JP2020063633A - 通気層を有する密着型外断熱に用いられる火災対応型外壁構造、及び該火災対応型外壁構造に用いられる笠木 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)乾式密着工法(図9(A))
外装下地材と断熱層とを一体化した断熱複合パネルを外壁(躯体)に張設する工法である。
(2)湿式密着工法(図9(B))
外壁(躯体)に断熱層を張設し、断熱層に薄い塗壁を塗布する工法である。
(3)通気層工法(図9(C))
外壁(躯体)に断熱層を張設し、その外側に空間を空けて外装下地材又は外装材を配置する工法である。断熱層と外装下地材又は外装材との間の空間が通気層となる。
(4)二重壁工法(図9(d))
躯体に断熱層を張設し、その外側に空間を空けて肉厚のレンガ、コンクリートブロック、コンクリート板などの外壁を配置する工法である。断熱層と外壁との間の空間が通気層となる。
通気層の空気の流れに関して、本出願の出願人は、すでに特許文献1に開示される断熱パネルを開発している。このパネルは、内面に複数の区画通気層(条溝)を備えた成形セメント板と断熱層とを、区画通気層が断熱層に対向するとともに区画通気層の間の部分が断熱層と接する状態で層着させたものであり、外装材と断熱材とを一部において密着させながら通気層を設けた、いわゆる密着通気層型の断熱パネルである。このパネルは、すでに火災時に断熱材への延焼が生じにくい構造を有している。すなわち、このパネルでは、このパネル以前のパネルの通気層と比較して小幅の区画通気層が複数条設けられているため、火災の初期燃焼時にはそれぞれの区画通気層の内部が酸素欠乏状態となり、断熱材に引火したとしても炎が拡散しにくい。また、区画通気層の間の部分が断熱層と接しているため空気と断熱層とが接する面積が少なく、火災時に炎が区画通気層に入り込んでも断熱層に触れる炎が少ない。さらに、区画通気層が狭いため区画通気層内の空気の流速が早く、空気による冷却効果により、火災時に断熱層自身の発火温度まで達しにくい。
また、本発明は、密着通気層型の外断熱外壁構造において用いることができる笠木を提供することを別の課題とする。
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による火災対応型外壁構造G(以下、構造Gという)を示す断面斜視図である。図2は、構造Gの一部を拡大して示す拡大縦断面図であり、窓部8は描かれていない。以下においては、外装材2の外面に沿って地面に平行な方向を幅方向、外装材2の外面に沿って幅方向と直交する方向を高さ方向、幅方向及び高さ方向と直交する方向を厚み方向という。
構造Gにおいては、断熱複合パネル1として、例えば特許文献1に開示されるものと同じ構成のものを用いることができる。以下、特許文献1に開示される断熱複合パネル1を説明する。図3は、断熱複合パネル1の構造を示し、図3(A)は断熱複合パネル1の一部の横断面図であり、図3(B)は外装下地材11の一部の横断面図である。断熱複合パネル1は、断熱層15の外側に外装下地材11が接し、外装下地材11の外側に外装材2が接する構造を有する。断熱層15は、例えば厚さ75mm、幅500mm、高さ2700mmのサイズの1つの断熱材を、高さ方向及び幅方向に必要な枚数並べることによって形成することができる。断熱材の材質は、限定されるものではないが、典型的には、発泡プラスチック断熱材(JIS A9511)が用いられる。
構造Gは、防水層40の少なくとも一部に接し、断熱複合パネル1の上面の上方を覆うように配置される笠木5を備える。笠木5は、図1に示されるように、幅方向に連続して配置される複数の笠木本体50によって構成される。
上述のように、笠木5は、断熱複合パネル1の上方において、外装下地材11の複数の条溝14との間に空間を保持した状態で取り付けられている。また、防水層40の先端は、断熱複合パネル1の断熱層15の外面と同一面上に位置する。そのため、複数の条溝14からなる区画通気層7の内部を上昇する空気70は、区画通気層7の上端から排出された後、笠木5と外装下地材11との間の空間を滞りなく通り、笠木5の立下り部5cと外装材2の外面との間を下降し、屋外に排出される。したがって、本発明に係る外壁構造においては、区画通気層7から排出された空気は、笠木5の下部に溜まることなく屋外に排出されるため、特許文献2に開示された笠木を用いた場合とは異なり、通気層からの空気の排出が溜まった空気によって阻害されるということがない。
次に、構造Gが備える窓部8について説明する。図6は、構造Gの窓部8及びその周辺部を示す縦断面図である。図6においては、中間部分(窓の開口部分)の一部が省略して示されている。窓部8は、窓枠80と、窓枠80の外側に設けられた見切枠81a、81bと、窓枠80の内側に設けられた木製枠82とを有するものとすることができる。窓枠80及び見切枠81a、81bは、耐火性の高いものであることが好ましく、典型的にはアルミニウムで作製される。窓枠80及び木製枠82と、断熱層15及びコンクリート外壁30との間の空間には、見切枠81の側から順に、モルタル801と発泡ウレタン802とが充填されている。この構造は、特許文献3の構造とは逆に、燃焼しづらいモルタル801が外側に配置され、燃焼しやすい発泡ウレタン802が内側に配置されているため、屋外での火災時に断熱層15に延焼する可能性を低減させることができる。
11 外装下地材
12 薄肉部
13 厚肉部
14 条溝
15 断熱層
151 スキン付き断熱層
152 断熱層の突起
153 ファイヤーストップ
16 切り欠き部
2、21 外装材
3 躯体
30 コンクリート外壁
30a コンクリート材
31 基礎
311 下部断熱層
312 水切り
