b)を連結して構成する左右の連結鎮圧輪(378,378)で構成し、工具を用いることなく該連結鎮圧輪(378,378)の連結と該左右の分割鎮圧体(377a,377b)への分割が可能な構成としたことを特徴とする移植機とした。
請求項2に係る発明は、前記左右の分割鎮圧体(377a,377b)は円形とし、中心部付近には円の中央に向かうほど小径となる案内筒体(380a,380a)を設け、該案内筒体(380a,380a)の最小径部分に取付円筒(380b,380b)を設け、該取付円筒(380b,380b)に扇状の連結突起(380c,380c)を各々点対称位置に形成し、前記案内筒体(380a,380a)には、該扇状の連結突起(380c,380c)と重複しない位置で且つ点対称位置に連結フック(380d,380d)を形成すると共に、該連結フック(380d,380d)から円周方向において重複しない位置にフック溝(380e,380e)を形成し、前記左右の分割鎮圧体(377a,377b)の扇状の連結突起(380c,380c)同士を接触させると共に、前記左右の分割鎮圧体(377a,377b)同士の連結フック(380d,380d)をフック溝(380e,380e)に接触させると前記連結鎮圧輪(378,378)が構成されることを特徴とする請求項1に記載の移植機とした。
請求項3に係る発明は、前記取付筒体(380b,380b)のうち、連結フック(380d,380d)が外周面に臨む位置には、前記連結フック(380d,380d)の移動を許容する移動空間部(380f,380f)を形成したことを特徴とする請求項2に記載の移植機とした。
請求項4に係る発明は、前記左右の分割鎮圧体(377a,377b)の外周縁部には、所定範囲ごとに連結凹部(382)と連結凸部(383)を交互に形成し、前記連結鎮圧輪(378,378)を構成するときは、左右の分割鎮圧体(377a,377b)の該連結凹部(382)に該連結凸部(383)が各々入り込む構成としたことを特徴とする請求項2または3に記載の移植機とした。
請求項5に係る発明は、前記灌水装置(700)により搬送される水を貯留する水タンク(600)を設け、該水タンク(600)と灌水装置(700)の送水経路の間に浄化タンク(727)を設け、該水タンク(600)から該浄化タンク(727)に水が入り込む吸水口(728)と、該浄化タンク(727)から灌水装置(700)に水が出ていく排水口(729)は、浄化タンク(727)の機体上部側に設け、該吸水口(728)及び排水口(729)よりも機体下側には、水を浄化する浄化体(730)を着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1に記載の移植機とした。
請求項6に係る発明は、浄化体(730)の上端部よりも機体下側に回転支柱(731)を設け、該回転支柱(731)に水流により遊転する沈殿スクリュー(732)を設け、該沈殿スクリュー(732)は、回転時に下方向きの流れを発生させる羽根形状としたことを特徴とする請求項5に記載の移植機とした。
請求項7に係る発明は、前記浄化タンク(727)と灌水装置(700)の間には、少なくとも一つの貯水タンク(733)を設けることを特徴とする請求項5または6に記載の移植機とした。
請求項1に係る発明により、工具を用いることなく連結鎮圧輪(378,378)の連結と左右の分割鎮圧体(377a,377b)への分割が可能であることにより、内部に入り込んだ土砂の除去を容易に行うことができる。これにより、連結鎮圧輪(378,378)の重量が増加して圃場面が必要以上に固められ、苗の生育不良が発生することが防止される。
また、連結鎮圧輪(378,378)が石等に接触して破損した際、左右の分割鎮圧体(377a,377b)のうち破損した側だけを交換することができるので、廃棄物の小型化が図られる。
また、圃場内での作業中の破損であれば、その場で部品交換することも可能であるので、植付作業の中断時間が短くなり、作業能率が向上する。
請求項2に係る発明により、請求項1に係る発明の効果に加えて、連結鎮圧輪(378,378)を構成する際、双方の扇状の連結突起(380c,380c)が、扇状の連結突起(380c,380c)同士の間隔部に入り込むので、扇状の連結突起(380c,380c)により左右の分割鎮圧体(377a,377b)が各々回転しない構成となる。
したがって、圃場面に接触した連結鎮圧輪(378,378)の回転が安定し、植え付けた苗の周囲の土砂を生育に適切な固さで均すことができる。
また、双方の連結フック(380d,380d)をフック溝(380e,380e)に接触させることで、左右の分割鎮圧体(377a,377b)を他の固定部材や締結具無しで連結することができる。
逆に連結フック(380d,380d)をフック溝(380e,380e)から離間させると、左右の分割鎮圧体(377a,377b)を作業者の手だけで分割することができる。
請求項3に係る発明により、請求項2に係る発明の効果に加えて、取付筒体(380b,380b)に、連結フック(380d,380d)の移動を許容する移動空間部(380f,380f)を形成したことにより、連結フック(380d、380d)を屈曲変形させられる範囲が増加するので、特に左右の分割鎮圧体(377a,377b)を分割しやすくなる。
これにより、作業に要する時間や、作業者が費やす労力の軽減が図られる。
請求項4に係る発明により、請求項2または3に係る発明の効果に加えて、連結鎮圧輪(378,378)を構成するとき、左右の分割鎮圧体(377a,377b)の双方の連結凹部(382)に連結凸部(383)が各々入り込むことにより、左右の分割鎮圧体(377a,377b)が各々独立して回転しようとしても、連結凹部(382)に連結凸部(383)が入り込んでいるので回転が妨げられる。
したがって、圃場面に接触した連結鎮圧輪(378,378)の回転が安定するので、植え付けた苗の周囲の土砂を生育に適切な固さで均すことができる。
また、左右の分割鎮圧体(377a,377b)の外周端部付近の合わせ面が平坦であるのに対し、連結凹部(382)及び連結凸部(383)付近では機体外側または機体内側に屈曲するので、細かい土砂や水が連結鎮圧輪(378,378)の内部に進入することを防止できる。
これにより、連結鎮圧輪(378,378)の重量が増加して圃場面が必要以上に固められ、苗の生育不良が発生することが防止される。
請求項5に係る発明により、請求項1に係る発明の効果に加えて、浄化タンク(727)を水タンク(600)と灌水装置(700)の間に配置し、吸水口(728)と排水口(729)を浄化タンク(727)の上部側に設けたことにより、水タンク(600)に貯留した水に含まれる砂粒を浄化タンク(727)に沈ませてから灌水装置(700)に送ることができるので、砂粒等が灌水装置(700)に詰まり、破損させることが防止される。
また、吸水口(728)と排水口(729)よりも下方に浄化体(730)を設置したことにより、水中の菌やウィルス、有害物質を浄化してから植え付けた苗に水を供給できるので、水が原因で生育不良が発生することが防止される。
請求項6に係る発明により、請求項5に係る発明の効果に加えて、浄化体(730)の上端部よりも下側に沈殿スクリュー(732)を設けたことにより、対流で巻き上がってくる砂粒の上昇を抑えることができるので、灌水装置(700)に砂粒が含まれた水が向かうことが防止される。
また、沈殿スクリュー(732)は水流によって遊転することにより、駆動源を設ける必要が無く、部品数の削減が図られる。
また、沈殿スクリュー(732)の羽根形状を、下方向きの流れを発生させる形状としたことにより、沈殿していく砂粒などを浄化タンク(727)の底部に送りやすくなるので、砂粒の移動をさらに抑えることができる。
請求項7に係る発明により、請求項5または6に係る発明の効果に加えて、浄化タンク(727)と灌水装置(700)の間に少なくとも一つの貯水タンク(733)を設けたことにより、水の供給間隔が短い作業条件であっても、浄化タンク(727)を通過して浄化された後の水を供給できるので、苗の生育不良が防止される。
移植機の左側面図 移植機の右側面図 移植機の背面図 移植機の正面図 移植機の平面図 機体前側のバンパーの周辺を示す要部平面図 機体前側のバンパーの周辺を示す要部側面図 機体前側のバンパーの周辺を示す要部斜視図 灌水ポンプとチェックバルブを備える移植機の要部側面図 機体後部の操縦部や植付装置、苗供給装置等を示す要部斜視図 畝端センサや搭乗ステップ等を示す移植機の要部斜視図 後部補助ステップを装着した移植機の左側面図 後部補助ステップを装着した移植機の左側面図 後部補助ステップを示す要部斜視図 別構成例の後部補助ステップを示す要部斜視図 後部補助ステップの角度調節機構を示す要部図 車高調節に合わせて後部補助ステップを出し入れさせる機構を示す左側面図 折り畳み回動可能な後部補助ステップを示す要部側面図 (a)一体成型した成型鎮圧輪を示す斜視図、(b)従来構成の覆土鎮圧輪を示す斜視図 外周縁部にエンボス加工を施した成型鎮圧輪を示す斜視図 分割鎮圧体で構成する連結鎮圧輪の分割状態を示す模式図 連結鎮圧輪の断面図 分割鎮圧体の連結部分を示す要部斜視図 連結鎮圧輪にオーリングを装着した状態を示す正面図 抵抗突起を形成した連結鎮圧輪を示す正面図 軸取付部にキャップを装着した連結鎮圧輪を示す斜視図 (a)浄水タンクを備えた灌水経路を示す側面模式図、(b)浄水タンクの底部を取り外した状態を示す側面模式図 浄水タンクとリザーブタンクを備えた灌水経路を示す側面模式図 補強されたメッシュフィルタを示す要部正面図 補強されたメッシュフィルタを示す要部正面図
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態の移植機の一例として苗を移植する移植機10を示す左側面図であり、図2は右側面図、図3は背面図、図4は正面図であると共に、図5は平面図である。
なお、以下の説明では、操縦ハンドル404を配置した側を後とし、その反対側、すなわちエンジン41を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
本実施の形態の移植機10は、図1から図5に示すとおり、機体を前進走行可能とする走行車体40と、走行車体40の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル404と、圃場に苗を植え付ける植付装置42と、植付装置42に苗を供給する苗供給装置43を備えている。
走行車体40は、機体前部にミッションケース39を設け、該ミッションケース39の前側に駆動装置であるエンジン41を設ける。前記ミッションケース39の左右両側の機体後側下部には、後輪となる走行輪44の左右位置を変更するトレッド調節が可能な車軸を覆う車軸カバー101が各々連結され、該車軸カバー101の機体外側端部には、機体後側に設ける走行輪44に駆動力を伝動する走行伝動ケース38を各々上下回動可能に装着する。
