JP2020068194A - 位置変更可能な電極を有する解凍装置 - Google Patents

位置変更可能な電極を有する解凍装置 Download PDF

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Abstract

【課題】負荷全体にわたる効率的かつ均一な解凍を生じさせることができる、食品負荷を解凍する装置及び方法を提供する。【解決手段】解凍キャビティ460は、空気キャビティによって分離された第1及び第2の平行平板電極440、472を有する容量性解凍構成を含み、この空気キャビティ内に解凍する負荷を配置することができる。格納構造466内には、第1及び第2の平行平板電極440、472を、解凍キャビティ460の内部のいずれかの側面上に互いに対向させて配置することができる。第1及び第2の平行平板電極440、472とはキャビティ460を挟んで距離452だけ分離され、棚板424が異なる一対の支持構造422上に配置されるべく位置変更される際に、距離452は変化し得る。【選択図】図4

Description

本明細書中に開示する主題の好適例は、一般に、無線周波数(RF:radiofrequency)エネルギーを用いて負荷を解凍する装置及び方法に関するものである。
従来の静電容量型食品解凍(または融解)システムは、加熱区画内に包含される大型の平面電極を含む。食品負荷を電極間に配置して電極を食品負荷に接触させた後に、低電力の電磁エネルギーを電極に供給して食品負荷の緩やかな加温を行う。解凍動作中に食品負荷が融解するに連れて、食品負荷のインピーダンスが変化する。従って、食品負荷への電力伝達も解凍動作中に変化する。解凍動作の継続時間は、例えば食品負荷の重量に基づいて決定することができ、タイマーを用いて動作の停止を制御することができる。
こうしたシステムを用いた良好な解凍結果が可能であるが、食品負荷のサイズの変動は食品負荷の非効率な解凍を生じさせ得る。必要とされるものは、負荷全体にわたる効率的かつ均一な解凍を生じさせることができる、食品負荷(または他の種類の負荷)を解凍する装置及び方法である。
上記主題のより完全な理解は、詳細な説明及び特許請求の範囲を、以下の図面と併せて考慮して参照することによって導き出すことができ、全図を通して、同様の参照番号は同様の要素を参照する。
一実施形態による解凍器の透視図である。 解凍システムの他の実施形態を含む冷蔵庫/冷凍庫の透視図である。 一実施形態による不平衡型解凍装置の簡略化したブロック図である。 他の実施形態による平衡型解凍装置の簡略化したブロック図である。 図5Aは、一実施形態による、位置変更可能な電極を支持する支持構造を含むことができる解凍器の透視図である。図5Bは、一実施形態による、図5Aの解凍器のスライス「A」に沿った正面図である。図5Cは、一実施形態による、図5Aの解凍器のスライス「A」に沿った正面図であり、位置変更可能な電極の例示的な代案の配置を示す。図5Dは、一実施形態による、図5Aの解凍器の内側の側面図であり、解凍器の内部接地端子に電気結合され、解凍器の内壁上に配置された支持構造を示す。図5Eは、一実施形態による、図5Aの解凍器の内側の側面図であり、RF信号発生器に電気結合され、解凍器の内壁上に配置された支持構造を示す。図5Fは、一実施形態による、図5Aの解凍器の内側の側面図であり、解凍器の電気接地されたキャビティに電気結合され、解凍器の内壁上に配置された支持構造を示す。 図6Aは、一実施形態による、位置変更可能な棚板の具体例の側断面図である。図6Bは、他の実施形態による、位置変更可能な棚板の具体例の側断面図である。 一実施形態による、解凍システムを動作させる方法のフローチャートである。
詳細な説明
以下の詳細な説明は事実上の例示に過ぎず、主題または本願の実施形態、及びこうした実施形態の利用法を制限することは意図していない。本明細書中に用いる「好適例」及び「例」は、「1つの例、事例、または例示としての役割を果たす」ことを意味する。好適例または例として本明細書中に記載するあらゆる実現は、他の実現に対して必ずしも好適または有利であるものと解釈するべきでない。さらに、先の技術分野、背景、あるいは以下の詳細な説明中に提示するいずれの明記または暗示された理論によっても束縛されるべき意図は存在しない。
本明細書中に記載する主題の実施形態は、スタンドアロン(独立型)の機器または他のシステムに内蔵することができるソリッドステート(固体、半導体)解凍装置に関するものである。以下により詳細に説明するように、ソリッドステート解凍装置の実施形態は「不平衡(アンバランス)型」解凍装置/システム及び「平衡(バランス)型」装置/システムを共に含む。ここで、不平衡型解凍装置/システムは一般に、RF信号発生器からRF信号を受信する第1電極、及び接地または共通電圧のような静止電圧に接続された第2電極を含むのに対し、平衡型解凍装置/システムは一般に、RF信号源から第1RF信号を受信する第1電極、及びこのRF信号発生器から第2RF信号を受信する第2電極を含み、第1RF信号と第2RF信号とは互いに位相がずれている。
一般に、「解凍する」とは、凍結した負荷(例えば、食品負荷または他の種類の負荷)の温度を、負荷がもはや凍結していない温度(例えば、摂氏0度またはその付近の温度)まで上昇させることを意味する。本明細書中に用いる「解凍する」とは、負荷(例えば、食品負荷または他の種類の負荷)の熱エネルギーまたは温度を、RF電力を負荷に供給することによって増加させるプロセスをより広義に意味する。従って、種々の実施形態では、「解凍動作」は、任意の初期温度(例えば、摂氏0度またはそれ未満の任意の初期温度)を有する負荷に対して実行することができ、解凍動作は、初期温度よりも高い任意の最終温度(例えば、摂氏0度を上回る、あるいは摂氏0度を下回る任意の最終温度)で停止することができる。それはそれとして、本明細書中に記載する「解凍動作」及び「解凍システム」は、その代わりに「熱量増加動作」及び「熱量増加システム」と称することができ、あるいは「加熱動作」及び「加熱システム」と称することができる。「解凍する」とは、本発明の用途を、凍結した負荷の温度を摂氏0度またはその付近の温度まで上昇させることしかできない方法またはシステムに限定するものと解釈するべきでない。
従来の加熱システム(例えば、電子レンジ、オーブントースター、等)は、RF解凍システムを統合すべく改造して、冷凍食品または他の適用可能な負荷用の高速な解凍機能を可能にすることができる。しかし、こうした従来のシステムは一般に、加熱キャビティの床面(即ち、内側下面)と天井(即ち、内側上面)との間に比較的高い(例えば、20〜30センチメートル(cm)の)内側の高さを有する。RF解凍動作中に発生する電界がこうした距離間に延びる必要があるとすれば、解凍効率は一般に低くなり、あるいは一部の場合には解凍が可能でなくなる。従って、電界を集中させるために、導体(例えば、金属または部分的に金属の)プレートをキャビティ内に(例えば、キャビティの内側下面と内側上面との間の位置に)挿入することができる。本明細書中では「位置変更可能な電極」と称するこうした導体プレートの存在は、キャビティを上部空間と下部空間とに分割することができ、電極へのRFエネルギーの供給によって生成される電界は上部空間及び下部空間の一方に集中する。例えば、上部電極がキャビティの天井内に、あるいは天井に配置された実施形態については、位置変更可能な電極がキャビティ内に挿入されてRFエネルギーが上部電極に供給されると、結果的な電界はキャビティの上部空間内の、上部電極と位置変更可能な電極との間に集中する。このようにして、(上部空間内で)位置変更可能な電極の上方に配置された負荷の解凍は、位置変更可能な電極の存在なしにキャビティの床面上に配置された負荷の解凍よりも効率的になる。なお、本明細書中に記載する種々の実施形態では、キャビティ内に挿入される電極は、電気的フローティング(浮遊)状態にすることができ、電気(的に)接地することができ、あるいはRF信号源に結合して「平衡型」解凍システムの第2電極として機能することができる。それに加えて、複数組の支持構造(例えば、レール)を異なる高さに設けて、これらの支持構造上に位置変更可能な電極を配置することができ、解凍システムは異なるサイズの負荷を収容するように構成することができ、フレキシビリティの増加を可能にする。
図1は、一実施形態による解凍システム100の透視図である。解凍システム100は、解凍キャビティ110(例えば、キャビティ360、460、560(図3〜5))、制御パネル120、1つ以上の無線周波数(RF)信号源(例えば、RF信号源320、420(図3、4))、電源(例えば、電源326、426(図3、4))、第1電極170(例えば、電極340、440、540(図3、4、5))、第2電極172(例えば、電極372、472、504(図3、4、5))、システム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312、412(図3、4))、支持構造122、及び位置変更可能な棚板124を含み、棚板124は第2電極172を含むことができ、第2電極172は、電気接地され、または電気的フローティング状態であり、あるいは(例えば、RF信号源320、420(図3、4)から)RF信号を受信する。一部の実施形態では、第2電極172は位置変更可能な棚板124内に埋め込まれた導電性(例えば、金属)材料とすることができるのに対し、他の実施形態では、位置変更可能な棚板124の全体を導電性にして、位置変更可能な棚板124の全体が第2電極172を構成することができる。解凍キャビティ110は、上部、下部、側部、及び後部のキャビティ壁111、112、113、114、115の内面、及びドア116の内面によって規定される。ドア116が閉じていれば、解凍キャビティ110は密閉された空気キャビティを規定する。本明細書中に用いる「空気キャビティ」とは、空気または他の気体を包含する密閉領域(例えば、解凍キャビティ110)を意味し得る。位置変更可能な棚板124は、対向する一対の支持構造122によって支持することができる。支持構造122は、例えば壁173及び174に取り付けたレールとすることができ、あるいは壁173及び174の凹部とすることができる。
「不平衡型」の実施形態によれば、第1電極170がキャビティ壁(例えば、上部壁111)に近接して配置され、第1電極170は残りのキャビティ壁(例えば、壁112〜115及びドア116)から電気絶縁され、残りのキャビティ壁は接地されている。電極172は、接地されたキャビティ壁(例えば、壁122〜125)への電気接続体を介して(例えば、支持構造122を通して)電気接地することができる。こうした構成では、システムはコンデンサとして単純化してモデル化することができ、ここで第1電極170は1つの導体プレート(または電極)として機能し、接地されたキャビティ壁、及び位置変更可能な棚板124の電極172は第2導体プレート(または電極)として機能し、空気キャビティ(その中に収容されるあらゆる負荷を含む)は第1導体プレートと第2導体プレートとの間の誘電体媒質として機能する。図1には示していないが、非導電性(不導体)障壁(例えば、障壁362、462(図3、4))もシステム100内に含めることができ、この非導電性障壁は、位置変更可能な棚板124の電極172から負荷を電気的かつ物理的に絶縁するように機能することができる。