313 シーリング材
4 防水
40 防水層
5 笠木
5a 基部
5b 張出部
5c 立下り部
5d 斜片
50 笠木本体
51 水平板
54 突起部
55 ジョイント部材
56 固定具
6 支持部材
61 水平片
62 立下り片
63 固定具
64 固定具挿入孔
7 区画通気層
70 上昇空気流
8 窓部
80 窓枠
801 モルタル
802 発泡ウレタン
803 支持棒鋼
81a、81b 見切枠
811a、811b 空気孔
82 木製枠
821 捨材
Claims (13)
- 通気層を有する密着型外断熱に用いられる外壁構造であって、
コンクリート外壁と、
前記コンクリート外壁に接する断熱層と、
前記断熱層に対向して配置された複数の条溝を有し、それらの複数の条溝の間の部分が前記断熱層に接する、外装下地材と、
前記外装下地材に接する外装材と、
前記コンクリート外壁及び前記断熱層の上面に接し、先端が前記断熱層の表面と同一面上に位置する、防水層と、
前記防水層の少なくとも一部の上面に接し、前記外装下地材及び前記外装材の上面を覆う笠木とを備え、
前記笠木が、
前記防水層の前記少なくとも一部の上面に接する基部と、
前記外装下地材の上方において前記外装下地材に接することなく前記基部から水平に延びる張出部と、
前記張出部の縁部から下方に延びる立下り部と、
前記張出部と前記外装下地材との間に配置された、張出部を支持する複数の支持部材と
を有する、
外壁構造。 - 前記笠木と前記外装下地材との間の空間の広さが、前記複数の条溝の並び方向における前記空間の単位長さ当たりの断面積が前記並び方向における前記複数の条溝の単位長さあたりの断面積より大きくなるように構成された、
請求項1に記載の外壁構造。 - 前記断熱層の前記防水層に近い部分が前記断熱層の他の部分より薄く形成されることによって、前記断熱層に切り欠き部が設けられており、
前記切り欠き部にはコンクリート材が充填され、
前記笠木は、前記基部が、充填された前記コンクリート材に固定されている
請求項1又は請求項2に記載の外壁構造。 - 基礎に接する下部断熱層が他の断熱層より薄く形成され、前記下部断熱層には外装材が接しており、前記外装材の表面とその上方に位置する前記他の断熱層の表面とは同一面上にある、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の外壁構造。 - 基礎に接する下部断熱層が他の断熱層と同じ厚さで形成され、前記下部断熱層には前記外装材が接しており、
前記外装材の上部に設けられた水切りと、該水切りの上部において前記断熱層に接して設けられた三角形の縦断面を持つシーリング材と
をさらに有する、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の外壁構造。 - 窓枠と、該窓枠の外側に設けられた見切枠と、該窓枠の内側に設けられた木製枠とを有する窓部をさらに備え、
前記窓枠及び前記木製枠と、前記断熱層及び前記コンクリート躯体との間の空間は、前記見切枠の側から順にモルタルと発泡ウレタンとを用いて充填されている、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の外壁構造。 - 前記モルタルに接する断熱層は、スキン付きの断熱層である、請求項6に記載の外壁構造。
- 前記断熱層又は前記スキン付きの断熱層の下面の前記外装下地材側に、下方に突出する突起が設けられており、前記外装下地材の下端と前記突起の下端とは同じ高さに位置する、請求項6又は請求項7に記載の外壁構造。
- 少なくとも前記窓枠の上方の前記断熱層又は前記スキン付きの断熱層の下面全体に接するようにファイヤーストップが設けられた、請求項6又は請求項7に記載の外壁構造。
- 前記見切枠は、外部と前記複数の条溝とを連通する複数の空気孔を有し、
前記複数の空気孔は、前記複数の条溝の並び方向における前記複数の空気孔の単位長さ当たり面積が、前記並び方向における前記複数の条溝の単位長さあたりの断面積より小さくなるように設けられている、
請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載の外壁構造。 - コンクリート外壁と、
前記コンクリート外壁に接する断熱層と、
前記断熱層に対向して配置された複数の条溝を有し、それらの複数の条溝の間の部分が前記断熱層に接する、外装下地材と、
前記外装下地材に接する外装材と、
前記コンクリート外壁及び前記断熱層の上面に接し、先端が前記断熱層の表面と同一面上に位置する、防水層と
を備える通気層を有する乾式密着型外断熱の外壁構造に用いられる笠木であって、
前記防水層の前記少なくとも一部の上面に接し、前記外装下地材及び前記外装材の上面を覆うように配置されており、
前記防水層の前記少なくとも一部の上面に接する基部と、
前記外装下地材の上方において前記外装下地材に接することなく前記基部から水平に延びる張出部と、
前記張出部の縁部から下方に延びる立下り部と、
前記張出部と前記外装下地材との間に配置された、張出部を支持する複数の支持部材と
を有する、笠木。 - 前記笠木と前記外装下地材との間の空間の広さが、前記複数の条溝の並び方向における前記空間の単位長さ当たりの断面積が前記並び方向における前記複数の条溝の単位長さあたりの断面積より大きくなるように構成された、
請求項11に記載の笠木。 - 前記基部は、前記断熱層の前記防水層に近い部分が前記断熱層の他の部分より薄く形成されることによって前記断熱層に設けられた切り欠き部に充填されたコンクリート材に固定されている、
請求項11又は請求項12に記載の笠木。
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