なお、左右の走行輪44は、走行伝動ケース38と、走行車体40の左右間に各々配置することで、機体の左右幅を抑える構成としている。但し、苗の植付作業を行う畝幅等の条件に対応させるべく、左右の走行輪44を走行伝動ケース38の機体外側に装着できる構成としておくと、対応可能な作業条件を増やすことができる。
そして、図1から図5、及び図10に示すとおり、前記ミッションケース39から伝動されて植付装置42及び苗供給装置43に駆動力を分岐供給する伝動ケース26に、少なくとも該伝動ケース26の左右側面と背面を覆うベースプレート400を設け、該ベースプレート400の後部にフレームステー401をボルト等の固定部材を介して着脱可能に設ける。そして、該フレームステー401に、機体後側上方に向かって円弧を描く形状で突出するハンドルフレーム402を設け、該ハンドルフレーム402の後部には、車高の上下調節や走行及び植付作業の伝動の入切等を操作する操縦部ユニット403を設けると共に、苗の植付を行わない移動時等に作業者が機体を操作する際に把持する操縦ハンドル404を設ける。該操縦ハンドル404はハンドルフレーム402を中心として機体左右方向で且つ機体後方に向かって屈曲する形状であり、左右の後部側には、前記走行輪44への伝動を入切するサイドクラッチ操作レバー405を各々設けている。また、操縦ハンドル404のうち、左右どちらか一側には、エンジン41の出力を増減操作する第1スロットルレバー406を設ける。
そして、前記ハンドル404の左右間には、操縦パネル47aを設け、該操縦パネル47aに、昇降用油圧シリンダ300を伸縮操作して走行車体40の車高を調節する車高調節レバー123と、左右の走行伝動ケース38及び伝動ケース26への駆動力の伝動を入切する主クラッチレバー125と、エンジン41の始動の可否を切り替えると共に停止操作を行う第1エンジンスイッチ407と、走行車体40の走行伝動を移動速、植付作業速、走行中立及び後進のいずれかに切り替える主変速レバー150を設ける。
エンジン41の始動を許可するときは、作業者は該第1エンジンスイッチ407を押し込んで回転させて入位置に操作する。これにより、エンジン41の始動操作が行われると、エンジン41が始動する。なお、エンジン41の始動は、セルスタータを用いるものでも、リコイルスタータを用いるものでもよい。また、エンジン41以外の駆動装置、例えば電動モータで作動するものであるときでも、第1エンジンスイッチ407が入位置にあるときに電動モータへの通電が行われて始動する構成とする。
エンジン41を停止させるときは、作業者が前記第1エンジンスイッチ407を軽く押し込むと、内装されたトルクバネ(図示省略)の力で切位置に切り替わり、これによりエンジン41が停止状態になる。
切操作時は第1エンジンスイッチ407を軽く押し込むだけでよいので、走行及び植付を即座に止めることができる。これにより、畝端に到達したときにすぐに走行と植付が停止するので、畝でない箇所での苗の植付動作が防止され、余分に消費される苗が減少する。また、次の植付作業を行う畝に機体を移動させる際、余分な移動が生じないので、燃料消費や作業時間が軽減される。
前記操縦ハンドル404の機体前側で、且つ伝動ケース26の上部には、後述する、作業者が投入する苗を左右の植付ホッパ20a,20bに搬送する苗供給装置43が設けられている。該苗供給装置43の後部と、ハンドルフレーム402の後側上部で且つ操縦パネル47aの前側に設ける補強連結ステー151に亘って、操縦ハンドル404及び苗供給装置43付近の強度を向上させると共に振動を低減させる、前後方向の補強フレーム152を設ける。
前記走行車体40は、一つの畝での苗の植付作業が終わると、作業者は機体の進行方向後側に移動し、旋回内側の操縦ハンドル404及びサイドクラッチ操作レバー405を把持して旋回内側の走行輪44への伝動を遮断して走行車体40を旋回操作し、次の植付作業条の始端側に移動する。このとき、作業者は操縦ハンドル404を把持したまま下方に向かって体重をかけて、走行車体40の機体前側を圃場面から上方に離間させることで、旋回走行を行いやすくする。
前記走行輪44の車軸よりも機体前側には、苗箱を積載する予備苗枠50、作業座席46、エンジン41、ミッションケース39等の重量物が配置されており、走行車体40の前側を上方に浮き上がらせる際には、上記の部材、ならびに他の構成部材の重量に抗する力を加える必要がある。
このとき、足を使って体重をかけることができれば作業に要する力を容易に捻出できるが、走行車体40の後部には足を掛ける部分が無く、作業者は腕力や背筋力等の上半身の力を主として作業する必要がある。
旋回作業時に足を介して体重を加えるべく、図12から図14に示すとおり、左右の操縦ハンドル404の前側端部を連結し、且つ機体左右方向に伸びる連結フレーム410から下方に向けてステップフレーム411を左右各々配置し、該左右のステップフレーム411,411の左右間に、作業者が旋回時や移動時に必要に応じて足を載せる後部補助ステップ412を設ける。
なお、前記左右のステップフレーム411,411は、走行車体40が斜度0度の地面にある際に地面と略垂直姿勢、乃至機体後側に僅かに傾斜させた姿勢で配置し、機体後方に左右のステップフレーム411,411が突出しない構成とする。
また、前記後部補助ステップ412は、左右のステップフレーム411,411の下端部を繋ぐ構成以外に、下端部の近傍を繋ぐ構成としてもよい。あるいは、下端部の近傍よりも機体上方で、且つ操縦パネル47a等に作業者の足が接触しない、あるいは作業者が無理に足を上げることなく後部補助ステップ412に足を届かせることが可能な上下位置で繋ぐ構成としてもよい。
さらに言えば、後部補助ステップ412を上下方向に所定間隔を空けて複数個所で左右のステップフレーム411,411を連結し、作業者が自身の体格に合わせて足を届かせやすい後部補助ステップ412…を選択しやすく、且つ強度を高めて破損しにくい構成としてもよい。
前記後部補助ステップ412は、作業者が体重をかけて踏み込むことが前提であるので、後部補助ステップ412だけでなく、左右のステップフレーム411,411も負荷に強い構造とする必要がある。この強度を確保すべく、図 に示すとおり、後部補助ステップ412の取付位置とは異なる位置に左右のステップフレーム411,411を連結するステップ補強フレーム413を設けると共に、該ステップ補強フレーム413と前記ベースプレート400の後部、より具体的には前記フレームステー401の前後間に補強ロッド414を設ける構成とするとよい。
なお、前記フレームステー401に補強ロッド414の取付スペースが足りない場合は、ハンドルフレーム402を回避する凹部を形成すると共に補強ロッド414の機体前端側の取付位置を形成した延設ステー401aを設けるものとする。
前記後部補助ステップ412は、旋回操作を行う位置や作業者の体格等の条件次第で、上下位置だけでなく前後位置が変化可能であると、作業者自身がより踏みやすい姿勢で踏むことができ、より軽い力で走行車体40の前側を浮き上がらせることが可能になる。
図16に示すとおり、前記補強ロッド414を前後に分割し、前側補強ロッド414aと後側補強ロッド414bのどちらか一方に他方を差し込み前後方向に摺動可能な構成とすると共に、前記左右のステップフレーム411,411を操縦ハンドル404に前後回動可能に装着し、補強ロッド414の前後長さを変更して左右のステップフレーム411,411の傾斜角度を変更ことにより、前記後部補助ステップ412の前後位置を変更可能に構成する。
なお、前側補強ロッド414aと後側補強ロッド414bは、ボルト等の締結部材で長さを固定可能に構成するとよいが、油圧シリンダ等を用いて、作業者が伸縮操作したときのみ長さが変更される構成としてもよい。
これにより、作業者は旋回走行を開始する際により軽い力で走行車体40の機体前側を浮き上がらせることができるので、旋回走行時に前輪45等が圃場面に接触して旋回走行を妨げ、作業能率を低下させることや、圃場面を荒らすことが防止される。
左右のステップフレーム411,411の左右間にステップ補強フレーム413を設ける構成では、ステップ補強フレーム413が後部補助ステップ412の取付位置の一か所を占有する構成であるので、後部補助ステップ412の上下高さの選択肢が減ることになる。したがって、ステップ補強フレーム413の上部を平坦に構成し、後部補助ステップ412を上部に配置可能に構成してもよい。
あるいは、前記ステップ補強フレーム413の取付位置を最上位とし、後部補助ステップ412はステップ補強フレーム413よりも機体下側にのみ配置するものとする。このとき、後部補助ステップ412の取付可能な範囲を上下方向に十分確保すべく、図14に示すとおり、後部補助ステップ412の左右両側に延長ステップフレーム416,416を機体上側に向けて装着し、該延長ステップフレーム416,416には一または複数の取付孔(図示省略)を形成する。また、左右のステップフレーム411,411のうち、ステップ補強フレーム413の取付位置よりも機体下側に複数の調節孔417…を各々形成し、任意の上下位置の調節孔417…と延長ステップフレーム416,416の取付孔にボルト等の締結部材418を設ける構成とする。
あるいは、前記調節孔417…と取付孔には取付ピンを差し込み、割りピンにより取付ピンを固定する構成としてもよい。この構成では、作業者は割りピンを手で抜き差しすることができるので、レンチ等の工具を持っていなくても後部補助ステップ412の上下位置を調節することが可能になる。
なお、図15に示すとおり、上下方向に複数形成される前記調節孔417…と取付孔を各々連通させて長孔とし、前記締結部材を緩めると延長ステップフレーム416,416が上下方向に移動可能になると共に、締めると延長ステップフレーム416,416の上下移動が規制されて後部補助ステップ412の上下位置が固定される構成としてもよい。
図14から図16では、前記左右の延長ステップフレーム416,416は左右のステップフレーム411,411に機体外側から接触しているが、左右のステップフレーム411,411に機体内側から接触する構成としてもよい。
上記後部補助ステップ412は、作業者が踏み込みやすい上下位置に調節して用いるものであるが、上下位置によっては植付作業を行う際に畝に接触するので、旋回終了後に後部補助ステップ412を畝面よりも高い位置に移動させる必要があり、作業能率を低下させることになる。
これを防止すべく、図17に示すとおり、左右の延長ステップフレーム416,416を左右のステップフレーム411,411に沿って上下方向に移動可能に設け、左右の延長ステップフレーム416,416のどちらか一方、あるいは両方にステップケーブル416aの一側端部を連結する。そして、回動することにより走行車体40の車高を変更させる前記走行伝動ケース38の機体前側上部に設けるアーム13の後部側に、ステップケーブル416aの他側端部を連結する。