「平衡型」の実施形態によれば、第1電極170は第1キャビティ壁(例えば、上部壁111)に近接して配置することができ、位置変更可能な棚板124の第2電極172は、キャビティ内で位置変更可能な棚板124を支持する一対の支持構造122の高さに相当する高さに配置されている。第1及び第2電極170、172は、残りのキャビティ壁(例えば、壁112〜115及びドア116)から電気絶縁されている。第1電極170及び第2電極172は、それぞれ第1及び第2の平衡RF信号をRF信号源(例えば、RF信号源320、420(図3、4))から受信することができる。こうした構成では、上記システムはコンデンサとして単純化してモデル化することもでき、ここで第1電極170は1つの導体プレート(または電極)として機能し、第2電極172は第2導体プレート(または電極)として機能し、空気キャビティ(その中に収容されるあらゆる負荷を含む)は、第1導体プレートと第2導体プレートとの間の誘電体媒質として機能する。図1には示していないが、非導電性障壁(例えば、障壁462(図4))もシステム100内に含めることができ、この非導電性障壁は、負荷を第2電極172から電気的かつ物理的に絶縁するように機能する。
一実施形態によれば、解凍システム100の動作中に、ユーザ(図示せず)は、位置変更可能な棚板124を解凍キャビティ内の選択位置に配置することができ、これにより位置変更可能な棚板124は一対の支持構造122によって支持される。例えば、ユーザが小さい負荷を加熱しようとする際には、電極170に近い一対の支持構造122を選択して、位置変更可能な棚板124を支持することができる。比較的大きい負荷については、電極170から遠く離れた一対の支持構造122を選択して、位置変更可能な棚板124を支持し、これにより、より大きい負荷を収容するのに十分な空間が、位置変更可能な棚板124と電極170との間に提供される。一般に、ユーザが位置変更可能な棚板124上に配置しようとする負荷を収容するのに十分な空間を提供しつつ、位置変更可能な棚板124と電極170との間に最小距離を与える一対の支持構造122をユーザが選択することができる。一旦、位置変更可能な棚板124を配置すると、ユーザは1つ以上の負荷(例えば、食品及び/または液体)を解凍キャビティ内に(例えば、位置変更可能な棚板124と電極170との間に)配置することができ、任意で、負荷の特性を指定する入力を、制御パネル120により与えることができる。例えば、指定する特性は負荷の概略重量を含むことができる。それに加えて、指定する負荷特性は、負荷を形成する材料(例えば、肉、パン、液体)を示すことができる。代案の実施形態では、他の何らかの方法で、例えば負荷の包装上のバーコードを走査することによって、あるいは、負荷上の、または負荷内に埋め込まれた無線ICタグ(RFID:radio frequency identification)からRFID信号を受信することによって、負荷特性を得ることができる。いずれにせよ、後により詳細に説明するように、こうした負荷特性に関する情報は、システム・コントローラがRF加熱プロセスを制御することを可能にすることができる。
解凍動作を開始するために、ユーザは制御パネル120を介して入力を与えることができる。それに応答して、システム・コントローラは、不平衡型の実施形態では、RF信号源(例えば、RF信号源320、420(図3、4))に、RF信号を第1電極170へ供給させ、平衡型の例では、RF信号源に、RF信号を第1電極170及び第2電極172の両方に供給させ、それに応答して、これらの電極は電磁エネルギーを解凍キャビティ110内へ放射する。この電磁エネルギーは負荷の熱エネルギーを増加させる(即ち、電磁エネルギーは負荷を加温する)。
解凍動作中には、負荷の熱エネルギーが増加するに連れて、負荷のインピーダンス(従って、キャビティ110+負荷の合計入力インピーダンス)が変化する。このインピーダンス変化は負荷内へのRFエネルギーの吸収を変化させ、従って反射電力の大きさを変化させる。一実施形態によれば、電力検出回路が、RF信号源(例えば、RF信号源320、420(図3、4))と電極170、172との間の伝送経路(例えば、伝送経路328、428/430(図3、4))に沿った反射電力を、連続して、あるいは周期的に測定し、一部の実施形態では順方向電力も測定する。これらの測定に基づいて、システム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312、412(図3、4))は、解凍動作の完了を検出することができる。別な実施形態によれば、可変インピーダンス整合回路網をRF信号用の伝送経路上に配置することができ、反射電力測定値(あるいは、順方向電力測定値及び反射電力測定値の両方)に基づいて、システム・コントローラは、解凍動作中にインピーダンス整合回路網の状態を変化させて、負荷によるRF電力の吸収を増加させることができる。
図1の解凍システム100は、調理台型の機器として具体化される。別な実施形態では、解凍システム100は、マイクロ波(電子レンジ)調理動作を実行するための構成要素及び機能を含むこともできる。その代わりに、解凍システムの構成要素は他の種類のシステムまたは機器に内蔵させることができる。例えば、図2は、解凍システム210、220の他の実施形態を含む冷蔵庫/冷凍庫200の透視図である。より具体的には、解凍システム210は、システム200の冷凍区画212内に内蔵されているように示し、解凍システム220は、このシステムの冷蔵区画222内に内蔵されているように示している。実際の冷蔵庫/冷凍庫は解凍システム210、220を1つしか含まないことが多いが、図2にはその両方を示して両実施形態を簡潔に伝える。
解凍システム100と同様に、解凍システム210、220の各々は、解凍キャビティ、制御パネル214、224、1つ以上のRF信号源(例えば、RF信号源320、420(図3、4))、電源(例えば、電源326、426(図3、4))、第1電極(例えば、電極170、340、440(図1、3、4))、解凍キャビティの対向する内壁に配置された複数の支持構造(例えば、支持構造122(図1))、一対の支持構造によって支持された位置変更可能な棚板(例えば、位置変更可能な棚板124(図1))、位置変更可能な棚板内の第2電極(例えば、電極172、372、472(図1、3、4))、及びシステム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312、412(図3、4))を含む。例えば、解凍キャビティは、格納構造の下部壁、側壁、前部壁、及び後部壁の内面によって規定することができる。格納構造の前部壁は、ドア、または開閉することができる他の構造とすることができ、閉じられると密閉空気キャビティを作り出す。種々の実施形態では、解凍システム210、220の構成要素及び機能を解凍システム100の構成要素及び機能とほぼ同じにすることができる。
それに加えて、一実施形態によれば、解凍システム210、220の各々が、当該システム210、220が内部に配置された、それぞれ冷凍区画212または冷蔵区画222との十分な熱伝達を行うことができる。こうした実施形態では、解凍動作の完了後に、負荷を解凍システム210、220から取り除くまで負荷を安全な温度(例えば、食品の腐敗を遅らせる温度)に維持することができる。より具体的には、冷凍庫ベースの解凍システム210による解凍動作の完了時に、解凍された負荷を収容するキャビティは冷凍区画212との熱伝達を行うことができ、負荷が即座にキャビティから取り除かれなければ、負荷を再冷凍することができる。同様に、冷蔵庫ベースの解凍システム220による解凍動作の完了時に、解凍された負荷を収容するキャビティは冷蔵区画222との熱伝達を行うことができ、負荷が即座にキャビティから取り除かれなければ、負荷を冷蔵区画222内の温度で解凍状態に維持することができる。
解凍システムの実施形態を、他の構成を有するシステムまたは機器内に内蔵させることもできることは、当業者が本明細書中の記載に基づいて理解する所である。従って、スタンドアロン型機器、電子レンジ、冷凍庫、及び冷蔵庫における解凍システムの上述した実現は、実施形態の利用法をこれらの種類のシステムに限定することを意味しない。
解凍システム100、200は、その構成要素を互いに対して特定の相対的な配向にして示しているが、これらの種々の構成要素は異なるように配向させることもできることは明らかである。それに加えて、これらの種々の構成要素の物理的構成は異なることができる。例えば、制御パネル120、214、224は、より多数、より少数、あるいは異なるユーザ・インタフェース要素を有することができ、及び/または、これらのユーザ・インタフェース要素は異なるように配置することができる。それに加えて、図1には略立方体の解凍キャビティ110を示しているが、他の実施形態では、解凍キャビティが異なる形状(例えば、円筒形、等)を有することができることは明らかである。さらに、解凍システム100、210、220は、図1、2には具体的に示していない追加的構成要素(例えば、ファン、固定または回転プレート、トレイ、電気コード、等)を含むことができる。
図3は、一実施形態による不平衡型解凍システム300(例えば、解凍システム100、210、220(図1、2))の簡略化したブロック図である。一実施形態では、解凍システム300は、RFサブシステム310、解凍キャビティ360、ユーザ・インタフェース380、システム・コントローラ312、RF信号源320、電源兼バイアス回路326、第1電極340、支持構造322(例えば、支持構造122(図1))、一対の支持構造322によって支持され第2電極372(例えば、第2電極172(図1))、一対の支持構造322によって支持され、第2電極372(例えば、第2電極172(図1))を含む位置変更可能な棚板324(例えば、位置変更可能な棚板124(図1))、及び格納構造366を含む。一部の実施形態では、第2電極372を、位置変更可能な棚板324内に埋め込まれるか位置変更可能な棚板324上に配置された(例えば、位置変更可能な棚板324の非導電性材料内または非導電性材料上の)導体材料とすることができる。他の実施形態では、位置変更可能な棚板324の全体を導体材料にし、これにより、位置変更可能な棚板324の全体が第2電極372として機能することができる。それに加えて、他の実施形態では、解凍システム300が、温度センサ、赤外線(IR:infrared)センサ、及び/または重量センサ390を含むことができるが、これらのセンサ構成要素の一部または全部を除外することができる。なお、図3は、説明及び記述しやすさの目的で簡略化した解凍システム300の表現であり、実際の実施形態は、追加的な機能及び特徴を提供するための他の装置及び構成要素を含むことができること、及び/または解凍システム300をより大きな電気システムの一部とすることができることは明らかである。
ユーザ・インタフェース380は、例えば、ユーザが解凍動作用のパラメータ(例えば、解凍する負荷の特性、等)に関する入力を解凍システム300に与えることを可能にする制御パネル(例えば、制御パネル120、214、224(図1、2))、開始(スタート)及び取り消し(キャンセル)ボタン、機械的制御部(例えば、ドア/引き出しの開放ラッチ)、等に対応することができる。それに加えて、ユーザ・インタフェースは、解凍動作の状態を示すユーザが知覚可能な出力(例えば、カウントダウン・タイマー、解凍動作の進行または完了を示す可視の印、及び/または解凍動作の完了を示す可聴のトーン(音調))及び他の情報を提供するように構成することができる。
