JP2020066885A - ドア枠、その施工方法及びドア装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】通常の使用時にドア枠11のずれや剥がれ、外れ等を防いで信頼性を高める一方、リフォーム時には壁部1のクロスの剥がれ等を招くことなくドア枠11を容易に交換できるようにし、リフォーム作業や工事を容易で簡潔に行い得るようにする。【解決手段】ドア枠11は、建物の壁部1の開口部2周りに配置される左右の縦枠12と上枠13とを備える。縦枠12及び上枠13は、いずれも、柱3及びまぐさ4に裏面でビスVにより固定される下地枠15と、この下地枠15の表面に着脱可能に取付固定される化粧枠20との二重構造とする。下地枠15の表面に埋込ナット36が埋め込み状態で係合され、化粧枠20にはボルト挿通孔27,30が形成され、ボルト挿通孔27,30に挿通された締結ボルト37が下地枠15の埋込ナット36に螺合締結されることで、化粧枠20が下地枠15に着脱可能に取付固定される。【選択図】図2
Description
本発明はドア枠、その施工方法及びドア装置に関する。
一般に、この種のドア枠は、建物の開口部周りの躯体(柱やまぐさ)にビス等によって固定されており、そのドア枠にドアを支持するようになっている。そのため、ドアのリフォーム等の際にドア枠を簡単に取り外すことができず、取り外しは大掛かりな工事となる。例えば取り外しの工事では、ドア枠に接する部分の壁材の壁クロスや壁紙が剥がれる等、ドア枠の交換のみでは済み難いことが生じる。
そこで、従来、リフォーム可能なドア枠として、例えば特許文献1や特許文献2に示されるものが提案されている。特許文献1の技術では、開口枠(ドア枠)の縦枠及び上枠を躯体に対し接着剤で固定し、その接着剤の剥離強度を縦枠及び躯体自体の剥離強度よりも小さくして、開口枠の取り外し時に接着剤で分離させるようにしている。
一方、特許文献2のものでは、扉枠(ドア枠)の縦枠にダボとピンとを、また上枠にダボが収容される水平溝と、ピンに係合される固定部材とをそれぞれ設け、縦枠と上枠とを、ダボが水平溝に収容されかつ固定部材によってピンが係合された状態で着脱可能に連結するようになっている。
しかし、上記特許文献1のものでは、ドア枠を容易に取り外すことができたとしても、ドア枠を躯体に固定する接着剤の接着力が小さいことから、通常の使用時にドア枠が躯体からずれたり、外れたり剥がれたりする虞れがあり、信頼性の点で難がある。
また、リフォーム時にドア枠を取り外す際に、躯体の壁紙上に接着剤が剥離片として残り、その剥離片を除去せねばならず、そのときに壁材を損傷することがあり、作業の手間が大きい。
これに対し、特許文献2のものでは、上枠の取り外しが容易であるものの、縦枠についてはビスや接着剤で躯体に固定されており、ドア枠全体を交換するのは困難である。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、ドア枠の構造を改良することにより、通常の使用時におけるドア枠のずれや剥がれ、外れ等を防いで信頼性を高める一方、リフォーム時には壁材の壁クロスや壁紙の剥がれ等を招くことなくドア枠を容易に交換できるようにし、リフォーム作業を容易で簡潔に行い得るようにすることにある。
上記の目的を達成すべく、この発明では、ドア枠は躯体に常時固定される下地枠と、その下地枠上に着脱可能に固定される化粧枠との二重構造として、交換時には化粧枠のみを交換するようにした。
具体的には、第1の発明は、建物の壁部の開口部に施工されるドア枠であって、その開口部周りに配置される縦枠及び横枠を備え、これら縦枠及び横枠は、開口部周りの躯体に裏面で固定される下地枠と、該下地枠の表面に固定金具により着脱可能に取付固定される化粧枠との二重構造であることを特徴とする。
この第1の発明では、ドア枠の縦枠及び横枠は、開口部周りの躯体に固定される下地枠と、その下地枠に着脱可能に取付固定される化粧枠との二重構造であるので、リフォーム等のためにドア枠を交換するときには、ドア枠のうちの下地枠はそのままで、固定金具による固定状態を解除し、化粧枠のみを取り外して新しいものと交換すればよい。このように化粧枠のみを交換することにより、開口部周りの壁材の壁クロスや壁紙等が剥がれることはなく、ドア枠の交換が容易になってリフォームの作業や工事を容易にかつ簡潔に行うことができる。
また、下地枠は開口部周りの躯体に固定され、化粧枠はその下地枠に固定金具により取付固定されているので、通常の使用時にドア枠は躯体に強固に固定され、そのずれや剥がれ、外れ等が生じることはなく、ドア枠の信頼性を高めることができる。