なお、走行伝動ケース38を下方回動、即ち走行車体40の車高が高くなる方向に回動させたときは、ステップケーブル416aが緩んで後部補助ステップ412が踏み込みやすい上下高さに下降し、走行伝動ケース38を上方回動、即ち走行車体40の車高が低くなる方向に回動させたときは、ステップケーブル416aが引っ張られて後部補助ステップ412が畝面に接触しない上下高さに上昇する構成とする。
上記構成により、走行車体40の車高を旋回走行時の高さにすると自動的に後部補助ステップ412が踏み込みやすい高さに移動し、植付作業を行う高さにすると自動的に補助ステップ412が畝面に接しない高さに移動するので、旋回走行の前後で後部補助ステップ412の上下高さを変更する作業に要する時間と労力の軽減が図られる。
あるいは、図18に示すとおり、左右の延長ステップフレーム416,416を左右のステップフレーム411,411に上下回動可能に装着し、左右の延長ステップフレーム416,416の機体前側上部には、所定の回動量で左右のステップフレーム411,411に接触してそれ以上の回動を規制する回動規制ピン418,418を各々設ける。あるいは、一本の回動規制ピン418を左右の延長ステップフレーム416,416に亘って設けてもよい。そして、左右のステップフレーム411,411の機体後部側に亘ってロックバネ419,419を各々設け、左右の延長ステップフレーム416,416の上下回動量が支点越えをする回動量になることで、後部補助ステップ412が旋回時用の踏み込み位置と、畝面よりも上方に位置する収納位置のどちらかに切り替わる構成とする。
上記構成により、工具を用いることなく後部補助ステップ412を踏み込み位置と収納位置に切り替えることができる。特に、ロックバネ419,419の張力により、踏み込み位置と収納位置の間となる位置で回動が止まらないので、植付作業中に左右の延長ステップフレーム416,416が下方回動して後部補助ステップ412が畝面に接触して荒らすことや、踏み込もうとしたときに上方に回動して再度踏み込み位置に移動させる作業が発生することが防止される。
なお、収納位置から踏み込み位置への回動は、作業者が後部補助ステップ412を踏んで行うことができるので、手で後部補助ステップ412に触れる必要が無く、作業者の手が土等で汚れることが防止されると共に、操作時にしゃがむ必要が無く、作業者の労力が軽減される。
前記ミッションケース39の機体前側で且つ左右両側には、正面断面視でコの字形状のバンパー支持フレーム108を機体前側に突出させて設ける。そして、該左右のバンパー支持フレーム108の前方には、機体前側に突出するバンパー109を設ける。
なお、図6から図8に示すとおり、バンパー109は、板体の機体前側と左右両側を下方に折り曲げたバンパープレート109aと、該バンパープレート109aの上面に着脱可能なフロントウエイト109bと、バンパープレート109aから左右方向に延びるバンパーロッド109cで構成している。該フロントウエイト109bは、鉄等の比較的重量があり且つ硬度の高い素材の塊で構成し、バンパープレート109aよりも機体前側に突出する形状とする。
これにより、重量と硬度を有する塊であるフロントウエイト109bが最も機体前方に突出するので、障害物に接触したときにバンパープレート109aまで損傷が及ぶことを防止できる。
前記左右のバンパー支持フレーム108の機体前側で、且つ機体下部側には機体下側が開口部となる凹部(図示省略)を形成し、これらの凹部に、機体左右方向を長手方向とする前部梁フレーム110を差し込んで固定する。
該前部梁フレーム110を設けることにより、左右のバンパー支持フレーム108とミッションケース39とで機体前側にも四角形にフレームが組み上げられるので、機体前側の強度が向上する。特に、バンパー109が障害物に接触した際、前部梁フレーム110に左右のバンパー支持フレーム108を差し込んで固定しているので、左右のバンパー支持フレーム108の後部側に破損や衝撃が伝播しにくくなる。
また、ミッションケース39を機体に組み付ける際、左右のバンパー支持フレーム108の凹部を前部梁フレーム110に差し込んでから左右方向に移動させることにより、ミッションケース39の前後位置を固定したうえで左右位置を調節できるので、ミッションケース39の取付位置のずれにより組立作業が滞ることが防止される。
なお、前記ミッションケース39の前側で且つ左右一側に前記エンジン41の後部を積載し、エンジン41の前部は、前部梁フレーム110の左右中央部付近に配置するエンジンマウントに積載する構成とするが、エンジン41が配置される側のバンパー支持フレーム108とエンジン41は、上下方向に間隔を空けて配置する構成とする。即ち、バンパー支持フレーム108は、エンジン41を下方から受ける部材ではない。
上記構成により、バンパー109が障害物に接触したときの衝撃が、バンパー支持フレーム108からエンジン41に伝播することを防止できるので、エンジン41が破損することや、衝撃により作動不良を起こすことを防止できる。
また、バンパー支持フレーム108が衝撃で変形しても、エンジン41の積載状態に影響を及ぼしにくい構成となり、バンパー109が破損してもエンジン41の動力で作業や移動を行うことができる。
そして、前記バンパープレート109aの左右両側には、バンパーロッド109cを装着する左右方向の凹部を有するステップ支持プレート111を各々装着する。該左右のステップ支持プレート111は、前記前部梁フレーム110の機体後側で且つ左右両側に各々設ける補強アーム112を介して支持する構成とする。
該左右のステップ支持プレート111の上面は平坦であり、走行車体40の機体左右一側、即ち機体左側においては、作業者が機体前側から乗り降りする際に足を乗せる前側搭乗ステップ113の機体前側部分を装着する。一方、機体左右他側、即ち機体右側には、植付ホッパ20a,20bが植え付ける苗同士の前後間隔、所謂株間を設定する、株間主変速レバー801と株間副変速レバー802、及び主変速レバー150が植付速に操作されているときに、第1植付速または第2植付速を選択する植付変速レバー803を支持する、株間切替カバー114を形成する。
該前側搭乗ステップ113は、機体前側で且つ上下方向下側に位置する下部足載せ部113aと、下部足載せ部113aよりも機体後側で且つ上下方向上側に位置する上側足載せ部113bと、下部足載せ部113aと上側足載せ部113bの上下間に位置し、機体外側方向に向かって捻れて傾斜する中間傾斜部113cで構成される。下部足載せ部113aの表面には、滑り止め突起113dを複数形成するものとし、中間傾斜部113cは、乗り降りの際に作業者が足を心理的に乗せにくい傾斜角度で、且つ下部足載せ部113aと上側足載せ部113bの間で移動するときに跨いで通過される前後長さとする。
一方、該株間切替カバー114は、機体前側で且つ上下方向下側に位置する下側台部114aと、下側台部114aよりも機体後側で且つ上下方向上側に位置する上側台部114bと、下側台部114aと上側台部114bの上下間に位置し、機体外側方向に向かって捻れて傾斜すると共に、株間主変速レバー801と株間副変速レバー802、及び主変速レバー150が各々移動する移動溝を形成したレバー装着部114cで構成される。
なお、前記前側搭乗ステップ113と株間切替カバー114は左右対称な形状であり、機体左右一側に設けるものを株間切替カバー114とし、機体左右他側に設けるものを前側搭乗ステップ113としてもよい。
そして、前記上側足載せ部113b及び上側台部114bの機体後側には、機体側方から作業者が乗り降りすると共に、作業時の足場となる側部ステップ118を各々設ける。該側部ステップ118は、枠内に縦横に板体を配置して複数の空間部を形成しており、作業者の靴底に付着した土を下方に落下させる構成とする。また、前記左右の側部ステップ118の左右間には、搭乗する作業者の足場となる中央ステップ119を着脱可能に設ける。
以上により、フロアステップ122が構成される。
前側搭乗ステップ113、株間切替カバー114、左右の側部ステップ118及び中央ステップ119の取付は、各々独立して行う、即ち、一つの取付部材(ボルト等)で共締めしないものとする。これにより、部分的なメンテナンス作業時に各ステップ構成体を取り外す際、別のステップ構成体を取り外す必要が無く、メンテナンス作業の能率が向上する。
前記前側搭乗ステップ113の前側下部には、前側搭乗ステップ113への乗り降りの際に作業者が足を乗せる、乗降補助機構170を装着する。該乗降補助機構170は、機体外側に位置する、側面視でL字形状であり、屈曲部分より機体下側に機体前方に突出する第1突出部171aを有する外側支持アーム171と、機体内側に位置する、正面視でL字形状であり、屈曲部分より機体下側に機体外側に突出する第2突出部172aを有する内側支持アーム172と、第1突出部171aと第2突出部172aに亘って設ける乗降補助ステップ173で構成する。
前記外側支持アーム171は、ステップ支持プレート111と共に、共締めボルト174…で共締めして走行車体40に装着する。また、前記内側支持アーム172は、バンパープレート109aと共に、共締めボルト174…で共締めして走行車体40に装着する。
これにより、共締めボルト174…で複数の部材を締め込む構成となるので、走行車体40の機体前側付近の強度の向上が図られ、作業者の乗り降りの際に係る荷重による耐久性の低下が軽減される。
また、乗降補助ステップ173を設けたことにより、畝の高さ等に合わせて走行車体40の車高を高くしていても、作業者は乗降補助ステップ173に足を乗せ、前側搭乗ステップ113の下側足載せ部113aに足を段階的に載せて乗り込むと共に、逆の動作により降りることができるので、乗り降りの際に足を高く上げる必要や、多少なりとも飛び降りる必要が無く、作業者の身体への負担が軽減される。
そして、乗降補助ステップ173を、第1突出部171aと第2突出部172aに亘って設けたことにより、乗降補助ステップ173の左右幅内に外側支持アーム171と内側支持アーム172が位置しないので、作業者の足が外側支持アーム171と内側支持アーム172に接触することが防止される。
一方、走行車体40の車高を下降させたときや植付作業中は、前記乗降補助機構170は不要になるだけでなく、車高によっては畝面や畝の法面に接触して畝を崩し、苗の植付精度を低下させるおそれがある。
これを防止すべく、外側支持アーム171と内側支持アーム172の基部をダブルナット(図示省略)で装着し、共締めボルト174…を回動支点として外側支持アーム171と内側支持アーム172を回動可能に装着して、乗降補助機構170を上下回動可能に構成するとよい。
上記構成により、不要な時には乗降補助機構170を畝面から離間する上方に回動・BR>ウせることができるので、乗降補助機構170が畝を崩すことが防止され、苗の植付精度が維持される。
