JP2020067049A - 排熱回収システム - Google Patents

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佑輔 高橋
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Abstract

【課題】蒸発器に十分な熱が存在する間にポンプが停止する事態を避けて、作動流体が異常な高温高圧になることを防ぐ排熱回収システムを提供する。【解決手段】作動流体F1の流れに関して環状に配置された蒸発器11、膨張器12、凝縮器13、及び、ポンプ14を備える排熱回収システム10は、ポンプ14の駆動軸17の一端側に配置されて駆動軸17及び車両1の動力伝達軸5の間の動力を断接する第一クラッチ18と、駆動軸17の他端側に配置されて駆動軸17及び膨張器12の回転軸16の間の動力を断接する第二クラッチ19とを備え、第一クラッチ18が動力伝達軸5の回転数N1が閾値Na以上の場合に駆動軸17及び動力伝達軸5の間で動力を伝達可能に接続し、第二クラッチ19が回転軸16の回転数N2が動力伝達軸5の回転数N1以上の場合に駆動軸17及び回転軸16の間で動力を伝達可能に接続する構成である。【選択図】図1

Description

本開示は、排熱回収システムに関し、より詳細には、車両に搭載されたエンジンの熱効率を向上する排熱回収システムに関する。
車両に搭載されたエンジンから排出された排気を利用した排熱回収システム(ランキンサイクルシステムともいう)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−217349号公報
ところで、排熱回収システムにおいては、システムが作動し始めて蒸発器に十分な熱が存在する状態で、作動流体を循環させるポンプが停止した場合に、蒸発器の内部の作動流体が異常な高温高圧になるという問題がある。
そこで、膨張器の回転軸とポンプの駆動軸とを連結して、蒸発器に十分な熱が存在する状態では、膨張器が生じる動力によりポンプを駆動させるものがある。しかし、ポンプの駆動源として膨張器を利用する場合には、作動流体が十分に温まるまで、ポンプを駆動することができないという別の問題がある。
本開示の目的は、蒸発器に十分な熱が存在する間にポンプが停止する事態を避けて、作動流体が異常な高温高圧になることを防ぐ排熱回収システムを提供することである。
上記の目的を達成する本発明の一態様の排熱回収システムは、作動流体の流れに関して環状に配置された蒸発器、膨張器、凝縮器、及び、ポンプを備え、前記蒸発器の熱源として車両に搭載されたエンジンの排気を利用する排熱回収システムにおいて、前記ポンプの駆動軸の一端側に配置されてその駆動軸及び前記車両の動力伝達軸の間の動力を断接する第一クラッチと、前記ポンプの駆動軸の他端側に配置されてその駆動軸及び前記膨張器の回転軸の間の動力を断接する第二クラッチとを備え、前記第一クラッチが前記動力伝達軸の回転数が予め設定した閾値以上の場合に前記駆動軸及び前記動力伝達軸の間で動力を伝達可能に接続し、前記第二クラッチが前記回転軸の回転数が前記動力伝達軸の回転数以上の場合に前記駆動軸及び前記回転軸の間で動力を伝達可能に接続する構成であることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、蒸発器に十分な熱が存在する間にポンプが停止する事態を避けて、作動流体が異常な高温高圧になることを防ぐことができる。
排熱回収システムの実施形態を例示する構成図であり、第一クラッチが接続し、第二クラッチが切断した状態を示す。 排熱回収システムの実施形態を例示する構成図であり、第一クラッチが接続し、第二クラッチが接続した状態を示す。 排熱回収システムにおける経過時間と各軸の回転数との関係を例示する関係図であり、車両の走行開始時を示す。 排熱回収システムにおける経過時間と各軸の回転数との関係を例示する関係図であり、車両の走行停止時を示す。
以下に、排熱回収システム10の実施形態について説明する。図中では、作動流体F1、排気G1、冷却媒体W1の流れを実線の矢印で示し、車両1の動力伝達系からの動力の伝達を点線の矢印で示し、動力伝達系への動力の伝達を一点鎖線で示すものとする。
図1及び図2に例示するように、排熱回収システム10は、蒸発器11の熱源として車両1に搭載されたエンジン2から排出された排気G1を利用して、動力に変換するものである。排熱回収システム10は、ランキンサイクルシステムともいい、蒸発器11、膨張器12、凝縮器13、及び、ポンプ14が作動流体用配管15により作動流体F1の流れに関して環状に配置される。
排熱回収システム10は、非可逆熱サイクルを利用するシステムである。具体的に、排熱回収システム10は、ポンプ14が液体の作動流体F1を圧送して、蒸発器11が排気G1を利用して液体の作動流体F1を蒸発させ、膨張器12が蒸発した作動流体F1の圧力により駆動し、凝縮器13が膨張器12を駆動した後の作動流体F1を液化させることで、膨張器12から動力を取り出すシステムである。