第2の発明は、第1の発明において、化粧枠は、壁部厚さ方向の一側に位置する第1枠材と、他側に位置する第2枠材とに分割され、これら第1及び第2枠材は、化粧枠の幅が調整されるように壁部厚さ方向に相対移動可能に下地枠に取付固定されていることを特徴とする。
この第2の発明では、化粧枠が第1枠材及び第2枠材に分割され、これらの枠材は壁部の厚さ方向に相対移動可能に下地枠に取付固定されているので、化粧枠の幅を調整するときには、両枠材を相対移動させて化粧枠の幅を調整し、その調整状態で両枠材を固定金具により下地枠に取付固定すればよい。このことで、例えば壁部の厚さが施工箇所で種々に異なっていても、それに合わせて化粧枠の幅を容易に調整することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、化粧枠は、壁部厚さ方向の両端部に、少なくとも下地枠を覆う側部を有することを特徴とする。
この第3の発明では、化粧枠の側部により下地枠が覆われるようになり、下地枠は全体が表に露出せず、化粧枠のみが見えるようになり、ドア枠の意匠性を高めることができる。また、この化粧枠の側部により壁部の一部も覆うようにすれば、ドア枠の納まりが良好になって見映えが良くなる。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、縦枠及び横枠のうちの一方の化粧枠には、その壁部厚さ方向の両側部を該両側部以外の化粧枠の他の部分よりも化粧枠の長さ方向に延ばした延長部が設けられていることを特徴とする。
この第4の発明では、縦枠及び横枠のうちの一方の化粧枠の壁部厚さ方向の両側部に延長部が設けられているので、ドア枠を前側又は後側から見たとき、縦枠及び横枠のうちの一方の化粧枠の延長部がその幅方向の側縁部で他方の化粧枠の側部の長さ方向端部に突き合わされた状態になる。このため、縦枠及び横枠のうちの一方が他方に優先された配置となり、通常一般のドア枠と同様の外観が得られる。
第5の発明は、第1〜第4の発明のいずれか1つにおいて、固定金具は、ナットと該ナットに螺合締結されるボルトとを備え、これらナット及びボルトの一方は、予め下地枠に係合されており、化粧枠には上記ボルトを挿通可能なボルト挿通孔が形成され、化粧枠のボルト挿通孔に挿通された上記ボルトがナットに締結されることで、化粧枠が下地枠に取付固定されていることを特徴とする。
この第5の発明では、固定金具のナット及びボルトの一方は予め下地枠に係合されており、化粧枠のボルト挿通孔にボルトを挿通してそのボルトにナットを締結することで、化粧枠が下地枠に取付固定される。このことで、化粧枠を下地枠に対し容易に着脱することができる。
また、下地枠に予めナット及びボルトの一方が係合されているので、その位置に化粧枠のボルト挿通孔を合わせるだけで下地枠に対する化粧枠の取付位置が容易に判るようになり、施工性が向上する。しかも、化粧枠を固定するためのナット及びボルトの一方は下地枠に係合されているので、固定金具が躯体まで達することはなく、躯体に不要に穴が開いて傷付くのを防ぐことができる。
第6の発明は、第5の発明において、下地枠にナットが係合されており、下地枠の表面には、ナットを埋め込み状態で収納するための溝部が長さ方向の全体に亘って形成され、下地枠は、上記溝部の底壁部を貫通する固定具により躯体に固定されていることを特徴とする。
この第6の発明では、下地枠の溝部にナットを埋込状態で収納することができる。また、この溝部の底壁部を貫通する固定具により下地枠が躯体に固定される。このことで、溝部をナットの埋込みだけでなく固定具の貫通部として利用することができる。
第7の発明はドア装置に係り、このドア装置は、第1〜第6の発明のいずれか1つのドア枠と、このドア枠又は開口部周りの躯体に揺動可能に支持されたドアとを備えたことを特徴とする。このことで、第1の発明と同様の効果が得られる。
第8の発明は、第1の発明のドア枠の施工方法であって、予め、下地枠に締結金具としてのナット及び該ナットに螺合締結されるボルトの一方を係合する一方、化粧枠には上記ボルトを挿通可能なボルト挿通孔を形成しておき、上記下地枠を開口部周りの躯体に取付固定し、上記ボルトを化粧枠のボルト挿通孔に挿通させて上記ナットに締結することにより、化粧枠を下地枠に取付固定することを特徴とする。