解凍システム300の一部の実施形態は、温度センサ、IRセンサ、及び/または重量センサ390を含むことができる。これらの温度センサ及び/またはIRセンサは、解凍動作中に負荷364の温度を検出することが可能な位置に配置することができる。温度情報は、システム・コントローラ312に提供されると、システム・コントローラ312が、RF信号源320によって供給されるRF信号の電力を(例えば、電源兼バイアス回路326によって供給されるバイアス電圧及び/または電源電圧を制御することによって)変化させること、及び/または解凍動作を終了するべき時点を決定することを可能にすることができる。上記重量センサは、負荷364の下に配置することができ、負荷364の重量の推定値をシステム・コントローラ312に提供するように構成されている。システム・コントローラ312は、この情報を用いて、例えば、RF信号源320によって供給されるRF信号の所望の電力レベルを決定すること、及び/または解凍動作の概略継続時間を決定することができる。
一実施形態では、RFサブシステム310は、システム・コントローラ312、RF信号源320、可変インピーダンス整合回路網370、及び電源兼バイアス回路326を含む。システム・コントローラ312は、1つ以上の汎用または専用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、等)、揮発性及び/または不揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、読出し専用メモリ(ROM:Read Only Memory)、フラッシュ(メモリ)、種々のレジスタ、等)、1つ以上の通信バス、及び他の構成要素を含むことができる。一実施形態によれば、システム・コントローラ312は、ユーザ・インタフェース380、RF信号源320、及び(含まれていれば)センサ390に結合されている。システム・コントローラ312は、電源兼バイアス回路326及びRF信号源320に制御信号を供給することができる。それに加えて、システム・コントローラ312は制御信号を可変インピーダンス整合回路網370に供給し、これらの制御信号は回路網370にその状態または設定を変化させる。
解凍キャビティ360は容量型解凍装置を含み、この容量型解凍装置は、空気キャビティによって分離された第1及び第2平行平板電極を有し、この空気キャビティ内に解凍される負荷364を配置することができる。例えば、第1電極340は空気キャビティの上方に配置することができ、第2電極372は空気キャビティの下方に配置することができる。より具体的には、格納構造366は、下部壁、上部壁、及び側壁を含むことができ、これらの壁は格納構造366用のドアまたはハッチの部分を含むことができ、これらの壁の内面がキャビティ360(例えば、キャビティ110(図1))を規定する。支持構造322は格納構造366の側壁に配置することができ、第2電極372を含む位置変更可能な棚板324は、対向する一対の支持構造322上に(ユーザが)選択的に配置することができ、このことは、第1電極340と第2電極372との間の空気キャビティのサイズを(例えば、異なるサイズの負荷を収容するために)変更することを可能にする。一実施形態によれば、キャビティ360を(例えば、ドア116(図1)で)密封して、解凍動作中にキャビティ360内に導入される電磁エネルギーを包含することができる。システム300は1つ以上のインターロック・メカニズムを含むことができ、このインターロック・メカニズムは、解凍動作中に上記密封が完全であることを保証する。インターロック・メカニズムのうちの1つ以上が、密封が破られていることを示す場合に、システム・コントローラ312は解凍動作を停止することができる。一実施形態によれば、格納構造366は少なくとも部分的に導体材料で形成され、格納構造の導体部分は接地することができる。一部の実施形態では、第2電極372を電気的フローティング状態にすることができるのに対し、他の実施形態では、第2電極372を、支持構造322を通した格納構造366への接続により接地に電気接続することができる。負荷364と第2電極372との直接の接触を回避するために、非導電性障壁362を第2電極372の全体上に配置することができる。
基本的に、解凍キャビティ360は容量型解凍装置を含み、この容量型解凍装置は、空気キャビティによって分離された第1及び第2平行平板電極340、372を有し、この空気キャビティ内に解凍される負荷364を配置することができる。第2電極372は(例えば、位置変更可能な棚板324の位置決めにより)格納構造366内に配置されて、電極340に対向する第2電極372の表面との間の距離352を規定する。
種々の実施形態では、距離352が約0.10メートル〜約1.0メートルの範囲内であるが、この距離はより小さくすることもより大きくすることもできる。位置変更可能な棚板324を(例えば、サイズが変動する負荷を収容するためにユーザが)異なる一対の支持構造322へ移動させる間に、距離352は変化し得る。一実施形態によれば、距離352を、RFサブシステム310によって生成されるRF信号の1波長未満にすることができる。一部の実施形態では、距離352がRF信号の1波長の約半分未満である。他の実施形態では、距離352がRF信号の1波長の約4分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離352がRF信号の1波長の約8分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離352がRF信号の1波長の約50分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離352がRF信号の1波長の約100分の1未満である。
第1電極340と格納構造366とは容量結合されている。より具体的には、第1電極340はコンデンサの第1極板に例えることができ、格納構造366はコンデンサの第2極板に例えることができ、負荷364、障壁362、及びキャビティ360内の空気はコンデンサの誘電体に例えることができる。従って、本明細書中では、第1電極340を代わりに「アノード(陽極)」と称することがあり、第2電極を代わりに「カソード(陰極)」と称することがある。
基本的に、第1電極340と第2電極372との間の電圧がキャビティ360内の負荷364を加熱する。種々の実施形態によれば、RFサブシステム310は、第1電極340と第2電極372との間に、一実施形態では約90ボルト〜約3,000ボルトの範囲内の電圧、あるいは他の実施形態では約3,000ボルト〜約10,000ボルトの範囲内の電圧を生成するRF信号を発生するように構成されているが、上記システムはより低い電圧またはより高い電圧を第1電極340と第2電極372との間に発生することもできる。
第1電極340は可変インピーダンス整合回路網370及び導電性の伝送経路328を介してRF信号源320に電気結合され、伝送経路328は複数の導体を含む。一実施形態によれば、導電性の伝送経路328は「不平衡」経路であり、不平衡RF信号(即ち、接地を基準とした単一のRF信号)を搬送するように構成されている。一部の実施形態では、1つ以上のコネクタ(図示しないが、各々がオス及びメスのコネクタ部分を有する)を伝送経路328上に電気結合することができ、伝送経路328におけるコネクタ間の部分は同軸ケーブルまたは他の適切なコネクタを具えることができる。
一実施形態では、可変インピーダンス整合回路網370は、可変及び(任意で)不変の受動構成部品、例えば抵抗器、コンデンサ、及び/またはインダクタの配列を含むことができる。可変インピーダンス整合回路網370は、RF信号源320の出力インピーダンス(例えば、約10オーム)からのインピーダンス変換を実行して、解凍キャビティ360の入力インピーダンスに「整合させ」、この入力インピーダンスは負荷364によって(例えば、何百または何千オームのオーダーで、例えば約1000オーム〜約4000オーム以上)変化している。解凍動作の経過中に負荷364の温度が増加するに連れて、解凍キャビティ360のインピーダンスは変化する。従って、システム・コントローラは、解凍動作の経過中に可変インピーダンス整合回路網のインピーダンスを調整して、解凍キャビティ360のインピーダンスの変化に合わせることができる。一部の実施形態では、システム・コントローラ312が、システムのS11パラメータが所定閾値を超えたことを(例えば、経路328上に配置された電力検出回路(図示せず)を用いて)検出したことに応答して、こうした可変インピーダンス整合回路網370の調整を実行することができる。
システム・コントローラ312が接続体314を通して供給する制御信号に応答して、RF信号源320は振動電気信号を生成するように構成されている。種々の実施形態では、RF信号源320を制御して、異なる電力レベル及び/または異なる周波数の振動信号を生成することができる。例えば、RF信号源320は、約10.0メガヘルツ(MHz)〜約100MHz、及び/または約100MHzから約3.0ギガヘルツ(GHz)までの範囲内で振動する信号を生成することができる。
図3の実施形態では、RF信号源320が複数の増幅段、例えば駆動増幅段及び最終増幅段を含んで、増幅された出力信号を発生することができる。例えば、RF信号源320の出力信号は、約100ワット〜約400ワット以上までの範囲内の電力レベルを有することができる。
電力増幅器によって与えられるゲイン(利得)は、電源兼バイアス回路326によって上記1つ以上の増幅段に供給されるゲートバイアス電圧及び/またはドレイン電源電圧を用いて制御することができる。より具体的には、電源兼バイアス回路326は、システム・コントローラ312から受信した制御信号に従って、バイアス電圧及び電源電圧を各RF増幅段に供給する。
一実施形態では、RF信号源320が横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOSFET:laterally diffused metal oxide semiconductor)トランジスタを含む。しかし、これらのトランジスタはどの特定の半導体技術にも限定されることを意図しておらず、他の実施形態では、各トランジスタを窒化ガリウム(GaN)トランジスタ、他の種類のMOSFETトランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ(BJT:bipolar junction transistor)、あるいは他の半導体技術を利用したトランジスタとして実現することができる。
解凍キャビティ360、及び解凍キャビティ360内に配置されたあらゆる負荷364(例えば、食品、液体、等)は、第1電極340によってキャビティ360内へ放射される電磁エネルギー(またはRF電力)にとって累積的な負荷を与える。より具体的には、キャビティ360及び負荷364はシステムにインピーダンスを与え、本明細書中では「キャビティ入力インピーダンス」と称する。キャビティの入力インピーダンスは解凍動作中に負荷364の温度が増加するに連れて変化する。
電源兼バイアス回路326によって電力をRF信号源320に供給する。電源兼バイアス回路326は一般に直流(DC:direct current)電圧をRF信号源320へ供給し、このDC電圧は0ボルト〜65ボルトの範囲内にすることができる。電源兼バイアス回路326から出力されるDC電圧の大きさはシステム・コントローラ312によって設定または決定することができる。例えば、ユーザ・インタフェース380及びセンサ390から受信した入力に基づいて、システム・コントローラ312は電源兼バイアス回路326に適した出力電圧を選択することができる。この出力電圧は、例えば、より大きい重量を有する負荷364に対してはより小さい重量の負荷に対するよりも大きくすることができる。これらの種々の入力に基づいて、システム・コントローラ312はルックアップ・テーブル(早見表)を利用して、電源兼バイアス回路326に適した出力電圧を決定することができる。一部の実施形態では、システム・コントローラ312が、電源兼バイアス回路326の出力電圧を、解凍プロセス全体にわたって特定の負荷364向けに変化させることができる。