図1から図8に示すとおり、前記株間切替カバー114の下部には、自重により下方回動して畝面に接触し、走行車体40が畝の端に到達して接地しなくなるとさらに下方回動し、圃場端に到達したことを作業者に知らせる報知装置181を作動させる、畝端センサ182を支持する、畝端センサステー182aを設ける。該報知装置181は、走行車体40の各部に装着するブザーやランプ、あるいは、作業者の情報端末(タブレット、スマートフォン等)に通知する通信装置とする。
該畝端センサ182は、センサアーム183を回動可能に設け、該センサアーム183の下部に畝面接地ローラ184を回転可能に装着し、センサアーム183を下方に付勢する接地付勢スプリング185を設けると共に、センサアーム183の基部には、所定角度以上になると入(あるいは切)になる畝端検知スイッチ186を設けて構成する。該接地付勢スプリング185は、長孔に沿って角度調節可能な検知調節プレート187に上端部側を装着し、畝高さに合わせて作動する角度を変更可能に構成する。
この畝端センサ182は、苗の植付作業走行の開始時、走行車体40の車高調整により畝面に接地させる。回転自在な畝面接地ローラ184を接地させていることにより、畝面を崩しにくく、且つ微細な凹凸を均すことができ、苗の植付精度の向上が図られる。
そして、走行車体40が前進を続けて畝の端部に到達し、畝面接地ローラ184が畝面に接触しなくなると、接地付勢スプリング185の付勢力と、センサアーム183と畝面接地ローラ184の自重により、センサアーム183が下方回動して、畝端検知スイッチ186が押されない状態となる。畝端検知スイッチ186が押されなくなると、報知装置181に通電されることにより、報知装置181が作動し、作業者に走行車体40の機体前端付近が畝端に到達したことを報知する。
なお、畝端センサ182が畝端を検知した時点では、畝にはまだ数株分の植付スペースが残っているので、作業者は機体を即座に停止させるのではなく、残りの植付スペースに植え付けられる数の苗を苗供給装置43に投入しつつ、停止操作を準備する。
これにより、作業者は背後を振り返ることなく畝端への接近を知ることができるので、苗を畝上に植え付け終えるタイミングで機体を停止させることができ、余分な走行による燃料の消費や、次の作業条への移動距離が長くなることが防止される。
また、畝端が近付いた際、苗供給装置43に投入する苗の数を調整できるので、植付作業走行の停止操作が遅れて植付ホッパ20a,20bが植付動作を行っても、畝でない箇所に苗が放出されることが防止される。
なお、図4、図6及び図7に示すとおり、前記センサアーム183を左右一対のセンサアーム183a,183aとし、畝面接地ローラ184を左右の畝面接地ローラ184a,184aを各々回転可能に装着し、左右の畝端検知スイッチ186,186を各々設ける構成としてもよい。
これにより、左右のセンサアーム183,183のどちらか一方が下方回動して対応する畝端検知スイッチ186,186の一方が押されない状態になると、報知装置181が作動することにより、畝端が風雨により崩れて形状が乱れていても畝端が検知されやすく、作業者による植付作業走行停止操作がタイミングよく行える。
また、走行車体40の機体前側の左右両側で、且つ走行輪44よりも機体前側には、前部梁フレーム110の下部側に設けられて機体左右方向に突出する横フレーム16を介して、転動自在に支持した前輪45を設ける。
そして、前記走行伝動ケース38の前部の回動軸心位置には、ミッションケース39から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース39内の走行部系変速伝動部を経た走行用の動力が走行伝動ケース38内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は走行伝動ケース38内の伝動機構を介して、走行伝動ケース38の伝動車軸に伝動し、走行輪44が駆動回転する構成としている。
また、前記走行伝動ケース38には、走行伝動ケース38の前部側を回動支点として走行輪44を上下させる、上下回動する駆動手段が連結している。具体的には、走行伝動ケース38のミッションケース39への取付部には、上方に延びるアーム13が一体的に取り付けられており、アーム13がミッションケース39に固定された昇降用油圧シリンダ300のピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、連結ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に対応して伸縮作動可能な左右制御用油圧シリンダで連結している。
昇降用油圧シリンダ300が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右のアーム13は後方に回動し、これに伴い走行伝動ケース38が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ300のピストンロッドが機体前方に移動してシリンダ内に引っ込むと、左右のアーム13は前方に回動し、これに伴い走行伝動ケース38が上方に回動して、機体が下降する。
この昇降用油圧シリンダ300は、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動に伴って動作する畝面センサ14によって作動する。畝面センサ14の動作は機体の位置を基準とした畝上面高さを検出する動作となり、その畝面センサ14の検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対応して設定高さになる構成で昇降用油圧シリンダ300が作動する構成としている。
また、左右水平制御用油圧シリンダが伸縮作動すると、その左右水平制御用油圧シリンダと連結する左側のアーム13が回動して、左側の走行輪44のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダは、左右水平を基準として機体の左右傾斜を検出するセンサの検出結果に基づいて作動して、機体を左右水平にする構成としている。
図1、図2及び図5に示すとおり、前記横フレーム16は、前部梁フレーム110に前後方向の軸中心にローリング回動可能に装着されており、該横フレーム16の左右両側部には、上下に長い縦フレーム17を装着する。そして、左右前輪45は、縦フレーム17の下端部側方に固着した前輪車軸18に回転自在に取り付けられている。従って、左右前輪45は、機体の左右中央の前後方向の軸心回りにローリング回動自在となっている。また、横フレーム16の左右両側部を基準として、縦フレーム17が上下調節可能に設けられており、前輪45の高さ調節をすることが出来る構成としている。
前記操縦ハンドル404は、機体後部に設けられており、走行輪44の伝動車軸より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース39に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けられている。
機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。
操縦ハンドル404は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル404のグリップ部としている。
なお、図2では、グリップ部を左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル404の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
植付装置42は、先端が下方に向かう嘴状の複数の植付具と、植付具の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに植付具を上下動させる上下動機構21と、嘴状の植付具の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と植付具の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能とする開状態とに植付具を開閉する開閉機構とを備える。
図1から図5に示すとおり、本実施の形態の植付装置42は、第1植付ホッパ20aと第2植付ホッパ20bを左右に並べて配備した、二条植の構成としている。これらの第1植付ホッパ20a及び第2植付ホッパ20bは、ミッションケース39から伝動される伝動ケース26の左右両側部に設けられた上下動機構21に各々装着されている。
各苗収容体22は、上下に開口する筒状体と、その筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋とを有し、互いにループ状に連結している。
移動機構23は、連結した各苗収容体22が左右の植付ホッパ20a,20bの上方近傍を通過する状態で、機体平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で、連結した苗収容体22を左回りに周回動させる。
苗落下機構は、苗収容体22の底蓋を、その苗収容体22に対応する、植付ホッパ20a,20bの上方位置で開放する。
本実施の形態では、苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、その円筒外周部に外側から回動自在に接続する係合部(丸孔)を設けて、2つの苗収容体22を連結する連結体を複数形成した。そして、その連結体の係合部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に接続し、その円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として、複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。すなわち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンの如く連結した構成である。
これにより、苗収容体22は、直線的に移動する直線状部分28でも円弧状に移動する円弧状部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から左右の植付ホッパ20a,20bに苗を供給する個所で、苗収容体22の左右の植付ホッパ20a,20bを基準とした位置ズレが生じ難くなり、苗供給が適正に行われて適確な苗の植え付けが出来る。