この第8の発明では、ドア枠の施工時、予めナット又はボルトの一方が係合されている下地枠と、予めボルト挿通孔が形成されている化粧枠とを用意しておき、まず、下地枠が開口部周りの躯体に取付固定される。そして、この下地枠に対し化粧枠が取付固定され、その際、ボルトが化粧枠のボルト挿通孔に挿通されてナットに締結される。このことで、ドア枠を容易に施工することができる。
以上説明したように、本発明によると、ドア枠は躯体に常時固定される下地枠と、その上に固定金具によって着脱可能に固定される化粧枠との二重構造としたことにより、ドア枠を交換するときには、下地枠はそのままで、固定金具による固定状態を解除し、化粧枠のみを取り外して新しいものと交換すればよく、リフォームの作業や工事を容易にかつ簡潔に行うことができるとともに、通常の使用時にドア枠は躯体に強固に固定され、そのドア枠の信頼性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
図1において、1は建物の壁部、2は壁部1に形成された開口部であり、この開口部2の周りには、左右両側に位置する躯体としての柱3,3と、上側に位置して柱3,3間に横架された躯体としてのまぐさ4とが配置されており、図2に示すように、壁部1は各柱3及びまぐさ4の上から両側の壁材5,5が施工された大壁構造となっている。
上記開口部2には、本発明の実施形態に係るドア装置8が施工されている。このドア装置8は、壁部1の開口部2に施工されるドア枠11と、このドア枠11又は開口部2周りの柱3(躯体)に上下の丁番9,9によって揺動可能に支持され、開閉操作用のレバー10aを有するドア10とを備えている。
本発明の特徴は上記ドア枠11にある。このドア枠11は、開口部2周りでその左右両側に配置される左右の縦枠12,12と、開口部2の上側に配置される水平方向の上枠13(横枠)とからなる三方枠となっている。
図2に示すように、上記各縦枠12及び上枠13は基本的に同じ断面構造であり、下地枠15(下地部材)と、その上(開口部2の中央側)に重ねて配置される化粧枠20との二重構造とされ、これら下地枠15及び化粧枠20はいずれも例えば木質材からなっている。
上記下地枠15は、縦枠12にあっては開口部2周りの躯体である柱3の側面に、上枠13にあっては同様のまぐさ4の下面にそれぞれ裏面にて複数のビスV,V,…(固定具)により固定されている。
図3及び図4に示すように、下地枠15は、柱3やまぐさ4の幅と同じかそれよりも小さい幅を有する厚さ10〜20mmの長尺の厚肉板材からなり、その表面にはその長さ方向の全体に亘って延びる溝部16が連続して形成されており、下地枠15はこの溝部16の底壁部を貫通するビスV,V,…によって柱3やまぐさ4に固定されている。これら複数のビスV,V,…は下地枠15の長さ方向に一定間隔(例えば200〜300mm)をあけて配置されている。
また、上記下地枠15の溝部16には、予め、各ビスVを貫通させる位置とは異なる部分に複数の埋込ナット36,36,…(締結金具)が抜け出し不能に埋め込まれた状態で一体的に係合されている。具体的には、溝部16にはその底部の溝側面両側を他の部分よりも溝幅方向に拡がるように掘り込んだ1対の係合凹条16a,16aが溝部16の全体に亘り形成されている。各埋込ナット36は、溝部16に回転不能に嵌合される四角ナットからなり、その裏側の端部には、ナット36の対向辺部からナット中心と直交する方向に互いに離隔するように突出する薄板矩形状の1対の係合突片36a,36aが一体に形成されており、これら係合突片36a,36aを上記溝部16の端部から係合凹条16a,16aに嵌入させることで、各埋込ナット36が溝部16にスライド移動可能にかつ溝部から抜け出し不能に係合されている。尚、埋込ナット36は、溝部16においてスライド移動可能に係合されているが、基本的に移動させずに後述の第1及び第2枠材21,22のボルト挿通孔27,30と対応する位置に接着剤等により接着固定されており、化粧枠20を施工現場でカットした際に埋込ナット36の位置が変わる等して、位置合わせが必要なときに移動される。そして、この各埋込ナット36は、該埋込ナット36に螺合締結される締結ボルト37とで固定金具35を構成している。
これに対し、上記化粧枠20は下地枠15の表面に上記固定金具35(埋込ナット36及び締結ボルト37)により着脱可能に取付固定されている。この化粧枠20は、各縦枠12及び上枠13において同様の構造であり、壁部厚さ方向の一側(図2で右側)に位置する第1枠材21と、他側(同左側)に位置する第2枠材22とに分割されている。図5〜図8に示すように、第1及び第2枠材21,22は、いずれも、下地枠15への取付部をなす板状の基部24と、該基部24の幅方向一端から基部24と直交する方向に延びる板状の側部25とからなる断面略L字形状のものであり、両枠材21,22の側部25,25は基部24,24に対し開口部2の中央と反対側である外側に向かうように互いに同じ方向に平行に延びており、この両側部25,25により、上記下地枠15と、開口部2周りの壁部1の一部(壁材5)とを表側及び裏側からを覆うようになっている。