電源兼バイアス回路326の異なる出力DC電圧を実現するために、電源兼バイアス回路326は、これらの異なる出力電圧を発生して出力することができる可変電源であるように構成することができる。しかし、他の実施形態では、固定の出力電圧を発生するように電源兼バイアス回路326を構成することができる。この場合、解凍システム300は、この固定の出力電圧を可変の出力電圧(例えば、0ボルトから65ボルトまでの範囲の電圧)に変調するように構成されたパルス幅変調回路を内蔵することができ、この可変の出力電圧を利用してRF信号源320を動作させて解凍システム300の機能を実現することができる。
図3及び関係する説明は「不平衡型」解凍装置を記述し、不平衡型解凍装置では、RF信号が第1電極(例えば、電極340(図3))に供給され、位置変更可能な第2電極(例えば、第2電極372(図3))は接地されているか電気的フローティング状態である。上述したように、解凍装置の代案の実施形態は「平衡型」解凍装置を具えている。こうした装置では、RF信号が両電極に供給される。
例えば、図4は、一実施形態による平衡型解凍システム400(例えば、解凍システム100、210、220(図1、2))の簡略化したブロック図である。一実施形態では、解凍システム400は、RFサブシステム410、解凍キャビティ460、ユーザ・インタフェース480、システム・コントローラ412、RF信号源420、電源兼バイアス回路426、及び2つの電極440、472を含む。それに加えて、他の実施形態では、解凍システム400は、温度センサ、赤外線(IR)センサ、及び/または重量センサ490を含むことができるが、これらのセンサ構成部品の一部または全部を除外することができる。図4は、説明目的、及び記述を容易にする目的で簡略化した解凍システム400の表現であること、及び実際の実施形態は追加的な機能及び特徴を提供するための他の装置及び構成部品を含むことができること、及び/または解凍システム400はより大きな電気システムの一部とすることができることは明らかである。
ユーザ・インタフェース480は、例えば制御パネル(例えば、制御パネル120、214、224(図1、2))、スタート(開始)及びキャンセル(取消)ボタン、機械的制御器(例えば、ドア/引出し開放ラッチ)に相当することができ、上記制御パネルは、解凍動作用のパラメータ(例えば、解凍する負荷の特性、等)に関する入力をユーザがシステムに与えることを可能にする。それに加えて、ユーザ・インタフェースは、解凍動作の状態を示すユーザが知覚可能な出力(例えば、カウントダウン・タイマー、解凍動作の進行または完了を示す可視の印、及び/または解凍動作の完了を示す可視のトーン)及び他の情報を提供するように構成することができる。
一部の実施形態では、RFサブシステム410は、システム・コントローラ412、RF信号源420、及び電源兼バイアス回路426を含む。システム・コントローラ412は、1つ以上の汎用または専用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASIC、等)、揮発性及び/または不揮発性メモリ(例えば、RAM、ROM、フラッシュ、種々のレジスタ、等)、1つ以上の通信バス、及び他の構成部品を含むことができる。一実施形態によれば、システム・コントローラ412は、ユーザ・インタフェース480、RF信号源420、及び電源兼バイアス回路426に動作的に結合し、かつ通信結合することができる。システム・コントローラ412は、ユーザ・インタフェース480及びセンサ490を介して受信したユーザ入力を示す信号を受信するように構成されている。受信した信号に応答して、システム・コントローラ412は制御信号を電源兼バイアス回路426及び/またはRF信号源420に供給する。それに加えて、システム・コントローラ412は制御信号を可変インピーダンス整合回路網470に供給し、この制御信号は回路網470にその状態または設定を変化させる。
解凍キャビティ460は、空気キャビティによって分離された第1及び第2の平行平板電極440、472を有する容量性解凍構成を含み、この空気キャビティ内に解凍する負荷を配置することができる。格納構造466内には、第1及び第2電極(例えば、電極170、172(図1))を、解凍キャビティ460(例えば、内部キャビティ260(図2))の内部のいずれかの側面上に互いに対向させて配置することができる。
第1電極440と第2電極472とはキャビティ460を挟んで距離452だけ分離され、棚板424が(例えば、サイズが変動する負荷を収容するためにユーザによって)異なる一対の支持構造422上に配置されるべく位置変更される際に、距離452は変化し得る。種々の実施形態では、距離452が約0.10メートル〜約1.0メートルの範囲内であるが、この距離はより小さくすることもより大きくすることもできる。一実施形態によれば、距離452は、RFサブシステム410によって生成されるRF信号の1波長未満にすることができる。一部の実施形態では、距離452がRF信号の波長の約半分未満である。他の実施形態では、距離452がRF信号の波長の約4分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離452がRF信号の波長の約8分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離452がRF信号の波長の約50分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離452がRF信号の波長の約100分の1未満である。
第1電極440と第2電極472とは容量結合されている。より具体的には、第1電極440はコンデンサの第1極板に例えることができ、第2電極472はコンデンサの第2極板に例えることができ、負荷464、障壁462、及びキャビティ460内の空気はコンデンサの誘電体に例えることができる。従って、本明細書中では第1電極440を代わりに「アノード」と称することがあり、第2電極472を代わりに「カソード」と称することがある。
基本的に、第1電極440と第2電極472との間の電圧がキャビティ460内の負荷を加熱する。種々の実施形態によれば、RFサブシステム410は、RF信号を発生して、一具体例では約90ボルト〜約3000ボルトの範囲内の、あるいは他の具体例では約3000ボルト〜約10,000ボルトの範囲内の電圧を電極440、472間に生成するように構成されているが、上記システムはより低い電圧またはより高い電圧を電極440、472間に生成するように構成することもできる。
RFサブシステム410の出力、より具体的には可変インピーダンス回路網470の出力は、それぞれ導電性経路430、428を通して電極440、472の各々に電気結合されている。例えば、RFサブシステム410は2つの平衡RF信号を出力することができ、一方は経路430に沿って電極440に供給され、他方は経路428に沿って電極472に供給される。これらの平衡RF信号は、例えば、不平衡RF信号をRF信号源420から受信したバラン、プッシュプル増幅器、または平衡増幅器の出力として生成することができる。
一実施形態では、可変インピーダンス整合回路網470は、可変及び(任意で)不変の受動構成部品、例えば抵抗器、コンデンサ、及び/またはインダクタの配列を含むことができる。可変インピーダンス整合回路網470は、RF信号源320の出力インピーダンス(例えば、約10オーム)からのインピーダンス変換を実行して、解凍キャビティ460の入力インピーダンスに「整合させ」、この入力インピーダンスは負荷464によって(例えば、何百または何千オームのオーダーで、例えば約1000オーム〜約4000オーム以上)変化している。解凍動作の経過中に負荷464の温度が増加するに連れて、解凍キャビティ460のインピーダンスは変化する。従って、システム・コントローラは、解凍動作の経過中に可変インピーダンス整合回路網のインピーダンスを調整して、解凍キャビティ460のインピーダンスの変化に合わせることができる。一部の実施形態では、システム・コントローラ412が、システムのS11パラメータが所定閾値を超えたことを(例えば、経路428上に配置された電力検出回路(図示せず)を用いて)検出したことに応答して、こうした可変インピーダンス整合回路網470の調整を実行することができる。
システム・コントローラ412が接続体414を通して供給する制御信号に応答して、RF信号源420は振動電気信号を生成するように構成されている。種々の実施形態では、RF信号源420を制御して、異なる電力レベル及び/または異なる周波数の振動信号を生成することができる。例えば、RF信号源420は、約10.0メガヘルツ(MHz)〜約100MHz、及び/または約100MHzから約3.0ギガヘルツ(GHz)までの範囲内で振動する信号を生成することができる。
図4の実施形態では、RF信号源420が複数の増幅段、例えば駆動増幅段及び最終増幅段を含んで、増幅された出力信号を発生することができる。例えば、RF信号源420の出力信号は、約100ワット〜約400ワット以上までの範囲内の電力レベルを有することができる。
電力増幅器によって与えられるゲイン(利得)は、電源兼バイアス回路426によって各増幅段に供給されるゲートバイアス電圧及び/またはドレイン電源電圧を用いて制御することができる。より具体的には、電源兼バイアス回路426は、システム・コントローラ412から受信した制御信号に従って、バイアス電圧及び電源電圧を各RF増幅段に供給する。
一実施形態では、RF信号源420が、どの特定の半導体技術にも限定されない異なる設計のトランジスタを含むことができる。こうしたトランジスタは、GaNトランジスタ、他の種類のMOSFET、BJT、あるいは他の半導体技術を利用したトランジスタを含むことができる。
解凍キャビティ460、及び解凍キャビティ460内に配置されたあらゆる負荷464(例えば、食品、液体、等)は、電極440、472によってキャビティ460内へ放射される電磁エネルギー(またはRF電力)に累積的な負荷を与える。より具体的には、キャビティ460及び負荷464は、キャビティ入力インピーダンスと称されるインピーダンスをシステムに与える。キャビティの入力インピーダンスは、解凍動作中に負荷464の温度が増加するに連れて変化する。
電源兼バイアス回路426によって電力をRF信号源420に供給する。電源兼バイアス回路426は一般にDC電圧をRF信号源420へ供給し、このDC電圧は0ボルト〜65ボルトの範囲内にすることができる。電源兼バイアス回路426から出力されるDC電圧の大きさはシステム・コントローラ412によって設定または決定することができる。例えば、ユーザ・インタフェース480及びセンサ490から受信した入力に基づいて、システム・コントローラ412は電源兼バイアス回路426に適した出力電圧を選択することができる。この出力電圧は、例えば、より大きい重量を有する負荷464に対してはより小さい重量の負荷に対するよりも大きくすることができる。これらの種々の入力に基づいて、システム・コントローラ412はルックアップ・テーブルを利用して、電源兼バイアス回路426に適した出力電圧を決定することができる。一部の実施形態では、システム・コントローラ412が、電源兼バイアス回路426の出力電圧を、解凍プロセス全体にわたって特定の負荷464向けに変化させることができる。