作動流体F1としては、水よりも沸点が低いものが好ましく、例えば、アンモニア、エタノール、ハイドロフルオロカーボン類の代替フロンガスが例示される。排熱回収システム10に沸点が低い作動流体F1を用いることで、エンジン2から排出される排気G1の温度が比較的に低い状態でも排熱を回収するには有利になる。
蒸発器11は、エンジン2から排出される排気G1と作動流体F1との間で熱交換を行わせて、排気G1の排熱により作動流体F1を蒸発させるものである。蒸発器11は、エンジン2から排出された排気G1が通過する排気通路3の中途位置に配置される。蒸発器11としては、排気通路3に配置されていればよく、排気G1の流れに関して図示しないターボチャージャのタービンよりも上流側に配置されてもよく、図示しない排気浄化装置の下流側に配置されてもよい。
膨張器12は、蒸発器11で蒸発し気体となった作動流体F1の圧力により駆動し、回転軸16から動力を出力するものである。膨張器12としては、タービン式、ピストン式、ロータリー式、スクロール式、及び、スクリュー式の膨張器が例示される。
凝縮器13は、膨張器12を駆動させた後の気体の作動流体F1と冷却媒体W1との間で熱交換を行わせて、冷却媒体W1により作動流体F1を凝縮(液化)するものである。冷却媒体W1は、この実施形態でエンジン2を冷却し冷却配管4を流れる冷却水を用いるが、冷却媒体W1としては、車速風も例示される。
ポンプ14は、液体の作動流体F1を循環させるものであり、駆動軸17が回転することで駆動するものである。ポンプ14としては、回転式や往復式の容積ポンプが例示される。
排熱回収システム10は、ポンプ14の駆動源を二重系にしたシステムであり、ポンプ14の駆動軸17の一端側に配置される第一クラッチ18と、駆動軸17の他端側に配置される第二クラッチ19とを備える。
第一クラッチ18は、ポンプ14の駆動軸17及び車両1の動力伝達軸5の間の動力を断接するクラッチであり、動力伝達軸5の回転数N1が予め設定した閾値Na以上の場合に駆動軸17及び動力伝達軸5の間で動力を伝達可能に接続するクラッチである。
動力伝達軸5は、車両1の動力伝達機構との間で動力を伝達可能な軸であればよく、少なくとも車両1が走行中に回転可能な軸が好ましく、動力伝達機構と無端状のベルトやチェーン、あるいはギア機構を介して連結される軸である。本開示において、車両1の動力伝達機構とは、エンジン2や図示しないモータージェネレータの回転動力を駆動輪に伝達する機構であり、クランクシャフト6、トランスミッション7、プロペラシャフト8、及び、ドライブシャフト9が例示される。動力伝達軸5が、エンジン2やモータージェネレータなどの駆動源が停止中の車両1の走行中にも回転可能な軸(例えば、トランスミッション7、プロペラシャフト8、及び、ドライブシャフト9に連結された軸)で構成されると、駆動源でエネルギーを消費せずに駆動軸17との間の動力伝達が可能となる。動力伝達軸5が、車両1の走行が停止中にも回転可能な軸(例えば、クランクシャフト6に連結された軸やモータージェネレータに連結された軸)で構成されると、車両1の停止中にも駆動軸17との間の動力伝達が可能となる。この実施形態の動力伝達軸5はプロペラシャフト7に連結され、車両1の走行中に回転し、走行停止中に回転が停止する。
閾値Naは、ポンプ14の最低回転数に基づいて設定される。本開示で、ポンプ14の最低回転数は、ポンプ14から液体の作動流体F1を圧送可能な回転数のうちで最も低い回転数である。この実施形態の閾値Naは、車両1が徐行運転時の速度よりも速い速度で走行した場合に、動力伝達軸5からポンプ14の駆動軸17に動力が伝達されるとポンプ14の回転数が最低回転数以上となる値に設定される。なお、動力伝達軸5がクランクシャフト6に連結される場合に、閾値Naはエンジン2のエンジン回転数がアイドル回転数に達した場合に、動力伝達軸5からポンプ14の駆動軸17に動力が伝達されるとポンプ14の回転数が最低回転数以上となる値に設定される。
第一クラッチ18は、動力伝達軸5の回転数N1が閾値Na以上の場合に接続し、その回転数N1が閾値Na未満の場合に切断する遠心クラッチで構成されることが望ましい。第一クラッチ18は、動力伝達軸5の回転数N1が閾値Na以上の場合に接続し、その回転数N1が閾値Na未満の場合に切断するクラッチであればよく、電気制御式クラッチでもよい。但し、この実施形態のように第一クラッチ18が、動力伝達軸5の回転数に応じて断接する遠心クラッチで構成されることで、センサによる各軸の回転数のセンシングや制御装置による制御を省くことができ、機械的に排熱回収システム10を作動させるには有利になる。
第二クラッチ19は、ポンプ14の駆動軸17及び膨張器12の回転軸16の間の動力を断接するクラッチであり、回転軸16の回転数N2が動力伝達軸5の回転数N1以上の場合に駆動軸17及び回転軸16の間で動力を伝達可能に接続するクラッチである。