具体的には、図5及び図6にも示すように、第1枠材21においては、側部25が基部24の幅方向一端から延びていて、この側部25により下地枠15と開口部2周りの壁部1の一部とが例えば表側から覆われる。基部24の幅は壁部1の厚さよりも小さく、その基部24において側部25と反対側の幅方向他端寄りで上記下地枠15上の埋込ナット36に対応する部位には、上記締結ボルト37を挿通可能な複数のボルト挿通孔27,27,…が所定の間隔をあけて貫通形成され、この各ボルト挿通孔27は基部24の幅方向(壁部厚さ方向)に延びる長孔からなっている。
一方、図7及び図8にも示すように、第2枠材22においても、側部25が基部24の幅方向一端から延びており、この側部25の向きは上記のように第1枠材21の側部25と同じ向きであるが、その幅は第1枠材21の側部25よりも少し大きくなっており、この側部25により下地枠15と開口部2周りの壁部1の一部とが例えば裏側からを覆われるようになっている。第2枠材22の基部24の幅は壁部1の厚さよりも小さく、その厚さは第1枠材21の基部24よりも厚く、この基部24裏面の幅方向他端部には第1枠材21の基部24の厚さと同じ深さだけ切り欠いた段差部28が形成されており、この段差部28に第1枠材21の基部24を収容することで、第1及び第2枠材21,22の基部24,24同士が重なって、第2枠材22の段差部28以外の基部24裏面と第1枠材21の基部24裏面とが面一になり、第1及び第2枠材21,22からなる化粧枠20が全体として断面コ字状となって開口部2周りの壁部1に被さり、側部25,25が下地枠15と開口部2周りの壁部1の一部とを覆うようになっている。第1及び第2枠材21,22の側部25,25の幅は例えば40〜50mmであり、そのうち開口部2周りの壁部1に被さる寸法は20〜30mm程度が好ましい。
また、第1及び第2枠材21,22の側部25,25の厚さを各縦枠12と上枠13とで比較したとき、図5〜図8で実線にて示す、縦枠12における側部25,25の厚さは、同図で仮想線にて示す、上枠13における側部25,25の厚さよりも厚くなっている。
第2枠材22の基部24表面には、その幅方向他端(側部25と反対側)寄りで裏面の段差部28に対応する部位に、戸当たり40(図7で仮想線にて示す)を収容して固定するための戸当たり取付溝29が第2枠材22の長さ方向の全体に亘って形成されている。この戸当たり取付溝29の底壁部において上記下地枠15上の各埋込ナット36(及び第1枠材21の各ボルト挿通孔27)に対応する部位には、上記締結ボルト37を挿通可能な複数の円形孔からなるボルト挿通孔30,30,…が所定の間隔をあけて貫通形成されている。このボルト挿通孔30は、例えば第2枠材22の側部25内面が壁部1に当接したときに下地枠15上の埋込ナット36に一致する位置にある。そして、上記のように第1及び第2枠材21,22の基部24,24同士が重なった状態にあるとき、複数の締結ボルト37,37,…の各々を両枠材21,22の合致したボルト挿通孔27,30に挿通させ、その挿通された各締結ボルト37を下地枠15上の埋込ナット36に螺合締結することにより、化粧枠20の両枠材21,22が下地枠15に対し着脱可能にかつ壁部1の厚さ方向に互いに相対移動して化粧枠20の幅が調整可能となるように取付固定されている。
上記第2枠材22の各ボルト挿通孔30は、戸当たり取付溝29の内部側に他の部分よりも大径の大径部30aを有する段付き構造(段堀構造)のものであり、各締結ボルト37による締結状態では、その頭部37aをボルト挿通孔30の大径部30aに収容して、戸当たり取付溝29内に突出させないようにしている。こうすれば、戸当たり取付溝29に戸当たり40を嵌合して取り付けるときに問題が生じることはない。