電源兼バイアス回路426の異なる出力DC電圧を実現するために、電源兼バイアス回路426は、これらの異なる出力電圧を発生して出力することができる可変電源であるように構成することができる。しかし、他の実施形態では、固定の出力電圧を発生するように電源兼バイアス回路426を構成することができる。この場合、解凍システム400は、この固定の出力電圧を可変の出力電圧(例えば、0ボルトから65ボルトまでの範囲の電圧)に変調するように構成されたパルス幅変調回路を内蔵することができ、この可変の出力電圧を利用してRF信号源420を動作させて解凍システム400の機能を実現することができる。
本明細書中では集合的に図5と称する図5A、5B、5C、5D、5E、及び5Fは、解凍システム500の種々の表現を示し、これらの表現は、位置変更可能な電極をシステム500のキャビティ560内の種々の高さに配置することを可能にする。図5Aは解凍システム500の実例を示し、解凍システム500は負荷564を解凍するか、さもなければ負荷564の温度を増加させるように動作することができる。図に示すように、解凍システム500は、制御パネル580、格納構造566によって規定されるキャビティ560、支持構造(時として位置変更可能な棚板支持構造)502(例えば、支持構造322、422(図3、4))、格納構造の天井(即ち、キャビティ560の上側内面)内に埋め込まれるか、さもなければ天井に配置された上部電極540(例えば、電極340、440(図3、4))、及び位置変更可能な電極504(例えば、電極372、472(図3、4))を構成するか、さもなければ電極504を含む位置変更可能な棚板を含むことができる。位置変更可能な棚板503は、導体材料のシート、あるいは導体材料と非導電性材料との組合せとすることができる。一実施形態では、位置変更可能な棚板503は、位置変更可能な電極504を含む非導電性シートとすることができ、この電極は導電性(例えば、金属)にすることができる。他の実施形態では、位置変更可能な棚板503の全体を導体にすることができ、位置変更可能な電極504は位置変更可能な棚板503と一体に形成されている(即ち、図5Aに示すように、位置変更可能な棚板503と区別されない)。支持構造502は、例えば、格納構造566の側壁に配置されたレール、スロット、または他の適用可能な支持構造とすることができ、位置変更可能な棚板503は、キャビティ560内に配置された際に一対の支持構造502によって支持される。一部の実施形態では、支持構造502は導電性コネクタを含むことができ、これらの導電性コネクタは、位置変更可能な棚板504が一対の支持構造502上に配置されると、位置変更可能な棚板504の電極を、接地電圧に、あるいはRF信号源(例えば、RF信号源320、420(図3、4))の出力端子に電気接続する。
解凍システム500は、例えば、解凍動作に加えて、電子レンジ、オーブントースター、または従来型オーブンのような二次的機能を提供することもできる。例えば、解凍システム500がオーブントースターまたは従来型オーブンである実施形態については、加熱素子551を用いて二次的な加熱機能を実行することができ、加熱素子551は、キャビティ560を密閉する格納構造の内側の下面、上面、または側面に配置することができる。例えば、加熱素子551は、格納構造566の下部領域514内に埋め込むか下部領域514上に配置することができ、下部領域514の上面がキャビティ560の床面を規定する。加熱素子511は、電源に結合することができ、例えば抵抗加熱素子とすることができる。二次的加熱動作中には、電気は加熱素子551を通って導通して、抵抗加熱により電気エネルギーを熱エネルギーに変換することができる。こうした二次的な加熱動作(例えば、抵抗加熱動作)は、例えば、制御パネル580を介して与えられる命令に従って、解凍システム500によって実行される解凍動作とは別個に、あるいはこうした解凍動作と組み合わせて実行することができる。
制御パネル580は電子ディスプレイ及び1つ以上のボタンを含むことができ、これらの電子ディスプレイ及びボタンは、ユーザが解凍システム500と相互作用すること、及び解凍システム500に関する情報を見ることを可能にする。一部の実施形態では、この電子ディスプレイはタッチスクリーン・ディスプレイとすることができる。制御パネル580は、解凍動作用のパラメータ(例えば、解凍する負荷の特性、等)、スタート及びキャンセルボタン用のパラメータ、機械的制御部(例えば、ドア/引き出しの開放ラッチ)用のパラメータ、等に関する入力をユーザが解凍システム500に与えることを可能にすることもできる。それに加えて、ユーザ・インタフェースは、解凍動作の状態を示すユーザが知覚可能な出力(例えば、カウントダウン・タイマー、解凍動作の進行または完了を示す可視の印、及び/または解凍動作の完了を示す可聴のトーン)及び他の情報を提供するように構成することができる。
位置変更可能な棚板503をキャビティ内に挿入して支持構造502上に置くことができる。例えば、位置変更可能な棚板はほぼ平坦な上面を有することができ、この上面は格納構造566の内側の長さ及び幅におよそ等しい長さ及び幅を有することができる。電極504が電気的フローティング状態でなく、位置変更可能な棚板503が非導電性シート及び導電性の位置変更可能な電極504を含む実施形態については、非導電性シートが内部または表面に1つ以上のトレースを含むことができ、これらの導電トレースは、位置変更可能な棚板503がキャビティ内に挿入されると、位置変更可能な電極504を支持構造502の導電性の表面(接地またはRF信号源に電気接続されている)に電気接続する。キャビティ560内に挿入されると、位置変更可能な棚板503はキャビティ560を第1及び第2(例えば、上部及び下部)空間に効果的に分割することができる。
位置変更可能な電極504は位置変更可能な棚板503の全体または一部分を形成することができる。例えば、図6Aは位置変更可能な棚板600(例えば、位置変更可能な棚板503)の具体例の側断面図であり、ここでは位置変更可能な電極604が位置変更可能な棚板600のほぼ全体を形成する。図6Aの具体例では、非導電性材料610が位置変更可能な電極604の上面上に配置されて、負荷(例えば、負荷564)を位置変更可能な電極604から絶縁する。動作中に電極604が接地されているかRF信号源に接続されているかのいずれかである実施形態では、電極604が導電性係合面606を含み、導電性係合面606は、棚板600が支持構造620内へ滑り込むか、さもなければ支持構造620と物理的に係合する際に、一組の支持構造620の対応する導電性表面622と物理的かつ電気的に係合するような位置に配置されている。
図6Bは、位置変更可能な棚板630の他の具体例の側断面図であり、棚板630は、非導電性の支持構造640に結合されるか支持構造640内に埋め込まれた位置変更可能な電極634を含む。ここでも、非導電性材料610が位置変更可能な電極634の上面上に配置されて、負荷(例えば、負荷564)を位置変更可能な電極634から絶縁する。それに加えて、位置変更可能な棚板630は追加的な導電性構造636(例えば、ワイヤ、プリント導体トレース、等)を含み、導電性構造636は棚板630の導電性係合面638を電極634に電気結合する。ここでも、動作中に電極634が接地されているかRF信号源に接続されているかのいずれかである実施形態では、導電性の係合面638は、棚板630が支持構造620上へ滑り込むか、さもなければ支持構造620と物理的に係合する際に、一組の支持構造620(例えば、支持構造502)の対応する導電性表面622と物理的かつ電気的に係合するような位置に配置される。
再び図5Aを参照すれば、一部の実施形態では、位置変更可能な電極504の上面(例えば、図示する負荷564が配置されている表面)が、上部電極540の下面(例えば、位置変更可能な電極504の上面に対面する上部電極の表面)の表面積と少なくとも同じ大きさの表面積を有することができる。なお、位置変更可能な棚板503と位置変更可能な電極504とは異なるサイズを有することができる。例えば、キャビティ560は、27cm〜33cmの範囲内の高さ、29cm〜35cmの長さ(即ち、奥行き)、及び30cm〜36cmの範囲内の幅を有することができる。上部電極540の下面(即ち、位置変更可能な電極504の上面に対面する上部電極540の表面)は、キャビティ560の長さよりも少なくとも3cmだけ小さい長さ、及びキャビティ560の幅よりも少なくとも3cmだけ小さい幅を有して、格納構造566の壁面と上部電極540との間のアーク放電を防止するのに十分なクリアランス(間隔)を提供することができる。位置変更可能な電極504の上面は、キャビティ560の長さ以下、かつ上部電極540の長さ以上の長さを有することができ、キャビティ560の幅以下、かつ上部電極540の幅以上の幅を有することができる。上部電極540及び位置変更可能な電極504の厚さ(例えば、高さ)は共に、約0.2mm〜1mmにすることができる。上記の例に従って、上部電極540及びキャビティ560に対して位置変更可能な電極504を寸法決めすることによって、解凍動作中のより良好な電界圧縮を、電極540と504との間に実現することができる。上記の範囲は例示的であり限定的でないことを意図しており、一部の実施形態では、キャビティ560、位置変更可能な電極504、及び上部電極540の寸法をこれらの範囲よりも大きくも小さくもすることができる。1つの例示的で非限定的な例では、キャビティ560が33cm×32cm×30cmの幅、長さ、及び高さの寸法を有する体積を規定することができ、上部電極540は8cmの半径を有する円形の下面を有することができ、位置変更可能な電極504は31cm×30cmの幅及び長さの寸法を有する長方形の上面を有することができる。
本実施形態では、位置変更可能な棚板503が支持構造502のうちの少なくとも1つの上面上に置かれているように示しているが、位置変更可能な棚板503を支持するための他の実施形態を実現することができることは明らかである。例えば、支持構造502内に溝を形成することができ、あるいは、キャビティ560の前面(ドア側)からキャビティ560の後面に向かって延びる一組の水平溝を、格納構造566自体の側壁内の種々の高さに形成することができ、位置変更可能な棚板503の互いに反対側のエッジをこれらの溝内へ滑り込ませることができる。他の例として、位置変更可能な棚板503と支持構造502とを相補的な形状を有するように形成することができ、これにより、位置変更可能な棚板503が支持構造502と十分に係合した(例えば、支持構造502上に滑り込むか設定された)際に、位置変更可能な棚板503を横方向の動きに対して少なくとも部分的に固定することができる。さらに他の実施形態では、位置変更可能な棚板503がブラケット(L字金具、図示せず)または他の構造を含むことができ、こうしたブラケットまたは他の構造は、キャビティ560の1つ以上の側壁内のブラケット受け具(図示せず)と係合する。前述した実施形態のように、棚板503内の位置変更可能な電極504は、これらのブラケット及びブラケット受け具を通して接地またはRF信号源に電気結合することができる。本明細書中に用いる「位置変更可能な棚板の支持構造」とは、位置変更可能な棚板をキャビティ内側の下面上方の所定位置で支持するように構成されたあらゆる構造を参照し、レール、溝、ブラケット、及び他の支持構造を含むが、それらに限定されない。