苗供給装置43の移動機構23は、無端チェーンの如く互いに連結する苗収容体22を、左右に設けたスプロケットの外周の円弧状切欠部に巻き掛け、この左右のスプロケットを伝動ケース26内から取り出した動力で駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分28と、スプロケットにより直線状部分28から前側または後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の走行輪44より機体内側に配置されている。
前記苗供給装置43の苗収容体22は、直線状部分28では比較的安定して所定方向に移動するが、左右両側部の円弧状部分29では、苗収容体22同士の間隔が狭まったり広くなったりして、苗供給装置43の駆動に負荷を与えて破損させたり、苗の落下供給タイミングが不安定になったりするおそれがある。これを防止すべく、複数の苗収容体22の内周縁部で、且つ苗供給装置43の左右両外側部には、駆動回転するスターホイル240,240を各々設けており、該スターホイル240,240の外周縁部には等間隔に突起部が形成されている。これらの突起部を苗収容体22の間隔部に入り込ませることで、苗供給装置43の左右両側の円弧状部分29を通過するときの各苗収容体22の位置を各々保つことにより、過負荷の発生や、苗の落下供給タイミングのズレの発生を防止している。
作業者は、作業座席46に着座、あるいはフロアステップ122上に立って苗供給装置43に苗の供給作業を行うが、補充用の苗が無くなったときや何らかの問題、例えば苗の植付姿勢が連続して異常、苗が植え付けられない等、が生じたときは、走行車体40の走行の停止や、植付ホッパ20a,20bの駆動を止める必要がある。また、作業者のペースよりも走行速度や植付ホッパ20a,20bの昇降ペースが速いときは、エンジン41の出力を低下させ、作業を行いやすい速度に変化させる必要がある。
上記の操作を、図4及び図5に示すとおり、作業座席46に着座したまま、あるいはフロアステップ122上から降りることなく行うべく、前記苗供給装置43の機体前側で、且つ左右一側端部、即ち、作業座席46に着座した作業者の右手側には、エンジン41の始動の可否を切り替えると共に停止操作を行う第2エンジンスイッチ408を設けると共に、該第2エンジンスイッチ408よりも機体内側(機体左右他側)寄りとなる位置には、エンジン41の出力を増減操作する第2スロットルレバー409を機体左右方向に回動操作可能に設ける。
なお、前記第2エンジンスイッチ408は、第1エンジンスイッチ407と同じ操作方法であるが、エンジン41は、これら第1エンジンスイッチ407と第2エンジンスイッチ408の両方が入位置に操作されていなければ始動しないものとする。
これにより、移動時等作業者が機体の後方で操縦ハンドル404を握って操縦するときは第1エンジンスイッチ407で停止操作ができると共に、苗の植付作業時等走行車体40に搭乗しているときは第2エンジンスイッチ408を切操作してエンジン41を停止させることができるので、搭乗中に走行車体40から降りて第1エンジンスイッチ407を切操作しに行く必要が無く、植付あるいは機体に問題を生じさせる動作を中断することができる。
また、第2スロットルレバー409を走行車体40上から操作できるので、エンジン41の出力を増減操作する際に走行車体40を乗り降りする必要が無く、作業能率や作業精度が向上する。
また、左右の植付ホッパ20a,20bは、伝動車軸の位置よりも後側に配置している。
苗供給装置43は、左右の植付ホッパ20a,20bに合わせて苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
植付ホッパ20a,20bは、それぞれ第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bで、苗収容体22から苗が落下供給される。
そして、左右の植付ホッパ20a,20bに対応して落下供給する苗を収容する苗収容体22を各別に設けており、苗収容体22が対応する左右の植付ホッパ20a,20bの上方にきたときのみ底蓋が開き、対応しない左右の植付ホッパ20a,20bの上方では底蓋が開かない構成としている。
すなわち、植付ホッパ20aに対応する苗収容体22は第1落下供給位置31aにきたときのみ、植付ホッパ20bに対応する苗収容体22は第2落下供給位置31bにきたときのみ、それぞれの底蓋が開いて対応する植付ホッパ20a,20bに苗が供給される構成となっている。
なお、第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bは、左右の植付ホッパ20a,20bの条間を調節した際、対応する位置に移動可能な構成とする。
移動機構23の作動周期は、上下動機構21の作動周期に同期する設定にされており、左右の植付ホッパ20a,20bに対応する苗収容体22を合わせて1つの苗収容体ユニットとして、その苗収容体ユニットを複数連結した構成とすることにより、苗収容体22が左右の落下供給位置31a、31bを直列的に通過しながら、左右の植付ホッパ20a,20bに対応して苗供給漏れが生じることなく苗を供給でき、且つ左右の落下供給位置31a、31bを通過した後に苗が供給されなかった苗収容体22が生じなくすべく、余すことなく左右の植付ホッパ20a,20bに対応して苗を供給出来る構成としている。
本実施の形態の移植機10は、左右の植付ホッパ20a,20bが植え付けた苗に合わせて覆土鎮圧することに利用される覆土鎮圧輪37を左右の植付ホッパ20a,20bの苗植え付け個所の各後方左右両側近傍位置に設けている。該左右の覆土鎮圧輪37は、一本の棒材を平面視J形状に屈曲させて構成した、各々別個に上下回動自在な鎮圧アーム370,370と、該左右の鎮圧アーム370,370の後部側に、各々左右一対回転自在に設けられる鎮圧回転体371,371で構成する。
なお、鎮圧アーム370は、機体内側に位置する一側端部が走行車体40の後部側に上下回動自在に装着され、後方に向かって突出する直線部分の後部を上方に屈曲させた後、機体外側に屈曲させ、さらに下方に屈曲させて機体内側の直線部分と同じ上下位置で機体前側に屈曲させている。そして、左右の鎮圧回転体371,371のうち、機体外側の鎮圧回転体371は機体前側に屈曲する機体外側の直線部分に設けられ、機体内側の鎮圧回転体371は機体内側の直線部分に装着される。
上記構成により、鎮圧アーム370の後部に、機体上方に向かって突出する回避部分372が形成され、左右の鎮圧回転体371,371は左右間隔を空けて配置される。これにより、植付ホッパ20a,20bが植え付けた苗は、左右の鎮圧回転体371,371の左右間隔部を通過しつつ周辺の土を均されると共に、回避部分372の下方を通過するので、覆土鎮圧輪37,37に押し倒され、植付姿勢が乱れることが防止される。
なお、左右の鎮圧アーム370,370は各々機体左右位置を調節可能に装着し、植付ホッパ20a,20bの条間設定に合わせて鎮圧する位置を変更可能に構成する。また、左右の鎮圧回転体371,371についても、各々左右位置を調節可能に構成すると、植付後の苗の周囲の土を確実に固められ、苗が倒伏や低温により生育不良を起こすことが防止される。
図19(b)に示すとおり、従来構成の鎮圧回転体371は、土抜孔373aを複数個所に形成することでスポーク状に構成される鎮圧ホイール373と、鎮圧ホイール373の外周縁部に設けるゴム等で構成する鎮圧タイヤ374で構成している。
上記の土抜孔373aは、鎮圧回転体371の回転により寄ってきた土を逃がし、鎮圧回転体371への土の付着を防止する目的で形成されているが、土の塊が入り込み続けると、むしろ土抜孔373aに付着した土に更に土が張り付いて溜まり、重量の増加によって鎮圧力が不必要に加わり、苗の周囲の土を圧し固め過ぎてしまう問題が生じる。
また、鎮圧ホイール373の外周に別体の鎮圧タイヤ374を設ける構成であるので、部品数が多く、また組み付け工数が増大する問題がある。
上記の問題に対応すべく、図19(a)に示す鎮圧回転体371のように、鎮圧ホイール373と鎮圧タイヤ374を組み合わせた形状、または径が厚みよりも長い円筒形に、合成樹脂材料をブロー成型等を用いて一体成型した、成型鎮圧輪375とする。
この成型鎮圧輪375の左右側面、即ち機体内側及び外側面は、回転軸芯の取付部分となる中心部付近を除いて凹凸の無い平坦なものとし、成型鎮圧輪375の回転や上下揺動により付着した土が落ちやすくする。
さらに、成型鎮圧輪375は、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性の高いフッ素樹脂で形成したり、あるいはフッ素樹脂で表面をコーティングしたりして、付着しようとする土砂が滑り落ちやすい構成とすることが望ましい。
鎮圧回転体371を開口部分の無い成型鎮圧輪375としたことにより、土砂が付着しても蓄積しにくくなるので、付着した土砂の重量により土壌を不要に均し固め過ぎて生育不良を発生させることが防止される。
また、左右側面を平坦にすると共に、素材またはコーティング剤により土砂を付着しにくく、且つ滑り落ちやすくしたことにより、安定した圃場面の鎮圧が可能になり、苗の生育不良の発生が防止される。
また、一体成型していることで、覆土鎮圧輪37の部品数の削減や、軽量化が図られる。
なお、図20に示すとおり、正面視または背面視における成型鎮圧輪375の左右方向中央付近、即ち外周径が最大になる部分には、円周上に亘ってディンプル加工やエンボス加工を施し、細かい凹凸が無数に並ぶ鎮圧接地部376を形成する。
これにより、細かい凹部や凸部が圃場面の土砂と接する頻度が高くなるので、成型鎮圧輪375がスリップして回転せず、苗の植付の際に盛り上がった土砂を均し切れなくなることが防止される。
上記の一体成型による成型鎮圧輪375は、単体で鎮圧回転体371として機能するものであるが、内部が中空であることにより、土砂との接触による摩耗や、尖った石等に接触して孔が空いてしまうと、土砂の鎮圧が行えなくなると共に、土砂が内部に入り込むと、別の場所に土を移動させてしまい、植付深さの不安定化や、栄養分の偏りによる生育不良に繋がるおそれがある。
また、部品交換をする場合にも廃棄物のサイズが大きくなりやすく、廃棄コストの増大に繋がる。
この問題に対応すべく、図21及び図22に示すとおり、鎮圧回転体371を機体左右方向の中央部で二つに分割して左右の分割鎮圧体377a,377bを形成し、これら左右の分割鎮圧体377a,377bを連結させることで、連結鎮圧輪378を構成してもよい。
左右の分割鎮圧体377a,377bの中心部付近には、鎮圧回転軸(図示省略)を案内する、円の中央に向かって傾斜する、所謂擂り鉢状(テーパ形状)の軸案内孔ボス380aを形成し、この軸案内ボス380aの最小径部には鎮圧回転軸ともほぼ同径である軸取付ボス380bを形成する。
そして、軸取付ボス380bの端部には、約90度の範囲に亘る扇状の連結突起380c,380cを、点対称位置に2カ所形成すると共に、軸案内部380aのうち、扇状の連結突起380c,380cと重複しない位置に、連結突起380cよりも長く、且つ端部側を折り返した連結フック380d,380dを、点対称となる位置に形成する。さらに、連結フック380d,380dから円周方向において約90度位相をずらした位置には、フック溝380e,380eを点対称となる位置に各々形成する。