図9に示すように、縦枠12における化粧枠20の第1及び第2枠材21,22には、その両側部25,25を化粧枠20の長さ方向である上方に基部24,24(両側部25,25以外の化粧枠20の他の部分)よりも延ばした延長部32,32が形成されている。図10及び図11に示すように、第1枠材21の延長部32の基部24上端からの突出長さLは、上枠13の化粧枠20における第1枠材21の側部25の幅d(上下幅)に第2枠材22の基部24の厚さを加えた寸法と同じとなっている。また、同様に、第2枠材22の延長部32の基部24上端からの突出長さは、上枠13の化粧枠20における第2枠材22の側部25の幅(上下幅)と同じとなっている。そして、縦枠12の上端部に上枠13の左右端部を配置したとき、縦枠12の化粧枠20における第2枠材22と上枠13の化粧枠20における第2枠材22とが、前者の基部24上面に後者の基部24が載置された状態で部分的に重なり、かつ縦枠12の化粧枠20における第1及び第2枠材21,22の側部25,25の延長部32,32側面が、上枠13の化粧枠20における第1及び第2枠材21,22の側部25,25の長さ方向端部(左右端部)に同じ面内で突き合わされた状態になって、縦枠12が上枠13に優先されたいわゆる縦勝ちの配置となり、その延長部32を含む側部25が上枠13の側部25よりも上記両者の厚さの差によって突出するようにしている。
このように縦枠12及び上枠13の同じ断面形状の化粧枠20,20を直交方向に突き合わせることで、各々の第1枠材21,21の基部24,24の間に隙間が生じることになるが、図9に示すように、予め、縦枠12の第1枠材21の基部24には、その側部25側の上端を上方に延長して側部25の延長部32と一体化した延長部24aが形成されており(図5及び図6には延長部24aを示していない)、この延長部24a上端を上枠13の第1枠材21の基部24に当接させることで、隙間が生じるのを回避するようにしている。
以上の構成のドア枠11及びドア装置8を施工する場合、予め、縦枠12及び上枠13の各々の下地枠15の溝部16に複数の埋込ナット36,36,…を埋め込み状態で係合しておく。そのとき、下地材15の長さ方向端部から埋込ナット36の係合突片36a,36aを溝部16の係合凹条16a,16aに挿入し、埋込ナット36を溝部16内でスライド移動させて目的の位置で接着剤等により移動不能に固定すればよく、埋込ナット36の位置合わせや位置決めが容易となる。一方、化粧枠20の第1及び第2枠材21,22の基部24,24には、それぞれ上記各埋込ナット36に螺合締結される締結ボルト37を挿通可能なボルト挿通孔27,30を形成しておく。
そして、まず、上記下地枠15を開口部2周りの柱3及びまぐさ4に複数のビスV,V,…により取付固定する。そのとき、下地枠15は、位置決めのために両面テープを用いて柱3及びまぐさ4に固定しておいてもよい。
次に、縦枠12については、その化粧枠20の第1及び第2枠材21,22を、各々の側部25の延長部32と第1枠材21の基部24の延長部24aとが上側に位置するように配置し、各枠材21,22の下部をカットして化粧枠20を必要長さに調節する。横枠13については、その化粧枠20の第1及び第2枠材21,22の長さ方向一端部又は両端部をカットして化粧枠20の長さを調節する。その後、縦枠12及び上枠13の各々について、化粧枠20における第2枠材22の基部24の段差部28に第1枠材21の基部24を収容した状態で、両枠材21,22の基部24,24同士を重ならせて、段差部28以外の基部24裏面と第1枠材21の基部24裏面とを面一にし、両枠材21,22からなる化粧枠20を断面コ字状として開口部2周りの壁部1に被せ、両枠材21,22の側部25,25で下地枠15と開口部2周りの壁部1の一部とを覆うようにする。その状態で、化粧枠20の両枠材21,22を長さ方向に位置調整して各々のボルト挿通孔27,30を互いに一致させ、同時に下地枠15の埋込ナット36に一致させる。このように位置が合わされた両枠材21,22のボルト挿通孔27,30に締結ボルト37を挿通させて、その先端部を下地枠15の埋込ナット36に締結し、このことにより化粧枠20を下地枠15に取付固定する。
その際、第1枠材21のボルト挿通孔27が長孔であるので、第1枠材21を第2枠材22に対し移動させることで、側部25,25間の距離を変更して壁部1の厚さに対応させればよく、壁部1の厚さが薄いときには、第1枠材21の側部25を第2枠材22の側部25に近付け、厚いときには、第1枠材21の側部25を第2枠材22の側部25から離すようにする。
しかる後、このように固定された化粧枠20の戸当たり取付溝29に戸当たり40を取り付け、ドア枠11又は柱3にドア10を丁番9,9によって吊り状態で支持し、ドア装置8の施工が完了する。各丁番9はドア枠11の化粧枠20ではなく、例えばその第1又は第2枠材21,22の側部25,25を丁番9の形状に合わせて切り欠いておき、その切欠き部分を通してドア枠11の下地枠15又は柱3に固定するのが好ましい。