支持構造502は、格納構造566の内側の側壁に配置すること(例えば、対向する内側の側壁に対称に配置する)ことができる。例えば、複数組の対応する支持構造502を、格納構造566の内側の対向する側壁上に種々の高さに配置することができる。図5の実施形態には、5組の対応する支持構造502を示し、各組の2つの対応する支持構造は、キャビティ560の内側下面の上方の同じ高さに配置されている。例えば、支持構造502は、ネジ、ラッチ(掛け金)、溝、接着剤、あるいは支持構造502を格納構造566の側壁に取り付けるための他のあらゆる適用可能な手段によって、格納構造566の側壁の定位置に保持することができる。代案の実施形態では、支持構造502を格納構造566の側壁と一体に形成することができる。位置変更可能な電極504が電気的フローティング状態である一部の実施形態では、支持構造502を全面的に誘電体材料で形成することができ、この誘電体材料は位置変更可能な電極504を電気絶縁することができる。
動作中に(例えば、位置変更可能な棚板503が一組の支持構造502と十分に係合した際に)位置変更可能な電極504が接地またはRF信号源に電気結合されている(図6A及び6Bに関連して前述した)他の実施形態では、支持構造502は、全面的または部分的に導電性にすることができ、位置変更可能な棚板503の対応する導電性表面(例えば、表面606、638)に物理的かつ電気的に接続されるように構成された導電性表面(例えば、表面622(図6A、6B))を有することができる。一方、支持構造502の導電性表面(例えば、表面622)は、解凍システム500の他の構成部品、例えば接地端子、格納構造、またはRF信号源に電気接続されている。位置変更可能な電極504は、一般に、格納構造566の対向する側面(例えば、対向する表面)上に位置し、かつキャビティ560内のほぼ等しい高さに位置する支持構造502のうちの2つ(例えば、一対の支持レール)によって支持されることは明らかである。
さらに、位置変更可能な棚板503は着脱可能にすることができること、及び位置変更可能な棚板503を、キャビティ560内の異なる高さに位置する支持構造上に配置することによって、位置変更可能な電極504と上部電極504との間の距離(従って、例えば、上部及び下部空間のサイズ、及び負荷564と上部電極540との間の距離)を調整することができることは明らかである。例えば、所定の高さを有する第1負荷に対しては、位置変更可能な棚板503を一対の第1及び第2レール上に配置して第1及び第2空間を規定することができ、第1負荷は第1空間内に配置され、第1空間は第1負荷の所定の高さにほぼ相当する第1の高さを有する。所定の高さを有する第2負荷に対しては、位置変更可能な棚板503を異なる一対の第3及び第4レール上に配置して第3及び第4空間を規定することができ、第2負荷は第3空間内に配置され、第3空間は第2負荷の所定の高さに相当する第2の高さを有する。負荷564と上部電極540との間の距離を最小にすることによって、負荷564によって吸収されるRFエネルギーの量が増加し、このことはより良好なシステム効率を生じさせることができる。
図5B〜5Cに、解凍システム500の断面Aに沿った前向きの図の2つの例示的な具体例を示して、位置変更可能な棚板503及び位置変更可能な電極504の可動の性質を示し、位置変更可能な電極504と上部電極540との間の距離の変化を示す。一部の実施形態では、上部電極540が解凍システム500の上部領域内に位置する。一部の実施形態では、上部領域512にプラスチックのような誘電体材料を少なくとも部分的に充填することができ、上部電極540をこの誘電体材料内に埋め込むことができる。一部の実施形態では、下部領域514にプラスチックのような誘電体材料を少なくとも部分的に充填することができる。上部電極540及び電極504の一方または両方をRF信号源520(例えば、RF信号源320、420(図3、4))に電気接続することができ、電極504、540はRF信号源520から1つ以上のRF信号を受けることができる。
図5Bでは、上部電極540と位置変更可能な電極504の最上部との間に距離H1を有し、下部領域514の上面と位置変更可能な電極504の下面との間に距離H2を有するように、位置変更可能な電極504をキャビティ560内に配置することができる。図に示すように、このことは、適度な量の空き空間を負荷56の上面と上部電極540との間に残し、このことは解凍動作の非効率を生じさせ得る。図5Cに代案の構成を示し、この構成では、上部電極540と位置変更可能な電極50の最上部との間に距離H3を有し、下部領域514の上面と位置変更可能な電極504の下面との間に距離H4を有するように、位置変更可能な電極504がキャビティ560内に配置されている。なお、H1はH3よりも大きいのに対しH4はH2よりも大きく、これにより、図5Cの構成では、図5Bの構成に比べて、位置変更可能な電極504は上部電極540のより近くに位置する。位置変更可能な電極504を上部電極540のより近くへ移動させることによって、従って、負荷564の上面と上部電極540との間の距離を低減することによって、解凍動作中に解凍システム500によって供給されるRFエネルギーは、位置変更可能な電極504と上部電極540との間により集中するようになり、これにより、実行される解凍動作の(例えば、電力効率及び解凍速度効率の意味での)効率が改善される。さらに、図5B及び5Cの実施形態は共に、RFエネルギーを集中させるための位置変更可能な電極504の存在なしに負荷564を単に格納構造566の床面上に配置した場合に比べて、より効率的な解凍動作を可能にすることは明らかである(例えば、図5Cの実施形態では、約20%の効率の増加を生じさせる)。前に示したように、種々の実施形態では、位置変更可能な電極504は、支持構造502との接触により、電気的フローティング状態にすること、接地すること、またはRF信号源520(例えば、RF信号源320、420(図3、4))に結合することができる。以下、後者の実施形態を図5D〜5Fに関連してより詳細に説明する。
図5Dは、一実施形態における解凍システム500の内部の側断面図を示し、ここでは支持構造502が部分的に、あるいは全面的に導電性である。本例では、支持構造502(例えば、表面622)の各々を、導電性経路508を通して内部接地または共通電圧端子506に結合することができる。図に示すように、端子506は領域512内に位置するが、他の実施形態では、端子506がその代わりに解凍システム500内の他の位置、例えば下部領域514に位置することができることは明らかである。ここで、電極504は、支持構造502に電気接触して配置されると、電気接地になることができ、あるいは共通電圧の電位に保持することができる。
図5Eは、他の実施形態における解凍システム500の内部の側断面図を示し、ここでは支持構造502が部分的に、あるいは全面的に導電性である。本例では、支持構造502(例えば、表面622)を、導電性経路510を通してRF信号発生器520(例えば、RF信号発生器320、420(図3、4))に結合することができる。ここで、電極504は、支持構造502に電気接触して配置されると、平衡型RF解凍システム(例えば、解凍システム400(図4))の第2電極(例えば、電極372、472(図)3、4)として機能することができる。
図5Fは、他の実施形態における解凍システム500の内部の側断面図を示し、ここでは支持構造502が部分的に、あるいは全面的に導電性である。本例では、支持構造502(例えば、表面622)を、導電性経路516を通して導電性の格納構造に電気結合することができる。格納構造566は導電性にすることができ、キャビティ560の少なくとも一部分を規定することができ、そして接地または共通電圧端子518に結合することができる。ここで、電極504は、支持構造502に電気接触して配置されると、電気接地になることができ、あるいは共通電圧の電位に保持されることができる。
これまで解凍システムの電気的及び物理的な態様を説明してきた。こうした解凍システムを動作させる方法の種々の実施形態を図7に関連して以下に説明する。より具体的には、図7は、一実施形態による、位置変更可能な電極を有する解凍システム(例えば、システム100、210、220、300、400、500(図1〜5))を動作させる方法のフローチャートである。
この方法は、ブロック701で、位置変更可能な棚板(例えば、位置変更可能な棚板124、324、424、503(図1、3、4、5))がシステムの解凍キャビティ(例えば、キャビティ360、460、560(図3〜5))内の選択した位置に挿入されて、システムの格納構造(例えば、格納構造366、466、566(図3、4、5))の側壁に配置された支持構造(例えば、支持構造122、322、422、502(図1、3、4、5))と係合すると開始される。例えば、位置変更可能な棚板を、格納構造の側壁に取り付けられた、あるいは側壁と一体に形成されたスロット内またはレール上に挿入することができる。例えば、ユーザは、所定サイズの負荷を位置変更可能な棚板上に配置するのに十分な空間を残しつつ、位置変更可能な棚板の上方の空き空間を最小にするように選択した格納構造内の位置に、位置変更可能な棚板を挿入することができる。
一部の実施形態では、位置変更可能な棚板を格納構造内に完全に挿入すると、位置変更可能な棚板は支持構造のうちの1つ以上の導体部分と電気接触して配置され、位置変更可能な棚板内に含まれる電極(例えば、電極172、372、472、504(図1、3、4、5))は、支持構造との電気接触により電気接地されるか、あるいはRF信号源(例えば、RF信号源320、420、520(図3、4、5))に接続される。代案の実施形態では、位置変更可能な棚板の電極を電気的フローティング状態にして、位置変更可能な棚板及び/または支持構造内に含まれる非導電性材料が、この電極を、電気接地されないように、あるいはRF信号源に接続されないように電気絶縁する。
ブロック702では、システム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312、412(図3、4))が、解凍動作を開始するべきことの指示を受信する。こうした指示は、例えばユーザが負荷(例えば、負荷364、464、564(図3〜5))をシステムの解凍キャビティ内に配置し、(例えば、ドアまたは引き出しを閉じることによって)キャビティを密閉して、開始(スタート)ボタンを押した後に受信することができる。一実施形態では、キャビティを密閉することによって、1つ以上の安全インターロック機構をかみ合わせることができ、こうした安全インターロック機構は、かみ合わさると、キャビティに供給されるRF電力がキャビティの外部の環境内へほとんど漏洩しないことを示す。後述するように、安全インターロック機構のかみ合いを外すことによって、システム・コントローラは直ちに解凍動作を一時停止または終了する。
種々の実施形態によれば、システム・コントローラは、任意で、負荷の種類(例えば、肉、液体、または他の材料)、初期の負荷温度、及び/または負荷重量を示す追加的な入力を受信することができる。例えば、負荷の種類に関する情報は、ユーザからユーザ・インタフェースとの対話により(例えば、認識された負荷の種類のリストからユーザが選択することによって)受信することができる。その代わりに、システムは、負荷の外側に見えるバーコードを走査するように、あるいは負荷上または負荷内に埋め込まれたRFIDデバイスから電子信号を受信するように構成することができる。初期の負荷温度に関する情報は、例えば、1つ以上の温度センサ及び/またはIRセンサ(例えば、センサ390、490(図3、4))から受信することができる。負荷重量に関する情報は、ユーザからユーザ・インタフェースとの対話により、あるいはシステムの重量センサ(例えば、センサ390、490(図3、4))から受信することができる。上記に示したように、負荷の種類、初期の負荷温度、及び負荷重量を示す入力の受信は任意であり、システムはその代わりにこれらの入力の一部または全部を受信しないことができる。