なお、図23に示すとおり、連結フック380d,380dの基部側で、且つ連結フック380dと軸取付ボス380bの外周縁部の間に移動空間部380f,380fを形成し、連結フック380d,380dが揺動しやすい構成とする。図23においては、見やすさを優先して扇状の連結突起380c,380c等を省略している。
これら左右の分割鎮圧体377a,377aは、ある程度の展延性を備える素材で形成するものとし、連結フック380dが相当数の揺動を繰り返さない限り破損しにくくする。
上記構成の左右の分割鎮圧体377a,377bのうち、どちらか一方を他方から円周方向に位相を約90度ずらし、この状態で左右の分割鎮圧体377a,377bを連結すると、双方の扇状の連結突起380c,380c、380c,380が噛み合って円形に並ぶと共に、双方の軸取付ボス380b,380bの端部同士が接近し合うと共に、双方の連結フック380d,380d、380d,380dがフック溝380e,380e、380e,380eに差し込まれて噛み合う状態になる。
この状態では、左右の分割鎮圧体377a,377bは一体で回転することになるので、連結鎮圧輪378は、一つの鎮圧回転体371と同様に圃場面の鎮圧を行うことができる。
上記構成により、作業者は左右の分割鎮圧体377a,377bを工具無しで連結させて連結鎮圧輪378とすることができると共に、連結フック380d,380d、380d,380dを手で押してフック溝380e,380e、380e,380eに入り込んだ状態を解除すると、連結鎮圧輪378を左右の分割鎮圧体377a,377bに分離させることができる。
上述の所謂スナップフィット構造により、メンテナンス時に連結鎮圧輪378の掃除がしやすくなると共に、左右の分割鎮圧体377a,377bのどちらか一方が鎮圧作業に適さない程に破損した際は、問題のある側を破棄して新しい部品に交換すればよく、廃棄物の量を減らすことができる。
また、左右の分割鎮圧体377a,377bは同一形状の部品となるので、金型の数を増やす必要が無く、製造や維持に関するコストが抑制される。
上記構成において、左右の分割鎮圧体377a,377bが接触し合う状態において、双方の軸取付ボス380b,380bの端部同士は、僅かに接触しない長さとし、連結フック380d,380dとフック溝380e,380eは、左右の分割鎮圧体377a,377bの素材が有する展延性により伸び縮みが許容されることにより噛み合う状態になる長さとすることが望ましい。
これにより、左右の分割鎮圧体377a,377bの外周縁部同士が互いに押し付けられ合うので、合わせ目の隙間から砂粒や水が入りにくい構造になると共に、連結フック380d,380dはフック溝380e,380eに噛み合う位置からほぼ動けない、即ち遊びの無い状態となるので、外力が加わることで左右の分割鎮圧体377a,377bが分離し、鎮圧作業ができなくなることが防止される。
なお、図24に示すとおり、左右の分割鎮圧体377a,377bを連結する際、左右間にゴム等の弾性部材で構成されるオーリング381を挟み込み、外周面に露出させる構成としてもよい。
連結鎮圧輪378の接地部に円周方向に亘ってオーリング381を露出させることにより、スリップが生じにくくなり、圃場面を能率的に鎮圧できるので、植え付けた苗が倒れにくくなると共に、苗の根部が外気の影響を受けにくくなる。
また、左右の分割鎮圧体377a,377bの分離を工具無しでも行えることにより、オーリング381の破損時に交換を容易に行うことができるので、作業者の労力が軽減される。
あるいは、図 に示すとおり、左右の分割鎮圧体377a,377bの径が大きくなる部分、即ち接地面付近には、小径部分から最大径部分に向かう放物線状の抵抗突起384…を、所定間隔毎に形成してもよい。
上記構成により、鎮圧される土砂は抵抗突起384…に沿って連結鎮圧輪378のスラスト方向、即ち苗の植付位置側に土砂を寄せながら均すことができるので、苗の根部付近が確実に埋没した状態で圧し固められることで、苗が倒れたり、外気の影響を受けることが防止される。
上記構成の連結鎮圧輪378は、左右の分割鎮圧体377a,377bを組み合わせていることにより、合わせ目には僅かな隙間が生じている。したがって、微細な砂粒や水は接地圧により内部に浸入しやすく、僅かずつではあるものの、内部に蓄積していく可能性がある。
また、双方の扇状の連結突起380c,380c、380c,380が噛み合うことで、左右の分割鎮圧体377a,377bが独立して回転することを規制しているものの、連結突起380c同士に隙間があれば、僅かながら左右で異なる回転をすることが可能になり、鎮圧力にバラつきが生じたり、隙間に入り込んだ砂粒で左右の分割鎮圧体377a,377bの合わせ目部分が研磨され、隙間が大きくなっていく可能性がある。
これを防止すべく、図21に示すとおり、左右の分割鎮圧体377a,377bの外周縁部付近には、例えば45度ごとに滑り止め凹部382と滑り止め凸部383を交互に形成し、連結鎮圧輪378を形成する際には、一方の滑り止め凹部382に他方の滑り止め凸部383が入り込む、所謂ラビリンス構造を設けることが考えられる。
なお、本件では45度の例を示したが、例えば、60度ごとに滑り止め凹部382と滑り止め凸部383を交互に形成してもよい。
上記構成により、左右の分割鎮圧体377a,377bの合わせ目付近の隙間を直線的ではなく、直線と曲線の繋がったものとすることができるので、砂粒や水が浸入しにくく、浸入したものも滑り止め凸部383に内部への移動を妨げられるので、連結鎮圧輪378の内部への土や水の堆積が抑制される。
これにより、分解掃除の頻度を抑えることができると共に、摩耗による隙間の拡大が防止され、砂粒や水の浸入が抑制される。
また、滑り止め凹部382と滑り止め凸部383が噛み合うと共に、所定角度ごとに滑り止め凹部382と滑り止め凸部383が交互に形成されていることにより、左右の分割鎮圧体377a,377bが各々回転しようとしても円周方向への移動が抑制されるので、連結鎮圧輪378を安定して回転させ、圃場面を均すことができる。
鎮圧回転軸の取付部となる部分は、他の部分よりも凹部となるので、土砂が溜まりやすい。したがって、図24、図26に示すとおり、軸キャップ385を左右の分割鎮圧体377a,377bのどちらか一方に設けて、土砂の浸入及び付着を防止する構成とする。
なお、軸キャップ385にも凹部があり、この部分に土砂が溜まることになるが、蓄積する土砂の量は鎮圧作業に影響するほどではないので、作業後に軸キャップ385を洗浄すればよい。また、フッ素樹脂コーティングを施す等、付着した土砂が滑り落ちやすくしておいてもよい。
本件の移植機には、苗供給装置43に苗を補給する作業者が乗車して苗補給作業を行うべく、作業者が座る作業座席46を設けている。具体的には、苗供給装置43の前側となる機体左右中央位置に後向きに作業座席46を配置している。作業座席46に座る作業者は、苗供給装置43の前側部に向って後側向き姿勢で着座して、苗供給装置43の前側部、特に苗収容体22の周回移動経路における前側の直線状部分28に対応して苗補給作業を行う。
また、前記操縦パネル47aの左右他側には、ミッションケース39に内装され、左右の走行伝動ケース38及び伝動ケース26への駆動力の伝動を入切する主クラッチレバー125を設ける。
本発明の移植機において、機体後部の操縦ハンドル404による作業者の操作は、圃場への移動、輸送手段からの積み下ろし、倉庫への収納や、圃場端での旋回のときに行われるものである。一方、苗の植付作業時には、作業者は走行車体40の作業座席46に搭乗しており、操縦ハンドル404の操縦パネル47aでの操作を行うことは困難である。
従って、走行車体40上には、作業座席46に搭乗した作業者用の、車体上操縦部126を設ける。
図4及び図11に示すとおり、前記苗供給装置43の下部には、機体後側に上方傾斜する後部ステップ127を設け、該後部ステップ127の左右どちらか一側、本件では機体右側(作業座席46に着座した作業者を基準とすると左側)の端部に、図4、図5及び図11に示すとおり、車体上操縦部126を設ける。
該車体上操縦部126は、最も機体外側に、走行車体40の車高を調節して植付ホッパ20a,20bの植付深さを調節する第2車高調節レバー128を配置し、該第2車高調節レバー128よりも機体内側に、第2主クラッチレバー129を配置する。
なお、苗の植付作業時は、基本的に車高を固定する必要が無いので、第2車高調節レバー128は「高」ポジションと「低」ポジションのみを有する構成とする。
そして、前記後部ステップ127の外側端部には、第2車高調節レバー128を枠内に収めると共に車高の目安を示す表示目盛りを形成した車高調節レバーガイド130を機体前側に向かう上方傾斜姿勢で設け、該車高調節レバーガイド130の機体内側方には、第2主クラッチレバー129を枠内に収める主クラッチレバーガイド131を機体前側に向かう上方傾斜姿勢で設ける。
なお、第2車高調節レバー128は、第2主クラッチレバー129よりも機体前側への突出量を大きくする。
また、前記第2車高調節レバー128と第2主クラッチレバー129は、機体左右一側(機体右側)の前記取付支持プレート105、及び前後の梁フレーム106f,106rに基部側を回動可能に装着するものとすると、別途取付部材を設ける必要が無く、部品点数の削減が図られる。
さらに、前記車体上操縦部126よりも機体左右他側、即ち機体左側には、左右のサイドクラッチを入切操作するサイドクラッチペダル132L,132Rを、後部ステップ127の上面に露出させて設ける。
前記車高調節レバーガイド130と主クラッチレバーガイド131は、側部ステップ118の上面との間に一定の上下間隔Sを空けて配置するものとする。上記の上下間隔Sは、作業者の足を入り込ませても空間が確保される程度(例:15~20cm程度)とする。
上記構成により、フロアステップ122上、及び作業座席46に搭乗した作業者は、走行車体40から降りることなく植付深さの手動操作や、植付作業の入切を手動操作することができるので、作業能率が向上すると共に、苗の植付精度が向上する。
また、第2主クラッチレバー129を第2車高調節レバー128よりも作業座席46に近付く機体内側に配置したことにより、苗の補充や植付状態の修正、休憩等の際に使用する第2主クラッチレバー129に作業者の手が届きやすく、労力の軽減が図られる。
特に、問題の発生時に速やかに苗の植付作業を中断でき、苗の植え直し作業が不要になると共に、生育に適さず破棄される苗の数が減少する。
また、第2車高調節レバー128を第2主クラッチレバー129よりも機体前側に突出させたことにより、作業座席46から遠い側の第2車高調節レバー128を操作する際に腕を大きく伸ばす必要が無く、作業者の労力が軽減される。