また、リフォーム等のためにドア枠11を交換する場合には、ドア10や戸当たり40等を外した後に縦枠12及び上枠13の各々について、各締結ボルト37を取り外して化粧枠20の第1及び第2枠材21,22のみを下地枠15から取り外し、新たな化粧枠20の第1及び第2枠材21,22を元の下地枠15にその埋込ナット36への締結ボルト37の螺合締結によって固定し、その後に戸当たり40やドア10を取り付ければよい。
したがって、この実施形態においては、ドア枠11の左右の縦枠12,12及び上枠13の各々は、開口部2周りの柱3及びまぐさ4に固定される下地枠15と、その下地枠15に締結ボルト37及び埋込ナット36の螺合締結によって着脱可能に取付固定される化粧枠20との二重構造であるので、リフォーム等のためにドア枠11を交換するときには、上記のようにドア枠11のうちの下地枠15はそのままで、締結ボルト37による固定状態を解除し、化粧枠20のみを取り外して新しいものと交換することができる。このように化粧枠20のみを交換することにより、開口部2周りの壁材5のクロスや壁紙等が剥がれることはなく、ドア枠11の交換が容易になってリフォームの作業や工事を容易にかつ簡潔に行うことができるようになる。
また、下地枠15は開口部2周りの柱3やまぐさ4に固定され、この下地枠15に化粧枠20が締結ボルト37及び埋込ナット36により取付固定されているので、通常の使用時にドア枠11は全体として柱3やまぐさ4(躯体)に強固に固定された状態となり、そのずれや剥がれ、外れ等が生じることはなく、ドア枠11やドア装置8の信頼性を高めることができる。
さらに、化粧枠20が第1及び第2枠材21,22に分割され、第1枠材21のボルト挿通孔27が長孔で、その第1枠材21が第2枠材22に対し壁部1の厚さ方向に相対移動可能に下地枠15に取付固定されているので、壁部1の厚さに合わせて化粧枠20の幅を調整するときには、締結ボルト37を下地枠15の埋込ナット36から緩めた状態で、第1枠材21を第2枠材22に対し相対移動させて化粧枠20の幅を調整し、その調整状態で締結ボルト37を埋込ナット36に締め付けて両枠材21,22を下地枠15に固定すればよい。このことで、例えば壁部1の厚さが施工箇所で種々に異なっていても、それに合わせて化粧枠20(ドア枠11)の幅を容易に調整することができる。
また、化粧枠20の第1及び第2枠材21,22には、壁部厚さ方向の両端部に側部25,25が形成されているので、施工状態では、これらの側部25,25により下地枠15や開口部2周りの壁部1が覆われるようになり、下地枠15の全体が表に露出することはなく、化粧枠20のみが見えるようになり、ドア枠11の意匠性を高めることができる。また、この化粧枠20の側部25,25により開口部2周りの壁部1も覆われるので、ドア枠11の納まりが良好になって見映えがさらに良くなる。
そして、縦枠12の化粧枠20における第1及び第2枠材21,22は、壁部厚さ方向の両側部25,25が基部24,24よりも化粧枠20の長さ方向に延びた延長部32,32を有するので、ドア枠11を前側又は後側から見たとき、縦枠12の化粧枠20の延長部32,32がその幅方向の側縁部で上枠13の化粧枠20の側部25,25の長さ方向端部に突き合わされた状態になる。このため、ドア枠11は縦枠12が上枠13に優先されたいわゆる縦勝ちの配置となり、その延長部32を含む側部25が上枠13の側部25よりも突出して、通常一般のドア枠11と同様の外観が得られる。
また、下地枠15の表面に溝部16が形成されていて、予めその溝部16に固定金具35の埋込ナット36が埋込状態で係合され、化粧枠20の第1及び第2枠材21,22には上記埋込ナット36に螺合締結される締結ボルト37を挿通可能なボルト挿通孔27,30が形成されているので、化粧枠20のボルト挿通孔27,30に締結ボルト37を挿通して下地枠15の埋込ナット36に締結することで、化粧枠20が下地枠15に取付固定される。このことで、化粧枠20を下地枠15に対し着脱するときには、締結ボルト37の埋込ナット36に対する螺合締結及びその解除だけで済み、ビス止めする構造等に比べて化粧枠20を容易に着脱することができる。
また、下地枠15に予め埋込ナット36が係合固定されているので、その埋込ナット36の位置に化粧枠20の第1及び第2枠材21,22のボルト挿通孔27,30を合わせるだけで下地枠15に対する化粧枠20の取付位置が容易に判るようになり、施工性が向上する。しかも、化粧枠20を固定する締結ボルト37は下地枠15の埋込ナット36に締結されるので、その締結ボルト37が柱3やまぐさ4まで達することはなく、それらに不要に穴が開いて傷付くのを防ぐことができる。