第二クラッチ19は、回転軸16の回転数N2が動力伝達軸5の回転数N1以上の場合に接続し、回転軸16の回転数N2が動力伝達軸5の回転数N1未満の場合に切断するワンウェイクラッチで構成されることが望ましい。第二クラッチ19は、回転軸16の回転数N2が動力伝達軸5の回転数N1以上の場合に接続し、その回転数N1未満の場合に切断するクラッチであればよく、電気制御式クラッチでもよい。但し、この実施形態のように第二クラッチ19が、回転軸16の回転数N2と動力伝達軸5の回転数N1との関係に応じて断接するワンウェイバルブクラッチで構成されることで、センサによる各軸の回転数のセンシングや制御装置による制御を省くことができ、機械的に排熱回収システム10を作動させるには有利になる。
第二クラッチ19が接続して、膨張器12の回転軸16とポンプ14の駆動軸17との間の動力が伝達可能な状態は、膨張器12を通過する気体の作動流体F1の質量流量と、ポンプ14から吐出される液体の作動流体F1の質量流量とが略一致した状態であることが望ましい。そこで、そのような状態になるように、ポンプ14の最高回転数Nmaxや動力伝達軸5の回転数N1の最高回転数を調節するとよい。
図3及び図4において、横軸は経過時間、縦軸は回転数を示し、実線は動力伝達軸5の回転数N1を、一点鎖線は回転軸16の回転数N2を、点線はプロペラシャフト7の回転数Npを、それぞれ示している。
図3に例示するように、車両1の走行が開始して、時間t1でプロペラシャフト7の回転数Npが所定の回転数Nbに達すると、動力伝達軸5の回転数N1が閾値Naになる。このとき、第一クラッチ18が接続した状態になり、動力伝達軸5からポンプ14の駆動軸17へ動力が伝達される(図1に示す状態)。また、ポンプ14の駆動軸17の回転数N3は回転数N1と等しくなる。加えて、第二クラッチ19が切断した状態であり、膨張器12の回転軸16は回転駆動していない状態である。
次いで、時間t2で排熱回収システム10における膨張器12の駆動が開始される。このとき、第二クラッチ19が切断した状態であり、膨張器12の回転軸16は空転した状態である。
次いで、時間t3で膨張器12の回転軸16の回転数N2が動力伝達軸5の回転数N1と等しくなる。このとき、第一クラッチ18が接続した状態を維持し、第二クラッチ19が接続した状態になり、膨張器12の回転軸16からポンプ14の駆動軸17へ動力が伝達されるとともに、動力伝達軸5にも動力が伝達される(図2に示す状態)。また、ポンプ14の駆動軸17の回転数N3は回転数N2と等しくなる。以降、膨張器12の回転軸16の回転数N2が動力伝達軸5の回転数N1未満になるまで、排気G1の排熱を利用した動力の取り出しが行われる。
図4に例示するように、時間t4で車両1の減速が開始される。次いで、時間t5で膨張器12の回転軸16の回転数N2が動力伝達軸5の回転数N1と等しくなる。これ以降、第一クラッチ18が接続した状態を維持し、第二クラッチ19が切断した状態になり、動力伝達軸5からポンプ14の駆動軸17へ動力が伝達される(図1に示す状態)。また、ポンプ14の駆動軸17の回転数N3は回転数N1と等しくなる。加えて、蒸発器11には余熱が残っている状態であり、膨張器12の回転軸16がその余熱により蒸発した作動流体F1の圧力により回転し続け、膨張器12の回転軸16は空転した状態になる。
次いで、時間t6で蒸発器11の余熱が略無い状態になり、膨張器12の駆動が停止する。次いで、時間t7でプロペラシャフト7の回転数Npが所定の回転数になり、動力伝達軸5の回転数N1が閾値Naになる。これ以降、第一クラッチ18が切断した状態になり、ポンプ14の駆動軸17へ動力の伝達が停止される。
以上のように、排熱回収システム10は、ランキンサイクルにおけるポンプ14の駆動源を二重系にすることで、一方の駆動源が故障したり、停止したりした場合でも、蒸発器11に余熱が存在する間はポンプ14を駆動させて作動流体F1を循環させることができる。これにより、蒸発器11に十分な熱が存在する間にポンプ14が停止する事態を避けるには有利になり、作動流体F1が異常な高温高圧になることを防ぐことができる。
また、排熱回収システム10は、第一クラッチ18及び第二クラッチ19の両方を各軸の回転数に応じて機械的に動作するクラッチで構成することが好ましく、第一クラッチ18を遠心クラッチで構成し、第二クラッチ19をワンウェイクラッチで構成することがより好ましい。第一クラッチ18及び第二クラッチ19の両方を各軸の回転数に応じて機械的に動作するクラッチで構成することで、センサによる各軸の回転数のセンシングや制御装置による制御を省くことができ、機械的に排熱回収システム10を作動させるには有利になることに加えて、システムの部品点数を低減することもできる。
排熱回収システム10において、動力伝達軸5の回転数N1及び駆動軸17の回転数が、第二クラッチ19が接続された状態を、膨張器12を通過する気体の作動流体F1の質量流量とポンプ14から吐出される液体の作動流体F1の質量流量とが略一致した状態にする回転数に設定されることが望ましい。このように各軸の回転数を設定することで、ランキンサイクルとしてエネルギーの回収効率を高めることができる。
1 車両
2 エンジン
5 動力伝達軸
10 排熱回収システム
11 蒸発器
12 膨張器
13 凝縮器
14 ポンプ
16 回転軸
17 駆動軸
18 第一クラッチ
19 第二クラッチ
F1 作動流体
N1 動力伝達軸の回転数
N2 回転軸の回転数
Na 閾値