そして、後部ステップ127に左右のサイドクラッチペダル132L,132Rを設けたことにより、走行車体40の進行方向が畝を基準とする直進方向から外れかけているときに前記サイドクラッチペダル132L,132Rのどちらかを操作して対応するサイドクラッチを一時的に切状態とすることで、走行車体40の進路を修正でき、苗の植付位置が左右方向に蛇行することが防止される。
また、車高調節レバーガイド130と主クラッチレバーガイド131、即ち車体上操縦部126と側部ステップ118の上下間に上下間隔Sが形成される構成としたことにより、作業座席46に搭乗する作業者の足の動きが妨げられず、作業者は楽な姿勢で操縦座席46に搭乗でき、労力の軽減が図られる。
作業座席46の左右両側で機体側面視で走行輪44の伝動車軸の上方位置に、苗供給装置43に補給する苗を収容可能な予備苗枠50を設けている。
前記予備苗枠50は、走行車体40の機体外側に突出する苗載支柱51の上部に支持ステー52を設け、該支持ステー52に回動状態と非回動状態を切替可能な苗載回動アーム53を設け、該苗載回動アーム53には上下方向の苗枠フレーム54,54を間隔を開けて配置すると共に、該苗枠フレーム54,54の同じ面に、補充用の苗を収容する苗箱や苗トレイ等の容器を載置する載置台55の一側端部を装着して構成する。
該載置台55は、上下方向に一つだけ設けてもよいが、容器の取り出しに支障の無い上下方向の間隔を空けて複数配置してもよい。
上記構成の予備苗枠50は、走行車体40の左右両側に各々設け、状況に合わせて支持ステー52上で苗載回動アーム53を回動させる。
例えば、苗の植付作業時には、載置台55の長手方向を機体前後方向に向けることで、載置台55から苗の容器を取り出したり、空になった容器を戻しやすくすることで、作業能率を向上させることができる。
また、この位置では載置台55が走行車体40の左右両側に位置するので、作業者が走行車体40の搭乗可能な部分の端部を把握しやすくなり、走行車体40上から足がはみ出し、姿勢を崩すことが防止される。
また、走行車体40に作業者が乗り降りするときには、苗載回動アーム53を約90度回動させる。
これにより、走行車体40の左右両側に乗り降りの空間部が形成される。
また、作業者は走行車体40の機体前側からも乗り降りすることができるが、苗載回動アーム53を回動させて苗枠フレーム54,54が機体前側に位置し、載置台55が機体後側に位置する状態とすると、作業者は苗枠フレーム54,54を手摺りとして用いることができるので、走行車体40の乗り降りを円滑に行うことができる。
また、載置台55に苗の容器を積載、あるいは取り出す際、機体後側からであれば容器の積載、取り出しを妨げる部材が無いので、作業能率が向上する。
前記作業座席46の走行車体40への取付は、正面視または背面視においてコの字形状であり、エンジン41等の上方を覆う機体カバー48を跨ぐ座席フレーム49のうち、機体左右方向となる部分の上部に装着する。該座席フレーム49の上部には、機体前側に向かう左右のシートステー49aの基部が装着されており、作業座席46は左右のシートステー49aの基部側の左右方向の回動支点を中心に、機体前後方向に回動可能に装着される。
これにより、作業座席46を苗供給装置43の機体前側端部付近に接触する姿勢で載置できるので、作業中断時に作業者の着座部分に砂や雨水が付着することを防止できる。
圃場に苗を移植する際、圃場の土質や周辺の水環境、あるいは作業前の天候等の条件を考慮して、植え付けた苗の付近に水を供給する、所謂灌水作業を行うことがある。
本件の移植機には、図1から図4に示すとおり、左右の走行伝動ケース38,38に、水タンク600を積載する水タンクホルダ601を各々設けている。
この水タンク600に貯留された灌水用の水は、走行車体40の底部で、且つ機体前後中央付近に設けられる灌水ポンプ700の動作によって汲み上げられると共に、植付ホッパ20a,20bが苗を植え付ける位置に排出される。該灌水ポンプ700は、植付ホッパ20a,20bの数に合わせて配置し、走行車体40の左右中央部を基準として、間隔を空けて左右に配置する。
前記灌水ポンプ700にホースを装着し、水タンク600から灌水ポンプ700を経由して散水ノズル710から水を排出する構成とすることもできるが、灌水ポンプ700のギアポンプ800の動作により、排出方向に送り出された水の一部が水タンク600側に戻されることがある。これにより、圃場に供給される1回当たりの灌水量が減少し、水不足により苗の生育が遅れたり、生育不良により収穫物の品質を低下させるおそれがある。
これを防止すべく、前記左右の側部ステップ118の機体外側の下部に、送水方向を一方に制限するチェックバルブ720を各々設け、水タンク600とチェックバルブ720の給水側を吸水ホース721で連結すると共に、チェックバルブ720の排水側と排水ノズル710を排水ホース722で連結する。また、チェック
バルブ720と灌水ポンプ700を、中継ホース723で連結する。
より具体的には、図9で示すとおり、まず、機体前側から後側への送水を許容する方向に向けた吸水チェックバルブ724と排水チェックバルブ725を上下に並べて側部ステップ118の機体外側端部の下部に装着する。そして、前記吸水ホース721の一側を水タンク600内に入り込ませ、他側を吸水チェックバルブ724の入口、即ち機体前側と連結し、前記排水ホース722の一側を排水チェックバルブ725の出口、即ち機体後側と連結し、他側を前記排水ノズル710に連結する。
前記灌水ポンプ700には、機体左右方向の第1中継ホース723aの基部側を装着し、端部側には、三又形状の分岐ジョイント723dの収束ポートを装着する。そして、該分岐ジョイント723dの吸水ポートと吸水チェックバルブ724の出口(機体後側)の間には、第2中継ホース723bを設け、分岐ジョイント723dの排水ポートと排水チェックバルブ725の入口(機体前側)の間には、第3中継ホース723cを設ける。
なお、排水ノズル710は、圃場に直接水を供給してもよいが、植付ホッパ20a,20bの上側開口部から内部に灌水をある程度の水勢で投入し、植付ホッパ20a,20b内に付着した泥土の除去に利用する構成としてもよい。
これにより、植付ホッパ20a,20bが開いている間に内部に入り込み、泥土を除去するスクレーパが不要になるので、部品点数の削減が図られる。
上記スクレーパが、植付ホッパ20a,20bの昇降に連動して所定の軌跡を描くものであれば、所定の軌跡で昇降させる機構の部品を削減できるので、部品点数の大幅な削減と、機体構成の簡略化が図られる。
さらに、泥土を灌水で圃場に戻すことができるので、圃場外を泥土で汚染することを防止できると共に、圃場内の養分の流出が軽減される。
上記構成により、チェックバルブ720が機体左右外側の空間部に配置されるので、詰まり等の問題が生じた際に原因の調査やメンテナンス作業が行いやすく、労力の軽減や作業時間の短縮が図られる。
また、吸水チェックバルブ724と排水チェックバルブ725の送水方向が同じになる配置としたことにより、分解後の組付作業時に取付方向を間違えにくくなり、作業能率が向上する。
また、チェックバルブ720が水タンク600の後側で、植付ホッパ20a,20bの前側で、且つ灌水ポンプ700の機体外側に配置されることにより、吸水ホース721、排水ホース722、第1中継ホース723a、第2中継ホース723b及び第3中継ホース723cの屈曲を最低限に抑え、且つ重複しにくい配置とすることができる。
なお、吸水チェックバルブ724と排水チェックバルブ725は透明な筒とし、内部のスプリングや逆流防止用のボールを外部から確認できるものとすると、送水方向が視認でき、取付間違いがより生じにくくなる。
上記の灌水作業には、多くの水が必要になるが、大量の水は運ぶ際に労力がかかると共に、水道から浄水を汲むと水道代が発生するので、圃場近くの水路や川に水タンク600を沈め、水を調達することも多々ある。
こうした水は水道水と異なり浄水処理がされていないので、圃場を汚染し得る菌やウィルス、あるいは化学物質を含有しているおそれがある。また、水と共に砂粒や小石が入り込むので、灌水ポンプ700により吸い上げる水に砂粒や小石が混じると、チェックバルブ720や灌水ポンプ700で詰まりを起こし、灌水作業を停止させるおそれがある。
用水路や川から汲んだ水であっても、比較的安全且つ灌水経路が破損することを防止すべく、図27に示すとおり、水タンク600から吸水チェックバルブ724の間に、上下方向に長い浄水タンク727を配置する。この浄水タンク727は、走行車体40の左右外側寄りに空きスペースを利用して立設するものとする。そして、水タンク600に差し込む送水ホースの端部は、浄水タンク727の上部側の吸水口728から水を引き入れるものとし、灌水ポンプ700の作動時に浄水タンク727から水を引いて吸水チェックバルブ724に移動させる送水ホースを接続する排水口729を、浄水タンク727の上部側に装着する。
なお、水タンク600から水が引き入れられる吸水口728と、吸水チェックバルブ724に水を送り出す排水口729が近くにあると未浄化の水が流入しやすくなるので、機体前側と後側、または右側と左側、と離間した位置とすることが望ましい。また、排水口729は、吸水口728よりも機体下側に配置し、水圧により水を吸い出しやすい構成とする。
そして、浄水タンク727の中央部には、吸水口728及び排水口729よりも機体下側位置を上端とする浄化ピラー730を配置し、上部付近を除いて浄水タンク727を前後に仕切らせる。この浄化ピラー730は、金属または硬質樹脂で構成する目の細かい網板を組み合わせ、あるいは折り曲げて箱状に形成し、内部に竹等を素材とする殺菌力を有する活性炭、砂利、多孔質の小石などを詰め込んだものである。これにより、浄化ピラー730を設けて浄水タンク727を仕切っても、水は浄水タンク727内をある程度自由に移動することができる。
なお、砂利や小石には菌やウィルス、生物の卵が付着している可能性があるので、天日乾燥や煮沸等によりデスロック化させたものを用いることが望ましい。
この浄化ピラー730により、接触した水に含まれる菌やウィルスが殺菌されると共に、化学物質が浄化ピラー730内に留められるので、水の浄化が図られる。
また、浄水タンク727の水に、浄化ピラー730内からミネラル等を供給できるので、苗に供給する水に微量でも養分を含ませることができる。
また、浄化ピラー730の上端部を吸水口728及び排水口729よりも下方に位置させることにより、水に混入している砂粒や小石を浄水タンク727の底部に沈ませることができるので、灌水ポンプ700やチェックバルブ720が砂粒や小石により破損することが防止される。
なお、浄化ピラー730は長期間の使用により浄化能力が弱まると共に、有害物質等が蓄積するおそれがあるので、浄化ピラー730は浄水タンク727の底部727aと共に簡単に取り外すことができる構成とし、内部の活性炭や砂利等を新しいものに交換する、あるいは別の浄化ピラー730に交換する構成とするとよい。