上記下地枠15の表面に、埋込ナット36を埋め込み状態で収納するための溝部16が長さ方向の全体に亘って形成され、この溝部16の底壁部を貫通するビスVにより下地枠15が柱3やまぐさ4に固定されている。そのため、下地枠15の溝部16を埋込ナット36の埋込みだけでなく、ビスVの貫通部として利用することができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、固定金具35は、予め下地枠15の溝部16に埋込状態で固定され埋込ナット36と、その埋込ナット36に螺合締結される締結ボルト37とで構成しているが、予め下地枠15に埋込ボルトを下地枠15の表面から突出するように係合固定し、その埋込ボルトを化粧枠20のベルト挿通孔27,30に挿通させて、その先端部に化粧枠20の表面側からナットを螺合締結するようにしてもよい。
上記実施形態では、固定金具35は、予め下地枠15の溝部16に埋込状態で固定され埋込ナット36と、その埋込ナット36に螺合締結される締結ボルト37とで構成しているが、予め下地枠15に埋込ボルトを下地枠15の表面から突出するように係合固定し、その埋込ボルトを化粧枠20のベルト挿通孔27,30に挿通させて、その先端部に化粧枠20の表面側からナットを螺合締結するようにしてもよい。
上記実施形態では、化粧枠20を第1及び第2枠材21,22に分割することにより、その化粧枠20の幅を調整可能としているが、この化粧枠20の幅の調整を不要とする場合には、化粧枠20は分割せずに1つとすればよい。その場合、化粧枠20は1つの基部24と、その幅方向両側に形成された1対の側部25,25とを有する断面コ字状のものとなる。
また、上記実施形態では、縦枠12の化粧枠20の両側部25,25に上方に延びる延長部32,32を形成し、その延長部32,32の幅方向の側縁部で上枠13の化粧枠20の側部25,25の長さ方向端部に突き合わせているが、逆に、上枠13の化粧枠20の両側部25,25に左右方向に延びる延長部32,32を形成し、その延長部32,32の幅方向の側縁部で縦枠12の化粧枠20の側部25,25の上端部(長さ方向端部)に突き合わせるようにしてもよく、上枠13が縦枠12に優先されたいわゆる横勝ちの配置となる。
また、化粧枠20の壁部厚さ方向の両端部に側部25,25を設けることは必須の構造ではないが、下地枠15や開口部2周りの壁部1を覆って意匠性を高めることができる点で、側部25,25を設けるのが好ましい。
また、上記実施形態では、下地枠15及び化粧枠20は、縦枠12及び上枠13の双方で側部25の厚さが異なる断面形状であるが、互いに同じ断面形状としてもよい。そうすれば、下地枠15及び化粧枠20を縦枠12及び上枠13において共用できるので(長さだけ異ならせればよい)、例えば設計上有利となる。
また、上記実施形態では、ドア枠11が三方枠の場合であるが、本発明は四方枠のドア枠11にも適用することができる。四方枠のドア枠11は、左右の縦枠12,12及び上枠13に加え、開口部2の下側に配置される水平方向の下枠(横枠)を備えたものであり、その下枠は上枠13と同様の構造とすればよい。
本発明は、ドア枠11の交換が容易になるとともに、通常の使用時のドア枠11の信頼性を高めることができ、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
V ビス(固定具)
1 壁部
2 開口部
3 柱(躯体)
4 まぐさ(躯体)
8 ドア装置
10 ドア
11 ドア枠11
12 縦枠
13 上枠(横枠)
15 下地枠
16 溝部
20 化粧枠
21 第1枠材
22 第2枠材
24 基部
25 側部
d 幅
27 ボルト挿通孔
30 ボルト挿通孔
32 延長部
35 固定金具
36 埋込ナット(締結金具)
37 締結ボルト(締結具)
1 壁部
2 開口部
3 柱(躯体)
4 まぐさ(躯体)
8 ドア装置
10 ドア
11 ドア枠11
12 縦枠
13 上枠(横枠)
15 下地枠
16 溝部
20 化粧枠
21 第1枠材
22 第2枠材
24 基部
25 側部
d 幅
27 ボルト挿通孔
30 ボルト挿通孔
32 延長部
35 固定金具
36 埋込ナット(締結金具)
37 締結ボルト(締結具)
Claims (8)
- 建物の壁部の開口部に施工されるドア枠であって、
上記開口部周りに配置される縦枠及び横枠を備え、