ブロック704では、システム・コントローラが制御信号を可変整合回路網(例えば、回路網370、470(図3、4))に供給して、可変整合回路網における初期設定または初期状態を確立する。これらの制御信号は、可変整合回路網内の種々の構成部品の値(例えば、インダクタンス、抵抗、及び/または静電容量)に影響を与える。例えば、これらの制御信号はバイパススイッチの状態に影響を与えることができ、これらのバイパススイッチは、システム・コントローラからの制御信号に応答する。
可変整合回路網の第1部分は、RF信号源(例えば、RF信号源320、420(図3、4))との整合を行うように構成することができ、可変整合回路網の第2部分は、キャビティ(例えば、キャビティ360、460(図3、4))+負荷(例えば、負荷364、464(図3、4))との整合を行うように構成することができる。
一旦、初期の可変整合回路網の設定を確立すると、システム・コントローラは、ブロック706で、必要に応じて、整合の品質を示す実際の測定値に基づいて許容可能な、あるいは最良の整合を見出すように、可変インピーダンス整合回路網の調整を実行することができる。一実施形態によれば、このプロセスは、RF信号源により、比較的低電力のRF信号を、可変インピーダンス整合回路網を通して電極(例えば、電極340、372または440(図3、4))に供給するステップを含む。システム・コントローラは、電源兼バイアス回路(例えば、回路326、426(図3、4))への信号によりRF信号の電力レベルを制御することができ、この制御信号は、電源兼バイアス回路に、所望の信号電力レベルに見合った電源電圧及びバイアス電圧をRF信号源の入力端子に供給させる。例えば、比較的低電力のRF信号は、約10W〜約20Wの範囲内の電力レベルを有する信号とすることができるが、異なる電力レベルを代わりに用いることができる。整合調整プロセス中の比較的低い電力レベルの信号は、(例えば、初期の整合が高い反射電力を生じさせる場合に)キャビティまたは負荷を損傷させる恐れを低減するために、そして、可変インピーダンス回路網のスイッチング構成部品を(例えば、スイッチ接点間のアーク放電により)損傷させる恐れを低減するために望ましい。
次に、解凍システムの電力検出回路は、RF信号源と電極との間の伝送経路(例えば、経路328、428(図3、4))に沿った反射電力及び(時として)順方向電力を測定して、これらの測定値をシステム・コントローラに提供する。次に、システム・コントローラは、反射電力と順方向電力との比率を決定し、この比率に基づいてシステムのS11パラメータを決定することができる。一実施形態では、システム・コントローラは、受信した測定値(例えば、受信した反射電力の測定値、受信した順方向電力の測定値、あるいはその両方)、及び/または計算した比率、及び/またはS11パラメータを、将来の評価または比較のために記憶することができる。
システム・コントローラは、反射電力の測定値、及び/または反射信号電力対順方向信号電力の比率、及び/またはS11パラメータに基づいて、可変インピーダンス整合回路網によって行われる整合が許容可能であるか(例えば、反射電力が閾値を下回るか、あるいは上記比率が10パーセント以下であるか、あるいは測定値または値が他の何らかの基準に良好に匹敵するか)否かを判定する。その代わりに、システム・コントローラは、整合が「最良の」整合であるか否かを判定するように構成することができる。例えば、反射RF電力(及び一部の実施形態では順方向の反射RF電力)を、すべての可能なインピーダンス整合回路網の設定について(あるいは、インピーダンス整合回路網の少なくとも所定部分集合について)反復的に測定することによって、そして、どの設定が最低の反射RF電力及び/または最低の反射電力対順方向電力の比率を生じさせるかを判定することによって、「最良の」整合を判定することができる。
整合が許容可能でないこと、あるいは最良の整合でないことをシステム・コントローラが判定すると、システム・コントローラは、可変インピーダンス整合回路を再設定することによって整合を調整することができる。例えば、このことは、制御信号を可変インピーダンス整合回路に送信することによって実現することができ、このことは、この回路網に、当該回路網内の可変構成部品(例えば可変の静電容量、抵抗、及び/またはインダクタンス)の値を増加及び/または減少させる。こうした可変インピーダンス整合回路網の再設定は、「最良の」整合が判定されるまで反復することができる。
一旦、許容可能な、あるいは最良の整合が判定されると、RF信号源によるRF信号の供給により解凍動作を開始することができる。例えば、解凍動作の開始は、RF信号源によって供給されるRF信号の電力を増加させて比較的高電力のRF信号にすることを含むことができる。ここでも、システム・コントローラは、電源兼バイアス回路への制御信号によりRF信号の電力レベルを制御することができ、これらの制御信号は、電源兼バイアス回路に、所望の信号電力レベルに見合った電源電圧及びバイアス電圧をRF信号源の入力端子に供給させる。例えば、上記比較的高電力のRF信号は、約50W〜約500Wの範囲内の電力レベルを有する信号とすることができるが、異なる電力レベルを代わりに用いることができる。
次に、電力検出回路が、RF信号源と電極との間の伝送経路(例えば、経路328、428(図3、4))に沿った反射電力、及び一部の実施形態では順方向電力を周期的に測定することができ、そして、これらの測定値をシステム・コントローラに提供することができる。ここでも、システム・コントローラは、反射信号電力と順方向信号電力との比率を決定することができ、そしてこの比率に基づいてシステムのS11パラメータを決定することができる。一実施形態では、システム・コントローラは、受信した電力測定値、及び/または計算した比率、及び/またはS11パラメータを、将来の評価または比較用に記憶することができる。一実施形態によれば、順方向電力及び反射電力の周期的測定は、相当高い頻度(例えば、ミリ秒のオーダー)で、あるいは相当低い頻度(例えば、秒のオーダー)で行うことができる。例えば、周期的測定を行うための相当低い頻度は、10秒〜20秒毎に1回の割合とすることができる。
システム・コントローラは、1つ以上の反射信号電力の測定値、1つ以上の計算した反射信号電力対順方向信号電力の比率、及び/または1つ以上の計算したS11パラメータに基づいて、可変インピーダンス整合回路網によってもたらされる整合が許容可能であるか否かを判定することができる。例えば、システム・コントローラは、この判定を行うに当たり、単一の反射信号電力測定値、単一の計算した反射信号電力対順方向信号電力の比率、あるいは単一の計算したS11パラメータを用いることができ、あるいは、この判定を行うに当たり、以前に受信した複数の反射信号電力測定値、以前に計算した複数の反射信号電力対順方向信号電力の比率、あるいは以前に計算した複数のS11パラメータを利用する(あるいは、他の計算を行う)ことができる。整合が許容可能であるか否かの判定を行うために、システム・コントローラは、受信した反射信号電力、計算した比率及び/またはS11パラメータを、例えば1つ以上の対応する閾値と比較する。例えば、一実施形態では、システム・コントローラが、受信した反射信号電力を、例えば順方向信号電力の5パーセント(または他の何らかの値)の閾値と比較することができる。順方向信号電力の5パーセントを下回る反射信号電力は、整合が許容可能な状態に留まっていることを示すことができ、5パーセントを上回る比率は、整合がもはや許容可能ではないことを示すことができる。他の実施形態では、システム・コントローラが、計算した反射信号電力対順方向信号電力の比率を、10パーセント(または他の何らかの値)の閾値と比較することができる。10パーセントを下回る比率は、整合が許容可能な状態に留まっていることを示すことができ、10パーセントを上回る比率は、整合がもはや許容可能ではないことを示すことができる。測定した反射電力、あるいは計算した比率またはS11パラメータが対応する閾値よりも大きく(即ち、比較が好結果でなく)、許容不可能な整合を示す際には、システム・コントローラは可変インピーダンス整合回路網の再設定を開始することができる。
システム・コントローラが、1つ以上の反射電力測定値に基づいて、計算した1つ以上の反射信号電力対順方向信号電力の比率、及び/または計算した1つ以上のS11パラメータに基づいて、可変インピーダンス整合回路網によってもたらされる整合がまだ許容可能であるものと判定した際には(例えば、反射電力の測定値、計算した比率またはS11パラメータが対応する閾値未満である際には、あるいは比較が好結果である際には)、システム・コントローラは、ブロック708で、終了(出口)条件が発生したか否かを評価することができる。実際には、終了条件が発生したか否かの判定は、解凍プロセス中の任意の時点で発生させることができる割込み駆動プロセスとすることができる。しかし、図6のフローチャート内に含める目的で、このプロセスはブロック706の後に発生するように示している。
いずれにせよ、いくつかの条件が解凍動作の停止を保証することができる。例えば、システムは、安全インターロックが破られた際に終了条件が発生したものと判定することができる。その代わりに、システムは、ユーザが(例えば、ユーザ・インタフェース380、480(図3、4)により)セットしたタイマーの時間切れ時に、あるいはシステム・コントローラによる解凍動作を実行するべき時間長の推定値に基づいてシステム・コントローラが設定したタイマーの時間切れ時に、システムは終了条件が発生したものと判定することができる。さらに他の代案実施形態では、システムは別の方法で解凍動作の完了を検出することができる。
終了条件が発生していない場合、ブロック706に戻ることによって解凍動作を継続することができる。終了条件が発生すると、ブロック710で、システム・コントローラはRF信号源によるRF信号の供給を中止する。例えば、システム・コントローラは、RF信号源(例えば、RF信号源320、420(図3、4))を停止させることができ、及び/または電源兼バイアス回路に電源電流の供給を中止させることができる。それに加えて、システム・コントローラはユーザ・インタフェースに信号を送信することができ、この信号は、ユーザが知覚可能な終了条件の指示を(例えば、「ドア開」または「終了」を表示装置上に表示することによって、あるいは可聴音(オーディオトーン)を提供することによって)ユーザ・インタフェースに生成させる。そして上記方法を終了することができる。
図6に示すブロックに関連する動作の順序は一実施形態に相当し、動作の順序を図示する順序のみに限定するものと解釈するべきでないことは明らかである。その代わりに、一部の動作は異なる順序で実行することができ、及び/または一部の動作は並列的に実行することができる。
本明細書中に含まれる種々の図面中に示す接続線は、種々の要素間の例示的な機能関係及び/または物理的結合を表すことを意図している。なお、主題の実施形態では、多数の代案または追加的な機能関係または物理的結合が存在し得る。それに加えて、本明細書中では、特定の用語を参考目的のみで使用することがあり、従って限定的であることは意図しておらず、「第1」、「第2」及び構造を参照する他のこうした数詞は、特に明示的断りのない限り順列または順序を暗に意味しない。