また、浄水タンク727の底部が外れることにより、底に溜まった砂や小石を除去する際、まとめて除去できるので、作業能率が向上する。
浄化ピラー730の上端部よりも下方で、且つ浄化ピラー730の前後、または左右には、浄水タンク727の底部に設ける回転支柱731,731の上部に、水流により遊転する沈殿スクリュー732,732を設ける。この沈殿スクリュー732,732は水の出入りの際等に生じる水流によって回転し、水と共に入り込んだ砂粒や小石を浄水タンク727の下方に移動させる羽根形状とするとよい。
これにより、基本的に沈殿スクリュー732,732は水を下方に引き込む方向に回転するものとなるので、排水口729に向かう水に砂粒や小石が含まれることを防止できる。
排水口729から吸い出される水は吸水チェックバルブ724に向かうが、苗の植付に連動して灌水ポンプ700を作動させる構成では水の出入り動作は高頻度となるので、吸水口728から浄水タンク727に入り込んだ砂粒や小石が沈み切る前に、排水口729から水が吸い出される可能性がある。
これを防止すべく、図28に示すとおり浄水タンク727と吸水チェックバルブ724の間には、浄水タンク727の排水口から吸い出された水を一時貯留するリザーブタンク733を少なくとも1つ設け、灌水ポンプ700が作動した際にリザーブタンク733から水が吸い出される構成とする。
なお、リザーブタンク733への水の進入口734及び排出口735は、リザーブタンク733の上部側に配置し、水の中に残っている砂粒や小石を底に沈ませやすい構成とすることが望ましい。浄化ピラー730を着脱可能に設けてもよいが、この浄化ピラー730は殺菌やミネラル供給が主となるので、リザーブタンク733の上蓋733aに装着して、共に着脱可能とするとよい。
また、水が逆流することを防止しつつ、灌水ポンプ700までの距離が長くなっても十分な量の水を移動させるべく、排水口729と進入口734、あるいは排出口735と別のリザーブタンク733の進入口734を連結する送水管736の内部には、管内径を小さくして送水圧を高めると共に、逆流を防止するオリフィス737を設ける。
これにより、浄水タンク727に入り込んだ直後の水を吸い込みにくくなるので、水タンク600から浄水タンク727に引き込まれた水に含まれる砂粒や小石を沈殿させやすく、また浄化ピラー730により菌やウィルスを除去させることができ、水に含まれた菌やウィルスにより苗が枯れることが防止される。
また、砂粒や小石が灌水ポンプ700やチェックバルブ720に詰まり、破損させることを防止できるので、灌水作業が途切れることが防止される。
但し、灌水ポンプ700の動作により一定量ずつ水を植付装置20a,20bまで移動させるには、リザーブタンク733に十分な水が貯留されている必要がある。しかしながら、水タンク600から浄水タンク727に引き込まれた直後の水には、砂粒や小石、菌やウィルスが混在しており、灌水作業に適さない状態である可能性が高い。
したがって、リザーブタンク733の上蓋733aには注水孔部739を形成し、水道水や蒸留水等の浄化されている水を投入可能とし、水タンク600から浄化タンク727に移動した水が浄化される時間を確保する構成とするとよい。
これにより、灌水用の水を全て水道から取得するよりも、作業にかかるコストを抑えることができる。
なお、苗の植付作業終了後に、リザーブタンク733に残っている水は、砂粒や小石が沈み、菌やウィルスが殺菌された、灌水に適した水であるので、用水路や川に捨てるより、圃場の水分が不足している部分に手作業で供給することが望ましい。
したがって、リザーブタンク733の下部側に排水コック738を設け、必要に応じて排水コック738を開いて浄化された水を汲み出して圃場に適量を供給することにより、生育不良となる苗の発生が抑えられる。
砂粒や小石の浸入を抑えるべく、水タンク600から水を吸い出すホースの端部には、水は通過させ、砂粒や小石は通過できない目の細かい金属メッシュを加工して形成するメッシュフィルタを装着するが、目の細かく中空であるメッシュフィルタは金属製であっても強度が低く、水タンク600内に投入した際、水タンク600の底部などに接触した際に変形することがある。このとき、メッシュの目が他よりも大きな部分が生じると、そこから砂粒や小石が進入してしまい、灌水ポンプ700やチェックバルブ720の破損の原因となる。
これを防止すべく、メッシュフィルタ602の内部には、メッシュフィルタ602の形状を維持する心金スプリング603を設け、ホース側のメッシュフィルタ602の一側端部をクランプ等で固定する。そして、ホースから離間する側のメッシュフィルタ602の他側端部を、プラスチック等樹脂材で構成する防護キャップ604で被覆する。
これにより、水タンク600の底部には防護キャップ604が接触するので、メッシュフィルタ602の形状が変化しにくく、また強い抵抗がかかっても防護キャップ604が外れるだけで済み、メッシュフィルタ602を交換する頻度が低くなる。
また、心金スプリング603をメッシュフィルタ602内に配置したことにより、水中の小石や夾雑物が吸い寄せられてメッシュフィルタ602に接触しても、心金スプリング603がメッシュフィルタ602の大きな変形を制限するので、メッシュの目が大きくなることが防止され、砂粒などの進入が防止される。
図 に示すとおり、防護キャップ604は、メッシュフィルタ602の他側端部から離間する方向に長く形成し、内部の空間部に金属性の錘部材605を設けてもよい。
これにより、水タンク600内にホースを投入した際、メッシュフィルタ602が錘部材605の重量によって底部に沈んでいくので、水タンク600内の水量が減少した際、水の吸出しが安定する。
また、水タンク600の底部に防護キャップ604が接触してもはずれにくくなると共に、作業者が誤って防護キャップ604を踏んでも錘部材605が変形を防止し得るので、防護キャップ604の交換頻度を低くすることができる。
なお、防護キャップ604を樹脂材ではなく金属で構成し、重量を重くする構成としてもよい。このとき、金属製の防護キャップ604の内部に中空部をできるだけ形成しないことにより、強度の向上が図られる。
本発明に係る覆土鎮圧輪を備える移植機は、植え付けた苗の周囲の土を圧し均す際に負荷抵抗がかかっても破損しにくく、また土砂が付着しにくいことで安定して土の圧し均しができるので、産業上の利用可能性が高い。
20a 植付ホッパ(植付装置)
20b 植付ホッパ(植付装置)
37 覆土鎮圧輪
40 走行車体
377a 分割鎮圧体
377b 分割鎮圧体
378 連結鎮圧輪
380a 軸案内ボス(案内筒体)
380b 軸取付ボス(取付円筒)
380c 扇状の連結突起
380d 連結フック
380e フック溝
380f 移動空間部
382 滑り止め凹部(連結凹部)
383 滑り止め凸部(連結凸部)
600 ミスタンク
700 灌水ポンプ(灌水装置)
727 浄水タンク(浄化タンク)
728 吸水口
729 排水口
730 浄化ピラー(浄化体)
731 回転支柱
732 沈殿スクリュー
733 リザーブタンク(貯水タンク)

Claims (7)

  1. 走行車体(40)に、苗を植え付ける植付装置(20a,20b)と、該植付装置(20a,20b)が植え付けた苗の周囲の圃場面を均す覆土鎮圧輪(37)と、植え付けた苗に水を供給する灌水装置(700)を設けた移植機において、
    該覆土鎮圧輪(37)は、左右の分割鎮圧体(377a,377b)を連結して構成する左右の連結鎮圧輪(378,378)で構成し、工具を用いることなく該連結鎮圧輪(378,378)の連結と該左右の分割鎮圧体(377a,377b)への分割が可能な構成としたことを特徴とする移植機。
  2. 前記左右の分割鎮圧体(377a,377b)は円形とし、中心部付近には円の中央に向かうほど小径となる案内筒体(380a,380a)を設け、該案内筒体(380a,380a)の最小径部分に取付円筒(380b,380b)を設け、
    該取付円筒(380b,380b)に扇状の連結突起(380c,380c)を各々点対称位置に形成し、
    前記案内筒体(380a,380a)には、該扇状の連結突起(380c,380c)と重複しない位置で且つ点対称位置に連結フック(380d,380d)を形成すると共に、該連結フック(380d,380d)から円周方向において重複しない位置にフック溝(380e,380e)を形成し、
    前記左右の分割鎮圧体(377a,377b)の扇状の連結突起(380c,380c)同士を接触させると共に、前記左右の分割鎮圧体(377a,377b)同士の連結フック(380d,380d)をフック溝(380e,380e)に接触させると前記連結鎮圧輪(378,378)が構成されることを特徴とする請求項1に記載の移植機。
  3. 前記取付筒体(380b,380b)のうち、連結フック(380d,380d)が外周面に臨む位置には、前記連結フック(380d,380d)の移動を許容する移動空間部(380f,380f)を形成したことを特徴とする請求項2に記載の移植機。
  4. 前記左右の分割鎮圧体(377a,377b)の外周縁部には、所定範囲ごとに連結凹部(382)と連結凸部(383)を交互に形成し、
    前記連結鎮圧輪(378,378)を構成するときは、左右の分割鎮圧体(377a,377b)の該連結凹部(382)に該連結凸部(383)が各々入り込む構成としたことを特徴とする請求項2または3に記載の移植機。
  5. 前記灌水装置(700)により搬送される水を貯留する水タンク(600)を設け、該水タンク(600)と灌水装置(700)の送水経路の間に浄化タンク(727)を設け、
    該水タンク(600)から該浄化タンク(727)に水が入り込む吸水口(728)と、該浄化タンク(727)から灌水装置(700)に水が出ていく排水口(729)は、浄化タンク(727)の機体上部側に設け、
    該吸水口(728)及び排水口(729)よりも機体下側には、水を浄化する浄化体(730)を着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1に記載の移植機。
  6. 前記浄化体(730)の上端部よりも機体下側に回転支柱(731)を設け、該回転支柱(731)に水流により遊転する沈殿スクリュー(732)を設け、
    該沈殿スクリュー(732)は、回転時に下方向きの流れを発生させる羽根形状としたことを特徴とする請求項5に記載の移植機。
  7. 前記浄化タンク(727)と灌水装置(700)の間には、少なくとも一つの貯水タンク(733)を設けることを特徴とする請求項5または6に記載の移植機。
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