上記縦枠及び横枠は、開口部周りの躯体に裏面で固定される下地枠と、該下地枠の表面に固定金具により着脱可能に取付固定される化粧枠との二重構造であることを特徴とするドア枠。 - 請求項1において、
化粧枠は、壁部厚さ方向の一側に位置する第1枠材と、他側に位置する第2枠材とに分割され、
上記第1及び第2枠材は、化粧枠の幅が調整されるように壁部厚さ方向に相対移動可能に下地枠に取付固定されていることを特徴とするドア枠。 - 請求項1又は2において、
化粧枠は、壁部厚さ方向の両端部に、少なくとも下地枠を覆う側部を有することを特徴とするドア枠。 - 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
縦枠及び横枠のうちの一方の化粧枠には、その壁部厚さ方向の両側部を該両側部以外の化粧枠の他の部分よりも化粧枠の長さ方向に延ばした延長部が設けられていることを特徴とするドア枠。 - 請求項1〜4のいずれか1つにおいて、
固定金具は、ナットと該ナットに螺合締結されるボルトとを備え、
上記ナット及びボルトの一方は、予め下地枠に係合されており、
化粧枠には上記ボルトを挿通可能なボルト挿通孔が形成され、
化粧枠のボルト挿通孔に挿通された上記ボルトがナットに螺合締結されることで、化粧枠が下地枠に取付固定されていることを特徴とするドア枠。 - 請求項5において、
下地枠にナットが係合されており、
上記下地枠の表面には、上記ナットを埋め込み状態で収納するための溝部が長さ方向の全体に亘って形成され、
下地枠は、上記溝部の底壁部を貫通する固定具により躯体に固定されていることを特徴とするドア枠。 - 請求項1〜6のいずれか1つのドア枠と、
上記ドア枠又は開口部周りの躯体に揺動可能に支持されたドアとを備えたことを特徴とするドア装置。 - 請求項1のドア枠の施工方法であって、
予め、下地枠に締結金具としてのナット及び該ナットに螺合締結されるボルトの一方を係合する一方、化粧枠には上記ボルトを挿通可能なボルト挿通孔を形成しておき、
上記下地枠を開口部周りの躯体に取付固定し、
上記ボルトを化粧枠のボルト挿通孔に挿通させて上記ナットに締結することにより、化粧枠を下地枠に取付固定することを特徴とするドア枠の施工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018199074A JP2020066885A (ja) | 2018-10-23 | 2018-10-23 | ドア枠、その施工方法及びドア装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018199074A JP2020066885A (ja) | 2018-10-23 | 2018-10-23 | ドア枠、その施工方法及びドア装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020066885A true JP2020066885A (ja) | 2020-04-30 |
Family
ID=70389733
Family Applications (1)
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JP2018199074A Pending JP2020066885A (ja) | 2018-10-23 | 2018-10-23 | ドア枠、その施工方法及びドア装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020066885A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113958230A (zh) * | 2021-10-25 | 2022-01-21 | 中铁第四勘察设计院集团有限公司 | 一种隧道防护门的装配式安装结构及装配式安装方法 |
-
2018
- 2018-10-23 JP JP2018199074A patent/JP2020066885A/ja active Pending
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CN113958230A (zh) * | 2021-10-25 | 2022-01-21 | 中铁第四勘察设计院集团有限公司 | 一种隧道防护门的装配式安装结构及装配式安装方法 |
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