本明細書中に用いる「ノード」とは、所定の信号、論理レベル、電圧、データパターン、電流、または量が存在する、あらゆる内部または外部の基準点、接続点、接合、信号線、導電性要素、等を意味する。さらに、2つ以上のノードを1つの物理的要素によって実現することができる(そして、2つ以上の信号は、多重化すること、変調すること、さもなければ共通ノードで受信または出力されても区別することができる)。
以上の説明は、一緒に「接続される」あるいは「結合される」要素またはノードを参照している。本明細書中に用いる「接続された」は、特に断りのない限り、1つの要素が他の要素に直接結び付けられている(あるいは直接連通する)ことを意味するが、必ずしも機械的にではない。同様に、「結合された」は、特に断りのない限り、1つの要素が直接または間接的に他の要素に結び付けられている(あるいは直接または間接的に連通する)ことを意味するが、必ずしも機械的にではない。従って、図面中に示す概略図は、要素の1つの好適な配列を示すが、図示する主題の実施形態では、追加的に介在する要素、装置、特徴、または構成要素が存在し得る。
負荷を収容する格納構造に結合された熱量増加システムの一実施形態は、熱量増加システムのキャビティ内に配置された複数の棚板支持構造を含む。これら複数の棚板支持構造は、位置変更可能な電極をキャビティ内の複数の位置で支持するように構成されている。このシステムは、格納構造の第1表面に配置された第1電極を含み、位置変更可能な電極が格納構造内に配置されて、キャビティを分離された空間に分割する。このシステムは、第1電極及び位置変更可能な電極の一方または両方に接続された無線周波数信号源を含む。この無線周波数信号源は、無線周波数エネルギーを、第1電極及び位置変更可能な電極のいずれかに、あるいは両方に供給するように構成されている。
他の実施形態では、システムが、キャビティを形成する格納構造、キャビティ内に配置された第1電極、及びキャビティ内の複数の高さに配置された複数の支持構造を含む。このシステムは、キャビティ内に配置された第2電極を含む。この第2電極は着脱可能であり、複数の支持構造のうちの第1支持構造によって支持された際にキャビティを第1空間と第2空間とに分割するように構成され、複数の支持構造のうちの第2支持構造によって支持された際にキャビティを第3空間と第4空間とに分割するように構成されている。このシステムは無線周波数信号源を含み、この無線周波数信号源は、無線周波数エネルギーを第1電極または第2電極のいずれかに、あるいは両方に供給する。
他の実施形態では、熱量増加システムが、キャビティを形成する格納構造、格納構造の内側上面に配置された電極、キャビティの両端間に配置されてキャビティを第1空間と第2空間とに分割する位置変更可能な電極、及び格納構造の第1側壁に配置された第1支持構造を含む。このシステムは、格納構造の第1側壁に対向する第2側壁に配置された第2支持構造を含む。位置変更可能な電極は、着脱可能な様式で第1及び第2構造と係合する。このシステムは、上記電極または位置変更可能な電極のいずれかに、あるいは両方に電気接続された無線周波数信号源を含む。この無線周波数信号源は、無線周波数エネルギーを上記電極または位置変更可能な電極のいずれかに、あるいは両方に供給するように構成されている。
以上の詳細な説明では、少なくとも1つの好適な実施形態を提示したが、膨大な数の変形例が存在することは明らかである。本明細書中に記載した好適な実施形態は、特許請求する主題の範囲、適用性、または構成を多少なりとも限定することを意図していないことも明らかである。むしろ、以上の詳細な説明は、記載した実施形態を実現するための使い勝手の良いロードマップ(指針)を当業者に提供する。特許請求の範囲によって規定する範囲から逸脱することなしに、要素の機能及び配列に種々の変更を加えることができることは明らかであり、上記範囲は、本願の出願時における既知の等価物及び予測可能な等価物を含む。

Claims (20)

  1. 負荷を収容する格納構造に結合された熱量増加システムであって、
    前記熱量増加システムのキャビティ内に配置された複数の棚板支持構造と、
    前記格納構造の第1表面に配置された第1電極と、
    前記格納構造内に配置されて前記キャビティを分離された空間に分割する位置変更可能な電極と、
    前記第1電極及び前記位置変更可能な電極の一方または両方に電気接続された無線周波数信号源とを具えた熱量増加システムにおいて、
    前記複数の棚板支持構造は、前記位置変更可能な電極を前記キャビティ内の複数の位置で支持するように構成され、
    前記無線周波数信号源は、無線周波数エネルギーを、前記第1電極及び前記位置変更可能な電極のいずれかに、あるいは両方に供給するように構成されている熱量増加システム。
  2. 前記複数の棚板支持構造が、前記格納構造の第2表面及び第3表面上に配置された複数のレールを具え、
    前記第2表面は前記第3表面に対向し、前記位置変更可能な電極は、前記第2表面上に配置された第1レール、及び前記第3表面上に配置された第2レールによって支持される、請求項1に記載の熱量増加システム。
  3. 前記位置変更可能な電極は着脱可能であり、前記位置変更可能な電極は、前記第1レール及び前記第2レールによって支持された際に第1空間及び第2空間を規定するように構成され、前記複数のレールのうちの第3レール及び第4レールによって支持された際に第3空間及び第4空間を規定するように構成され、前記第3空間は前記第1空間と異なる、請求項2に記載の熱量増加システム。
  4. 前記位置変更可能な電極は少なくとも部分的に金属であり、前記位置変更可能な電極は第1表面積を有する上面を具え、該第1表面積は前記第1電極の第2表面積と少なくとも同じ大きさであり、前記位置変更可能な電極の上面が前記第1電極の下面に対向する、請求項1に記載の熱量増加システム。
  5. 前記位置変更可能な電極が、前記複数の棚板支持構造を通して電気接地されている、請求項1に記載の熱量増加システム。
  6. 前記位置変更可能な電極を含む位置変更可能な棚板をさらに具え、前記位置変更可能な棚板の少なくとも一部分が非導電性であり、前記位置変更可能な電極は電気的フローティング状態であり、前記位置変更可能な棚板は、前記複数の棚板支持構造のうちの一対の棚板支持構造によって支持される、請求項1に記載の熱量増加システム。
  7. 前記無線周波数信号源と、前記第1電極及び前記位置変更可能な電極のいずれか、あるいは両方との間に接続され、可変インピーダンスを有する可変インピーダンス整合回路網をさらに具え、該可変インピーダンス整合回路網は、前記無線周波数信号源の1つ以上のパラメータに基づいて前記可変インピーダンスを調整するように構成され、前記1つ以上のパラメータは、反射電力、順方向電力及び反射電力の両方、及びS11パラメータから成るグループから選択したパラメータである、請求項1に記載の熱量増加システム。
  8. キャビティを形成する格納構造と、
    前記キャビティ内に配置された第1電極と、
    前記キャビティ内の複数の高さの所に配置された複数の支持構造と、
    前記キャビティ内に配置された第2電極と、
    前記第1電極または前記第2電極のいずれかに、あるいは両方に無線周波数エネルギーを供給する無線周波数信号源とを具えたシステムであって、
    前記第2電極は着脱可能であり、前記複数の支持構造のうちの第1支持構造によって支持された際に、前記キャビティを第1空間と第2空間とに分割するように構成され、前記複数の支持構造のうちの第2支持構造によって支持された際に、前記キャビティを第3空間と第4空間とに分割するように構成されているシステム。
  9. 前記第2電極が導体プレートであり、前記第2電極が第1表面積を有する上面を具え、該第1表面積は前記第1電極の下面の第2表面積と少なくとも同じ大きさであり、前記第2電極の上面が前記第1電極の下面に対向する、請求項8に記載のシステム。
  10. 前記無線周波数信号源が、平衡無線周波数信号を前記第1電極及び前記第2電極に供給し、前記複数の支持構造の各々が少なくとも部分的に導電性であり、前記第2電極が、前記複数の支持構造のうちの少なくとも1つを通して前記無線周波数信号源に結合されている、請求項9に記載のシステム。
  11. 前記複数の支持構造の各々が少なくとも部分的に導電性であり、前記第2電極が、前記複数の支持構造のうちの少なくとも1つを通して電気接地されている、請求項9に記載のシステム。
  12. 前記支持構造が、複数のレール、複数の溝、複数のブラケット、及び複数のブラケット受け具から選択した支持構造である、請求項9に記載のシステム。
  13. 前記第2電極及び非導電性材料を含む位置変更可能な棚板をさらに具え、該非導電性材料は前記第2電極を前記複数の支持構造から絶縁する、請求項9に記載のシステム。
  14. 前記無線周波数信号源と、前記第1電極及び前記第2電極のいずれか、あるいは両方との間に接続され、可変インピーダンスを有する可変インピーダンス整合回路網をさらに具え、該可変インピーダンス整合回路は、前記無線周波数信号源の1つ以上のパラメータに基づいて前記可変インピーダンスを調整するように構成され、該1つ以上のパラメータは、反射電力、順方向電力及び反射電力の両方、及びS11パラメータから成るグループから選択したパラメータである、請求項8に記載のシステム。
  15. キャビティを形成する格納構造と、
    前記格納構造の内側上面に配置された電極と、
    前記キャビティの両端間に配置されて前記キャビティを第1空間と第2空間とに分割する位置変更可能な電極と、
    前記格納構造の第1側壁に配置された第1支持構造と、
    前記格納構造の前記第1側壁に対向する第2側壁に配置された第2支持構造と、前記電極、または前記位置変更可能な電極のいずれかに、あるいは両方に電気接続された無線周波数信号源とを具えた熱量増加システムであって、
    前記位置変更可能な電極は、前記第1支持構造及び前記第2支持構造と着脱可能な様式で係合し、
    前記無線周波数信号源は、無線周波数エネルギーを前記電極または前記位置変更可能な電極のいずれかに、あるいは両方に供給するように構成されている熱量増加システム。
  16. 前記位置変更可能な電極が電気的フローティング状態であり、前記第1支持構造及び前記第2支持構造の各々が誘電体材料を含む、請求項15に記載の熱量増加システム。
  17. 前記第1支持構造及び前記第2支持構造の少なくとも一方が少なくとも部分的に導電性であり、前記位置変更可能な電極が、前記第1支持構造及び前記第2支持構造の少なくとも一方を通して電気接地されている、請求項15に記載の熱量増加システム。
  18. 前記第1支持構造及び前記第2支持構造の少なくとも一方が少なくとも部分的に導電性であり、前記位置変更可能な電極が、前記第1支持構造及び前記第2支持構造の少なくとも一方を通して前記無線周波数信号源に電気接続されている、請求項15に記載の熱量増加システム。
  19. 前記第1支持構造が、少なくとも1つのレール、少なくとも1つの溝、少なくとも1つのブラケット、及び少なくとも1つのブラケット受け具を含む、請求項15に記載の熱量増加システム。
  20. 前記無線周波数信号源と、前記電極及び前記位置変更可能な電極のいずれか、あるいは両方との間に接続され、可変インピーダンスを有する可変インピーダンス整合回路網をさらに具え、該可変インピーダンス整合回路網は、前記無線周波数信号源の1つ以上のパラメータに基づいて前記可変インピーダンスを調整するように構成され、該1つ以上のパラメータは、反射電力、順方向電力及び反射電力の両方、及びS11パラメータから成るグループから選択したパラメータである、請求項15に記載の熱量増加システム。
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