Claims (4)

  1. 作動流体の流れに関して環状に配置された蒸発器、膨張器、凝縮器、及び、ポンプを備え、前記蒸発器の熱源として車両に搭載されたエンジンの排気を利用する排熱回収システムにおいて、
    前記ポンプの駆動軸の一端側に配置されてその駆動軸及び前記車両の動力伝達軸の間の動力を断接する第一クラッチと、前記ポンプの駆動軸の他端側に配置されてその駆動軸及び前記膨張器の回転軸の間の動力を断接する第二クラッチとを備え、
    前記第一クラッチが前記動力伝達軸の回転数が予め設定した閾値以上の場合に前記駆動軸及び前記動力伝達軸の間で動力を伝達可能に接続し、前記第二クラッチが前記回転軸の回転数が前記動力伝達軸の回転数以上の場合に前記駆動軸及び前記回転軸の間で動力を伝達可能に接続する構成であることを特徴とする排熱回収システム。
  2. 前記第一クラッチは、前記動力伝達軸の回転数が前記閾値以上の場合に接続し、前記動力伝達軸の回転数が前記閾値未満の場合に切断する遠心クラッチである請求項1に記載の排熱回収システム。
  3. 前記第二クラッチは、前記回転軸の回転数が前記動力伝達軸の回転数以上の場合に接続し、前記回転軸の回転数が前記動力伝達軸の回転数未満の場合に切断するワンウェイクラッチである請求項1又は2に記載の排熱回収システム。
  4. 前記動力伝達軸の回転数及び前記駆動軸の回転数が、前記第二クラッチが接続されて前記回転軸と前記駆動軸との間の動力が伝達可能な状態を、前記膨張器を通過する気体の作動流体の質量流量と前記ポンプから吐出される液体の作動流体の質量流量とが略一致した状態にする回転数に設定される請求項1〜3のいずれか1項に記載の排熱回収システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021200488A1 (ja) 2020-04-02 2021-10-07 日本曹達株式会社 有害生物防除方法、ならびに有害生物防除剤組成物および有害生物防除剤セット

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WO2021200488A1 (ja) 2020-04-02 2021-10-07 日本曹達株式会社 有害生物防除方法、ならびに有害生物防除剤組成物および有害生物防除剤セット

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